説明

旋回テーブル装置

【課題】ターンテーブル(20)の回転初期や、回転方向の反転時でも、該ターンテーブル(20)の円滑回転が確保できるようにすると共に、装置全体の小型化を図り、更に、構造の複雑化を防止してコスト高を抑制する。
【解決手段】ワークを装着する為のターンテーブル(20)と、前記ターンテーブル(20)の回転軸と同軸の円状又は円弧状に曲成され、且つ前記ターンテーブルと一体回転するレール部材(29)と、前記レール部材を挟圧する一対の駆動ローラ(5a)(5b)と、一方の駆動ローラ(5a)を回転させる駆動モータ(4)と、各駆動ローラ(5a)(5b)のローラ軸に取り付けられて駆動モータ(4)の回転を他方の駆動ローラ(5b)(5a)に伝達する一対の反転ローラとを具備すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工対象たるワークが載置されたターンテーブルの回転角度を調整する旋回テーブル装置に関するもので、各種ロボット,半導体製造装置,精密機械,工作機械等の各種機械装置に適用される。
【背景技術】
【0002】
この種の旋回テーブル装置として、図5に示す構造のものが知られている(特許文献1)。
このものでは、リニアソレノイド(14)によって、ラック(15)が図5の紙面に対して左右方向に直線駆動されると、該駆動力がラック(15)とピニオン(11)の噛み合い部を介してターンテーブル(10)に伝達されてこれが回転し、これにより、ターンテーブル(10)上の図示しないワークを回転させながら加工装置(図示せず)で加工することができる。
【特許文献1】特開2005−69871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のものでは、ラック(15)とピニオン(11)の製造時の歯切り作業が必要であるから、装置全体のコストアップを招来する。
又、リニアソレノイド(14)の駆動力をラック(15)とピニオン(11)の噛み合い部からターンテーブル(10)側に伝達するから、前記噛み合い部に生じる不可避的なバックラッシュが原因となってターンテーブル(10)の角度制御の精度が低下する。
更に、ターンテーブル(10)の回転初期や回転方向の反転時に、前記噛み合い部ががたつき、ターンテーブル(10)の円滑回転が阻害される。
【0004】
又、ピニオン(11)の外周寸法以上の長さに設定された直線状のラック(15)が必要になることから、ラック(15)に代えて小径歯車を使用するものに比べ、装置全体が大型化する。
尚、他の従来例として、ターンテーブルの中心軸と駆動モータを動力伝達状態に連結する構成のものが広く知られているが、このものでは、駆動モータの回転速度を減速してターンテーブルに伝達する為の減速機構を駆動モータに組み込む必要があることから、その分、構造の複雑化と、コスト高を招来する問題がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みて成されたもので、ターンテーブルの回転初期や、回転方向の反転時でも、該ターンテーブルの円滑回転が確保できるようにすると共に、装置全体の小型化を図り、更に、構造の複雑化を防止してコスト高を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[請求項1に係る発明]
上記課題を解決する為の請求項1に係る発明の解決手段は、
『ワークを装着する為のターンテーブルと、
前記ターンテーブルの回転軸と同軸の円状又は円弧状に曲成され、且つ前記ターンテーブルと一体回転するレール部材と、
前記レール部材を挟圧する一対の駆動ローラと、
一方の前記駆動ローラを回転させる駆動モータと、
前記各駆動ローラのローラ軸に取り付けられて前記駆動モータの回転を他方の駆動ローラに伝達する一対の反転ローラとを具備する』ことである。
上記解決手段によれば、駆動モータによって一方の駆動ローラを回転させると、該回転力が、前記一方の駆動ローラのローラ軸から、一対の反転ローラを介して他方のローラ軸に伝達され、該他方のローラ軸に取り付けられた駆動ローラが回転する。これにより、駆動モータの回転力が両駆動ローラに伝達され、レール部材と両駆動ローラの2つの圧接部に駆動モータの駆動力が伝達される。これにより、レール部材と一体的にターンテーブルが回転する。
上記解決手段によれば、レール部材を挟圧する一対の駆動ローラでターンテーブルを回転させるから、既述従来のようにラック(15)とピニオン(11)を利用するものと相違し、歯切り加工が不要となり、旋回テーブル装置のコストダウンが図れる。
【0007】
