説明

新規アザインドール誘導体

【課題】癌疾患、臓器移植における拒絶反応、自己免疫疾患などの治療、改善、予防剤として有効な化合物の提供。
【解決手段】式(I)の化合物又はその塩[式中、−X----X−は、−NRCO−、−N=CR−又は−S−CO−を表し、Rは、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、−CO−飽和脂肪族へテロ環等を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子等を表し、Rは、水素原子又はC1−6アルキルを表し、Rは、水素原子、C1−6アルキル等を表し、R、Rは、各々独立して、水素原子、又はフッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキルを表し、Yは、1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいC1−6アルキレン等を表す]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬組成物、特に癌疾患や自己免疫疾患に対する治療薬として有用な新規アザインドール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
サイトカインは免疫系細胞の分化、増殖など多様な生理作用に重要な役割を担っている因子である。サイトカインはそれぞれの受容体を介して細胞内にシグナルを伝達し、このシグナル伝達過程には非受容体型プロテインキナーゼであるヤヌスキナーゼ(JAK)が関わっている。サイトカインが受容体に結合すると、JAKは受容体と会合し活性化され、引き続き転写因子であるSTAT(Signal Transducers and Activator of Transcription)をリン酸化しSTATは活性化する。活性化したSTATは細胞質から核に移行し、特異的DNA部位に結合し、遺伝子の転写を制御する。JAK/STATシグナル伝達系は、正常な免疫反応のみならず、自己免疫疾患、アレルギー、喘息などの多くの異常な免疫反応や、白血病、リンパ腫などの悪性腫瘍において関与することが示されている。従ってJAKを阻害すること、すなわちJAK/STATシグナル伝達経路を阻害することは、上記疾患における治療法となることが示唆されている(例えば、Oncogene, 19, 2645 (2000))。
【0003】
現在までに、JAKファミリーとして、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2の4つが知られており、例えば以下に示すようなJAKの活性化と様々な癌との関連が報告されている。真性多血症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症などの骨髄増殖性疾患において、JAK2の617番目の残基であるバリンがフェニルアラニンに置換した活性化点変異が見出されており、JAK2阻害活性を持つ化合物の上記疾患での有用性が示唆されている(例えば、Current Therapy, 26, 526 (2008))。また、急性骨髄性白血病や、マントル細胞リンパ腫や皮膚T細胞リンパ腫等のリンパ球増殖性疾患において、JAK3の点変異と恒常的活性化が報告されている(例えば、Cancer Cell,10,65(2006)、Blood,113,2746(2009))。その他にも、例えば乳癌、肺癌、前立腺癌等におけるSTAT3、STAT5の活性化(例えば、Oncogene,19,2474(2000))など、癌におけるJAK/STATシグナル伝達系の亢進の報告が多数ある。サイトカインの1つであるインターロイキン−6(IL−6)が、ヒト多発性骨髄腫細胞の主な生存、増殖因子であることが知られている(Blood,85,863(1995))。IL−6のシグナル伝達には、JAK1、JAK2、TYK2が関与すると考えられており(Seminar in Cell & Developmental Biology,19,385(2008))、JAK1及びJAK2の阻害活性を持つAG490を作用させたIL−6依存的ヒト多発性骨髄腫細胞において、STAT3リン酸化阻害、細胞増殖抑制とアポトーシスが誘導されたことが報告されている(Br J Haematol,109,823(2000))。乳がん感受性たんぱく質(BRCA1)を高発現したヒト前立腺癌細胞において、STAT3と、その上流で働くJAK1及びJAK2の活性化が確認され、STAT3の阻害により細胞増殖抑制とアポトーシスが誘導されたことが示されている(FEBS Lett,488,179(2001))。以上のことからJAKの阻害、とりわけJAK2および/またはJAK3の阻害が、癌治療における有望な標的であると期待される。また、JAK1はJAK3が関与するサイトカインのシグナル伝達に関わることが知られている(例えば、J. Immunol. 178, 2623(2007))。前記の報告とあわせると、JAK2および/またはJAK3の阻害にJAK1阻害を加えることで、治療薬としてより有効性が高まることが示唆される。
【0004】
一方、臓器移植時における拒絶反応の予防や治療、関節リウマチや乾癬などの自己免疫疾患の治療などにおいて、免疫系機能の調節は重要なアプローチとなる。JAK3ノックアウトマウスは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞を欠損する免疫不全症状を示し、JAK3がBリンパ球、Tリンパ球の成熟だけではなく、Tリンパ球の機能維持に関与することも示唆されている(例えば、Science, 270, 794 (1995))。また、X連鎖重症複合免疫不全症を呈する患者においては、JAK3が会合するγ鎖の遺伝子異常が認められ、JAK3を介するシグナル伝達経路の欠損に起因するものと示唆されている(例えば、Science, 270, 797 (1995))。以上のことは、JAK3を阻害することによる免疫機能の制御が、臓器移植時の拒絶反応や自己免疫疾患などT細胞増殖性疾患における治療に有用であることが見込まれる(例えば、Trends in Pharmacological Sciences, 25, 558 (2004))。さらに、IL−4及びIL−9によって誘導されるマウス肥満細胞の増殖や生存が、JAK3及びγ鎖シグナル伝達経路に依存すること(例えば、Blood,96,2172(2000))が報告され、JAK3の阻害がアレルギー性疾患においても有効であることが示唆されている。
【0005】
前述のように、JAK1は、JAK3が関与するサイトカインのシグナル伝達に関わること、さらにIL−6等の広範なサイトカインのシグナル伝達に関わることも報告されている(例えば、J. Immunol. 178, 2623(2007))。IL−6の過剰産生は、関節リウマチの病態形成に深く関わっており、IL−6の作用を阻害する抗IL−6受容体抗体が関節リウマチの治療において、著効を示すことが臨床試験で明らかとなっている(例えば、Ann. Rheum. Dis. 66, 1162 (2007))。このような背景などから、JAK1とJAK3を同時に阻害する薬剤は、より広い範囲の免疫機能の制御を可能とし、治療薬としてより有効性を示すことが期待されている(例えば、Ann. Rep. Med. Chem. 44, 247(2009))。
【0006】
現在までにJAK阻害作用を有する化合物が複数報告されている。JAK2またはJAK3阻害作用を持つ化合物として例えば、特許文献1には、下記一般式で表されるアザインドール誘導体が記載されている。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Rは、T−R’または−Si(R’)である;
、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲン、CN、NOまたはV−R’である;
、XおよびXは、それぞれ別個に、NまたはCHであり、ここで、CHの水素原子は、必要に応じて、Rで置き換えられる;
xは、1、2、3または4である;
の各存在は、別個に、ハロゲン、CN、NOまたはU−R’であり、ここで、少なくとも1個のRは、H以外のものである;
T、VおよびUは、それぞれ別個に、結合または必要に応じて置換したC〜Cアルキリデン鎖であり、ここで、該鎖の2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−NR’−、−S−、−O−、−CS−、−CO−、−OCO−、−CO−、−COCO−、−CONR’−、−NR’CO−、−NR’CO−、−SONR’−、−NR’SO−、−CONR’NR’−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’SONR’−、−SO−、−SO−、−PO−、−PO−または−POR’−で置き換えられる;そして
R’の各存在は、別個に、水素または必要に応じて置換した基であり、該必要に応じて置換した基は、C〜C脂肪族基等である、3員〜8員飽和、部分不飽和または完全不飽和単環式環または8員〜12員飽和、部分不飽和または完全不飽和二環式環系から選択され、該単環式環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、そして該二環式環系は、0個〜5個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;またはR’の2個の存在は、それらが結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換した3員〜12員飽和、部分不飽和または完全不飽和単環式または二環式環を形成し、該単環式または二環式環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択されるが、但し、
a)もし、Rが置換シクロペンチルであり、xが1であり、XおよびXがCHであるとき、Xは、C−Rではなく、ここで、Rは、フルオロまたはOMeである;
b)もし、RおよびRが同時にHであり、そしてRおよびRが、別個に、HまたはMeから選択され、xが1であり、XおよびXがCHであるとき、Xは、C−Rではなく、ここで、Rは、OMe、NOまたはフルオロである;
c)もし、R、R、RおよびRが、同時に、Hであり、xが1であり、Rが−SMe、NHまたは必要に応じて置換したNH−ピペリジンであり、そしてXおよびXがNであるとき、Xは、CHではない;
d)もし、R、RおよびRが、同時に、Hであり、X、XおよびXがCHであり、そして2個のRが、それらが結合する環と共に、必要に応じて置換した縮合二環式環を形成するなら、Rは、CHCHN(Me)ではない;
e)もし、RおよびRが、同時に、Hであり、RがNHであり、そしてX、XおよびXがCHであるなら、Rは、置換フェニルではない;
f)もし、R、RおよびRが、同時に、Hであるなら、Rは、Si(R’)ではない;そして
g)もし、R、RおよびRが、同時に、Hであり、そして(i)XおよびXがCHまたはCRであるかまたは(ii)X、XまたはXのいずれか1個がNであるなら、Rは、フェニル、あるいはO−フェニルまたはN(Me)置換フェニルではない、
化合物。)
【0009】
該化合物は、アザインドール環3位に広範な単環へテロアリール又は2環性ヘテロアリールを含む記載となっており、2環性ヘテロアリールとしての明細書内の詳細な説明や実施例化合物としては、後記式(I)で表される本発明のオキソプリン環、プリン環、チアゾロピリミジン環は一切記載されていない。さらに該化合物はJAK2、JAK3阻害活性等の記載がされているのみで、JAK1阻害活性については明らかでない。後記式(I)で表される本発明化合物は、JAK2阻害作用および(あるいは)JAK3の阻害作用に加えJAK1阻害作用も併せ持つ化合物群であり、該化合物とは異なる特徴を有している。
【0010】
特許文献2には、キナーゼモジュレーター活性を有する下記一般式で表されるアザインドール骨格を有する化合物が記載されている。
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、L1およびL2は、独立して、結合、−S(O)n−、−O−、−NH−、非置換C1〜C5アルキレン、または非置換の2〜5員のヘテロアルキレンであり、nは0〜2の整数であり;
1は、6員の置換もしくは非置換アリールまたは6員の置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
2は、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
1は、ハロゲン、−OR5、−NR67、−C(Z)R8、−S(O)w9等であり;
1は、−C(R2)=、−C(R2)(R3)−、−N=、−N(R4)−、−S−、または−O−であり;
2およびR3は、独立して、水素、ハロゲン、−OR5、−NR67、−C(Z)R8等であり;
4は、水素、−C(O)R8、−S(O)211、置換もしくは非置換アルキル等であり;
Zは、N(R23)、S、またはOであり;
wは0〜2の整数であり;
5は、独立して、水素、−CF3、置換もしくは非置換アルキル等であり;
6およびR7は、独立して、水素、−C(O)R10、−S(O)211等であり;
10およびR11は、独立して、水素、−NR1213、置換もしくは非置換アルキル等であり;
12およびR13は、独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル等であり;
8は、独立して、水素、−NR1415、−OR16、置換もしくは非置換アルキル等であり;
14、R15、およびR16は、独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル等であり;
9は、独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル等であり;
17およびR18は、独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル等であり、
ここに、R6およびR7、R12およびR13、R14およびR15、ならびにR17およびR18は、独立して、適宜それらが結合している窒素と一緒になって、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換の5員のヘテロアリールを形成してもよい]
で示される化合物。)
【0013】
該化合物は、アザインドール環3位のAとして6員の置換もしくは非置換ヘテロアリールを含んでいるが、実施例や明細書内のヘテロアリールの例示として、後記式(I)で表される本発明のアザインドール3位置換基として用いられる2環性化合物あるいは2環性ピリミジンの記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2005/095400号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/015123号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、臓器移植における拒絶反応、自己免疫疾患など種々の免疫性疾患の治療、改善、予防剤として有効な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、JAK阻害作用を有する化合物に関して鋭意検討した結果、後記式(I)で表される化合物、又はそれらの製薬学的に許容される塩が、医薬として適応可能な癌疾患、免疫抑制剤、自己免疫疾患の治療薬又は予防薬であることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のものに関する。
【0017】
[項1]下記式(I):
【0018】
【化3】

