方法
本発明は、一態様においては、(a)細胞単位を標識するのに用いられるそれぞれのタグの1個以上のパラメーターを測定する工程;(b)細胞単位中のそれぞれのタグを同定する工程;ならびに(c)それぞれのタグの同一性を、細胞単位の同一性および/または細胞単位が曝露された特定の細胞培養条件の同一性と相関させる工程を含む、2個以上の型のタグで標識された細胞単位の細胞培養履歴を決定する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次細胞、細胞系、多能細胞、全能細胞および幹細胞の培養などの細胞培養に広く関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年、細胞培養は、生命科学における中核技術となってきた。細胞培養は、「基礎細胞培養(Basic Cell Culture)」、Oxford University Press (2002)、J.M. Davis(編);および「動物細胞培養(Animal Cell Culture)」、Oxford University Press (2000)、John R. W. Masters(編)(両方とも参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。細胞培養は、細胞の生存能力、表現型、遺伝子型、増殖および分化、ならびに生物学的分子、中間体および生成物の形成などの細胞プロセスを研究するための基礎を提供する。それはまた、単離された動物においてであろうと、全トランスジェニック動物においてであろうと、遺伝子レベルから、個々のタンパク質分子のレベルまでの、これらのプロセスの調節を研究するための手段も提供してきた。生物学の現在の状態へのその非常な寄与にもかかわらず、多くの点で、細胞培養は、究極的には遺伝子治療および組織工学の可能性を提供する非常に刺激的な科学であるにもかかわらず、依然として開発中の研究分野である。
【0003】
細胞培養の重要な目標は、in vitroで様々な細胞を増殖させることができるようになることである。培養中で増殖させることができる様々な細胞型の一覧は、広範囲に及び(American Type Culture collection, http://www.atcc.org; European Collection of Cell Cultures, http://www.ecacc.org.uk; Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, http://www.dsmz.deを参照)、多くの細胞型の代表を含み、ますます培養条件が発見されるにつれて、継続的に増加している。当分野における安定した進歩にもかかわらず、新しい細胞型のための好適な培養条件を決定する方法は、依然として総合的に経験的である:増殖条件はほとんど常に試行錯誤によって発見される。出発点の選択は、類似する細胞について他者により以前に用いられたもの、またはさらに異なる細胞について研究室で現在用いようとするものに基づくことが多いであろう。多くの場合、これらは単に完全に不十分なものであり、試行錯誤のプロセスを再び一から始めなければならない。新しい培養条件が成功した場合でも、以前のプロトコルの適応が実験に対して歴史的偏りを導入したことは価値ある想起である。例えば、初期の組織培養実験の多くは、線維芽細胞を広範囲に使用し、現在まで、ほとんどの標準的な細胞培養条件は、中胚葉(線維芽細胞、内皮、筋芽細胞)から誘導された細胞の増殖を助ける。これらの条件に基づく上皮および他の細胞型のための選択的増殖培地の開発は挑戦であった。これらの細胞型のいくつかについては、血清(中胚葉細胞のための多くの培養培地の通常の成分)が、実際には増殖を阻害することが現在では知られている。本明細書に記載の本発明の一態様は、特定の細胞型の生存能力、増殖または成長、およびその表現型の保持を可能にする好適な培養条件を開発するための方法である。
【0004】
細胞培養において依然として遭遇するいくつかの一般的な問題は、一次細胞系の限定された寿命、継代による細胞系の特徴の変化、および目的の細胞特性の喪失に付随するその形質転換である。これらの効果は、実験またはアッセイ、例えば、以下に記載の細胞に基づくアッセイにおける使用のための培養細胞の有用性を厳しく制限する。一次細胞、すなわち、組織から新鮮に単離された細胞は、それらがその元の組織に幅広く類似する様式で振舞うため、群を抜いて最も正確な細胞培養モデルを提供する。珍しいことに、一次細胞を培養する信頼できる方法は、依然として開発されておらず、結果として、これらの細胞はin vitroで制限された寿命を示す。これは、例えば、一次培養物を増幅しようと試みる場合、またはより長期間の実験を実施しようと試みる場合、重大な技術的制限をもたらす。一次培養物の使用に関連するさらなる問題は、それらが一定の新鮮な単離を必要とするため、特にヒトに由来する一次材料を調達するのが困難であり、一貫して振舞う系を取得するのも困難であることである。従って、本発明の第3の態様は、寿命が延長された生きた培養物を取得するために一次細胞を培養する方法である。
【0005】
一次細胞を長時間、in vitroで維持する場合、それらは通常、大部分の細胞が死滅する危機を経験するが、生存する細胞はより長く生存し、無期限に培養することができる。これらの連続的な細胞系は、それが無傷の動物組織において認められるように、ほとんど常に貧弱な細胞の代表である。この1つの理由は、細胞を不死にさせるプロセスも細胞の特徴に対する影響を有するという事実にある。例えば、多くの確立された細胞培養物は、組織特異的遺伝子を発現するのを停止し、その代わりに、細胞培養物における継続的増殖にとって必要なハウスキーピング遺伝子のみを発現し、結果として、多くのそのような細胞系はそれらが元々起源とする組織よりも互いにより類似する。例えば、多くの肝臓細胞系は、通常はそれらを薬剤毒性を試験するための興味深い道具にする薬剤代謝酵素を発現するのを停止する。本明細書に記載の本発明のさらなる態様は、細胞がより正確な組織モデルを提供するように、該細胞を培養する方法である。これは順に、細胞に基づく実験およびアッセイの信頼性および予測力を改善するであろう。
【0006】
細胞を培養するための改良された技術ならびに増殖、分化、代謝活性、および表現型発現などの細胞プロセスの調節のためのそのような技術を探索し、実施するための方法は、本発明者らの同時係属中の国際出願WO 2004/031369に提供されている。多数の細胞単位を取り扱う場合、それらの同一性および/または細胞培養履歴(例えば、任意の一群または単位が曝露される一連の培養条件の年代記および正確な性質)は混乱するようになり得る。WO 2004/031369は、細胞単位の同一性および/または細胞培養履歴を決定するための改良された方法を記載している。一態様においては、例えば、前記単位の分裂およびプールを可能にする、細胞生物学的実験において都合よく取り扱うことができる細胞単位の使用が記載される。
【0007】
本発明は、いくつかの従来技術の制限を克服するさらなる改善を提供することを求めるものである。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
一態様においては、(a)細胞単位を標識するのに用いられるそれぞれのタグの1個以上のパラメーターを測定する工程;(b)細胞単位中のそれぞれのタグを同定する工程;ならびに(c)それぞれのタグの同一性を、細胞単位の同一性および/または細胞単位を曝露した特定の細胞培養条件と相関させる工程を含む、2個以上のタグ(例えば、タグの型)で標識された細胞単位の細胞培養履歴を決定する方法が提供される。
【0009】
さらなる態様においては、本明細書に記載の方法を実施するためのコンピューター制御用コンピュータープログラムを含むコンピュータープログラム製品が提供される。
【0010】
さらなる態様においては、本明細書に記載の方法に従ってデータ処理操作を実施するために操作可能なデータ処理論理を含む、細胞単位の細胞培養履歴を決定するための装置が提供される。
【0011】
さらなる態様においては、微小担体および帯電した(例えば、負に帯電した)タグを含む複合体が提供される。
【0012】
さらなる態様においては、微小担体および桿状タグを含む複合体が提供される。
【0013】
本明細書に記載されるタグの品質を、本明細書に開示される改善と共に有利に用いることができる。そのような改善は、例えば、特定の型のタグおよび特定の型の細胞単位の改良された標識化、細胞単位からのタグの改良された分離ならびにタグの改良された分析を含む。
【0014】
さらなる態様においては、タンパク質を含み、それからなるか、または本質的にそれからなる微小担体とタグを含む複合体を、プロテアーゼと接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法が提供される。
【0015】
さらなる態様においては、微小担体とタグを含む複合体を、酸と接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法が提供される。
【0016】
有利には、これらの方法を用いて、本明細書に記載の方法を用いてタグを分析することができるような方法で細胞単位とタグを分離することができる。さらに、これらの方法は、そのような処理によって損なわれるタグをもたらさない。さらに、これらの方法は、大きい表面積に渡って分散されるようになり、および/またはより濃い水性溶液上に浮かぶタグなどの、それらの分析を著しく悪化させる様式で得られるタグの問題に取り組む。
【0017】
さらなる態様においては、本明細書に記載の複合体の使用を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定するための方法が提供される。
【0018】
さらなる態様においては、(a)それぞれ1種以上の細胞を含む第1のセットの細胞単位群を提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および(f)それを曝露した培養条件の所与の細胞単位に対する効果を評価する工程であって、それぞれの細胞単位が本明細書に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1種以上の細胞を含む前記工程を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法が提供される。
【0019】
さらなる態様においては、(a)それぞれ1種以上の細胞を含む第1のセットの細胞単位群を提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程であって、それぞれの細胞単位が本明細書に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1種以上の細胞を含む前記工程を含む、様々な細胞培養条件に細胞を曝露するための方法が提供される。
【0020】
さらなる態様においては、(a)それぞれ1種以上の細胞を含む第1のセットの細胞単位群を提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および(f)それを曝露した培養条件の所与の細胞単位に対する効果を評価する工程であって、それぞれの細胞単位が本明細書に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1種以上の細胞を含む前記工程を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法が提供される。
【0021】
さらなる態様においては、a)本明細書に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;b)該培養条件に曝露した場合の該細胞単位における遺伝子発現を分析する工程;およびc)所望の培養条件下で示差的に発現される遺伝子を同定する工程を含む、細胞プロセスに影響する遺伝子を同定する方法が提供される。
【0022】
さらなる態様においては、本発明に記載の方法に従って遺伝子を同定すること、および核酸合成または生物学的複製により該遺伝子の少なくともコード領域を産生させることを含む、細胞プロセスに影響する遺伝子産物をコードする核酸を産生させる方法が提供される。
【0023】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の方法に従って、細胞プロセスに関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および(b)該細胞における該1個以上の遺伝子の発現を調節する工程を含む、細胞プロセスを誘導する方法が提供される。
【0024】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の方法に従って、細胞プロセスに関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および(b)細胞における該1個以上の遺伝子の発現の調節を検出することによって、該細胞の細胞プロセスの状態を決定する工程を含む、細胞の細胞プロセスの状態を同定する方法が提供される。
【0025】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;(b)細胞プロセスを誘導する培養条件に細胞を曝露する工程;および(c)所望の細胞を単離する工程を含む、細胞プロセスを誘導する方法が提供される。
【0026】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;および(b)該細胞単位において細胞プロセスを誘導することができる薬剤を同定する工程を含む、該薬剤を同定する方法が提供される。
【0027】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;(b)該細胞単位において所望の細胞プロセスを誘導することができる薬剤を同定する工程;および(c)該薬剤を合成するか、または単離する工程を含む、該薬剤を調製する方法が提供される。
【0028】
さらなる態様においては、a)幹細胞培養物をインキュベートする工程;およびb)該培養物を2個以上の群の幹細胞に分割し、2種以上の異なるセットの培養条件下で該群の幹細胞を培養する工程であって、該細胞を細胞単位中で培養し、各細胞単位は本明細書に記載の複合体に付着したか、またはそれにより結合した1種以上の細胞を含む前記工程を含む、幹細胞またはin vitroで幹細胞から誘導された細胞を培養する方法が提供される。
【0029】
さらなる態様においては、本明細書に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖させることを含む、幹細胞を培養する方法が提供される。
【0030】
さらなる態様においては、(a)培養培地中で本明細書に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖させる工程;(b)一方の培養培地から他方の培養培地に該複合体を移す工程;(c)必要に応じて、工程(b)を繰り返す工程;および(d)該複合体に付着した分化した細胞を取得する工程を含む、in vitroで幹細胞から分化した細胞を取得する方法が提供される。
【0031】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の複合体上に多能性幹細胞を播種する工程;および(b)該複合体に付着させながら該細胞を増殖させる工程を含む、in vitroで該細胞を増殖させる方法が提供される。
【0032】
さらなる態様においては、本明細書に記載の複合体に付着した前記細胞を増殖させることを含む、in vivoまたはin vitroで細胞を培養する方法が提供される。
【0033】
さらなる態様においては、(a)細胞単位とタグを分離する工程;(b)顕微鏡技術を用いてタグの1種以上の画像を取得する工程;および(c)画像を分析して、タグの1種以上の特徴を決定する工程を含む、細胞単位から得られるか、または得ることができるタグを同定する方法が提供される。
【0034】
さらなる態様においては、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定するための本明細書に記載の複合体の使用が提供される。
【0035】
さらなる態様においては、微小担体を標識するためのナノワイヤーなどの桿状タグの使用が提供される。
【0036】
さらなる態様においては、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定するためのナノワイヤーなどの桿状タグの使用が提供される。
【0037】
さらなる態様においては、添付の図面を参照して実質的に本明細書に記載のような方法、複合体、コンピュータープログラム、装置または使用が提供される。
【0038】
実施形態
いくつかの実施形態においては、前記方法は自動化された方法である。
【0039】
いくつかの実施形態においては、前記細胞単位は微小担体に結合または付着している。
【0040】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は多孔性または固体微小担体である。
【0041】
いくつかの実施形態においては、多孔性微小担体は、Cytopore微小担体(例えば、Cytopore 1微小担体もしくはCytopore 2微小担体)、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、およびMiroporous MC微小担体からなる群より選択される。
【0042】
いくつかの実施形態においては、固体微小担体は、Cytodex微小担体(例えば、Cytodex 1、Cytodex 2もしくはCytodex 3微小担体)、Biosilon微小担体、Bioglass微小担体、FACT III微小担体またはDE 52/53微小担体からなる群より選択される。
【0043】
いくつかの実施形態においては、前記パラメーターは、タグのサイズ(大きさ)および/または該タグの光学的特性である。
【0044】
いくつかの実施形態においては、前記光学的特性は、光反射率、色、蛍光放出波長および蛍光放出強度からなる群より選択される。
【0045】
いくつかの実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1種以上の画像を測定する。
【0046】
いくつかの実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1種以上の画像を、顕微鏡を用いて測定する。
【0047】
いくつかの実施形態においては、顕微鏡的方法は、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、斜照明顕微鏡、暗視野顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、反射コントラスト顕微鏡、バレルコントラスト顕微鏡、偏光顕微鏡、干渉顕微鏡および蛍光顕微鏡からなる群より選択される。
【0048】
いくつかの実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1種以上の画像のための輪郭を描く。
【0049】
いくつかの実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1種以上の蛍光画像を測定する。
【0050】
いくつかの実施形態においては、1種以上の画像のための輪郭を、1種以上の蛍光画像上に載せる(ロードする)。
【0051】
いくつかの実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1種以上の蛍光画像を、該タグを標識するのに用いられる各フルオロフォアについて測定する。
【0052】
いくつかの実施形態においては、細胞単位中の各タグを、1種以上の輪郭内のタグの1種以上のパラメーターを読み取ることにより同定する。
【0053】
いくつかの実施形態においては、前記タグの1種以上のパラメーターは、該タグの面積および/または光学密度である。
【0054】
いくつかの実施形態においては、前記タグの1種以上のパラメーターを、スプレッドシートに入力する。
【0055】
いくつかの実施形態においては、前記フルオロフォアを、青色、緑色、近赤色または遠赤色蛍光を放出するフルオロフォアからなる群より選択する。
【0056】
いくつかの実施形態においては、2種以上のフルオロフォアを用いる場合、該フルオロフォアは互いにクエンチしない。
【0057】
いくつかの実施形態においては、前記サイズは、4、5、6または7個の異なるサイズなどの少なくとも3個の異なるサイズから選択される。
【0058】
いくつかの実施形態においては、前記サイズは、約1.9μm、約4.4μm、約5.4μm、約5.8μm、約7.4μm、約9.7μmおよび約9.8μmからなる群より選択される。
【0059】
いくつかの実施形態においては、前記フルオロフォアは、UV2、Starfire RedおよびTRITCからなる群より選択される。
【0060】
いくつかの実施形態においては、フルオロフォアの量は、5つの異なる量より選択される。
【0061】
いくつかの実施形態においては、これらの量は、範囲(例えば、蛍光強度の範囲)により示される。
【0062】
いくつかの実施形態においては、それぞれ異なる量が、約5〜10倍の明るさの差異を与える。
【0063】
いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターが存在する。
【0064】
いくつかの実施形態においては、少なくとも5個の異なるパラメーターが存在する。
【0065】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、多孔性微小担体である。
【0066】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、正味の電荷を有する。
【0067】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、タンパク質、セルロース、ポリエチレン、ポリスチロール、ガラス、コラーゲン、コラーゲン-グルコース-アミノグリカンおよび/またはゼラチンを含み、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。
【0068】
いくつかの実施形態においては、前記タグは電荷を有する。
【0069】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、正味の電荷を有する。
【0070】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、負の電荷を有する。
【0071】
いくつかの実施形態においては、帯電したタグは、球体である。
【0072】
いくつかの実施形態においては、前記球体は、ミクロスフェアである。
【0073】
いくつかの実施形態においては、前記ミクロスフェアは、直径約9μm以下である。
【0074】
いくつかの実施形態においては、前記ミクロスフェアは、カルボン酸改変(CML)ミクロスフェアである。
【0075】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、ポリスチレンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0076】
いくつかの実施形態においては、前記複合体(例えば、前記微小担体)は、細胞単位に付着または結合している。
【0077】
いくつかの実施形態においては、少なくとも1種の抗体を、前記細胞単位に結合させる。
【0078】
いくつかの実施形態においては、桿状タグは、ナノワイヤーである。
【0079】
いくつかの実施形態においては、前記ナノワイヤーは、アルミニウムナノワイヤーである。
【0080】
いくつかの実施形態においては、前記ナノワイヤーを、銀および/または金でコーティングする。
【0081】
いくつかの実施形態においては、前記ナノワイヤーは、直径約1μm以下である。
【0082】
いくつかの実施形態においては、前記ナノワイヤーは、長さ約10μm以下である。
【0083】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、多孔性微小担体である。
【0084】
いくつかの実施形態においては、前記多孔性微小担体は、電荷中性の微小担体である。
【0085】
いくつかの実施形態においては、少なくとも1種の抗体を、前記細胞単位に結合させる。
【0086】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、ゼラチンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0087】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、Cultispher微小担体である。
【0088】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体からなる群より選択される。
【0089】
いくつかの実施形態においては、前記プロテアーゼは、プロテイナーゼK、トリプシン、サーモリシンおよびカスパーゼからなる群より選択される。
【0090】
いくつかの実施形態においては、プロテイナーゼKを、約0.5U/ml以下の量で用いる。
【0091】
いくつかの実施形態においては、前記複合体を、少なくとも20〜60分間、プロテイナーゼKと接触させる。
【0092】
いくつかの実施形態においては、前記複合体を、約5μl以下の容量のプロテアーゼと接触させる。
【0093】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、セルロースを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0094】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、Cytopore微小担体である。
【0095】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、Cytopore 2微小担体である。
【0096】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、球体である。
【0097】
いくつかの実施形態においては、前記酸は、塩酸、硫酸および次亜塩素酸ナトリウムからなる群より選択される。
【0098】
いくつかの実施形態においては、前記酸は、37%塩酸(約12M)である。
【0099】
いくつかの実施形態においては、前記酸は、濃硫酸である。
【0100】
いくつかの実施形態においては、前記複合体を、約5μl以下の容量の酸と接触させる。
【0101】
いくつかの実施形態においては、前記複合体を、前記酸の存在下で加熱する。
【0102】
いくつかの実施形態においては、前記細胞を、それぞれ1種以上の細胞を含む細胞単位中で培養する。
【0103】
いくつかの実施形態においては、前記細胞単位は、単一の細胞である。
【0104】
いくつかの実施形態においては、前記培養条件は、前記細胞を曝露する培地である。
【0105】
いくつかの実施形態においては、前記培地は、細胞プロセスに影響する1種以上の特定の薬剤を含む。
【0106】
いくつかの実施形態においては、前記細胞培養条件は、1種以上の特定の温度で培養することを含む。
【0107】
いくつかの実施形態においては、前記細胞培養条件は、1種以上の特定の基質上で培養することを含む。
【0108】
いくつかの実施形態においては、所望の培養条件は、細胞プロセスに影響する。
【0109】
いくつかの実施形態においては、前記細胞中での遺伝子発現の調節は、該細胞中への前記1種以上の遺伝子のトランスフェクションを含む。
【0110】
いくつかの実施形態においては、遺伝子発現の調節は、遺伝子産物の外因性投与を含む。
【0111】
いくつかの実施形態においては、前記1種以上の遺伝子は、マーカーをコードする。
【0112】
いくつかの実施形態においては、前記マーカーを、免疫アッセイにより検出することができる。
【0113】
いくつかの実施形態においては、前記細胞プロセスは、細胞の増殖または分化である。
【0114】
いくつかの実施形態においては、前記細胞単位は、単一の細胞である。
【0115】
いくつかの実施形態においては、前記幹細胞を、培養条件の少なくとも1つの変化にかける。
【0116】
いくつかの実施形態においては、培養条件の前記変化は、培地の変化を含む。
【0117】
いくつかの実施形態においては、分化した細胞を、前記複合体からの酵素的または化学的分離により単離する。
【0118】
いくつかの実施形態においては、分化した細胞を、前記複合体の消化により単離する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0119】
発明の詳細な説明
定義
培養条件:本明細書で用いられる用語「培養条件」とは、細胞の増殖もしくは分化を促進するために、細胞が置かれるか、または曝露される環境を指す。かくして、この用語は、細胞の増殖および/または分化に影響し得る培地、温度、大気条件、基質、攪拌条件などを指す。より具体的には、この用語は、培養培地中に組み入れることができ、細胞の増殖および/または分化に影響し得る特定の薬剤を指す。
【0120】
細胞:本明細書で用いられる「細胞」は、独立に機能することができる生物または全て半透過性の細胞膜もしくは細胞壁により取り囲まれた、1個以上の核、細胞質、および種々のオルガネラからなる単細胞生物の最も小さい構造単位として定義される。この細胞は、原核細胞、真核細胞または古細菌細胞であってよい。例えば、この細胞は、真核細胞であってよい。哺乳動物細胞、特に、ヒト細胞が好ましい。細胞は天然のものであってもよいし、または所望の特性を達成するために、遺伝子操作もしくは培養における継代などにより改変することができる。幹細胞は、以下により詳細に定義されるが、2個以上の分化した細胞型を生じることができる全能性、多能性(pluripotent)または多能性(multipotent)の細胞である。幹細胞を、in vitroで分化させて、それ自身、多能性であるか、または最終的に分化したものであってよい、分化した細胞を得ることができる。in vitroで分化した細胞は、細胞分化を促進する1種以上の薬剤に幹細胞を曝露することにより人工的に作製された細胞である。
【0121】
細胞プロセス:細胞内または細胞外での細胞プロセスは、起こるか、または観察されるか、または細胞に帰することができる、任意の特徴、機能、プロセス、事象、原因または効果である。細胞プロセスの例としては、限定されるものではないが、生存能力、老化、死、多分化能、形態、シグナリング、結合、認識、分子の産生もしくは破壊(分解)、突然変異、タンパク質折畳み、転写、翻訳、触媒作用、シナプス伝達、小胞輸送、オルガネラ機能、細胞周期、代謝、増殖、分裂、分化、表現型、遺伝子型、遺伝子発現、またはこれらのプロセスの制御が挙げられる。
【0122】
細胞単位:群の1つであってよい一群の細胞。細胞単位が細胞のコロニーとして振る舞い、該細胞単位中の各細胞が同じ培養条件に曝露されるように、細胞単位自体を実質的に分離することなく、細胞単位のプールを分類、分割および取り扱うことができる。いくつかの実施形態については、細胞単位は、一群の細胞に付着した微小担体またはビーズを含んでもよい。
【0123】
全能性:全能性細胞は、生物中に見出される任意の型の体細胞または生殖細胞に分化する潜在能力を有する細胞である。かくして、任意の所望の細胞を、いくつかの手段により、全能性細胞から誘導することができる。
【0124】
多能性:多能性細胞は、全てではないが、2種以上の細胞型に分化し得る細胞である。
【0125】
タグ:一態様においては、本明細書で用いられる用語「タグ」とは、細胞単位を同定し、および/または細胞単位を曝露した培養条件、もしくは培養条件の配列を決定するのに用いられる任意のタグを指す。別の態様においては、用語「タグ」とは、細胞単位を特異的に標識し、かくして、細胞単位の同定ならびに/または細胞単位を曝露した培養条件および/もしくは培養条件の配列の決定を容易にする手段として、細胞単位に添加される任意のタグを指す。好適には、このタグは、関連するが、異なる変異体の数で存在し、本明細書でさらに詳細に記載されるように、容易に識別可能である。このタグは、典型的には、Cultispher-G微小担体またはCytopore 2微小担体などの微小担体との複合体の一部を形成する。いくつかの実施形態については、このタグは、ミクロスフェアまたはマイクロビーズなどの球体またはビーズである。いくつかの実施形態については、このタグは、ナノワイヤーなどの桿状粒子である。本明細書で言及される用語「タグ」は、用語「標識」と同義である。
【0126】
培養条件への曝露:細胞を培地と接触させて置くか、または細胞の増殖、分化、もしくは代謝状態などの1種以上の細胞プロセスに影響する条件下で増殖させる場合、該細胞は培養条件に曝露される。かくして、培養条件が、培地中で該細胞を培養することを含む場合、該細胞を、それが効果を有するのに十分な時間、培地中に入れる。同様に、該条件が温度条件である場合、細胞を所望の温度で培養する。
【0127】
プール:1つ以上の群の細胞単位のプールは、2つ以上のバックグラウンドの細胞単位を含む、すなわち、2つ以上の異なるセットの培養条件に曝露された、単一の群またはプールを作製するための群の混合物を含む。プールを、無作為に、または非無作為に、群にさらに分割することができる;そのような群は、本発明の目的にとってそれ自身「プール」ではないが、例えば、異なるセットの培養条件に曝露した後、組合せによりそれ自身プールすることができる。
【0128】
増殖:細胞成長および細胞増殖は、異なる細胞型または系列に分化することなく、細胞数の増加を示すのに本明細書で互換的に用いられる。換言すれば、この用語は、生きた細胞数の増加を示す。いくつかの実施形態においては、増殖は、表現型または遺伝子型における感知できる変化を伴わない。
【0129】
分化:細胞分化は、細胞型からの、異なる細胞型の発達である。例えば、二分化能性、多能性または全能性細胞は、神経細胞に分化することができる。分化は増殖を伴うか、またはそれとは無関係であってよい。用語「分化」は、一般的には、あまり発生的に定義されていない細胞型、例えば、ニューロン、もしくはリンパ球からの成熟細胞型の表現型の獲得を指すが、分化転換を妨げず、それによって、1種の成熟細胞型は別の成熟細胞型、例えば、ニューロンからリンパ球に変換することができる。
【0130】
分化状態:細胞の分化状態は、細胞が特定の経路または系列に沿って分化したレベルである。
【0131】
細胞プロセスの状態:細胞プロセスの状態とは、細胞プロセスが生じるかどうかを指し、複合体においては、細胞プロセスは、その細胞プロセスにおける特定の工程もしくは段階を指すことができる。例えば、細胞における細胞分化経路は、不活性であるか、または誘導されたものであってよく、酵素もしくは中間体の特徴的なセットの存在を特徴とするシグナリング事象などのいくつかの個別の工程もしくは成分を含んでもよい。
【0132】
遺伝子:遺伝子は、ポリペプチドまたはRNA遺伝子産物である遺伝子産物をコードする核酸である。本明細書で用いられる遺伝子は、遺伝子産物をコードする少なくともコード配列を含む;必要に応じて、それは、コード配列の転写および/または翻訳にとって必要な1種以上の調節領域を含んでもよい。
【0133】
遺伝子産物:遺伝子産物は、典型的には、従来の様式で遺伝子によりコードされたタンパク質である。しかしながら、この用語は、該遺伝子によりコードされるリボ核酸などの非ポリペプチド遺伝子産物も包含する。
【0134】
核酸合成:核酸を、任意の利用可能な技術に従って合成することができる。いくつかの実施形態においては、核酸合成を自動化する。さらに、当業界で公知の手順に従って、細菌または真核細胞中でのクローニングおよび複製などの生物学的複製により、核酸を製造することができる。
【0135】
示差的発現:細胞培養条件に応答して異なるレベルで発現される遺伝子を、当業界で公知の方法により、遺伝子アレイなどの遺伝子発現分析により同定することができる。示差的に発現される遺伝子は、全体の遺伝子発現レベルと比較して、代替的な条件下よりも試験条件下で、より多いか、またはより少ない量の細胞中のmRNAまたは遺伝子産物を示す。
【0136】
トランスフェクション:遺伝子を、任意の好適な手段により細胞中にトランスフェクトすることができる。本明細書で用いられるこの用語は、例えば、リン酸カルシウムを用いる従来のトランスフェクションを意味するが、形質転換、ウイルス形質導入、エレクトロポレーションなどの細胞中に核酸を導入するための他の技術も含む。
【0137】
調節:本明細書で用いられる用語「調節」は、調節されるパラメーターの増加および/または減少を意味する。かくして、遺伝子発現の調節は、遺伝子発現の増加および遺伝子発現の減少の両方を含む。
【0138】
整数:この用語は、パラメーターの個々の実体を指す。例えば、パラメーターがタグのサイズである場合、整数は該パラメーター内の1以上の特定のサイズであろう。
【0139】
1つ以上の細胞単位と関連するタグの同定
一態様においては、(a)細胞単位を標識するのに用いられる各タグの1個以上のパラメーターを測定する工程;(b)細胞単位中の各タグを同定する工程;ならびに(c)各タグの同一性を、細胞単位および細胞単位を曝露した特定の細胞培養条件の同一性と相関させる工程を含む、2個以上のタグ(例えば、2個以上の型のタグ)で標識された細胞単位の細胞培養履歴を決定するための方法が提供される。
【0140】
さらなる態様においては、(a)分析にとって好適な形態で、細胞単位からタグを取得する工程;(b)細胞単位を標識するのに用いられる各タグの1個以上のパラメーターを測定する工程;(c)細胞単位中の各タグを同定する工程;および(d)各タグの同一性を、細胞単位を曝露した細胞培養条件の年代記および同一性と相関させる工程を含む、1個以上の型のタグで標識された細胞単位の細胞培養履歴を決定する方法も提供される。
【0141】
このパラメーターは、タグのサイズおよび/または該タグの光学特性であってよい。タグの光学特性の例としては、限定されるものではないが、光反射率、色、蛍光放出波長および/または蛍光放出強度が挙げられる。
【0142】
分析しようとする細胞単位を、多くの異なる細胞単位を含んでもよいサンプルから分離することができる。
【0143】
目的の細胞単位中のタグを、細胞単位から単離することができる。いくつかの実施形態においては、細胞単位の酵素的消化および/または酸加水分解によりこれを達成する。いくつかの実施形態においては、本明細書に記載の方法を用いて、これを達成する。有利には、特定の実施形態においては、これは細胞単位の破壊をもたらすが、タグは無傷のまま取得される。
【0144】
本発明の一実施形態においては、1個以上の異なるタグを、複数の細胞単位を含むサンプル中に含まれる細胞単位などの細胞単位について測定する。
【0145】
いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約2〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約2〜約40個の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約2〜約30個の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約2〜約20個の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約2〜約10個の異なる(型の)タグが存在するであろう。
【0146】
いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約5〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約10〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約15〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約20〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約25〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約30〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約35〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約40〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約45〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろうことが予想される。
【0147】
いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約55、60、65、70、75もしくはさらに80個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約55、60、65、70、75もしくはさらに80、90、100、250、500、750、もしくは1000個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。
【0148】
上記のパラメーターの各々は、いくつかの異なる整数を有してもよい。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも2、3、4または5の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも10の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも15の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも20の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも25の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも30の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも35の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも40の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも45の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも50の異なる整数が存在する。
【0149】
いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、5を超える異なる整数が存在する。
【0150】
いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、5を超える、および50未満の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、50未満の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、5を超える、および50以上の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、40未満の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、30未満の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、20未満の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、10未満の異なる整数が存在する。
【0151】
各細胞単位は、各種の2個以上の(例えば、複数の)タグを含んでもよい。
【0152】
有利には、多くの細胞単位および/または多くのサンプルを処理することができるように、この方法を自動化することができる。各サンプルはその中に多くの(例えば、100)異なるタグを有することによって、大量のデータを生成し得るので、これは特に有利である。
【0153】
本発明のいくつかの実施形態については、最大で50個の異なるタグが存在する。例えば、本明細書に記載のCML親水性マイクロビーズの使用は、典型的には、この数のマイクロビーズをもたらす。CML親水性マイクロビーズを、1種以上のマイクロビーズと一緒に用いることができる。いくつかの実施形態においては、CML親水性マイクロビーズを、Cytopore 2微小担体と一緒に用いる。
【0154】
サンプル中のタグは全て異なっていてもよく、またはそれらは全て同じであってもよい。タグは、約1〜10μm、好ましくは約1.9μm、約4.4μm、約5.4μm、約5.8μm、約7.4μm、約9.7μmおよび/または約9.8μmなどの異なるサイズのものであってよい。タグは、CMLミクロスフェアなどのミクロスフェアであってよく、そのようなミクロスフェアの直径は、1〜10μm、好ましくは、約1.9μm、約4.4μm、約5.4μm、約5.8μm、約7.4μm、約9.7μmおよび約9.8μmであってよい。
【0155】
いくつかの実施形態については、最大で1000個の異なるタグが存在する。例えば、本明細書に記載の銀および金でストライプされた桿状ナノワイヤーの使用は、この数のタグをもたらす。前記ナノワイヤーを、1種以上の微小担体と一緒に用いることができる。いくつかの実施形態においては、ナノワイヤーを、Cultispher-G微小担体と一緒に用いる。
【0156】
