昇降圧双方向DC/DCコンバータ及びこれを用いた交流モータ駆動装置
【課題】一次側と二次側の電圧の大小関係が変化しても連続的に電流の制御を行う際に一次側と二次側の電圧検出値のうち一方について逐次の値を不要とする。
【解決手段】昇降圧双方向DC/DCコンバータのDCリアクトル3の電流を制御するために一次側と二次側の電圧V1,V2とDCリアクトル3の電流の検出値ILを用いるが、このうち一方の電圧検出値V2はリアクトル電流制御の際の積分初期値にのみ使用し、通流率指令値を作成する際には逐次の値を演算に使用せず、他方の電圧検出値V1のみを逐次の値として使用する。
【解決手段】昇降圧双方向DC/DCコンバータのDCリアクトル3の電流を制御するために一次側と二次側の電圧V1,V2とDCリアクトル3の電流の検出値ILを用いるが、このうち一方の電圧検出値V2はリアクトル電流制御の際の積分初期値にのみ使用し、通流率指令値を作成する際には逐次の値を演算に使用せず、他方の電圧検出値V1のみを逐次の値として使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二つの直流電源間で電力を授受する際に使用する昇降圧双方向DC/DCコンバータ、およびこれを用いた交流モータ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昇降圧双方向DC/DCコンバータは、一次側の電圧と二次側の電圧のうちどちらの電圧が高い場合であっても双方向に電流を流すことができる。このような昇降圧双方向DC/DCコンバータの回路構成としては、例えば下記の特許文献1に記載の構成のものが周知であり、その場合の半導体スイッチの基本的なスイッチング方法も確立されている。
【0003】
従来、昇降圧双方向DC/DCコンバータは、一次側ないしは二次側の電圧を所望の値に制御できるように、DCリアクトルに流れる電流を制御することが多かった。これにより、一次側および二次側に接続されている電源や負荷を好ましい電圧にて動作させることができる(例えば、下記の特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
ところで、交流モータ駆動装置に電力貯蔵装置を接続して交流モータの駆動状況に応じて電力貯蔵要素の充放電を行うために、昇降圧双方向DC/DCコンバータを用いる場合には、一次側と二次側で所望の電力を授受することが重要となる。この場合には、DC/DCコンバータの一次側と二次側の電圧は、電力貯蔵要素や電源系統、あるいは負荷などの状態に応じて決定され、状況によって大きく変動する。このときは一次側ないしは二次側の電圧を制御するのではなく、充放電電力や系統からの入力電力が所望の値になるように制御している。
【0005】
例えば、下記の特許文献3や特許文献4では、直流母線電圧がある範囲で変化する場合に、電力貯蔵要素の充放電可能電圧を広範囲に設定できるようにするため、昇降圧双方向DC/DCコンバータを用いて電力の授受を行っている。
【0006】
特に、特許文献3では、電圧の大小関係によらず電力の向きと大きさについて瞬時値ベースの連続的な可変制御を行っている。さらに、電力制御のためにリアクトル電流制御を行っており、リアクトル電流指令IL*と結合リアクトル電流ILの偏差、一次側コンデンサ電圧V1、二次側コンデンサ電圧V2から一次側と二次側の通流率指令を求めている。
【0007】
また、特許文献4では、蓄電用のコンデンサを備え、モータの減速時にコンデンサを充電し、加速時にコンデンサを放電するモータ制御装置において、コンデンサに蓄えられたエネルギを有効に使うため、コンデンサの電圧がDCリンク部の電圧以上の場合だけでなく、DCリンク部の電圧以下になっても所望の電力を放電できるように、電圧値の比較またはコンデンサから放電される電流値に基づいてDC/DCコンバータの降圧と昇圧動作を切り換えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−281736号公報
【特許文献2】特開2002−238250号公報
【特許文献3】特許第4094649号公報
【特許文献4】特許第4512145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献3記載の従来技術のDC/DCコンバータにあっては、通流率指令値を求めるために、通流率指令値の演算周期毎にDC/DCコンバータの一次側と二次側の電圧検出値を用いてその比を計算する必要があった。このため、その電圧検出値を取り込むためのインタフェイスも高精度のものが必要になるとともに、制御負荷が大きくなるなどの問題がある。
【0010】
また、特許文献4記載の従来技術のDC/DCコンバータおよび交流モータ駆動装置にあっては、一次側と二次側の電圧比較や電流値に基づき、降圧動作と昇圧動作の切り換えを必要とするため、制御アルゴリズムが複雑であった。
【0011】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、全動作領域で単一の制御アルゴリズムを使用して降圧と昇圧の動作切り換えを不要とし、さらに二つの電圧検出値のうち一方のみを通流率指令値の演算周期毎に使用し、他方は充放電動作開始時にのみ使用することにより電圧検出を簡略化することが可能な昇降圧双方向DC/DCコンバータ、およびこの昇降圧双方向DC/DCコンバータを用いた交流モータ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、一次側と二次側の2つの直流電源の間で双方向に直流電力を供給する昇降圧双方向DC/DCコンバータであって、電力変換用の主回路部と、この主回路部の動作を制御する制御部とを備え、
