説明

新規組成物およびその使用

本発明は病的状態の治療的または予防的処置のための細胞性ワクチンを提供し、このワクチンは、抗原成分および/またはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されたCD4+T細胞の集団を含むかまたはそれからなり、T細胞は(a)活性化されているかまたは活性化することができ、(b)アポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる。本発明はワクチン接種法で使用するアジュバント組成物をさらに提供し、この組成物はT細胞の集団を含むかまたはそれからなり、T細胞は(a)活性化されているかまたは活性化することができ、(b)アポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる。さらに、本発明は殺菌活性を有するかまたは抗原提示細胞への曝露後にそれが可能となる組成物を提供し、この組成物はT細胞の集団を含むかまたはそれからなり、T細胞は(a)活性化されているかまたは活性化することができ、(b)アポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる。また、本明細書で記載されるワクチンおよび組成物の作製方法および使用方法も、本発明によって提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はT細胞組成物、特にワクチン、それとともに使用するアジュバント組成物、および殺微生物性組成物に関する。具体的には、本発明は活性化された、アポトーシスT細胞(任意選択で、外来の抗原を含有または発現するように改変された)を含む組成物、ならびに、抗原提示細胞に活性化/成熟シグナルを提供するためのおよび/または抗微生物環境を形成するためのその使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
HIV-1がほぼ20年前に同定されてから、20,000,000人がエイズで死亡し、40,000,000人を超える人々が今日HIV-1に耐えている。推定では、3,000,000人は15歳未満である。さらに、現在15歳未満である13,000,000人を超える子供たちはエイズによって片親または両親を失い、その多くはサハラ以南のアフリカの子供たちである(情報源UNAIDS)。アフリカは現在最悪の感染大陸であるが、流行はアジアおよびラテンアメリカで急速に拡大している。さらに、最初の第三相HIV-1ワクチン試験からの期待外れの結果が、gp120タンパク質ベースのワクチンを開発したVaxGen社から2003年2月に発表された。第二世代の予防ワクチンがそれらの第三相試験を完了するまでには、かなりの時間がかかる。
【0003】
発達の間、貪食細胞による死細胞の急速なクリアランスのために、アポトーシスはin vivoでは目立たない過程であり、通常、免疫応答を呼び起こさない(Hensonら、2001、Nat Rev Mol Cell Biol 2:627)。貪食抗原提示細胞は、したがって、一次T細胞活性化を誘導する能力を得るために、アポトーシス体の取り込みそれ自体とは別に、さらなる刺激を必要とする。しかし、一部の抗原提示細胞は、ウイルス特異CD8+T細胞に提示するための感染死細胞からの抗原を得ることができることが明白になった(Albertら、1998、Nature 392:86;Subkleweら、2001、J Exp Med 193:405;Arrodeら、2000、J Virol 74:10018;Larssonら、2002、Aids 16:1319;Zhaoら、2002、J Virol 76:3007)。抗原の外因性取り込み後のMHCクラスI分子上の抗原提示の現象(交差提示)は、細胞関連抗原(副組織適合性抗原)が骨髄由来抗原提示細胞によって取得され、細胞傷害性T細胞応答を開始することができることを示したBevanよって最初に記載された(den Haanら、2001、Curr Opin Immunol 13:437でレビューされる)。
【0004】
樹状細胞(DC)は、リンパ節に基づくナイーヴなTヘルパー(Th)細胞を刺激して一次T細胞応答を開始する能力を有する、強力な抗原提示細胞である(Banchereauら、2000、Annu Rev Immunol 18:767-811)。今日、末梢組織に存在する未熟なDCは、完全にコンピテントな抗原提示能力を得るために表現型および機能上の変化を経るために、活性化/成熟シグナルを必要とすることが一般に認められている。DCの活性化/成熟は、抗原を取り込む能力の一時的な増加、近くのリンパ節への移動、ならびにケモカイン受容体および副刺激分子を含む分子の同時上方制御などの、いくつかの段階を含む。リンパ節において、DCは抗原特異「シグナル1」および副刺激「シグナル2」をTh細胞に提供する。出現するデータも、Th1またはTh2応答への分極に寄与する第3のシグナルの関与を裏付ける(Sporri & Reis e Sousa、2005、Nat Immunol 6:163-70)。
【0005】
樹状細胞は、ウイルスに対して適応免疫応答を誘導する重要な役割を演ずる(Banchereau & Steinman、1998、Nature 392:245)。アポトーシス体に存在するEBV-、HIV-1-および発癌性のDNAは、抗原提示細胞へ移動して、その後抗原提示細胞中で発現させることができることが以前示された(Holmgrenら、1999、Blood 93:3956;Spetzら、1999、J Immunol 163:736;Bergsmedhら、2001、Proc Natl Acad Sci USA 98:6407;Bergsmedhら、2002、Cancer Res 62:575)。HIV-1 DNAがアポトーシス体の取り込みの後、DCへ効率的に移動されたことが示された(Spetzら、1999、J Immunol 163:736)。
【0006】
米国特許第6506596号は、アポトーシス体から呑食細胞へゲノムDNAを移動する方法を記載する。呑食細胞は、T細胞の刺激または寛容化のためにそれらの表面でタンパク質を合成、処理および提示する抗原提示細胞である。この方法は、ワクチン製剤および遺伝子同定手順など、いくつかの医薬用途で役立つ。
【0007】
米国特許第6602709号は、抗原を樹状細胞に送達することによって抗原特異細胞傷害性リンパ球およびヘルパーT細胞の誘導に役立つ方法に関する。この方法は、免疫細胞への提示のために抗原を内在化することができる樹状細胞を、免疫細胞によって提示される抗原を含むアポトーシス細胞と接触させることを含む。
【特許文献1】米国特許第6506596号
【特許文献2】米国特許第6602709号
【非特許文献1】Hensonら、2001、Nat Rev Mol Cell Biol 2:627
【非特許文献2】Albertら、1998、Nature 392:86
【非特許文献3】Subkleweら、2001、J Exp Med 193:405
【非特許文献4】Arrodeら、2000、J Virol 74:10018
【非特許文献5】Larssonら、2002、Aids 16:1319
【非特許文献6】Zhaoら、2002、J Virol 76:3007
【非特許文献7】den Haanら、2001、Curr Opin Immunol 13:437
【非特許文献8】Banchereauら、2000、Annu Rev Immunol 18:767-811
【非特許文献9】Sporri & Reis e Sousa、2005、Nat Immunol 6:163-70
【非特許文献10】Banchereau & Steinman、1998、Nature 392:245
【非特許文献11】Holmgrenら、1999、Blood 93:3956
【非特許文献12】Spetzら、1999、J Immunol 163:736
【非特許文献13】Bergsmedhら、2001、Proc Natl Acad Sci USA 98:6407
【非特許文献14】Bergsmedhら、2002、Cancer Res 62:575
【非特許文献15】Current Protocols in Immunology、2006、John Wiley & sons、Coligan、Bierer、Margulies、Shevach、StroberおよびCoico編
【非特許文献16】Hamiら、2004、Cytotherapy 6:554〜62
【非特許文献17】Searleら(1981) Br. J. Cancer 44、137〜144
【非特許文献18】Senterら(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85、4842〜4846
【非特許文献19】Burchellら(1987) Cancer Res. 47、5476〜5482
【非特許文献20】Hellstromら(1986) Cancer Res. 46、3917〜3923
【非特許文献21】Clarkeら(1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82、1766〜1770
【非特許文献22】Gamvrellisら(2004)Immunology & Cell Biology 82:506〜516
【非特許文献23】McDyerら、1999、J. Immunology 162:3711〜3717
【非特許文献24】Remington:The Science and Practice of Pharmacy、19版、1995、Alfonso Gennaro編、Mack Publishing Company、Pennsylvania、USA
【非特許文献25】Smed-Sorensenら、2004、Blood 104:2810〜7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、例えばHIV感染症に対する免疫化のために改善されたワクチン、およびそれとともに使用するアジュバント組成物および殺微生物性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は病的状態の治療的または予防的処置のための細胞性ワクチンを提供し、このワクチンは、抗原成分および/または抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されたCD4+T細胞の集団を含むかまたはそれからなり、T細胞は(a)活性化されているかまたは活性化することができ、また、(b)アポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる。
【0010】
「細胞性ワクチン」は、CD4+T細胞を含むかまたはそれからなるワクチン組成物を意味し、この組成物は、適当な対象に投与された場合、病的状態に対して予防的および/または治療的な処置効果を提供することができる。詳細には、本発明との関連で、細胞性ワクチンは宿主内で病的状態に対して活性免疫化を提供することができる。
【0011】
本発明の細胞性ワクチンは未熟な抗原提示細胞に活性化/成熟シグナルを提供し、このようにして抗原の取り込みおよび処理の後に有効な抗原提示を可能にし、免疫応答の誘導に導くと思われる。
【0012】
本発明の細胞性ワクチンは100%純粋である必要がないことは、当業者によって理解されよう。例えば、ワクチンは、活性化されていないおよび/またはアポトーシスを経るように誘導されていない、またはそのようにすることができないCD4+T細胞を含むことができる。さらに、ワクチンはT細胞以外の細胞、例えば単球(例えばCD4+低発現単球)をさらに含むことができる。一実施形態では、しかし、本発明の細胞性ワクチンは、例えばそのようなT細胞の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%以上(すなわち全ての細胞型の総数に対するT細胞数の%)が(a)活性化されているかまたは活性化することができ、また、(b)アポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができるCD4+T細胞から主に構成される。さらに好ましい実施形態において、より詳細にはHIVに対する細胞性ワクチンについては、ワクチンはCD8+T細胞を実質的に含まない(例えば5%未満、例えば4%、3%、2%、1%以下のCD8+T細胞、最も好ましくはCD8+T細胞を完全に含まない)。
【0013】
「処置」は、対象/患者の治療的および予防的処置を含む。用語「予防的」は、病的状態が患者または対象で発症する可能性を阻止または低減する、本明細書記載の組成物の使用を含むものとして用いられる。例えば、患者または対象で病原体に対する抗体の生成を誘導することによって、組成物は患者または対象で病的状態に対して部分的または完全な保護を提供することができる。用語「治療的」は、処置する疾患または状態によって、その変化が処置する疾病状態または病態の寛解、良好な生理的結果、反転または減退であるかどうかに関係なく、患者または対象で病的状態の良好な変化を誘導する本明細書記載の組成物の使用を含むものとして用いられる。
【0014】
「病的状態」は、ヒトおよび動物体の疾病状態を含む。例えば、病的状態は病原性微生物因子、例えばウイルス、細菌、原生動物、マイコプラズマ、酵母または真菌による宿主の感染または加害に起因する疾患または病態であることができる。さらに、用語「病的状態」は、ヒトおよび動物体の他の疾病状態、例えば増殖性障害(すなわち癌)を含むものとする。
【0015】
「T細胞」は、T細胞受容体を運ぶ(T)リンパ球を意味する。同様に、「CD4+T細胞」は、CD4糖タンパク質(CD4+T細胞は、ヘルパーT細胞としても知られる)をそれらの表面で発現するTリンパ球を意味する。同様に、「CD8+T細胞」は、CD8糖タンパク質(CD8+T細胞は、細胞傷害性T細胞としても知られる)をそれらの表面で発現するTリンパ球を意味する。
【0016】
「改変された」は、抗原成分および/またはそのような抗原成分をコードする核酸を含むように、T細胞が遺伝子操作、コンジュゲート、融合、誘導体化、またはさもなければそれらの天然の状態から変えることを意味する。好ましくは、改変されたT細胞は、それらの表面で抗原成分を提示する。詳細には、本明細書で使用されるように、用語「改変された」は、適当な方法を用いることによる外来DNA、例えば、それらに限定されないが、微生物遺伝子の導入によるT細胞の改変を含む。好ましくは、微生物遺伝子はトランスフェクションまたは感染によって導入されるが、融合など他の方法も用いることができる。
【0017】
「抗原成分」は、外来の(すなわち非T細胞由来の)タンパク質、炭水化物および脂質、ならびにそれらの組合せおよび断片を含み、それらは免疫系に特定の免疫応答を起こさせるように誘導することができる。ゆえにウイルスとの関連で、用語「抗原成分」は、具体的には、宿主で免疫応答を導き出すことができるビリオン全体、それらに由来するタンパク質(例えば、それらに限定されないがエンベロープおよびキャプシドタンパク質)、炭水化物および脂質、ならびにそれらの組合せおよびそれらの断片を含む。同様に、用語「抗原成分」は細菌細胞に由来する成分、例えばタンパク質、炭水化物および脂質、ならびにそれらの組合せおよび断片も含み、それらの成分は宿主で免疫応答を導き出すことができる。さらに、癌細胞との関連で、用語「抗原成分」は、特異的に癌細胞と(排他的にまたは優先して)関連する細胞表面発現タンパク質、およびその抗原性断片を含む。また、本明細書で使用される用語「抗原成分」の範囲には、天然の抗原成分の変異の、すなわち非天然の形態、例えば、それらの抗原性能力を強化するために突然変異させたそれらの変異タンパク質または断片も含まれる。タンパク質または脂質などの抗原成分は炭化水素部分を含むことができることは、当業者によって理解されよう。例えば、抗原成分は糖タンパク質もしくは糖脂質、またはそれらの断片であることができる。
【0018】
T細胞との関連で本明細書で使用される「活性化されている」は、適当な活性化剤への曝露による多数のT細胞タンパク質の改変を含む(すなわち、活性化は認識可能な表現型変化をT細胞で生成する)。T細胞の活性化は、例えば、T細胞増殖およびCD69、CD25およびCD40Lのアップレギュレーションを研究することによって確認することができる。T細胞活性化媒介物質の例としては、それらに限定されないが、レクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(抗原認識部位外のドメイン中のT細胞受容体と相互作用するもの、例えばブドウ球菌エンテロトキシンAおよびB[SEAおよびSEB])、モノクローナル抗体(例えば、単独または併用で用いられる、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a)、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子が挙げられる。語「活性化することができる」は、これに従って解釈するものとする。T細胞の活性化はin vitroでまたはin vivoで誘導することができることは、当業者によって理解されよう。
【0019】
ある種の活性化剤、例えばPHA、ConAおよび超抗原は、T細胞を活性化するために抗原提示細胞(APC)の存在を必要とする。したがって、一実施形態では、細胞性ワクチン(または本発明の他の組成物、下記参照)は、T細胞および単球を(APCとして)含む末梢血単核細胞(PBMC)を含むことができるかそれからなることができる。他の実施形態では、活性化の増強(および任意選択で、ウイルス変異体の含有)を可能にするために、CD8+細胞を除去するが単球を保存するようにPBMCを処理する。任意選択で、単球は使用前に成熟刺激剤、例えばIL-4およびGM-CSFと一緒に培養される。
【0020】
「アポトーシス性の」は、T細胞が最終的に膜結合型粒子に崩壊して、次に食作用によって除去されるプログラム細胞死を意味する。アポトーシスは、ガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドなどのアポトーシス誘導因子へのT細胞の曝露によって誘導することができる。句「アポトーシス性にすることが可能な」は、これに従って解釈するものとする。活性化の場合のように、T細胞のアポトーシスはin vitroでまたはin vivoで誘導することができることは、当業者によって理解されよう。
【0021】
本発明の第1の態様の好ましい一実施形態では、CD4+T細胞は、
(a)CD4+T細胞の集団を活性化する段階と、
(b)抗原成分および/または抗原成分をコードする核酸分子を含むようにCD4+T細胞の集団を改変する段階と、
(c)CD4+T細胞の集団がアポトーシスを経るように誘導する段階とを含む方法によって得ることができ、または得られ、
段階(a)から(c)は、任意の順序で実施することができる。
【0022】
有利には、この方法はCD4+T細胞の集団を適当な培地で培養する段階をさらに含む。T細胞を培養する段階は、上記の工程の任意の段階で、例えばT細胞の活性化および/または改変の前後に実施することができる。
【0023】
本明細書で使用される用語「適当な培地」は、T細胞の培養で用いられ、細胞の増殖および分割を可能にする任意の培地を指す。そのような培地の例としては、それらに限定されないが、Ex vivo 15、Ex vivo 10、AIM V、LGM1、2または3、Stemline、2mM L-グルタミン、1%のペニシリン-ストレプトマイシン、10mM HEPES、5〜10%の血清(自家血清)、ヒトAB+血清およびウシ胎仔血清を含むRPMIがある。Ex vivo培地は、血清の添加なしで用いることができる。細胞は、培地へのIL-2および/またはIL-7の添加の有無に関係なく、培養することができる。
【0024】
便利には、この方法はCD4+T細胞の集団を冷凍する段階をさらに含む。この任意選択の段階は、上記工程の任意の段階で、例えばT細胞の活性化および/または改変の前後に実施することができる。好ましくは、細胞は活性化および改変の後に冷凍し、次に使用時まで貯蔵する(アポトーシスは冷凍前に、または細胞が使用できるように解凍された後に誘導することができる)。
【0025】
CD4+T細胞は、当技術分野で公知の方法を用いて、任意の適当な供与源から得ることができる。例えば、T細胞は血液サンプルから単離された、末梢血単核細胞(PBMC)から得ることができる。
【0026】
好ましくは、CD4+T細胞は一次リンパ球から単離/誘導される。T細胞は、CD4+糖タンパク質を発現する細胞について、CD4+T細胞に関して正の選択によって、または、CD8+T細胞の負の選択(すなわち除去)によって濃縮することができる。適当な方法は当技術分野においては公知である。
【0027】
例えば、T細胞は、免疫磁気単離、抗体ベースの分離段階を含むか含まないヒツジ赤血球ロゼット形成、フローサイトメトリーに基づく細胞選別、白血球分離法、密度勾配、抗体パンニング法および抗体/補体除去などの方法で単離することができる(Current Protocols in Immunology、2006、John Wiley & sons、Coligan、Bierer、Margulies、Shevach、StroberおよびCoico編;Hamiら、2004、Cytotherapy 6:554〜62も参照のこと)。
【0028】
CD4+T細胞は、ヒトまたはヒト以外の動物、(例えば家畜および畜産動物(イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、その他の哺乳動物を含む)に由来してもよいことは、当業者によって理解されよう。
【0029】
しかし好ましくは、CD4+T細胞はヒトに由来する。
【0030】
好ましい一実施形態では、CD4+T細胞は細胞性ワクチンを使用する予定の対象に由来し、すなわち、T細胞は自己由来である。
【0031】
他の実施形態では、CD4+T細胞は細胞性ワクチンを使用する予定の対象と同じ種に由来し、すなわち、T細胞は同種性である。
【0032】
本発明の第1の態様の細胞性ワクチンの必須の特長は、CD4+T細胞が活性化されること、または活性化することができることである。好ましくは、CD4+T細胞は、レクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a)、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される活性化剤への曝露によって活性化されているかまたは活性化することができる。
【0033】
各活性化剤に必要とされる濃度および曝露時間は、常用の実験で決めることができる。
【0034】
好ましくは、活性化剤はPHAである。例えば、T細胞(単球/APCと共に)は2.5μg/ml PHAを含む培地で一晩、またはより長く、培養することができる。
【0035】
代わりに、活性化剤は、(例えば、2μg/mlの培地中濃度の)1つまたは複数のモノクローナル抗体でよい。特に好ましいモノクローナル抗体活性化剤としては、抗CD3抗体、抗CD28抗体および抗CD49d抗体があり、それらは単独または併用で用いられる。
【0036】
本発明の細胞性ワクチンの態様では、CD4+T細胞は抗原成分または抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。しかし、ワクチン中の全てのT細胞をそのように改変することが必須でないことは、当業者によって理解されよう。したがって、ワクチンは改変されたT細胞および改変されていないT細胞の混合物を含むことができる。
【0037】
一実施形態では、CD4+T細胞は微生物もしくはその抗原成分、または微生物もしくはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。好ましくは、微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、アルケー、真菌類およびウイルスからなる群から選択される。
【0038】
好ましくは、微生物はウイルスである。例えば、ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択することができる。
【0039】
最も好ましくは、ウイルスはHIVウイルス、例えばHIV1またはHIV2である。
【0040】
あるいは、微生物は細菌である。したがって、CD4+T細胞は細菌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されることができる。例えば、細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択することができる。
【0041】
一実施形態では、微生物はマラリアの病原体(すなわちマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫もしくは四日熱マラリア原虫)または膣トリコモナスなどの原生動物である。
【0042】
さらに好ましい実施形態では、CD4+T細胞は癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。好ましくは、癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される。
【0043】
そのような癌細胞関連抗原の例としては、下記表1に記載のものがある。
【0044】
【表1】

【0045】
他の適当な癌細胞関連抗原としては、αフェトプロテイン、Ca-125、前立腺特異抗原および上皮成長因子受容体ファミリーのメンバー、すなわち、EGFR、erbB2、erbB3およびerbB4が挙げられる。
【0046】
本発明の第1の態様の細胞性ワクチンのさらなる必須の特長は、CD4+T細胞がアポトーシス性であること、またはアポトーシス誘導因子への曝露によってアポトーシス性にすることができることである。例えば、アポトーシス誘導因子は、ガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択することができる。
【0047】
好ましくは、アポトーシス誘導因子はガンマ照射である。
【0048】
細胞は、in vivoで(すなわちそのワクチンで処置する対象への投与後)アポトーシスを経るように処理することができることは、当業者によって理解されよう。例えば、in vitro段階なしで、細胞はアポトーシス誘導因子による処理の直後(例えばアポトーシス誘導から30分〜2時間後)に、注入することができる。したがって、注入の時点でアポトーシス機構は開始している可能性があるが、アポトーシスはまだ誘導されていない。言い換えると、細胞は注入された後にin vivoでアポトーシスを経ることができる。
【0049】
細胞性ワクチン中の活性化された、アポトーシス性のCD4+T細胞は、抗原提示細胞の活性化/成熟が可能である。
【0050】
本明細書で使用される用語「抗原提示細胞の活性化」および「抗原提示細胞の成熟」は、そのような活性化/成熟を開始するシグナルの付加によっての抗原提示細胞、例えば樹状細胞(DC)の活性化/成熟を指す。抗原提示細胞は、完全にコンピテントな抗原提示能力を得るために表現型および機能上の変化を経るために、活性化/成熟シグナルを必要とする。例えばDCの活性化/成熟は、抗原を取り込む能力の一時的な増加、近くのリンパ節への移動、ならびにケモカイン受容体および副刺激分子を含む分子の同時上方制御などの、いくつかの段階を含む。
【0051】
活性化/成熟シグナルの例としては、それらに限定されないが、サイトカイン(TNF-a)、CD40リガンド、微生物およびウイルスの生成物(病原体関連分子パターン、PAMP)などの炎症媒介物質がある。PAMPは、Toll様受容体(TLR)ファミリーのメンバーを含むパターン認識受容体(PRR)によって認識される。DC内のPRRシグナル伝達は、インターフェロンa(IFN-a)またはIFN-β、腫瘍壊死因子a(TNF a)およびインターロイキン1(IL-1)などの、DC活性化段階を促進することもできる炎症誘発性サイトカインの生成に導く。本発明の一実施形態は、アポトーシス性の活性化されたT細胞を用いることによる、抗原提示細胞内での活性化/成熟の誘導を含む。
【0052】
一実施形態では、本発明の細胞性ワクチン中の活性化されたアポトーシス性のCD4+T細胞は、ワクチンで処置される宿主で内因性抗原提示細胞の活性化/成熟を誘導する。
【0053】
本発明の第1の態様の他の実施形態では、細胞性ワクチンは(外来性)抗原提示細胞の集団をさらに含む。好ましくは、抗原提示細胞はマクロファージおよび/または樹状細胞である。
【0054】
ゆえに、本発明は患者からAPC、例えば樹状細胞を単離し(および/またはin vitroで患者の単球からそれらを引き出し)、in vitroで細胞性ワクチンによりAPCの成熟を誘導し、次に成熟したAPCを患者に注入する可能性を含む。
【0055】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による細胞性ワクチンおよび薬剤として許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0056】
適当な医薬組成物の例およびその投与経路を、以下に詳細に記載する。
【0057】
しかし、好ましくは、医薬組成物は非経口的投与に適当である。
【0058】
本発明のさらなる態様は、本発明の第1の態様による細胞性ワクチンを調製するためのパーツのキットを提供し、このキットは、
(a)改変されたCD4+T細胞の集団、またはそれを得る手段、
(b)活性化剤、および
(c)アポトーシス誘導因子を含むかまたはそれからなる。
【0059】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様による細胞性ワクチンを作製するための方法を提供し、この方法は、
(a)CD4+T細胞の集団を得る段階と、
(b)抗原成分および/または抗原成分をコードする核酸分子を含むようにCD4+T細胞を改変する段階を含み、
T細胞は活性化されており(または活性化することができ)、アポトーシス性である(またはアポトーシス性にすることができる)。
【0060】
T細胞の改変、活性化およびアポトーシスの誘導(例えば開始)は、in vitroで実施されることは理解されよう。
【0061】
有利には、段階(a)は、(先に述べたように)一次リンパ球からCD4+T細胞を単離/精製することを含む。
【0062】
好ましくは、段階(a)のCD4+T細胞の集団は、細胞性ワクチンを使用する予定の対象に由来し、すなわち、T細胞は自己由来である。
【0063】
あるいは、段階(a)のCD4+T細胞の集団は、細胞性ワクチンを使用する予定の対象と同じ種に由来し、すなわち、T細胞は同種性である。
【0064】
一実施形態では、段階(b)は、微生物もしくはその抗原成分、または微生物もしくはその抗原成分をコードする核酸分子を含むようにCD4+T細胞を改変する段階を含む。好ましくは、微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、プリオン、古細菌、酵母、真菌およびウイルスからなる群から選択される。
【0065】
好ましくは、微生物はウイルスである。例えば、ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択することができる。
【0066】
最も好ましくは、ウイルスはHIVウイルス、例えばHIV1またはHIV2である。
【0067】
代わりに、微生物は細菌でよい。したがって、CD4+T細胞は細菌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されることができる。例えば、細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択することができる。
【0068】
一実施形態では、微生物はマラリアの病原体(すなわちマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫もしくは四日熱マラリア原虫)または膣トリコモナスなどの原生動物である。
【0069】
他の好ましい実施形態では、段階(b)は、癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように、CD4+T細胞を改変する段階を含む。好ましくは、癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される。
