説明

新規なNaCl塩代替物、その使用およびそれを含有する産物

本発明は、少なくとも1種の酵母エキス、芳香性穀粉および低ナトリウム塩を含む新規なNaCl塩代替物および塩味付与剤としてのその使用に関する。本発明は、低ナトリウム塩、特にカリウムおよび/またはアンモニウム塩のオフフレーバーをマスキングするための酵母エキスおよび芳香性穀粉の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般塩NaClの新規な代替物および塩味付与剤(salting agent)としてのその使用に関する。
【0002】
主要な塩ベクターとして認められた食品、特にパン中に存在するナトリウムの量を減少させるための要求が多年にわたりあった。これは、ナトリウムの過剰の消費は健康に対する非常に有害な結果をもたらし、そして特に動脈高血圧を促進する可能性があるからである。したがって、ある数の公衆衛生機関は、食品中のナトリウムのこの消費を減少させることを推奨している。しかしながら、食品、例えば焼成生地への塩の添加を減少させることは、消費者が特に魅力を感じない味のない調理産物をもたらす。
【0003】
したがって、ある数の低ナトリウム塩が、食品に塩味を与えるそれらの能力について確認された。低ナトリウム代替物と呼ばれるこれらの化合物は、主としてカリウム塩および/またはアンモニウム塩であり、そして一般塩NaClの全面的または部分的代替のために使用することができる。しかしながら、所望の塩味と共に、これらの化合物は、「オフフレーバー」、即ち、望ましくない後味または偽のフレーバーも与える。これらの「オフフレーバー」は、金属、苦味または石鹸型の後味として文献に広く記載されている。したがって、これらの低ナトリウム代替物は、しばしば消費者により不快なそして好みに合わないものとして知覚され、そしてそれらを含有する食品の味およびフレーバーを強く低下させることさえある。したがって、これらの欠点は、たとえ公衆衛生機関がその使用を推奨するとしても、一般塩NaClの代替物としてのその使用を制限する。したがって、このような低ナトリウム代替物はそれ自体食品中のナトリウムを減少させるための完全に満足な解決法を与えない。
【0004】
多くの刊行物がこの問題を記述しており、そしてそれを解決しようと試みている。かくして、低ナトリウム塩、特に塩化カリウムをラクトースもしくはデキストロース(US 3860732)、フマル酸(US 3505082)または塩化マグネシウムと硫酸マグネシウムの混合物(WO98/53708)と組み合わせることが提唱された。
【0005】
低ナトリウム塩を酵母自己消化物と組み合わせることが提唱された。したがって、公報US4297375およびEP0103994A1(Standard Oil Company)は、塩化アンモニウムまたは塩化カリウムの苦味を減少させるために酵母自己消化物の使用を提唱した。しかしながら、このような解決方法は欠点を伴う。第一に、それは大量の酵母自己消化物の使用を必要とする。更に、酵母自己消化物は、特に鶏肉、肉およびチーズの典型的な芳香性のノートを与えることが知られている。このような芳香性のノートは、実際に低ナトリウム塩の苦味の知覚をマスキングすることができるけれども、それにもかかわらず、それらは、これらの刊行物に記載のとおり、鶏がらだしまたはソーセージなどの特定の用途に自己消化物の使用を限定する。更に自己分解物のフレーバー増強効果とは別に、酵母自己消化物に特有の塩味の効果は述べられていない。ある数のこれらの欠点がこれらの公報US4297375およびEP0103994A1において更に記載されておりそして認められている。
【0006】
したがって上記した欠点を与えることなく、強い塩味を与えることができる広い用途に使用されうる一般塩の代替物に対する要求がある。
【0007】
本出願人は、先の特許出願WO2005/087013において、酸性の発酵させた穀粉(flour)と酵母エキスとの組み合わせを含む塩味付与剤およびフレーバーエンハンサーを最近記載した。本出願人は、特に驚くべきことにかつ意外にも、このような作用物質、更に一般的には芳香性の穀粉と酵母エキスの組み合わせは、標準低ナトリウム代替物と組み合わせて使用されるとき、標準低ナトリウム代替物のオフフレーバーをマスキングする能力を有することを今や発見した。
【0008】
したがって、本発明は、少なくとも1種の酵母エキス、芳香性の発酵させた穀粉および低ナトリウム塩を含む一般塩NaClの新規な代替物、および塩味付与剤としてのその使用に関する。本発明は、低ナトリウム塩、特にカリウム塩および/またはアンモニウム塩のオフフレーバーをマスキングする効果のための酵母エキスおよび芳香性の穀粉の使用にも関する。
【0009】
したがって、本発明は、少なくとも1種の酵母エキス、芳香性の穀粉および低ナトリウム塩を含む一般塩の新規な代替物を提供する。このような作用物質は、前記した欠点、特に鶏肉、肉およびチーズの典型的な芳香性のノートなしに低ナトリウム塩のオフフレーバーに対するマスキング効果を与えるという点で注目に値する。
【0010】
このような効果はこの産物に関する知見に関して極めて驚くべきことであり、そして先行技術とは殆んど反対である。特に、酵母エキスの知覚できる味およびフレーバーを欠いているこの塩味付与剤は、それにもかかわらず低ナトリウム代替物のオフフレーバーをマスキングすることを可能とする。したがって、本発明は、低ナトリウム塩によってのみならず酵母エキスおよび芳香性の穀粉によっても与えられる強い塩味を与える作用物質の調製を可能とする。更に、酵母エキスおよび芳香性の穀粉は、低ナトリウム代替物のオフフレーバーをマスキングし、これは、快適なフレーバーを有し、そしてそれを含有する食品の味覚およびフレーバーを低下させない一般塩代替物を得ることを可能とする。したがって、これは、大多数の用途、特に製パンにおいて使用することを可能とする。