【0019】
[式中、
−X----X−は、−NRCO−、−N=CR−又は−S−CO−を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−CO−飽和脂肪族へテロ環又は−CONRを表し、ここにおいて該C1−6アルキル、該C2−6アルケニル、該C2−6アルキニル、該C1−6アルコキシ及び該C3−8シクロアルキルは、フッ素原子、水酸基、シアノ、カルボキシル、C1−6アルコキシ、−NR、飽和脂肪族へテロ環、−CONR及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、該アリール及び該ヘテロアリールは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく、
は、水素原子、ハロゲン原子又はフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキルを表し、
は、水素原子又はC1−6アルキルを表し、
は、水素原子、C1−6アルキル又は−NR1011を表し、ここにおいて該C1−6アルキルは、フッ素原子、水酸基、シアノ、C1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、−NR1213、飽和脂肪族へテロ環、−CONR1213及び−NR12COR13からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく、
、R、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、各々独立して、水素原子、又はフッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキルを表し、
Yは、1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいC1−6アルキレン(該基の1個のメチレンは、1個のC3−6シクロアルカン−1,1−イレンで置き換えられていてもよい)を表す]
で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0020】
[項2]Rが、ハロゲン原子、シアノ、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−CO−飽和脂肪族へテロ環又は−CONRであり、ここにおいて、該C2−6アルケニル、該C2−6アルキニル、該C1−6アルコキシ及び該C3−8シクロアルキルは、フッ素原子、水酸基、シアノ、カルボキシル、C1−6アルコキシ、−NR、飽和脂肪族へテロ環、−CONR及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、該アリール及び該ヘテロアリールは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい、
項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0021】
[項3]Rが、水素原子である、
項1又は2に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0022】
[項4]Yが、メチル及びエチルからなる群から選択される同一又は異なる1〜2個の基で置換されていてもよいメチレン、又はC3−6シクロアルカン−1,1−イレンである、
項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0023】
[項5]Rが、ハロゲン原子である、
項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項6]Rが、C1−6アルコキシ又は−CONRであり、ここにおいて該C1−6アルコキシは、フッ素原子、水酸基、カルボキシル、−NR、飽和脂肪族へテロ環、−CONR及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、
項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項7]Rが、C2−6アルケニル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は−CO−飽和脂肪族へテロ環を表し、ここにおいて該C2−6アルケニル及び該C3−8シクロアルキルは、フッ素原子、水酸基、カルボキシル、C1−6アルコキシ、−NR、飽和脂肪族へテロ環、−CONR及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、該アリール及び該ヘテロアリールは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい、
項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0024】
[項8]−X----X−が、−N=CR−であり、Rが、水素原子又はC1−6アルキルであり、ここにおいて、該C1−6アルキルは、フッ素原子、シアノ、C1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、−NR1213、飽和脂肪族へテロ環及び−CONR1213からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい、
項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項9]−X----X−が、−NRCO−である、
項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項10]−X----X−が、−S−CO−である、
項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0025】
[項11]項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
[項12]項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分とする自己免疫疾患に対する治療薬。
[項13]項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分とする癌疾患に対する治療薬。
【発明の効果】
【0026】
本発明によって、癌疾患、臓器移植における拒絶反応、自己免疫疾患、アレルギー疾患等の治療薬又は予防薬として有用な含窒素二環性化合物又はそれらの製薬学上許容される塩を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の化合物は、水和物及び/又は溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物もまた本発明の化合物に包含される。
【0028】
また、式(I)の化合物は、1個又は場合により2個以上の不斉炭素原子を有する場合があり、また幾何異性や軸性キラリティを生じることがあるので、数種の立体異性体として存在することがある。本発明においては、これらの立体異性体、それらの混合物及びラセミ体は本発明の式(I)で表される化合物に包含される。
【0029】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。なお、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分又は置換基である場合にも該当する。
【0030】
本発明の化合物(I)における−X----X−の定義は、以下のとおりである。
−X----X−が−NRCO−である化合物(I)とは、下記式(I−1)で表される化合物を意味する。
【0031】
【化4】

【0032】
また、−X----X−が−N=CR−である化合物(I)とは、下記式(I−2)で表される化合物を意味する。
【0033】
【化5】

【0034】
また、−X----X−が−S−CO−である化合物(I)とは、下記式(I−3)で表される化合物を意味する。
【0035】
【化6】

【0036】
「アルキル」としては、例えば直鎖又は分枝鎖のアルキルが挙げられる。「C1−6アルキル」とは炭素原子数が1〜6の基を意味する。その具体例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0037】
「シクロアルキル」としては、例えば単環シクロアルキルが挙げられる。例えば、「C3−8シクロアルキル」とは、炭素原子数が3〜8の飽和炭化水素を意味する。その具体例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
【0038】
「シクロアルカン」としては、例えば単環シクロアルカンが挙げられる。例えば、「C3−6シクロアルカン」とは、炭素原子数が3〜6の飽和炭化水素を意味する。その具体例として、シクロプロパン、シクロブタンン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0039】
「アルケニル」としては、例えば直鎖又は分枝鎖のアルケニルが挙げられる。「C2−6アルケニル」とは炭素原子数が2〜6の基を意味する。その具体例として、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニルまたは1−ペンテニル等が挙げられる。
【0040】
「アルキニル」としては、例えば直鎖又は分枝鎖のアルキニルが挙げられる。「C2−6アルキニル」とは炭素原子数が2〜6の基を意味する。その具体例として、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニルまたは1−ペンチニル等が挙げられる。
【0041】
「アルキレン」としては、例えば直鎖のアルキレンが挙げられる。「C1−6アルキレン」とは炭素原子数が1〜6の基を意味する。その具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等が挙げられる。
【0042】
「アルコキシ」としては、例えば直鎖又は分枝鎖のアルコキシが挙げられる。「C1−6アルコキシ」とは、直鎖又は分枝鎖の炭素原子数が1〜6のアルコキシを意味する。その具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1−メチルエトキシ、ブトキシ、1−メチルプロポキシ、2−メチルプロポキシ、ペントキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、1−エチルプロポキシ、ヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、1−エチルブトキシ等が挙げられる。
【0043】
「アルコキカルボニル」としては、例えば直鎖又は分枝鎖のアルコキシカルボニルが挙げられる。「C1−6アルコキカルボニル」とは、直鎖又は分枝鎖の炭化水素が結合している炭素数1〜6のアルコキシにカルボニルが結合している基を意味する。具体的には例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ヘキサオキシカルボニル等が挙げられる。
【0044】
「アリール」としては、具体的にはフェニル、1−ナフチル又は2−ナフチル等が挙げられる。
【0045】
「ヘテロアリール」としては、1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を含有する単環若しくは2環の5〜10員の芳香族複素環基が挙げられる。具体的にはピリジル、ピリダジニル、イソチアゾリル、ピロリル、フリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、チアジアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、イミダゾリジニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル等の1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を含有する単環の5〜7員環の芳香族複素環、インドリル、インダゾリル、クロメニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル又はベンズイミダゾリル等の1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を含有する2環の9〜10員環の芳香族複素環が挙げられる。好ましいヘテロアリールとしては、ピリジル、ピラゾリル、フリル、チエニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾリルが挙げられる。
【0046】
「飽和脂肪族ヘテロ環」としては、1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を含有する単環の5〜8員の飽和脂肪族ヘテロ環が挙げられる。具体例としては、例えばテトラヒドロフラン、ピロリジン、ピラゾリジン、チアゾリジン又はオキサゾリジン等の1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を含有する単環の5員の飽和ヘテロ環、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、テトラヒドロピラン又はジオキサン等の1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を含有する単環の6員の飽和ヘテロ環、アゼパン又はオキセパン等の1〜3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を含有する単環の7員の飽和ヘテロ環等が挙げられる。好ましい飽和脂肪族へテロ環としては、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等が挙げられる。「−CO−飽和脂肪族へテロ環」とは、上記飽和脂肪族ヘテロ環がカルボニルを介して結合している基を意味する。
【0047】
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
【0048】
式(I)で表される本発明の化合物におけるX〜X、R〜R13及びYの好ましい基は、以下のとおりである。
【0049】
−X----X−として、−NRCO−、−N=CR−又は−S−CO−が挙げられるが、好ましくは、−NRCO−又は−N=CR−である。
【0050】
としては、水素原子、ハロゲン原子又はフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキルが挙げられるが、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子又はメチルが挙げられる。さらに好ましくは、水素原子である。
【0051】
としては、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−CO−飽和脂肪族へテロ環又は−CONR(ここにおいて該C1−6アルキル、該C2−6アルケニル、該C2−6アルキニル、該C1−6アルコキシ及び該C3−8シクロアルキルは、フッ素原子、水酸基、シアノ、カルボキシル、C1−6アルコキシ、−NR、飽和脂肪族へテロ環、−CONR及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、該アリール及び該ヘテロアリールは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい)が挙げられるが、好ましくは、C2−6アルケニル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は−CO−飽和脂肪族へテロ環(ここにおいて、該C2−6アルケニル及び該C3−8シクロアルキルは、フッ素原子、水酸基、シアノ、カルボキシル、C1−6アルコキシ、−NR、飽和脂肪族へテロ環、−CONR及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、該アリール及び該ヘテロアリールは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい)が挙げられる。さらに好ましくは、C2−6アルケニル、アリール又はヘテロアリール(ここにおいて、該C2−6アルケニルは、フッ素原子、水酸基、シアノ、カルボキシル、−NR、飽和脂肪族へテロ環及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、該アリール及び該ヘテロアリールは、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい)であり、特に好ましくは、アリール(ここにおいて、該アリールは、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい)である。
【0052】
及びRとしては、各々独立して、水素原子、又はフッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキルが挙げられるが、好ましくは、Rとしては水素原子であり、Rとしてはフッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキルである。Rのより好ましい基は、フッ素原子で置換されたC1−6アルキルであり、特に好ましくは2,2,2−トリフルオロエチルである。
【0053】
としては、水素原子又はC1−6アルキルが挙げられるが、好ましくは、水素原子又はメチルが挙げられる。さらに好ましくは、水素原子である。
【0054】
としては、水素原子、C1−6アルキル(該C1−6アルキルは、フッ素原子、シアノ、C1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、−NR1213、飽和脂肪族へテロ環及び−CONR1213からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい)又は−NR1011が挙げられるが、好ましくは、フッ素原子、シアノ、C1−6アルコキシ及び−NR1213からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよいC1−6アルキルである。より好ましくは、シアノ及びC1−6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよいC1−6アルキルであり、さらに好ましくは、シアノ、メトキシ及びエトキシからなる群から選択される基で置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル又はブチルである。
【0055】
、R、R、R、R10、R11、R12及びR13としては、各々独立して、水素原子、又はフッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキルが挙げられるが、好ましくは、水素原子、メチル又はエチルである。
【0056】
Yとしては、1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいC1−6アルキレンが挙げられるが(該基の1個のメチレンは、1個のC3−6シクロアルカン−1,1−イレンで置き換えられていてもよい)、好ましくは、1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいメチレン又はエチレンが挙げられる(該基の1個のメチレンは、1個のC3−6シクロアルカン−1,1−イレンで置き換えられていてもよい)。より好ましくは、1〜2個のメチル又はエチルで置換されたメチレン、又はC3−6シクロアルカン−1,1−イレンであり、さらに好ましくは、1−メチル−メチレン、1,1−ジメチル−メチレン、C3−6シクロアルカン−1,1−イレンである。
【0057】
式(I)の化合物におけるX〜X、R〜R13及びYの好ましい具体例としては、以下のものが例示される。−X----X−としては、−NRCO−又は−N=CR−の構造が好ましい;Rとしては、水素原子が好ましい;Rとしては、アリール又はヘテロアリール(該アリール及び該ヘテロアリールは、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい)が好ましい;Rとしては、水素原子が好ましい;Rとしては、2,2,2−トリフルオロエチルが好ましい;Rとしては、水素原子又はメチルが好ましい;Rとしては、シアノ、メトキシ及びエトキシからなる群から選択される基で置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル又はブチルが好ましい;Rとしては、R10’が好ましい;Rとしては、水素原子、フッ素原子、塩素原子又はシアノが好ましい;R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13としては、各々、水素原子、メチル又はエチルが好ましい;Yとしては、1−メチル−メチレン、1,1−ジメチル−メチレン又はC3−6シクロアルカン−1,1−イレンが好ましい。これらの例示の一つ又は任意の複数の組み合わせで限定された前記の各化合物群も好ましい式(I)の化合物の一つの態様になる。
【0058】
式(I)で表される化合物の製薬学的に許容される塩とは、塩を形成し得るに十分な塩基性度または酸性度を有する場合の式(I)の化合物の製薬学的に許容される塩を意味し、例えば無機酸又は有機酸との酸付加塩が挙げられる。無機酸との塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩又はリン酸塩等が挙げられる。有機酸との塩としては、例えば、ぎ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩又はベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。また、式(I)で表される化合物にカルボキシル基等の酸性官能基が存在する場合は、塩基との塩とすることもできる。塩基との塩としては、例えばアルギニン、リジン又はトリエチルアンモニウム等の有機塩基との塩、アルカリ金属(ナトリウム又はカリウム等)又はアルカリ土類金属(カルシウム又はバリウム等)等の無機塩基との塩、又はアンモニウム塩等が挙げられる。式(I)で表される化合物、又はその製薬学的に許容される塩は、それらの水和物等の溶媒和物の形態をとってもよい。
【0059】
なお、本明細書において記載の簡略化のために、次に挙げる略号を用いることもある。p−:para−、t−:tert−、s−:sec−、THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DME:エチレングリコールジメチルエーテル、DMSO:ジメチルスルホキシド、NMP:N−メチルピロリドン、CDCl:重クロロホルム、DMSO−d:重ジメチルスルホキシド、OMs:メタンスルホニルオキシ、OTs:トルエンスルホニルオキシ、OTf:トリフルオロメタンスルホニルオキシ
【0060】
本発明化合物の製造方法
式(I)で表される本発明の化合物は、下記に示す製造法1〜7により製造することができる。式(I)で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩は、新規化合物であり、例えば、以下に述べる方法、後述する実施例及びそれに準じた方法によって製造することができる。下記の製造法で用いられる化合物は、反応に支障を来たさない範囲において、塩を形成してもよい。
[製造法1]
式(I)中、−X----X−が、−NRCO−である化合物[下記式(I−1)の化合物]は、例えば下記の方法に従って製造することができる。
【0061】
【化7】