【0070】
そのような癌細胞関連抗原の例としては、上記表1に記載のものがある。
【0071】
CD4+T細胞の改変は当技術分野で公知の方法、例えばトランスフェクション、感染および融合を用いて達成することができる。
【0072】
本明細書で使用される用語「トランスフェクション」は、ベクター、例えば、それらに限定されないが、ウイルス、ファージ、プラスミドまたはDNAの合成担体(例えばナノ粒子)を用いることによる、T細胞への外来性DNAの導入を指す。トランスフェクションは、電気刺激によって達成することもできる。
【0073】
本明細書で使用される用語「感染」は、宿主生物への外来種の定着を指す。定着する生物体は、宿主の正常な機能および、最終的にはおそらく、その生存に干渉する。感染する生物体は、病原体と称される。病原体の例としては、それらに限定されないが、細菌、寄生虫、真菌およびウイルスがある。
【0074】
本明細書で使用される用語「融合」は、移動するDNAを含む他の細胞との融合によって外来DNAをT細胞に導入する方法を指す。2つの細胞を融合するために、細胞膜は透過性にする必要がある。透過化処理は、例えば界面活性剤、例えば、それには限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)の添加によって達成することができる。界面活性剤の存在下で2つの細胞型を混ぜることにより、2つの細胞型の融合が可能になる。本発明の一実施形態では、微生物DNAを含む細胞は本発明による活性化T細胞と融合され、それによって外来DNAを免疫賦活T細胞に導入する。あるいは、活性化T細胞に通常感染しない病原体は、PEGのような試薬を用いた融合によって、細胞に移すことができる。
【0075】
ゆえに、本発明の第4の態様の好ましい一実施形態では、抗原成分をコードする核酸分子によるトランスフェクションによってCD4+T細胞を改変する。例えば、核酸分子は、抗原タンパク質またはその断片をコードするウイルスまたは細菌の遺伝子でよく、あるいは、癌細胞関連抗原またはその断片をコードする遺伝子でよい。
【0076】
特に好ましい実施形態では、トランスフェクションは抗原成分をコードする核酸分子が結合したナノ粒子を用いて達成される(実施例を参照)。あるいは、抗原成分自体にナノ粒子を直接結合することができる。
【0077】
あるいは、CD4+T細胞は、完全体ウイルス/ビリオンによる感染によって改変される。
【0078】
本発明の第4の態様の好ましい一実施形態では、その方法はCD4+T細胞を(T細胞の改変の前後に、上記参照)活性化する段階をさらに含む。
【0079】
例えば、CD4+T細胞は、レクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される活性化剤への曝露によって活性化することができる。
【0080】
任意選択で、本発明の第4の態様の方法は、CD4+T細胞を(この方法の任意の段階で)培養する段階をさらに含む。
【0081】
便利には、この方法はCD4+T細胞の集団を冷凍する段階もさらに含む。この任意選択の段階は、上記工程の任意の段階で、例えばT細胞の活性化および/または改変の前後に実施することができる。好ましくは、細胞は活性化および改変の後に冷凍し、次に使用時まで貯蔵する(アポトーシスは冷凍前に、または細胞が使用できるように解凍された後に誘導することができる)。
【0082】
本発明の第4の態様のさらに好ましい実施形態では、この方法は、CD4+T細胞が(T細胞の活性化および/または改変の前後に、上記参照)アポトーシスを経るように誘導する段階をさらに含む。
【0083】
例えば、アポトーシスは、ガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択されるアポトーシス誘導因子への曝露によって誘導することができる。
【0084】
当業者は、本発明の第4の態様の段階が実施される順序は任意であることを理解しよう。しかし、これらの段階は、好ましくは以下の順序の1つで実施される。
(a)活性化、培養(任意選択)、改変、冷凍(任意選択)およびアポトーシスの誘導、
(b)培養(任意選択)、活性化、改変、冷凍(任意選択)およびアポトーシスの誘導、
(c)活性化、培養(任意選択)、改変、アポトーシスの誘導および冷凍(任意選択)、
(d)改変、培養(任意選択)、活性化、冷凍(任意選択)およびアポトーシスの誘導、または
(e)改変、培養(任意選択)、活性化、アポトーシスの誘導および冷凍(任意選択)。
【0085】
本発明の第4の態様の他の好ましい実施形態では、この方法は、抗原提示細胞の集団を細胞性ワクチンに加える段階をさらに含む。
【0086】
有利には、抗原提示細胞はマクロファージまたは樹状細胞である(上記参照)。
【0087】
本発明の第4の態様の特に好ましい実施形態では、この方法は本発明による細胞性HIVワクチンのGMP生産に適当であり、この方法は、以下の段階を順番に含む。
(a)末梢血単核細胞(PBMC)を試験対象患者の血液サンプルから単離する段階と、
(b)段階(a)で単離したPBMCを、CD4+細胞に関して濃縮する段階(例えば、CD8+細胞をPBMCから除去する)、
(c)段階(b)で得られたCD4+細胞に関して濃縮した細胞を、in vitroで培養する段階と、
(d)細胞を(例えば、IL-2の存在下で抗CD8および抗CD28 mAbで)活性化する段階と、
(e)患者からのHIVウイルスストックを提供するために上清を収集する段階と、
(f)得られたウイルスストックを冷凍保存する段階と、
(g)段階(a)および(b)を繰り返して免疫原として用いる細胞を調製する段階と、
(h)段階(g)で得られた細胞をin vitroで培養する段階と、
(i)細胞を(例えば、IL-2の存在下で抗CD8および抗CD28 mAbで)活性化する段階と、
(j)感染細胞を得るために、活性化されたCD8陰性PBMCを段階(f)で得られたストックからの自己由来のウイルスと一緒にインキュベートする段階と、
(k)患者の免疫化当日、感染細胞を解凍(凍結している場合)、洗浄して、アポトーシス誘導因子(例えばガンマ照射)に曝露させる段階と、
(l)アポトーシス誘導の後細胞を室温に保ち、2時間以内に免疫化のために用いる段階。
【0088】
段階(e)では、さらに高い濃度のウイルスを得るために、ウイルスのストックを超遠心分離することができる。TCID50試験および/またはp24 ELISAを用いて力価を測定するために、ウイルスのストック(またはバンク)を調査することもできる。他の病原体に関する無菌性も、調査することができる。
【0089】
段階(j)では、得られた感染細胞を冷凍保存することができる。無菌性、マイコプラズマ、エンドトキシン、HIV-DNA含有量、HIV-RNA含有量、HIV-p24タンパク質含有量、CD4/CD8細胞の%、およびT細胞活性化マーカーの%(例えばCD69およびCD25)について、自己由来の感染細胞ストック(またはバンク)の一定量をフローサイトメトリーによって分析することができる。
【0090】
段階(j)では、アポトーシス誘導の有効性について細胞の一定量を分析することができ、それはin vitroでインキュベーションの後に測定することができる。in vitroでDCを成熟させる(例えば副刺激分子の上方制御)能力を調査するために、一定量を用いることもできる。
【0091】
本発明の第5の態様は、病的状態にある対象の処置方法を提供し、この方法は、本発明の第1の態様による細胞性ワクチンまたは本発明の第2の態様による医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0092】
対象は、ヒトまたはヒト以外の動物、例えば家畜および畜産動物(イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、その他の哺乳動物を含む)でよいことは、当業者によって理解されよう。しかし、好ましくは、対象はヒトである。
【0093】
好ましい一実施形態では、病的状態は、細菌、マイコプラズマ、原生動物、プリオン、古細菌、酵母、真菌およびウイルスからなる群から選択される微生物に起因する。
【0094】
例えば、病的状態はウイルスに起因してもよい。ウイルスの例としては、それらに限定されないが、レトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)がある。
【0095】
特に好ましい一実施形態では、ウイルスはHIVウイルス、例えばHIV1またはHIV2である。
【0096】
あるいは、病的状態は、例えば結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される細菌に起因してもよい。
【0097】
他の実施形態では、病的状態はマラリアの病原体(すなわちマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫もしくは四日熱マラリア原虫)または膣トリコモナスなどの、原生動物に起因してもよい。
【0098】
さらに好ましい実施形態では、CD4+T細胞は癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。好ましくは、癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される。
【0099】
便利には、細胞性ワクチン中のT細胞は、対象への投与の直前(例えば2時間以内)に、アポトーシス誘導因子へ曝露させる。
【0100】
本発明の第6の態様は、医療、例えば病的状態にある対象の処置で使用する、本発明の第1の態様による細胞性ワクチンまたは本発明の第2の態様による医薬組成物を提供する。
【0101】
本発明の第7の態様は、病的状態にある対象の処置のための医薬の調製における、本発明の第1の態様による細胞性ワクチンまたは本発明の第2の態様による医薬組成物の使用を提供する。
【0102】
例示的な病的状態は、上で記載されている。
【0103】
本発明の第8の態様はワクチン接種法で使用するアジュバント組成物を提供し、この組成物はT細胞の集団を含むかまたはそれからなり、T細胞は(a)活性化されているかまたは活性化することができ、(b)アポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる。
【0104】
「アジュバント組成物」は、抗原の免疫原性を強化することができる組成物を意味する。本発明との関連で、「アジュバント組成物」は、対象へのワクチンの投与によって誘導される適応免疫を増強することができる。詳細には、本発明のこの態様は、抗原提示細胞に活性化/成熟シグナルを送達することができるT細胞の集団を提供する。
【0105】
「アジュバント組成物」の概念は、Gamvrellisら(2004)Immunology & Cell Biology 82:506〜516、で詳述されている。
【0106】
一般的に、アジュバント組成物およびワクチンは、別個の実体である。しかし、アジュバント組成物およびワクチンが単一の実体でよいことは、当業者によって理解されよう(下記参照)。
【0107】
アジュバント組成物がCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を含むことができることも、当業者によって理解されよう。例えば、アジュバント組成物はPBMCを含むことまたはそれからなることができる。
【0108】
他の実施形態では、アジュバント組成物はCD4+T細胞を優先してまたは主に、例えばCD4+T細胞を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上含む。
【0109】
他の実施形態では、アジュバント組成物はCD8+T細胞を優先してまたは主に、例えばCD8+T細胞を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上含む。
【0110】
本発明のアジュバント組成物で用いるT細胞は、当技術分野で公知の方法を用いて任意の適当な供与源から得ることができる。例えば、T細胞は血液サンプルから単離された、末梢血単核細胞(PBMC)から得ることができる。
【0111】
好ましくは、T細胞は一次リンパ球から単離/誘導される。T細胞は、CD4+またはCD8+T糖タンパク質を発現する細胞について、T細胞のサブ集団の正の選択または負の選択(すなわち除去)によって濃縮することができる。適当な方法は当技術分野においては公知である。
【0112】
例えば、T細胞は、免疫磁気単離、抗体ベースの分離段階を含むかまたは含まないヒツジ赤血球ロゼット形成、フローサイトメトリーに基づく細胞選別、白血球分離法、密度勾配、抗体パンニング法および抗体/補体除去などの方法で単離することができる(Current Protocols in Immunology、2006、John Wiley & sons、Coligan, Bierer, Margulies, Shevach, StroberおよびCoico編;Hamiら、2004、Cytotherapy 6:554〜62、も参照のこと)
【0113】
T細胞は、ヒトまたはヒト以外の動物、例えば家畜および畜産動物(イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、その他の哺乳動物を含む)に由来してもよいことは、当業者によって理解されよう。しかし好ましくは、T細胞はヒト供給源に由来する。
【0114】
好ましい一実施形態では、T細胞はアジュバント組成物を使用する予定の対象に由来し、すなわち、T細胞は自己由来である。
【0115】
他の実施形態では、T細胞はアジュバント組成物を使用する予定の対象と同じ種に由来し、すなわち、T細胞は同種性である。
【0116】
本発明の第8の態様の好ましい一実施形態では、T細胞は、レクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される活性化剤への曝露によって活性化されているかまたは活性化することができる。
【0117】
各活性化剤に必要とされる濃度および曝露時間は、常用の実験で決めることができる。
【0118】
好ましくは、活性化剤はPHAである。例えば、T細胞(単球/APCと共に)は2.5μg/ml PHAを含む培地で一晩、またはより長く、培養することができる。
【0119】
代わりに、活性化剤は、(例えば、2μg/mlの培地中濃度の)1つまたは複数のモノクローナル抗体でよい。特に好ましいモノクローナル抗体活性化剤としては、抗CD3抗体、抗CD28抗体および抗CD49d抗体があり、それらは単独または併用で用いられる。
【0120】
本発明の第8の態様のアジュバント組成物のさらなる必須の特長は、T細胞がアポトーシス性であること、またはアポトーシス誘導因子への曝露によってアポトーシス性にすることができることである。例えば、アポトーシス誘導因子は、ガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択することができる。
【0121】
好ましくは、アポトーシス誘導因子はガンマ照射である。
【0122】
細胞は、in vivoで(すなわちそのワクチンで処置する対象への投与後)アポトーシスを経るように処理することができることは、当業者によって理解されよう。例えば、in vitroの段階なしで、細胞はアポトーシスを誘導する因子による処理の直後(例えばアポトーシス誘導から30分〜2時間後)に、注入することができる。したがって、注入時点でアポトーシス機構は開始している可能性があるが、アポトーシスはまだ誘導されていない。言い換えると、細胞は注入された後にin vivoでアポトーシスを経ることができる。
【0123】
このように、アジュバント組成物中の活性化された、アポトーシス性のT細胞は、抗原提示細胞の活性化/成熟が可能である。
【0124】
本発明のアジュバント組成物が活性免疫化を提供するいかなるワクチンとの併用使用でも適当であることは、当業者によってさらに理解されよう。
【0125】
有利には、アジュバント組成物は、HIV、結核、マラリア、インフルエンザおよび癌からなる群から選択される病的状態に対するワクチンとの併用使用のためのものである。
【0126】
好ましくは、ワクチンはHIVワクチンである。
【0127】
あるいは、ワクチンは癌ワクチンでよい。
【0128】
アジュバント組成物は、宿主免疫系に抗原を提示することができるいかなるワクチンとも併用して用いることができる。例えば、ワクチンは、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される弱毒化されたまたは元のウイルスのベクター、ならびに、細菌ベクター(例えば結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択されるベクター)を含むことができるかまたはそれからなることができる。
【0129】
本発明の第8の態様のアジュバント組成物の一実施形態では、T細胞は抗原成分および/またはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。
【0130】
例えば、T細胞は微生物もしくはその抗原成分、または微生物もしくはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されることができる。好ましくは、微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される。
【0131】
より好ましくは、微生物はウイルスである。例えば、ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択することができる。
【0132】
最も好ましくは、ウイルスはHIVウイルス、例えばHIV1またはHIV2である。
【0133】
あるいは、微生物は細菌でよい。したがって、CD4+T細胞は細菌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されることができる。例えば、細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択することができる。
【0134】
一実施形態では、微生物はマラリアの病原体(すなわちマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫もしくは四日熱マラリア原虫)または膣トリコモナスなどの原生動物である。
【0135】
さらに好ましい実施形態では、T細胞は、癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。好ましくは、癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される。
【0136】
そのような癌細胞関連抗原の例としては、表1に上記したものがある。
【0137】
一実施形態では、本発明のアジュバント組成物中の活性化されたアポトーシス性のT細胞は、アジュバント組成物で処置される宿主で内因性抗原提示細胞の活性化/成熟を誘導する。
【0138】
本発明の第8の態様の他の実施形態では、アジュバント組成物は(外来性)抗原提示細胞の集団をさらに含む。好ましくは、抗原提示細胞はマクロファージおよび/または樹状細胞である。
【0139】
便利には、使用前は保存のために組成物を冷凍する。
【0140】
本発明の第9の態様は、本発明の第8の態様によるアジュバント組成物および薬剤として許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0141】
適当な医薬組成物の例およびその投与経路を、以下に詳細に記載する。
【0142】
しかし、好ましくは、医薬組成物は非経口的投与に適当である。
【0143】
本発明は、さらに、第10の態様として、
(a)本発明の第8の態様によるアジュバント組成物、および
(b)ワクチン
を含む組合せ製品を提供し、各成分(a)および(b)は薬剤として許容される希釈剤または担体との混合物で製剤化される。
【0144】
好ましい一実施形態では、本発明の組合せ製品は、本発明の第8の態様によるアジュバント組成物、ワクチンおよび薬剤として許容される希釈剤または担体を含む。
【0145】
他の実施形態では、本発明の組合せ製品は、成分
(a)本発明の第9の態様による医薬製剤、および
(b)ワクチン
を含むパーツのキットを含み、成分(a)および(b)はそれぞれ他との併用投与に適した形態で提供される。
【0146】
2つの成分を互いに「関連付ける」ことは、パーツのキットの成分(a)および(b)は、
(i)別個の製剤として(すなわち互いに独立して)提供することができ、それらはその後併用療法において互いと併用して用いるために一緒にすること、または
(ii)併用療法において互いと併用して用いるために、「組合せパック」の別々の成分として包装して一緒に提供することができること
を含む。
【0147】
ゆえに、本発明による組合せ製品に関して、用語「併用による投与」は、組合せ製品の2つの成分(すなわち本発明の第9の態様による医薬製剤およびワクチン)を、患者に有益効果をもたらすように一緒に、または時間的に十分近接して(任意選択で繰り返し)投与することを含む。ある組合せが特定の病態に関して、およびその処置過程で有益効果を提供するかどうかの判断は、治療または予防する病態によるが、当業者は通常到達することができる。
【0148】
本発明のさらなる態様は、本発明の第8の態様によるアジュバント組成物を調製するためのパーツのキットを提供し、このキットは、
(a)T細胞の集団、またはそれを得る手段、
(b)活性化剤、および
(c)アポトーシス誘導因子
を含むかまたはそれからなる。
【0149】
本発明の第12の態様は、本発明の第8の態様によるアジュバント組成物を作製する方法を提供し、この方法はT細胞の集団を得る段階を含み、T細胞は活性化されており(または活性化することができ)、アポトーシス性である(またはアポトーシス性にすることができる)。
【0150】
有利には、T細胞は一次リンパ球から単離/精製される(上記)。
【0151】
好ましくは、T細胞の集団はアジュバント組成物を使用する予定の対象に由来し、すなわち、T細胞は自己由来である。
【0152】
あるいは、T細胞の集団はアジュバント組成物を使用する予定の対象と同じ種に由来してもよく、すなわち、T細胞は同種性である。
【0153】
本発明の第12の態様の好ましい一実施形態では、この方法はT細胞を(T細胞の改変の前後に、上記参照)活性化する段階をさらに含む。
【0154】
例えば、T細胞は、レクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される活性化剤への曝露によって活性化することができる。
【0155】
好ましくは、活性化剤はPHAである。例えば、T細胞(単球/APCと共に)は2.5μg/ml PHAを含む培地で一晩、またはより長く、培養することができる。
【0156】
あるいは、活性化剤は、(例えば、2μg/mlの培地中濃度の)1つまたは複数のモノクローナル抗体でよい。特に好ましいモノクローナル抗体活性化剤としては、抗CD3抗体、抗CD28抗体および抗CD49d抗体があり、それらは単独または併用で用いられる。
【0157】
任意選択で、本発明の第12の態様の方法は、T細胞を(この方法の任意の段階で)培養する段階をさらに含む。
【0158】
便利には、この方法はT細胞の集団を冷凍する段階をさらに含む。この任意選択の段階は、上記工程の任意の段階で、例えばT細胞の活性化および/または改変の前後に実施することができる。好ましくは、細胞は活性化および改変の後に冷凍し、次に使用時まで貯蔵する(アポトーシスは冷凍前に、または細胞が使用できるように解凍された後に誘導することができる)。
【0159】
本発明の第12の態様のさらに好ましい実施形態では、この方法は、T細胞が(T細胞の活性化および/または改変の前後に、上記参照)アポトーシスを経るように誘導する段階をさらに含む。
【0160】
例えば、アポトーシスは、ガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択されるアポトーシス誘導因子への曝露によって誘導することができる。句「アポトーシス性にすることが可能な」は、これに従って解釈するものとする。
【0161】
本発明の第12の態様の一実施形態では、T細胞はその抗原成分または抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。
【0162】
例えば、段階(b)は、微生物もしくはその抗原成分、または微生物もしくはその抗原成分をコードする核酸分子を含むようにT細胞を改変する段階を含むことができる。好ましくは、微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、プリオン、古細菌、酵母、真菌およびウイルスからなる群から選択される。
【0163】
より好ましくは、微生物はウイルスである。例えば、ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択することができる。
【0164】
最も好ましくは、ウイルスはHIVウイルス、例えばHIV1またはHIV2である。
【0165】
あるいは、微生物は細菌でよい。したがって、T細胞は細菌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されることができる。例えば、細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択することができる。
【0166】
他の実施形態では、微生物はマラリアの病原体(すなわちマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫もしくは四日熱マラリア原虫)または膣トリコモナスなどの原生動物である。
【0167】
本発明の第12の態様のさらに好ましい実施形態では、T細胞は癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。好ましくは、癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される。
【0168】
そのような癌細胞関連抗原の例としては、表1に上記したものがある。
【0169】
T細胞の改変は当技術分野で公知の手法、例えばトランスフェクション、感染および融合を用いて達成することができる(上記参照)。
【0170】
特に好ましい実施形態では、トランスフェクションは抗原成分をコードする核酸分子が結合したナノ粒子を用いて達成される。あるいは、抗原成分自体にナノ粒子を直接結合することができる。
【0171】
あるいは、T細胞は、完全体ウイルス/ビリオンによる感染によって改変することができる。
【0172】
任意選択で、本発明の第12の態様の方法は、T細胞を(この方法の任意の段階で)培養する段階をさらに含む。
【0173】
便利には、この方法はT細胞の集団を冷凍する段階も含む。この任意選択の段階は、上記工程の任意の段階で、例えばT細胞の活性化および/または改変の前後に実施することができる。好ましくは、細胞は活性化および改変の後に冷凍し、次に使用時まで貯蔵する(アポトーシスは冷凍前に、または細胞が使用できるように解凍された後に誘導することができる)。
【0174】
当業者は、本発明の第12の態様の段階が実施される順序は任意であることを理解しよう。しかし、これらの段階は、好ましくは以下の順序の1つで実施される。
(a)活性化、培養(任意選択)、改変(任意選択)、冷凍(任意選択)およびアポトーシスの誘導、
(b)培養(任意選択)、活性化、改変(任意選択)、冷凍(任意選択)およびアポトーシスの誘導、
(c)活性化、培養(任意選択)、改変(任意選択)、アポトーシスの誘導および冷凍(任意選択)、
(d)改変(任意選択)、培養(任意選択)、活性化、冷凍(任意選択)およびアポトーシスの誘導、または
(e)改変(任意選択)、培養(任意選択)、活性化、アポトーシスの誘導および冷凍(任意選択)。
【0175】
本発明の第12の態様の他の好ましい実施形態では、この方法は、抗原提示細胞の集団をアジュバント組成物に加える段階をさらに含む。
【0176】
有利には、抗原提示細胞はマクロファージまたは樹状細胞である(上記参照)。
【0177】
本発明の第13の態様は、病的状態にある対象の処置方法を提供し、この方法は、ワクチンを本発明の第8の態様によるアジュバント組成物と一緒に、本発明の第9の態様による医薬組成物または本発明の第10の態様による組合せ製品を対象に投与することを含む。
【0178】
対象は、ヒトまたはヒト以外の動物、例えば家畜および畜産動物(イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、その他の哺乳動物を含む)でよいことは、当業者によって理解されよう。しかし、好ましくは、対象はヒトである。
【0179】
ワクチンおよびアジュバント組成物は異なる剤または単一の剤であってよいことも、当業者によって理解されよう。例えば、後者の場合、アジュバント組成物は、抗原成分を含むように改変された、活性化されたアポトーシス性のT細胞を含むことができる。
【0180】
好ましい一実施形態では、本発明の第13の態様は、ワクチン接種法を提供する。
【0181】
一実施形態では、病的状態は、細菌、マイコプラズマ、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される微生物に起因する。
【0182】
例えば、病的状態はウイルスに起因してもよい。ウイルスの例としては、それらに限定されないが、レトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群が挙げられる。
【0183】
特に好ましい実施形態では、ウイルスはHIVウイルス、例えばHIV1またはHIV2である。
【0184】
あるいは、病的状態は、例えば結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される細菌に起因してもよい。
【0185】
他の実施形態では、病的状態はマラリアの病原体(すなわちマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫もしくは四日熱マラリア原虫)または膣トリコモナスなどの原生動物に起因してもよい。
【0186】
さらに好ましい実施形態では、T細胞は癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。好ましくは、癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される。
【0187】
便利には、アジュバント組成物中のT細胞は、対象への投与の直前(例えば2時間以内)に、アポトーシス誘導因子へ曝露させる。
【0188】
本発明の第13の態様は、医療、例えば病的状態にある対象の処置で使用する、本発明の第8の態様によるアジュバント組成物、本発明の第9の態様による医薬組成物、または本発明の第10の態様による組合せ製品を提供する。
【0189】
本発明の第14の態様は、病的状態にある対象の処置のための医薬品の調製における、本発明の第8の態様によるアジュバント組成物、本発明の第9の態様による医薬組成物、または本発明の第10の態様による組合せ製品の使用を提供する。
【0190】
例示的な病的状態は、上で記載されている。
【0191】
本発明の関連態様は、
(i)対象に対して本発明の第8の態様によるアジュバント組成物、本発明の第9の態様による医薬組成物、または本発明の第10の態様による組合せ製品を投与することを含む、ワクチンの効果を増強する方法、
(ii)抗原提示細胞を本発明の第8の態様によるアジュバント組成物、本発明の第9の態様による医薬組成物、または本発明の第10の態様による組合せ製品と接触させることを含む、抗原提示細胞の活性化方法、
をさらに提供する。ゆえに、抗原提示細胞に活性化および成熟シグナルを送達する方法が提供される。
【0192】
上記の方法はin vivoまたはin vitroで実施することができることは理解されよう。
【0193】
本発明の第15の態様は、殺菌活性を有するかまたは抗原提示細胞への曝露後にそれが可能な組成物を提供し、この組成物はT細胞の集団を含むかまたはそれからなり、T細胞は(a)活性化されているかまたは活性化することができ、(b)アポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる。
