説明

日焼け止め組成物

本発明は、特定のポリウレタンを含有する、皮膚に適用するための日焼け止め組成物、および前記ポリウレタンの日焼け止め組成物を製造するための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリウレタンを含んでなる、皮膚に適用するための日焼け止め組成物、および前記ポリウレタンの日焼け止め製品を製造するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
長年、日焼けした皮膚は、魅力があり健康的でスポーティーな成功した人々と同義語であった。日焼けするために、人々は皮膚を太陽光に曝す。しかしながら、太陽光は、その波長に依存して様々な深さまで皮膚に侵入するので、皮膚に悪影響を及ぼす。UVB領域(波長:280〜320nm)内のより短い波長の放射線は、皮膚最上層に達する。UVB領域内の放射線は、日焼けをもたらし、皮膚癌の危険性を高める原因となる。より長い波長のUVA放射線(波長:320〜400nm)は、より深い皮膚層まで侵入する。UVA放射線は、皮膚の組織および強度にとって非常に重要であるコラーゲンおよびエラスチン繊維の損傷をもたらす。UVA放射線は更に、皮膚の早期老化(しわの形成、皮膚の不規則な起伏など)をもたらす。日射から皮膚を保護するために、光保護フィルター成分が開発されており(Cosmetics OrdinanceのAnnex 7のようなポジティブリストの形態で含まれている、UVAフィルターおよびUVBフィルター)、それらは、化粧用組成物および皮膚用組成物に使用されている。
【0003】
日焼け止め製品はしばしば、休日に、または海岸での余暇時間に、または屋外でのスポーツ活動の際に使用され、このとき身体は水または汗と接触する。従って、水および/または汗に耐性のある日焼け止め組成物を開発する必要性が存在する。そのような製品は、例えば油中水(W/O)型エマルションのような選択された技術を使用することによって、または例えばアルキル化ポリビニルピロリドンのような疎水性フィルム形成剤を使用することによって、製造できる。
【0004】
日焼け止め組成物へのポリウレタンの使用は、従来技術で既に記載されている。DE 10223693は、3−イソシアナトメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル−1−イソシアネートおよび多価アルコール、グリセリド、ヒドロキシエステル、シリコーン誘導体および/またはアミンの重付加から生成されるポリウレタンの使用を記載している。EP 1214929は、フィルムを形成する水溶性または水分散性ポリウレタンの、少なくとも1種のUVフィルターを含んでなる化粧用組成物または皮膚用組成物の耐水性を改善するための使用を記載している。US 2003044364は、ポリウレタンの、日焼け止め組成物の耐水性を改善するための使用を記載している。
【0005】
しかしながら、従来技術の日焼け止め製品は一連の欠点を有する。
・耐水性W/O型エマルションは伸ばしにくく、適用後に不快なワックス様の皮膚感触を残す。
・疎水性フィルム形成剤の使用は、日焼け止め組成物の皮膚感触を大きく変える。皮膚上に伸ばす際、組成物はしばしば小球を形成し(いわゆるボーリング効果(balling effect))、粘着性の油っぽくべたついた皮膚感触を残す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 10223693
【特許文献2】EP 1214929
【特許文献3】US 2003044364
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、優れた耐水性を有する化粧用または皮膚用日焼け止め組成物を開発することである。しかしながら同時に、他の重要な特性、例えば、適用しやすいこと、付け心地が良いこと、べたつかない皮膚感触、および小球が形成されないことも軽視すべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
意外にも、この目的は、1種以上の水不溶性非水分散性イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー(A)と1種以上のアミノ官能性化合物(B)との反応により得られる特定のポリウレタンまたはその水性分散体を使用することによって達成される。
【0009】
従って、本発明は、1種以上の水不溶性非水分散性イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー(A)と1種以上のアミノ官能性化合物(B)との反応により得られる少なくとも1種のポリウレタンを含んでなる日焼け止め組成物を提供する。
【0010】
更に本発明は、イオン基もイオノゲン基も本質的に含有しない1種以上のイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー(A)と1種以上のアミノ官能性化合物(B)との反応により得られる少なくとも1種のポリウレタンを含んでなる日焼け止め組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、用語「水不溶性非水分散性ポリウレタンプレポリマー」とは、特に、本発明で使用するプレポリマーの23℃での水への溶解度が10g/L未満、より好ましくは5g/L未満であり、プレポリマーが23℃で水(特に脱イオン水)中で沈降安定分散体を生じないことを意味する。換言すれば、プレポリマーを水に分散させようとすると、プレポリマーは沈降する。
【0012】
好ましくは、本発明で使用するポリウレタンプレポリマー(A)は、末端イソシアネート基を含有する。即ち、イソシアネート基は、プレポリマーの鎖末端に存在する。ポリマーの鎖末端の全てがイソシアネート基を含有することが特に好ましい。
【0013】
更に、本発明で使用するポリウレタンプレポリマー(A)は、好ましくは、イオン基もイオノゲン基(イオン基を形成できる基)も本質的に含有しない。即ち、イオン基およびイオノゲン基の含量は、ポリウレタンプレポリマー(A)100gあたり、好適には15ミリグラム当量未満、好ましくは5ミリグラム当量未満、より好ましくは1ミリグラム当量未満、特に好ましくは0.1ミリグラム当量未満である。
【0014】
アミノ官能性化合物(B)は、好ましくは、第一級および/または第二級のアミンおよび/またはジアミンから選択される。特に、アミノ官能性化合物(B)は少なくとも1種のジアミンを含有する。アミノ官能性化合物(B)は、好ましくは、イオン基またはイオノゲン基を含有するアミノ官能性化合物(B2)並びにイオン基またはイオノゲン基を含有しないアミノ官能性化合物(B1)から選択される。
【0015】
本発明の特に好ましい態様では、アミノ官能性化合物(B)は、イオン基および/またはイオノゲン(イオン形成)基を含有する少なくとも1種のアミノ官能性化合物(B2)を含有する。使用されるイオン基および/またはイオノゲン基は、特に好ましくはスルホネート基またはスルホン酸基、より好ましくはスルホン酸ナトリウム基である。
【0016】
本発明の更に好ましい態様では、アミノ官能性化合物(B)は、イオン基および/またはイオノゲン基を含有するアミノ官能性化合物(B2)とイオン基もイオノゲン基も含有しないアミノ官能性化合物(B1)の両方を含有する。
【0017】
従って、本発明におけるポリウレタンは、ウレタン基:
【化1】

を含有する反復単位を少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個含有するポリマー化合物である。
【0018】
本発明によれば、イソシアネート末端プレポリマー(A)とアミノ官能性化合物(B)との反応で特に形成されるようなウレア基:
【化2】

を含有する反復単位も調製の結果として含有するポリウレタンも包含される。
【0019】
本発明の日焼け止め組成物は、好ましくは、水含有組成物、即ち水性組成物であり、ポリウレタンは分散状態で存在し、即ち、本質的に溶解状態では存在しない。一般に、存在し得る他の液状媒体(例えば溶媒)に加えて、水は、本発明の化粧用組成物中の液状分散媒体の総量に基づいて、分散媒体の主な構成要素(50重量%超)を形成し、場合によっては、単独の液状分散媒体を形成することもある。
【0020】
本発明の日焼け止め組成物は、日焼け止め組成物に基づいて、好ましくは80重量%未満、より好ましくは55重量%未満、特に好ましくは40重量%未満の揮発性有機化合物(VOC)含量を有する。
【0021】
本発明の日焼け止め組成物の製造に使用するポリウレタン水性分散体は、ポリウレタン水性分散体に基づいて、好ましくは10重量%未満、より好ましくは3重量%未満、特に好ましくは1重量%未満の揮発性有機化合物(VOC)含量を有する。
【0022】
揮発性有機化合物(VOC)含量は、本発明では、特にガスクロマトグラフィー分析によって測定する。
【0023】
本発明で使用する水不溶性非水分散性イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーは、イオン基もイオノゲン基も本質的に含有しない。水への分散性の欠如および/または水への不溶性は、界面活性剤の添加を伴わない脱イオン水に関する。これは、本発明では、イオン基および/またはイオノゲン(イオン形成)基(特に、例えばカルボキシレートまたはスルホネートのようなアニオン基、またはカチオン基)の割合が、ポリウレタンプレポリマー(A)100gあたり、15ミリグラム当量未満、好ましくは5ミリグラム当量未満、より好ましくは1ミリグラム当量未満、特に好ましくは0.1ミリグラム当量未満であることを意味する。
【0024】
酸のイオン基および/またはイオノゲン基の場合、プレポリマーの酸価は、好ましくは30mgKOH/(プレポリマー1g)未満、より好ましくは10mgKOH/(プレポリマー1g)未満である。酸価は、調べる試料1gを中和するために必要な水酸化カリウムの質量(単位:mg)を示す(DIN EN ISO 211に従った測定)。中和された酸、即ち対応する塩は通常、酸価を有さないかまたは低下された酸価を有する。本発明によれば、ここでは、対応する遊離酸の酸価が重要である。
【0025】
ポリウレタンの調製に使用するプレポリマー(A)は、後により詳細に説明するように、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールからなる群から選択される1種以上のポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる。
【0026】
従って、本発明の日焼け止め組成物中に存在するポリウレタンは、好ましくは、ポリエーテル配列、ポリカーボネート配列、ポリエーテルポリカーボネート配列およびポリエステル配列からなる群から選択される少なくとも1種の配列を、プレポリマー(A)を介して含んでなる。本発明によれば、これは、特に、ポリウレタンがエーテル基および/またはカーボネート基またはエステル基を含有する反復単位を含有することを意味する。該ポリウレタンは、例えば、もっぱらポリエーテル配列を、またはもっぱらポリカーボネート配列を、またはもっぱらポリエステル配列を含有できる。しかしながら、該ポリウレタンは、後により詳細に記載するように、例えばポリエーテルジオールを用いてポリカーボネートポリオールを調製する際に生じるように、ポリエーテル配列とポリカーボネート配列の両方を含有することもできる。加えて、該ポリウレタンは、後により詳細に記載するように、ポリエーテルポリカーボネートポリオールの使用に起因するポリエーテルポリカーボネート配列を含有することもできる。
【0027】
特に好ましいポリウレタンは、ポリマーポリエーテルポリオールおよび/またはポリマーポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエーテルポリカーボネートポリオールまたはポリエステルポリオール(これらは各々、好ましくは約400〜約6000g/molの数平均分子量を有する。この分子量および後の分子量データについては、23℃でテトラヒドロフラン中、ポリスチレン標準に対してゲル浸透クロマトグラフィーにより測定する。)を用いて得られる。ポリウレタンまたはポリウレタンプレポリマーの調製の際にそれらを使用すると、ポリイソシアネートと反応し、対応するポリエーテル配列および/またはポリカーボネート配列および/またはポリエーテルポリカーボネート配列またはポリエステル配列が、これら配列の対応する分子量を有するポリウレタン中に形成される。本発明によれば、直鎖構造を有するポリマーポリエーテルジオールおよび/またはポリマーポリカーボネートジオールおよび/またはポリエーテルポリカーボネートポリオールまたはポリエステルポリオールから得られるポリウレタンが特に好ましい。
【0028】
本発明のポリウレタンは、好ましくは本質的に直鎖分子であり、あまり好ましくはないが分枝であってもよい。
【0029】
本発明で好ましく使用するポリウレタンの数平均分子量は、例えば約1000〜200,000、好適には5000〜150,000である。
【0030】
本発明の日焼け止め組成物中に存在するポリウレタンは、特に水性分散体として、特定の組成物に添加される。
