説明

新規な置換スルファミド誘導体

本発明は、新規な置換スルファミド誘導体、これらの誘導体を含有する製薬学的組成物、並びに不安及び関連障害、双極性鬱病及び躁病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇発生、グルコース関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満症、疼痛、薬物乱用の処置における、また神経保護剤としての、これらの誘導体の形態の使用を目的とする。本発明は更に、これら新規な置換スルファミド誘導体の製造方法を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参考としてその全体が本明細書に組み込まれる、2008年7月22日出願の米国仮出願第61/082,654号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、新規な置換スルファミド誘導体、これらの誘導体を含有する製薬学的組成物、並びに不安及び関連障害、双極性鬱病及び躁病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇発生、グルコース関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満症、疼痛、薬物乱用の処置における、また神経保護剤としての、これらの誘導体の形態の使用を目的とする。本発明は更に、これら新規な置換スルファミド誘導体の製造方法を目的とする。
【背景技術】
【0003】
2006年2月23日公開の米国特許出願公開第US2006−0041008(A1)号は、癲癇及び関連障害の処置に有用なベンゾ縮合スルファミド誘導体を開示し、2008年11月18日公開の同第2007−0293441(A1)号は、ベンゾ縮合スルファミド誘導体と1つ又はそれ以上の、抗痙攣剤及び/又は抗癲癇剤の投与を含んでなる、癲癇及及び関連障害の処置のための共同療法を開示し、2007年7月5日公開の同第US2007−0155826(A1)号は、双極性鬱病及び躁病の処置のためのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示し、2007年7月5日公開の同第US2007−0155827(A1)号は、鬱病の処置のためのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示し、2007年7月5日公開の同第US2007−0155824(A1)号は、癲癇発生の処置のためのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示し、2007年7月5日公開の同第US2007−0155821(A1)号は、グルコース関連障害の処置、及び脂質関連障害の処置のためのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示し、2007年8月16日公開の同第US2007−0191474(A1)号は、片頭痛の処置のためのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示し、2007年7月5日公開の同第US2007−015823(A1)号は、神経保護のためのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示し、2008年1月31日公開の同第US2008−0027131(A1)号は、肥満症の処置のためのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示し、2007年7月5日公開の同第US2007−0155822(A1)号は、疼痛の処置のためのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示し、2007年7月5日公開の同第US2007−0155825(A1)号は、薬物乱用及び/又は薬物耽溺の処置のためのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示し、これらは参考としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の式(I)
【0005】
【化1】

(式中、
1は、C1〜4アルキル及び−O−フェニルよりなる群から選択され、このフェニルは、ハロゲン、C1〜4アルキル、フッ素化C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、フッ素化C1〜4アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NRAB、及び−C(O)−NRCDよりなる群から独立して選択される1〜3の置換基で所望により置換され、RA及びRBは、それぞれ独立してC1〜4アルキルよりなる群から選択され、RC及びRDは、それぞれ独立して水素及びC1〜4アルキルよりなる群から選択される)化合物、
及び製薬上許容し得るその塩を目的とし、
ただしR1がメチルの場合であれば、式(I)の化合物は、単離された形態、又は実質的に純粋な形態として存在する。
【0006】
本発明は更に、アセチル置換スルファミド誘導体、式(A)の化合物
【0007】
【化2】

及び製薬上許容し得るその塩を目的とし、これらは、(2S)−(−)−N’−アセチル−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドとしても知られ、式(A)の化合物は、単離された形態、又は実質的に純粋な形態として存在し、好ましくは、式(A)の化合物は、単離された形態、かつ実質的に純粋な形態として存在する。
【0008】
本発明は更に、本明細書で詳述する式(I)の化合物の製造方法を目的とする。一実施形態では、本発明は、本明細書で詳述する式(A)の化合物の製造方法を目的とする。本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかに従って製造される生成物を更に目的とする。
【0009】
本発明の実例は、製薬上許容し得る担体と式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物とを含んでなる、製薬学的組成物である。本発明の実例は、式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物と製薬上許容し得る担体とを混合することによって作製される製薬学的組成物である。本発明の例示は、式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物と製薬上許容し得る担体とを混合することを含んでなる、製薬学的組成物を製造する方法である。
【0010】
本発明は更に、不安及び関連障害、双極性鬱病及び躁病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇発生、グルコース関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満症、疼痛、薬物乱用の処置、又は神経保護のための方法であって、それらを必要とする被験体に、式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物の治療有効量を投与することを含んでなる方法を目的とする。
【0011】
本発明の別の実施例は、(a)不安及び関連障害、(b)双極性鬱病、(c)躁病、(d)鬱病、(e)癲癇及び関連障害、(f)癲癇発生、(g)グルコース関連障害、(h)脂質関連障害、(i)片頭痛、(j)肥満症、(k)疼痛、(l)薬物乱用の処置のための、並びに(m)神経保護のための薬剤の製造において、それらを必要とする被験体に、式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物を使用することである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、以下の式(I)
【0013】
【化3】

(式中、R1は本明細書に定義される)の化合物及び製薬上許容し得るその塩を目的とし、これらは、以下の式(S)の化合物のプロドラッグとして有用であり、
【0014】
【化4】

【0015】
この化合物は、(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドとしても知られている(2006年2月23日公開の、米国特許公報第US2006−0041008(A1)号に開示)。一実施形態では、本発明は、アセチル置換スルファミド誘導体、式(A)の化合物
【0016】
【化5】