【0194】
「殺菌活性を有する組成物」は、組成物が少なくとも一部、1つまたは複数の微生物種(例えば、ウイルス、細菌、その他)を殺すこと、またはその増殖を抑制することおよび/もしくはその感染を予防することができるか、あるいは、抗原提示細胞へ組成物が曝露した後に、殺すこと、またはその増殖を抑制することもしくはその感染を予防することができることを意味する。
【0195】
ゆえに、本発明は、抗原提示細胞と組み合わせて殺微生物環境を生むことができる組成物を提供する。この効果は、in vivoまたはin vitroで達成することができる。
【0196】
殺微生物組成物はCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を含むことができることは、当業者によって理解されよう。例えば、殺微生物組成物はPBMCを含むことまたはそれからなることができる。
【0197】
他の実施形態では、殺微生物組成物はCD4+T細胞を主に、例えばCD4+T細胞を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上含む。
【0198】
他の実施形態では、殺微生物組成物はCD8+T細胞を主に、例えばCD8+T細胞を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上含む。
【0199】
本発明の殺微生物組成物で用いるT細胞は、当技術分野で公知の方法を用いて任意の適当な供与源から得ることができる。例えば、T細胞は血液サンプルから単離された、末梢血単核細胞(PBMC)から得ることができる。
【0200】
あるいは、T細胞は、不死化細胞系から得ることまたは誘導することができる。
【0201】
好ましくは、T細胞は一次リンパ球から単離/誘導される。T細胞は、CD4+またはCD8+T糖タンパク質を発現する細胞について、T細胞のサブ集団の正の選択または負の選択(すなわち除去)によって濃縮することができる。適当な方法は、当技術分野において公知である。
【0202】
例えば、T細胞は、免疫磁気単離、抗体ベースの分離段階を含むかまたは含まないヒツジ赤血球ロゼット形成、フローサイトメトリーに基づく細胞選別、白血球分離法、密度勾配、抗体パンニング法および抗体/補体除去などの方法で単離することができる(Current Protocols in Immunology、2006、John Wiley & sons、Coligan、Bierer、Margulies、Shevach、StrobesおよびCoico編;Hamiら、2004、Cytotherapy 6:554〜62、も参照のこと)。
【0203】
T細胞は、ヒトまたはヒト以外の動物、例えば家畜および畜産動物(イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、その他の哺乳動物を含む)に由来してもよいことは、当業者によって理解されよう。
【0204】
しかし好ましくは、T細胞はヒトに由来してもよい。
【0205】
好ましい一実施形態では、T細胞は殺微生物組成物を使用する予定の対象に由来し、すなわち、T細胞は自己由来である。
【0206】
他の実施形態では、T細胞は殺微生物組成物を使用する予定の対象と同じ種に由来し、すなわち、T細胞は同種性である。
【0207】
本発明の第15の態様の好ましい一実施形態では、T細胞は、レクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される活性化剤への曝露によって活性化されているかまたは活性化することができる。
【0208】
各活性化剤に必要とされる濃度および曝露時間は、常用の実験で決めることができる。
【0209】
好ましくは、活性化剤はPHAである。例えば、T細胞(単球/APCと共に)は2.5μg/ml PHAを含む培地で一晩、またはより長く、培養することができる。
【0210】
代わりに、活性化剤は、(例えば、2μg/mlの培地中濃度の)1つまたは複数のモノクローナル抗体でよい。特に好ましいモノクローナル抗体活性化剤としては、抗CD3抗体、抗CD28抗体および抗CD49d抗体があり、それらは単独または併用で用いられる。
【0211】
本発明の第15の態様の組成物のさらなる必須の特長は、T細胞がアポトーシス性であること、またはアポトーシス誘導因子への曝露によってアポトーシス性にすることができることである。例えば、アポトーシス誘導因子は、ガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択することができる。
【0212】
好ましくは、アポトーシス誘導因子はガンマ照射である。
【0213】
細胞は、in vivoで(すなわちその殺微生物剤で処置する対象への投与後)アポトーシスを経るように処理されることは、当業者によって理解されよう。例えば、in vitroの段階なしで、細胞はアポトーシスを誘導する因子による処理の直後(例えばアポトーシス誘導から30分〜2時間後)に、注入することができる。したがって、注入時点でアポトーシス機構は開始している可能性があるが、アポトーシスはまだ誘導されていない。言い換えると、細胞は注入された後にin vivoでアポトーシスを経ることができる。
【0214】
このように、殺微生物組成物中の活性化された、アポトーシス性のT細胞は、抗原提示細胞の活性化/成熟が可能である。抗原提示細胞の活性化/成熟は、それらのHIV-1感染に対する感受性を低くすることが知られている(McDyerら、1999、J. Immunology 162:3711〜3717、を参照)。
【0215】
本発明の第15の態様の殺微生物組成物の一実施形態では、T細胞は抗原成分および/またはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。
【0216】
例えば、T細胞は微生物もしくはその抗原成分、または微生物もしくはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されることができる。好ましくは、微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される。
【0217】
より好ましくは、微生物はウイルスである。例えば、ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択することができる。
【0218】
最も好ましくは、ウイルスはHIVウイルス、例えばHIV1またはHIV2である。
【0219】
あるいは、微生物は細菌でよい。したがって、T細胞は細菌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されることができる。例えば、細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択することができる。
【0220】
一実施形態では、微生物はマラリアの病原体(すなわちマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫もしくは四日熱マラリア原虫)または膣トリコモナスなどの原生動物である。
【0221】
さらに好ましい実施形態では、T細胞は癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。好ましくは、癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される。
【0222】
そのような癌細胞関連抗原の例としては、表1に上記のものがある。
【0223】
一実施形態では、本発明の殺微生物組成物中の活性化されたアポトーシス性のT細胞は、宿主で内因性抗原提示細胞の活性化/成熟を誘導する。
【0224】
本発明の第15の態様の他の実施形態では、殺微生物組成物は(外来性)抗原提示細胞の集団をさらに含む。好ましくは、抗原提示細胞はマクロファージおよび/または樹状細胞である。
【0225】
便利には、使用前は保存のために組成物を冷凍する。
【0226】
有利には、本発明の第15の態様による殺微生物組成物は、薬剤として許容される担体または希釈剤をさらに含む(すなわち医薬組成物)。
【0227】
適当な医薬組成物の例およびその投与経路を、以下に詳細に記載する。
【0228】
好ましくは、医薬組成物は、病原体への曝露の前後の局所粘膜投与に適当である。
【0229】
便利には、医薬組成物は非経口的投与に適当である。
【0230】
本発明は、さらに、第16の態様として、
(a)本発明の第15の態様による組成物、および
(b)抗原提示細胞の集団、
を含む組合せ製品を提供し、各成分(a)および(b)は薬剤として許容される希釈剤または担体との混合物で製剤化される。
【0231】
好ましい一実施形態では、本発明の組合せ製品は、本発明の第15の態様による殺微生物組成物、抗原提示細胞の集団および薬剤として許容される希釈剤または担体を含む。
【0232】
他の実施形態では、本発明の組合せ製品は、成分
(a)本発明の第15の態様による医薬組成物、および
(b)抗原提示細胞の集団、
を含むパーツのキットを含み、成分(a)および(b)はそれぞれ他との併用投与に適した形態で提供される。
【0233】
2つの成分を互いに「関連付ける」ことは、パーツのキットの成分(a)および(b)は、
(i)別個の製剤として(すなわち互いに独立して)提供することができ、それらはその後併用療法において互いと併用して用いるために一緒にすること、または
(ii)併用療法において互いと併用して用いるために、「組合せパック」の別々の成分として包装して一緒に提供することができること
を含む。
【0234】
ゆえに、本発明による組合せ製品に関して、用語「併用による投与」は、組合せ製品の2つの成分(すなわち本発明の第15の態様による医薬製剤および抗原提示細胞の集団)を、患者に有益効果をもたらすように一緒に、または時間的に十分近接して(任意選択で繰り返し)投与することを含む。組合せが特定の病態に関して、およびその処置過程で有益効果を提供するかどうかの判断は、治療または予防する病態によるが、当業者は通常到達することができる。
【0235】
本発明のさらなる態様は、本発明の第15の態様による組成物を調製するためのパーツのキットを提供し、このキットは、
(a)T細胞の集団、またはそれを得る手段、
(b)活性化剤、および
(c)アポトーシス誘導因子
を含むかまたはそれからなる。
【0236】
本発明の第18の態様は、本発明の第15の態様による組成物を作製する方法を提供し、この方法はT細胞の集団を得る段階を含み、T細胞は活性化されており(または活性化することができ)、アポトーシス性である(またはアポトーシス性にすることができる)。
【0237】
有利には、T細胞は一次リンパ球から単離/精製される(上記)。
【0238】
好ましくは、T細胞の集団は殺微生物組成物を使用する予定の対象に由来し、すなわち、T細胞は自己由来である。
【0239】
あるいは、T細胞の集団は殺微生物組成物を使用する予定の対象と同じ種に由来し、すなわち、T細胞は同種性である。
【0240】
本発明の第18の態様の好ましい一実施形態では、その方法はT細胞を(T細胞の改変の前後に、上記参照)活性化する段階をさらに含む。
【0241】
例えば、T細胞は、レクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される活性化剤への曝露によって活性化することができる。
【0242】
好ましくは、活性化剤はPHAである。例えば、T細胞(単球/APCと共に)は2.5μg/ml PHAを含む培地で一晩、またはより長く、培養することができる。
【0243】
代わりに、活性化剤は、(例えば、2μg/mlの培地中濃度の)1つまたは複数のモノクローナル抗体でよい。特に好ましいモノクローナル抗体活性化剤としては、抗CD3抗体、抗CD28抗体および抗CD49d抗体があり、それらは単独または併用で用いられる。
【0244】
任意選択で、本発明の第18の態様の方法は、T細胞を(この方法の任意の段階で)培養する段階をさらに含む。
【0245】
便利には、この方法はT細胞の集団を冷凍する段階も含む。この任意選択の段階は、上記工程の任意の段階で、例えばT細胞の活性化および/または改変の前後に実施することができる。好ましくは、細胞は活性化および改変の後に冷凍し、次に使用時まで貯蔵する(アポトーシスは冷凍前に、または細胞が使用できるように解凍された後に誘導することができる)。
【0246】
本発明の第18の態様のさらに好ましい実施形態では、この方法は、T細胞が(T細胞の活性化および/または改変の前後に、上記参照)アポトーシスを経るように誘導する段階をさらに含む。
【0247】
例えば、アポトーシスは、ガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択されるアポトーシス誘導因子への曝露によって誘導することができる。
【0248】
本発明の第18の態様の一実施形態では、T細胞は、その抗原成分または抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。
【0249】
例えば、段階(b)は、微生物もしくはその抗原成分、または微生物もしくはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように、T細胞を改変する段階を含むことができる。好ましくは、微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される。
【0250】
好ましくは、微生物はウイルスである。例えば、ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択することができる。
【0251】
最も好ましくは、ウイルスはHIVウイルス、例えばHIV1またはHIV2である。
【0252】
あるいは、微生物は細菌でよい。したがって、T細胞は細菌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されることができる。例えば、細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択することができる。
【0253】
他の実施形態では、微生物はマラリアの病原体(すなわちマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫もしくは四日熱マラリア原虫)または膣トリコモナスなどの原生動物である。
【0254】
本発明の第18の態様のさらに好ましい実施形態では、T細胞は癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される。好ましくは、癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される。
【0255】
そのような癌細胞関連抗原の例としては、表1に上記のものがある。
【0256】
T細胞の改変は当技術分野で公知の手法、例えばトランスフェクション、感染および融合を用いて達成することができる(上記参照)。
【0257】
特に好ましい実施形態では、トランスフェクションは抗原成分をコードする核酸分子が結合したナノ粒子を用いて達成される。あるいは、抗原成分自体にナノ粒子を直接結合することができる。
【0258】
あるいは、T細胞は、完全体ウイルス/ビリオンによる感染によって改変することができる。
【0259】
任意選択で、本発明の第18の態様の方法は、T細胞を(この方法の任意の段階で)培養する段階をさらに含む。
【0260】
便利には、この方法はT細胞の集団を冷凍する段階も含む。この任意選択の段階は、上記工程の任意の段階で、例えばT細胞の活性化および/または改変の前後に実施することができる。好ましくは、細胞は活性化および改変の後に冷凍し、次に使用時まで貯蔵する(アポトーシスは冷凍前に、または細胞が使用できるように解凍された後に誘導することができる)。
【0261】
当業者は、本発明の第18の態様の段階が実施される順序は任意であることを理解しよう。
しかし、これらの段階は、好ましくは以下の順序の1つで実施される。
(a)活性化、培養(任意選択)、改変(任意選択)、冷凍(任意選択)およびアポトーシスの誘導、
(b)培養(任意選択)、活性化、改変(任意選択)、冷凍(任意選択)およびアポトーシスの誘導、
(c)活性化、培養(任意選択)、改変(任意選択)、アポトーシスの誘導および冷凍(任意選択)、
(d)改変(任意選択)、培養(任意選択)、活性化、冷凍(任意選択)およびアポトーシスの誘導、または
(e)改変(任意選択)、培養(任意選択)、活性化、アポトーシスの誘導および冷凍(任意選択)。
【0262】
本発明の第18の態様の他の好ましい実施形態では、この方法は、抗原提示細胞の集団を殺微生物組成物に加える段階をさらに含む。
【0263】
有利には、抗原提示細胞はマクロファージまたは樹状細胞である(上記参照)。
【0264】
本発明の第19の態様は、病的状態にある対象または病原体に最近曝露した対象もしくはそのような曝露に感受性の対象の処置方法を提供し、この方法は、本発明の第15の態様による組成物または本発明の第16の態様による組合せ製品を対象に投与することを含む。
【0265】
対象は、ヒトまたはヒト以外の動物、例えば家畜および畜産動物(イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、その他の哺乳動物を含む)でよいことは、当業者によって理解されよう。しかし、好ましくは、対象はヒトである。
【0266】
一実施形態では、病的状態は、細菌、マイコプラズマ、酵母、真菌、プリオン、古細菌およびウイルスからなる群から選択される微生物に起因する。
【0267】
例えば、病的状態はウイルスに起因してもよい(すなわち、対象が曝露した病原体または曝露した可能性のある病原体は、ウイルスでよい)。例示的なウイルスとしては、それらに限定されないが、レトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2のようなHIVウイルス)、単純ヘルペスウイルス、ヒト乳頭腫ウイルスおよびレポリポックスウイルスが挙げられる。
【0268】
特に好ましい実施形態では、ウイルスはHIVウイルス、例えばHIV1またはHIV2である。
【0269】
あるいは、病的状態は、例えば梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される細菌に起因してもよい。
【0270】
他の実施形態では、病的状態は原生動物(例えば膣トリコモナス)または真菌(例えばカンジダアルビカンス)に起因してもよい。
【0271】
本発明の第20の態様は、医療、例えば病的状態にあるかまたは病原体へ曝露した後の対象の処置で使用する、本発明の第15の態様による組成物または本発明の第16の態様による組合せ製品を提供する。
【0272】
本発明の第21の態様は、病的状態にあるかまたは病原体へ曝露した後の対象の処置のための医薬の調製における、本発明の第15の態様による組成物または本発明の第16の態様による組合せ製品の使用を提供する。
【0273】
例示的な病的状態は、上で記載されている。
【0274】
本発明の関連態様は、
(i)殺菌活性を有する組成物を作製するための方法であって、この組成物は、活性化されたアポトーシス性のT細胞の集団を細胞培地中の抗原提示細胞の集団とin vitroで接触させる段階および次にそこから細胞培地を(例えば上清として)得る段階を含む方法、
(ii)上記の方法によって得られるかまたは得ることができる殺菌活性を有する組成物(好ましくは、抗ウイルス活性を有する1つまたは複数のケモカイン/サイトカインを含む)
をさらに提供する。
【0275】
前述の本発明の態様のいくつかは医薬組成物を構成し、例えば、本発明による細胞性ワクチン、アジュバント組成物または殺微生物組成物を含む。
【0276】
本発明のワクチンおよび組成物のそのような有効量は、単一の大量瞬時用量(すなわち急性の投与)として、または、より好ましくは、経時的な一連の用量(すなわち長期投与)として送達することができることは、当業者によって理解されよう。
【0277】
本発明のワクチンおよび組成物は、用いる化合物の効力/毒性およびそれが用いられる適応症に従い、様々な濃度で製剤化することができる。好ましくは、製剤は約0.1〜100×106個の細胞を含む本発明のワクチンまたは組成物の量を含む。
【0278】
本発明の細胞性ワクチン、アジュバント組成物または殺微生物組成物は、通常、意図された投与経路および標準の医薬慣行を考慮して選択される適当な医薬賦形剤、希釈剤または担体と混合されて投与されることは、当業者によって理解されよう(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、19版、1995、Alfonso Gennaro編、Mack Publishing Company、Pennsylvania、USA、を参照)。
【0279】
例えば、本発明の薬剤は、即時放出、遅延放出または徐放用に、錠剤、カプセル、腔坐剤、エリキシル、液剤または懸濁液の形で経口、口内または舌下により投与することができ、これらは着香剤または着色剤を含むことができる。本発明の薬剤は、海綿体内注射によって投与することもできる。
【0280】
そのような錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウムおよびグリシンなどの賦形剤、澱粉(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカ澱粉)、ナトリウム澱粉グリコール酸塩、クロスカルメロースナトリウムおよびある種の錯体ケイ酸塩などの崩壊剤、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチンおよびアカシアなどの造粒結合剤を含むことができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリルベヘネートおよびタルクなどの平滑剤を含むことができる。
【0281】
類似した種類の固体組成物は、ゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。この点に関して好ましい賦形剤としては、ラクトース、澱粉、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールがある。水性懸濁液および/またはエリキシルについては、本発明の化合物は様々な甘味料または着香剤、着色料または色素と、乳化剤および/または懸濁剤と、ならびに水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンなどの希釈剤と、およびそれらの組合せと組み合わせることができる。
【0282】
本発明の薬剤は非経口により、例えば、静脈内、鼻腔内、皮内、膣、口もしくは直腸に局所的に、関節内、動脈内、腹腔内、くも膜下、脳室内、胸骨内、脳内、筋肉内または皮下に投与することもでき、あるいはそれらは注入技術によって投与することができる。それらは、他の物質、例えば溶液を血液と等張にするのに十分な塩類またはグルコースを含むことができる無菌の水溶液の形で使用するのが最良である。必要に応じて、水溶液は(好ましくは3から9のpHに)適切に緩衝するべきである。無菌条件下での適当な非経口製剤の調製は、当業者に公知の標準的製薬技術によって容易に達成される。
【0283】
非経口投与のために適当な製剤としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および製剤を予定レシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる水性および非水性の無菌注射液、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水性の無菌懸濁液がある。製剤は単位用量または複数回投与容器、例えば密封アンプルおよびバイアルで提供することができ、また、フリーズドライ(凍結乾燥)をして、無菌の液状担体、例えば注射用水を使用直前に加えるだけでよい状態で保存することができる。即席の注射液および懸濁液は、前に記載した種類の無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0284】
ヒト患者への粘膜(例えば経口または膣)投与および非経口投与については、本発明の薬剤の日用量レベルは、通常、大人1人につき約0.1〜100×106個の細胞となり、単回でまたは複数回に分割されて投与される。
【0285】
本発明の薬剤は、鼻腔内または吸入により投与することもでき、便利には適当な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA 134A3もしくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA3)、二酸化炭素または他の適当なガスを使った加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーから、乾燥粉末吸入器またはエアゾールスプレーによる提示の形で送達される。加圧式エアゾールの場合、用量単位は、計量した量を送達するためのバルブを備えることにより決めることができる。加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーは、例えばエタノールおよび推進剤の混合物を溶媒として用いて活性化合物の溶液または懸濁液を含むことができ、溶媒は滑剤を、例えばソルビタン三オレアートをさらに含むことができる。吸入器または吹入器に用いられる(例えばゼラチン製の)カプセルおよびカートリッジは、本発明の化合物と適当な粉状基剤、例えばラクトースまたは澱粉との粉状混合物を含むように製剤化してもよい。
【0286】
好ましくはエアゾールまたは乾燥粉末製剤は、計量された各用量または「一服」が患者への送達のために約0.1〜100×106の細胞を含むように調整される。エアゾールによる総日用量は患者により異なること、およびそれは単回用量で、または、より一般的には1日に数回の分割量で投与することができることは理解されよう。
【0287】
あるいは、本発明の薬剤は坐薬もしくはペッサリーの形で投与することができ、または、それらはローション、液剤、クリーム、軟膏もしくは粉剤の形で局所適用することができる。本発明の化合物は、例えば、皮膚パッチまたは他の皮内用器具を用いて、経皮投与することもできる。それらは、経眼経路によって投与することもできる。
【0288】
皮膚への局所適用については、本発明の薬剤は、例えば、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水の1つまたは複数との混合物で懸濁または溶解された活性化合物を含む適当な軟膏として製剤化することができる。あるいは、それらは、例えば、鉱油、ソルビタンモノステアラート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水の1つまたは複数の混合物で懸濁または溶解された適当なローションまたはクリームとして製剤化することができる。
【0289】
口への局所投与のために適当な製剤としては、有効成分を口当たりの良い基材、通常ショ糖およびアカシアまたはトラガカンタの中に含むロゼンジ、有効成分を不活性の基材、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアカシアの中に含むトローチ、ならびに有効成分を適当な液状担体に含むうがい薬がある。
【0290】
当業者は、本発明の薬剤および医薬製剤が医学および獣医の分野で有用性を有することを、さらに理解しよう。ゆえに、本発明の薬剤は、ヒトおよびヒト以外の動物(例えばウマ、イヌおよびネコ)の処置で用いることができる。しかし、好ましくは、患者はヒトである。
【0291】
下の図面を参照しながら、本発明の好ましい態様は以下の非限定的な実施例で説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0292】
(実施例)
(実施例A)
材料および方法
樹状細胞のin vitro分化
CD14+単球を、RosetteSepヒト単球濃縮(1mL/10mL血液;Stem Cell Technologies、Vancouver、BC、Canada)を用いて負の選択によって健康な献血者からのPBMCから濃縮した。単球は、lymphoprep(Nycomed、Oslo、Norway)密度勾配を用いて分離した。未熟樹状細胞を得るために、細胞を、培地(1%HEPES[N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸]、2mM L-グルタミン、1%ストレプトマイシンおよびペニシリン、10%エンドトキシン非含有ウシ胎児血清(FBS)を加えたRPMI 1640;GIBCO Life Technologies、Paisley、United Kingdom)および組換えヒトサイトカインIL-4(6.5ng/mL;R&D Systems、Minneapolis、MN)および顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF;250ng/mL;Peprotech、London、UK)中で6日間培養した。
【0293】
PBMCおよびT細胞の活性化
CD4+およびCD8+T細胞を、RosetteSepのヒトCD4+またはCD8+T細胞濃縮(それぞれ1mL/10mL血液;Stem Cell Technologies)を用いて負の選択によって健康な献血者のPBMCから濃縮した。T細胞およびPBMCは、lymphoprep密度勾配(Nycomed、Oslo、Norway)を用いて分離した。細胞をFBSおよび10%ジメチルスルホキシド(DMSO)中で冷凍するか、または、1%ピルビン酸ナトリウム、4℃で1時間プラスチックに接着されたモノクローナル抗ヒトCD3(2μg/ml;クローンOKT 3;Ortho Biotech Inc. Raritan、NJ)、および可溶性モノクローナル抗ヒトCD28(2μg/ml;L293;BD Biosciences, San Diego, CA)を含むフラスコに加えた。刺激後、細胞をFBS/DMSO中で冷凍した。植物性凝集素(PHA;2.5μg/mL;SIGMA, St Louis, MO)を含む培地でもPBMCを一晩または4日間培養し、次に、FBS/DMSO中で冷凍した。
【0294】
HIV-1ウイルスの増殖および調製
CCR5-uring HIV-1 BaL分離株(National Institutes of Health (NIH) AIDS Research and Reference Reagent Program、Division of AIDS、National Institute of Allergy and Infectious Diseases (NIAID)、NIH)を、PHA(Sigma、St Louis、MO)およびIL-2(Chiron、Emeryville、CA)で刺激したPBMC培養上で増殖させた。ウイルスを濃縮してDC成熟を誘導する可能性のある上清中の第三者活性化因子の存在を最小化するために、ウイルスを超遠心分離(138000g(45000rpm)、30分、4℃、Beckman L-80 Utracentrifuge、ローター70.1;Beckman Coulter、Fullerton、CA)し、ウイルスのペレットをRPMI 10%FBS中で再懸濁して、10×のウイルス濃縮液を得た。HIV-1 BaLストックのウイルスの力価は、p24酵素結合免疫吸着検定法(ELISA;Murez HIV抗原Mab;Abbott、Abbott Park、IL)によりメーカーのプロトコルに従って測定した。試料は、2反復の連続希釈で分析した。10×のHIV-1 BaLストックは、11.7μg/mLのHIV-1 p24 Gag含有量を有した。HIV-1 BaLストックは、活性逆転写酵素(RT;Lenti RT;Cavidi Tech、Uppsala、Sweden)のレベルの測定による特性調査も行った。用いた10×のHIV-1 BaLストックは、15000pgの活性RT/mLを含んでいた。
【0295】
T細胞および樹状細胞のHIV-1感染
