説明

新規エチレン性コポリマー、該コポリマーを含む組成物及び処理方法

本発明は、10−60%のポリエチレングリコール(メタ)アクリラートモノマーと40−90%の実質的にカチオン性のモノマーとを含んでなる新規なエチレンコポリマーに関する。本発明のコポリマーを含む組成物、特に化粧品用又は製薬用組成物と、該コポリマーを使用する美容処理方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、新規ポリマー、特に化粧品におけるそれらの用途、及びそれらを含有する組成物に関する。
【0002】
例えば毛髪に保持力又はボリューム(body)を付与するために、化粧品、特にヘアケアにおいてはポリマーを使用することが知られている。「洗い流される(リンスアウト)」毛髪用組成物、例えばシャンプー又は毛髪用コンディショナーの分野においては、水溶性の合成カチオン性ポリマーが特に使用されており、毛髪に良好な化粧品特性を付与することが知られている;しかし、これらのポリマーは、毛髪成形効果をもたらさない。これは、天然由来のカチオン性ポリマーの場合でも同様であり、例えば変性グアーの場合、化粧品特性を付与するが、毛髪の成形はできない。スタイリングを可能にし、許容可能な化粧品特性を有する組成物は、洗い流される組成物の分野においては知られていない。「そのまま残る(リーブイン)」毛髪用組成物、例えばスタイリング用のラッカー、ゲル又はスプレー型のスタイリング用製品の分野においては、毛髪にスタイリング効果と保持力を付与するポリマーが、継続して探究されている。アミン単位を有するポリマー、例えばビニルピロリドン及びジメチルアミノエチルメタクリラートをベースにしたポリマー(ガフィックス(Gaffix)ポリマー)が、スタイリング用製品において知られている。しかしながら、得られた組成物は、経時的な保持力が不十分である。第4級化ビニルイミダゾール及びビニルピロリドンをベースにしたルビクアット(Luviquat)型のポリマーもまた知られており、柔軟性を付与するが、組成物を増粘させてしまう。
【0003】
本発明の目的は、本当のスタイリング効果を付与すると同時に、組成物に対して許容可能な化粧品特性を保存可能なポリマー、特にそれを含有する組成物の粘度をごくわずかしか変化させない難粘性ポリマーを提案することにある。
鋭意研究した結果、本出願人は、とりわけ、以下に記載するポリエチレングリコール(メタ)アクリラート型モノマーを含有するポリマーを使用すると、十分な化粧品特性を有するスタイリング用組成物を調製可能であることを実証した。ポリエチレングリコール(メタ)アクリラート(MPEG)単位を含むポリマーは、従来技術に記載されている。例えば、EP372546には、MPEGとC1−C8アルキル(メタ)アクリルアミド型のモノマーをベースにし、カチオン性モノマーを含んでいてもよいコポリマーが開示されている。しかしながら、これらのポリマーは、少ない割合でしかカチオン性モノマーを含有しておらず、十分な化粧品効果を生じ、特に所望の特性を提供するのに十分な毛髪への付着をもたらすものではなかった。
毛髪に前記ポリマーを満足のいく程度に付着させるためには、高カチオン電荷量を有するポリマーを使用することが好ましいことに気付いたことが、本出願人の功績である。
【0004】
文献JP2002−322219には、ポリプロピレングリコール(PPO)又はポリテトラメチレンオキシドをベースにした疎水性モノマーと、カチオン性モノマーとに組合せて、MPEG単位を含むポリマーが記載されている。しかしながら、疎水性モノマーを有するこれらのポリマーでは、満足のいく化粧品特性を得ることができないことが見出された。
PEG型のモノマーが第4級アミン単位を有するモノマーと組合せられたカチオン性ポリマーを含有する組成物も、特許JP2002−284627から公知である。しかしながら、第4級単位の存在により、適用中徐々に、過剰付着が誘発されるおそれがあり、ある場合には、組成物の化粧的品質を害するおそれがある。さらに、これらのポリマーは、約0.5%〜6%と低含量のカチオン電荷を含んでおり、毛髪に対して最適な親和性をもたらさない。
【0005】
また、JP2003−055164には、MPEG型の単位を含むポリマーが開示されている;しかし、これらのポリマーは架橋しており、その合成の制御が困難である。
文献JP2000−302649には、カチオン性又は両性モノマー、ポリエーテル基、特にPEG又はPPO型のものを有するモノマー、さらには主として疎水性であってもよい任意成分のモノマー(例えばメタクリル酸ステアリル)を含むポリマーを含有するヘアケア用組成物が記載されている。
【0006】
イオン性、カチオン性又は両性モノマー、及び主として疎水性であるC1−C24(メタ)アクリル酸アルキル型の付加的なモノマーと組合せて、MPEG型のモノマーを含むポリマーを含有するヘアケア用組成物も、特許JP07−285831号から知られている。
しかしながら、例えばアクリル酸ブチル又はステアリル型の疎水性コモノマーが存在することにより、十分な化粧品特性を得ることはできなくなり、特にシャンプー直後の湿った毛髪のもつれを良好にほぐすことができない。
また、2つのエチレン性ブロックで囲まれたポリ(アルキレングリコール)ブロックを有する線形ブロックコポリマーについて記載している特許出願のWO03/075867も知られている。これらのポリマーには、高質量のポリ(アルキレングリコール)型の中心ブロックを有するという欠点があり、ポリマーには高結晶化度が付与され、不透明な製品及び/又は脂性感のある製品をもたらすおそれがあった。
【0007】
本出願人は、化粧品であるヘアケア用製品にスタイリング及びコンディショニング効果を付与し得る新規ポリマーを見出した。
驚くべきことに、本発明のポリマーは、例えばシャンプータイプの調製物の適用中、有利な化粧品特性を有し;特にシャンプー中、もつれを容易にほぐし、毛髪を柔軟にすることが知見され;また乾燥後、本発明の組成物により、毛髪が乾燥すると直ぐに、特に有利な毛髪の成形ができるようになる。
本説明に拘束されることを望むものではないが、このことは、特にポリマー鎖中のPEG(メタ)アクリラート(MPEG)単位の存在のためであろうと考えられ、これらの単位は得られる効果に大きく寄与している。特に、この効果は、カチオン性ポリマーとPEG型ポリマーの単なる混合では得られないことが知見された。
【0008】
よって、本発明の一主題は、ポリマーの全重量に対する重量パーセントで、
−a)10重量%以上で60重量%未満の以下に記載する式(I)の少なくとも一のモノマー、及び/又はその塩;
−b)40重量%より多く90重量%以下の少なくとも一の「本質的にカチオン性の」モノマー及び/又はその塩で、
−(i)一又は複数の式(IIa)のカチオン性モノマー、
−(ii)一又は複数の式(IIc)及び(IId)の両性モノマー、及び
−(iii)一又は複数の式(IIa)のカチオン性モノマーと、無水マレイン酸及び/又は式(IIb)のモノマーから選択される一又は複数のアニオン性モノマーとの;及び/又は式(IIc)及び(IId)のモノマーから選択される一又は複数の両性モノマーとの、混合物;
から選択されるものから本質的になるエチレン性コポリマー、及び該コポリマーの塩にある。
本発明の他の主題は、生理学的に許容可能な媒体中に少なくとも一のこのようなコポリマーを含有してなる組成物にある。
【0009】
本発明は、一般的に水で移送(運搬)できる、すなわち水溶性又は水分散性のポリマーを提案するという利点を有し、それにより、特にスキンケア又はヘアケア用で、一般的に水をベースとした化粧品用組成物に有利に使用することができる。
【0010】
「水溶性」なる用語は、ポリマーが、25℃にて、少なくとも5重量%の割合で、透明な水溶液を形成することを意味する。
「水分散性」なる用語は、ポリマーが、25℃にて、5重量%の濃度で、水中に、微細で、一般的には球形粒子の安定した懸濁液又は分散液を形成することを意味する。前記分散液を構成する粒子の平均サイズは1μm未満で、より一般的には5〜400nm、好ましくは10〜250nmの範囲である。これらの粒径は光散乱法により測定される。
【0011】
本明細書の以降において、「環状基」なる用語は、一又は複数の飽和及び/又は不飽和であり、置換されていてもよい環であってよい単環基又は多環基(例えば、シクロヘキシル、シクロデシル、ベンジル又はフルオレニル)、さらには一又は複数の該基を有する基(例えば、p-tert-ブチルシクロヘキシル又は4-ヒドロキシベンジル)を意味する。
「飽和及び/又は不飽和の基」なる用語は、芳香族基を含む、全体的に不飽和の基、全体的に飽和した基、さらには一又は複数の二重結合及び/又は三重結合を有し、残りの結合が単結合である基を意味する。
【0012】
よって、本発明のエチレン性コポリマーは、単独に又は混合物として存在し得る、次の式(I):
【化1】

[上式中:
− R1は、水素原子、又はpが1〜12の整数であるC2p+1型の直鎖状又は分枝状の炭化水素ベース基であり;
− Zは、-COO-、-CONH-、-CONCH-、-OCO-、-O-、-SO-、-CO-O-CO-及び-CO-CH-CO-から選択される二価基であり;
− xは0又は1であり;
− R2は、飽和又は不飽和、芳香族であってもよく、直鎖状、分枝状又は環状で、場合によってはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜18のヘテロ原子を有し、1〜30の炭素原子を有する炭素ベースの二価基であり;
− mは0又は1であり;
− nは3〜300の整数であり;
− R3は、水素原子、又は飽和又は不飽和、芳香族であってもよく、直鎖状、分枝状又は環状で、場合によってはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜20のヘテロ原子を有し、1〜30の炭素原子を有する炭素ベース基である]
の少なくとも一のモノマーを含む。
【0013】
R1は、特にメチル、エチル、プロピル又はブチル基を表してよい。好ましいR1は水素又はメチル基を表す。
好ましくは、ZはCOO又はCONHを表す。
好ましくは、xは1に等しい。
【0014】
R2基において、ヘテロ原子が存在する場合、それらは該R2基の鎖中に挿入されてよく、又は、該R2基は、ヒドロキシ又はアミノ(R'及びR''が同一でも異なっていてもよい、直鎖状又は分枝状のC1−C22アルキル、特にメチル又はエチルを表す、NH2、NHR'又はNR'R'')のようなそれらを含む一又は複数の基で置換されていてもよい。
R2は、特に:
− アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、n-ヘキシレン、n-オクチレン、n-ドデシレン、n-オクタデシレン、n-テトラデシレン又はn-ドコサニレン;
− O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜25のヘテロ原子を有していてもよいC1-C12アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基-C-(オルト、メタ又はパラ);又はO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜8のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基で置換されていてもよいベンジレン基-C-CH-;
− 次の式:
【化2】

[ここで、R'1ないしR'4は同一でも異なっていてもよく、O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜8のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基、及びHから選択され;R'1ないしR'4は、特にメチル及び/又はエチルであってよい]
のピリジニウム基;
− 式-CH-O-CO-O-、CH-CH-O-CO-O-、-CH-CO-O-、-CH-CH-CO-O-、-CH-O-CO-NH-、-CH-CH-O-CO-NH-;-CH-NH-CO-NH-、-CH-CH-NH-CO-NH-;-CH-CHOH-、-CH-CH-CHOH-、-CH-CH-CH(NH)-、-CH-CH(NH)-、-CH-CH-CH(NHR')-、-CH-CH(NHR')-、-CH-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH-CH-NR'-、-CH-CH-CH-O-;-CH-CH-CHR'-O-で、R'及びR''が、O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜12のヘテロ原子を有していてもよい直鎖状又は分枝状のC1−C22アルキルを表すもの;又は
− これらの基の混合物;
であってよい。
【0015】
好ましくは、nは5〜200、好ましくは7〜100、特に9〜50である。
好ましくは、R3は水素原子;O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜8のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基で置換されていてもよいベンジル又はフェニル基;O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜18のヘテロ原子を有していてもよいC1−C30、特にC1−C22、又はC2−C16アルキル基である。
これらのベンジル、フェニル又はアルキル基は、特に次の官能基:
【表1】