及び製薬上許容し得るその塩を目的とする。式(A)の化合物は、以下の式(S)の化合物の、ヒト代謝産物である。
【0017】
【化6】

【0018】
式(A)の化合物は、式(S)の化合物を投与する臨床試験によって、ヒト血漿サンプルから最初に単離された。更に、式(A)の化合物は、式(S)の化合物のプロドラッグである。式(A)の化合物を投与するマウス試験では、血漿分析及び脳分析により、式(A)の化合物及び式(S)の化合物の双方が存在し、式(S)の化合物の濃度が、式(A)の化合物の濃度よりも高いことが示された。
【0019】
本発明は更に、不安及び関連障害、双極性鬱病及び躁病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇発生、グルコース関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満症、疼痛、薬物乱用の処置のための、並びに神経保護のための、式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物の使用を目的とする。
【0020】
本発明は更に、式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物を含んでなる製薬学的組成物を目的とする。
【0021】
本発明の一実施形態では、R1は、C1〜4アルキルよりなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、C2〜4アルキル及び−O−フェニルよりなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、C2〜4アルキルよりなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、メチル、エチル、及びt−ブチルよりなる群から選択される。本発明の更に別の実施形態では、R1は、メチルである。
【0022】
本発明の一実施形態では、R1は、−O−フェニルよりなる群から選択され、このフェニルは、ハロゲン、C1〜4アルキル、フッ素化C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、フッ素化C1〜4アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NRAB及び−C(O)−NRCDよりなる群から独立して選択される1〜3の置換基(好ましくは1〜2の置換基、より好ましくは1つの置換基)で所望により置換され、RA及びRBは、それぞれ独立してC1〜4アルキルよりなる群から選択され、RC及びRDは、それぞれ独立して水素及びC1〜4アルキルよりなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、−O−フェニルよりなる群から選択され、このフェニルは、ハロゲン、C1〜4アルキル、−CF3、C1〜4アルコキシ、−OCF3、シアノ、ニトロ、−NRAB及び−C(O)−NRCDよりなる群から選択される置換基で所望により置換される。
【0023】
本発明の別の実施形態では、RA及びRBは、それぞれ独立してメチル、エチル、及びt−ブチルよりなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、RC及びRDは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、及びt−ブチルよりなる群から選択される。
【0024】
本明細書で使用するとき、「ハロゲン」は塩素、臭素、フッ素及びヨウ素を意味する。好ましくは、ハロゲンは、塩素又はフッ素である。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「C1〜4アルキル」は、単独での使用であれ、置換基の一部としての使用であれ、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖及び分枝鎖を含むものとする。例えば、アルキルラジカルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、及びt−ブチルを包含する。
【0026】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「フッ素化C1〜4アルキル」は、少なくとも1個のフッ素原子で置換された、上記定義の任意のC1〜4アルキル基を意味するものとする。好適な例としては、−CH2F、−CF3、−CH2−CF3、−CF2−CF2−CF2−CF3などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「C1〜4アルコキシ」は、1〜4個の炭素原子を含有する上述の任意の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基の酸素エーテルラジカルを示すものとする。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、及びt−ブトキシである。
【0028】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語フッ素化C1〜4アルコキシ」は、少なくとも1個のフッ素原子で置換された、上記定義の任意のC1〜4アルコキシ基を意味するものとする。好適な例としては、−OCH2F、−OCF3、−OCH2−CF3、−OCF2−CF2−CF2−CF3などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明による化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、結果としてそれらはエナンチオマーとして存在し得る。化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、それらは更にジアステレオマーとして存在し得る。すべてのそのような異性体及びその混合物が本発明の範囲に包含されることを理解されたい。好ましくは、化合物がエナンチオマーとして存在する場合、エナンチオマーは約80%以上のエナンチオマー過剰率で、より好ましくは約90%以上のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約95%以上のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約98%以上のエナンチオマー過剰率で、最も好ましくは約99%以上のエナンチオマー過剰率で存在する。
【0030】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「単離された形態」は、その化合物が、いずれの生物学的環境(例えば、血漿、血液、胃液、尿、脳脊髄液など)からも分離した形態で存在することを意味するものとする。本発明の一実施形態では、式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物は、単離された形態として存在する。
【0031】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「実質的に純粋な形態」は、単離した化合物中の不純物のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味するものとする。本発明の一実施形態では、式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物は、実質的に純粋な形態である。
【0032】
本明細書で使用するとき、特に断りのない限り、用語「対応する塩形態を実質的に含まない」は、式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物を説明するために用いるとき、式(I)の化合物の塩形態のモルパーセント、好ましくは式(A)の化合物の塩形態のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味するものとする。本発明の一実施形態では、式(I)の化合物、好ましくは式(A)の化合物は、対応する塩形態を実質的に含まない。