【0031】
本発明で使用する好ましいポリウレタンまたはポリウレタン分散体は、
(A)(A1)有機ポリイソシアネート、
(A2)好ましくは400〜8000g/mol、より好ましくは400〜6000g/mol、特に好ましくは600〜3000g/molの数平均分子量(この分子量および後の分子量データについては、23℃でテトラヒドロフラン中、ポリスチレン標準に対してゲル浸透クロマトグラフィーにより測定する。)を有し、好ましくは1.5〜6、より好ましくは1.8〜3、特に好ましくは1.9〜2.1のOH官能価を有する、ポリマーポリオール、
(A3)任意に、好ましくは62〜399g/molの分子量を有する、ヒドロキシ官能性化合物、および
(A4)任意に、非イオン性親水化剤
からイソシアネート官能性プレポリマーを調製し、次いで、
(B)それらの遊離NCO基の一部または全てと1種以上のアミノ官能性化合物(B)(例えば第一級および/または第二級のアミンおよび/またはジアミン)とを反応させる
ことによって得られる。
【0032】
本発明で使用するポリウレタンは、好ましくは、工程(B)の前、工程(B)の間、または工程(B)の後に、水に分散させる。
【0033】
工程(B)における1種または2種またはそれ以上のジアミンとの反応は、特に好ましくは、連鎖延長を伴って起こる。これに関連して、単官能性アミンを連鎖停止剤として付加的に添加して、分子量を調節できる。
【0034】
成分(B)として、特に、アニオン性親水化基のようなイオン基もイオノゲン基も含有しないアミン(以下、成分B1)を使用でき、特にアニオン性親水化基のようなイオン基またはイオノゲン基を含有するアミン(以下、成分B2)を使用できる。
【0035】
好ましくは、プレポリマーの反応である工程(B)において、成分(B1)と成分(B2)の混合物を反応させる。成分(B1)を使用することにより、先に調製したイソシアネート官能性プレポリマーの粘度を配合の妨げになる程度まで上昇させることなく、モル質量を大きくすることができる。成分(B1)と成分(B2)の混合物を使用することにより、親水性と鎖長の最適なバランスを達成することができ、即ち好ましい皮膚感触を確立することができる。
【0036】
本発明で使用するポリウレタンは、好ましくはアニオン基、好適にはスルホネート基を含有する。該アニオン基は、工程(B)で反応させるアミン成分(B2)を介して、本発明で使用するポリウレタンに導入される。本発明で使用するポリウレタンは、任意に付加的に、親水化のために非イオン性成分を含有してよい。親水化のために、本発明で使用するポリウレタン中にもっぱらスルホネート基が存在することが、特に好ましい。スルホネート基は、成分(B2)としての対応するジアミンを介して、ポリウレタンに導入される。
【0037】
良好な沈降安定性を達成するために、特定のポリウレタン分散体の数平均粒度は、好ましくは750nm未満、特に好ましくは500nm未満である。該粒度は、脱イオン水で希釈後、レーザー相関分光法を用いて測定される(機器:Malvern Zetasizer 1000, Malvern Inst. Limited)。
【0038】
本発明の日焼け止め組成物の製造に好ましく使用するポリウレタン分散体の固形分は、一般に10〜70重量%、好ましくは30〜65重量%、特に好ましくは40〜60重量%である。固形分は、重量測定した試料を恒量になるまで125℃で加熱することにより確かめる。恒量で試料の重量を再度測定することによって、固体含量を計算する。
【0039】
ポリウレタン分散体は、分散体の質量に基づいて、好ましくは5重量%未満、特に好ましくは0.2重量%未満の未結合有機アミンを含有する。日焼け止め組成物中の未結合有機アミンの含量は、対応して、更により少ない。
【0040】
適当な成分(A1)のポリイソシアネートは、特に、当業者にそれ自体知られている、2以上のNCO官能価を有する、脂肪族、芳香族または脂環式のポリイソシアネートである。
【0041】
そのような適当なポリイソシアネートの例は、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたはそれらの所望の異性体含量の混合物、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートおよび/または2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(2−イソシアナトプロプ−2−イル)ベンゼンおよび/または1,4−ビス(2−イソシアナトプロプ−2−イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、およびC1〜C8アルキル基を含有するアルキル 2,6−ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)である。
【0042】
前記ポリイソシアネートに加えて、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造を含有し、かつ2以上の官能価を有する変性ジイソシアネート、またはそれらのある割合の混合物を使用することもできる。
【0043】
それらは好適には、もっぱら脂肪族的または脂環式的に結合したイソシアネート基或いはそれらの混合物を含有し、2〜4、好ましくは2〜2.6、特に好ましくは2〜2.4、極めて特に好ましくは2の混合の平均NCO官能価を有する、前記した種類のポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物である。
【0044】
ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートまたは異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、および前記ジイソシアネートの混合物を、成分(A1)として特に好ましく使用する。
【0045】
成分(A2)として、好ましくは400〜8000g/mol、より好ましくは400〜6000g/mol、特に好ましくは600〜3000g/molの数平均分子量Mを有するポリマーポリオールを使用する。それらは、好ましくは1.5〜6、特に好ましくは1.8〜3、極めて特に好ましくは1.9〜2.1のOH官能価を有する。
【0046】
表現「ポリマー」ポリオールとは、本発明では特に、特定のポリオールが少なくとも2個、より好ましくは少なくとも3個の結合反復単位を含有することを意味する。
【0047】
そのようなポリマーポリオールは、ポリウレタン被覆技術でそれ自体知られている、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリカーボネートポリオールである。ポリマーポリオールは、成分(A2)として、単独でまたは互いの所望の混合物として使用できる。
【0048】
好ましく使用するポリエステルポリオールは、ジオールおよび任意にトリオールおよび任意にテトラオールと、ジカルボン酸および任意にトリカルボン酸および任意にテトラカルボン酸またはジヒドロキシカルボン酸および任意にトリヒドロキシカルボン酸および任意にテトラヒドロキシカルボン酸またはジラクトンおよび任意にトリラクトンおよび任意にテトララクトンとの、それ自体知られている重縮合物である。遊離ポリカルボン酸に代えて、対応するポリカルボン酸無水物、または低級アルコールとの対応するポリカルボン酸エステルを使用して、ポリエステルを調製することもできる。
【0049】
適当なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、および1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール(1,3)、ブタンジオール(1,4)、ヘキサンジオール(1,6)および各種異性体、ネオペンチルグリコールまたはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルであり、ヘキサンジオール(1,6)および各種異性体、ブタンジオール(1,4)、ネオペンチルグリコールおよびヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルが好ましい。加えて、ポリオール、例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートを使用することもできる。
【0050】
使用できるジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2−メチルコハク酸、3,3−ジエチルグルタル酸および/または2,2−ジメチルコハク酸である。対応する無水物を、酸の供給源として使用することもできる。
【0051】
エステル化されるポリオールの平均官能価が2を超えるならば、モノカルボン酸、例えば安息香酸およびヘキサンカルボン酸を付加的に併用してもよい。
【0052】
好ましい酸は、前記した種類の脂肪族酸または芳香族酸である。アジピン酸、イソフタル酸およびフタル酸が特に好ましい。
【0053】
末端ヒドロキシル基含有ポリエステルポリオールの調製において反応体として併用できるヒドロキシカルボン酸は、例えば、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸などである。適当なラクトンは、カプロラクトン、ブチロラクトンおよび同族体である。カプロラクトンが好ましい。
【0054】
本発明によれば、ポリウレタンの調製に特に好ましい成分(A2)は、600〜3000g/molの数平均分子量を有するポリエステルポリオール、特に脂肪族カルボン酸と脂肪族ポリオールとに基づく(とりわけアジピン酸と例えばヘキサンジオールおよび/またはネオペンチルグリコールのような脂肪族アルコールとに基づく)脂肪族ポリエステルポリオールである。
【0055】
好ましくは400〜8000g/mol、より好ましくは600〜3000g/molの数平均分子量Mを有するヒドロキシル基含有ポリカーボネート(好ましくはポリカーボネートジオール)を、成分(A2)として使用することもできる。それらは、カルボン酸誘導体(例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲン)とポリオール(好ましくはジオール)との反応によって得ることができる。
【0056】
そのようなジオールの例は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、および前記した種類のラクトン変性ジオールである。
【0057】
好適には、ジオール成分は、40〜100重量%のヘキサンジオールを含んでなる。1,6−ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体が好ましい。そのようなヘキサンジオール誘導体は、ヘキサンジオールに基づき、末端OH基に加えてエステル基またはエーテル基を含有する。そのような誘導体は、ヘキサンジオールと過剰カプロラクトンとの反応によって、或いはジへキシレングリコールまたはトリへキシレングリコールを与えるヘキサンジオール同士のエーテル化によって得られる。
【0058】
純ポリカーボネートポリオールに代えてまたは加えて、ポリエーテルポリカーボネートジオールを成分(A2)として使用することもできる。
【0059】
ヒドロキシル基含有ポリカーボネートは、好ましくは直鎖構造を有する。
【0060】
ポリエーテルポリオールを、成分(A2)として使用することもできる。
【0061】
例えば、カチオン開環によるテトラヒドロフランの重合を介して得られるような、ポリウレタン化学でそれ自体知られているポリテトラメチレングリコールポリエーテルが特に適している。
【0062】
同様に適当なポリエーテルポリオールは、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンの二官能性または多官能性スターター分子へのそれ自体知られている付加物である。即ち、特にポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび/またはポリブチレングリコール、とりわけ前記した好ましい分子量を有するものを使用することができる。
【0063】
使用できる適当なスターター分子は、従来技術で知られている化合物の全て、例えば、水、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ソルビトール、エチレンジアミン、トリエタノールアミン 1,4−ブタンジオールである。
【0064】
成分(A2)として特に好ましい成分は、ポリテトラメチレングリコールポリエーテルおよびポリカーボネートポリオールおよびそれらの混合物、とりわけ好ましくはポリテトラメチレングリコールポリエーテルである。
【0065】
従って、本発明の好ましい態様では、成分(A2)は、
・少なくとも1種のポリエーテルポリオールおよび少なくとも1種のポリカーボネートポリオールを含んでなる混合物、