【0062】
(式中、R、R、R、R、R及びYは項1と同義であり、R41はC1−6アルキルであり、A、A1’及びA1’’は、各々独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、OMs、OTs又はOTfであり、Pは、Ts、ベンゼンスルホニル又はMsであり、Mは、ホウ素、スズ、亜鉛等のクロスカップリング反応で用いられる金属である。)
【0063】
[工程1]
塩基の存在あるいは非存在下、化合物(1−1)と化合物(1−2)とを反応させることで、化合物(1−3)が製造される。化合物(1−2)の使用量としては、化合物(1−1)に対して、通常1当量〜過剰量の範囲から選択される。溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。塩基としては、例えば炭酸アルカリ金属(炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等)、水素化アルカリ金属(水素化ナトリウム、水素化カリウム等)、水酸化アルカリ金属(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)が挙げられ、好ましくは、炭酸カリウム、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンが挙げられる。塩基の使用量としては、化合物(1−1)に対して通常1〜5当量の範囲から選択される。反応温度としては、通常−78〜150℃の範囲から選択でき、好ましくは−78〜50℃の範囲で行われる。
【0064】
[工程2]
化合物(1−3)と化合物(1−4)とを反応させることで、化合物(1−5)が製造される。反応は、塩基の存在下あるいは非存在下、触媒量の遷移金属と配位子を用いた通常のカップリング反応条件に従って実施することができる。例えば、Mがホウ素である場合は通常のSuzukiカップリングの条件、Mがスズの場合は通常のStilleカップリングの条件、Mが亜鉛の場合は通常のNegishiカップリングの条件が挙げられる(Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis, Negishi, A Wiley-Interscience Publication(2002)、Angew. Chem. Int. Ed., 44, 4442, (2005))。具体的には、遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム触媒(酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、[1,1’―ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド等)、ニッケル触媒([1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル等)が挙げられ、必要に応じ配位子を用いてもよい。配位子としては、例えば、ホスフィン配位子(トリフェニルホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリフリルホスフィン等)、カルベン配位子(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾールー2−イリデン等)が挙げられる。塩基としては、例えば炭酸アルカリ金属(炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等)、水酸化アルカリ金属(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、リン酸アルカリ金属(リン酸カリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等)、有機塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)が挙げられる。さらに、例えばフッ化アルカリ金属(フッ化セシウム等)等の添加剤を用いてもよい。溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性溶媒(トルエン等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度としては、通常0〜200℃の範囲から選択することができ、好ましくは0〜100℃の範囲で行われる。必要に応じマイクロ波を利用してもよい。
【0065】
[工程3]
化合物(1−6)は、化合物(1−5)のニトロ基を還元することで製造される。還元法として、水素源(水素ガス、ギ酸アンモニウム等)と触媒(パラジウム炭素、水酸化パラジウム、酸化白金、Pt−S/C等)を用いた接触還元法、鉄/酢酸、三塩化チタン水溶液、塩化スズ(II)、ハイドロサルファイトナトリウムを用いる方法等が挙げられる。溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF等)、非プロトン性極性溶媒(アセトニトリル、酢酸エチル等)、酸(酢酸等)、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度としては、通常0〜150℃の範囲から選択することができる。必要に応じ加圧下で反応を行ってもよい。
【0066】
[工程4]
化合物(1−7)は、塩基の存在下あるいは非存在下、不活性溶媒中、化合物(1−6)をカルボニル化反応させることにより製造される。カルボニル化試薬としては、例えば、カルボニルジイミダゾール、トリホスゲン、ホスゲン等が用いられる。不活性溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、ケトン類(アセトン等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。塩基としては、例えば、有機塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)が挙げられる。反応温度としては、通常−78〜150℃の範囲から選択することができ、好ましくは0〜100℃の範囲で行われる。
【0067】
[工程5]
化合物(1−9)は、不活性溶媒中、塩基の存在下、化合物(1−7)と化合物(1−8)を反応させることにより製造される。化合物(1−8)の使用量としては、化合物(1−7)に対して、通常1当量〜過剰量の範囲から選択される。不活性溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、ケトン類(アセトン等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。塩基としては、例えば炭酸アルカリ金属(炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等)、水素化アルカリ金属(水素化ナトリウム、水素化カリウム等)、有機塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)が挙げられ、好ましくは、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミンが挙げられる。塩基の使用量としては、化合物(1−7)に対して通常1〜5当量の範囲から選択される。反応温度としては、通常−78〜150℃の範囲から選択することができ、好ましくは0〜100℃の範囲で行われる。
【0068】
[工程6]
化合物(I−1)は、酸又は塩基存在下、化合物(1−7)又は化合物(1−9)を脱保護することにより得られる。酸としては、例えば塩酸、硫酸等の鉱酸やトリフルオロ酢酸等の有機酸が挙げられ、塩基としては、例えば、例えば炭酸アルカリ金属(炭酸セシウム、炭酸カリウム等)、水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)が挙げられる。溶媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等)、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度としては、通常0〜100℃の範囲から選択され、好ましくは0〜50℃の範囲で行われる。
【0069】
[製造法2]
式(I)中、−X----X−が、−N=CR−である化合物[下記式(I−2)の化合物]は、例えば下記の方法に従って製造することができる。
【0070】
【化8】

【0071】
(式中、R、R、R、R、R10及びYは項1と同義であり、R20はC1−6アルキルであり、R51は水素原子又はC1−6アルキルであり、Aは塩素原子、水酸基又はNHであり、Pは製造法1と同義である。)
【0072】
[工程1]
製造法1で製造される化合物(1−6)を酸あるいは塩基あるいは縮合剤あるいはそれらの混合物の存在下あるいは非存在下、オルトカルボン酸トリアルキル(2−1)又はカルボン酸等(2−2)と反応させることで、化合物(2−4)を製造することができる。化合物(2−1)及び化合物(2−2)の使用量としては、化合物(1−6)に対して、通常1当量〜過剰量の範囲から選択される。塩基としては、例えば有機塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)が挙げられ、酸としては、例えば、塩酸、硫酸等の鉱酸、又は酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸が挙げられ、縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等のカルボジイミド、BOP等のホスホニウム塩、HBTU等のグアニジウム塩等が挙げられる。必要に応じ、添加剤(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等)を加えてもよい。溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性溶媒(トルエン等)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、ケトン類(アセトン等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられるが、無溶媒で反応を行ってもよい。反応温度としては、通常−78〜200℃の範囲から選択され、好ましくは0〜200℃の範囲で行われる。必要に応じ、マイクロ波を利用してもよい。また、中間体であるアミドあるいはイミンを一旦単離した後、再度上記から選択される条件で反応を行うことでも、化合物(2−4)を製造することができる。
【0073】
[工程2]
製造法1で製造される化合物(1−6)に対して、化合物(2−3)を反応させることで、化合物(2−5)を製造することができる。化合物(2−3)の使用量としては、化合物(1−6)に対して、通常1当量〜過剰量の範囲から選択される。溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、ケトン類(アセトン等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられ、必要に応じ、縮合剤(ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等のカルボジイミド、BOP等のホスホニウム塩、HBTU等のグアニジウム塩等)、添加剤(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等)、塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)を用いてもよい。反応温度としては、通常−78〜200℃の範囲から選択され、好ましくは0〜200℃の範囲で行われる。必要に応じ、マイクロ波を利用してもよい。
【0074】
[工程3]
製造法1記載の工程6と同様の方法によって、化合物(2−4)又は化合物(2−5)から、化合物(I−2)は製造される。
【0075】
[製造法3]
式(I)中、−X----X−が、−NRCO−又は−N=CR−である化合物[下記式(I−4)の化合物]は、例えば下記の方法に従って製造することができる。
【0076】
【化9】

【0077】
(式中、R、R、R、R及びYは項1と同義であり、A1’、M及びPは製造法1と同義であり、−X11----X21−は、−NRCO−又は−N=CR−であり、R及びRは項1と同義である。)
【0078】
[工程1]
製造法1記載の工程3と同様の方法によって、製造法1で製造される化合物(1−3)から、化合物(3−1)は製造される。
【0079】
[工程2]
製造法1記載の工程4又は製造法2記載の工程1あるいは工程2と同様の方法によって、化合物(3−1)から、化合物(3−2)は製造される。
【0080】
[工程3]
製造法1記載の工程2と同様の方法によって、化合物(3−2)から、化合物(3−3)は製造される。ただし反応温度としては、通常0〜200℃の範囲から選択することができ、好ましくは50〜150℃の範囲で行われる。
【0081】
[工程4]
製造法1記載の工程6と同様の方法によって、化合物(3−3)から、化合物(I−4)は製造される。
【0082】
[製造法4]
製造法3記載の化合物(I−4)は、例えば下記の方法に従って製造することもできる。
【0083】
【化10】

【0084】
(式中、R、R、R、R及びYは項1と同義であり、A、A1’、M及びPは製造法1と同義であり、−X11----X21−は製造法3と同義であり、Pはカルボン酸の保護基である。)
【0085】
[工程1]
製造法1記載の工程1と同様の方法によって、化合物(1−1)と化合物(4−1)から、化合物(4−2)は製造される。
【0086】
[工程2]
製造法1記載の工程2と同様の方法によって、化合物(4−2)と化合物(1−4)から、化合物(4−3)は製造される。
【0087】
[工程3]
製造法1記載の工程3と同様の方法によって、化合物(4−3)から、化合物(4−4)は製造される。
【0088】
[工程4]
製造法1記載の工程4又は製造法2記載の工程1あるいは工程2と同様の方法によって、化合物(4−4)から、化合物(4−5)は製造される。
【0089】
[工程5]
例えば、文献(Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Edition (John Wiley & Sons, Inc.))に示されている一般的な脱保護条件を用いることにより、化合物(4−5)から、化合物(4−6)は製造される。
【0090】
[工程6]
化合物(4−6)に対して、縮合剤の存在下、化合物(4−7)を反応させることで、化合物(I−3)を製造することができる。縮合剤としては、例えば、カルボジイミド(ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等)、ホスホニウム塩(BOP等)、グアニジウム塩(HBTU等)等が挙げられ、必要に応じ、添加剤(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等)や塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)を用いてもよい。溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、アセトニトリル等)、ケトン類(アセトン等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度としては、通常0〜100℃の範囲から選択され、好ましくは0〜50℃の範囲で行われる。また、化合物(4−6)を酸クロリドや酸無水物に変換した後、塩基存在下、化合物(4−7)を反応させることで、化合物(I−4)を製造することができる。酸クロリドへは、例えば、オキサリルクロリド、塩化チオニル等の試薬により変換することができ、酸無水物へは、例えばトリエチルアミン等の塩基存在下、溶媒として例えばエーテル系溶媒(THF等)等を用い、例えばクロロギ酸エチル等の試薬を用いて変換することができる。酸クロリドあるいは酸無水物と化合物(4−7)との反応における溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。塩基としては、例えば、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等が挙げられる。反応温度としては、通常0〜100℃の範囲から選択され、好ましくは0〜50℃の範囲で行われる。
【0091】
[工程7]
製造法1記載の工程6と同様の方法によって、化合物(4−8)から、化合物(I−4)は製造される。
【0092】
[製造法5]
式(I)中、−X----X−が、−N=CR−でありRがC1−6アルキルである化合物[下記式(I−5)の化合物]は、例えば下記の方法に従って製造することができる。
【0093】
【化11】