【0033】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「処置する」、「処置」などの用語は、疾患、病状、又は障害への対処を目的とする、被験体又は患者(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)の管理及びケアを包含し、また、症状若しくは合併症の発現の予防、症状若しくは合併症の緩和、又は疾患、病状、若しくは障害の根絶のための、本発明の化合物の投与を包含するものとする。
【0034】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「予防」は、(a)1つ以上の症状の頻度の低減、(b)1つ以上の症状の重症度の低減、(c)追加症状の発現の遅延若しくは回避、及び/又は(d)障害若しくは病状の発現の遅延若しくは回避を包含するものとする。
【0035】
本発明が予防方法を目的とする場合、この方法を必要とする被験体(すなわち、予防を必要とする被験体)が、予防されるべき障害、疾患、若しくは病状のうち少なくとも1つの症状を経験又は示しているいずれの被験体あるいは患者をも包含することを、当業者は理解するであろう。更に、この方法を必要とする被験体は加えて、予防されるべき障害、疾患、又は病状のいずれの症状も示していないが、それらの障害、疾患、又は病状の発現のリスクがあると医師、臨床医、又は他の医療専門家によって見なされている被験体(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)であってもよい。例えば、限定されるものではないが、家族暦、個体素因、合併(併発)障害又は合併(併発)症状、遺伝子検査などを含めた、被験体の医療履歴の結果として、被験体は、障害、疾患、又は病状の発現のリスクがあると(またそれゆえ、予防又は予防的処置の必要があると)見なされる場合がある。
【0036】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「不安及び関連障害」は、全般性不安障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、強迫神経障害、社会恐怖症(社会不安障害としても知られる)、特定恐怖症、広場恐怖症を伴う又は伴わないパニック障害、パニック障害歴を伴わない広場恐怖症、一般身体疾患による不安障害、薬物乱用誘発性不安障害、及び特定不能の不安障害を含めた、不安及び関連障害を包含するように定義されるものとする(それらの病状は、参考として本明細書に組み込まれる、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th Edition,Text Revision,American Psychiatric Association,2000に記載の、それらの診断基準によって説明される)。好ましくは、不安及び関連障害は、全般性不安障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、及び強迫神経障害よりなる群から選択される。より好ましくは、不安及び関連障害は、全般性不安障害である。
【0037】
双極性障害は、躁(又は軽躁)から鬱への予測不能な気分変動によって特徴付けられる精神障害である。本明細書で使用するとき、用語「双極性障害」は、双極性I型障害、双極性II型障害、循環性障害、及び特定不能の双極性障害を包含するものとする。好ましくは、双極性障害は、鬱病相と躁病相(又は軽躁病相)とによって特徴付けられ、これらの相は循環する。好ましくは、双極性障害は、双極性I型障害又は双極性II型障害である。
【0038】
本明細書で使用するとき、用語「双極性鬱病」は、双極性障害の特性又は症状に関連した鬱病を意味するものとする。したがって、双極性鬱病を処置する本発明の方法は、鬱病及び/又は双極性障害の鬱病相を処置する方法を目的とする。
【0039】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「循環」又は「双極性循環」は、双極性障害の鬱病相と躁病相の特性間の気分の交互変化を指すものとする。したがって、本発明は、限定されるものではないが、循環の頻度の減少、並びに/又は、躁病相及び/若しくは鬱病相の規模の減少が含まれる、この循環の安定化のための方法を含む。
【0040】
本明細書で使用するとき、用語「躁病」は、根本にある原因に関わらず、躁病又は躁状態の相を包含するものとする。本明細書で使用するとき、用語「双極性躁病」は、双極性障害の特性又は症状に関連した躁病を意味するものとする。したがって、双極性躁病を処置する本発明の方法は、躁病及び/又は双極性障害の躁病相を処置する方法を目的とする。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「鬱病」は、大鬱病性障害(単発性及び再発性のものを含む)、単極性鬱病、難治性鬱病、治療抵抗性鬱病、不安鬱病、及び気分変調症(気分変調性障害とも称する)を包含するように定義されるものとする。更に、用語「鬱病」は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th Edition,Text Revision,American Psychiatric Association,2000に記載の診断基準によって定義される、いずれの大鬱病性障害、気分変調性障害、及び特定不能の鬱病性障害を包含するものとする。好ましくは、鬱病は、大鬱病性障害、単極性鬱病、難治性鬱病、治療抵抗性鬱病、又は不安鬱病である。より好ましくは、鬱病は、大鬱病性障害である。
【0042】
本明細書で使用するとき、特に断りのない限り、用語「癲癇及び関連障害」は、被験体(好ましくはヒトの成人、小児、又は乳児)が1回以上の発作及び/又は振戦を経験する任意の障害を意味する。好適な例としては、癲癇(局所関連癲癇、全身癲癇、全身化及び局所的発作の両方が起こる癲癇などが挙げられるが、これらに限定されない)、疾患又は状態の合併としての発作(脳障害、フェニルケトン尿、若年性ゴーシェ病、ルントボルク進行性間代性筋痙攣癲癇、脳卒中、頭部外傷、ストレス、ホルモン変化、薬物使用又は離脱、アルコール使用又は離脱、睡眠遮断などに伴う発作など)、本態性振戦、むずむず足症候群などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、障害は、癲癇(型、根本にある原因、又は起源に関わらず)、本態性振戦、又はむずむず足症候群から選択され、より好ましくは、障害は癲癇(型、根本にある原因又は起源に関わらず)又は本態性振戦である。
【0043】
本明細書で使用するとき、用語「癲癇発生」は、中枢神経系(CNS)を含めた神経組織を、再発性で自発的な発作が起こりやすくさせる、生化学的、遺伝的、組織学的又は他の構造的若しくは機能的なプロセスあるいは変化を意味するものとする。加えて、用語「癲癇発生」は、限定するわけではないが、障害及びその症状の悪化若しくは進行、又は「薬剤抵抗性」(ここで障害は、薬剤感度の低下又は非発作傾向神経組織の癲癇発生のプロセスによる漸増加をもたらす、神経生物学的変化の結果として、更に処置し難くなる)の発生を含めた、癲癇又は他の発作障害あるいは類似の発作関連障害の患者において観察される臨床的進行に寄与する変化及び/又はプロセスを指すために、本明細書では、より広い意味でも使用する。更に用語「癲癇発生」は、本明細書では、明らかに非癲癇性障害の兆候及び症状を経時的に進行して悪化させる類似現象を指すために、可能な限り広い意味で使用し、そのような障害には精神医学的障害が含まれ、その病因は発作に関連していると思われる。
【0044】
