方向性電磁鋼板の仕上焼鈍設備と仕上焼鈍方法
【課題】方向性電磁鋼板をバッチ式の箱型焼鈍炉を用いて仕上焼鈍する際のコイル内温度分布の不均一を改善し、形状不良および鉄損劣化を抑制することができる仕上焼鈍設備と、その設備を用いた仕上焼鈍方法を提案する。
【解決手段】コイル置台上にアップエンドに載置されたコイル内径部に挿入される、上方を閉じた外管とその内部に円筒状の内管を有する2重管構造の冷却管を立設した仕上焼鈍設備を用い、上記2重管構造の冷却管内に冷却ガスを流して外管を冷却しながら仕上焼鈍することで、コイル内周面における、加熱過程での温度上昇を抑制すると共に冷却過程での冷却を促進し、コイル内温度分布の不均一を改善する。
【解決手段】コイル置台上にアップエンドに載置されたコイル内径部に挿入される、上方を閉じた外管とその内部に円筒状の内管を有する2重管構造の冷却管を立設した仕上焼鈍設備を用い、上記2重管構造の冷却管内に冷却ガスを流して外管を冷却しながら仕上焼鈍することで、コイル内周面における、加熱過程での温度上昇を抑制すると共に冷却過程での冷却を促進し、コイル内温度分布の不均一を改善する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向性電磁鋼板の仕上焼鈍技術に関するものであり、具体的には方向性電磁鋼板の二次再結晶焼鈍および純化焼鈍に用いる仕上焼鈍設備と、その設備を用いた仕上焼鈍方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
方向性電磁鋼板は、一般に、以下のようにして製造される。まず、製鋼工程で、Siを3mass%程度含有する鋼を溶製し、連続鋳造法等で鋳片(鋼スラブ)とした後、そのスラブを再加熱した後、熱間圧延して熱延板とし、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、その後、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してコイルに巻取る。その後、そのコイルを、図2に示したように、コイル1の巻取軸が垂直となる、いわゆる「アップエンド」の状態にしてバッチ式の箱型焼鈍炉のコイル置台2上に載置し、その上にインナーケース(「インナーカバー」とも称される。)3を被せ、さらにその上に加熱炉4を被せて、加熱バーナー5でインナーケース外部から内部のコイルを加熱し、仕上焼鈍する。その後、仕上焼鈍後のコイルを巻き戻し、鋼板表面に残された焼鈍分離剤を除去した後、絶縁被膜の塗布・焼付等の各種表面処理や平坦化処理を施して製品(方向性電磁鋼板)とする。
【0003】
ここで、方向性電磁鋼板の仕上焼鈍に用いる上記インナーケースは、アップエンドに載置した電磁鋼板の素材コイルの所定位置(例えば、コイルの外面側や内面側の所定の位置)を温度管理ポイントとし、その管理ポイントを所定温度まで加熱する加熱過程と、その温度に所定の時間保持する均熱過程および上記均熱温度から所定の温度まで冷却する冷却過程の全ての過程において、電磁鋼板と接触するガスを所定の成分組成の雰囲気ガスとし、加熱炉内の雰囲気から遮蔽することによって、良好な二次再結晶を起こさせると共に、その後の純化を適切に行わせる役目を担うものである。
【0004】
ところで、従来から、上記のようなインナーケースを用いて方向性電磁鋼板の仕上焼鈍を行うと、加熱過程と冷却過程において、コイル内各位置の温度に大きな不均一が生じることが知られている。そして、この温度不均一に起因して、例えば、加熱、均熱過程では他の部分より高速昇温されて高温となる一方、冷却過程では他の部分よりも急速冷却されるコイル外周部分では、「腹伸び」や「縦じわ」などの形状不良が発生し、一方、他の部分より加熱され難いコイル中巻き部(コイル径方向中央部)では、焼鈍不足となって磁気特性が低下する等の不具合が発生していた。
【0005】
そこで、コイル内各位置間の温度不均一を改善するインナーケースが幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、インナーカバー側壁の内壁側に断熱材を張り付けることで、コイル端面側の過加熱を防止し、コイルの最外巻き寄りの鋼帯層に発生する「縦じわ」を防止する技術が開示されている。
また、特許文献2には、移動炉床式連続熱処理において、冷却過程の所定温度区間において、被熱処理品に断熱カバーを被せることで、被熱処理品内の冷却むらを抑制し、耳歪(耳伸び)を防止する技術が開示されている。
また、特許文献3には、インナーケースの上部に円筒状の凹部を設けることによって、加熱過程および冷却過程で発生するコイル内温度の不均一を改善し、形状不良や磁気特性の劣化を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−257486号公報
【特許文献2】特開平05−271790号公報
【特許文献3】特開2008−195998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や2に記載されたコイル外周部の過加熱や過冷却を防止する技術には、以下のような問題がある。例えば、特許文献1に記載のインナーケースを用いる技術では、コイル上部の過加熱を防止することができたとしても、インナーケースの側壁とそれと向かい合うコイル外周面との間の熱の授受が断熱材によって阻害されるため、仕上焼鈍の加熱時間および冷却時間が大幅に延長され、生産性の著しい低下を招く。また、特許文献2に記載の断熱カバーを被せる技術では、冷却帯の所定箇所に断熱カバーを被熱処理品に被せるための装置と、これとは別に、断熱カバーを回収するための装置とを備えることが必要となるため、設備コストの上昇を招く。
【0008】
一方、特許文献3に記載されたインナーケースでは、上記問題点はないものの、図3に示すように、冷却過程においては、冷却ノズル6から噴出した冷却ガス7がインナーケースに設けられた円筒状凹部8の下部まで到達しないため、円筒状凹部8の上部しか冷却されない。そのため、コイル上部側しか温度の不均一分布が改善されず、コイル下部側は、依然として冷却過程で発生する温度の不均一分布によって、形状不良が発生したり、磁気特性の劣化が起こったりするという問題がある。
【0009】
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、方向性電磁鋼板をバッチ式の箱型焼鈍炉を用いて仕上焼鈍する際に発生する、コイル内温度分布の不均一を改善し、形状不良および鉄損劣化を効果的に抑制することができる仕上焼鈍設備と、その設備を用いた方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、生産性を害することなく上記課題を解決するべく、加熱過程および冷却過程で生じるコイル内温度の不均一分布を改善する方法について鋭意検討した。その結果、焼鈍設備のコイル置台上面に、コイル内径部に挿入する、内管と外管からなる2重管構造の冷却管を立設し、その内部に冷却ガスを流して外管を冷却することによって、仕上焼鈍の加熱過程および冷却過程におけるコイル内温度分布の不均一を大幅に軽減し得ることを見出し、本発明を開発するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、方向性電磁鋼板の仕上焼鈍に用いるバッチ式の箱型焼鈍設備であって、コイル置台上にアップエンドに載置されたコイル内径部に挿入される、上方を閉じた外管とその内部に円筒状の内管を有する2重管構造の冷却管を立設してなることを特徴とする仕上焼鈍設備である。