又、駆動モータからターンテーブルへの動力伝達経路には、既述従来のように、バックラッシュが生じるピニオン(11)とラック(15)の如き噛み合い部分が存在しない。従って、前記バックラッシュに起因するターンテーブルの角度制御の精度低下が防止できると共に、ターンテーブルの回転初期や、回転方向の反転時でも、ターンテーブルの円滑回転が担保できる。
又、レール部材を挟圧する一対の駆動ローラでターンテーブルを回転させるから、既述従来のもののように、ピニオン(11)の外周寸法以上の長いラック(15)を設ける必要がなく、装置全体の小型化が図れる。
【0008】
[請求項2に係る発明]
請求項1に係る発明に於いて、
『前記一対の駆動ローラは、前記レール部材を前記円の半径方向の内側及び外側から挟圧する構成であり、
前記一対の駆動ローラの外径が等しく設定され、
前記半径方向の外側に位置する駆動ローラのローラ軸に取り付けられた反転ローラの外径をRa1、
前記半径方向の内側に位置する駆動ローラのローラ軸に取り付けられた反転ローラの外径をRb1、
前記円状に曲成されたレール部材の内径をr2、
前記円状に曲成されたレール部材の外径をr1、とした場合、
(Ra1/Rb1)=(r2 /r1)に設定されている』ことである。
このものでは、一対の駆動ローラの外径が等しく設定されていると共に、各反転ローラの外径Ra1、Rb1と、レール部材の内・外径r2、r1の関係が、(Ra1/Rb1)=(r2 /r1)に設定されている。従って、後述の実施の形態で説明する(式1)の説明から明らかなように、レール部材の内周面の周速度と、これに圧接される駆動ローラの周速度が一致し、且つ、レール部材の外周面の周速度と、これに圧接される駆動ローラの周速度が一致する。これにより、動力伝達損失の少ないターンテーブルの駆動が可能となる。
【0009】
[請求項3に係る発明]
請求項1に係る発明に於いて、
『前記一対の駆動ローラは、前記レール部材を前記円の半径方向の内側及び外側から挟圧する構成であり、
前記一対の反転ローラの外径が等しく設定され、
前記半径方向の外側に位置する駆動ローラの外径をRa2、
前記半径方向の内側に位置する駆動ローラの外径をRb2、
前記円状に曲成されたレール部材の内径をr2、
前記円状に曲成されたレール部材の外径をr1、とした場合、
(Rb2/Ra2)=(r2 /r1)に設定されている』ことである。
このものでは、一対の反転ローラの外径が等しく設定されていると共に、レール部材の内・外径r2、r1と、各駆動ローラの外径Rb2、Ra2の関係が、(Rb2/Ra2)=(r2 /r1)に設定されている。従って、後述の実施の形態で記載する(式3)の説明から明らかなように、動力伝達損失の少ないターンテーブルの駆動が可能となる。
【0010】
[請求項4に係る発明]
請求項1〜請求項3に係る発明に於いて、
『前記一対の駆動ローラと前記レール部材の圧接部に潤滑剤が供給される』ものでは、駆動ローラとレール部材の動力伝達が円滑に行なえる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は次の特有の効果を有する。
請求項1に係る発明では、既述したように、ラック(15)とピニオン(11)を利用する従来のものと相違し、歯切り加工が不要となり、旋回テーブル装置のコストダウンが図れる。
又、バックラッシュが生じるピニオン(11)とラック(15)の如き噛み合い部分が存在しないから、既述従来のものに比べてターンテーブルの角度制御の精度が向上すると共に、ターンテーブルの回転初期や、回転方向の反転時でも、ターンテーブルの円滑回転が担保できる。
【0012】
又、レール部材を挟圧する一対の駆動ローラでターンテーブルを回転させるから、既述従来のもののように、ピニオン(11)の外周寸法以上の長いラック(15)を設ける必要がなく、装置全体の小型化が図れる。
更に、所定外径の駆動ローラや反転ローラを使用することにより、ターンテーブルの回転速度を設定することができるから、駆動モータの回転速度を減速する為の特別な減速機構を駆動モータに組み込む必要がない。従って、構造の複雑化が防止でき、この点からも、コスト高を抑えることができる。
【0013】
又、駆動モータの駆動力が、レール部材の両側面に伝達される。従って、レール部材の一方の側面だけに駆動モータの駆動力が伝達される場合に比べ、駆動モータの駆動力がレール部材にバランス良く伝達されるから、ターンテーブルが一層円滑に回転する。
【0014】
請求項2,3に係る発明では、動力伝達損失の少ないターンテーブルの駆動が可能となる。