癲癇発生は2段階プロセスであり、「第1段階の癲癇発生」は、第1癲癇発作又は類似の発作関連障害に先立つ、癲癇発生プロセスの開始であり、ある種の脳への損傷又は外傷、すなわち脳卒中、疾患(例えば、脳膜炎のような感染)、又は頭部への偶発的衝撃若しくは脳に施された外科的処置のような外傷の結果であることが多い。「第2段階の癲癇発生」は、癲癇発作又は類似の発作関連障害の発作関連現象を既に起こしやすくなっている脳組織が、頻度及び/又は重症度の増大した発作を一層起こしやすくなり、かつ/あるいは処置への反応性が小さくなる間のプロセスを指す。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「グルコース関連障害」は、グルコース値の上昇によって特徴付けられるいずれの障害として定義されるものとする。グルコース関連障害としては、グルコース高値、前糖尿病、耐経口グルコース能異常、血糖コントロールの不良、II型糖尿病、X症候群(代謝症候群としても知られる)、妊娠糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖、及び高血糖の結果としての筋量の損失(悪液質)が挙げられる。
【0046】
グルコース関連障害の処置は、グルコース値の低下、血糖コントロールの改善、インスリン抵抗性の減少、及び/又はグルコース関連障害の発現の予防(例えば、耐経口グルコース能異常又はグルコース高値の患者をII型糖尿病から予防する)を含み得る。
【0047】
本明細書で使用するとき、用語「脂質関連障害」は、非正常の脂質値によって特徴付けられるいずれの障害として定義されるものとする。脂質関連障害としては、トリグリセリド値の上昇、HDLコレステロール低値、及び脂質異常症が挙げられ、好ましくはトリグリセリド値の上昇又はHDLコレステロール低値である。脂質関連障害の処置は、トリグリセリドの減少、HDLコレステロールの増大、及び/又はトリグリセリド/HDLの比率改善を含み得る。
【0048】
本明細書で使用するとき、用語「片頭痛」は、4〜72時間持続する、中程度から重度の拍動性片側性頭痛の存在により診断される、慢性、突発性、及び衰弱性の臨床症状を意味し、前兆を伴わない片頭痛と前兆を伴う片頭痛とを包含するものとする。
【0049】
本明細書で使用するとき、「前兆を伴わない片頭痛」は、次の(a)頭痛発作が、片側位置、拍動特性、日常生活動作に直接影響する中程度から重度の強度、及び階段上昇若しくは類似の日常活動による悪化の特徴のうちの少なくとも2つを有したまま4〜72時間持続すること、(b)頭痛の間、悪心及び/又は嘔吐、並びに光恐怖及び音恐怖、のうち少なくとも1つが発生すること、という規準を満たす、少なくとも5回の発作を意味するものとする。
【0050】
本明細書で使用するとき、「前兆を伴う片頭痛」は、次の(a)1回以上の完全可逆性前兆症状、(b)4分超にわたり段階的に発現する少なくとも1回の前兆症状、又は連続して発生する2回以上の症状、(c)60分を超えて持続する前兆症状ではないこと、(d)前兆と頭痛との間の無症状期が約60分未満で、頭痛が前兆より前、同時、又は続いて発生すること、という4つの特徴のうちの少なくとも3つを伴う、少なくとも2回の発作を意味するものとする。
【0051】
本明細書で使用するとき、用語「予防」は、片頭痛発作(頭痛)の予防、片頭痛発作(頭痛)の頻度の減少、片頭痛発作(頭痛)の重症度の減少、及び/又は片頭痛発作(頭痛)の持続時間の減少を包含するものとする。
【0052】
本明細書で使用するとき、用語「肥満症」は、約25以上の体格指数(BMI)、好ましくは約30以上のBMIとして定義されるものとする。したがって、本明細書で使用するとき、用語「肥満症」は、過剰体重の被験体/患者と、臨床的肥満の被験体/患者との双方を包含するものとする。
【0053】
本明細書で使用するとき、用語「疼痛」は、急性、慢性、炎症性、及び神経障害性疼痛(好ましくは糖尿病性神経障害)を包含するように定義されるものとする。更に、疼痛は、中枢媒介疼痛、末梢媒介疼痛、構造的組織損傷による疼痛、軟組織損傷による疼痛、又は進行性疾患による疼痛であってよい。中枢媒介、末梢媒介、構造的組織損傷、軟組織損傷、又は進行性疾患に関するいずれの疼痛も、急性又は慢性であり得る。
【0054】
本明細書で使用するとき、特に断りのない限り、疼痛は、炎症性疼痛、中枢媒介疼痛、末梢媒介疼痛、内臓痛、構造的関連疼痛、癌性疼痛、軟組織損傷関連疼痛、進行性疾患関連疼痛、神経障害性疼痛、急性損傷による急性疼痛、外傷による急性疼痛、外科手術による急性疼痛、頭痛、歯痛、背部痛(好ましくは腰痛)、神経障害性の病状による慢性疼痛、及び脳卒中後の病状による慢性疼痛を包含するものとする。
【0055】
本発明の一実施形態では、疼痛の処置方法であり、疼痛は急性疼痛である。本発明の別の実施形態では、疼痛の処置方法であり、疼痛は慢性疼痛である。本発明の別の実施形態では、疼痛の処置方法であり、疼痛は神経障害性疼痛、より好ましくは糖尿病性神経障害である。本発明の更に別の実施形態では、疼痛の処置方法であり、疼痛は炎症性疼痛である。
【0056】
一実施形態では、疼痛は、変形性関節症、関節リウマチ、線維筋症、頭痛、歯痛、火傷、日焼け、動物咬傷(イヌ咬傷、ネコ咬傷、ヘビ咬傷、クモ咬傷、昆虫刺傷など)、神経障害性膀胱障害、前立腺肥大、間質性膀胱炎、接触性皮膚炎/過敏症、痒み、湿疹、咽頭炎、粘膜炎、腸炎、セルライト、カウザルギー、坐骨神経炎、舌咽神経痛、末梢神経炎、多発神経炎、断端痛、幻想肢痛、術後腸閉塞、胆嚢炎、乳房切除後疼痛症候群、口腔神経因性疼痛、シャルコー疼痛、反射性交感神経性ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、知覚異常性大腿神経痛、口腔内灼熱症候群、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、末梢神経障害、両側性末梢神経障害、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、視神経炎、発熱後の神経炎、遊走性神経炎、分節性神経炎、ゴンボール神経炎、ニューロン炎、頚上腕神経痛、頭部神経痛、膝神経痛、舌咽神経痛、片頭痛神経痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、モートン神経痛、鼻毛様体神経痛、後頭神経痛、紅神経痛、スラダー神経痛、蝶口蓋神経痛、眼窩上神経痛、ヴィディアン神経痛、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、陣痛、出産、月経性痙攣、癌、背部痛、腰痛、及び手根管症候群の疼痛よりなる群から選択される。
【0057】
急性疼痛は、急性損傷、外傷、疾病、又は外科手術(例えば、開胸手術(心臓切開又はバイパス手術を含む))に起因する疼痛を含む。急性疼痛としては、頭痛、術後の疼痛、腎臓結石の疼痛、胆嚢痛、胆石の疼痛、陣痛、リウマチの疼痛、歯痛又はスポーツ医学傷害に起因する疼痛、手根管症候群、火傷、筋骨格の捻挫及び挫傷、筋腱の挫傷、頚腕痛症候群、消化不良、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、月経困難、又は子宮内膜症もまた挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
慢性疼痛には、炎症性症状、変形性関節症、関節リウマチに起因する疼痛、あるいは疾患後遺症として、急性損傷若しくは外傷に起因する疼痛が挙げられる。また、慢性疼痛には、頭痛、上背部痛若しくは腰痛(系統的、局所的、又は原発性の脊椎疾患(神経根障害から選択される)から生じる背部痛から選択される)、骨痛(変形性関節症、骨粗鬆症、骨転移、又は未知の原因による骨痛から選択される)、骨盤痛、脊髄損傷関連の疼痛、心臓性胸痛、非心臓性胸痛、中枢性卒中後痛、筋筋膜性疼痛、癌性疼痛、エイズ性疼痛、鎌状赤血球疼痛、老年性疼痛若しくは頭痛による疼痛、偏頭痛、三叉神経痛、側頭下顎関節症候群、線維筋痛症候群、変形性関節症、関節リウマチ、通風、結合識炎、又は胸郭出口症候群もまた挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
