説明

新規アルコキシレート含有組成物

直鎖又は分岐鎖1,3−ジアルキルオキシ−2−プロパノールの新規アルキレンオキシド−延長アルコキシレートを含んでなる組成物を開示する。これらの組成物において、前記アルコキシレートは種々の望ましい性質を提供でき、例えば界面活性剤、洗浄剤、湿潤剤、脱泡/低起泡剤、安定剤など(これらに限定するものではないが)として配合物中で役立つことができる。これらの組成物は、洗剤、医薬、ペンキ及びコーティング、プラスチック、油田化学物質、農薬などのような製品を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキルオキシ−エーテルアルコシレートの分野に関する。より詳しくは、本発明は新規アルキルオキシ−エーテルアルコキシレートを用いる組成物及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、化学工業及び製造業において種々の目的で使用されている。これらの目的は、例えば、湿潤剤、乳化剤、すすぎ助剤、脱泡/低起泡剤、スプレー清浄剤、薬物送達剤、除草剤及び殺虫剤用の乳化剤、金属清浄剤、ペンキ、コーティング、農業用展着剤及び農作物育成剤、ラテックス、ペンキ並びに紙加工及び製品用の安定剤などを含む製品への湿潤性及び洗浄力の付与などである。頻繁に使用される界面活性剤の一つの群は非イオン界面活性剤である。非イオン界面活性剤は一般に硬水に対しては感受性がそれほど高くなく且ついくつかの他の型の界面活性剤ほど気泡を生じない傾向にあるので、非イオン界面活性剤の多くは気泡抑制剤として有用である。しかし、残念ながら、現在使用されているこれらの界面活性剤の多くはアルキルフェノール系化合物である。アルキルフェノール系化合物は近年環境面で監視の対象になってきており、従ってそれらを含む配合物及び製品は最終的に制限に直面するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、アルキルフェノールを基材としない非イオン界面活性剤を用いる配合物及び生成物のような組成物を発見することが当業界のニーズである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、一態様において、直鎖又は分岐鎖アルキレンオキシド−延長(extended)1,3−ジアルキルオキシ−2−プロパノールアルコキシレートを含んでなる組成物を提供する。
【0005】
別の態様において、本発明は、組成物中に直鎖又は分岐鎖アルキレンオキシド−延長1,3−ジアルキルオキシ−2−プロパノールアルコキシレートを組み入れることを含んでなる組成物の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の組成物は、多くの場合、種々の新規直鎖又は分岐鎖アルキレンオキシド−延長1,3−ジアルキルオキシ−2−プロパノールアルコキシレートのいずれかを用いて、便利でコスト効率の良い方法で製造する。前記アルコキシレートの製造については以下に記載するが、同時出願された仮特許出願(代理人整理番号C−65,202P及びC−65,205P)にも詳述され、これらの仮特許出願を引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる。
【0007】
第1の出発原料は1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとも称されるエピクロロヒドリンである。当業者はこの出発原料の多数の商業的供給源を承知しているが、これは一般にプロピレンと塩化アリルとの反応によって、又は、例えば多重ヒドロキシル化脂肪族炭化水素又はそのエステルのクロロヒドリンへの転化によって製造できる(例えばWO 2006020234 A1(この開示を引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されている)。
【0008】
第2の出発原料は、直鎖又は分岐鎖であることができるアルコールである。このアルコールはいくつかの非限定的実施態様においては炭素数が3〜28であり、他の非限定的実施態様においては炭素数が4〜12である。特に好ましい実施態様において、アルキル鎖は炭素数が6〜10であることができる。アルコールは第一、第二又は第三アルコールであることができ、飽和でも不飽和でもよく、任意的に1個又はそれ以上のヘテロ原子を含むことができる。例えば一部の非限定的実施態様においては、適当な選択として、バイオグリセリンのような再生可能原料、2−エチルヘキサノール、Shell Chemical Companyによって市販されているある種のNEODOL(登録商標)分岐鎖アルコール類、Exxon-Mobil Corporationによって市販されているある種のEXXAL(登録商標)分岐鎖アルコール類、それらの組合せなどが挙げられる。他の非限定的実施態様においては、適当なアルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、4−プロピル−1−デカノール、3−ブチル−1−ノナノール、2−メチル−4−プロピル−1−デカノール、3−メチル−1−ヘプタノール、3−メチル−2−ヘプタノール、3−メチル−3−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メチル−1−ヘプタノール、2−メチル−1−ペンタノール、それらの組合せなどが挙げられる。