から選択され;又は-SOH、-COOH、-PO、- NR5R6及び-NR5R6R7で、R5、R6及びR7は互いに独立して、H、及び直鎖状、分枝状又は環状のC1-C18アルキル、特にメチルで、一又は複数のヘテロ原子を有していてよく、t-ブチルオキシカルボニル(BOCとしても公知)又は9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmocとしても公知)等の、保護基を担持していてもよいものから選択される官能基をさらに含んでいてもよい。
【0016】
R3基としては、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル及びベヘニル(-(CH)21-CH)鎖、さらにフルオロアルキル鎖、例えばヘプタデカフルオロオクチルスルホニルアミノエチルCF-(CF)-SO-N(C)-CH-CH;又は-CH-CH-CN、スクシンイミド、マレイミド、メシチル、トシル、トリエトキシシラン又はフタルイミド鎖を挙げることができる。
式(I)のモノマーのアニオン性基及び/又はアミン単位は、特に以下に記載する方式において第4級化されていてもよい。
【0017】
特に好ましい式(I)のモノマーとして:
− R1がH又はメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0及びR3=Hである、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート;
− R1がH又はメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0及びR3=メチルである、メトキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラートとしても公知の、メチルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート;
− R1がH又はメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0及びR3=アルキルである、アルキルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート;
− R1がH又はメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0及びR3=フェニルである、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリラートとしても公知の、フェニルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート;
− 次のモノマー
【化3】

[上式中、nは、好ましくは3〜100、特に5〜50、又はさらには7〜30である]
を挙げることができる。
【0018】
特に好ましい式(I)のモノマーは、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート及びメチルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート、好ましくは350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有するものから選択される。
ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート、特に350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有するものが最も好ましい。
【0019】
市販されているモノマーの例は:
− サートマー・ケミカルズ社(Sartomer Chemicals)から販売されている、CD550(メトキシポリ(エチレングリコール550)メタクリラート)、及びCD350(メトキシポリ(エチレングリコール350)メタクリラート);
− シン-ナカムラ・ケミカルズ社(Shin-Nakamura Chemicals)から入手可能な、M230G(メトキシポリエチレングリコールメタクリラート(23の繰り返し単位))、及びM90G(メトキシポリエチレングリコールメタクリラート(9の繰り返し単位));
− シグマ-アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)から入手可能な、平均分子量300、475又は1100を有するメトキシポリ(エチレングリコール)メタクリラート;
− シグマ-アルドリッチ社から入手可能な、平均分子量426を有するメトキシポリ(エチレングリコール)アクリラート;
− 商品名:MPEG350、MPEG550、S10W、S20Wとしてラポルテ社(Laporte)から入手可能な、メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリラート;
− ポリサイエンシーズ社(Polysciences)からの、平均分子量1900又は5000を有するポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、モノ(スクシンイミジルスクシナート)エステル;
− シポマー(Sipomer)BEMの名称で、ローディア社(Rhodia)から入手可能な、ベヘニルポリ(エチレングリコールPEG-25)メタクリラート;
− アルドリッチ社から入手可能な、平均分子量236、280又は324を有するポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルアクリラート;
− フルカ社(Fluka)から商業的に入手可能なメトキシポリエチレングリコール-5000-2-(ビニルスルホニル)エチルエーテル;
− アルドリッチ社から入手可能なポリエチレングリコールエチルエーテルメタクリラート;
− モノマー&ポリマーダジャックラボラトリー(Monomer & Polymer Dajac Laboratories)からの、ポリエチレングリコール 8000、4000、2000 メタクリラート;
− ネクター・モレキュール・エンジニアリング(Nektar Molecule Engineering)(Shearwater)から商業的に入手可能なポリエチレングリコール-N-ヒドロキシスクシンイミドビニルスルホン;
である。
【0020】
好ましくは、式(I)のモノマーは、350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有する。
式(I)のモノマーは、最終ポリマーの重量に対して10重量%〜60重量%、特に20重量%〜55重量%、好ましくは30重量%〜50重量%の割合で単独に又は混合物として存在している。
【0021】
また、本発明のエチレン性コポリマーは:
−(i)一又は複数の式(IIa)のカチオン性モノマー、
−(ii)一又は複数の式(IIc)及び(IId)の両性モノマー、及び
−(iii)一又は複数の式(IIa)のカチオン性モノマーと、無水マレイン酸及び/又は式(IIb)のモノマーから選択される一又は複数のアニオン性モノマーとの;及び/又は式(IIc)及び(IId)のモノマーから選択される一又は複数の両性モノマーとの、混合物;
から選択される、少なくとも一の「本質的にカチオン性の」モノマー、及び/又はその塩をさらに含有する。
好ましくは、「本質的にカチオン性の」モノマーは、式(IIa)のカチオン性モノマー、及び式(IIc)又は(IId)の両性モノマー、特に式(IIa)のカチオン性モノマーから選択される。
【0022】
「カチオン性モノマー」なる用語は、3〜12の範囲のpHにおいて、カチオン電荷を保有可能な単位を有するモノマーを意味する。これらの単位はpHにかかわらず、永久電荷を必ずしも有していない。カチオン性単位は、これらのpH値のそれぞれにおいて、プロトン化される必要はない。
【0023】
【化4】




上式中、
− R1は、水素原子、又はpが1〜12の整数であるC2p+1型の、直鎖状又は分枝状の炭化水素ベース基である。
R1は特に、メチル、エチル、プロピル又はブチル基を表してよい。またR1は水素又はメチル基を表すのが好ましい。
− Z'は、-COO-、-CONH-、-CONCH-、-OCO-、又は-O-、-SO-、-CO-O-CO-又は-CO-CH-CO-から選択される二価の基である。
好ましくは、Z'はCOO及びCONHから選択される。
− x'は0又は1、好ましくは1である。
【0024】
− R'2は、飽和又は不飽和、芳香族であってもよく、直鎖状、分枝状又は環状で、場合によってはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜18のヘテロ原子を有し、1〜30の炭素原子を有する炭素ベースの二価の基である。
R'2基において、ヘテロ原子(類)が存在する場合、該ヘテロ原子は該R'2基の鎖中に挿入されてよく、又は、該R'2基は、ヒドロキシル又はアミノ(R'及びR''が同一でも異なっていてもよい、直鎖状又は分枝状のC1−C22アルキル、特にメチル又はエチルを表す、NH2、NHR'又はNR'R'')等を含む一又は複数の基で置換されていてもよい。
R'2は、特に:
− アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、n-ヘキシレン、n-オクチレン、n-ドデシレン、n-オクタデシレン、n-テトラデシレン又はn-ドコサニレン;
− N、O、S、F、Si及び/又はPから選択される1〜25のヘテロ原子を有していてもよい、C1−C12アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基-C-(オルト、メタ又はパラ);又はO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜25のヘテロ原子を有していてもよい、C1−C12アルキル基で置換されていてもよいベンジレン基-C- CH-;
− 式-CH-O-CO-O-、CH-CH-O-CO-O-、-CH-CO-O-、-CH-CH-CO-O-、-[(CH)-CO-O]-、-CH-CH(CH)-O-、-(CH)-O-、-CH-O-CO-NH-、-CH-CH-O-CO-NH-;-CH-NH-CO-NH-又は-CH-CH-NH-CO-NH-、-CH-CHOH-、-CH-CH-CHOH-、-CH-CH-CH(NH)-、-CH-CH(NH)-、-CH-CH-CH(NHR')-、-CH-CH(NHR')-、-CH-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH-CH-NR'-、-CH-CH-CH-O-;-CH-CH-CHR'-O-で、R'及びR''が、O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜12のヘテロ原子を有していてもよい直鎖状又は分枝状のC1−C22アルキルを表すもの;又は
− これらの基の混合物;
であってよい。
【0025】
− m'は0又は1である;
− X(式IIaにおいて)は、グアニジノ又はアミジノ基、又は式-N(R)(R)又は-P(R)(R)又は-Pの基であり、ここでR6、R7及びR8は互いに独立して、(i)水素原子、又は(ii)直鎖状、分枝状又は環状で飽和又は不飽和で、芳香族であってもよく、場合によってはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜10のヘテロ原子を有し、1〜18の炭素原子を有するアルキル基を表し、又は(iii)R6及びR7が窒素又はリン原子と共同して、全体で5、6、7又は8の原子、特に4、5又は6の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜4のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい飽和又は不飽和の第1の環を形成してよく;該第1の環は、5、6又は7の原子、特に4、5、6又は7の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜4のヘテロ原子をそれぞれ有し、芳香族であってもよい一又は複数の他の飽和又は不飽和の環と縮合可能である。
例えば、R6及びR7は、水素、及びメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、オクチル、ラウリル又はステアリル基から選択されうる。
好ましくは、R6及びR7はそれぞれ独立して、H、CH及びCから選択される。
【0026】
また、Xは-R'6-N-R'7-基を表してよく、R'6及びR'7は窒素原子と共同して、全体で5、6、7又は8の原子、特に4、5又は6の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜4のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい飽和又は不飽和の環を形成し;該環は、5、6又は7の原子、特に4、5、6、7又は8の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜4のヘテロ原子をそれぞれ有し、芳香族であってもよい一又は複数の他の飽和又は不飽和の環と縮合可能である。
例えば、Xは、第3級アミン基を有する芳香族又は非芳香族環を構成してよく、又は第3級窒素を有する芳香族又は非芳香族の複素環を表してもよい。
これらの好ましいX基としては、ピリジン、インドリル、イソインドリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピペリジル、ピラゾリニル、ピラゾリル、キノリン、ピラゾリニル、ピリジル、ピペラジニル、ピロリジニル、キニジニル、トリアゾリニル、モルホリン、グアニジノ又はアミジノ型の基、及びそれらの混合物を挙げることができる。
グアニジノ及びアミジノ基は、それぞれ次の式:
【表2】

のものである。
【0027】
式(IIa)のモノマーは、後で記載するようにして、異なる化学的性質を有する中和剤により中和されてもよい。
式(IIa)の好ましいモノマーとしては、次の式:
【化5】