一実施形態においては、特定のタグは、公知の細胞培養条件と相関している。従って、一度、細胞単位をこのタグで標識し、対応する条件で培養したら、目的の特定の細胞単位を生じたこれらの培養条件を同定または選択することができる。
【0157】
画像分析の様々な方法が当業界で利用可能であるが、Media Cybernetics (www.mediacy.com)によるImage Pro Plus画像化ソフトウェア、Nikon TE2000-S蛍光顕微鏡およびMedia Cyberneticsにより供給されたEvolution VF冷却モノクロカメラを用いることができる。
【0158】
一実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1つ以上の画像を測定する。典型的には、これを、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、斜照明顕微鏡、暗視野顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、反射コントラスト顕微鏡、バレルコントラスト顕微鏡、偏光顕微鏡、干渉顕微鏡および蛍光顕微鏡などの顕微鏡を用いて達成することができる。好適には、目的の視野における細胞単位中の各タグの1つ以上の画像について輪郭を描き、および/または目的の視野における細胞単位中の各タグの1つ以上の蛍光画像を測定する。フルオロフォアは、例えば、青色、緑色、近赤色または遠赤色の蛍光を放出してもよい。好適には、フルオロフォアを、UV2、Starfire RedおよびTRITCからなる群より選択する。フルオロフォアの量を、5つの異なる範囲(例えば、蛍光強度の範囲)から選択することができ、それぞれ異なる範囲は別々のものである。いくつかの実施形態においては、この範囲は、明るさにおいて約2〜5倍以上異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、この範囲は、明るさにおいて約5〜10倍以上異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、この範囲は、明るさにおいて約2〜100倍以上異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、この範囲は、明るさにおいて約2〜1000倍以上異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、この範囲は、明るさにおいて約2、5、10、100または1000倍以上異なっていてもよい。
【0159】
好適には、1つ以上の画像についての輪郭を、1つ以上の蛍光画像上に載せ、目的の視野における細胞単位中の各タグの1つ以上の蛍光画像を、タグを標識するのに用いられる各フルオロフォアについて測定することができる。細胞単位中の各タグを、1つ以上の輪郭内のタグの面積および/または光学密度などの1個以上のパラメーターを読み取ることにより同定することができる。
【0160】
かくして、例えば、TRITC、DAPI(UV2)、GFP-B(全てNikon社製)およびCy5(Chroma Technology)などのフルオロフォアの可視化のためのフィルターセットを備えたNikon TE2000-S逆転落射蛍光顕微鏡を用いる顕微鏡測定により、タグを分析することができる。Evolution VF冷却モノクロカメラを用いて画像を捕捉し、Image Pro Plus(共にMedia Cybernetics社製)を用いて画像分析を実施することができる。
【0161】
典型的には、単一のミクロスフェアの輪郭を、顕微鏡法を用いて捕捉し、これらの中の面積を算出してタグのサイズを決定する。異なるチャンネル中の蛍光強度を用いて、公知のタグを含む参照サンプルとの比較により、各タグの同一性をさらに特定することができる。
【0162】
好適には、顕微鏡法を、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、斜照明顕微鏡、暗視野顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、反射コントラスト顕微鏡、バレルコントラスト顕微鏡、偏光顕微鏡、干渉顕微鏡および蛍光顕微鏡からなる群より選択する。
【0163】
一実施形態においては、顕微鏡法は明視野顕微鏡法である。
【0164】
必要に応じて、得られるデータを、決定すべきサンプル中の細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性を提供する、本明細書に記載のさらなる方法を用いて処理することができる。有利には、このプロセスを自動化することによって、大量のデータを迅速に処理することができる。
【0165】
有利には、このプロセスは、それぞれの型のタグの数を計数した後、一覧、グラフまたはチャートの形態でこのデータを出力するソフトウェアを用いる。
【0166】
有利には、このデータを、高効率分析のためにスプレッドシートに入力することができる。
【0167】
一態様においては、このデータを分析する方法は、タグの少なくとも1個のパラメーターの上限および下限と、該タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値とを比較する第1工程を含む。本発明の一実施形態においては、任意のパラメーターの上限および下限は、同じ種の複数の参照タグを分析することにより得られるか、または取得可能である。下限が平均測定値未満であり、上限が平均測定値より高い場合、前記方法は、タグの第2のパラメーターの上限および下限と、該タグの第2のパラメーターの平均測定値とを比較する。第2のパラメーターの下限がそのパラメーターの平均測定値よりも低く、第2のパラメーターの上限がそのパラメーターの平均測定値よりも高い場合、前記方法は、1個以上のさらなるパラメーターを対応するパラメーターの下限と比較する。
【0168】
任意の点で、任意のパラメーターの平均測定値がそのパラメーターについて決定された上限と下限の間にない場合、前記方法は、その平均測定値を、同じパラメーターの異なる限界を含む第2の範囲と比較する。
【0169】
一態様においては、タグの少なくとも1個のパラメーターの上限および下限と、該タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値とを比較する工程を含む、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性を決定するための方法が提供される。
【0170】
さらなる態様においては、(a)タグの少なくとも1個のパラメーターの上限および下限と、該タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値とを比較する工程;(b)該タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値と、該タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限とを比較する工程;ならびに(c)該タグの少なくとも1個のパラメーターの測定値と、細胞単位に結合したタグの同一性とを相関させる工程を含む、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性を決定する方法が提供される。
【0171】
一実施形態においては、下限が平均測定値未満であり、上限が平均測定値より高い場合、前記方法は、タグの第2のパラメーターの上限および下限と、該タグの第2のパラメーターの平均測定値とを比較する。例えば、第1のパラメーターはサイズであってよく、第2のパラメーターは蛍光の強度またはレベルであってよい。
【0172】
一実施形態においては、第2のパラメーターの下限がそのパラメーターの平均測定値より低く、第2のパラメーターの上限がそのパラメーターの平均測定値より高い場合、前記方法は、1個以上のさらなるパラメーターと、対応するパラメーターの下限とを比較する。
【0173】
一実施形態においては、下限が平均測定値より低くなく、平均測定値が上限より低くない場合、前記タグの同じパラメーターの少なくとも1つのさらなる整数の上限および下限を測定する。例えば、さらなる整数としては、限定されるものではないが、異なるサイズ、異なるフルオロフォアまたは異なる範囲の蛍光強度が挙げられる。従って、これらの整数の各々に関するパラメーターは、それぞれ、フルオロフォアのサイズ、型および蛍光の強度であろう。
【0174】
一実施形態においては、下限が平均測定値未満であり、平均測定値が上限未満である場合、タグの少なくとも1個のさらなるパラメーター、例えば、フルオロフォアのサイズ、型および/または該タグのフルオロフォアのレベルなどを測定する。
【0175】
一実施形態においては、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、該タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限より高い場合、その結果は、1個以上のパラメーターを有する1個以上のタグと相関する。
【0176】
一実施形態においては、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、該タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限以下である場合、その結果は、該パラメーターを有するタグと相関する。
【0177】
一実施形態においては、下限が平均測定値より低くなく、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限よりも低くない場合、タグの同じパラメーターの少なくとも1個のさらなる整数の上限および下限を測定する。
【0178】
一実施形態においては、前記方法を、前記タグの同じパラメーターの1個以上のさらなる整数について繰り返すことができる。別の実施形態においては、前記方法を、該タグの同じパラメーターの全ての整数についてさらに繰り返すことができる。
【0179】
一実施形態においては、下限が平均測定値未満であり、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限未満であり、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、該タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限よりも高い場合、その結果は、1個以上のパラメーターを有する1個以上のタグと相関する。
【0180】
一実施形態においては、下限が平均測定値未満であり、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限未満であり、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、該タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限以下である場合、その結果は、該パラメーターを有するタグと相関する。
【0181】
一実施形態においては、前記タグの少なくとも1個のパラメーターの測定値を、細胞単位と結合したタグの同一性と相関させることができない場合、前記方法は、例えば、最後の「いいえ」の決定が、関連する大きさのタグのフルオロフォア値を問い合わせ続けるように、フルオロフォアを連続的に試験するさらなる工程を含んでもよい。
【0182】
好適には、本明細書に記載の方法を、本明細書に記載の1種以上の複合体を用いて実施する。
【0183】
さらなる態様においては、(a)細胞単位を標識するのに用いられるタグの1個以上の画像を取得する工程;(b)該タグの1個以上の画像の輪郭を描写する工程;(c)該タグの1個以上の画像の輪郭をロードする工程;ならびに(d)該1個以上の輪郭内の面積および/または密度を読み取る工程を含む、タグの1個以上の面積および/または密度値を同定する方法が提供される。
【0184】
一実施形態においては、前記画像は、位相画像であってよい。
【0185】
細胞単位の同一性または細胞培養履歴の決定
既に上記された通り、多数の細胞単位を取り扱う場合、それらの同一性および/または細胞培養履歴(例えば、任意の一群もしくは単位が曝露され得る一連の培養条件の年代記および正確な性質)は混乱するようになり得る。例えば、細胞培養のスプリットプールプロトコルは必然的に、個々の単位の追跡を困難にする、各ラウンドにおける細胞単位の混合を含む。複数の培養条件にかけられた、細胞単位の混合物中の細胞単位の細胞培養履歴の決定を、細胞培養履歴の「デコンボリューション」と呼ぶこともある。
【0186】
細胞単位の混合物中の細胞単位の細胞培養履歴を決定する1つの方法は、細胞単位を標識することであり、従って、細胞単位を標識することが有利である。本明細書に記載のように、桿状粒子などのタグ、マイクロビーズおよび/またはミクロスフェアを、細胞に結合した微小担体などの微小担体にコンジュゲートさせた標識またはタグとして用いることができる。その後の検出および同定により、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性の記録が提供される。
【0187】
微小担体
様々な形状および大きさで、種々の材料から作られた様々な微小担体が利用可能である。
【0188】
例えば、前記微小担体は、Cytopore微小担体(例えば、Cytopore 1微小担体もしくはCytopore 2微小担体)、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択される多孔性微小担体であってよい。
【0189】
さらに例えば、前記微小担体は、Cytodex微小担体(例えば、Cytodex 1、Cytodex 2もしくはCytodex 3微小担体)、Biosilon微小担体、Bioglass微小担体、FACT III微小担体またはDE 52/53微小担体などの固体微小担体であってよい。
【0190】
微小担体培養は、培養のスケールアップなどの有意な利点を有し、細胞の単位を必要に応じて選択された培養条件に曝露して、所望の増殖および/または分化条件を取得することもできる。
【0191】
微小担体の表面を、所望の電荷もしくは他の所望の特徴を有する分子的実体の吸着もしくは共有架橋などの物理的または化学的処理によりさらに改変することができる。
【0192】
従って、幅広い実施形態においては、本発明は、本明細書に記載の微小担体複合体に付着させた細胞を増殖させることを含む、in vitroで細胞を培養する方法を提供する。
【0193】
一態様においては、微小担体と帯電した(例えば、負に帯電した)タグを含む複合体が提供される。換言すれば、帯電した(例えば、負に帯電した)ミクロスフェアとコンジュゲートされたか、またはそれで標識された微小担体が提供される。
【0194】
さらなる態様においては、微小担体および桿状タグが提供される。換言すれば、桿状タグとコンジュゲートされたか、またはそれで標識された微小担体が提供される。
【0195】
Cultispher微小担体
CultiSpherは、高い機械的および温度的安定性を有する高度に架橋したゼラチンマトリックスをもたらすプロセスを介して医薬等級の豚ゼラチンから製造されたものである。細胞培養物中で用いられる場合、細胞は、マトリックスの外部および内部表面の両方に付着することができる。マトリックスの内部で細胞に与えられるストレスからの保護と共に、マトリックスの表面積の増加は、細胞産生能力の増強をもたらす。この製品のさらなる利点は、マトリックスをタンパク質溶解酵素で分解し、ほとんど100%の生存能力を有する細胞の収穫を得ることができることである。
【0196】
一実施形態においては、前記微小担体は、Cultispher-G微小担体である。Cultispher-Gは、130〜380μmの粒子径、12〜18 ml/乾燥gの容量、20μmの平均孔径を有する1.04 g/mlの密度を有する。
【0197】
Cultispher-G微小担体を調製し、使用するために、特に、Biotech. Bioeng. (2000) 68, 1 p59-70; Brit. J. Cancer. Suppl. XXVII, S-78-S82 (1996);およびwww.percell.seの製造業者のウェブサイトを参照することができる。
【0198】
Cytopore 2微小担体
Cytopore微小担体は、GE Healthcare(以前はAmersham)(www.microcarriers.com)から入手可能である。Cytoporeは、100%セルロース製であり、細胞に対して非毒性的かつ生分解性である。それは、N,N'-ジエチルアミノエチル基に起因して正に帯電している。それは非常に正確な粒子径分布およびネットワーク構造を有し、表面積と粒子材料の比率は95:1を超える。このネットワーク構造により、染色された細胞が微小担体の内側で増殖する間、それらを密接に観察することができる。典型的な粒子直径は200〜280μmであり、有効表面積は1.1 m2/乾燥gである。相対密度は1.03 g/mlであり、孔の開口部の平均直径は30μmであり、容量は40 ml/乾燥gである。Cytopore微小担体を調製し、使用するために、特に、Applied Microbiology and Biotechnology (1997) 47, 4 p352-7; Cytotechnology (1999) 30 p143-147; Chinese Journal of Biotechnology (1999) 15, 4 p239-44およびActa Oto-Laryngologica (2002) 122, 5 p541-5を参照することができる。
【0199】
Cytopore 2を、約1.8 meq/gの電荷密度を要する足場依存性細胞のために最適化した。
【0200】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、豚ゼラチン微小担体である。
【0201】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、100%セルロース製である。
【0202】
有利には、強い正の電荷を有する微小担体が、強い負の電荷を担持するタグと共に最適である。
【0203】
タグ
上記のように、タグを、標識または微小担体(細胞に結合した微小担体など)にコンジュゲートさせたタグとして用いることができる。その後の検出および同定により、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性の明白な記録が提供される。
【0204】
様々な分子または大分子タグを、それらを検出することができる限りは微小担体と組合わせて用いることができる。このタグは、典型的には、独特の形状であるか、またはマーキングならびに/または着色された化合物および/もしくは蛍光化合物で改変された対象物を含む。
【0205】
一実施形態においては、細胞単位を標識するのに用いられるタグは、以下の品質のうちの1つ以上(好ましくは、全部)を有する:
i. それらが標識する微小担体と比較して、それらの大きさが小さい、および/または多孔性微小担体の平均孔径よりも小さい;
ii. 結合が実験を通して持続するように、それらが微小担体との複合体を形成することができ、そのように結合したタグを、標識された細胞単位に影響を与えることなく該複合体から分離することができる;
iii. それらが、タグのユニークな品質を混乱させない条件下で複合体を形成した細胞単位から、それらを分離することができる;
iv. それらを、細胞単位の生物学に実質的に影響せず、同様に細胞単位またはその生物学により影響されない1種以上の不活性物質から作製する;
v. それらは、大量に、かつさらに好適な技術を用いて容易に識別可能である多くの関連するが、異なる変異体において取得可能である;
vi. それらを、便利な、高度に信頼可能であり、自動化することができる方法により識別する。
【0206】
一実施形態においては、前記タグは、蛍光および/または着色されたミクロスフェアなどのミクロスフェアである。
【0207】
乳液もしくは懸濁液のポリマー化、沈降などにより作製され、ポリスチレン、他のポリマー、コポリマー、テルポリマーおよび/もしくはシリカなどから構成される2000種を超える様々なミクロスフェアが、例えば、Duke Scientific Corporation (Palo Alto CA, USA)またはBangs Laboratories Inc. (Fishers IN, USA)から、様々な大きさ、密度、色などで入手可能である。
【0208】
一般的な型のミクロスフェアは、ポリスチレン(PS)およびスチレン/ジビニルベンゼンコポリマー(S/DVB)ミクロスフェアである。他のポリマーとしては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルトルエン(PVT)、スチレン/ブタジエン(S/B)コポリマー、スチレン/ビニルトルエン(S/VT)コポリマーが挙げられる。これらのミクロスフェアの多くを、例えば、CMLミクロスフェアにおいてはカルボキシル基により、またはアミノ官能化化合物もしくは窒素含有化合物、例えば、COOHビーズへの代替的カップリング反応を提供する、一次、二次、三次、および四次脂肪族アミン、芳香族アミン、ならびにピリジンなどにより官能化することができる。
【0209】
好適には、前記ミクロスフェアは、親水性ミクロスフェアである。より好適には、前記ミクロスフェアは、ポリスチレンミクロスフェアである。最も好適には、前記ミクロスフェアは、Duke Scientific Corporation (Palo Alto CA, USA)社製のカルボン酸改変(CML)ミクロスフェアなどの表面改変ミクロスフェアである。
【0210】
一実施形態においては、1種以上のCMLミクロスフェアを、1種以上のcytopore 2微小担体と一緒に複合体化する。
【0211】
CMLミクロスフェアは、コポリマー化プロセスから誘導されたカルボキシル基の高度に帯電した表面層を有する。この表面は、いくらか多孔性であり、比較的親水性であるが、全体的には疎水性を保持している。これらの粒子の電荷密度は、カルボキシル基あたり約10〜125 Å2-であり、それらは高濃度の電解質に対して安定である(最大で1Mの一価塩)。CMLラテックスはタンパク質および他の生体分子を吸着するが、疎水性ミクロスフェアよりもあまり強くないであろう。
【0212】
いくつかの実施形態においては、ミクロスフェアとタンパク質、例えば、ストレプトアビジンのコンジュゲートを調製する。
【0213】
例えば、CMLミクロスフェアとのコンジュゲートを、以下のように調製することができる。CMLミクロスフェアを、タンパク質上の一次アミンと反応するカルボキシル基を結合させる水溶性カルボジイミド試薬を用いて活性化することができる。pH 6.0の50 mM反応バッファーを調製する。酢酸ナトリウムまたは2-[N-モルホリノ]エタンスルホン酸(MES)が好適なバッファーである。タンパク質を、10 mg/mLの濃度で反応バッファー中に溶解する。ミクロスフェアの1%(w/v)懸濁液を、前記反応バッファー中で調製する。10容量のミクロスフェア懸濁液に対して1容量のタンパク質溶液を調製し、混合物を室温で20分間インキュベートする。脱イオン水中の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)の10 mg/mL(52μMol/mL)の溶液を調製し、すぐに用いる。ミクロスフェア懸濁液に対するEDAC溶液の計算された量を添加し、反応混合物のpHを、0.1N NaOHで6.5±0.2に調整する。この混合物を室温で2時間、ロッカーホイールまたは混合ホイール上でインキュベートする。未結合のタンパク質を除去し、保存バッファー中で保存する。
【0214】
有利には、CMLおよび他のミクロスフェアを、様々な色(例えば、青、赤、緑、黄、黒)、様々なフルオロフォア(例えば、フルオレセイン(緑)、フルオレセイン(赤)またはフルオレセインおよびローダミン(赤緑)ならびに様々な大きさ(例えば、5.4μm(1.14 x 1010ビーズ/グラム)、および7.6μm(4.10 x 109ビーズ/グラム))などの様々な形式で取得することができる。
【0215】
CMLおよび他のミクロスフェアを、それらが1種以上の可視性染料および/またはフルオロフォアと共にロードされるように調製することができる。
【0216】
一実施形態においては、ミクロスフェアなどのタグを、タンパク質でコーティングしない。
【0217】
有利には、タンパク質(例えば、ストレプトアビジン)でコーティングされていないCMLミクロスフェアは、高度に負に帯電しており、それらは高い正の電荷を担持するCytopore微小担体に極端にきつく付着する。バルク複合体を得るのに必要とされるCMLミクロスフェア:Cytopore微小担体の比は、約1:1の低さであってよい。本発明者らが用いた以前の系においては、複数回の洗浄後に各複合体中で結合したタグをわずかでも取得するためには、約1:250の比が必要であった。
【0218】
製造プロセスにおいて様々なパラメーターを変化させることにより、Bangs Laboratoryなどの商業的なミクロスフェア提供者は、異なる大きさに基づいて区別することができるビーズセット(例えば、4.4μmおよび5.5μm直径のビーズセット)を製造することができる。それぞれの大きさの群の中のビーズを、単一の蛍光染料を用いる示差的ローディングのため異なる蛍光強度に基づいて互いにさらに区別することができる。本明細書に記載のミクロスフェアに付着させることができる、異なる吸収特性または放出特性を有する多くの異なる染料を用いることができる。従って、タグの多様性は、様々なタグの大きさおよび/またはフルオロフォアローディング(すなわち、蛍光強度)および/またはフルオロフォア同一性/組合せから得られる。特に、タグの多様性は、それらが担持するフルオロフォアの型(例えば、ビーズをUV2もしくはStarfire Redと共にロードすることができる);大きさ(例えば、各フルオロフォアにつき、5つの異なるビーズサイズ:1.87、4.41、5.78、5.37および9.77ミクロンが存在する)ならびに/またはそれらが担持するフルオロフォアの量(5つの異なる強度の各染料が利用可能である)から生じ得る。TRITCなどの他のフルオロフォアを用いることもできる。
【0219】
次いで、フィルターを用いて、任意の所与のビーズ(例えば、Nikon社製TRITC可視化についてはTRITCフィルター(ex 540/25; dm 565; ba 605/55);Nikon社製UV2可視化についてはDAPIフィルター(ex 340-380; dm 400; ba 435-485);Nikon社製FITC可視化についてはGFP-Bフィルター(ex 460-500; dm 505; ba 510-560)およびStarfire Red可視化についてはCy5フィルターセット(Chroma Technology社製カタログ番号41008))上で少なくとも4種の異なる染料を検出することができる。
【0220】
可視性染料または蛍光染料を用いて、内部的または外部的にミクロスフェアを染色することができる。典型的には、染料またはフルオロフォアを含む溶液中にミクロスフェアを浸すことにより、染料をミクロスフェア集団中に組み入れる場合、内部的染色を行う。染料をミクロスフェアの表面にコンジュゲートさせる場合、外部的改変、例えば、本明細書に記載のイソチオシアン酸誘導体を用いるCMLミクロスフェアの改変を行う。
【0221】
従って、いくつかの実施形態においては、可視性染料または蛍光染料を用いて、内部的または外部的にミクロスフェアを染色することができる。
【0222】
さらに、「量子ドット」を用いて、都合よく読み取ることができる非常に多数の異なる蛍光標識を取得することができる。かくして、本発明のさらなる実施形態においては、フルオロフォアの代わりに量子ドットを用いる。特定の実施形態においては、量子ドットは光に曝露された場合でも弱まる(光漂白)ことがないため、それらが好ましい。例えば、フルオロフォアFITCは光漂白することが知られており、理想的には、FITCを含むタグで処理した細胞単位は、暗室中で取り扱われ、信頼できるほど分析することが困難である。タグのローディングさえもたらすポリスチレンをポリマー化する時点で、量子ドットをミクロスフェア中に組み入れることができる。量子ドットは、多くの色で利用可能であり、カラーCCDカメラを用いることにより、フィルターを用いることなく複数の色の可視化を可能にするのと同じ波長で励起することができる。量子ドットに関するさらなる背景情報は、米国特許第6,322,901号、第6,576,291号、第2003/0017264号、第6,423,551号、第6,251,303号、第6,319,426号、第6,426,513号、第6,444,143号、第2002/0045045号、第5,990,479号、第6,207,392号、第6,251,303号、第6,319,426号、第6,426,513号、第6,444,143号から入手可能である。
【0223】
有利には、例えば、化学的もしくは他の改変によるか、またはカプセル封入により、細胞培養物の成分による分解に対してタグを保護する。タグのカプセル封入を、多くの異なる媒体、例えば、本明細書で既に記載されたビーズ(Bangs Laboratories Inc.(Fishers IN, USA)など)中で行うことができ、カプセル封入を用いて、タグの増幅および/または検出の成分を提供すること(例えば、DNAタグと共に用いるためのPCRプライマーを提供することにより)に加えて、タグ用量を標準化することができる。
【0224】
タグの検出を、当業者に知られた様々な方法により達成することができる。この方法としては、質量分析、核磁気共鳴、配列決定、ハイブリダイゼーション、抗原検出、電気泳動、分光分析、顕微鏡分析、画像分析、蛍光検出などが挙げられる。いくつかの実施形態においては、前記タグは典型的には色またはフルオロフォアを含むため、顕微鏡分析、画像分析および/または蛍光検出を用いる。
【0225】
前記タグは、最初の例において、その化学的または分子的構造により必ずしも区別される必要はない。非化学的タグ付け戦略の複数のバリエーションを考案して、混合物中の所与の細胞単位を決定するか、または混合物を含む様々な細胞単位の同一性を推定することができる。例えば、異なる形状の対象物、図式的にコードされた対象物または異なる色がサンプルの同一性を意味する場合、タグ付けの光学的または可視的方法が記載されている(例えば、1998, Guilesら、Angew. Chem. Intl Ed Engl, vol. 37, p926; Luminex Corp, Austin TX, USA; BD Biosciences; Memobead Technologies, Ghent, Belgiumを参照)。
【0226】
好適には、前記タグは帯電したタグ(例えば、負に帯電したタグ)であってよい。従って、さらなる態様においては、微小担体、例えば多孔性微小担体と、帯電したタグとを含む複合体が提供される。
【0227】
典型的には、前記微小担体は正味の電荷を有する。それは、タンパク質、セルロース、ポリエチレン、ポリスチロール、ガラス、コラーゲン、コラーゲン-グルコース-アミノグリカンおよび/またはゼラチンを含み、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。従って、前記微小担体を、Cytopore微小担体、Cytopore 1微小担体、Cytopore 2微小担体、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択することができる。
【0228】
好適には、帯電したタグは、球体、例えば、約9μM以下の直径であるミクロスフェアである。このミクロスフェアは、カルボン酸改変(CML)ミクロスフェアであってよい。
【0229】
さらなる実施形態においては、前記タグは桿状粒子である。好適には、桿状タグはナノワイヤーである。ナノワイヤーは、アルミニウムなどの様々な金属を含み、それからなるか、または本質的にはそれからなる。ナノワイヤーを、様々な金属、例えば、銀および/または金でコーティングすることができる。好適には、ナノワイヤーは直径約1μM以下であり、および/または長さ約10μM以下である。
【0230】
前記ナノワイヤーは、Science vol. 294, p. 137-141 (2001)に記載されたナノワイヤーであってもよい。従って、さらなる態様においては、微小担体とナノワイヤーとを含む複合体が提供される。簡単に述べると、ナノワイヤーは、マイクロメーター以下のストライプで本質的にコードされた多金属のマイクロロッドである。複合体のパターンを、均一の大きさの孔を有する鋳型上での金属イオンの連続的な電気化学的蓄積により作製することができる。有利には、ナノワイヤーは、各スプリット後に添加することができるタグとして用いるのに十分小さい。これは、陽性の微小担体においてのみタグを読み取ることが必要であるので、より都合がよい。
【0231】
ナノワイヤーなどの桿状粒子のパラメーターとしては、限定されるものではないが、大きさ、光学的特性および/または金属組成が挙げられる。一実施形態においては、この光学的特性は、特定の波長の光反射率などの光反射率、色、蛍光放出波長および蛍光放出強度からなる群より選択される。
【0232】
いくつかの実施形態においては、ナノワイヤーなどの桿状粒子を、外部的に染色する。
【0233】
桿状タグと一緒に用いられる微小担体は、電荷中性の微小担体などの多孔性微小担体であってよい。
【0234】
前記微小担体は、タンパク質、セルロース、ポリエチレン、ポリスチロール、ガラス、コラーゲン、コラーゲン-グルコース-アミノグリカンおよび/またはゼラチンを含み、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。前記微小担体を、Cytopore微小担体、Cytopore 1微小担体、Cytopore 2微小担体、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択することができる。
【0235】
一実施形態においては、桿状微小担体と一緒に用いられる微小担体は、Cultispher微小担体、例えば、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体またはCultispher-S微小担体である。一実施形態においては、桿状微小担体と一緒に用いられる微小担体は、Cultispher-G微小担体である。
【0236】
有利には、桿状タグおよび電荷中性多孔性微小担体の使用は、同じ微小担体上の球状タグの使用よりも良好であることが見出された。特定の理論により束縛されることを望むものではないが、より小さいタグは微小担体の孔を良好に貫通し、渋滞するようになる(おそらく、大きさの非対称性に起因する)と考えられる。従って、ナノワイヤーの結合は、例えば、ミクロスフェアタグの結合よりも良好であり、高レベルの永続的なタグ付けをもたらす。
【0237】
別の実施形態においては、1種以上のポリスチレンマイクロビーズを、1種以上のCultispher-G微小担体と一緒に複合体化する。
【0238】
いくつかの実施形態については、前記タグはDNAタグではない。
【0239】
いくつかの実施形態においては、前記タグは外部的に染色されたタグである。
【0240】
幹細胞
幹細胞は、Stem Cells: Scientific Progress and Future Research Directions. Department of Health and Human Services. June 2001に詳細に記載されている。http://www.nih.gov/news/stemcell/scireport.htmを参照。この報告の内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0241】
幹細胞を構成するものについては依然としてかなりの議論があるが、この考察の目的については、重要な特徴は異なる細胞型に分化する能力である。幹細胞の例を、以下に与える。
【0242】
幹細胞の指向性分化を誘導するのに用いられた種々の因子としては、レチノイン酸、表皮増殖因子(EGF)、骨形態形成タンパク質(BMP)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、アクチビン-A、トランスフォーミング増殖因子β-1(TGFβ-1)、肝細胞増殖因子、神経増殖因子、ソニックヘッジホッグ(SHH)、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-6(IL-6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、エリスロポエチン、ビタミンD3、デキサメタゾン、β-メルカプトエタノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、5-アザシチジン、DMSO、インスリン、胸腺ホルモン(T3)、LIF、ウシ胎仔血清、血管内皮増殖因子(VEGF)、スチール因子、酸素濃度の変動、アスコルビン酸、β-グリセロリン酸、ニコチンアミド、血小板由来増殖因子(PDGF)、cAMP、種々の細胞接着分子および基質などが挙げられる。これらの規定の因子に加えて、条件化培地、ヒトおよび動物組織のホモジェネート、または植物抽出物などの非規定の抽出物を用いて、幹細胞分化を指令することができるようである。これらの非規定の抽出物の進行的分画により、活性な画分または高い効力を有する純粋な成分でさえ得られる。これらの因子を、特定の実験において用いられる増殖培地に、単独で、もしくは組合わせて、または実験結果にとって重大である定義された順序で添加することができる。
【0243】
細胞単位の形成
細胞群(細胞コロニー)を、様々な条件下で細胞培養物中で増殖させることができ、このコロニーは、阻害された場合、および他のコロニーと混合した場合、様々な条件下でその完全性を主に維持することができる。そのような群またはコロニーを、以下細胞単位と呼ぶ。細胞単位の形成を、例えば、担体などの固体基質上での付着培養物として細胞を増殖させることにより達成することができる。細胞増殖が担体上に播種した後に起こる場合、娘細胞は同じ担体上に付着し、同じコロニーの一部を形成するであろう。一般的には、生きた接着細胞はその増殖基質から容易に解離せず、細胞コロニーの完全性は、担体の任意の機械的操作、培養培地の攪拌、または別の組織培養系への導入にも拘らず持続する。同様に、任意の時点で、複数の担体をいくつかの容器に入れる(例えば、ビーズをプールする)場合、1個のビーズから別のビーズへの細胞の実質的な導入は存在しないであろう。
【0244】
固体基質上で細胞単位を形成する重要な利点は、基質、および従って結合の理由により付着した細胞を、以下に記載のように標識することができることである。
【0245】
細胞をより小さい担体上で増殖させる場合、それらを懸濁培養物として処理することができる。小さい担体上で細胞を増殖させる一般的な方法を、微小担体細胞培養と呼ぶ(Amersham Biosciences (18-1140-62)社から入手可能な「微小担体細胞培養、原理および方法(Microcarrier cell culture, Principles and Methods)」、Edition AA;参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)。微小担体培養は、最大4000リットルの発酵装置中での抗体およびインターフェロン産生のために商業的に用いられている。
【0246】
担体の物理的特性がよく知られているように、実験において用いられる担体の数を算出することは容易である。この担体は、正確に量り、続いて、液体培地中で膨らませることにより調製することができる、乾燥生成物として入手可能であってよい。さらに、微小担体培養物に接種するのに用いられる細胞数を算出し、検証することができる。
【0247】
本明細書に記載の微小担体上で増殖させた細胞の収穫、または微小担体からの標識の分離を、細胞の酵素的分離、および/または本明細書に記載のように適用可能な場合、担体の消化により達成することができる。
【0248】
標識された細胞単位からのタグの分離
さらなる態様においては、本発明は、細胞単位(例えば、微小担体と複合体化させた細胞単位)からのタグの分離のための改良された方法を提供する。
【0249】
有利には、タグを本明細書に記載の方法に従って分離する場合、それぞれのタグのユニークなパラメーターを正確に測定することができるように、無傷の状態でそれらを取得する。
【0250】
有利には、顕微鏡分析などの光学的方法により分析するためにタグを分離する場合、それらを都合よく画像化する(例えば、ただ1つか、または2つの画像視野を用いる)ことができるように、互いに近接してそれらをさらに取得する。
【0251】
一態様においては、タンパク質を含み、それからなるか、または本質的にそれからなる微小担体とタグとを含む複合体をプロテアーゼと接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法が提供される。
【0252】
好適には、前記微小担体は、コラーゲンおよび/またはゼラチン、例えば、Cultispher微小担体(例えば、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体)などを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0253】
このプロテアーゼは、プロテイナーゼK、トリプシン、サーモリシンおよび/またはカスパーゼであってよい。
【0254】
プロテアーゼがプロテイナーゼKである場合、いくつかの実施形態においては、約0.5U/ml以上の量で用いる。好適には、前記複合体を、少なくとも約20〜60分間、プロテイナーゼKと接触させる。好適には、前記複合体を、約5μl以下の容量でプロテアーゼと接触させる。
【0255】
さらなる態様においては、多孔性微小担体などの微小担体と、タグとを含む複合体を、酸と接触させる工程を含む、該複合体を分離するための方法が提供される。
【0256】
好適には、前記微小担体は、正味の電荷を有し、セルロースを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる。かくして、例えば、前記微小担体は、Cytopore 2微小担体などのCytopore微小担体であってよい。
【0257】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、ポリスチレンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、ミクロスフェアなどの球体である。
【0258】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、ナノワイヤーなどの桿状粒子である。
【0259】
トリプシン-EDTA、セルラーゼ、プロテイナーゼK、および塩化ナトリウム(例えば、5M塩化ナトリウム)などの他の試薬に加えて、酸(例えば、塩酸および/もしくは硫酸)または次亜塩素酸ナトリウムおよび/または水酸化ナトリウムなどの様々な試薬を、微小担体からのタグの分離のために用いることができる。
【0260】
いくつかの実施形態においては、前記試薬は塩酸、好ましくは、37%塩酸(約12 M)である。
【0261】
いくつかの実施形態においては、前記試薬は、次亜塩素酸ナトリウムである。
【0262】
いくつかの実施形態においては、前記試薬は、プロテアーゼである。
【0263】
いくつかの実施形態においては、前記試薬は、プロテイナーゼKである。
【0264】
好適には、1種以上の微小担体の消化を、ガラス製顕微鏡スライドなどの光学的に透明な表面上で行う。これにより、in situでの都合のよい画像化が可能になり、材料が失われないため、有利である。
【0265】
好適には、この表面を、例えば、シリコン化(シラン化)剤を用いて、微小担体を含む液体の拡散を防止するために処理する。
【0266】
好適には、消化しようとする微小担体を、蒸留水中で洗浄して、微量の培地および/または塩を除去し、最少量の液体中で該表面に適用する。
【0267】
好適には、前記表面を加熱して、微小担体の完全な脱水を達成し、タグを表面に付着させ、かくして、分散を防止する。
【0268】
最少量、好ましくは、5μl未満、およびより好ましくは、2μl未満での微小担体消化を実行するために、消化を加湿した箱の中で実施する。
【0269】
いくつかの実施形態においては、前記消化を、1種以上のプロテアーゼを用いて達成する。典型的には、プロテアーゼ溶液を、乾燥した微小担体上に直接分散させ、加湿した箱の中に入れる。微小担体が解離したら(典型的には、30〜60分間)、スライドを加湿した箱から取り出し、完全な消化をチェックする。プロテアーゼ溶液を蒸発させ、タグの分析を可能にするために、スライド上での放出されたタグの完全な染色を提供する。
【0270】
いくつかの実施形態においては、1種以上の微小担体の消化を、Eppendorf社により製造されたものなどのマイクロ遠心管またはPCRチューブ中で実行する。このチューブの内部を処理して、一度タグが微小担体から分離したら、タグがそれに付着するのを防止することができる。
【0271】
いくつかの実施形態においては、前記チューブを、正確な温度制御を可能にするPCR装置に入れる。
【0272】
いくつかの実施形態においては、PCR装置は加熱されたフタを操作し、最少容量の液体の使用を可能にする。
【0273】
好適には、1種以上のタグが細胞単位およびタグから分離されたら、1つ以上のタグの画像を取得することができる(例えば、顕微鏡技術を用いる)。次いで、この画像を分析して、タグの1つ以上の特徴を決定することができる。
【0274】
さらなる態様においては、(a)細胞単位およびタグを分離する工程;(b)タグの1つ以上の画像を取得する工程(例えば、顕微鏡技術を用いることにより);ならびに(c)画像を分析して、タグの1つ以上の特徴を決定する工程を含む、1つ以上の細胞単位から取得されるか、または取得可能な1種以上のタグを同定する方法も提供される。好適には、前記タグの1つ以上の特徴を用いて、タグを誘導したか、または取得した細胞単位の細胞培養履歴を決定することができる。