従って、一部の非限定的実施態様において、アルコールはエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシル脂肪族(aliphatics)、メチル−、エチル−、プロピル−及びブチル−分岐鎖ペンチル−、ヘキシル−、ヘプチル−、オクチル−、ノニル−、デシル−、ウンデシル−、ドデシル−及びトリデシル−脂肪族、それらの組合せなどからなる群から選ばれた部分をそのアルキル部分として含むように選択できる。いくつかの非限定的実施態様において、アルコールは、例えば分岐鎖ヘプタノール、又はWO2003024910A1(Sasol Tech PTY LTDに譲渡された)(この開示を引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されたような方法に従って製造された直鎖若しくは分岐鎖アルコールであることができる。例えば、いくつかの非限定的実施態様において、2−メチルペンタノール又は2−メチルヘプタノールを選択できる。
【0009】
アルコールは、また、任意的にヘテロ原子として、硫黄、燐及び珪素のような元素、窒素、フッ素及び酸素のような非金属を含む(これらに限定するものではないが)周期表の第IVA族、第VA族、第VIA族及び第VIIA族から選ばれた元素並びにそれらの組合せなどを含むことができる。
【0010】
アルコキシレートを製造するための第1工程は、エピクロロヒドリンを化学量論的過剰量のアルコールと反応させることである。これには、望ましい化学量論的過剰量を維持できる任意のプロセスでエピクロロヒドリンを添加することが必要である。例えば、大規模又は商業規模では、エピクロロヒドリンはアルコールに連続的に添加することができる。これに対して、より小規模(例えば実験室規模)では、「段階的(stepwise)」プロセスがより簡便に使用できる。これは、分量のエピクロロヒドリンを少なくとも3つの工程のそれぞれにおいて、いくつかの非限定的実施態様においては少なくとも5つの工程のそれぞれにおいて、添加することを含むことができる。反応全体を通して所望の過剰量のアルコールが維持されるならば、工程間隔は変えることができる。いくつかの非限定的実施態様において工程間隔は約30分〜約90分であることができ、他の非限定的実施態様において工程間隔は約45分〜約75分であることができ、更に他の非限定的実施態様において工程間隔は約60分であることができる。段階的添加は、このような小規模反応の発熱量を制御するのに特に有効であることができる。
【0011】
本明細書中では、化学量論的過剰量とは、反応全体にわたって常にアルコールが、エピクロロヒドリンに基づく化学量論量の少なくとも3倍の量で反応中に存在する、即ち、アルコール:エピクロロヒドリンのモル比が少なくとも約3:1であることを意味するものと定義する。しかし、いくつかの実施態様においては、約10:1〜約20:1のようなはるかに過剰量のアルコールから始め、それから、反応の最後に向かってアルコール:エピクロロヒドリン比が3:1となるまで、エピクロロヒドリンの相対添加量又は速度を増加させるのが有用であることがわかった。他の非限定的実施態様において、効果的な反応は、エピクロロヒドリンの添加が段階的であれ連続的であれ、反応の大部分を通して約15:1〜約16:1の比を維持し、次いで反応の最後に向かってアルコール:エピクロロヒドリン比が約3:1まで低下するようにエピクロロヒドリンの添加量又は速度を増加させることによって実施できる。反応へのエピクロロヒドリンの組み入れにこのような制御プロトコールを使用することは、発熱量の制御を助けるだけでなく、いわゆる重質物(heavies)の量の減少に役立つことができる。アルキルオキシ−エーテルの更なる反応によって生じるこれらの重質物は、目的とするアルキルオキシ−エーテルよりも高い沸点を有する最終生成物中不純物である。
【0012】
この反応には、また、アルカリ性環境及び相間移動触媒を存在させるのが望ましい。アルカリ性環境は第1A族金属、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む金属水酸化物の添加によって得ることができる。いくつかの非限定的実施態様では金属水酸化物はエピクロロヒドリンの添加前にアルコールと合することができるが、他の(場合によってはそれほど好ましくないが)実施態様では金属水酸化物とアルコールをエピクロロヒドリンと同時に合することができる。
【0013】
アルコール、金属水酸化物及びエピクロロヒドリンの全モル比は、いくつかの非限定的実施態様においては、約1/0.7/0.06から約1/0.7/0.2〜1/0.7/0.33の最終モル比まで、特定の実施態様においては、約1/0.7/0.3までの範囲であることができ、且つ/又はその範囲で変化させることができる。他の非限定的な実施態様において、アルコール/金属水酸化物/エピクロロヒドリンの比は、段階的に行われる場合にはエピクロロヒドリンの各添加の直後において又は連続的製造では反応のほとんどを通して、約1/0.7/0.01〜約1/0.7/0.08、好ましくは約1/0.7/0.02〜約1/0.7/0.1、より好ましくは約1/0.7/0.05〜約1/0.7/0.07の範囲であることができる。いくつかの非限定的実施態様において、この比は反応の最後に向かって約1/0.7/0.2〜1/0.7/0.33の範囲、好ましくは約1/0.7/0.33となるように増加させることができる。
【0014】
