説明

新規の錯化合物及びこれを触媒として使用した二酸化炭素とエポキシドの共重合によるポリカーボネートの製造方法

本発明はアンモニウム塩を含むリガンド(配位子)から製造されて金属中心が陰の2価以上の形式電荷を取ることができる平衡構造式をもつことが可能な錯化合物、及びこれを触媒として使用してエポキシ化合物と二酸化炭素を共重合してポリカーボネートを製造する方法に関する。本発明によれば、前記触媒を用いたエポキシ化合物と二酸化炭素の共重合において、高活性と高選択を見せてくれて高分子量のポリカーボネートを提供することができて商業工程の適用が容易である。また、前記錯化合物を触媒として使用して、エポキシドと二酸化炭素を共重合してポリカーボネートを製造した後共重合体から触媒を分離回収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ化合物と二酸化炭素からポリカーボネートを製造するのに有用な新規の触媒及びこれを利用したポリカーボネートの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、前記の重合体を製造することに使用される触媒は金属中心が陰の2価以上の形式電荷を取ることができる平衡構造式を有する錯化合物及びこれを触媒として使用した二酸化炭素とエポキシドの共重合によるポリカーボネートの製造方法に関するものである。また本発明は前記触媒を利用して重合反応を遂行した後、共重合体と触媒が溶解されている溶液から触媒を分離回収する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脂肪族ポリカーボネートは、生分解が容易な高分子として、例えば、包装材またはコーティング材として有用な材料である。ポリカーボネートをエポキシ化合物と二酸化炭素から製造する方法は、有毒な化合物であるホスゲンを使わないという点と二酸化炭素を低廉に得ることができるという点で親環境的な価値が高い。
【0003】
1960年代から多くの研究者らがエポキシ化合物と二酸化炭素からポリカーボネートを製造するために多様な形態の触媒を開発して来た。最近本発明者は、オニウム塩とルイス酸基を有する金属中心を一分子に持っている錯化合物を二酸化炭素/エポキシ共重合反応の触媒で取り入れて、前記触媒がエポキシ化合物と二酸化炭素を共重合する重合反応の媒質内で、その濃度にかかわらず高分子鎖の成長点が常に金属周辺に位置するようになって、単量体/触媒の割合が高い条件でも高活性を示して、触媒の使用量を減らすことができて経済的な利得があるだけではなく、高分子量のポリカーボネートを提供することができ、また高温でも重合活性を具現することによって転換率を高めて重合反応熱の除去が容易で、商業工程の適用が容易な触媒を開発したことがある[大韓民国特許出願第10−2007−0043417号(出願日:2007.05.04、発明の名称:二つの成分を一分子に持っている錯化合物及びこれを触媒として使用した二酸化炭素とエポキシ共重合によるポリカーボネートの製造方法);国際特許出願第PCT/KR2008/002453号;Eun Kyung Noh、Sung Jae Na、Sujith S、Sang-Wook Kim、and Bun Yeoul Lee* J.Am.Chem.Soc.2007、129、8082−8083(2007.07.04)]。また、前記オニウム塩とルイス酸基を有する金属中心を一分子に持っている錯化合物を二酸化炭素/エポキシ共重合反応の触媒として使用した時は、重合反応後共重合体から触媒を易しく分離して再使用することができる長所があって、前記触媒分離回収方法に関して特許出願及び著名化学ジャーナルに論文を載せたことがある[大韓民国特許出願第10−2008−0015454号(出願日2008.02.20、発明の名称:共重合体製造工程から触媒を回収する方法);Bun Yeoul Lee、Sujith S、Eun Kyung Noh、Jae Ki Min、” A process producing polycabonate and a coordination complexes used therefor” PCT/KR2008/002453 (2008.04.30); Sujith S, Jae Ki Min, Jong Eon Seong, Sung Jea Na, and Bun Yeoul Lee* “A Highly Active and Recyclable Catalytic System for CO/(Propylene Oxide) Copolymerization” Angew. Chem. Int. Ed., 2008、47、7306−7309]
【0004】
前記した本発明者の研究で製造された錯化合物は、主にサリチルアルデヒド化合物とジアミン化合物のシッフ塩基(Schiff base)リガンド(配位子)から得られたキラル(Salen)−コバルト化合物([HSaleN=N,N'-bis(3,5-dialkylsalicylidene)−1,2-cyclohexanediamine)]として(下記化学式参照)、二つの窒素イミンリガンド(配位子)と二つのフェノラート配位子がコバルト3価に同時に配位された四座(tetradentateまたはquadradentate)コバルト化合物系統の錯化合物である。
【化1】

【0005】
前記錯化合物は四座(tetradentateまたはquadradentate)シッフ塩基錯化合物といわれっることがあり、次のような反応式によって製造される。
【化2】

【0006】
前記した四座(tetradentateまたはquadradentate)シッフ塩基コバルトまたはクロム錯化合物が既存の二酸化炭素/エポキシ共重合触媒で集中的に開発されて来た。(コバルト係触媒: (a) Lu, X.-B.; Shi, L.; Wang, Y.-M.; Zhang, R.; Zhang, Y.-J.; Peng, X.-J.; Zhang, Z.−C.; Li, B. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 1664. (b) Cohen, C. T. Thomas, C. M. Peretti, K. L. Lobkovsky, E. B. Coates, G. W. DalTON Trans. 2006, 237. (c) Paddock, R. L. Nguyen, S. T. Macromolecules 2005, 38, 6251. クロム系触媒: (a) Darensbourg, D. J.; Phelps, A. L.; Gall, N. L.; Jia, L. Acc. Chem. Res. 2004, 37, 836. (b) Darensbourg, D. J.; Mackiewicz, R. M. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 14026.)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、前記した構造を有する従来の四座(tetradentateまたはquadradentate)錯化合物に対する特性及び構造を研究する中、驚くべきことに前記した錯化合物において、Rグループによって得られる錯化合物の活性及び選択性が大きく差が出るということを見つけた。すなわち、前記した錯化合物において、Rグループがtert-ブチルのように立体障害が大きい(sterically-hindered:立体的に込み入った)場合活性と選択性が通常的に予測されることができる値を見せるが、Rグループの立体障害を減らす場合、例えばメチルなどのようなラジカルを有する場合活性(TOF、turnover frequency)がtert-ブチル化合物に比べて1300h−1から26000h−1に約20倍でジャンプして、選択性が84%から99%以上に高くなるということを見つけた。このような発見に根拠して本発明者らは、H MNR、13C MNR、15NMNR、19F NMR、IR、IAP-AES、元素分析、電気化学などの構造分析を遂行したし、その結果Rグループがメチルのように立体障害が小さなラジカルである場合、驚くべきことに隣接した窒素が金属に配位されなかった相異な構造を有する錯化合物すなわち、二座(bidentate)錯化合物が生成されて、前記錯化合物が高い活性及び選択性を有するということを見つけた。
【0008】
したがって、本発明の一番目の技術的課題は、既存四座(tetradentateまたはquadradentate)錯化合物ではない、陽子団(protonated group:プロトン化群)を少なくとも一つ以上含む単座(monodentate)、二座(bidentate)、または三座(tridentate)リガンド(配位子)によって配位された錯化合物を利用した二酸化炭素/エポキシ共重合方法を提供することにある。
【0009】
本発明の二番目の技術的課題は、前記錯化合物を触媒として使用して共重合体を製造した後、得られる共重合体と触媒の混合溶液から触媒を分離及び回収する方法を提供することにある。
【0010】
本発明の三番目の技術的課題は、前記した新しい錯化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記の目的を達成するために陽子団を少なくとも一つ以上含む単座(monodentate)、二座(bidentate)、または三座(tridentate)リガンド(配位子)によって配位された新規錯化合物を開発して、これを触媒で利用して二酸化炭素/エポキシ共重合体を製造する方法を提供しようとする。
【0012】
以下、本発明に対して詳細に説明する。本発明は、二酸化炭素/エポキシ共重合体を製造するための触媒として陽子団を少なくとも一つ以上含む単座(monodentate)、二座(bidentate)、または三座(tridentate)配位子によって配位された新規錯化合物を提供する。前記新規錯化合物は下記化学式1の錯化合物である。
[化学式1]
[LMX]X
式中、Mは金属元素であって;
LはL−typeまたはX−typeリガンド(配位子)であって;
aは1、2、または3であって;aが1である場合Lは陽子団を2個以上含んで、aが2または3である場合、それぞれのLは互いに同じであるか、または違うことがあり、また互いに連結されて二座(bidentate)または三座(tridentate)リガンド(配位子)として金属にキレート化(chelated)されることができ、少なくとも一つのLは陽子団を1個以上含んで、Lが含んでいる陽子団の総数は2以上であって、
Xはそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン; BF;ClO;NO;PF; HCO;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C20)アリールオキシアニオン、(C1−C20)アルキルカルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンであって、
bとcは、”(b+c)=(Lが含んでいる陽子団の総数)+[(金属の酸化数)-(LのうちでX−typeリガンド(配位子)個数)]”の関係式を満足させる。
マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンは下記構造の化合物である。
【化3】

(ここで、Rはメチルまたは水素であって、R’は水素及びニトロ(−NO)のうちから選択されるが、5個のR’のうちで少なくとも一つはニトロ(−NO)である)。
【0013】
前記化学式1で、L−type及びX−typeリガンド(配位子)は、Gary O.SpessardとGary L.Miesslerが著わしたOrganometallic Chemistry(出版社:Prentice Hall)p46に詳しく記述されている。L−typeリガンド(配位子)は、中性リガンド(配位子)を意味してホスフィンのような非共有電子対供与体であるか、またはエチレンのようなπ(パイ)結合供与体であるか、または水素のようなσ(シグマ)結合供与体を言う。L−typeリガンド(配位子)は、金属に非共有電子対を提供して結合して、L−typeリガンド(配位子)の結合は金属の酸化数に影響を与えない。X−typeリガンド(配位子)は塩素またはメチルのような陰イオン性リガンド(配位子)を言って、X陰イオンが金属元素M陽イオンに結合されたものとして見て、X−typeリガンド(配位子)の結合は金属の酸化数に影響を与える。
【0014】
本発明によって二酸化炭素/エポキシ共重合触媒として使用される錯化合物は陽子団を少なくとも一つ以上含む単座(monodentate)、二座(bidentate)、または三座(tridentate)リガンド(配位子)によって配位された錯化合物(すなわち、前記化学式1の錯化合物)として、金属中心が陰の2価以上の形式電荷を取ることができる平衡構造式を有する錯化合物である。従来に開発された二酸化炭素/エポキシ共重合触媒は、”一つのメタルに四つのグループが付いている”四座(tetradentateまたはquadradentate)シッフ塩基錯化合物として、本発明による錯化合物と区分される。
【0015】
本発明の一具現例によって、前記Lが含んでいる陽子団が下記化学式2aの作用基、化学式2bの作用基、または化学式2cの作用基であって、Mがコバルト3価またはクロム3価である錯化合物を提供する。
[化学式2a]

[化学式2b]

[化学式2c]

【0016】
化学式2aないし2cのうち、Gは窒素または燐原子であって、
11、R12、R13、R21、R22、R23、R24及びR25はそれぞれ独立的に、ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル;またはヒドロカルビルに置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R11、R12及びR13のうち2個、またはR21、R22、R23、R24及びR25のうち2個が互いに連結されて環(ring)を形成することができ、
31、R32及びR33はそれぞれ独立的に、水素ラジカル;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル;またはヒドロカルビルに置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R31、R32及びR33のうち2個は、互いに連結されて環を形成することができ、
X’は酸素原子、硫黄原子またはN−R(ここで、Rは水素ラジカル;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル)である。
【0017】
また前記化学式2aないし2cにおいて、アルキル、アルケニル、アルキルアリルのアルキル、アルアルキルラジカルのアルキルは直鎖または分枝鎖の形態である。
【0018】
本発明の他の具現例によって、化学式1の錯化合物の前記Lが下記化学式3のリガンド(配位子)であって、aが2または3であって、Mがコバルト3価またはクロム3価である錯化合物を提供する。
[化学式3]

式中、Aは酸素または硫黄原子であって、
ないしRはそれぞれ独立的に、水素ラジカル;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない直鎖または分枝鎖の(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル;ヒドロカルビルに置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、前記Rのアルキルまたはアルケニルは(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルでさらに置換されることができ、RないしRのうち2個が互いに連結されて環を形成することができ、RないしRのうち少なくとも一つ以上は前記化学式2a、化学式2b及び化学式2cのうちで一つ以上を含んで、aは2または3であって、それぞれのLは互いに同じであるか、または違うことができ、互いに連結されて二座(bidentate)または三座(tridentate)リガンド(配位子)として金属にキレート化されることができる。
【0019】
本発明のまた他の具現例によって、前記化学式1のLが二つであるとき、下記化学式4のリガンド(配位子)であることを特徴とする錯化合物を提供する。
[化学式4]

前記化学式4で、BないしBは独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20) シクロアルキレンであって;
26は1次または2次(C1−C20)アルキルであって;
27ないしR29は独立的に(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリールから選択されて;
Qは二つの窒素原子を連結するために結合する2価有機架橋基である。
【0020】
また、前記アルキレン、アルキルは直鎖または分枝鎖の形態である。
前記化学式4で、Qは(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか、または前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンはハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を1個以上含むことを特徴とする錯化合物である。
【0021】
望ましくは前記化学式4で、BないしBはプロピレンであって、R26及びR27はメチルであって、R28及びR29はブチルであって、Qはtrans-1、2-シクロヘキシレンである錯化合物である。
【0022】
前記化学式4で表示されるリガンド(配位子)は、下記化学式15のような2番炭素にアルキル基が置換されたフェノール化合物(phenolic compounds)と、下記化学式16のような3次アルコール化合物を酸触媒下で反応させて製造された下記化学式14のようなフェノール誘導体を出発物質にして形成されることができる。
[化学式14]

[化学式15]

[化学式16]

【0023】
前記化学式14ないし化学式16で、B及びB10は、独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20)シクロアルキレンであり、望ましくはプロピレンである。前記R26は1次または2次の(C1−C20)アルキルとして、3次アルキルである場合には多様な副反応による副産物生成で反応収率が低下して、これを精製する過程が必要であり、またこれから製造されたコバルト錯化合物の場合、その構造が相異であって活性が低調で1次または2次アルキルであることが望ましい。より具体的には1次または2次(C1−C7)アルキルである。本発明で1次アルキルと言うものは、ノーマル(normal)アルキル、ネオ(neo)アルキル、イソ(iso-)アルキルを意味して、2次アルキルと言うものは、セク(sec-)アルキルを意味して、3次アルキルと言うものは、ターシャリ(tert-)アルキルを意味する。
【0024】
前記R27は(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリールから選択されて、より具体的には(C1−C7)アルキルであり、最も望ましくはメチルである。前記アルキルは直鎖または分枝鎖のアルキルである。
【0025】
前記X及びXは、独立的にCl、BrまたはIから選択される。
【0026】
本発明でアリールは、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ビフェニル(biphenyl)などの芳香族環を例であげることができ、前記炭素芳香族環の炭素原子がN、O、Sなどのヘテロ原子に置換されたものであることができる。
【0027】
前記酸触媒としては、AlClを使用するか、またはリン酸、硫酸などの無機酸を使用することが可能であって、反応後触媒を再使用するために固体酸触媒を使用することができる。前記固体酸触媒としてはNafion NR50、Amberlyst-15、H−ZSM5、H−Beta、HNbMoOなどを例であげることができる(参考文献:Kazunari Domenなど、J.AM.CHEM.SOC.2008、130、7230-7231)。
【0028】
前記化学式16の3次アルコール化合物は、多様な有機反応によって製造可能で、下記反応式7(下記反応式7でX、X及びR27は前記化学式16のものと同一である)は、その一つの例を提示する。
[反応式7]

【0029】
本発明は、前記化学式14のフェノール誘導体を出発物質にして製造された下記化学式17のリガンド(配位子)化合物を提供する。
[化学式17]

【0030】
前記化学式17で、BないしBは独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20)シクロアルキレンであり、望ましくはプロピレンである。前記アルキレンは直鎖または分枝鎖である。
【0031】
前記化学式17で、R26は1次または2次(C1−C20)アルキルとして、3次アルキルである場合には、多様な副反応による副産物生成で反応収率が低下されて、これを精製する過程が必要であり、またこれから製造されたコバルト錯化合物である場合、その構造が相異であって、活性が低調で1次または2次アルキルであることが望ましい。より具体的には1次または2次(C1−C7)アルキルであり、一番望ましくはメチルである。
【0032】
前記化学式17で、前記R27ないしR29は独立的に(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリール基から選択されて、より具体的にはR27ないしR29は独立的に(C1−C7)アルキルから選択されて、一番望ましくは、R27はメチルであり、R28及びR29はブチルである。
【0033】
前記化学式17で、Qは二つの窒素原子を連結するために結合する2価有機架橋基として、具体的に(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか、または前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンはハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を1個以上含むことができる。より具体的に、Qはエチレン、trans-1、2-シクロヘキシレン、または1、2-フェニレンから選択される。
【0034】
前記化学式17でZは、それぞれ独立的にハロゲン化物イオン、BF、ClO、NO、またはPFから選択されて、より具体的にはヨウ化物イオンまたはBFから独立的に選択される。
【0035】
より望ましくは、前記化学式17のリガンド(配位子)化合物は下記化学式18のリガンド(配位子)化合物であることができる。
[化学式18]