上記主回路部は、上記一次側の直流電源に接続される一次側端子の両端に接続された一次側の一対のスイッチと、上記二次側の直流電源に接続される二次側端子の両端に接続された二次側の一対のスイッチと、DCリアクトルと、このDCリアクトルに流れるリアクトル電流を検出するリアクトル電流検出器とを有し、上記各一対のスイッチ同士は互いに直列に接続され、かつ上記一次側と上記二次側の各一対のスイッチの互いの直列接続点同士が上記DCリアクトルを介して接続され
上記制御部は、上記DCリアクトルに流れるリアクトル電流の制御指令値となるリアクトル電流指令値と上記リアクトル電流検出器で検出されるリアクトル電流検出値との誤差が0となるように上記リアクトル電流を制御するリアクトル電流制御部と、
このリアクトル電流制御部で得られる電圧指令値に基づいて上記スイッチの通流率を作成する通流率指令作成部と、この通流率指令作成部で作成された通流率を有する上記スイッチのオン、オフ制御用のゲート信号を作成するゲート信号作成部とを備え、
上記リアクトル電流制御部は、上記リアクトル電流指令値と上記リアクトル電流検出値との差を積分制御する積分器を有し、この積分器の初期値に上記一次側端子の電圧値および上記二次側端子の電圧値のうちのいずれか一方を用いており、また上記通流率指令作成部は、上記一次側端子の電圧値および上記二次側端子の電圧値のうち上記積分器の初期値に用いていない他方の電圧値を用いて通流率を計算するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一次側端子と二次側端子の各電圧に相当する電圧とDCリアクトルに流れる電流を検出し、制御部は両電圧検出値のうちの一方と、リアクトル電流検出値、およびDCリアクトルに流れる電流を指令する指令値を用いて各スイッチをオン、オフ制御し、電圧検出値のうちの他方はDCリアクトルに流れる電流を積分制御する際の初期値のみに用いているため、電圧検出が簡略化され、また、全動作領域で単一の制御アルゴリズムを使用しているので、降圧と昇圧を切り換える動作が不要で、連続的な可変制御が可能な昇降圧双方向DC/DCコンバータを得ることができる。
【0014】
これにより、例えば直流電源からの直流電力をインバータにより交流電力に変換して交流モータに供給し、さらに直流電力を制御するための電力貯蔵装置を備える交流モータ駆動装置における電力貯蔵要素の充放電回路にこの昇降圧双方向DC/DCコンバータを好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における昇降圧双方向DC/DCコンバータを示す構成図である。
【図2】同DC/DCコンバータにおけるリアクトル電流の波形図である。
【図3】同DC/DCコンバータにおいてリアクトル電流の平均値が変化する場合の波形図である。
【図4】同DC/DCコンバータの制御部を示す構成図である。
【図5】同制御部におけるリアクトル電流制御部の詳細を示す構成図である。
【図6】同制御部における通流率指令作成部の詳細を示す構成図である。
【図7】同制御部における通流率指令作成部の他の例を示す構成図である。
【図8】同制御部におけるゲート信号作成部の詳細を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態2における昇降圧双方向DC/DCコンバータの制御部を示す構成図である。
【図10】同制御部におけるゲート信号作成部の詳細を示す構成図である。
【図11】本発明の実施の形態3における交流モータ駆動装置を示す構成図である。
【図12】同交流モータ駆動装置の電力貯蔵装置を示す構成図である。
【図13】同交流モータ駆動装置において電力貯蔵装置を構成する電力貯蔵要素の一例を示す構成図である。
【図14】同交流モータ駆動装置において電力貯蔵装置を構成する昇降圧双方向DC/DCコンバータの制御部を示す構成図である。
【図15】同制御部における入力電力制御部の詳細を示す構成図である。
【図16】本発明の実施の形態4における昇降圧双方向DC/DCコンバータの制御部を示す構成図である。
【図17】同制御部における入力電力制御部の詳細を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における昇降圧双方向DC/DCコンバータの全体を示す構成図である。
【0017】
この実施の形態1の昇降圧双方向DC/DCコンバータは、電力変換用の主回路部8と、この主回路部8の動作を制御する制御部7とを有する。
【0018】
ここに、主回路部8は、自己消弧型半導体のスイッチング素子である一次側の一対のIGBT1a,IGBT1bが直列に接続され、これらのIGBT1a,1bに対してはそれぞれ逆並列に還流ダイオード2a,2bが接続されている。同じく二次側の一対のIGBT1c,IGBT1dも直列接続されており、これらのIGBT1c,IGBT1dには、それぞれ逆並列に還流ダイオード2c,2dが接続されている。各一対のIGBT1a,IGBT1bおよびIGBT1c,IGBT1dの直列接続点同士はDCリアクトル3を介して互いに接続されている。また、IGBT1aのコレクタとIGBT1bのエミッタはそれぞれ一次側端子10a,10bに接続され、IGBT1cのコレクタとIGBT1dのエミッタはそれぞれ二次側端子10c,10dに接続されている。さらに、一次側端子10a,10bと並列に平滑コンデンサ4aが、二次側端子10c,10dと並列に平滑コンデンサ4bがそれぞれ接続されている。
なお、上記の各IGBT1a〜1dと、これに個別に逆並列に接続された還流ダイオード2a〜2dが特許請求の範囲のスイッチに対応している。また、一次側あるいは二次側の端子10a,10b、10c,10dがコンデンサなどと接続される際には、平滑コンデンサ4a,4bの何れかあるいは両方は省略されることがある。