神経障害性疼痛は、慢性若しくは衰弱性の病状又は障害から生じる疼痛を包含する。神経障害性疼痛を導き得る、慢性若しくは衰弱性の病状又は障害としては、有痛性の糖尿病性末梢神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、卒中後痛、多発性硬化症関連疼痛、特発性若しくは外傷後の神経障害及び単神経炎におけるような神経障害関連疼痛、HIV関連神経障害性疼痛、癌関連神経障害性疼痛、手根管関連神経障害性疼痛、脊椎損傷関連疼痛、複合性局所疼痛症候群、線維筋症関連神経障害性疼痛、腰痛及び頚痛、反射性交感神経性ジストロフィー、幻想肢症候群、並びに他の慢性及び衰弱性の病状に関連する疼痛症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用するとき、用語「薬物乱用の処置」は、薬物の乱用又は耽溺の処置を包含するものとし、自傷行為、離脱、及び他の耽溺若しくは乱用の症状の処置を包含するが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、特に断りのない限り、用語「薬物」は、乱用及び/又は耽溺する薬物を指す場合、被験体又は患者が耽溺を発症する合法あるいは非合法のいずれの薬物をも包含するものとする。適切な例としては、アルコール、コカイン、ヘロイン、メタンフェタミン、ケタミン、エクスタシー、ニコチン、オキシコンチン/オキシコドン、コデイン、モルヒネなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書で使用するとき、用語「神経保護」は、脳、中枢神経系、又は末梢神経系内のニューロン(好ましくは脳又は脊髄内のニューロン)を、死滅及び/又は損傷から保護することを意味するものとする。好ましくは、ニューロンは、酸化的ストレス、例えば酸素ラジカルを起因とする死滅又は損傷から保護される。
【0062】
本発明の方法の範囲内に含まれる「急性神経変性障害」としては、脳血管不全、限局性脳損傷、びまん性脳損傷、及び脊髄損傷を含めた、ニューロンの死滅又は損傷を伴う様々なタイプの急性神経変性障害、すなわち、塞栓性閉塞及び血栓性閉塞を含む脳虚血又は脳梗塞、急性虚血後の再潅流、周産期低酸素性虚血性損傷、心停止及びいずれのタイプの頭蓋内出血(硬膜外、硬膜下、クモ膜下、及び大脳内が挙げられるが、これらに限定されない)、並びに頭蓋内病巣及び脊椎内病巣(挫傷、穿通、剪断、圧迫、及び裂傷が挙げられるが、これらに限定されない)、並びに乳児むち打ち揺さぶり症候群が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、急性神経変性障害は、脳卒中、急性虚血損傷、頭部損傷、又は脊柱損傷である。
【0063】
本発明の方法の範囲内に含まれる「慢性神経変性障害」としては、アルツハイマー病、ピック病、びまん性レヴィ小体病、進行性核上性麻痺(スチール−リチャードソン症候群)、多系統変性症(シャイ−ドレーガー症候群)、神経変性関連の慢性癲癇症状、筋萎縮性側策硬化症を含む運動ニューロン疾患、変性運動失調症、大脳皮質基底核変性症、グアムのALS−パーキンソン−痴呆複合症、亜急性硬化性全脳炎、ハンチングトン病、パーキンソン病、シヌクレイン病(多系統萎縮症を含む)、原発性進行性失語症、線条体黒質変性症、マシャド−ジョセフ病/脊髄小脳失調症3型及びオリーブ橋小脳変性症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット病、球麻痺及び偽性球麻痺、球脊髄性筋萎縮症、(ケネディー病)、多発性硬化症、原発性側索硬化症、家族性痙性対麻痺、ウェルドニッヒ‐ホフマン病、クーゲルベルク−ヴェランダー病、テイ−サックス病、サンドホフ病、家族性痙性病、ウォルファルト−クーゲルベルク−ヴェランダー病、痙攣性不全対麻痺、進行性多巣性白質脳症、家族性自律神経障害(ライリー−デイ症候群)、並びにプリオン病(クロイツフェルト−ヤコブ病、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカ−病、クールー及び致死性家族性不眠症が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、慢性神経変性障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、又は脳性麻痺から選択される。
【0064】
ニューロンの死滅又は損傷を顕症し、したがって本発明の方法の範囲内に包含されるものとする他の障害としては、根本にある病因に関わらず、加齢性痴呆と、アルツハイマー病関連の痴呆、血管性痴呆、びまん性白質疾患(ビンスヴァンガー病)、内分泌又は代謝起源の痴呆、頭部外傷及びびまん性脳損傷の痴呆、拳闘家痴呆、並びに前頭葉痴呆を含めた記憶喪失を伴う他の痴呆及び症状とを包含する痴呆が挙げられる。
【0065】
脳、中枢神経系、又は末梢神経系への損傷後の神経保護(すなわち、ニューロンの死滅及び/又は損傷の予防方法)もまた本発明の範囲内に含まれ、この損傷は、化学的、毒性、感染性、放射線、及び/又は外傷性の損傷から生じる。好ましくは、本発明の方法は、原因に関わらない、脳、頭部、及び/又は脊髄の外傷あるいは損傷後の、ニューロンの死滅又は損傷の予防を目的とする。
【0066】
本明細書で使用するとき、用語「被験体」は、処置、観察又は実験に付されている動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。好ましくは、被験体は、処置及び/又は予防するべき疾患又は障害の少なくとも1つの症状を経験し及び/又は示している。
【0067】
本明細書で使用するとき、用語「治療有効量」は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医により求められている、処置されている疾患又は障害の症状の緩和を含む、組織系、動物、又はヒト内で生体学的反応又は医薬反応を引き出す活性化合物又は薬学的薬剤の量を意味する。
【0068】
本明細書で使用するとき、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、並びに特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含することを意図する。
【0069】
当業者は、特に指示がない限り、反応工程は、適切な条件下で、公知の方法に従って行われて、所望の生成物を提供することを認識するであろう。当業者は、本発明の反応工程が、様々な溶媒又は溶媒系中で行うことができる場合、この反応工程はまた、適切な溶媒又は溶媒系の混合物中でも行うことができることを更に認識するであろう。
【0070】
当業者は、本願に記載された明細書及び特許請求の範囲において、試薬又は試薬のクラス/種類(例えば、塩基、溶媒など)が1を超える方法工程に引用されている場合、個々の試薬は、各反応工程に関して独立して選択され、同一でも、又は互いに異なっていてもよいことを認識するであろう。例えば、方法の2つの工程が、試薬として有機又は無機塩基を挙げている場合、第1工程に関して選択される有機又は無機塩基は、第2工程の有機又は無機塩基と同一でも異なっていてもよい。
【0071】
説明をより簡潔にする目的で、本明細書に示す量的表現のいくつかは、用語「約」により制限されない。用語「約」が明確に用いられていようといまいと、本明細書に記載するすべての量はその実際値を指すことを意味し、またこのような値の実験及び/又は測定条件による近似値を含む、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推測されるようなこのような値の近似値を指すことも意味する。
【0072】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書の量的表現のいくつかは、約量X〜約量Yの範囲として列挙される。範囲が記載されている場合、その範囲は、記載された上限及び下限に限定されるものではなく、約量X〜約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲を含むと理解される。
【0073】
本明細書で使用するとき、特に指摘がない限り、用語「脱離基」は、置換又は変位反応中に離脱する帯電又は非帯電の原子又は基を意味するものとする。好適な例としては、Br、Cl、I、アセトキシ、フェノキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
式(I)の化合物は、スキーム1に概説される方法に従って製造することができる。
【0075】
【化7】