CD4+T細胞をRosetteSepのヒトCD4+T細胞濃縮(それぞれ1mL/10mL血液;Stem Cell Technologies)を用いて負の選択によって健康な献血者のPBMCから単離し、抗CD3(2μg/ml;クローンOKT 3;Ortho Biotech Inc. Raritan、NJ)および抗CD28 mAb(2μg/ml;L293;BD Biosciences、San Diego、CA)で一晩活性化した。次に細胞は、IL-2(Chiron、Emeryville、CA)の存在下で、10×HIV-1 BaLまたは1×HIV-1BaLストック(1×106のCD4+T細胞に対して200μlのHIV-1BaLストック)と一緒にインキュベートした。感染細胞の頻度は、感染後3、4、5、6、7および10日目に、細胞内p24染色によって分析した。得られた感染細胞は、使用時までFBS/DMSO中で冷凍した。200μLの量の1×HIV-1 BaLまたはモックを、1ウェルにつき1.0mLの最終量まで、24穴プレート(Costar Corning、Corning、NY)内の5×105個の未熟DC/mLに加えた。感染DCの頻度は、感染から72時間および7日後の細胞内p24染色によって測定した。
【0296】
ナノ粒子を用いたトランスフェクション
ナノテクノロジーは、ワクチン接種目的のために用いることができる、標的細胞にDNAおよびタンパク質を移動する魅力的な代替法を提供する。しかし、分離されていない細胞集団、例えば大量の末梢血細胞に導入されると、ナノ粒子は多くの異なる細胞型によって取り込まれる結果、抗原提示細胞への移動効率は低くなる。ナノ粒子によるin vivo免疫化は、非抗原提示細胞へのナノ粒子の取り込みのために、粒子の希釈につながることもある。さらに、ナノ粒子はいかなる既知の内在性のアジュバント効果も有していない。
【0297】
これらの問題点の解決策は、抗原の担体としてのナノ粒子の使用を、抗原の目標を食細胞の抗原提示細胞にし、さらにアジュバントシグナルも提供する本発明のアポトーシス細胞工学と組み合わせることである。一実施形態は、HIV-DNAおよび/またはHIVタンパク質結合ナノ粒子を、選択されたT細胞サブセット(例えば活性化されたCD4+T細胞)へin vitroで加える段階を含み、その後、アポトーシスが、例えばガンマ照射によって誘導される。HIV-DNA/タンパク質ナノ粒子を加えたアポトーシス性の活性化されたT細胞は、一次免疫応答の誘導を可能にする免疫原として用いる。
【0298】
例示的なプロトコル:酸化鉄ナノ粒子(Ferridex IV)を、例えばBerlex Laboratories、Wayne NJから得る。細胞による取り込みを促進するために、負に荷電した酸化鉄粒子を硫酸プロタミンに結合する。フェルモキシド(ferumoxide)ナノ粒子および硫酸プロタミンはFDA承認薬剤であるので、ヒト療法プロトコルへの置き換えが容易になる。ワクチン接種目的のために、ナノ粒子はDNAまたはタンパク質に結合する。ナノ粒子は、取り込みを可能にするために、生きているT細胞と一緒にインキュベートする。T細胞は、ナノ粒子の取り込みの前または後に活性化することができる。活性化は、例えば抗CD3および抗CD28 mAbを用いることにより達成することができる。ナノ粒子の取り込みは、顕微鏡検査およびフローサイトメトリーによって評価する。その後、活性化されたT細胞はアポトーシスを経るように誘導して、免疫原として用いる。ナノ粒子を運ぶアポトーシス性の活性化T細胞は直接的に免疫接種することができ、抗原提示細胞内への取り込みがin vivoで起こる。あるいは、樹状細胞のような抗原提示細胞との共培養のさらなる段階を、患者の免疫化の前にin vitroで実施することができる。
【0299】
T細胞および樹状細胞内のHIV-1タンパク質の定量化
DCおよびT細胞内のHIV-1BaL感染の頻度は、HIV-1 Gagタンパク質p24のための細胞内染色で測定した。細胞を先ず細胞表面マーカーのために染色し、次にPBSで洗浄して、室温で10分間、2%ホルムアルデヒド(Sigma)中で固定した。細胞を2%FBSを含むPBSで洗浄し、続いて細胞表面膜の透過化を可能にするために、2%FBS、2%HEPESおよび0.1%サポニン(Sigma)を含むPBSで洗浄した。細胞を、抗p24特異mAb(クローンKC57;Coulter、Hialeah、FL)または対応するアイソタイプの対照と一緒に、4℃で1〜2時間インキュベートした。過剰の抗体を除去するために細胞をサポニン溶液で洗浄して、PBSで再懸濁した。FACScaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)によって発現を評価した。
【0300】
アポトーシス性細胞およびアポトーシス性細胞上清の生成
冷凍されているT細胞およびPBMCを解凍して、RPMIで3回洗浄した。細胞が、γ照射(150Gy)によってアポトーシスを経るように誘導した。γ照射で誘導したアポトーシスの過程は、それ以前に形態学的変化、フローサイトメトリーおよびアガロースゲル上でのDNA断片化によって実証された(Holmgrenら、1999、Blood 93:3956;Spetzら、1999、J Immunol 163:736)。アポトーシスは、ここでは、メーカーのプロトコルに従ったアネキシンV(Boehringer Mannheim、Mannheim、Germany)およびヨウ化プロピジウム(PI)(0.1μg/試料;Sigma、Stockholm、Sweden)によるフローサイトメトリー染色によって確認した。4、8および24時間後に生細胞および照射細胞から上清を収集して、あるかもしれない細胞片を除去するために、1,4×104rpmで30分間、遠心分離した。
【0301】
DC共培養
6日目に、未熟なDCを計数して、24穴プレートに0.5mL培地(10%FBSおよび組換えヒトIL-4およびGM-CSFを加えたRPMI)に5×105細胞の密度で平板培養した。生きているかまたは照射したPBMCまたはT細胞を、1mLの総容積まで2:1の比率でDCに加えた。4、8および24時間時に収集した106個の生きている/照射したPBMCおよびT細胞からの上清(0.5mL)も、未熟なDCに加えた。4、8および24時間時に、上清を共培養から収集した。72時間時または7日後に全ての試料を収集して、フローサイトメトリー分析によってDCの特徴を調査した。リポポリサッカライド(LPS 100ng/mL、Sigma)を、DCの活性化/成熟のための陽性対照として加えた。
【0302】
DC、PBMCおよびT細胞の表現型の特性評価
DCを洗浄して2%FBS含有PBSで再懸濁した。それらを、以下の抗ヒトモノクローナル抗体(mAb)と一緒に4℃で30分間インキュベートした:CD1a(クローンNA1/34、DAKO、GIostrup、Denmark)、CD14(クローンTUK4;DAKO)、CD19(クローンHD37、DAKO)、CD3(クローンSK7)、CD83(クローンHB15e)およびCD86(クローン2331/FUN-1;全てBD Biosciences、San Diego、CAから入手)。PBMCおよびT細胞を洗浄して、抗ヒトモノクローナル抗体CD19(クローンHD37;DAKO)、CD14(DAKO)、CD3(クローンSK7)、CD4(クローンRPA-T4)+ストレプトアビジン、CD8(クローンSK-1)、CD154(クローンTRAP-1)、CD25(クローン2A3)およびCD69(FN50;全てBDから入手)と一緒にインキュベートした。細胞表面発現をFACScaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)によって測定し、少なくとも105細胞/試料を収集した。共培養試料を72時間時または7日目に洗浄し、前に指摘したCD1a、CD4、CD8、CD83およびCD86と一緒にインキュベートした。また、あり得るアポトーシス性のDCを検出するために、前節の場合のようにDCをアネキシンVで染色した。
【0303】
サイトカイン/ケモカイン産生
Bio-Plexアッセイ(Biosource、Nivelles、Belgium)を用いることにより、PBMC、T細胞および共培養からの上清をサイトカイン/ケモカイン含有量について分析した。このアッセイをメーカーのプロトコルに従って用い、上清中のIL-6、IL-8、IL-2、IL-10、IL-12、TNFa、IFNγ、MIP-1aおよびMIP-1βの濃度を同時に定量化するためにLuminexリーダー(Luminex社、Austin TX、USA)を用いた。
【0304】
結果
活性化されたアポトーシス性のT細胞が樹状細胞に対して任意の活性化/成熟シグナルを提供する能力を有するか否か調査するために、PHAまたは抗CD3および抗CD28 mAbで活性化したPBMCまたはCD3+T細胞でアポトーシスを誘導し、その後、それらをヒトのin vitro分化型樹状細胞に加えた。T細胞活性化の効率は、T細胞上でのCD25およびCD69の発現の誘導を分析することで測定した(図2A)。抗CD3/CD28 mAbまたはPHAによる活性化の後、CD4+T細胞上でのCD25およびCD69分子の発現の増加を検出した。抗CD3/CD28 mAbおよびPHAによる刺激の後、CD25およびCD69発現の頻度およびレベルは同程度であった。これらの知見は、用いた培養システムでT細胞が効率的に活性化されたことを示唆する。得られたPBMCまたはT細胞の調製物は、その後使用時までDMSO中で冷凍した。実験当日、冷凍された細胞を解凍、洗浄して、ガンマ照射によってアポトーシスが起こるように誘導した。アポトーシス誘導はアネキシンVおよびPI染色を実施することで測定したが、それらはフローサイトメトリーによって定量化した(図2B)。初期のアポトーシス性細胞は、アネキシンV+およびPI-と定義される。後のアポトーシスの間、細胞膜を透過性化してPIの取り込みを可能にする。しかし、新たに単離された細胞の膜は、アネキシンVと結合するホスファチジルセリン残基を時々露出させ、したがって、新たに単離された細胞は一定量のアネキシンV陽性細胞も含む。冷凍された細胞は、新たに単離された細胞と比較して、より高い割合のアネキシンV+細胞を提示することがわかった。アポトーシスを誘導するために、新しく解凍された細胞を室温でガンマ照射にさらした。ガンマ照射へ曝露した直後のアネキシンVの結合の増加は、少しも検出することができなかった。アポトーシス(アネキシンV+/PI-)およびアネキシンV+/PI+と定義される二次的壊死のその後の進行は、37℃でのさらなるインキュベーションを必要とする。図2Bは、抗原送達系として用いる場合の細胞の特徴的な表現型を表す。
【0305】
アポトーシス性T細胞自体が何らかのアジュバント活性を提供できるものなのか調べるために、IL-4およびGM-CSFの存在下で6日間培養したin vitro分化単球を、CD1aの発現、CD14の欠如およびCD40、CD80、CD86およびCD83の低い発現によって定義されるヒト未熟樹状細胞の供与源として用いた。これらの未熟な樹状細胞をアポトーシス性細胞(ac)と72時間共培養し、次に、副刺激分子であるCD86の発現について分析した(図3)。代表的なフローサイトメトリー分析を図3Aで、少なくとも8つの実験の概要を図3Bで示す。LPS刺激後のCD86+DCの頻度は92.0±7.4%、バックグラウンド培地対照は12.3±5.4%であった。非活性化PBMCとの共培養の後、培地対照と比較して、CD86発現のささやかであるが有意な増加が検出された(18.7±5.4%)。しかし、PHAで一晩活性化されたアポトーシス性PBMCとの共培養の後、CD86発現のより強烈な誘導があった(48.4±23.0%)。PHAで4日間活性化されたPBMCはPHAで一晩活性化されたPBMCと比較してCD86発現の誘導効率が低かった(27.8±19.5%)ので、活性化の動態が重要であるようであった。T細胞でアジュバント特性を誘導するために他のT細胞活性化剤を用いることができるものなのか調査するために、アポトーシス誘導の前に一晩抗CD3および抗CD28 mAbでPBMCを刺激した。アポトーシス性の抗CD3/CD28刺激PBMCとの共培養後にCD86の頑健な誘導(87.5±7.3%)が検出され、それはLPSで誘導されたCD86発現と同等であった。要するに、これらの知見は、アポトーシス誘導前の抗CD3/CD28によるT細胞の刺激が、アポトーシス性細胞でアジュバント特性を誘導する効率的な方法であることを示唆する。
【0306】
アポトーシス性のCD4+および/またはCD8+陽性T細胞がDCに対して活性化/成熟シグナルを提供することができるものなのか知るために直接的に対処するために、抗CD3および抗CD28 mAbで活性化する前にCD4+またはCD8+T細胞を精製した。生きている非活性化CD4+またはCD8+T細胞との共培養の後の、CD86分子を発現するDCの頻度は、それぞれ18.6%および6.7%であった(図4)。非活性化T細胞集団との共培養の後に誘導されたCD86発現と比較して、生きている活性化CD4+T細胞との共培養の後にはCD86発現の有意な増加があったが、活性化CD8+T細胞との間では見られなかった。同様に、アポトーシス性の非活性化CD4+およびCD8+T細胞との共培養はCD86分子のいかなる上方制御も誘導しなかったが、アポトーシス性の抗CD3/CD28で活性化したCD4+T細胞はCD86の効率的な上方制御をもたらすシグナルを提供することができた。生きているおよびアポトーシス性の活性化CD8+T細胞がDCでCD86発現を誘導することができる傾向は見られたが、それは有意には至らなかった。活性化および非活性化の壊死性一次CD4+T細胞は、ここで用いる共培養系で活性化/成熟シグナルを送達することができなかった。これらの実験から、活性化された生きている、およびアポトーシス性のCD4+T細胞は、DCにおけるCD86の発現の効率的なインデューサーであると結論する。
【0307】
HIV-1に感染したアポトーシス性の活性化CD4+T細胞がDCに対して活性化/成熟シグナルを提供することができるものなのか調査するために、活性化した(抗CD3および抗CD28で刺激した)CD4+T細胞をHIV-1に感染させ、ガンマ照射に曝露してアポトーシスを誘導した。感染の動態および細胞内p24染色によって測定された感染効率の代表例を、図5に示す。細胞内p24染色による測定で20〜40%のHIV-1感染細胞を含む細胞のバッチを冷凍し、その後、アポトーシス性のHIV-1感染細胞を調製するために用いた。
【0308】
HIV-1 BaLに曝露したDCは、培養の72時間時および7日後に、CD86を発現するように誘導しなかった(図6)。しかし、アポトーシス性の活性化HIV-1 BaL感染T細胞との共培養は、CD86の誘導を導いた。活性化CD4+T細胞によって提供された活性化/成熟シグナルは、遊離のHIV-1 BaLの存在下でも発生した。DC成熟と関連する他の分子であるCD83の誘導が、共培養で誘導されるかどうかも判定した。HIV-1 BaLへ曝露した後のCD83の誘導を検出することはできなかったが、活性化CD4+T細胞との共培養の後にCD83の誘導があった。発現のパターンはCD86の発現と類似し、CD83は、HIV-1の存在下でも活性化CD4+T細胞との共培養の後に誘導された。これらの知見は、アポトーシス性の活性化CD4+T細胞が、HIV-1の存在下でも未熟なDCに対して活性化/成熟シグナルを提供することができることを示す。さらに、高頻度のHIV-1感染細胞を含むアポトーシス性の活性化T細胞の集団も、DCに対して活性化/成熟シグナルを提供することができる。結局、これらの知見は、HIV-1をもつアポトーシス性の活性化T細胞は、ある種のDC活性化/成熟を誘導することができる抗原伝達系として用いることができることを示唆する。
【0309】
アポトーシス性の活性化T細胞の取り込み後にDCでサイトカイン産生が誘導されたかどうかについて対処するために、4、8および24時間後に共培養から上清を収集した(図7)。最高8つのサイトカインの同時分析を可能にするLuminex技術を用いた。IL-6の分泌は、活性化T細胞との4時間の共培養後という早い時期に検出されたが、ピークに達したのは24時間後である。PHAならびに抗CD3およびCD28で活性化したアポトーシス性の細胞は、IL-6分泌を可能にするシグナルを提供することができた。IL-8分泌は8時間でピークに達したが、アポトーシス性細胞自体からのバックグラウンド分泌のために正確に示すのがより困難であった。主に抗CD3および抗CD28で活性化した細胞との共培養から、TNF-aの急速な誘導があった。培養中でIL-2およびIFN-γを検出することができたが、その染色が樹状細胞からの分泌によるものかまたはそれがアポトーシス性T細胞からの放出だけなのかを決定するために、樹状細胞中のこれらのサイトカインの細胞内染色を実施する必要がある。活性化アポトーシス性T細胞による培養中のMIB-1βの急速な誘導を検出することができ、アポトーシス性細胞自体からのバックグラウンド分泌はなかった。非刺激T細胞または好中球との共培養は、指摘したサイトカインのいかなる分泌ももたらさなかった。どのアポトーシス性細胞が用いられたかに関係なく、IL-10およびIL-12p70のいかなる産生も検出されなかった。CD40Lによる刺激だけが、IL-10およびIL-12p70の強い誘導を可能にした(データは示さず)。結局、これらの知見は、活性化アポトーシス性T細胞はDCで炎症誘発性サイトカイン産生を誘導することができるが、それ自体はIL-12p70の分泌を誘導しないことを示唆する。したがって、アポトーシス性活性化T細胞はある点までDC活性化/成熟を誘導することができるが、IL-12p70産生を得るためには他のシグナルが必要とされる。サイトカイン誘導の類似したプロフィールは、アポトーシス性のHIV-1感染細胞を用いても観察された(データは示さず)。したがって、アポトーシス性細胞中のHIV-1感染は、DC中の分析サイトカインのサイトカイン発現プロフィールを変化させない。
【0310】
抗HIV-1活性を有するものを含むいくつかのサイトカインが上清中に放出されるとの知見は、アポトーシス性活性化CD4+T細胞との共培養がDC中のウイルス感染効率に影響を及ぼすことができるかどうかという疑問を抱かせた。前述のとおり、細胞内p24抗原を発現する細胞の頻度を判定することでHIV-1感染率を測定した(Smed-Sorensenら、2004、Blood 104:2810〜7)。培養物へ3'-アジド-3'デオキシチミジン(AZT)を添加するとp24の検出が抑制されるが、このことは、DC中で検出された細胞内p24はDC内の増殖性感染によるものであり、ウイルス粒子またはp24タンパク質の取り込みの結果ではないことを示唆する。さらに、ELISAによる測定では、HIV-1に曝露したDC培養物中では、上清中に放出されるHIV-1 p24のレベルは経時的に増加する(Smed-Sorensenら、2004、Blood 104:2810〜7)。
【0311】
未熟なDCをHIV-1 BaLに曝露した結果、HIV-1感染効率に関して大きな供与体の変動があることがわかり、72時間のインキュベーションの後では0.1〜21.7%、7日間の後では2.1〜46.4%と変動した。アポトーシス性の活性化CD4+T細胞と共培養したDCでは、72時間後に細胞内p24の発現の有意な減少は一切検出することができなかった。しかし、7日間の培養後、分析した9供与体の全ては、HIV-1 BaLだけに曝露したDCと比較して、アポトーシス性のCD4+T細胞を含む培養物中のp24+DCの頻度が低かった。これらの知見は、DCとアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞との共培養が、DCでHIV-1感染を制限することができる環境をもたらすことを示唆する。
【0312】
要約すると、アポトーシス性の活性化HIV-1感染CD4+T細胞は、遊離のHIV-1ウイルスの存在下でもDCに対して成熟/活性化シグナルを提供することができることが判明した。さらに、アポトーシス性の活性化T細胞との同時共培養が、DC内でのウイルス複製の抑制に導くことが示された。結局、これらの驚くべき知見は、アポトーシス性の活性化CD4+T細胞が、抗原提示細胞に対して活性化/成熟シグナルを提供することができる抗原送達のための媒体として用いることができることを実証する。
【0313】
(実施例B)
序論
樹状細胞(DC)は、ナイーヴなヘルパーT細胞を刺激して一次T細胞応答を開始する能力を有する可能性のある、強力な抗原提示細胞である。末梢組織に存在するDCは、微生物物質および宿主の瀕死細胞を呑食することによって、微小環境を調査する。DCによる抗原提示の結果は、それらの活性化/成熟状態に依存する。未熟なDCは、完全にコンピテントな抗原提示能力を得るために表現型および機能上の変化を経るために、活性化/成熟シグナルを必要とする。DCの活性化/成熟は、抗原を取り込む能力の一時的な増加、流入領域リンパ節への移動、ならびにケモカイン受容体および副刺激分子を含む分子の同時上方制御などの、いくつかの段階を含む。微生物性または炎症性の刺激剤による抗原投与後、DCは、リンパ節を基地とするナイーヴなTヘルパー(Th)細胞を刺激して一次T細胞応答を開始する能力がつく(1)。リンパ節内の成熟DCはMHCによって抗原特異シグナルを、およびCD80およびCD86などの分子によって副刺激シグナルをTh細胞に提供する(2)(3)。1型Th(Th1)細胞の抗原刺激は、CD40-CD40L相互作用によって開始される、DCによるIL-12の産生に依存する。出現データは、Th1またはTh2応答へ向けた分極に寄与する他のシグナルの関与も裏付ける(4)(5)(6)。
【0314】
DC活性化/成熟は、様々なシグナルによって誘導することができる。最も効率的なものとしては、病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる微生物起源の生成物がある(7)。これらは、Toll様受容体(TLR)ファミリーのメンバーを含むパターン認識受容体(PRR)によって認識される(8)(9)。これらの受容体のライゲーションは、DCによるI型インターフェロン(IFN)、腫瘍壊死因子(TNF)およびインターロイキン1(IL-1)などの炎症誘発性サイトカインの産生に導き、これらもDC活性化に影響することが示された((10)(11)(12)(13)(14)(15)(6)。成熟DCの特徴のいくつかは、したがって、それら自体のサイトカイン産生によって媒介される二次的影響によることもある。しかし、ある報告で、TLRシグナル伝達の後に放出される炎症媒介物質は、完全なDC活性化を誘導するには不十分であることが示唆されている(6)。炎症媒介物質によって間接的に活性化されたDCは、MHC分子および副刺激分子を上方制御すること、およびT細胞増殖およびクローン展開を促進することができたが、IL-12 p40を産生する能力を欠き、このことはTh1エフェクター分化を促進することができないことと相関する(6)。さらに、BlanderおよびMedzhitovは、DC上でのMHCクラスII分子の抗原提示の効率は、貪食されたカーゴ内のTLRリガンドの存在に依存することを最近示した(16)。総合すると、これらのデータは、DCは炎症媒介物質によって警告されるようであるが、Th1またはTh2細胞を抗原刺激する能力を有する完全に成熟したDCに発達するために、PAMP認識を必要とすることを示す。
【0315】
これらの知見は、「免疫系は、感染性の非自己を非感染性の自己と区別するために進化した」との仮説と一致する(17)。しかし、このことは、自己免疫疾患で、腫瘍、移植片に対して、または合成のために宿主機構を活用することからPAMPを欠く可能性があるウイルスに対して生成される応答の説明の役目を果たさない。別の手法は、危険な抗原は非危険なものから区別されることを示唆する危険仮説と関係する(18)。ここでは、宿主の負傷細胞は内因性のアジュバントとして機能し、APCの活性化およびさらにT細胞の刺激に導く危険シグナルを発生させる。この仮説では、アポトーシス性の細胞死は非病理的状態の間に頻発する事象であり、何故アポトーシス性の細胞単独で危険シグナルを出す能力がないのかも議論される。対照的に、病理学的状況下で生成される壊死性細胞は、免疫反応を誘導することができる危険シグナルを提供することができる。
【0316】
尿酸または熱ショックタンパク質(HSP)は細胞死の後に放出され、内因性のアジュバントとして機能することが示唆された(19)。危険理論を裏付けるのは、アポトーシス性細胞はDCの成熟を誘導することができないことを示すin vitroデータである(10)(20)(21)(22)。アポトーシス性細胞はDC中で炎症誘発性ではなく抗炎症性のサイトカインの産生を誘導することも報告され((23)(24)(25)(26)、アポトーシス性細胞による寛容誘導を証明するin vivoデータがある(27)(28)。さらに他の研究は、逆にアポトーシス性の細胞によって媒介される免疫賦活作用を示した(29)(30)(31)(32)(33)(34)。アポトーシス性の細胞が異なる研究においてそのような多様な作用を示す理由は、明らかでない。
【0317】
アポトーシス性のHIV/マウス白血病ウイルス感染細胞による免疫化は、HIV-1に特異的な細胞性および液性の免疫応答をin vivoで誘導することができることが前に実証された((35)。この系では、感染細胞はアポトーシス誘導および投与の前に活性化された。in vivoで引き出された応答は、アポトーシス性の細胞の活性化状態がアジュバント効果の達成に重要であるかどうかを調査するきっかけとなった。本実施例では、ヒトの未熟なDCに活性化/成熟シグナルを提供する際の、静止状態のものと活性化された末梢血単核細胞(PBMC)とを比較するin vitro系を設立した。静止アポトーシス性細胞ではなく、γ照射によってアポトーシスを経るように誘導した活性化細胞は、副刺激分子の発現およびDC中の炎症誘発性サイトカインの放出を誘導することを示す。さらに、DCによる同種の、活性化アポトーシス性細胞の取り込みは、自己由来のT細胞で増殖およびIFNγ産生を誘導することができるようにしたことを示す。これらの知見は、一次性の、活性化アポトーシス性細胞はDCの成熟を促進すること、および特定のT細胞応答の誘導において内因性のアジュバントとして機能することができることを証明する。
【0318】
材料および方法
樹状細胞のin vitro分化
CD14+単球を、RosetteSepヒト単球濃縮(1mL/10mL血液;Stem Cell Technologies、Vancouver、BC、Canada)を用いて負の選択によって健康な献血者からの血液から濃縮した。単球は、lymphoprep(Nycomed、Oslo、Norway)密度勾配を用いて分離した。未熟樹状細胞を得るために、細胞を、培地(1%HEPES[N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸]、2mM L-グルタミン、1%ストレプトマイシンおよびペニシリン、10%エンドトキシン非含有ウシ胎児血清(FBS)を加えたRPMI 1640;GIBCO Life Technologies、Paisley、United Kingdom)および組換えヒトサイトカインIL-4(6.5ng/mL;R&D Systems、Minneapolis、MN)および顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF;250ng/mL;Peprotech、London、UK)中で6日間培養した。
【0319】
PBMCの活性化
PBMCは、lymphoprep密度勾配(Nycomed、Oslo、Norway)を用いて健康な献血者から分離した。CD4+T細胞を、RosetteSepのヒトCD4+T細胞濃縮(それぞれ1mL/10mL血液;Stem Cell Technologies)を用いて負の選択によって濃縮した。細胞はFBSおよび10%ジメチルスルホキシド(DMSO)中で冷凍するか、または、1%ピルビン酸ナトリウムを含むRPMI中で直接培養した。細胞(106/ml)は、それらをFBS/DMSOで冷凍する前に一晩または4日間、植物性凝集素(PHA;2.5μg/mL;SIGMA、St Louis、MO)で活性化した。可溶性モノクローナル抗ヒトCD28(2μg/ml;L293;BD Biosciences, San Diego, CA)および細胞を加える前に、モノクローナル抗ヒトCD3(2μg/ml;クローンOKT 3;Ortho Biotech Inc. Raritan、NJ)を4℃で1時間、プラスチックに接着させた。一晩刺激後、細胞をFBS/DMSO中で冷凍した。
【0320】
アポトーシス性細胞およびアポトーシス性細胞上清の生成
冷凍されているPBMCを解凍して、RPMIで3回洗浄した。γ照射(150Gy)によってアポトーシスを経るように細胞を誘導した。γ照射で誘導したアポトーシスの過程は、それ以前に形態学的変化、フローサイトメトリーおよびアガロースゲル上でのDNA断片化によって実証された(36)(37)。アポトーシスは、ここでは、メーカーのプロトコルに従ってアネキシンV(Boehringer Mannheim、Mannheim、Germany)およびヨウ化プロピジウム(PI)(0.1μg/試料;Sigma、Stockholm、Sweden)によるフローサイトメトリー染色によって確認した。4、8および24時間後に照射細胞から上清を収集して、あるかもしれない細胞片を除去するために、1,4×104rpmで30分間、遠心分離した。
【0321】
DC/アポトーシス性PBMC共培養
6日目に、未熟なDCを計数して、24穴プレートに0.5mL培地(10%FBSおよび組換えヒトIL-4およびGM-CSFを加えたRPMI)に5×105細胞の密度で平板培養した。照射したPBMCを、1mLの総容積まで2:1の比率でDCに加えた。4、8および24時間時に収集した106個の照射したPBMCからの上清(0.5mL)も、未熟なDCに加えた。4、8および24時間時に、上清を共培養から収集した。72時間時に全ての試料を収集して、フローサイトメトリー分析によってDCの特徴を調査した。リポポリサッカライド(LPS)(100ng/mL)(Sigma、Stockholm、Sweden)を、DCの活性化/成熟のための陽性対照として加えた。共焦顕微鏡検査分析のために、PBMCおよびDCは、共培養の前にそれぞれ緑色蛍光染料PKH67(Sigma)および赤色蛍光染料PKH26(Sigma)で標識した。標識は、メーカーのプロトコルによって実施した。食作用のための陰性対照として、サイトカラシンD(Sigma)(0.5μg/ml)を共培養に加えた。
【0322】
DCおよびPBMCの表現型の特性評価
DCを洗浄して2%FBS含有PBSで再懸濁した。それらを、以下の抗ヒトモノクローナル抗体と一緒に、4℃で30分間インキュベートした:CD1a(クローンNA1/34、DAKO、Glostrup、Denmark)、CD14(クローンTUK4;DAKO)、CD19(クローンHD37、DAKO)、CD3(クローンSK7)、CD80(クローンL307.4)、CD83(クローンHB15e)、CD86(クローン2331/FUN-1)HLA-DR(クローンL243;全てBD Biosciences、San Diego、CAから入手)。PBMCを洗浄して、抗ヒトモノクローナル抗体CD3(クローンSK7)、CD4(クローンSK3)、CD8(クローンG42-8)、CD154(クローンTRAP-1)、CD25(クローン2A3)およびCD69(FN50;全てBDから入手)と一緒にインキュベートした。細胞表面発現をFACScaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)によって測定し、少なくとも105細胞/試料を収集した。共培養試料を72時間時に洗浄し、前に指摘したCD1a、CD4、CD8、CD80、CD83、CD86およびHLA-DRと一緒にインキュベートした。DC分析のために、ゲートはCD4-/CD8-またはCD3-、CD1a+細胞上に設定した。
【0323】
サイトカイン/ケモカイン産生
Bio-Plexアッセイ(Biosource、Nivelles、Belgium)を用いることにより、共培養または照射PBMC単独からの上清をサイトカイン/ケモカイン含有量について分析した。このアッセイをメーカーのプロトコルに従って用い、上清中のIL-6、IL-8、IL-2、IL-10、IL-12p70、TNFa、IFNγおよびMIP-1βの濃度を同時に定量化するためにLuminexリーダー(Luminex社、Austin TX、USA)を用いた。
【0324】