請求項4に係る発明では、既述したように、駆動ローラとレール部材の動力伝達が円滑に行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本願発明の実施の形態に係る旋回テーブル装置は、固定台(22)に軸受(21)で回転自在に支持された中心軸(23)を備えていると共に、該中心軸(23)の上端に突設されたネジ軸(24)は、円板状のターンテーブル(20)の中心部に形成された軸挿通用の凹部(25)の底壁を貫通している。そして、ネジ軸(24)と、これに螺合される締付ナット(26)によって、ターンテーブル(20)が中心軸(23)に固定されており、これにより、ワークを載置するターンテーブル(20)と中心軸(23)が軸受(21)で支持された状態で一体回転するようになっている。
【0016】
ターンテーブル(20)の下面の外周近傍には回転軸(L)と同軸の円状に曲成されたレール部材(29)が突設されている。
ターンテーブル(20)を回転駆動する摩擦駆動ユニット(A)は、このターンテーブル(20)の下方に位置する固定台(22)の外端近傍に配置されている。
【0017】
図2,3に示すように、摩擦駆動ユニット(A)は、固定台(22)に固定ボルト(28)で固定されるハウジングとなるU字アーム(5)と、U字アーム(5)の2つのアーム部材(50a)(50b)に軸支されてレール部材(29)を所定の挟圧力で挟み込む一対の駆動ローラ(5a)(5b)と、一方のアーム部材(50a)に取り付けられ且つ駆動ローラ(5a)のローラ軸(51a)にジョイント(52)で連結されたパスルモータ等の駆動モータ(4)と、一方のローラ軸(51a)の回転を他方の駆動ローラ(5b)に伝達する一対の反転ローラ(53a)(53b)とを備える。
【0018】
上記U字アーム(5)は、鉄、アルミ、プラスチック等の種々の材質で製作される。このU字アーム(5)の各アーム部材(50a)(50b)は、互いが接離する方向に弾性変形可能であるが、アーム部材(50a)(50b)が弾性変形し易いように各アーム部材(50a)(50b)の基端部(54)が所定の形状又は肉厚等に形成されている。そして、上記2つのアーム部材(50a)(50b)に軸支した一対の駆動ローラ(5a)(5b)間の内幅は、この一対の駆動ローラ(5a)(5b)で挟み込むレール部材(29)の巾よりも若干狭く設定されている。これにより、一対の駆動ローラ(5a)(5b)でレール部材(29)が所定の圧接力で挟圧される。
【0019】
また、U字アーム(5)は、両アーム部材(50a)(50b)の先端部(55a)(55b)を締付ボルト(56)で締結されており、これにより、レール部材(29)に対する駆動ローラ(5a)(5b)の圧接力が調節できるようになっている。上記締付ボルト(56)の頭部には皿バネ(59)等を挿入して締付ボルト(56)の締付力を受けるようにしている。この構成からも、レール部材(29)に対して駆動ローラ(5a)(5b)が弾性的に圧接されるようになっている。上記各アーム部材(50a)(50b)の弾性変形や上記締付ボルト(56)の頭部に介在させた皿バネ(59)等によって、レール部材(29)の真円度や巾の誤差に基づくレール部材(29)と一対の駆動ローラ(5a)(5b)との間の圧接力の過負荷を防ぐことができる。
【0020】
又、図3に示すように、各駆動ローラ(5a)(5b)のローラ軸(51a)(51b)に反転ローラ(53a)(53b)を設けてこの一対の反転ローラ(53a)(53b)が回転伝達可能に圧接されるように配置されている。これにより、一方のアーム部材(50a)に取り付けた駆動モータ(4)により一方の駆動ローラ(5a)を回転すると上記一対の反転ローラ(53a)(53b)を介して他方の駆動ローラ(5b)が逆方向に回転し、これにより、レール部材(29)が駆動ローラ(5a)(5b)で送り出されてターンテーブル(20)が回転するようになっている。
【0021】
本実施の形態では、ターンテーブル(20)の回転時に、前記レール部材(29)の内周面の周速度と一方の駆動ローラ(5b)の周速度が一致し、且つ、前記レール部材(29)の外周面の周速度と他方の駆動ローラ(5a)の周速度が一致するように、各部の寸法が設定されている。具体的には、駆動ローラ(5a)(5b)の外径を等しくしていると共に、ターンテーブル(20)の半径方向の外側に位置する駆動ローラ(5a)のローラ軸(51a)に取り付けられた反転ローラ(53a)の外径(本実施の形態では、半径)をRa1、前記半径方向の内側に位置する駆動ローラ(5b)のローラ軸(51b)に取り付けられた反転ローラ(53b)の外径(本実施の形態では、半径)をRb1、レール部材(29)の外半径(ターンテーブル(20)の回転中心線たる回転軸(L)からの距離)をr1、内半径をr2とした場合、
(Ra1/Rb1)=(r2 /r1) ・・・(式1)
に設定している。
(式1)は次のようにして求められる。