【0275】
細胞のコンビナトリアル連続培養
スプリット-プール細胞培養
細胞単位(特に、顕微鏡的細胞単位)の形成は、各細胞単位が、様々な細胞培養条件に曝露することができる容易に取り扱われる単位を構成するので、複数の組織培養条件のサンプリングにとってさらに有用である。本発明に従えば、典型的には、細胞群を、微小担体培養物中で細胞を増殖させることにより作製するが、用語「細胞単位」、「細胞群」、「コロニー」および「ビーズ」は互換的に用いられる。多数の細胞培養条件をサンプリングするための特に効率的な方法を、コンビナトリアル細胞培養またはスプリットプール細胞培養と呼び、一実施形態においては、細胞培養条件の複数の組合せをサンプリングするための細胞単位群の連続的再分割および混合を含む。本発明の一態様においては、前記方法は、異なる培養条件下で別々に増殖させた複数のビーズ(群/コロニー/担体)をそれぞれ含むX1個のアリコートに分割された細胞単位の最初の出発培養物(または異なる出発培養物)を取得することにより行う。所与の時間、細胞培養を行った後、種々のアリコートから得られたビーズを合わせ、混合することにより、細胞単位をプールすることができる。このプールを、それぞれ一定時間、異なる条件下で培養したX2個のアリコートに再度分割した後、またプールすることができる。細胞単位を分割、培養およびプール(またはプール、分割および培養;どこからこのサイクルに入るかに依存する)するこの反復手順により、細胞培養条件の多くの異なる組合せの体系的サンプリングが可能になる。実験の複雑性、または換言すれば、試験した細胞培養条件の様々な組合せの数は、各ラウンドでサンプリングされた様々な条件の数(X1 x X2 x...Xn)の産物に等しい。その後の分割の前に全ての細胞単位をプールする工程は任意であり、限定数の細胞単位をプールする工程が同じ効果を有し得ることに留意されたい。従って、本発明は、細胞単位群をバルクで取り扱う細胞培養条件の複数の組合せを体系的にサンプリングするいくつかの関連する方法に関する。
【0276】
細胞培養条件の多様性をこの手段によりサンプリングする正確な様式にも拘らず、複数の細胞単位が単一の容器を共有し、同一の条件下でそれらを培養することができ、任意の一時点でほんの数個の培養容器を用いてそれを行うことができる(使用する培養容器の数は分割サンプルの数に等しい)ため、前記手順は効率的である。多くの点で、この手順の原理は、化学的成分基間の連結の全ての可能な組合せをサンプリングする、大きい化合物ライブラリー(コンビナトリアル化学として知られる)の分割合成のものと類似している(例えば、Combinatorial Chemistry, Oxford University Press (2000), Hicham Fenniri (編))。スプリット-プール細胞培養を任意の回数繰り返して、任意の数の条件を各ラウンドでサンプリングすることができる。細胞単位(またはこの例においてはコロニー化されたビーズ)の数が、全てのラウンドに渡ってサンプリングした異なる条件の数よりも大きいか、またはそれに等しい限り、かつ細胞単位の分割が総合的に無作為に行われると仮定すれば、実験によりサンプリングされた培養条件の様々な組合せの各々に従って培養された少なくとも1つの細胞単位が存在することが期待される。この手順を用いて、任意の細胞型の増殖もしくは分化条件、または任意の細胞型による生物分子産生(例えば、エリスロポエチンもしくはインターフェロンの産生)の効率をサンプリングすることができる。前記手順は反復的であるため、多段階の組織培養プロトコル、例えば、幹細胞分化と関連して上記されたものを試験するのに理想的に好適である。この技術を用いてサンプリングすることができる変数としては、細胞型、細胞のグループ化(例えば、微小担体培養、細胞封入、全生物)、増殖基質(例えば、微小担体上のフィブロネクチン)、細胞培養ラウンドの期間、温度、様々な培養培地(異なる濃度の構成要素など)、増殖因子、条件化培地、種々の細胞型(例えば、支持細胞)との同時培養、動物もしくは植物の抽出物、薬剤、他の合成化合物、ウイルス(トランスジェニックウイルスなど)による感染、トランスジーンの付加、アンチセンスもしくは抗遺伝子分子(例えば、RNAi、三重らせん)の付加、感覚入力(生物の場合)、電気、光、またはレドックス刺激などが挙げられる。
【0277】
スプリット-スプリット細胞培養
細胞単位に対してスプリット-プールプロセスを実施する目的は、予め定義された組合せの条件に対してこれらを体系的に曝露することである。当業者であれば、この結果を達成する多くの異なる手段に想到するであろう。スプリット-プールプロセスおよびその変形に加えて、スプリット-スプリットプロセスについて手短に考察することは価値あることである。スプリット-スプリットプロセスは、細胞単位のプールを介入させることなく、少なくとも2回、細胞単位群を再分割することを含む。スプリット-スプリットプロセスを多数回のラウンドに渡って用いる場合、生成された別々のサンプルの数は指数関数的に増加する。この場合、いくつかのレベルの自動化、例えば、ロボットプラットフォームおよび精巧なサンプル追跡系を使用することが重要である。スプリット-スプリット工程の利点は、(細胞単位を混合しないため)その細胞培養履歴に基づいて種々の細胞単位の系列を分離することができることである。結果として、スプリット-スプリット工程を用いて、特定の細胞培養条件が任意の所与の細胞プロセスを担うかどうかを推定し、従って、細胞単位の培養履歴を推定するのに用いることができる。
【0278】
所定のプロトコル
細胞単位の分割および/またはプールを、総合的に無作為に達成するか、または所定のプロトコルに従って行うことができる。細胞単位を無作為に分割および/またはプールする場合、任意の群への所与の細胞単位の分離は、いかなる意味でも所定のものではないか、または損害をもたらすものではない。少なくとも1個の細胞単位が細胞培養条件の可能な組合せの各々に曝露されたことを高確率で得るためには、試験する細胞培養条件の組合せの合計数よりも多い数の細胞単位を用いることが有利である。従って、特定の環境下で、所定のプロトコルに従って細胞単位を分割および/またはプールすることが有利であり、全体の効果は、組合せの偶発的な重複または脱落を防止することである。細胞単位の所定の取り扱いを、必要に応じて前もって計画し、スプレッドシートまたはコンピュータープログラム上に記録し、自動化されたプロトコル、例えば、ロボットを用いて、分割および/またはプール操作を実行することができる。細胞単位の標識(以下を参照)は、いくつかの手段のうちのいずれか、例えば、RFIDによる標識、光学的タグ付けまたは空間的符号化であってよい。所定のプロトコルに従って、サンプルの同一性を決定し、従って、該サンプルを分割することができるロボット装置が記載されている(「コンビナトリアル化学、実務的手法(Combinatorial Chemistry, A practical Approach)」、Oxford University Press (2000)、H. Fenniri(編))。あるいは、標準的な実験室における液体の取り扱いおよび/または組織培養ロボット(例えば、Beckman Coulter Inc, Fullerton, CA; The Automation Partnership, Royston, UKにより製造されたものなど)は、複数のサンプルの同一性を空間的に符号化し、予めプログラムされたプロトコルに従って、これらを添加、除去または移し変えることができる。
【0279】
細胞単位の分析および/または分離
細胞培養の各ラウンドの後、または規定数のラウンドの後、細胞単位を研究して、組織培養条件により影響を受けた任意の所与の細胞プロセスを観察することができる。
【0280】
ここで、本発明を、実施例によりさらに説明するが、本発明の実行において当業者を補助するのに役立つことを意味し、いかなる意味でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0281】
実施例1
Cultispher-G微小担体のビオチンコンジュゲーション
Bangs lab社製蛍光ミクロスフェア(タグ)を、ストレプトアビジンによりコーティングし、そして、Cultispher-G微小担体(CSG)を、スプリット-プール実験の過程の間に2つの結合を容易にするためにビオチン化する。CSGを乾燥させて供給し、過剰の滅菌したPBS中で一晩(製造業者の説明書に従う)水和させ、オートクレーブする。次いで、それらを滅菌したPBS中で数回洗浄する。
【0282】
実施例2
ビオチン化試薬:
ビオチン化試薬、ビオチンアミドヘキサノイル-6-アミノ-ヘキサン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma B3295 10 mg)を用いる。10 mgの該試薬を、400μlのジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解し、5 mlの固定量の水和したCSG(50 mlチューブ中の5 mlの固定容量)に添加し、緩やかにピペッティングすることにより、よく混合する(0.1% v/vのBSA/PBSを、ピペットチップの内側表面へのCSGの粘着を事前に防止するために該チップ中に上下にピペッティングする)。
【0283】
このビオチン化試薬を、室温で一晩、CSGと共にインキュベートさせた後、滅菌PBS中で数回洗浄して、過剰のビオチン化試薬を除去する(洗浄を、50 mlチューブ中で実施し、CSGを、洗浄と減圧による注意深い吸引の間に固定させる)。
【0284】
ここで、ビオチン化CSGは、実験における使用のための準備が整う。これらを、既知量のPBS中、滅菌条件下で保存し、混合した懸濁液中の濃度を、この容量に基づいて算出し、乾燥質量のCSGを最初にチューブに添加する(典型的には、本発明者らは100μl中に2000のCSGを有する)。
【0285】
実施例3
ウェルおよびカラム中でのタグ付け方法
ES細胞を用いてCSGを播種した後、蛍光タグを添加して、スプリット-プールマトリックス中のそれぞれの段階をタグ付けする。ストレプトアビジンによりコーティングされたタグを用いてビオチン化CSGをタグ付けするために、以下の方法を用いる。
【0286】
この実験を、5 x 5ウェル(10 cm x 10 cm)の細胞培養皿(従って、各ウェルは2 cm x 2 cmの寸法である)中で行う。典型的には、1個のウェルは、7000個のCSG/ES細胞複合体を含むであろう。
【0287】
蛍光タグを、既知の濃度のタグ/CSGでウェルに添加する。混合物を緩やかにピペッティングして混合し(粘着を防止するために0.1%BSA/PBS処理されたチップを用いる)、次いで、全部の5 x 5皿を上下に動かし、CSGおよびタグの密接な接触を容易にする。
【0288】
この皿を約1時間、37℃のインキュベーター中に入れた後、スプリット-プール実験の次の段階まで平らに置く。
【0289】
実施例4
洗浄方法および篩
同じ処理を受けたウェルの内容物を、一緒に緩やかにプールし、70μmの篩を通して洗浄する。CSGは70μmより大きく、篩に捕捉される(図2を参照)。最少量のPBS(典型的には、5 ml)を篩を通して洗浄して、未結合の蛍光タグを除去した後、篩を反転させ、3 ml未満の基本培地を洗浄して、CSG/タグ複合体を回収する。
【0290】
異なる培養条件を含む全てのウェルの内容物を別々に洗浄した後、一緒にプールし、その後、培養条件の次のラウンドのために分割する。
【0291】
実施例5
CSGおよびCytopore 2の消化
以下の方法を用いてビーズを消化した後、Cytopore 2またはCSG上に付着した蛍光Bangsタグまたは非蛍光Dukeタグ(図1に示される)を分析する。
【0292】
(a)CSG
ガラス底の384ウェルのマイクロタイタープレートのウェル中での2U/mlプロテイナーゼK(Sigma P4850)中の個々のCSGビーズのインキュベーションは、CSGビーズの完全な消化をもたらすが、ポリスチレン、蛍光タグを無傷のままにする。典型的には、完全な消化は、20分以内に完了し、次いで、蛍光タグはプロテイナーゼK溶液中に無期限に残存するが、プロテイナーゼKを不活性化させず、タグまたはその蛍光に対する有害な作用を示さない(図3を参照)。
【0293】
(b)Cytopore 2
37%HCl(約12M)中でのcytopore 2微小担体(セルロース製)のインキュベーションは、90分以内に微小担体の完全な消化をもたらすが、付着した着色したDukeタグを無傷のままにする。CSGと同様、該タグは消化培地中で無期限に残存するが、不活性化せず、該タグに対して有害な作用を示さない(図4を参照)。
【0294】
実施例6
フローチャート
UV2(およびローダミン)ならびにStarfire Red(およびフルオレセイン)蛍光について同時にタグを試験するスプレッドシートを調製し、すなわち、図5に示されるフローチャートを、蛍光4で置換した蛍光1、および蛍光2で置換した蛍光3に対する全ての参照と同時に複製する。この系については、2および4ページからの最後の「いいえ」の決定は、「応答なし」に行くであろう。
【0295】
この系は、タグを未同定のままにするか、または2つの同一性を与え得る。後者は、低い蛍光を発するタグがUV2およびStarfireの両方について陽性であると同定されるように、最も低い強度のタグに関する閾値が不正確に設定される場合に起こり得る。二重応答の別の例は、2つの緊密に結合したタグが、Radius Ratio設定の不十分な緊密性に起因して、「アウトライン」マクロによって1であるとして同定される場合である。さらなるIF/ANDおよびCOUNT機能を用いて、そのような二重応答および応答なしを警告した。
【0296】
代替的なフローチャートは、2および4ページからの最後の「いいえ」の決定が、図6に記載された関連する大きさのタグに関するStarfire Red値を問い合わせに行くように、蛍光1および4を連続的に試験することができる。この系はまた、タグの大きさおよび/または蛍光が規定の範囲にない場合、該タグを未同定のままにし得る。このフローチャートには二重応答は存在しないであろうが、これは上記のような低い強度のタグまたはダブレットを誤同定する危険にある。
【0297】
実施例7
コンビナトリアル細胞培養を用いるES細胞分化および標識方法を用いる結果の解析
コンビナトリアル細胞培養においては、顕微鏡ビーズ上で増殖させたES細胞コロニーを、付随する標識により付随される無作為のスプリット-プール方法を用いる増殖条件の複数の組合せを介してシャッフルする。プロセスの終わりに、分化した子孫を担持する任意のビーズを同定および単離し、結合したタグを分析して細胞培養履歴を推定する。
【0298】
このプロセスの一例を、モデル系としてマウスES細胞の造血分化を用いて説明する。造血に対する発達の道程は比較的よく図示されており、文献に報告された指向的分化が、扱いにくく、規定されておらず、また本発明者らが新しい技術の実験的な力を用いて排除しようと求めた材料および方法(胚様体;半固体培養培地;動物血清を用いる補給)を用いるにも拘らず、細胞の運命に影響する組換え増殖因子の多くが公知かつ容易に入手可能である。
【0299】
特に、本発明者らは、マウスES細胞を単球-マクロファージ(単核食細胞)系列に分化するように設定した(Gordon S. & Taylor P.R., Nature Rev. Immunol. 2005 5: 953-964)が、これがin vitroで起こることが報告されており、蛍光抗原の食作用に基づいて、これらの細胞に関する単純な機能的スクリーニングを実行することが可能であるからである。
【0300】
材料および方法
試薬
マウス幹細胞因子(SCF) (R&D Systems, 455-MC)
マウストロンボポエチン(TPO) (R&D Systems, 488-TO)
ヒトエリスロポエチン(EPO) (R&D Systems, 287-TC)
ヒトインターロイキン6 (IL-6) (R&D Systems, 206-IL)
ヒトトランスフォーミング増殖因子1 (TGF1) (R&D Systems, 240-B)
マウスマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF) (R&D Systems, 416-ML)
マウスインターロイキン3 (IL-3) (R&D Systems, 403-ML)
ヒト骨形態形成タンパク質2 (BMP2) (R&D Systems, 355-BM)
ヒト線維芽細胞増殖因子(bFGF) (R&D Systems, 233-FB)
レチノイン酸(Sigma, R2625)
ウシインスリン(Ins) (Sigma, I0516)
インスリン/トランスフェリン/セレニウム補給物(ITS) (Sigma, I3146)。
【0301】
微小培養
CutiSpher-G微小担体(Percell Biolytica AB)を、製造業者の推奨に従って水和および滅菌した。0.4 mlのN,N-ジメチルホルムアミド(Sigma)中に溶解した10 mgのビオチンアミドヘキサノイル-6-アミノ-ヘキサン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma)を、3 x 105個の微小担体を含む5 mlのCa2+/Mg2+非含有PBS(CMF-PBS)に添加し、室温で一晩インキュベートした後、過剰のPBSを用いて5回洗浄することにより、ビオチン化を行った。
【0302】
15%ノックアウト血清置換(KOSR)、1%非必須アミノ酸(NEAA)、1%Glutamax、0.5%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.1 mM β-メルカプトエタノール(β-ME;Sigma)および1000U/ml白血病阻害因子(LIF;Chemicon)(特に指摘しない限り、全てInvitrogen社製)を含むKO-DMEM中、ゼラチンコーティングされたプラスチック上で、D3 ES細胞(ATTC番号CRL-1934)を増殖させた。
【0303】
実験の1日目の前日に、培地A(IMDM(Gibco)、15%KOSR、1%NEAA、0.5%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.1 mM β-ME、1000U/mlのLIFおよび1.5 x 10-4Mの1-チオグリセロール(MTG;Sigma))中で平衡化させた約1.4 x 105個のビオチン化された微小担体を、3 x 107個のES細胞を含む100 mlの培地Aに添加し、100 mm平方のペトリ皿(25ウェル;Bibby Sterilin)のウェル中に等量ずつアリコートし、一晩インキュベートした。
【0304】
播種した微小担体のアリコート(約100個のビーズ)を、室温で10分間、4%パラホルムアルデヒド(Sigma)中で固定し、PBS中で洗浄および再懸濁し、製造業者の説明書に従って、Vector Blue Alkaline Phosphatase Substrate Kit III (Vector Laboratories)を用いて染色した。
【0305】
コンビナトリアル細胞培養
播種した微小担体を70μmのナイロン製細胞ストレーナー(Falcon)中に移し、15 mlのPBSで洗浄した後、過剰の培地B(1.5 x 10-4M MTGを含むStemline(商標)Haematopoietic Expansion Medium(Sigma)中に移した。1、4、6、8および10日目に、微小担体を、実験計画により必要とされるように等量に分割し、各ウェルに、関連する化合物および/または増殖因子、ならびに1 x 106個のストレプトアビジンによりコーティングされたミクロスフェアタグを含む4 mlの培地B中に約5000個のビーズがロードされるように、各サンプルを100 mmの、25ウェルのペトリ皿のウェル中でインキュベートした。微小担体をタグ付けしない場合、10日目にスプリットオンを行う以外は各スプリット-プールサイクルにつきこの手順を行った。10日目の後、タグ付けを必要としないため、微小担体を別々に処理した(すなわち、プールしなかった)。
【0306】
実験の13日目に、1 mgのマクロファージアッセイ試薬DQ-オブアルブミン(Molecular Probes)を0.4 mlのPBS中で作製し、1:100の希釈率で各サンプルに添加した。少なくとも4時間インキュベートした後、培地を吸引し、PBSで置換した。FITCフィルターセットを用いてNikon TE2000-S逆転落射蛍光顕微鏡上でサンプルを試験して、グリーン蛍光で内部的に標識された、大きく丸い細胞を担持する微小担体を同定した。
【0307】
陽性の微小担体を、PBS中のプロテイナーゼK(2U/ml;Sigma)の溶液を含む384ウェルのガラス底アッセイプレート(Bibby Sterlin)のウェル中にピペットにより移し、ガラス表面上に蛍光タグが整列することが認められる時間の後、37℃で30分間インキュベートした。
【0308】
タグ
それぞれのセットが、蛍光の、ストレプトアビジンによりコーティングされたポリスチレンミクロスフェアの集団を含む1セットの50個のタグ(図13)は、Bangs Laboratories (Fishers, IN)から委託されたものであった。50セット間の差異は、ミクロスフェア直径(1.87μm、4.41μm、5.78μm、7.37μmまたは9.77μmの大きさ)および蛍光の放出/明るさ(5つの強度のStarfire RedまたはUV2で染色)の関数であった。これらの50セットのアリコートを、製造業者の説明書に従って、テトラメチルローダミン-5-(および6-)-イソチオシアネート(TRITC;Invitrogen)とさらにコンジュゲートさせて、最大で100個の個別のタグを作製した。これらから、28個の高度に独特のタグのセットを、この実験において用いた(表1)。
【0309】
タグの分析
フルオロフォアTRITC、DAPI(UV2)、GFP-B(全てNikon社製)およびCy5(Chroma Technology)の可視化のためのフィルターセットを備えたNikon TE2000-S逆転落射蛍光顕微鏡を用いる顕微鏡検査により、タグを分析した。Evolution VF冷却モノクロカメラを用いて画像を捕捉し、Image Pro Plus(共にMedia Cybernetics社製)を用いて画像分析を行った。単一のミクロスフェアの輪郭を、明視野の照明を用いて捕捉し、これらの中の面積を算出してタグの大きさを決定した。UV2、Cy5およびTRITCチャンネル中の面積の蛍光強度を用いて、公知のタグを含む参照サンプルに対して比較することにより各タグの同一性をさらに特定した(例えば、図14)。
【0310】
結果
マクロファージへの分化をES細胞に指令することができる1種以上の経路を含むと本発明者らが仮定した細胞培養条件の実験マトリックスを考案する(表1)。このマトリックスは、実験の初日(D1)に6個の代替的な培養条件、次いでD4に6個の代替的な条件、D6にさらに8個、D8にさらに8個および最後にD10に6個の代替的な条件を含んでいた。このマトリックスを介する可能な経路の総数、すなわち、試験した細胞培養条件の異なる組合せの数は、13,824であった(=6x6x8x8x6=「実験的複雑性」)。全ての条件は、ヒト造血前駆体の増殖を許容する市販の培地に基づくものであるが、中胚葉形成、造血発生およびマクロファージ系列への参加に影響することが知られる種々の増殖因子およびモルフォゲンによる補給において変化した(Kaushansky K., N. Engl. J. Med. 2006 354: 2034-2045; Godin I. & Cumano A. 2002 2: 593-603)。
【0311】
多能性マウスES細胞を、LIFの存在下でビオチン化されたマクロ多孔性ゼラチン微小担体ビーズ上に播種したところ、これらはアルカリホスファターゼ活性に関して陽性に染色された細胞コロニーを形成した(図8)。LIFを除去した後、ビーズは、WO 04013969中に記載された反復的スプリット-プール方法を用いる実験マトリックスにおいて特定された条件の全ての可能な組合せを体系的に通過した。
【0312】
実験の開始時に、約1.4 x 105個の播種した微小担体ビーズを、無作為に6個のセットに分割し、それぞれをマトリックス中、D1について特定された6つの異なる培地の1つにおいて別々に培養した。4日後、ビーズを洗浄し、プールし、および無作為に6個のセットに再度分割し、それぞれをD4で特定された培地の1つにおいて培養し;ならびにこのスプリット-プール手順をD6、D8およびD10に繰り返した。ビーズのアリコートを異なる培地中で培養した各時間、これらのビーズをユニークなタグで標識した;D10以外は、スプリットのアリコートを別々に取り扱い、従って標識を必要としなかった。かくして、種々の培養培地を介する任意の所与のビーズの移動を、それと結合したタグの回収物を分析することにより推測することができた。本発明者らが用いた標識戦略は、ビオチン化された微小担体基質に結合した、独特のストレプトアビジンによりコーティングされた蛍光ミクロスフェアのアレイを含んでいた。
【0313】
実験の終わりのD13に、微小担体をハイパーフルオレセイン化(自己クエンチ)されたオブアルブミン抗原に曝露した。この試薬は、貪食マクロファージにより特異的に内在し、消化され、かくしてフルオロフォアを分散させ、明るい細胞内シグナルを生じることが知られている(図9および10)。スクリーニングに際して、約100個のビーズ(すなわち、1.4 x 105個の入力ビーズの0.07%)が大きく、丸い、内部的に蛍光を発する細胞を担持することを本発明者らは見出した。これらのビーズは、マクロファージへのES細胞分化にとって許容性であるか、または有益である条件を通過した。多数のマクロファージを担持するビーズを分析して、その細胞培養履歴を解析した:これらのビーズを単離し、ゼラチン基質をタンパク質溶解させて、結合したタグを放出させ、これを画像分析の後、蛍光顕微鏡を用いて分類した。
【0314】
いくつかの微小担体を、多数のタグで標識し、その全てを4つの異なる種に明確に分類することができるが、これは実験マトリックスを介するこれらのビーズの経路を示す。例えば、ビーズC5は、経路1.2→4.2→6.1→8.2に対応するタグを有することが見出され、これを最終的に条件10.5に分割されるビーズ群から単離した(図11a)。
【0315】
いくつかの他の微小担体(例えば、ビーズA22)を、多数のタグで標識し、その大部分は、標識を介して獲得された4つの異なる種に分類され、少数は、異なる微小担体間の偶発的な移動を介して獲得されるようである(図11b)。これらの後者の場合の多くにおいては、細胞培養履歴の解析における信頼の尺度を可能にする、大過剰の1クラスのタグが存在した。2〜3の事例においては(通常、全体の標識が能率的でなかった場合、例えば、ビーズE6)、同じ日に添加された2つの異なる種に由来する等しい数のタグが存在し、不明確性を生じる(図11c)。これらの型の不明確性は共に、以下に記載のように、結果を検証するためのさらなる実験で容易に解決された。
【0316】
微小担体上に播種された多能性mES細胞のバッチを、一連のアリコートに分割し、その各々を用いて、コンビナトリアル細胞培養により定義された1つの推定分化経路を試験した。不明確な経路(例えば、A22およびE6)を、それぞれの代替物を同時にアッセイすることにより試験した。この方法を用いて、ビーズA22が条件1.2→4.2→6.4→8.2→10.3を通過したことが決定された。同様に、マトリックスを介するビーズE6の経路は、1.2→4.2→6.3→8.4→10.5であった。
【0317】
マクロファージを産生したこれらの経路が、一般的に特定の条件を有したことは興味深い。特に、D1およびD4での処理は3つ全部において一致したが、これはおそらく、この系を用いる造血前駆体の生成におけるこれらの条件に関する要件を示している。再生産される場合、これらの経路は、全微小担体の10〜25%が実質的な数のマクロファージで飾られることを一貫して示した(図12)。最適な経路からの逸脱は、マクロファージ分化に対して一般的には有害であると認められた。同様に、マトリックスを介する無作為な経路を、マクロファージを産生する能力について試験した場合、これらが比較的稀であることを示唆する有効なプロトコルはないことが見出された。
【0318】
結論
mES細胞分化の例を、標識またはタグの使用を特徴とするコンビナトリアル細胞培養を用いて説明する。このプロセスを用いて、単球-マクロファージ系列への分化を誘導する条件のためにほとんど14,000種の異なる細胞培養プロトコルを含む実験マトリックスをスクリーニングした。そのような多数の可能性のある経路をスクリーニングし、好適な標識戦略を用いることにより、複数の分化プロトコルを同定し、その一方または両方は通常、in vitroでの単球-マクロファージ発生にとって必要である、胚様体および動物血清の使用を克服することができた。
【0319】
実施例8
タグ解析のためのガラススライド上でのCultispher-G微小担体の消化
試薬および装備
・プロテイナーゼK(Sigma P4850 1 ml)
・Sigmacote(Sigma SL-2)
・ガラス顕微鏡スライド
・68℃オーブン
・自家製加湿器
・グリセロール(またはCitifluor)
・ピンセット
・13 mm直径ガラスカバースリップ
【0320】
方法
微小担体を個別に消化して、結合したタグの補体を明らかにする。消化を、ガラス顕微鏡スライド上で行う(1個のスライド上で、最大6個の微小担体を消化することができる)。
【0321】
ドラフト中、Sigmacoteでガラス顕微鏡スライドを被覆する:スライドを垂直に保持し、1 mlのSigmacoteをスライドの頂上に注意深くピペッティングし、それがガラス表面全体を被覆することを確保する。約30秒間静置した後、スライドを注意深く傾け、ピペットの端部からSigmacoteを除去する。Sigmacoteを再使用してボトルに戻すことができる。Sigmacoteのほとんどがこの方法で除去されるが、残りのSigmacoteを完全に蒸発させることができる。スライド上に微量のSigmacoteが残っている場合、またはにおいがある場合、スライド上に清潔な表面を作製するためにグローブを嵌めた指でスライドの表面をふき取る。
【0322】
消化しようとする微小担体をdH2O中で注意深く洗浄して、微量の培地および/または塩を確実に除去する。20μlのピペットチップを用いて、最少量(最大1〜2μl)でdH2Oから個々の微小担体を注意深く除去し、ガラススライド上に置く。スライド上に1〜2μlの全容量をピペッティングすることは常に必要であるわけではない;微小担体をスライド上に置くために十分にピペッティングする(微小担体が、後に重複なしにカバースリップの添加を可能にするのに十分な空間を有することを確実にする-スライドあたり5〜6個の微小担体が追跡可能になる)。
【0323】
スライドを68℃オーブンに注意深く入れて、微小担体の完全な脱水およびスライドへの粘着を達成する(10分で十分である)。
【0324】
dH2O中、新鮮な5U/mlのプロテイナーゼKの溶液を作製する(プロテイナーゼK保存液の濃度はバッチ間で変化し、希釈率をそれぞれの新しいバッチについて算出すべきである(例えば、保存溶液は1230U/ml〜5U/ml=5/1230=1/246である。すなわち、dH2O中の保存溶液の1/246希釈液である))。
【0325】
消化反応を実施する加湿器を調製する(10 cm x 10 cmの細胞培養ペトリ皿は、2つの側面に沿って固定する大きさに切断された使い捨てのプラスチックピペットと共に、うまくいく。ピペットの中間に水で湿らせた組織を入れる)。
【0326】
乾燥した微小担体上に直接、0.5μlの5U/mlプロテイナーゼK溶液を注意深くであるが、迅速にピペッティングする(0.5μlは非常に少量であるので、これは全く骨の折れる作業であり、加湿器の外側は急速に蒸発するであろう)。全ての微小担体にプロテイナーゼKが添加されたら、スライドを加湿器に入れ、フタを被せる。微小担体が溶解するまで(典型的には、30〜60分間)、室温で静置し、できるだけ光から保護する。加湿器からスライドを取り出して、完全な消化について調べる必要があるが、できるだけ迅速にこれを行った後、スライドを加湿器にすぐに戻してプロテイナーゼK溶液の蒸発を回避する必要がある。
【0327】
微小担体が完全に溶解したことに満足したら、加湿器からスライドを取り出し、室温にさせてプロテイナーゼK溶液を蒸発させる(これは全く迅速に進行するであろう)。68℃オーブン中に約10分間入れて、スライド上に放出されたタグの完全な乾燥を確保する。
【0328】
乾燥したタグに直接、6μlのグリセロールを滴下して注意深く添加し、気泡が生じるのを回避するように注意する(気泡が液滴中に存在する場合、小さい針を用いて刺すことにより、それは容易に除去されることが多い)。ピンセットを用いて、ほこりを含まない13 mm直径のカバースリップをグリセロール液滴上で注意深く小さくし、気泡を回避するために極端に注意を払う(一度、カバースリップ下に置かれたら、気泡を除去することはほとんど不可能である)。カバースリップを定置させる(グリセロールはカバースリップ全体を通して拡散するであろう)。できるだけ光からスライドを保護するが、カバースリップをあまり邪魔しないように注意し、表面上にグリセロールを分散させる。
【0329】
顕微鏡を用いてタグを分析する。
【0330】
実施例9
Cytopore 2微小担体の消化
試薬および装備
・白衣、安全メガネ、手袋
・塩酸、37%
・ペトリ皿
・薄壁PCRチューブ
・Sigmacote(Sigmaカタログ番号SL-2)
・Citifluorマウンティング培地(Agar Scientific)
【0331】
方法
スプリット-プール実験の後、微小担体を個別に消化して、結合したタグの補体を明らかにする。個々の微小担体の消化を、サーマルサイクラーまたはヒーターブロック中、65℃で薄壁PCRチューブ中で行う。
【0332】
1. 個々のcytopore-2微小担体+タグ(+細胞)を可能な最も少量、典型的には、2μl未満でピペットチップ中に吸引し(20μlピペットおよびチップがよい)、ペトリ皿中に5μl液滴の37%HCl中に置く。すぐに次の工程に進む。
2. 微小担体を、1μlに設定したピペットチップ中に迅速に吸引し、薄壁PCRチューブの一番底に置き、フタを閉める。
3. 65℃に設定したサーマルサイクラーまたはヒーターブロック中に前記チューブを7分間入れる(顕微鏡を用いてチューブの壁を介する検査により担体が溶解したことを調べ、必要に応じて、さらに2分間増加させる。担体は7〜9分後に溶解する)。
4. Sigmacoteでガラス顕微鏡スライドを処理する。
5. sigmacoteで2μlピペットチップを処理し、それを確実に完全に乾燥させた後、タグを含むPCRチューブ中のHClを注意深く除去する。
6. 1μlの液滴を顕微鏡スライド上に置く。液滴が垂れ下がる液滴となるように転置させ、完全に乾燥するまで(15〜30分間)、68℃でインキュベートして乾燥させる。Citifluorの液滴およびカバースリップを添加する。顕微鏡を用いてタグを分析する。
【0333】
実施例10
桿状タグを用いる細胞単位の標識
3500個のCultispher-G微小担体を、KO-DMEM+15%KO-SR、100U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン、2 mM GlutaMAX、1X NEAA、1000U/ml LIF、100μM βMEを含む2 mlの増殖培地中、担体あたり50個の細胞の密度で、単一の細胞懸濁液中、D3マウスES細胞に播種し、細胞単位を37℃で一晩培養した。
【0334】
ニュートラルレッド生体染色を細胞単位に対して行った後、ナノバーコード粒子を添加して、粒子添加前の細胞の生存能力を確認した。
【0335】
6ミクロン長のAg/Au被覆アルミニウムナノワイヤー(Nicewarner-Pena, S.R.ら、Science 294: 137-141, 2001)を含む桿状粒子の懸濁液を、1 x 109粒子/mlの濃度でOxonica Healthcare(Kidlington, UK)から取得した。101010および100001(ここで、1=Agおよび0=Auである)と命名した2つのバーコードを用いて、細胞単位を標識した。
【0336】
桿状粒子のサンプルを、保存液から除去し、95%エタノール中で1時間滅菌した後、滅菌PBS中で洗浄および再懸濁した。2つのナノバーコード粒子の混合物を、細胞単位あたり1000個の粒子の比率で25穴細胞培養皿のウェル中、2 ml培地中で約875の細胞単位に添加した。細胞培養皿を、回転式振とう装置上で一晩、37℃でインキュベートした。
【0337】
培養液中で24時間後、標識された細胞単位を70μmフィルター上に置いて、未結合の桿状粒子を除去し、5 mlのPBSで5回洗浄した。個々の細胞単位を除去し、桿状粒子の存在下でのD3細胞の継続した生存能力をニュートラルレッド生体染色により評価した。
【0338】
個々の細胞単位をSigmacoteで処理されたガラス顕微鏡スライド上に置き、68℃に10〜15分間置いて、完全な脱水を確保した。H2O中の新鮮な5U/mlのプロテイナーゼKを調製し、0.5μlを脱水された材料上に直接置いた。スライドを、ゼラチン材料が消化されるまで(典型的には、30〜60分間)、加湿された部屋の中にすぐに入れた後、68℃インキュベーターに取り出して、プロテイナーゼK溶液を完全に蒸発させた(典型的には、10分間)。
【0339】
5μl液滴のグリセロールを、乾燥したスポットに直接適用し、13 mmの丸いカバースリップを適用した。放出された桿状粒子の顕微鏡画像を、Nikon TE2000S逆転落射蛍光顕微鏡を用いる明視野照明を用いて捕捉した。
【0340】
サンプル中の桿状粒子の識別を、Hgランプおよび100 x油浸対物レンズを有するChroma CFPフィルターセット(Ex. 436/10; Em. 465/30)を備えたDeltavision RT顕微鏡を用いて達成した。
【0341】
さらなる態様
さらなる態様および実施形態を、以下の番号付けされた項中に提供する。
【0342】
1. 微小担体と、ミクロスフェアまたはマイクロビーズを含む複合体。
【0343】
2. 微小担体がCultispher-G微小担体またはCytopore 2微小担体である、1項に記載の複合体。
【0344】
3. ミクロスフェアまたはマイクロビーズが蛍光および/または着色ミクロスフェアまたはマイクロビーズである、1項または2項に記載の複合体。
【0345】
4. 微小担体がビオチン化されている、1〜3項のいずれか1項に記載の複合体。
【0346】
5. 蛍光ミクロスフェアが、親水性ミクロスフェアである、4項に記載の複合体。
【0347】
6. 親水性ミクロスフェアが、カルボン酸改変(CML)ミクロスフェアである、5項に記載の複合体。
【0348】
7. 前記複合体が、Cytopore 2微小担体およびCMLミクロスフェアである、6項に記載の複合体。
【0349】
8. CMLミクロスフェア:Cytopore 2微小担体の比率が、約1:1である、7項に記載の複合体。
【0350】
9. マイクロビーズが、ポリスチレンマイクロビーズである、1〜4項のいずれか1項に記載の複合体。
【0351】
10. マイクロビーズが、ストレプトアビジンによりコーティングされた、1〜4項および9項のいずれか1項に記載の複合体。
【0352】
11. 前記複合体が、Cultispher-G微小担体と、ポリスチレンマイクロビーズを含む、10項に記載の複合体。
【0353】
12. フルオロフォアがTRITCである、3〜11項のいずれか1項に記載の複合体。
【0354】
13. Cultispher-G微小担体とミクロスフェアを含む複合体を、プロテイナーゼKと接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法。
【0355】
14. プロテイナーゼKを、2U/mlの量で用いる、13項に記載の方法。
【0356】
15. 前記複合体を、約20分間、プロテイナーゼKと接触させる、13項または14項に記載の方法。
【0357】
16. Cytopore 2とマイクロビーズを含む複合体を、HClと接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法。
【0358】
17. 37%HCl(約12M)を用いる、16項に記載の方法。
【0359】
18. 前記複合体を、約90分間、HClと接触させる、16項または17項に記載の方法。
【0360】
19. 1〜12項のいずれか1項に記載の複合体の使用を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【0361】
20. 下記工程:
(a)それぞれ、1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)1個以上の該群を再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(c)該さらなる群を、さらなる所望の培養条件に曝露する工程;
(d)必要に応じて、反復して工程(b)〜(c)を繰り返す工程;および
(e)所与の細胞単位が曝露された培養条件の該単位に対する効果を評価する工程、
を含み、各細胞単位が、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【0362】
21. 下記工程:
(a)それぞれ、1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;
(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および
(f)所与の細胞単位を曝露した培養条件の該単位に対する効果を評価する工程、
を含み、各細胞単位が、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【0363】
22. 下記工程:
(a)それぞれ、1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;
(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程、
を含み、各細胞単位が、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、様々な細胞培養条件に細胞を曝露する方法。
【0364】
23. 下記工程:
(a)それぞれ、1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;
(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および
(f)所与の細胞単位を曝露した培養条件の該単位に対する効果を評価する工程、
を含み、各細胞単位が、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【0365】
24. 前記細胞を、それぞれの細胞単位が1個以上の細胞を含む細胞単位中で培養する、20〜23項のいずれか1項に記載の方法。
【0366】
25. 細胞単位が単一の細胞である。24項に記載の方法。
【0367】
26. 培養条件が、細胞が曝露される培地である、20〜25項のいずれか1項に記載の方法。
【0368】
27. 前記培地が、細胞プロセスに影響する1種以上の特定の薬剤を含む、26項に記載の方法。
【0369】
28. 細胞培養条件が、1つ以上の特定の温度で培養することを含む、20〜27項のいずれか1項に記載の方法。
【0370】
29. 細胞培養条件が、1種以上の特定の基質上で培養することを含む、20〜28項のいずれか1項に記載の方法。
【0371】
30. 下記工程:
a)20〜29項のいずれか1項に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;
b)該培養条件に曝露した場合の該細胞単位中での遺伝子発現を分析する工程;および
c)所望の培養条件下で示差的に発現される遺伝子を同定する工程、
を含む、細胞プロセスに影響する遺伝子を同定する方法。
【0372】
31. 所望の培養条件が細胞プロセスに影響する、30項に記載の方法。
【0373】
32. 30項または31項に従って遺伝子を同定し、核酸合成または生物学的複製による該遺伝子の少なくともコード領域を製造することを含む、細胞プロセスに影響する遺伝子をコードする核酸を製造する方法。
【0374】
33. 下記工程:
(a)30項または31項に従う細胞プロセスを関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および
(b)細胞中での該1個以上の遺伝子の発現を調節する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導する方法。
【0375】
34. 細胞中での遺伝子発現の調節が、細胞中への該1個以上の遺伝子のトランスフェクションを含む、33項に記載の方法。
【0376】
35. 遺伝子発現の調節が、遺伝子産物の外因性投与を含む、33項に記載の方法。
【0377】
36. 下記工程:
(a)30項または31項に従う細胞プロセスに関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および
(b)細胞中での該1個以上の遺伝子の発現の調節を検出することによって、該細胞の細胞プロセスの状態を決定する工程、
を含む、細胞の細胞プロセスの状態を同定する方法。
【0378】
37. 該1個以上の遺伝子が、マーカーをコードする、36項に記載の方法。
【0379】
38. 該マーカーを、免疫アッセイにより検出することができる、37項に記載の方法。
【0380】
39. 下記工程:
(a)20〜29項のいずれか1項に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;
(b)細胞プロセスを誘導する培養条件に細胞を曝露する工程;および