【0094】
(式中、R、R、R、R及びYは項1と同義であり、R01はC1−6アルキルであり、M及びPは製造法1と同義であり、Mはホウ素、スズ又は亜鉛等のクロスカップリング反応で用いられる金属であり、A、A3’、A3’’及びA3’’’は、各々独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、OMs、OTs又はOTfであり、Pはカルボン酸の保護基である。)
【0095】
[工程1]
化合物(5−3)は、不活性溶媒中、塩基の存在下、化合物(5−1)と化合物(5−2)を反応させることにより製造される。化合物(5−2)の使用量としては、化合物(5−1)に対して、通常1当量〜過剰量の範囲から選択される。不活性溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、ケトン類(アセトン等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。塩基としては、例えば炭酸アルカリ金属(炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等)、水素化アルカリ金属(水素化ナトリウム、水素化カリウム等)、水酸化アルカリ金属(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等)、有機塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)が挙げられ、好ましくは、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミンが挙げられる。塩基の使用量としては、化合物(5−1)に対して通常1〜5当量の範囲から選択される。反応温度としては、通常−78〜150℃の範囲から選択することができ、好ましくは0〜100℃の範囲で行われる。位置異性体も生成するが、通常は所望の化合物(5−3)が主生成物として得られる。
【0096】
[工程2]
化合物(5−3)と化合物(5−4)とを反応させることで、化合物(5−5)が製造される。反応は、塩基の存在下あるいは非存在下、触媒量の遷移金属と配位子を用いた通常のカップリング反応条件に従って実施することができる。例えば、Mがホウ素である場合は通常のSuzukiカップリングの条件、Mがスズの場合は通常のStilleカップリングの条件、Mが亜鉛の場合は通常のNegishiカップリングの条件が挙げられる(Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis, Negishi, A Wiley-Interscience Publication(2002)、Angew. Chem. Int. Ed., 44, 4442, (2005))。具体的には、遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム触媒(酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、[1,1’―ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリ(t−ブチル)ホスフィン)パラジウム等)、ニッケル触媒([1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル等)が挙げられ、必要に応じ配位子を用いてもよい。配位子としては、例えば、ホスフィン配位子(トリフェニルホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリフリルホスフィン等)、カルベン配位子(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾールー2−イリデン等)が挙げられる。塩基としては、例えば炭酸アルカリ金属(炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等)、水酸化アルカリ金属(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、リン酸アルカリ金属(リン酸カリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等)、有機塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)が挙げられる。さらに、例えばフッ化アルカリ金属(フッ化セシウム等)等の添加剤を用いてもよい。溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性溶媒(トルエン等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度としては、通常0〜200℃の範囲から選択することができ、好ましくは0〜50℃の範囲で行われる。
【0097】
[工程3]
製造法4記載の工程5と同様の方法によって、化合物(5−5)から、化合物(5−6)は製造される。
【0098】
[工程4]
製造法4記載の工程6と同様の方法によって、化合物(5−6)と化合物(4−7)から、化合物(5−7)が製造される。
【0099】
[工程5]
製造法5記載の工程1と同様の方法によって、化合物(5−1)と化合物(5−8)から、化合物(5−9)が製造される。
【0100】
[工程6]
製造法5記載の工程2と同様の方法によって、化合物(5−9)と化合物(5−4)から、化合物(5−7)が製造される。
【0101】
[工程7]
製造法3記載の工程3と同様の方法によって、化合物(5−7)と化合物(1−4)から、化合物(5−10)が製造される。
【0102】
[工程8]
製造法1記載の工程6と同様の方法によって、化合物(5−10)から、化合物(I−5)が製造される。
【0103】
[製造法6]
式(I)中、−X----X−が、−NRCO−又は−N=CR−でありRがシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル又は−CO−C1−6アルキルである化合物[下記式(I−6)の化合物]は、例えば下記の方法に従って製造することができる。
【0104】
【化12】

【0105】
(式中、R、R、R及びYは項1と同義であり、Pは製造法1と同義であり、−X11----X21−は製造法3と同義であり、Lは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はOTfであり、R1aはシアノ、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、R1bはC2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は一酸化炭素であり、R1’はシアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル又は−CO−C1−6アルキルであり、Mはホウ素、スズ又は亜鉛等のクロスカップリング反応で用いられる金属である。)
【0106】
[工程1]
化合物(6−1)と化合物(6−2)あるいは化合物(6−3)とを反応させることで、化合物(6−4)が製造される。反応は、塩基の存在下あるいは非存在下、触媒量の遷移金属と配位子を用いた通常のカップリング反応条件に従って実施することができる。例えば、Mがホウ素である場合は通常のSuzukiカップリングの条件、Mがスズの場合は通常のStilleカップリングの条件、Mが亜鉛の場合は通常のNegishiカップリングの条件、M13がアルケンの場合はHeck反応の条件、M14がアルキンの場合はSonogashira反応の条件が挙げられる(Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis, Negishi, A Wiley-Interscience Publication(2002)、Angew. Chem. Int. Ed., 44, 4442, (2005))。具体的には、遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム触媒(酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、[1,1’―ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド等)、ニッケル触媒([1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル等)が挙げられ、必要に応じ配位子を用いてもよい。配位子としては、例えば、ホスフィン配位子(トリフェニルホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリフリルホスフィン等)、カルベン配位子(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾールー2−イリデン等)が挙げられる。塩基としては、例えば炭酸アルカリ金属(炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等)、水酸化アルカリ金属(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、リン酸アルカリ金属(リン酸カリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等)、有機塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)が挙げられる。さらに、例えばフッ化アルカリ金属(フッ化セシウム等)、銅塩(ヨウ化銅等)等の添加剤を用いてもよい。溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性溶媒(トルエン等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度としては、通常0〜200℃の範囲から選択することができ、好ましくは50〜200℃の範囲で行われる。必要に応じマイクロ波を利用してもよい。
【0107】
[工程2]
製造法1記載の工程6と同様の方法によって、化合物(6−4)から、化合物(I−6)が製造される。
【0108】
[製造法7]
式(I)中、−X----X−が、−S−CO−である化合物[下記式(I−3)の化合物]は、例えば下記の方法に従って製造することができる。
【0109】
【化13】

【0110】
(式中、R、R、R、R及びYは項1と同義であり、M及びPは製造法1と同義であり、A3’’及びPは製造法5と同義であり、Aはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、OMs、OTs又はOTfである。)
【0111】
[工程1]
製造法5記載の工程1と同様の方法によって、化合物(7−1)と化合物(5−2)から、化合物(7−2)は製造される。
【0112】
[工程2]
化合物(7−2)をジアゾ化剤及びハロゲン化剤と反応させることで、化合物(7−3)が製造される。ジアゾ化剤としては、例えば、亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム等)、亜硝酸エステル(亜硝酸イソプロピル、亜硝酸t−ブチル等)が挙げられ、ハロゲン化剤としては、塩化銅、臭化銅、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、トリメチルシリルクロリド等が挙げられる。溶媒としては、例えば、酸(塩酸水、硫酸、硝酸、臭化水素酸、酢酸、リン酸等)、塩基(ピリジン、キノリン等)、ハロゲン系溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン等)、水、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度としては、通常0〜200℃の範囲から選択することができ、好ましくは0〜100℃の範囲で行われる。
【0113】
[工程3]
製造法3記載の工程3と同様の方法によって、化合物(7−3)と化合物(1−4)から、化合物(7−4)は製造される。
【0114】
[工程4]
製造法4記載の工程5と同様の方法によって、化合物(7−4)から、化合物(7−5)は製造される。
【0115】
[工程5]
製造法4記載の工程6と同様の方法によって、化合物(7−5)と化合物(4−7)から、化合物(7−6)が製造される。
【0116】
[工程6]
製造法1記載の工程6と同様の方法によって、化合物(7−6)から、化合物(I−3)が製造される。
【0117】
製造法1、3〜5、7で用いられる原料化合物(1−4)は、例えば下記の方法に従って製造することができる。
【0118】
【化14】