【0012】
本発明の仕上焼鈍設備における上記冷却管は、外管外径がコイル内径の0.3倍以上であり、かつ、外管外周面とコイル内周面とが50mm以上離間していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の仕上焼鈍設備における上記冷却管は、内管の内側断面積が、外管の内側断面積の0.3〜0.7倍であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の仕上焼鈍設備を用いる方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法であって、上記2重管構造の冷却管内に冷却ガスを流しながら仕上焼鈍することを特徴とする方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法である。
【0015】
本発明の仕上焼鈍方法は、上記冷却ガスを、内管下方から冷却管内に導入し、外管の上方から下方に向かって排出する、あるいは、外管と内管の間の下方から冷却管内に導入し、内管の上方から下方に向かって排出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の仕上焼鈍方法は、上記内管と外管の間の冷却ガスの流速を5m/s以上とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コイル内径部分に挿入した冷却管でコイル内周面を冷却することで、仕上焼鈍時に発生するコイル内温度分布の不均一に起因して生じる圧縮応力による形状不良や磁気特性の劣化を抑制することができるので、方向性電磁鋼板の歩留り向上や品質向上に大きく寄与する。また、本発明によれば、コイル内の温度分布が改善されることから、インナーケース内の雰囲気も早く冷却でき、結果としてコイル全体の冷却を促進することができるので、冷却時間が短縮されて、生産性の向上にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る仕上焼鈍設備を説明する縦断面図である。
【図2】従来技術の仕上焼鈍設備を説明する縦断面図である。
【図3】特許文献3の仕上焼鈍設備の問題点を説明する図である。
【図4】従来技術の仕上焼鈍設備における、加熱過程でのコイル半径方向の温度分布を示す模式図である。
【図5】従来技術の仕上焼鈍設備における、冷却過程でのコイル半径方向の温度分布を示す模式図である。
【図6】従来技術の仕上焼鈍設備における、コイル内周面A点の加熱に寄与する輻射熱発生部位を示す模式図である。
【図7】特許文献3の仕上焼鈍設備における、コイル内周面A点の加熱に寄与する輻射熱発生部位を示す模式図である。
【図8】本発明の仕上焼鈍設備における、コイル内周面A点の加熱に寄与する輻射熱発生部位を示す模式図である。
【図9】本発明の冷却管の外管寸法が、コイル内周面P点の冷却に及ぼす影響を説明する横断面図である。
【図10】加熱過程でのコイル半径方向の温度分布を、本発明例と従来技術の比較例と対比して示す図である。
【図11】冷却過程でのコイル半径方向の温度分布を、本発明例と従来技術の比較例と対比して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明の基本的技術思想について説明する。
方向性電磁鋼板の仕上焼鈍には、一般に、加熱バーナーから燃焼ガスを噴き出して加熱するバッチ式の箱型焼鈍炉が用いられている。この焼鈍炉を用いた仕上焼鈍は、上記加熱バーナーによってインナーケースを加熱して、その内部に載置されたコイルを所定の均熱温度まで加熱(加熱過程)し、その均熱温度に所定の時間保持(均熱過程)後、バーナーを停止し、加熱炉の上方に設けられた冷却ノズルから冷却ガスをインナーカバーの上面に向けて噴出してインナーカバーを冷却し、その内部のコイルが所定の温度まで冷却(冷却過程)することでなされる。
【0020】
なお、上記仕上焼鈍においては、一般に、インナーケース内に載置されたコイルの半径方向の所定位置を温度管理ポイントと設定し、そのポイントの測温値と、予定の焼鈍サイクルとを対比することで、加熱バーナーから噴き出す燃焼ガスの燃焼制御が行われている。この燃焼ガスは、焼鈍炉(加熱炉)の炉内雰囲気となる。
一方、インナーケース内の雰囲気は、鋼板の酸化を抑制すると共に、好ましい二次再結晶等を起こさせるため、上記炉内雰囲気とは別の還元性雰囲気に制御される。
【0021】
ここで、方向性電磁鋼板を仕上焼鈍する際、加熱過程で発生するコイル半径方向のコイル内温度分布につい説明する。
まず、図2に示した従来技術の仕上焼鈍設備を用いて仕上焼鈍する際におけるコイルへの熱の授受は、主にインナーケースの側面および上面からの輻射熱によって行われる。したがって、加熱過程および均熱過程の前半では、コイル外周面側、コイル上側面側、次いでコイル内周面側の順に昇温され、その後、熱伝導によってコイル内部に熱が供給されて、コイル半径方向中央部(以降、「中巻部」とも称する。)およびコイル下側面側の昇温が進む。その結果、コイル半径方向における温度分布は、図4に示すように、コイル外周面側が最も高く、次いで内周面側となり、中巻部が最も低い分布を示す。このようなコイル半径方向の温度分布となると、中巻部の熱膨張量よりも内周面側の熱膨張量の方が大きくなる。その結果、内周面側は、中巻部からコイル半径方向に大きな圧縮応力を受けることになる。
【0022】
次に、従来技術の仕上焼鈍設備を用いて仕上焼鈍する際、冷却過程で発生するコイル半径方向のコイル内温度分布について説明する。
先述したように、冷却過程でのコイルの冷却は、加熱炉上部の冷却ノズルからインナーケース上部に冷却用ガスを吹き付けることで行われる。そのため、この冷却過程では、まず、インナーケースの温度が低下し、次いで、コイルの外周面側、上側面側、内周面側の順に温度が降下し、その後、熱伝導によってコイルの中巻部および下方側(下側面)の降温が進む。その結果、コイル半径方向における温度は、図5に示すように、コイル中巻部が最も高く、次いで内周面側となり、外周面側が最も低い温度分布を示すようになる。このようなコイル半径方向の温度分布となると、中巻部の熱収縮量より、外周面側の熱収縮量の方が大きくなる。その結果、コイル中巻部の鋼板は、外周面側からコイル半径方向に大きな圧縮応力を受けることになる。
【0023】