のものを挙げることができる。
特に好ましい式(IIa)のモノマーとしては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、及びモルホリノエチル(メタ)アクリラートを挙げることができる。
【0028】
式(IIb)において、基R1、Z'、x'、R'2及びm'の意味は、式(IIa)で上述したものと同じである。
式(IIb)において、Yは、-COOH、-SOH、-OSOH、-PO及び-OPOから選択される基である。
従来技術では、SO及びPOH基は、それぞれS及びPを介してR'2に結合していると理解される。
式(IIb)のモノマーのアニオン性基は、場合によっては、特に後述するようにして、中和されてもよい。
好ましいアニオン性モノマーとしては、無水マレイン酸、及び次の式(IIb)の好ましいモノマー:アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸2-カルボキシエチル(CH=CH-C(O)-O-(CH)-COOH);スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸及び(メタ)アクリル酸スルホプロピル、及びそれらの塩を挙げることができる。
【0029】
式(IIc)において、基R1、Z'、x'、R'2及びm'の意味は、式(IIa)で上述したものと同じである。
他の基は、次の意味を有する:
− X'は、式-N(R)(R)-の二価の基であり、ここでR6及びR7は互いに独立して、(i)水素原子、又は(ii)直鎖状、分枝状又は環状で、芳香族であってもよく、場合によってはO、N、S及びPから選択される1〜20のヘテロ原子を有し、1〜25の炭素原子を有するアルキル基を表し、又は(iii)R6及びR7は窒素原子と共同して、全体で5、6、7又は8の原子、特に4、5、6又は7の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜3のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい飽和又は不飽和の第1の環を形成してよく;該第1の環は、5、6、7又は8の原子、特に4、5、6又は7の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜3のヘテロ原子をそれぞれ有し、芳香族であってもよい一又は複数の他の飽和又は不飽和の環と縮合可能である。
例えば、R6及びR7は、水素、及びメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル又はイソブチル基から選択されてよい。
好ましいX'基としては、ピリジン、インドリル、イソインドリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピペリジル、ピラゾリニル、ピラゾリル、キノリン、ピラゾリニル、ピリジル、ピペラジニル、ピロリジニル、キニジニル、トリアゾリニル、モルホリン、グアニジノ又はアミジノ型の基、及びそれらの混合物を挙げることができる。
− Y'は、-COO、-SO、-OSO、-PO2−及び-OPO2−から選択される基である。
【0030】
− R'3は、飽和又は不飽和、芳香族であってもよく、直鎖状、分枝状又は環状で、場合によってはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜18のヘテロ原子を有し、1〜30の炭素原子を有する炭素ベースの二価の基である。
R'3基において、ヘテロ原子(類)が存在する場合、該ヘテロ原子は該R'3基の鎖中に挿入されてよく、又は、該R'3基は、ヒドロキシル又はアミノ(R'及びR''が同一でも異なっていてもよい、直鎖状又は分枝状のC1-C18アルキル、特にメチル又はエチルを表す、NH、NHR'又はNR'R'')等を含む一又は複数の基で置換されていてもよい。
R'3は、特に:
− アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、n-ヘキシレン、n-オクチレン、n-ドデシレン、n-オクタデシレン、n-テトラデシレン又はn-ドコサニレン;
− O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜5のヘテロ原子を有していてもよい、C1−C12アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基-C-(オルト、メタ又はパラ);又はO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜5のヘテロ原子を有していてもよい、C1−C12アルキル基で置換されていてもよいベンジレン基-C-CH-;
− 式-CH-O-CO-O-、CH-CH-O-CO-O-、-CH-CO-O-、-CH-CH-CO-O-、-[(CH)-CO-O]-、-CH-CH(CH)-O-、-(CH)-O-、-CH-O-CO-NH-、-CH-CH-O-CO-NH-;-CH-NH-CO-NH-又は-CH-CH-NH-CO-NH-、-CH-CHOH-、-CH-CH-CHOH-、-CH-CH-CH(NH)-、-CH-CH(NH)-、-CH-CH-CH(NHR')-、-CH-CH(NHR')-、-CH-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH-CH-NR'-、-CH-CH-CH-O-;-[CH-CH-O]-及び-[CH-CH(CH)-O]-、-CH-CH-CHR'-O-で、R'及びR''が、O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜12のヘテロ原子を有していてもよい直鎖状又は分枝状のC1-C22アルキルを表すもの;又は
− これらの基の混合物;
であってよい。
− n'は1〜100、好ましくは1〜5である。
【0031】
式(IId)において、基R1、Z'、x'、R'2及びm'の意味は、式(IIa)で上述したものと同じであり、基R'3及びn'の意味は、式(IIc)で上述したものと同じである。
式(IId)において、X''は式-Nの基であり、ここでR6、R7及びR8は互いに独立して、(i)水素原子、又は(ii)直鎖状、分枝状又は環状で、芳香族であってもよく、場合によってはO、N、S及びPから選択される1〜5のヘテロ原子を有し、1〜18の炭素原子を有するアルキル基を表し、又は(iii)R6及びR7が窒素原子と共同して、全体で5、6又は7の原子、特に4、5又は6の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜3のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい飽和又は不飽和の第1の環を形成してよく;該第1の環は、5、6又は7の原子、特に4、5、6又は7の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜3のヘテロ原子をそれぞれ有し、芳香族であってもよい一又は複数の他の飽和又は不飽和の環と縮合可能である。
例えば、R6、R7及びR8は、水素、及びメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、オクチル、ラウリル又はステアリル基から選択されてよい。
好ましいX''基としては、トリメチルアンモニウム;トリエチルアンモニウム;N,N-ジメチル-N-オクチルアンモニウム;N,N-ジメチル-N-ラウリルアンモニウム基を挙げることができる。
【0032】
式(IIc)又は(IId)の好ましいモノマーとしては、N,N-ジメチル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)-N-(3-スルホプロピル)アンモニウムベタイン(特にラッシグ(Raschig)社からのSPE);N,N-ジメチル-N-(3-メタクリルアミドプロピル)-N-(3-スルホプロピル)アンモニウムベタイン(ラッシグ社のSPP)、及び1-(3-スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウムベタイン(ラッシグ社のSPV)、また2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを挙げることができる。
【0033】
「本質的にカチオン性の」モノマーが、アニオン性モノマーと、カチオン性及び/又は両性モノマーとの混合物から選択される場合、該アニオン性モノマーは、「カチオン性及び/又は両性+アニオン性モノマー」混合物の重量に対して、好ましくは5重量%〜40重量%、特に10重量%〜30重量%、さらに好ましくは15重量%〜25重量%の割合で存在している。
「本質的にカチオン性の」モノマーは、最終ポリマーの重量に対して、40重量%〜90重量%、特に45重量%〜80重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の割合で存在している。
【0034】
エチレン性ポリマーは、本発明によれば、式(I)のモノマー(類)と、本質的にカチオン性のモノマー(類)から本質的になり、これは、任意には、上述したもの以外のモノマーを含有しないことを意味する。
好ましくは、本発明のポリマーは、式(I)のモノマーと「本質的にカチオン性の」モノマーを、60/40〜40/60の範囲の重量比、好ましくは50/50の重量比で含有する。
【0035】
よって、重合前に上述したモノマーの一方及び/又は他方を中和させるか、又はポリマーが形成されれば直ぐに中和させることができる。好ましくは、ポリマーは形成された後に中和される。
アニオン性基の中和は、該アニオン性基がポリマー及び/又はモノマー、特に式(I)及び/又は(IIb)のもののいずれに属していようとも、無機塩基、例えばLiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)、NHOH、Mg(OH)又はZn(OH)を用いて;又は有機塩基、例えば第1級、第2級又は第3級アルキルアミン、特にトリエチルアミン又はブチルアミンを用いてなすことができる。この第1級、第2級又は第3級アルキルアミンは、一又は複数の窒素及び/又は酸素原子を有していてよく、よって、例えば一又は複数のアルコール官能基を有していてよく:特に2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリエタノールアミン、及びジメチルアミノ-2-プロパノールを挙げることができる。また、リジンもしくは3-(ジメチルアミン)プロピルアミンを挙げることもできる。
【0036】
ポリマー及び/又はモノマー、特に式(I)及び/又は(IIa)のものに属するアミン単位の中和は、無機酸、例えば硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸又はホウ酸;又は一又は複数のカルボン酸、スルホン酸又はホスホン酸基を有する有機酸を用いてなすことができる。それらは直鎖状、分枝状又は環状の脂肪族酸、又は不飽和又は芳香族の酸であってよい。これらの酸は、例えばヒドロキシル基の形態をした、O、N、Si、F及びPから選択される一又は複数のヘテロ原子をさらに含有していてよい。特にプロピオン酸、酢酸、テレフタル酸、クエン酸及び酒石酸;式(CH)N+CHCOH.Cl-の塩酸ベタイン又はベタインHCl;グルコン酸、2-エチルカプロン酸、オレイン酸、ベヘン酸及びステアリン酸を挙げることができる。
【0037】
有利には、アミン単位用の中和剤は、単独又は混合物として、2以下、例えば−8〜2、好ましくは−6〜1、特に−6〜0のlog P値を有する無機又は有機酸型の中和剤から選択されうる。
また、単独又は混合物として、2を越える、好ましくは2.5以上、特に3を越える、さらには3〜15、またさらに3.5〜10のlog P値を有する無機又は有機酸の中和剤から選択されてもよい。
好ましくは2以下、例えば−8〜2、さらに好ましくは−6〜1、特に−6〜0のlog P値を有する無機又は有機酸型の中和剤から選択される。
logP値は知られており、1-オクタノールと水における化合物の濃度を測定する標準的テストに従い決定される。
その値は、特にACDソフトウェア(Advanced Chemistry Development)ソフトウェアソラリス(Solaris)V4.67を使用して算出することができ;またExploringQSAR:疎水性、電子及びステアリン酸定数(hydrophobic, electronic and stearic constants)(ACS専門参考図書(professional reference book), 1995)から得てもよい。さらに算出した値を提供するウェブサイトも存在する(アドレス:http://esc.syrres.com/interkow/kowdemo.htm)。
所定の一般的な酸のlog P値を、情報の目的のために以下にまとめる。
【表3】