【0119】
(式中、Rは項1と同義であり、M及びPは製造法1と同義であり、Aは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)
【0120】
[工程1]
公知化合物であるか、又は公知の方法により得られる化合物である化合物(8−1)とハロゲン化剤とを反応させることで、化合物(8−2)が得られる。ハロゲン化剤としては、塩素、臭素、ヨウ素、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等が挙げられる。ハロゲン化剤の使用量としては、化合物(8−1)に対して、通常1当量〜過剰量の範囲から選択される。溶媒としては、例えば、塩素系溶媒(クロロホルム、塩化メチレン等)、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、アセトニトリル等)、ケトン類(アセトン等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度としては、通常−78〜100℃の範囲から選択され、好ましくは0〜50℃の範囲で行われる。
【0121】
[工程2]
化合物(8−3)は、化合物(8−2)を、塩基の存在下、スルホニル化剤と反応させることで製造される。スルホニル化剤としては、例えば、p−トルエンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリドが挙げられ、スルホニル化剤の使用量としては、化合物(8−2)に対して、通常1当量〜過剰量用いられる。溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。塩基としては、例えば炭酸アルカリ金属(炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等)、水素化アルカリ金属(水素化ナトリウム、水素化カリウム等)、水酸化アルカリ金属(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)が挙げられ、好ましくは、水素化ナトリウムが挙げられる。塩基の使用量としては、化合物(8−2)に対して通常1〜5当量の範囲から選択される。反応温度としては、通常−78〜100℃の範囲から選択され、好ましくは−78〜50℃の範囲で行われる。
【0122】
[工程3]
化合物(1−4)は、塩基の存在下あるいは非存在下、遷移金属触媒存在下、化合物(8−3)と金属試薬を反応させることで製造される。遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム触媒(酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、[1,1’―ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等)が挙げられ、必要に応じ配位子を用いてもよい。配位子としては、例えば、ホスフィン配位子(トリフェニルホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリフリルホスフィン等)、カルベン配位子(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾールー2−イリデン等)が挙げられる。塩基としては、例えば酢酸アルカリ金属(酢酸カリウム等)、炭酸アルカリ金属(炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等)、水酸化アルカリ金属(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等)、有機塩基(N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等)が挙げられる。さらに、例えばフッ化アルカリ金属(フッ化セシウム等)等の添加剤を用いてもよい。金属試薬としては、例えば、スズ試薬(ヘキサブチルジスタナン等)、ホウ素試薬(ビス(ピナコレート)ジボラン等)が挙げられる。溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(THF、ジエチルエーテル、DME、1,4−ジオキサン等)、非プロトン性溶媒(トルエン等)、非プロトン性極性溶媒(DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、DMSO、NMP、アセトニトリル等)、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール等)、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度としては、通常0〜200℃の範囲から選択することができ、好ましくは50〜150℃の範囲が挙げられる。
【0123】
以上の反応において、必要に応じて各々の化合物の官能基を保護することができる。保護基としては、公知の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis, T.W.Greene, A
Wiley-Interscience Publication(1999)等)が使用できる。
また、以上の反応において使用した原料や試薬などは、特に断りのない限り、市販の化合物であるか、又は公知の化合物から公知の方法を用いて製造することができる。
【0124】
上記の製造方法に従って製造された化合物(I)は、異性体の混合物として得られることがある。その場合には、実施例化合物又は中間の原料化合物で、例えばクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿等の常法により単離・精製することができる。また、式(I)の化合物がラセミ体である場合は、光学活性カラムを用いたクロマトグラフィーによる光学分割方法、優先晶出法、ジアステレオマー法等の常法に従って、それぞれの光学活性体へと分離・精製することができる。
【0125】
化合物(I)の製薬学的に許容される塩は、水、メタノール、エタノール又はアセトン等の溶媒中で、化合物(I)を塩酸、クエン酸又はメタンスルホン酸等の製薬学的に許容される酸と混合することで得ることができる。化合物(I)にカルボン酸などの酸性官能基が存在する場合は、化合物(I)の製薬学的に許容される塩は、水、メタノール又はエタノール等の溶媒中で、化合物(I)を、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム又は水酸化カリウム等の製薬学的に許容される塩基と混合することで得ることができる。
【0126】
本発明化合物は、JAK阻害作用があるため、用途として、好ましくないサイトカインシグナルに起因する、例えば以下の疾患等に対する治療薬又は予防薬として用いることができる。白血病(急性・慢性リンパ性白血病、急性・慢性骨髄性白血病、成人T細胞白血病等)、悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫等)、骨髄増殖性疾患(真性多血症、本態性血小板血症、好酸球増加症候群、骨髄線維症等)、前立腺癌、多発性骨髄種、肝臓癌、腎臓癌、膵臓癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、胆道癌、肺癌、頭頸部癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、卵巣癌、子宮体癌、子宮頚癌、精巣癌、悪性黒色腫、皮膚癌、骨腫瘍、軟部腫瘍、神経膠腫、神経膠芽腫、キャッスルマン病等の癌疾患;臓器や組織の移植に伴う拒絶反応;骨髄移植後の対宿主性移植片反応;関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症(強皮症)、多発性筋炎、皮膚筋炎、封入性筋炎、側頭動脈炎、結節性多発動脈炎等の血管炎症候群、混合性結合組織病、ベーチェット病、シェーグレン症候群、橋本病、パセドウ病、I型糖尿病、アジソン病、多腺性自己免疫症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症、原発性硬化性胆管炎、悪性貧血、グッドパスチャー症候群、天疱瘡、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、強直性脊椎炎、反応性関節炎、乾癬性関節炎等の自己免疫疾患やリウマチ性疾患;アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎(湿疹)、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アレルギー性蕁麻疹、血管性浮腫、食物アレルギー、アナフィラキシー、アレルギー性接触皮膚炎、細胞媒介過敏症、過敏性肺炎等のアレルギー性疾患や炎症性疾患;エプスタインバーウイルス(EBV)、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLV1、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)等のウイルス性疾患が挙げられる。
【0127】
本発明化合物は、経口又は非経口(筋肉内、静脈内、皮下、経皮、鼻腔内、坐剤、点眼、脳内投与)により投与することができる。投与剤型としては、一般に許容される剤型が挙げられ、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、シロップ剤、サスペンジョン剤、液剤等の注射剤、エマルジョン剤、直腸坐剤、経皮剤(軟膏剤、クリーム剤、ローション剤等)等が挙げられる。
【0128】
製剤化の際は、通常の担体又は希釈剤を用い、常法により製造することができる。錠剤等の固形製剤は、活性化合物と、製剤上許容される通常の担体又は賦形剤(乳糖、ショ糖、トウモロコシデンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、崩壊剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコラートナトリウム等)、滑沢剤(ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム等)又は保存剤等とを混合して製造することができる。液剤、サスペンジョン剤等の非経口剤を調製する場合は、活性化合物を、水、生理食塩水、油、デキストロース溶液等の生理学的に許容される担体又は希釈剤に溶解又は懸濁させることで調製でき、必要に応じてpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、乳化剤、浸透圧調製剤等の補助剤を添加することもできる。
【0129】
本発明化合物の投与量及び投与回数は、一般に、投与経路、症状の程度、体重等によって異なる。本発明化合物は、通常、経口投与の場合、成人(体重60kg)においては、約0.1mg〜約1g、好ましくは約1mg〜約500mg、さらに好ましくは約5mg〜約200mgを1日1回もしくはそれ以上の回数で投与される。また、2日〜1週間に一回の投与も可能である。
【実施例】
【0130】
以下に参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、化合物の同定は元素分析値、マス・スペクトル、高速液体クロマト質量分析計;LCMS、IRスペクトル、NMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により行った。
【0131】
明細書の記載を簡略化するために実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、tは三重線、qは四重線、mは多重線、及びbrはなだらかを意味する。
【0132】
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]をM+Hで、保持時間をT(min)で示す。
MS detector:Waters micromass ZQ
HPLC:Waters2790 separations module
カラム:Impact Cadenza CD-C18 2.0mm × 20mm
流速:1.0ml/min
測定波長:254nm
移動層:A液;水
B液;アセトニトリル
C液;2%ギ酸アセトニトリル溶液
タイムプログラム:
ステップ 時間(分)
1 0.0 -0.1 A液:B液:C液=95:2:3
2 0.1 -3.1 A液:B液:C液=95:2:3 → 1:96:3
3 3.1 -3.5 A液:B液:C液=1:96:3
【0133】
参考例1
5−ブロモ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
(1) 5−ブロモ−3−ヨード−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
5−ブロモ−7−アザインドール(1.05g,5.35mmol)に、アセトン(25mL)及び1−ヨードこはく酸イミド(1.24g,5.51mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。沈殿物を濾取し、冷アセトンで洗浄し、表題化合物(1.32g,77%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 12.4 (brs, 1H), 8.28 (d, 1H, J=2.0 Hz), 7.84 (d, 1H, J=2.0 Hz), 7.79 (s, 1H).
【0134】
(2) 5−ブロモ−3−ヨード−3−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
5−ブロモ−3−ヨード−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(1.32g,4.09mmol)のTHF(20mL)溶液を氷浴で冷却し、水素化ナトリウム(55%,269mg,6.16mmol)を加えた。同温下で30分間攪拌した後、p−トルエンスルホニルクロリド(860mg,4.50mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣にヘキサンを加え、生じた沈殿物を濾取し、2規定水酸化ナトリウム水、水で順次洗浄した。粗生成物をヘキサン/酢酸エチルから再結晶し、表題化合物(1.73g,89%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.49 (d, 1H, J=2.0 Hz), 8.21 (s, 1H), 7.99 (d, 1H, J=2.0 Hz), 7.98 (d, 2H, J=8.5 Hz), 7.42 (d, 2H, J=8.5 Hz), 2.32 (s, 3H).
【0135】
(3) 5−ブロモ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
5−ブロモ−3−ヨード−3−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(6.43g,13.5mmol)のDMF(20mL)溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(5.14g,20.2mmol)、酢酸カリウム(6.62g,67.5mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(946mg,1.35mmol)を加え、65℃で6時間攪拌した。反応液を室温まで放冷し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)精製し、ヘキサン中で攪拌洗浄した後、固体を濾取し、白色固体として表題化合物(3.95g,61%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.41 (d, 1H, J=2.2 Hz), 8.27 (d, 1H, J=2.2 Hz), 8.11 (s, 1H), 8.01-8.06 (m, 2H), 7.22-7.28 (m, 2H), 2.35 (s, 3H), 1.32 (s, 12H). LC/MS:T=2.84, m/z=477(M+H)+.
【0136】
参考例2
5−クロロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
参考例1−(1)〜(3)と同様の方法で、5−クロロ−7−アザインドールから合成した。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 8.33 (d, 1H, J=2.4 Hz), 8.14-8.16 (m, 2H), 8.03-8.09 (m, 2H), 7.25-7.30 (m, 2H), 2.37 (s, 3H), 1.35 (s, 12H). LC/MS:T=2.83, m/z=433(M+H)+.
【0137】
参考例3
3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
参考例1−(1)〜(3)と同様の方法で、7−アザインドールから合成した。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 8.41 (dd, 1H, J=1.7 Hz, 4.8 Hz), 8.19 (dd, 1H, J=1.7 Hz, 7.7 Hz), 8.14 (s, 1H), 8.10 (d, 2H, J=8.4 Hz), 7.25 (d, 2H, J=8.4 Hz), 7.18 (dd, 1H, J=4.8 Hz, 7.7 Hz), 2.36 (s, 3H), 1.35 (s, 12H). LC/MS:T=2.59, m/z=399(M+H)+.
【0138】
参考例4
5−メトキシ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
(1) 5−メトキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
5−ブロモ−7−アザインドール(2.01g,10.2mmol)のDMF(64mL)溶液に、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液(40mL)、次いで臭化銅(2.92g,29.9mmol)を加え、150℃で4時間攪拌した。反応液を室温まで放冷し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、白色固体として表題化合物(1.09g,72%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 11.5 (brs, 1H), 7.96 (brs, 1H), 7.52 (d, 1H, J=2.7 Hz), 7.40-7.43 (m, 1H), 6.35 (dd, 1H, J= 1.9, 3.3 Hz), 3.80 (s, 3H).
【0139】
(2) 5−メトキシ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
参考例1−(1)〜(3)と同様の方法で、5−メトキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンから合成した。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.12 (d, 1H, J=2.8 Hz), 8.07 (s, 1H), 8.01-8.05 (m, 2H), 7.62 (d, 1H, J=2.8 Hz), 7.21-7.25 (m, 2H), 3.85 (s, 3H), 2.34 (s, 3H), 1.33 (s, 12H). LC/MS:T=2.59, m/z=429(M+H)+.
【0140】
実施例1
2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0141】
【化15】

【0142】
(1) 1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル
tert−ブトキシカルボニル−DL−アラニン(28.4g,150mmol)のDMF溶液(375mL)に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(37.4g,195mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(26.3g,195mmol)、2,2,2−トリフルオロエチルアミン(19.3g,195mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(105mL,600mmol)を加え、室温で15時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過した後濾液を濃縮し、表題化合物(31.0g,76%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.97 (brs, 1H), 5.01 (brs, 1H), 4.20 (brs, 1H) , 3.90 (brs, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.34 (d, 3H, J=7.2 Hz). LC/MS:T=1.82, m/z=271(M+H)+.
【0143】
(2) 2−(2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル(31.0g,115mmol)のクロロホルム溶液(10.0mL)に、トリフルオロ酢酸(80mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応液を濃縮し、減圧乾燥した。得られた残渣のTHF溶液(200mL)を、2,4−ジクロロピリミジン(22.3g,115mmol)のTHF/N,N−ジイソプロピルアミン混合溶液(350mL,60mL)に対して、−78℃下ゆっくり滴下し、2時間かけて室温まで自然昇温させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮し、酢酸エチル(50mL)を加え2時間撹拌した。固体を濾取し表題化合物(31.0g,82%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 9.06 (s, 1H), 8.89 (brs, 1H), 7.51 (brs, 1H), 4.83 (m, 1H), 3.89 (m, 2H), 1.59 (d, 3H, J=7.0 Hz). LC/MS:T=1.90, m/z=328(M+H)+.
【0144】
(3) 2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
5−ブロモ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考例1,933mg,1.96mmol)のアセトニトリル−水混合溶液(160mL,混合比=3/1)に、2−(2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(641mg,1.96mmol)および炭酸カリウム(1.76g,12.7mmol)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(159mg,0.195mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。反応液を濃縮し、析出した固体を濾取し水で洗浄した後、メタノールで攪拌洗浄し、濾取,減圧乾固して淡黄色固体として表題化合物(918mg,73%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 9.30 (s, 1H), 8.97-9.02 (m, 1H), 8.91 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.89 (d, 1H, J=6.4 Hz), 8.69 (s, 1H), 8.59 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.06-8.10 (m, 2H), 7.44-7.49 (m, 2H), 4.91-4.96 (m, 1H), 3.89-4.04 (m, 2H), 2.36 (s, 3H), 1.58 (d, 3H, J=7.0 Hz). LC/MS:T=2.64, m/z=642(M+H)+.
【0145】
(4) 2−(5−アミノ−2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(918mg,1.43mmol)のTHF−メタノール混合溶液(75mL,混合比=2/1)に、3%Pt−S/C(456mg)を加え、水素雰囲気下、50℃で2時間撹拌した。窒素置換し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/10)で精製し、白色アモルファスとして表題化合物(613mg,70%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.92 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.84-8.88 (m, 1H),8.38 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.24 (s, 1H), 7.98(d, 2H, J=8.2 Hz), 7.70 (s, 1H), 7.42 (d, 2H, J=8.2 Hz), 6.80 (d, 1H, J=6.3 Hz), 5.19 (brs, 2H), 4.58-4.66 (m, 1H), 3.99-4.09 (m, 1H), 3.82-3.89 (m, 1H), 2.34 (s, 3H), 1.54 (d, 3H, J=7.2). Hz LC/MS:T=2.10, m/z=612(M+H)+.
【0146】
(5) 2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(5−アミノ−2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(142mg,0.232mmol)のTHF溶液(3mL)に、N,N’−カルボニルジイミダゾール(41mg,0.252mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製し、白色固体として表題化合物(140mg,95%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.95 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.73-8.78 (m, 1H),8.55 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.45 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.05 (d, 2H, J=8.2 Hz), 7.44 (d, 2H, J=8.2 Hz), 5.07-5.14 (m, 1H), 3.85-3.95 (m, 2H), 2.34 (s, 3H), 1.72 (d, 3H, J=7.3 Hz). LC/MS:T=2.36, m/z=638(M+H)+.
【0147】
(6) 2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(12mg,0.019mmol)のTHF−メタノール混合溶液(2mL,混合比=1/1)に、2規定水酸化ナトリウム水溶液(0.2mL)を加え、室温で14時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製し、橙色固体として表題化合物(6.73mg,73%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 12.3 (brs, 1H), 8.87 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.71-8.76 (m, 1H), 8.34 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.30 (s, 1H), 8.18 (d, 1H, J=2.8 Hz), 5.06 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.81-3.99 (m, 2H), 1.75 (d, 3H, J=7.3 Hz). LC/MS:T=1.92, m/z=484(M+H)+.
【0148】
実施例2−7
対応する原料化合物を用いて、実施例1と同様の方法で表1に示す化合物を得た。
【0149】
【表1】