【0076】
したがって、式(S)の化合物を、既知化合物又は既知の方法によって製造された化合物である、適切に置換された式(X)(式中、Xは、Br、Cl、I、アセトキシ、フェニロキシなどの、適切に選択された脱離基であり、好ましくは、Xは、Cl、既知化合物、又は既知の方法によって製造された化合物)の化合物と
THF、1,4−ジオキサン、クロロホルムなどのような有機溶媒中で、好ましくは、約60℃〜約100℃の範囲の温度で、例えば、およその溶媒の還流温度で反応させて、式(I)の対応する化合物を生じさせる。
【0077】
一実施形態では、式(A)の化合物は、以下のスキーム2に概説するように製造することができる。
【0078】
【化8】

【0079】
したがって、式(S)の化合物を、既知化合物又は既知の方法によって製造された化合物である、適切に置換された式(X−A)(式中、Xは、Br、Cl、I、アセトキシ、フェニロキシなどの、適切に選択された脱離基であり、好ましくは、Xは、Cl、既知化合物、又は既知の方法によって製造された化合物)の化合物と
THF、1,4−ジオキサン、クロロホルムなどのような有機溶媒中で、好ましくは、約60℃〜約100℃の範囲の温度で、例えば、およその溶媒の還流温度で反応させて、式(A)の対応する化合物を生じさせる。
【0080】
薬剤で使用するために、本発明の化合物の塩は非毒性の「製薬上許容し得る塩」を指す。しかし他の塩も本発明の化合物又はそれらの製薬上許容し得る塩の製造に有用となり得る。化合物の適切な製薬上許容し得る塩には酸付加塩を含み、これは例えば化合物の溶液を、塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酢酸、酒石酸、カルボン酸又はリン酸のような製薬上許容し得る酸の溶液と混合することにより形成することができる。更に本発明の化合物が酸性部分を持つ場合、その適切な製薬上許容し得るその塩にはアルカリ金属塩、例えばナトリウム若しくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム若しくはマグネシウム塩、及び適切な有機リガンドと形成される塩、例えば四級アンモニウム塩を含むことができる。よって、薬剤として許容される代表的な塩としては、限定されるものではないが、以下:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物塩、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩が挙げられる。
【0081】
薬剤として許容される塩の製造に使用できる代表的な酸としては、限定されるものではないが、以下:酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシルスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸(hipuric acid)、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン(nicotinc)酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバイン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、及びウンデシレン酸を包含する酸が挙げられる。
【0082】
薬剤として許容される塩の製造に使用できる代表的な塩基としては、限定されるものではないが、以下:アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、第二級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン及び水酸化亜鉛を含む塩基を包含する塩基が挙げられる。
【0083】
本発明は更に、式(I)の化合物(例えば、式(A)の化合物)を、製薬上許容し得る担体と共に含有する、製薬学的組成物を更に含んでなる。活性成分として本明細書に記載した本発明の化合物の1つ以上を含有する製薬学的組成物は、従来の医薬品配合技術に従って、化合物(単数又は複数)を医薬担体とよく混合することによって製造できる。担体は、所望の投与経路(例えば、経口、非経口)に応じて様々な形態をとってよい。したがって、懸濁剤、エリキシル剤及び液剤のような液体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、安定剤、着色剤などが挙げられ、散剤、カプセル剤及び錠剤のような固体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。固体経口製剤は、糖のような物質でコーティングされてもよく、又は主要な吸収部位を調節するために腸溶コーティングされていてもよい。非経口投与では、担体は通常、滅菌水からなり、溶解度の上昇又は保存のために他の成分を添加してもよい。注入用の懸濁液又は溶液も、水性担体を適切な添加剤と共に用いて製造することができる。
【0084】
本発明の製薬学的組成物を製造するために、活性成分としての1つ以上の本発明の化合物を、従来の医薬品配合技術に従って、医薬担体と共にしっかりと混合するが、この担体は、例えば経口又は筋内内のような非経口投与に望ましい製剤の形態に応じて様々な形態をとることができる。経口剤形における組成物の製造には、任意の通常の医薬媒体を用いることができる。したがって、例えば、懸濁剤、エリキシル剤及び液剤のような液体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤などが挙げられ、散剤、カプセル剤、カプレット剤、ジェルキャップ、及び錠剤のような固体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。投与が容易であるため、錠剤及びカプセル剤は最も有利な経口投薬量単位形態であり、その場合、固体医薬担体が明らかに使用される。場合により、錠剤は、標準的な技術により、糖コーティング又は腸溶コーティングされてよい。非経口の場合、担体は、通常、滅菌水を含むが、例えば、溶解性を助けるなどの目的のため又は保存のために、他の成分を含んでよい。注入用の懸濁液も製造することができ、その場合、適切な液体担体、懸濁化剤などを使用することができる。本明細書の製薬学的組成物には、投与量単位、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、注射液、茶さじ一杯などにつき、上述した有効投薬量を送達するのに必要な活性成分の量が含まれる。本明細書の製薬学的組成物は、単位用量、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射液、坐剤、茶さじ一杯及び同様物当たり、約0.1〜1000mg又はその中の任意の範囲を含み、また、約0.1〜1000mg/kg/日、又はその中の任意の範囲、好ましくは約0.5〜500mg/kg/日、又はその中の任意の範囲の投与量で付与されるであろう。しかしながら、投薬量は患者の要求量、治療される状態の重症度及び採用される化合物に応じて変化してもよい。連日投与又は周期後投与のいずれを用いてもよい。
【0085】
好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸投与、又は吸入若しくは吹送による投与のための、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒、無菌非経口溶液又は懸濁液、定量エアゾール又は液体噴霧剤、ドロップ、アンプル、自動注入装置又は坐薬のような単位剤形である。あるいは、組成物は、週1回又は月1回投与に好適な形態で存在することができ、例えば、デカン酸塩のような活性化合物の不溶性塩は、筋肉内注入のためのデポー製剤を提供するよう適合され得る。錠剤のような固体組成物の製造に関しては、主要活性成分を、医薬担体、例えば、トウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、又はゴムのような従来の錠剤化成分、及び他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、本発明の化合物又はその製薬上許容し得るその塩の均質混合物を含む固体予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物を均質と称するとき、これは、活性成分が組成物全体にむらなく分散し、その結果、組成物は同等に効果的な、錠剤、丸剤及びカプセル剤のような剤形に容易に分割できることを意味する。この固体予備処方組成物は、次に0.1〜約1000mg(又はその中の任意の量若しくは範囲)の本発明の活性成分を含む、上述したタイプの単位剤形に分割される。新規な組成物の錠剤又は丸剤は、長期間作用するという利点を付与する剤形を提供するためにコーティングすることができる、又は別の方法で配合することができる。例えば、錠剤又は丸剤は、内側投与成分及び外側投与成分を含むことができ、後者は前者の外被の形態である。2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、また内側成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、又は放出を遅延させることができる腸溶性の層によって分離されることができる。このような腸溶性層又はコーティングには様々な材料を使用することができ、そのような材料としては、セラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料を伴う多数のポリマー酸が挙げられる。
【0086】
本発明の新規な組成物を経口的若しくは注射による投与用に包含することができる液状形態には、水性液剤、適当に風味を加えたシロップ剤、水性若しくは油懸濁剤及び綿実油、ゴマ油、ココナッツ油若しくはピーナッツ油のような食用油との風味を加えたエマルジョン、並びにエリキシル剤及び同様の製薬学的賦形剤を含む。水性懸濁剤のための好適な分散剤又は懸濁化剤としては、合成及び天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン又はゼラチンが挙げられる。
【0087】
本発明に記載される処置方法はまた、本明細書に定義される任意の化合物と製薬上許容し得る担体とを含んでなる製薬学的組成物を用いて実施してもよい。製薬学的組成物は、約0.01mg〜1000mgの化合物又はその中の任意の範囲、好ましくは約10〜500mgの化合物を含んでもよく、選択される投与モードに好適な任意の形態に構成することができる。担体は、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、着香剤、甘味剤、保存剤、染料、及びコーティングが挙げられるがこれらに限定されない必要かつ不活性な医薬賦形剤を含む。経口投与用に好適な組成物としては、丸剤、錠剤、カプレット剤、カプセル剤(それぞれ、迅速放出、時限放出及び持続放出製剤を含む)、顆粒、及び散剤のような固体形、並びに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、及び縣濁剤のような液体形が挙げられる。非経口投与用に有用な形態としては、滅菌液剤、エマルション及び懸濁液が挙げられる。
【0088】
有利なことに、本発明の化合物は、1回に1日量を投与してもよく、あるいは全1日量を1日2回、3回又は4回に分割して投与してもよい。更に、本発明のための化合物は、当業者に周知の、好適な鼻腔内賦形剤の局所使用による経鼻投与形態で、又は経皮皮膚貼付剤を介して投与してもよい。経皮送達系の形態で投与するために、投薬量の投与は、勿論、投薬レジメン全体にわたって断続的ではなく連続的となるであろう。
【0089】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態での経口投与のために、活性薬物成分をエタノール、グリセロール、水などのような、経口、非毒性、製薬上許容し得る不活性担体と組み合わせることができる。更に、場合によって又は必要であれば、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤を混合物中に組み込むこともできる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖若しくはβ−乳糖などの天然糖、トウモロコシ甘味剤、アカシア、トラガカントのような天然及び合成ゴム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
液体は、合成及び天然ゴム、例えば、トラガカント、アカシア、メチル−セルロースなどのような好適に香味付けされた懸濁化剤又は分散剤の形態をとる。非経口投与のためには、滅菌懸濁液及び溶液が望ましい。静脈内投与が望ましいとき、好適な保存剤を一般に含有する等張製剤を用いる。
【0091】
本発明の製薬学的組成物を製造するには、活性成分としての式(I)の化合物を、従来の薬学的配合技術に従って、薬学的担体と共に緊密に混合するのだが、その担体は、投与(例えば、経口又は非経口)に所望される製剤の形態に応じて、非常に様々な形態をとることができる。製薬上許容し得る好適な担体は、当技術分野にて周知である。これらの製薬上許容し得る担体のいくつかの説明は、American Pharmaceutical Association及びPharmaceutical Society of Great Britain出版の「Handbook of Pharmaceutical Excipients」に見出すことができる。
【0092】
製薬学的組成物を配合する方法は、例えば、Marcel Dekker,Inc出版の、Liebermanら編、「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets」、第2版、改訂及びExpanded、第1〜3巻、Avisら編、「Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications」、第1〜2巻、及びLiebermanら編、「Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems」、第1〜2巻のような多数の刊行物に記載されている。
【0093】
本発明の化合物は、前述のいずれの組成物中で、当該技術分野において確立した投薬レジメンに従い、不安及び関連障害、双極性鬱病及び躁病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇発生、グルコース関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満症、疼痛、薬物乱用の処置、又は神経保護が必要とされる場合には常に、投与することができる。
【0094】
生成物の1日用量は、ヒト成人につき1日当たり1.0〜10,000mg又はその中の任意の範囲の幅広い範囲で変動し得る。経口投与用に、組成物は、処置されるべき患者への用量の対症的調整のために、好ましくは0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250、500及び1,000ミリグラムの活性成分を含有する錠剤形態で好ましく提供される。薬物の有効量は、通常、1日当たり約0.01mg/kg体重〜約1000mg/kg体重、又はその中の任意の範囲の用量レベルで供給される。好ましくは、この範囲は、1日当たり約0.5〜約500mg/kg体重、又はその中の任意の範囲である。より好ましくは、1日当たり約1.0〜約250mg/kg体重、又はその中の任意の範囲である。より好ましくは、1日当たり約0.1〜約100mg/kg体重、又はその中の任意の範囲である。一実施例では、この範囲は、1日当たり約0.1〜約50.0mg/kg体重、又はその中の任意の範囲であってよい。別の実施例では、この範囲は、1日当たり約0.1〜約15.0mg/kg体重、又はその中の任意の範囲であってよい。更に別の実施例では、この範囲は、1日当たり約0.5〜約7.5mg/kg体重、又はその中の任意の範囲であってよい。化合物は、1日当たり1〜4回のレジメンで投与され得る。
【0095】
投与すべき最適用量は、当業者により容易に決定することができ、また使用される特定の化合物、投与モード、製剤の強度、投与モード、及び疾病症状の進行により変動するであろう。更に、患者の年齢、体重、食事、及び投与時間を含む、治療する具体的な患者と関連する因子が、投薬量を調整する必要性をもたらす。
【0096】
当業者は、好適な、既知の及び一般に認められた細胞及び/又は動物モデルを使用したインビボ及びインビトロの両方での試験により、試験化合物の所定の障害を処置又は予防する能力を予測できることを認識するであろう。
【0097】
当業者は、健康な患者及び/又は所定の障害に罹患している患者におけるファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)試験、投与量決定試験、及び有効性試験を含むヒト臨床試験が、臨床及び医療分野で周知の方法に従って完了し得ることを更に認識するであろう。
【0098】
以下の実施例は、本発明の理解を補助するために記載され、以下の特許請求の範囲に記載される本発明を如何様にも限定することを意図するものではなく、また解釈されるべきではない。
【実施例】
【0099】
実施例1:式(A)の化合物の製造
【0100】
【化9】