アルコールとエピクロロヒドリンとの反応に使用する相間移動触媒は、当業者に典型的に知られたものから選択できる。例えば、選択できるものには、ハライド、メチルスルフェート及びハイドロジェンスルフェートからなる群から選ばれた陰イオンを有する塩、例えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、N,N,N−トリアルキル−3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩及びアルキルトリメチルアンモニウム塩がある。他の例としては、トリアルキルアミン、N,N−ジアルキルアミノ−3−アルキルオキシ−2−プロパノール、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンスルフェート、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N,N−ジメチルアミノ−3−ヘキシルオキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルアミノ−3−オクチルオキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルアミノ−3−ドデシルオキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルアミノ−3−オクタデシルオキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルアミノ−3−(1’H,1’H,2’H,2’H−ペルフルオロ)ヘキシルオキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルアミノ−3−(1’H,1’H,2’H,2’H−ペルフルオロ)オクチルオキシ−2−プロパノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3−ヘキシルオキシ−2−プロパノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3−オクチルオキシ−2−プロパノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3−ドデシルオキシ−2−プロパノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3−オクタデシルオキシ−2−プロパノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3−(1’H,1’H,2’H,2’H−ペルフルオロ)ヘキシルオキシ−2−プロパノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル−アンモニウムメチルスルフェート、N,N,N−トリメチル−3−オクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムメチルスルフェート、N,N,N−トリメチル−3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムメチルスルフェート、N,N,N−トリメチル−3−オクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムクロリド、N,N,N−トリメチル−3−オクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムブロミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−3−ヘキシルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムメチルスルフェート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−3−オクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムメチルスルフェート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムメチルスルフェート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−3−オクタデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムメチルスルフェート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−3−(1’H,1’H,2’H,2’H−ペルフルオロ)ヘキシルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムメチルスルフェート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−3−(1’H,1’H,2’H,2’H−ペルフルオロ)オクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムメチルスルフェート、オクタン酸とN,N−ジメチル−3−オクチルオキシ−2−プロパノールのエステル化化合物、及びヘキサデカン酸とN,N−ジメチル−3−オクチルオキシ−2−プロパノールのエステル化化合物などが挙げられる。或いは、前記の任意のものの組合せも選択できる。
【0015】