【0036】
前記化学式18で、m及びnは独立的に1ないし19の整数であり、望ましくは1ないし5であり、一番望ましくは2である。
【0037】
前記化学式18で、R26は1次または2次(C1−C20)アルキルとして、3次アルキルである場合には多様な副反応による副産物生成で反応収率が低下されて、これを精製する過程が必要であり、またこれから製造されたコバルト錯化合物である場合、その構造が相異であって活性が低調で1次または2次アルキルであることが望ましい。より具体的には1次または2次(C1−C7)アルキルであり、一番望ましくはメチルである。
【0038】
前記化学式18で、前記R27ないしR29は独立的に(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリール基から選択されて、より具体的にR27ないしR29は独立的に(C1−C7)アルキルから選択されて、一番望ましくは、R27はメチルであり、R28及びR29はブチルである。
【0039】
前記化学式18で、Qは二つの窒素原子を連結するために結合する2価有機架橋基であり、具体的に(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか、または前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンは、ハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を1個以上含むことができる。より具体的に、Qはエチレン、trans-1、2-シクロヘキシレン、または1、2-フェニレンから選択される。
【0040】
前記化学式18でZはそれぞれ独立的に、または同時に、ハロゲン化物イオン、BF、ClO、NO、またはPFから選択されて、より具体的には、ヨウ化物イオンまたはBFから独立的に選択される。
【0041】
本発明の前記化学式17または化学式18の化合物の製造方法において、(a)下記化学式20の化合物にジアミン化合物を添加して、イミン化して下記化学式21の化合物を生成する段階;及び(b)3次アミン化合物を添加して下記化学式17の化合物を生成する段階;を含むことを特徴とする。
[化学式20]

[化学式21]

【0042】
前記化学式17、化学式20及び化学式21で、BないしB、B及びB10は独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20)シクロアルキレンであり、望ましくは(C2−C6)アルキレンであり、一番望ましくはプロピレンであり;
26は1次または2次(C1−C20)アルキルであり、望ましくは1次または2次(C1−C7)アルキルであり、一番望ましくはメチルであり;
27ないしR29は独立的に(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリールから選択されて、望ましくは(C1−C7)アルキルであり、一番望ましくは、R27はメチルでありR28及びR29はブチルであり;
Qは二つの窒素原子を連結するために結合する2価有機架橋基であり、望ましくは、(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか、または前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンはハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を1個以上含むものであり、一番望ましくはtrans-1、2-シクロヘキシレンである。
【0043】
はそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン、BF、ClO、NOまたはPFから選択されて、望ましくは、ヨウ化物イオンまたはBFである。X及びXは独立的にCl、BrまたはIから選択される。
【0044】
前記化学式20の化合物は、前記化学式15の化合物と前記化学式16の化合物を酸触媒下で反応させて前記化学式14を生成して、前記化学式14にアルデヒド基を形成することを特徴とする。前記酸触媒はAlCl、無機酸または固体酸触媒から選択される。
【0045】
本発明は、前記化学式1の錯化合物として、下記化学式5の錯化合物を提供する。
[化学式5]

式中、A及びAは酸素または硫黄原子であり、Xはそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C20) アリールオキシアニオン、(C1−C20)アルキルカルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンであり、
41、R42、R43、R44、R45及びR46は水素、tert-ブチル、メチル、エチル、イソプロピル、-[YR513-m{(CR5253)nN545556}]のうち選択されたものであり、R41、R42、R43、R44、R45、R46のうち少なくとも一つは-[YR513-m{(CR5253)545556}]である。(ここで、Yは炭素または珪素原子であり、R51、R52、R53、R54、R55、R56はそれぞれ独立的に、水素ラジカル;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル;ヒドロカルビルに置換された14族金属のメタロイドラジカルであって、R54、R55及びR56のうち2個が互いに連結されて環を形成することができ、mは1ないし3のうち一つの整数であり、nは1ないし20のうちで一つの整数であり、
b+c−1の値は、前記化学式5の錯化合物が含むすべての-[YR513-m{(CR5253)545556}]のmの和と同一な整数値である。
【0046】
前記化学式5の錯化合物において、望ましくはR41、R43、R44、及びR45はそれぞれ独立的に、tert−ブチル、メチル、エチル、及びイソプロピルでなされた群から選択されることができ、R42及びR46は−[CH{(CH2)N+Bu]または−[CMe{(CH2)N+Bu]であり、b+cは5であることがある。
【0047】
本発明は、前記化学式1の錯化合物として、下記化学式6の錯化合物を提供する。
[化学式6]

式中、A及びAは酸素または硫黄原子であり、Xはそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C20)アリールオキシアニオン、(C1−C20)アルキルカルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンであり、
62とR64は、tert-ブチル、メチル、エチル、イソプロピル、または水素のうちから選択されたものであり、R61とR63は−[YR513−m{(CR5253N+R545556]である。ここで、Yは炭素または珪素原子であり、R51、R52、R53、R54、R55、R56はそれぞれ独立的に、水素ラジカル;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル;ヒドロカルビルに置換された14族金属のメタロイドラジカルであって、R54、R55及びR56のうち2個が互いに連結されて環を形成することができ、mは1ないし3のうち一つの整数であり、nは1ないし20のうちで一つの整数であり、
b+c−1の値はmの値の二倍と同一な整数値であり、
は二つのベンゼン輪を連結する化学結合または2価有機架橋基である。
【0048】
前記Aは化学結合、(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか、
【化4】

【化5】

または、前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンは、ハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を、1個以上を含んで、前記R87及びR88は(C1−C20)アルキル、(C3−C20)シクロアルキル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルであり、Qは二つの窒素を連結する2価有機架橋基を含む。前記Qは、(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか、または前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンはハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を1個以上含む。望ましく前記R61とR63は-[CH{(CH2)Bu}]または-[CMe{(CH2)Bu}]であり、前記
【化5】

でQは、trans-1、2-シクロヘキシレンまたはエチレンであり、前記Xは独立的に2、4-ジニトロフェノラートまたはBFを含む。
【0049】
本発明は、前記化学式6の錯化合物として、下記化学式7の錯化合物を提供する。
[化学式7]

式中、A1及びA2は酸素または硫黄原子であり、Xはそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C20)アリールオキシアニオン、(C1−C20)アルキルカルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンであり、
72とR74はtert-ブチル、メチル、エチル、イソプロピル、または水素のうちから選択されたものであり、R71とR73は-[CH{(CH2)Bu}]または-[CMe{(CH2)Bu}]であり、b+cは5である。
【0050】
本発明は、前記化学式6の錯化合物として、下記化学式8の錯化合物を提供する。
[化学式8]

式中、Aは炭素または珪素原子であり、A及びAは酸素または硫黄原子であり、
Xはそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C20)アリールオキシアニオン、(C1−C20)アルキルカルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンであり、
82とR84はtert-ブチル、メチル、エチル、イソプロピル、または水素のうちから選択されたものであり、R81とR83は-[CH{(CH2)Bu}]または-[CMe{(CH2)Bu}]であり、R85とR86は(C1−C20)アルキル、(C3−C20)シクロアルキル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルであり、b+cは5である。
【0051】
本発明は、前記化学式6の錯化合物として、下記化学式9の錯化合物を提供する。
[化学式9]

式中、Xはそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C20)アリールオキシアニオン、(C1−C20)アルキルカルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンであり、
92とR94はメチル、エチル、イソプロピル、または水素のうちから選択されて望ましくは、メチルであり、R91とR93は-[CH{(CH2)Bu}]または-[CMe{(CH2)Bu}]であり、
Qは、二つの窒素原子を連結してくれる2価有機架橋基であり、
b+cは5である。
前記アルキルカルボキシアニオン、アルコキシアニオン、アルキル炭酸アニオン、アルキルスルホン酸アニオン、アルキルアミドアニオン及びアルキルカルバメートアニオンのアルキルは、直鎖または分枝鎖の形態である。
【0052】
前記化学式9の錯化合物において、望ましくは、Qはtrans-1、2-シクロヘキシレンまたはエチレンであり、Xは独立的に2、4-ジニトロフェノラートまたはBFであることがある。5個のXのうちで一つはBFであり、二つは2、4-ジニトロフェノラートであり、二つは下記化学式10の陰イオンである。
[化学式10]
(ここで、Rはメチルまたは水素である。)

【0053】
本発明は、前記化学式9の錯化合物として、下記化学式11の錯化合物を提供する。
[化学式11]

前記化学式11で、BないしBは独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20)シクロアルキレンであり;
26は1次または2次(C1−C20)アルキルであり;
27ないしR29は独立的に(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリールから選択されて;
Qは、二つの窒素原子を連結するために結合する2価有機架橋基であり;
ないしZは独立的にハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C30)アリールオキシアニオン;(C1−C20)カルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン及びマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンから選択されて、コバルトに配位されたZないしZのうち一部は脱配位されることができる。前記アルキレン及びアルキルは直鎖または分枝鎖の形態である。
【0054】
前記化学式11において、望ましくは、Qは(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか、または前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンはハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を1個以上含むことを特徴とする。
【0055】
前記化学式11において、BないしBは独立的に(C2−C6)アルキレンであり、望ましくは、プロピレンであり;R26は(C1−C7)アルキルであり;R27ないしR29は独立的に(C1−C7)アルキルであり、望ましくは、R26及びR27はメチルであり、R28及びR29はブチルであり;Qはエチレン、trans-1、2-シクロヘキシレンまたは1、2-フェニレンであり、さらに望ましくは、trans-1、2-シクロヘキシレンであり;ZないしZは独立的に2、4-ジニトロフェノラートまたはBFから選択される。
【0056】
本発明は、前記化学式11の錯化合物として、下記化学式12の錯化合物を提供する。
[化学式12]

前記化学式12で、p及びqは独立的に1ないし19の整数であり;
26は1次または2次(C1−C20)アルキルであり;
27ないしR29は独立的に(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリールから選択されて;
Qは二つの窒素原子を連結するために結合する2価有機架橋基であり;
ないしZは独立的にハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C30)アリールオキシアニオン;(C1−C20)カルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;及びマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンから選択されて、コバルトに配位されたZないしZのうち一部は脱配位されることができる。
【0057】
前記化学式12で、Qは(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか、または前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンはハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を1個以上含むことを特徴とする。望ましくは、Qはエチレン、trans-1、2-シクロヘキシレンまたは1、2-フェニレンであり、さらに望ましくはtrans-1、2-シクロヘキシレンである。
【0058】
前記化学式12で、p及びqは1ないし5の整数であり、望ましくは2であり;R26は1次または2次(C1−C7)アルキルであり、R27ないしR29は独立的に(C1−C7)アルキルであり、望ましくはR26及びR27はメチルであり、R28及びR29はブチルであり;ZないしZは独立的に2、4-ジニトロフェノラートまたはBFから選択される。
【0059】
本発明は前記化学式1、化学式5、化学式6、化学式7、化学式8、化学式9、化学式10、化学式11、及び前記化学式2a、化学式2b、化学式2c、化学式3及び化学式4から選択されるリガンド(配位子)を含む錯化合物から選択される錯化合物を触媒として使用して、ハロゲンまたはアルコキシに置き換えまたは非置換された炭素数2ないし20のアルキレンオキサイド;ハロゲンまたはアルコキシで置き換えまたは非置換された炭素数4ないし20のシクロアルケンオキサイド;及びハロゲン、アルコキシ、またはアルキルで置き換えまたは非置換された炭素数8ないし20のスチレンオキサイドでなされた群から選択されたエポキシ化合物及び二酸化炭素を共重合する段階を含むポリカーボネートの製造方法が提供される。
【0060】
四つの4次アンモニウム塩を含むキラル(Salen)-類型のリガンド(配位子)で製造されたコバルト3価化合物は、そのリガンド(配位子)構造によって、通常的な4個のリガンド(配位子)がすべて配位した構造と違う、イミンが配位しなかった色違い配位様式を有することができる。イミンの代りに4次アンモニウム塩のカウンター陰イオンが配位される。このような現象は本発明でH、13C、15N NMR分光学、IR分光学、DFT計算、及び循環電圧電流(cyclic voltammetric;CV)を通じて糾明された。このような色違い配位様式は、キラル(Salen)リガンド(配位子)の構成成分であるサリチルアルデヒドの3番位置の置換体がメチルのように立体障害が大きくなくて、またキラル(Salen)リガンド(配位子)のまた他の構成成分であるエチレンジアミンが置換されなかったか、またはシクロヘキサンジアミンのように四つの炭素に付いている水素のうちで1、2個だけ置換されて全体的にキラル(Salen)リガンド(配位子)の金属配位部分の立体障害が大きくない時に形成される。反面、サリチルアルデヒドの3番位置のtert-ブチルのようにバルクした置換体が付いているか、またはエチレンジアミンの四つの炭素に付いている水素がすべてメチルに置換されたかして全体的にキラル(Salen)リガンド(配位子)の金属配位部分の立体障害が大きい時は通常的なイミンが配位された四座(tetradentate)化合物が得られる。下の図はキラル(Salen)リガンド(配位子)の構造による配位様式の差を見せてくれる。
【化6】

X=2、4-dinitrophenolate
【0061】
7、5、10のようにイミンが配位しなかった色違い配位様式の化合物らは二酸化炭素/エポキシ共重合で異例的に高活性を見せる。反面、通常的なイミンが配位した四座(tetradentate)構造の化合物(6、8、11)は活性を見せないか、または低活性を見せる。通常的なイミンが配位した四座(tetradentate)構造の化合物は、イミンが配位しなかった色違い配位様式の化合物と比べて、易しくコバルト2価化合物で還元されることがNMRとCV研究を通じて明かされた。コバルト2価化合物は、二酸化炭素/エポキシ共重合に活性がない。
【0062】
イミンが配位しなかった色違い配位様式の化合物で陰イオンの配位状態は温度、溶媒、リガンド(配位子)構造に連関性があるが、特に、重合媒質と一番似ているTHF−dでNMR分光学を通じてその状態を明かした。前記5、7、10(X=2、4-dinitrophenolate、以下、DNPと称する)化合物で二つのDNPは、コバルトに常に配位してい、二つは配位状態と脱配位状態を絶えず行き来している。通常的に反磁性の6配位体コバルト3価化合物は、リガンド(配位子)置換反応が活発ではないと知られている(Becker、C.A.L.;Motladiile、S. Synth. React. Inorg. Met.-Org. Chem.2001、31、1545.)。しかし、本発明のイミンが配位しなかった色違い配位様式の化合物ではコバルトが陰の電荷を持っていて陰電荷を持っているリガンド(配位子)に脱配位させることができる。陰電荷を持っている脱配位されたリガンド(配位子)は、4次アンモニウム塩の陽イオンとつかまっていてコバルトで遠く逃げることができない。根本的に配位されなかった陰イオンは、熱力学的に不安定な種であるので、再びコバルトに配位しようとする性質がある。このような二つの傾向の複合が二つのDNPが配位状態と脱配位状態を絶えずに行き来するようにする性質を付与する。コバルトが陰の電荷を持っている4配位コバルト3価化合物の何種が報告された((a) Collins, T. J.; Richmond, T. G.; Santarsiero, B. D.; Treco B. G. R. T. J. Am. Chem. Soc. 1986, 108, 2088. (b) Gray, H. B.; Billig, E. J. Am. Chem. Soc. 1963、85、2019.)。このような構造の化合物に追加的に陰イオンのまたは中性のリガンド(配位子)を添加すれば4配位、5配位、6配位体の間で易しく転換が起きることが報告された((a) Langford, C. H.; Billig, E.; Shupack, S. I.; Gray, H. B. J. Am. Chem. Soc. 1964, 86, 2958;(b) Park, J.; Lang, K.; Abboud, K. A.; Hong, S. J. Am. Chem. Soc. 2008、130、16484.)。本発明のイミンが配位しなかった色違い配位様式の化合物が風変わりで高活性を見せる理由を前記観察された二つの陰イオンのリガンド(配位子)が配位状態と脱配位状態を絶えずに行き来することができる性質のせいに説明される。下の図は二酸化炭素/エポキシ共重合の高分子鎖が成長する機作を見せてくれる。この機作で鎖の端に形成された炭酸アニオンが配位されたエポキシドを攻撃する段階が重要である。配位状態と脱配位状態を絶えずに行き来することができる性質が炭酸アニオンの配位されたエポキシドを後から攻撃する道を可能にする。通常的に親核体攻撃は離脱基の後から攻撃して起きる。配位状態と脱配位状態を絶えずに行き来している陰イオンがいくらさらに易しくコバルトで脱配位されることができるかによって活性の差があることを見られる。NMR分光学を通じて分析したところによれば、配位状態と脱配位状態を絶えずに行き来している陰イオンの結合親和性(binding affinity)手順が5>10>7であることを見られるが、活性の大きさはその逆順で観察された。
【化7】

【0063】
イミンが配位しなかった色違い配位様式の化合物を利用した二酸化炭素/エポキシ共重合触媒反応で重合反応システムの[水]/[触媒]の割合が触媒活性具現に重要な役割をする。エポキシド及び二酸化炭素を徹底的に精製して水をとり除いた場合でも、[エポキシド]/[触媒]比が100,000または150,000のように触媒を相当に少し入れた重合条件では[水]/[触媒]の割合が相当な可能性がある。[エポキシド]/[触媒]比が100,000または150,000のような高い条件で重合を具現することができると高活性(TON)を得ることができる。それで、商業的に役に立つ触媒になるためには触媒の水に対する敏感度が少なくなければならない。5、7、10構造の触媒の場合重合システム内の水気がない程度によってインダクションタイムがひどく変わることが観察される。すなわち、乾燥した冬に重合反応を実施すれば重合反応が1−3時間程度後に開始されるが、じめじめして温度が高い夏に重合をすればひどければ12時間後に重合が始まることが観察された。一端、重合反応が始まればその後の活性(TOF)は特に違わなかった。H NMR分光学実験で、化合物が含むDNPがプロピレンオキサイドを攻撃する反応が観察されるが、その反応速度が、水がある程度存在すれば急激に落ちることが観察される。配位状態と脱配位状態を絶えずに行き来している陰イオンが水と水素結合をして、親核体攻撃能力が劣って反応速度が遅いものとして類推される。
【化8】