・1種以上のポリエーテルポリオールを含んでなる混合物、または分子量の異なる2種以上のポリエーテルポリオールの混合物(ポリエーテルポリオールは特にポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオール、例えばHO−(CH−CH−CH−CH−O)−H)である。)、
・1種以上のポリエーテルポリオールおよび少なくとも1種のポリカーボネートポリオールを含んでなる混合物、および
・600〜3000g/molの数平均分子量を有する特に好ましいポリエステルポリオール、とりわけ脂肪族カルボン酸と脂肪族ポリオールとに基づく(特にアジピン酸と例えばヘキサンジオールおよび/またはネオペンチルグリコールのような脂肪族アルコールとに基づく)脂肪族ポリエステルポリオール
であり、定義に従った成分(A)はイオン基もイオノゲン基も本質的には含有しない。
【0066】
成分(A3)として、20個までの炭素原子を含有し、特定の好ましい分子量範囲(62〜399mol/g)を有するポリオール(特に非ポリマーポリオール)、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリスリトールおよびそれらの所望の混合物を所望通りに使用することができる。
【0067】
特定の分子量範囲を有するエステルジオール、例えば、α−ヒドロキシブチルε−ヒドロキシカプロン酸エステル、ω−ヒドロキシヘキシルγ−ヒドロキシ酪酸エステル、アジピン酸(β−ヒドロキシエチル)エステルまたはテレフタル酸ビス(β−ヒドロキシエチル)エステルも適している。
【0068】
加えて、成分(A3)として、単官能性イソシアネート反応性ヒドロキシル基含有化合物を使用することもできる。そのような単官能性化合物の例は、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノールである。
【0069】
本発明の1つの好ましい態様では、本発明に従って使用するポリウレタンは、各々の場合にポリウレタンの総質量に基づいて、約10重量%未満の成分(A3)、好ましくは5重量%未満の成分(A3)を含んでなり、ポリウレタンの調製に成分(A3)を使用しないことが更に好ましい。
【0070】
本発明に従って使用するポリウレタンを調製するために、1種以上の特にイソシアネート反応性の非イオン性親水化剤を、任意に、成分(A4)として使用してよい。成分(A4)として使用する親水化剤は、特に、成分(A2)および(A3)とは異なる。
【0071】
成分(A4)として適当な非イオン性親水化化合物は、例えば、イソシアネート反応性基(例えば、ヒドロキシ基、アミノ基またはチオール基)含有ポリオキシアルキレンエーテルである。適当なスターター分子のアルコキシル化によってそれ自体知られている方法で入手可能であるような、統計的平均で一分子あたり5〜70個、好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を含有するモノヒドロキシ官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールが好ましい(例えば、Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie [Ullmanns encyclopaedia of industrial chemistry], 第4版、第19巻、Verlag Chemie, ヴァインハイム、第31〜38頁)。これらは、純ポリエチレンオキシドエーテルまたは混合ポリアルキレンオキシドエーテルのいずれかであり、混合ポリアルキレンオキシドエーテルは、存在するアルキレンオキシド単位の全てに基づいて、少なくとも30mol%、好ましくは少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位を含有する。
【0072】
特に好ましい非イオン性化合物は、40〜100mol%のエチレンオキシド単位および0〜60mol%のプロピレンオキシド単位を含有する単官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0073】
そのような非イオン性親水化剤に適したスターター分子は、特に、飽和モノアルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール(各種異性体)、ヘキサノール(各種異性体)、オクタノール(各種異性体)およびノナノール(各種異性体)、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール(各種異性体)またはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル))、不飽和アルコール(例えば、アリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール)、芳香族アルコール(例えば、フェノール、クレゾール(各種異性体)またはメトキシフェノール(各種異性体))、芳香脂肪族アルコール(例えば、ベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコール)、第二級モノアミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチル−およびN−エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン)、並びに複素環式第二級アミン(例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾール)である。好ましいスターター分子は、前記した種類の飽和モノアルコールである。スターター分子として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはn−ブタノールを使用することが特に好ましい。
【0074】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、それらは、任意の順でまたは混合物としてアルコキシル化反応に使用できる。
【0075】
成分(B)は、好ましくは、第一級または第二級のアミンおよび/またはジアミンから選択される。成分(B)は、特にジアミンを含有する。
【0076】
成分(B)として、特に、アニオン性親水化基のようなイオン基もイオノゲン基も含有しないアミン(以下、成分B1)を使用でき、特にアニオン性親水化基のようなイオン基またはイオノゲン基を含有するアミン(以下、成分B2)を使用できる。好ましくは、プレポリマーの反応である工程(B)において、成分(B1)と成分(B2)の混合物を反応させる。
【0077】
例えば、有機ジアミンまたはポリアミン、例として、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンおよび1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ヒドラジン水和物、および/またはジメチルエチレンジアミンを成分(B1)として使用できる。
【0078】
更に、第一級アミノ基の他に第二級アミノ基も含有するか、或いはアミノ基(第一級または第二級)の他にOH基も含有する化合物を成分(B1)として使用することもできる。その例は、第一級/第二級アミン、例えば、ジエタノールアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン、およびアルカノールアミン、例えば、N−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、ネオペンタノールアミンである。
【0079】
加えて、単官能性イソシアネート反応性アミン化合物を成分(B1)として使用することもでき、その例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、およびそれらの適当な置換誘導体、第一級/第一級アミンおよびモノカルボン酸のアミドアミン、第一級/第一級アミンのモノケチム、第一級/第三級アミン、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルアミンである。
【0080】
成分(B1)として、1,2−エチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,4−ジアミノブタン、イソホロンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジエチレントリアミンを使用することが好ましい。
【0081】
成分(B)は特に好ましくは、少なくとも1種の成分(B2)を含有する。成分(B2)として適しているアニオン性親水化化合物は、好ましくはスルホン酸基またはスルホネート基、特に好ましくはスルホン酸ナトリウム基を含有する。成分(B2)として適しているアニオン性親水化化合物は特に、モノアミノスルホン酸のアルカリ金属塩およびジアミノスルホン酸のアルカリ金属塩である。そのようなアニオン性親水化剤の例は、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸塩、エチレンジアミンプロピルスルホン酸塩またはエチレンジアミンブチルスルホン酸塩、1,2−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸塩または1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸塩、またはタウリン塩である。更に、WO−A 01/88006からのシクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)塩をアニオン性親水化剤として使用できる。
【0082】
特に好ましいアニオン性親水化剤(B2)は、イオン基としてのスルホネート基と、2個のアミノ基とを含有するもの、例えば、2−(2−アミノエチルアミノ)エチルスルホン酸塩および1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸塩である。
【0083】
本発明で使用するポリウレタンは、特に好ましくは、少なくとも1個のスルホネート基を含有する。
【0084】
任意に、成分(B2)中のアニオン基は、カルボキシレート基またはカルボン酸基であってもよい。この場合、成分(B2)は、好ましくはジアミノカルボン酸から選択される。しかしながら、この態様はあまり好ましくはない。なぜなら、カルボン酸に基づく成分(B2)は、より高い濃度で使用しなければならないからである。
【0085】
親水化のために、アニオン性親水化剤(B2)と非イオン性親水化剤(A4)の混合物を使用することもできる。
【0086】
特定のポリウレタン分散体の調製に好ましい態様では、成分(A1)〜(A4)および(B1)〜(B2)を以下の量で使用し、各々の量は常に合計100重量%となる:
5〜40重量%の成分(A1)、
55〜90重量%の成分(A2)、
0.5〜20重量%の、成分(A3)および/または(B1)の和、
0.1〜25重量%の、成分(A4)および/または(B2)の和。これらの重量%は、成分(A1)〜(A4)および(B1)〜(B2)の総量に基づき、0.1〜5重量%のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤(B2)を使用することが特に好ましい。
【0087】
特定のポリウレタン分散体の調製に特に好ましい態様では、成分(A1)〜(A4)および(B1)〜(B2)を以下の量で使用し、各々の量は常に合計100重量%となる:
5〜35重量%の成分(A1)、
60〜90重量%の成分(A2)、
0.5〜15重量%の、成分(A3)および/または(B1)の和、
0.1〜15重量%の、成分(A4)および/または(B2)の和。これらの重量%は、成分(A1)〜(A4)および(B1)〜(B2)の総量に基づき、0.2〜4重量%のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤(B2)を使用することが特に好ましい。
【0088】
特定のポリウレタン分散体の調製に極めて特に好ましい態様では、成分(A1)〜(A4)および(B1)〜(B2)を以下の量で使用し、各々の量は常に合計100重量%となる:
10〜30重量%の成分(A1)、
65〜85重量%の成分(A2)、
0.5〜14重量%の、成分(A3)および/または(B1)の和、
0.1〜13.5重量%の、成分(A4)および/または(B2)の和。これらの重量%は、成分(A1)〜(A4)および(B1)〜(B2)の総量に基づき、0.5〜3.0重量%のアニオン性または潜在アニオン性親水化剤(B2)を使用することが特に好ましい。
【0089】
ポリウレタン分散体の調製は、均一相において1段階以上で、または多段階反応の場合はしばしば分散相で実施できる。成分(A1)〜(A4)からの完全または部分的重付加に続いて、分散、乳化または溶解工程を好ましくは実施する。次いで、更なる重付加または変性を、分散相で任意に実施してよい。
【0090】
これに関連して、例えばプレポリマー混合法、アセトン法または溶融分散法のような従来技術で知られている方法の全てを使用できる。アセトン法を使用することが好ましい。