エピクロロヒドリンとアルコールとの反応は、約10℃〜約100℃の温度及び約1気圧(atm)〜約10気圧、即ち約760〜7600トルの圧力において実施するのが望ましい。反応体の接触を最大にするのに適当な反応体の混合を、エピクロロヒドリンの各添加の直後及びその間に行うのが望ましい。このような混合は、当業者に知られた任意の手段又は方法、例えばインペラーミキサー、ブレードミキサー、再循環ミキサーなどによって行うことができる。
【0016】
反応の結果として、反応生成物が形成される。いくつかの非限定的実施態様において、この反応生成物は、主に、1位及び3位に優れた選択性を有する選択されたアルコールのジアルキルエーテルであることができる。他の非限定的実施態様では直鎖又は分岐鎖1,3−ジアルキル−エーテルは少なくとも約50%であることができ、他の非限定的実施態様では1,3−ジアルキル−エーテルは少なくとも約65%であることができ、更に他の非限定的実施態様では1,3−ジアルキル−エーテルは少なくとも約75%であることができる。これらは全て反応生成物の重量に基づき、即ち未反応アルコールを含んでいない。
【0017】
第2工程において、前述のようにして得られた反応生成物を次にアルキレンオキシドと反応させて1,3−ジアルキル−エーテルアルコキシレートを形成する。一部の非限定的実施態様において、適当なアルキレンオキシドは炭素数が2〜12の任意のものである。これには、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどがある。一部の実施態様においてはエチレンオキシドを選択できる。他の非限定的実施態様においてはプロピレンオキシドを選択でき、更に他の非限定的実施態様においてはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物を選択できる。アルキレンオキシドの混合物を用いる場合には、コポリマーが得られる。
【0018】
1,3−ジアルキル−エーテルアルコキシレートを形成するためのこの第2の工程は、少なくとも1種のイオン触媒の存在下で実施するのが望ましい。1つの特に望ましい実施態様においては、少なくとも2種のイオン触媒を順に使用する。その場合には、陽イオン触媒をアルキレンオキシドの最初の数モルの添加の間に用い、その後に陰イオン触媒を所望の残りのアルキレンオキシドの添加の間に用いる。別法として、単一のイオン触媒又は単一の型のイオン触媒(即ち、陽イオン触媒又は陰イオン触媒)を、第2のアルコキシル化全体を通して使用できる。
【0019】
陽イオン触媒の考えられる選択には、酸性触媒、即ちフリーデル・クラフト型反応触媒として知られる触媒のような陽イオン重合触媒がある。このような触媒としては、例えば硼素、アルミニウム、鉄、錫及びチタンのフッ化物及び塩化物、並びにこのようなハロゲン化物とエチルエーテルとの錯体が挙げられる。一実施態様においては、三フッ化硼素を選択できる。別の実施態様においては、トリフルオロメタンスルホン酸を選択できる。更に他の実施態様においては、硫酸又は燐酸を選択できる。前記の任意のものの組合せも使用できる。
【0020】
陰イオン触媒の考えられる選択には、アルカリ触媒、即ち第1A族金属水酸化物(例えば水酸化カリウム)のような陰イオン重合触媒がある。例えば最初のアルコールのアルカリ金属アルコレート、又はこの方法の第1段階において製造される1,3−ジアルキルオキシ−2−プロパノールの対応するアルコレートも選択できる。このような触媒は、第1反応段階の中和生成物をアルカリ金属、アルカリ金属酸化物又は水酸化物と反応させることによって現場で生成することもできるし、或いはニートな組成物として入手することもできる。陰イオン触媒の組合せも選択できる。
【0021】
直鎖又は分岐鎖1,3−ジアルキル−エーテル、即ち1,3−ジアルキルオキシ−2−プロパノール対アルキレンオキシドの比は、モル比として約1:2〜約1:20の範囲であることができる。一部の非限定的実施態様においては、この比は約1:3〜約1:15であることができ、他の非限定的実施態様においては約1:5〜約1:12の範囲であることができる。
【0022】
最終直鎖又は分岐鎖アルキレンオキシド−延長1,3−ジアルキルオキシ−エーテルアルコキシレートは任意の望ましい量で配合物及び組成物中に使用できる。しかし、多くの用途における界面活性剤のレベルが約0.05〜約50重量%、より一般的には約0.1〜約30重量%、一部の用途では約0.5〜約20重量%の範囲であることができることは当業者によく知られている。当業者は、必要ならば、適用分野の一般知識と日常実験の組合せによって使用量を求めることができるであろう。
【0023】
本発明の組成物は種々の配合物及びそれから製造される製品を含み、その例としては、ポリウレタン、エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、ペンキ、コーティング、金属製品、除草剤及び殺虫剤を含む農業製品(agricultural product)、油田製品(oilfiled product)、パルプ及び紙製品、織物、水処理製品、床仕上げ用製品、インキ、着色剤、医薬、清浄製品、パーソナルケア製品、滑剤、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定するものではない。これら及び他の配合物及び製品において、アルコキシレートは、界面活性性、洗浄力、濡れ性、再濡れ性、気泡低減、ラテックス安定化、薬物送達能、乳化、すすぎ改善、可塑化、反応性稀釈、レオロジー改質、懸濁改善、擬似可塑化(pseudoplasticization)、増粘、キャッピング能、硬化、耐衝撃性改良、潤滑化、乳化及びミクロ乳化、それらの組合せなどのような性質をもたらすことができる。