【0064】
水気がない程度によってインダクションタイムがひどく変わるこのような現象は、水気がない程度を一定に最上に調節しなければならない商業化の負担になる。前記反応式の14化合物を製造して触媒として利用することによってある程度このような問題が軽減される。14化合物は[プロピレンオキサイド]/[触媒]の比が非常に低い条件(1,000以下)で製造することができる。この場合、プロピレンオキサイドに残存する水の量が触媒の量に比べて相当ではない。すなわち、[水]/[触媒]比が非常に低く調節されて、一貫されるように14を製造することができる。14化合物はまた保管して触媒として使用することができる。14化合物の場合すでに配位状態と脱配位状態を絶えずに行き来している陰イオンがプロピレンオキサイドと反応をした状態であるので、水に対する敏感度が軽減されてインダクションタイムが一貫されるように(1-2時間)重合反応が具現されて、また、[エポキシド]/[触媒]比が150,000である条件でも短いインダクションタイムで(70min)重合反応性を見せて(TOF、80,000h-1)さらに高いTON(20,000)を具現することができる。10化合物である場合[エポキシド]/[触媒]比が150,000である条件では重合活性が具現されなかった。
【0065】
前記反応式のプロピレンオキサイドが反応して二つのDNPがマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンに転換された14構造のような化合物が得られることも本発明のイミンが配位しなかった色違い配位様式の化合物で可能である。本発明のイミンが配位しなかった色違い配位様式の化合物の場合二つのDNPはコバルトに強く配位してい、他の二つは配位状態と脱配位状態を絶えずに行き来している状態にある理由として二つの配位状態と脱配位状態を絶えずに行き来している状態にあるDNPだけプロピレンオキサイドと早く反応して、1時間後に14構造の化合物が得られる。反面、通常的な6、8、11のようにイミンが配位された四座(tetradentate)キラル(Salen)−Co(III)化合物の場合プロピレンオキサイドを反応させれば前記14化合物のように二つのDNPだけマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンに転換された化合物が得られないで残りのDNPも続いてマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンに転換される反応が起きる。特に、プロピレンオキサイドの反応で前記したところのようにコバルト2価化合物に還元される反応が相当に隋伴されて14化合物のように二つのDNPはそのままあって、二つはマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンに転換された形態の純粋な化合物が得られない。14化合物はまた下の反応のような陰イオン置換反応によって製造されることができる。この陰イオン置換反応で置換されたマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンのうちで一つがDNPに転換されることが特異事項である。同一な陰イオン置換反応を6、8、11のようにイミンが配位された四座(tetradentate)キラル(Salen)−Co(III)化合物の構造が得られる化合物にさせた場合コバルト還元反応が主要反応であった。
【化9】

【0066】
本発明の共重合に使用されることができるエポキシ化合物の具体的な例を挙げると、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキサイド、ペンテンオキサイド、ヘキセンオキサイド、オクテンオキサイド、デセンオキサイド、ドデセンオキサイド、テトラデセンオキサイド、ヘキサデセンオキサイド、オクタデセンオキサイド、ブタジエンモノオキサイド、1、2-エポキシド-7-オクテン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、tert-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロオクテンオキサイド、シクロドデセンオキサイド、アルファ-ピネンオキサイド、2、3-エポキシノルボルネン、リモネンオキサイド、ディルドリン、2、3-エポキシプロピルベンゼン、スチレンオキサイド、フェニルプロピレンオキサイド、スチルベンオキサイド、クロロスチルベンオキサイド、ジクロロスチルベンオキサイド、1、2-エポキシド-3-フェノキシプロパン、ベンジルオキシメチルオキシラン、グリシジル-メチルフェニルエーテル、クロロフェニル-2、3-エポキシプロピルエーテル、エトキシプロピルメトキシフェニルエーテル、ビフェニルグリシジルエーテル、グリシジルナフチルエーテルなどがある。前記エポキシ化合物を単独または2-4個混合して二酸化炭素と共重合することができる。
【0067】
エポキシ化合物は、有機溶媒を反応媒質にして重合に使用されることができ、前記溶媒としてはペンタン、オクタン、デカン及びシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどのような芳香族炭化水素、クロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、カーボンテトラクロライド、1、1-ジクロロエタン、1、2-ジクロロエタン、エチルクロライド、トリクロロエタン、1-クロロプロパン、2-クロロプロパン、1-クロロブタン、2-クロロブタン、1-クロロ-2-メチルプロパン、クロロベンゼン及びブロモベンゼンなどのようなハロゲン化炭化水素のうちで単独または2個以上を組み合わせて使用することができる。さらに望ましくは、単量体自体を溶媒で使用するバルク重合を遂行することができる。
【0068】
エポキシ化合物対触媒のモル比、すなわちエポキシ化合物:触媒モル比は1,000ないし1,000,000で使用が可能で、望ましくは50,000ないし200,000で使用が可能である。この時、前記触媒の転換速度、すなわち時間当りのコバルト1モルに対して消耗するエポキシ化合物のモル数は、500ターンオーバー(turnover)/hr以上を具現することができる。二酸化炭素の圧力は常圧で100気圧まで可能であり、望ましくは5気圧から30気圧が適当である。重合温度は20℃から120℃まで可能であり、望ましくは50℃ないし90℃が適当である。
【0069】
ポリカーボネートを重合する方法としては、回分式重合法、半回分式重合法、または連続式重合法によって製造することができる。回分式または半回分式重合法を使用する場合において、反応時間は1ないし24時間、望ましくは、1.5ないし4時間にすることができる。連続式重合法を使用する場合の触媒の平均滞留時間も同じく1.5ないし4時間にすることが望ましい。
【0070】
本発明によれば、数平均分子量(M)が5,000ないし1,000,000の分子量を持って分子量分布(すなわち、M/M)が1.05ないし4.0の値を有するポリカーボネートを製造することができる。ここで、Mは単一分子量分布のポリスチレンを標準物質に補正してGPCで測定した数平均分子量を意味して、分子量分布M/M値は同一な方法によって、GPCによって特定の重さ平均分子量と数平均分子量との間の割合である。
【0071】
製造されたポリカーボネート重合体は、80%以上のカーボネート結合で構成されていて、たびたび95%以上のカーボネート結合で構成される。このポリカーボネート物質は分解が容易で燃焼時に残渣と煤煙がない高分子として、例えば、包装材、断熱材、またはコーティング材として有用な材料である。
【0072】
本発明は、前記製造方法で得られた共重合体及び触媒が溶解されている溶液を前記溶液に溶解されない固相の無機物質、高分子物質またはこれらの混合物と接触させて、前記固相の無機物質または高分子物質と触媒の複合体を形成させることで前記共重合体を分離する段階;及び前記固相の無機物質または高分子物質を溶解させることができない媒質のうちで、前記固相の無機物質または高分子物質と触媒の複合体を酸または非反応性陰イオンの金属塩で処理して、触媒が前記媒質から溶解されて出るようにすることで、触媒を分離回収する段階を含む、共重合体と触媒が溶解されている溶液から触媒を分離回収する方法を含む。
【0073】
前記“共重合体と触媒が溶解されている溶液”は、前記した重合反応を遂行した後応じないで残っている二酸化炭素とエポキシドをとり除かない段階で得られた溶液、二酸化炭素だけとり除いた後得られた溶液、または重合反応後二酸化炭素とエポキシドをすべてとり除いた後に後処理のために他の溶媒をまた入れて得られた溶液であるかも知れない。後処理のために使用されることができる溶媒としては、塩化メチレン、THFなどが望ましい。
【0074】
前記共重合体と触媒が溶解されている溶液と固相の無機物質、高分子物質またはその混合物との接触は、固相の無機物質、高分子物質またはこれらの混合物を共重合体と触媒が溶解されている溶液に添加した後濾過するか、または共重合体と触媒が溶解されている溶液を固相の無機物質、高分子物質またはその混合物に充填されたカラムに通過させることで遂行することができる。前記固相の無機物質は表面改質されるか、または表面改質されないシリカまたはアルミナであり、固相の高分子物質がアルコキシアニオンによって陽子脱離反応(deprotonation)が起きることができる作用基を持っている高分子物質であることができ、前記アルコキシアニオンによって陽子脱離反応が起きることができる作用基はスルホン酸基、カルボキシル酸基、フェノール基またはアルコール基であることができる。
【0075】
固相(solid)の高分子物質は、数平均分子量が500ないし10,000,000に架橋されることが望ましいが、架橋されなくても共重合体と触媒を含む溶液に溶解されなければ可能である。“アルコキシアニオンによって陽子脱離反応が起きることができる作用基を持っている固相の高分子物質”のより具体的な例は、高分子鎖中に下記化学式13aないし13eのような単位体を含む共重合体または、このような単位体のみで構成された単独重合体(homopolymer)を含む。このような支持体として作用する高分子物質は、前記した溶液に溶解されない限り架橋されないことも可能であるが、溶解度を低下させるために適当に架橋されることが望ましい。
[化学式13a]

[化学式13b]

[化学式13c]

[化学式13d]

[化学式13e]

【0076】
本発明は、前記触媒を使用した二酸化炭素/エポキシ共重合体製造方法で得られた共重合体及び触媒が溶解されている溶液をシリカと接触させてシリカ-触媒の複合体を形成させることで前記共重合体を分離する段階;及びシリカを溶解させることができない媒質のうちで、前記シリカ-触媒の複合体を酸または非反応性陰イオンの金属塩で処理して、触媒が前記媒質から溶解されて出るようにすることで、触媒を分離回収する段階を含む、共重合体と触媒が溶解されている溶液から触媒を分離回収する方法が提供される。前記酸はこの2、4-ジニトロフェノールであることができ、非反応性陰イオンの金属塩は、MBF(この時、MはLi、NaまたはKである)であることがある。
【0077】
下記反応式1は、触媒分離及び回収反応機作を見せてくれる。前記錯化合物を触媒として使用してエポキシドと二酸化炭素を共重合する時アンモニウム塩の陰イオンが金属に配位されて活性化されたエポキシドを親核体攻撃して反応が開示される。親核体攻撃を受けて形成されたアルコキシアニオンが二酸化炭素と反応して炭酸アニオンになって、この陰イオンが再び金属に配位されたエポキシドを親核体攻撃して炭酸アニオンを形成させて、このような反応が繰り返されて高分子鎖が形成される。このような場合、触媒に含まれたアンモニウム塩の陰イオンのうちで一部または全部が高分子鎖を含む炭酸アニオンまたはアルコキシドアニオンに変換される。重合反応後二酸化炭素をとり除けば炭酸アニオンはアルコキシドアニオンに変換される。重合後触媒と共重合体が溶解されている溶液を前記“アルコキシアニオンによって陽子脱離反応が起きることができる作用基を持っている高分子物質”またはシリカ、アルミナのように表面にヒドロキシル基を持った固相の物質と接触させれば、下記反応式1のように酸-塩基反応によって高分子鎖は陽子を得て溶液中に溶解されたまま存在するようになって、触媒成分は固相の無機物質または高分子物質と複合体を形成する。この複合体は不溶体である理由で共重合体から濾過によって易しく分離が可能である。
[反応式1]

【0078】
濾過によって分離回収された固相の無機物質または高分子物質と触媒の複合体から触媒を回収して再使用することができる。固相の無機物質または高分子物質と触媒の複合体は通常的な溶媒に溶解されない。しかし、無機物質または高分子物質を溶解させることができない媒質のうちで、回収された複合体に酸または非反応性陰イオンの金属塩を処理すれば酸-塩基反応または塩複分解反応によって触媒は媒質に溶解されて出るようになる。これを濾過して触媒成分を固相の無機物質または高分子物質から脱着分離回収することができる。この時、処理してくれる酸のPKa値は支持体に形成された陰イオンのPKa値以下の値を持たなければならない。処理してくれる酸として望ましいものは、その酸の塩基対が重合反応時に活性具現に卓越な性能を見せるもので選択すると再使用するのに有利である。このような酸として望ましいものは、HClと2、4-ジニトロフェノールである。Cl陰イオンと2、4-ジニトロフェノラート陰イオンは重合反応時に高活性と高選択性を見せると知られている。非反応性陰イオンの塩で望ましいものは、DBFまたはDClO(この時、DはLi、NaまたはKである)である。非反応性陰イオンの塩を処理してくれた時は非反応性陰イオンを含む化合物が溶解されて出る。この非反応性陰イオンは高活性と高選択性を見せるCl陰イオンと2、4-ジニトロフェノラート陰イオンで塩複分解反応によって置換されることができる。触媒を回収する工程は、触媒は溶解されて無機物質または高分子物質は溶解されない適当な溶媒下で遂行される。このような溶媒で望ましいものは塩化メチレン、エタノールまたはメタノールである。
【0079】
前記方法で重合後触媒をとり除くことによって樹脂の金属含量を15ppm以下で低めることができる。よって、本発明は前記のように共重合体と触媒が溶解されている溶液から分離した金属含量が15ppm以下である共重合体を提供する。前記方法で触媒を樹脂から分離しなければ樹脂が金属化合物を含む理由で色をたたえるようになって商業化に障害物になる。また大部分の転移金属は毒性を持っていて金属をとり除かない場合樹脂の用途開発に大きい問題になる。また、前記方法で高分子溶液を処理しなくて重合後高分子鎖の端末機に陽子を付けてくれない場合、樹脂の温度を少し高めるか、または樹脂を長く保管すると下記反応式2のようなバックバイト反応によって高分子が易しく単分子に転換される。これは樹脂の加工時に大きい問題を惹起させて、樹脂の耐久性が大きく低下されて商業的に使用することができなくなる。前記方法で重合後高分子溶液を処理すれば、高分子鎖の端末機に陽子が付いてアルコキシドアニオンがアルコール基に変わってアルコール基は親核体反応性がアルコキシドアニオン(alkoxide anion)より弱がる反応式2のバックバイト反応が起きなくて樹脂に加工性を付与することができ、また耐久性も強くなる。
[反応式2]

【0080】
本発明による錯化合物は、例えば下記反応式3で提示したところのようにアンモニウム塩を含んでいるリガンド(配位子)をまず製造して、コバルトに配位させることによって製造される。金属を付ける典型的な方法としては、コバルトアセテート[Co(OAc))をリガンド(配位子)と反応させてアセテートリガンド(配位子)を脱配位させてアセット酸をとり除いてコバルト2価化合物を得て、これを適当な酸(HX;Xは化学式1のXと同一である)存在下に酸素を酸化剤で使用して酸化させてコバルト3価化合物を得るものである。アンモニウム塩を含んでいるリガンド(配位子)は、本発明者によって開発されて公開された公知の方法(J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 8082; Angew. Chem. Int. Ed., 2008, 2008, 47、7306-7309)によって製造することができる。
[反応式3]

【発明の効果】
【0081】
本発明は、陽子団(protonated group)を含んでいるリガンド(配位子)から製造されて陰の2価以上の電荷を有することができる錯化合物を二酸化炭素/エポキシ共重合反応の触媒として使用することで、高活性と高選択性を一貫性あるように具現することができる。また、本発明による錯化合物を触媒として使用して二酸化炭素/エポキシ共重合を遂行すれば、リガンド(配位子)が陽子団を含んでいて、共重合反応後使用された触媒を分離回収して再使用することで触媒の費用を低下させて共重合体製造において、経済性を具現することができ、共重合体から金属化合物である触媒をとり除くことで純度が高い共重合体の製造ができるようにして共重合体の利用範囲を拡大することができるだけでなく、共重合体の耐久性及び加工性を増進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】7と8のDMSO-d溶媒でH NMRスペクトルを見せてくれる。XでラベルしたシグナルはDNPシグナルであり、ボックス内の2Dスペクトラムは7の20Tで得たH-H COSYNMRスペクトルである。
【図2】7と8のDMSO-d溶媒で13C NMRスペクトルを見せてくれる。
【図3】7と8のDMSO-d溶媒で13N NMRスペクトルを見せてくれる。
【図4】7と8のTHF−d及びCDCl溶媒でH NMRスペクトルを見せてくれる。
【図5】7と8のIRスペクトルを見せてくれる。
【図6】DFT計算で得られた7構造の一番安定した配座(conformation)を見せてくれる。簡単にするためにDNPリガンド(配位子)のうち配位する酸素だけ図に含ませた。
【図7】イミンが配位しなかった色違い構造を有する化合物に対して溶媒によって常温でDNPがどのような状態にあるかを見せてくれる図である(X=DNP)。
【図8】THF−dで7のVT H NMRスペクトルを見せてくれる。
【図9】化合物10または8とプロピレンオキサイドとの反応を見せてくれる1H NMRスペクトルである。“*”でマークしたシグナルがマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンから由来した新しいシグナルである。
【発明を実施するための形態】
【0083】
以下、本発明を下記の実施例に基づいてもうすこし詳しく説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであるだけで限定しない。
【0084】
<実施例1> 3-メチル-5-[{BF-BuN+(CH2)}CH}]-サリチルアルデヒド化合物の製造
【0085】
下記化学式19aのリガンド(配位子)を加水分解して表題化合物を製造した。化学式19aの化合物は本発明者によって公知された方法(Angew. Chem. Int. Ed., 2008, accepted)によって製造した。
[化学式19a]

【0086】
化学式19aの化合物(0.500g、0.279mmol)を塩化メチレン(4mL)に溶かした後、HI水溶液(2N、2.5mL)を入れて3時間にに70℃で撹拌した。水層をとり除いて塩化メチレン層を水で洗浄した後、無水塩化マグネシウムで水気をとり除いた後に溶媒を減圧下でとり除いた。塩化メチレン/エタノール(10:1)混合溶液でシリカゲルカラムクロマトグラフィーに精製して0.462gの3-メチル-5-[{IBu(CH2)}CH}]-サリチルアルデヒドを得た(収率、95%)。この化合物をエタノール(6mL)に溶かして、これにAgBF(0.225g、1.16mmol)を加えた。1.5時間常温で撹拌した後濾過した。溶媒を減圧してとり除いて塩化メチレン/エタノール(10:1)混合溶液でシリカゲルカラムクロマトグラフィーに精製して0.410gの3-メチル-5-[{BFBu(CH)}CH}]-サリチルアルデヒド化合物を得た(100%)。
【0087】
H NMR(CDCl): δ 11.19(s, 1H, OH), 9.89 (s, 1H, CHO), 7.48 (s, 1H, m-H), 7.29 (s, 1H, m-H), 3.32-3.26 (m, 4H, -NCH), 3.10-3.06 (m, 12H, -NCH), 2.77 (septet, J = 6.8 Hz, 1H, -CH-), 2.24 (s, 3H, -CH), 1.76-1.64 (m, 8H, -CH), 1.58-1.44 (m, 16H, -CH), 1.34-1.29 (m, 8H, -CH), 0.90 (t, J = 7.6 Hz, 18H, CH) ppm. 13C {H} NMR (CDCl): δ 197.29, 158.40, 136.63, 133.48, 130.51, 127.12, 119.74, 58.23, 40.91, 32.51, 23.58, 19.48, 18.82, 15.10, 13.45 ppm.
【0088】
<実施例2> 3-tert-ブチル-5-[{BFBu(CH)}CH}]-サリチルアルデヒド化合物の製造
【0089】
下記化学式19bの化合物を使用して、実施例1と同一な方法で表題化合物を製造した。化学式19bの化合物も本発明者によって公知された方法(Angew. Chem. Int. Ed., 2008, accepted)によって製造した。
[化学式19b]