そして、発明者らの研究によれば、上記加熱過程および冷却過程において、コイル内周面部やコイル中巻部に発生する圧縮応力は、「耳延び」や「縦じわ」等の形状不良を引き起こすのみならず、磁気特性(鉄損)の劣化をも引き起こす原因となっていることが明らかとなった。圧縮応力によって鉄損特性が劣化する原因は、圧縮応力が大きくなると、コイル層間距離が縮まって、インナーケース内の雰囲気ガスが鋼板間に十分に流れなくなり、二次再結晶や純化に悪影響を及ぼすためと考えている。したがって、仕上焼鈍時に発生する圧縮応力は、いずれの過程においても極力低減する必要がある。
【0024】
そこで、発明者らは、上記仕上焼鈍時に発生する圧縮応力を軽減する方法について検討を重ねた結果、図1に示すように、仕上焼鈍設備のコイル置台中央部に、コイル内径部に挿入する、内管と外管からなる2重管構造の冷却管を立設し、その内部に冷却ガスを流して冷却管の外管を冷却し、コイル内周面側を積極的に冷却することによって、コイル内の温度分布を均一化し、温度不均一によって生じる圧縮応力を大幅に軽減することに成功した。以下、具体的に説明する。
【0025】
従来技術の仕上焼鈍設備を用いた仕上焼鈍の加熱過程では、コイル内周面側は、インナーケース上面からの輻射熱によって加熱される。すなわち、図6に示すように、インナーケース3上部のB〜B´の部分は、加熱炉4の内壁のC〜C´の部分からの輻射熱で加熱され、コイル内周面のA点は、このB〜B´の部分からの輻射熱によって加熱される。したがって、コイル内周面のA点は、ある意味では効率的に加熱されることになる。
【0026】
また、特許文献3の仕上焼鈍設備を用いた仕上焼鈍の加熱過程では、図7に示すように、コイル内周面のA点は、インナーケース3の円筒状凹部8のD〜D´の部分からの輻射熱によって加熱される。そして、このD〜D´の部分の加熱は、加熱炉4の内壁のE〜E´の部分からインナーケース3のF〜F´の部分を介して行われるため、実質F〜F´の部分の輻射熱によって加熱される。このF〜F´の部分は、図6に示したB〜B´部分より狭い。そのため、加熱炉の内壁温度が同じである場合には、コイル内周面の温度は、図7に示す特許文献3の仕上焼鈍設備の方が、図6に示す従来の仕上焼鈍設備よりも上昇し難くなる。
【0027】
また、本発明の仕上焼鈍設備を用いた仕上焼鈍の加熱過程では、図8に示したように、コイル内径に冷却管9が挿入されているため、コイル内周面のA点は、インナーケース3の頭頂部のI〜I´の部分からの輻射熱によって加熱される。そして、I〜I´の部分は、加熱炉4の内壁のH〜Hの部分の輻射熱によって加熱されるものの、このI〜I´の部分は、図7に示したF〜F´部分よりもさらに狭い。そのため、加熱炉の内壁温度が同じである場合には、コイル内周面の温度は、図7に示す特許文献3の仕上焼鈍設備よりも上昇し難くなる。
さらに、加熱中に冷却管9の内部に冷却ガスを流した場合には、冷却管の外管10のG〜G´の部分が冷却されるので、コイル内周面の輻射熱を吸収し、コイル内周面の加熱はより緩やかになる。その結果、加熱過程においては、コイル内周面側とコイル中巻部との温度差や熱膨張量の差がなくなるため、コイル内周面側に生じるコイル半径方向の圧縮応力は解消されることになる。
【0028】
次に、冷却過程におけるコイル内温度分布についてみると、従来技術の仕上焼鈍設備を用いる場合には、図2に示すように、冷却ガスをインナーケース上面に吹き付けることよって、インナーケース内のコイルを冷却するため、コイル外周面側が優先的に冷却されるものの、コイル内周面側の冷却は大きく遅れることになる。
【0029】
これに対して、本発明の冷却管を有する仕上焼鈍設備を用いた場合には、図1に示したように、冷却管の内部に冷却ガスを流して冷却管の外管を冷却するため、図8に示したように、コイル内周面の輻射熱を冷却管の外管で吸収することができる。その結果、コイル内周面側が最も冷却され、次いで、コイル外周面、その後、熱伝導によってコイル中巻部が冷却されるようになる。そして、このような冷却では、コイル内周面側の熱収縮量が最も大きくなるため、コイル中巻部からコイル内周面への圧縮応力は発生しなくなる。
【0030】
上記のように、本発明に係る冷却管は、加熱過程においてコイル内周面側に発生する圧縮応力だけでなく、冷却過程においてコイル内周面側およびコイル中巻部に発生する圧縮応力をも解消することができるので、圧縮応力に起因して発生する形状不良や磁気特性の劣化を大幅に改善することができる。
【0031】
さらに、本発明の仕上焼鈍設備では、冷却管を配設したことにより、コイル内周面の冷却が促進されるだけでなく、コイルインナーカバー内の雰囲気ガスも同時に冷却されるので、コイル内周面以外の部分の冷却も促進する効果もある。その結果、本発明の仕上焼鈍設備を用いた場合には、冷却時間を大幅に短縮できるので、生産性が大きく向上する効果も得られる。
【0032】
次に、本発明の冷却管について説明する。
本発明の冷却管は、上方を閉じた外管とその内部に設けた円筒状の内管の2重構造からなるものである。このような2重構造とする理由は、単なる上方を閉じた外管だけでは、図3のインナーケースの円筒状凹部と同様、冷却ガスが内部まで侵入せず、効率的に冷却管を冷却することが難しいが、2重構造として、例えば図1に示したように、冷却ガスを、内管の下方から導入して、外管頂部で反転させた後、外管と内管の間を上方から下方に流して排出させるようにした場合には、冷却ガスが冷却管内部で滞留を起こすことなくスムーズに流れ、かつ、冷却管の外管を効率よく冷却することが可能となるからである。なお、冷却ガスを流す方向は、図1のように、内管→外管の順である必要はなく、その逆に、外管→内管の順としてもよい。
【0033】
また、本発明に係る冷却管は、その冷却効率をより高めるためには、コイルの内径D1に対する冷却管外管の外径D2の比(D2/D1)が0.3以上であるとともに、コイル内周面と冷却管外管との間が50mm以上離間していることが好ましい。
というのは、コイル内周面を冷却する能力は、冷却管の温度が同じ場合、コイル内周面の面積と、冷却管外管の面積の比、したがって、コイルの内径D1に対する冷却管外管の外径D2の比(D2/D1)で決定されるからである。すなわち、図9に示すように、(D2/D1)が大きいほど、コイル内周面のP点からの輻射熱が、冷却管外管に流れる範囲が広くなるので、コイル内周面からの輻射熱を効率よく吸収できる。しかし、(D2/D1)が0.3未満では、コイル内周面から放散される輻射熱のうち、冷却管の外管表面が受ける輻射熱の割合は19%未満となり、コイル内周面の冷却効率が著しく低下する。よって、(D2/D1)は0.3以上とするのが好ましい。
また、冷却管外管とコイル内周面との間の距離を50mm以上とする理由は、50mm未満では、コイルをアップエンドにしてコイル置台上に載置する際、冷却管がコイル内径と接触を起こして破損するおそれがあるからである。
【0034】
また、本発明の仕上焼鈍設備の冷却管は、内管の内側断面積が、外管の内側断面積の0.3〜0.7倍であることが好ましい。