【0150】
実施例8
2−(8−オキソ−2−(5−(1−プロペン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0151】
【化16】

【0152】
(1) 2−(8−オキソ−2−(5−(1−プロペン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例1−(5),88.3mg,0.138mmol)のアセトニトリル溶液(4.0mL)に、2−イソプロペニル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロレート(34.8mg,0.207mmol)およびジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(11.5mg,0.014mmol)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(2mL)を加え、120℃で2時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製し、白色固体として表題化合物(52.8mg,64%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz)δ 11.6 (s, 1H), 8.83 (d, 1H, J=2.2 Hz), 8.71-8.76 (m, 1H), 8.62 (d, 1H, J=2.2 Hz), 8.42 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.95-7.99 (m, 2H), 7.41-7.45 (m, 2H), 5.55 (s, 1H), 5.11-5.13, (m, 1H), 5.09 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.79-3.91 (m, 2H), 2.34 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 1.82 (d, 3H, J=7.3 Hz). LC/MS:T=2.37, m/z=600(M+H)+.
【0153】
(2) 2−(8−オキソ−2−(5−(1−プロペン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例1−(6)と同様の方法で、2−(8−オキソ−2−(5−(1−プロペン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミドから表題化合物を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 12.1 (d, 1H, J=2.5 Hz), 11.4 (s, 1H), 8.80 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.70-8.75 (m, 1H), 8.48 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.29 (s, 1H), 8.13 (d, 1H, J=2.5 Hz), 5.50 (s, 1H), 5.11-5.13, (m, 1H), 5.07 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.81-3.91 (m, 2H), 2.32 (s, 3H), 1.82 (d, 3H, J=7.3 Hz). LC/MS:T=1.91, m/z=446(M+H)+.
【0154】
実施例9−15
対応する原料化合物を用いて、実施例8と同様の方法で表2に示す化合物を得た。
【0155】
【表2】

【0156】
【表3】

【0157】
実施例16
2−(2−(5−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0158】
【化17】

【0159】
(1) 2−(2−(5−メチル−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例1−(5),20.3mg,0.032mmol)のTHF溶液(0.5mL)に、2Mメチル亜鉛クロリド/THF溶液(0.09mL)およびビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(2.3mg,0.005mmol)を加え、75℃で5時間撹拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣を薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し、淡黄色固体として表題化合物(12.9mg,70%)を得た。LC/MS:T=2.26, m/z=574(M+H)+.
【0160】
(2) 2−(2−(5−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例1−(6)と同様の方法で、2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(12.9mg,0.023mmol)から表題化合物(5.95mg,63%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 11.9 (brs, 1H), 11.3 (brs, 1H), 8.71-8.76 (m, 1H), 8.54 (d, 1H, J=1.7 Hz), 8.26 (s, 1H), 8.12 (d, 1H, J=2.0 Hz), 8.06 (d, 1H, J=1.7 Hz), 5.07 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.80-3.97 (m, 2H), 2.43 (s, 3H), 1.76 (d, 3H, J=7.3 Hz).
【0161】
実施例17−18
対応する原料化合物とシクロペンチル亜鉛ブロミドを用いて、実施例16と同様の方法で表3に示す化合物を得た。
【0162】
【表4】

【0163】
実施例19
2−(2−(5−イソプロピル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0164】
【化18】

【0165】
2−(8−オキソ−2−(5−(1−プロペン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例8,20.6mg,0.046mmol)のTHF−メタノール混合溶液(10mL,混合比=3/2)に、10%パラジウム/炭素(10mg)を加え、水素雰囲気下、室温で5時間撹拌した。窒素置換し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣を薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製し、褐色固体として表題化合物(8.96mg,43%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 11.9 (d, 1H, J=2.5 Hz), 11.3 (brs, 1H), 8.71-8.76 (m, 1H), 8.59 (d, 1H, J=2.1 Hz), 8.27 (s, 1H), 8.17 (d, 1H, J=2.1 Hz), 8.08 (d, 1H, J=2.5 Hz), 5.06 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.80-3.94 (m, 2H), 3.07 (quint, 1H, J=6.9 Hz), 1.80 (d, 3H, J=7.3 Hz), 1.32 (d, 6H, J=6.9 Hz). LC/MS:T=1.86, m/z=448(M+H)+.
【0166】
実施例20
2−(2−(5−(3−(ジメチルアミノ)−1−プロピニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0167】
【化19】

【0168】
(1) 2−(2−(5−(3−(ジメチルアミノ)−1−プロピニル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例1−(5),40.3mg,0.063mmol)のTHF溶液(1mL)に、N,N−ジメチルプロパルギルアミン(0.136mL,1.26mmol)、ヨウ化銅(I)(6.7mg,0.035mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(18.3mg,0.016mmol)、トリエチルアミン(0.044mL,0.32mmol)を加え、75℃で19時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣を薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し、淡黄色固体として表題化合物(16.3mg,40%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ 8.67 (brs, 1H), 8.46 (d, 1H, J=2.0 Hz), 8.40 (s, 1H), 8.22 (s, 1H), 8.01-8.06 (m, 2H), 7.54-7.59 (m, 1H), 7.22-7.26 (m, 2H), 5.31 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.95-4.03 (m, 2H), 3.59 (s, 2H), 2.50 (s, 6H), 2.21 (s, 3H), 1.90 (d, 3H, J=7.3 Hz).
【0169】
(2) 2−(2−(5−(3−(ジメチルアミノ)−1−プロピニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例1−(6)と同様の方法で、2−(2−(5−(3−(ジメチルアミノ)−1−プロピニル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(16.3mg,0.025mmol)から表題化合物(12.1mg,>99%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 12.3 (brs, 1H), 11.3 (brs, 1H), 8.77 (d, 1H, J=2.1 Hz), 8.73-8.78 (m, 1H), 8.33 (d, 1H, J=2.1 Hz), 8.29 (s, 1H), 8.16 (s, 1H), 5.05 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.79-4.01 (m, 2H), 3.50 (s, 2H), 2.28 (s, 6H), 1.76 (d, 3H, J=7.3 Hz). LC/MS:T=1.59, m/z=487(M+H)+.
【0170】
実施例21
2−(2−(5−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0171】
【化20】

【0172】
2−(2−(5−(3−(ジメチルアミノ)−1−プロピニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例20,4.9mg,0.010mmol)のTHF−メタノール混合溶液(4mL,混合比=1/1)に、10%パラジウム/炭素(2.5mg)を加え、水素雰囲気下、室温で5時間撹拌した。窒素置換し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣を薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し、淡黄色固体として表題化合物(3.24mg,65%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz)δ 11.9 (brs, 1H), 11.5 (brs, 1H), 8.74-8.79 (m, 1H), 8.56 (d, 1H, J=1.8 Hz), 8.24 (s, 1H), 8.12 (d, 1H, J=1.8 Hz), 8.07 (s, 1H), 5.05 (q, 1H, J=7.2 Hz), 3.79-3.96 (m, 2H), 2.72 (t, 2H, J=7.6 Hz), 2.23 (t, 2H, J=7.3 Hz), 2.12 (s, 6H), 1.75-1.80 (m, 2H), 1.76 (d, 3H, J=7.2 Hz). LC/MS:T=1.54, m/z=491(M+H)+.
【0173】
実施例22
2−(2−(5−シアノ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0174】
【化21】

【0175】
(1) 2−(2−(5−シアノ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例1−(5),68.8mg,0.108mmol)のDMF溶液(1.5mL)に、シアン化亜鉛(24mg,0.20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12.6mg,0.011mmol)、亜鉛粉末(10mg)を加え、75℃で5時間撹拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣を薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製し、白色固体として表題化合物(43.3mg,69%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz)δ 11.6 (brs, 1H), 9.15 (d, 1H, J=2.1 Hz), 8.88 (d, 1H, J=2.1 Hz), 8.75-8.80 (m, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 8.07-8.11 (m, 2H), 7.43-7.48 (m, 2H), 5.14 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.84-3.96 (m, 2H), 2.36 (s, 3H), 1.72 (d, 3H, J=7.3 Hz). LC/MS:T=2.28, m/z=585(M+H)+.
【0176】
(2) 2−(2−(5−シアノ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例1−(6)と同様の方法で、2−(2−(5−シアノ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(43.8mg,0.075mmol)から表題化合物(7.97mg,25%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 12.2 (brs, 1H), 9.06 (d, 1H, J=1.9 Hz), 8.75-8.81 (m, 1H), 8.68 (d, 1H, J=1.9 Hz), 8.31 (s, 1H), 8.16 (s, 1H), 5.10 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.81-3.93 (m, 2H), 1.75 (d, 3H, J=7.3 Hz). LC/MS:T=1.84, m/z=431(M+H)+.
【0177】
実施例23
3−(8−オキソ−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキシアミド
【0178】
【化22】

【0179】
(1) 3−(8−オキソ−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例1−(5),92.5mg,0.145mmol)のTHF溶液(2mL)に、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(1mL)およびジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(18mg,0.025mmol)を加え、一酸化炭素加圧(0.2MPa)条件下、80℃で7時間撹拌した。窒素置換し、希塩酸水溶液を加えて生成した沈殿を濾取、水、クロロホルムで洗浄した後、減圧乾固して白色固体として表題化合物(58.1mg,66%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz)δ 13.4 (brs, 1H), 11.6 (brs, 1H), 9.33 (s, 1H), 8.93 (s, 1H), 8.71-8.76 (m, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.06-8.10 (m, 2H), 7.42-7.47 (m, 2H), 5.13 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.86-3.98 (m, 2H), 2.33 (s, 3H), 1.79 (d, 3H, J=7.3 Hz). LC/MS:T=2.12, m/z=604(M+H)+.
【0180】
(2) N−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−(8−オキソ−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキシアミド
3−(8−オキソ−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(25.9mg,0.042mmol)のDMF溶液(1mL)に、氷冷下、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(8mg,0.059mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(11mg,0.057mmol), トリエチルアミン(0.01mL)を加え、窒素雰囲気下、室温で30分間撹拌した。次いで氷冷下、2,4−ジメトキシベンジルアミン塩酸塩(13.1mg,0.064mmol)およびトリエチルアミン(0.01mL)を加え、窒素雰囲気下、室温で14時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製し、白色アモルファスとして表題化合物(20.3mg,63%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz)δ 9.23 (d, 1H, J=2.2 Hz), 8.97-9.02 (m, 1H), 8.90 (d, 1H, J=2.2 Hz), 8.77-8.82 (m, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 8.06-8.10 (m, 2H), 7.41-7.47 (m, 2H), 7.13 (d, 1H, J=8.4 Hz), 6.56 (d, 1H, J=2.3 Hz), 6.46 (dd, 1H, J=2.3, 8.4 Hz), 5.12 (q, 1H, J=7.3 Hz), 4.42 (d, 2H, J=5.7 Hz), 3.78-3.93 (m, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 2.35 (s, 3H), 1.72 (d, 3H, J=7.3 Hz). LC/MS:T=2.32, m/z=753(M+H)+.
【0181】
(3) 3−(8−オキソ−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキシアミド
N−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−(8−オキソ−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキシアミド(20mg,0.027mmol)のクロロホルム懸濁液(2mL)に、トリフルオロ酢酸(1mL)を加え、室温で14時間撹拌した。粗生成物を濃縮した後、実施例1−(6)と同様の方法を行うことにより、表題化合物(0.49mg,4%)を得た。LC/MS:T=1.62, m/z=449(M+H)+.
【0182】
実施例24
2−(8−オキソ−2−(5−(ピロリジン−1−カルボニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0183】
【化23】