【0090】
H NMR(CDCl): δ 11.76(s, 1H, OH), 9.92 (s, 1H, CHO), 7.53 (s, 1H, m-H), 7.35 (s, 1H, m-H), 3.36-3.22 (m, 16H, -NCH), 2.82 (br, 1H, -CH-), 1.78-1.70 (m, 4H, -CH), 1.66-1.46 (m, 16H, -CH), 1.42 (s, 9H, -C(CH)), 1.38-1.32 (m, 12H, butyl -CH), 0.93 (t, J = 7.6 Hz, 18H, CH) ppm. 13C {H} NMR (CDCl): δ 197.76, 159.67, 138.70, 133.50, 132.63, 131.10, 120.40, 58.55, 41.45, 34.99, 32.28, 29.31, 23.72, 19.59, 19.00, 13.54 ppm.
【0091】
<実施例3> 錯化合物7の製造
下記反応式4は錯化合物の製造方法を要約して見せてくれる。
[反応式4]

【0092】
エチレンジアミン二塩酸塩(10mg、0.074mmol)、Tert-ブトキシドナトリウム(14mg)、及び実施例1で製造された3-メチル-5-[{BFBu(CH)}CH}]-サリチルアルデヒド化合物(115mg)をドライボックス内でバイアルに質量をはかって入れて、これにエタノール(2mL)を入れた後常温で一晩中撹拌した。反応混合物を濾過して余液を取ってエタノールを減圧下にとり除いた。塩化メチレンに再び溶かして濾過をもう一度した。溶媒を減圧下にとり除いた後Co(OAc)(13mg、0.074mmol)とエタノール(2mL)を加えた。反応混合物を常温で3時間撹拌した後減圧下に溶媒をとり除いた。得られた化合物をジエチルエーテル(2mL)で二度洗浄して固形の化合物を得た。この固形の化合物を塩化メチレン(2mL)に再び溶かして2、4-ジニトロフェノール(14mg、0.074mmol)を加えた後酸素存在下に3時間撹拌した。反応混合物にソディウム2、4-ジニトロフェノラート(92mg、0.44mmol)を入れて一晩中撹拌した。セライト(Celite)を利用して濾過して溶媒をとり除いて黒い茶色の固体化合物を得た(149mg、100%)。
【0093】
H NMR(DMSO-d6, 40℃): δ 8.84(br, 2H, (NO)O), 8.09 (br, 2H, (NO)O), 8.04 (s, 1H, CH=N), 7.12 (s, 2H, m-H), 6.66 (br, 2H, (NO)O), 4.21 (br, 2H, ethylene-CH), 3.35-2.90 (br, 16H, NCH), 2.62 (s, 3H, CH), 1.91 (s, 1H, CH), 1.68-1.42 (br, 20H, CH), 1.19 (br, 12H, CH), 0.83 (br, 18H, CH) ppm. H NMR (THF−d8, 20℃): δ 8.59(br, 1H, (NO)O), 8.10 (br, 1H, (NO)O), 7.93 (s, 1H, CH=N), 7.88 (br, 1H, (NO)O), 7.05 (s, 1H, m-H), 6.90 (s, 1H, m-H), 4.51 (s, 2H, ethylene-CH), 3.20-2.90 (br, 16H, NCH), 2.69 (s, 3H, CH), 1.73 (s, 1H, CH), 1.68-1.38 (br, 20H, CH), 1.21 (m, 12H, CH), 0.84 (t, J = 6.8 Hz, 18H, CH) ppm. H NMR (CD2Cl2, 20℃): δ 8.43(br, 1H, (NO)O), 8.15 (br, 1H, (NO)O), 7.92 (br, 1H, (NO)O), 7.79 (s, 1H, CH=N), 6.87 (s, 1H, m-H), 6.86 (s, 1H, m-H), 4.45 (s, 2H, ethylene-CH), 3.26 (br, 2H, NCH), 3.0-2.86 (br, 14H, NCH), 2.65 (s, 3H, CH), 2.49 (br, 1H, CH), 1.61-1.32 (br, 20H, CH), 1.31-1.18 (m, 12H, CH), 0.86 (t, J = 6.8 Hz, 18H, CH) ppm. 13C{H} NMR (DMSO-d, 40℃): δ 170.33, 165.12, 160.61, 132.12(br), 129.70, 128.97, 127.68 (br), 124.51 (br), 116.18 (br), 56.46, 40.85, 31.76, 21.92, 18.04, 16.16, 12.22 ppm. 15N{H} NMR(DMSO-d, 20℃): δ -156.32, -159.21 ppm. 15N{H} NMR(THF−d8, 20℃): δ -154.19 ppm. 19F{H} NMR(DMSO-d, 20℃): δ -50.63, -50.69 ppm.
【0094】
<実施例4> 錯化合物8の製造
【0095】
実施例2で製造した3-tert-ブチル-5-[{BFBu(CH)}CH}]-サリチルアルデヒドを利用して実施例3と同一な方法で錯化合物を製造した。H NMR(DMSO-d, 40℃): δ 8.82(br, 2H, (NO)O), 7.89 (br, 3H, (NO)O, CH=N), 7.21 (s, 1H, m-H), 7.19 (s, 1H, m-H), 6.46 (br, 4H, (NO)O), 4.12 (s, 2H, ethylene-CH), 3.25-2.96 (br, 16H, NCH), 1.90 (s, 1H, CH), 1.71 (s , 9H, C(CH)), 1.67-1.32 (br, 20H, CH), 1.32-1.15 (m, 12H, CH), 0.88 (t, J = 7.2 Hz, 18H, CH) ppm. H NMR (THF−d8, 20℃): δ 7.78(s, 1H, CH=N), 7.31 (s, 1H, m-H), 7.12 (s, 1H, m-H), 4.19 (br, 2H, ethylene-CH), 3.43-2.95 (br, 16H, NCH), 2.48 (br, 1H, CH), 1.81-1.52 (br, 20H, CH), 1.50 (s, 9H, C(CH)), 1.42-1.15 (br, 12H, CH), 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 18H, CH) ppm. H NMR (CDCl2, 20℃): δ 7.47(s, 1H, CH=N), 7.10 (s, 1H, m-H), 7.07 (s, 1H, m-H), 4.24 (s, 2H, ethylene-CH), 3.31 (br, 2H, NCH), 3.09-2.95 (br, 14H, NCH), 2.64 (br, 1H, CH), 1.68-1.50 (br, 20H, CH), 1.49 (s, 9H, C(CH)), 1.39-1.26 (m, 12H, CH), 0.93 (t, J = 6.8 Hz, 18H, CH) ppm. 13C{H} NMR(DMSO-d, 40℃): δ 166.57, 166.46, 161.55, 142.16, 129.99, 129.26, 128.39, 128.13, 127.63, 124.18, 118.34, 56.93, 41.64, 34.88, 32.27, 29.63, 22.37, 18.64, 18.51, 12.70ppm. 15N{H} NMR (DMSO-d): -163.43 ppm. 15N{H} NMR (THF−d8, 20℃): δ -166.80 ppm. 19F{H} NMR(DMSO-d, 20℃): δ -50.65, -50.70 ppm.
【0096】
<実施例5> 錯化合物9の製造
下記反応式5によって製造した。
[反応式5]

【0097】
17の製造
1-クロロ-4-ヨードブタン(1.00g、4.57mmol)をジエチルエーテル/ペンタン(2:3)混合液に0.10M濃度になるように溶かした後-78℃で温度を低めて窒素雰囲気下でtert-ブチルリチウム(3.690g、9.610mmol、1.7Mペンタンソリューション)をゆっくり入れる。2時間撹拌後1、5-ジクロロペンタン-スリーワン(3-one)(838mg、4.580mmol)をジエチルエーテル(8mL)に溶かしてゆっくり入れてくれる。-78℃で4時間さらに撹拌後に50mL氷水をゆっくり入れてジエチルエーテルで抽出し出す。有機層を、無水硫酸マグネシウムを利用して水をとり除いてフィルターした後減圧下に溶媒をとり除く。残った結果物をカラム(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)に精製して820mgの結果物を得た、(収率65%) H NMR (CDCl): δ 3.52 (t, J = 6.4 Hz, 6H, CHCl), 1.80-1.73 (m, 6H, CH), 1.56-1.52 (m, 4H, CH), 1.42 (s, 4H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ 73.58, 45.69, 44.95, 38.29, 36.48, 32.94, 26.96, 20.88 ppm.
【0098】
18の製造
窒素雰囲気で化合物17(1.122g、4.070mmol)とオルト-クレゾール(o-cresol)(3.521g、32.56mmol)、三塩化アルミニウム(0.597g、4.477mmol)を丸いフラスコに入れて徹夜で撹拌する。その後20mLジエチルエーテルと20mL水を入れて有機層だけ抽出して(3番)無水硫酸マグネシウムで水をとり除いて減圧下に溶媒をとり除く。結果物をカラム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)に精製して907mgの結果物を得た。(収率61%) IR (KBr) : 3535 (OH) cm-1. H NMR (CDCl): δ7.02(d, J = 2.0 Hz, 1H, m-H), 6.99 (dd, J = 8.8 Hz, 2.0 Hz, 1H, m-H), 6.73 (d, J = 8.0 Hz, 1H, o-H), 4.67 (s, 1H, OH), 3.53-3.46 (m, 6H, CHCl), 2.27 (s, 3H, CH), 1.79-1.44 (m, 6H, CH), 1.67-1.62 (m, 2H, CH), 1.58-1.53 (m, 4H, CH), 1.28-1.20 (br, 2H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ 151.81, 137.96, 128.89, 124.87, 114.70, 60.83, 46.05, 45.04, 42.09, 36.69, 35.07, 27.26, 21.40, 21.02, 16.54, 14.49 ppm. HRMS (FAB): m/z calcd (M+1827ClO) 364.1131, found 365.1206
【0099】
19の製造
フラスコに化合物18(907mg、2.48mmol)、パラポルムアルデヒド(298mg、9.920mmol)、二塩化マグネシウム(944mg、9.92mmol)そして、トリエチルアミン(1.051g、10.42mmol)を入れてテトラヒドロフラン(50mL)を入れる。窒素雰囲気で5時間に還流させる。その後、常温で温度を低めた後塩化メチレン50mLと水50mLを入れて有機層だけ抽出し出す。有機層に無水硫酸マグネシウムを入れて水をとり除いて溶媒を減圧してとり除く。結果物を、カラム(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)を通じて精製して、540mgの結果物を得た。(収率58%) IR (KBr) : 2947 (OH), 1650 (C=O) cm-1. H NMR (CDCl): δ 11.05 (s, 1H, OH), 9.78 (s, 1H, CH=O), 7.25 (s. 1H, m-H), 7.19 (s, 1H, m-H), 3.44-3.39 (m, 6H, CHCl), 2.19 (s, 3H, CH), 1.74-1.43 (m, 12H, CH), 1.20-1.11 (br, 2H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ 196.79, 158.07, 136.98, 135.85, 128.95, 126.85, 119.52, 45.77, 44.88, 42.12, 36.50, 34.64, 33.09, 27.07, 20.85, 15.71 ppm. HRMS (FAB): m/z calcd (M+1927ClO) 393.1151, found 393.1155
【0100】
20の製造
化合物19(520mg、1.304mmol)、ヨウ化ナトリウム(2.932g、19.56mmol)をフラスコに入れてアセトニトリル2mLを入れた後12時間に還流させる。その後、溶媒を減圧してとり除いて塩化メチレン5mLと水5mLを入れて有機層だけ抽出する。有機層の水を無水硫酸マグネシウムでとり除いて減圧して溶媒をとり除く。結果物はカラム(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)を通じて精製して759mgの結果物を得た。(収率87%) IR (KBr) : 2936 (OH), 1648 (C=O) cm-1. H NMR (CDCl): δ 11.06 (s, 1H, OH), 9.80 (s, 1H, CH=O), 7.25 (s. 1H, m-H), 7.17 (d, J = 2.8 Hz, 1H, m-H), 3.21-3.14 (m, 6H, CHCl), 2.27 (s, 3H, CH), 1.79-1.53 (m, 12H, CH), 1.28-1.19 (br, 2H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ 196.81, 158.20, 137.00, 135.90, 128.90, 126.98, 119.54, 42.17, 38.45, 36.11, 33.93, 27.83, 24.50, 15.84, 7.96, 7.14 ppm.
【0101】
21の製造
化合物20(680mg、1.018mmol)、シクロヘキシルジアミン(58mg、0.509mmol)を塩化メチレン5mLに溶かした後12時間撹拌する。その後、塩化メチレンだけ利用して短くカラムで精製して純粋な黄色い固体(560mg)を得た。(収率78%) IR (KBr) : 2933 (OH), 1629 (C=N) cm-1. H NMR (CDCl): δ 13.45 (s, 2H, OH), 8.34 (s, 2H, CH=N), 7.05 (s, 2H, m-H), 6.941 (d, J = 1.6 Hz, 2H, m-H), 3.39-3.36 (m, 2H, cyclohexyl-CH), 3.17-3.09 (m, 12H, CHI), 2.26 (s, 6H, CH), 1.96-1.89 (m, 4H, cyclohexyl-CH), .96-1.43 (m, 32H, cyclohexyl-CH and CH), 1.18-1.20 (br, 4H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ164.97, 157.2, 135.58, 131.25, 127.12, 125.50, 117.65, 72.89, 42.00, 38.71, 36.14, 34. 18, 33.73, 27.91, 24.57, 24.50, 16.32, 8.26, 7.18ppm.
【0102】
22の製造
フラスコに化合物21(364mg、0.257mmol)を入れてアセトニトリル5mLに溶かした後トリブチルアミン(291mg、1.57mmol)を入れる。窒素雰囲気で二日間に還流させながら撹拌する。常温で温度を低めた後溶媒を減圧してとり除いて残った固体にジエチルエーテル10mLを入れて10分間撹拌後撹拌を止めて、固体を沈めた後ジエチルエーテルだけピペットでとり除く。この過程を二度さらに繰り返して、黄色い固体だけ集めて減圧下に溶媒を完全とり除いて579mgの結果物を得た。(収率89%) IR (KBr) : 2959 (OH), 1627 (C=N) cm-1. H NMR (CDCl): δ. 13.46(s, 2H, OH), 8.58 (s, 2H, CH=N), 7.18(s, 2H, m-H), 7.07 (s, 2H, m-H), 3.42 (br, 2H, cyclohexyl-CH), 3.32 (br, 16H, NCH), 3.16 (br, 32H, NCH), 2.10 (s, 6H, CH), 1.74-1.20 (br, 108H, cyclohexyl-CH, CH), 0.86 (t, 18H, CH), 0.75 (t, 36H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ164.78, 157.27, 134.04, 130.82, 127.22, 125.15, 117.46, 71.01, 9.96, 59.63, 59.00, 58.86, 53.52, 43.03, 34.89, 33.90, 33.68, 24.16, 24.05, 23.07, 22.78, 20.69, 19.68, 19.53, 17.64, 15.79, 13.58ppm.
【0103】
23の製造
フラスコに化合物22(455mg、0.180mmol)とテトラフルオロホウ酸銀(211mg、1.08mmol)を入れて溶媒で塩化メチレンを12mL入れてアルミホイルでフラスコを囲んだ後一日の間に常温で撹拌する。その後、ガラスフィルターでフィルターして固体をとり除いて残った溶液は減圧して乾かした後塩化メチレン:エタノール=5:1にカラムして黄色い結果物322mgを得た。(収率78%) IR (KBr) : 2961 (OH), 1628 (C=N) cm-1. H NMR (CDCl): δ. 13.64(s, 2H, OH), 8.52 (s, 2H, CH=N), 7.27(s, 2H, m-H), 7.16 (s, 2H, m-H), 3.44 (br, 2H, cyclohexyl-CH), 3.30-3.10 (br, 48H, NCH), 2.24 (s, 6H, CH), 1.95-1.29 (br, 108H, cyclohexyl-CH, CH), 0.99 (t, 18H, CH), 0.90 (t, 36H, CH) ppm.
【0104】
9の製造
グローブボックス内でバイアルに化合物23(59mg、0.026mmol)とCo(OAc)(4.6mg、0.026mmol)を入れた後エタノール1mLを入れて12時間に撹拌する。溶媒を減圧してとり除いてジエチルエーテルで二度洗浄して赤色の固体を得た。これに2、4-ジニトロフェノール(5.0mg、0.026mmol)を加えて酸素存在下で3時間撹拌する。その後ソディウム2、4-ジニトロフェノラート(27mg、0.13mmol)を入れて12時間に撹拌する。セライト(Celite)を利用して固体をフィルターして、捨てて残った溶液を減圧して乾かして赤黒い固体を73mg得た。 IR (KBr) : 2961 (OH), 1607 (C=N) cm-1. H NMR (DMSO-d, 38 oC): δ 8.68(br, 4H, (NO)O), δ. 8.05 (br, 4H, (NO)O), 7.85 (br, 2H, CH=N), 7.30 (br, 4H, m-H), 6.76 (br, 4H, (NO)O), 3.58 (br , 2H, cyclohexyl-CH), 3.09 (br, 48H, NCH), 2.63 (s, 6H, CH), 1.53-1.06 (br, 108H, cyclohexyl-CH2, CH), 0.93-0.85 (m, 54H, CH) ppm.
【0105】
<実施例6> 錯化合物10の製造
下記反応式6によって製造した。
[反応式6]