図3,図4に示すように、内外の駆動ローラ(5b)(5a)の半径を、夫々、Rb2,Ra2とし、外側の駆動ローラ(5a)がθ2、内側の駆動ローラ(5b)がθ3だけ回転することにより、ターンテーブル(20)がθ1だけ回転したとする。
すると、「r1×θ1=Ra2×θ2」,「r2×θ1=Rb2×θ3」,「Rb1×θ3=Ra1×θ2」であるから、
r2/r1=(Rb2/Ra2)×(Ra1/Rb1)・・・(式2)
となる。
又、本実施の形態では「Rb2=Ra2」に設定しているから、これらの関係から、(式1)が得られる。
【0022】
図3に示すように、上記駆動ローラ(5a)(5b)のローラ軸(51a)(51b)は、ローラベアリング等の軸受(58a)(58b)で回転可能にアーム部材(50a)(50b)内に軸支されている。上記駆動ローラ(5a)(5b)及び上記反転ローラ(53a)(53b)は、例えば、焼入研磨された金属等のほか、エンジニアリングプラスチック、ウレタン等の素材から製作することができる。そして、駆動ローラ(5a)(5b)は、例えば、ベアリング鋼の焼入研磨によりローラ軸(51a)(51b)と一体に製作されるが、ローラ軸(51a)(51b)と別に製作して組付けるようにしてもよい。また、ローラ軸(51a)(51b)自体で駆動ローラ(5a)(5b)を構成してもよい。
このものでは、アーム部材(50a)(50b)の弾性力によって駆動ローラ(5a)(5b)がレール部材(29)を挟圧した状態で、反転ローラ(53a)(53b)が互いに圧接されるように各部の寸法が設定されている。
【0023】
また、各アーム部材(50a)(50b)の構成壁には、トラクションオイル(このオイルは、ローラ(5a)(5b)(53a)(53b)が金属の場合に有効である)等の潤滑剤をフエルトや連続気泡の発泡材等に含浸させた含油層(6)を設け、この含油層(6)に細いフエルト(60)を差し込み、このフエルト(60)の先を駆動ローラ(5a)(5b)及び反転ローラ(53a)(53b)にそれぞれ接触させている。従って、フエルト(60)の毛管現象によりローラ回転時のみに駆動ローラ(5a)(5b)及び反転ローラ(53a)(53b)のそれぞれに極少量ずつ潤滑剤が給油される。これにより、駆動ローラ(5a)(5b)、反転ローラ(53a)(53b)、レール部材(29)等の各部を潤滑剤によるセミドライ状態として摩擦伝達を行えるようにしている。この潤滑剤の給油によって駆動ローラ(5a)(5b)、及び、レール部材(29)、反転ローラ(53a)(53b)等のフレッティングが防止される。
【0024】
本実施の形態に係る旋回テーブル装置では、U字アーム(5)において、駆動ローラ(5a)(5b)を設けた各アーム部材(50a)(50b)が互いに接離する方向に弾性変形し易いように設計されているので、レール部材(29)に取り付けると、各アーム部材(50a)(50b)の弾性力を受けて一対の駆動ローラ(5a)(5b)が同じ挟圧力でレール部材(29)を両側から挟圧することとなる。この摩擦駆動ユニット(A)が駆動しているときも、一対の駆動ローラ(5a)(5b)が同じ圧接力でレール部材(29)を挟み込むこととなる。しかも、各アーム部材(50a)(50b)が弾性変形し易い構造となっているため、駆動ローラ(5a)(5b)やレール部材(29)面が摩耗しても、その摩耗分、各アーム部材(50a)(50b)が接近して駆動ローラ(5a)(5b)とレール部材(29)との間に安定して挟圧力を作用させる。
【0025】
また、両アーム部材(50a)(50b)の先端部(55a)(55b)を締結させた締付ボルト(56)及び皿バネ(59)によってこの駆動ローラ(5a)(5b)のレール部材(29)に対する挟圧力を調節できるようになっている。これにより、一対の駆動ローラ(5a)(5b)は、レール部材(29)に対して内外周側から同じ挟圧力を安定して作用させることができ、しかも一対の反転ローラ(53a)(53b)によって一対の駆動ローラ(5a)(5b)で同じ回転駆動力がレール部材(29)の内外周側から伝達される。
【0026】
従って、レール部材(29)の一方の側面だけに駆動モータ(4)の駆動力が伝達される場合に比べ、駆動モータ(4)の駆動力がレール部材(29)にバランス良く伝達されるから、ターンテーブル(20)が円滑に回転する。
このものでは、一対の駆動ローラでレール部材を挟圧するから、ピニオン(11)とラック(15)を利用する既述従来のもののようにバックラッシュが生じる余地がない。従って、ターンテーブル(20)の回転初期や、回転方向の反転時でも駆動ローラ(5a)(5b)からレール部材(29)側に直ちに駆動力が伝達され、これにより、ターンテーブル(20)が円滑に回転する。又、前記ラック(15)等の歯切り加工が不要になる分、コスト高を抑えることができる。