冷却管の内管の内側断面積が、外管の内側断面積の0.3倍未満では、内管を通る冷却ガスの流量が少なくなり、冷却管の外管を十分に冷却できないため、冷却効率が低下してしまう。一方、内管の内側断面積が、外管の内側断面積の0.7倍より大きくなると、内管と外管との間の流路面積が小さくなり、やはり冷却ガスの流量が減少して、冷却管の外管を十分に冷却できなくなるからである。
【0035】
また、冷却管の内管と外管との間に流す冷却ガスの流速は、冷却管外管のより効率的に冷却する観点からは、5m/s以上とするのが好ましい。5m/s未満では、外管を十分に冷却することができないため、コイル内周面の輻射熱を効率よく吸収できないからである。
【0036】
また、本発明の冷却管は、インナーケースとは分離しているため、冷却管内に流す冷却ガスは、インナーケース内の雰囲気ガスとは異なるものを使用することができる。したがって、大気(空気)を冷却ガスとして使用してもよい。また、この場合には、使用後の冷却ガスは、そのまま大気中に放出することができる。
【0037】
なお、上記本発明の説明では、仕上焼鈍設備における冷却管は、コイル置台の中央部に予め立設した場合について説明してきたが、冷却管を取り外し可能とし、コイルを載置した後、冷却管をコイル置台中央部に差し込む構造としてもよいことは勿論である。
【実施例】
【0038】
Siを3mass%含有する、板厚:0.3mm×板幅:1160mm×長さ:3000m(約8.2トン)の方向性電磁鋼板用冷延コイルを一次再結晶焼鈍した後、焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、コイルに巻き取り、その後、そのコイルをバッチ式箱型焼鈍炉のコイル置台上にアップエンドにして載置し、表1に示した4条件で仕上焼鈍を施した。なお、表1に示した以外の仕上焼鈍条件は表2に示した。
ここで、表1のNo.1〜3は、仕上焼鈍に、図1に示した2重管構造の冷却管を設けた本発明の仕上焼鈍設備を用いた発明例であり、冷却ガスとして空気(エア)を用い、冷却過程における内管と外管の間に流す冷却ガスの流速を、それぞれ2.5m/s、5m/sおよび10m/sの3水準に変化させた。また、表1のNo.4は、図2に示した従来技術の仕上焼鈍設備を用いた比較例である。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
上記の仕上焼鈍に際しては、コイルの板幅中央部かつコイル半径方向の複数位置(5点)に熱電対を挿入しておき、仕上焼鈍時における各位置の温度変化を測定した。
また、仕上焼鈍を施したコイルは、その後、絶縁被膜の塗布・焼付と形状矯正を兼ねた平坦化焼鈍を施した後、切断して切り板(シート)とした。この際、コイル長さ方向の鋼板形状(耳伸び、中伸び)を非接触のレーザー変位計にて測定し、板幅方向の鋼板高さの変動量が5mm以上ある部分を形状不良部と判定し、その長さを測定した。
また、コイル外周部、中巻部および内周部の切り板からサンプルを採取し、エプスタイン試験で鉄損W17/50を測定してコイル長さ方向の鉄損分布を求め、鉄損の最良値と最悪値の差(ばらつきの大きさ)を求めた。
【0042】
図10は、仕上焼鈍の加熱時に、コイル外周面の温度管理ポイントが900℃に達した時点におけるコイル半径方向の温度分布を、表1のNo.2(発明例)とNo.4の比較例について比較して示したものである。同じく図11は、仕上焼鈍の冷却時に、コイル外周面の温度管理ポイントが800℃まで冷却した時点におけるコイル半径方向の温度分布を、表1のNo.2(発明例)とNo.4の比較例について比較して示したものである。
これらの図から、本発明の仕上焼鈍設備を用いることにより、従来の仕上焼鈍設備と比較して、加熱過程におけるコイル内周面の温度上昇を抑制し、かつ、冷却過程におけるコイル内周面の冷却を促進できていることがわかる。
【0043】
また、表1には、No.1〜3の発明例と、No.4の比較例の形状不良部の長さの測定結果およびコイル内の鉄損差を併記した。さらに、表1には、No.1〜3の発明例の冷却時間を、No.4の比較例(従来技術)を基準(1.0)として相対値で示した。
この結果から、従来の仕上焼鈍設備を用いたNo.4の比較例では、加熱過程におけるコイル内温度および冷却過程におけるコイル内温度の不均一分布に起因して、形状不良部が長さ200mにわたって発生し、コイル内長さ方向で、鉄損W17/50:0.04W/kgの差が認められた。これに対して、本発明の仕上焼鈍設備を用いた発明例では、形状不良部の長さが100m以下に改善され、しかも、コイル内の鉄損変動も0.02W/kg以下に低減することができている。さらに、冷却ガスの流速を5m/s以上とした場合には、形状不良部の長さが15mと大幅に改善され、しかも、コイル内の鉄損変動もほぼゼロまで解消されている。しかも、冷却ガスの流速を5m/s以上とすることで、冷却時間を約1/2まで短縮できていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の技術は、方向性電磁鋼板の仕上焼鈍設備に限定されるものではなく、例えば、一般的な冷延鋼板や熱延鋼板の焼鈍に用いるバッチ式の箱型焼鈍設備にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1:鋼板コイル
2:コイル置台
3:インナーケース(インナーカバー)
4:焼鈍炉の加熱炉
5:加熱バーナー
6:冷却ノズル
7:冷却ガス
8:インナーケースの円筒状凹部
9:冷却管
10:冷却管の外管
11:冷却管の内管
D1:コイル内径
D2:冷却管の外管径
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向性電磁鋼板の仕上焼鈍技術に関するものであり、具体的には方向性電磁鋼板の二次再結晶焼鈍および純化焼鈍に用いる仕上焼鈍設備と、その設備を用いた仕上焼鈍方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
方向性電磁鋼板は、一般に、以下のようにして製造される。まず、製鋼工程で、Siを3mass%程度含有する鋼を溶製し、連続鋳造法等で鋳片(鋼スラブ)とした後、そのスラブを再加熱した後、熱間圧延して熱延板とし、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、その後、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してコイルに巻取る。その後、そのコイルを、図2に示したように、コイル1の巻取軸が垂直となる、いわゆる「アップエンド」の状態にしてバッチ式の箱型焼鈍炉のコイル置台2上に載置し、その上にインナーケース(「インナーカバー」とも称される。)3を被せ、さらにその上に加熱炉4を被せて、加熱バーナー5でインナーケース外部から内部のコイルを加熱し、仕上焼鈍する。その後、仕上焼鈍後のコイルを巻き戻し、鋼板表面に残された焼鈍分離剤を除去した後、絶縁被膜の塗布・焼付等の各種表面処理や平坦化処理を施して製品(方向性電磁鋼板)とする。
【0003】