自己由来のT細胞増殖および活性化
未熟なDCを上記のように得た。RosetteSepのヒトCD3+T細胞濃縮(1mL/10mL血液;Stem Cell Technologies)を用いた負の選択によるCD3+T細胞の分離のために、同じ供与体からの血液を用いた。T細胞を、10%DMSO中で冷凍した。DC培養6日目に、DC/アポトーシス性細胞共培養を上のように設定し、48時間インキュベートした。CD8(クローンSK1、BD)(4μg/ml)処理アポトーシス性PBMCと共培養したDCからなる対照も、含まれた。共インキュベーションの後、自己由来のT細胞を解凍し、RPMIで3回洗浄し、記載されているようにCFSEで標識した(38)。1.5×106個のT細胞を対応するDC供与体に10:1の割合で、または、1.5mLの総容積までアポトーシス性細胞だけを含む対照に加えた。陽性対照では、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)(Sigma)(5μg/ml)を加えた。これらの培養物を、3、4、5または6日間インキュベートした。表面マーカーCD1aおよびCD3ならびに細胞内IFNγ(クローン25723.11、BD)のための染色の12時間前に、ブレフェルジンA(BFA)(Sigma)(10μg/ml)を培養物に加えた。先に述べたように、細胞を先ず、細胞表面マーカーに対するmAbと一緒にインキュベートした。細胞内染色のために、細胞を2%ホルムアルデヒドで固定し、PBS中の2%FBS、2%HEPES、1mg/mlサポニンからなるサポニン緩衝液で洗浄し、抗体と一緒に4℃で30分間インキュベートした。最後に細胞をサポニン緩衝液で洗浄して、細胞表面発現、増殖およびIFN発現についてFACSで分析した。ゲートは、CD1a-、CD3+細胞上に設定した。
【0325】
統計分析
統計的有意性は対応のないt検定を用いて評価し、差はp≦0.05で有意であるとみなした。
【0326】
結果
未熟な単球由来のDCはアポトーシス性のPBMCを摂取する
CD1aの発現、CD14の欠如および副刺激分子CD80、CD83およびCD86の低発現によって定義される未熟DCを得るために、ヒト単球をIL-4およびGM-CSFの存在下で6日間培養した。単球由来の未熟なDCがアポトーシス性の細胞を摂取する能力を有するかどうかを、最初に判定した。PKH26で標識した未熟なDCを、PKH67で標識したアポトーシス性PBMCと共培養した。1、4または24時間の共培養の後、共焦顕微鏡検査分析を実施した。1時間後にはアポトーシス性細胞の取り込みは検出されなかったが、4時間後には、DCによるアポトーシス性細胞の取り込みが大きな、赤/緑色の二重陽性細胞として検出された(図9a)。4時間の共培養の後、細胞内局在化アポトーシス体がDC内で可視化された(図9b)。24時間のインキュベーションの後、二重染色の強度が増加し、DCは拡大して取り込みの増加を示した(図9c)。この時点で、無傷のアポトーシス体はもはや細胞内で検出されなかった。アクチンフィラメントの破壊によって食細胞の過程に干渉するサイトカラシンD(39)(40)を、照射したPBMCと一緒にDCに加えて、陰性対照として用いた。24時間後にDCを収集し、極めて少ない二重陽性細胞がサイトカラシンDを含む培養物中で検出された(図9d)。このことはアポトーシス性のPBMCの取り込みは食細胞の経路によって起こることを示唆するが、その理由は、サイトカラシンDによるアクチンフィラメントの抑制は食作用に干渉するもののエンドサイトーシス能力を無傷のまま残すからである(40)。これらの結果は、ヒト単球由来の未熟なDCはγ照射されたPBMCを貪食する能力を有し、貪食された物質の大きな断片が細胞内に検出され得ることを示す。
【0327】
活性化された静止中ではないアポトーシス性のPBMCは、DCで副刺激分子の発現を誘導する
活性化されたアポトーシス性T細胞がDCに対して活性化/成熟シグナルを提供する能力を有するかどうか調査するために、最初に、PHAまたは抗CD3および抗CD28 mAbによる活性化(aCD3aCD28活性化)後のCD25およびCD69の発現の誘導を分析することで、T細胞活性化の効率を測定した(図10)。PHAおよびaCD3aCD28による活性化は、CD25およびCD69の上方制御をもたらした。陽性細胞の頻度は、異なる刺激剤の間で特に異ならなかった。CD40-CD40L相互作用はDCの成熟を誘導することができるので、CD40Lの発現に関してもT細胞を染色した。CD40Lの発現は、精製され、活性化されたT細胞で検出されたが、PBMCに存在するT細胞集団では検出されなかった(データ示さず)。このことは、以前に報告された活性化T細胞上での、B細胞媒介性のCD40Lのエンドサイトーシスのためである可能性が高い(41)(42)。非活性化および活性化PBMC調製物を照射し、アネキシンVおよびPI染色でアポトーシス誘導を測定し、それらはフローサイトメトリーによって定量化した(図11)。非活性化および活性化PBMCは、アポトーシス初期および二次的壊死の状態の細胞を含むことを示す。24時間後に、大多数の細胞はアネキシンVおよびPIに対して二重陽性であったが、このことは、γ照射が静止PBMCおよび活性化PBMCの両方でアポトーシス細胞死を効果的に誘導することを示す。
【0328】
アポトーシス性のPBMCを未熟なDCに加え、共培養物を72時間インキュベートした。活性化がDC上のFc受容体への抗体結合によって起こった可能性を排除するために、aCD3およびaCD28抗体を対照DC培養物へ加えた。細胞を収集してCD1a、CD80、CD83、CD86およびHLA-DRのために染色し、フローサイトメトリーで分析した。成熟DCは、CD86の明瞭で高い発現を有するCD1a+細胞と定義された。カドラントは、陰性対照(培地)および陽性対照(LPS)に基づいて設定された。活性化PBMCを含む共培養で、対照培地と比較してCD86を発現するDCの頻度の有意な増加があった。静止アポトーシス性細胞および抗体は、DCで有意なCD86発現を誘導しなかった(図12a)。aCD3aCD28活性化アポトーシス性細胞を用いることにより、CD86の誘導がより強まる傾向を認めた。この理由で、および抗体で誘導された活性化はGMP承認の設定で用いることができるという事実から、後続の実験の大半でPBMCを活性化するために、aCD3aCD28 mAbを用いた。非活性化またはaCD3aCD28活性化アポトーシス性細胞と共培養したDC上での、CD80-、CD83-、CD86-およびHLA-DRの発現の平均蛍光強度(MFI)値を、培地対照と比較した(図12b)。CD80、CD83およびCD86分子の発現は活性化アポトーシス性細胞と共培養されたDCで上方制御されたが、HLA-DRの発現は培地対照と有意に異なることはなかった。精製し、aCD3aCD28で活性化したアポトーシス性のCD4+T細胞も、DCで副刺激分子の発現を誘導することができた(データ示さず)。これらの結果は、活性化され、静止していないアポトーシス性PBMCは、副刺激分子の上方制御で定義されるDC成熟の、強力なインデューサーであることを示す。
【0329】
静止中の壊死性PBMCはDC成熟を誘導しない
DCの成熟を引き起こしたのはγ照射へ曝露した試料中に存在する壊死性細胞であった可能性を検討するために、静止中またはaCD3aCD28で活性化したγ照射PBMCならびに静止中または活性化した凍結融解壊死性PBMCと共培養したDCでの成熟状態を比較した。培地対照と比較して、静止中の壊死性またはアポトーシス性の細胞と共培養したDCでCD86発現の有意な上方制御は検出されなかったが、活性化したアポトーシス性および壊死性の細胞は有意なCD86発現を誘導した。しかし、活性化したアポトーシス性の細胞は、壊死性のPBMCと比較してDC成熟のより強力なインデューサーであった(図13)。これらの結果は、アポトーシス性細胞調製物中の壊死性細胞の存在だけでは、DC成熟の誘導を説明することができないことを証明する。
【0330】
活性化アポトーシス性PBMCからの上清はDC成熟を誘導しない
次に、活性化した照射PBMCとの共培養の後のDCでの副刺激分子の上方制御が、アポトーシス性細胞によって放出される細胞外因子によるものか調査した。したがって、aCD3aCD28で活性化した照射PBMCからの上清を、4、8および24時間後に収集した。活性化したPBMCと共培養したDCはCD86発現を有意に上方制御したが、同じアポトーシス性細胞調製物からの上清は、CD86発現の誘導で有効ではなかった(図14)。このことは、DC成熟の誘導のためには、DCおよび活性化アポトーシス性細胞の間の相互作用が必要なことを示す。しかし、そのことは、DCの近くでまたはその中で、アポトーシス性細胞から放出される細胞外因子が副刺激分子の上方制御を媒介することができるという可能性を排除しない。
【0331】
活性化アポトーシス性PBMCはDCで炎症誘発性サイトカインの放出を誘導する
活性化アポトーシス性細胞の添加の後のDC活性化をさらに分析するために、DC内でのサイトカインおよびケモカインの産生を調べた。未熟なDCを、非活性化アポトーシス性PBMC、PHAで一晩もしくは4日間活性化したアポトーシス性PBMC、またはaCD3およびaCD28抗体で一晩活性化したアポトーシス性PBMCと共培養した。上清を、DC/アポトーシス性細胞共培養から4、8および24時間後に収集した。上清を冷凍し、その後luminexによりIL-2、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IFNγ、TNFaおよびMIP-1β含有量について分析した。DCおよび活性化アポトーシス性細胞を含む共培養でIL-6、TNFaおよびMIP-1βの有意な放出があったが、これは初期の時点ですでに検出されていた。アポトーシス性細胞単独から収集した上清でこれらのサイトカインの有意に低いレベルが検出され、DCからの産生および放出が示唆された。ほとんどの場合、aCD3aCD28活性化アポトーシス性細胞は最高レベルのサイトカインを、さらにはDCからの最も迅速な放出を誘導した。非活性化アポトーシス性細胞と共培養したDCからの上清は、培地対照で検出されたレベルを上回るサイトカインレベルを含んではいなかった(図15)。照射した好中球もDCと共培養したが、これらは検出可能なサイトカインの放出を全く誘導しなかった(データ示さず)。IL-2、IL-8およびIFNγは、活性化アポトーシス性細胞を含む共培養からの上清で検出された。しかし、活性化アポトーシス性細胞自体からのこれらのサイトカインの高放出のために、その産生をDCに帰することはできなかった(データ示さず)。調査したDC/アポトーシス性細胞共培養のいずれにおいても、IL-10およびIL-12の放出は検出できなかった(データ示さず)。結果は、活性化アポトーシス性PBMCとの相互作用の後、DCが炎症誘発性サイトカインおよびケモカインを産生することを示す。しかし、これらのDCは、IL-10およびIL-12を産生することができなかった。
【0332】
同種の、活性化アポトーシス性PBMCを摂取するDCは、自己由来のT細胞で増殖およびIFN-γ産生を刺激する
次に、活性化アポトーシス性PBMCによって成熟したDCが、ナイーヴなT細胞の増殖および活性化を誘導することができるかどうかという疑問が生じた。自己由来のT細胞を、非活性化または活性化された同種のアポトーシス性PBMCを摂取したDCに加えた。自己由来のCFSE標識T細胞を添加する前に、DC/アポトーシス性細胞共培養を48時間インキュベートした。CFSE標識T細胞単独または活性化アポトーシス性細胞に加えたT細胞を、陰性対照として用いた。陽性対照として、超抗原SEBを自己由来のT細胞と一緒にDCに加えた。T細胞増殖のピークを判定するために、培養物を3、4、5または6日間インキュベートした。これらの時点で細胞を収集して、CD1aおよびCD3ならびに細胞内IFNγ産生について染色した。試料をフローサイトメトリーによって分析し、ゲートはCD1a-、CD3+細胞上に設定した。DCおよび自己由来のT細胞だけを含むウェル、T細胞だけを含むウェル、T細胞および活性化アポトーシス性細胞を含むがDCを含まないウェル、またはDCに静止アポトーシス性細胞を与えた試料において、T細胞増殖およびIFNγ産生はいずれの分析時点でも検出されなかった。SEBで刺激した対照において、増殖は4日目にピークに達し、これはIFNγ陽性のT細胞の最高頻度と同時であった。T細胞の添加前に活性化アポトーシス性細胞と共培養したDCは、自己由来のT細胞で増殖およびIFNγ産生を誘導することができた。SEB対照の場合と同様に、増殖およびIFNγ産生は4日目にピークに達した(図16)。DC成熟および効率的な抗原提示能の誘導に及ぼす可能なFcR媒介性の影響について調整するために、DCへの添加の前にPBMCを抗CD8抗体とインキュベートしてγ照射へ曝露した。上方制御されたCD25およびCD69によって測定されたように抗CD8はT細胞を活性化せず、DC活性化および以降の自己由来T細胞の増殖を誘導しなかった(データ示さず)。4色フローサイトメーターの限界のために、分析はCD3+T細胞集団の全体を含み、異なるCD4/CD8 T細胞サブセットを分析することはできなかった。これらの結果は、活性化され、静止中ではない同種のPBMCは、T細胞への同種抗原の効率的な提示をもたらすDC成熟を誘導することができることを示す。
【0333】
考察
DC活性化の誘導および以降の適応免疫応答の初回抗原刺激の機構は、完全に解明されているわけではない。DC上のPPRに結合する保存された微生物およびウイルスのパターンは、適応免疫応答の有効な媒介体として示された。しかし、これらは、PPR親和性を欠く物質が免疫応答を開始することができる理由に対する答えではない。我々の研究は、活性化され、静止中でないアポトーシス性のPBMCが、副刺激分子の上方制御、炎症誘発性サイトカイン放出の誘導ならびにT細胞増殖およびIFNγ産生につながる同種抗原の提示という点で、DCの活性化を誘導することができることを証明する。最初に活性化されると、壊死性細胞もDC成熟をある程度誘導することができたが、先行する刺激がない場合はそうすることができなかった。本報告は、アポトーシス性細胞に曝露したDCがT細胞をin vitroで成熟させてその活性化を誘導することが明らかにされた初期の研究(30、31、33、43〜45)、および活性化されたアポトーシス性細胞はこの観点から活性化された壊死性細胞よりも効率的である(46、47)ことを裏付ける。以前の研究でDC活性化を誘導した瀕死細胞の全ては、異なる形態の腫瘍性またはウイルス性の抗原を含んでいた。これらの細胞の危険シグナル伝達特性はまだ完全には明らかにされていないが、アポトーシス性細胞の影響は「非静止」状態と一部関連しているのではないかと推測される。我々の実験の設定においては、TLRリガンド、腫瘍またはウイルスの抗原供与源は全く存在しなかった点に留意する必要がある。ここで、我々は、細胞がアポトーシスに入る前の活性化の状態が、DCを活性化するその能力を決定付けるものであると提案する。しかし、活性化T細胞内での「内因性」TLRリガンド発現の誘導を排除することはできない。以前の実験での静止アポトーシス性細胞の使用により、一部の研究でアポトーシス性細胞がDCをin vitroで成熟させて(10、22)抗炎症性を保有させる(24〜26、48)か、または免疫活性化の代わりに寛容性を誘導することができないことが判明した理由を、一部説明することができた((27、49、50)。
【0334】
瀕死細胞に由来するいくつかの内因性因子が、DC活性化の信用できそうなエフェクターとして提案された。HSPはDC成熟を誘導し((51-59)、アジュバント活性を発揮する(60-63)ことが以前に示された。これらの分子は細胞内にあり、膜統合性の喪失に伴い放出される。HSPは、照射されたPBMCのいくつかがDCの取り込みの前に二次的壊死に入ると思われる我々のin vitro系で、おそらく何らかの影響を及ぼすかもしれない。それでも、このことは2つの理由のために、我々の結果の完全に満足な説明ではない。第1に、後の時点でアポトーシス性細胞から収集した上清も、二次的壊死の細胞から放出された因子を含む。これらの上清は、DC成熟を誘導する能力を欠く。第2に、アポトーシス性細胞および壊死性細胞を比較すると、後者はDC上で副刺激分子を上方制御する効率が低かった。DCを活性化することが示唆された他の内因性分子は尿酸であり、それはプリン分解の最終産物で、ストレス細胞に多く存在する。尿酸は細胞のサイトゾルに含まれており、膜統合性が失われない限り周辺細胞はアクセスすることができず、それが、DC活性化の主なエフェクターとしてこれを排除する理由である。DC活性化を開始する能力を有する活性化アポトーシス性細胞の1つまたは複数の必須の因子は、これから解明しなければならない。
【0335】
本研究は、活性化アポトーシス性細胞への曝露が、DCで炎症誘発性サイトカインの産生を誘導することを示す。しかし、Th1応答を引き出して寛容原性の応答を防止する際に重要であるIL-12の放出は、全く検出することができなかった。アポトーシス性細胞の取り込みは、LPS誘導性のIL-12産生を下方制御することが以前に示された。(64)しかし、これが可逆的な影響であるかどうかは、解明されていない。DC/活性化アポトーシス性細胞培養におけるIL-12産生の見かけ上の欠如は、CD40ライゲーションによって提供され得る二次的シグナルの欠如によって説明することができる(65)。我々は、CD40Lシグナルが、代わりに、抗原認識の後に自己由来のT細胞によって送達されることを提案する(図16)。ナイーヴなT細胞は、DCによるアロ抗原の提示および副刺激分子の刺激に応じて、CD40Lを上方制御するようである。
【0336】
病原体または宿主細胞の傷害に起因する炎症性事象では、潜在的な危険を除去するための部位に免疫細胞が動員される。動員された細胞は活性化することができ、多くの細胞はそれらの使命を遂行した後に、アポトーシスによって死に至る。アポトーシスのこの形態は、炎症性事象における生得的および適応性の応答のための正のフィードバック機構として機能することができると推測される。感染または傷害部位に存在する未熟なDCが活性化アポトーシス性細胞を取り込むと、炎症誘発性サイトカインが放出される。このことは、現場への免疫細胞の補充を増加させる。活性化アポトーシス性細胞を貪食するDCは、副刺激分子を上方制御することもできる。成熟したDCが流入領域リンパ節に移動すると、抗原をナイーヴなT細胞に提示することができ、それによって、活性化末梢リンパ球が免疫系に警告することなく無駄に死に至ることが確実になくなる。一方、アポトーシスにより死に至る静止細胞はDCに及ぼすこの影響を欠如し、このことは、「正常な」状態の間に、免疫系を警戒させることなく細胞の頻繁なターンオーバーが起こることの説明となる。
【0337】
ここで報告される活性化アポトーシス性細胞によるものと考えられる内因性のアジュバント効果は、ワクチンの合理的な設計のためにも重要となろう。現在開発中のベクターのいくつかはそれらの標的細胞内でアポトーシスを誘導し、その後の抗原の交差提示に導くことができる。用いるベクターが標的細胞内で活性化を誘導して抗原および内因性アジュバントの同時送達を可能にするならば、交差提示経路はさらに増強することができると推測される。貪食されたカーゴの効率的な抗原提示はカーゴ内のTLRリガンドに依存するとの新知見は、アジュバントがアポトーシス性物質と同時送達されなければならないとの仮説を支持するであろう。
【0338】
全体として、この研究はアポトーシス性細胞がそれらの活性化状態に応じて免疫応答を引き出す異なる能力を有することを証明し、さらに、アポトーシス性細胞はアポトーシス性細胞の交差提示を利用するワクチンの開発のために用いることができる可能性を示す。
(参考文献)
【0339】
(実施例C)
材料および方法
樹状細胞(DC)のin vitro分化
CD14+単球を、RosetteSepヒト単球濃縮(1mL/10mL血液;Stem Cell Technologies、Vancouver、BC、Canada)を用いて負の選択によって健康な献血者からの末梢血単核細胞(PBMC)から濃縮した。単球は、lymphoprep(Nycomed、Oslo、Norway)密度勾配を用いて分離した。未熟樹状細胞を得るために、細胞を、培地(1%HEPES[N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸]、2mM L-グルタミン、1%ストレプトマイシンおよびペニシリン、10%エンドトキシン非含有ウシ胎児血清(FBS)を加えたRPMI 1640;GIBCO Life Technologies、Paisley、United Kingdom)および組換えヒトサイトカインIL-4(6.5ng/mL;R&D Systems、Minneapolis、MN)および顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF;250ng/mL;Peprotech、London、UK)中で6日間培養した。
【0340】
T細胞の活性化
CD4+およびCD8+T細胞を、RosetteSepのヒトCD4+またはCD8+T細胞濃縮(それぞれ1mL/10mL血液;Stem Cell Technologies)を用いて負の選択によって健康な献血者のPBMCから濃縮した。T細胞は、lymphoprep密度勾配(Nycomed、Oslo、Norway)を用いて分離した。細胞をFBSおよび10%ジメチルスルホキシド(DMSO)中で冷凍するか、または、1%ピルビン酸ナトリウム、4℃で1時間プラスチックに接着させたモノクローナル抗ヒトCD3(2μg/ml;クローンOKT 3;Ortho Biotech Inc. Raritan、NJ)、および可溶性モノクローナル抗ヒトCD28(2μg/ml;L293;BD Biosciences、San Diego、CA)を含むフラスコに加えた。刺激後、細胞をFBS/DMSO中で冷凍した。
【0341】
HIV-Iウイルスの増殖および調製
CCR5-uring HIV-1 BaL分離株またはCXCR4 HIV-1 IIIB(National Institutes of Health (NIH) AIDS Research and Reference Reagent Program、Division of AIDS、National Institute of Allergy and Infectious Diseases (NIAID)、NIH)を、PHA(Sigma、St Louis、MO)およびIL-2(Chiron、Emeryville、CA)で刺激したPBMC培養上で増殖させた。ウイルスを濃縮してDC成熟を誘導する可能性のある上清中の第三者活性化因子の存在を最小化するために、ウイルスを超遠心分離(138000g(45000rpm)、30分、4℃、Beckman L-80 Utracentrifuge、ローター70.1;Beckman Coulter、Fullerton、CA)し、ウイルスのペレットをRPMI 10%FBS中で再懸濁して、10×のウイルス濃縮液を得た。HIV-1 BaLストックのウイルスの力価は、p24酵素結合免疫吸着検定法(ELISA;Murez HIV抗原Mab;Abbott、Abbott Park、IL)によりメーカーのプロトコルに従って測定した。試料は、2反復の連続希釈で分析した。10×のHIV-1 BaLストックは、11.7μg/mLのHIV-1 p24 Gag含有量を有した。HIV-1 BaLストックは、活性逆転写酵素(RT;Lenti RT;Cavidi Tech、Uppsala、Sweden)のレベルの測定による特性調査も行った。用いた10×のHIV-1 BaLストックは、15000pgの活性RT/mLを含んでいた。
【0342】
T細胞および樹状細胞のHIV-1感染
CD4+T細胞をRosetteSepのヒトCD4+T細胞濃縮(それぞれ1mL/10mL血液;Stem Cell Technologies)を用いて負の選択によって健康な献血者のPBMCから単離し、抗CD3(2μg/ml;クローンOKT 3;Ortho Biotech Inc. Raritan、NJ)および抗CD28 mAb(2μg/ml;L293;BD Biosciences、San Diego、CA)で一晩活性化した。次に細胞を、IL-2(Chiron、Emeryville、CA)の存在下で、10×のHIV-1 BaLまたは1×のHIV-1BaLストック(1×106のCD4+T細胞に対して200μlのHIV-1BaLストック)と一緒にインキュベートした。感染細胞の頻度は、感染後3、4、5、6、7および10日目に、細胞内p24染色によって分析した。得られた感染細胞は、使用時までFBS/DMSO中で冷凍した。200μLの量の1×HIV-1 BaLまたはモックを、1ウェルにつき1.0mLの最終量まで、24穴プレート(Costar Corning、Corning、NY)内の1mLにつき5×105個の未熟DCに加えた。感染DCの頻度は、感染から72時間および7日後の細胞内p24染色によって測定した。
【0343】
T細胞および樹状細胞内のHIV-1タンパク質の定量化
DCおよびT細胞内のHIV-1 BaL感染の頻度は、HIV-1 Gagタンパク質p24のための細胞内染色で測定した。細胞を先ず細胞表面マーカーのために染色し、次にPBSで洗浄して、室温で10分間、2%ホルムアルデヒド(Sigma)中で固定した。細胞を2%FBSを含むPBSで洗浄し、続いて細胞表面膜の透過化を可能にするために、2%FBS、2%HEPESおよび0.1%サポニン(Sigma)を含むPBSで洗浄した。細胞を、抗p24特異mAb(クローンKC57;Coulter、Hialeah、FL)または対応するアイソタイプの対照と一緒に、4℃で1〜2時間インキュベートした。過剰の抗体を除去するために細胞をサポニン溶液で洗浄して、PBSで再懸濁した。FACScaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)によって発現を評価した。
【0344】
アポトーシス性細胞およびアポトーシス性細胞上清の生産
冷凍されているT細胞を解凍して、RPMIで3回洗浄した。γ照射(150Gy)によってアポトーシスを経るように細胞を誘導した。γ照射で誘導されるアポトーシスの過程は、以前に形態学的変化、フローサイトメトリーおよびアガロースゲル上でのDNA断片化によって証明されている(Holmgrenら、1999、Blood 93:3956;Spetzら、1999、J Immunol 163:736)。アポトーシスは、ここでは、メーカーのプロトコルに従ってアネキシンV(Boehringer Mannheim、Mannheim、Germany)およびヨウ化プロピジウム(PI)(0.1μg/試料;Sigma、Stockholm、Sweden)によるフローサイトメトリー染色によって確認した。4、8および24時間後に生細胞および照射細胞から上清を収集して、あるかもしれない細胞片を除去するために、1.4×104rpmで30分間、遠心分離した。
【0345】
DC共培養
6日目に、未熟なDCを計数して、24穴プレートに0.5mL培地(10%FBSおよび組換えヒトIL-4およびGM-CSFを加えたRPMI)に5×105細胞の密度で平板培養した。照射したT細胞を、1mLの総容積まで2:1の比率でDCに加えた。4、8および24時間時に収集した106個の照射したT細胞からの上清(0.5mL)も、未熟なDCに加えた。4、8および24時間時に、上清を共培養から収集した。72時間時または7日後、全ての試料を収集して、フローサイトメトリー分析によってDCの特徴を調査した。リポポリサッカライド(LPS 100ng/mL、Sigma)を、DCの活性化/成熟のための陽性対照として加えた。
【0346】
DCおよびT細胞の表現型の特徴
DCを洗浄して2%FBS含有PBSで再懸濁した。それらを、以下の抗ヒトモノクローナル抗体(mAb)と一緒に、4℃で30分間インキュベートした:CD1a(クローンNA1/34、DAKO、Glostrup、Denmark)、CD14(クローンTUK4;DAKO)、CD19(クローンHD37、DAKO)、CD3(クローンSK7)、CD83(クローンHB15e)およびCD86(クローン2331/FUN-1;全てBD Biosciences、San Diego、CAから入手)。T細胞を洗浄して、抗ヒトモノクローナル抗体CD19(クローンHD37;DAKO)、CD14(DAKO)、CD3(クローンSK7)、CD4(クローンRPA-T4)+ストレプトアビジン、CD8(クローンSK-1)、CD154(クローンTRAP-1)、CD25(クローン2A3)およびCD69(FN50;全てBDから入手)と一緒にインキュベートした。細胞表面発現をFACScaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)によって測定し、少なくとも105細胞/試料を収集した。共培養試料を72時間時または7日目に洗浄し、前に指摘したCD1a、CD4、CD8、CD83およびCD86と一緒にインキュベートした。また、あり得るアポトーシス性のDCを検出するために、前節の場合のようにDCをアネキシンVで染色した。
【0347】
サイトカイン/ケモカイン産生
Bio-Plexアッセイ(Biosource、Nivelles、Belgium)を用いることにより、照射T細胞および共培養からの上清をサイトカイン/ケモカイン含有量について分析した。このアッセイをメーカーのプロトコルに従って用い、上清中のIL-6、IL-8、IL-2、IL-10、IL-12、TNFa、IFNγ、MIP-1aおよびMIP-1βの濃度を同時に定量化するためにLuminexリーダー(Luminex社、Austin TX、USA)を用いた。
【0348】
結果および考察
アポトーシス性HIV-1感染CD4+T細胞との共培養後の樹状細胞上の副刺激分子の上方制御。
活性化されたアポトーシス性のHIV-1感染CD4+T細胞が樹状細胞に対して何らかの活性化/成熟シグナルを提供する能力を有するか否か調査するために、抗CD3および抗CD28 mAbで活性化した後にHIV-1で感染させたCD4+T細胞でアポトーシスを誘導し、その後、それらをヒトのin vitro分化型樹状細胞に加えた。T細胞活性化の効率は、T細胞上でのCD25およびCD69の発現の誘導を分析することで測定した(図17A)。抗CD3/CD28 mAbによる活性化の後、CD4+T細胞上でのCD25およびCD69分子の発現の増加が検出された。これらの知見は、用いた培養システムでT細胞が効率的に活性化されたことを示す。HIV-1感染の動態および細胞内p24染色によって測定された感染効率の代表例を、図17Bに示す。細胞内p24染色による測定で20〜40%のHIV-1感染細胞を含む細胞のバッチを冷凍し、その後、アポトーシス性のHIV-1感染細胞を調製するために用いた。実験当日、冷凍された細胞を解凍、洗浄して、ガンマ照射によってアポトーシスが起こるように誘導した。アポトーシス誘導はアネキシンVおよびPI染色を実施することで測定したが、それらは上の実施例Bで示すようにフローサイトメトリーによって定量化した。
【0349】
アポトーシス性のHIV-1感染T細胞自体がDCで成熟を誘導することができるかどうか調査すること。IL-4およびGM-CSFの存在下で6日間培養したin vitro分化単球を、CD1aの発現、CD14の欠如およびCD40、CD80、CD86およびCD83の低発現によって定義されるヒト未熟樹状細胞の供与源として用いた。これらの未熟な樹状細胞をアポトーシス性細胞と72時間または7日間共培養し、次に、副刺激分子であるCD86の発現について分析した(図18)。代表的なフローサイトメトリー分析を図18で、少なくとも11供与体の概要を図18Bで示す。75時間後、LPS刺激後のCD86+DCの頻度は91±2.5%、バックグラウンド培地対照は27±5.3%であった。HIV-1 BaLに曝露したDCは、培養の72時間時および7日後に、CD86を発現するように誘導されなかった(図182B)。しかし、アポトーシス性の活性化された非感染T細胞またはHIV-1 BaL感染T細胞との共培養は、培養の72時間後および7日後に、培地対照と比較してCD86の有意な誘導をもたらした。アポトーシス性の活性化CD4+T細胞によって提供された活性化/成熟シグナルは、遊離のHIV-1 BaLの存在下でも発生した。
【0350】