【0106】
24の製造
窒素雰囲気下で1、7-ジクロロ-4-ヘプタノン(dichloroheptan-4-one)(17.40g、95.04mmol)をジエチルエーテル(285mL)に溶かす。-78℃に温度を低めた後1.5MジエチルエーテルMeLi溶液(80.97g、142.56mmol)をシリンジで、ゆっくり窒素雰囲気下で滴加する。-78℃で2時間に撹拌した後水(170mL)を加えて反応を終結する。ジエチルエーテル(300mL)で3回抽出して有機層だけ集める。無水硫酸マグネシウムで水気をとり除いた後濾過して回転式減圧濃縮器を利用して溶媒をとり除いて反応産物を得る。収率は17.99g(95%)であり、得られた産物を追加精製なしに次の反応に利用することができる。 H NMR (CDCl):δ.3.59 (t, J=6.4Hz, 4H, CHCl), 1.90-1.86 (m, 4H, CH),1.64-1.60 (m, 4H, CH), 1.23 (s, 3H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl):δ.72.32, 45.88, 39.51, 27.60, 27.23 ppm.
【0107】
25の製造
窒素雰囲気下でオルト-クレゾール(o-cresol)(78.17g、722.82mmol)、化合物24(17.99g、90.35mmol)、AlCl(13.25g、99.39mmol)を丸い底フラスコに交ぜた後に徹夜で撹拌する。ジエチルエーテル(500mL)と水(300mL)を入れて反応を終結する。有機層を受けて、水層をジエチルエーテル(300mL)で3回さらに抽出して有機層を集める。無水硫酸マグネシウムで水気をとり除いた後に濾過して回転式減圧濃縮器を利用して溶媒をとり除く。得られた化合物を85℃オイルバスで真空(2mmHg)減圧して過糧で投入したオルト-クレゾール(o-cresol)をとり除く。フラスコに残っている化合物は追加精製なしに次の反応に使用することができる程度に純度が高かったし、収率は25.40g(97%)であった。 H NMR (CDCl):δ.7.01 (d, J=2.0 Hz, 1H, m-H), 6.97 (dd, J=8.0 Hz, 2.0 Hz, 1H, m-H), 6.72 (d, J=8.0 Hz, 1H, o-H), 4.85 (s, 1H, OH), 3.45 (t, J=6.4 Hz, 4H, CHCl), 2.27 (s, 3H, CH), 1.86-1.44 (m, 8H, CH), 1.30 (s, 3H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl):δ.151.79, 138.67, 129.06, 125.02, 123.45, 114.85, 46.20, 41.12, 39.95, 28.09, 24.22, 16.58 ppm.
【0108】
26の製造
化合物25(25.40g、87.83mmol)を窒素雰囲気の下にテトラヒドロフラン(650mL)に溶かす。パラポルムアルデヒド(10.55g、351.32mmol)、塩化マグネシウム(33.52g、351.32mmol)、トリエチルアミン(37.31g、368.89mmol)を窒素雰囲気下に手順でフラスコに入れてくれて、還流冷却装置を連結して5時間に還流させながら撹拌する。回転式減圧濃縮器を利用して溶媒をとり除いた後塩化メチレン(500mL)と水(300mL)を加える。セライト(Celite)を利用して濾過して浮遊物質をとり除いた後、塩化メチレン層を得る。水層を塩化メチレン300mLで3回さらに抽出して、すべての有機層を集める。無水硫酸マグネシウムで水気をとり除いた後濾過して、回転式減圧濃縮器を利用して溶媒をとり除いてオイル形態の化合物を得る。真空ポンプを利用して少し残っているトリエチルアミンをとり除く。得られた化合物のNMR分析結果純度が高くて次の反応で追加精製なしに使用した。収率は26.75g(96%)であった。 H NMR (CDCl):δ.11.14 (s, 1H, OH), 9.87 (s, 1H, CH=O), 7.33 (d, J=2.4 Hz, 1H, m-H), 7.26 (d, J=2.4 Hz, 1H, m-H), 3.47 (t, J=6.4 Hz, 4H, CHCl), 2.30 (s, 3H, CH), 1.90-1.40 (m, 8H, CH), 1.35 (s, 3H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl):δ.196.87, 158.22, 137.56, 136.11, 128.91, 119.69, 45.88, 40.67, 39.98, 27.96, 24.06, 15.81 ppm.
【0109】
27の製造
化合物26(26.75g、84.32mmol)をアセトニトリル(107mL)に溶かす。ヨウ化ナトリウム(126.39g、843.18mmol)を入れて還流冷却装置を連結した後に還流させながら徹夜で撹拌する。常温で冷やした後、水300mLを加える。ジエチルエーテル(300mL)で3回抽出して有機層だけ集める。無水硫酸マグネシウムを入れて有機層の水気をとり除いた後濾過して回転式減圧濃縮器を利用して溶媒をとり除く。ヘキサン-トルエン混合液(5:1)を展開液で使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じて純粋な化合物を得た(22.17g、83%)。 H NMR (CDCl):δ.11.14 (s, 1H, OH), 9.87 (s, 1H, CH=O), 7.33 (d, J=2.4 Hz, 1H, m-H), 7.25 (d, J=2.4 Hz, 1H, m-H), 3.14-3.09 (m, 4H, CHI), 2.30 (s, 3H, CH), 1.87-1.43 (m, 8H, CH), 1.34 (s, 3H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl):δ.196.85, 158.20, 137.50, 136.09, 128.85, 126.93, 119.62, 44.28, 39.95, 28.66, 24.16, 15.81, 7.99 ppm.
【0110】
28の製造
窒素雰囲気下で化合物27(8.56g、17.01mmol)を塩化メチレン(97mL)に溶かす。(±)トランス-1、2-ジアミノシクロヘキサン(0.97g、8.50mmol)を入れて徹夜で撹拌する。溶媒を真空減圧してとり除けば純粋な化合物が得られる。(9.00g、98%)であった。 H NMR (CDCl):δ.13.48 (s, 1H, OH), 8.31 (s, 1H, CH=N), 7.04 (d, J=1.6 Hz, 1H, m-H), 6.91 (d, J=1.6 Hz, 1H, m-H), 3.38-3.35 (m, 1H, cyclohexyl-CH), 3.08-3.03 (m, 4H, CHI), 2.25 (s, 3H, CH), 1.96-1.89 (m, 2H, cyclohexyl-CH), 1.96-1.43 (m, 10H, cyclohexyl-CH and CH), 1.26 (s, 3H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl):δ.165.01, 157.31, 136.12, 131.35, 126.93, 125.54, 117.67, 72.94, 44.47, 39.79, 33.73, 28.72, 24.57, 24.32, 16.28, 8.38, 8.26 ppm.
【0111】
29の製造
窒素雰囲気下で化合物28(0.855g、0.79mmol)をアセトニトリル(8.5mL)に溶かした後トリブチルアミン(1.17g、6.32mmol)を入れて還流冷却装置を連結する。還流させて48時間に撹拌した後回転式減圧蒸溜装置で溶媒をとり除く。ジエチルエーテル(20mL)を入れて15分間撹拌させて固体物質を沈澱させた後溶液をデカント(decant)してとり除いて固体化合物だけ得る。この過程を二度さらに繰り返して淡い美色の固体化合物を得る。得られた固体化合物をAgBF(0.642g、3.30mmol)、エタノール溶液(40mL)に撹拌しながらゆっくり加える。光が遮られた雰囲気で24時間撹拌した後セライト(Celite)を利用して濾過して生成されたAgIをとり除く。溶媒を真空減圧してとり除いた後再び塩化メチレン(6mL)に溶かした後再びセライト(Celite)を利用して濾過して浮遊物をとり除く。溶媒をとり除いた塩化メチレン-エタノール混合液(5:1)を展開液で使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィー通じて純粋な化合物を得た(1.23g、90%)。 H NMR (CDCl):δ.13.55 (s, 1H, OH), 8.42 (s, 1H, CH=N), 7.12 (s, 1H, m-H), 7.08 (s, 1H, m-H), 3.38 (br, 1H, cyclohexyl-CH), 3.06 (br, 16H, NCH), 2.20 (s, 3H, CH), 1.88-1.84 (br, 2H, cyclohexyl-CH), 1.68-1.26 (br, 36H), 0.87-0.86 (br, 18H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl):δ.165.23, 157.79, 135.21, 131.17, 127.18, 125.76, 117.91, 72.05, 59.16, 58.63, 40.16, 38.10, 37.71, 26.45, 24.91, 23.90, 20.31, 19.80, 17.30, 16.01, 13.97, 13.80, 13.79 ppm.
【0112】
10の製造
化合物29(100mg、0.06mmol)とCo(OAc)(10.7mg、0.06mmol)をフラスコに入れてエタノール(3mL)を加えて溶かす。常温で3時間撹拌して減圧して溶媒をとり除く。ジエチルエーテル(2mL)を加えて15分撹拌した後固体物質を沈澱させて上層液をとり除く過程を二度経って赤色の固体化合物を得る。真空減圧して溶媒を完全にとり除いて塩化メチレン(3mL)を加えて溶かした後、2、4-ジニトロフェノール(11.1mg、0.06mmol)を入れて酸素雰囲気下で3時間撹拌する。酸素雰囲気下でソディウム-2、4-ジニトロフェノラート(74.5mg、0.30mmol)を入れて徹夜で撹拌する。セライト(Celite)を利用して濾過して真空減圧して溶媒をとり除いて化合物を得る(137mg、100%)。 H NMR (DMSO-d,38 ℃): δ. 8.65 (br, 2H, (NO)O),δ.7.88 (br, 3H, (NO)O, CH=N), 7.31 (br, 2H, m-H), 6.39 (br, 2H, (NO)O), 3.38 (br, 1H, cyclohexyl-CH), 3.08 (br, 16H, NCH), 2.64 (s, 3H, CH), 2.06-1.85 (br, 2H, cyclohexyl-CH), 1.50-1.15 (br, 36H), 0.86 (br, 18H, CH) ppm.
【0113】
<実施例7> 錯化合物11の製造
3-メチル-5-[{BFBu(CH)}CHC}]-サリチルアルデヒド化合物(493mg、0.623mmol)と2、3-ジアミノ-2、3-ジメチルブタン(36mg、0.311mmol)をフラスコに入れてエタノール4mLと分子体180mgを入れた後窒素雰囲気で12時間に還流させる。セライト(Celite)にフィルターして、分子体をとり除いて減圧して溶媒をとり除いて、黄色の固体を得た。これにCo(OAc)(55mg、0.31mmol)を入れてエタノール10mLに溶かして5時間に常温で撹拌する。そして、減圧してエタノールをとり除いてジエチルエーテルで二度洗浄した後2、4-ジニトロフェノール(57mg、0.311mmol)を添加して、塩化メチレン10mLに溶かした後酸素存在下で12時間撹拌する。ソディウム-2、4-ジニトロフェノラート(320mg、1.56mmol)を加えて再び12時間に撹拌後にセライト(Celite)でフィルターして溶液を減圧してとり除いて、赤黒い固体の結果物736mgを得た。 H NMR (DMSO-d6, 38 ℃): δ 8.62(br, 4H, (NO)O), 7.87 (br, 4H, (NO)O), 7.72 (br, 2H, CH=N), 7.50 (br, 2H, m-H), 7.35 (br, 2H, m-H), 6.47 (br, 4H, (NO)O), 3.11 (br, 32H, NCH), 2.70 (s, 6H, CH), 1.66-1.22 (br, 82H), 0.88 (br, 36H, CH) ppm. 13C{H} NMR (DMSO-d): δ 164.67, 159.42, 132.30, 129.71, 128.86(br), 128.46 (br), 127.42 (br), 124.05 (br), 118.84, 73.92, 57.74, 57.19, 25.94, 23.33, 22.61, 21.05, 18.73, 16.68, 16.43, 12.93 ppm.
【0114】
<実施例8> 錯化合物12の製造
3-メチル-5-[{BFBu(CH)}CH}]-サリチルアルデヒド化合物から作られたキラル(Salen)リガンド(500mg、0.301mmol)とCo(OAc)(53mg、0.30mmol)をフラスコに入れて、エタノール15mLに溶かした後窒素雰囲気で3時間撹拌する。減圧下に溶媒をとり除いてジエチルエーテルで二度洗浄して再び塩化メチレン10mLに溶かした後酸素存在下でHBF(49mg、0.30mmol)を入れて3時間さらに撹拌する。その後減圧して溶媒をとり除いて純粋な化合物520mgを得た。本発明者によって既に公知された方法(Angew. Chem. Int. Ed., 2008、47、7306)に従って製造した。
【0115】
<実施例9> 錯化合物13の製造
3-tert-ブチル-5-[{BFBu(CH)}CH}]-サリチルアルデヒド化合物から作られたキラル(Salen)リガンドを利用して、錯化合物12のような方法で作った。 H NMR (DMSO-d6, 40℃): δ 7.68(s, 1H, CH=N), 7.36 (s, 1H, m-H), 7.23 (s, 1H, m-H), 3.61 (br, 1H, NCH), 3.31-2.91 (br, 16H, NCH), 2.04 (br, 1H, cyclohexyl-CH), 1.89 (br, 1H, cyclohexyl-CH), 1.74 (s, 9H, C(CH)), 1.68-1.35 (br, 20H, CH), 1.32-1.18 (br, 12H, CH), 0.91 (t, J = 7.2 Hz, 18H, CH) ppm. 13C{H} NMR (DMSO-d): δ 161.66, 160.42, 140.90, 129.71, 128.38, 127.31, 117.38, 67.40, 55.85, 33.89, 31.11, 28.70, 27.70(br), 22.58, 21.29, 19.47, 17.45, 15.21, 11.69 ppm.
【0116】
<実施例10> 錯化合物14の製造
化合物10をプロピレンオキサイドに溶かして1時間放置した後真空減圧して得た。 H NMR (DMSO-d): δ 8.59(s, 1H, (NO)O), 8.42 (s, 1H, spiro-Meisenheimer anion), 7.74 (s, 1H, (NO)O), 7.39-6.98(m, 3H, m-H, CH=N), 6.81 (s, 1H, spiro-Meisenheimer anion), 6.29(s, (NO)O), 5.35 (s, 1H, spiro-Meisenheimer anion), 4.43-4.29 (m, 1H, spiro-Meisenheimer anion), 4.21-3.99(m, 2H, spiro-Meisenheimer anion), 3.21(br, 1H, NCH), 3.09 (br, 16H, NCH), 2.93 (m, 3H, spiro-Meisenheimer anion), 2.62(s, 3H, CH), 1.98 (br, 1H, cyclohexyl-CH), 1.62-1.39 (br, 20H, CH), 1.39-1.15 (br, 15H, CH, CH), 0.91 (br, 18H, CH) ppm.
【0117】
<実施例11> 錯化合物35aの製造
【化10】

【0118】
1、7-ジクロロ-4-メチルヘプタン-4-オール(1、7-Dichloro-4-methylheptan-4-ol)の製造
窒素雰囲気下で1、7-ジクロロ-4-メチルヘプタン-フォーワン(1、7-dichloroheptan-4-one))(17.40g、95.04mmol)をジエチルエーテル(285mL)に溶かす。-78℃に温度を低めた後1.5MジエチルエーテルMeLi溶液(80.97g、142.56mmol)をシリンジで、ゆっくり窒素雰囲気下で滴加する。-78℃で2時間に撹拌した後に水(170mL)を加えて反応を終結する。ジエチルエーテル(300mL)で3回抽出して有機層だけ集める。無水硫酸マグネシウムで水気をとり除いた後濾過して回転式減圧濃縮器を利用して溶媒をとり除いて反応産物を得る。収率は17.99g(95%)で得られた産物を追加精製なしに次の反応に利用することができる。
H NMR(CDCl): δ. 3.59 (t, J = 6.4 Hz, 4H, CHCl), 1.90-1.86 (m, 4H, CH), 1.64-1.60 (m, 4H, CH), 1.23 (s, 3H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ. 72.32, 45.88, 39.51, 27.60, 27.23
【0119】
錯化合物35aの製造
窒素雰囲気下でオルト-クレゾール(o-cresol)(78.17g、722.82mmol)、1、7-ジクロロ-4-メチルヘプタン-4-オール(17.99g、90.35mmol)、AlCl(13.25g、99.39mmol)を丸い底フラスコに交ぜた後に徹夜で撹拌する。ジエチルエーテル(500mL)と水(300mL)を入れて反応を終結する。有機層を受けて、水層をジエチルエーテル(300mL)で3回さらに抽出して有機層を集める。無水硫酸マグネシウムで水気をとり除いた後に濾過して回転式減圧濃縮器を利用して溶媒をとり除く。得られた化合物を85℃オイルバスで真空(2mmHg)減圧して過糧で投入したオルト-クレゾール(o-cresol)をとり除く。フラスコに残っている化合物は追加精製なしに次の反応に使用することができる程度に純度が高かったし、収率は25.40g(97%)であった。
【0120】
H NMR(CDCl): δ. 7.01 (d, J = 2.0 Hz, 1H, m-H), 6.97 (dd, J = 8.0 Hz, 2.0 Hz, 1H, m-H), 6.72 (d, J = 8.0 Hz, 1H, o-H), 4.85 (s, 1H, OH), 3.45 (t, J = 6.4 Hz, 4H, CHCl), 2.27 (s, 3H, CH), 1.86-1.44 (m, 8H, CH), 1.30 (s, 3H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ. 151.79, 138.67, 129.06, 125.02, 123.45, 114.85, 46.20, 41.12, 39.95, 28.09, 24.22, 16.58
【0121】
<実施例12> 錯化合物39aの製造
【化11】