【0024】
これらの用途の例は、界面活性剤一般、キャスティング、封入、床仕上げ材、注型封入、接着剤、積層、強化プラスチック及びフィラメントワインディングにおける反応性希釈剤、磁気コイル及び高圧コイルの両者の封入のような電子工学用途のための被覆剤、湿潤剤、すすぎ助剤、脱泡/低起泡剤、スプレー清浄剤、薬物送達剤、除草剤及び殺虫剤用の乳化剤、金属清浄剤、ペンキ及びコーティング用の懸濁助剤及び乳化剤、農業用展着剤及び農作物育成剤用の、極性及び無極性分散媒中有機化合物のミクロ不均一混合物の調製における混合増進剤、ラテックス用の安定剤、パルプ及び紙製品用のミクロ乳化剤などとしてのアルコキシレートの有用性を含む。1つの非限定的実施態様において、アルコキシレートを用いる組成物としては、有機合成、無機及び有機粒子の形成、重合並びに生物有機処理及び合成、更にそれらの組合せに使用されるミクロエマルジョンが挙げられる。別の非限定的実施態様において、本明細書中に記載したアルコキシレートは、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF及びノボラックを基材とするより高粘度のエポキシ樹脂並びに他の熱可塑性樹脂及び熱硬化性ポリマー、例えばポリウレタン及びアクリル樹脂の稀釈に役立つことができる。擬似塑性又はチキソトロピー流動挙動の付与にも使用できる場合には、これらはまた、インキ、エマルジョン、ペンキ及び顔料懸濁液のような液体系のレオロジー改質に使用できる。これら及び他の用途において、アルコキシレートは良好な、場合によっては優れた性能と比較的低いコストを提供することができる。
【0025】
このような用途における及びそのための配合物中の界面活性剤のレベルは約0.05〜約50重量%、より一般的には約0.1〜約30重量%、一部の用途では約0.5〜約20重量%の範囲であることができることが当業者によく知られている。当業者は、必要ならば、適用分野の一般知識と日常実験の組合せによって使用量を求めることができるであろう。
【実施例】
【0026】
以上の記載は一般的なものであり、本発明の考えられる全ての実施態様を含むものではない。同様に、以下の実施例は単なる実例として記載するのであって、本発明を規定又は限定するものではない。更に、本明細書及び/又は本明細書中に開示した本発明の実施を考慮すれば「特許請求の範囲」の範囲内の他の実施態様が明らかであることは、当業者には充分にわかっているであろう。このような他の実施態様は、特定のアルコール、触媒及びこのような化合物の組合せの選択、このような化合物の比、混合及び反応条件、容器並びにプロトコール、性能及び選択率、直鎖又は分岐鎖アルキレンオキシド−延長ジアルキル−エーテルアルコキシレートのその他の用途などを含むことができ、当業者ならば、本明細書に添付した「特許請求の範囲」の範囲内でこれらを変えることができることがわかるであろう。
【0027】
実施例1
A.分岐鎖1,3−ジアルキルオキシ−2−プロパノールの製造
フィルムフード中の1Lボトルに、空気又は湿分を厳密に排除することなく、テトラブチルアンモニウムブロミド約24.4g、粉砕して微粉とした水酸化ナトリウム約66.4g及び2−メチル−1−ヘプタノール約305.7gを加える。ボトルを振盪してテトラブチルアンモニウムブロミドを溶解させる。次いで、1−クロロ−2,3−エポキシプロパン約13.1gを加え、ボトルを振盪して懸濁液を混合する。
【0028】
1時間後、1−クロロ−2,3−エポキシプロパン約13.1gを再び加え、ボトルを振盪して懸濁液を混合する。1時間間隔で1−クロロ−2,3−エポキシプロパンの添加を更に3回、合計で5回行う(1−クロロ−2,3−エポキシプロパンは合計で65.4gとなる)。1−クロロ−2,3−エポキシプロパンが全て消費されるまで、反応をガスクロマトグラフィーによって監視する。
【0029】
次に、反応生成物は分析によって、1,3−ジ−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノールをある比率で含むことがわかる。
【0030】
ここに記載した反応を16回繰り返す。次に、合したバッチを粗い焼結ガラス漏斗に通して濾過して塩及び未反応水酸化ナトリウムを除去し、濾液を脱イオン水で洗浄する。主に2−メチル−1−ヘプタノールである軽質留分を、90℃に設定した加熱浴を用いてロータリーエバポレーター上で、約0.5mmの最終圧力に達するまで突沸を防ぐ速度で圧力を低下させることによってストリップすることによって除去する。ストリップされた材料は、より高い比率の1,3−ジ−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノールを含む。
【0031】
B.1,3−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノールの分離
ストリップされた材料を、加熱マントルで加熱される2L反応がま(kettle)、磁気攪拌、サーモウェル及び一体型蒸留ヘッド/凝縮器からなるバッチ蒸留装置中で蒸留する。蒸留は、圧力を完全真空ポンプ圧(0.2〜0.5mm)まで低下させ且つマントル温度をゆっくりと上昇させることによって行う。155℃のオーバーヘッド温度未満で採取した留分は、2−メチル−1−ヘプタノール及び1−(2−メチルヘプチルオキシ)−3−クロロ−2−プロパノールのような軽質留分を含む。1,3−ジ(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノールは、オーバーヘッド温度が約138〜160℃で且つ反応がま温度が200℃未満である場合のオーバーヘッド生成物である。