【0027】
又、レール部材(29)を挟圧する一対の駆動ローラ(5a)(5b)でターンテーブル(20)を回転させるから、既述従来のもののように、ピニオン(11)の外周寸法以上の長いラック(15)を設ける必要がなく、これにより、装置全体の小型化が図れる。
【0028】
尚、上記実施の形態では、一方の駆動ローラ(5a)の半径Ra2と他方の駆動ローラ(5b)の半径Rb2を等しくする一方、前記駆動ローラ(5a)に対応する反転ローラ(53a)の半径Ra1 と駆動ローラ(5b)に対応する反転ローラ(53b)の半径Rb1の関係を(式1)のように設定した。これに対し、一方の反転ローラ(53a)の半径Ra1 と他方の反転ローラ(53b)の半径Rb1を等しくする一方、反転ローラ(53a)に対応する駆動ローラ(5a)の半径Ra2と他方の反転ローラ(53b)に対応する駆動ローラ(5b)の半径Rb2の関係を、
r2/r1=Rb2/Ra2 ・・・(式3)
のように設定しても、駆動ローラ(5a)(5b)とレール部材(29)とのスリップを防止することができる。(式3)は、(式2)に於いて、Ra1とRb1を等しくすれば得られる。
尚、上記実施の形態では、レール部材(29)を回転軸(L)と同軸の円状に構成したが、該レール部材(29)を回転軸(L)と同軸の円弧状に構成し、ターンテーブル(20)が円弧の往復運動を行なうようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る旋回テーブル装置の断面図
【図2】本発明の実施の形態に係る旋回テーブル装置に於ける、摩擦駆動ユニット(A)の配設部の拡大底面図
【図3】本発明の実施の形態に係る旋回テーブル装置に於ける、摩擦駆動ユニット(A)の配設部の拡大断面図
【図4】本発明の実施の形態に係る旋回テーブル装置に於けるターンテーブル(20)と駆動ローラ(5a)(5b)の関係を示す底面図
【図5】従来例の説明図
【符号の説明】
【0030】
(5a)(5b)・・・駆動ローラ
(20)・・・ターンテーブル
(29)・・・レール部材
(40)・・・駆動モータ
(51a)(51b)・・・ローラ軸
(53a)(53b)・・・反転ローラ
(W)・・・ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを装着する為のターンテーブルと、
前記ターンテーブルの回転軸と同軸の円状又は円弧状に曲成され、且つ前記ターンテーブルと一体回転するレール部材と、
前記レール部材を挟圧する一対の駆動ローラと、
一方の前記駆動ローラを回転させる駆動モータと、
前記各駆動ローラのローラ軸に取り付けられて前記駆動モータの回転を他方の駆動ローラに伝達する一対の反転ローラとを具備する、旋回テーブル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の旋回テーブル装置に於いて、
前記一対の駆動ローラは、前記レール部材を前記円の半径方向の内側及び外側から挟圧する構成であり、
前記一対の駆動ローラの外径が等しく設定され、
前記半径方向の外側に位置する駆動ローラのローラ軸に取り付けられた反転ローラの外径をRa1、
前記半径方向の内側に位置する駆動ローラのローラ軸に取り付けられた反転ローラの外径をRb1、
前記円状に曲成されたレール部材の内径をr2、
前記円状に曲成されたレール部材の外径をr1、とした場合、
(Ra1/Rb1)=(r2 /r1)に設定されている、旋回テーブル装置。
【請求項3】
請求項1に記載の旋回テーブル装置に於いて、
前記一対の駆動ローラは、前記レール部材を前記円の半径方向の内側及び外側から挟圧する構成であり、
前記一対の反転ローラの外径が等しく設定され、
前記半径方向の外側に位置する駆動ローラの外径をRa2、
前記半径方向の内側に位置する駆動ローラの外径をRb2、
前記円状に曲成されたレール部材の内径をr2、
前記円状に曲成されたレール部材の外径をr1、とした場合、
(Rb2/Ra2)=(r2 /r1)に設定されている、旋回テーブル装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の旋回テーブル装置に於いて、
前記一対の駆動ローラと前記レール部材の圧接部に潤滑剤が供給される、旋回テーブル装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−178931(P2008−178931A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13298(P2007−13298)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】