【0091】
アセトン法に従った調製については、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーの調製のための成分(A2)〜(A4)およびポリイソシアネート成分(A1)を、それらの全体または一部に関して通常は最初に導入し、場合により、イソシアネート基に対して不活性であるが水と混和できる溶媒で希釈してよく、そして50〜120℃の範囲の温度に加熱する。イソシアネート付加反応の速度を高めるために、ポリウレタン化学で知られている触媒を使用できる。
【0092】
適当な溶媒は、常套の脂肪族ケト官能性溶媒、例えば、アセトン、2−ブタノンであり、それらは、調製の開始時だけでなく、場合により開始後に少しずつ添加してもよい。アセトンおよび2−ブタノンが好ましく、アセトンが特に好ましい。イソシアネート反応性基を含有しない他の溶媒を添加することもできるが、好ましくはない。
【0093】
その後、反応の開始時に添加しなかった成分(A1)〜(A4)を計量添加する。
【0094】
成分(A1)〜(A4)からのポリウレタンプレポリマーの調製の際、イソシアネート基のイソシアネート反応性基に対する量比は、一般に1.05〜3.5、好ましくは1.1〜3.0、特に好ましくは1.1〜2.5である。
【0095】
プレポリマーを与えるための成分(A1)〜(A4)の反応は、部分的にまたは完全に、しかしながら好ましくは完全に実施する。このようにして、希釈剤を用いずにまたは溶液で、遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーを得る。
【0096】
潜在アニオン基のアニオン基への部分的または完全な転化のための中和工程では、塩基、例えば、第三級アミン(例として、各アルキル基中に1〜12個、好ましくは1〜6個、特に好ましくは2〜3個の炭素原子を含有するトリアルキルアミン)、または特に好ましくは対応する水酸化物のようなアルカリ金属塩基を使用する。
【0097】
有機アミンを使用することは好ましくない。
【0098】
使用できる中和剤は、好ましくは無機塩基、例えば、アンモニア水、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
【0099】
水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましい。
【0100】
塩基の量は、中和する酸基の量の50〜125mol%、好ましくは70〜100mol%である。中和剤を既に含んでなる分散水によって、中和を分散と同時に実施することもできる。
【0101】
その後、実施していなかったかまたは部分的にしか実施していなかった場合は、更なる処理工程で、アセトンまたは2−ブタノンのような脂肪族ケトンを用いて、得られたプレポリマーを溶解する。
【0102】
プレポリマーを与えるための成分(A1)〜(A4)の反応は、部分的にまたは完全に、しかしながら好ましくは完全に実施する。このようにして、希釈剤を用いずにまたは溶液で、遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーを得る。
【0103】
工程(B)における連鎖延長の際、NH官能性成分および/またはNH官能性成分を、プレポリマーの残留イソシアネート基と反応させる。好ましくは、水への分散前に、連鎖延長/連鎖停止を実施する。
【0104】
連鎖延長に適した成分(B)は、特に、有機ジアミンまたはポリアミン(B1)、例えば、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンおよび1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタンおよび/またはジメチルエチレンジアミンである。
【0105】
更に、第一級アミノ基の他に第二級アミノ基も含有するか、或いはアミノ基(第一級または第二級)の他にOH基も含有する化合物(B1)を使用することもできる。その例は、連鎖延長および/または連鎖停止に使用される、第一級/第二級アミン、例えば、ジエタノールアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン、およびアルカノールアミン、例えば、N−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、ネオペンタノールアミンである。
【0106】
連鎖停止には、イソシアネート基に対して反応性である基を含有するアミン(B1)を通常使用し、その例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、およびそれらの適当な置換誘導体、第一級/第一級アミンおよびモノカルボン酸のアミドアミン、第一級/第一級アミンのモノケチム、第一級/第三級アミン、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルアミンである。
【0107】
NH基またはNH基を含有する成分(B2)の定義に相当するアニオン性親水化剤を連鎖延長に使用するならば、好ましくは、分散前にプレポリマーの連鎖延長を実施する。
【0108】
連鎖延長度、即ち、連鎖延長および連鎖停止に使用する化合物のNCO反応性基の、プレポリマーの遊離NCO基に対する当量比は、一般には40〜150%、好ましくは50〜110%、特に好ましくは60〜100%である。
【0109】
アミン成分(B1)および(B2)は、任意に、本発明の工程において、単独でまたは混合物として、水または溶媒で希釈した状態で使用してよく、基本的に如何なる順序で添加してもよい。
【0110】
希釈剤として水または有機溶媒を併用するならば、連鎖延長のための工程(B)で使用する成分中の希釈剤含量は、好ましくは40〜95重量%である。
【0111】
分散は、好ましくは連鎖延長後に実施する。このため、溶解および連鎖延長したポリウレタンポリマーを、場合により、強く剪断しながら(例えば激しく撹拌しながら)分散水に導入するか、または逆に分散水を連鎖延長したポリウレタンポリマー溶液に撹拌しながら添加する。溶解および連鎖延長したポリウレタンポリマーに水を添加することが好ましい。
【0112】
その後、分散工程後に分散体中になお存在する溶媒を、通常、蒸留によって除去する。分散中に除去することも可能である。
【0113】
このように調製したポリウレタン分散体中の有機溶媒の残留含量は、分散体全体に基づいて、典型的には10重量%未満、好ましくは3重量%未満である。
【0114】
本発明で使用するポリウレタン水性分散体のpHは、典型的には8.0未満、好ましくは7.5未満、特に好ましくは5.5〜7.5である。
【0115】
本発明において、日焼け止め組成物は、有利には以下の形態で存在できる:クリーム、ローション、ミルク、ゲル、オイル、バルム、水溶液。
【0116】
本発明の日焼け止め組成物は、各々の場合に組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.1〜20重量%、特に0.5〜10重量%の前記ポリウレタンを含んでなる。
【0117】
前記ポリウレタンまたはその水性分散体を含んでなる本発明の日焼け止め組成物は、日焼け止め製品の前記特性を満足しなければならない。適用後、本発明の日焼け止め組成物は、必然的に皮膚上に少なくとも部分的に残り、従って、例えば皮膚への使用後に除去される化粧品(例えば、美容用フェイスマスク、および石鹸のような洗浄製品など)とは異なる。また、本発明の日焼け止め組成物は一般に、ヘアケア組成物、メーキャップなどのようなメーキャップ組成物、メーキャップリップスティックおよびマニキュア液などを包含しない。
【0118】
本発明では、日焼け止め組成物を、特に粘稠度によって区別する:クリーム(粘性を有する)、ローションおよびミルク(流動性を有する)、ゲル(半固体)、オイル、および液状組成物、例えば、スプレー、バルムおよび水溶液。
【0119】
日焼け止め組成物は、例えば、水中油型、油中水型、シリコーン中水型、水中シリコーン型、油中水中油型、水中油中水型のエマルションとして存在してよい。
【0120】
日焼け止め組成物はまた、高圧ガスを用いて発泡させることもできる。
【0121】
前記エマルションは、例えば、O/W型乳化剤、W/O型乳化剤またはW/Si型乳化剤、増粘剤(例えば水分散体(hydrodispersion))、または固体(例えばピッカリングエマルション)によって安定化することができる。
【0122】
日焼け止め組成物は、1種以上の乳化剤または界面活性剤を含んでなり得る。
【0123】
例えば特に、本発明の水中油(O/W)型エマルションは、7超のHLB値を有する少なくとも1種の乳化剤、および適切な場合は共乳化剤を含んでなる。
【0124】
O/W型乳化剤は、有利には、非イオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤または両性乳化剤からなる群から選択され得る。
【0125】
非イオン性乳化剤は、例えば以下を包含する:
a)多価アルコールの脂肪酸エステルおよび部分脂肪酸エステル並びにそれらのエトキシル化誘導体、
b)エトキシル化脂肪アルコールおよびエトキシル化脂肪酸、
c)エトキシル化脂肪アミン、エトキシル化脂肪酸アミド、エトキシル化脂肪酸アルカノールアミド、
d)アルキルフェノールポリグリコールエーテル(例えば、Triton(登録商標) X)、
e)エトキシル化脂肪アルコールエーテル。
【0126】
特に有利な非イオン性O/W型乳化剤は、エトキシル化脂肪アルコールまたはエトキシル化脂肪酸、好ましくは、PEG−100 ステアレート、PEG−40 ステアレート、PEG−50 ステアレート、セテアレス−20、セテス−20、ステアレス−20、セテアレス−12、セテス−12、ステアレス−12、単糖類、オリゴ糖類または多糖類と脂肪酸とのエステル、好ましくは、セテアリルグルコシド、メチルグルコースジステアレート、グリセリルモノステアレート(自己乳化型)、ソルビタンエステル、例えば、ソルビタンステアレート(Uniqema社製のTween(登録商標) 20およびTween(登録商標) 60)、ソルビタンパルミテート(Uniqema社製のSpan(登録商標) 40)、グリセリルステアリルシトレート、スクロースエステル、例えば、スクロースステアレート、PEG−20 メチルグルコースセスキステアレート)、脂肪アルコールのジカルボン酸エステル(ジミリスチルタータレート)である。
【0127】
有利なアニオン性乳化剤は、石鹸(例えば、ステアリン酸またはパルミチン酸のナトリウム塩またはトリエタノールアミン塩)、クエン酸エステル(例えばグリセリルステアレートシトレート)、脂肪アルコールスルフェート、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステルおよびトリアルキルリン酸エステル、並びにそれらのエトキシレートである。
【0128】
カチオン性乳化剤は、長鎖脂肪族基含有第四級アンモニウム化合物、例えばジステアリルジモニウムクロリドを包含する。
【0129】
両性乳化剤は、例えば以下を包含する:
a)アルキルアミノアルカンカルボン酸、
b)ベタイン、スルホベタイン、
c)イミダゾリン誘導体。
【0130】
更に、天然の乳化剤が存在し、それらは密蝋、羊毛脂、レシチンおよびステロールを包含する。
【0131】
使用できる本発明のO/W型エマルションに適した共乳化剤は、8〜30個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和、分枝または非分枝アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和、分枝または非分枝アルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、および8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和、分枝または非分枝アルカンカルボン酸のソルビタンエステルである。
【0132】
特に有利な共乳化剤は、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレエート、ジグリセリルモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、スクロースジステアレート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコールおよびポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)である。
【0133】