【0038】
中和剤として、2-エチルカプロン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ステアリン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、塩酸ベタイン、及び/又はグルコン酸、特に塩酸ベタイン及び/又はベヘン酸が好ましく使用される。
【0039】
好ましくは、本発明のポリマーは:
− 式(I)のモノマーが、最終ポリマーの重量に対して、10重量%〜60重量%、特に20重量%〜55重量%、好ましくは30重量%〜50重量%の割合で単独に又は混合物として存在し、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート及び/又はメチルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラートで、好ましくは350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有するものから単独に又は混合物として選択され;及び/又は
− 「本質的にカチオン性の」モノマーが、最終ポリマーの重量に対して、40重量%〜90重量%、特に45重量%〜80重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の割合で存在し、式(IIb)のモノマーから単独に又は混合物として選択される。
である。
【0040】
最も特に好ましいポリマーは:
− 式(I)のモノマーが、最終ポリマーの重量に対して、10重量%〜60重量%、特に20重量%〜55重量%、好ましくは30重量%〜50重量%の割合で単独に又は混合物として存在し、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート、好ましくは350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有するものから単独に又は混合物として選択され;及び
− 「本質的にカチオン性の」モノマーが、最終ポリマーの重量に対して、40重量%〜90重量%、特に45重量%〜80重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の割合で存在し、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、及びモルホリノエチル(メタ)アクリラートから単独に又は混合物として選択されるもので、また好ましくは:
− ポリマーは、2-エチルカプロン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ステアリン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、塩酸ベタイン、及び/又はグルコン酸、特にベヘン酸及び/又は塩酸ベタインから選択される中和剤で中和されている。
【0041】
特に好ましいポリマーは:
− 式(I)のモノマーが、最終ポリマーの重量に対して、10重量%〜60重量%、特に20重量%〜55重量%、好ましくは30重量%〜50重量%の割合で単独に又は混合物として存在し、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート、好ましくは350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有するものから単独に又は混合物として選択され;及び
− 「本質的にカチオン性の」モノマーが、最終ポリマーの重量に対して、40重量%〜90重量%、特に45重量%〜80重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の割合で存在し、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドから単独に又は混合物として選択されるもので、
− ポリマーは、ベヘン酸及び/又は塩酸ベタインから選択される中和剤で中和されている。
【0042】
本発明のポリマーは、例えばGnanouらによる「Chimie et physicochimie des polymeres」(Dunodにより出版)に記載されているように、当業者に知られている通常の標準的なラジカル重合法に従い調製され得る。
これらのポリマーは、特に:
− 場合によってはカチオン性単位及び/又はアニオン性単位を前中和し、水中で直接溶液重合させる;
− 場合によっては界面活性剤を使用してカチオン性単位及び/又はアニオン性単位を前中和し、水中でエマルション重合させる;
− 場合によってはカチオン性単位及び/又はアニオン性単位を前中和し、エタノール又はメチルエチルケトン等の有機溶媒中で重合させ;
続いて溶媒の蒸発を伴う、水中での溶解又は分散工程を行うことにより調製され得る。
これらの重合は、モノマーの全重量に対して0.3重量%〜5重量%の割合で存在し得る、過硫酸アンモニウムカリウム、又はアゾ型(AIBN V50:2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド)、又は過酸化物型(Trigonox 21S:tert-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアート)のラジカル開始剤の存在下で、特に実施されうる。
【0043】
本発明のポリマーは非架橋である。それらは、PEG基(PEG基は骨格に沿ってペンダントしている)を有する一又は複数のエチレン性モノマー、及びカチオン性官能基(第4級化していない中和アミン)及び/又はベタイン官能基で好ましくは一価のものを有する一又は複数のエチレン性モノマーとの、統計的な、好ましくは皮膜形成性の、エチレン性コポリマーの形態である。
「エチレン性」ポリマーなる用語は、エチレン性の不飽和モノマーの重合により得られるポリマーを意味する。
「皮膜形成性」ポリマーなる用語は、それ自身で、又は補助皮膜形成剤の存在下で、特にケラチン物質等の支持体に付着する連続皮膜を形成可能なポリマーを意味する。
【0044】
本発明のコポリマーは、好ましくは500〜5000000、特に1000〜3000000、好ましくは2000〜2000000、さらに4000〜500000、とりわけ7000〜400000、さらに好ましくは20000〜350000、より好ましくは150000〜300000の重量平均分子量(Mw)を有する。
重量平均分子量(Mw)は、方法の利用可能性(考慮されるポリマーの溶解性)に応じて、ゲル浸透クロマトグラフィー又は光散乱法により測定される。
本発明のポリマーは好ましくは水性媒体にて運搬されうる。つまり、それらは好ましくは水溶解性又は水分散性である。
水中への溶解又は分散は、ポリマーが溶解性ならば、ポリマーを直接溶解させることにより、又はポリマーを水溶解性又は分散性にするようにアミン単位及び/又は酸単位を中和させることによりなされ得る。
また水中への溶解又は分散は、有機溶媒に溶解させる中間工程を介し、続いて有機溶媒を蒸発させる前に水を添加することで、実施され得る。
【0045】
さらに、本発明のポリマーは、有利には、考慮される用途に適切な水中での粘度を有し、それは、例えば1〜1000mPa.s、好ましくは1.5〜750mPa.s、さらに好ましくは2〜500mPa.sであってよい。
粘度は、ブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用し、水又はメチルエチルケトン(ポリマーの溶解性及び/又は重合方法に応じて選択される溶媒)中に15重量%のポリマーを含む溶液を、25℃にて、ブルックフィールド社のモデル番号00〜07から選択されるニードル型スピンドル、好ましくは1号スピンドルを用い、測定時間5分、0.1〜6rpmの速度にて測定される。粘度は、水又はメチルエチルケトンに全てのポリマーが溶解した後に測定される。
【0046】
さらに、本発明のポリマーは、好ましくは、−150℃〜20℃、特に−120℃〜10℃、さらに好ましくは−100℃〜0℃のガラス転移温度(Tg)を有していてもよく;Tgは実施例の前に付与される方法に従い測定される。
本発明のポリマーは、−100℃〜80℃、特に−80℃〜50℃、好ましくは−70℃〜45℃、さらに好ましくは−10℃〜25℃の融点(m.p.)を有することが好ましい。
さらに本発明のポリマーは、75%の相対湿度(75% RH)で、好ましくは3重量%〜150重量%、さらに好ましくは4重量%〜100重量%、特に5重量%〜50重量%の水分取込度(water uptake)を有し;水分取込度は実施例の前に付与される方法に従い測定される。
また、それらは85%の相対湿度(85% RH)で、3重量%〜200重量%、好ましくは2.5重量%〜150重量%、特に3重量%〜100重量%の水分取込度であってもよい。
【0047】
本発明のポリマーは、化粧品の分野において、特に最も多くの用途が見出される。それらは、水又は有機溶媒等に溶解した形態で組成物中に存在し、もしくは水性又は有機分散液の形態で存在しうる。
それらは、組成物の全重量に対して0.01重量%〜50重量%、特に0.1重量%〜30重量%、さらには0.3重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜3重量%の固形物量の割合で、本発明の化粧品用又は製薬用組成物に使用され得る。
【0048】
本発明の化粧品用又は製薬用組成物は、前記ポリマーの他に、生理学的に許容可能な媒体、特に化粧品的、皮膚科学的又は製薬的に許容可能な媒体、すなわち顔又は体の皮膚、毛髪、睫毛、眉毛及び爪等のケラチン物質と融和性のある媒体を含有する。
よって、組成物は、水、又は水と親水性有機溶媒(類)、例えばアルコール類、特に直鎖状又は分枝状のC1-C6モノアルコール類、例えばエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノール、及びポリオール類、例えばグリセロール、ジグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はペンチレングリコール、及びポリエチレングリコール類との混合物、又は親水性Cエーテル及びC-Cアルデヒド類を含む、親水性媒体を含有していてもよい。
水、又は水と親水性有機溶媒との混合物は、組成物の全重量に対して0.1重量%〜99.9重量%、好ましくは10重量%〜80重量%の含有量で、本発明の組成物に存在していてよい。
【0049】
また組成物は、特に室温(一般的に25℃)で液状の脂肪物質、及び/又は室温で固体状の脂肪物質、例えばロウ、ペースト状の脂肪物質、及びガム類、及びそれらの混合物を含有していてもよい脂肪相をさらに含み得る。これらの脂肪物質は動物、植物、鉱物又は合成由来のものであってよい。この脂肪相は、脂質親和性の有機溶媒をさらに含有し得る。
【0050】
しばしば油と称される、本発明で使用されてもよい室温で液状の脂肪物質としては、動物由来の炭化水素ベース油、例えばペルヒドロスクワレン;炭化水素ベースの植物性油、例えば4〜10の炭素原子を有する脂肪酸の液状トリグリセリド、例えばヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリド、又はヒマワリ油、コーン油、大豆油、グレープシード油、ゴマ種油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル/カプリン酸トリグリセリド類、ホホバ油、シアバター、鉱物又は合成由来で直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン及びそれらの誘導体、ワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばパーリーム(parleam);合成エステル及びエーテル、特に脂肪酸とのもの、例えばプルセリン油、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキシルパルミタート、2-オクチルドデシルステアラート、2-オクチルドデシルエルカート、イソステアリン酸イソステアリル;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、及び脂肪アルコールのヘプタノアート、オクタノアート及びデカノアート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノアート、ネオペンチルグリコールジヘプタノアート、及びジエチレングリコールジイソノナノアート;及びペンタエリトリトールのエステル;12〜26の炭素原子を有する脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール及びオレイルアルコール;部分的に炭化水素ベースのフルオロ油及び/又は部分的にシリコーンベースのフルオロ油;シリコーン油、例えば、室温で液状又はペースト状であり、揮発性又は非揮発性で直鎖状又は環状のポリメチルシロキサン類(PDMS)、例えばシクロメチコーン類、ジメチコーン類で、場合によってはフェニル基を有しているもの、例えばフェニルトリメチコーン類、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン類、ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン類、ジフェニルジメチコーン類、フェニルジメチコーン類及びポリメチルフェニルシロキサン類;それらの混合物を挙げることができる。
これらの油は、組成物の全重量に対して0.01重量%〜90重量%、好ましくは0.1重量%〜85重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0051】
本発明の組成物は、一又は複数の生理学的に許容可能な有機溶媒をさらに含有していてもよい。
これらの溶媒は、組成物の全重量に対して、一般的に0.1重量%〜90重量%、好ましくは0.5重量%〜85重量%、より好ましくは10重量%〜80重量%、さらに好ましくは30重量%〜50重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0052】
上述した親水性有機溶媒の他にも、特に室温で液状のケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン及びアセトン;室温で液状のプロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、及びジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル;短鎖のエステル(全体で3〜8の炭素原子を有するもの)、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、n-ブチルアセタート及び酢酸イソペンチル;25℃で液状のエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル;25℃で液状のアルカン類、例えばデカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン及びシクロヘキサン;25℃で液状の芳香族環状化合物、例えばトルエン及びキシレン;25℃で液状のアルデヒド類、例えばベンズアルデヒド及びアセトアルデヒド、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0053】
本発明の目的に対して、「ロウ」なる用語は、25℃以上で、120℃までであってよい融点を有し、可逆的な固体/液体状態変化を受け、室温(25℃)で固体状の脂質親和性化合物を意味する。ロウを液体状態(融解)させることで、存在可能な油と混和させ、顕微鏡的に均一な混合物を形成させることができるが、混合物の温度を周囲温度に戻すことにより、混合物の油におけるロウの結晶化がなされる。ロウの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばメトラー社(Mettler)からDSC30の名称で販売されている熱量計を使用して測定され得る。
ロウは、炭化水素ベースロウ、フルオロロウ及び/又はシリコーンロウであってよく、また植物、鉱物、動物及び/又は合成由来のものであってよい。特に、ロウは30℃を超える、好ましくは45℃を超える融点を有する。本発明の組成物に使用され得るロウとしては、ミツロウ、カルナウバロウ又はキャンデリラロウ、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン又はオゾケライト、合成ロウ、例えばポリエチレンロウ又はフィッシャー-トロプシュロウ、及びシリコーンロウ、例えばアルキル又はアルコキシジメチコーン類で、16〜45の炭素原子を有するものを挙げることができる。
【0054】
ガム類は、一般的に、高分子量のポリジメチルシロキサン類(PDMSs)又はセルロースガム又は多糖類であり、ペースト状物質は、一般的に炭化水素ベース化合物、例えばラノリン類とその誘導体、又はPDMSである。
固体状物質の種類及び量は、所望する機械的特性及びテクスチャーに依存する。指針として、組成物は、組成物の全重量に対して0.1重量%〜50重量%、好ましくは1重量%〜30重量%のロウを含有し得る。
【0055】
さらに、本発明の組成物は、化粧品用組成物に通常使用されているフィラー及び/又は真珠母及び/又は顔料を粒子相に含有するものであってもよい。
組成物は、当業者によく知られている水溶性染料及び/又は脂溶性染料から選択される、他の染料をさらに含有していてもよい。
「顔料」なる用語は、組成物を着色させることを意図しており、生理学的な媒体に不溶な、白色又は有色で、任意の形状の無機又は有機粒子を意味すると理解されるべきである。
「フィラー」なる用語は、組成物にボリューム又は剛性、及び/又は柔軟性、メークアップ結果にマット効果及び均一性を付与することを意図した、無色又は白色で、無機又は合成のラメラ状又は非ラメラ状粒子を意味すると理解されるべきである。
「真珠母」なる用語は、特にある種の軟体動物により貝殻の内部に生成されるか合成等された、任意の形状をした真珠光沢のある粒子を意味すると理解されるべきである。
【0056】
顔料は、最終組成物の重量に対して0.01重量%〜25重量%の割合、好ましくは3重量%〜10重量%の割合で組成物中に存在し得る。それらは、白色又は有色で、無機又は有機であってよい。酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、酸化鉄又は酸化クロム、フェリックブルー、クロム水和物、カーブンブラック、ウルトラマリン(アルミノシリカートポリスルフィド)、ピロリン酸マンガン、及びある種の金属パウダー、例えば銀又はアルミニウムパウダーを挙げることができる。また、唇及び皮膚にメークアップ効果を付与するために通常使用されるカルシウム、バリウム、アルミニウム、ストロンチウム又はジルコニウム塩のレーキ類、又はD&C型の顔料を挙げることもできる。
真珠母は、0.01重量%〜20重量%の割合、好ましくは3重量%〜10重量%の割合で組成物中に存在し得る。考慮され得る真珠母としては、天然の真珠母、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、並びに有色のチタンマイカを挙げることができる。
【0057】
組成物の全重量に対して0.001重量%〜15重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%、特に0.1重量%〜2重量%の割合で、単独に又は混合物として組成物に存在し得る脂溶性又は水溶性染料としては、ポンソーの二ナトリウム塩、アリザリングリーンの二ナトリウム塩、キノリンイエロー、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、フクシン、キサントフィル、メチレンブルーの二ナトリウム塩、コチニールカルミン、ハロアシッド染料、アゾ染料、アントラキノン染料、硫酸銅、硫酸鉄、スーダンブラウン、スーダンレッド及びアナトー、及びビート根汁及びカロテンを挙げることができる。
【0058】
本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、特に0.01重量%〜50重量%の範囲、好ましくは0.02重量%〜30重量%の範囲の含有量で、一又は複数のフィラーをさらに含有してよい。フィラーは、血漿板形、球形又は長形等の任意の形態の無機物又は有機物であってよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))パウダー、ポリ-β-アラニンパウダー及びポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレンポリマーのパウダー(テフロン(登録商標))、ラウロイルリジン、スターチ、窒化ホウ素、 中空ポリマーミクロスフィア、例えば塩化ポリビニリデン/アクリロニトリルのもの、例えばエクスパンセル(Expancel(登録商標))(ノーベルインダストリー社(Nobel Industrie))、又はアクリル酸コポリマーのもの(ダウ・コーニング社(Dow Corning)のポリトラップ(登録商標))、及びシリコーン樹脂のマイクロビーズ(例えば、東芝(Toshiba)のトスパール(Tospearl(登録商標))、ポリオルガノシロキサンエラストマー粒子、沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフィア(マプレコス社(Maprecos)のシリカビーズ(登録商標))、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、及び8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0059】
また組成物は、付加的なポリマー、例えば皮膜形成性ポリマーをさらに含有していてよい。本発明において「皮膜形成性ポリマー」なる用語は、ポリマーそれ自体で又は皮膜形成補助剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質に付着する連続皮膜を形成可能なポリマーを意味する。本発明の組成物に使用され得る皮膜形成性ポリマーとしては、フリーラジカルタイプ又は重縮合タイプの合成ポリマー、天然由来のポリマー、及びそれらの混合物、特にアクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、及びセルロースベースのポリマー、例えばニトロセルロースを挙げることができる。
【0060】
組成物は、また有利には、組成物の全重量に対して約0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜40重量%、より好ましくは0.5重量%〜30重量%の量で一般的に存在している、少なくとも一の界面活性剤を含有していてもよい。
この界面活性剤は、アニオン性、両性、非イオン性及びカチオン性の界面活性剤、又はそれらの混合物から選択され得る。
【0061】
本発明の実施に適した界面活性剤は、単独に又は混合物として、特に次のものである:
− アニオン性界面活性剤としては、単独に又は混合物として、次の化合物:アルキルスルファート類、アルキルエーテルスルファート類、アルキルアミドエーテルスルファート類、アルキルアリールポリエーテルスルファート類、モノグリセリドスルファート類;アルキルスルホナート類、アルキルホスファート類、アルキルアミドスルホナート類、アルキルアリールスルホナート類、α-オレフィンスルホナート類、パラフィンスルホナート類;アルキルスルホスクシナート類、アルキルエーテルスルホスクシナート類、アルキルアミドスルホスクシナート類;アルキルスルホスクシナマート類;アルキルスルホアセタート類;アルキルエーテルホスファート類;アシルサルコシナート類;アシルイセチオナート類、及びN-アシルタウラート類で、これら全ての種々の化合物のアルキル又はアシル基が好ましくは8〜24の炭素原子を有し、アリール基がフェニル又はベンジル基を示すものの塩(特にアルカリ性の塩、中でもナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩又はマグネシウム塩)を挙げることができる。
また脂肪酸塩、例えば、オレイン酸、リシノール酸、パルミチン酸及びステアリン酸、コプラ油酸又は水素化コプラ油酸の塩;アシル基が8〜20の炭素原子を有するアシルラクチラート類;アルキル-D-ガラクトシドウロン酸及びそれらの塩、並びにポリオキシアルキレン化(C−C24)アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C−C24)アルキルアリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C−C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸及びそれらの塩、特に2〜50のエチレンオキシド基を有するもの、及びそれらの混合物を挙げることもできる。
【0062】
− 非イオン性界面活性剤としては、単独に又は混合物として、例えば8〜18の炭素原子を有する脂肪鎖を有するポリエトキシル化、ポリプロポキシル化、又はポリグリセロール化された脂肪酸、アルキルフェノール類、α-ジオール類又はアルコール類を挙げることができ、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数を特に2〜50の範囲、グリセロール基の数を特に2〜30の範囲とすることができる。
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、脂肪アルコールとエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの縮合物;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミド類、平均1〜5、特に1.5〜4のグリセロール基を有するポリグリセロール化脂肪アミド類;2〜30モルのエチレンオキシドを有するオキシエチレン化されたソルビタンの脂肪酸エステル;スクロースの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド類、N-アルキルグルカミン誘導体、アミンオキシド類、例えば(C10−C14)アルキルアミンオキシド又はN-アシルアミノプロピルモルホリンオキシドを挙げることができる。
【0063】
− 両性界面活性剤としては、単独に又は混合物として、脂肪族基が8〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の鎖であり、少なくとも一の水溶性のアニオン性基(例えば、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスファート又はホスホナート)を有する、脂肪族の第2級又は第3級アミンの誘導体を挙げることができ;さらに(C−C20)アルキルベタイン類、スルホベタイン類、(C−C20)アルキルアミド(C−C)アルキルベタイン類又は(C−C20)アルキルアミド(C−C)アルキルスルホベタイン類を挙げることができる。
【0064】
− カチオン性界面活性剤としては、単独に又は混合物として、以下のものを挙げることができる:
A)次の一般式(XVI)の第4級アンモニウム塩:
【化6】