【0011】
本発明は、標準低ナトリウム代替物を、天然産物でありそして消費者の目において良好なイメージを有する酵母エキスおよび芳香性の穀粉と組み合わせることの優れた利点も与える。
【0012】
更に、本発明によって、食品の低ナトリウム塩含有率を減少させることもできる。
【0013】
本発明は、家庭用または工業用に、そのままでまたは食品組成物に配合して使用することができる、食卓塩、台所用塩または調理用塩の代替物も与えるという点で特に有利である。したがって、本発明は、食事におけるナトリウムの量を、消費者になんらの感覚器官が感知しうるフラストレーションを引き起こすことなく、顕著に減少させるかまたは完全に除去することすら可能とする。かくして、本発明は、公衆衛生機関により提言された推奨および消費者の選択基準に完全に対応する応答を与える。
【0014】
更に、本発明は、低カリウム血症の処置におけるカリウム塩の経口投与を促進するのに特に適している応答を与える。本発明が提唱する塩の種々の組み合わせによって、消費者の要求の関数としてカリウム、マグネシウムおよびアンモニウム塩の供給をコントロールしそして適応させることも可能とする。
【0015】
したがって、本発明の1つの課題は、少なくとも1種の酵母エキス、芳香性の穀粉、好ましくは酸性の発酵させた穀粉、焙焼した麦芽にした穀粉(roasted malted flour)および/またはその混合物および低ナトリウム塩を含む、一般塩の代替物である。優先的には、低ナトリウム塩は、カリウム塩およびアンモニウム塩およびその混合物から選ばれる。特に有利な方法においては、低ナトリウム塩は、塩化アンモニウム、塩化カリウムまたはこれらの2つの塩の混合物であろう。
【0016】
本発明に従えば、用語「一般塩の代替物」は、一般塩NaClの全体的または部分的置換においてその塩味効果のために使用され、ナトリウムの供給を減じうる作用物質を意味するものと理解されるであろう。
【0017】
酵母エキスは既知の産物である。前記したとおり、それらは、フレーバーエンハンサーとして普通に使用される。本発明に従えば、用語「酵母エキス」は、好ましくはSaccharomyces属に属する酵母細胞の酵素による加水分解後に得られる可溶性画分を意味する。やはり本発明に従えば、酵母エキスは、好ましくは、上記酵母細胞の自己消化後に、即ち酵母の内在性酵素によってのみ行われる酵素による加水分解後に得られる可溶性画分である。酵母細胞の加水分解は、外来性酵素を使用することにより、即ち特にプロテアーゼなどの追加の酵素を加えることにより行うこともできる。
【0018】
好ましくは、酵母エキスは、酵母細胞の不溶性部分から分離される。このようにして不溶性部分から分離された酵母エキスは、不溶性部分の膜脂質の酸化による芳香性のノートの出現なしに良好な貯蔵の利点を与える。
【0019】
本発明に従えば、酵母エキスは、好ましくは、Saccharomyces属に属する、更に好ましくはSaccharomyces carlsbergensisとして知られている種を含むSaccharomyces cerevisiae種に属する。該酵母細胞Saccharomyces cerevisiaeは、それがビール酵母であるときは、しばしばSaccharomyces carlsbergensisとしても知られており、正確な分類学的名称は、「THE YEASTS, a taxonomic study」, 3rd edition, edited by N.J.W. Kreger van Rij-1984に従えばSaccharomyces cerevisiaeである(しかしながら、この1998年刊行の第4版に従えば、Saccharomyces carlsbergensisは2つのシノニム−Saccharomyces cerevisiaeおよびSaccharomyces pastorianusを有し:現在の公文書における参考文献として採用されるのは1984年から始まるこの刊行物の第3版である)。
【0020】
醸造酵母エキスは、検出可能な量のフムロンの存在により一般に特徴付けられ、この量はできる限り低いのが好ましい。本発明に従う作用物質の前記酵母エキスは、特に醸造酵母エキスを含有することができおよび/または醸造酵母エキスであることができ、この醸造酵母エキスは好ましくは苦味を除去され、この苦味除去は場合により通常および周知の技術により前もって行われる。優先的には、酵母エキスは乾燥エキスの形態にある。
【0021】
本発明に従う作用物質を含有する酵母エキスは、好ましくは塩の添加なしで得られる酵母エキスである。好ましくは、酵母エキスが醸造酵母のエキスを含むかまたは醸造酵母のエキスであるとき、醸造酵母エキスは味見パネルにより極めて僅かに苦味があると判定されるであろう。好ましくは、本発明に従う作用物質に含有される酵母エキスは、このような味見パネルにより「乳製品」、「バター」または「チーズ」型のノートを僅かに持つかまたは持たないと判定され、そして一般に顕著なノートのない中性の味プロフィルを有すると判定されるであろう。
【0022】