(c)所望の細胞を単離する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導する方法。
【0381】
40. 下記工程:
(a)20〜29項のいずれか1項に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;および
(b)細胞単位中で細胞プロセスを誘導するこれらの薬剤を同定する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導することができる薬剤を同定する方法。
【0382】
41. 下記工程:
(a)20〜29項のいずれか1項に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;
(b)細胞単位中で所望の細胞プロセスを誘導するこれらの薬剤を同定する工程;および
(c)該薬剤を合成または単離する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導することができる薬剤を調製する方法。
【0383】
42. 細胞プロセスが、細胞の増殖または分化である、1〜41項のいずれか1項に記載の方法。
【0384】
43.下記工程:
a)幹細胞培養物をインキュベートする工程;および
b)該培養物を2個以上の群の幹細胞に分割し、該群の幹細胞を2個以上の異なるセットの培養条件下で培養する工程、
を含み、各細胞単位が、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、幹細胞またはin vitroで幹細胞から誘導された細胞を培養する方法。
【0385】
44. 前記細胞を、それぞれの細胞単位が1個以上の細胞を含む細胞単位中で培養する、43項に記載の方法。
【0386】
45. 細胞単位が単一の細胞である、43項または44項に記載の方法。
【0387】
46. 1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖させることを含む、幹細胞を培養する方法。
【0388】
47. 前記幹細胞を、培養条件の少なくとも1回の変化に供する、46項に記載の方法。
【0389】
48. 培養条件の前記変化が、培地の変化を含む、47項に記載の方法。
【0390】
49. 下記工程:
(a)培養培地中で、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖させる工程;
(b)一方の培養培地から他方に前記複合体を移す工程;
(c)必要に応じて、工程(b)を反復する工程;および
(d)前記複合体に付着した分化した細胞を取得する工程、
を含む、in vitroで幹細胞から分化した細胞を取得する方法。
【0391】
50. 分化した細胞を、前記複合体からの酵素的または化学的分離により単離する、49項に記載の方法。
【0392】
51. 前記酵素がプロテイナーゼKである、50項に記載の方法。
【0393】
52. 前記化合物がHClである、50項に記載の方法。
【0394】
53. 分化した細胞を、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体の消化により単離する、49〜52項のいずれか1項に記載の方法。
【0395】
54. 下記工程:
(a)1〜12項のいずれか1項に記載の複合体上に多能性幹細胞を播種する工程;および
(b)前記複合体に付着させながら、前記細胞を増殖させる工程、
を含む、in vitroで多能性幹細胞を増殖させる方法。
【0396】
55. 下記工程:
(a)タグの1種以上の画像を取得する工程;
(b)1種以上の画像の輪郭を描写する工程;
(c)1種以上の画像の輪郭をロードする工程;および
(d)1種以上の輪郭内の面積および/または明るさを読み取る工程、
を含む、細胞単位から取得されたタグに関する1種以上の面積および/または密度値を同定する方法。
【0397】
56. 下記工程:
(a)細胞単位とタグを分離する工程;
(b)顕微鏡技術を用いてタグの1種以上の画像を取得する工程;
(c)1種以上の画像の輪郭を描写する工程;
(d)1種以上の画像の輪郭を、異なる顕微鏡技術を用いて取得されたさらなる対応する画像上にロードする工程;および
(e)1種以上の輪郭内の面積および/または明るさを読み取る工程、
を含む、細胞単位から取得されたタグに関する1種以上の面積および/または密度値を同定する方法。
【0398】
57. 工程(e)が1個以上の細胞単位中の1種以上の異なるタグを計数および/または分類することを含む、56項に記載の方法。
【0399】
58. 前記方法が、1個以上の細胞単位中の少なくとも異なる型のタグを計数および/または分類することを含む、55項または56項に記載の方法。
【0400】
59. 前記方法が、1個以上の細胞単位中の約10個〜約50個の異なる型のタグを計数および/または分類することを含む、55項または56項に記載の方法。
【0401】
60. 前記面積および/または密度値を、スプレッドシートに入力する、55〜59項のいずれか1項に記載の方法。
【0402】
61. 前記画像が、位相画像、青い画像、緑色の画像、赤色に近い画像および遠赤色の画像からなる群より選択される、55〜60項のいずれか1項に記載の方法。
【0403】
62. 55〜61項のいずれか1項に記載の方法を実行するためのコンピューター制御用コンピュータープログラムを含むコンピュータープログラム製品。
【0404】
63. 55〜61項のいずれか1項に記載の方法に従ってデータ処理操作を実行するために操作可能なデータ処理論理を含む、タグの1種以上の面積および/または密度値を同定する装置。
【0405】
64. 下記工程:
(a)タグの少なくとも1個のパラメーターの上限および下限を、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値と比較する工程;
(b)タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値を、タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限と比較する工程;および
(c)タグの少なくとも1個のパラメーターの測定値を、細胞単位と関連するタグの同一性と相関させる工程、
を含む、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性を決定する方法。
【0406】
65. 下限が平均測定値より低く、平均測定値が上限より低い場合、タグのさらなるパラメーターの上限および下限を、タグの少なくとも1個のさらなるパラメーターの平均測定値と比較する、64項に記載の方法。
【0407】
66. 下限が平均測定値以下であり、平均測定値が上限以下である場合、タグの同じパラメーターの少なくとも1個のさらなる整数の上限および下限を測定する、64項に記載の方法。
【0408】
67. 下限が平均測定値より低く、平均測定値が上限より低い場合、タグの少なくとも1個のさらなるパラメーターを測定する、66項に記載の方法。
【0409】
68. タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限より高い場合、その結果を、1個以上のパラメーターを有する1個以上のタグと相関させる、64〜67項のいずれか1項に記載の方法。
【0410】
69. タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、タグの1個以上のパラメーターの最下限よりも高くない場合、その結果を、該パラメーターを有するタグと相関させる、64〜67項のいずれか1項に記載の方法。
【0411】
70. 下限が平均測定値以下であり、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限以下である場合、タグの同じパラメーターの少なくとも1個のさらなる整数の上限および下限を測定する、64項に記載の方法。
【0412】
71. 前記方法を、タグの同じパラメーターの1以上のさらなる整数について繰り返す、69項に記載の方法。
【0413】
72. 前記方法を、タグの同じパラメーターの全ての整数について繰り返す、70項に記載の方法。
【0414】
73. 下限が平均測定値より低く、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限より低く、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値がタグの少なくとも1個のパラメーターの最下限よりも高い場合、その結果を、1個以上のパラメーターを有する1個以上のタグと相関させる、69項に記載の方法。
【0415】
74. 下限が平均測定値より低く、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限より低く、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値がタグの1個以上のパラメーターの最下限より高くない場合、その結果を、前記パラメーターを有するタグと相関させる、72項に記載の方法。
【0416】
75. タグのパラメーターが、タグの大きさ、タグが担持するフルオロフォアの型、およびタグが担持するフルオロフォアの量からなる群より選択される、63〜73項のいずれか1項に記載の方法。
【0417】
76.大きさが、5つの異なる大きさより選択される、74項に記載の方法。
【0418】
77. 大きさが、約1.87μm、約4.41μm、約5.37μm、約5.78μmおよび約9.66μmからなる群より選択される、74項または75項に記載の方法。
【0419】
78. フルオロフォアがUV2またはStarfire Redである、74〜76項のいずれか1項に記載の方法。
【0420】
79. フルオロフォアの量が、5つの異なる量より選択する、74〜76項のいずれか1項に記載の方法。
【0421】
80.それぞれ異なる量が、明るさの5〜10倍の差異を与える、78項に記載の方法。
【0422】
81. 最大で3種の異なるパラメーターおよび50の異なる整数または集団が存在する、63〜80項のいずれか1項に記載の方法。
【0423】
82. それぞれの細胞単位が、微小担体とポリスチレンマイクロビーズとを含む複合体に付着したか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、63〜80項のいずれか1項に記載の方法。
【0424】
83. マイクロビーズがストレプトアビジンによりコーティングされている、81項に記載の方法。
【0425】
84. 前記複合体が、Cultispher-G微小担体とポリスチレンマイクロビーズを含む、81項または82項に記載の方法。
【0426】
85. 63〜83項のいずれか1項に記載の方法を実施するためのコンピューター制御用コンピュータープログラムを含むコンピュータープログラム製品。
【0427】
86. 63〜83項のいずれか1項に記載の方法に従って、データ処理操作を実施するために操作可能なデータ処理論理を含む、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性を決定するための装置。
【表1】
【0428】
表1の凡例
実験マトリックスを含む条件、およびこれらの条件に曝露された微小担体を標識するのに用いられる対応するタグの一覧である。タグの命名法は、実験日および実験条件を意味する(日、条件)。カラム2〜5は、対応するタグの特徴、すなわち、大きさ(直径);フルオロフォア同一性(UV2またはStarfire Red);フルオロフォア強度(最低1〜最高5)およびタグがTRITC修飾されたかどうかを示す。マトリックスの各条件につき、異なる増殖因子の最終濃度および/または基本培地中に存在するモルフォゲンを、最後のカラムに示す。
【0429】
上記明細書に記載された全ての刊行物は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。記載の方法および本発明の系の種々の改変および変更は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態と関連付けて説明してきたが、特許請求された本発明がそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際、分子生物学または関連する分野における当業者にとって明らかである本発明を実施するための記載された様式の種々の改変は、特許請求の範囲内にあると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0430】
【図1】図1は、2つの異なる大きさ(5.4μmおよび7.6μm)の黒色、赤色および青色タグを用いる光顕微鏡下で見た着色されたDukeマイクロビーズのサンプルを示す。
【図2】図2は、通過する未結合のマイクロビーズ(大きさの範囲4.4μm〜9.8μm)を除去するための洗浄中に70μmのフィルター上に捕捉されたCultispher-G微小担体を示す。
【図3】図3は、2U/mlプロテイナーゼKを用いるCultispher-G微小担体の消化を示す(図面は、示されるように、15分間に渡る同じ微小担体を示す)。
【図4】図4は、37%HCl(約12 M)を用いるCytopore 2微小担体の消化を示す(図面は、示されるように、1時間30分に渡る同じ微小担体を示す)。
【図5】図5は、マイクロビーズの1個以上の面積および/または光学密度値を同定するための顕微鏡分析に関するImagepro Tag Analysis Flowchartを示す。種々の露出およびフィルター:UV2フィルター: Ex 340-380 nm; Em 435-485 nm; TRITCフィルター:Ex 540/25 nm; Em 605/55 nm; Starfire Red: Ex 620/60 nm; Em 700/75 nmを用いて画像を取得する。
【図6−1】図6は、マイクロビーズ(タグ)が、それぞれ4レベルのフルオロフォアA±フルオロフォアBの2つの異なる大きさのものであるTag ID Flowchartを示す。フルオロフォアAはUV2であり、フルオロフォアBはTRITCである。F1は、UV2チャンネルを用いるタグの光学密度測定値を意味する;F2は、Starfire Redチャンネルを用いるタグの光学密度測定値を意味する;F3は、TRITCチャンネルを用いるタグの光学密度測定値を意味する;f1-タグ1の蛍光の下限;f2-タグ1の蛍光の上限;f3-全てのタグのTRITC蛍光の低い方の閾値;f4-タグ2の蛍光の下限;f5-タグ2の蛍光の上限など;面積-面積測定値;a1-大きさ1のタグの面積下限;a2-サイズ1のタグの面積上限;a3-大きさ2のタグの面積下限;a4-大きさ2のタグの面積上限など;Y=はい;N=いいえ。さらに詳細には、ボックス(a)は、第1のパラメーターの下限が第1のパラメーターの平均測定値より低く、第1のパラメーターの上限が第1のパラメーターの平均測定値より高いことを示す;ボックス(b)は、第2のパラメーターの下限が第2のパラメーターの平均測定値より低く、第2のパラメーターの上限が第2のパラメーターの平均測定値より高いを示す;ボックス(c)、(f)、(i)、(k)、(o)、(q)、(t)および(v)はそれぞれ、第3のパラメーターの平均測定値が第3のパラメーターの下限より高いことを示す;ボックス(e)は、ボックス(b)からの結果が陰性ならば、さらなる整数のパラメーターの上限、下限および平均測定値を測定することを示す。特に、ボックス(e)は、ある整数のパラメーターの面積下限が該パラメーターの平均測定値より低く、その整数のパラメーターの面積上限が該パラメーターの平均測定値より高いことを示す。これを、ボックス(h)、(j)、(n)、(p)、(s)および(u)においてさらなる整数のパラメーターについて繰り返す。
【図6−2】図6−1の続きである。
【図6−3】図6−2の続きである。
【図6−4】図6−3の続きである。
【図7】図7は、図6からの最終的な「いいえ」の決定が、それらの整数のさらなるパラメーターを問い合わせ続けるように、1以上の整数のパラメーターを連続的に試験する代替的なフローチャートを示す。フルオロフォアAはStarfire RedでありフルオロフォアBはTRITCである。例えば、F1およびF2を、図6からの最終的な「いいえ」の決定が、関連する大きさのタグのStarfire Red値を問い合わせ続けるように、連続的に試験することができる。F1は、UV2チャンネルの密度測定値を意味する;F2は、Starfire Redチャンネルの密度測定値を意味する;F3は、TRITCチャンネルの密度測定値を意味する;f18-タグ9の蛍光の下限;f19-タグ9の蛍光の上限;f3-全てのタグ1のTRITC蛍光の低い方の閾値;Y=はい;N=いいえ。
【図8】図8は、マウスES細胞に播種し、多能性のマーカーであるアルカリホスファターゼ活性を示すキットで染色されたマクロ多孔性CultiSpher-Gゼラチン微小担体(Percell Biolytica AB)を示す。
【図9】図9は、表1に示されるマトリックスを介してコンビナトリアル細胞培養により処理され、マクロファージアッセイ試薬DQ-オボアルブミン(Molecular Probes)と共にD13にインキュベートされた140,000微小担体のサンプルを示す。左上のパネルは、微小担体の位相差画像を示す。右上の画像は、FITCフィルターセットを用いる同じ視野を示すが、マクロファージを、グリーン蛍光で内部的に標識された大きく、丸い細胞として容易に識別できる。左下の画像は、FITCフィルターセットを用いる同じ視野を示すが、微小担体と結合したUV2をロードされたタグを示している。
【図10】図10は、図9と同様であるが、異なる視野に関するものである。
【図11】図11は、マクロファージを担持する微小担体a)C5、b)A22およびc)E6上に認められる全てのタグの数および同一性を示すグラフを示す。b)およびc)中の星印付きのバーは、再現可能なマクロファージ分化をもたらすことが後に決定された条件を示す。
【図12】図12は、DQ-オボアルブミン(Molecular Probes)で染色された多数のマクロファージを担持する微小担体の例である。
【図13】図13は、Bangs Laboratories (Fishers, IN)から委託された50個のミクロスフェアタグのグラフ表示である。ミクロスフェアは、1.87μm〜9.77μmの大きさであり、5つの識別可能な強度のフルオロフォアStarfire Redまたは代替的にUV2で染色した。
【図14】図14は、所与の曝露設定でのタグの大きさおよび蛍光強度に従って分析されたStarfire Red染色ミクロスフェアタグの補正サンプルである。同様の補正サンプルを用いて、微小担体に結合したタグの分類のためのパラメーター(楕円により示される)を決定した。
【図15】図15は、430 nmでの照明および63Xの対物レンズを用いて得られた、実験中で用いられた桿状粒子の品質対照画像を示す。左の画像は101010;右の画像は100001(1=Agおよび0=Au)である。
【図16】図16は、生細胞を示すニュートラルレッド生体染色で染色された標識された細胞単位の画像であり、明視野照明および20Xの対物レンズを用いて得られた、結合した桿状粒子(矢印で示される)を示す。
【図17】図17は、明視野照明および20Xの対物レンズを用いて得られた、標識された細胞単位のプロテイナーゼK消化後に放出された桿状粒子の画像である。
【図18】図18は、100X油浸対物レンズを備えたCFPフィルターセット(Ex. 436/10; Em. 465/30)を用いて得られた、標識された細胞単位のプロテイナーゼK消化後に放出された2つの異なる粒子の分離を示す画像である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次細胞、細胞系、多能細胞、全能細胞および幹細胞の培養などの細胞培養に広く関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年、細胞培養は、生命科学における中核技術となってきた。細胞培養は、「基礎細胞培養(Basic Cell Culture)」、Oxford University Press (2002)、J.M. Davis(編);および「動物細胞培養(Animal Cell Culture)」、Oxford University Press (2000)、John R. W. Masters(編)(両方とも参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。細胞培養は、細胞の生存能力、表現型、遺伝子型、増殖および分化、ならびに生物学的分子、中間体および生成物の形成などの細胞プロセスを研究するための基礎を提供する。それはまた、単離された動物においてであろうと、全トランスジェニック動物においてであろうと、遺伝子レベルから、個々のタンパク質分子のレベルまでの、これらのプロセスの調節を研究するための手段も提供してきた。生物学の現在の状態へのその非常な寄与にもかかわらず、多くの点で、細胞培養は、究極的には遺伝子治療および組織工学の可能性を提供する非常に刺激的な科学であるにもかかわらず、依然として開発中の研究分野である。
【0003】
細胞培養の重要な目標は、in vitroで様々な細胞を増殖させることができるようになることである。培養中で増殖させることができる様々な細胞型の一覧は、広範囲に及び(American Type Culture collection, http://www.atcc.org; European Collection of Cell Cultures, http://www.ecacc.org.uk; Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, http://www.dsmz.deを参照)、多くの細胞型の代表を含み、ますます培養条件が発見されるにつれて、継続的に増加している。当分野における安定した進歩にもかかわらず、新しい細胞型のための好適な培養条件を決定する方法は、依然として総合的に経験的である:増殖条件はほとんど常に試行錯誤によって発見される。出発点の選択は、類似する細胞について他者により以前に用いられたもの、またはさらに異なる細胞について研究室で現在用いようとするものに基づくことが多いであろう。多くの場合、これらは単に完全に不十分なものであり、試行錯誤のプロセスを再び一から始めなければならない。新しい培養条件が成功した場合でも、以前のプロトコルの適応が実験に対して歴史的偏りを導入したことは価値ある想起である。例えば、初期の組織培養実験の多くは、線維芽細胞を広範囲に使用し、現在まで、ほとんどの標準的な細胞培養条件は、中胚葉(線維芽細胞、内皮、筋芽細胞)から誘導された細胞の増殖を助ける。これらの条件に基づく上皮および他の細胞型のための選択的増殖培地の開発は挑戦であった。これらの細胞型のいくつかについては、血清(中胚葉細胞のための多くの培養培地の通常の成分)が、実際には増殖を阻害することが現在では知られている。本明細書に記載の本発明の一態様は、特定の細胞型の生存能力、増殖または成長、およびその表現型の保持を可能にする好適な培養条件を開発するための方法である。
【0004】
細胞培養において依然として遭遇するいくつかの一般的な問題は、一次細胞系の限定された寿命、継代による細胞系の特徴の変化、および目的の細胞特性の喪失に付随するその形質転換である。これらの効果は、実験またはアッセイ、例えば、以下に記載の細胞に基づくアッセイにおける使用のための培養細胞の有用性を厳しく制限する。一次細胞、すなわち、組織から新鮮に単離された細胞は、それらがその元の組織に幅広く類似する様式で振舞うため、群を抜いて最も正確な細胞培養モデルを提供する。珍しいことに、一次細胞を培養する信頼できる方法は、依然として開発されておらず、結果として、これらの細胞はin vitroで制限された寿命を示す。これは、例えば、一次培養物を増幅しようと試みる場合、またはより長期間の実験を実施しようと試みる場合、重大な技術的制限をもたらす。一次培養物の使用に関連するさらなる問題は、それらが一定の新鮮な単離を必要とするため、特にヒトに由来する一次材料を調達するのが困難であり、一貫して振舞う系を取得するのも困難であることである。従って、本発明の第3の態様は、寿命が延長された生きた培養物を取得するために一次細胞を培養する方法である。
【0005】
一次細胞を長時間、in vitroで維持する場合、それらは通常、大部分の細胞が死滅する危機を経験するが、生存する細胞はより長く生存し、無期限に培養することができる。これらの連続的な細胞系は、それが無傷の動物組織において認められるように、ほとんど常に貧弱な細胞の代表である。この1つの理由は、細胞を不死にさせるプロセスも細胞の特徴に対する影響を有するという事実にある。例えば、多くの確立された細胞培養物は、組織特異的遺伝子を発現するのを停止し、その代わりに、細胞培養物における継続的増殖にとって必要なハウスキーピング遺伝子のみを発現し、結果として、多くのそのような細胞系はそれらが元々起源とする組織よりも互いにより類似する。例えば、多くの肝臓細胞系は、通常はそれらを薬剤毒性を試験するための興味深い道具にする薬剤代謝酵素を発現するのを停止する。本明細書に記載の本発明のさらなる態様は、細胞がより正確な組織モデルを提供するように、該細胞を培養する方法である。これは順に、細胞に基づく実験およびアッセイの信頼性および予測力を改善するであろう。
【0006】
細胞を培養するための改良された技術ならびに増殖、分化、代謝活性、および表現型発現などの細胞プロセスの調節のためのそのような技術を探索し、実施するための方法は、本発明者らの同時係属中の国際出願WO 2004/031369に提供されている。多数の細胞単位を取り扱う場合、それらの同一性および/または細胞培養履歴(例えば、任意の一群または単位が曝露される一連の培養条件の年代記および正確な性質)は混乱するようになり得る。WO 2004/031369は、細胞単位の同一性および/または細胞培養履歴を決定するための改良された方法を記載している。一態様においては、例えば、前記単位の分裂およびプールを可能にする、細胞生物学的実験において都合よく取り扱うことができる細胞単位の使用が記載される。
【0007】
本発明は、いくつかの従来技術の制限を克服するさらなる改善を提供することを求めるものである。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
一態様においては、(a)細胞単位を標識するのに用いられるそれぞれのタグの1個以上のパラメーターを測定する工程;(b)細胞単位中のそれぞれのタグを同定する工程;ならびに(c)それぞれのタグの同一性を、細胞単位の同一性および/または細胞単位を曝露した特定の細胞培養条件と相関させる工程を含む、2個以上のタグ(例えば、タグの型)で標識された細胞単位の細胞培養履歴を決定する方法が提供される。
【0009】
さらなる態様においては、本明細書に記載の方法を実施するためのコンピューター制御用コンピュータープログラムを含むコンピュータープログラム製品が提供される。
【0010】
さらなる態様においては、本明細書に記載の方法に従ってデータ処理操作を実施するために操作可能なデータ処理論理を含む、細胞単位の細胞培養履歴を決定するための装置が提供される。
【0011】
さらなる態様においては、微小担体および帯電した(例えば、負に帯電した)タグを含む複合体が提供される。
【0012】
さらなる態様においては、微小担体および桿状タグを含む複合体が提供される。
【0013】
本明細書に記載されるタグの品質を、本明細書に開示される改善と共に有利に用いることができる。そのような改善は、例えば、特定の型のタグおよび特定の型の細胞単位の改良された標識化、細胞単位からのタグの改良された分離ならびにタグの改良された分析を含む。
【0014】
さらなる態様においては、タンパク質を含み、それからなるか、または本質的にそれからなる微小担体とタグを含む複合体を、プロテアーゼと接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法が提供される。
【0015】
さらなる態様においては、微小担体とタグを含む複合体を、酸と接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法が提供される。
【0016】
有利には、これらの方法を用いて、本明細書に記載の方法を用いてタグを分析することができるような方法で細胞単位とタグを分離することができる。さらに、これらの方法は、そのような処理によって損なわれるタグをもたらさない。さらに、これらの方法は、大きい表面積に渡って分散されるようになり、および/またはより濃い水性溶液上に浮かぶタグなどの、それらの分析を著しく悪化させる様式で得られるタグの問題に取り組む。
【0017】
さらなる態様においては、本明細書に記載の複合体の使用を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定するための方法が提供される。
【0018】
さらなる態様においては、(a)それぞれ1種以上の細胞を含む第1のセットの細胞単位群を提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および(f)それを曝露した培養条件の所与の細胞単位に対する効果を評価する工程であって、それぞれの細胞単位が本明細書に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1種以上の細胞を含む前記工程を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法が提供される。
【0019】
さらなる態様においては、(a)それぞれ1種以上の細胞を含む第1のセットの細胞単位群を提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程であって、それぞれの細胞単位が本明細書に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1種以上の細胞を含む前記工程を含む、様々な細胞培養条件に細胞を曝露するための方法が提供される。
【0020】
さらなる態様においては、(a)それぞれ1種以上の細胞を含む第1のセットの細胞単位群を提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および(f)それを曝露した培養条件の所与の細胞単位に対する効果を評価する工程であって、それぞれの細胞単位が本明細書に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1種以上の細胞を含む前記工程を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法が提供される。
【0021】
さらなる態様においては、a)本明細書に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;b)該培養条件に曝露した場合の該細胞単位における遺伝子発現を分析する工程;およびc)所望の培養条件下で示差的に発現される遺伝子を同定する工程を含む、細胞プロセスに影響する遺伝子を同定する方法が提供される。
【0022】
さらなる態様においては、本発明に記載の方法に従って遺伝子を同定すること、および核酸合成または生物学的複製により該遺伝子の少なくともコード領域を産生させることを含む、細胞プロセスに影響する遺伝子産物をコードする核酸を産生させる方法が提供される。
【0023】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の方法に従って、細胞プロセスに関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および(b)該細胞における該1個以上の遺伝子の発現を調節する工程を含む、細胞プロセスを誘導する方法が提供される。
【0024】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の方法に従って、細胞プロセスに関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および(b)細胞における該1個以上の遺伝子の発現の調節を検出することによって、該細胞の細胞プロセスの状態を決定する工程を含む、細胞の細胞プロセスの状態を同定する方法が提供される。
【0025】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;(b)細胞プロセスを誘導する培養条件に細胞を曝露する工程;および(c)所望の細胞を単離する工程を含む、細胞プロセスを誘導する方法が提供される。
【0026】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;および(b)該細胞単位において細胞プロセスを誘導することができる薬剤を同定する工程を含む、該薬剤を同定する方法が提供される。
【0027】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;(b)該細胞単位において所望の細胞プロセスを誘導することができる薬剤を同定する工程;および(c)該薬剤を合成するか、または単離する工程を含む、該薬剤を調製する方法が提供される。
【0028】
さらなる態様においては、a)幹細胞培養物をインキュベートする工程;およびb)該培養物を2個以上の群の幹細胞に分割し、2種以上の異なるセットの培養条件下で該群の幹細胞を培養する工程であって、該細胞を細胞単位中で培養し、各細胞単位は本明細書に記載の複合体に付着したか、またはそれにより結合した1種以上の細胞を含む前記工程を含む、幹細胞またはin vitroで幹細胞から誘導された細胞を培養する方法が提供される。
【0029】
さらなる態様においては、本明細書に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖させることを含む、幹細胞を培養する方法が提供される。
【0030】
さらなる態様においては、(a)培養培地中で本明細書に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖させる工程;(b)一方の培養培地から他方の培養培地に該複合体を移す工程;(c)必要に応じて、工程(b)を繰り返す工程;および(d)該複合体に付着した分化した細胞を取得する工程を含む、in vitroで幹細胞から分化した細胞を取得する方法が提供される。
【0031】
さらなる態様においては、(a)本明細書に記載の複合体上に多能性幹細胞を播種する工程;および(b)該複合体に付着させながら該細胞を増殖させる工程を含む、in vitroで該細胞を増殖させる方法が提供される。
【0032】
さらなる態様においては、本明細書に記載の複合体に付着した前記細胞を増殖させることを含む、in vivoまたはin vitroで細胞を培養する方法が提供される。
【0033】
さらなる態様においては、(a)細胞単位とタグを分離する工程;(b)顕微鏡技術を用いてタグの1種以上の画像を取得する工程;および(c)画像を分析して、タグの1種以上の特徴を決定する工程を含む、細胞単位から得られるか、または得ることができるタグを同定する方法が提供される。
【0034】
さらなる態様においては、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定するための本明細書に記載の複合体の使用が提供される。
【0035】
さらなる態様においては、微小担体を標識するためのナノワイヤーなどの桿状タグの使用が提供される。
【0036】
さらなる態様においては、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定するためのナノワイヤーなどの桿状タグの使用が提供される。
【0037】
さらなる態様においては、添付の図面を参照して実質的に本明細書に記載のような方法、複合体、コンピュータープログラム、装置または使用が提供される。
【0038】
実施形態
いくつかの実施形態においては、前記方法は自動化された方法である。
【0039】
いくつかの実施形態においては、前記細胞単位は微小担体に結合または付着している。
【0040】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は多孔性または固体微小担体である。
【0041】
いくつかの実施形態においては、多孔性微小担体は、Cytopore微小担体(例えば、Cytopore 1微小担体もしくはCytopore 2微小担体)、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、およびMiroporous MC微小担体からなる群より選択される。
【0042】
いくつかの実施形態においては、固体微小担体は、Cytodex微小担体(例えば、Cytodex 1、Cytodex 2もしくはCytodex 3微小担体)、Biosilon微小担体、Bioglass微小担体、FACT III微小担体またはDE 52/53微小担体からなる群より選択される。
【0043】
いくつかの実施形態においては、前記パラメーターは、タグのサイズ(大きさ)および/または該タグの光学的特性である。
【0044】
いくつかの実施形態においては、前記光学的特性は、光反射率、色、蛍光放出波長および蛍光放出強度からなる群より選択される。
【0045】
いくつかの実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1種以上の画像を測定する。
【0046】
いくつかの実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1種以上の画像を、顕微鏡を用いて測定する。
【0047】
いくつかの実施形態においては、顕微鏡的方法は、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、斜照明顕微鏡、暗視野顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、反射コントラスト顕微鏡、バレルコントラスト顕微鏡、偏光顕微鏡、干渉顕微鏡および蛍光顕微鏡からなる群より選択される。
【0048】
いくつかの実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1種以上の画像のための輪郭を描く。
【0049】
いくつかの実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1種以上の蛍光画像を測定する。
【0050】
いくつかの実施形態においては、1種以上の画像のための輪郭を、1種以上の蛍光画像上に載せる(ロードする)。
【0051】
いくつかの実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1種以上の蛍光画像を、該タグを標識するのに用いられる各フルオロフォアについて測定する。
【0052】
いくつかの実施形態においては、細胞単位中の各タグを、1種以上の輪郭内のタグの1種以上のパラメーターを読み取ることにより同定する。
【0053】
いくつかの実施形態においては、前記タグの1種以上のパラメーターは、該タグの面積および/または光学密度である。
【0054】
いくつかの実施形態においては、前記タグの1種以上のパラメーターを、スプレッドシートに入力する。
【0055】
いくつかの実施形態においては、前記フルオロフォアを、青色、緑色、近赤色または遠赤色蛍光を放出するフルオロフォアからなる群より選択する。
【0056】
いくつかの実施形態においては、2種以上のフルオロフォアを用いる場合、該フルオロフォアは互いにクエンチしない。
【0057】
いくつかの実施形態においては、前記サイズは、4、5、6または7個の異なるサイズなどの少なくとも3個の異なるサイズから選択される。
【0058】
いくつかの実施形態においては、前記サイズは、約1.9μm、約4.4μm、約5.4μm、約5.8μm、約7.4μm、約9.7μmおよび約9.8μmからなる群より選択される。
【0059】
いくつかの実施形態においては、前記フルオロフォアは、UV2、Starfire RedおよびTRITCからなる群より選択される。
【0060】
いくつかの実施形態においては、フルオロフォアの量は、5つの異なる量より選択される。
【0061】
いくつかの実施形態においては、これらの量は、範囲(例えば、蛍光強度の範囲)により示される。
【0062】
いくつかの実施形態においては、それぞれ異なる量が、約5〜10倍の明るさの差異を与える。
【0063】
いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターが存在する。
【0064】
いくつかの実施形態においては、少なくとも5個の異なるパラメーターが存在する。
【0065】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、多孔性微小担体である。
【0066】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、正味の電荷を有する。
【0067】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、タンパク質、セルロース、ポリエチレン、ポリスチロール、ガラス、コラーゲン、コラーゲン-グルコース-アミノグリカンおよび/またはゼラチンを含み、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。
【0068】
いくつかの実施形態においては、前記タグは電荷を有する。
【0069】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、正味の電荷を有する。
【0070】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、負の電荷を有する。
【0071】
いくつかの実施形態においては、帯電したタグは、球体である。
【0072】
いくつかの実施形態においては、前記球体は、ミクロスフェアである。
【0073】
いくつかの実施形態においては、前記ミクロスフェアは、直径約9μm以下である。
【0074】
いくつかの実施形態においては、前記ミクロスフェアは、カルボン酸改変(CML)ミクロスフェアである。
【0075】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、ポリスチレンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0076】
いくつかの実施形態においては、前記複合体(例えば、前記微小担体)は、細胞単位に付着または結合している。
【0077】
いくつかの実施形態においては、少なくとも1種の抗体を、前記細胞単位に結合させる。
【0078】
いくつかの実施形態においては、桿状タグは、ナノワイヤーである。
【0079】
いくつかの実施形態においては、前記ナノワイヤーは、アルミニウムナノワイヤーである。
【0080】
いくつかの実施形態においては、前記ナノワイヤーを、銀および/または金でコーティングする。
【0081】
いくつかの実施形態においては、前記ナノワイヤーは、直径約1μm以下である。
【0082】
いくつかの実施形態においては、前記ナノワイヤーは、長さ約10μm以下である。
【0083】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、多孔性微小担体である。
【0084】
いくつかの実施形態においては、前記多孔性微小担体は、電荷中性の微小担体である。
【0085】
いくつかの実施形態においては、少なくとも1種の抗体を、前記細胞単位に結合させる。
【0086】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、ゼラチンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0087】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、Cultispher微小担体である。
【0088】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体からなる群より選択される。
【0089】
いくつかの実施形態においては、前記プロテアーゼは、プロテイナーゼK、トリプシン、サーモリシンおよびカスパーゼからなる群より選択される。
【0090】
いくつかの実施形態においては、プロテイナーゼKを、約0.5U/ml以下の量で用いる。
【0091】
いくつかの実施形態においては、前記複合体を、少なくとも20〜60分間、プロテイナーゼKと接触させる。
【0092】
いくつかの実施形態においては、前記複合体を、約5μl以下の容量のプロテアーゼと接触させる。
【0093】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、セルロースを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0094】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、Cytopore微小担体である。
【0095】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、Cytopore 2微小担体である。
【0096】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、球体である。
【0097】
いくつかの実施形態においては、前記酸は、塩酸、硫酸および次亜塩素酸ナトリウムからなる群より選択される。
【0098】
いくつかの実施形態においては、前記酸は、37%塩酸(約12M)である。
【0099】
いくつかの実施形態においては、前記酸は、濃硫酸である。
【0100】
いくつかの実施形態においては、前記複合体を、約5μl以下の容量の酸と接触させる。
【0101】