【0032】
C.1,3−ジ−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノールの更なる分離
前記Bにおける最初の蒸留では、1,3−ジ−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノールと望ましくない夾雑物1−(2−メチルヘプチルオキシ)−3−クロロ−2−プロパノールの両方を含む生成物が得られる。この1−(2−メチルヘプチルオキシ)−3−クロロ−2−プロパノールを2−メチルヘプチルグリシジルエーテル(更に反応して高沸点化合物を形成すると推測される)に転化させるために、蒸留生成物に強塩基を加える。1−(2−メチルヘプチルオキシ)−3−クロロ−2−プロパノールを夾雑物として含む最初の蒸留からの留分を、残りのストリップ材料と合し、水素化ナトリウムで処理する。水素化ナトリウムは、商業的製造業者からの入手時には鉱油中60重量%溶液であるが、粗1,3−ジ−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノール溶液の重量として記載されるこの最初の装入材料の重量には鉱油は含まれない。この最初の装入材料は概算でクロロヒドリン濃度と等モル濃度であり、1−(2−メチルヘプチルオキシ)−3−クロロ−2−プロパノール濃度を減少させる。水素化ナトリウム処理の繰り返しによって、1−(2−メチルヘプチルオキシ)−3−クロロ−2−プロパノール濃度を更に減少させる。得られた水素化物材料を、希HCl、次いで飽和炭酸ナトリウムによって洗浄する。
【0033】
次に、粗製洗浄材料を、前述のような別のバッチ蒸留にもう1回供する。塔頂温度が約138〜160℃である場合に留分を収集し、合して、比較的高い比率の1,3−ジ−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロノールを生成する。
【0034】
D.分岐鎖エーテル−アルコキシレートの製造(1,3−ジ−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノールのエトキシル化)
別の反応において、精製1,3−ジ−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノールの5つのサンプルを個別に、触媒として水酸化カリウム(KOH)、トリフルオロメタンスルホン酸(CF3SO3H)又は三フッ化硼素(BF3)を用いて種々のモル量のエチレンオキシドと反応させる。モル量は2、6、9及び12であり、2つのサンプルはそれぞれエチレンオキシド2モルを用いて製造する。
【0035】
E.ラテックス配合物中への1,3−ジ−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノールのエーテル−アルコキシレートの使用
反応器に、既にシードラテックス1重量%を含む水81.3重量部を装入する。反応がまを約80℃に加熱し、窒素でパージする。約4時間にわたって、2つの別個の混合物を反応器に供給する。一方の混合物は、アクリル酸ブチル約50重量部、スチレン約47.5重量部、アクリル酸約1.5重量部及びメタクリル酸約1.0重量部から成る。もう一方の混合物は、水約19.0重量部、エトキシル化[1,3−ジ−(2−メチルヘプチルオキシ)−2−プロパノール]約1.5重量部、水中水酸化ナトリウム(20重量%)約0.1重量部及び過硫酸カリウム約0.7重量部から成る。添加後、反応器を約80℃に約30分間保持し、次いで約30℃まで冷却させる。その結果形成されたラテックス生成物は約44.4%の固形分を含み、モノマー転化率は理論値の約99%である。このラテックス生成物はペイント配合物、接着剤配合物又は紙塗工配合物用の成分として有用である。
【0036】
実施例2
本発明の組成物の一実施態様に相当する界面活性剤水溶液の湿潤能の性能試験として、ドレーブス濡れ(Draves Wetting Test)を実施する。この試験は、種々の濃度の界面活性剤水溶液中に浸漬させる場合に綿かせが沈むのに必要な時間を測定することを含む。データは、綿かせを20秒で湿潤させるのに必要な濃度を表す。このデータは、例えば急速な湿潤及び浸透が重要な意味を持つ硬表面清浄剤の評価に有用である。結果を表Iに示す。表Iから、極低濃度の界面活性剤が許容され得る湿潤能をもたらすこと、及びより長鎖のアルキレンオキシド部分が湿潤能を更に増加させるようであることが明らかである。
【0037】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖又は分岐鎖アルキレンオキシド−延長1,3−ジアルキルオキシ−2−プロパノールアルコキシレートを含んでなる組成物。
【請求項2】
前記アルコキシレートが直鎖アルキルオキシ部分を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルコキシレートが分岐鎖アルキルオキシ部分を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルコキシレートが2〜12個の反復アルキレンオキシド単位を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルコキシレートが炭素数3〜28のアルキルオキシ部分を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