1つの有利な態様に従えば、酵母エキスは5’−ヌクレオチドに富んだ酵母エキスである。5’−ヌクレオチドに富んだ酵母誘導体を得るための方法は、例えば、文書US−A−4810509、EP−A−0299078およびWO02/067959に記載されており、そしてG.Reed and T.W. Nagodawithanaによる参考書「Yeast Technology」、2nd edition(Van Nostrand Reinhold, ISBN 0-442-31892-8)382〜385頁にも記載されている。有意な塩味効果が、5’−ヌクレオチド少なくとも10%を含有するパン酵母エキスにより極めて有利に得られた。
【0023】
塩代替物は、芳香性の穀粉も含むであろう。芳香性の穀粉は、熱媒介された芳香性の穀粉または固有の芳香性の穀粉であることができる。
【0024】
本発明に従えば、表現「熱媒介された芳香性の穀粉」は、加熱工程を含むプロセスにより得られる穀粉を意味する。この加熱工程は、メイラード反応を促進し、そして所望の芳香性ノートの生成を可能とする。その期間および/または強度が芳香性ノートを発生させるのに十分ではない加熱工程により得られる過乾燥した穀粉は、芳香性の穀粉を構成しない。本発明に従えば、熱媒介された芳香性の穀粉は、それが厳密に3未満の初期EBC値を有する穀粉に由来するとき、8より大きいかまたは8に等しいEBC値によっても特徴付けられる。熱媒介された芳香性の穀粉が、3より大きいかまたは3に等しい初期EBC値を有する穀粉に由来するときは、それは10以上のポイントのこのEBC値の増加により特徴付けられる。EBC(ヨーロッパ醸造学会)値は、麦芽の色を測定するために醸造において普通に適用されるAnalytica EBC No.4.7.2として知られている既知の標準化された方法により決定される。
一般に、加熱工程は3つのタイプであることができる:
−褐色化を得るための穀粒の加熱、
−発芽した穀粒の製麦および焙焼による加熱、
−乾燥相または湿潤相における穀粉自体の加熱。湿潤相は、特に酸性の発酵させた穀粉の場合に、乾燥の前に予備発酵を場合により受けていることがある。穀粉は穀粒単独のすべてまたは一部(ふすま穀粉または胚芽穀粉)から得ることができる。
熱媒介された芳香性の穀粉は、しばしば文献において「グリルで焼いた(grilled)」、「トーストした(toasted)」または「焙焼した(roasted)」と称される。
優先的には熱媒介された芳香性の小麦粉またはライ麦粉、およびなお更に優先的にはこのような酸性の発酵させた穀粉または焙焼した麦芽にした穀粉が使用されるであろう。
【0025】
本発明に従えば、「固有の芳香性の穀粉」という表現は、加熱工程を必要とすることなく、芳香性ノートを天然に含有する穀粉を意味すると理解されるであろう。このような穀粉は、特に、胚芽、ふすま、栗、そば、キノアおよびテフ穀粉である。
【0026】
有利には、焙焼した麦芽にした穀粉、酸性の発酵させた穀粉、小麦胚芽穀粉および/またはふすま穀粉が芳香性の穀粉として使用されるであろう。
【0027】
本発明の第1の優先的な態様に従えば、芳香性の穀粉は、焙焼した麦芽にした穀粉であろう。焙焼した麦芽にした穀粉は、標準的な麦芽化および焙焼の方法により得られる既知の製品である。挙げることができる例は、焙焼した麦芽にした大麦粉、麦芽にしたライ麦粉もしくは麦芽にした小麦粉および/またはその混合物を含む。1つの優先的な様式に従えば、芳香性の穀粉は焙焼した麦芽にした小麦粉であろう。
【0028】
本発明の第2の優先的な態様に従えば、芳香性の穀粉は酸性の発酵させた穀粉であろう。脱水させた発酵穀粉としても知られている酸性の発酵させた穀粉は、パン種菌(leavening bacteria)に属する微生物によっておよび場合により更にパン種酵母(leavening yeasts)によって発酵させた生地を乾燥することにより得られる乾燥産物に相当する。パン種菌は、Spicher and Stephanによる参考書「Handbuch Sauerteig-Biologie-Biochemie-Technologie」、第4版(ISBN 386022-076-4)の4.2節、特に4.2.3に特に記載されている。これらの菌は、乳酸菌であるといわれる。何故ならば、それらは生地の発酵期間中乳酸を生成し、かくしてフレーバーエンハンシング効果に寄与するからである。
【0029】
本発明に従えば、発酵させた穀粉は、それが含有する乳酸により酸性である。したがって、それは特許ZA−A−9400543(Unilever)に記載の乾燥発酵体とは特に区別される。乾燥発酵体は、酵母のみによる発酵により得られるので、極めて異なる性質を有する。
【0030】
酸性の発酵させた穀粉は、フランス語の商品名:発酵させた穀粉、予備発酵させた穀粉、乾燥したパン種または脱水されたパン種、の下に市販されており、英語商品名:乾燥したサワードウ、乾燥パン種、乾燥した発酵させた穀粉、乾燥した予備発酵させた穀粉、サワードウ濃縮物、サワードウ粉末およびサワーフラワー、の下に市販されそしてドイツ語の商品名:乾燥したパン種およびパン種粉末、の下に市販されている。
【0031】
本発明に従えば、上記した酸性の発酵した穀粉は、1種以上の製パン穀粉、1種以上のふすまに富んだ製粉産物(bran-rich milling products)または1種以上の製パン穀粉と1種以上のふすまに富んだ製粉産物の混合物を含む発酵した生地を乾燥することにより得られる。このような製粉産物の例は微粉状にしたふすま(micronized bran)である。
【0032】