ここで、Xは、ハロゲン化物(塩化物、臭化物又はヨウ化物)又は(C-C)アルキルスルファート、特にメチルスルファート、ホスファート、アルキル又はアルキルアリールスルホナート、アセタート又はラクタート等の有機酸から誘導されるアニオンの群から選択されるアニオンである。
a)RないしRの基は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で1〜4の炭素原子を有する脂肪族基、又はアリール又はアルキルアリールのような芳香族基を表す。脂肪族基は、特に酸素、窒素、硫黄又はハロゲン等のヘテロ原子を有していてもよい。脂肪族基は、例えば、アルキル、アルコキシ及びアルキルアミド基から選択される。
は、16〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を示す。
好ましくは、カチオン性界面活性剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩(例えば塩化物)である。
b)R及びRの基は同一でも異なっていてもよく、1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の脂肪族基、又はアリール又はアルキルアリールのような芳香族基を表す。脂肪族基は、特に酸素、窒素、硫黄又はハロゲン等のヘテロ原子を有していてもよい。脂肪族基は、例えば、約1〜4の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルアミド及びヒドロキシアルキル基から選択され;R及びRは同一でも異なっていてもよく、12〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を示し、該基は少なくとも一のエステル又はアミド官能基を有する。
及びRは、特に(C12-C22)アルキルアミド(C-C)アルキル、及び(C12-C22)アルキルアセタート基から選択される。
好ましくは、カチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチル(ミリスチルアセタート)アンモニウム塩(例えば塩化物)である。
【0065】
B)− イミダゾリニウムの第4級アンモニウム塩、例えば、次の式(XVII)のもの:
【化7】

ここで、Rは、8〜30の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基、例えば獣脂から誘導される脂肪酸を表し、Rは水素原子、C-Cアルキル基、又は8〜30の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基を表し、RはC-Cアルキル基を表し、Rは水素原子、又はC-Cアルキル基を表し、Xはハロゲン化物、ホスファート類、アセタート類、ラクタート類、アルキルスルファート類、アルキルスルホナート類又はアルキルアリールスルホナート類からなる群から選択されるアニオンである。好ましくは、RとRは12〜21の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基の混合物、例えば獣脂から誘導される脂肪酸を示し、Rはメチルを示し、Rは水素を示す。このような製品は、例えば、ウィトゥコ社(Witco)から、「リウォカット(Rewoquat)」W75、W90、W75PG及びW75HPGの名称で販売されているとクアテルニウム(Quaternium)-27(CTFA 1997)又はクアテルニウム-83(CTFA 1997)である。
【0066】
C)− 次の式(XVIII)の第4級ジアンモニウム塩:
【化8】

ここで、Rは約16〜30炭素原子を有する脂肪族基を示し、R10、R11、R12、R13及びR14は同一でも異なっていてもよく、水素、及び1〜4の炭素原子を有するアルキル基から選択され、Xはハロゲン化物、アセタート類、ホスファート類、ニトラート類及び硫酸メチルからなる群から選択されるアニオンである。このような第4級ジアンモニウム塩には、特にプロパン獣脂ジアンモニウムジクロリドが含まれる。
【0067】
D)− 次の式(XIX)の、少なくとも一のエステル官能基を有する第4級アンモニウム塩:
【化9】

ここで:
− R15はC-Cアルキル基とC-Cのヒドロキシアルキル又はジヒドロキシアルキル基から選択され;
− R16は、
− 次の基:
【化10】

− 直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C22炭化水素ベース基であるR20
− 水素原子
から選択され、
− R18は、
− 次の基:
【化11】