DC成熟および機能的抗原提示能と関連する他の分子であるCD83の誘導が、共培養で誘導されるかどうかも判定した。HIV-1 BaLへ曝露した後のCD83の有意な誘導を検出することはできなかったが、アポトーシス性の活性化CD4+T細胞との共培養の後にCD83の誘導があった。発現のパターンはCD86の発現と類似し、CD83は、HIV-1の存在下でもアポトーシス性の活性化CD4+T細胞との共培養の後に誘導された。これらの知見は、アポトーシス性の活性化CD4+T細胞が、HIV-1の存在下でも未熟なDCに対して活性化/成熟シグナルを提供することができることを示す。さらに、高頻度のHIV-1感染細胞を含むアポトーシス性の活性化T細胞の集団も、DCに対して活性化/成熟シグナルを提供することができる。結局、これらの知見は、HIV-1をもつアポトーシス性の活性化T細胞は、DCを高効率の抗原提示細胞に変えるある種のDC活性化/成熟を誘導することができる抗原伝達系として用いることができることを示唆する。
【0351】
成熟したDCは未熟なDCと比較してHIV-1感染への感受性が低いことが証明されたので、アポトーシス性のHIV-1感染T細胞がDC成熟を誘導することができるとの知見は、ウイルス感染に含みを有する。粘膜に存在するDCは感染過程での第1の標的細胞の1つであると考えられ、ここで記載される実験で用いられる細胞に類似した未熟な表現型を有する。したがって、単球由来樹状細胞でDC成熟を誘導することができる組成物は、粘膜関連のDCで成熟を誘導することによってそれらをHIV-1感染から保護することができる能力を有する。したがって、1作用機構が未熟なDCで成熟を誘導することになるであろう殺微生物製剤で、アポトーシス性の活性化T細胞を用いることができるであろうと考えられる。
【0352】
アポトーシス性の活性化T細胞との共培養の後の炎症誘発性サイトカインの分泌
アポトーシス性の活性化T細胞の取り込み後にDCでサイトカイン産生が誘導されたかどうかについて対処するために、4、8および24時間後に共培養から上清を収集した(図19)。最高8つのサイトカインの同時分析を可能にするLuminex技術を用いた。非感染のまたはHIV-1に感染したアポトーシス性の細胞の抗CD3および抗CD28で活性化した細胞との共培養から、TNF-aの急速な誘導があった(図19A)。DCおよびアポトーシス性の活性化CD4+T細胞との共培養で、IL-2およびIFN-γも検出された。活性化されたアポトーシス性T細胞(非感染およびHIV-1感染の)との共培養でMIB-1aおよびMIB-1βの急速な誘導が測定され、アポトーシス性細胞それ自体からのバックグラウンド分泌は皆無であった(図19B)。非刺激T細胞または好中球との共培養は、指摘したサイトカインの分泌を全くもたらさなかった。結局、これらの知見は、活性化アポトーシス性T細胞がDCで炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの産生を誘導することができることを示唆する。
【0353】
DCが既知の抗ウイルス作用を有するケモカインを産生するとの知見は、アポトーシス性の活性化T細胞を殺微生物剤として用いる発想をさらに支持し、そこでは、抗ウイルス作用はDCとの相互作用の後に達成される。
【0354】
ある種の炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの産生は、抗原送達系としての、または治療的ワクチン接種の後に局所抗ウイルス活性を達成するワクチン添加物としての、アポトーシス性活性化T細胞の使用も支持する。
【0355】
アポトーシス性の活性化T細胞との共培養の後のHIV-1感染DCの頻度の低下
抗HIV-1活性を有するものを含むいくつかのサイトカインが上清中に放出されるとの知見は、アポトーシス性活性化CD4+T細胞との共培養がDCにおけるウイルス感染効率に影響を及ぼすことができるかどうかという疑問を抱かせた。前述のとおり、細胞内p24抗原を発現する細胞の頻度を判定することで、HIV-1感染率を測定した。培養物へ3'-アジド-3'デオキシチミジン(AZT)を添加するとp24の検出が抑制されるが、このことは、DC中で検出された細胞内p24はDC内の増殖性感染によるものであり、ウイルス粒子またはp24タンパク質の取り込みの結果ではないことを示唆する。さらに、ELISAによる測定では、HIV-1に曝露したDC培養物中では、上清中に放出されるHIV-1 p24のレベルは経時的に増加する(29)。
【0356】
未熟なDCをHIV-1 BaLに曝露した結果、HIV-1感染効率に関して供与体による大きな変動があることがわかり、72時間のインキュベーションの後では0.1〜21.7%、7日間の後では2.1〜46.4%と変動した。アポトーシス性の活性化CD4+T細胞と共培養したDCでは、72時間後に細胞内p24の発現の有意な減少は一切検出することができなかった。しかし、7日間の培養後、分析した11供与体の全ては、HIV-1 BaLだけに曝露したDCと比較して、アポトーシス性の活性化CD4+T細胞を含む培養物中のp24+DCの頻度が低かった。これらの知見は、DCとアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞との共培養が、DCでHIV-1感染を制限することができる環境をもたらすことを示唆する。非活性化アポトーシス性T細胞への曝露の後、DCではp24発現の有意な減少は全くなかった(図21)。
【0357】
DCおよびアポトーシス性の活性化T細胞との共培養から収集された上清がDCで成熟を誘導してHIV-1感染を減らすことができるかどうか調査すること。共培養24時間後に上清を収集して、異なる量を未熟なDCに加えた。高用量の上清へ曝露したDCで、CD86発現の有意な誘導があった(図22)。さらに、共培養から収集された上清へ曝露した後、DCでp24発現の減少に関して用量反応があった。したがって、アポトーシス性の活性化T細胞との共培養の後のDCでのp24発現の減少は、少なくとも一部、上清中に放出された可溶性因子によって説明することができると結論する。DCの感染率の低下の他の説明は、DC成熟後のCCR5受容体の下方制御であろう。
【0358】
アポトーシス性の活性化T細胞の添加の前にDCを先ず30分、1時間または2時間、HIV1Ba-Lと一緒にインキュベートする、動態実験を実施した。アポトーシス性の活性化T細胞の添加の前にDCを最高2時間ウイルスに曝露した場合でも、p24発現の同じ減少が観察された(図237)。逆に、HIV1Ba-Lの添加の前にDCを先ず30分、1時間または2時間、アポトーシス性の活性化T細胞へ曝露した。この場合も、HIV-1曝露の前にアポトーシス性の活性化T細胞との接触が最高2時間起こった場合でも、p24を発現するDCの頻度の類似した減少が測定された(図23)。
【0359】
DCおよびアポトーシス性の活性化T細胞(非感染およびHIV-1感染)との相互作用が抗ウイルス環境の形成をもたらすとの知見は、HIV-1をもつアポトーシス性活性化T細胞の治療ワクチンとしての使用、およびアポトーシス性活性化T細胞の任意の治療的HIV-1ワクチンへの添加剤としての使用に対して含みを有する。HIV-1感染の過程で感染するのは、主にHIV-1特異T細胞であることが証明された。そのうえ、活性化T細胞はDC-T細胞伝達後に優先的に感染することが証明された。したがって、治療的な免疫化の後に抗原刺激を受けるHIV-1特異T細胞が速やかに感染することは、潜在的リスクである。したがって、免疫化後に形成されるDC-T細胞相互作用部位において抗ウイルス環境を達成することが有利である。したがって、アポトーシス性活性化T細胞をワクチン組成物へ添加することは、DCにおいて抗ウイルス作用を達成する可能性を有し、その抗ウイルス作用はDCでのウイルス生産および以降のT細胞への広がりのリスクを減らすであろう。
【0360】
DCと接触させたアポトーシス性の活性化T細胞は抗ウイルス環境の形成に導くとの知見は、アポトーシス性の活性化T細胞をベースにした殺微生物剤の開発に対しても含みを有する。特に、抗ウイルス作用を検出することができるようにするために、DCをアポトーシス性活性化T細胞の添加の前または後にウイルスに曝露させるかは重要ではなかった。ここで調査される動態は、曝露前または曝露後最高2時間のものであった。したがって、そのことは、アポトーシス性の活性化T細胞をベースにした殺微生物剤を、相互作用の前または後に用いる可能性を示唆する。
【図面の簡単な説明】
【0361】
【図1】自己由来または同種の細胞中でのアポトーシスの誘導およびその後の貪食細胞への添加を含む、in vitroでの原理設定を示す図である。フローサイトメトリーは、アネキシンV/PI染色によるアポトーシスの測定、アポトーシス性細胞の表現型分析、樹状細胞成熟、食作用の定量化および細胞内サイトカイン産生の測定のために用いる。PBMC-末梢血単核細胞。
【図2】アポトーシス性の活性化された末梢血単核細胞(PBMC)の表現型の特徴を示す図である。PBMCを健康な献血者から単離して他の刺激剤を加えない(非刺激)培養液に入れ、抗CD3および抗CD28 mAbで一晩、PHA(植物性凝集素)で一晩、またはPHAで4日間活性化した。細胞は培養期間の直後に、またはDMSO中での冷凍期間の後に染色した。回収した細胞は抗CD4、抗CD25および抗CD69 mAbで染色して、フローサイトメトリーによって表面発現について分析した。データは、リンパ球上のゲートについて示す。カドラントはアイソタイプ対照染色に基づいて設定し、数字は各カドラントにおける細胞の頻度を表す(A)。PBMCは、アネキシン-VおよびPI染色によって規定されるアポトーシス誘導についても分析した(B)。新たに単離された非刺激型のPBMCは、バックグラウンド染色を示す。PBMCを他の刺激剤を加えない(非刺激)培養液に入れ、抗CD3および抗CD28 mAbで一晩、PHAで一晩、またはPHAで4日間活性化した。細胞は、次にDMSO中で冷凍した。解凍後、細胞は直接アネキシン-VおよびPIで染色するか、または、最初に150Gyのガンマ照射をした。アネキシン-VおよびPIによる染色は、ガンマ照射の直後に実施した。
【図3】アポトーシス性の活性化されたPBMCは、ヒトDCでCD86の発現を誘導することを示す図である。IL-4およびGM-CSFの存在下で6日間培養したヒトのin vitro分化単球を、CD1aの発現、CD14の欠如およびCD40、CD80、CD86およびCD83の低い発現によって定義されるヒト未熟DCの供与源として用いた。これらの未熟なDCを異なるアポトーシス性細胞(ac)と72時間共培養し、次に、CD86分子の発現について分析した。ゲートは、大きなCD1a+CD3-細胞上に設定した。強力なDC活性化剤であるLPS(リポポリサッカライド)を陽性対照として用い、培地だけで培養したDCを陰性対照として用いた。アポトーシス性の細胞は、新たに単離されたPBMC(non-stim ac)、PHAで一晩活性化したPBMC(PHA o.n. ac)、PHAで4日間活性化したPBMC(PHA 4d ac)または抗CD3および抗CD28 mAbで一晩活性化したPBMC(aCD3aCD28 ac)からのものであった(A)。代表的なフローサイトメトリー分析およびカドラント設定の定義を示す。DC添加の直前にガンマ照射によりアポトーシスを経るように、異なるPBMCを誘導した。(B)少なくとも8つの実験のCD86を発現するDCの平均頻度±SD。有意差はノンパラメトリックなマン-ホイットニー検定法によって評価し、それぞれ、*(P<0.05)、**(P<0.01)および***(P<0.001)で示す。
【図4】アポトーシス性の活性化されたCD4+T細胞は、DCにおけるCD86の発現の効率的なインデューサーであることを示す図である。未熟なDCを、負の除去によって単離された生きている非活性化または抗CD3/CD28活性化(一晩インキュベーション)CD4+またはCD8+T細胞と共培養した。未熟なDCは、アポトーシス性の非活性化または抗CD3/CD28活性化CD4+またはCD8+T細胞とも共培養した。さらに、反復凍結融解サイクルによって壊死を起こすように誘導された壊死性の非活性化または抗CD3/CD28活性化CD4+T細胞も、未熟なDCと共培養した。CD86の発現は、共培養の72時間後、フローサイトメトリーによって評価した。ゲートは、大きなCD1a+CD3-細胞上に設定した。LPSは陽性対照として用い、陰性対照は培地だけで培養した。少なくとも4つの実験のCD86を発現するDCの平均頻度±SD。有意差はノンパラメトリックなマン-ホイットニー検定法によって評価し、それぞれ、*(P<0.05)および**(P<0.01)で示す。
【図5】抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞におけるHIV-1感染を示す図である。CD4+T細胞は、それらを1x BaLストックまたは10x BaLストックに感染させる前に、抗CD3および抗CD28 mAbで一晩活性化させた。感染の頻度は細胞内p24染色で測定し、フローサイトメトリーで定量化した。1つの代表的な実験の感染動態を示す。
【図6】アポトーシス性の活性化HIV-1感染細胞はDC活性化/成熟を誘導することを示す図である。未熟なDCを、培地で、HIV-1 BaL(+BaL)、アポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4)、遊離のHIV-1 BaLの存在下でのアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4+BaL)、アポトーシス性の活性化HIV-1 BaL感染CD4+T細胞(apopBaLCD4)、遊離のHIV-1 BaLの存在下でのアポトーシス性の活性化HIV-1 BaL感染CD4+T細胞、またはLPSの存在下で、72時間(上部)または7日間(下部)培養した。CD86(左)およびCD83(右)の発現は、フローサイトメトリーによって評価した。ゲートは、大きなCD1a+CD3-細胞上に設定した。72時間では少なくとも9つの実験の、7日間では5つの実験のCD86を発現するDCの平均頻度±SD。CD83の発現は、2つの実験で検討した。有意差はノンパラメトリックなマン-ホイットニー検定法によって評価し、それぞれ、**(P<0.01)および***(P<0.001)で示す。
【図7】活性化されたアポトーシス性のT細胞に曝露したDCからのサイトカインの急速な放出を示す図である。未熟なDCを、異なるアポトーシス性の細胞(ac)と4時間、8時間および24時間共培養し、培養液上清をIL-6、IL-8、TNF-a、IL-2、IFN-γおよびMIP-1βの存在についてLuminex技術で分析した。培地だけで培養したDCは陰性対照であり、強力なDC活性化剤であるLPSは陽性対照として用いた。アポトーシス性の細胞は、新たに単離されたPBMC(non-stim ac)、PHAで一晩活性化したPBMC(PHA o.n. ac)、PHAで4日間活性化したPBMC(PHA 4d ac)または抗CD3および抗CD28 mAbで一晩活性化したPBMC(aCD3aCD28 ac)からのものであった。非刺激型のアポトーシス性PBMCまたはDCを加えない単独の抗CD3/抗CD28活性化アポトーシス性PBMCも、アポトーシス性細胞自体からのサイトカイン放出の対照として含めた。
【図8】アポトーシス性の活性化T細胞との共培養の後のHIV-1感染DCの頻度低下を示す図である。未熟なDCを、HIV-1 BaL(BaL)またはHIV-1 BaLおよびアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4+BaL)に曝露した。感染DCの頻度は、72時間および7日後の細胞内p24染色のフローサイトメトリーによって評価した。左パネルは9供与体からの個々の結果を示し、右パネルはp24陽性DCの平均頻度±SDを表す。有意差はノンパラメトリックなウィルコクソン検定法によって評価し、**(P<0.01)で示す。
【図9】ヒト単球由来のDCはアポトーシス性のPBMCを摂取することを示す図である。未熟な単球由来のDCを、培養6日後にPKH26で標識した。PBMCをPKH67で標識し、その後、γ照射によってアポトーシスを経るように誘導した。アポトーシス性のPBMCと4時間共培養したDCの免疫蛍光像。アポトーシス性細胞(ac)を貪食したDCは、オーバレイ画像で黄色の外観を呈する(a)。高倍率画像は、共培養4時間後のDC中のアポトーシス体を明らかにする(b)。培養24時間後、画像はDCが高頻度でacを取り込んだことを明らかにする(c)。食細胞によるacの取り込みを妨害するために、サイトカラシンDを共培養に加えた。24時間のDC/ac共培養の後、陰性対照を収集した(d)。
【図10】活性化されたPBMCの特徴を示す図である。ヒトPBMCをPHAで一晩(a、d)もしくは4日間(b、e)活性化するか、または、aCD3およびaCD28抗体で一晩処理した(c、f)。非活性化PBMCおよび活性化PBMCを、T細胞活性化マーカーCD25およびCD69のために染色した。試料はフローサイトメトリーによって分析し、ゲートはリンパ球上に設定した。染色は、非活性化細胞(灰色の線)と比較して、抗体およびPHAで刺激したPBMC(黒線)でCD25およびCD69の上方制御を示す。
【図11】静止PBMCおよび活性化PBMCにおけるアポトーシス誘導を示す図である。集団内でアポトーシス性および壊死性の細胞の頻度を測定するために、非活性化PBMC(a、b、c)およびaCD3aCD28活性化PBMC(d、e、f)を、ガンマ照射前(a、d)および照射の6時間後(b、e)または24時間後(c、f)にアネキシンVおよびPIで染色した。試料はフローサイトメトリーによって分析し、PBMC全集団が分析に含まれた。静止細胞および活性化細胞の両方において、ガンマ照射の後、アネキシンV陽性アポトーシス性細胞、およびアネキシンV、PI二重陽性壊死細胞の頻度の増加が見られた。
【図12】活性化された、アポトーシス性のPBMCはヒト単球由来の樹状細胞で成熟を誘導することを示す図である。DCを、非活性化PBMC(non-act. ac)、一晩(PHA o.n. ac)または4日間(PHA 4d ac)刺激したPHA活性化PBMC、抗CD3/CD28活性化(aCD3aCD28 ac)に由来するアポトーシス性の細胞と共培養した。対照試料には、培地で培養したDCまたはmAb(ab対照)が含まれた。LPSは、DC成熟の誘導のための陽性対照として用いた。フローサイトメトリー分析を実施する前に、DCをacと72時間共培養した。(a)はCD86陽性細胞の頻度を、(b)は平均蛍光強度を表す。培地、LPS、DC、non-act ac、PHA 4d acについてはn=16、aCD3aCD28 acについてはn=11、PHA on acについてはn=4、ab対照についてはn=6である。(b)では、全ての試料についてn=6である。培地対照と比較した副刺激分子の有意な上方制御は、***(p=0.0001)で示す。
【図13】静止している壊死性のPBMCはDC成熟を誘導することができないことを示す図である。DCを、非活性化PBMC(non-act. ac)(n=5)、抗CD3/CD28活性化(aCD3aCD28 ac)(n=5)に由来するアポトーシス性細胞、または、非活性化壊死性PBMC(non-act nc)(n=22)および抗CD3/CD28活性化壊死性PBMC(aCD3aCD28 nc)(n=5)と共培養した。対照試料には、培地で培養したDCが含まれた(n=8)。LPS(n=8)は、DC成熟の誘導のための陽性対照として用いた。フローサイトメトリー分析を実施する前に、DCをacと72時間共培養した。ゲートは、大きなCD1a+細胞上に設定した。培地対照と比較した有意差は、*(p=0.05)または***(p=0.0001)で示す。
【図14】アポトーシス性のPBMCからの上清はDC成熟を誘導する能力を有しないことを示す図である。aCD3aCD28で活性化した照射PBMC(act ac sup)からの上清を、4、8および24時間後に収集した。その後6日目に、上清を未熟なDCに加えた。同時に、非活性化のものおよび対応する供与体からのaCD3aCD28で活性化した照射PBMCを加えた。共培養物を72時間インキュベートした。次に細胞をCD86のために染色して、フローサイトメトリーによって分析した。提示したグラフの中で、培地対照、LPS対照、DC+非活性化アポトーシス性細胞およびDC+上清24時間についてはn=4、DC+aCD3aCD28活性化アポトーシス性細胞についてはn=5、DC+上清4時間および8時間についてはn=6である。培地対照と比較した有意差は、**(p=0.01)または***(p=0.0001)で示す。
【図15】アポトーシス性のPBMCはDCで炎症誘発性サイトカインの放出を誘導することを示す図である。未熟DCを、非活性化アポトーシス性細胞(non-act. ac)、一晩(PHA o.n. ac)または4日間(PHA 4d)PHAで活性化したアポトーシス性の細胞、またはaCD3aCD28活性化アポトーシス性細胞(aCD3aCD28 ac)と共培養した。共培養からの、または単独のaCD3aCD28 acからの上清を、4、8および24時間のインキュベーションの後に収集した。これらは、IL-6、TNFa、MIP-1β、IL-10およびIL-12p70の含有量について、Luminexで分析した。IL-10および1L-12の産生は、いずれの試料でも検出することができなかった(図示せず)。IL-6の上清についてはn=4であるが、DC+アポトーシス性細胞だけはn=1であった。TNFaの上清についてはn=6であるが、DC+アポトーシス性細胞だけはn=2であった。MIP-1βについてはn=6であるが、DC+アポトーシス性細胞だけはn=2であった。n=4の試料の統計的比較のために、対応のないt検定を用い、有意差は*(p=0.05)、**(p=0.01)または***(p=0.0001)で示す。
【図16】活性化されたアポトーシス性PBMCの取り込み後のDCによるアロ抗原提示およびT細胞活性化を示す図である。未熟なDCを、非活性化または活性化同種acと共培養した。対照ウェルでは、培地だけ(a)または活性化acだけ(d)を加えた。48時間後、CFSE標識自己由来T細胞を全てのウェルに加えた。SEBを、陽性対照(b)として加えた。T細胞添加の3、4、5または6日目に、培養物を細胞表面マーカーおよび細胞内IFNγのために染色して、フローサイトメトリーによって分析した。ゲートは、CD3+、CD1a-細胞上に設定した。培地だけおよびT細胞だけの対照(a、c)、および静止acがDCに与えられた試料(e)または自己由来のT細胞がacだけと遭遇した試料(d)では、増殖およびIFNγ産生は分析したいかなる時点でも検出されなかった。陽性対照(b)およびDCが活性化acと共培養された試料(f)では、T細胞分裂およびIFNγ産生は3日目に検出されて4日目にピークに達した。図は実験の4日目に6供与体のうち代表的な1供与体から収集された細胞を示し、数はIFNγ+T細胞の百分率を示す。
【図17A】アポトーシス性の活性化HIV-1感染T細胞の表現系の特徴を示す図である。CD4+T細胞を健康な献血者から単離して他の刺激剤を加えない(non-activ)培養液に入れるか、または抗CD3および抗CD28 mAbで一晩活性化した。細胞は培養期間の直後に、またはDMSO中での冷凍期間の後に染色した。回収した細胞は抗CD4、抗CD25および抗CD69 mAbで染色して、フローサイトメトリーによって表面発現について分析した。データは、リンパ球上のゲートについて示す。カドラントは対照染色に基づいて設定し、数字は各カドラントにおける細胞の頻度を表す(A)。CD4+T細胞は、それらを1x BaLストックまたは10x BaLストックに感染させる前に、抗CD3および抗CD28 mAbで一晩活性化させた。感染の頻度は細胞内p24染色で測定し、フローサイトメトリーで定量化した。1つの代表的な実験のCD4+T細胞の感染動態を示す(B)。
【図17B】アポトーシス性の活性化HIV-1感染T細胞の表現系の特徴を示す図である。CD4+T細胞を健康な献血者から単離して他の刺激剤を加えない(non-activ)培養液に入れるか、または抗CD3および抗CD28 mAbで一晩活性化した。細胞は培養期間の直後に、またはDMSO中での冷凍期間の後に染色した。回収した細胞は抗CD4、抗CD25および抗CD69 mAbで染色して、フローサイトメトリーによって表面発現について分析した。データは、リンパ球上のゲートについて示す。カドラントは対照染色に基づいて設定し、数字は各カドラントにおける細胞の頻度を表す(A)。CD4+T細胞は、それらを1x BaLストックまたは10x BaLストックに感染させる前に、抗CD3および抗CD28 mAbで一晩活性化させた。感染の頻度は細胞内p24染色で測定し、フローサイトメトリーで定量化した。1つの代表的な実験のCD4+T細胞の感染動態を示す(B)。
【図18A】アポトーシス性の活性化HIV-1感染T細胞はヒトDCでCD86およびCD83の発現を誘導することを示す図である。IL-4およびGM-CSFの存在下で6日間培養したヒトのin vitro分化単球を、CD1aの発現、CD14の欠如およびCD40、CD80、CD86およびCD83の低発現によって定義されるヒト未熟DCの供与源として用いた。これらの未熟なDCを異なるアポトーシス性細胞と72時間または7日間共培養し、次に、CD86分子の発現についてフローサイトメトリーで分析した。ゲートは、大きなCD1a+CD3-細胞上に設定した。強力なDC活性化剤であるLPSを陽性対照として用い、培地だけで培養したDCを陰性対照として用いた。 未熟なDCを、培地で、HIV-1 BaL(+BaL)、アポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4)、遊離のHIV-1 BaLの存在下でのアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4+BaL)、アポトーシス性の活性化HIV-1 BaL感染CD4+T細胞(apopBaLCD4)、遊離のHIV-1 BaLの存在下でのアポトーシス性の活性化HIV-1 BaL感染CD4+T細胞の存在下で培養した。ゲートは、大きなCD1a+CD3-細胞上に設定した。共培養7日後の代表的なフローサイトメトリーデータを(A)で示す。72時間では少なくとも11供与体の、7日間では7供与体のCD86を発現するDCの平均頻度±SDを(B)で示す。共培養の前後のDC上のCD83発現を、4供与体で検討した。有意差はノンパラメトリックなマン-ホイットニー検定法によって評価し、それぞれ、**(P<0.01)および***(P<0.001)で示す。
【図18B】アポトーシス性の活性化HIV-1感染T細胞はヒトDCでCD86およびCD83の発現を誘導することを示す図である。IL-4およびGM-CSFの存在下で6日間培養したヒトのin vitro分化単球を、CD1aの発現、CD14の欠如およびCD40、CD80、CD86およびCD83の低発現によって定義されるヒト未熟DCの供与源として用いた。これらの未熟なDCを異なるアポトーシス性細胞と72時間または7日間共培養し、次に、CD86分子の発現についてフローサイトメトリーで分析した。ゲートは、大きなCD1a+CD3-細胞上に設定した。強力なDC活性化剤であるLPSを陽性対照として用い、培地だけで培養したDCを陰性対照として用いた。 未熟なDCを、培地で、HIV-1 BaL(+BaL)、アポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4)、遊離のHIV-1 BaLの存在下でのアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4+BaL)、アポトーシス性の活性化HIV-1 BaL感染CD4+T細胞(apopBaLCD4)、遊離のHIV-1 BaLの存在下でのアポトーシス性の活性化HIV-1 BaL感染CD4+T細胞の存在下で培養した。ゲートは、大きなCD1a+CD3-細胞上に設定した。共培養7日後の代表的なフローサイトメトリーデータを(A)で示す。72時間では少なくとも11供与体の、7日間では7供与体のCD86を発現するDCの平均頻度±SDを(B)で示す。共培養の前後のDC上のCD83発現を、4供与体で検討した。有意差はノンパラメトリックなマン-ホイットニー検定法によって評価し、それぞれ、**(P<0.01)および***(P<0.001)で示す。
【図19A】活性化されたアポトーシス性のCD4+T細胞に曝露したDCからのサイトカインの急速な放出を示す図である。未熟なDCを、異なるアポトーシス性の細胞と4時間、8時間および24時間共培養し、培養液上清を、IL-6、IL-8、TNF-a、IL-2、IFN-γ、MIP-1aおよびMIP-1βの存在についてLuminexで分析した。培地だけで培養したDCは陰性対照であり、強力なDC活性化剤であるLPSは陽性対照として用いた。HIVBaL(BaL)、抗CD3および抗CD28活性化アポトーシス性CD4 T細胞(apo)またはHIVBaLの存在下での抗CD3および抗CD28活性化アポトーシス性CD4 T細胞(apo+Bal)に、DCを曝露した。示した結果は、7供与体からの平均±SDである。放出されたTNF-aおよびIFN-γは(A)に、MIP-1aおよびMIP-1βは(B)に示す。
【図19B】活性化されたアポトーシス性のCD4+T細胞に曝露したDCからのサイトカインの急速な放出を示す図である。未熟なDCを、異なるアポトーシス性の細胞と4時間、8時間および24時間共培養し、培養液上清を、IL-6、IL-8、TNF-a、IL-2、IFN-γ、MIP-1aおよびMIP-1βの存在についてLuminexで分析した。培地だけで培養したDCは陰性対照であり、強力なDC活性化剤であるLPSは陽性対照として用いた。HIVBaL(BaL)、抗CD3および抗CD28活性化アポトーシス性CD4 T細胞(apo)またはHIVBaLの存在下での抗CD3および抗CD28活性化アポトーシス性CD4 T細胞(apo+Bal)に、DCを曝露した。示した結果は、7供与体からの平均±SDである。放出されたTNF-aおよびIFN-γは(A)に、MIP-1aおよびMIP-1βは(B)に示す。
【図20A】アポトーシス性の活性化T細胞との共培養の後のHIV-1感染DCの頻度低下を示す図である。未熟なDCを、HIV-1 BaL(BaL)、アポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4)、HIV-1 BaLの存在下でのアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4+BaL)、アポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化HIV-1 BaL感染CD4+T細胞(apopCD4BaL)、遊離のウイルスの存在下でのアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化HIV-1 BaL感染CD4+T細胞(apopCD4BaL+BaL)に曝露した。感染DCの頻度は、72時間および7日後の細胞内p24染色のフローサイトメトリーによって評価した。パネルAは感染7日後の代表的な染色を示す。(B)左パネルは11供与体からの個々の結果を示し、右パネルはp24陽性DCの平均頻度±SDを表す。有意差はノンパラメトリックなウィルコクソン検定法によって評価し、**(P<0.01)で示す。
【図20B】アポトーシス性の活性化T細胞との共培養の後のHIV-1感染DCの頻度低下を示す図である。未熟なDCを、HIV-1 BaL(BaL)、アポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4)、HIV-1 BaLの存在下でのアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apopCD4+BaL)、アポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化HIV-1 BaL感染CD4+T細胞(apopCD4BaL)、遊離のウイルスの存在下でのアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化HIV-1 BaL感染CD4+T細胞(apopCD4BaL+BaL)に曝露した。感染DCの頻度は、72時間および7日後の細胞内p24染色のフローサイトメトリーによって評価した。パネルAは感染7日後の代表的な染色を示す。(B)左パネルは11供与体からの個々の結果を示し、右パネルはp24陽性DCの平均頻度±SDを表す。有意差はノンパラメトリックなウィルコクソン検定法によって評価し、**(P<0.01)で示す。