したがって、酸性の発酵させた穀粉は、小麦粉(=Triticum aestivum小麦粉)および/またはライ麦粉、小麦に由来する1種以上のふすまに富んだ製粉産物および/またはライ麦に由来する1種以上のふすまに富んだ製粉産物、または小麦粉および/またはライ麦粉と小麦および/またはライ麦に由来する1種以上のふすまに富んだ製粉産物との組み合わせを含む発酵した生地から得ることができる。本発明に従う作用物質中に存在する酸性の発酵させた穀粉は、1種以上の穀物粉(cereal flours)を含むか、1種以上のふすまに富んだ製粉産物を含むかまたは1種以上の穀物粉と1種以上のふすまに富んだ製粉産物との混合物を含む発酵させた生地に由来することができ、この生地は場合により穀物胚芽も含有する。好ましくは、酸性の発酵させた穀粉は、小麦粉および/またはライ麦粉、小麦に由来する1種以上のふすまに富んだ製粉産物および/またはライ麦に由来する1種以上のふすまに富んだ製粉産物、または小麦粉および/またはライ麦粉と小麦および/またはライ麦に由来する1種以上のふすまに富んだ製粉産物との混合物を含む発酵した生地に由来する。生地は粉砕した小麦胚芽を含有することもできる。
【0033】
酸性の発酵させた穀粉は、好ましくは10CFU(コロニー形成単位)/g以下、好ましくは10CFU/g以下、なお更に好ましくは10CFU/g以下の総微生物フローラを有する。
【0034】
酸性の発酵させた穀粉における乳酸の用量は、有利には発酵させた穀粉kg当たり50g以上、更に有利には発酵させた穀粉kg当たり少なくとも70g、なお更に好ましくは発酵させた穀粉kg当たり少なくとも100gである。
【0035】
本発明に従う作用物質は、芳香性の穀粉の乾燥物質と酵母エキスの乾燥物質との重量比0.25〜15、優先的には0.8〜5、更に優先的には約2.5を有する。したがって、優先的な比は、0.8〜2.6、好ましくは1.0〜2.3、更に好ましくは1.2〜2.0、なお更に好ましくは1.2〜1.8の範囲にある。
【0036】
本発明に従えば、用語「低ナトリウム塩」は、酵母エキスおよび/または芳香性の穀粉以外のかつナトリウムを含有しない塩味付与剤、好ましくはミネラル剤を意味すると理解されるであろう。それは、優先的にはカリウムおよびアンモニウム塩であろう。塩化カリウム(KCl)、塩化アンモニウム(NHCl)およびその混合物は、本発明に従う好ましい塩である。塩化アンモニウムは、それが与える高い塩味付与力によって、特に有利である。本発明に従う特に有利な混合物は、そのNHCl/KCl比が0.05〜0.66、好ましくは約0.1である混合物である。
【0037】
特に有利な方法においては、一般塩の代替物は、専ら、酵母エキス、芳香性の穀粉であって、優先的には酸性の発酵させた穀粉および焙焼した麦芽にした穀粉およびその混合物から選ばれる芳香性の穀粉、ならびに低ナトリウム塩であって、優先的にはカリウムおよびアンモニウム塩およびその混合物、更に優先的には塩化アンモニウム(NHCl)または塩化カリウム(KCl)およびその混合物から選ばれる低ナトリウム塩からなるであろう。
【0038】
本発明に従う食塩の代替物および組成物は、必要に応じて、少量のナトリウムを含有することもできる。それらは全くナトリウムを添加されていないことが好ましい。
【0039】
本発明に従う作用物質は、有利には、低ナトリウム塩の乾燥物質と酵母エキスの乾燥物質および芳香性の穀粉の乾燥物質との重量比0.15〜3、優先的には0.4〜2.3、更に優先的には約0.7を有する。
【0040】
本発明に従う一般塩の代替物は、食品における使用に適した任意の形態にあることができる。それは好ましくは乾燥した形態にある。第1の態様に従えば、それは乾燥した形態にある構成成分の単純な混合物の形態にある。第2の態様に従えば、それは台所用塩NaClの提示と同じまたは類似した提示の、即ち、均質なそして微細な塩、粗い塩または塩の華(fleur de sel)の形態にある一般塩NaClとおなじ粒度の産物の形態にある。したがって、顆粒のサイズは、直径が100〜3000ミクロン、好ましくは直径が200〜2000ミクロンであるのが有利である。これらの特徴は、配合の分野で知られている標準技術および方法、特にコーティング、結晶化または凝集技術を使用することにより得られうる。かくして、低ナトリウム塩の結晶は、酵母エキスおよび芳香性の穀粉によりコーティングすることができる。芳香性の穀粉は、担体として使用することもでき、そして酵母エキスと低ナトリウム塩の混合物によりコーティングすることができる。1つの別の方法に従えば、作用物質の構成成分を溶解し、次いで酵母エキスおよび芳香性の穀粉が低ナトリウム塩において捕捉されるように同時に結晶化させる。作用物質を構成する乾燥産物を一緒に凝集させることもできる。
【0041】
一般塩の代替物は、関心のある他の化合物を含有することもできる。これらは、所望の形態にある作用物質を処方するために必要な化合物であることができる。このような化合物は、優先的には、一般塩の代替物の感覚器官の知覚する品質、および/または該作用物質が使用されやすい組成物における感覚器官の知覚する品質を低下させがちの知覚できる味およびフレーバー持たないであろう。例えば、それらは、添加剤、例えばテキスチャー化剤、例えば微結晶セルロース、デキストロースまたはステアリン酸マグネシウム、佐剤、凝集防止剤、例えばケイ酸カルシウム(E552)、アンチケーキング剤、例えば小麦繊維または技術的助剤であることができる。それらは、公衆衛生の点で関心のある化合物、例えばフッ素およびヨウ素、または他の塩、例えばマグネシウム塩、特に低ナトリウム塩がカリウム塩であるとき、特に塩化マグネシウム(MgCl)および硫酸マグネシウムであることもできる。このような混合物は、公衆衛生機関の推奨に従って、食事のマグネシウムおよびカリウム不足を克服する利点を与える。