【0101】
塩化アセチル(0.71g、9.0ミリモル)を、1,4−ジオキサン(30mL)中の(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(2.1g、7.53ミリモル)に添加して、生じさせた混合物をアルゴン下で還流させた。約2時間後、生じさせた混合物を室温に冷却し、真空中で蒸発させ、白色固体(2.63g)を生じさせた。この白色固体を、逆相HPLC(20〜90% ACN)を使用して精製し、表題化合物を白色固体(1.03g)として生じさせた。次にこの白色固体を、酢酸エチル及びヘキサンから再結晶して、表題化合物を白色粉末状の固体として生じさせた。
【0102】
融点:184〜185℃
旋光度:[α]D=−47.3°(c=1.20、CH3OH)
元素分析:
計算値:C,41.19;H,4.09;N,8.73;Cl,11.05;S,10.00。
測定値:C,41.15;H,4.00;N,8.62;Cl,11.02;S,9.87。
【0103】
1NMR(DMSO d6):δ11.45(s,1H),8.02(dd,J=6.0,6.0Hz,1H),6.98(dd,1.4,1.4Hz,1H),6.89(m,2H),4.28(m,2H),4.0(dd,J=6.4,11.3Hz,1H),3.19(dd,J=6.0,6.0Hz,2H),1.94(s,3H)。
【0104】
実施例2:経口製剤−予想実施例(Prophetic Example)
経口組成物の特定の実施形態として、実施例1で製造した化合物100mgを、十分な微粉乳糖と共に配合し、580〜590mgの合計量を得て、サイズOの硬質ゲルカプセル剤を満たした。
【0105】
実施例3:インビボ試験:最大電気ショック試験(MES)
抗痙攣活性を、MES試験を用いて決定し、以下に記載の手順に従って実行した。Swinyard EA、Woodhead JH、White HS、Franklin MR.Experimental selection,quantification,and evaluation of anticonvulsants。編者Levy RHら。Antiepileptic Drugs.3rded.New York:Raven Press,1989:85〜102。
【0106】
オスのCF−1アルビノマウス(25〜35g)を試験前に16時間絶食させた。マウスを、対照群及び被験群へと無作為に選定し、これらの動物にそれぞれ、賦形剤又は試験化合物を種々の濃度で投与した。試験日時に、ショックを与える30分前に、賦形剤(0.5%メチルセルロース)又は試験化合物(200mg/kg)をマウスに経口投与した。60−Hzの交流、50mAを、0.2秒間送る経角膜電気ショックを使用して、発作を誘導した。被験群のマウスを、試験化合物の投与後15分〜4時間の時間間隔で、電気刺激にさらした。ショックは、即座に全身に強直性伸展を生じさせた。痙攣の全過程を観察したとき(典型的には、電気刺激後1分未満)、試験を終了して、次にマウスを二酸化炭素吸入によって直ちに安楽死させた。
【0107】
発作の全身強直性伸展成分の消滅を、試験の終了点と見なした。この成分の欠如は、試験化合物が神経組織中の発作性放電の広がりを予防する能力を有することを示すものであった。試験化合物のED50値(適切な場合に算出)は、試験対象のげっ歯類の50%において、MESによる誘導発作の後肢強直性伸展成分をブロックするために必要とされる計算投与量とした。プロビット分析を使用して、ED50及び95%信頼限界(FL)を算出した。
【0108】
式(A)の化合物を、上述の手順に従って試験し、結果を以下の表1に記載した。結果を(全身強直性伸展が予防されたマウスの数)/(試験したマウスの合計数)(@所与の時間)として列挙する。
【0109】
【表1】