本発明では、更なる乳化剤を使用することが有利であり得る。即ち、例えば、本発明の組成物の耐水性は、このようにして更に高めることができる。適当な乳化剤は、例えば、アルキルメチコンコポリオールおよびアルキルジメチコンコポリオール、特に、セチルジメチコンコポリオール、ラウリルメチコンコポリオール、W/O型乳化剤、例えば、ソルビタンステアレート、グリセリルステアレート、グリセロールステアレート、ソルビタンオレエート、レシチン、グリセリルイソステアレート、ポリグリセリル−3 オレエート、ポリグリセリル−3 ジイソステアレート、PEG−7−水素化ひまし油、ポリグリセリル−4 イソステアレート、アクリレート/C10〜30−アルキルアクリレート架橋ポリマー、ソルビタンイソステアレート、ポロキサマー101、ポリグリセリル−2 ジポリヒドロキシステアレート、ポリグリセリル−3 ジイソステアレート、ポリグリセリル−4 ジポリヒドロキシステアレート、PEG−30 ジポリヒドロキシステアレート、ジイソステアロイルポリグリセリル−3 ジイソステアレート、グリコールジステアレートおよびポリグリセリル−3 ジポリヒドロキシステアレートである。
【0134】
本発明の組成物、例えば特にO/W型組成物は、有利には、水相の増粘剤を含んでなることができる。有利な増粘剤は以下である:
・架橋または未架橋のアクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー。それらは、メタクリル酸またはアクリル酸の架橋ホモポリマー、アクリル酸および/またはメタクリル酸と他のアクリルモノマーまたはビニルモノマーに由来するモノマー(例えば、C10〜30アルキルアクリレート、C10〜30アルキルメタクリレート、酢酸ビニル、およびビニルピロリドン)とのコポリマーを包含する。
・例えばセルロース、グアーガム、キサンタン、スクレログルカン、ジェランガム、ラムサンゴムおよびカラヤゴム、アルギネート、マルトデキストリン、デンプンおよびその誘導体、イナゴマメ粉、ヒアルロン酸、カラギーナンに基づく、天然起源の増粘ポリマー、
・例えばポリエチレングリコールおよびその誘導体またはポリウレタンに基づく、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の会合性ポリマー、
・アクリルアミドまたはメタクリルアミドに基づく架橋または未架橋のホモポリマーまたはコポリマー、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のホモポリマー、アクリルアミドまたはメタクリルアミドおよびメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドのコポリマー、またはアクリルアミドおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のコポリマー。
【0135】
特に有利な増粘剤は、天然起源の増粘ポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸の架橋ホモポリマーまたは架橋コポリマー、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の架橋コポリマーである。
【0136】
特に有利な増粘剤は、キサンタンガム、例えば、CP Kelco社によってKeltrol(登録商標)およびKelza(登録商標)の名称で供給されている製品、またはRHODIA社からRhodopolの名称で供給されている製品、およびグアーガム、例えばRHODIA社からJaguar(登録商標) HP105の名称で入手可能な製品である。
【0137】
特に有利な増粘剤は、Lubrizol社からCarbopol(登録商標) 940、Carbopol(登録商標) 941、Carbopol(登録商標) 980、Carbopol(登録商標) 981、Carbopol(登録商標) ETD 2001、Carbopol(登録商標) EDT 2050、Carbopol(登録商標) 2984、Carbopol(登録商標) 5984およびCarbopol(登録商標) Ultrez 10の名称で、3V社からSynthalen(登録商標) K、Synthalen(登録商標) LおよびSynthalen(登録商標) MSの名称で市販されている、メタクリル酸またはアクリル酸の架橋ホモポリマーである。
【0138】
特に有利な増粘剤は、アクリル酸またはメタクリル酸およびC10〜30−アルキルアクリレートまたはC10〜30−アルキルメタクリレートの架橋ポリマー、並びにアクリル酸またはメタクリル酸およびビニルピロリドンのコポリマーである。そのようなコポリマーは、例えば、Lubrizol社からCarbopol(登録商標) 1342、Carbopol(登録商標) 1382、Pemulen(登録商標) TR1またはPemulen(登録商標) TR2の名称で、ISP社からUltrathix P-100(INCI:Acrylic Acid/VP Crosspolymer:アクリル酸/VP架橋ポリマー)の名称で市販されている。
【0139】
特に有利な増粘剤は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の架橋コポリマーである。そのようなコポリマーは、例えば、ClariantからAristoflex(登録商標) AVC(INCI:Ammonium Acryloyldimethyltaurate/VP Copolymer:アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマー)の名称で入手可能である。
【0140】
これらの増粘剤は一般に、本発明の組成物の総重量に基づいて、約0〜2重量%、好ましくは0〜1重量%の濃度で存在する。
【0141】
本発明の別の組成物は、油中水型エマルションまたはシリコーン中水型エマルションであってよい。8以下のHLB値を有する1種以上のシリコーン乳化剤(W/S型)または7未満のHLB値を有する1種以上のW/O型乳化剤および10超のHLB値を有する任意の1種以上のO/W型乳化剤を含んでなる、油中水(W/O)型エマルションまたはシリコーン中水(W/Si)型エマルションが好ましい。
【0142】
シリコーン乳化剤は、有利には、アルキルジメチコンコポリオール、例えばセチルPEG/PPG 10/1 ジメチコンコポリオール(Goldschmidt AG製ABIL(登録商標) EM 90)、またはラウリルPEG/PPG− 18/18 ジメチコン(Dow Corning Ltd.製Dow Corning(登録商標) 5200)およびジメチコンコポリオール、例えば、PEG−10 ジメチコン(Shin Etsu社製KF-6017)、PEG/PPG− 18/18 ジメチコン(Dow Corning Ltd.製Dow Corning 5225C)またはPEG/PPG− 19/19 ジメチコン(Dow Corning Ltd.社製Dow Corning BY-11 030)またはトリメチルシリルアモジメチコンを含んでなる群から選択され得る。
【0143】
7未満のHLB値を有するW/O型乳化剤は、有利には、以下の群から選択され得る:8〜30個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルコールのモノグリセロールエーテル、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルコールのジグリセロールエーテル、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、および8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸のソルビタンエステル。
【0144】
特に有利なW/O型乳化剤は以下である:グリセリルモノステアレート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルモノミリステート、グリセリルモノオレエート、ジグリセリルモノステアレート、ジグリセリルモノイソステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノイソステアレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノイソオレエート、スクロースジステアレート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノカプレートおよびグリセリルモノカプリレート。
【0145】
更なる可能なW/O型乳化剤は、化合物であるポリグリセリル−2−ジポリヒドロキシステアレート、PEG−30 ジポリヒドロキシステアレート、セチルジメチコンコポリオールおよびポリグリセリル−3 ジイソステアレートからなる群から選択される。
【0146】
10超のHLB値を有するO/W型乳化剤は、有利には、レシチン、トリラウレス−4 ホスフェート、ポリソルベート−20、ポリソルベート−60、PEG−22 ドデシルグリコールコポリマー、スクロースステアレートおよびスクロースラウレートを含んでなる群から選択され得る。
【0147】
油増粘剤は、有利には、水滴の沈降または凝集に対して本発明のW/O型エマルションを安定化させるために使用され得る。
【0148】
特に有利な油増粘剤は、有機変性クレー、例えば、有機変性ベントナイト(Rheox社製Bentone(登録商標) 34)、有機変性ヘクトライト(Rheox社製のBentone(登録商標) 27およびBentone(登録商標) 38)または有機変性モンモリロナイト、疎水性焼成シリカ(そのシラノール基は、トリメチルシロキシ基で(Degussa社製AEROSIL(登録商標) R812)或いはジメチルシロキシ基またはポリジメチルシロキサンで(Degussa社製AEROSIL(登録商標) R972、AEROSIL(登録商標) R974、Cabot社製CAB-O-SIL(登録商標) TS-610、CAB-O-SIL(登録商標) TS-720)置換されている。)、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸アルミニウム、或いはスチレンコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプロペン−スチレン、スチレン−エチレン/ブテン−スチレンまたはスチレン−エチレン/プロペン−スチレンである。
【0149】
脂肪相のための増粘剤は、エマルションの総重量に基づいて、0.1〜5重量%、好ましくは0.4〜3重量%の量で存在できる。
【0150】
水相は、安定剤を含んでなることもできる。安定剤は、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムまたは硫酸マグネシウムおよびそれらの混合物であり得る。
【0151】
油は、W/O型エマルション、W/Si型エマルションおよびO/W型エマルションに使用できる。
【0152】
存在するならば、本発明の組成物の脂肪相は、1種の不揮発性油、および/または揮発性油並びにワックスを含んでなることができる。O/W型組成物は、組成物の総重量に基づいて、有利には0.01〜45重量%の油、特に有利には0.01〜20重量%の油を含んでなる。W/O型組成物またはW/Si型組成物は、有利には、組成物の総重量に基づいて少なくとも20重量%の油を含んでなる。
【0153】
不揮発性油は、有利には、鉱油、動物油、植物油または合成起源油、極性油または非極性油、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0154】
本発明の化粧用エマルションまたは皮膚用エマルションの脂肪相は、有利には、以下の物質群から選択され得る:鉱油、鉱蝋、極性油、例えばカプリン酸トリグリセリドまたはカプリル酸トリグリセリド、および天然油、例えばひまし油、脂肪、ワックスおよび他の天然脂肪体および合成脂肪体、好ましくは脂肪酸と炭素数の少ないアルコール(例えば、イソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロール)とのエステル或いは脂肪アルコールと脂肪酸または炭素数の少ないアルカン酸とのエステル;アルキルベンゾエート;シリコーン油、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、およびそれらの混合物。
【0155】
極性油は、有利には、以下の群から選択される:
a)3〜30個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸と3〜30個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルコールとのエステル、
b)芳香族カルボン酸と3〜30個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルコールとのエステル、
(そして、そのようなエステル油は、有利には、以下の群から選択される:イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルオレエート、n−ブチルステアレート、n−ヘキシルラウレート、n−デシルオレエート、イソオクチルステアレート、イソノニルステアレート、イソノニルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルラウレート、2−エチルヘキシルイソステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、2−エチルヘキシルココエート、オレイルオレエート、オレイルエルケート、エルシルオレエート、エルシルエルケート、ジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標) CC)およびココグリセリド(Myritol(登録商標) 331)、並びにそのようなエステルの合成、半合成および天然の混合物、例えばホホバ油。)