【図21】アポトーシス性の非活性化一次T細胞との共培養では見られないがアポトーシス性の活性化T細胞との共培養の後のHIV-1感染DCの頻度低下を示す図である。未熟なDCを、HIV-1 BaL(BaL)、アポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞(apop. activeCD4)、またはHIV-1 BaLの存在下での非活性化一次CD4+T細胞(apop.non-active CD4)に曝露した。感染DCの頻度は、7日後の細胞内p24染色のフローサイトメトリーによって評価した。結果は、少なくとも3供与体からのp24を発現するDCの平均±SDで示す。
【図22】DCとアポトーシス性の活性化T細胞との共培養から収集した上清への曝露の後のHIV-1感染DCの成熟の誘導および頻度の低下を示す図である。DCとアポトーシス性の活性化T細胞との共培養から24時間後に上清を収集した。HIV1BaLの存在下で、未熟なDCを増大する濃度(最終量1ml)の上清に曝露した。CD86の発現および細胞内p24発現は、それぞれ72時間後および7日後にフローサイトメトリーで測定した。2つのうちの代表的な1実験を示す。
【図23】HIV-1 BaLへの曝露の前後のアポトーシス性の活性化T細胞との共培養の後のDCにおけるHIV-1感染の頻度低下を示す図である。未熟なDCを、HIV-1 BaL(BaL)またはBaLおよびアポトーシス性の抗CD3および抗CD28活性化CD4+T細胞の両方(irrCD4)に曝露した。アポトーシス性の活性化CD4+T細胞をウイルスと同時に(irrCD4+Bal)、BaLの添加より30分、1時間または2時間前に加えたか、または、逆に、DC培養物を先ずアポトーシス性の活性化CD4+T細胞の添加の前に30分、1時間または2時間BaLと一緒にインキュベートした。感染DCの頻度は、7日後の細胞内p24染色のフローサイトメトリーによって評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
病的状態の治療的または予防的処置のための細胞性ワクチンであって、抗原成分および/またはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変されたCD4+T細胞の集団を含むかまたはそれからなり、
T細胞は、
(a)活性化されているかまたは活性化することができ、
(b)アポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができるワクチン。
【請求項2】
前記CD4+T細胞は、
a)CD4+T細胞の集団を活性化する段階と、
b)抗原成分または抗原成分をコードする核酸分子を含むようにCD4+T細胞の集団を改変する段階と、
c)CD4+T細胞の集団がアポトーシスを経るように誘導する段階と
を含む方法によって得ることができ、段階(a)から(c)は任意の順序で実施することができる、請求項1に記載の細胞性ワクチン。
【請求項3】
前記方法はCD4+T細胞の集団を適当な培地で培養する段階をさらに含む、請求項2に記載の細胞性ワクチン。
【請求項4】
前記方法はCD4+T細胞の集団を冷凍する段階をさらに含む、請求項2または3に記載の細胞性ワクチン。
【請求項5】
CD4+T細胞は一次リンパ球から単離/誘導される、請求項1から4のいずれか一項に記載の細胞性ワクチン。
【請求項6】
CD4+T細胞は細胞性ワクチンを使用する予定の対象に由来する、請求項1から5のいずれか一項に記載の細胞性ワクチン。
【請求項7】
CD4+T細胞は細胞性ワクチンを使用する予定の対象と同じ種に由来する、請求項1から5のいずれか一項に記載の細胞性ワクチン。
【請求項8】
CD4+T細胞はレクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される活性化剤への曝露によって活性化されているかまたは活性化することができる、請求項1から7のいずれか一項に記載の細胞性ワクチン。
【請求項9】
活性化剤はPHAである、請求項8に記載の細胞性ワクチン。
【請求項10】
活性化剤は単独のまたは抗CD28抗体と組み合わせた抗CD3抗体である、請求項8に記載の細胞性ワクチン。
【請求項11】
活性化剤は抗CD49d抗体である、請求項8に記載の細胞性ワクチン。
【請求項12】
CD4+T細胞は微生物もしくはその抗原成分、または微生物もしくはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される、請求項1から11のいずれか一項に記載の細胞性ワクチン。
【請求項13】
微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される、請求項12に記載の細胞性ワクチン。
【請求項14】
微生物はウイルスである、請求項13に記載の細胞性ワクチン。
【請求項15】
ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される、請求項14に記載の細胞性ワクチン。
【請求項16】
ウイルスはHIVウイルスである、請求項15に記載の細胞性ワクチン。
【請求項17】
ウイルスはHIV1またはHIV2である、請求項16に記載の細胞性ワクチン。
【請求項18】
微生物は細菌である、請求項13に記載の細胞性ワクチン。
【請求項19】
細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される、請求項18に記載の細胞性ワクチン。
【請求項20】
微生物は原生動物である、請求項13に記載の細胞性ワクチン。
【請求項21】
原生動物はマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、四日熱マラリア原虫および膣トリコモナスからなる群から選択される、請求項20に記載の細胞性ワクチン。
【請求項22】
CD4+T細胞は癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される、請求項1から11のいずれか一項に記載の細胞性ワクチン。
【請求項23】
癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される、請求項22に記載の細胞性ワクチン。
【請求項24】
CD4+T細胞はガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択されるアポトーシス誘導因子への曝露によってアポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる、請求項1から23のいずれか一項に記載の細胞性ワクチン。
【請求項25】
アポトーシス誘導因子はガンマ照射である、請求項24に記載の細胞性ワクチン。
【請求項26】
抗原提示細胞の集団をさらに含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の細胞性ワクチン。
【請求項27】
抗原提示細胞はマクロファージである、請求項26に記載の細胞性ワクチン。
【請求項28】
抗原提示細胞は樹状細胞である、請求項26に記載の細胞性ワクチン。
【請求項29】
細胞は冷凍される、請求項1から28のいずれか一項に記載の細胞性ワクチン。
【請求項30】
請求項1から29のいずれか一項に記載の細胞性ワクチンおよび薬剤として許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項31】
請求項1から29のいずれか一項に記載の細胞性ワクチンを作製する方法であって、
a)CD4+T細胞の集団を得る段階と、
b)抗原成分または抗原成分をコードする核酸分子を含むようにCD4+T細胞を改変する段階と
を含み、
T細胞は活性化されており(または活性化することができ)、アポトーシス性である(またはアポトーシス性にすることができる)方法。
【請求項32】
段階(a)は一次リンパ球からCD4+T細胞を単離/精製する段階を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
段階(a)のCD4+T細胞の集団は細胞性ワクチンを使用する予定の対象に由来する、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
段階(a)のCD4+T細胞の集団は細胞性ワクチンを使用する予定の対象と同じ種に由来する、請求項31または32に記載の方法。
【請求項35】
段階(b)は、微生物もしくはその抗原成分、または微生物もしくはその抗原成分をコードする核酸分子を含むようにCD4+T細胞を改変する段階を含む、請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、プリオン、古細菌、酵母、真菌およびウイルスからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
微生物はウイルスである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ウイルスはHIVウイルスである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ウイルスはHIV1またはHIV2である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
微生物は細菌である、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
微生物は原生動物である、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
原生動物はマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、四日熱マラリア原虫および膣トリコモナスからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
段階(b)は、癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むようにCD4+T細胞を改変する段階を含む、請求項31から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
CD4+T細胞はトランスフェクション、感染および融合からなる群から選択される方法を用いて改変される、請求項31から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
CD4+T細胞は抗原成分をコードする核酸分子によるトランスフェクションによって改変される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
トランスフェクションはナノ粒子を用いて達成される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
CD4+T細胞はウイルス感染によって改変される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
CD4+T細胞を活性化する段階をさらに含む、請求項31から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
CD4+T細胞は、レクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される活性化剤への曝露によって活性化されている、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
活性化剤はPHAである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
活性化剤は単独のまたは抗CD28抗体と組み合わせた抗CD3抗体である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
活性化剤は抗CD49d抗体である、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
CD4+T細胞を培養する段階をさらに含む、請求項31から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
CD4+T細胞を冷凍する段階をさらに含む、請求項31から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
CD4+T細胞がアポトーシスを経るように誘導する段階をさらに含む、請求項31から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
アポトーシスは、ガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択されるアポトーシス誘導因子への曝露によって誘導される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
アポトーシス誘導因子はガンマ照射である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
抗原提示細胞の集団を細胞性ワクチンに加える段階をさらに含む、請求項31から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
抗原提示細胞はマクロファージである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
抗原提示細胞は樹状細胞である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
請求項31から63のいずれか一項に記載の方法であって、
(a)末梢血単核細胞(PBMC)を試験対象患者の血液サンプルから単離する段階と、
(b)段階(a)で単離したPBMCを、CD4+細胞に関して濃縮する段階(例えば、CD8+細胞をPBMCから除去する)と、
(c)段階(b)で得られたCD4+細胞に関して濃縮した細胞をin vitroで培養する段階と、
(d)細胞を(例えば、IL-2の存在下で抗CD8および抗CD28 mAbで)活性化する段階と、
(e)患者からのHIVウイルスストックを提供するために上清を収集する段階と、
(f)得られたウイルスストックを冷凍保存する段階と、
(g)段階(a)および(b)を繰り返して免疫原として用いる細胞を調製する段階と、
(h)段階(g)で得られた細胞をin vitroで培養する段階と、
(i)細胞を(例えば、IL-2の存在下で抗CD8および抗CD28 mAbで)活性化する段階と、
(j)感染細胞を得るために、活性化されたCD8陰性PBMCを段階(f)で得られたストックからの自己由来のウイルスと一緒にインキュベートする段階と、
(k)患者の免疫化当日、感染細胞を解凍(凍結している場合)、洗浄して、アポトーシス誘導因子(例えばガンマ照射)に曝露させる段階と、
(l)アポトーシス誘導の後細胞を室温に保ち、2時間以内に免疫化のために用いる段階と
を順番に含む方法。
【請求項65】
病的状態にある対象の処置方法であって、請求項1から29のいずれか一項に記載の細胞性ワクチンまたは請求項30に記載の医薬組成物を対象に投与する段階を含む方法。
【請求項66】
病的状態は細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される微生物に起因する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
微生物はウイルスである、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
ウイルスはHIVウイルスである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
ウイルスはHIV1またはHIV2である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
微生物は細菌である、請求項65または66に記載の方法。
【請求項72】
細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
微生物は原生動物である、請求項65または66に記載の方法。
【請求項74】
原生動物はマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、四日熱マラリア原虫および膣トリコモナスからなる群から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
病的状態は癌である、請求項65に記載の方法。
【請求項76】
癌は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌からなる群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
細胞性ワクチン中のT細胞は対象への投与の直前にアポトーシス誘導因子に曝露される、請求項65から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
医療で使用するための、請求項1から29のいずれか一項に記載の細胞性ワクチンまたは請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項79】
病的状態にある対象の処置で使用するための、請求項1から29のいずれか一項に記載の細胞性ワクチンまたは請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項80】
病的状態にある対象の処置のための医薬の調製における、請求項1から29のいずれか一項に記載の細胞性ワクチンまたは請求項30に記載の医薬組成物の使用。
【請求項81】
ワクチン接種法で使用するアジュバント組成物であって、T細胞の集団を含むかまたはそれからなり、T細胞は、
(a)活性化されているかまたは活性化することができ、
(b)アポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる組成物。
【請求項82】
CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を含むかまたはそれからなる、請求項81に記載のアジュバント組成物。
【請求項83】
PBMCを含むかまたはそれからなる、請求項82に記載のアジュバント組成物。
【請求項84】
CD4+T細胞を優先してまたは主に、例えばCD4+T細胞を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上含む、請求項81から83のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項85】
CD8+T細胞を優先してまたは主に、例えばCD8+T細胞を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上含む、請求項81から83のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項86】
T細胞は一次リンパ球から単離/誘導される、請求項81から85のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項87】
T細胞はアジュバント組成物を使用する予定の対象に由来する、請求項81から86のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項88】
T細胞はアジュバント組成物を使用する予定の対象と同じ種に由来する、請求項81から86のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項89】
T細胞はレクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される活性化剤への曝露によって活性化されているかまたは活性化することができる、請求項81から89のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項90】
活性化剤はPHAである、請求項89に記載のアジュバント組成物。
【請求項91】
活性化剤は単独のまたは抗CD28抗体と組み合わせた抗CD3抗体である、請求項89に記載のアジュバント組成物。
【請求項92】
活性化剤は抗CD49d抗体である、請求項89に記載のアジュバント組成物。
【請求項93】
CD4+T細胞はガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択されるアポトーシス誘導因子への曝露によってアポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる、請求項81から92のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項94】
アポトーシス誘導因子はガンマ照射である、請求項93に記載のアジュバント組成物。
【請求項95】
アジュバントはHIV、結核、マラリア、インフルエンザおよび癌からなる群から選択される病的状態に対してワクチンと併用使用するためのものである、請求項81から94のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項96】
ワクチンはHIVワクチンである、請求項95に記載のアジュバント組成物。
【請求項97】
ワクチンは癌ワクチンである、請求項95に記載のアジュバント組成物。
【請求項98】
ワクチンはアデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される弱毒化されたまたは元のウイルスのベクター、ならびに、細菌ベクター(例えば結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択されるベクター)を含むかまたはそれからなる、請求項81から97のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項99】
T細胞は抗原成分および/またはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される、請求項81から98のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項100】
T細胞は微生物もしくはその抗原成分、または微生物もしくはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される、請求項99に記載のアジュバント組成物。
【請求項101】
微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される、請求項100に記載のアジュバント組成物。
【請求項102】
微生物はウイルスである、請求項101に記載のアジュバント組成物。
【請求項103】
ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される、請求項102に記載のアジュバント組成物。
【請求項104】
ウイルスはHIVウイルスである、請求項103に記載のアジュバント組成物。
【請求項105】
ウイルスはHIV1またはHIV2である、請求項104に記載のアジュバント組成物。
【請求項106】
微生物は細菌である、請求項101に記載のアジュバント組成物。
【請求項107】
細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される、請求項101に記載のアジュバント組成物。
【請求項108】
微生物は原生動物である、請求項101に記載のアジュバント組成物。
【請求項109】
原生動物はマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、四日熱マラリア原虫および膣トリコモナスからなる群から選択される、請求項101に記載のアジュバント組成物。
【請求項110】
T細胞は癌細胞の抗原成分またはそのような抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される、請求項99に記載のアジュバント組成物。
【請求項111】
癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される、請求項110に記載のアジュバント組成物。
【請求項112】
抗原提示細胞の集団をさらに含む、請求項81から111のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項113】
抗原提示細胞はマクロファージである、請求項112に記載のアジュバント組成物。
【請求項114】
抗原提示細胞は樹状細胞である、請求項112に記載のアジュバント組成物。
【請求項115】
冷凍される、請求項81から114のいずれか一項に記載のアジュバント組成物。
【請求項116】
請求項81から115のいずれか一項に記載のアジュバント組成物および薬剤として許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項117】
(a)請求項81から115のいずれか一項に記載のアジュバント組成物、および
(b)ワクチンを含み、
各成分(a)および(b)は薬剤として許容される希釈剤または担体との混合物で製剤化される組合せ製品。
【請求項118】
請求項81から115のいずれか一項に記載のアジュバント組成物、ワクチンおよび薬剤として許容される希釈剤または担体を含む請求項117に記載の組合せ製品。
【請求項119】
請求項118に記載の組合せ製品であって、成分:
(a)請求項116に記載の医薬製剤、および
(b)ワクチンを含み、
成分(a)および(b)はそれぞれ他との併用投与に適した形態で提供される、パーツのキットを含む組合せ製品。
【請求項120】
請求項81から115のいずれか一項に記載のアジュバント組成物を作製する方法であって、T細胞の集団を得る段階を含み、T細胞は活性化されており(または活性化することができ)、アポトーシス性である(またはアポトーシス性にすることができる)方法。
【請求項121】
T細胞は一次リンパ球から単離/精製される、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
段階(a)のT細胞集団はアジュバント組成物を使用する予定の対象に由来する、請求項120または121に記載の方法。
【請求項123】
段階(a)のT細胞集団はアジュバント組成物を使用する予定の対象と同じ種に由来する、請求項120または121に記載の方法。
【請求項124】
T細胞を活性化剤に曝露させる段階をさらに含む、請求項120から123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
活性化剤はレクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
活性化剤はPHAである、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
活性化剤は単独のまたは抗CD28抗体と組み合わせた抗CD3抗体である、請求項125に記載の方法。
【請求項128】
活性化剤は抗CD49d抗体である、請求項125に記載の方法。
【請求項129】
T細胞をアポトーシス誘導因子に曝露させる段階をさらに含む、請求項120から128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
アポトーシス誘導因子はガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択される、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
アポトーシス誘導因子はガンマ照射である、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
抗原成分または抗原成分をコードする核酸分子を含むようにT細胞を改変する段階をさらに含む、請求項120から131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
抗原成分は微生物またはその抗原成分である、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、プリオン、古細菌、酵母、真菌およびウイルスからなる群から選択される、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
微生物はウイルスである、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
ウイルスはHIVウイルスである、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
ウイルスはHIV1またはHIV2である、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
微生物は細菌である、請求項134に記載の方法。
【請求項140】
細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
微生物は原生動物である、請求項134に記載の方法。
【請求項142】
原生動物はマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、四日熱マラリア原虫および膣トリコモナスからなる群から選択される、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
抗原成分は癌細胞からのものである、請求項132に記載の方法。
【請求項144】
癌細胞は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
T細胞はトランスフェクション、感染および融合からなる群から選択される方法を用いて改変される、請求項132から144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
T細胞は抗原成分をコードする核酸分子によるトランスフェクションによって改変される、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
トランスフェクションはナノ粒子を用いて達成される、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
T細胞はウイルス感染によって改変される、請求項145に記載の方法。
【請求項149】
T細胞を培養する段階をさらに含む、請求項120から148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
T細胞を冷凍する段階をさらに含む、請求項120から149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
抗原提示細胞の集団を細胞性ワクチンに加える段階をさらに含む、請求項120から150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
抗原提示細胞はマクロファージである、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
抗原提示細胞は樹状細胞である、請求項151に記載の方法。
【請求項154】
病的状態にある対象の処置方法であって、ワクチンおよび請求項81から115のいずれか一項に記載のアジュバント組成物、請求項116に記載の医薬組成物、または請求項117から119のいずれか一項に記載の組合せ製品を対象に投与する段階を含む方法。
【請求項155】
方法はワクチン接種である、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
病的状態は、細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される微生物に起因する、請求項154または155に記載の方法。
【請求項157】
微生物はウイルスである、請求項154から156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