いくつかの実施形態においては、前記複合体を、前記酸の存在下で加熱する。
【0102】
いくつかの実施形態においては、前記細胞を、それぞれ1種以上の細胞を含む細胞単位中で培養する。
【0103】
いくつかの実施形態においては、前記細胞単位は、単一の細胞である。
【0104】
いくつかの実施形態においては、前記培養条件は、前記細胞を曝露する培地である。
【0105】
いくつかの実施形態においては、前記培地は、細胞プロセスに影響する1種以上の特定の薬剤を含む。
【0106】
いくつかの実施形態においては、前記細胞培養条件は、1種以上の特定の温度で培養することを含む。
【0107】
いくつかの実施形態においては、前記細胞培養条件は、1種以上の特定の基質上で培養することを含む。
【0108】
いくつかの実施形態においては、所望の培養条件は、細胞プロセスに影響する。
【0109】
いくつかの実施形態においては、前記細胞中での遺伝子発現の調節は、該細胞中への前記1種以上の遺伝子のトランスフェクションを含む。
【0110】
いくつかの実施形態においては、遺伝子発現の調節は、遺伝子産物の外因性投与を含む。
【0111】
いくつかの実施形態においては、前記1種以上の遺伝子は、マーカーをコードする。
【0112】
いくつかの実施形態においては、前記マーカーを、免疫アッセイにより検出することができる。
【0113】
いくつかの実施形態においては、前記細胞プロセスは、細胞の増殖または分化である。
【0114】
いくつかの実施形態においては、前記細胞単位は、単一の細胞である。
【0115】
いくつかの実施形態においては、前記幹細胞を、培養条件の少なくとも1つの変化にかける。
【0116】
いくつかの実施形態においては、培養条件の前記変化は、培地の変化を含む。
【0117】
いくつかの実施形態においては、分化した細胞を、前記複合体からの酵素的または化学的分離により単離する。
【0118】
いくつかの実施形態においては、分化した細胞を、前記複合体の消化により単離する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0119】
発明の詳細な説明
定義
培養条件:本明細書で用いられる用語「培養条件」とは、細胞の増殖もしくは分化を促進するために、細胞が置かれるか、または曝露される環境を指す。かくして、この用語は、細胞の増殖および/または分化に影響し得る培地、温度、大気条件、基質、攪拌条件などを指す。より具体的には、この用語は、培養培地中に組み入れることができ、細胞の増殖および/または分化に影響し得る特定の薬剤を指す。
【0120】
細胞:本明細書で用いられる「細胞」は、独立に機能することができる生物または全て半透過性の細胞膜もしくは細胞壁により取り囲まれた、1個以上の核、細胞質、および種々のオルガネラからなる単細胞生物の最も小さい構造単位として定義される。この細胞は、原核細胞、真核細胞または古細菌細胞であってよい。例えば、この細胞は、真核細胞であってよい。哺乳動物細胞、特に、ヒト細胞が好ましい。細胞は天然のものであってもよいし、または所望の特性を達成するために、遺伝子操作もしくは培養における継代などにより改変することができる。幹細胞は、以下により詳細に定義されるが、2個以上の分化した細胞型を生じることができる全能性、多能性(pluripotent)または多能性(multipotent)の細胞である。幹細胞を、in vitroで分化させて、それ自身、多能性であるか、または最終的に分化したものであってよい、分化した細胞を得ることができる。in vitroで分化した細胞は、細胞分化を促進する1種以上の薬剤に幹細胞を曝露することにより人工的に作製された細胞である。
【0121】
細胞プロセス:細胞内または細胞外での細胞プロセスは、起こるか、または観察されるか、または細胞に帰することができる、任意の特徴、機能、プロセス、事象、原因または効果である。細胞プロセスの例としては、限定されるものではないが、生存能力、老化、死、多分化能、形態、シグナリング、結合、認識、分子の産生もしくは破壊(分解)、突然変異、タンパク質折畳み、転写、翻訳、触媒作用、シナプス伝達、小胞輸送、オルガネラ機能、細胞周期、代謝、増殖、分裂、分化、表現型、遺伝子型、遺伝子発現、またはこれらのプロセスの制御が挙げられる。
【0122】
細胞単位:群の1つであってよい一群の細胞。細胞単位が細胞のコロニーとして振る舞い、該細胞単位中の各細胞が同じ培養条件に曝露されるように、細胞単位自体を実質的に分離することなく、細胞単位のプールを分類、分割および取り扱うことができる。いくつかの実施形態については、細胞単位は、一群の細胞に付着した微小担体またはビーズを含んでもよい。
【0123】
全能性:全能性細胞は、生物中に見出される任意の型の体細胞または生殖細胞に分化する潜在能力を有する細胞である。かくして、任意の所望の細胞を、いくつかの手段により、全能性細胞から誘導することができる。
【0124】
多能性:多能性細胞は、全てではないが、2種以上の細胞型に分化し得る細胞である。
【0125】
タグ:一態様においては、本明細書で用いられる用語「タグ」とは、細胞単位を同定し、および/または細胞単位を曝露した培養条件、もしくは培養条件の配列を決定するのに用いられる任意のタグを指す。別の態様においては、用語「タグ」とは、細胞単位を特異的に標識し、かくして、細胞単位の同定ならびに/または細胞単位を曝露した培養条件および/もしくは培養条件の配列の決定を容易にする手段として、細胞単位に添加される任意のタグを指す。好適には、このタグは、関連するが、異なる変異体の数で存在し、本明細書でさらに詳細に記載されるように、容易に識別可能である。このタグは、典型的には、Cultispher-G微小担体またはCytopore 2微小担体などの微小担体との複合体の一部を形成する。いくつかの実施形態については、このタグは、ミクロスフェアまたはマイクロビーズなどの球体またはビーズである。いくつかの実施形態については、このタグは、ナノワイヤーなどの桿状粒子である。本明細書で言及される用語「タグ」は、用語「標識」と同義である。
【0126】
培養条件への曝露:細胞を培地と接触させて置くか、または細胞の増殖、分化、もしくは代謝状態などの1種以上の細胞プロセスに影響する条件下で増殖させる場合、該細胞は培養条件に曝露される。かくして、培養条件が、培地中で該細胞を培養することを含む場合、該細胞を、それが効果を有するのに十分な時間、培地中に入れる。同様に、該条件が温度条件である場合、細胞を所望の温度で培養する。
【0127】
プール:1つ以上の群の細胞単位のプールは、2つ以上のバックグラウンドの細胞単位を含む、すなわち、2つ以上の異なるセットの培養条件に曝露された、単一の群またはプールを作製するための群の混合物を含む。プールを、無作為に、または非無作為に、群にさらに分割することができる;そのような群は、本発明の目的にとってそれ自身「プール」ではないが、例えば、異なるセットの培養条件に曝露した後、組合せによりそれ自身プールすることができる。
【0128】
増殖:細胞成長および細胞増殖は、異なる細胞型または系列に分化することなく、細胞数の増加を示すのに本明細書で互換的に用いられる。換言すれば、この用語は、生きた細胞数の増加を示す。いくつかの実施形態においては、増殖は、表現型または遺伝子型における感知できる変化を伴わない。
【0129】
分化:細胞分化は、細胞型からの、異なる細胞型の発達である。例えば、二分化能性、多能性または全能性細胞は、神経細胞に分化することができる。分化は増殖を伴うか、またはそれとは無関係であってよい。用語「分化」は、一般的には、あまり発生的に定義されていない細胞型、例えば、ニューロン、もしくはリンパ球からの成熟細胞型の表現型の獲得を指すが、分化転換を妨げず、それによって、1種の成熟細胞型は別の成熟細胞型、例えば、ニューロンからリンパ球に変換することができる。
【0130】
分化状態:細胞の分化状態は、細胞が特定の経路または系列に沿って分化したレベルである。
【0131】
細胞プロセスの状態:細胞プロセスの状態とは、細胞プロセスが生じるかどうかを指し、複合体においては、細胞プロセスは、その細胞プロセスにおける特定の工程もしくは段階を指すことができる。例えば、細胞における細胞分化経路は、不活性であるか、または誘導されたものであってよく、酵素もしくは中間体の特徴的なセットの存在を特徴とするシグナリング事象などのいくつかの個別の工程もしくは成分を含んでもよい。
【0132】
遺伝子:遺伝子は、ポリペプチドまたはRNA遺伝子産物である遺伝子産物をコードする核酸である。本明細書で用いられる遺伝子は、遺伝子産物をコードする少なくともコード配列を含む;必要に応じて、それは、コード配列の転写および/または翻訳にとって必要な1種以上の調節領域を含んでもよい。
【0133】
遺伝子産物:遺伝子産物は、典型的には、従来の様式で遺伝子によりコードされたタンパク質である。しかしながら、この用語は、該遺伝子によりコードされるリボ核酸などの非ポリペプチド遺伝子産物も包含する。
【0134】
核酸合成:核酸を、任意の利用可能な技術に従って合成することができる。いくつかの実施形態においては、核酸合成を自動化する。さらに、当業界で公知の手順に従って、細菌または真核細胞中でのクローニングおよび複製などの生物学的複製により、核酸を製造することができる。
【0135】
示差的発現:細胞培養条件に応答して異なるレベルで発現される遺伝子を、当業界で公知の方法により、遺伝子アレイなどの遺伝子発現分析により同定することができる。示差的に発現される遺伝子は、全体の遺伝子発現レベルと比較して、代替的な条件下よりも試験条件下で、より多いか、またはより少ない量の細胞中のmRNAまたは遺伝子産物を示す。
【0136】
トランスフェクション:遺伝子を、任意の好適な手段により細胞中にトランスフェクトすることができる。本明細書で用いられるこの用語は、例えば、リン酸カルシウムを用いる従来のトランスフェクションを意味するが、形質転換、ウイルス形質導入、エレクトロポレーションなどの細胞中に核酸を導入するための他の技術も含む。
【0137】
調節:本明細書で用いられる用語「調節」は、調節されるパラメーターの増加および/または減少を意味する。かくして、遺伝子発現の調節は、遺伝子発現の増加および遺伝子発現の減少の両方を含む。
【0138】
整数:この用語は、パラメーターの個々の実体を指す。例えば、パラメーターがタグのサイズである場合、整数は該パラメーター内の1以上の特定のサイズであろう。
【0139】
1つ以上の細胞単位と関連するタグの同定
一態様においては、(a)細胞単位を標識するのに用いられる各タグの1個以上のパラメーターを測定する工程;(b)細胞単位中の各タグを同定する工程;ならびに(c)各タグの同一性を、細胞単位および細胞単位を曝露した特定の細胞培養条件の同一性と相関させる工程を含む、2個以上のタグ(例えば、2個以上の型のタグ)で標識された細胞単位の細胞培養履歴を決定するための方法が提供される。
【0140】
さらなる態様においては、(a)分析にとって好適な形態で、細胞単位からタグを取得する工程;(b)細胞単位を標識するのに用いられる各タグの1個以上のパラメーターを測定する工程;(c)細胞単位中の各タグを同定する工程;および(d)各タグの同一性を、細胞単位を曝露した細胞培養条件の年代記および同一性と相関させる工程を含む、1個以上の型のタグで標識された細胞単位の細胞培養履歴を決定する方法も提供される。
【0141】
このパラメーターは、タグのサイズおよび/または該タグの光学特性であってよい。タグの光学特性の例としては、限定されるものではないが、光反射率、色、蛍光放出波長および/または蛍光放出強度が挙げられる。
【0142】
分析しようとする細胞単位を、多くの異なる細胞単位を含んでもよいサンプルから分離することができる。
【0143】
目的の細胞単位中のタグを、細胞単位から単離することができる。いくつかの実施形態においては、細胞単位の酵素的消化および/または酸加水分解によりこれを達成する。いくつかの実施形態においては、本明細書に記載の方法を用いて、これを達成する。有利には、特定の実施形態においては、これは細胞単位の破壊をもたらすが、タグは無傷のまま取得される。
【0144】
本発明の一実施形態においては、1個以上の異なるタグを、複数の細胞単位を含むサンプル中に含まれる細胞単位などの細胞単位について測定する。
【0145】
いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約2〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約2〜約40個の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約2〜約30個の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約2〜約20個の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約2〜約10個の異なる(型の)タグが存在するであろう。
【0146】
いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約5〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約10〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約15〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約20〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約25〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約30〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約35〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約40〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約45〜約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約50個以上の異なる(型の)タグが存在するであろうことが予想される。
【0147】
いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約55、60、65、70、75もしくはさらに80個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。いくつかの実施形態においては、細胞単位あたり約55、60、65、70、75もしくはさらに80、90、100、250、500、750、もしくは1000個以上の異なる(型の)タグが存在するであろう。
【0148】
上記のパラメーターの各々は、いくつかの異なる整数を有してもよい。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも2、3、4または5の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも10の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも15の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも20の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも25の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも30の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも35の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも40の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも45の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、各パラメーターにつき、少なくとも50の異なる整数が存在する。
【0149】
いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、5を超える異なる整数が存在する。
【0150】
いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、5を超える、および50未満の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、50未満の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、5を超える、および50以上の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、40未満の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、30未満の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、20未満の異なる整数が存在する。いくつかの実施形態においては、少なくとも2個の異なるパラメーターおよび各パラメーターにつき、10未満の異なる整数が存在する。
【0151】
各細胞単位は、各種の2個以上の(例えば、複数の)タグを含んでもよい。
【0152】
有利には、多くの細胞単位および/または多くのサンプルを処理することができるように、この方法を自動化することができる。各サンプルはその中に多くの(例えば、100)異なるタグを有することによって、大量のデータを生成し得るので、これは特に有利である。
【0153】
本発明のいくつかの実施形態については、最大で50個の異なるタグが存在する。例えば、本明細書に記載のCML親水性マイクロビーズの使用は、典型的には、この数のマイクロビーズをもたらす。CML親水性マイクロビーズを、1種以上のマイクロビーズと一緒に用いることができる。いくつかの実施形態においては、CML親水性マイクロビーズを、Cytopore 2微小担体と一緒に用いる。
【0154】
サンプル中のタグは全て異なっていてもよく、またはそれらは全て同じであってもよい。タグは、約1〜10μm、好ましくは約1.9μm、約4.4μm、約5.4μm、約5.8μm、約7.4μm、約9.7μmおよび/または約9.8μmなどの異なるサイズのものであってよい。タグは、CMLミクロスフェアなどのミクロスフェアであってよく、そのようなミクロスフェアの直径は、1〜10μm、好ましくは、約1.9μm、約4.4μm、約5.4μm、約5.8μm、約7.4μm、約9.7μmおよび約9.8μmであってよい。
【0155】
いくつかの実施形態については、最大で1000個の異なるタグが存在する。例えば、本明細書に記載の銀および金でストライプされた桿状ナノワイヤーの使用は、この数のタグをもたらす。前記ナノワイヤーを、1種以上の微小担体と一緒に用いることができる。いくつかの実施形態においては、ナノワイヤーを、Cultispher-G微小担体と一緒に用いる。
【0156】
一実施形態においては、特定のタグは、公知の細胞培養条件と相関している。従って、一度、細胞単位をこのタグで標識し、対応する条件で培養したら、目的の特定の細胞単位を生じたこれらの培養条件を同定または選択することができる。
【0157】
画像分析の様々な方法が当業界で利用可能であるが、Media Cybernetics (www.mediacy.com)によるImage Pro Plus画像化ソフトウェア、Nikon TE2000-S蛍光顕微鏡およびMedia Cyberneticsにより供給されたEvolution VF冷却モノクロカメラを用いることができる。
【0158】
一実施形態においては、目的の視野における細胞単位中の各タグの1つ以上の画像を測定する。典型的には、これを、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、斜照明顕微鏡、暗視野顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、反射コントラスト顕微鏡、バレルコントラスト顕微鏡、偏光顕微鏡、干渉顕微鏡および蛍光顕微鏡などの顕微鏡を用いて達成することができる。好適には、目的の視野における細胞単位中の各タグの1つ以上の画像について輪郭を描き、および/または目的の視野における細胞単位中の各タグの1つ以上の蛍光画像を測定する。フルオロフォアは、例えば、青色、緑色、近赤色または遠赤色の蛍光を放出してもよい。好適には、フルオロフォアを、UV2、Starfire RedおよびTRITCからなる群より選択する。フルオロフォアの量を、5つの異なる範囲(例えば、蛍光強度の範囲)から選択することができ、それぞれ異なる範囲は別々のものである。いくつかの実施形態においては、この範囲は、明るさにおいて約2〜5倍以上異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、この範囲は、明るさにおいて約5〜10倍以上異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、この範囲は、明るさにおいて約2〜100倍以上異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、この範囲は、明るさにおいて約2〜1000倍以上異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、この範囲は、明るさにおいて約2、5、10、100または1000倍以上異なっていてもよい。
【0159】
好適には、1つ以上の画像についての輪郭を、1つ以上の蛍光画像上に載せ、目的の視野における細胞単位中の各タグの1つ以上の蛍光画像を、タグを標識するのに用いられる各フルオロフォアについて測定することができる。細胞単位中の各タグを、1つ以上の輪郭内のタグの面積および/または光学密度などの1個以上のパラメーターを読み取ることにより同定することができる。
【0160】
かくして、例えば、TRITC、DAPI(UV2)、GFP-B(全てNikon社製)およびCy5(Chroma Technology)などのフルオロフォアの可視化のためのフィルターセットを備えたNikon TE2000-S逆転落射蛍光顕微鏡を用いる顕微鏡測定により、タグを分析することができる。Evolution VF冷却モノクロカメラを用いて画像を捕捉し、Image Pro Plus(共にMedia Cybernetics社製)を用いて画像分析を実施することができる。
【0161】
典型的には、単一のミクロスフェアの輪郭を、顕微鏡法を用いて捕捉し、これらの中の面積を算出してタグのサイズを決定する。異なるチャンネル中の蛍光強度を用いて、公知のタグを含む参照サンプルとの比較により、各タグの同一性をさらに特定することができる。
【0162】
好適には、顕微鏡法を、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、斜照明顕微鏡、暗視野顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、反射コントラスト顕微鏡、バレルコントラスト顕微鏡、偏光顕微鏡、干渉顕微鏡および蛍光顕微鏡からなる群より選択する。
【0163】
一実施形態においては、顕微鏡法は明視野顕微鏡法である。
【0164】
必要に応じて、得られるデータを、決定すべきサンプル中の細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性を提供する、本明細書に記載のさらなる方法を用いて処理することができる。有利には、このプロセスを自動化することによって、大量のデータを迅速に処理することができる。
【0165】
有利には、このプロセスは、それぞれの型のタグの数を計数した後、一覧、グラフまたはチャートの形態でこのデータを出力するソフトウェアを用いる。
【0166】
有利には、このデータを、高効率分析のためにスプレッドシートに入力することができる。
【0167】
一態様においては、このデータを分析する方法は、タグの少なくとも1個のパラメーターの上限および下限と、該タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値とを比較する第1工程を含む。本発明の一実施形態においては、任意のパラメーターの上限および下限は、同じ種の複数の参照タグを分析することにより得られるか、または取得可能である。下限が平均測定値未満であり、上限が平均測定値より高い場合、前記方法は、タグの第2のパラメーターの上限および下限と、該タグの第2のパラメーターの平均測定値とを比較する。第2のパラメーターの下限がそのパラメーターの平均測定値よりも低く、第2のパラメーターの上限がそのパラメーターの平均測定値よりも高い場合、前記方法は、1個以上のさらなるパラメーターを対応するパラメーターの下限と比較する。
【0168】
任意の点で、任意のパラメーターの平均測定値がそのパラメーターについて決定された上限と下限の間にない場合、前記方法は、その平均測定値を、同じパラメーターの異なる限界を含む第2の範囲と比較する。
【0169】
一態様においては、タグの少なくとも1個のパラメーターの上限および下限と、該タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値とを比較する工程を含む、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性を決定するための方法が提供される。
【0170】
さらなる態様においては、(a)タグの少なくとも1個のパラメーターの上限および下限と、該タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値とを比較する工程;(b)該タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値と、該タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限とを比較する工程;ならびに(c)該タグの少なくとも1個のパラメーターの測定値と、細胞単位に結合したタグの同一性とを相関させる工程を含む、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性を決定する方法が提供される。
【0171】
一実施形態においては、下限が平均測定値未満であり、上限が平均測定値より高い場合、前記方法は、タグの第2のパラメーターの上限および下限と、該タグの第2のパラメーターの平均測定値とを比較する。例えば、第1のパラメーターはサイズであってよく、第2のパラメーターは蛍光の強度またはレベルであってよい。
【0172】
一実施形態においては、第2のパラメーターの下限がそのパラメーターの平均測定値より低く、第2のパラメーターの上限がそのパラメーターの平均測定値より高い場合、前記方法は、1個以上のさらなるパラメーターと、対応するパラメーターの下限とを比較する。
【0173】
一実施形態においては、下限が平均測定値より低くなく、平均測定値が上限より低くない場合、前記タグの同じパラメーターの少なくとも1つのさらなる整数の上限および下限を測定する。例えば、さらなる整数としては、限定されるものではないが、異なるサイズ、異なるフルオロフォアまたは異なる範囲の蛍光強度が挙げられる。従って、これらの整数の各々に関するパラメーターは、それぞれ、フルオロフォアのサイズ、型および蛍光の強度であろう。
【0174】
一実施形態においては、下限が平均測定値未満であり、平均測定値が上限未満である場合、タグの少なくとも1個のさらなるパラメーター、例えば、フルオロフォアのサイズ、型および/または該タグのフルオロフォアのレベルなどを測定する。
【0175】
一実施形態においては、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、該タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限より高い場合、その結果は、1個以上のパラメーターを有する1個以上のタグと相関する。
【0176】
一実施形態においては、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、該タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限以下である場合、その結果は、該パラメーターを有するタグと相関する。
【0177】
一実施形態においては、下限が平均測定値より低くなく、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限よりも低くない場合、タグの同じパラメーターの少なくとも1個のさらなる整数の上限および下限を測定する。
【0178】
一実施形態においては、前記方法を、前記タグの同じパラメーターの1個以上のさらなる整数について繰り返すことができる。別の実施形態においては、前記方法を、該タグの同じパラメーターの全ての整数についてさらに繰り返すことができる。
【0179】
一実施形態においては、下限が平均測定値未満であり、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限未満であり、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、該タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限よりも高い場合、その結果は、1個以上のパラメーターを有する1個以上のタグと相関する。
【0180】
一実施形態においては、下限が平均測定値未満であり、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限未満であり、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、該タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限以下である場合、その結果は、該パラメーターを有するタグと相関する。
【0181】
一実施形態においては、前記タグの少なくとも1個のパラメーターの測定値を、細胞単位と結合したタグの同一性と相関させることができない場合、前記方法は、例えば、最後の「いいえ」の決定が、関連する大きさのタグのフルオロフォア値を問い合わせ続けるように、フルオロフォアを連続的に試験するさらなる工程を含んでもよい。
【0182】
好適には、本明細書に記載の方法を、本明細書に記載の1種以上の複合体を用いて実施する。
【0183】
さらなる態様においては、(a)細胞単位を標識するのに用いられるタグの1個以上の画像を取得する工程;(b)該タグの1個以上の画像の輪郭を描写する工程;(c)該タグの1個以上の画像の輪郭をロードする工程;ならびに(d)該1個以上の輪郭内の面積および/または密度を読み取る工程を含む、タグの1個以上の面積および/または密度値を同定する方法が提供される。
【0184】
一実施形態においては、前記画像は、位相画像であってよい。
【0185】
細胞単位の同一性または細胞培養履歴の決定
既に上記された通り、多数の細胞単位を取り扱う場合、それらの同一性および/または細胞培養履歴(例えば、任意の一群もしくは単位が曝露され得る一連の培養条件の年代記および正確な性質)は混乱するようになり得る。例えば、細胞培養のスプリットプールプロトコルは必然的に、個々の単位の追跡を困難にする、各ラウンドにおける細胞単位の混合を含む。複数の培養条件にかけられた、細胞単位の混合物中の細胞単位の細胞培養履歴の決定を、細胞培養履歴の「デコンボリューション」と呼ぶこともある。
【0186】
細胞単位の混合物中の細胞単位の細胞培養履歴を決定する1つの方法は、細胞単位を標識することであり、従って、細胞単位を標識することが有利である。本明細書に記載のように、桿状粒子などのタグ、マイクロビーズおよび/またはミクロスフェアを、細胞に結合した微小担体などの微小担体にコンジュゲートさせた標識またはタグとして用いることができる。その後の検出および同定により、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性の記録が提供される。
【0187】
微小担体
様々な形状および大きさで、種々の材料から作られた様々な微小担体が利用可能である。
【0188】
例えば、前記微小担体は、Cytopore微小担体(例えば、Cytopore 1微小担体もしくはCytopore 2微小担体)、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択される多孔性微小担体であってよい。
【0189】
さらに例えば、前記微小担体は、Cytodex微小担体(例えば、Cytodex 1、Cytodex 2もしくはCytodex 3微小担体)、Biosilon微小担体、Bioglass微小担体、FACT III微小担体またはDE 52/53微小担体などの固体微小担体であってよい。
【0190】
微小担体培養は、培養のスケールアップなどの有意な利点を有し、細胞の単位を必要に応じて選択された培養条件に曝露して、所望の増殖および/または分化条件を取得することもできる。
【0191】
微小担体の表面を、所望の電荷もしくは他の所望の特徴を有する分子的実体の吸着もしくは共有架橋などの物理的または化学的処理によりさらに改変することができる。
【0192】
従って、幅広い実施形態においては、本発明は、本明細書に記載の微小担体複合体に付着させた細胞を増殖させることを含む、in vitroで細胞を培養する方法を提供する。
【0193】
一態様においては、微小担体と帯電した(例えば、負に帯電した)タグを含む複合体が提供される。換言すれば、帯電した(例えば、負に帯電した)ミクロスフェアとコンジュゲートされたか、またはそれで標識された微小担体が提供される。
【0194】
さらなる態様においては、微小担体および桿状タグが提供される。換言すれば、桿状タグとコンジュゲートされたか、またはそれで標識された微小担体が提供される。
【0195】
Cultispher微小担体
CultiSpherは、高い機械的および温度的安定性を有する高度に架橋したゼラチンマトリックスをもたらすプロセスを介して医薬等級の豚ゼラチンから製造されたものである。細胞培養物中で用いられる場合、細胞は、マトリックスの外部および内部表面の両方に付着することができる。マトリックスの内部で細胞に与えられるストレスからの保護と共に、マトリックスの表面積の増加は、細胞産生能力の増強をもたらす。この製品のさらなる利点は、マトリックスをタンパク質溶解酵素で分解し、ほとんど100%の生存能力を有する細胞の収穫を得ることができることである。
【0196】
一実施形態においては、前記微小担体は、Cultispher-G微小担体である。Cultispher-Gは、130〜380μmの粒子径、12〜18 ml/乾燥gの容量、20μmの平均孔径を有する1.04 g/mlの密度を有する。
【0197】
Cultispher-G微小担体を調製し、使用するために、特に、Biotech. Bioeng. (2000) 68, 1 p59-70; Brit. J. Cancer. Suppl. XXVII, S-78-S82 (1996);およびwww.percell.seの製造業者のウェブサイトを参照することができる。
【0198】
Cytopore 2微小担体
Cytopore微小担体は、GE Healthcare(以前はAmersham)(www.microcarriers.com)から入手可能である。Cytoporeは、100%セルロース製であり、細胞に対して非毒性的かつ生分解性である。それは、N,N'-ジエチルアミノエチル基に起因して正に帯電している。それは非常に正確な粒子径分布およびネットワーク構造を有し、表面積と粒子材料の比率は95:1を超える。このネットワーク構造により、染色された細胞が微小担体の内側で増殖する間、それらを密接に観察することができる。典型的な粒子直径は200〜280μmであり、有効表面積は1.1 m2/乾燥gである。相対密度は1.03 g/mlであり、孔の開口部の平均直径は30μmであり、容量は40 ml/乾燥gである。Cytopore微小担体を調製し、使用するために、特に、Applied Microbiology and Biotechnology (1997) 47, 4 p352-7; Cytotechnology (1999) 30 p143-147; Chinese Journal of Biotechnology (1999) 15, 4 p239-44およびActa Oto-Laryngologica (2002) 122, 5 p541-5を参照することができる。
【0199】
Cytopore 2を、約1.8 meq/gの電荷密度を要する足場依存性細胞のために最適化した。
【0200】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、豚ゼラチン微小担体である。
【0201】
いくつかの実施形態においては、前記微小担体は、100%セルロース製である。
【0202】
有利には、強い正の電荷を有する微小担体が、強い負の電荷を担持するタグと共に最適である。
【0203】
タグ
上記のように、タグを、標識または微小担体(細胞に結合した微小担体など)にコンジュゲートさせたタグとして用いることができる。その後の検出および同定により、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性の明白な記録が提供される。
【0204】
様々な分子または大分子タグを、それらを検出することができる限りは微小担体と組合わせて用いることができる。このタグは、典型的には、独特の形状であるか、またはマーキングならびに/または着色された化合物および/もしくは蛍光化合物で改変された対象物を含む。
【0205】
一実施形態においては、細胞単位を標識するのに用いられるタグは、以下の品質のうちの1つ以上(好ましくは、全部)を有する:
i. それらが標識する微小担体と比較して、それらの大きさが小さい、および/または多孔性微小担体の平均孔径よりも小さい;
ii. 結合が実験を通して持続するように、それらが微小担体との複合体を形成することができ、そのように結合したタグを、標識された細胞単位に影響を与えることなく該複合体から分離することができる;
iii. それらが、タグのユニークな品質を混乱させない条件下で複合体を形成した細胞単位から、それらを分離することができる;
iv. それらを、細胞単位の生物学に実質的に影響せず、同様に細胞単位またはその生物学により影響されない1種以上の不活性物質から作製する;
v. それらは、大量に、かつさらに好適な技術を用いて容易に識別可能である多くの関連するが、異なる変異体において取得可能である;
vi. それらを、便利な、高度に信頼可能であり、自動化することができる方法により識別する。
【0206】
一実施形態においては、前記タグは、蛍光および/または着色されたミクロスフェアなどのミクロスフェアである。
【0207】
乳液もしくは懸濁液のポリマー化、沈降などにより作製され、ポリスチレン、他のポリマー、コポリマー、テルポリマーおよび/もしくはシリカなどから構成される2000種を超える様々なミクロスフェアが、例えば、Duke Scientific Corporation (Palo Alto CA, USA)またはBangs Laboratories Inc. (Fishers IN, USA)から、様々な大きさ、密度、色などで入手可能である。
【0208】
一般的な型のミクロスフェアは、ポリスチレン(PS)およびスチレン/ジビニルベンゼンコポリマー(S/DVB)ミクロスフェアである。他のポリマーとしては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルトルエン(PVT)、スチレン/ブタジエン(S/B)コポリマー、スチレン/ビニルトルエン(S/VT)コポリマーが挙げられる。これらのミクロスフェアの多くを、例えば、CMLミクロスフェアにおいてはカルボキシル基により、またはアミノ官能化化合物もしくは窒素含有化合物、例えば、COOHビーズへの代替的カップリング反応を提供する、一次、二次、三次、および四次脂肪族アミン、芳香族アミン、ならびにピリジンなどにより官能化することができる。
【0209】
好適には、前記ミクロスフェアは、親水性ミクロスフェアである。より好適には、前記ミクロスフェアは、ポリスチレンミクロスフェアである。最も好適には、前記ミクロスフェアは、Duke Scientific Corporation (Palo Alto CA, USA)社製のカルボン酸改変(CML)ミクロスフェアなどの表面改変ミクロスフェアである。
【0210】
一実施形態においては、1種以上のCMLミクロスフェアを、1種以上のcytopore 2微小担体と一緒に複合体化する。
【0211】
CMLミクロスフェアは、コポリマー化プロセスから誘導されたカルボキシル基の高度に帯電した表面層を有する。この表面は、いくらか多孔性であり、比較的親水性であるが、全体的には疎水性を保持している。これらの粒子の電荷密度は、カルボキシル基あたり約10〜125 Å2-であり、それらは高濃度の電解質に対して安定である(最大で1Mの一価塩)。CMLラテックスはタンパク質および他の生体分子を吸着するが、疎水性ミクロスフェアよりもあまり強くないであろう。
【0212】
いくつかの実施形態においては、ミクロスフェアとタンパク質、例えば、ストレプトアビジンのコンジュゲートを調製する。
【0213】
例えば、CMLミクロスフェアとのコンジュゲートを、以下のように調製することができる。CMLミクロスフェアを、タンパク質上の一次アミンと反応するカルボキシル基を結合させる水溶性カルボジイミド試薬を用いて活性化することができる。pH 6.0の50 mM反応バッファーを調製する。酢酸ナトリウムまたは2-[N-モルホリノ]エタンスルホン酸(MES)が好適なバッファーである。タンパク質を、10 mg/mLの濃度で反応バッファー中に溶解する。ミクロスフェアの1%(w/v)懸濁液を、前記反応バッファー中で調製する。10容量のミクロスフェア懸濁液に対して1容量のタンパク質溶液を調製し、混合物を室温で20分間インキュベートする。脱イオン水中の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)の10 mg/mL(52μMol/mL)の溶液を調製し、すぐに用いる。ミクロスフェア懸濁液に対するEDAC溶液の計算された量を添加し、反応混合物のpHを、0.1N NaOHで6.5±0.2に調整する。この混合物を室温で2時間、ロッカーホイールまたは混合ホイール上でインキュベートする。未結合のタンパク質を除去し、保存バッファー中で保存する。
【0214】
有利には、CMLおよび他のミクロスフェアを、様々な色(例えば、青、赤、緑、黄、黒)、様々なフルオロフォア(例えば、フルオレセイン(緑)、フルオレセイン(赤)またはフルオレセインおよびローダミン(赤緑)ならびに様々な大きさ(例えば、5.4μm(1.14 x 1010ビーズ/グラム)、および7.6μm(4.10 x 109ビーズ/グラム))などの様々な形式で取得することができる。
【0215】
CMLおよび他のミクロスフェアを、それらが1種以上の可視性染料および/またはフルオロフォアと共にロードされるように調製することができる。
【0216】
一実施形態においては、ミクロスフェアなどのタグを、タンパク質でコーティングしない。
【0217】
有利には、タンパク質(例えば、ストレプトアビジン)でコーティングされていないCMLミクロスフェアは、高度に負に帯電しており、それらは高い正の電荷を担持するCytopore微小担体に極端にきつく付着する。バルク複合体を得るのに必要とされるCMLミクロスフェア:Cytopore微小担体の比は、約1:1の低さであってよい。本発明者らが用いた以前の系においては、複数回の洗浄後に各複合体中で結合したタグをわずかでも取得するためには、約1:250の比が必要であった。
【0218】
製造プロセスにおいて様々なパラメーターを変化させることにより、Bangs Laboratoryなどの商業的なミクロスフェア提供者は、異なる大きさに基づいて区別することができるビーズセット(例えば、4.4μmおよび5.5μm直径のビーズセット)を製造することができる。それぞれの大きさの群の中のビーズを、単一の蛍光染料を用いる示差的ローディングのため異なる蛍光強度に基づいて互いにさらに区別することができる。本明細書に記載のミクロスフェアに付着させることができる、異なる吸収特性または放出特性を有する多くの異なる染料を用いることができる。従って、タグの多様性は、様々なタグの大きさおよび/またはフルオロフォアローディング(すなわち、蛍光強度)および/またはフルオロフォア同一性/組合せから得られる。特に、タグの多様性は、それらが担持するフルオロフォアの型(例えば、ビーズをUV2もしくはStarfire Redと共にロードすることができる);大きさ(例えば、各フルオロフォアにつき、5つの異なるビーズサイズ:1.87、4.41、5.78、5.37および9.77ミクロンが存在する)ならびに/またはそれらが担持するフルオロフォアの量(5つの異なる強度の各染料が利用可能である)から生じ得る。TRITCなどの他のフルオロフォアを用いることもできる。
【0219】
次いで、フィルターを用いて、任意の所与のビーズ(例えば、Nikon社製TRITC可視化についてはTRITCフィルター(ex 540/25; dm 565; ba 605/55);Nikon社製UV2可視化についてはDAPIフィルター(ex 340-380; dm 400; ba 435-485);Nikon社製FITC可視化についてはGFP-Bフィルター(ex 460-500; dm 505; ba 510-560)およびStarfire Red可視化についてはCy5フィルターセット(Chroma Technology社製カタログ番号41008))上で少なくとも4種の異なる染料を検出することができる。