c)アルキルベンゾエート、C12〜15−アルキルベンゾエート(Finetex社製Finsolv(登録商標) TN)または2−フェニルエチルベンゾエート(ISP社製X-Tend(登録商標) 226)、
d)レシチンおよび脂肪酸トリグリセリド、即ち、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸のトリグリセロールエステル(例えば、脂肪酸トリグリセリドは、ココグリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、菜種油、アーモンド油、パーム油、ココナツ油、ひまし油、小麦胚種油、グレープシード油、ベニバナ油、月見草油、マカダミアナッツ油、杏仁油、アボカド油などからなる群から選択され得る。)、
e)ジアルキルエーテルおよびジアルキルカーボネート(例えばジカプリリルエーテル(Cognis社製Cetiol(登録商標) OE)および/またはジカプリリルカーボネート(例えばCognis社製Cetiol(登録商標) CC)が有利である。)、
f)飽和または不飽和、分枝または非分枝アルコール、例えばオクチルドデカノール。
【0156】
不揮発性油は、有利には、分枝および非分枝炭化水素、特に、鉱油、ワセリン油、パラフィン油、スクアランおよびスクアレン、ポリオレフィン、例えば、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、C13〜16イソパラフィンおよびイソヘキサデカンからなる群から選択される非極性油であってもよい。
【0157】
非極性不揮発性油は、不揮発性シリコーン油から選択され得る。
【0158】
不揮発性シリコーン油のうち、任意にフェニル化されていてよいポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えばフェニルトリメチコン、または任意に脂肪族基および/または芳香族基或いは官能基(例えば、ヒドロキシル基、チオール基および/またはアミノ基)で置換されていてよいポリジメチルシロキサン;脂肪酸、脂肪アルコールまたはポリオキシアルキレンで変性されたポリシロキサン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0159】
特に有利な油は、2−エチルヘキシルイソステアレート、オクチルドデカノール、イソトリデシルイソノナノエート、イソエイコサン、2−エチルヘキシルココエート、C12〜15アルキルベンゾエート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジカプリリルエーテル、鉱油、ジカプリリルカーボネート、ココグリセリド、ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート、水素化ポリイソブテン、セタリルイソノナノエート、イソデシルネオペンタノエート、スクアラン、C13〜16イソパラフィンである。
【0160】
本発明の組成物は、ワックスを含むこともできる。
【0161】
本明細書では、ワックスを、室温(25℃)で固体であり、30〜200℃の融点で可逆性の固体/液体状態変化を示す親油性脂肪物質と定義する。融点を超えると、ワックスは低粘度になり、油と混合できるようになる。
【0162】
ワックスは、有利には、天然ワックス、例えば、綿蝋、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、アフリカハネガヤ蝋、木蝋、モンタン蝋、サトウキビ蝋、密蝋、羊毛蝋、セラック、マイクロワックス、セレシン、オゾケライト、オウリカリ蝋、コルク繊維蝋、亜炭ワックス、ベリー蝋、シアバター、または合成ワックス、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、Fischer-Tropsch合成によって製造されたワックス、硬化油、25℃で固体である脂肪酸エステルおよびグリセリド、シリコーンワックスおよび誘導体(アルキル誘導体、アルコキシ誘導体、および/またはポリメチルシロキサンエステル)、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。ワックスは、既知の方法(例えば、"Microemulsions Theory and Practice", L.M. Prince Ed., Academic Press (1977), 第21〜32頁に記載の方法)によって調製できるコロイド状ワックス粒子の安定な分散体として存在できる。
【0163】
ワックスは、組成物の総重量に基づいて0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%の量で存在してよい。
【0164】
本発明の組成物は、揮発性の炭化水素油、シリコーン化油またはフッ素化油からなる群から選択される揮発性油を含んでなることもできる。
【0165】
揮発性油は、エマルションの総重量に基づいて、0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%の量で存在できる。
【0166】
本明細書では、揮発性油は、室温および大気圧で皮膚と接触した際、1時間未満に蒸発する油である。揮発性油は、室温で液体であり、室温および大気圧で0.13〜40,000Pa(10−3〜300mgHg)、好ましくは1.3〜13,000Pa(0.01〜100mmHg)、特に好ましくは1.3〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の蒸気圧および150〜260℃、好ましくは170〜250℃の沸点を有する。
【0167】
炭化水素油は、炭素原子および水素原子および任意に酸素原子または窒素原子から本質的に形成され、ケイ素原子またはフッ素原子を含有しない、油を意味すると理解される。炭化水素油は、炭素原子および水素原子からなることもできる。しかしながら、炭化水素油は、エステル基、エーテル基、アミノ基またはアミド基を含有してもよい。
【0168】
シリコーン化油は、少なくとも1個のケイ素原子、特にSi−O基を含有する油を意味すると理解される。
【0169】
フッ素化油は、少なくとも1個のフッ素原子を含有する油を意味すると理解される。
【0170】
本発明の揮発性炭化水素油は、40〜102℃、好ましくは40〜55℃、より好ましくは40〜50℃の引火点を有する炭化水素油から選択され得る。
【0171】
例えば、揮発性炭化水素油は、8〜16個の炭素原子を含有するものおよびそれらの混合物、特に、分枝C8〜16アルカン、例えばC8〜16イソアルカン(イソパラフィンとも称される)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、および例えばIsopars(登録商標)またはPermetyls(登録商標)の商標名で供給されている油;分枝C8〜16エステル、例えばイソヘキシルネオペンタノエートおよびそれらの混合物である。
【0172】
イソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンのような揮発性炭化水素油が、特に有利である。
【0173】
本発明の揮発性シリコーン化油は、40〜102℃、好ましくは55℃超および最大95℃、特に好ましくは65〜95℃の範囲の引火点を有するシリコーン化油から選択され得る。
【0174】
例えば、揮発性シリコーン化油は、2〜7個のケイ素原子を含有する直鎖または環状シリコーン油であり、該シリコーンは任意に、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基またはアルコキシ基を含有してよい。
【0175】
オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびそれらの混合物のような揮発性シリコーン化油が、特に有利である。
【0176】
揮発性フッ素化油は一般に引火点を有さない。
【0177】
例えば、揮発性フッ素化油は、ノナフルオロエトキシブタン、ノナフルオロメトキシブタン、デカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン、ドデカフルオロペンタンおよびそれらの混合物である。
【0178】
本発明の組成物の化粧品に許容できる媒体は、水および任意に、化粧品に適した水混和性有機溶媒を含んでなる。
【0179】
本発明の組成物に使用する水は、花の水、純粋な脱塩水、鉱水、温泉水および/または海水であってよい。
【0180】
O/W型組成物の場合、水の割合は、組成物の総重量に基づいて、40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは60〜80重量%の範囲であり得る。W/O型組成物の場合、水の割合は、組成物の総重量に基づいて、0〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは30〜50重量%の範囲であり得る。
【0181】
好ましい溶媒は、例として、C1〜4脂肪族アルコール、例えばエタノールおよびイソプロパノール;ポリオールおよびそれらの誘導体、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレン−1,3−グリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、例えば、モノ−、ジ−またはトリプロピレングリコールのアルキル(C1〜4)エーテル或いはモノ−、ジ−またはトリエチレングリコールのアルキル(C1〜4)エーテル、並びにそれらの混合物である。
【0182】
本発明の組成物中の溶媒の量的割合は、組成物の総重量に基づいて、例えば0〜25重量%、好ましくは0〜10重量%であり得る。
【0183】
本発明の日焼け止め組成物は、1種以上の日焼け止めフィルターおよび/または日焼け止めフィルター物質および/または日焼け止め付与物質を含んでなる。
【0184】
日焼け止めフィルターは、特に、UV波長範囲、とりわけ400nm未満の波長範囲の光をフィルターするUVフィルターである。UV波長範囲は、通常以下のように分類される。
【表1】

【0185】
本発明の日焼け止め組成物に使用する日焼け止めフィルター、特にUVフィルターの量は、本発明の日焼け止め組成物の総重量に基づいて、好ましくは0超〜30重量%、有利には0超〜20重量%、特に有利には0超〜10重量%である。本発明の日焼け止め組成物は、好ましくは、0.01重量%超の1種以上の日焼け止めフィルター、特にUVフィルターを含んでなる。
【0186】
日焼け止めフィルター(またはUVフィルター)は、有機フィルター、物理的フィルターおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0187】
本発明の日焼け止め組成物は、特に、UV−Aフィルター、UV−Bフィルターまたは広帯域フィルターを含んでなることができる。使用するUVフィルターは、油溶性または水溶性であってよい。もちろん、以下に挙げる特定のUVフィルターに限定されない。
【0188】
UV−Bフィルターの例は以下である:
(1)サリチル酸誘導体、特に、ホモメンチルサリチレート、オクチルサリチレートおよび4−イソプロピルベンジルサリチレート;
(2)桂皮酸誘導体、特に、2−エチルヘキシル p−メトキシシンナメート、Givaudan社からParsol MCX(登録商標)の名称で入手可能なもの、およびイソペンチル 4−メトキシシンナメート;
(3)液状β,β’−ジフェニルアクリレート誘導体、特に、2−エチルヘキシル α,β’−ジフェニルアクリレート、またはオクトクリレン、BASF社からUVINUL N539(登録商標)の名称で入手可能なもの;
(4)p−アミノ安息香酸誘導体、特に、2−エチルヘキシル 4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、アミル 4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート;
(5)3−ベンジリデンカンファー誘導体、特にMerck社からEUSOLEX 6300(登録商標)の名称で市販されている3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、3−ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファースルホン酸およびポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー;
(6)2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、Merck社からEUSOLEX 232(登録商標)の名称で入手可能なもの;