− 直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C炭化水素ベース基であるR22
− 水素原子
から選択され、
− R17,R19及びR21は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C22炭化水素ベース基から選択され;
− n、p及びrは同一でも異なっていてもよく、2〜6の範囲の整数であり;
− yは1〜10の範囲の整数であり;
− xとzは同一でも異なっていてもよく、0〜10の範囲の整数であり;
− Xは単純又は複合した有機又は無機のアニオンであり;
但し、x+y+zの合計は1〜15であり、xが0であればR16はR20を示し、zが0であれば、R18はR22を示す。
【0068】
本発明の組成物は、化粧品に一般的に使用されている成分、例えばビタミン類、香料、真珠母、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸性化又は塩基性化剤、防腐剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、酸化防止剤、抜毛防止剤、抗フケ剤、噴霧剤、及びセラミド類、又はそれらの混合物をさらに含有していてよい。言うまでもなく、当業者であれば、考慮される添加により本発明の組成物の有利な特性が悪影響を受けないか又は実質的に受けないように留意して、これ又はこれらの任意の付加的な化合物(類)及び/又はそれらの量を選択するであろう。
【0069】
本発明の組成物は、懸濁液、小胞体により水に油が分散したもの等の分散液;場合によっては増粘又はゲル化していてもよい油性溶液:水中油型、油中水型又は多相エマルション;ゲル又はムース;油性又は乳化したゲル;脂質小胞体等の小胞体の分散液;2相又は多相ローション;スプレーの形態であってもよい。この組成物は、ローション、クリーム、膏薬、柔軟なペースト、軟膏、棒状又は皿状等の成形又は鋳型の固形物、又は圧密された固形物の外観を有するものであってもよい。
【0070】
当業者であれば、第1に使用される成分の性質、特に支持体における溶解性、第2に組成物の使用用途を考慮し、自身の一般的知識に基づき、適切なガレノス形態及びその調製方法を選択するであろう。
本発明の化粧品用組成物は、体又は顔の皮膚、唇及び毛髪の手入れ及び/又はメークアップ用製品、抗日光又は自己サンタン製品、又はヘアケア用製品の形態であってもよい。
それは、ヘアケアの分野において、特にヘアスタイルの保持、又は毛髪の成形のために、特に有利に使用されることが見出されている。毛髪用組成物は、好ましくはシャンプー、ヘアセット用ゲル又はローション、ブロー乾燥用ローション、及び固定用及びスタイリング用組成物、例えばラッカー又はスプレーである。ローションは、噴霧された形態又はムースの形態で組成物を適用するために、種々の形態、特に噴霧器又はポンプ式ディスペンサーボトル、又はエアゾール容器に包装されてよい。
【0071】
好ましい一実施態様において、本発明の組成物は、ケラチン物質、例えば毛髪、皮膚、睫毛、眉毛、爪、唇及び頭皮、特に毛髪を洗浄又はトリートメントするために使用され得る。
本発明の組成物は、洗浄用組成物、例えばシャンプー、シャワーゲル及び泡風呂であってよい。本発明のこの実施態様において、組成物は、一般的に水性である少なくとも一の洗浄ベースを含有している。
よって、本発明の主題は、ケラチン物質に上述した化粧品用組成物を適用し、ついで、場合によっては水ですすぐことからなることを特徴とする、皮膚又は毛髪等のケラチン物質のトリートメント方法にある。
例えば本発明のこの方法により、ヘアスタイルの保持、皮膚、毛髪又は任意の他のケラチン物質のトリートメント、洗浄又は手入れ、又はメークアップの除去が可能になる。
【0072】
他の好ましい実施態様では、本発明の組成物は、洗い流される又はそのまま残る毛髪用コンディショナー、毛髪のパーマネントウェーブ、リラクシング、染色又は脱色用組成物の形態、あるいは染色、脱色、パーマネントウェーブ又はリラクシングの前後、あるいはパーマネントウェーブもしくは毛髪のリラクシング施術の2つの工程の間に適用される洗い流される組成物の形態であってもよい。
組成物がすすがれてもよい毛髪用コンディショナーの形態である場合、有利には、組成物の全重量に対して、例えば0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%の一般的濃度で、少なくとも一のカチオン性界面活性剤を含有している。
【0073】
また本発明の組成物は、皮膚の洗浄用組成物の形態、特に浴用又はシャワー溶液もしくはゲルあるいはメークアップ除去製品の形態であってよい。
本発明の組成物は、皮膚の手入れ及び/又はヘアケア用の水性又は水性-アルコールローションの形態であってもよい。
【0074】
また本発明の主題は、上述した化粧品用組成物を、体又は顔の皮膚、爪、毛髪及び/又は睫毛等のケラチン物質に適用することを含む、該物質のメークアップ又は手入れのための美容方法にある。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に例証する。
【実施例】
【0075】
Tgの測定
6重量%のポリマーを含有する水溶液を使用し、相対湿度50%で25℃のコントロールされた雰囲気下、48時間乾燥させて皮膜を形成させる。このように得られた皮膜は10〜20μmの厚みを有する。
測定装置はDSC(TAインスツルメント)である。
皮膜から得られたサンプルを密閉るつぼに配し、次のプロトコルに従い加熱する:
− 初期温度Tiで平衡
− 加熱1:最終温度:Tf(℃)まで+10℃/分の割合で温度を上昇させる
− 1分間の等温線
− Ti(℃)まで−10℃/分の割合で温度を低下させる
− 加熱2:Tf(℃)まで+10℃/分の割合で温度を上昇させる
− 1分間の等温線
Ti:初期温度−120℃
Tf:最終温度+120℃
Tg値を加熱工程1及び2の間に測定する。
【0076】
水分取込度の測定
約1gの乾燥ポリマーを直径4.5cmのアルミニウム製るつぼ(0.01m)に配する。減圧下、60℃のオーブン中にて約48時間放置して乾燥させる。るつぼを移動させ、即座(オーブンから取り出して1分未満)に計量する。W1を得る。
ついで、るつぼを付与された相対湿度(75% RH又は85% RH)を有するグローブボックスに配し、そこに6時間放置する。ついで、グローブボックスから取り出した直後に、再度それらを計量する。W2を得る。
水分取込度を次の方法で算出する:
[(W2-W1)x100]/W1
【0077】
実施例1
75mlのメチルエチルケトン(MEK)を、2つの付加漏斗、コンデンサー及び機械的攪拌機が搭載された反応器(四首フラスコ)に配し、80℃にする。
平行して、モノマー:50gのポリエチレングリコールメタクリラート(MPEG550)、50gのジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、及び開始剤:0.5gの(トリゴノックス(Trigonox)21S)を含有する溶液1を調製する。
さらに、75mlのメチルエチルケトンと0.5gの開始剤(トリゴノックス21S)を含有する溶液2を調製する。
溶液1は1時間以上かけて、溶液2は2時間以上かけて、四首フラスコ反応器に滴下する。ついで、得られた混合物を5時間、80℃で保持する。得られたオレンジ-黄色の溶液を冷却する。95gのポリマーが得られる。
ポリマーは、7.5mPa.s、0.1rpmの速度で、1号針型スピンドルを用いて測定し、25℃、MEKにおいて15%でのブルックフィールド粘度を有する。
ついで、以下の方法でポリマーを中和させてもよい:攪拌しつつ、95gのポリマーと200mlの蒸留水に、290mlの1NのHClを添加する。ついで、溶媒(MEK)を蒸発させる。
中和されたポリマーを水に溶解させる(少なくとも50重量%まで)。
そのTgは−60℃である。
中和されたポリマーは、85% RHで51%の水分取込度を有する。
【0078】
実施例2
100mlの水を、2つの付加漏斗、コンデンサー及び機械的攪拌機が搭載された反応器(四首フラスコ)に配し、80℃にする。
平行して、50gのモノマーMPEG550、1gの開始剤(過硫酸カリウムKPS)、及び50mlの水を含有する溶液1を調製する。
さらに、塩酸ベタインで100%中和された50gのモノマーDMAPMA、及び50gの水を含有する溶液2も調製する。
溶液1と溶液2を、1時間以上かけて四首フラスコに注ぐ。80℃で1時間後、50mlの水に1gのKPSが入った混合物を、15分以上かけてそこに滴下する。
ついで、得られた混合物を3時間、80℃で保持する。塩酸ベタインで中和されたポリマーが90g得られる。
ポリマーは、164mPa.s、6rpmの速度で、1号針型スピンドルを用いて測定し、25℃、水において15%でのブルックフィールド粘度を有する。
ポリマーを水に溶解させる(少なくとも50重量%まで)。
そのTgは−60℃である。
中和されたポリマーは、85% RHで90%の水分取込度を有する。
【0079】
調製実施例3〜14
本発明の次のポリマーを実施例1(溶媒での方法)又は実施例2(水中での方法)の方法に従い調製する。
【表4】

MPEG:ポリエチレングリコールメタクリラート(MW=550、1100又は2000を有する)
DMAPMA:ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド
SPE:N,N-ジメチル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)-N-(3-スルホプロピル)アンモニウムベタイン
DMAEMA:ジメチルアミノエチルメタクリラート
【0080】
実施例15
次の成分(重量%)を含有する組成物を調製する:
− 7.5%のラウリルエーテルスルファート
− 2.5%のココベタイン両性界面活性剤
− 5%のココポリグルコシド界面活性剤
− 1.5%の実施例11のポリマー
− 100%にする量の水
得られたシャンプー用組成物は良好なスタイリング効果を付与する。湿った毛髪における化粧品特性は満足のいくものであった。頭部への適用後に得られるスタイリング結果は良好であり、乾燥した毛髪における化粧品特性は特に良好であった。この組成物により、一般的なコンディショニングシャンプーにより提供されるものと等しい化粧品特性:同等のスタイリングにとっては従来技術のものよりも優れた化粧品特性が得られ;ある種の化粧品基準(滑らかさ、柔軟性及び光沢)は、本発明の組成物ではより良好であった。
【0081】
実施例16
次の成分(重量%)を含有する組成物を調製する:
− 7.5%のラウリルエーテルスルファート
− 2.5%のココベタイン両性界面活性剤
− 5%のココポリグルコシド界面活性剤
− 1.5%の実施例13のポリマー
− 100%にする量の水
得られた組成物を頭部に単独適用し、次の基準(6人の審査員)について評価する:
− 湿った毛髪:滑らかさ及びもつれのほぐれやすさ
− 乾燥した毛髪:巻き上げられ、乾燥した毛髪の束の跳返度合い(スタイリング効果)、もつれのほぐれやすさ及び光沢。
次の結果が得られる:
− 湿った毛髪:もつれのほぐれやすさ及び光沢は非常に良好;
− 乾燥した毛髪:スタイリング効果は良好;化粧品特性は良好で、同等のスタイリング効果にとっては従来技術のものより優秀;ある種の化粧品基準(滑らかさ、柔軟性及び光沢)は、本発明の組成物ではより良好。
結果を次の表にまとめる:
【表5】

【0082】
実施例17:比較例
第1工程において、本発明品ではない次のポリマーを実施例1に従い調製する:
【表6】

*TMEACL:塩化メチルで第4級化された2-(ジメチルアミノ)エチルアクリラート
*EEMA:メタクリル酸エトキシエチル
【0083】
次の成分(重量%)を含有する組成物を調製する:
− 7.5%のラウリルエーテルスルファート
− 2.5%のココベタイン両性界面活性剤(コグニス社(Cognis)のデハイトン(Dehyton)AB30)
− 3%のポリマー(又はポリマー混合物)
− 100%にする量の水
得られた組成物を頭部に単独適用し、次の基準(6人の審査員)について評価する:
− 湿った毛髪:滑らかさ及びもつれのほぐれやすさ
− 乾燥した毛髪:巻き上げられ、乾燥した毛髪の束の跳返度合い(スタイリング効果)。
本発明品ではないこれらの組成物を、実施例11のポリマーを含有する本発明の組成物(組成物C1)と比較する。
結果を次の表にまとめる:
【表7】


【0084】
実施例18
次の成分(重量%)を含有する組成物を調製する:
− 6%の実施例1のポリマー
− 0.001%の防腐剤
− 100%にする量の水
組成物は、ポンプ式ディスペンサーボトルに導入され;乾燥してスタイリングされた毛髪に適用されており、次の基準について評価する:巻き上げられ、乾燥した毛髪の束の跳返度合い(スタイリング効果)。従来技術のものと比べて、スタイリング効果は非常に良好:処理された毛髪の束は非常に扱いやすく;毛髪にはよりボリュームがあることが見出された。
【0085】
実施例19
次の成分(重量%)を含有するシャンプーを調製する:
− 7.5%のラウリルエーテルスルファート
− 2.5%のココベタイン両性界面活性剤(コグニス社のデハイトンAB30)
− 5%のココポリグルコシド界面活性剤(コグニス社のプランタケア(Plantacare)818UP)
− 適量の防腐剤
− 1.5%のポリマー活性物質
− 100%にする量の水
得られた組成物を頭部に単独適用し、次の基準(4人の審査員)について評価する:
− 湿った毛髪:滑らかさ、明度及びもつれのほぐれやすさ
− 乾燥した毛髪:巻き上げられ、乾燥した毛髪の束の跳返度合い(スタイリング効果)。
次の結果が得られた:
【表8】

− 湿った毛髪:組成物により、滑らかさ、もつれのほぐれややすさ及び明度が提供される;
− 乾燥した毛髪:組成物により、毛髪に嵩(mass)、柔軟性、ボリューム及び滑らかさが付与される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーの全重量に対する重量パーセントで、
−a)10重量%以上で60重量%未満の以下に記載する式(I):
【化1】