さらに、この主回路部8には、一次側端子10a,10bや二次側端子10c,10dの電圧を検出する電圧検出器5a,5bやDCリアクトル3の電流を検出する電流検出器6が設けられている。
【0019】
一方、制御部7は、各電圧検出器5a,5bや電流検出器6の各検出値、および図示しない上位の制御部から制御部7に入力されるリアクトル電流指令値に基づいて、IGBT1a〜1dのスイッチング制御を行うためのゲート信号を出力する。このとき、一次側端子10a,10bの電圧検出値をV1、二次側端子10c,10dの電圧検出値をV2、リアクトル電流検出値をIL、リアクトル電流指令値をIL*とする。このとき、リアクトル電流検出値ILは、一次側から二次側に流れる向きを正とする。なお、これらの各検出器5a,5b,6は、等価的な検出値が得られる別の場所に設けることができる。また、該当部分の検出値が図示しない上位の制御部などから与えられる場合は、検出器を省略することができるのは勿論である。
【0020】
ここで、この実施の形態1における昇降圧双方向DC/DCコンバータの基本動作を説明する。なお、ここでは説明の便宜上、DCリアクトル3に流れるリアクトル電流は、その検出値ILと同じ符号を使用する。
図2はDCリアクトル3に流れるリアクトル電流ILの定常時の電流波形例を示しており、平均電流にリプル電流が重畳されている。リアクトル電流ILに含まれるリプル電流を図2のように、上下のピーク間の変動幅として定義する。このとき、IGBT1a〜IGBT1dの通流率(オンデューティ比)は原則的には、次の表1に示すようになる。
【0021】
【表1】
【0022】
ここで、通流率“0”はIGBTが常時オフ、通流率“1”は常時オンの状態である。なお、直列に接続された一対のIGBT1aとIGBT1bの通流率の和、および一対IGBT1cとIGBT1dの通流率の和はそれぞれ“1”であって、一対のIGBT1a,IGBT1b、およびIGBT1c,IGBT1dに加わるゲート信号が常にオン/オフ逆の状態をとることは言うまでもない。したがって、ゲート信号の作成にはIGBT1a〜IGBT1d全ての通流率を求める必要はなく、IGBT1aとIGBT1bの何れかとIGBT1cとIGBT1dの何れかの通流率を求めればよい。さらに、一対のIGBT1a,IGBT1b、およびIGBT1c,IGBT1dの短絡防止のために双方がオフとなるデッドタイムの期間を設ける必要があるのも勿論である。
【0023】
また、各IGBT1a〜IGBT1dと還流ダイオード2a〜2dのどちらに電流が流れるかは、リアクトル電流ILの極性で決定される。具体的にはIL>0の場合は、IGBT1a,IGBT1d、還流ダイオード2b,2cに電流が流れ、また、IL<0の場合は、IGBT1b,IGBT1c、還流ダイオード2a,2dに電流が流れる。
【0024】
ところで、表1では電圧条件によって場合分けをしていたが、実際の通流率は0〜1であるから、次の表2に示すように、電圧V1,V2の大小関係や充電放電状態にかかわらず各IGBT1a〜IGBT1dの通流率を単純な式で求めることができる。つまり、V2/V1を計算し、次いでその逆数V1/V2を計算した後、これらの値をリミッタで0〜1の範囲に制限することにより、IGBT1aとIGBT1cの通流率を計算でき、これらより全部のゲート信号が作成できる。この点については、後述の制御部7を構成する通流率指令作成部12とゲート信号作成部13についての動作説明を行う際にさらに詳しく説明する。
【0025】
【表2】
【0026】
次に、この昇降圧双方向DC/DCコンバータの基本的な電流制御方法について説明する。
図3はリアクトル電流ILが変化する様子を示したものである。まず、図2に示すような定常状態において、IGBT1aとIGBT1cの通流率がDa,Dcとする。リアクトル電流ILの平均値を変化させる場合、IGBT1a,IGBT1cの通流率をDa+ΔDa,Dc+ΔDcに変更する。ここに、ΔDaは通流率Daについての変化分、ΔDcは通流率Dcについての変化分である。
【0027】
図3(a)のようにリアクトル電流ILが正の値の場合に、リアクトル電流ILが大きくなる方向に変化させる場合はΔDaを正の値、ΔDcを負の値に設定する。つまり、IGBT1aの通流率Daを増加させ、逆にIGBT1cの通流率Dcを減少させる。また、図3(b)のようにリアクトル電流ILが小さくなる方向に変化させる場合は、ΔDaを負の値、ΔDcを正の値に設定する。つまり、IGBT1aの通流率Daを減少させ、逆にIGBT1cの通流率Dcを増加させる。なお、リアクトル電流ILが負の値の場合に、そのリアクトル電流ILの絶対値を大きくするにはΔDaを負の値、ΔDcを正の値に設定することになる。
【0028】
図4は本発明の実施の形態1における制御部7を示す構成図である。
制御部7は、リアクトル電流制御部11、通流率指令作成部12、およびゲート信号作成部13からなる。
【0029】
図5は図4の制御部7におけるリアクトル電流制御部11の詳細を示す構成図である。
リアクトル電流制御部11では、図示しない上位の制御部から入力されるリアクトル電流指令値IL*からリアクトル電流検出値ILを減算器21で減算し、PI制御器22に入力する。
【0030】
このとき、PI制御器22の積分初期値は二次側の電圧検出値V2とする。PI制御器22はIGBT1a〜1dの全ゲートがオフしている、すなわちDC/DCコンバータが休止している間は積分を停止しており、全ゲートオフが解除されるタイミングで積分器を二次側の電圧検出値V2にリセットする。PI制御器22の出力は二次側電圧指令値V2*相当となり、次段の通流率指令作成部12に入力される。