(7)1,3,5−トリアジン誘導体、特に、2,4,6−トリス[p−(2’−エチルヘキシル−1’−オキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、BASF社からUVINUL T150(登録商標)の名称で供給されているもの、およびジオクチルブタミドトリアゾン、Sigma 3V社によってUVASORB HEB(登録商標)の名称で供給されているもの;
(8)ベンザルマロン酸エステル、特に、ジ(2−エチルヘキシル) 4−メトキシベンザルマロネート、および3−(4−(2,2−ビスエトキシカルボニルビニル)−フェノキシ)プロペニル)メトキシシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、Roche Vitamines社からParsol(登録商標) SLXの名称で入手可能なもの;および
(9)これらフィルターの混合物。
【0189】
UV−Aフィルターの例は以下である:
(1)ジベンゾイルメタン誘導体、特に、4−(t−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン、Givaudan社によってPARSOL 1789(登録商標)の名称で供給されているもの、および1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオン;
(2)Chimex社からMEXORYL SX(登録商標)の名称で市販されている、任意に完全にまたは部分的に中和されていてよい、ベンゼン−1,4−[ジ(3−メチリデンカンファー−10−スルホン酸)]、
(3)ヘキシル 2−(4’−ジエチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(またはアミノベンゾフェノン);
(4)ベンゾフェノン基を含有するポリオルガノシロキサンまたはシラン誘導体;
(5)アントラニレート、特に、メンチルアントラニレート、Symrise社によってNEO HELIOPAN MA(登録商標)の名称で供給されているもの;
(6)一分子あたり少なくとも2個のベンゾアゾリル基または少なくとも1個のベンゾジアゾリル基を含有する化合物、特に、1,4−ビス−ベンズイミダゾリルフェニレン−3,3’,5,5’−テトラスルホン酸およびその塩、Symrise社から市販されているもの;
(7)ベンズイミダゾリルベンザゾールのケイ素誘導体、N−置換されたもの、またはベンゾフラニルベンザゾールのケイ素誘導体、特に:
・2−[1−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ベンゾオキサゾール;
・2−[1−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ベンゾチアゾール;
・2−[1−(3−トリメチルシラニルプロピル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ベンゾオキサゾール;
・6−メトキシ−1,1’−ビス(3−トリメチルシラニルプロピル)1H,1’H−[2,2’]ジベンズイミダゾリルベンゾオキサゾール;
・2−[1−(3−トリメチルシラニルプロピル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ベンゾチアゾール;EP−A−1 028 120に記載されているもの;
(8)トリアジン誘導体、特に、2,4−ビス[5−1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール−2−イル−(4−フェニル)イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)イミノ−1,3,5−トリアジン、3V社によってUvasorb(登録商標)K2Aの名称で供給されているもの;および
(9)それらの混合物。
【0190】
広帯域フィルターの例は以下である:
(1)ベンゾフェノン誘導体、例えば、
・2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−1);
・2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−2);
・2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)、BASF社からUNIVNUL M40(登録商標)の名称で入手可能なもの;
・2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(ベンゾフェノン−4)、およびBASF社からUVINUL MS40(登録商標)の名称で市販されているそのスルホネート形態のもの(ベンゾフェノン−5);
・2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−6−);
・5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−7);
・2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−8);
・2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5,5’−ジスルホン酸のジナトリウム塩(ベンゾフェノン−9);
・2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン(ベンゾフェノン−10);
・ベンゾフェノン−11;
・2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(ベンゾフェノン−12);
(2)トリアジン誘導体、特に、2,4−ビス{[4−2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、Ciba Geigy社からTINOSORB S(登録商標)の名称で供給されているもの、および2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、Ciba Geigy社からTINOSORB M(登録商標)の名称で入手可能なもの;および
(3)Drometrizole Trisiloxane(ドロメトリゾールトリシロキサン)のINCI名を有する2−(1H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]フェノール。
【0191】
2種以上のフィルターの混合物、UV−Bフィルター、UV−Aフィルターおよび広帯域フィルターの混合物、並びに物理的フィルターとの混合物を使用することも可能である。
【0192】
物理的フィルターのうち、例えば、硫酸バリウム、酸化チタン(二酸化チタン、ルチルおよび/またはアナターゼ形態での結晶性または非晶質)、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ケイ素、酸化マンガン、またはそれらの混合物を挙げることができる。金属酸化物は、マイクロメートル範囲またはナノメートル範囲に寸法を有する粒子状(ナノ顔料)で存在できる。ナノ顔料の平均粒度は、例えば5〜100nmである。
【0193】
本発明の日焼け止め組成物は、付加的に、化粧品において一般的である1種以上の更なる添加剤、例えば、酸化防止剤、および/または他の助剤および添加剤、例えば、乳化剤、界面活性物質、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、活性成分、湿潤剤、充填剤、フィルム形成剤、溶媒、融合助剤、芳香物質、臭気吸収剤、香料、ゲル形成剤および/または他のポリマー分散体、例えばポリアクリレートに基づく分散体、充填剤、軟化剤、顔料、染料、フロー剤、チキソトロープ剤、柔軟剤、軟化剤、防腐剤などを含んでなることができる。各々添加剤の量は、使用する範囲について、当業者に知られており、例えば、組成物の総重量に基づいて0〜25重量%の範囲である。
【0194】
本発明の日焼け止め組成物は、官能添加剤を含んでなることもできる。官能添加剤は、特に、例えば組成物の官能特性を更に改善し、例えば滑らかなまたはすべすべした皮膚感触を残す、無色または白色、無機または合成、層状、球状または細長い不活性粒子或いは非粒子状の官能添加剤を意味すると理解される。
【0195】
官能添加剤は本発明の組成物中に、組成物の総重量に基づいて、例えば10重量%まで、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.1〜7重量%の量で存在できる。
【0196】
本発明において有利な粒子状官能添加剤は、タルク、マイカ、二酸化ケイ素、カオリン、デンプンおよびその誘導体(例えば、タピオカデンプン、リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウムおよびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムなど)、焼成シリカ、UVフィルター効果も着色効果も主として有さない顔料(例えば窒化ホウ素など)、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、微晶質セルロース、合成ポリマー(例えば、ポリアミド(例としてNylon(登録商標)の商標名で入手可能なポリマー)、ポリエチレン、ポリ−β−アラニン、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))、ポリアクリレート、ポリウレタン、ラウロイル−リジン、シリコーン樹脂(例としてKobo Products Inc.からTospearl(登録商標)の商標名で入手可能なポリマー))粉末、ポリビニリデン/アクリロニトリルの中空粒子(Akzo Nobel社製のExpancel(登録商標))、または酸化ケイ素の中空粒子(MAPRECOS社製のSilica Beads(登録商標))である。
【0197】
有利な非粒子状官能添加剤は、ジメチコノール(例えばDow Corning Ltd.製のDow Corning 1503 Fluid)、シリコーンコポリマー(例えば、ジビニルジメチコン/ジメチコンコポリマー、Dow Corning Ltd.製のDow Corning HMW 2220)、またはシリコーンエラストマー(例えば、ジメチコン架橋ポリマー、Dow Corning Ltd.製のDow Corning 9040 Silicone Elastomer Blend)からなる群から選択され得る。
【0198】
本発明の日焼け止め組成物は、更に、1種以上の湿潤剤(保湿剤)を含んでなることができる。本発明において特に有利な湿潤剤は、例えば、グリセロール、ポリグリセロール、ソルビトール、ジメチルイソソルビド、乳酸および/または乳酸塩、特に乳酸ナトリウム、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ビオサッカリドガム−1、グリシン大豆、ヒドロキシエチルウレア、エチルヘキシルオキシグリセロール、ピロリドンカルボン酸、および尿素である。加えて、水溶性および/または水膨潤性および/または水ゲル化性の多糖類からなる群からのポリマー保湿剤を使用することが特に有利である。例えば、ヒアルロン酸、キトサン、および/またはフコースに富む多糖類(これは、SOLABIA S.A.社からFucogelTM 1000の名称で入手可能である。)が特に有利である。
【0199】
本発明では、酸化防止剤、例えば水溶性酸化防止剤、例として、ビタミン、例えばアスコルビン酸およびその誘導体を、特に有利には使用することができる。ビタミンEおよびその誘導体並びにビタミンAおよびその誘導体がとりわけ有利である。
【0200】
本発明の組成物中の更に有利な活性成分は以下を包含する:α−ヒドロキシカルボン酸、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびマンデル酸、β−ヒドロキシカルボン酸、例えばサリチル酸、およびそれらのアシル化誘導体、2−ヒドロキシアルカン酸およびその誘導体;天然活性成分および/またはその誘導体、例えば、α−リポ酸、葉酸、フィトエン、D−ビオチン、コエンザイムQ10、α−グルコシルルチン、カルニチン、カルノシン、天然および/または合成イソフラボノイド、クレアチン、クレアチニン、タウリンおよび/または[β]−アラニンおよび8−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(二酸、CAS番号20701-68-2;暫定INCI名:Octadecenedioic acid:オクタデセン二酸)および/またはLicochalcone Aおよび植物抽出物。
【0201】
実施例を参照して本発明を説明するが、実施例は限定するものと理解されるべきではない。特に記載のない限り、量的データ、割合およびパーセントの全ては、重量および総量または組成物の総重量に基づく。
【実施例】
【0202】