第IVA族、第VA族、第VIA族及び第VIIA族の元素並びにそれらの組合せからなる群から選ばれた少なくとも1個のヘテロ原子を更に含む請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルコキシレートが前記組成物に、界面活性性、洗浄力、濡れ性、再濡れ性、気泡低減、ラテックス安定化、薬物送達能、乳化及びミクロ乳化、すすぎ改善、可塑化、反応性稀釈、レオロジー改質、懸濁改善、擬似可塑化、増粘、キャッピング能、硬化、耐衝撃性改良、潤滑化並びにそれらの組合せからなる群から選ばれた性質をもたらす請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、ポリウレタン配合物、エポキシ配合物、ペンキ配合物、コーティング配合物、金属加工配合物、農業配合物、油田配合物、パルプ及び紙加工配合物、織物用配合物、水処理配合物、床仕上げ用配合物、インキ配合物、着色剤配合物、医薬配合物、清浄配合物、農作物配合物、滑剤配合物、パーソナルケア製品配合物、ラテックス配合物、乳化重合配合物、懸濁重合配合物、乳化プロセス配合物、懸濁プロセス配合物、分散プロセス配合物並びにそれらの組合せからなる群から選ばれた配合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物がポリウレタン、エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、ペンキ、コーティング、金属製品、農業製品、油田製品、パルプ又は紙製品、織物、水処理製品、床仕上げ材、インキ、着色剤、医薬、清浄製品、パーソナルケア製品、滑剤及びこれらの組合せからなる群から選ばれた製品である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
直鎖又は分岐鎖アルキレンオキシド−延長1,3−ジアルキルオキシ−2−プロパノールアルコキシレートを組成物中に組み入れることを含んでなる組成物の製造方法。
【請求項11】
前記アルコキシレートが直鎖アルキルオキシ部分を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アルコキシレートが分岐鎖アルキルオキシ部分を含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記アルコキシレートが2〜12個の反復アルキレンオキシド単位を含む請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記アルコキシレートが炭素数3〜28のアルキルオキシ部分を含む請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記アルキルオキシ部分が第IVA族、第VA族、第VIA族及び第VIIA族の元素並びにそれらの組合せからなる群から選ばれた少なくとも1個のヘテロ原子を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アルコキシレートを約0.05〜約50重量%の量で用いる請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記アルコキシレートを約0.1〜約30重量%の量で用いる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アルコキシレートを約0.5〜約20重量%の量で用いる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、ポリウレタン配合物、エポキシ配合物、ペンキ配合物、コーティング配合物、金属加工配合物、農業配合物、油田配合物、パルプ及び紙加工配合物、織物用配合物、水処理配合物、床仕上げ用配合物、インキ配合物、着色剤配合物、医薬配合物、清浄配合物、農作物配合物、滑剤配合物、パーソナルケア製品配合物、ラテックス配合物、乳化重合配合物、懸濁重合配合物、乳化プロセス配合物、懸濁プロセス配合物、分散プロセス配合物並びにそれらの組合せからなる群から選ばれた配合物である請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、ポリウレタン、エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、ペンキ、塗料、金属製品、農業製品、油田製品、パルプ又は紙製品、織物、水処理製品、床仕上げ材、インキ、着色剤、医薬、清浄製品、パーソナルケア製品、滑剤及びこれらの組合せからなる群から選ばれた製品である請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2010−526778(P2010−526778A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506485(P2010−506485)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/061364
【国際公開番号】WO2008/134389
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】