[上式中:
− R1は、水素原子、又はpが1〜12の整数であるC2p+1型の直鎖状又は分枝状の炭化水素ベース基であり;
− Zは、-COO-、-CONH-、-CONCH-、-OCO-、-O-、-SO-、-CO-O-CO-及び-CO-CH-CO-から選択される2価の基であり;
− xは0又は1であり;
− R2は、飽和又は不飽和で、芳香族であってもよく、直鎖状、分枝状又は環状で、場合によってはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜18のヘテロ原子を含む、1〜30の炭素原子の炭素ベースの二価基であり;
− mは0又は1であり;
− nは3〜300の整数であり;
− R3は、水素原子、又は飽和又は不飽和で、芳香族であってもよく、直鎖状、分枝状又は環状で、場合によってはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜20のヘテロ原子を含む、1〜30の炭素原子の炭素ベース基である]
の少なくとも一のモノマー、及び/又はその塩;及び
−b)40重量%より多く90重量%以下で、
−(i)式(IIa)の一又は複数のカチオン性モノマー、
−(ii)式(IIc)及び(IId)の一又は複数の両性モノマー、及び
−(iii)一又は複数の式(IIa)のカチオン性モノマーと、無水マレイン酸及び/又は式(IIb)のモノマーから選択される一又は複数のアニオン性モノマーとの;及び/又は式(IIc)及び(IId)のモノマーから選択される一又は複数の両性モノマーとの、混合物;
から選択される、少なくとも一の「本質的にカチオン性の」モノマー及び/又はその塩;
から本質的になり、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)が次の式:
【化2】




[上式中:
− R1は、水素原子、又はpが1〜12の整数であるC2p+1型の直鎖状又は分枝状の炭化水素ベース基;好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル又はブチル基であり;
− Z'は、-COO-、-CONH-、-CONCH-、-OCO-、又は-O-、-SO-、-CO-O-CO-又は-CO-CH-CO-;好ましくはCOO及びCONHから選択される2価基であり;
− x'は0又は1、好ましくは1であり;
− R'2は、飽和又は不飽和で、芳香族であってもよく、直鎖状、分枝状又は環状で、場合によってはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜18のヘテロ原子を有する、1〜30の炭素原子の炭素ベースの二価基であり;
− m'は0又は1であり;
− X(式IIaにおいて)は、
(a)グアニジノ又はアミジノ基、又は
(b)式-N(R)(R)又は-P(R)(R)又は-Pの基であり、ここでR6、R7及びR8は互いに独立して、(i)水素原子、又は(ii)直鎖状、分枝状又は環状で飽和又は不飽和で、芳香族であってもよく、場合によってはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜10のヘテロ原子を有し、1〜18の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は(iii)R6及びR7は窒素又はリン原子と共同して、全体で5、6、7又は8の原子、特に4、5又は6の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜4のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい飽和又は不飽和の第1の環を形成してもよく;該第1の環は、それぞれが5、6又は7の原子、特に4、5、6又は7の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜4のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい一又は複数の他の飽和又は不飽和の環と縮合可能であり;又は
(c)Xは-R'6-N-R'7-基を表し、ここでR'6及びR'7は窒素原子と共同して、全体で5、6、7又は8の原子、特に4、5又は6の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜4のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい飽和又は不飽和の環を形成し;該環は、それぞれが5、6又は7の原子、特に4、5、6、7又は8の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜4のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい一又は複数の他の飽和又は不飽和の環と縮合可能であり;
− Yは、-COOH、-SOH、-OSOH、-PO及び-OPOから選択される基であり;
− X'は、式-N(R)(R)の二価の基であり、ここでR6及びR7は互いに独立して、(i)水素原子、又は(ii)直鎖状、分枝状又は環状で、芳香族であってもよく、場合によってはO、N、S及びPから選択される1〜20のヘテロ原子を有し、1〜25の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は(iii)R6及びR7は窒素原子と共同して、全体で5、6、7又は8の原子、特に4、5、6又は7の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜3のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい飽和又は不飽和の第1の環を形成してもよく;該第1の環は、それぞれが5、6、7又は8の原子、特に4、5、6又は7の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜3のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい一又は複数の他の飽和又は不飽和の環と縮合可能であり;
− Y'は、-COO、-SO、-OSO、-PO2−及び-OPO2−から選択される基であり;
− R'3は、飽和又は不飽和、芳香族であってもよく、直鎖状、分枝状又は環状で、場合によってはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜18のヘテロ原子を有する、1〜30の炭素原子の炭素ベースの二価基であり;
− n'は1〜100、好ましくは1〜5であり;
− X''は、式-Nの基であり、ここでR6、R7及びR8は互いに独立して、(i)水素原子、又は(ii)直鎖状、分枝状又は環状で、芳香族であってもよく、場合によってはO、N、S及びPから選択される1〜5のヘテロ原子を有し、1〜18の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は(iii)R6及びR7が窒素原子と共同して、全体で5、6又は7の原子、特に4、5又は6の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜3のヘテロ原子を有し、芳香族であってもよい飽和又は不飽和の第1の環を形成してもよく;該第1の環は、5、6又は7の原子、特に4、5、6又は7の炭素原子、及び/又はO、S及びNから選択される2〜3のヘテロ原子をそれぞれ有し、芳香族であってもよい一又は複数の他の飽和又は不飽和の環と縮合可能である]
である、エチレン性コポリマー、及び該コポリマーの塩。
【請求項2】
式(I)において、R1が、水素、又はメチル、エチル、プロピル又はブチル基を表す、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
式(I)において、Zが、COO又はCONHを表す、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
式(I)において、R2基が:
− メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、n-ヘキシレン、n-オクチレン、n-ドデシレン、n-オクタデシレン、n-テトラデシレン又はn-ドコサニレン等のアルキレン基;
− O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜25のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基-C-(オルト、メタ又はパラ);又はO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜8のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基で置換されていてもよいベンジレン基-C-CH-;
− 次の式:
【化3】

[ここで、R'1ないしR'4は同一でも異なっていてもよく、H及びO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜8のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基から選択され得;R'1ないしR'4は、特にメチル及び/又はエチルであってよい]
のピリジニウム基;
− 式-CH-CHOH-、-CH-CH-CHOH-、-CH-CH-CH(NH)- 、-CH-CH(NH)-、-CH-CH-CH(NHR')-、-CH-CH(NHR')-、-CH-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH-CH-NR'-、-CH-O-CO-O-、CH-CH-O-CO-O-、-CH-CO-O-、-CH-CH-CO-O-、-CH-O-CO-NH-、-CH-CH-O-CO-NH-;-CH-NH-CO-NH-、又は-CH-CH-NH-CO-NH-;-CH-CH-CH-O-;-CH-CH-CHR'-O-で、R'及びR''が、O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜12のヘテロ原子を有していてもよい直鎖状又は分枝状のC1−C22アルキルを表すもの;又は
− これらの基の混合物;
から選択される、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
式(I)において、nが5〜200、好ましくは7〜100、又はさらに好ましくは9〜50である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
式(I)において、R3が、水素原子;スクシンイミド、マレイミド、メシチル、トシル、トリエトキシシラン、フタルイミド又は-CH-CH-CN基;あるいはO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜8のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基で置換されていてもよいベンジル又はフェニル基;O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜18のヘテロ原子を有していてもよいC1−C30、特にC1−C22、又はさらにはC2−C16のアルキル基であり;該ベンジル、フェニル又はアルキル基は次の官能基:スクシンイミド;グルタラート-スクシンイミド;グルタラート;マレイミド;メシチル、ベンゾアート;トシル;トリエトキシシラン;フタルイミド;チオエステル;ベンゾトリアゾールカルボナート;ブチルアルデヒド;アセトアルデヒドジエチルアセタール;ビオチン;リン脂質;スクシナート;N-ヒドロキシスクシンイミド;-SOH、-COOH、-PO、-NR5R6又は-NR5R6R7で、R5、R6及びR7が互いに独立して、H、及び直鎖状、分枝状又は環状のC1−C18アルキル、特にメチルで、一又は複数のヘテロ原子を有していてよく、又はt-ブチルオキシカルボニル又は9-フルオレニルメトキシカルボニル等の保護基を担持していてもよいものから選択される官能基をさらに含んでいてもよい、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
式(I)のモノマーが、
− ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート;
− メチルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート;
− アルキルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート;
− フェニルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート;
− 次のモノマー:
【化4】

[上式中、nは、好ましくは3〜100、特に5〜50、又はさらには7〜30である]
から単独に又は混合物として選択される、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
式(I)のモノマーが、350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有する、請求項1ないし7のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
式(I)のモノマーが、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート及びメチルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート、好ましくは350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量のものから単独に又は混合物として選択される、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項10】
式(I)のモノマーが、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート、特に350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量のものから単独に又は混合物として選択される、請求項1ないし9のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項11】
式(I)のモノマーは、最終ポリマーの重量に対して20重量%〜55重量%、好ましくは30重量%〜50重量%の割合で単独に又は混合物として存在している、請求項1ないし10のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項12】
式(IIa)、(IIb)、(IIc)及び/又は(IId)において、R'2基が:
− メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、n-ヘキシレン、n-オクチレン、n-ドデシレン、n-オクタデシレン、n-テトラデシレン又はn-ドコサニレン等のアルキレン基;
− N、O、S、F、Si及びPから選択される1〜5のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基-C-(オルト、メタ又はパラ);又はO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜5のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基で置換されていてもよいベンジレン基-C-CH-;
− 式-CH-O-CO-O-、CH-CH-O-CO-O-、-CH-CO-O-、-CH-CH-CO-O-、-[(CH)-CO-O]-、-CH-CH(CH)-O-、-(CH)-O-、-CH-O-CO-NH-、-CH-CH-O-CO-NH-;-CH-NH-CO-NH-又は-CH-CH-NH-CO-NH-、-CH-CHOH-、-CH-CH-CHOH-、-CH-CH-CH(NH)-、-CH-CH(NH)-、-CH-CH-CH(NHR')-、-CH-CH(NHR')-、-CH-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH-CH-NR'-、-CH-CH-CH-O-;-CH-CH-CHR'-O-で、R'及びR''が、O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜12のヘテロ原子を有していてもよい直鎖状又は分枝状のC1−C22アルキルを表すもの;又は
− これらの基の混合物;
から選択される、請求項1ないし11のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項13】
式(IIa)において、X中に存在するR6及びR7基が、水素、及びメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、オクチル、ラウリル又はステアリル基から選択される、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項14】
式(IIa)において、Xが、ピリジン、インドリル、イソインドリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピペリジル、ピラゾリニル、ピラゾリル、キノリン、ピラゾリニル、ピリジル、ピペラジニル、ピロリジニル、キニジニル、トリアゾリニル、モルホリン、グアニジノ又はアミジノ型の基、及びそれらの混合物から選択される基である、請求項1ないし13のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項15】
式(IIa)のモノマーが、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、及びモルホリノエチル(メタ)アクリラート;及び次のモノマー:
【化5】