ウイルスはHIVウイルスである、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
ウイルスはHIV1またはHIV2である、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
微生物は細菌である、請求項154から156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
微生物は原生動物である、請求項154から156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
原生動物はマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、四日熱マラリア原虫および膣トリコモナスからなる群から選択される、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
病的状態は癌である、請求項154または155に記載の方法。
【請求項166】
癌は乳房、胆管、脳、結腸、胃、骨、生殖器、肺および気道、皮膚、胆嚢、肝臓、鼻咽頭、神経細胞、腎臓、前立腺、リンパ腺、消化管、骨髄、血液およびウイルスを含む他の腫瘍細胞の癌細胞からなる群から選択される、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
アジュバント組成物中のT細胞は対象への投与の直前にアポトーシス誘導因子に曝露される、請求項154から166のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
医療で用いるための請求項81から115のいずれか一項に記載のアジュバント組成物、請求項116に記載の医薬組成物、または請求項117から119のいずれか一項に記載の組合せ製品。
【請求項169】
病的状態にある対象の処置で用いるための請求項81から115のいずれか一項に記載のアジュバント組成物、請求項116に記載の医薬組成物、または請求項117から119のいずれか一項に記載の組合せ製品。
【請求項170】
病的状態にある対象の処置のための医薬の調製における、請求項81から115のいずれか一項に記載のアジュバント組成物、請求項116に記載の医薬組成物、または請求項117から119のいずれか一項に記載の組合せ製品の使用。
【請求項171】
対象に対して請求項81から115のいずれか一項に記載のアジュバント組成物、請求項116に記載の医薬組成物、または請求項117から119のいずれか一項に記載の組合せ製品を投与する段階を含む、ワクチンの効果を増強する方法。
【請求項172】
抗原提示細胞を請求項81から115のいずれか一項に記載のアジュバント組成物、請求項116に記載の医薬組成物、または請求項117から119のいずれか一項に記載の組合せ製品と接触させる段階を含む、抗原提示細胞の活性化方法。
【請求項173】
抗原提示細胞に曝露させると殺菌活性を有するかまたはそれが可能になる組成物であって、T細胞の集団を含むかまたはそれからなり、T細胞は、
(a)活性化されているかまたは活性化することができ、
(b)アポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる組成物。
【請求項174】
CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を含むかまたはそれからなる、請求項173に記載の組成物。
【請求項175】
PBMCを含むかまたはそれからなる、請求項174に記載の組成物。
【請求項176】
CD4+T細胞を優先してまたは主に、例えばCD4+T細胞を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上含む、請求項172から175のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項177】
CD8+T細胞を優先してまたは主に、例えばCD8+T細胞を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上含む、請求項172から175のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項178】
T細胞は一次リンパ球から単離/誘導される、請求項173から177のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項179】
T細胞は組成物を使用する予定の対象に由来する、請求項173から178のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項180】
T細胞は組成物を使用する予定の対象と同じ種に由来する、請求項173から178のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項181】
T細胞は不死化細胞系から得られるかまたは誘導される、請求項173から180のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項182】
T細胞は、レクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される活性化剤への曝露によって活性化されているかまたは活性化することができる、請求項173または181に記載の組成物。
【請求項183】
活性化剤はPHAである、請求項182に記載の組成物。
【請求項184】
活性化剤は単独のまたは抗CD28抗体と組み合わせた抗CD3抗体である、請求項182に記載の組成物。
【請求項185】
活性化剤は抗CD49d抗体である、請求項182に記載の組成物。
【請求項186】
T細胞はガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択されるアポトーシス誘導因子への曝露によってアポトーシス性であるかまたはアポトーシス性にすることができる、請求項173から185のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項187】
アポトーシス誘導因子はガンマ照射である、請求項186に記載の組成物。
【請求項188】
T細胞は抗原成分および/またはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される、請求項173から187のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項189】
T細胞は微生物もしくはその抗原成分、または微生物もしくはその抗原成分をコードする核酸分子を含むように改変される、請求項188に記載の組成物。
【請求項190】
微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、プリオン、古細菌、酵母、真菌およびウイルスからなる群から選択される、請求項189に記載の組成物。
【請求項191】
微生物はウイルスである、請求項190に記載の組成物。
【請求項192】
ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される、請求項191に記載の組成物。
【請求項193】
ウイルスはHIVウイルスである、請求項192に記載の組成物。
【請求項194】
ウイルスはHIV1またはHIV2である、請求項193に記載の組成物。
【請求項195】
微生物は細菌である、請求項190に記載の組成物。
【請求項196】
細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される、請求項195に記載の組成物。
【請求項197】
微生物は原生動物である、請求項190に記載の組成物。
【請求項198】
原生動物はマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、四日熱マラリア原虫および膣トリコモナスからなる群から選択される、請求項197に記載の組成物。
【請求項199】
抗原提示細胞の集団をさらに含む、請求項173から198のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項200】
抗原提示細胞はマクロファージである、請求項199に記載の組成物。
【請求項201】
抗原提示細胞は樹状細胞である、請求項199に記載の組成物。
【請求項202】
冷凍される、請求項173から201のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項203】
薬剤として許容される担体または希釈剤をさらに含む、請求項173から202のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項204】
(a)請求項173から203のいずれか一項に記載の組成物、および
(b)抗原提示細胞の集団を含み、
各成分(a)および(b)は薬剤として許容される希釈剤または担体との混合物で製剤化される、組合せ製品。
【請求項205】
請求項173から203のいずれか一項に記載の組成物、抗原提示細胞の集団および薬剤として許容される希釈剤または担体を含む、請求項204に記載の組合せ製品。
【請求項206】
請求項204に記載の組合せ製品であって、成分:
(a)請求項173から203のいずれか一項に記載の組成物、および
(b)抗原提示細胞の集団を含み、
成分(a)および(b)はそれぞれ他との併用投与に適した形態で提供される、パーツのキットを含む組合せ製品。
【請求項207】
冷凍される、請求項204から206のいずれか一項に記載の組合せ製品。
【請求項208】
請求項173から203のいずれか一項に記載の組成物を作製する方法であって、T細胞の集団を得る段階を含み、T細胞は活性化されており(または活性化することができ)、アポトーシス性である(またはアポトーシス性にすることができる)方法。
【請求項209】
T細胞は一次リンパ球から単離/精製される、請求項208に記載の方法。
【請求項210】
段階(a)のT細胞集団は組成物を使用する予定の対象に由来する、請求項208または209に記載の方法。
【請求項211】
段階(a)のT細胞集団は組成物を使用する予定の対象と同じ種に由来する、請求項208または209に記載の方法。
【請求項212】
T細胞を活性化剤に曝露させる段階をさらに含む、請求項208から211のいずれか一項に記載の方法。
【請求項213】
活性化剤はレクチン(例えばPHAおよびConA)、T細胞でCa2+流入を誘導する化学物質または薬剤(例えばイオノマイシン)、同種抗原、超抗原(例えばSEAおよびSEB)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD3、抗CD28および抗CD49d)、サイトカイン(例えばIL-1およびTNF-a、ケモカインおよびケモカイン受容体、ならびにT細胞表面受容体またはそれらのシグナル伝達分子に干渉することができる分子からなる群から選択される、請求項212に記載の方法。
【請求項214】
活性化剤はPHAである、請求項213に記載の方法。
【請求項215】
活性化剤は単独のまたは抗CD28抗体と組み合わせた抗CD3抗体である、請求項213に記載の方法。
【請求項216】
活性化剤は抗CD49d抗体である、請求項213に記載の方法。
【請求項217】
CD4+T細胞をアポトーシス誘導因子に曝露させる段階をさらに含む、請求項208から216のいずれか一項に記載の方法。
【請求項218】
アポトーシス誘導因子はガンマ照射、細胞増殖抑制剤、UV照射、マイトマイシンC、飢餓(例えば血清枯渇)、Fasライゲーション、サイトカインおよび細胞死受容体の活性化因子(ならびにそれらのシグナル伝達分子)、成長因子(およびそれらのシグナル伝達分子)、サイクリンに対する干渉、発癌遺伝子の過剰発現、抗アポトーシス分子に干渉する分子、ミトコンドリアの膜電位の干渉およびステロイドからなる群から選択される、請求項217に記載の方法。
【請求項219】
アポトーシス誘導因子はガンマ照射である、請求項218に記載の方法。
【請求項220】
抗原成分または抗原成分をコードする核酸分子を含むようにT細胞を改変する段階をさらに含む、請求項208から219のいずれか一項に記載の方法。
【請求項221】
抗原成分は微生物またはその抗原成分である、請求項220に記載の方法。
【請求項222】
微生物は細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される、請求項221に記載の方法。
【請求項223】
微生物はウイルスである、請求項222に記載の方法。
【請求項224】
ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される、請求項223に記載の方法。
【請求項225】
ウイルスはHIVウイルスである、請求項224に記載の方法。
【請求項226】
ウイルスはHIV1またはHIV2である、請求項225に記載の方法。
【請求項227】
微生物は細菌である、請求項222に記載の方法。
【請求項228】
細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される、請求項227に記載の方法。
【請求項229】
微生物は原生動物である、請求項222に記載の方法。
【請求項230】
原生動物はマラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、四日熱マラリア原虫および膣トリコモナスからなる群から選択される、請求項229に記載の方法。
【請求項231】
T細胞はトランスフェクション、感染および融合からなる群から選択される方法を用いて改変される、請求項208から230のいずれか一項に記載の方法。
【請求項232】
T細胞は抗原成分をコードする核酸分子によるトランスフェクションによって改変される、請求項231に記載の方法。
【請求項233】
トランスフェクションはナノ粒子を用いて達成される、請求項232に記載の方法。
【請求項234】
T細胞はウイルス感染によって改変される、請求項231に記載の方法。
【請求項235】
T細胞を培養する段階をさらに含む、請求項208から234のいずれか一項に記載の方法。
【請求項236】
T細胞を冷凍する段階をさらに含む、請求項208から235のいずれか一項に記載の方法。
【請求項237】
抗原提示細胞の集団を組成物に加える段階をさらに含む、請求項208から236のいずれか一項に記載の方法。
【請求項238】
抗原提示細胞はマクロファージである、請求項237に記載の方法。
【請求項239】
抗原提示細胞は樹状細胞である、請求項237に記載の方法。
【請求項240】
病的状態にある対象の処置方法であって、請求項173から203のいずれか一項に記載の組成物または請求項204から207のいずれか一項に記載の組合せ製品を対象に投与する段階を含む方法。
【請求項241】
病的状態は細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される微生物に起因する、請求項240に記載の方法。
【請求項242】
微生物はウイルスである、請求項240または241に記載の方法。
【請求項243】
ウイルスはレトロウイルス(例えばHIV1およびHIV2などのHIVウイルス)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス1、2および5、チンパンジー)、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、CMV、EBウイルス(EBV)、ヘルペスウイルス(例えばHHV6、HHV7およびHHV8)、ヒトT細胞リンホトロピックウイルス(例えばHTLV1およびHTLV2)、ポックスウイルス(例えばカナリア痘ウイルス、種痘疹)、狂犬病ウイルス、マウス白血病ウイルス、αレプリコン、麻疹、風疹、ポリオ、カリシウイルス、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、パピローマ、レポリポックスウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルスおよびオルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)からなる群から選択される、請求項242に記載の方法。
【請求項244】
ウイルスはHIVウイルスである、請求項243に記載の方法。
【請求項245】
ウイルスはHIV1またはHIV2である、請求項244に記載の方法。
【請求項246】
微生物は細菌である、請求項240または241に記載の方法。
【請求項247】
細菌は結核菌、サルモネラ、リステリア、梅毒トレポネーマ、淋菌、トラコーマ病原体および軟性下疳菌からなる群から選択される、請求項246に記載の方法。
【請求項248】
微生物は原生動物(例えば膣トリコモナス)または真菌(例えばカンジダアルビカンス)である、請求項240または241に記載の方法。
【請求項249】
組成物中のT細胞は対象への投与の直前にアポトーシス誘導因子に曝露される、請求項240から248のいずれか一項に記載の方法。
【請求項250】
医療で用いるための請求項173から203のいずれか一項に記載の組成物、または請求項204から207のいずれか一項に記載の組合せ製品。
【請求項251】
病的状態にある対象の処置で用いるための請求項173から203のいずれか一項に記載の組成物、または請求項204から207のいずれか一項に記載の組合せ製品。
【請求項252】
病的状態にある対象の処置のための医薬の調製における、請求項173から203のいずれか一項に記載の組成物、または請求項204から207のいずれか一項に記載の組合せ製品の使用。
【請求項253】
微生物を殺滅する医薬の調製における、請求項173から203のいずれか一項に記載の組成物、または請求項204から207のいずれか一項に記載の組合せ製品の使用。
【請求項254】
微生物を殺滅するための請求項173から203のいずれか一項に記載の組成物、または請求項204から207のいずれか一項に記載の組合せ製品の使用。
【請求項255】
病的状態は、細菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、プリオン、古細菌、真菌およびウイルスからなる群から選択される微生物に起因する、請求項254に記載の使用。
【請求項256】
微生物はウイルスである、請求項255または256に記載の使用。
【請求項257】
ウイルスはHIVウイルスである、請求項256に記載の使用。
【請求項258】
ウイルスはHIV1またはHIV2である、請求項257に記載の使用。
【請求項259】
殺菌活性を有する組成物を作製するための方法であって、活性化されたアポトーシス性のT細胞の集団を細胞培地中の抗原提示細胞の集団とin vitroで接触させる段階と、次にそこから細胞培地を得る段階とを含む方法。
【請求項260】
請求項259に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる殺菌活性を有する組成物。
【請求項261】
抗ウイルス活性を有する1つまたは複数のケモカイン/サイトカインを含む、請求項260に記載の組成物。
【請求項262】
抗原提示細胞の刺激方法であって、
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)T細胞を活性化する段階と、
c)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
d)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
e)T細胞を冷凍する段階と、
f)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と、
g)活性化アポトーシス性T細胞を抗原提示細胞に添加する段階と
を含み、各段階が実施される順序は任意選択である方法。
【請求項263】
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)T細胞を活性化する段階と、
c)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
d)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
e)T細胞を冷凍する段階と、
f)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と、
g)活性化アポトーシス性T細胞を抗原提示細胞に添加する段階と
を含む、請求項262に記載の方法。
【請求項264】
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
c)T細胞を活性化する段階と、
d)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
e)T細胞を冷凍する段階と、
f)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と、
g)活性化アポトーシス性T細胞を抗原提示細胞に添加する段階と
を含む請求項262に記載の方法。
【請求項265】
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)T細胞を活性化する段階と、
c)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
d)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
e)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と、
f)T細胞を冷凍する段階と、
g)活性化アポトーシス性T細胞を抗原提示細胞に添加する段階と
を含む請求項262に記載の方法。
【請求項266】
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
c)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
d)T細胞を活性化する段階と、
e)T細胞を冷凍する段階と、
f)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と、
g)活性化アポトーシス性T細胞を抗原提示細胞に添加する段階と
を含む請求項262に記載の方法。
【請求項267】
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
c)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
d)T細胞を活性化する段階と、
e)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と、
f)T細胞を冷凍する段階と、
g)活性化アポトーシス性T細胞を抗原提示細胞に添加する段階と
を含む請求項262に記載の方法。
【請求項268】
抗原提示細胞はマクロファージである、請求項262に記載の方法。
【請求項269】
抗原提示細胞は樹状細胞である、請求項262に記載の方法。
【請求項270】
T細胞は自己由来である、請求項262に記載の方法。
【請求項271】
T細胞は同種である、請求項262に記載の方法。
【請求項272】
T細胞の改変は感染によって実施される、請求項262に記載の方法。
【請求項273】
改変の方法はヘルペスウイルスファミリー内のウイルス、例えばEBV、およびHIVなどのレトロウイルスからなる群から選択されるウイルスによる感染によって実施される、請求項272に記載の方法。
【請求項274】
感染はHIV-1またはHIV-2で実施される、請求項272に記載の方法。
【請求項275】
T細胞の改変はトランスフェクションによって実施される、請求項228に記載の方法。
【請求項276】
トランスフェクションは微生物遺伝子で行われる、請求項275に記載の方法。
【請求項277】
トランスフェクションはHIV、B型およびC型肝炎ウイルス、CMV、EBV、インフルエンザウイルスならびに結核菌遺伝子からなる群から選択される微生物遺伝子で実行される、請求項275に記載の方法。
【請求項278】
T細胞はPHAおよびConAからなる群から選択される物質の添加によって活性化されている、請求項262に記載の方法。
【請求項279】
T細胞はSEAおよびSEBからなる群から選択される超抗原の添加によって活性化されている、請求項262に記載の方法。
【請求項280】
T細胞は抗CD3、抗CD28および抗CD49dからなる群から選択されるモノクローナル抗体の添加によって活性化されている、請求項262に記載の方法。
【請求項281】
T細胞は抗CD3および/または抗CD28の添加によって活性化されている、請求項262に記載の方法。
【請求項282】
アポトーシスはガンマ照射、細胞増殖抑制剤の添加および紫外線照射からなる群から選択される方法を用いて誘導される、請求項262に記載の方法。
【請求項283】
細胞性ワクチンのin vitro生産方法であって、
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)T細胞を活性化する段階と、
c)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
d)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
e)T細胞を冷凍する段階と、
f)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と
を含み、各段階が実施される順序は任意選択である方法。
【請求項284】
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
c)T細胞を活性化する段階と、
d)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
e)T細胞を冷凍する段階と、
f)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と
を含む、請求項283に記載の方法。
【請求項285】
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)T細胞を活性化する段階と、
c)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
d)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
e)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と、
f)T細胞を冷凍する段階と
を含む、請求項283に記載の方法。
【請求項286】
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
c)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
d)T細胞を活性化する段階と、
e)T細胞を冷凍する段階と、
f)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と
を含む、請求項283に記載の方法。
【請求項287】
a)一次リンパ球から単離されたCD4+T細胞を提供する段階と、
b)トランスフェクション、感染または融合からなる群から選択される方法を用いて微生物因子またはその抗原でT細胞を改変する段階と、
c)適当な培地でT細胞を培養する段階と、
d)T細胞を活性化する段階と、
e)T細胞におけるアポトーシスを誘導する段階と、
f)T細胞を冷凍する段階と
を含む、請求項283に記載の方法。
【請求項288】
T細胞の改変は感染によって実施される、請求項283に記載の方法。
【請求項289】
感染はヘルペスウイルスファミリー内のウイルス、例えばEBV、およびHIVなどのレトロウイルスからなる群から選択されるウイルスによって実施される、請求項288に記載の方法。
【請求項290】
感染はHIV-1またはHIV-2で実施される、請求項289に記載の方法。
【請求項291】
T細胞の改変はトランスフェクションによって実施される、請求項283に記載の方法。
【請求項292】
トランスフェクションは微生物遺伝子で行われる、請求項291に記載の方法。
【請求項293】
トランスフェクションはHIV、B型およびC型肝炎ウイルス、CMV、EBV、インフルエンザウイルスならびに結核菌遺伝子からなる群から選択される微生物遺伝子で実行される、請求項292に記載の方法。
【請求項294】
T細胞は自己由来である、請求項283に記載の方法。
【請求項295】
T細胞は同種である、請求項283に記載の方法。
【請求項296】
T細胞はPHAおよびConAからなる群から選択される物質の添加によって活性化されている、請求項283に記載の方法。
【請求項297】
T細胞はSEAおよびSEBからなる群から選択される超抗原の添加によって活性化されている、請求項283に記載の方法。
【請求項298】
T細胞は抗CD3、抗CD28および抗CD49dからなる群から選択されるモノクローナル抗体の添加によって活性化されている、請求項283に記載の方法。
【請求項299】
T細胞は抗CD3および/または抗CD28の添加によって活性化されている、請求項283に記載の方法。
【請求項300】
アポトーシスはガンマ照射、細胞増殖抑制剤の添加および紫外線照射からなる群から選択される方法を用いて誘導される、請求項283に記載の方法。
【請求項301】
アポトーシスはガンマ照射の使用によって誘導される、請求項300に記載の方法。
【請求項302】
請求項283から301のいずれか一項に記載の方法に従って生産されるワクチン。
【請求項303】
HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、CMV、EBV、インフルエンザウイルスならびに結核菌からなる群から選択される微生物に起因する病的状態の治療的処置のための、請求項302に記載のワクチン。
【請求項304】
感染性因子の予防的処置のための、請求項303に記載のワクチン。
【請求項305】
自己由来である、請求項302から304のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項306】
同種である、請求項302から305のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項307】
請求項302から306のいずれか一項に記載のワクチンおよび薬剤として許容されるその担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項308】
患者の病的状態の予防、緩和または処置のための、前記患者に請求項302から306のいずれか一項に記載のワクチンを投与する段階を含む方法。
【請求項309】
ワクチンは、HIV、B型およびC型肝炎ウイルス、CMV、EBV、インフルエンザウイルスならびに結核菌からなる群から選択されるウイルスまたは細菌に対して活性のある、請求項308に記載の方法。
【請求項310】
ワクチンはHIV-1またはHIV-2に対して活性のある、請求項309に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17(A)】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2008−539751(P2008−539751A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510639(P2008−510639)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001709
【国際公開番号】WO2006/120439
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507371456)アヴァリス・アーベー (1)
【Fターム(参考)】