ここで、方向性電磁鋼板の仕上焼鈍に用いる上記インナーケースは、アップエンドに載置した電磁鋼板の素材コイルの所定位置(例えば、コイルの外面側や内面側の所定の位置)を温度管理ポイントとし、その管理ポイントを所定温度まで加熱する加熱過程と、その温度に所定の時間保持する均熱過程および上記均熱温度から所定の温度まで冷却する冷却過程の全ての過程において、電磁鋼板と接触するガスを所定の成分組成の雰囲気ガスとし、加熱炉内の雰囲気から遮蔽することによって、良好な二次再結晶を起こさせると共に、その後の純化を適切に行わせる役目を担うものである。
【0004】
ところで、従来から、上記のようなインナーケースを用いて方向性電磁鋼板の仕上焼鈍を行うと、加熱過程と冷却過程において、コイル内各位置の温度に大きな不均一が生じることが知られている。そして、この温度不均一に起因して、例えば、加熱、均熱過程では他の部分より高速昇温されて高温となる一方、冷却過程では他の部分よりも急速冷却されるコイル外周部分では、「腹伸び」や「縦じわ」などの形状不良が発生し、一方、他の部分より加熱され難いコイル中巻き部(コイル径方向中央部)では、焼鈍不足となって磁気特性が低下する等の不具合が発生していた。
【0005】
そこで、コイル内各位置間の温度不均一を改善するインナーケースが幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、インナーカバー側壁の内壁側に断熱材を張り付けることで、コイル端面側の過加熱を防止し、コイルの最外巻き寄りの鋼帯層に発生する「縦じわ」を防止する技術が開示されている。
また、特許文献2には、移動炉床式連続熱処理において、冷却過程の所定温度区間において、被熱処理品に断熱カバーを被せることで、被熱処理品内の冷却むらを抑制し、耳歪(耳伸び)を防止する技術が開示されている。
また、特許文献3には、インナーケースの上部に円筒状の凹部を設けることによって、加熱過程および冷却過程で発生するコイル内温度の不均一を改善し、形状不良や磁気特性の劣化を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−257486号公報
【特許文献2】特開平05−271790号公報
【特許文献3】特開2008−195998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や2に記載されたコイル外周部の過加熱や過冷却を防止する技術には、以下のような問題がある。例えば、特許文献1に記載のインナーケースを用いる技術では、コイル上部の過加熱を防止することができたとしても、インナーケースの側壁とそれと向かい合うコイル外周面との間の熱の授受が断熱材によって阻害されるため、仕上焼鈍の加熱時間および冷却時間が大幅に延長され、生産性の著しい低下を招く。また、特許文献2に記載の断熱カバーを被せる技術では、冷却帯の所定箇所に断熱カバーを被熱処理品に被せるための装置と、これとは別に、断熱カバーを回収するための装置とを備えることが必要となるため、設備コストの上昇を招く。
【0008】
一方、特許文献3に記載されたインナーケースでは、上記問題点はないものの、図3に示すように、冷却過程においては、冷却ノズル6から噴出した冷却ガス7がインナーケースに設けられた円筒状凹部8の下部まで到達しないため、円筒状凹部8の上部しか冷却されない。そのため、コイル上部側しか温度の不均一分布が改善されず、コイル下部側は、依然として冷却過程で発生する温度の不均一分布によって、形状不良が発生したり、磁気特性の劣化が起こったりするという問題がある。
【0009】
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、方向性電磁鋼板をバッチ式の箱型焼鈍炉を用いて仕上焼鈍する際に発生する、コイル内温度分布の不均一を改善し、形状不良および鉄損劣化を効果的に抑制することができる仕上焼鈍設備と、その設備を用いた方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、生産性を害することなく上記課題を解決するべく、加熱過程および冷却過程で生じるコイル内温度の不均一分布を改善する方法について鋭意検討した。その結果、焼鈍設備のコイル置台上面に、コイル内径部に挿入する、内管と外管からなる2重管構造の冷却管を立設し、その内部に冷却ガスを流して外管を冷却することによって、仕上焼鈍の加熱過程および冷却過程におけるコイル内温度分布の不均一を大幅に軽減し得ることを見出し、本発明を開発するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、方向性電磁鋼板の仕上焼鈍に用いるバッチ式の箱型焼鈍設備であって、コイル置台上にアップエンドに載置されたコイル内径部に挿入される、上方を閉じた外管とその内部に円筒状の内管を有する2重管構造の冷却管を立設してなることを特徴とする仕上焼鈍設備である。
【0012】
本発明の仕上焼鈍設備における上記冷却管は、外管外径がコイル内径の0.3倍以上であり、かつ、外管外周面とコイル内周面とが50mm以上離間していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の仕上焼鈍設備における上記冷却管は、内管の内側断面積が、外管の内側断面積の0.3〜0.7倍であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の仕上焼鈍設備を用いる方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法であって、上記2重管構造の冷却管内に冷却ガスを流しながら仕上焼鈍することを特徴とする方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法である。
【0015】
本発明の仕上焼鈍方法は、上記冷却ガスを、内管下方から冷却管内に導入し、外管の上方から下方に向かって排出する、あるいは、外管と内管の間の下方から冷却管内に導入し、内管の上方から下方に向かって排出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の仕上焼鈍方法は、上記内管と外管の間の冷却ガスの流速を5m/s以上とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コイル内径部分に挿入した冷却管でコイル内周面を冷却することで、仕上焼鈍時に発生するコイル内温度分布の不均一に起因して生じる圧縮応力による形状不良や磁気特性の劣化を抑制することができるので、方向性電磁鋼板の歩留り向上や品質向上に大きく寄与する。また、本発明によれば、コイル内の温度分布が改善されることから、インナーケース内の雰囲気も早く冷却でき、結果としてコイル全体の冷却を促進することができるので、冷却時間が短縮されて、生産性の向上にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る仕上焼鈍設備を説明する縦断面図である。