【0184】
実施例23−(2)と同様の方法で、3−(8−オキソ−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸とピロリジンから縮合体を得た後、実施例1−(6)と同様の方法で、表題化合物を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz)δ 12.3 (brs, 1H), 11.4 (brs, 1H), 8.87 (d, 1H, J=2.1 Hz), 8.71-8.75 (m, 1H), 8.43 (d, 1H, J=2.1 Hz), 8.30 (s, 1H), 8.19 (d, 1H, J=2.5 Hz), 5.07 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.83-3.92 (m, 2H), 3.49-3.56 (m, 4H), 1.80-1.95 (m, 4H), 1.75 (d, 3H, J=7.3 Hz). LC/MS:T=1.80, m/z=503(M+H)+.
【0185】
実施例25
2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−プロピル−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0186】
【化24】

【0187】
(1) 2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−プロピル−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(5−アミノ−2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例1−(4),1.28g,2.10mmol)に対し、酢酸(5mL)とオルト酪酸トリエチル(5mL)を加え、100℃で12時間撹拌した。反応液を室温まで放冷後、重曹水を加え、クロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/2)で精製し、表題化合物(590mg,42%)を得た。LC/MS:T=2.53, m/z=664(M+H)+.
【0188】
(2) 2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−プロピル−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−プロピル−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(50mg,0.075mmol)に対してメタノール(1mL)、5規定水酸化ナトリウム水溶液(0.1mL)を加え室温にて5時間撹拌した。反応液を濾過し、メタノールで洗浄することで、表題化合物(25.0mg,65%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz)δ 12.39 (s, 1H), 9.01 (s, 1H), 8.96 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.72 (m, 1H), 8.35 (d, 1H, J=2.3 Hz), 8.31 (s, 1H), 5.48 (q, 1H, J=7.3 Hz), 3.93 (m, 2H), 2.86 (m, 2H), 1.81-1.88 (m, 5H), 1.03 (t, 3H, J=7.4 Hz). LC/MS:T=2.09, m/z=510(M+H)+.
【0189】
実施例26
2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−メトキシエチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0190】
【化25】

【0191】
(1) 2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−メトキシエチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(5−アミノ−2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例1−(4),120mg,0.196mmol)のDMF溶液(2.0mL)に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(112mg,0.588mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(79.0mg,0.588mmol)、3−メトキシプロピオン酸(40.0mg,0.392mmol)およびトリエチルアミン(0.081mL,0.98mmol)を加え、50℃で5時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=98/2)で精製し、アミド体の粗生成物を得た。LC/MS:T=2.33, m/z=698, 700(M+H)+.
アミド体の粗生成物の酢酸溶液(3.0mL)にメタノール(0.2mL)を加え、封管中、100℃にて3時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、濃縮した。得られた残渣をアミノカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=98/2)で精製し、表題化合物の粗生成物を得た。
LC/MS:T=2.48, m/z=680, 682(M+H)+.
【0192】
(2) 2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−メトキシエチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
上記得られた2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−メトキシエチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミドの粗生成物のTHF/メタノール混合溶液(1.0mL/2.0mL)に5規定水酸化ナトリウム水溶液(0.1mL)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9/1)で精製し、表題化合物(3.8mg,4%、3工程)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz)δ 8.95 (s, 1H), 8.85 (brs, 1H), 8.65 (brs, 1H), 8.31 (s, 1H), 8.24 (brs, 1H), 5.47 (q, 1H, J=7.2 Hz), 3.80-4.11 (m, 6H), 3.28 (s, 3H), 1.80 (d, 3H, J=7.2 Hz). LC/MS:T=2.03, m/z=526, 528(M+H)+.
【0193】
実施例27
2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(エトキシメチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0194】
【化26】

【0195】
(1) 2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(エトキシメチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(5−アミノ−2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例1−(4),300mg,0.49mmol)のNMP溶液(5.0mL)に、2−エトキシ酢酸(145mg,1.22mmol)、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(165mg,1.22mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(234mg,1.22mmol)、トリエチルアミン(123mg,1.22mmol)を加え、室温で20時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、アミド体の粗生成物(150mg)を得た。
LC/MS:T=2.36, m/z=698(M+H)+.
【0196】
アミド体の粗生成物(150mg)に酢酸(2mL)を加え、120℃で5時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し濃縮後、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し表題化合物(95mg,28%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz)δ 9.21 (s, 1H), 9.02 (d, 1H ,J=2.4 Hz), 8.67 (t, 1H, J=6.2 Hz), 8.55-8.58 (m, 2H), 8.07 (d, 2H, J=8.3 Hz), 7.43 (d, 2H, J=8.3 Hz), 5.50 (q, 1H, J=7.2 Hz), 4.77-4.87 (m, 2H), 3.80-4.00 (m, 2H), 3.48-3.60 (m, 2H), 2.34 (s, 3H), 1.84 (d, 3H, J=7.2 Hz), 1.12 (t, 3H, J=7.0 Hz). LC/MS:T=2.55, m/z=680(M+H)+.
【0197】
(2) 2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(エトキシメチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例26−(2)と同様の方法で、2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(エトキシメチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミドから表題化合物を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ 9.08-9.09 (m, 1H), 8.94 (d, 1H, J=2.4 Hz), 8.65 (t, 1H, J=6.1 Hz), 8.36 (d, 1H , J= 2.4 Hz), 8.31 (s, 1H), 5.45 (q, 1H, J=7.2 Hz), 4.78 (s, 2H), 3.84-3.96 (m, 2H), 3.30-3.70 (m, 2H), 1.88 (d, 3H, J=7.3 Hz), 1.11 (t, 3H, J=7.2 Hz).
LC/MS:T=2.11, m/z=526(M+H)+.
【0198】
実施例28
2−(8−(エチルアミノ)−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0199】
【化27】

【0200】
(1) 2−(8−(エチルアミノ)−2−(1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例1−(1)〜1−(4)と同様の方法で対応する原料化合物から合成した2−(5−アミノ−2−(1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(20.0mg,0.037mmol)のTHF溶液(1.0mL)に、エチルイソチオシアナート(6.45mg,0.074mmol)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン(11.2mg,0.074mmol)を加え、70℃で1時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9/1)で精製し表題化合物の粗生成物を得た。LC/MS:T=2.24, m/z=587(M+H)+.
【0201】
(2) 2−(8−(エチルアミノ)−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例26−(2)と同様の方法で、上記得られた2−(8−(エチルアミノ)−2−(1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミドの粗生成物から表題化合物(2.8mg,18%、2工程)を得た。
1H-NMR (CDCl3-CD3OD, 300 MHz)δ 8.93 (d, 1H, J=8.1 Hz), 8.59 (s, 1H), 8.29 (d, 1H, J=4.8 Hz), 8.17 (s, 1H), 7.26 (dd, 1H, J=4.8 Hz, 8.1 Hz), 5.56 (q, 1H, J=7.2 Hz), 3.68-4.11 (m, 4H), 1.73 (d, 3H, J=7.2 Hz), 1.36 (t, 3H, J=7.0 Hz). LC/MS:T=1.74, m/z=433(M+H)+.
【0202】
実施例29−44
対応する原料化合物を用いて、実施例25〜実施例27のいずれかと同様の方法で表4に示す化合物を得た。
【0203】
【表5】

【0204】
【表6】

【0205】
【表7】

【0206】
実施例46
3−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−9H−プリン−8−イル)プロピオン酸
【0207】
【化28】

【0208】
(1) 3−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−9H−プリン−8−イル)プロピオン酸tert−ブチル
2−(5−アミノ−2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例1−(4),200mg,0.327mmol)のDMF溶液(3.3mL)に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(125mg,0.654mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(88mg,0.654mmol)、モノ−tert−ブチルスクシネート(114mg,0.654mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.284mL,1.64mmol)を加え、室温にて24時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=98/2)で精製し、アミド体の粗生成物を得た。LC/MS:T=2.56, m/z=768, 770(M+H)+.
混合物の酢酸溶液(3mL)を、封管中、100℃にて5時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=98/2)で精製し、表題化合物の粗生成物を得た。
LC/MS:T=2.69, m/z=750, 752(M+H)+.
【0209】
(2) 3−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−9H−プリン−8−イル)プロピオン酸
上記得られた3−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−9−(1−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチルアミノ)プロパン−2−イル)−9H−プリン−8−イル)プロピオン酸tert−ブチルの粗生成物のTHF/メタノール混合溶液(1.0mL/2.0mL)に、5規定水酸化ナトリウム水溶液(0.1mL)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をクロロホルムに溶解させ(0.2mL)、トリフルオロ酢酸(2mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9/1)で精製し、標題化合物(2.0mg,1%、3工程)を得た。
1H-NMR (CDCl3-CD3OD, 300 MHz)δ 9.14 (d, 1H, J=2.2 Hz), 8.96 (s, 1H), 8.34 (d, 1H, J=2.2 Hz), 8.29 (s, 1H), 5.47 (q, 1H, J=7.2 Hz), 3.91 (m, 2H), 2.90-3.24 (m, 4H), 1.98 (d, 1H, J=7.2 Hz). LC/MS:T=1.93, m/z=540, 542(M+H)+.
【0210】
実施例47
2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(N−メチルアセトアミド)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0211】
【化29】

【0212】
(1) 2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(N−メチルアセトアミド)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミドおよび2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(メチルアミノ)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例46−(1)と同様の方法で、2−(5−アミノ−2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例1−(4),100mg,0.163mmol)と3−(N−tert−ブトキシカルボニル−N−メチル−アミノ)プロピオン酸(40.0mg,0.196mmol)から、アミド体の粗生成物を得た。
LC/MS:T=2.58, m/z=797, 799(M+H)+.
【0213】
引き続き、実施例46−(1)と同様に酢酸中で反応を行い、表題化合物の粗生成物をそれぞれ得た。
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(N−メチルアセトアミド)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド:LC/MS:T=2.40, m/z=721, 723(M+H)+.
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(メチルアミノ)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド:LC/MS:T=2.05, m/z=679, 681(M+H)+.
【0214】
(2) 2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(N−メチルアセトアミド)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例26−(2)と同様の方法で、上記得られた2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(N−メチルアセトアミド)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミドの粗生成物から表題化合物(2.5mg,3%、3工程)を得た。
1H-NMR (CDCl3-CD3OD, 300 MHz)δ 9.48 (brs, 1H), 9.10 (d, 1H, J=2.0 Hz), 8.97 (s, 1H), 8.69 (t, 1H, J=6.4 Hz), 8.41 (d, 1H, J=2.0 Hz), 8.24 (d, 1H, J=2.8 Hz), 5.14 (q, 1H, J=7.0 Hz), 4.40 (m, 1H), 4.12 (m, 1H), 3.72 (m, 1H), 3.07-3.36 (m, 6H), 1.91 (d, 3H, J=7.0 Hz), 1.89 (s, 3H).
LC/MS:T=1.97, m/z=567, 569(M+H)+.
【0215】
実施例48
2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0216】
【化30】

【0217】
(1) 2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例47−(1)で得られた2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(メチルアミノ)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミドの粗生成物のクロロホルム溶液(1mL)に、35%ホルムアルデヒド水溶液(10mg,0.166mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロハイドレート(12mg,0.058mmol)および酢酸(2.0mg,0.029mmol)を加え室温にて2時間撹拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をアミノカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=98/2)で精製し、標題化合物の粗生成物を得た。
LC/MS:T=2.09, m/z=693, 695(M+H)+.
【0218】
(2) 2−(2−(5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
実施例26−(2)と同様の方法で、上記得られた2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミドの粗生成物から表題化合物(4.0mg,5%、4工程)を得た。
1H-NMR (CD3OD, 300 MHz)δ 9.09 (d, 1H, J=2.2 Hz), 8.97 (s, 1H), 8.33 (d, 1H, J=2.2 Hz), 8.29 (s, 1H), 5.43 (q, 1H, J=7.0 Hz), 3.93 (m, 2H), 2.93-3.20 (m, 4H), 2.42 (s, 6H), 2.00 (d, 3H, J=7.0 Hz). LC/MS:T=1.73, m/z=539, 541(M+H)+.
【0219】
実施例49
2−(8−(2−(メチルアミノ)エチル)−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0220】
【化31】