なお、図5には示さないがPI制御器22の積分値や二次側電圧指令値V2*にリミッタにより制限をかけることができるのは言うまでもない。このとき、制限値の例としては、固定値ならば(二次側の電圧検出値V2の上限+所定値)と(二次側の電圧検出値V2の下限−所定値)である。
【0031】
図6は図4の制御部7における通流率指令作成部12の詳細を示す構成図である。
リアクトル電流制御部11から入力される二次側電圧指令値V2*は、除算器24により一次側の電圧検出値V1で除算される。なお、実際には一次側の電圧検出値V1はリミッタ23で現実的な電圧範囲に制限され、除算器24には制限後の値が入力される。リミッタ23の制限値の下限は“0”で除算することを防ぐため“0”より大きい値に設定する。概ね一次側電圧の変動範囲を設定すれば問題ない。
【0032】
除算器24の出力値(V2*/V1)をリミッタ27aで0〜1の範囲に制限したものが一次側端子10a,10bに接続されたIGBT1aの通流率D1となる。このとき、直列接続された他方のIGBT1bの通流率は(1−D1)である。定常時の通流率は、表2に示したとおりであるが、二次側の電圧検出値V2を逐次検出しなくてもリアクトル電流制御部11から出力される二次側電圧指令値V2*を使用して通流率を計算すればリアクトル電流を所望の値に制御することができる。
【0033】
次に、二次側端子10c,10dに接続されたIGBT1c,1dの通流率は、まず、除算器24の出力値(V2*/V1)をリミッタ25で制限した後の値をXとすると、逆数演算器26で1/Xを求める。続いて、逆数演算器26の出力をリミッタ27bで0〜1の範囲に制限したものが一方のIGBT1cの通流率D2である。このとき、直列接続された他方のIGBT1dの通流率は(1−D2)である。定常時の通流率は、表2に示したとおりであるが、二次側の電圧検出値V2を逐次検出しなくてもリアクトル電流制御部11から出力される二次側電圧指令値V2*を使用して通流率を計算すればリアクトル電流を所望の値に制御することができる。
【0034】
リミッタ25の制限値は通流率が0〜1に制限されることから、下限値は“0”より大きく“1”以下ならよい。上限値は処理上オーバーフローを起こさない値に制限する程度であって、リアクトル電流制御部11から出力される二次側電圧指令値V2*が制限されている際には特に設ける必要はない。
【0035】
このようにして、V1>V2のときは、通流率D1が0〜1の範囲になるので、逆数演算器26の出力は“1”より大きくなり、これをリミッタ27bで0〜1の範囲に制限した通流率D2は“1”になる。そのため、V1>V2のときは、通流率D1,(1−D1)が電流制御を担う。
【0036】
また、逆にV1<V2のときは、除算器24の出力は“1”より大きくなり、これをリミッタ27aで0〜1の範囲に制限した通流率D1は“1”になる。一方、逆数演算器26の出力は“1”より小さくなり、これをリミッタ27bで0〜1の範囲に制限した通流率D2は0〜1の範囲になる。そのため、V1<V2のときは通流率D2,(1−D2)が電流制御を担う。つまり、前述の表1、表2に示すようになる。なお、V1=V2のときは、D1=D2=1となるので、リアクトル電流制御部11から出力される二次側電圧指令値V2*は連続的に変化する。
【0037】
図7は図4の制御部7における通流率指令作成部12の別例を示す構成図である。
図7では図6の逆数演算器26の代わりに除算器28を用いたもので、同様の効果が得られる。
【0038】
図8は図4の制御部7におけるゲート信号作成部13の詳細を示す構成図である。
通流率指令作成部12からの通流率D1,D2の信号をコンパレータ29a,29bでキャリア信号Scと比較する。このときキャリア信号Scは、0〜1の値をとる三角波、ないしはのこぎり波とする。これにより、一方のコンパレータ29aの出力がIGBT1aのゲート信号G1p、このゲート信号G1pの反転パターンとなるNOT演算器30aの出力がIGBT1bのゲート信号G1nとなる。また、他方のコンパレータ29bの出力がIGBT1cのゲート信号G2p、その反転パターンとなるNOT演算器30bの出力がIGBT1dのゲート信号G2nとなる。
なお、通流率D1,D2の信号を−1〜1の信号にレベル変換した後に、−1〜1の値をとるキャリア信号Scと比較しても同様の結果が得られる。
【0039】
したがって、V1>V2のときは、通流率D1が0〜1の範囲になるので、一方のコンパレータ29aの出力であるゲート信号G1pと、その反転パターンとなるNOT演算器30aの出力であるゲート信号G1nとによって上下のIGBT1a,IGBT1bが駆動制御される。このとき、ゲート信号G2pは“1”でIGBT1cは常時オン、ゲート信号G2nは“0”でIGBT1dは常時オフである。
【0040】
また、V1<V2のときは、通流率D2が0〜1の範囲になるので、他方のコンパレータ29bの出力であるゲート信号G2pと、その反転パターンとなるNOT演算器30bの出力であるゲート信号G2nとによって上下のIGBT1c,IGBT1dが駆動制御される。このとき、ゲート信号G1pは“1”でIGBT1aは常時オン、ゲート信号G1nは“0”でIGBT1dは常時オフである。
なお、実際にはゲート信号G1pとG1nの間、ゲート信号G2pとG2nの間にはそれぞれ短絡防止期間が設けられる。短絡防止期間中は還流ダイオード2a〜2dに電流が流れる。
【0041】