【0220】
可視性染料または蛍光染料を用いて、内部的または外部的にミクロスフェアを染色することができる。典型的には、染料またはフルオロフォアを含む溶液中にミクロスフェアを浸すことにより、染料をミクロスフェア集団中に組み入れる場合、内部的染色を行う。染料をミクロスフェアの表面にコンジュゲートさせる場合、外部的改変、例えば、本明細書に記載のイソチオシアン酸誘導体を用いるCMLミクロスフェアの改変を行う。
【0221】
従って、いくつかの実施形態においては、可視性染料または蛍光染料を用いて、内部的または外部的にミクロスフェアを染色することができる。
【0222】
さらに、「量子ドット」を用いて、都合よく読み取ることができる非常に多数の異なる蛍光標識を取得することができる。かくして、本発明のさらなる実施形態においては、フルオロフォアの代わりに量子ドットを用いる。特定の実施形態においては、量子ドットは光に曝露された場合でも弱まる(光漂白)ことがないため、それらが好ましい。例えば、フルオロフォアFITCは光漂白することが知られており、理想的には、FITCを含むタグで処理した細胞単位は、暗室中で取り扱われ、信頼できるほど分析することが困難である。タグのローディングさえもたらすポリスチレンをポリマー化する時点で、量子ドットをミクロスフェア中に組み入れることができる。量子ドットは、多くの色で利用可能であり、カラーCCDカメラを用いることにより、フィルターを用いることなく複数の色の可視化を可能にするのと同じ波長で励起することができる。量子ドットに関するさらなる背景情報は、米国特許第6,322,901号、第6,576,291号、第2003/0017264号、第6,423,551号、第6,251,303号、第6,319,426号、第6,426,513号、第6,444,143号、第2002/0045045号、第5,990,479号、第6,207,392号、第6,251,303号、第6,319,426号、第6,426,513号、第6,444,143号から入手可能である。
【0223】
有利には、例えば、化学的もしくは他の改変によるか、またはカプセル封入により、細胞培養物の成分による分解に対してタグを保護する。タグのカプセル封入を、多くの異なる媒体、例えば、本明細書で既に記載されたビーズ(Bangs Laboratories Inc.(Fishers IN, USA)など)中で行うことができ、カプセル封入を用いて、タグの増幅および/または検出の成分を提供すること(例えば、DNAタグと共に用いるためのPCRプライマーを提供することにより)に加えて、タグ用量を標準化することができる。
【0224】
タグの検出を、当業者に知られた様々な方法により達成することができる。この方法としては、質量分析、核磁気共鳴、配列決定、ハイブリダイゼーション、抗原検出、電気泳動、分光分析、顕微鏡分析、画像分析、蛍光検出などが挙げられる。いくつかの実施形態においては、前記タグは典型的には色またはフルオロフォアを含むため、顕微鏡分析、画像分析および/または蛍光検出を用いる。
【0225】
前記タグは、最初の例において、その化学的または分子的構造により必ずしも区別される必要はない。非化学的タグ付け戦略の複数のバリエーションを考案して、混合物中の所与の細胞単位を決定するか、または混合物を含む様々な細胞単位の同一性を推定することができる。例えば、異なる形状の対象物、図式的にコードされた対象物または異なる色がサンプルの同一性を意味する場合、タグ付けの光学的または可視的方法が記載されている(例えば、1998, Guilesら、Angew. Chem. Intl Ed Engl, vol. 37, p926; Luminex Corp, Austin TX, USA; BD Biosciences; Memobead Technologies, Ghent, Belgiumを参照)。
【0226】
好適には、前記タグは帯電したタグ(例えば、負に帯電したタグ)であってよい。従って、さらなる態様においては、微小担体、例えば多孔性微小担体と、帯電したタグとを含む複合体が提供される。
【0227】
典型的には、前記微小担体は正味の電荷を有する。それは、タンパク質、セルロース、ポリエチレン、ポリスチロール、ガラス、コラーゲン、コラーゲン-グルコース-アミノグリカンおよび/またはゼラチンを含み、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。従って、前記微小担体を、Cytopore微小担体、Cytopore 1微小担体、Cytopore 2微小担体、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択することができる。
【0228】
好適には、帯電したタグは、球体、例えば、約9μM以下の直径であるミクロスフェアである。このミクロスフェアは、カルボン酸改変(CML)ミクロスフェアであってよい。
【0229】
さらなる実施形態においては、前記タグは桿状粒子である。好適には、桿状タグはナノワイヤーである。ナノワイヤーは、アルミニウムなどの様々な金属を含み、それからなるか、または本質的にはそれからなる。ナノワイヤーを、様々な金属、例えば、銀および/または金でコーティングすることができる。好適には、ナノワイヤーは直径約1μM以下であり、および/または長さ約10μM以下である。
【0230】
前記ナノワイヤーは、Science vol. 294, p. 137-141 (2001)に記載されたナノワイヤーであってもよい。従って、さらなる態様においては、微小担体とナノワイヤーとを含む複合体が提供される。簡単に述べると、ナノワイヤーは、マイクロメーター以下のストライプで本質的にコードされた多金属のマイクロロッドである。複合体のパターンを、均一の大きさの孔を有する鋳型上での金属イオンの連続的な電気化学的蓄積により作製することができる。有利には、ナノワイヤーは、各スプリット後に添加することができるタグとして用いるのに十分小さい。これは、陽性の微小担体においてのみタグを読み取ることが必要であるので、より都合がよい。
【0231】
ナノワイヤーなどの桿状粒子のパラメーターとしては、限定されるものではないが、大きさ、光学的特性および/または金属組成が挙げられる。一実施形態においては、この光学的特性は、特定の波長の光反射率などの光反射率、色、蛍光放出波長および蛍光放出強度からなる群より選択される。
【0232】
いくつかの実施形態においては、ナノワイヤーなどの桿状粒子を、外部的に染色する。
【0233】
桿状タグと一緒に用いられる微小担体は、電荷中性の微小担体などの多孔性微小担体であってよい。
【0234】
前記微小担体は、タンパク質、セルロース、ポリエチレン、ポリスチロール、ガラス、コラーゲン、コラーゲン-グルコース-アミノグリカンおよび/またはゼラチンを含み、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。前記微小担体を、Cytopore微小担体、Cytopore 1微小担体、Cytopore 2微小担体、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択することができる。
【0235】
一実施形態においては、桿状微小担体と一緒に用いられる微小担体は、Cultispher微小担体、例えば、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体またはCultispher-S微小担体である。一実施形態においては、桿状微小担体と一緒に用いられる微小担体は、Cultispher-G微小担体である。
【0236】
有利には、桿状タグおよび電荷中性多孔性微小担体の使用は、同じ微小担体上の球状タグの使用よりも良好であることが見出された。特定の理論により束縛されることを望むものではないが、より小さいタグは微小担体の孔を良好に貫通し、渋滞するようになる(おそらく、大きさの非対称性に起因する)と考えられる。従って、ナノワイヤーの結合は、例えば、ミクロスフェアタグの結合よりも良好であり、高レベルの永続的なタグ付けをもたらす。
【0237】
別の実施形態においては、1種以上のポリスチレンマイクロビーズを、1種以上のCultispher-G微小担体と一緒に複合体化する。
【0238】
いくつかの実施形態については、前記タグはDNAタグではない。
【0239】
いくつかの実施形態においては、前記タグは外部的に染色されたタグである。
【0240】
幹細胞
幹細胞は、Stem Cells: Scientific Progress and Future Research Directions. Department of Health and Human Services. June 2001に詳細に記載されている。http://www.nih.gov/news/stemcell/scireport.htmを参照。この報告の内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0241】
幹細胞を構成するものについては依然としてかなりの議論があるが、この考察の目的については、重要な特徴は異なる細胞型に分化する能力である。幹細胞の例を、以下に与える。
【0242】
幹細胞の指向性分化を誘導するのに用いられた種々の因子としては、レチノイン酸、表皮増殖因子(EGF)、骨形態形成タンパク質(BMP)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、アクチビン-A、トランスフォーミング増殖因子β-1(TGFβ-1)、肝細胞増殖因子、神経増殖因子、ソニックヘッジホッグ(SHH)、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-6(IL-6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、エリスロポエチン、ビタミンD3、デキサメタゾン、β-メルカプトエタノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、5-アザシチジン、DMSO、インスリン、胸腺ホルモン(T3)、LIF、ウシ胎仔血清、血管内皮増殖因子(VEGF)、スチール因子、酸素濃度の変動、アスコルビン酸、β-グリセロリン酸、ニコチンアミド、血小板由来増殖因子(PDGF)、cAMP、種々の細胞接着分子および基質などが挙げられる。これらの規定の因子に加えて、条件化培地、ヒトおよび動物組織のホモジェネート、または植物抽出物などの非規定の抽出物を用いて、幹細胞分化を指令することができるようである。これらの非規定の抽出物の進行的分画により、活性な画分または高い効力を有する純粋な成分でさえ得られる。これらの因子を、特定の実験において用いられる増殖培地に、単独で、もしくは組合わせて、または実験結果にとって重大である定義された順序で添加することができる。
【0243】
細胞単位の形成
細胞群(細胞コロニー)を、様々な条件下で細胞培養物中で増殖させることができ、このコロニーは、阻害された場合、および他のコロニーと混合した場合、様々な条件下でその完全性を主に維持することができる。そのような群またはコロニーを、以下細胞単位と呼ぶ。細胞単位の形成を、例えば、担体などの固体基質上での付着培養物として細胞を増殖させることにより達成することができる。細胞増殖が担体上に播種した後に起こる場合、娘細胞は同じ担体上に付着し、同じコロニーの一部を形成するであろう。一般的には、生きた接着細胞はその増殖基質から容易に解離せず、細胞コロニーの完全性は、担体の任意の機械的操作、培養培地の攪拌、または別の組織培養系への導入にも拘らず持続する。同様に、任意の時点で、複数の担体をいくつかの容器に入れる(例えば、ビーズをプールする)場合、1個のビーズから別のビーズへの細胞の実質的な導入は存在しないであろう。
【0244】
固体基質上で細胞単位を形成する重要な利点は、基質、および従って結合の理由により付着した細胞を、以下に記載のように標識することができることである。
【0245】
細胞をより小さい担体上で増殖させる場合、それらを懸濁培養物として処理することができる。小さい担体上で細胞を増殖させる一般的な方法を、微小担体細胞培養と呼ぶ(Amersham Biosciences (18-1140-62)社から入手可能な「微小担体細胞培養、原理および方法(Microcarrier cell culture, Principles and Methods)」、Edition AA;参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)。微小担体培養は、最大4000リットルの発酵装置中での抗体およびインターフェロン産生のために商業的に用いられている。
【0246】
担体の物理的特性がよく知られているように、実験において用いられる担体の数を算出することは容易である。この担体は、正確に量り、続いて、液体培地中で膨らませることにより調製することができる、乾燥生成物として入手可能であってよい。さらに、微小担体培養物に接種するのに用いられる細胞数を算出し、検証することができる。
【0247】
本明細書に記載の微小担体上で増殖させた細胞の収穫、または微小担体からの標識の分離を、細胞の酵素的分離、および/または本明細書に記載のように適用可能な場合、担体の消化により達成することができる。
【0248】
標識された細胞単位からのタグの分離
さらなる態様においては、本発明は、細胞単位(例えば、微小担体と複合体化させた細胞単位)からのタグの分離のための改良された方法を提供する。
【0249】
有利には、タグを本明細書に記載の方法に従って分離する場合、それぞれのタグのユニークなパラメーターを正確に測定することができるように、無傷の状態でそれらを取得する。
【0250】
有利には、顕微鏡分析などの光学的方法により分析するためにタグを分離する場合、それらを都合よく画像化する(例えば、ただ1つか、または2つの画像視野を用いる)ことができるように、互いに近接してそれらをさらに取得する。
【0251】
一態様においては、タンパク質を含み、それからなるか、または本質的にそれからなる微小担体とタグとを含む複合体をプロテアーゼと接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法が提供される。
【0252】
好適には、前記微小担体は、コラーゲンおよび/またはゼラチン、例えば、Cultispher微小担体(例えば、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体)などを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0253】
このプロテアーゼは、プロテイナーゼK、トリプシン、サーモリシンおよび/またはカスパーゼであってよい。
【0254】
プロテアーゼがプロテイナーゼKである場合、いくつかの実施形態においては、約0.5U/ml以上の量で用いる。好適には、前記複合体を、少なくとも約20〜60分間、プロテイナーゼKと接触させる。好適には、前記複合体を、約5μl以下の容量でプロテアーゼと接触させる。
【0255】
さらなる態様においては、多孔性微小担体などの微小担体と、タグとを含む複合体を、酸と接触させる工程を含む、該複合体を分離するための方法が提供される。
【0256】
好適には、前記微小担体は、正味の電荷を有し、セルロースを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる。かくして、例えば、前記微小担体は、Cytopore 2微小担体などのCytopore微小担体であってよい。
【0257】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、ポリスチレンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、ミクロスフェアなどの球体である。
【0258】
いくつかの実施形態においては、前記タグは、ナノワイヤーなどの桿状粒子である。
【0259】
トリプシン-EDTA、セルラーゼ、プロテイナーゼK、および塩化ナトリウム(例えば、5M塩化ナトリウム)などの他の試薬に加えて、酸(例えば、塩酸および/もしくは硫酸)または次亜塩素酸ナトリウムおよび/または水酸化ナトリウムなどの様々な試薬を、微小担体からのタグの分離のために用いることができる。
【0260】
いくつかの実施形態においては、前記試薬は塩酸、好ましくは、37%塩酸(約12 M)である。
【0261】
いくつかの実施形態においては、前記試薬は、次亜塩素酸ナトリウムである。
【0262】
いくつかの実施形態においては、前記試薬は、プロテアーゼである。
【0263】
いくつかの実施形態においては、前記試薬は、プロテイナーゼKである。
【0264】
好適には、1種以上の微小担体の消化を、ガラス製顕微鏡スライドなどの光学的に透明な表面上で行う。これにより、in situでの都合のよい画像化が可能になり、材料が失われないため、有利である。
【0265】
好適には、この表面を、例えば、シリコン化(シラン化)剤を用いて、微小担体を含む液体の拡散を防止するために処理する。
【0266】
好適には、消化しようとする微小担体を、蒸留水中で洗浄して、微量の培地および/または塩を除去し、最少量の液体中で該表面に適用する。
【0267】
好適には、前記表面を加熱して、微小担体の完全な脱水を達成し、タグを表面に付着させ、かくして、分散を防止する。
【0268】
最少量、好ましくは、5μl未満、およびより好ましくは、2μl未満での微小担体消化を実行するために、消化を加湿した箱の中で実施する。
【0269】
いくつかの実施形態においては、前記消化を、1種以上のプロテアーゼを用いて達成する。典型的には、プロテアーゼ溶液を、乾燥した微小担体上に直接分散させ、加湿した箱の中に入れる。微小担体が解離したら(典型的には、30〜60分間)、スライドを加湿した箱から取り出し、完全な消化をチェックする。プロテアーゼ溶液を蒸発させ、タグの分析を可能にするために、スライド上での放出されたタグの完全な染色を提供する。
【0270】
いくつかの実施形態においては、1種以上の微小担体の消化を、Eppendorf社により製造されたものなどのマイクロ遠心管またはPCRチューブ中で実行する。このチューブの内部を処理して、一度タグが微小担体から分離したら、タグがそれに付着するのを防止することができる。
【0271】
いくつかの実施形態においては、前記チューブを、正確な温度制御を可能にするPCR装置に入れる。
【0272】
いくつかの実施形態においては、PCR装置は加熱されたフタを操作し、最少容量の液体の使用を可能にする。
【0273】
好適には、1種以上のタグが細胞単位およびタグから分離されたら、1つ以上のタグの画像を取得することができる(例えば、顕微鏡技術を用いる)。次いで、この画像を分析して、タグの1つ以上の特徴を決定することができる。
【0274】
さらなる態様においては、(a)細胞単位およびタグを分離する工程;(b)タグの1つ以上の画像を取得する工程(例えば、顕微鏡技術を用いることにより);ならびに(c)画像を分析して、タグの1つ以上の特徴を決定する工程を含む、1つ以上の細胞単位から取得されるか、または取得可能な1種以上のタグを同定する方法も提供される。好適には、前記タグの1つ以上の特徴を用いて、タグを誘導したか、または取得した細胞単位の細胞培養履歴を決定することができる。
【0275】
細胞のコンビナトリアル連続培養
スプリット-プール細胞培養
細胞単位(特に、顕微鏡的細胞単位)の形成は、各細胞単位が、様々な細胞培養条件に曝露することができる容易に取り扱われる単位を構成するので、複数の組織培養条件のサンプリングにとってさらに有用である。本発明に従えば、典型的には、細胞群を、微小担体培養物中で細胞を増殖させることにより作製するが、用語「細胞単位」、「細胞群」、「コロニー」および「ビーズ」は互換的に用いられる。多数の細胞培養条件をサンプリングするための特に効率的な方法を、コンビナトリアル細胞培養またはスプリットプール細胞培養と呼び、一実施形態においては、細胞培養条件の複数の組合せをサンプリングするための細胞単位群の連続的再分割および混合を含む。本発明の一態様においては、前記方法は、異なる培養条件下で別々に増殖させた複数のビーズ(群/コロニー/担体)をそれぞれ含むX1個のアリコートに分割された細胞単位の最初の出発培養物(または異なる出発培養物)を取得することにより行う。所与の時間、細胞培養を行った後、種々のアリコートから得られたビーズを合わせ、混合することにより、細胞単位をプールすることができる。このプールを、それぞれ一定時間、異なる条件下で培養したX2個のアリコートに再度分割した後、またプールすることができる。細胞単位を分割、培養およびプール(またはプール、分割および培養;どこからこのサイクルに入るかに依存する)するこの反復手順により、細胞培養条件の多くの異なる組合せの体系的サンプリングが可能になる。実験の複雑性、または換言すれば、試験した細胞培養条件の様々な組合せの数は、各ラウンドでサンプリングされた様々な条件の数(X1 x X2 x...Xn)の産物に等しい。その後の分割の前に全ての細胞単位をプールする工程は任意であり、限定数の細胞単位をプールする工程が同じ効果を有し得ることに留意されたい。従って、本発明は、細胞単位群をバルクで取り扱う細胞培養条件の複数の組合せを体系的にサンプリングするいくつかの関連する方法に関する。
【0276】
細胞培養条件の多様性をこの手段によりサンプリングする正確な様式にも拘らず、複数の細胞単位が単一の容器を共有し、同一の条件下でそれらを培養することができ、任意の一時点でほんの数個の培養容器を用いてそれを行うことができる(使用する培養容器の数は分割サンプルの数に等しい)ため、前記手順は効率的である。多くの点で、この手順の原理は、化学的成分基間の連結の全ての可能な組合せをサンプリングする、大きい化合物ライブラリー(コンビナトリアル化学として知られる)の分割合成のものと類似している(例えば、Combinatorial Chemistry, Oxford University Press (2000), Hicham Fenniri (編))。スプリット-プール細胞培養を任意の回数繰り返して、任意の数の条件を各ラウンドでサンプリングすることができる。細胞単位(またはこの例においてはコロニー化されたビーズ)の数が、全てのラウンドに渡ってサンプリングした異なる条件の数よりも大きいか、またはそれに等しい限り、かつ細胞単位の分割が総合的に無作為に行われると仮定すれば、実験によりサンプリングされた培養条件の様々な組合せの各々に従って培養された少なくとも1つの細胞単位が存在することが期待される。この手順を用いて、任意の細胞型の増殖もしくは分化条件、または任意の細胞型による生物分子産生(例えば、エリスロポエチンもしくはインターフェロンの産生)の効率をサンプリングすることができる。前記手順は反復的であるため、多段階の組織培養プロトコル、例えば、幹細胞分化と関連して上記されたものを試験するのに理想的に好適である。この技術を用いてサンプリングすることができる変数としては、細胞型、細胞のグループ化(例えば、微小担体培養、細胞封入、全生物)、増殖基質(例えば、微小担体上のフィブロネクチン)、細胞培養ラウンドの期間、温度、様々な培養培地(異なる濃度の構成要素など)、増殖因子、条件化培地、種々の細胞型(例えば、支持細胞)との同時培養、動物もしくは植物の抽出物、薬剤、他の合成化合物、ウイルス(トランスジェニックウイルスなど)による感染、トランスジーンの付加、アンチセンスもしくは抗遺伝子分子(例えば、RNAi、三重らせん)の付加、感覚入力(生物の場合)、電気、光、またはレドックス刺激などが挙げられる。
【0277】
スプリット-スプリット細胞培養
細胞単位に対してスプリット-プールプロセスを実施する目的は、予め定義された組合せの条件に対してこれらを体系的に曝露することである。当業者であれば、この結果を達成する多くの異なる手段に想到するであろう。スプリット-プールプロセスおよびその変形に加えて、スプリット-スプリットプロセスについて手短に考察することは価値あることである。スプリット-スプリットプロセスは、細胞単位のプールを介入させることなく、少なくとも2回、細胞単位群を再分割することを含む。スプリット-スプリットプロセスを多数回のラウンドに渡って用いる場合、生成された別々のサンプルの数は指数関数的に増加する。この場合、いくつかのレベルの自動化、例えば、ロボットプラットフォームおよび精巧なサンプル追跡系を使用することが重要である。スプリット-スプリット工程の利点は、(細胞単位を混合しないため)その細胞培養履歴に基づいて種々の細胞単位の系列を分離することができることである。結果として、スプリット-スプリット工程を用いて、特定の細胞培養条件が任意の所与の細胞プロセスを担うかどうかを推定し、従って、細胞単位の培養履歴を推定するのに用いることができる。
【0278】
所定のプロトコル
細胞単位の分割および/またはプールを、総合的に無作為に達成するか、または所定のプロトコルに従って行うことができる。細胞単位を無作為に分割および/またはプールする場合、任意の群への所与の細胞単位の分離は、いかなる意味でも所定のものではないか、または損害をもたらすものではない。少なくとも1個の細胞単位が細胞培養条件の可能な組合せの各々に曝露されたことを高確率で得るためには、試験する細胞培養条件の組合せの合計数よりも多い数の細胞単位を用いることが有利である。従って、特定の環境下で、所定のプロトコルに従って細胞単位を分割および/またはプールすることが有利であり、全体の効果は、組合せの偶発的な重複または脱落を防止することである。細胞単位の所定の取り扱いを、必要に応じて前もって計画し、スプレッドシートまたはコンピュータープログラム上に記録し、自動化されたプロトコル、例えば、ロボットを用いて、分割および/またはプール操作を実行することができる。細胞単位の標識(以下を参照)は、いくつかの手段のうちのいずれか、例えば、RFIDによる標識、光学的タグ付けまたは空間的符号化であってよい。所定のプロトコルに従って、サンプルの同一性を決定し、従って、該サンプルを分割することができるロボット装置が記載されている(「コンビナトリアル化学、実務的手法(Combinatorial Chemistry, A practical Approach)」、Oxford University Press (2000)、H. Fenniri(編))。あるいは、標準的な実験室における液体の取り扱いおよび/または組織培養ロボット(例えば、Beckman Coulter Inc, Fullerton, CA; The Automation Partnership, Royston, UKにより製造されたものなど)は、複数のサンプルの同一性を空間的に符号化し、予めプログラムされたプロトコルに従って、これらを添加、除去または移し変えることができる。
【0279】
細胞単位の分析および/または分離
細胞培養の各ラウンドの後、または規定数のラウンドの後、細胞単位を研究して、組織培養条件により影響を受けた任意の所与の細胞プロセスを観察することができる。
【0280】
ここで、本発明を、実施例によりさらに説明するが、本発明の実行において当業者を補助するのに役立つことを意味し、いかなる意味でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0281】
実施例1
Cultispher-G微小担体のビオチンコンジュゲーション
Bangs lab社製蛍光ミクロスフェア(タグ)を、ストレプトアビジンによりコーティングし、そして、Cultispher-G微小担体(CSG)を、スプリット-プール実験の過程の間に2つの結合を容易にするためにビオチン化する。CSGを乾燥させて供給し、過剰の滅菌したPBS中で一晩(製造業者の説明書に従う)水和させ、オートクレーブする。次いで、それらを滅菌したPBS中で数回洗浄する。
【0282】
実施例2
ビオチン化試薬:
ビオチン化試薬、ビオチンアミドヘキサノイル-6-アミノ-ヘキサン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma B3295 10 mg)を用いる。10 mgの該試薬を、400μlのジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解し、5 mlの固定量の水和したCSG(50 mlチューブ中の5 mlの固定容量)に添加し、緩やかにピペッティングすることにより、よく混合する(0.1% v/vのBSA/PBSを、ピペットチップの内側表面へのCSGの粘着を事前に防止するために該チップ中に上下にピペッティングする)。
【0283】
このビオチン化試薬を、室温で一晩、CSGと共にインキュベートさせた後、滅菌PBS中で数回洗浄して、過剰のビオチン化試薬を除去する(洗浄を、50 mlチューブ中で実施し、CSGを、洗浄と減圧による注意深い吸引の間に固定させる)。
【0284】
ここで、ビオチン化CSGは、実験における使用のための準備が整う。これらを、既知量のPBS中、滅菌条件下で保存し、混合した懸濁液中の濃度を、この容量に基づいて算出し、乾燥質量のCSGを最初にチューブに添加する(典型的には、本発明者らは100μl中に2000のCSGを有する)。
【0285】
実施例3
ウェルおよびカラム中でのタグ付け方法
ES細胞を用いてCSGを播種した後、蛍光タグを添加して、スプリット-プールマトリックス中のそれぞれの段階をタグ付けする。ストレプトアビジンによりコーティングされたタグを用いてビオチン化CSGをタグ付けするために、以下の方法を用いる。
【0286】
この実験を、5 x 5ウェル(10 cm x 10 cm)の細胞培養皿(従って、各ウェルは2 cm x 2 cmの寸法である)中で行う。典型的には、1個のウェルは、7000個のCSG/ES細胞複合体を含むであろう。
【0287】
蛍光タグを、既知の濃度のタグ/CSGでウェルに添加する。混合物を緩やかにピペッティングして混合し(粘着を防止するために0.1%BSA/PBS処理されたチップを用いる)、次いで、全部の5 x 5皿を上下に動かし、CSGおよびタグの密接な接触を容易にする。
【0288】
この皿を約1時間、37℃のインキュベーター中に入れた後、スプリット-プール実験の次の段階まで平らに置く。
【0289】
実施例4
洗浄方法および篩
同じ処理を受けたウェルの内容物を、一緒に緩やかにプールし、70μmの篩を通して洗浄する。CSGは70μmより大きく、篩に捕捉される(図2を参照)。最少量のPBS(典型的には、5 ml)を篩を通して洗浄して、未結合の蛍光タグを除去した後、篩を反転させ、3 ml未満の基本培地を洗浄して、CSG/タグ複合体を回収する。
【0290】
異なる培養条件を含む全てのウェルの内容物を別々に洗浄した後、一緒にプールし、その後、培養条件の次のラウンドのために分割する。
【0291】
実施例5
CSGおよびCytopore 2の消化
以下の方法を用いてビーズを消化した後、Cytopore 2またはCSG上に付着した蛍光Bangsタグまたは非蛍光Dukeタグ(図1に示される)を分析する。
【0292】
(a)CSG
ガラス底の384ウェルのマイクロタイタープレートのウェル中での2U/mlプロテイナーゼK(Sigma P4850)中の個々のCSGビーズのインキュベーションは、CSGビーズの完全な消化をもたらすが、ポリスチレン、蛍光タグを無傷のままにする。典型的には、完全な消化は、20分以内に完了し、次いで、蛍光タグはプロテイナーゼK溶液中に無期限に残存するが、プロテイナーゼKを不活性化させず、タグまたはその蛍光に対する有害な作用を示さない(図3を参照)。
【0293】
(b)Cytopore 2
37%HCl(約12M)中でのcytopore 2微小担体(セルロース製)のインキュベーションは、90分以内に微小担体の完全な消化をもたらすが、付着した着色したDukeタグを無傷のままにする。CSGと同様、該タグは消化培地中で無期限に残存するが、不活性化せず、該タグに対して有害な作用を示さない(図4を参照)。
【0294】
実施例6
フローチャート
UV2(およびローダミン)ならびにStarfire Red(およびフルオレセイン)蛍光について同時にタグを試験するスプレッドシートを調製し、すなわち、図5に示されるフローチャートを、蛍光4で置換した蛍光1、および蛍光2で置換した蛍光3に対する全ての参照と同時に複製する。この系については、2および4ページからの最後の「いいえ」の決定は、「応答なし」に行くであろう。
【0295】
この系は、タグを未同定のままにするか、または2つの同一性を与え得る。後者は、低い蛍光を発するタグがUV2およびStarfireの両方について陽性であると同定されるように、最も低い強度のタグに関する閾値が不正確に設定される場合に起こり得る。二重応答の別の例は、2つの緊密に結合したタグが、Radius Ratio設定の不十分な緊密性に起因して、「アウトライン」マクロによって1であるとして同定される場合である。さらなるIF/ANDおよびCOUNT機能を用いて、そのような二重応答および応答なしを警告した。
【0296】
代替的なフローチャートは、2および4ページからの最後の「いいえ」の決定が、図6に記載された関連する大きさのタグに関するStarfire Red値を問い合わせに行くように、蛍光1および4を連続的に試験することができる。この系はまた、タグの大きさおよび/または蛍光が規定の範囲にない場合、該タグを未同定のままにし得る。このフローチャートには二重応答は存在しないであろうが、これは上記のような低い強度のタグまたはダブレットを誤同定する危険にある。
【0297】
実施例7
コンビナトリアル細胞培養を用いるES細胞分化および標識方法を用いる結果の解析
コンビナトリアル細胞培養においては、顕微鏡ビーズ上で増殖させたES細胞コロニーを、付随する標識により付随される無作為のスプリット-プール方法を用いる増殖条件の複数の組合せを介してシャッフルする。プロセスの終わりに、分化した子孫を担持する任意のビーズを同定および単離し、結合したタグを分析して細胞培養履歴を推定する。
【0298】
このプロセスの一例を、モデル系としてマウスES細胞の造血分化を用いて説明する。造血に対する発達の道程は比較的よく図示されており、文献に報告された指向的分化が、扱いにくく、規定されておらず、また本発明者らが新しい技術の実験的な力を用いて排除しようと求めた材料および方法(胚様体;半固体培養培地;動物血清を用いる補給)を用いるにも拘らず、細胞の運命に影響する組換え増殖因子の多くが公知かつ容易に入手可能である。
【0299】
特に、本発明者らは、マウスES細胞を単球-マクロファージ(単核食細胞)系列に分化するように設定した(Gordon S. & Taylor P.R., Nature Rev. Immunol. 2005 5: 953-964)が、これがin vitroで起こることが報告されており、蛍光抗原の食作用に基づいて、これらの細胞に関する単純な機能的スクリーニングを実行することが可能であるからである。
【0300】
材料および方法
試薬
マウス幹細胞因子(SCF) (R&D Systems, 455-MC)
マウストロンボポエチン(TPO) (R&D Systems, 488-TO)
ヒトエリスロポエチン(EPO) (R&D Systems, 287-TC)
ヒトインターロイキン6 (IL-6) (R&D Systems, 206-IL)
ヒトトランスフォーミング増殖因子1 (TGF1) (R&D Systems, 240-B)
マウスマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF) (R&D Systems, 416-ML)
マウスインターロイキン3 (IL-3) (R&D Systems, 403-ML)
ヒト骨形態形成タンパク質2 (BMP2) (R&D Systems, 355-BM)
ヒト線維芽細胞増殖因子(bFGF) (R&D Systems, 233-FB)
レチノイン酸(Sigma, R2625)
ウシインスリン(Ins) (Sigma, I0516)
インスリン/トランスフェリン/セレニウム補給物(ITS) (Sigma, I3146)。
【0301】
微小培養
CutiSpher-G微小担体(Percell Biolytica AB)を、製造業者の推奨に従って水和および滅菌した。0.4 mlのN,N-ジメチルホルムアミド(Sigma)中に溶解した10 mgのビオチンアミドヘキサノイル-6-アミノ-ヘキサン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma)を、3 x 105個の微小担体を含む5 mlのCa2+/Mg2+非含有PBS(CMF-PBS)に添加し、室温で一晩インキュベートした後、過剰のPBSを用いて5回洗浄することにより、ビオチン化を行った。
【0302】
15%ノックアウト血清置換(KOSR)、1%非必須アミノ酸(NEAA)、1%Glutamax、0.5%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.1 mM β-メルカプトエタノール(β-ME;Sigma)および1000U/ml白血病阻害因子(LIF;Chemicon)(特に指摘しない限り、全てInvitrogen社製)を含むKO-DMEM中、ゼラチンコーティングされたプラスチック上で、D3 ES細胞(ATTC番号CRL-1934)を増殖させた。
【0303】
実験の1日目の前日に、培地A(IMDM(Gibco)、15%KOSR、1%NEAA、0.5%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.1 mM β-ME、1000U/mlのLIFおよび1.5 x 10-4Mの1-チオグリセロール(MTG;Sigma))中で平衡化させた約1.4 x 105個のビオチン化された微小担体を、3 x 107個のES細胞を含む100 mlの培地Aに添加し、100 mm平方のペトリ皿(25ウェル;Bibby Sterilin)のウェル中に等量ずつアリコートし、一晩インキュベートした。
【0304】
播種した微小担体のアリコート(約100個のビーズ)を、室温で10分間、4%パラホルムアルデヒド(Sigma)中で固定し、PBS中で洗浄および再懸濁し、製造業者の説明書に従って、Vector Blue Alkaline Phosphatase Substrate Kit III (Vector Laboratories)を用いて染色した。
【0305】
コンビナトリアル細胞培養
播種した微小担体を70μmのナイロン製細胞ストレーナー(Falcon)中に移し、15 mlのPBSで洗浄した後、過剰の培地B(1.5 x 10-4M MTGを含むStemline(商標)Haematopoietic Expansion Medium(Sigma)中に移した。1、4、6、8および10日目に、微小担体を、実験計画により必要とされるように等量に分割し、各ウェルに、関連する化合物および/または増殖因子、ならびに1 x 106個のストレプトアビジンによりコーティングされたミクロスフェアタグを含む4 mlの培地B中に約5000個のビーズがロードされるように、各サンプルを100 mmの、25ウェルのペトリ皿のウェル中でインキュベートした。微小担体をタグ付けしない場合、10日目にスプリットオンを行う以外は各スプリット-プールサイクルにつきこの手順を行った。10日目の後、タグ付けを必要としないため、微小担体を別々に処理した(すなわち、プールしなかった)。
【0306】
実験の13日目に、1 mgのマクロファージアッセイ試薬DQ-オブアルブミン(Molecular Probes)を0.4 mlのPBS中で作製し、1:100の希釈率で各サンプルに添加した。少なくとも4時間インキュベートした後、培地を吸引し、PBSで置換した。FITCフィルターセットを用いてNikon TE2000-S逆転落射蛍光顕微鏡上でサンプルを試験して、グリーン蛍光で内部的に標識された、大きく丸い細胞を担持する微小担体を同定した。
【0307】
陽性の微小担体を、PBS中のプロテイナーゼK(2U/ml;Sigma)の溶液を含む384ウェルのガラス底アッセイプレート(Bibby Sterlin)のウェル中にピペットにより移し、ガラス表面上に蛍光タグが整列することが認められる時間の後、37℃で30分間インキュベートした。
【0308】
タグ
それぞれのセットが、蛍光の、ストレプトアビジンによりコーティングされたポリスチレンミクロスフェアの集団を含む1セットの50個のタグ(図13)は、Bangs Laboratories (Fishers, IN)から委託されたものであった。50セット間の差異は、ミクロスフェア直径(1.87μm、4.41μm、5.78μm、7.37μmまたは9.77μmの大きさ)および蛍光の放出/明るさ(5つの強度のStarfire RedまたはUV2で染色)の関数であった。これらの50セットのアリコートを、製造業者の説明書に従って、テトラメチルローダミン-5-(および6-)-イソチオシアネート(TRITC;Invitrogen)とさらにコンジュゲートさせて、最大で100個の個別のタグを作製した。これらから、28個の高度に独特のタグのセットを、この実験において用いた(表1)。
【0309】
タグの分析
フルオロフォアTRITC、DAPI(UV2)、GFP-B(全てNikon社製)およびCy5(Chroma Technology)の可視化のためのフィルターセットを備えたNikon TE2000-S逆転落射蛍光顕微鏡を用いる顕微鏡検査により、タグを分析した。Evolution VF冷却モノクロカメラを用いて画像を捕捉し、Image Pro Plus(共にMedia Cybernetics社製)を用いて画像分析を行った。単一のミクロスフェアの輪郭を、明視野の照明を用いて捕捉し、これらの中の面積を算出してタグの大きさを決定した。UV2、Cy5およびTRITCチャンネル中の面積の蛍光強度を用いて、公知のタグを含む参照サンプルに対して比較することにより各タグの同一性をさらに特定した(例えば、図14)。
【0310】
結果
マクロファージへの分化をES細胞に指令することができる1種以上の経路を含むと本発明者らが仮定した細胞培養条件の実験マトリックスを考案する(表1)。このマトリックスは、実験の初日(D1)に6個の代替的な培養条件、次いでD4に6個の代替的な条件、D6にさらに8個、D8にさらに8個および最後にD10に6個の代替的な条件を含んでいた。このマトリックスを介する可能な経路の総数、すなわち、試験した細胞培養条件の異なる組合せの数は、13,824であった(=6x6x8x8x6=「実験的複雑性」)。全ての条件は、ヒト造血前駆体の増殖を許容する市販の培地に基づくものであるが、中胚葉形成、造血発生およびマクロファージ系列への参加に影響することが知られる種々の増殖因子およびモルフォゲンによる補給において変化した(Kaushansky K., N. Engl. J. Med. 2006 354: 2034-2045; Godin I. & Cumano A. 2002 2: 593-603)。
【0311】
多能性マウスES細胞を、LIFの存在下でビオチン化されたマクロ多孔性ゼラチン微小担体ビーズ上に播種したところ、これらはアルカリホスファターゼ活性に関して陽性に染色された細胞コロニーを形成した(図8)。LIFを除去した後、ビーズは、WO 04013969中に記載された反復的スプリット-プール方法を用いる実験マトリックスにおいて特定された条件の全ての可能な組合せを体系的に通過した。
【0312】
実験の開始時に、約1.4 x 105個の播種した微小担体ビーズを、無作為に6個のセットに分割し、それぞれをマトリックス中、D1について特定された6つの異なる培地の1つにおいて別々に培養した。4日後、ビーズを洗浄し、プールし、および無作為に6個のセットに再度分割し、それぞれをD4で特定された培地の1つにおいて培養し;ならびにこのスプリット-プール手順をD6、D8およびD10に繰り返した。ビーズのアリコートを異なる培地中で培養した各時間、これらのビーズをユニークなタグで標識した;D10以外は、スプリットのアリコートを別々に取り扱い、従って標識を必要としなかった。かくして、種々の培養培地を介する任意の所与のビーズの移動を、それと結合したタグの回収物を分析することにより推測することができた。本発明者らが用いた標識戦略は、ビオチン化された微小担体基質に結合した、独特のストレプトアビジンによりコーティングされた蛍光ミクロスフェアのアレイを含んでいた。
【0313】
実験の終わりのD13に、微小担体をハイパーフルオレセイン化(自己クエンチ)されたオブアルブミン抗原に曝露した。この試薬は、貪食マクロファージにより特異的に内在し、消化され、かくしてフルオロフォアを分散させ、明るい細胞内シグナルを生じることが知られている(図9および10)。スクリーニングに際して、約100個のビーズ(すなわち、1.4 x 105個の入力ビーズの0.07%)が大きく、丸い、内部的に蛍光を発する細胞を担持することを本発明者らは見出した。これらのビーズは、マクロファージへのES細胞分化にとって許容性であるか、または有益である条件を通過した。多数のマクロファージを担持するビーズを分析して、その細胞培養履歴を解析した:これらのビーズを単離し、ゼラチン基質をタンパク質溶解させて、結合したタグを放出させ、これを画像分析の後、蛍光顕微鏡を用いて分類した。
【0314】
いくつかの微小担体を、多数のタグで標識し、その全てを4つの異なる種に明確に分類することができるが、これは実験マトリックスを介するこれらのビーズの経路を示す。例えば、ビーズC5は、経路1.2→4.2→6.1→8.2に対応するタグを有することが見出され、これを最終的に条件10.5に分割されるビーズ群から単離した(図11a)。
【0315】
いくつかの他の微小担体(例えば、ビーズA22)を、多数のタグで標識し、その大部分は、標識を介して獲得された4つの異なる種に分類され、少数は、異なる微小担体間の偶発的な移動を介して獲得されるようである(図11b)。これらの後者の場合の多くにおいては、細胞培養履歴の解析における信頼の尺度を可能にする、大過剰の1クラスのタグが存在した。2〜3の事例においては(通常、全体の標識が能率的でなかった場合、例えば、ビーズE6)、同じ日に添加された2つの異なる種に由来する等しい数のタグが存在し、不明確性を生じる(図11c)。これらの型の不明確性は共に、以下に記載のように、結果を検証するためのさらなる実験で容易に解決された。