【0221】
実施例47−(1)と同様の方法で、2−(5−アミノ−2−(1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例28中間体)から環化体を得た後、実施例26−(2)と同様の方法で、表題化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3-CD3OD, 300 MHz)δ 8.99 (s, 1H), 8.96 (m, 1H), 8.32 (m, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.28 (m, 1H), 5.23 (q, 1H, J= 7.0 Hz), 3.88-3.79 (m, 2H), 3.18-3.12 (m, 4H), 2.62 (s, 3H), 1.95 (d, 3H, J= 7.0 Hz). LC/MS:T=1.51, m/z=447(M+H)+.
【0222】
実施例50−60
2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−プロピル−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例25−(1))、2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(2−メトキシエチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例26−(1))、2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(エトキシメチル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例27−(1))、実施例27−(1)と同様の方法で合成した2−(2−(5−ブロモ−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−8−(3−メトキシプロピル)−9H−プリン−9−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(実施例39中間体)のいずれかと、対応する原料化合物を用いて、実施例8および実施例26−(2)と同様の方法で表5に示す化合物を得た。
【0223】
【表8】

【0224】
【表9】

【0225】
【表10】

【0226】
実施例61
2−(2−オキソ−5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3(2H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
【0227】
【化32】

【0228】
(1) 2−(5−アミノ−2−オキソチアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3(2H)−イル)プロパン酸tert−ブチル
5−アミノ−3H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2−オン(US特許2007/0117979,500mg,2.98mmol)のDMF溶液(15mL)に、炭酸カリウム(1.20g,8.70mmol)、2−ブロモプロピオン酸tert−ブチルエステル(680mg,3.30mmol)を加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を室温まで放冷後、濾過した後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過した後、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/2)で精製し、表題化合物(680mg,68%)を得た。
LC/MS:T=1.90, m/z=297(M+H)+.
【0229】
(2) 2−(5−クロロ−2−オキソチアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3(2H)−イル)プロパン酸tert−ブチル
2−(5−アミノ−2−オキソチアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3(2H)−イル)プロパン酸tert−ブチル(600mg,2.02mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)に、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(2.04g,9.00mmol)、クロロトリメチルシラン(970mg,9.00mmol)、亜硝酸tert−ブチル(2.06g,20.0mmol)を加え、室温にて10時間撹拌した。重曹水を加え、クロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表題化合物(470mg,74%)を得た。
LC/MS:T=2.27, m/z=316(M+H)+.
【0230】
(3) 2−(2−オキソ−5−(1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3(2H)−イル)プロパン酸tert−ブチル
2−(5−クロロ−2−オキソチアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3(2H)−イル)プロパン酸tert−ブチル(470mg,1.49mmol)のジオキサン溶液(8.0mL)に3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(参考例3,653mg,1.64mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体(245mg,0.300mmol)、2規定炭酸ナトリウム水溶液(2.0mL)を加え、加熱還流下5時間撹拌した。反応液を室温まで放冷後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、表題化合物(520mg,63%)を得た。
LC/MS:T=2.68, m/z=552(M+H)+.
【0231】
(4) 2−(2−オキソ−5−(1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3(2H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(2−オキソ−5−(1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3(2H)−イル)プロパン酸tert−ブチル(520mg,0.944mmol)のクロロホルム溶液(1mL)にトリフルオロ酢酸(5mL)を加え5時間撹拌した後、反応液を濃縮した。残渣をDMF(2.0mL)に溶解し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩 (401mg,2.10mmol)、2,2,2−トリフルオロエチルアミン(198mg,2.00mmol)、1−ヒドロキシベンズトリアゾール(135mg,1.00mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(250mg,2.00mmol)を加え、室温にて12時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、表題化合物(430mg,79%)を得た。
LC/MS:T=2.39, m/z=577(M+H)+.
【0232】
(5) 2−(2−オキソ−5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3(2H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド
2−(2−オキソ−5−(1−トシル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3(2H)−イル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパンアミド(20.0mg,0.0347mmol)に対して、4規定塩酸/ジオキサン溶液(2.0mL)を加え、室温にて10時間撹拌した。重曹水を加え、クロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後濾液を濃縮した。残渣をメタノールでリパルプ洗浄することで表題化合物(6.0mg,41%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz)δ 12.32 (s, 1H), 8.91(s, 1H), 8.83 (t, J=6.1 Hz), 8.70 (d, 1H, J=8.0 Hz), 8.31 (m, 2H), 7.22 (dd, 1H, J=8.0, 4.7 Hz), 5.41 (q, 1H, J=7.1 Hz), 3.82-3.90 (m, 2H), 1.70 (d, 3H, J=7.1 Hz). LC/MS:T=1.92, m/z=423(M+H)+.
【0233】
試験例:JAK1、JAK2及びJAK3阻害試験
本発明化合物の薬理活性は、以下の試験により確認した。
(1)ヒトJAK1の調製
精製ヒトJAK1キナーゼドメインはQuickScout Screening Assist Kit(カルナバイオサイエンス社)に添付されているものを使用した。これは、ヒトJAK1タンパク(accession number _ BAD92294.1)の850〜1154(C末端)番の断片のN末端にGSTタグを結合させたもの(62kDa)をバキュロウィルスの発現系を用いて発現させ、glutathione sepharoseクロマトグラフィーを用いて精製したものである。
(2)ヒトJAK2の調製
精製ヒトJAK2キナーゼドメインはQuickScout Screening Assist Kit(カルナバイオサイエンス社)に添付されているものを使用した。これは、ヒトJAK2タンパク(accession number _ NP_004963.1)の826〜1132(C末端)番の断片のN末端にHisタグを結合させたもの(39kDa)をバキュロウィルスの発現系を用いて発現させ、Ni−NTAアフィニティカラムクロマトグラフィーを用いて精製したものである。
(3)ヒトJAK3の調製
精製ヒトJAK3キナーゼドメインはQuickScout Screening Assist Kit(カルナバイオサイエンス社)に添付されているものを使用した。これは、ヒトJAK3タンパク(accession number _000206.2)の795〜1124(C末端)番の断片のN末端にHisタグを結合させたもの(41kDa)をバキュロウィルスの発現系を用いて発現させ、Ni−NTAアフィニティカラムクロマトグラフィーを用いて精製したものである。
【0234】
(4)JAK1活性の測定
JAK1活性測定は前述のQuickScout Screening Assist Kitを使用し、添付のプロトコールに従って行った。具体的な操作は下記の通り行った。
10μLの被検化合物を含むアッセイバッファー及び20μLの酵素溶液をマイクロプレートに添加し、その後10μLの基質溶液を添加することで反応を開始した。基質としてはBiotin-JAK1 substrate peptide及びATPを使用した。反応時の溶液組成は終濃度で15mM Tris-HCl pH 7.5、0.01% Tween 20、2mM DTT、250nM Biotin-JAK1 substrate peptide、10 μM ATP、5 mM MgCl2である。
(5)JAK2活性の測定
JAK2活性測定は前述のQuickScout Screening Assist Kitを使用し、添付のプロトコールに従って行った。具体的な操作は下記の通り行った。
10μLの被検化合物を含むアッセイバッファー及び20μLの酵素溶液をマイクロプレートに添加し、その後10μLの基質溶液を添加することで反応を開始した。基質としてはBiotin-Srctide及びATPを使用した。反応時の溶液組成は終濃度で15mM Tris-HCl pH 7.5, 0.01% Tween 20, 2mM DTT, 250nM Biotin-Srctide, 5μM ATP、5mM MgCl2である。
(6)JAK3活性の測定
JAK3活性測定は前述のQuickScout Screening Assist Kitを使用し、添付のプロトコールに従って行った。具体的な操作は下記の通り行った。
10μLの被検化合物を含むアッセイバッファー及び20μLの酵素溶液をマイクロプレートに添加し、その後10μLの基質溶液を添加することで反応を開始した。基質としてはBiotin-Lyn-peptide及びATPを使用した。反応時の溶液組成は終濃度で15mM Tris-HCl pH 7.5, 0.01% Tween 20, 2mM DTT, 250nM Biotin-Lyn-peptide, 5μM ATP, 20mM MgCl2である。
【0235】
室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄用バッファー(50mM Tris−HCl pH 7.5、150mM NaCl、0.02% Tween 20)で4回洗浄し、ブロッキングバッファー(0.1% Bovine serum albuminを含む洗浄用バッファー)をプレートに添加した。室温で30分インキュベートした後、ブロッキングバッファーを除去して、HRP標識抗体溶液(HRP標識抗体をブロッキングバッファーで400倍希釈したもの)を添加した。室温で30分インキュベートした後、プレートを4回洗浄して、TMB substrate solution(Pierce,Rockford,IL)をプレートに100μL添加した。室温で5分間インキュベートした後、0.1Mの硫酸を100μL添加して反応を停止した。酵素活性はプレートリーダーにて450nmの吸光度として測定した。被験化合物のJAK1、JAK2およびJAK3阻害活性は、JAK活性を50%抑制する被験化合物の濃度をIC50として算出した。JAK1、JAK2およびJAK3阻害試験における被験化合物のIC50(nM)を表6に示す。
【0236】
【表11】

【0237】
【表12】

【0238】
表6に示すように、本発明の化合物はJAK1、JAK2およびJAK3阻害試験において強い阻害作用を示した。実施例11,12,25,26,27,36,37,38,40,44,50,51,52,53,54,55,56,57,59及び60の化合物は、特に強い阻害作用を示した。
【産業上の利用可能性】
【0239】
以上で説明したように、式(I)で表されるアザインドール誘導体、又はその製薬学的に許容される塩は、癌疾患、臓器移植における拒絶反応、自己免疫疾患、アレルギー疾患等の治療薬又は予防薬として利用しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

[式中、
−X----X−は、−NRCO−、−N=CR−又は−S−CO−を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−CO−飽和脂肪族へテロ環又は−CONRを表し、ここにおいて該C1−6アルキル、該C2−6アルケニル、該C2−6アルキニル、該C1−6アルコキシ及び該C3−8シクロアルキルは、フッ素原子、水酸基、シアノ、カルボキシル、C1−6アルコキシ、−NR、飽和脂肪族へテロ環、−CONR及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、該アリール及び該ヘテロアリールは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく、
は、水素原子、ハロゲン原子又はフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキルを表し、
は、水素原子又はC1−6アルキルを表し、
は、水素原子、C1−6アルキル又は−NR1011を表し、ここにおいて該C1−6アルキルは、フッ素原子、水酸基、シアノ、C1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、−NR1213、飽和脂肪族へテロ環、−CONR1213及び−NR12COR13からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく、
、R、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、各々独立して、水素原子、又はフッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキルを表し、
Yは、1〜2個のC1−6アルキルで置換されていてもよいC1−6アルキレン(該基の1個のメチレンは、1個のC3−6シクロアルカン−1,1−イレンで置き換えられていてもよい)を表す]
で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、ハロゲン原子、シアノ、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−CO−飽和脂肪族へテロ環又は−CONRであり、ここにおいて、該C2−6アルケニル、該C2−6アルキニル、該C1−6アルコキシ及び該C3−8シクロアルキルは、フッ素原子、水酸基、シアノ、カルボキシル、C1−6アルコキシ、−NR、飽和脂肪族へテロ環、−CONR及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、該アリール及び該ヘテロアリールは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素原子で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、水素原子である、
請求項1又は2に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Yが、メチル及びエチルからなる群から選択される同一又は異なる1〜2個の基で置換されていてもよいメチレン、又はC3−6シクロアルカン−1,1−イレンである、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、ハロゲン原子である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、C1−6アルコキシ又は−CONRであり、ここにおいて該C1−6アルコキシは、フッ素原子、水酸基、カルボキシル、−NR、飽和脂肪族へテロ環、−CONR及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、C2−6アルケニル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は−CO−飽和脂肪族へテロ環を表し、ここにおいて該C2−6アルケニル及び該C3−8シクロアルキルは、フッ素原子、水酸基、カルボキシル、C1−6アルコキシ、−NR、飽和脂肪族へテロ環、−CONR及び−CO−飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよく(該飽和脂肪族へテロ環を含む基は、1〜3個のC1−6アルキルで置換されていてもよい)、該アリール及び該ヘテロアリールは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、フッ素で置換されてもよいC1−6アルキル、フッ素で置換されてもよいC1−6アルコキシ及びC1−6アルキルで置換されていてもよい飽和脂肪族へテロ環からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項8】
−X----X−が、−N=CR−であり、Rが、水素原子又はC1−6アルキルであり、ここにおいて、該C1−6アルキルは、フッ素原子、シアノ、C1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、−NR1213、飽和脂肪族へテロ環及び−CONR1213からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の基で置換されていてもよい、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項9】
−X----X−が、−NRCO−である、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項10】
−X----X−が、−S−CO−である、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分とする自己免疫疾患に対する治療薬。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分とする癌疾患に対する治療薬。

【公開番号】特開2012−12332(P2012−12332A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150212(P2010−150212)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】