から単独に又は混合物として選択される、請求項1ないし14のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項16】
式(IIa)のモノマーが、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、及びモルホリノエチル(メタ)アクリラートから単独に又は混合物として選択される、請求項1ないし15のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項17】
アニオン性モノマーが、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸2-カルボキシエチル(CH=CH-C(O)-O-(CH)-COOH);スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸及び(メタ)アクリル酸スルホプロピル、及びそれらの塩から選択される、請求項1ないし16のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項18】
式(IIc)において、X'基が、ピリジン、インドリル、イソインドリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピペリジル、ピラゾリニル、ピラゾリル、キノリン、ピラゾリニル、ピリジル、ピペラジニル、ピロリジニル、キニジニル、トリアゾリニル、モルホリン、グアニジノ又はアミジノ型の基、及びそれらの混合物から選択される、請求項1ないし17のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項19】
式(IIc)及び/又は(IId)において、R'3基が:
− メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、n-ヘキシレン、n-オクチレン、n-ドデシレン、n-オクタデシレン、n-テトラデシレン又はn-ドコサニレン等のアルキレン基;
− O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜5のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基で置換されていてもよいフェニレン基-C-(オルト、メタ又はパラ);又はO、N、S、F、Si及びPから選択される1〜5のヘテロ原子を有していてもよいC1−C12アルキル基で置換されていてもよいベンジレン基-C-CH-;
− 式-CH-O-CO-O-、CH-CH-O-CO-O-、-CH-CO-O-、-CH-CH-CO-O-、-[(CH)-CO-O]-、-CH-CH(CH)-O-、-(CH)-O-、-CH-O-CO-NH-、-CH-CH-O-CO-NH-;-CH-NH-CO-NH-又は-CH-CH-NH-CO-NH-、-CH-CHOH-、-CH-CH-CHOH-、-CH-CH-CH(NH)-、-CH-CH(NH)-、-CH-CH-CH(NHR')-、-CH-CH(NHR')-、-CH-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH(NR'R'')-、-CH-CH-CH-NR'-、-CH-CH-CH-O-;-[CH-CH-O]-及び-[CH-CH(CH)-O]-、-CH-CH-CHR'-O-で、R'及びR''が、O、N、S、F、Si及びPから選択される1〜12のヘテロ原子を有していてもよい直鎖状又は分枝状のC1−C22アルキルを表すもの;又は
− これらの基の混合物;
から選択される、請求項1ないし18のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項20】
式(IId)において、X''が、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-オクチルアンモニウム、及びN,N-ジメチル-N-ラウリルアンモニウム基から選択される、請求項1ないし19のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項21】
式(IIc)又は(IId)のモノマーが、N,N-ジメチル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)-N-(3-スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N,N-ジメチル-N-(3-メタクリルアミドプロピル)-N-(3-スルホプロピル)アンモニウムベタイン、1-(3-スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウムベタイン、及び2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンから選択される、請求項1ないし20のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項22】
「本質的にカチオン性の」モノマーが、アニオン性モノマーとのカチオン性及び/又は両性モノマーの混合物から選択される場合、該アニオン性モノマーが、「カチオン性及び/又は両性+アニオン性モノマー」混合物の重量に対して、5重量%〜40重量%、特に10重量%〜30重量%、さらに好ましくは15重量%〜25重量%の割合で存在している、請求項1ないし21のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項23】
「本質的にカチオン性の」モノマーが、最終ポリマーの重量に対して45重量%〜80重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の割合で存在している、請求項1ないし22のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項24】
少なくとも一のモノマー、及び/又はポリマーが、無機塩基、有機塩基、無機酸及び/又は有機酸から選択される中和剤で中和されている、請求項1ないし23のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項25】
少なくとも一のモノマー、及び/又はポリマーが、2以下、例えば−8〜2、好ましくは−6〜1、特に−6〜0のlog P値を有するか;又は2を越え、好ましくは2.5以上、特に3を越え、特に3〜15、またさらには3.5〜10のlog P値を有する無機又は有機酸型の中和剤で中和されている、請求項1ないし24のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項26】
少なくとも一のモノマー、及び/又はポリマーが、2以下、例えば−8〜2、好ましくは−6〜1、特に−6〜0のlog P値を有する無機又は有機酸型の中和剤で中和されている、請求項1ないし25のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項27】
少なくとも一のモノマー、及び/又はポリマーが、2-エチルカプロン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ステアリン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、塩酸ベタイン、及び/又はグルコン酸、特にベヘン酸及び/又は塩酸ベタインから選択される中和剤で中和されている、請求項1ないし26のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項28】
− 式(I)のモノマーが、最終ポリマーの重量に対して10重量%〜60重量%、特に20重量%〜55重量%、好ましくは30重量%〜50重量%の割合で単独に又は混合物として存在し、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート及び/又はメチルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラートで、好ましくは350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有するものから単独に又は混合物として選択され;及び/又は
− 「本質的にカチオン性の」モノマーが、最終ポリマーの重量に対して40重量%〜90重量%、特に45重量%〜80重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の割合で存在し、式(IIb)のモノマーから単独に又は混合物として選択される;
請求項1ないし27のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項29】
− 式(I)のモノマーが、最終ポリマーの重量に対して10重量%〜60重量%、特に20重量%〜55重量%、好ましくは30重量%〜50重量%の割合で単独に又は混合物として存在し、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート、好ましくは350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有するものから単独に又は混合物として選択され;及び
− 「本質的にカチオン性の」モノマーが、最終ポリマーの重量に対して40重量%〜90重量%、特に45重量%〜80重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の割合で存在し、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、及びモルホリノエチル(メタ)アクリラートから単独に又は混合物として選択される:
請求項1ないし28のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項30】
− 式(I)のモノマーが、最終ポリマーの重量に対して10重量%〜60重量%、特に20重量%〜55重量%、好ましくは30重量%〜50重量%の割合で単独に又は混合物として存在し、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート、好ましくは350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有するものから単独に又は混合物として選択され;及び
− 「本質的にカチオン性の」モノマーが、最終ポリマーの重量に対して40重量%〜90重量%、特に45重量%〜80重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の割合で存在し、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、及びモルホリノエチル(メタ)アクリラートから単独に又は混合物として選択され;
− ポリマーが、2-エチルカプロン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ステアリン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、塩酸ベタイン、及び/又はグルコン酸、好ましくはベヘン酸及び/又は塩酸ベタインから選択される中和剤で中和される;
請求項1ないし29のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項31】
− 式(I)のモノマーが、10重量%〜60重量%、特に20重量%〜55重量%、好ましくは30重量%〜50重量%の割合で単独に又は混合物として存在し、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート、好ましくは350〜13000g/mol、特に500〜8000g/molの分子量を有するものから単独に又は混合物として選択され;及び
− 「本質的にカチオン性の」モノマーが、最終ポリマーの重量に対して40重量%〜90重量%、特に45重量%〜80重量%、好ましくは50重量%〜70重量%の割合で存在し、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドから単独に又は混合物として選択され;また
− ポリマーがベヘン酸及び/又は塩酸ベタインから選択される中和剤で中和される;
請求項1ないし30のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項32】
500〜5000000、特に1000〜3000000、好ましくは2000〜2000000、さらに4000〜500000、とりわけ7000〜400000、さらに好ましくは20000〜350000、より好ましくは150000〜300000の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1ないし31のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項33】
好ましくは水溶性又は水分散性である水性媒体で移送可能であることを特徴とする、請求項1ないし32のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項34】
水又はメチルエチルケトン中に15重量%のポリマーを含む溶液に対して、ブルックフィールド粘度計を使用し、25℃にて、針型の1号スピンドルを用いて;測定時間5分、速度0.1〜6rpmにて測定して、1〜1000mPa.s、好ましくは1.5〜750mPa.s、さらに好ましくは2〜500mPa.sの粘度を有することを特徴とする、請求項1ないし33のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項35】
−150℃〜20℃、特に−120℃〜10℃、さらに好ましくは−100℃〜0℃のガラス転移温度(Tg)を有することを特徴とする、請求項1ないし34のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項36】
75%の相対湿度(75% RH)で、3重量%〜150重量%、好ましくは4重量%〜100重量%、特に5重量%〜50重量%の水分取込度を有し;及び/又は85%の相対湿度(85% RH)で、3重量%〜200重量%、好ましくは2.5重量%〜150重量%、特に3重量%〜100重量%の水分取込度を有することを特徴とする、請求項1ないし35のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項37】
生理学的に許容可能な媒体、特に化粧品的又は製薬的に許容可能な媒体中に、請求項1ないし36のいずれか一項に記載の少なくとも一のポリマーを含有してなる化粧品用又は製薬用組成物。
【請求項38】
ポリマーが、組成物の全重量に対して0.01重量%〜50重量%、特に0.1重量%〜30重量%、さらには0.3重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜3重量%の固形物量の割合で存在している、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
生理学的に許容可能な媒体が、水;親水性有機溶媒、アルコール類、特に直鎖状又は分枝状のC1−Cモノアルコール類、及びポリオール類、及びグリコールエーテル、特にCグリコールエーテル、及び親水性C-Cアルデヒド類;ロウ、ペースト状の脂肪物質、ガム類、及びそれらの混合物で、動物、植物、鉱物又は合成由来のもの;脂質親和性の有機溶媒;動物、植物、鉱物又は合成由来の油;合成エステル及びエーテル;ペンタエリトリトールのエステル;12〜26の炭素原子を有する脂肪アルコール;部分的に炭化水素ベース及び/又はシリコーンベースのフルオロ油;室温で液状又はペースト状であり、揮発性又は非揮発性で直鎖状又は環状のシリコーン油;顔料、真珠母、フィラー、水溶性染料及び脂溶性染料;ポリマー;皮膜形成補助剤;界面活性剤;ビタミン類、香料、真珠光沢剤、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸性化又は塩基性化剤、防腐剤、サンスクリーン剤、酸化防止剤、抜毛防止剤、抗フケ剤、噴霧剤、及びセラミド類;それらの混合物から選択される少なくとも一の成分を含有している、請求項37又は38に記載の組成物。
【請求項40】
懸濁液、小胞体により水に油が分散したもの等の分散液;場合によっては増粘又はゲル化していてもよい油性溶液:水中油型、油中水型又は多相エマルション;ゲル又はムース;油性又は乳化したゲル;脂質小胞体等の小胞体の分散液;2相又は多相ローション;スプレー;ローション、クリーム、膏薬、柔軟なペースト、軟膏、棒状又は皿状等の成形又は鋳型の固形物、又は圧密された固形物の形態をしている、請求項37ないし39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
体又は顔の皮膚、唇及び毛髪の手入れ及び/又はメークアップ用製品、抗日光又は自己サンタン製品、又はヘアケア用製品の形態である、請求項37ないし40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
特にヘアスタイルの保持又は毛髪の成形のための毛髪用組成物、中でもシャンプー、ヘアセット用ゲル又はローション、ブロー乾燥用ローション、ラッカー又はスプレー等の固定用及びスタイリング用組成物;洗い流すか又はそのまま残される毛髪用コンディショナー、毛髪のパーマネントウェーブ、リラクシング、染色又は脱色用組成物の形態、あるいは毛髪の染色、脱色、パーマネントウェーブ又はリラクシングの前後、あるいはパーマネントウェーブもしくは毛髪のリラクシング施術の2つの工程の間に適用される洗い流される組成物の形態である、請求項37ないし41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
− 7.5%のラウリルエーテルスルファート
− 2.5%のココベタイン両性界面活性剤
− 5%のココポリグルコシド界面活性剤
− 1.5%の請求項1ないし36のいずれか一項に記載のポリマー
− 100%にする量の水、
を重量%で含有し、該ポリマーが、550g/molの分子量を有するポリ(エチレングリコール)メタクリラートを50重量%、及びジメチルアミノプロピルメタクリルアミドを50重量%含有し、塩酸ベタインで中和されている、請求項37ないし42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
シャンプーの形態である、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
顔又は体の皮膚、爪、体毛、頭髪及び/又は睫毛等のケラチン物質に、請求項37ないし44のいずれか一項に記載の化粧品用組成物を適用することからなる、ケラチン物質の美容処理方法。

【公表番号】特表2008−504426(P2008−504426A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518650(P2007−518650)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001699
【国際公開番号】WO2006/013268
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】