【0316】
微小担体上に播種された多能性mES細胞のバッチを、一連のアリコートに分割し、その各々を用いて、コンビナトリアル細胞培養により定義された1つの推定分化経路を試験した。不明確な経路(例えば、A22およびE6)を、それぞれの代替物を同時にアッセイすることにより試験した。この方法を用いて、ビーズA22が条件1.2→4.2→6.4→8.2→10.3を通過したことが決定された。同様に、マトリックスを介するビーズE6の経路は、1.2→4.2→6.3→8.4→10.5であった。
【0317】
マクロファージを産生したこれらの経路が、一般的に特定の条件を有したことは興味深い。特に、D1およびD4での処理は3つ全部において一致したが、これはおそらく、この系を用いる造血前駆体の生成におけるこれらの条件に関する要件を示している。再生産される場合、これらの経路は、全微小担体の10〜25%が実質的な数のマクロファージで飾られることを一貫して示した(図12)。最適な経路からの逸脱は、マクロファージ分化に対して一般的には有害であると認められた。同様に、マトリックスを介する無作為な経路を、マクロファージを産生する能力について試験した場合、これらが比較的稀であることを示唆する有効なプロトコルはないことが見出された。
【0318】
結論
mES細胞分化の例を、標識またはタグの使用を特徴とするコンビナトリアル細胞培養を用いて説明する。このプロセスを用いて、単球-マクロファージ系列への分化を誘導する条件のためにほとんど14,000種の異なる細胞培養プロトコルを含む実験マトリックスをスクリーニングした。そのような多数の可能性のある経路をスクリーニングし、好適な標識戦略を用いることにより、複数の分化プロトコルを同定し、その一方または両方は通常、in vitroでの単球-マクロファージ発生にとって必要である、胚様体および動物血清の使用を克服することができた。
【0319】
実施例8
タグ解析のためのガラススライド上でのCultispher-G微小担体の消化
試薬および装備
・プロテイナーゼK(Sigma P4850 1 ml)
・Sigmacote(Sigma SL-2)
・ガラス顕微鏡スライド
・68℃オーブン
・自家製加湿器
・グリセロール(またはCitifluor)
・ピンセット
・13 mm直径ガラスカバースリップ
【0320】
方法
微小担体を個別に消化して、結合したタグの補体を明らかにする。消化を、ガラス顕微鏡スライド上で行う(1個のスライド上で、最大6個の微小担体を消化することができる)。
【0321】
ドラフト中、Sigmacoteでガラス顕微鏡スライドを被覆する:スライドを垂直に保持し、1 mlのSigmacoteをスライドの頂上に注意深くピペッティングし、それがガラス表面全体を被覆することを確保する。約30秒間静置した後、スライドを注意深く傾け、ピペットの端部からSigmacoteを除去する。Sigmacoteを再使用してボトルに戻すことができる。Sigmacoteのほとんどがこの方法で除去されるが、残りのSigmacoteを完全に蒸発させることができる。スライド上に微量のSigmacoteが残っている場合、またはにおいがある場合、スライド上に清潔な表面を作製するためにグローブを嵌めた指でスライドの表面をふき取る。
【0322】
消化しようとする微小担体をdH2O中で注意深く洗浄して、微量の培地および/または塩を確実に除去する。20μlのピペットチップを用いて、最少量(最大1〜2μl)でdH2Oから個々の微小担体を注意深く除去し、ガラススライド上に置く。スライド上に1〜2μlの全容量をピペッティングすることは常に必要であるわけではない;微小担体をスライド上に置くために十分にピペッティングする(微小担体が、後に重複なしにカバースリップの添加を可能にするのに十分な空間を有することを確実にする-スライドあたり5〜6個の微小担体が追跡可能になる)。
【0323】
スライドを68℃オーブンに注意深く入れて、微小担体の完全な脱水およびスライドへの粘着を達成する(10分で十分である)。
【0324】
dH2O中、新鮮な5U/mlのプロテイナーゼKの溶液を作製する(プロテイナーゼK保存液の濃度はバッチ間で変化し、希釈率をそれぞれの新しいバッチについて算出すべきである(例えば、保存溶液は1230U/ml〜5U/ml=5/1230=1/246である。すなわち、dH2O中の保存溶液の1/246希釈液である))。
【0325】
消化反応を実施する加湿器を調製する(10 cm x 10 cmの細胞培養ペトリ皿は、2つの側面に沿って固定する大きさに切断された使い捨てのプラスチックピペットと共に、うまくいく。ピペットの中間に水で湿らせた組織を入れる)。
【0326】
乾燥した微小担体上に直接、0.5μlの5U/mlプロテイナーゼK溶液を注意深くであるが、迅速にピペッティングする(0.5μlは非常に少量であるので、これは全く骨の折れる作業であり、加湿器の外側は急速に蒸発するであろう)。全ての微小担体にプロテイナーゼKが添加されたら、スライドを加湿器に入れ、フタを被せる。微小担体が溶解するまで(典型的には、30〜60分間)、室温で静置し、できるだけ光から保護する。加湿器からスライドを取り出して、完全な消化について調べる必要があるが、できるだけ迅速にこれを行った後、スライドを加湿器にすぐに戻してプロテイナーゼK溶液の蒸発を回避する必要がある。
【0327】
微小担体が完全に溶解したことに満足したら、加湿器からスライドを取り出し、室温にさせてプロテイナーゼK溶液を蒸発させる(これは全く迅速に進行するであろう)。68℃オーブン中に約10分間入れて、スライド上に放出されたタグの完全な乾燥を確保する。
【0328】
乾燥したタグに直接、6μlのグリセロールを滴下して注意深く添加し、気泡が生じるのを回避するように注意する(気泡が液滴中に存在する場合、小さい針を用いて刺すことにより、それは容易に除去されることが多い)。ピンセットを用いて、ほこりを含まない13 mm直径のカバースリップをグリセロール液滴上で注意深く小さくし、気泡を回避するために極端に注意を払う(一度、カバースリップ下に置かれたら、気泡を除去することはほとんど不可能である)。カバースリップを定置させる(グリセロールはカバースリップ全体を通して拡散するであろう)。できるだけ光からスライドを保護するが、カバースリップをあまり邪魔しないように注意し、表面上にグリセロールを分散させる。
【0329】
顕微鏡を用いてタグを分析する。
【0330】
実施例9
Cytopore 2微小担体の消化
試薬および装備
・白衣、安全メガネ、手袋
・塩酸、37%
・ペトリ皿
・薄壁PCRチューブ
・Sigmacote(Sigmaカタログ番号SL-2)
・Citifluorマウンティング培地(Agar Scientific)
【0331】
方法
スプリット-プール実験の後、微小担体を個別に消化して、結合したタグの補体を明らかにする。個々の微小担体の消化を、サーマルサイクラーまたはヒーターブロック中、65℃で薄壁PCRチューブ中で行う。
【0332】
1. 個々のcytopore-2微小担体+タグ(+細胞)を可能な最も少量、典型的には、2μl未満でピペットチップ中に吸引し(20μlピペットおよびチップがよい)、ペトリ皿中に5μl液滴の37%HCl中に置く。すぐに次の工程に進む。
2. 微小担体を、1μlに設定したピペットチップ中に迅速に吸引し、薄壁PCRチューブの一番底に置き、フタを閉める。
3. 65℃に設定したサーマルサイクラーまたはヒーターブロック中に前記チューブを7分間入れる(顕微鏡を用いてチューブの壁を介する検査により担体が溶解したことを調べ、必要に応じて、さらに2分間増加させる。担体は7〜9分後に溶解する)。
4. Sigmacoteでガラス顕微鏡スライドを処理する。
5. sigmacoteで2μlピペットチップを処理し、それを確実に完全に乾燥させた後、タグを含むPCRチューブ中のHClを注意深く除去する。
6. 1μlの液滴を顕微鏡スライド上に置く。液滴が垂れ下がる液滴となるように転置させ、完全に乾燥するまで(15〜30分間)、68℃でインキュベートして乾燥させる。Citifluorの液滴およびカバースリップを添加する。顕微鏡を用いてタグを分析する。
【0333】
実施例10
桿状タグを用いる細胞単位の標識
3500個のCultispher-G微小担体を、KO-DMEM+15%KO-SR、100U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン、2 mM GlutaMAX、1X NEAA、1000U/ml LIF、100μM βMEを含む2 mlの増殖培地中、担体あたり50個の細胞の密度で、単一の細胞懸濁液中、D3マウスES細胞に播種し、細胞単位を37℃で一晩培養した。
【0334】
ニュートラルレッド生体染色を細胞単位に対して行った後、ナノバーコード粒子を添加して、粒子添加前の細胞の生存能力を確認した。
【0335】
6ミクロン長のAg/Au被覆アルミニウムナノワイヤー(Nicewarner-Pena, S.R.ら、Science 294: 137-141, 2001)を含む桿状粒子の懸濁液を、1 x 109粒子/mlの濃度でOxonica Healthcare(Kidlington, UK)から取得した。101010および100001(ここで、1=Agおよび0=Auである)と命名した2つのバーコードを用いて、細胞単位を標識した。
【0336】
桿状粒子のサンプルを、保存液から除去し、95%エタノール中で1時間滅菌した後、滅菌PBS中で洗浄および再懸濁した。2つのナノバーコード粒子の混合物を、細胞単位あたり1000個の粒子の比率で25穴細胞培養皿のウェル中、2 ml培地中で約875の細胞単位に添加した。細胞培養皿を、回転式振とう装置上で一晩、37℃でインキュベートした。
【0337】
培養液中で24時間後、標識された細胞単位を70μmフィルター上に置いて、未結合の桿状粒子を除去し、5 mlのPBSで5回洗浄した。個々の細胞単位を除去し、桿状粒子の存在下でのD3細胞の継続した生存能力をニュートラルレッド生体染色により評価した。
【0338】
個々の細胞単位をSigmacoteで処理されたガラス顕微鏡スライド上に置き、68℃に10〜15分間置いて、完全な脱水を確保した。H2O中の新鮮な5U/mlのプロテイナーゼKを調製し、0.5μlを脱水された材料上に直接置いた。スライドを、ゼラチン材料が消化されるまで(典型的には、30〜60分間)、加湿された部屋の中にすぐに入れた後、68℃インキュベーターに取り出して、プロテイナーゼK溶液を完全に蒸発させた(典型的には、10分間)。
【0339】
5μl液滴のグリセロールを、乾燥したスポットに直接適用し、13 mmの丸いカバースリップを適用した。放出された桿状粒子の顕微鏡画像を、Nikon TE2000S逆転落射蛍光顕微鏡を用いる明視野照明を用いて捕捉した。
【0340】
サンプル中の桿状粒子の識別を、Hgランプおよび100 x油浸対物レンズを有するChroma CFPフィルターセット(Ex. 436/10; Em. 465/30)を備えたDeltavision RT顕微鏡を用いて達成した。
【0341】
さらなる態様
さらなる態様および実施形態を、以下の番号付けされた項中に提供する。
【0342】
1. 微小担体と、ミクロスフェアまたはマイクロビーズを含む複合体。
【0343】
2. 微小担体がCultispher-G微小担体またはCytopore 2微小担体である、1項に記載の複合体。
【0344】
3. ミクロスフェアまたはマイクロビーズが蛍光および/または着色ミクロスフェアまたはマイクロビーズである、1項または2項に記載の複合体。
【0345】
4. 微小担体がビオチン化されている、1〜3項のいずれか1項に記載の複合体。
【0346】
5. 蛍光ミクロスフェアが、親水性ミクロスフェアである、4項に記載の複合体。
【0347】
6. 親水性ミクロスフェアが、カルボン酸改変(CML)ミクロスフェアである、5項に記載の複合体。
【0348】
7. 前記複合体が、Cytopore 2微小担体およびCMLミクロスフェアである、6項に記載の複合体。
【0349】
8. CMLミクロスフェア:Cytopore 2微小担体の比率が、約1:1である、7項に記載の複合体。
【0350】
9. マイクロビーズが、ポリスチレンマイクロビーズである、1〜4項のいずれか1項に記載の複合体。
【0351】
10. マイクロビーズが、ストレプトアビジンによりコーティングされた、1〜4項および9項のいずれか1項に記載の複合体。
【0352】
11. 前記複合体が、Cultispher-G微小担体と、ポリスチレンマイクロビーズを含む、10項に記載の複合体。
【0353】
12. フルオロフォアがTRITCである、3〜11項のいずれか1項に記載の複合体。
【0354】
13. Cultispher-G微小担体とミクロスフェアを含む複合体を、プロテイナーゼKと接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法。
【0355】
14. プロテイナーゼKを、2U/mlの量で用いる、13項に記載の方法。
【0356】
15. 前記複合体を、約20分間、プロテイナーゼKと接触させる、13項または14項に記載の方法。
【0357】
16. Cytopore 2とマイクロビーズを含む複合体を、HClと接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法。
【0358】
17. 37%HCl(約12M)を用いる、16項に記載の方法。
【0359】
18. 前記複合体を、約90分間、HClと接触させる、16項または17項に記載の方法。
【0360】
19. 1〜12項のいずれか1項に記載の複合体の使用を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【0361】
20. 下記工程:
(a)それぞれ、1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)1個以上の該群を再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(c)該さらなる群を、さらなる所望の培養条件に曝露する工程;
(d)必要に応じて、反復して工程(b)〜(c)を繰り返す工程;および
(e)所与の細胞単位が曝露された培養条件の該単位に対する効果を評価する工程、
を含み、各細胞単位が、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【0362】
21. 下記工程:
(a)それぞれ、1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;
(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および
(f)所与の細胞単位を曝露した培養条件の該単位に対する効果を評価する工程、
を含み、各細胞単位が、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【0363】
22. 下記工程:
(a)それぞれ、1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;
(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程、
を含み、各細胞単位が、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、様々な細胞培養条件に細胞を曝露する方法。
【0364】
23. 下記工程:
(a)それぞれ、1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;
(e)必要に応じて、反復して工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および
(f)所与の細胞単位を曝露した培養条件の該単位に対する効果を評価する工程、
を含み、各細胞単位が、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【0365】
24. 前記細胞を、それぞれの細胞単位が1個以上の細胞を含む細胞単位中で培養する、20〜23項のいずれか1項に記載の方法。
【0366】
25. 細胞単位が単一の細胞である。24項に記載の方法。
【0367】
26. 培養条件が、細胞が曝露される培地である、20〜25項のいずれか1項に記載の方法。
【0368】
27. 前記培地が、細胞プロセスに影響する1種以上の特定の薬剤を含む、26項に記載の方法。
【0369】
28. 細胞培養条件が、1つ以上の特定の温度で培養することを含む、20〜27項のいずれか1項に記載の方法。
【0370】
29. 細胞培養条件が、1種以上の特定の基質上で培養することを含む、20〜28項のいずれか1項に記載の方法。
【0371】
30. 下記工程:
a)20〜29項のいずれか1項に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;
b)該培養条件に曝露した場合の該細胞単位中での遺伝子発現を分析する工程;および
c)所望の培養条件下で示差的に発現される遺伝子を同定する工程、
を含む、細胞プロセスに影響する遺伝子を同定する方法。
【0372】
31. 所望の培養条件が細胞プロセスに影響する、30項に記載の方法。
【0373】
32. 30項または31項に従って遺伝子を同定し、核酸合成または生物学的複製による該遺伝子の少なくともコード領域を製造することを含む、細胞プロセスに影響する遺伝子をコードする核酸を製造する方法。
【0374】
33. 下記工程:
(a)30項または31項に従う細胞プロセスを関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および
(b)細胞中での該1個以上の遺伝子の発現を調節する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導する方法。
【0375】
34. 細胞中での遺伝子発現の調節が、細胞中への該1個以上の遺伝子のトランスフェクションを含む、33項に記載の方法。
【0376】
35. 遺伝子発現の調節が、遺伝子産物の外因性投与を含む、33項に記載の方法。
【0377】
36. 下記工程:
(a)30項または31項に従う細胞プロセスに関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および
(b)細胞中での該1個以上の遺伝子の発現の調節を検出することによって、該細胞の細胞プロセスの状態を決定する工程、
を含む、細胞の細胞プロセスの状態を同定する方法。
【0378】
37. 該1個以上の遺伝子が、マーカーをコードする、36項に記載の方法。
【0379】
38. 該マーカーを、免疫アッセイにより検出することができる、37項に記載の方法。
【0380】
39. 下記工程:
(a)20〜29項のいずれか1項に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;
(b)細胞プロセスを誘導する培養条件に細胞を曝露する工程;および
(c)所望の細胞を単離する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導する方法。
【0381】
40. 下記工程:
(a)20〜29項のいずれか1項に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;および
(b)細胞単位中で細胞プロセスを誘導するこれらの薬剤を同定する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導することができる薬剤を同定する方法。
【0382】
41. 下記工程:
(a)20〜29項のいずれか1項に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;
(b)細胞単位中で所望の細胞プロセスを誘導するこれらの薬剤を同定する工程;および
(c)該薬剤を合成または単離する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導することができる薬剤を調製する方法。
【0383】
42. 細胞プロセスが、細胞の増殖または分化である、1〜41項のいずれか1項に記載の方法。
【0384】
43.下記工程:
a)幹細胞培養物をインキュベートする工程;および
b)該培養物を2個以上の群の幹細胞に分割し、該群の幹細胞を2個以上の異なるセットの培養条件下で培養する工程、
を含み、各細胞単位が、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、幹細胞またはin vitroで幹細胞から誘導された細胞を培養する方法。
【0385】
44. 前記細胞を、それぞれの細胞単位が1個以上の細胞を含む細胞単位中で培養する、43項に記載の方法。
【0386】
45. 細胞単位が単一の細胞である、43項または44項に記載の方法。
【0387】
46. 1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖させることを含む、幹細胞を培養する方法。
【0388】
47. 前記幹細胞を、培養条件の少なくとも1回の変化に供する、46項に記載の方法。
【0389】
48. 培養条件の前記変化が、培地の変化を含む、47項に記載の方法。
【0390】
49. 下記工程:
(a)培養培地中で、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖させる工程;
(b)一方の培養培地から他方に前記複合体を移す工程;
(c)必要に応じて、工程(b)を反復する工程;および
(d)前記複合体に付着した分化した細胞を取得する工程、
を含む、in vitroで幹細胞から分化した細胞を取得する方法。
【0391】
50. 分化した細胞を、前記複合体からの酵素的または化学的分離により単離する、49項に記載の方法。
【0392】
51. 前記酵素がプロテイナーゼKである、50項に記載の方法。
【0393】
52. 前記化合物がHClである、50項に記載の方法。
【0394】
53. 分化した細胞を、1〜12項のいずれか1項に記載の複合体の消化により単離する、49〜52項のいずれか1項に記載の方法。
【0395】
54. 下記工程:
(a)1〜12項のいずれか1項に記載の複合体上に多能性幹細胞を播種する工程;および
(b)前記複合体に付着させながら、前記細胞を増殖させる工程、
を含む、in vitroで多能性幹細胞を増殖させる方法。
【0396】
55. 下記工程:
(a)タグの1種以上の画像を取得する工程;
(b)1種以上の画像の輪郭を描写する工程;
(c)1種以上の画像の輪郭をロードする工程;および
(d)1種以上の輪郭内の面積および/または明るさを読み取る工程、
を含む、細胞単位から取得されたタグに関する1種以上の面積および/または密度値を同定する方法。
【0397】
56. 下記工程:
(a)細胞単位とタグを分離する工程;
(b)顕微鏡技術を用いてタグの1種以上の画像を取得する工程;
(c)1種以上の画像の輪郭を描写する工程;
(d)1種以上の画像の輪郭を、異なる顕微鏡技術を用いて取得されたさらなる対応する画像上にロードする工程;および
(e)1種以上の輪郭内の面積および/または明るさを読み取る工程、
を含む、細胞単位から取得されたタグに関する1種以上の面積および/または密度値を同定する方法。
【0398】
57. 工程(e)が1個以上の細胞単位中の1種以上の異なるタグを計数および/または分類することを含む、56項に記載の方法。
【0399】
58. 前記方法が、1個以上の細胞単位中の少なくとも異なる型のタグを計数および/または分類することを含む、55項または56項に記載の方法。
【0400】
59. 前記方法が、1個以上の細胞単位中の約10個〜約50個の異なる型のタグを計数および/または分類することを含む、55項または56項に記載の方法。
【0401】
60. 前記面積および/または密度値を、スプレッドシートに入力する、55〜59項のいずれか1項に記載の方法。
【0402】
61. 前記画像が、位相画像、青い画像、緑色の画像、赤色に近い画像および遠赤色の画像からなる群より選択される、55〜60項のいずれか1項に記載の方法。
【0403】
62. 55〜61項のいずれか1項に記載の方法を実行するためのコンピューター制御用コンピュータープログラムを含むコンピュータープログラム製品。
【0404】
63. 55〜61項のいずれか1項に記載の方法に従ってデータ処理操作を実行するために操作可能なデータ処理論理を含む、タグの1種以上の面積および/または密度値を同定する装置。
【0405】
64. 下記工程:
(a)タグの少なくとも1個のパラメーターの上限および下限を、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値と比較する工程;
(b)タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値を、タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限と比較する工程;および
(c)タグの少なくとも1個のパラメーターの測定値を、細胞単位と関連するタグの同一性と相関させる工程、
を含む、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性を決定する方法。
【0406】
65. 下限が平均測定値より低く、平均測定値が上限より低い場合、タグのさらなるパラメーターの上限および下限を、タグの少なくとも1個のさらなるパラメーターの平均測定値と比較する、64項に記載の方法。
【0407】
66. 下限が平均測定値以下であり、平均測定値が上限以下である場合、タグの同じパラメーターの少なくとも1個のさらなる整数の上限および下限を測定する、64項に記載の方法。
【0408】
67. 下限が平均測定値より低く、平均測定値が上限より低い場合、タグの少なくとも1個のさらなるパラメーターを測定する、66項に記載の方法。
【0409】
68. タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、タグの少なくとも1個のパラメーターの最下限より高い場合、その結果を、1個以上のパラメーターを有する1個以上のタグと相関させる、64〜67項のいずれか1項に記載の方法。
【0410】
69. タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値が、タグの1個以上のパラメーターの最下限よりも高くない場合、その結果を、該パラメーターを有するタグと相関させる、64〜67項のいずれか1項に記載の方法。
【0411】
70. 下限が平均測定値以下であり、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限以下である場合、タグの同じパラメーターの少なくとも1個のさらなる整数の上限および下限を測定する、64項に記載の方法。
【0412】
71. 前記方法を、タグの同じパラメーターの1以上のさらなる整数について繰り返す、69項に記載の方法。
【0413】
72. 前記方法を、タグの同じパラメーターの全ての整数について繰り返す、70項に記載の方法。
【0414】
73. 下限が平均測定値より低く、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限より低く、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値がタグの少なくとも1個のパラメーターの最下限よりも高い場合、その結果を、1個以上のパラメーターを有する1個以上のタグと相関させる、69項に記載の方法。
【0415】
74. 下限が平均測定値より低く、平均測定値が少なくとも1個のさらなるパラメーターの上限より低く、タグの少なくとも1個のパラメーターの平均測定値がタグの1個以上のパラメーターの最下限より高くない場合、その結果を、前記パラメーターを有するタグと相関させる、72項に記載の方法。
【0416】
75. タグのパラメーターが、タグの大きさ、タグが担持するフルオロフォアの型、およびタグが担持するフルオロフォアの量からなる群より選択される、63〜73項のいずれか1項に記載の方法。
【0417】
76.大きさが、5つの異なる大きさより選択される、74項に記載の方法。
【0418】
77. 大きさが、約1.87μm、約4.41μm、約5.37μm、約5.78μmおよび約9.66μmからなる群より選択される、74項または75項に記載の方法。
【0419】
78. フルオロフォアがUV2またはStarfire Redである、74〜76項のいずれか1項に記載の方法。
【0420】
79. フルオロフォアの量が、5つの異なる量より選択する、74〜76項のいずれか1項に記載の方法。
【0421】
80.それぞれ異なる量が、明るさの5〜10倍の差異を与える、78項に記載の方法。
【0422】
81. 最大で3種の異なるパラメーターおよび50の異なる整数または集団が存在する、63〜80項のいずれか1項に記載の方法。
【0423】
82. それぞれの細胞単位が、微小担体とポリスチレンマイクロビーズとを含む複合体に付着したか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、63〜80項のいずれか1項に記載の方法。
【0424】
83. マイクロビーズがストレプトアビジンによりコーティングされている、81項に記載の方法。
【0425】
84. 前記複合体が、Cultispher-G微小担体とポリスチレンマイクロビーズを含む、81項または82項に記載の方法。
【0426】
85. 63〜83項のいずれか1項に記載の方法を実施するためのコンピューター制御用コンピュータープログラムを含むコンピュータープログラム製品。
【0427】
86. 63〜83項のいずれか1項に記載の方法に従って、データ処理操作を実施するために操作可能なデータ処理論理を含む、細胞単位が曝露された細胞培養条件の年代記および同一性を決定するための装置。
【表1】
【0428】
表1の凡例
実験マトリックスを含む条件、およびこれらの条件に曝露された微小担体を標識するのに用いられる対応するタグの一覧である。タグの命名法は、実験日および実験条件を意味する(日、条件)。カラム2〜5は、対応するタグの特徴、すなわち、大きさ(直径);フルオロフォア同一性(UV2またはStarfire Red);フルオロフォア強度(最低1〜最高5)およびタグがTRITC修飾されたかどうかを示す。マトリックスの各条件につき、異なる増殖因子の最終濃度および/または基本培地中に存在するモルフォゲンを、最後のカラムに示す。
【0429】
上記明細書に記載された全ての刊行物は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。記載の方法および本発明の系の種々の改変および変更は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態と関連付けて説明してきたが、特許請求された本発明がそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際、分子生物学または関連する分野における当業者にとって明らかである本発明を実施するための記載された様式の種々の改変は、特許請求の範囲内にあると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0430】
【図1】図1は、2つの異なる大きさ(5.4μmおよび7.6μm)の黒色、赤色および青色タグを用いる光顕微鏡下で見た着色されたDukeマイクロビーズのサンプルを示す。
【図2】図2は、通過する未結合のマイクロビーズ(大きさの範囲4.4μm〜9.8μm)を除去するための洗浄中に70μmのフィルター上に捕捉されたCultispher-G微小担体を示す。
【図3】図3は、2U/mlプロテイナーゼKを用いるCultispher-G微小担体の消化を示す(図面は、示されるように、15分間に渡る同じ微小担体を示す)。
【図4】図4は、37%HCl(約12 M)を用いるCytopore 2微小担体の消化を示す(図面は、示されるように、1時間30分に渡る同じ微小担体を示す)。
【図5】図5は、マイクロビーズの1個以上の面積および/または光学密度値を同定するための顕微鏡分析に関するImagepro Tag Analysis Flowchartを示す。種々の露出およびフィルター:UV2フィルター: Ex 340-380 nm; Em 435-485 nm; TRITCフィルター:Ex 540/25 nm; Em 605/55 nm; Starfire Red: Ex 620/60 nm; Em 700/75 nmを用いて画像を取得する。
【図6−1】図6は、マイクロビーズ(タグ)が、それぞれ4レベルのフルオロフォアA±フルオロフォアBの2つの異なる大きさのものであるTag ID Flowchartを示す。フルオロフォアAはUV2であり、フルオロフォアBはTRITCである。F1は、UV2チャンネルを用いるタグの光学密度測定値を意味する;F2は、Starfire Redチャンネルを用いるタグの光学密度測定値を意味する;F3は、TRITCチャンネルを用いるタグの光学密度測定値を意味する;f1-タグ1の蛍光の下限;f2-タグ1の蛍光の上限;f3-全てのタグのTRITC蛍光の低い方の閾値;f4-タグ2の蛍光の下限;f5-タグ2の蛍光の上限など;面積-面積測定値;a1-大きさ1のタグの面積下限;a2-サイズ1のタグの面積上限;a3-大きさ2のタグの面積下限;a4-大きさ2のタグの面積上限など;Y=はい;N=いいえ。さらに詳細には、ボックス(a)は、第1のパラメーターの下限が第1のパラメーターの平均測定値より低く、第1のパラメーターの上限が第1のパラメーターの平均測定値より高いことを示す;ボックス(b)は、第2のパラメーターの下限が第2のパラメーターの平均測定値より低く、第2のパラメーターの上限が第2のパラメーターの平均測定値より高いを示す;ボックス(c)、(f)、(i)、(k)、(o)、(q)、(t)および(v)はそれぞれ、第3のパラメーターの平均測定値が第3のパラメーターの下限より高いことを示す;ボックス(e)は、ボックス(b)からの結果が陰性ならば、さらなる整数のパラメーターの上限、下限および平均測定値を測定することを示す。特に、ボックス(e)は、ある整数のパラメーターの面積下限が該パラメーターの平均測定値より低く、その整数のパラメーターの面積上限が該パラメーターの平均測定値より高いことを示す。これを、ボックス(h)、(j)、(n)、(p)、(s)および(u)においてさらなる整数のパラメーターについて繰り返す。
【図6−2】図6−1の続きである。
【図6−3】図6−2の続きである。
【図6−4】図6−3の続きである。
【図7】図7は、図6からの最終的な「いいえ」の決定が、それらの整数のさらなるパラメーターを問い合わせ続けるように、1以上の整数のパラメーターを連続的に試験する代替的なフローチャートを示す。フルオロフォアAはStarfire RedでありフルオロフォアBはTRITCである。例えば、F1およびF2を、図6からの最終的な「いいえ」の決定が、関連する大きさのタグのStarfire Red値を問い合わせ続けるように、連続的に試験することができる。F1は、UV2チャンネルの密度測定値を意味する;F2は、Starfire Redチャンネルの密度測定値を意味する;F3は、TRITCチャンネルの密度測定値を意味する;f18-タグ9の蛍光の下限;f19-タグ9の蛍光の上限;f3-全てのタグ1のTRITC蛍光の低い方の閾値;Y=はい;N=いいえ。
【図8】図8は、マウスES細胞に播種し、多能性のマーカーであるアルカリホスファターゼ活性を示すキットで染色されたマクロ多孔性CultiSpher-Gゼラチン微小担体(Percell Biolytica AB)を示す。
【図9】図9は、表1に示されるマトリックスを介してコンビナトリアル細胞培養により処理され、マクロファージアッセイ試薬DQ-オボアルブミン(Molecular Probes)と共にD13にインキュベートされた140,000微小担体のサンプルを示す。左上のパネルは、微小担体の位相差画像を示す。右上の画像は、FITCフィルターセットを用いる同じ視野を示すが、マクロファージを、グリーン蛍光で内部的に標識された大きく、丸い細胞として容易に識別できる。左下の画像は、FITCフィルターセットを用いる同じ視野を示すが、微小担体と結合したUV2をロードされたタグを示している。
【図10】図10は、図9と同様であるが、異なる視野に関するものである。
【図11】図11は、マクロファージを担持する微小担体a)C5、b)A22およびc)E6上に認められる全てのタグの数および同一性を示すグラフを示す。b)およびc)中の星印付きのバーは、再現可能なマクロファージ分化をもたらすことが後に決定された条件を示す。
【図12】図12は、DQ-オボアルブミン(Molecular Probes)で染色された多数のマクロファージを担持する微小担体の例である。
【図13】図13は、Bangs Laboratories (Fishers, IN)から委託された50個のミクロスフェアタグのグラフ表示である。ミクロスフェアは、1.87μm〜9.77μmの大きさであり、5つの識別可能な強度のフルオロフォアStarfire Redまたは代替的にUV2で染色した。
【図14】図14は、所与の曝露設定でのタグの大きさおよび蛍光強度に従って分析されたStarfire Red染色ミクロスフェアタグの補正サンプルである。同様の補正サンプルを用いて、微小担体に結合したタグの分類のためのパラメーター(楕円により示される)を決定した。
【図15】図15は、430 nmでの照明および63Xの対物レンズを用いて得られた、実験中で用いられた桿状粒子の品質対照画像を示す。左の画像は101010;右の画像は100001(1=Agおよび0=Au)である。
【図16】図16は、生細胞を示すニュートラルレッド生体染色で染色された標識された細胞単位の画像であり、明視野照明および20Xの対物レンズを用いて得られた、結合した桿状粒子(矢印で示される)を示す。
【図17】図17は、明視野照明および20Xの対物レンズを用いて得られた、標識された細胞単位のプロテイナーゼK消化後に放出された桿状粒子の画像である。
【図18】図18は、100X油浸対物レンズを備えたCFPフィルターセット(Ex. 436/10; Em. 465/30)を用いて得られた、標識された細胞単位のプロテイナーゼK消化後に放出された2つの異なる粒子の分離を示す画像である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程:
(a)細胞単位を標識するのに用いられるそれぞれのタグの1個以上のパラメーターを測定する工程;
(b)細胞単位中のそれぞれのタグを同定する工程;ならびに
(c)それぞれのタグの同一性を、細胞単位の同一性および/または細胞単位が曝露された特定の細胞培養条件と相関させる工程、
を含む、2個以上のタグで標識された細胞単位の細胞培養履歴を決定する方法。
【請求項2】
前記方法が、自動化された方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞単位が微小担体に結合するか、または付着する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
微小担体が多孔性であるか、または固体微小担体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
多孔性微小担体が、Cytopore微小担体(例えば、Cytopore 1微小担体またはCytopore 2微小担体)、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
固体微小担体が、Cytodex微小担体(例えば、Cytodex 1、Cytodex 2もしくはCytodex 3微小担体)、Biosilon微小担体、Bioglass微小担体、FACT III微小担体またはDE 52/53微小担体である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記パラメーターが、タグの大きさおよび/またはタグの光学特性である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
光学特性が、光反射率、色、蛍光放出波長および蛍光放出強度からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
目的の視野において細胞単位中のそれぞれのタグの1個以上の画像を測定する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
目的の視野において細胞単位中のそれぞれのタグの1個以上の画像を、顕微鏡を用いて測定する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
顕微鏡が、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、斜照明顕微鏡、暗視野顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、反射コントラスト顕微鏡、バレルコントラスト顕微鏡、偏光顕微鏡、干渉顕微鏡および蛍光顕微鏡からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
目的の視野における細胞単位中のそれぞれのタグの1個以上の画像について、輪郭を描写する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
目的の視野における細胞単位中のそれぞれのタグの1個以上の蛍光画像を測定する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
1個以上の画像(例えば、位相画像)に関する輪郭を、1個以上の蛍光画像上にロードする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
目的の視野における細胞単位中のそれぞれのタグの1個以上の蛍光画像を、該タグを標識するのに用いられるそれぞれのフルオロフォアについて測定する、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
細胞単位中のそれぞれのタグを、1個以上の輪郭内のタグの1個以上のパラメーターを読み取ることにより同定する、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記タグの1個以上のパラメーターが、該タグの面積および/または光学密度である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記タグの1個以上のパラメーターを、スプレッドシートに入力する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
フルオロフォアが、青色、緑色、近赤色または遠赤色の蛍光を放出するフルオロフォアからなる群より選択される、請求項8〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記大きさが、少なくとも3つの異なる大きさ(例えば、5、6または7種の異なる大きさ)から選択される、請求項7〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記大きさが、約1.9μm、約4.4μm、約5.4μm、約5.8μm、約7.4μm、約9.7μmおよび約9.8μmからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
フルオロフォアが、UV2、Starfire RedおよびTRITCからなる群より選択される、請求項8〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
フルオロフォアの量が、5つの異なる量から選択される、請求項8〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
それぞれ異なる量が、約5〜10倍の明るさの差異を与える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも2個の異なるパラメーターが存在する、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
それぞれのパラメーターが、少なくとも5個の異なる整数を有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
それぞれのパラメーターが、それぞれのパラメーターにつき、20個以下の異なる整数を有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
それぞれのパラメーターが、それぞれのパラメーターにつき、50個以下の異なる整数を有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法を実行するためのコンピューター制御用コンピュータープログラムを含む、コンピュータープログラム製品。
【請求項30】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法に従ってデータ処理操作を実行するために操作可能なデータ処理論理を含む、細胞単位の細胞培養履歴を決定するための装置。
【請求項31】
微小担体および帯電した(例えば、負に帯電した)タグを含む複合体。
【請求項32】
微小担体が多孔性微小担体である、請求項31に記載の複合体。
【請求項33】
微小担体が正味の電荷を有する、請求項31または32に記載の複合体。
【請求項34】
前記微小担体が、タンパク質、セルロース、ポリエチレン、ポリスチロール、ガラス、コラーゲン、コラーゲン-グルコース-アミノグリカンおよび/またはゼラチンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項31〜33のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項35】