【図2】従来技術の仕上焼鈍設備を説明する縦断面図である。
【図3】特許文献3の仕上焼鈍設備の問題点を説明する図である。
【図4】従来技術の仕上焼鈍設備における、加熱過程でのコイル半径方向の温度分布を示す模式図である。
【図5】従来技術の仕上焼鈍設備における、冷却過程でのコイル半径方向の温度分布を示す模式図である。
【図6】従来技術の仕上焼鈍設備における、コイル内周面A点の加熱に寄与する輻射熱発生部位を示す模式図である。
【図7】特許文献3の仕上焼鈍設備における、コイル内周面A点の加熱に寄与する輻射熱発生部位を示す模式図である。
【図8】本発明の仕上焼鈍設備における、コイル内周面A点の加熱に寄与する輻射熱発生部位を示す模式図である。
【図9】本発明の冷却管の外管寸法が、コイル内周面P点の冷却に及ぼす影響を説明する横断面図である。
【図10】加熱過程でのコイル半径方向の温度分布を、本発明例と従来技術の比較例と対比して示す図である。
【図11】冷却過程でのコイル半径方向の温度分布を、本発明例と従来技術の比較例と対比して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明の基本的技術思想について説明する。
方向性電磁鋼板の仕上焼鈍には、一般に、加熱バーナーから燃焼ガスを噴き出して加熱するバッチ式の箱型焼鈍炉が用いられている。この焼鈍炉を用いた仕上焼鈍は、上記加熱バーナーによってインナーケースを加熱して、その内部に載置されたコイルを所定の均熱温度まで加熱(加熱過程)し、その均熱温度に所定の時間保持(均熱過程)後、バーナーを停止し、加熱炉の上方に設けられた冷却ノズルから冷却ガスをインナーカバーの上面に向けて噴出してインナーカバーを冷却し、その内部のコイルが所定の温度まで冷却(冷却過程)することでなされる。
【0020】
なお、上記仕上焼鈍においては、一般に、インナーケース内に載置されたコイルの半径方向の所定位置を温度管理ポイントと設定し、そのポイントの測温値と、予定の焼鈍サイクルとを対比することで、加熱バーナーから噴き出す燃焼ガスの燃焼制御が行われている。この燃焼ガスは、焼鈍炉(加熱炉)の炉内雰囲気となる。
一方、インナーケース内の雰囲気は、鋼板の酸化を抑制すると共に、好ましい二次再結晶等を起こさせるため、上記炉内雰囲気とは別の還元性雰囲気に制御される。
【0021】
ここで、方向性電磁鋼板を仕上焼鈍する際、加熱過程で発生するコイル半径方向のコイル内温度分布につい説明する。
まず、図2に示した従来技術の仕上焼鈍設備を用いて仕上焼鈍する際におけるコイルへの熱の授受は、主にインナーケースの側面および上面からの輻射熱によって行われる。したがって、加熱過程および均熱過程の前半では、コイル外周面側、コイル上側面側、次いでコイル内周面側の順に昇温され、その後、熱伝導によってコイル内部に熱が供給されて、コイル半径方向中央部(以降、「中巻部」とも称する。)およびコイル下側面側の昇温が進む。その結果、コイル半径方向における温度分布は、図4に示すように、コイル外周面側が最も高く、次いで内周面側となり、中巻部が最も低い分布を示す。このようなコイル半径方向の温度分布となると、中巻部の熱膨張量よりも内周面側の熱膨張量の方が大きくなる。その結果、内周面側は、中巻部からコイル半径方向に大きな圧縮応力を受けることになる。
【0022】
次に、従来技術の仕上焼鈍設備を用いて仕上焼鈍する際、冷却過程で発生するコイル半径方向のコイル内温度分布について説明する。
先述したように、冷却過程でのコイルの冷却は、加熱炉上部の冷却ノズルからインナーケース上部に冷却用ガスを吹き付けることで行われる。そのため、この冷却過程では、まず、インナーケースの温度が低下し、次いで、コイルの外周面側、上側面側、内周面側の順に温度が降下し、その後、熱伝導によってコイルの中巻部および下方側(下側面)の降温が進む。その結果、コイル半径方向における温度は、図5に示すように、コイル中巻部が最も高く、次いで内周面側となり、外周面側が最も低い温度分布を示すようになる。このようなコイル半径方向の温度分布となると、中巻部の熱収縮量より、外周面側の熱収縮量の方が大きくなる。その結果、コイル中巻部の鋼板は、外周面側からコイル半径方向に大きな圧縮応力を受けることになる。
【0023】
そして、発明者らの研究によれば、上記加熱過程および冷却過程において、コイル内周面部やコイル中巻部に発生する圧縮応力は、「耳延び」や「縦じわ」等の形状不良を引き起こすのみならず、磁気特性(鉄損)の劣化をも引き起こす原因となっていることが明らかとなった。圧縮応力によって鉄損特性が劣化する原因は、圧縮応力が大きくなると、コイル層間距離が縮まって、インナーケース内の雰囲気ガスが鋼板間に十分に流れなくなり、二次再結晶や純化に悪影響を及ぼすためと考えている。したがって、仕上焼鈍時に発生する圧縮応力は、いずれの過程においても極力低減する必要がある。
【0024】
そこで、発明者らは、上記仕上焼鈍時に発生する圧縮応力を軽減する方法について検討を重ねた結果、図1に示すように、仕上焼鈍設備のコイル置台中央部に、コイル内径部に挿入する、内管と外管からなる2重管構造の冷却管を立設し、その内部に冷却ガスを流して冷却管の外管を冷却し、コイル内周面側を積極的に冷却することによって、コイル内の温度分布を均一化し、温度不均一によって生じる圧縮応力を大幅に軽減することに成功した。以下、具体的に説明する。
【0025】
従来技術の仕上焼鈍設備を用いた仕上焼鈍の加熱過程では、コイル内周面側は、インナーケース上面からの輻射熱によって加熱される。すなわち、図6に示すように、インナーケース3上部のB〜B´の部分は、加熱炉4の内壁のC〜C´の部分からの輻射熱で加熱され、コイル内周面のA点は、このB〜B´の部分からの輻射熱によって加熱される。したがって、コイル内周面のA点は、ある意味では効率的に加熱されることになる。
【0026】
また、特許文献3の仕上焼鈍設備を用いた仕上焼鈍の加熱過程では、図7に示すように、コイル内周面のA点は、インナーケース3の円筒状凹部8のD〜D´の部分からの輻射熱によって加熱される。そして、このD〜D´の部分の加熱は、加熱炉4の内壁のE〜E´の部分からインナーケース3のF〜F´の部分を介して行われるため、実質F〜F´の部分の輻射熱によって加熱される。このF〜F´の部分は、図6に示したB〜B´部分より狭い。そのため、加熱炉の内壁温度が同じである場合には、コイル内周面の温度は、図7に示す特許文献3の仕上焼鈍設備の方が、図6に示す従来の仕上焼鈍設備よりも上昇し難くなる。
【0027】
また、本発明の仕上焼鈍設備を用いた仕上焼鈍の加熱過程では、図8に示したように、コイル内径に冷却管9が挿入されているため、コイル内周面のA点は、インナーケース3の頭頂部のI〜I´の部分からの輻射熱によって加熱される。そして、I〜I´の部分は、加熱炉4の内壁のH〜Hの部分の輻射熱によって加熱されるものの、このI〜I´の部分は、図7に示したF〜F´部分よりもさらに狭い。そのため、加熱炉の内壁温度が同じである場合には、コイル内周面の温度は、図7に示す特許文献3の仕上焼鈍設備よりも上昇し難くなる。