【0122】
錯化合物36a製造
錯化合物35a(25.40g、87.83mmol)を窒素雰囲気下にテトラヒドロフラン(650mL)に溶かす。パラポルムアルデヒド(10.55g、351.32mmol)、塩化マグネシウム(33.52g、351.32mmol)、トリエチルアミン(37.31g、368.89mmol)を窒素雰囲気下に手順でフラスコに入れてくれて、還流冷却装置を連結して5時間に還流させながら撹拌する。回転式減圧濃縮器を利用して溶媒をとり除いた後塩化メチレン(500mL)と水(300mL)を加える。セライト(Celite)を利用して濾過して浮遊物質をとり除いた後塩化メチレン層を得る。水層を塩化メチレン300mLで3回さらに抽出して、すべての有機層を集める。無水硫酸マグネシウムで水気をとり除いた後に濾過して回転式減圧濃縮器を利用して溶媒をとり除いてオイル形態の化合物を得る。真空ポンプを利用して少し残っているトリエチルアミンをとり除く。得られた化合物のNMR分析結果純度が高くて次の反応で追加精製なしに使用した。収率は26.75g(96%)であった。
H NMR(CDCl): δ. 11.14 (s, 1H, OH), 9.87 (s, 1H, CH=O), 7.33 (d, J=2.4 Hz, 1H, m-H), 7.26 (d, J=2.4 Hz, 1H, m-H), 3.47 (t, J=6.4 Hz, 4H, CHCl), 2.30 (s, 3H, CH), 1.90-1.40 (m, 8H, CH), 1.35 (s, 3H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ. 196.87, 158.22, 137.56, 136.11, 128.91, 119.69, 45.88, 40.67, 39.98, 27.96, 24.06, 15.81
【0123】
錯化合物37a製造
錯化合物36a(26.75g、84.32mmol)をアセトニトリル(107mL)に溶かす。ヨウ化ナトリウム(126.39g、843.18mmol)を入れて還流冷却装置を連結した後に還流させながら徹夜で撹拌する。常温で冷やした後、水300mLを加える。ジエチルエーテル(300mL)で3回抽出して有機層だけ集める。無水硫酸マグネシウムを入れて有機層の水気をとり除いた後に濾過して回転式減圧濃縮器を利用して溶媒をとり除く。ヘキサン-トルエン混合液(5:1)を展開液で使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー通じて純粋な化合物を得た(22.17g、83%)。
【0124】
H NMR(CDCl): δ. 11.14 (s, 1H, OH), 9.87 (s, 1H, CH=O), 7.33 (d, J = 2.4 Hz, 1H, m-H), 7.25 (d, J = 2.4 Hz, 1H, m-H), 3.14-3.09 (m, 4H, CHI), 2.30 (s, 3H, CH), 1.87-1.43 (m, 8H, CH), 1.34 (s, 3H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ. 196.85, 158.20, 137.50, 136.09, 128.85, 126.93, 119.62, 44.28, 39.95, 28.66, 24.16, 15.81, 7.99
【0125】
錯化合物38a製造
窒素雰囲気下で錯化合物37a(8.56g、17.01mmol)を塩化メチレン(97mL)に溶かす。(±)トランス-1、2-ジアミノシクロヘキサン(0.97g、8.50mmol)を入れて徹夜で撹拌する。溶媒を真空減圧してとり除けば純粋な化合物が得られる(9.00g、98%)。
【0126】
H NMR(CDCl): δ. 13.48 (s, 1H, OH), 8.31 (s, 1H, CH=N), 7.04 (d, J = 1.6 Hz, 1H, m-H), 6.91 (d, J = 1.6 Hz, 1H, m-H), 3.38-3.35 (m, 1H, cyclohexyl-CH), 3.08-3.03 (m, 4H, CHI), 2.25 (s, 3H, CH), 1.96-1.89 (m, 2H, cyclohexyl-CH), 1.96-1.43 (m, 10H, cyclohexyl-CH and CH), 1.26 (s, 3H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ. 165.01、157.31、136.12、131.35、126.93、125.54、117.67、72.94、44.47、39.79、33.73、28.72、24.57、24.32、16.28、8.38、8.26
【0127】
錯化合物39a製造
窒素雰囲気下で錯化合物38a(0.855g、0.79mmol)をアセトニトリル(8.5mL)に溶かした後トリブチルアミン(1.17g、6.32mmol)を入れて還流冷却装置を連結する。還流させて48時間に撹拌した後回転式減圧蒸溜装置で溶媒をとり除く。ジエチルエーテル(20mL)を入れて15分間撹拌させて固体物質を沈澱させた後溶液をデカント(decant)してとり除いて固体化合物だけを得る。この過程を二度さらに繰り返して淡い美色の固体化合物を得る。得られた固体化合物をAgBF(0.642g、3.30mmol)、エタノール溶液(40mL)に撹拌しながらゆっくり加える。光が遮られた雰囲気で24時間撹拌した後セライト(Celite)を利用して濾過して生成されたAgIをとり除く。溶媒を真空減圧してとり除いた後再び塩化メチレン(6mL)に溶かした後再びセライト(Celite)を利用して濾過して浮遊物をとり除く。溶媒をとり除いた塩化メチレン-エタノール混合液(5:1)を展開液で使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィー通じて純粋な化合物を得た(1.23g、90%)。
【0128】
H NMR(CDCl): δ. 13.55 (s, 1H, OH), 8.42 (s, 1H, CH=N), 7.12 (s, 1H, m-H), 7.08 (s, 1H, m-H), 3.38 (br, 1H, cyclohexyl-CH), 3.06 (br, 16H, NCH), 2.20 (s, 3H, CH), 1.88-1.84 (br, 2H, cyclohexyl-CH), 1.68-1.26 (br, 36H), 0.87-0.86 (br, 18H, CH) ppm. 13C{H} NMR (CDCl): δ. 165.23, 157.79, 135.21, 131.17, 127.18, 125.76, 117.91, 72.05, 59.16, 58.63, 40.16, 38.10, 37.71, 26.45, 24.91, 23.90, 20.31, 19.80, 17.30, 16.01, 13.97, 13.80, 13.79
【0129】
<実施例13> 錯化合物40aの製造
【化12】