以上のように、この実施の形態1では、リアクトル電流ILが一次側と二次側の各電圧検出値V1,V2の大小関係に関係なく、上位の制御部から入力されるリアクトル電流指令値IL*により連続的に制御できる。つまり、上位の制御部が所望の一次側と二次側で授受したい電力の向きと大きさに応じて正、0、負の間を変化するリアクトル電流指令値LI*を作成しても、降圧と昇圧を切り換える動作が不要で、全動作領域で単一の制御アルゴリズムを使用して連続的な電圧可変制御が可能となる。
【0042】
さらに、この実施の形態1では、二次側の電圧検出値V2は、リアクトル電流制御部11のPI制御器22の積分初期値としてだけ用いられており、全ゲートオフの状態が解除されDC/DCコンバータの動作が開始されるタイミングでのみ使用される。また、通流率指令作成部12は、二次側の電圧検出値V2に代わり、二次側電圧指令値V2*を使用するため、逐次の値を演算に使用することがなく、電圧検出器5a,5bを簡略化できるという従来にない効果が得られる。
【0043】
なお、リアクトル電流制御部11と通流率指令作成部12において一次側の電圧検出値V1と二次側の電圧検出値V2を入れ換えることもできる。このとき、リアクトル電流制御部11への入力は一次側の電圧検出値V1に、通流率指令作成部12への入力は二次側の電圧検出値V2に、リアクトル電流制御部11の出力は一次側電圧指令値V1*になり、通流率指令作成部12の一方のリミッタ27aの出力は二次側の通流率D2に、他方のリミッタ27bの出力は一次側の通流率D1になる。
【0044】
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2における制御部7の構成図、図10はゲート信号作成部13の構成図であり、図4および図8に示した実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。また、実施の形態1と同様の構成部分の説明は省略する。
【0045】
この実施の形態2の特徴は、ゲート信号作成部13に一次側と二次側の各通流率D1,D2に加えて、リアクトル電流指令値IL*が入力される。また、ゲート信号作成部13は、実施の形態1の構成に加えて、2つのコンパレータ31a,31bと、4つのAND演算器32a〜32dが設けられている。
【0046】
ここで、コンパレータ31aの一方の入力端子に加えるしきい値ILspは正の所望の値に設定され、また、他方のコンパレータ31bの一方の入力端子に加えるしきい値ILsmは負の所望の値に設定される。これにより、リアクトル電流指令値IL*の不感帯を決定する。
【0047】
すなわち、各しきい値ILsp,ILsmをリアクトル電流指令値IL*と比較することにより、
(1)リアクトル電流指令値IL*が両しきい値ILsm〜ILspの間の範囲では、各コンパレータ31a,31bは共に“0”を出力するため、各AND演算器32a〜32dの出力は全て“0”、つまり全ゲートオフの状態になる。
(2)リアクトル電流指令値IL*が一方のしきい値ILsp以上になると、コンパレータ31aの出力が“1”となるため、AND演算器32a,32dを介してゲート信号G1p,G2nが出力される。
(3)リアクトル電流指令値IL*が他方のしきい値ILsm以下になると、コンパレータ31bの出力が“1”となるため、AND演算器32b,32cを介してゲート信号G1n,G2pが出力される。
【0048】
これにより、チョッパ動作により電流がIGBT1a〜1dを流れる場合にゲート信号を出力し、還流ダイオード2a〜2dを流れる場合にはゲートオフされることになる。つまり、AND演算器32a〜32dによって、リアクトル電流指令値IL*に基づき自動的に実質的に不要であるゲート信号をオフすることができる。したがって、この場合には、不感帯がデッドタイムの役割を果たすため、上下のIGBT1a,IGBT1b、およびIGBT1c,IGBT1dに対する短絡防止期間を設ける必要がなくなる。
【0049】
このとき、各しきい値ILsm,ILspの絶対値を概ね図2に示したリプル電流の1/2としてもよい。リアクトル電流指令値IL*がリプル電流の1/2以下になると、直列に接続したIGBTの片側だけをゲート駆動している場合には誤差が大きくなるので、この区間を不感帯にできる効果がある。
【0050】
以上のように、この実施の形態2では、実施の形態1と同様に、二次側の電圧検出値V2はリアクトル電流制御部11のPI制御器22の積分初期値として用いており、全ゲートオフの状態が解除され、DC/DCコンバータの動作が開始されるタイミングでのみ使用される。また、通流率指令作成部12は、二次側の電圧検出値V2の代わり二次側電圧指令値V2*を使用するため、逐次の値を演算に使用することがなく、電圧検出器を簡略化できるという従来にない効果が得られる。さらに、この実施の形態2では、短絡防止期間を必要としないため、短絡防止期間に起因するIGBT1a〜1dの導通時間の誤差が発生しないという効果も得られる。また、この実施の形態2ではリアクトル電流指令値IL*を用いたが、リアクトル電流検出値ILを用いることもできる。
【0051】
実施の形態3.
図11は本発明の実施の形態3における交流モータ駆動装置の全体を示す構成図である。
【0052】
この実施の形態3の交流モータ駆動装置は、直流電源51から直流電力が供給される直流母線52に接続された複数のインバータ53,53,・・・と、直流母線52に並列に接続された一つの電力貯蔵装置55とを備え、各インバータ53,53,・・・には個別に交流モータ54,54,・・・が接続されている。
【0053】
そして、直流電源51より出力された直流電力は、直流母線52を介して各インバータ53,53,・・・に供給され、各インバータ53,53,・・・で所望の交流電圧を発生させて交流モータ54,54,・・・を駆動する。なお、ここでは直流母線52に対して各インバータ53,53,・・・と交流モータ54,54,・・・とが複数組設けられているが1組だけ接続される場合もある。