さらに、加熱中に冷却管9の内部に冷却ガスを流した場合には、冷却管の外管10のG〜G´の部分が冷却されるので、コイル内周面の輻射熱を吸収し、コイル内周面の加熱はより緩やかになる。その結果、加熱過程においては、コイル内周面側とコイル中巻部との温度差や熱膨張量の差がなくなるため、コイル内周面側に生じるコイル半径方向の圧縮応力は解消されることになる。
【0028】
次に、冷却過程におけるコイル内温度分布についてみると、従来技術の仕上焼鈍設備を用いる場合には、図2に示すように、冷却ガスをインナーケース上面に吹き付けることよって、インナーケース内のコイルを冷却するため、コイル外周面側が優先的に冷却されるものの、コイル内周面側の冷却は大きく遅れることになる。
【0029】
これに対して、本発明の冷却管を有する仕上焼鈍設備を用いた場合には、図1に示したように、冷却管の内部に冷却ガスを流して冷却管の外管を冷却するため、図8に示したように、コイル内周面の輻射熱を冷却管の外管で吸収することができる。その結果、コイル内周面側が最も冷却され、次いで、コイル外周面、その後、熱伝導によってコイル中巻部が冷却されるようになる。そして、このような冷却では、コイル内周面側の熱収縮量が最も大きくなるため、コイル中巻部からコイル内周面への圧縮応力は発生しなくなる。
【0030】
上記のように、本発明に係る冷却管は、加熱過程においてコイル内周面側に発生する圧縮応力だけでなく、冷却過程においてコイル内周面側およびコイル中巻部に発生する圧縮応力をも解消することができるので、圧縮応力に起因して発生する形状不良や磁気特性の劣化を大幅に改善することができる。
【0031】
さらに、本発明の仕上焼鈍設備では、冷却管を配設したことにより、コイル内周面の冷却が促進されるだけでなく、コイルインナーカバー内の雰囲気ガスも同時に冷却されるので、コイル内周面以外の部分の冷却も促進する効果もある。その結果、本発明の仕上焼鈍設備を用いた場合には、冷却時間を大幅に短縮できるので、生産性が大きく向上する効果も得られる。
【0032】
次に、本発明の冷却管について説明する。
本発明の冷却管は、上方を閉じた外管とその内部に設けた円筒状の内管の2重構造からなるものである。このような2重構造とする理由は、単なる上方を閉じた外管だけでは、図3のインナーケースの円筒状凹部と同様、冷却ガスが内部まで侵入せず、効率的に冷却管を冷却することが難しいが、2重構造として、例えば図1に示したように、冷却ガスを、内管の下方から導入して、外管頂部で反転させた後、外管と内管の間を上方から下方に流して排出させるようにした場合には、冷却ガスが冷却管内部で滞留を起こすことなくスムーズに流れ、かつ、冷却管の外管を効率よく冷却することが可能となるからである。なお、冷却ガスを流す方向は、図1のように、内管→外管の順である必要はなく、その逆に、外管→内管の順としてもよい。
【0033】
また、本発明に係る冷却管は、その冷却効率をより高めるためには、コイルの内径D1に対する冷却管外管の外径D2の比(D2/D1)が0.3以上であるとともに、コイル内周面と冷却管外管との間が50mm以上離間していることが好ましい。
というのは、コイル内周面を冷却する能力は、冷却管の温度が同じ場合、コイル内周面の面積と、冷却管外管の面積の比、したがって、コイルの内径D1に対する冷却管外管の外径D2の比(D2/D1)で決定されるからである。すなわち、図9に示すように、(D2/D1)が大きいほど、コイル内周面のP点からの輻射熱が、冷却管外管に流れる範囲が広くなるので、コイル内周面からの輻射熱を効率よく吸収できる。しかし、(D2/D1)が0.3未満では、コイル内周面から放散される輻射熱のうち、冷却管の外管表面が受ける輻射熱の割合は19%未満となり、コイル内周面の冷却効率が著しく低下する。よって、(D2/D1)は0.3以上とするのが好ましい。
また、冷却管外管とコイル内周面との間の距離を50mm以上とする理由は、50mm未満では、コイルをアップエンドにしてコイル置台上に載置する際、冷却管がコイル内径と接触を起こして破損するおそれがあるからである。
【0034】
また、本発明の仕上焼鈍設備の冷却管は、内管の内側断面積が、外管の内側断面積の0.3〜0.7倍であることが好ましい。
冷却管の内管の内側断面積が、外管の内側断面積の0.3倍未満では、内管を通る冷却ガスの流量が少なくなり、冷却管の外管を十分に冷却できないため、冷却効率が低下してしまう。一方、内管の内側断面積が、外管の内側断面積の0.7倍より大きくなると、内管と外管との間の流路面積が小さくなり、やはり冷却ガスの流量が減少して、冷却管の外管を十分に冷却できなくなるからである。
【0035】
また、冷却管の内管と外管との間に流す冷却ガスの流速は、冷却管外管のより効率的に冷却する観点からは、5m/s以上とするのが好ましい。5m/s未満では、外管を十分に冷却することができないため、コイル内周面の輻射熱を効率よく吸収できないからである。
【0036】
また、本発明の冷却管は、インナーケースとは分離しているため、冷却管内に流す冷却ガスは、インナーケース内の雰囲気ガスとは異なるものを使用することができる。したがって、大気(空気)を冷却ガスとして使用してもよい。また、この場合には、使用後の冷却ガスは、そのまま大気中に放出することができる。
【0037】
なお、上記本発明の説明では、仕上焼鈍設備における冷却管は、コイル置台の中央部に予め立設した場合について説明してきたが、冷却管を取り外し可能とし、コイルを載置した後、冷却管をコイル置台中央部に差し込む構造としてもよいことは勿論である。
【実施例】
【0038】
Siを3mass%含有する、板厚:0.3mm×板幅:1160mm×長さ:3000m(約8.2トン)の方向性電磁鋼板用冷延コイルを一次再結晶焼鈍した後、焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、コイルに巻き取り、その後、そのコイルをバッチ式箱型焼鈍炉のコイル置台上にアップエンドにして載置し、表1に示した4条件で仕上焼鈍を施した。なお、表1に示した以外の仕上焼鈍条件は表2に示した。
ここで、表1のNo.1〜3は、仕上焼鈍に、図1に示した2重管構造の冷却管を設けた本発明の仕上焼鈍設備を用いた発明例であり、冷却ガスとして空気(エア)を用い、冷却過程における内管と外管の間に流す冷却ガスの流速を、それぞれ2.5m/s、5m/sおよび10m/sの3水準に変化させた。また、表1のNo.4は、図2に示した従来技術の仕上焼鈍設備を用いた比較例である。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
上記の仕上焼鈍に際しては、コイルの板幅中央部かつコイル半径方向の複数位置(5点)に熱電対を挿入しておき、仕上焼鈍時における各位置の温度変化を測定した。
また、仕上焼鈍を施したコイルは、その後、絶縁被膜の塗布・焼付と形状矯正を兼ねた平坦化焼鈍を施した後、切断して切り板(シート)とした。この際、コイル長さ方向の鋼板形状(耳伸び、中伸び)を非接触のレーザー変位計にて測定し、板幅方向の鋼板高さの変動量が5mm以上ある部分を形状不良部と判定し、その長さを測定した。