【0042】
本発明の1つの課題は、一般塩NaClの全体的または部分的代替における本発明に従う作用物質の使用である。一般塩の代替物は、その塩味付与効果のための産物自体として、即ち、家庭用塩NaClの全体的または部分的代替において使用することができる。ヒトの食品または動物飼料を意図する本発明に従う組成物におけるその塩味付与効果のために加えることもできる。本発明に従えば、作用物質は、ヒトの食品または動物飼料において、ナトリウムの量を減少させるためまたはそれを排除するためにすら使用することができる。
【0043】
したがって、本発明の課題は、塩化ナトリウムの量の一部またはすべてを、本発明に従う一般塩の代替物で置換することからなる、ヒトの食品または動物飼料を意図する組成物を製造するための方法である。有利には、ナトリウムの相対的含有率は少なくとも25%減少させられおよび/またはナトリウムの絶対的含有率は少なくとも産物100g当たり0.12g減少させられるであろう。優先的には、この組成物は、ナトリウム塩のいかなる添加もなしに調製され、そして同じ性質の普通の組成物に比べて半分でありそして産物100g当たり0.12g未満、優先的には0.02g未満、更に優先的には0.01g以下であるナトリウム含有率を有するであろう。
【0044】
したがって、本発明は、上記一般塩の代替物を含有するヒトの食品および/または動物飼料を意図する任意の組成物にも関する。それは、特にベーカリー産物、調理された肉産物(cooked-meat products)、ドレッシング産物、すぐ調理できる食事(ready-cooked meals)および任意の他の調理済みまたは未調理複合食品調製物であることができる。有利には、これらのすぐ食べられる組成物は、産物100gまたは100ml当たり0.12g未満のナトリウム、優先的には、0.04g未満、好ましくは0.02g未満、なお更に優先的には、産物100gまたは100ml当たり0.005g未満のナトリウムを含有するであろう。
【0045】
他の有利な態様に従えば、上記一般塩の代替物を含有するヒトの食品および/または動物飼料を意図する組成物は、消費された部分当たり(「標示された一人前当たり」「基準とされた量当たり」)0.14gまたは0.14g未満のナトリウム、好ましくは消費された部分当たり0.005gまたは0.005g未満のナトリウムを含有する。
【0046】
挙げることができる本発明に従う優先的な組成物は、製パン改良剤および製パン産物、例えば、ベーカリー生地、パンおよび他の調理されたベーカリー産物を含む。このような産物は、低ナトリウム食事の状況において特に適している。
【0047】
挙げることができるベーカリー産物は、とりわけ、発酵していない穀物粉、パン酵母、芳香性の穀粉、優先的には、酸性の発酵させた穀粉または麦芽にした焙焼した穀粉および酵母エキス、低ナトリウム塩を含み、そして0.50%未満のナトリウムまたはNaの含有率を有するベーカリー生地である。このような生地は、凍結させることができる。本発明の他の関心のある分野は、本発明に従う生地の発酵、予備調理および凍結により得ることができる凍結され予備調理された生地ボールに関する。
【0048】
それらは、上記した生地を発酵および調理することにより得ることができる調理されたベーカリー産物、例えばパン、好ましくはフレンチスティック、甘い生地のパン産物および/またはブリオシュであることができる。好ましくは、本発明に従う調理された製パン産物は、普通のフレンチローフまたは少なくともフレンチ型のローフ、例えばフレンチスティック(バゲット)である。
【0049】
好ましくは、酸性の発酵させた穀粉が一般塩の代替物に使用されるとき、得られる調理された産物は150〜1000ppmのクラム中の乳酸含有率を有するであろう。
【0050】
本発明に従う製パン改良剤は、乾燥しているかまたは液体であることができ、そして改良効果を有する1種以上の成分、特にアスコルビン酸、乳化剤、安定化濃稠化剤および酵素からなる群より選ばれる1種以上の成分を含むこともできる。したがって、本発明に従う改良剤は、改良効果を有する1種以上の成分、例えば、アスコルビン酸、L−システインまたは失活酵母、安定化濃稠化剤、例えば予備ゼラチン化穀粉、変性デンプン、CMC(カルボキシメチルセルロース)、ガム、例えばキサンタンガム、藻類エキス、例えばアルギネートもしくはカラギーネート(carrageenates)またはこれらの種々の安定化濃稠化剤、乳化剤、例えばレシチンもしくは脂肪酸モノおよびジグリセリドまたは脂肪酸モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステルの組み合わせ等、あるいは1種以上の乳化剤、例えば上記した乳化剤、酵素、例えばアミラーゼ、特に、例えばマルトゲンα−アミラーゼまたは他の堅くなるのを防止するα−アミラーゼを含むα−アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、特にキシラナーゼ、グルコースオキシダーゼ、アミログルコシダーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ等、穀物粉または特定のパンの組成物の他の特徴的な成分を含むことができる。
【0051】