【0054】
上記の直流電源51は、図示しないが、例えば交流電源からの交流電力をトランスやリアクトルを介して回生可能な整流器に入力されて整流化された後、平滑コンデンサで平滑されることにより直流電力を得ている。
【0055】
電力貯蔵装置55は、図12に示すように、エネルギを蓄積する電力貯蔵要素61と、昇降圧双方向DC/DCコンバータ62とから構成されており、このDC/DCコンバータ62の一次側が直流母線52に、二次側が電力貯蔵要素61に接続されている。
【0056】
電力貯蔵要素61は、例えば図13に示すような構成を有する。すなわち、この電力貯蔵要素61は、電気二重層キャパシタ(EDLC)からなる複数のEDLCセル71,71,・・・を直列接続するとともに、各EDLCセル71,71,・・・間の電圧のばらつきを低減するために、各EDLCセル71,71,・・・に対して電圧バランス抵抗73,73,・・・を個別に並列接続してなるEDLCモジュール72,72,・・・を有する。そして、電力貯蔵要素61は、これらのEDLCモジュール72,72,・・・のm×n(m、nは1以上の数)個を直・並列接続することでEDLCユニットとして構成されている。
【0057】
また、昇降圧双方向DC/DCコンバータ62は、電力変換用の主回路部8と、この主回路部8を制御する制御部7とからなる。
【0058】
この場合、主回路部8の構成は、基本的には図1に示した実施の形態1の主回路部8の構成と同じであるが、この実施の形態3では、主回路部8の一次側が直流母線52に接続されるので、一次側端子10a,10bと二次側端子10c,10dに接続された電圧検出器5a,5bやDCリアクトル3の電流を検出する電流検出器6に加えて、直流電源51の出力電流すなわち直流母線52上の交流モータ駆動装置の入力電流Iinを検出する電流検出器9を備えている。なお、一次側端子10a,10bの電圧は直流母線52の電圧、二次側端子10c,10dの電圧は電力貯蔵要素61の端子電圧と等価であるので、各々の端子とは別の場所に電圧検出器5a,5bを設けてもよい。さらに、直流電源51や電力貯蔵要素61は容量成分を持つので、平滑コンデンサ4a,4bのどちらかあるいは両方を省略することが可能である。
【0059】
一方、制御部7は、上記の各検出値や図示しない上位の制御部から入力される交流モータ駆動装置の入力電力指令値Pin*に基づいて、IGBT1a〜1dのスイッチング制御を行うためのゲート信号を出力する。このとき、交流モータ駆動装置の入力電流Iinと入力電力Pinの向きは、直流電源51から電力貯蔵装置55の向きを正とする。また、入力電流Iinは、インバータ3や昇降圧双方向DC/DCコンバータ62のスイッチングに起因する高周波成分を含むため、入力電流Iinの検出値はアナログまたはデジタルのフィルタを介して制御部7に入力することが望ましい。
【0060】
ここで、制御部7の構成としては、図14に示すように、実施の形態1(図4)の場合と同様、リアクトル電流制御部11、通流率指令作成部12、およびゲート信号作成部13を備えるとともに、さらにリアクトル電流制御部11の前段に、入力電力制御部14が設けられている。
【0061】
図15は本発明の実施の形態3における入力電力制御部14の構成例を示す図である。
入力電力制御部14は、交流モータ駆動装置の入力電力の絶対値を所定値内に制限するために必要となるリアクトル電流を求め、これをリアクトル電流指令値IL*として出力するものである。
【0062】
すなわち、一次側の電圧検出値V1と入力電流Iinとを乗算器81に入力して両者を乗算することで入力電力検出値Pinを求める。次いで、減算器82で入力電力検出値Pinと入力電力指令値Pin*との差(Pin*−Pin)を求める。ここで、入力電力指令値Pin*は、入力電力の制限値に相当し、力行時は正の値、回生時は負の値をとる。続いて、増幅器83で減算器82の出力(Pin*−Pin)を所定倍Kし、この出力K・(Pin*−Pin)を積分器84に入力して積分し、その積分した値をリアクトル電流指令値IL*として出力する。
【0063】
なお、力行時はリアクトル電流指令値IL*を“0”以下に、回生時はリアクトル電流指令値IL*を“0”以上に制限することにより、電力貯蔵装置55への不要な充放電を阻止し、入力電力のピークカットだけを行うことができる。
その他の構成、および動作等は、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0064】
以上のように、この実施の形態3では電力貯蔵装置55に本発明の昇降圧双方向DC/DCコンバータ62を適用したため、直流母線52の電圧検出値V1に影響されず電力貯蔵要素61を充放電することができ、電力貯蔵要素61の利用率を向上できる。また、直流母線52の電圧検出値V1と電力貯蔵要素61の電圧検出値V2の大小関係にかかわらず自動的に所望の電力を充放電することができる。さらに、通流率指令作成部12では、電力貯蔵要素61側の電圧検出値V2の代わりに、リアクトル電流制御部11で得られる二次側電圧指令値V2*を使用するため、電力貯蔵要素61の電圧検出値V2は、逐次の値を演算に使用することはなく、所望の電力を充放電することができる。その結果、交流モータ駆動装置の入力電力Pinを所定値内に制限できるというこれまでにない効果を得ることができる。
【0065】
なお、この実施の形態3では、実施の形態1に示した構成の昇降圧双方向DC/DCコンバータ62を適用したが、実施の形態2に示した制御部7の構成(図9)において、リアクトル電流制御部11の前段に入力電力制御部14を設けることも可能である。
【0066】
実施の形態4.