【0130】
錯化合物40a製造
錯化合物39a(100mg、0.06mmol)とCo(OAc)(10.7mg、0.06mmol)をフラスコに入れてエタノール(3mL)を加えて溶かす。常温で3時間撹拌して減圧して溶媒をとり除く。ジエチルエーテル(2mL)を加えて15分間撹拌した後固体物質を沈澱させて上層液をとり除く過程を二度経って赤色の固体化合物を得る。真空減圧して溶媒を完全にとり除いて塩化メチレン(3mL)を加えて溶かした後、2、4-ジニトロフェノール(11.1mg、0.06mmol)を入れて酸素雰囲気下で3時間撹拌する。酸素雰囲気下でソディウム-2、4-ジニトロフェノラート(74.5mg、0.30mmol)を入れて徹夜で撹拌する。セライト(Celite)を利用して濾過して真空減圧して溶媒をとり除いて化合物を得る(137mg、100%)。
【0131】
H NMR(DMSO-d6, 38℃): δ. 8.65 (br, 2H, (NO)O), δ. 7.88 (br, 3H, (NO)O, CH=N), 7.31 (br, 2H, m-H), 6.39 (br, 2H, (NO)O), 3.38 (br , 1H, cyclohexyl-CH), 3.08 (br, 16H, NCH), 2.64 (s, 3H, CH), 2.06-1.85 (br, 2H, cyclohexyl-CH), 1.50-1.15 (br, 36H), 0.86 (br, 18H, CH) ppm.
【0132】
<実施例14> 錯化合物の構造分析
実施例3及び実施例4で製造した錯化合物7と8化合物に対して深度ある構造分析をした。
【0133】
(1)H、13C及び15NNMRスペクトル及びIRスペクトル
図1、2、3、4、5はそれぞれ7と8のDMSO−d溶媒でH NMRスペクトル、13CNMRスペクトル、13N NMRスペクトル、THF−d及びCDcl溶媒でH NMRスペクトル、及びIRスペクトルを比べて見せてくれる。二つの化合物が全然違った挙動を見せることを確実に分かる。Rがtert-ブチルであるリガンド(配位子)で製造された錯化合物8の場合Hと13CNMRスペクトルですべてシグナルがシャープで四座(tetradentate)キラル(Salen)-Co(III)化合物の典型的な様相を示した。15N NMRスペクトルでも温度に無関に1個のシグナルだけ-163.43ppmで観察された。。
【0134】
Rがメチルであるリガンド(配位子)で製造された錯化合物7のHと13CNMRスペクトルの場合(実施例3)、常温では相当に複雑でブロードなシグナルが得られたし、40℃では単純であるが、ブロードなシグナルが得られたし、80℃ではシャープなシグナルが得られた。H NMRスペクトルの積分で得た[DNP]/[キラル(Salen)-単位体]の比は8で観察された5.0ではなくて4.0に近い。15N NMRスペクトルでは常温では二つのシグナルが-156.32と-159.21ppmで観察されて、40℃では二つのシグナルが崩れ壊れたブロードな一つのシグナルが観察されて、80℃ではシャープなシグナル一つだけが観察された。
【0135】
THF−dやCDClで得た7と8のH NMRスペクトル挙動も全然違う(図4)。8のH NMRスペクトルでは一セットのキラル(Salen)-単位体シグナルが見えてDNPシグナルは相当にブロードである。そして、特異なことは非正常的な部位である-2〜0ppmで少しのシグナルが観察されることであるが、これは少しの常磁性体化合物が存在するということを暗示する。7のH NMRスペクトルの場合も一セットのキラル(Salen)-単位体シグナルだけを見せたが、その化学シフト値が8の物と相当に違う。DNPシグナルは7.88、8.01、及び8.59ppmでブロードに観察されたが、変にも[DNP]/[キラル(Salen)-単位体]の積分比の値が約2.0でDMSO−dで観察された4個のDNPのうちで二つだけ観察されて、二つは観察されなかった。CDClで測定した7と8のH NMRスペクトル挙動はTHF−dで観察されたところと類似である。
【0136】
THF−dで得た15N NMRスペクトルではシグナルが-166.80ppmで鋭く観察されて7の場合-154.32ppmで観察される。二つの化合物のシグナルの化学シフト値の差12.5ppmは単純に置換体効果による差であると見られるには無理がある。イミン(-N=C-C4H4-X)化合物とヒドラゾン(N-N=C-C-X)化合物で15NNMRの化学シフト値は約10の傾きでHammett-type方程式に従うと報告された。メチルとターシャリ-ブチルの置換体値を考慮した時、二つの置換体による化学シフト値の差は1ppm以下である(Neuvonen, K.; Fulop, F.; Neuvonen, H.; Koch, A.; Kleinpeter, E.; Pihlaja, K. J. Org. Chem. 2003、68、2151.)。また、ジピロールメタン(dipyrrolmethene)リガンド(配位子)とこれに製造された亜鉛(II)化合物の場合も水素をエチルで切り替えた時に5N NMR化学シフト値の差は2ppmであった(Wood, T. E.; Berno, B.; Beshara, C. S.; Thompson, Alison, J. Org. Chem. 2006、71、2964.)。実際に7と8を製造するのに使用したリガンド(配位子)段階では化学シフト値の差が2.86ppmで小さい。だから観察された化学シフト値12.5ppmは7と8二つの化合物がそれぞれ異なる構造を持っていることに起因すると結論することができる。温度を変えながらTHF−dで15N NMRを観察した時に7の場合は温度を低めるによってシグナルが相当にブロードになって-75℃でfull width at half maximum(FWHM)値が10ppmであったが、8の場合は相対的に鋭くて-75℃でFWHMが1.5ppmであった。この実験結果は、8はキラル(Salen)の4個のリガンド(配位子)がすべて配位した硬い通常的なキラル(Salen)-Co(III)化合物構造を持っており、7の場合はもうすこしフレキシブルな他の構造を持っていることを暗示する。
【0137】
図5で見るところのように二つの化合物のIRスペクトルの-NO対称振動に該当する1200-1400cm-1部分のシグナルが完全に互いに相異である。
【0138】
(2)化合物構造提案
前記した8化合物のH、13C、及び15NNMRスペクトルはキラル(Salen)の4個のリガンド(配位子)がすべてコバルトに配位した通常的なキラル(Salen)リガンド(配位子)で製造された化合物構造で解釈するのに全然無理がない。ICP−AES、元素分析及び19F NMR分析結果1当量のNaBFが化合物に立ち込めていることを確認した。H NMRスペクトルでDNPシグナルはブロードに観察されて、これはDNPリガンド(配位子)が配位と脱配位を行き来していることを指示する。このような流動の一環で5配位四つ角(square-pyramidal)化合物がすこし存在する可能性があって、5配位四つ角(square-pyramidal)コバルト化合物は常磁性体の化合物で知られている((a) Konig, E.; Kremer, S.; Schnakig, R.; Kanellakopulos, B. Chem. Phys. 1978, 34, 79. (b) Kemper,S.; Hrobarik, P.; Kaupp, M.; Schlorer, N. E. J. Am. Chem. Soc.2009、131、4172.)。これにより、8化合物の場合H NMRスペクトルで常に-2〜0ppm部分で非正常的なシグナルが観察される。
【0139】
7化合物の場合前記構造式で提案したイミンが配位しない構造を仮定すれば、前記分析データを説明することができ、また下記DFT計算と電気化学実験を通じてその構造を証明した。イミンが配位しない代わりに4次アンモニウム塩の対陰イオンであるDNPが四つ配位したことを特徴とある。前記反応式で見せたところのように触媒製造の最後の段階は、CHClに懸濁された5当量のNaDNPと反応させて、[BF]をDNP陰イオンに交換するものである。[DNP]/[Salen-unit]の積分値の比が4.0であり、これは、またもうすこし過糧のNaDNP(10当量)を使用するか、または反応時間をさらに長く与えても大きく変わらない。すなわち、4個のBFのうち一つは置換されなくて残っているようになる。19F NMRスペクトルでBFシグナルが観察されたが8と違い、ICP−AES分析でNaイオンは観察されない事実からBF陰イオンが4次アンモニウム塩の対陰イオンで存在することが分かる。化合物9のように4次アンモニウム塩単位体をさらにたくさん持っているリガンド(配位子)で触媒を製造した時にもたとえNaDNPを相当に過糧で使用して時間を長く置いても4個のDNPだけ含む化合物が得られた。たぶん塩化メチレン溶媒で二つのキラル(Salen)-フェノキシ(Salen-phenoxy)リガンド(配位子)と四つのDNPが配位した8面体(octahedral)構造の配位化合物が得られて、この化合物が形成されることが陰イオン交換反応を誘発すると見られる。コバルト3価メタルは、強酸(hard-acid)で分類されて強酸はソフト(soft)なイミン-ベースよりDNPをさらに好んで、このような風変わりな構造の化合物が得られると見られる。8化合物の場合はtert-ブチルの立体障害がこのような構造の化合物が形成されることを邪魔する。コバルトが-3電荷を有する8面体(octahedral)コバルト(III)化合物は知られた例がある((a) Yagi, T.; Hanai, H.; Komorita, T.; Suzuki T.; Kaizaki S. J. Chem. Soc., Dalton Trans.2002、1126. (b) Fujita, M.; Gillards, R. D. Polyhedron 1988、7、2731.)
【0140】
前記5、9、10化合物のH及び13C NMRスペクトル及びIRスペクトル挙動は7化合物のスペクトラムで観察された挙動と類似でイミンが配位しなかった色違い配位様式の構造を有する化合物で指定することができる。特に、5化合物の場合は本発明者によって既に公知された文献(Angew. Chem. Int. Ed., 2008、accepted)及び出願された特許[大韓民国特許出願第10-2008-0015454号(出願日2008.02.20、発明の名称:共重合体製造工程から触媒を回収する方法);Bun Yeoul Lee、 Sujith S、Eun Kyung Noh、 Jae Ki Min、“A process producing polycabonate and a coordination complexes used therefor" PCT/KR2008/002453 (2008.04.30); Sujith S, Jae Ki Min, Jong Eon Seong, Sung Jea Na, and Bun Yeoul Lee* "A Highly Active and Recyclable Catalytic System for CO/(Propylene Oxide)]で8の構造のようなイミンが配位した通常的なキラル(Salen)-化合物で構造解釈したが、本発明を通じてその構造を前記構造のように直す。
【0141】
化合物6及び11のH及び13C NMRスペクトル及びIRスペクトル挙動は、8化合物のスペクトラムで観察された挙動と類似でイミンが配位した通常的なキラル(Salen)-化合物の構造で指定することができる。
【0142】
(3)DFT計算
イミンが配位しなかった色違い配位様式の7化合物の構造とそれと異性質体関係にある通常的なイミンが配位して、二つのアキシャルサイト(axial site)に二つのDNPが配位して、残り二つのDNPはフリー(free)状態で存在する構造の化合物とエネルギー準位を見るためにDFT計算を遂行した。図6は計算で得られた7構造の一番安定な配座(conformation)を見せてくれる。その結果は本発明で主張する色違い配位様式の7化合物の構造のエネルギー準位が通常的なイミンが配位した構造に比べて132Kcal/molさらに安定した。このエネルギー準位差は相当なものである。
【0143】
(4)DNPリガンド(配位子)の流動性
触媒製造の最後の段階である陰イオン交換反応に使用した塩化メチレンでH NMRを見れば、化合物7、9、10に対しては8.4、8.1、及び7.9ppmでDNPシグナルが[DNP]/[Salen-unit]積分比が2.0を見せて観察される(図4)。すなわち、4個のDNPのうちで二つだけ観察されて、二つは観察されないが、これは二つのDNPが配位状態と脱配位状態をNMRタイム水準で行き来しているからである。反面、5化合物の場合は4個のDNPシグナルが同一な部分ですべて観察された。観察されたDNPシグナルの化学シフト値が[BuN]+[DNP]-の化学シフト値と完全に相異であって、観察されたシグナルは配位されたDNPに起因すると見られる。すなわち7、9、10化合物は塩化メチレン溶媒で、常温で二つのDNPは配位された状態であって、残り二つは配位状態と脱配位状態を行き来している状態にある。5化合物の場合は4個のDNPがすべて配位された状態にある。図7はイミンが配位しなかった色違い構造を有する化合物に対して溶媒によって常温でDNPがどのような状態にあるかを見せてくれる図である。この結果は、最後の陰イオン反応で得られた化合物の構造が二つのSalen-phenoxyと4個のDNPが配位された8面体(octahedral)配位体という前記主張とDFT計算で採択した構造が当たるものであることを証明する。
【0144】
THF−dで、常温で測定した7のH NMRスペクトルを見れば塩化メチレンで測定した結果と同じく8.6、8.1及び7.9ppmで配位された二つのDNPだけ観察される(図4)。温度を0℃に低めれば観察されたシグナルがさらに鋭くなって、カップリング様相を見られる。H-H COSY NMRスペクトルを測定して配位されたDNPシグナルを明快に解釈することができる(図8)。温度をさらに-25℃まで低めれば新しいDNPシグナルが観察される(図8で*で表示したシグナル)。この新しいシグナルの化学シフト値は[BuN]DNP-の化学シフト値と類似で、これを脱配位された状態に長く留まるDNPで解釈可能である。70℃では4個のDNPがすべて9.3、9.0、及び7.8ppmでブロードに一セットで観察される。これは配位されたDNPシグナル化学シフトと類似で、4個のDNPがすべて配位された状態に長く留まると見られる。すなわち、温度が上がることによって平均的にDNPがコバルトセンターにさらに密着していると見られる。脱配位されたDNP周りは安定化させるために溶媒が取り囲むようになって、これはエントロピーが減る反応である。このようにエントロピーが減る脱配位反応は低い温度で有利で温度を低めることによって脱配位されたシグナルが観察されて、反対に温度が高い状態では配位された状態で転移するものである。類似現象である温度を低めることによる接触イオン対(contact ion pair)からsolvent separated ion pair(SSIP)への平衡の転移はよく知られた事実である((a) Streitwieser Jr., A.; Chang, C. J.; Hollyhead, W. B.; Murdoch, J. R. J. Am. Chem. Soc. 1972、94、5288. (b) Hogen- Esch, T. E.; Smid, J. J. Am. Chem. Soc. 1966, 88, 307. (c) Lu, J.-M.; Rosokha, S. V.; Lindeman, S. V.; Neretin, I. S.; Kochi, J. K. J. Am. Chem. Soc. 2005、127、1797.)図8は、THF−dで7のVT H NMRスペクトルを見せてくれる。
【0145】
通常的なイミンが配位したキラル(Salen)化合物8のTHF−dで温度変化によるHNMRスペクトルの挙動は7で観察されたところと全然違う。これは、また7と8が全然違った構造を持っていることを見せてくれる証拠である。温度を0℃に低めることによってすべてのDNPシグナルがさらにブロードになって全然観察されない。−25℃では相対的に鋭いDNPシグナルセットが8.1、7.6、及び6.8ppmで[DNP]/[Salen-unit]積分比値2.0の値に観察される。また、相当にブロードな一セットのシグナルが8.9、8.0、及び6.8ppmで観察されるが、これの化学シフト値は、7で観察された脱配位状態に長く留まるDNPの化学シフト値(8.7、8.0、及び6.8ppm)と類似である。−50℃では二つのセットのシグナルすべてがさらに鋭くなって、二つのセットのDNPシグナルを確実に見られる。8.1、7.6、及び6.8ppmで観察されたDNPシグナルは、通常的なキラル(Salen)配位化合物のアキシャルサイト(axial site)に配位された二つのDNPと指定することができ、8.9、8.0、及び6.8ppmで観察される他の一セットのシグナルは、脱配位された状態のシグナルで指定することができる。
【0146】
リガンド(配位子)構造によるTHFで、常温でDNP状態をH NMRで糾明した。7の場合単に二つの配位されたDNPシグナルだけ一セットに観察されて、残り二つは観察されなかった。観察されない二つのDNPは、配位状態と脱配位状態を行き来していることを暗示する。反面に5、9、10の場合は、配位された2個のDNPシグナル一セットと脱配位された状態に主に留まる2個のDNPシグナル一セットで二つのセットのDNPシグナルがすべて観察される。9、10で観察された脱配位された状態に主に留まる2個のDNPシグナルは5で観察されるものに比べて相当にさらにブロードである。これは5でより9、10で脱配位された状態にさらに少なく留まるということを暗示する。結論的に、脱配位された状態に主に留まる2個のDNPの配位された状態に留まる程度(コバルトに対する結合親和性(binding affinity)は7>9、10>5の手順である。
【0147】
5、7、9、及び10のDMSO−dで、40℃でH NMRスペクトルを見れば4個のDNPすべてが一セットのブロードなシグナルに観察される(図1)。これの化学シフト値(8.6、7.8、及び6.4ppm)は[BuN]DNPの化学シフト値(8.58、7.80、6.35ppm)と類似である。だから40℃で4個のDNPがすべて主に脱配位された状態に留まると見られる。しかし、シグナルが相当にブロードなことから見て、配位と脱配位を行き来していることを排除することができない。常温では他の一セットのDNPシグナルが8.5、8.1、7.8ppmで他の脱配位された状態に主に留まるDNPシグナルセットと共に1:3の積分比で観察される。少なく観察されるDNPシグナルの化学シフト値がTHF及び塩化メチレンで観察された配位されたDNPの化学シフト値と類似なことから見て、これを配位されたDNPで指定することができる。すなわち、DMSOで、常温で1個のDNPは主に配位された状態に留まって、他の三つのDNPは脱配位された状態に留まる。DNPが脱配位されて生成された空席にDMSOが配位されていると見られる。DMSOはコバルト3価メタルのように強酸に配位を相当によくする。
【0148】
(5)DMSO−dで観察された複雑なNMRスペクトル分析
DMSO−dで観察された複雑な7のH、13C、及び15N NMRスペクトルを前記提示したイミンが配位しなかった色違い構造及びDNPの状態で理解することができる。図7で提示したDMSOで、常温で化合物7の構造及び状態で、一つのキラル(Salen)-単位体が持っている二つのフェノキシ(phenoxy)リガンド(配位子)は互いに相異な状況に置かれるようになる。一つは、DMSOに対してtrans-位置にあって、他の一つは、DNPに対してtrans-位置にある。それで、15N NMRスペクトル(図3)で二つのシグナルが観察されて、またH及びCNMRスペクトルで芳香族シグナル(aromatic signal)の一部が1:1比に分けられる(図1、2)。特異なことは、NCHCHNシグナルが4.3、4.15、及び4.1ppmで1:1:2比に分けられて観察されるものである。H-H COSY NMRスペクトル分析した結果、三つのシグナルが一つのNCHCHN-単位体で起因することを見られる(図1)。DFT計算で得られた構造で=NCHCHN=単位体周面の配座(conformation)を見せて、図6で見せた構造に近い。このような構造でコバルト八方面体の構造異性質体への変換は不可能であるので、3個のDMSOが配位しており、一つのDNPが配位しているこのような構造はキラル(chiral)である。このようなキラリティー(chirality)性によってN−CHの二つの水素は互いに違う位置でNMRシフトを示す。5、10錯化合物のようなキラル中心を有する錯化合物の場合、Hと13CNMRがずっと複雑に現われる。温度を40℃にあげることによって配位していた二つのDNPシグナルが消えて一つのブロードなシグナルで現われる。この場合、非対称の配位環境が割れるようになって、簡単なキラル(Salen)-リガンド(配位子)のシグナルが現われる。THFとCHClではコバルト周りの配位環境が図7のように常温でも対称をなすので、シャープなキラル(Salen)リガンド(配位子)シグナルがH、13C、そして15N NMRで現われる。
【0149】
(6)サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetric、CV)実験
CV実験も5と6が全然違った構造を持っていることを間接的に証明する。仮に、5と6が同一な構造を持っていたらメチルを置換基で持っている化合物5でもうすこし還元反応がよく起きることを期待することができる。メチルがターシャリ-ブチルに比べて電子供与能力が劣って、これによりコバルトセンターが、電子が不十分に豊かで、電極から電子がさらに易しく入ることができるからである。しかし、観察された結果はそれと反対である。メチルを置換体で持っている5が6より還元がさらに陰のポテンシャルで起きる。観察されたCo(III/II)のE1/2値は5と6化合物それぞれに対して−0.076と−0.013V vs. SCEである。二つの化合物の還元ポテンシャル差63mVは小さな値ではない。ネルンストの式(Nernst equation)(E=Eo−(0.0592)log{[Ox]/[Red]})から還元ポテンシャル差59mVは同一なポテンシャルで[Co(II)]/[Co(III)]比が、10倍差があるということを意味する。
【0150】
反面、DNPリガンド(配位子)を全然持っていない化合物12及び13は、塩化メチレンのように配位能力がない溶媒ではリガンド(配位子)にメチルが付いていても、またはターシャリ-ブチルが付いていても構わなく、通常的なイミンが配位された同一な構造を有するものとして予想される。化合物12及び13を持って塩化メチレンでCV研究をした時二つの化合物が同一な還元ポテンシャル(0.63V vs. SCE)を見せる。すなわち、同一な構造ではメチル、ターシャリ-ブチル置換体の差による還元ポテンシャル差がないというものとして前記還元ポテンシャル差は二つの化合物が互いに相異な配位形態を有することを暗示する。溶媒をCHClでDMSOに変えれば、還元ポテンシャル値がまた差があって、DMSOで観察された12及び13の還元ポテンシャル値(-0.074及び-0.011V vs. SCE)はDMSOで観察された5と6の還元ポテンション値(-0.076及び-0.013V vs. SCE)と類似である。DMSOはコバルト3価メタルに配位をよくするリガンド(配位子)であるので、DMSO溶媒ではメチル置換体を持っている12化合物に四つのDMSOが配位しながらイミンが配位しない5のような風変わりな配位形態で転移すると見られる。
【0151】
(7)開始反応
化合物10は、プロピレンオキサイドと反応する。図9は、化合物10または8とプロピレンオキサイドとの反応を見せてくれるH NMRスペクトルである。*で表示したシグナルが新たに生成されたシグナルで、化合物14で見せてくれるマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンである。DNPが配位されたプロピレンオキサイドを攻撃して得られたアルコキシドの酸素がベンゼン環のipso−位置を再攻撃して形成された陰イオンである。キラル(Salen)の芳香族シグナルが7.0〜7.4ppmで相当に複雑に観察されるが、これはキラル(Salen)-単位体が破壊されて、そのように観察されるものではない。プロピレンオキサイドと反応させて得られた化合物に過糧にアセット酸を添加すれば単純な三つのキラル(Salen)芳香族シグナルが観察される事実がキラル(Salen)-単位体が破壊されなかったことを暗示する。マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンは[マイゼンハイマー(Meisenheimer)陰イオン]/[DNP]積分比が1:1である段階で止める。初期1時間にDNPがマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンで転換速度が相当に早くて[マイゼンハイマー(Meisenheimer)陰イオン]/[DNP]積分比が1:1に到逹するが、その後反応がそれ以上進まなくて2時間後にもその積分比は変わらない。マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンは既にずいぶん前に知られた構造の化合物である(Fendler, E. J.; Fendler, J. H.; Byrne, W. E.; Griff, C. E. J. Org. Chem. 1968, 33, 4141. (b) Bernasconi, C. F.; Cross, H. S. J. Org. Chem. 1974、39、1054.)
【0152】
DNPがマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンに転換される速度が、水が一定量以上存在すれば相当に落ちることが観察される。コバルト対比5当量の水が存在時には速度に別に差が観察されなかったが水を50当量投入した時は、その速度が格段に減って[マイゼンハイマー(Meisenheimer)陰イオン]/[DNP]積分比が1時間後0.47、2時間後に0.53、4時間後にも14形態の化合物が得られないで積分比値が0.63に留まった(図8)。
【0153】
通常的なイミンが配位した構造の化合物8のプロピレンオキサイドとの反応性はイミンが配位しなかった色違い配位様式の化合物10で観察されたところと違う。同一なマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンが観察されるが[マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオン]/[DNP]の積分比値が1.0で止めないで時間が経つにつれて漸次的に増加することが観察される(1時間、0.96;2時間、1.4;7時間、1.8;20時間、2.0)。また、10で観察されたところと全然違った様相は、-1〜0.5ppm間で相当量のブロードなシグナルが観察されるが、これは常磁性体性質のコバルト(II)化合物への還元反応が起きたことを暗示する。このシグナルは時間が経つにつれてますますさらに増加する。コバルト2価化合物は触媒活性がない。
【0154】
<実施例15> 二酸化炭素/プロピレンオキサイド共重合の製造工程
(a)実施例3−10の錯化合物を触媒で利用した共重合
50mLボンベ反応器(bomb reactor)に実施例3-10で製造された錯化合物(7.58単量体/触媒比によって計算された量)とプロピレンオキサイド(10.0g、172mmol)をドライボックスに入れて反応器を組立てた。反応器をドライボックスから取り出すやいなや二酸化炭素を18bar圧力で注入してあらかじめ温度が80℃で調整されたオイルバスに反応器をつけて撹拌を始めた。二酸化炭素圧力が劣り始める時点の時間を測定して記録して、その時点後反応を1時間させた後二酸化炭素ガス圧力を抜いて反応を終決させた。得られた粘液性の溶液に単量体10gをさらに投入して、溶液の粘度を低めた後シリカゲル(400mg、メルク社製造、0.040〜0.063mm粒径(230〜400メッシュ)カラムを通過させて無色の溶液を得た。単量体を真空減圧してとり除いて白色固体を得た。得られた高分子の質量を測定してTON(Turn over Number)を計算した。得られた高分子のH NMRスペクトルを分析して選択性を計算した。得られた高分子の分子量は、GPCを利用してポリスチレンスタンダードにキャリブレーション(calibration)して得た。
【0155】
(b)実施例13の錯化合物を触媒で利用した共重合
50mLボンベ反応器(bomb reactor)に前記実施例13で製造された化合物40a(6.85mg、0.0030mmol、単量体/触媒=50,000)とプロピレンオキサイド(9.00g、155mmol)を入れて反応器を組立てた。80℃であらかじめ温度が調整されたオイルバスに反応器をつけて約15分間撹拌して反応器温度がバス温度と平衡をなすようにした。20barの二酸化炭素ガス圧力を加えた。30分後反応が進行されながら二酸化炭素圧力が劣ることを観察することができた。20barの圧力で二酸化炭素を続いて1時間注入した。得られた粘液性の溶液に単量体10gをさらに投入して溶液の粘度を低めた後にシリカゲル(400mg、メルク社製造、0.040-0.063mm粒径(230-400メッシュ))パッドを通過させて無色の溶液を得る。単量体を真空減圧してとり除いて2.15gの白色固体を得た。これはTON(Turnover Number)が6100であり、TOF(Turnover Frequency)が9200h-1である活性度に該当する。得られた高分子のGPCを利用して測定された分子量(Mn)は、89000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.21である。H NMRで分析されたポリマー形成に対する選択性は96%である。
【0156】
<実施例16> 共重合体及び触媒の回収工程
5、7、10構造の化合物の場合、下のような方法で触媒を回収した。実施例12のシリカカラム上端部分のコバルト触媒成分を含めて色をたたえる部分を捕執してNaBFで飽和されたメタノール溶液に分散させて赤色溶液が修得された。前記赤色溶液を濾過して、NaBFに飽和されたメタノール溶液でシリカが無色になるまで2回洗浄して修得された溶液を捕執して溶媒を真空減圧下にとり除いた。得られた固形物に塩化メチレンを入れてくれれば茶色のコバルト化合物は塩化メチレンに溶解されてNaBFは白色固体に溶解されなくて分離することができた。塩化メチレン溶液に前記使用した触媒モル数当たり2当量の固相の2、4-ジニトロフェノールと4当量のソディウム2、4-ジニトロフェノラートを投入して一晩中撹拌する。濾過して塩化メチレン溶液を取って溶媒をとり除いて茶色の粉末を得た。このように回収された化合物をH NMR分析した時触媒化合物と同一であることを確認したし、共重合反応にも類似な活性を見えることを確認した。
【0157】
表1は、各触媒の重合反応性を整理して見せてくれる。
【0158】
【表1】