乾燥した改良剤が粉末形態にあるときは、この支持体は、例えばオーブンで乾燥した穀粉であることができる。
【0052】
本発明の1つの変法に従えば、改良剤および製パン産物は、一般に、特徴的なパンの味を与えることを意図する固有の芳香性のために、追加の量のトーストした小麦胚芽および/または焙焼した麦芽にした小麦粉を含有することもできる。優先的には、トーストした小麦胚芽の全含有率は、製パン産物において使用される穀粉に対して3%を超えず、そして焙焼した麦芽にした小麦粉の全含有率は、製パン産物において使用される穀粉に対して0.8%を超えない。
【0053】
例えば、普通のフランスパン用の乾燥した改良剤は、発酵していない穀粉100質量部または100kg当たり、パン業者の百分率に従って、芳香性の穀粉、優先的には酸性の発酵させた穀粉、麦芽にした焙焼した穀粉および/またはそれらの混合物、および酵母エキスおよび低ナトリウム塩からなる本発明に従う乾燥した作用物質の固形分1.5%〜2%(即ち、穀粉100kg当たり1kg〜1.8kgの固形分)、アスコルビン酸0.005%〜0.020%(即ち、穀粉100kg当たり0.005kg〜0.020kg)、好ましくはアスコルビン酸0.005%〜0.015%、飽和脂肪酸モノグリセリド0%〜0.3%(即ち、穀粉100kg当たり0kg〜0.3kg)、キシラナーゼおよび/または真菌α−アミラーゼ、乾燥した改良剤が、測定することが容易なパン業者の百分率で、例えば1%〜10%、好ましくは1.5%〜5%の百分率、特に丸められた数字例えば2%、5%または10%の百分率で使用されることができるための固体希釈剤または支持体を与える。
【0054】
例えば、非フランス型のヨーロッパパン用の乾燥した改良剤は、発酵していない穀粉100部または100kg当たり、パン業者の百分率に従って、芳香性の穀粉、優先的には酸性の発酵させた穀粉、麦芽にした焙焼した穀粉および/またはそれらの混合物、および酵母エキスおよび低ナトリウム塩からなる本発明に従う乾燥した作用物質の固形分1.5%〜2%(即ち、穀粉100kg当たり1kg〜1.5kgの固形分)、アスコルビン酸0.005%〜0.020%(即ち、穀粉100kg当たり0.005kg〜0.020kg)、好ましくはアスコルビン酸0.006%〜0.012%、モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(乳化剤E472eまたはf)0.05%〜0.20%(即ち、穀粉100kg当たり0.05kg〜0.20kg)、好ましくは堅くなるのを防止するα−アミラーゼを含む1種以上のα−アミラーゼ、キシラナーゼ、グルテン網目に対する強化効果を有するリパーゼまたはホスホリパーゼ、パンの柔軟性を確実にするかまたは凍結もしくは急速凍結を伴う製パン法を促進する1種以上の安定化濃稠化剤、例えばガムまたは藻類エキス0%〜0.20%(即ち、穀粉100kg当たり0kg〜0.20kg、乾燥した改良剤が、測定することが容易なパン業者の百分率で、例えば1%〜10%、好ましくは1.5%〜5%の百分率、例えば2%、5%または10%の百分率で使用されることができるための固体希釈剤または支持体を与えるであろう。
【0055】
製パンにおいて、本発明は、本発明に従う一般塩の代替物のこれらの適用に限定されず、本発明に従う製パン用の一般塩の新規な代替物を含むすべての方法、すべての生地およびすべての製パン産物および使用を含む。
【0056】
本発明は、調理された産物を製造するための任意の方法であって、
−発酵していない穀粉、水、芳香性の穀粉、酵母エキス、塩化カリウム、塩化ナトリウムおよびその混合物から優先的に選ばれる低ナトリウム塩、およびパン酵母、ふくらし粉(化学的膨らまし剤)およびその組合わせから選ばれる膨らまし剤を含有する生地を調製し、
−該生地を該膨らまし剤によって膨らませ、そして
−膨らました生地を調理すること、
を含み、場合により前記調製工程と膨らまし工程の間で生地を圧延することを含む、方法も包含する。
【0057】
本発明に従う組成物は、しばしば最も高いナトリウムベクターと考えられる他の食品、即ち、調理された肉産物、スープ、チーズ、用意された食事(ready neals)、香辛料およびソースであることもできる。
【0058】
したがって、更に一般的には、本発明の課題は、低ナトリウム塩、特に塩化カリウムおよび/または塩化アンモニウムのオフフレーバーをマスクするための酵母エキスおよび芳香性の穀粉の使用でもある。したがって、酵母エキスおよび芳香性の穀粉は、低ナトリウム塩を含有する産物に加えることができる。本発明に従えば、酵母エキスおよび芳香性の穀粉は、低ナトリウム塩の量を減少させるのに使用することができる。かくして、本発明は、食品組成物において低ナトリウム塩、特に塩化カリウムおよび/または塩化アンモニウムのオフフレーバーをマスキングするための方法であって、酵母エキスおよび芳香性の穀粉の添加を含む方法に関する。本発明は、食品組成物において低ナトリウム塩の量を減少させるための方法であって、減少した量の低ナトリウム塩を含有する食品組成物の調製と、酵母エキスおよび芳香性の穀粉の添加を含み、この添加は、同じ塩味を同時に維持しながら、低ナトリウム塩の量の減少を補償することを可能とする、方法にも関する。更に、本発明は、酵母エキスおよび芳香性の穀粉、および低ナトリウム塩を含む組成物を含む産物またはキットであって、酵母エキスおよび芳香性の穀粉は、適当な塩味を発生させるのに十分なおよび/または低ナトリウム塩のオフフレーバーをマスキングするのに十分な量で存在する、産物またはキットに関する。本発明は、同じ塩味を同時に維持しながら、低ナトリウム塩のオフフレーバーをマスキングするためおよび/または低ナトリウム塩の量を減少させるために同時に使用するための、酵母エキスおよび芳香性の穀粉、および低ナトリウム塩を含む組成物を含む産物またはキットにも関する。