図16は実施の形態4における制御部7の構成図、図17は入力電力制御部14の構成図であり、実施の形態3の図14、図15と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。また、実施の形態3と同様の構成部分の説明は省略する。
【0067】
この実施の形態4では、入力電力制御部14に対して、一次側の電圧検出値V1に加えて二次側の電圧検出値V2を共に入力している。そして、両電圧検出値V1,V2を最小値演算器86に入力して両電圧検出値V1,V2のうちの小さい方の値を選択する。こうして選択された値が“0”より大きくなるようにリミッタ87で制限した後、この選択された値(0より大)と、減算器82で得られた電力検出値Pinと入力電力指令値Pin*との電力差(Pin*−Pin)とを共に除算器85に入力する。そして、除算器85で上記の電力差(Pin*−Pin)を最小値演算器86で選択された値(0より大)で除算する。そして、除算器85で得られた値を増幅器83と積分器84で積分制御を行ってリアクトル電流指令値IL*を求める。
【0068】
これにより、入力電力制御部14では、二次側の電圧検出値V2を必要とするが、入力電力制御部14の制御周期をリアクトル電流制御部11や通流率指令作成部12の制御周期よりも遅く設定することが可能である。したがって、リアクトル電流制御部11や通流率指令作成部12で二次側の電圧検出値V2の逐次の値を用いる必要がなく、電圧検出器5a,5bや制御プログラムの負荷を軽減できるという効果がある。
【0069】
なお、上記の各実施の形態1〜実施の形態4では、自己消弧型半導体スイッチング素子としてIGBTを用いた場合について説明したが、これに限らず、MOSFETなど他の半導体スイッチング素子を用いることもできる。また、MOSFETを用いた場合には逆並列に接続するダイオードを省略することができる。
【符号の説明】
【0070】
1a,1b,1c,1d IGBT(自己消弧型半導体スイッチング素子)、
2a,2b,2c,2d 還流ダイオード、3 DCリアクトル、
5a,5b 電圧検出器、6 電流検出器、7 制御部、11 リアクトル電流制御部、12 通流率指令作成部、13 ゲート信号作成部、14 入力電力制御部、
51 直流電源、52 直流母線、53 インバータ、54 交流モータ、
55 電力貯蔵装置、61 電力貯蔵要素、62 昇降圧双方向DC/DCコンバータ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、二つの直流電源間で電力を授受する際に使用する昇降圧双方向DC/DCコンバータ、およびこれを用いた交流モータ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昇降圧双方向DC/DCコンバータは、一次側の電圧と二次側の電圧のうちどちらの電圧が高い場合であっても双方向に電流を流すことができる。このような昇降圧双方向DC/DCコンバータの回路構成としては、例えば下記の特許文献1に記載の構成のものが周知であり、その場合の半導体スイッチの基本的なスイッチング方法も確立されている。
【0003】
従来、昇降圧双方向DC/DCコンバータは、一次側ないしは二次側の電圧を所望の値に制御できるように、DCリアクトルに流れる電流を制御することが多かった。これにより、一次側および二次側に接続されている電源や負荷を好ましい電圧にて動作させることができる(例えば、下記の特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
ところで、交流モータ駆動装置に電力貯蔵装置を接続して交流モータの駆動状況に応じて電力貯蔵要素の充放電を行うために、昇降圧双方向DC/DCコンバータを用いる場合には、一次側と二次側で所望の電力を授受することが重要となる。この場合には、DC/DCコンバータの一次側と二次側の電圧は、電力貯蔵要素や電源系統、あるいは負荷などの状態に応じて決定され、状況によって大きく変動する。このときは一次側ないしは二次側の電圧を制御するのではなく、充放電電力や系統からの入力電力が所望の値になるように制御している。
【0005】
例えば、下記の特許文献3や特許文献4では、直流母線電圧がある範囲で変化する場合に、電力貯蔵要素の充放電可能電圧を広範囲に設定できるようにするため、昇降圧双方向DC/DCコンバータを用いて電力の授受を行っている。
【0006】
特に、特許文献3では、電圧の大小関係によらず電力の向きと大きさについて瞬時値ベースの連続的な可変制御を行っている。さらに、電力制御のためにリアクトル電流制御を行っており、リアクトル電流指令IL*と結合リアクトル電流ILの偏差、一次側コンデンサ電圧V1、二次側コンデンサ電圧V2から一次側と二次側の通流率指令を求めている。
【0007】
また、特許文献4では、蓄電用のコンデンサを備え、モータの減速時にコンデンサを充電し、加速時にコンデンサを放電するモータ制御装置において、コンデンサに蓄えられたエネルギを有効に使うため、コンデンサの電圧がDCリンク部の電圧以上の場合だけでなく、DCリンク部の電圧以下になっても所望の電力を放電できるように、電圧値の比較またはコンデンサから放電される電流値に基づいてDC/DCコンバータの降圧と昇圧動作を切り換えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−281736号公報
【特許文献2】特開2002−238250号公報
【特許文献3】特許第4094649号公報
【特許文献4】特許第4512145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献3記載の従来技術のDC/DCコンバータにあっては、通流率指令値を求めるために、通流率指令値の演算周期毎にDC/DCコンバータの一次側と二次側の電圧検出値を用いてその比を計算する必要があった。このため、その電圧検出値を取り込むためのインタフェイスも高精度のものが必要になるとともに、制御負荷が大きくなるなどの問題がある。
【0010】
また、特許文献4記載の従来技術のDC/DCコンバータおよび交流モータ駆動装置にあっては、一次側と二次側の電圧比較や電流値に基づき、降圧動作と昇圧動作の切り換えを必要とするため、制御アルゴリズムが複雑であった。
【0011】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、全動作領域で単一の制御アルゴリズムを使用して降圧と昇圧の動作切り換えを不要とし、さらに二つの電圧検出値のうち一方のみを通流率指令値の演算周期毎に使用し、他方は充放電動作開始時にのみ使用することにより電圧検出を簡略化することが可能な昇降圧双方向DC/DCコンバータ、およびこの昇降圧双方向DC/DCコンバータを用いた交流モータ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、一次側と二次側の2つの直流電源の間で双方向に直流電力を供給する昇降圧双方向DC/DCコンバータであって、電力変換用の主回路部と、この主回路部の動作を制御する制御部とを備え、