前記微小担体が、Cytopore微小担体、Cytopore 1微小担体、Cytopore 2微小担体、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択される、請求項31〜34のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項36】
帯電したタグが球体である、請求項31〜35のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項37】
前記球体がミクロスフェアである、請求項36に記載の複合体。
【請求項38】
前記ミクロスフェアが、直径約9μm以下である、請求項37に記載の複合体。
【請求項39】
前記ミクロスフェアが、カルボン酸改変(CML)ミクロスフェアである、請求項37または38に記載の複合体。
【請求項40】
前記タグが、ポリスチレンおよび/またはラテックスを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項31〜39のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項41】
前記複合体(例えば、微小担体)が細胞単位に付着するか、または結合している、請求項31〜40のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項42】
少なくとも1種の抗体が細胞単位に結合する、請求項31〜41のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項43】
微小担体および桿状タグを含む複合体。
【請求項44】
桿状タグがナノワイヤーである、請求項43に記載の複合体。
【請求項45】
ナノワイヤーがアルミニウムナノワイヤーである、請求項44に記載の複合体。
【請求項46】
ナノワイヤーが銀および/または金でコーティングされている、請求項44または45に記載の複合体。
【請求項47】
ナノワイヤーが直径約1μm以下である、請求項44〜46のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項48】
ナノワイヤーが長さ約10μm以下である、請求項44〜47のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項49】
微小担体が多孔性微小担体である、請求項43〜48のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項50】
多孔性微小担体が電荷中性微小担体である、請求項43〜49のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項51】
前記微小担体が、タンパク質、セルロース、ポリエチレン、ポリスチロール、ガラス、コラーゲン、コラーゲン-グルコース-アミノグリカンおよび/またはゼラチンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項43〜50のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項52】
前記微小担体が、Cytopore微小担体、Cytopore 1微小担体、Cytopore 2微小担体、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択される、請求項43〜51のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項53】
前記複合体(例えば、微小担体)が、細胞単位に付着するか、または結合している、請求項43〜52のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項54】
少なくとも1種の抗体が細胞単位に結合する、請求項43〜53のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項55】
タンパク質を含み、それからなるか、または本質的にそれからなる微小担体と、タグとを含む複合体を、プロテアーゼと接触させる工程を含む、前記複合体を分離する方法。
【請求項56】
前記微小担体が、ゼラチンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記微小担体が、Cultispher微小担体である、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記微小担体が、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体からなる群より選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記プロテアーゼが、プロテイナーゼK、トリプシン、サーモリシンおよびカスパーゼからなる群より選択される、請求項55〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
プロテイナーゼKを、約0.5U/ml以上の量で用いる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記複合体を、少なくとも20〜60分間、プロテイナーゼKと接触させる、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記複合体を、約5μl以下の容量でプロテアーゼと接触させる、請求項55〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
微小担体とタグとを含む複合体を、酸と接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法。
【請求項64】
前記微小担体が多孔性微小担体である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記微小担体が正味の電荷を有する、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記微小担体が、セルロースを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項63〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記微小担体がCytopore微小担体である、請求項63〜66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記微小担体がCytopore 2微小担体である、請求項63〜67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記タグが球体である、請求項63〜68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記球体がミクロスフェアである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記ミクロスフェアが、ポリスチレンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記酸が、塩酸、硫酸および次亜塩素酸ナトリウムからなる群より選択される、請求項63〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記酸が、37%塩酸(約12 M)である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記酸が、濃硫酸である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記複合体を、約5μl以下の容量の酸と接触させる、請求項63〜74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記複合体を、前記酸の存在下で加熱する、請求項63〜75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体の使用を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【請求項78】
下記工程:
(a)それぞれ1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;
(e)必要に応じて、工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および
(f)所与の細胞単位が曝露された培養条件に対する効果を評価する工程、
を含み、各細胞単位が、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【請求項79】
下記工程:
(a)それぞれ1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;および
(e)必要に応じて、工程(b)〜(d)を繰り返す工程、
を含み、各細胞単位が、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、種々の細胞培養条件に細胞を曝露する方法。
【請求項80】
下記工程:
(a)それぞれ1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;
(e)必要に応じて、工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および
(f)所与の細胞単位が曝露された培養条件に対する効果を評価する工程、
を含み、各細胞単位が、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【請求項81】
前記細胞を、それぞれ1個以上の細胞を含む細胞単位中で培養する、請求項77〜80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記細胞単位が単一の細胞である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記培養条件が、前記細胞を曝露する培地である、請求項77〜82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記培地が、細胞プロセスに影響する1種以上の特定の薬剤を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記細胞培養条件が、1つ以上の特定の温度で培養することを含む、請求項77〜84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記細胞培養条件が、1種以上の特定の基質上で培養することを含む、請求項77〜85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
下記工程:
a)請求項77〜86のいずれか1項に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;
b)該培養条件に曝露された場合、該細胞単位中での遺伝子発現を分析する工程;および
c)所望の培養条件下で示差的に発現された遺伝子を同定する工程、
を含む、細胞プロセスに影響する遺伝子を同定する方法。
【請求項88】
所望の培養条件が、細胞プロセスに影響する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
請求項87または88に従って遺伝子を同定すること、および核酸合成または生物学的複製により該遺伝子の少なくともコード領域を製造することを含む、細胞プロセスに影響する遺伝子産物をコードする核酸を製造する方法。
【請求項90】
下記工程:
(a)請求項87または88に記載の方法に従って、細胞プロセスと関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および
(b)細胞中での該1個以上の遺伝子の発現を調節する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導する方法。
【請求項91】
細胞中での遺伝子発現の調節が、細胞中への該1個以上の遺伝子のトランスフェクションを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
遺伝子発現の調節が、遺伝子産物の外因性投与を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
下記工程:
(a)請求項87または88に記載の方法に従って、細胞プロセスと関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および
(b)細胞中の該1個以上の遺伝子の発現の調節を検出することによって、該細胞の細胞プロセスの状態を決定する工程、
を含む、細胞の細胞プロセスの状態を同定する方法。
【請求項94】
前記1個以上の遺伝子が、マーカーをコードする、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記マーカーを、免疫アッセイにより検出することができる、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
下記工程:
(a)請求項77〜86のいずれか1項に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;
(b)細胞プロセスを誘導する培養条件に細胞を曝露する工程;および
(c)所望の細胞を単離する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導する方法。
【請求項97】
下記工程:
(a)請求項77〜86のいずれか1項に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;および
(b)細胞単位における細胞プロセスを誘導する薬剤を同定する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導することができる薬剤を同定する方法。
【請求項98】
下記工程:
(a)請求項77〜86のいずれか1項に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;
(b)細胞単位における所望の細胞プロセスを誘導する薬剤を同定する工程;および
(c)該薬剤を合成または単離する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導することができる薬剤を調製する方法。
【請求項99】
細胞プロセスが細胞の増殖または分化である、請求項77〜98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
下記工程:
a)幹細胞培養物をインキュベートする工程;および
b)該培養物を2個以上の群の幹細胞に分割し、該群の幹細胞を2個以上の異なるセットの培養条件下で培養する工程、
を含み、該細胞を、それぞれ、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着したか、またはそれに結合した1個以上の細胞を含む細胞単位中で培養する、幹細胞またはin vitroで幹細胞から誘導された細胞を培養する方法。
【請求項101】
細胞単位が単一の細胞である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖させることを含む、幹細胞を培養する方法。
【請求項103】
前記幹細胞を、培養条件の少なくとも1回の変化に供する、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
培養条件の前記変化が、培地の変化を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
下記工程:
(a)培養培地中で、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖する工程;
(b)一方の培養培地から他方に前記複合体を移す工程;
(c)必要に応じて、工程(b)を繰り返す工程;および
(d)前記複合体に付着した分化した細胞を取得する工程、
を含む、in vitroで幹細胞から分化した細胞を取得する方法。
【請求項106】
分化した細胞を、前記複合体から酵素的または化学的分離により単離する、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
分化した細胞を、前記複合体の消化により単離する、請求項105または106に記載の方法。
【請求項108】
下記工程:
(a)請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体上に多能性幹細胞を播種する工程;および
(b)該複合体に付着させながら、該細胞を増殖させる工程、
を含む、in vitroで多能性幹細胞を増殖させる方法。
【請求項109】
請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着した細胞を増殖させることを含む、in vitroで細胞を培養する方法。
【請求項110】
下記工程:
(a)細胞単位とタグを分離する工程;
(b)顕微鏡技術を用いて該タグの1個以上の画像を取得する工程;および
(c)該画像を分析して、該タグの1個以上の特徴を決定する工程、
を含む、細胞単位から得られた、または取得可能なタグを同定する方法。
【請求項111】
細胞に対する複数の培養条件の効果を決定するための、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体の使用。
【請求項112】
微小担体を標識するための桿状タグ(例えば、ナノワイヤー)の使用。
【請求項113】
細胞に対する複数の培養条件の効果を決定するための桿状タグ(例えば、ナノワイヤー)の使用。
【請求項114】
前記タグを微小担体に付着させるか、またはそれに結合させる、請求項113に記載の使用。
【請求項115】
添付の図面を参照して実質的に本明細書に記載された方法、複合体、コンピュータープログラム、装置または使用。
【請求項1】
下記工程:
(a)細胞単位を標識するのに用いられるそれぞれのタグの1個以上のパラメーターを測定する工程;
(b)細胞単位中のそれぞれのタグを同定する工程;ならびに
(c)それぞれのタグの同一性を、細胞単位の同一性および/または細胞単位が曝露された特定の細胞培養条件と相関させる工程、
を含む、2個以上のタグで標識された細胞単位の細胞培養履歴を決定する方法。
【請求項2】
前記方法が、自動化された方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞単位が微小担体に結合するか、または付着する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
微小担体が多孔性であるか、または固体微小担体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
多孔性微小担体が、Cytopore微小担体(例えば、Cytopore 1微小担体またはCytopore 2微小担体)、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
固体微小担体が、Cytodex微小担体(例えば、Cytodex 1、Cytodex 2もしくはCytodex 3微小担体)、Biosilon微小担体、Bioglass微小担体、FACT III微小担体またはDE 52/53微小担体である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記パラメーターが、タグの大きさおよび/またはタグの光学特性である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
光学特性が、光反射率、色、蛍光放出波長および蛍光放出強度からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
目的の視野において細胞単位中のそれぞれのタグの1個以上の画像を測定する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
目的の視野において細胞単位中のそれぞれのタグの1個以上の画像を、顕微鏡を用いて測定する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
顕微鏡が、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、斜照明顕微鏡、暗視野顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、反射コントラスト顕微鏡、バレルコントラスト顕微鏡、偏光顕微鏡、干渉顕微鏡および蛍光顕微鏡からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
目的の視野における細胞単位中のそれぞれのタグの1個以上の画像について、輪郭を描写する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
目的の視野における細胞単位中のそれぞれのタグの1個以上の蛍光画像を測定する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
1個以上の画像(例えば、位相画像)に関する輪郭を、1個以上の蛍光画像上にロードする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
目的の視野における細胞単位中のそれぞれのタグの1個以上の蛍光画像を、該タグを標識するのに用いられるそれぞれのフルオロフォアについて測定する、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
細胞単位中のそれぞれのタグを、1個以上の輪郭内のタグの1個以上のパラメーターを読み取ることにより同定する、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記タグの1個以上のパラメーターが、該タグの面積および/または光学密度である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記タグの1個以上のパラメーターを、スプレッドシートに入力する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
フルオロフォアが、青色、緑色、近赤色または遠赤色の蛍光を放出するフルオロフォアからなる群より選択される、請求項8〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記大きさが、少なくとも3つの異なる大きさ(例えば、5、6または7種の異なる大きさ)から選択される、請求項7〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記大きさが、約1.9μm、約4.4μm、約5.4μm、約5.8μm、約7.4μm、約9.7μmおよび約9.8μmからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
フルオロフォアが、UV2、Starfire RedおよびTRITCからなる群より選択される、請求項8〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
フルオロフォアの量が、5つの異なる量から選択される、請求項8〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
それぞれ異なる量が、約5〜10倍の明るさの差異を与える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも2個の異なるパラメーターが存在する、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
それぞれのパラメーターが、少なくとも5個の異なる整数を有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
それぞれのパラメーターが、それぞれのパラメーターにつき、20個以下の異なる整数を有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
それぞれのパラメーターが、それぞれのパラメーターにつき、50個以下の異なる整数を有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法を実行するためのコンピューター制御用コンピュータープログラムを含む、コンピュータープログラム製品。
【請求項30】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法に従ってデータ処理操作を実行するために操作可能なデータ処理論理を含む、細胞単位の細胞培養履歴を決定するための装置。
【請求項31】
微小担体および帯電した(例えば、負に帯電した)タグを含む複合体。
【請求項32】
微小担体が多孔性微小担体である、請求項31に記載の複合体。
【請求項33】
微小担体が正味の電荷を有する、請求項31または32に記載の複合体。
【請求項34】
前記微小担体が、タンパク質、セルロース、ポリエチレン、ポリスチロール、ガラス、コラーゲン、コラーゲン-グルコース-アミノグリカンおよび/またはゼラチンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項31〜33のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項35】
前記微小担体が、Cytopore微小担体、Cytopore 1微小担体、Cytopore 2微小担体、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択される、請求項31〜34のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項36】
帯電したタグが球体である、請求項31〜35のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項37】
前記球体がミクロスフェアである、請求項36に記載の複合体。
【請求項38】
前記ミクロスフェアが、直径約9μm以下である、請求項37に記載の複合体。
【請求項39】
前記ミクロスフェアが、カルボン酸改変(CML)ミクロスフェアである、請求項37または38に記載の複合体。
【請求項40】
前記タグが、ポリスチレンおよび/またはラテックスを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項31〜39のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項41】
前記複合体(例えば、微小担体)が細胞単位に付着するか、または結合している、請求項31〜40のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項42】
少なくとも1種の抗体が細胞単位に結合する、請求項31〜41のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項43】
微小担体および桿状タグを含む複合体。
【請求項44】
桿状タグがナノワイヤーである、請求項43に記載の複合体。
【請求項45】
ナノワイヤーがアルミニウムナノワイヤーである、請求項44に記載の複合体。
【請求項46】
ナノワイヤーが銀および/または金でコーティングされている、請求項44または45に記載の複合体。
【請求項47】
ナノワイヤーが直径約1μm以下である、請求項44〜46のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項48】
ナノワイヤーが長さ約10μm以下である、請求項44〜47のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項49】
微小担体が多孔性微小担体である、請求項43〜48のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項50】
多孔性微小担体が電荷中性微小担体である、請求項43〜49のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項51】
前記微小担体が、タンパク質、セルロース、ポリエチレン、ポリスチロール、ガラス、コラーゲン、コラーゲン-グルコース-アミノグリカンおよび/またはゼラチンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項43〜50のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項52】
前記微小担体が、Cytopore微小担体、Cytopore 1微小担体、Cytopore 2微小担体、Cultispher微小担体、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体、Informatrix微小担体、Microsphere微小担体、Siran微小担体、ならびにMicroporous MC微小担体からなる群より選択される、請求項43〜51のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項53】
前記複合体(例えば、微小担体)が、細胞単位に付着するか、または結合している、請求項43〜52のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項54】
少なくとも1種の抗体が細胞単位に結合する、請求項43〜53のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項55】
タンパク質を含み、それからなるか、または本質的にそれからなる微小担体と、タグとを含む複合体を、プロテアーゼと接触させる工程を含む、前記複合体を分離する方法。
【請求項56】
前記微小担体が、ゼラチンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記微小担体が、Cultispher微小担体である、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記微小担体が、Cultispher-G微小担体、Cultispher-GL微小担体およびCultispher-S微小担体からなる群より選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記プロテアーゼが、プロテイナーゼK、トリプシン、サーモリシンおよびカスパーゼからなる群より選択される、請求項55〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
プロテイナーゼKを、約0.5U/ml以上の量で用いる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記複合体を、少なくとも20〜60分間、プロテイナーゼKと接触させる、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記複合体を、約5μl以下の容量でプロテアーゼと接触させる、請求項55〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
微小担体とタグとを含む複合体を、酸と接触させる工程を含む、該複合体を分離する方法。
【請求項64】
前記微小担体が多孔性微小担体である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記微小担体が正味の電荷を有する、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記微小担体が、セルロースを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項63〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記微小担体がCytopore微小担体である、請求項63〜66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記微小担体がCytopore 2微小担体である、請求項63〜67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記タグが球体である、請求項63〜68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記球体がミクロスフェアである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記ミクロスフェアが、ポリスチレンを含み、それからなるか、または本質的にそれからなる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記酸が、塩酸、硫酸および次亜塩素酸ナトリウムからなる群より選択される、請求項63〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記酸が、37%塩酸(約12 M)である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記酸が、濃硫酸である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記複合体を、約5μl以下の容量の酸と接触させる、請求項63〜74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記複合体を、前記酸の存在下で加熱する、請求項63〜75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体の使用を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【請求項78】
下記工程:
(a)それぞれ1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;
(e)必要に応じて、工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および
(f)所与の細胞単位が曝露された培養条件に対する効果を評価する工程、
を含み、各細胞単位が、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【請求項79】
下記工程:
(a)それぞれ1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;および
(e)必要に応じて、工程(b)〜(d)を繰り返す工程、
を含み、各細胞単位が、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、種々の細胞培養条件に細胞を曝露する方法。
【請求項80】
下記工程:
(a)それぞれ1個以上の細胞を含む細胞単位群の第1のセットを提供し、該群を所望の培養条件に曝露する工程;
(b)2個以上の該群をプールして、少なくとも1個の第2のプールを形成させる工程;
(c)第2のプールを再分割して、細胞単位群のさらなるセットを作製する工程;
(d)該さらなる群を所望の培養条件に曝露する工程;
(e)必要に応じて、工程(b)〜(d)を繰り返す工程;および
(f)所与の細胞単位が曝露された培養条件に対する効果を評価する工程、
を含み、各細胞単位が、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着するか、またはそれにより結合した1個以上の細胞を含む、細胞に対する複数の培養条件の効果を決定する方法。
【請求項81】
前記細胞を、それぞれ1個以上の細胞を含む細胞単位中で培養する、請求項77〜80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記細胞単位が単一の細胞である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記培養条件が、前記細胞を曝露する培地である、請求項77〜82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記培地が、細胞プロセスに影響する1種以上の特定の薬剤を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記細胞培養条件が、1つ以上の特定の温度で培養することを含む、請求項77〜84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記細胞培養条件が、1種以上の特定の基質上で培養することを含む、請求項77〜85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
下記工程:
a)請求項77〜86のいずれか1項に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;
b)該培養条件に曝露された場合、該細胞単位中での遺伝子発現を分析する工程;および
c)所望の培養条件下で示差的に発現された遺伝子を同定する工程、
を含む、細胞プロセスに影響する遺伝子を同定する方法。
【請求項88】
所望の培養条件が、細胞プロセスに影響する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
請求項87または88に従って遺伝子を同定すること、および核酸合成または生物学的複製により該遺伝子の少なくともコード領域を製造することを含む、細胞プロセスに影響する遺伝子産物をコードする核酸を製造する方法。
【請求項90】
下記工程:
(a)請求項87または88に記載の方法に従って、細胞プロセスと関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および
(b)細胞中での該1個以上の遺伝子の発現を調節する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導する方法。
【請求項91】
細胞中での遺伝子発現の調節が、細胞中への該1個以上の遺伝子のトランスフェクションを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
遺伝子発現の調節が、遺伝子産物の外因性投与を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
下記工程:
(a)請求項87または88に記載の方法に従って、細胞プロセスと関連して示差的に発現される1個以上の遺伝子を同定する工程;および
(b)細胞中の該1個以上の遺伝子の発現の調節を検出することによって、該細胞の細胞プロセスの状態を決定する工程、
を含む、細胞の細胞プロセスの状態を同定する方法。
【請求項94】
前記1個以上の遺伝子が、マーカーをコードする、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記マーカーを、免疫アッセイにより検出することができる、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
下記工程:
(a)請求項77〜86のいずれか1項に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の培養条件の効果を決定する工程;
(b)細胞プロセスを誘導する培養条件に細胞を曝露する工程;および
(c)所望の細胞を単離する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導する方法。
【請求項97】
下記工程:
(a)請求項77〜86のいずれか1項に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;および
(b)細胞単位における細胞プロセスを誘導する薬剤を同定する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導することができる薬剤を同定する方法。
【請求項98】
下記工程:
(a)請求項77〜86のいずれか1項に記載の方法に従って、細胞単位に対する1種以上の薬剤の効果を決定する工程;
(b)細胞単位における所望の細胞プロセスを誘導する薬剤を同定する工程;および
(c)該薬剤を合成または単離する工程、
を含む、細胞プロセスを誘導することができる薬剤を調製する方法。
【請求項99】
細胞プロセスが細胞の増殖または分化である、請求項77〜98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
下記工程:
a)幹細胞培養物をインキュベートする工程;および
b)該培養物を2個以上の群の幹細胞に分割し、該群の幹細胞を2個以上の異なるセットの培養条件下で培養する工程、
を含み、該細胞を、それぞれ、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着したか、またはそれに結合した1個以上の細胞を含む細胞単位中で培養する、幹細胞またはin vitroで幹細胞から誘導された細胞を培養する方法。
【請求項101】
細胞単位が単一の細胞である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖させることを含む、幹細胞を培養する方法。
【請求項103】
前記幹細胞を、培養条件の少なくとも1回の変化に供する、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
培養条件の前記変化が、培地の変化を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
下記工程:
(a)培養培地中で、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着した幹細胞を増殖する工程;
(b)一方の培養培地から他方に前記複合体を移す工程;
(c)必要に応じて、工程(b)を繰り返す工程;および
(d)前記複合体に付着した分化した細胞を取得する工程、
を含む、in vitroで幹細胞から分化した細胞を取得する方法。
【請求項106】
分化した細胞を、前記複合体から酵素的または化学的分離により単離する、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
分化した細胞を、前記複合体の消化により単離する、請求項105または106に記載の方法。
【請求項108】
下記工程:
(a)請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体上に多能性幹細胞を播種する工程;および
(b)該複合体に付着させながら、該細胞を増殖させる工程、
を含む、in vitroで多能性幹細胞を増殖させる方法。
【請求項109】
請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体に付着した細胞を増殖させることを含む、in vitroで細胞を培養する方法。
【請求項110】
下記工程:
(a)細胞単位とタグを分離する工程;
(b)顕微鏡技術を用いて該タグの1個以上の画像を取得する工程;および
(c)該画像を分析して、該タグの1個以上の特徴を決定する工程、
を含む、細胞単位から得られた、または取得可能なタグを同定する方法。
【請求項111】
細胞に対する複数の培養条件の効果を決定するための、請求項31〜54のいずれか1項に記載の複合体の使用。
【請求項112】
微小担体を標識するための桿状タグ(例えば、ナノワイヤー)の使用。
【請求項113】
細胞に対する複数の培養条件の効果を決定するための桿状タグ(例えば、ナノワイヤー)の使用。
【請求項114】
前記タグを微小担体に付着させるか、またはそれに結合させる、請求項113に記載の使用。
【請求項115】
添付の図面を参照して実質的に本明細書に記載された方法、複合体、コンピュータープログラム、装置または使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6−1】
【図6−2】
【図6−3】
【図6−4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6−1】
【図6−2】
【図6−3】
【図6−4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2009−506314(P2009−506314A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527516(P2008−527516)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003186
【国際公開番号】WO2007/023297
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(508057900)プラスティセル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003186
【国際公開番号】WO2007/023297
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(508057900)プラスティセル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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