【0059】
したがって、本発明の課題は、酵母エキスおよび芳香性の穀粉を加えることおよび/または酵母エキスおよび芳香性の穀粉で低ナトリウム塩の一部を置換することからなる、低ナトリウム塩を含有する組成物、好ましくは食品組成物を製造するための方法でもある。
【0060】
本発明の課題は、特に低カリウム血症の経口処置のための医薬としての、少なくとも酵母エキス、塩化カリウムおよび芳香性の穀粉、優先的には酸性の発酵させた穀粉または麦芽にした焙焼した穀粉を含有する一般塩の代替物でもある。
【0061】
下記の実施例は、本発明を説明するために与えられており、決して本発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。
【0062】
本発明に従う一般塩の代替物の例:
− 実施例1:
下記の本発明に従う一般塩の代替物は、下記の成分の単純な混合により調製された。
【0063】
本発明に従う乾燥した作用物質中に存在する酸性の発酵させた穀粉は、パン種の乳酸菌により発酵させた微粒化ライ麦ふすまに基づく生地を乾燥することにより得られる。これらの実施例で更に特定的に使用される発酵させた穀粉は、会社Lesaffre International, Division Ingredients, Marcq-en-Baroeul, France,またはLesaffre France Levures et Ingredients,(Silfalaの商業名)、Strasbourg, France,により商品名Arome Levain(登録商標)S400の下に販売されている。
【0064】
本発明に従う乾燥した作用物質中に存在する酵母エキスは、Saccharomyces cerevisiae種に属する醸造酵母の自己消化物である。酵母エキスは、塩の添加なしに製造される酵母エキスである。それは、いかなる特定の顕著なノートなしに市販の酵母エキスの標準プロフィルに相当する「酸」、「苦み」(非常に弱い)、「肉」、「バター」、「ブロス」、「焙焼」および「グリル焼き」型の香りを発生する市販の酵母エキスである。会社Bio Springer, Maisons-Alfort, France,により、商品名Springer(登録商標)type101の下に販売されている標準酵母エキスがより特定的にこれらの実施例で使用された。
【0065】
代替物1
組成物の重量%として
−酵母エキス 16
−酸性の発酵させた穀粉 24
−NHCl 30
−NaCl 30
【0066】
代替物2
組成物の重量%として
−酵母エキス 16
−酸性の発酵させた穀粉 24
−NHCl 30
−KCl 30
【0067】
代替物3
組成物の重量%として
−酵母エキス 20
−酸性の発酵させた穀粉 30
−NHCl 50
【0068】
専門家のパネルが、水中にリットル当たり5gに希釈された、低ナトリウム塩単独または一般塩の代替物に含まれた低ナトリウム塩を試験した。これらの各作用物資について、強い塩味付与効果およびオフフレーバーの実質的な減少も知覚された(結果を添付した)。
【0069】
水中の一般塩の代替物の評価:
YEXは酵母エキスを表す。
YEX+穀粉は酵母エキス(40%)および酸性の発酵させた穀粉(60%)の混合物を示す。
下記の作用物質は、5g/lの濃度に水中に希釈されて、7人の専門家のパネルにより試験された。
塩味に関して試験されそして分類されたサンプルのリストを下記に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
●左から右に最小に塩辛いから最も塩辛いへと分類の結果を下記に示す。
【0072】
【表2】


(注:線は、何らの有意な差がないすべてのサンプルをまとめてグループにする)
【0073】
調理法の間で明瞭な差は得られなかった。Eは最も「塩辛い」産物であると思われるが、B、AおよびDもきわめて塩辛いと知覚された。CおよびFは2つの最も少なく塩辛いものである。
強い「鶏肉」ノートが、混合物Eの味鑑定者により一致して述べられる。
【0074】
− 実施例2:
下記した一般塩の代替物は、本発明に従う特に有利な態様に相当し、そして下記の成分の単純な混合により調製された。
【0075】
本発明に従う乾燥した作用物質中に存在する酵母エキスは、5’−ヌクレオチドを少なくとも10%含有するSaccharomyces cerevisiae種に属するパン酵母の自己消化物である。酵母エキスは、塩の添加なしに製造される酵母エキスである。会社Bio Springer, Maisons-Alfort, France,により販売されている範囲Springer 2000からの酵母エキスが、より特定的にこれらの実施例で使用された。
【0076】
これらの2つの実施例で使用された芳香性の穀粉は、酵素の活性のないかつ100のEBC値を有する培焼した麦芽にした小麦粉である。
【0077】
代替物4
作用物質の組成物の重量%として
−酵母エキス 14.6
−芳香性の穀粉 36.5
−NHCl 1.8
−KCl 16.4
−NaCl 30.7
【0078】
このような作用物質は、食卓塩だけの代替物として使用されたが、食品組成物にも配合されて非常に良好な味の結果をもたらした。それは食品におけるナトリウム含量を減らすために特に適当である。