また、コイル外周部、中巻部および内周部の切り板からサンプルを採取し、エプスタイン試験で鉄損W17/50を測定してコイル長さ方向の鉄損分布を求め、鉄損の最良値と最悪値の差(ばらつきの大きさ)を求めた。
【0042】
図10は、仕上焼鈍の加熱時に、コイル外周面の温度管理ポイントが900℃に達した時点におけるコイル半径方向の温度分布を、表1のNo.2(発明例)とNo.4の比較例について比較して示したものである。同じく図11は、仕上焼鈍の冷却時に、コイル外周面の温度管理ポイントが800℃まで冷却した時点におけるコイル半径方向の温度分布を、表1のNo.2(発明例)とNo.4の比較例について比較して示したものである。
これらの図から、本発明の仕上焼鈍設備を用いることにより、従来の仕上焼鈍設備と比較して、加熱過程におけるコイル内周面の温度上昇を抑制し、かつ、冷却過程におけるコイル内周面の冷却を促進できていることがわかる。
【0043】
また、表1には、No.1〜3の発明例と、No.4の比較例の形状不良部の長さの測定結果およびコイル内の鉄損差を併記した。さらに、表1には、No.1〜3の発明例の冷却時間を、No.4の比較例(従来技術)を基準(1.0)として相対値で示した。
この結果から、従来の仕上焼鈍設備を用いたNo.4の比較例では、加熱過程におけるコイル内温度および冷却過程におけるコイル内温度の不均一分布に起因して、形状不良部が長さ200mにわたって発生し、コイル内長さ方向で、鉄損W17/50:0.04W/kgの差が認められた。これに対して、本発明の仕上焼鈍設備を用いた発明例では、形状不良部の長さが100m以下に改善され、しかも、コイル内の鉄損変動も0.02W/kg以下に低減することができている。さらに、冷却ガスの流速を5m/s以上とした場合には、形状不良部の長さが15mと大幅に改善され、しかも、コイル内の鉄損変動もほぼゼロまで解消されている。しかも、冷却ガスの流速を5m/s以上とすることで、冷却時間を約1/2まで短縮できていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の技術は、方向性電磁鋼板の仕上焼鈍設備に限定されるものではなく、例えば、一般的な冷延鋼板や熱延鋼板の焼鈍に用いるバッチ式の箱型焼鈍設備にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1:鋼板コイル
2:コイル置台
3:インナーケース(インナーカバー)
4:焼鈍炉の加熱炉
5:加熱バーナー
6:冷却ノズル
7:冷却ガス
8:インナーケースの円筒状凹部
9:冷却管
10:冷却管の外管
11:冷却管の内管
D1:コイル内径
D2:冷却管の外管径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方向性電磁鋼板の仕上焼鈍に用いるバッチ式の箱型焼鈍設備であって、コイル置台上にアップエンドに載置されたコイル内径部に挿入される、上方を閉じた外管とその内部に円筒状の内管を有する2重管構造の冷却管を立設してなることを特徴とする仕上焼鈍設備。
【請求項2】
上記冷却管は、外管外径がコイル内径の0.3倍以上であり、かつ、外管外周面とコイル内周面とが50mm以上離間していることを特徴とする請求項1に記載の仕上焼鈍設備。
【請求項3】
上記冷却管は、内管の内側断面積が、外管の内側断面積の0.3〜0.7倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の仕上焼鈍設備。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の仕上焼鈍設備を用いる方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法であって、上記2重管構造の冷却管内に冷却ガスを流しながら仕上焼鈍することを特徴とする方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法。
【請求項5】
上記冷却ガスを、内管下方から冷却管内に導入し、外管の上方から下方に向かって排出する、あるいは、外管と内管の間の下方から冷却管内に導入し、内管の上方から下方に向かって排出することを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法。
【請求項6】
上記内管と外管の間の冷却ガスの流速を5m/s以上とすることを特徴とする請求項4または5に記載の方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法。
【請求項1】
方向性電磁鋼板の仕上焼鈍に用いるバッチ式の箱型焼鈍設備であって、コイル置台上にアップエンドに載置されたコイル内径部に挿入される、上方を閉じた外管とその内部に円筒状の内管を有する2重管構造の冷却管を立設してなることを特徴とする仕上焼鈍設備。
【請求項2】
上記冷却管は、外管外径がコイル内径の0.3倍以上であり、かつ、外管外周面とコイル内周面とが50mm以上離間していることを特徴とする請求項1に記載の仕上焼鈍設備。
【請求項3】
上記冷却管は、内管の内側断面積が、外管の内側断面積の0.3〜0.7倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の仕上焼鈍設備。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の仕上焼鈍設備を用いる方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法であって、上記2重管構造の冷却管内に冷却ガスを流しながら仕上焼鈍することを特徴とする方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法。
【請求項5】
上記冷却ガスを、内管下方から冷却管内に導入し、外管の上方から下方に向かって排出する、あるいは、外管と内管の間の下方から冷却管内に導入し、内管の上方から下方に向かって排出することを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法。
【請求項6】
上記内管と外管の間の冷却ガスの流速を5m/s以上とすることを特徴とする請求項4または5に記載の方向性電磁鋼板の仕上焼鈍方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−82974(P2013−82974A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224016(P2011−224016)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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