【0110】
上記の明細書は説明を目的として与えられる実施例と共に本発明の原理を教示するものであるが、本発明の実施には、以下の特許請求の範囲及びその同等物に含まれるすべての通常の変形、改作及び/又は修正が包含される点が理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
1は、C1〜4アルキル及び−O−フェニルよりなる群から選択され、前記フェニルは、ハロゲン、C1〜4アルキル、フッ素化C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、フッ素化C1〜4アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NRAB、及び−C(O)−NRCDよりなる群から独立して選択される1〜3の置換基で所望により置換され、
A及びRBは、それぞれ独立してC1〜4アルキルよりなる群から選択され、
C及びRDは、それぞれ独立して水素及びC1〜4アルキルよりなる群から選択される)の化合物
又は製薬上許容し得るその塩であって、
ただし、R1がメチルの場合であれば、前記式(I)の化合物が、単離された形態、又は実質的に純粋な形態として存在する、化合物又はその塩。
【請求項2】
1が、C2〜4アルキル及び−O−フェニルよりなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(A)の化合物
【化2】

又は製薬上許容し得るその塩であって、
前記式(A)の化合物が、単離された形態、又は実質的に純粋な形態として存在する、化合物又はその塩。
【請求項4】
前記式(A)の化合物が、単離された形態、かつ実質的に純粋な形態として存在する、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記式(A)の化合物が、単離された、実質的に純粋な形態として存在し、(−)旋光度を有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
製薬上許容し得る担体と請求項1に記載の化合物とを含んでなる製薬学的組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物と製薬上許容し得る担体とを混合することにより製造される製薬学的組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物と製薬上許容し得る担体とを混合することを含んでなる、製薬学的組成物を製造する方法。
【請求項9】
不安及び関連障害、双極性鬱病及び躁病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇発生、グルコース関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満症、疼痛、並びに薬物乱用よりなる群から選択される障害の処置方法、又は神経保護の方法であって、それらを必要とする被験体に、請求項1に記載の化合物の治療有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項10】
前記障害が、癲癇及び関連障害、鬱病、グルコース関連障害、並びに肥満症よりなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
不安及び関連障害、双極性鬱病及び躁病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇発生、グルコース関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満症、疼痛、並びに薬物乱用よりなる群から選択される障害の処置方法、又は神経保護の方法であって、それらを必要とする被験体に、前記請求項6に記載の化合物の治療有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項12】
製薬上許容し得る担体と請求項3に記載の化合物とを含んでなる製薬学的組成物。
【請求項13】
請求項3に記載の化合物と製薬上許容し得る担体とを混合することにより製造される製薬学的組成物。
【請求項14】
請求項3に記載の化合物と製薬上許容し得る担体とを混合することを含んでなる、製薬学的組成物を製造する方法。
【請求項15】
不安及び関連障害、双極性鬱病及び躁病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇発生、グルコース関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満症、疼痛、並びに薬物乱用よりなる群から選択される障害の処置方法、又は神経保護の方法であって、それらを必要とする被験体に、請求項3に記載の化合物の治療有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項16】
前記障害が、癲癇及び関連障害、鬱病、グルコース関連障害、並びに肥満症よりなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
不安及び関連障害、双極性鬱病及び躁病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇発生、グルコース関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満症、疼痛、並びに薬物乱用よりなる群から選択される障害の処置方法、又は神経保護の方法であって、それらを必要とする被験体に、前記請求項12に記載の化合物の治療有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項18】
式(I)
【化3】

(式中、
1は、C2〜4アルキル及び−O−フェニルよりなる群から選択され、前記フェニルは、ハロゲン、C1〜4アルキル、フッ素化C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、フッ素化C1〜4アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NRAB、及び−C(O)−NRCDよりなる群から独立して選択される1〜3の置換基で所望により置換され、RA及びRBは、それぞれ独立してC1〜4アルキルよりなる群から選択され、RC及びRDは、それぞれ独立して水素、及びC1〜4アルキルよりなる群から選択される)の化合物
又は製薬上許容し得るその塩の製造方法であって、
【化4】

式(S)の化合物を式(X)(式中、Xは脱離基である)の化合物と有機溶媒中で反応させて、前記式(I)の対応する化合物を生じさせること含んでなる方法。
【請求項19】
式(A)の化合物の製造方法
【化5】

又は製薬上許容し得るその塩の製造方法であって、
【化6】

式(S)の化合物を式(X−A)(式中、Xは脱離基である)の化合物と有機溶媒中で反応させて、前記式(A)の対応する化合物を生じさせることを含んでなる方法。
【請求項20】
Xがクロロであり、前記有機溶媒が1,4−ジオキサンであり、前記式(S)の化合物を前記式(X−A)の化合物と、およその溶媒の還流温度で反応させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)不安及び関連障害、(b)双極性鬱病(c)躁病、(d)鬱病、(e)癲癇及び関連障害、(f)癲癇発生、(g)グルコース関連障害、(h)脂質関連障害、(i)片頭痛、(j)肥満症、(k)疼痛、(l)薬物乱用の処置のため、並びに(m)神経保護のための、薬剤の製造に関する、それらを必要とする被験体における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項22】
(a)不安及び関連障害、(b)双極性鬱病(c)躁病、(d)鬱病、(e)癲癇及び関連障害、(f)癲癇発生、(g)グルコース関連障害、(h)脂質関連障害、(i)片頭痛、(j)肥満症、(k)疼痛、(l)薬物乱用の処置のため、並びに(m)神経保護のための、薬剤の製造に関する、それらを必要とする被験体における、請求項3に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−529056(P2011−529056A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520097(P2011−520097)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050745
【国際公開番号】WO2010/011548
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】