各触媒の重合反応性
【0159】
重合条件:PO(10g、170mmol)、[PO]/[Cat]=100,000、CO(2.0-1.7MPa)、温度70-75℃、反応時間60分。サイクリックカーボネートを含んだポリマーの質量を土台で計算。c1H NMRを通じて計算。ポリスチレンを基準でGPCを利用して測定。インダクション時間が配置によって1-10時間を示す。f220gのPOを使用した重合。
【0160】
上の表1を見ればイミンが配位した通常的な構造の化合物、6、8、及び11は重合活性が具現されないか、または活性が格段に低い。反面、本発明の特徴であるイミンが配位しない風変わりな構造の化合物5、7、10は重合活性が特別に優秀なことを見られる。不思議なことにイミンが配位しない風変わりな構造を有するが、6個のアンモニウム単位体を含む化合物9は活性を見せなかった。
【0161】
活性の手順(TOF)は、5>10>7であるが、これはコバルトに配位脱配位を行き来する弱くバインディング(binding)するDNPのコバルトに対する結合親和性(binding affinity)手順の逆順である。
【0162】
10化合物で相当に多い重合実験を実施した。夏季の温度が高くて湿度が高い条件ではひどいインダクションタイムの変化(1〜12時間)が観察された。インダクションタイムが経った後に重合反応速度はほとんど一定に得られた(TOF、9,000〜11,000h−1)。重合反応器を組立てるドライボックス内に浸透して入って行く水の量が夏季には無視することができないし、このような場合重合反応系が水を吸収するようになって、水の量によってインダクションタイムが変わると見られる。実際に乾燥して温度が低い冬季にはインダクションタイムが1時間で減ったが、この時、追加で水をさらに入れてくれれば(コバルト対比50当量)インダクションタイムが3時間に増加することを観察した(エントリー10)。水を非常に多く投入すれば(250当量)重合が全然進行されなかった。
【0163】
水が一定量以上存在すればDNPがプロピレンオキサイドを攻撃する開始反応速度が相当に減ったことを前記NMRで明かした(図9)。一応、プロピレンオキサイドと反応させて得られた15化合物を触媒で使えば水の量に対するインダクションタイムがひどく変化する問題が解決されることを確認した(順番13)。15化合物を触媒で利用すれば水に対する敏感度が減って[プロピレンオキサイド]/[触媒]比が150000:1でも重合が具現されてTONをさらに向上させることができる(エントリー14)。この条件で10化合物はいくらプロピレンオキサイドの精製をよくしても全然重合活性を見せなかった。15化合物はプロピレンオキサイドに化合物10を濃く溶かして1時間反応させて得る。この製造反応条件では[プロピレンオキサイドに残存する水]/[化合物10]比を無視することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表現される錯化合物。
[化学式1]
[LMX]X
(前記化学式1のうち、Mは金属元素であり;
LはL−typeまたはX−typeリガンド(配位子)であり;
aは1、2、または3であり;aが1である場合Lは陽子団を2個以上含み、aが2または3である場合それぞれのLは互いに同じであるか、または違うことができ、また互いに連結されて二座(bidentate)または三座(tridentate)リガンド(配位子)として金属にキレート化されることができ、少なくとも一つのLは陽子団を1個以上含み、Lが含んでいる陽子団の総数は2以上であり、
Xはそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;ハロゲン原子、又は、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むかまたは含まない(C6−C20)アリールオキシアニオン、(C1−C20)アルキルカルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンであり、
bとcは、“(b+c)=(Lが含んでいる陽子団の総数)+[(金属の酸化数)−(LのうちでX−typeリガンド(配位子)の個数)]”の関係式を満足させ、
前記マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンは下記構造の化合物である)
【化3】


(ここで、Rはメチルまたは水素であり、R’は水素及びニトロ(−NO)のうちから選択されるが、5個のR’のうちで少なくとも一つはニトロ(−NO)である)
【請求項2】
前記Lが含んでいる陽子団が下記化学式2aの作用基、化学式2bの作用基、または化学式2cの作用基であり、Mがコバルト3価またはクロム3価であることを特徴とする請求項1に記載の錯化合物。
[化学式2a]

[化学式2b]

[化学式2c]

(ここで、Gは窒素または燐原子であり、
11、R12、R13、R21、R22、R23、R24、及びR25はそれぞれ独立的に、ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル;またはヒドロカルビルに置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R11、R12及びR13のうち2個、またはR21、R22、R23、R24及びR25のうち2個が互いに連結されて環を形成することができ、
31、R32及びR33はそれぞれ独立的に、水素ラジカル;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル;またはヒドロカルビルに置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R31、R32及びR33のうち2個は互いに連結されて環を形成することができ、
X’は酸素原子、硫黄原子またはN−R(ここで、Rは水素ラジカル;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル)である)
【請求項3】
前記化学式1のLが下記化学式3のリガンド(配位子)であり、aが2または3であり、Mがコバルト3価またはクロム3価であることを特徴とする請求項2に記載の錯化合物。
[化学式3]

(ここで、Aは酸素または硫黄原子であり、
ないしRはそれぞれ独立的に、水素ラジカル;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル;ヒドロカルビルに置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;前記Rのアルキルまたはアルケニルは(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルにさらに置換されることができるし;RないしRのうち2個が互いに連結されて環を形成することができ、RないしRのうち少なくとも一つ以上は前記化学式2a、化学式2b及び化学式2cのうちで一つ以上を含んで、それぞれのLは互いに同じであるか、または違うことができ、互いに連結されて二座(bidentate)または三座(tridentate)リガンド(配位子)として金属にキレート化されることができる)
【請求項4】
前記錯化合物が下記化学式5であることを特徴とする請求項3に記載の錯化合物。
[化学式5]

(ここで、A及びAは酸素または硫黄原子であり、
Xはそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C20)アリールオキシアニオン、(C1−C20)アルキルカルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンであり、
41、R42、R43、R44、R45及びR46は、水素、tert-ブチル、メチル、エチル、イソプロピル、−[YR513−m{(CR5253)nN+R545556}m]のうちから選択されることで、R41、R42、R43、R44、R45及びR46のうちで少なくとも一つは−[YR513−m{(CR5253)545556}m]である。ここで、Yは炭素または珪素原子で、R51、R52、R53、R54、R55、及びR56はそれぞれ独立的に、水素ラジカル;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカルであり;ヒドロカルビルに置換された14族金属のメタロイドラジカルであって、R54、R55及びR56のうち2個が互いに連結されて環を形成することができ、mは1ないし3のうち一つの整数で、nは1ないし20のうちで一つの整数であり、
(b+c)−1の値は前記化学式5の錯化合物が含むすべての−[YR513−m{(CR5253N+R545556]ラジカルのmの和と同一な整数値である)
【請求項5】
41、R43、R44及びR45はそれぞれ独立的に、tert-ブチル、メチル、エチル、及びイソプロピルでなされた群から選択されるものであり、R42及びR46は−[CH{(CHN+Bu]または−[CMe{(CHN+Bu]であり、b+cは5であることを特徴とする請求項4に記載の錯化合物。
【請求項6】
前記錯化合物が下記化学式6であることを特徴とする請求項3に記載の錯化合物。
[化学式6]

(前記化学式6のうち、A及びAは酸素または硫黄原子であり、Xはそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C20)アリールオキシアニオン、(C1−C20)アルキルカルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンであり、
62とR64は、tert-ブチル、メチル、エチル、イソプロピル、または水素のうちから選択されるものであり、R61とR63は-[YR513-m{(CR5253)nN545556}m]である。(ここで、Yは炭素または珪素原子であり、R51、R52、R53、R54、R55及びR56はそれぞれ独立的に、水素ラジカル;ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルラジカル;ヒドロカルビルに置換された14族金属のメタロイドラジカルであって、R54、R55及びR56のうち2個が互いに連結されて環を形成することができ、mは1ないし3のうち一つの整数であり、nは1ないし20のうちで一つの整数であり、
b+c−1の値はmの値の二倍と同一な整数値であり、
は二つのフェニルを連結する化学結合または2価有機架橋基である)
【請求項7】
前記化学式6で、Aは化学結合、(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか
【化4】


【化5】


または前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンはハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を1個以上含んで、前記R87及びR88は(C1−C20)アルキル、(C3−C20)シクロアルキル、(C1−C15)アルキル(C6−C20)アリール、または(C6−C20)アリール(C1−C15)アルキルであり、Qは二つの窒素を連結する2価有機架橋基であることを特徴とする請求項6に記載の錯化合物。
【請求項8】
前記Qは、(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか、または前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンはハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を1個以上含むことを特徴とする請求項7に記載の錯化合物。
【請求項9】
前記R61とR63は−[CH{(CHN+Bu]または−[CMe{(CHN+Bu]であり、前記
【化5】

においてQはtrans-1、2-シクロヘキシレンまたはエチレンであり、前記Xは独立的に2、4−ジニトロフェノラートまたはBFであることを特徴とする請求項8に記載の錯化合物。
【請求項10】
b+cは5個であり、5個のXのうちで一つはBF−であり、二つは2、4−ジニトロフェノラートであり、二つは下記化学式10の陰イオンであることを特徴とする請求項9に記載の錯化合物。
[化学式10]

(ここで、Rはメチルまたは水素である)
【請求項11】
前記錯化合物が下記化学式11であることを特徴とする請求項8に記載の錯化合物。
[化学式11]

(前記化学式11で、BないしBは独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20)シクロアルキレンであり;
26は1次または2次(C1−C20)アルキルであり;
27ないしR29は独立的に(C1−C20)アルキルおよび(C6−C30)アリールから選択されて;
Qは二つの窒素原子を連結するために結合する2価有機架橋基であり;
ないしZは独立的にハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;または、ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C30)アリールオキシアニオン;(C1−C20)カルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;及びマイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンから選択されて、コバルトに配位されたZないしZのうち一部は脱配位されることができる)
【請求項12】
前記BないしBは独立的に(C2−C6)アルキレンであり;R26は(C1−C7)アルキルであり;R27ないしR29は独立的に(C1−C7)アルキルであり;Qはエチレン、trans-1、2-シクロヘキシレンまたは1、2-フェニレンであり;ZないしZは独立的に2、4-ジニトロフェノラートまたはBFから選択される請求項11に記載の錯化合物。
【請求項13】
前記BないしBはプロピレンであり、R26及びR27はメチルであり、R28及びR29はブチルであり、Qはtrans-1、2-シクロヘキシレンであり、ZないしZは独立的に2、4-ジニトロフェノラートまたはBFから選択される請求項12に記載の錯化合物。
【請求項14】
請求項1ないし13のうちでいずれか一つによる錯化合物を触媒として使用してエポキシ化合物及び二酸化炭素を共重合する段階を含むポリカーボネートの製造方法。
【請求項15】
前記エポキシ化合物はハロゲンまたはアルコキシで置換または非置換された(C2−C20)アルキレンオキサイド;ハロゲンまたはアルコキシで置換または非置換された(C4−C20)シクロアルキレンオキサイド;及びハロゲン、アルコキシ、アルキルまたはアリールで置換または非置換された(C8−C20)スチレンオキサイドでなされた群から選択される請求項14に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項16】
請求項14のポリカーボネート製造方法によって得られた共重合体及び触媒が溶解されている溶液を前記溶液に溶解されない無機物質、高分子物質及びこれらの混合物から選択された固相と接触させて、前記固相と触媒から生成された複合体を形成させて前記共重合体溶液を分離する段階;
前記固相を溶解させることができない媒質のうちで、前記複合体を酸または非反応性陰イオンの金属塩で処理して酸−塩基反応または塩複分解反応させる段階;及び
X陰イオンを含む塩を利用して塩複分解反応させる段階;
を含む、錯化合物を分離回収する方法。
(前記Xは請求項1のXと同一である。)
【請求項17】
前記共重合体と触媒が溶解されている溶液を無機物質、高分子物質及びその混合物から選択される固相が溶解されている溶液に添加した後濾過するか、または共重合体と触媒が溶解されている溶液を前記固相に充填されたカラムを通過させて分離回収することを特徴とする、請求項16に記載の錯化合物を分離回収する方法。
【請求項18】
前記固相の無機物質が表面改質されるか、または表面改質されないシリカまたはアルミナであり、固相の高分子物質がアルコキシアニオンによって陽子脱離反応性作用基を持っている化合物であることを特徴とする、請求項17に記載の錯化合物を分離回収する方法。
【請求項19】
前記アルコキシアニオンによる陽子脱離反応性作用基がスルホン酸基、カルボキシル酸基、フェノール基またはアルコール基であることを特徴とする、請求項18に記載の錯化合物を分離回収する方法。
【請求項20】
請求項14のポリカーボネート製造方法によって得られた共重合体及び触媒が溶解されている溶液をシリカと接触させてシリカ−触媒の複合体を形成することで前記共重合体を分離する段階;
シリカを溶解させることができない媒質のうちで、前記シリカ−触媒の複合体を酸または非反応性陰イオンの金属塩で処理して酸−塩基反応または塩複分解反応させる段階;及び
X陰イオンを含む塩を利用して塩複分解反応させる段階;
を含む、請求項16に記載の錯化合物を分離回収する方法。
【請求項21】
前記酸が塩酸または2、4-ジニトロフェノールであり、非反応性陰イオンの金属塩がDBFまたはDClO(DはLi、NaまたはKである)であることを特徴とする、請求項14または20に記載の錯化合物を分離回収する方法。
【請求項22】
前記X陰イオンを含む塩は、Cl陰イオンまたは2、4−ジニトロフェノラート陰イオンを含む塩であることを特徴とする、請求項14または20に記載の錯化合物を分離回収する方法。
【請求項23】
Lと金属塩を反応させてLと金属を結合する段階;及び
前記Lと金属元素が結合後、酸(HX)を加えて酸素存在下で反応させて金属元素を酸化してX陰イオンが金属元素に配位結合する段階;
を含む下記化学式1の錯化合物の製造方法。
(前記L及びXは下記化学式1のものと同一である。)
[化学式1]
[LMX]X
(前記化学式1のうち、Mは金属元素であり;
LはL−typeまたはX−typeリガンド(配位子)であり;
aは1、2、または3であり;aが1である場合Lは陽子団を2個以上含んで、aが2または3である場合それぞれのLは互いに同じであるか、または違うことができ、また互いに連結されて二座(bidentate)または三座(tridentate)リガンド(配位子)として金属にキレート化されることができ、少なくとも一つのLは陽子団を1個以上含んで、Lが含んでいる陽子団の総数は2以上であり、
Xはそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン;BF;ClO;NO;PF;HCO;又は、ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及び燐原子のうちで一つ以上を含むか、または含まない(C6−C20)アリールオキシアニオン、(C1−C20)アルキルカルボキシアニオン;(C1−C20)アルコキシアニオン;(C1−C20)アルキル炭酸アニオン;(C1−C20)アルキルスルホン酸(alkylsulfonate)アニオン;(C1−C20)アルキルアミド(amide)アニオン;(C1−C20)アルキルカルバメートアニオン;マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンであり、
bとcは、“(b+c)=(Lが含んでいる陽子団の総数)+[(金属の酸化数)−(LのうちでX−typeリガンド(配位子)個数)]”の関係式を満足させる。
前記マイゼンハイマー(Meisenheimer)塩の陰イオンは下記構造の化合物である)
【化3】

(ここで、Rはメチルまたは水素であり、R’は水素及びニトロ(−NO)のうちから選択されるが5個のR’のうち少なくとも一つはニトロ(−NO)である)。
【請求項24】
下記化学式17の化合物。
[化学式17]

(前記化学式17で、BないしBは独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20)シクロアルキレンであり;
26は1次または2次(C1−C20)アルキルであり;
27ないしR29は独立的に(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリールから選択され;
Qは二つの窒素原子を連結するために結合する2価有機架橋基であり;
はそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン、BF、ClO、NOまたはPF6から選択される)
【請求項25】
前記化学式1で、Qは(C6−C30)アリーレン、(C1−C20)アルキレン、(C2−C20)アルケニレン、(C2−C20)アルキニレン、(C3−C20)シクロアルキレンまたは融合された(C3−C20)シクロアルキレンであるか、または前記アリーレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたは融合されたシクロアルキレンはハロゲン原子、(C1−C7)アルキル、(C6−C30)アリールまたはニトロ基から選択される置換基でさらに置換されることができるか、または酸素、硫黄及び窒素から選択されたヘテロ原子を1個以上含むことを特徴とする請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記化学式17で、BないしBはプロピレンであり;R26及びR27はメチルであり、R28及びR29はブチルであり、Qはtrans-1、2-シクロヘキシレンであり、Zは独立的にヨウ化物イオンまたはBFであることを特徴とする請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
(a)下記化学式20化合物にジアミン化合物を添加してイミン化して下記化学式21の化合物を生成する段階;及び
(b)3次アミン化合物を添加して下記化学式17の化合物を生成する段階;
を含むことを特徴とする下記化学式17化合物の製造方法
[化学式17]

[化学式20]

[化学式21]

(前記化学式17、化学式20及び化学式21で、BないしB、B及びB10は独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20)シクロアルキレンであり;
26は1次または2次(C1−C20)アルキルであり;
27ないしR29は独立的に(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリールから選択されて;
Qは二つの窒素原子を連結するために結合する2価有機架橋基であり;
はそれぞれ独立的に、ハロゲン化物イオン、BF、ClO、NOまたはPFから選択されて、
X3及びX4は独立的にCl、BrまたはIから選択される)
【請求項28】
前記化学式20の化合物は下記化学式15の化合物と下記化学式16の化合物を酸触媒下で反応させて下記化学式14を生成して、下記化学式14にアルデヒド基を形成することを特徴とする請求項27に記載の化学式17化合物の製造方法
[化学式14]

[化学式15]

[化学式16]

(前記化学式14ないし化学式16で、B及びB10は独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20)シクロアルキレンであり、R26は1次または2次(C1−C20)アルキルであり、R27は(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリールから選択されて、X及びX独立的にCl、BrまたはIから選択される)
【請求項29】
下記化学式14で表示されるフェノール誘導体。
[化学式14]

(前記化学式14で、B及びB10は独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20)シクロアルキレンであり、R26は1次または2次(C1−C20)アルキルであり、R27は(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリールから選択されて、X及びXは独立的にCl、BrまたはIから選択される)
【請求項30】
下記化学式15のフェノール化合物と下記化学式16の3次アルコール化合物を酸触媒下で反応させる段階を含む下記化学式14のフェノール誘導体製造方法。
[化学式14]

[化学式15]

[化学式16]

(前記化学式14ないし化学式16で、B及びB10は独立的に(C2−C20)アルキレンまたは(C3−C20)シクロアルキレンであり、R26は1次または2次(C1−C20)アルキルであり、R27は(C1−C20)アルキルまたは(C6−C30)アリールから選択されて、X及びX独立的にCl、BrまたはIから選択される)
【請求項31】
前記化学式14ないし化学式16で、B及びB10は独立的に(C2−C6)アルキレンであり、R26は1次または2次(C1−C7)アルキルであり、R27は(C1−C7)アルキルである請求項30に記載のフェノール誘導体製造方法。
【請求項32】
前記化学式14ないし化学式16で、B及びB10はプロピレンであり、R26及びR27はメチルである請求項31に記載のフェノール誘導体製造方法。
【請求項33】
前記酸触媒は、AlCl、無機または固体酸触媒から選択される請求項30ないし32のうちいずれか一つに記載のフェノール誘導体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−529487(P2011−529487A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521024(P2011−521024)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004232
【国際公開番号】WO2010/013948
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(308007044)エスケー エナジー カンパニー リミテッド (53)
【Fターム(参考)】