特に記載のない限り、パーセントの全ては重量に基づく。
特に記載のない限り、分析的測定値の全ては23℃の温度での測定値を意味する。
固体または固形物の含量は、重量測定した試料を、恒量になるまで125℃で加熱することにより測定する。恒量で試料の重量を再度測定することによって、固形物含量を計算する。
特に記載のない限り、NCO含量はDIN−EN ISO 11909に従って容量分析で測定した。
遊離NCO基についての制御は、赤外分光法(2260cm−1でのバンド)によって実施した。
記載した粘度は、Anton Paar Germany GmbH(ドイツ国オストフィルデルン)製回転粘度計を用い、23℃でDIN 53019に従って回転粘度測定法によって測定した。
ポリウレタン分散体の平均粒度(数平均)は、脱イオン水での希釈後、レーザー相関分光法によって測定した(機器:Malvern Zetasizer 1000, Malver Inst. Limited)。
【0203】
使用した物質および略語
ジアミノスルホネート:NH−CHCH−NH−CHCH−SONa(水中45%濃度)
Desmophen(登録商標) 2020/C2200:ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン))
PolyTHF(登録商標) 2000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(BASF AG(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン))
PolyTHF(登録商標) 1000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価112mgKOH/g、数平均分子量1000g/mol(BASF AG(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン))
Polyether LB 25:数平均分子量2250g/mol、OH価25mgKOH/gの、エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく単官能性ポリエーテル(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン))
【0204】
実施例1:ポリウレタン分散体1
987.0gのPolyTHF(登録商標) 2000(成分A2)、375.4gのPolyTHF(登録商標) 1000(成分A2)、761.3gのDesmophen(登録商標) C2200(成分A2)および44.3gのpolyether LB 25(成分A4)を、標準的な撹拌装置で70℃に加熱した。次いで、237.0gのヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1)および313.2gのイソホロンジイソシアネート(成分A1)の混合物を添加し、理論NCO値に達するまで120℃で混合物を撹拌した。完成したプレポリマーを4830gのアセトンを用いて溶解し、その際50℃に冷却し、続いて、25.1gのエチレンジアミン(成分B1)、116.5gのイソホロンジアミン(成分B1)、61.7gのジアミノスルホネート(成分B2)および1030gの水の溶液を計量添加した。その後の撹拌時間は10分であった。そして、1250gの水を添加することによって混合物を分散させた。真空で蒸留することによって溶媒を除去した。得られた白色分散体は、以下の特性を有していた。
固形分:61%
粒度(LCS):312nm
粘度(粘度計、23℃):241mPas
pH(23℃):6.02
pH(23℃):7.15
【0205】
実施例2:ポリウレタン分散体2
450gのPolyTHF(登録商標) 1000(成分A2)および2100gのPolyTHF(登録商標) 2000(成分A2)を、70℃に加熱した。次いで、225.8gのヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1)および298.4gのイソホロンジイソシアネート(成分A1)の混合物を添加し、実際のNCO値が理論NCO値より小さくなるまで100〜115℃で混合物を撹拌した。完成したプレポリマーを50℃で5460gのアセトンを用いて溶解し、続いて、29.5gのエチレンジアミン(成分B1)、143.2gのジアミノスルホネート(成分B2)および610gの水の溶液を計量添加した。その後の撹拌時間は15分であった。そして、1880gの水を添加することによって混合物を分散させた。真空で蒸留することによって溶媒を除去し、貯蔵安定な分散体を得た。
固形分:56%
粒度(LCS):276nm
粘度:1000mPas
【0206】
実施例3:ポリウレタン分散体3
1700g/molの平均分子量を有する、アジピン酸、ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールのポリエステル(成分A2)1649.0gを、65℃に加熱した。次いで、291.7gのヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1)を添加し、実際のNCO値が理論NCO値より小さくなるまで100〜115℃で混合物を撹拌した。完成したプレポリマーを50℃で3450gのアセトンを用いて溶解し、続いて、16.8gのエチレンジアミン(成分B1)、109.7gのジアミノスルホネート(成分B2)および425gの水の溶液を計量添加した。その後の撹拌時間は15分であった。そして、1880gの水を添加することによって混合物を分散させた。真空で蒸留することによって溶媒を除去し、貯蔵安定な分散体を得た。
固形分:42%
粒度(LCS):168nm
粘度:425mPas
pH:7.07
【0207】
実施例4:ポリウレタン分散体4
1700g/molの平均分子量を有する、アジピン酸、ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールのポリエステル(成分A2)340gを、65℃に加熱した。次いで、60.1gのヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1)を添加し、実際のNCO値が理論NCO値より小さくなるまで105℃で混合物を撹拌した。完成したプレポリマーを50℃で711gのアセトンを用いて溶解し、続いて、2.1gのエチレンジアミン(成分B1)、32.4gのジアミノスルホネート(成分B2)および104.3gの水の溶液を計量添加した。その後の撹拌時間は15分であった。そして、1880gの水を添加することによって混合物を分散させた。真空で蒸留することによって溶媒を除去し、貯蔵安定な分散体を得た。
固形分:40%
粒度(LCS):198nm
粘度:700mPas
pH:6.31
【0208】
実施例5:ポリウレタン分散体5
450gのPolyTHF(登録商標) 1000(成分A2)および2100gのPolyTHF(登録商標) 2000(成分A2)を、70℃に加熱した。次いで、225.8gのヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1)および298.4gのイソホロンジイソシアネート(成分A1)の混合物を添加し、実際のNCO値が理論NCO値より小さくなるまで100〜115℃で混合物を撹拌した。完成したプレポリマーを50℃で5460gのアセトンを用いて溶解し、続いて、351gのジアミノスルホネート(成分B2)および610gの水の溶液を計量添加した。その後の撹拌時間は15分であった。そして、1880gの水を添加することによって混合物を分散させた。真空で蒸留することによって溶媒を除去し、貯蔵安定な分散体を得た。
固形分:40%
粘度:1370mPas
【0209】
化粧用組成物の実施例
【表2−1】

【0210】
【表2−2】

【0211】
【表2−3】

【0212】
【表3−1】

【0213】
【表3−2】

【0214】
【表4】

【0215】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の水不溶性非水分散性イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー(A)と1種以上のアミノ官能性化合物(B)との反応により得られる少なくとも1種のポリウレタンを含んでなる日焼け止め組成物。
【請求項2】
イオン基もイオノゲン基も本質的に含有しない1種以上のイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー(A)と1種以上のアミノ官能性化合物(B)との反応により得られる少なくとも1種のポリウレタンを含んでなる日焼け止め組成物。
【請求項3】
アミノ官能性化合物(B)が第一級および/または第二級のアミンおよび/またはジアミンから選択される、請求項1または2に記載の日焼け止め組成物。
【請求項4】
アミノ官能性化合物(B)が少なくとも1種のジアミンを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の日焼け止め組成物。
【請求項5】
アミノ官能性化合物(B)が、イオン基および/またはイオノゲン基を含有するアミノ官能性化合物(B2)並びにイオン基および/またはイオノゲン基を含有しないアミノ官能性化合物(B1)から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の日焼け止め組成物。
【請求項6】
アミノ官能性化合物(B)が、イオン基および/またはイオノゲン基を含有する少なくとも1種のアミノ官能性化合物(B2)、好ましくは2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸および/またはその塩を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の日焼け止め組成物。
【請求項7】
アミノ官能性化合物(B)が、イオン基および/またはイオノゲン基を含有しない少なくとも1種のアミノ官能性化合物(B1)、好ましくはイオン基および/またはイオノゲン基を含有しないジアミンを含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の日焼け止め組成物。
【請求項8】
アミノ官能性化合物(B)が、イオン基および/またはイオノゲン基を含有するアミノ官能性化合物(B2)とイオン基および/またはイオノゲン基を含有しないアミノ官能性化合物(B1)の両方を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の日焼け止め組成物。
【請求項9】
プレポリマー(A)が、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールからなる群から選択される1種以上のポリオールと1種以上のポリイソシアネートとの反応により得られる、請求項1〜8のいずれかに記載の日焼け止め組成物。
【請求項10】
ポリウレタンが少なくとも1個のスルホン酸基および/またはスルホネート基、好ましくはスルホン酸ナトリウム基を含有する、請求項1〜9のいずれかに記載の日焼け止め組成物。
【請求項11】
1種以上のサンフィルター成分を含んでなることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の日焼け止め組成物。
【請求項12】
1種以上の水不溶性非水分散性イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー(A)と1種以上のアミノ官能性化合物(B)との反応により得られる少なくとも1種のポリウレタンを含んでなる組成物の、日焼け止め組成物としての使用。
【請求項13】
1種以上の水不溶性非水分散性イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー(A)と1種以上のアミノ官能性化合物(B)との反応により得られるポリウレタンの、化粧用日焼け止め組成物を製造するための使用。
【請求項14】
1種以上の水不溶性非水分散性イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー(A)と1種以上のアミノ官能性化合物(B)との反応により得られる少なくとも1種のポリウレタンを含んでなる組成物を皮膚に適用することを含む、日射の悪影響から皮膚を保護するための化粧法。
【請求項15】
皮膚への適用後に組成物が皮膚上に少なくとも部分的に残る、請求項14に記載の化粧法。

【公表番号】特表2011−515424(P2011−515424A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501123(P2011−501123)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001814
【国際公開番号】WO2009/118103
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】