【0079】
代替物5
作用物質の組成物の重量%として
−酵母エキス 15.5
−芳香性の穀粉 46.4
−NHCl 3.4
−KCl 34.7
【0080】
このような作用物質は、食卓塩だけの代替物として使用されたが、食品組成物にも配合されて非常に良好な味の結果をもたらした。それは食品からのナトリウムを排除するために特に適当である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の酵母エキス、芳香性の穀粉および低ナトリウム塩を含む一般塩の代替物。
【請求項2】
低ナトリウム塩が、カリウム塩およびアンモニウム塩およびそれらの混合物から選ばれる、請求項1に記載の一般塩の代替物。
【請求項3】
低ナトリウム塩が、塩化カリウムおよび塩化アンモニウムおよびそれらの混合物から選ばれる、請求項1または2に記載の一般塩の代替物。
【請求項4】
低ナトリウム塩混合物が、0.05〜0.66のNHCl/KCl比を有する、請求項3に記載の一般塩の代替物。
【請求項5】
酵母エキスが醸造酵母エキスである、請求項1〜4の1つに記載の一般塩の代替物。
【請求項6】
酵母エキスが、5’−ヌクレオチド少なくとも10%を含有するパン酵母エキスである、請求項1〜4の1つに記載の一般塩の代替物。
【請求項7】
芳香性の穀粉が、熱媒介された芳香性の穀粉および固有の芳香性の穀粉およびそれらの混合物から選ばれる、請求項1〜6の1つに記載の一般塩の代替物。
【請求項8】
熱媒介された芳香性の穀粉が、酸性の発酵させた穀粉及び焙焼した麦芽にした穀粉およびそれらの混合物から選ばれる、請求項7に記載の一般塩の代替物。
【請求項9】
焙焼した麦芽にした穀粉が、麦芽にした小麦の焙焼した穀粉、麦芽にしたライ麦の焙焼した穀粉、または麦芽にした大麦の焙焼した穀粉および/またはそれらの混合物から選ばれる、請求項8に記載の一般塩の代替物。
【請求項10】
固有の芳香性の穀粉が、胚芽、ふすま、栗、そば、キノアおよびテフの穀粉およびそれらの混合物から選ばれる、請求項7に記載の一般塩の代替物。
【請求項11】
乾燥した形態にある、請求項1〜10の1つに記載の一般塩の代替物。
【請求項12】
低ナトリウム塩代替物、特に塩化カリウムおよび/または塩化アンモニウムのオフフレーバーをマスキングするための酵母エキスおよび芳香性の穀粉の使用。
【請求項13】
芳香性の穀粉が、熱媒介された芳香性の穀粉および固有の芳香性の穀粉およびそれらの混合物から選ばれる、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
熱媒介された芳香性の穀粉が、酸性の発酵させた穀粉及び焙焼した麦芽にした穀粉およびそれらの混合物から選ばれる、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
固有の芳香性の穀粉が、胚芽、ふすま、栗、そば、キノアおよびテフの穀粉およびそれらの混合物から選ばれる、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
一般塩NaClの全体的または部分的代替物としての、請求項1〜11の1つに記載の作用物質の使用。
【請求項17】
請求項1〜11の1つに記載の一般塩の代替物を含有する、動物飼料および/またはヒトの食物を意図する組成物。
【請求項18】
請求項1〜11の1つに記載の作用物質を含有する製パン改良剤または製パン産物。
【請求項19】
塩が塩化カリウムである、医薬としての請求項1〜11の1つに記載の一般塩の代替物。
【請求項20】
塩が塩化カリウムである、低カリウム血症の経口処置用の医薬の調製のための、請求項1〜11の1つに記載の作用物質の使用。
【請求項21】
塩化ナトリウムの量の一部またはすべてを請求項1〜11の1つに記載の一般塩の代替物で置換することからなる、ヒトの食物および/または動物飼料を意図する組成物を調製するための方法。
【請求項22】
酵母エキスおよび芳香性の穀粉の添加を含む、低ナトリウム塩、特に塩化カリウムおよび/または塩化アンモニウムのオフフレーバーを食品組成物においてマスキングするための方法。
【請求項23】
減少した量の低ナトリウム塩を含有する食品組成物を調製することと、酵母エキスおよび芳香性の穀粉を添加することを含み、この添加は、同じ塩味を同時に維持しながら、低ナトリウム塩の量の減少を補償することを可能とする、食品組成物における低ナトリウム塩の量を減少させるための方法。
【請求項24】
同じ塩味を同時に維持しながら、低ナトリウム塩のオフフレーバーをマスキングするためおよび/または低ナトリウム塩の量を減少させるために同時に使用するための、酵母エキスおよび芳香性の穀粉、および低ナトリウム塩を含む組成物、を含む産物またはキット。

【公表番号】特表2009−537134(P2009−537134A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510511(P2009−510511)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051271
【国際公開番号】WO2007/132123
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(506261567)ルサッフル・エ・コンパニー (7)
【氏名又は名称原語表記】LESAFFRE ET COMPAGNIE
【Fターム(参考)】