上記主回路部は、上記一次側の直流電源に接続される一次側端子の両端に接続された一次側の一対のスイッチと、上記二次側の直流電源に接続される二次側端子の両端に接続された二次側の一対のスイッチと、DCリアクトルと、このDCリアクトルに流れるリアクトル電流を検出するリアクトル電流検出器とを有し、上記各一対のスイッチ同士は互いに直列に接続され、かつ上記一次側と上記二次側の各一対のスイッチの互いの直列接続点同士が上記DCリアクトルを介して接続され
上記制御部は、上記DCリアクトルに流れるリアクトル電流の制御指令値となるリアクトル電流指令値と上記リアクトル電流検出器で検出されるリアクトル電流検出値との誤差が0となるように上記リアクトル電流を制御するリアクトル電流制御部と、
このリアクトル電流制御部で得られる電圧指令値に基づいて上記スイッチの通流率を作成する通流率指令作成部と、この通流率指令作成部で作成された通流率を有する上記スイッチのオン、オフ制御用のゲート信号を作成するゲート信号作成部とを備え、
上記リアクトル電流制御部は、上記リアクトル電流指令値と上記リアクトル電流検出値との差を積分制御する積分器を有し、この積分器の初期値に上記一次側端子の電圧値および上記二次側端子の電圧値のうちのいずれか一方を用いており、また上記通流率指令作成部は、上記一次側端子の電圧値および上記二次側端子の電圧値のうち上記積分器の初期値に用いていない他方の電圧値を用いて通流率を計算するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一次側端子と二次側端子の各電圧に相当する電圧とDCリアクトルに流れる電流を検出し、制御部は両電圧検出値のうちの一方と、リアクトル電流検出値、およびDCリアクトルに流れる電流を指令する指令値を用いて各スイッチをオン、オフ制御し、電圧検出値のうちの他方はDCリアクトルに流れる電流を積分制御する際の初期値のみに用いているため、電圧検出が簡略化され、また、全動作領域で単一の制御アルゴリズムを使用しているので、降圧と昇圧を切り換える動作が不要で、連続的な可変制御が可能な昇降圧双方向DC/DCコンバータを得ることができる。
【0014】
これにより、例えば直流電源からの直流電力をインバータにより交流電力に変換して交流モータに供給し、さらに直流電力を制御するための電力貯蔵装置を備える交流モータ駆動装置における電力貯蔵要素の充放電回路にこの昇降圧双方向DC/DCコンバータを好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における昇降圧双方向DC/DCコンバータを示す構成図である。
【図2】同DC/DCコンバータにおけるリアクトル電流の波形図である。
【図3】同DC/DCコンバータにおいてリアクトル電流の平均値が変化する場合の波形図である。
【図4】同DC/DCコンバータの制御部を示す構成図である。
【図5】同制御部におけるリアクトル電流制御部の詳細を示す構成図である。
【図6】同制御部における通流率指令作成部の詳細を示す構成図である。
【図7】同制御部における通流率指令作成部の他の例を示す構成図である。
【図8】同制御部におけるゲート信号作成部の詳細を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態2における昇降圧双方向DC/DCコンバータの制御部を示す構成図である。
【図10】同制御部におけるゲート信号作成部の詳細を示す構成図である。
【図11】本発明の実施の形態3における交流モータ駆動装置を示す構成図である。
【図12】同交流モータ駆動装置の電力貯蔵装置を示す構成図である。
【図13】同交流モータ駆動装置において電力貯蔵装置を構成する電力貯蔵要素の一例を示す構成図である。
【図14】同交流モータ駆動装置において電力貯蔵装置を構成する昇降圧双方向DC/DCコンバータの制御部を示す構成図である。
【図15】同制御部における入力電力制御部の詳細を示す構成図である。
【図16】本発明の実施の形態4における昇降圧双方向DC/DCコンバータの制御部を示す構成図である。
【図17】同制御部における入力電力制御部の詳細を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における昇降圧双方向DC/DCコンバータの全体を示す構成図である。
【0017】
この実施の形態1の昇降圧双方向DC/DCコンバータは、電力変換用の主回路部8と、この主回路部8の動作を制御する制御部7とを有する。
【0018】
ここに、主回路部8は、自己消弧型半導体のスイッチング素子である一次側の一対のIGBT1a,IGBT1bが直列に接続され、これらのIGBT1a,1bに対してはそれぞれ逆並列に還流ダイオード2a,2bが接続されている。同じく二次側の一対のIGBT1c,IGBT1dも直列接続されており、これらのIGBT1c,IGBT1dには、それぞれ逆並列に還流ダイオード2c,2dが接続されている。各一対のIGBT1a,IGBT1bおよびIGBT1c,IGBT1dの直列接続点同士はDCリアクトル3を介して互いに接続されている。また、IGBT1aのコレクタとIGBT1bのエミッタはそれぞれ一次側端子10a,10bに接続され、IGBT1cのコレクタとIGBT1dのエミッタはそれぞれ二次側端子10c,10dに接続されている。さらに、一次側端子10a,10bと並列に平滑コンデンサ4aが、二次側端子10c,10dと並列に平滑コンデンサ4bがそれぞれ接続されている。
なお、上記の各IGBT1a〜1dと、これに個別に逆並列に接続された還流ダイオード2a〜2dが特許請求の範囲のスイッチに対応している。また、一次側あるいは二次側の端子10a,10b、10c,10dがコンデンサなどと接続される際には、平滑コンデンサ4a,4bの何れかあるいは両方は省略されることがある。
さらに、この主回路部8には、一次側端子10a,10bや二次側端子10c,10dの電圧を検出する電圧検出器5a,5bやDCリアクトル3の電流を検出する電流検出器6が設けられている。
【0019】
一方、制御部7は、各電圧検出器5a,5bや電流検出器6の各検出値、および図示しない上位の制御部から制御部7に入力されるリアクトル電流指令値に基づいて、IGBT1a〜1dのスイッチング制御を行うためのゲート信号を出力する。このとき、一次側端子10a,10bの電圧検出値をV1、二次側端子10c,10dの電圧検出値をV2、リアクトル電流検出値をIL、リアクトル電流指令値をIL*とする。このとき、リアクトル電流検出値ILは、一次側から二次側に流れる向きを正とする。なお、これらの各検出器5a,5b,6は、等価的な検出値が得られる別の場所に設けることができる。また、該当部分の検出値が図示しない上位の制御部などから与えられる場合は、検出器を省略することができるのは勿論である。
【0020】
ここで、この実施の形態1における昇降圧双方向DC/DCコンバータの基本動作を説明する。なお、ここでは説明の便宜上、DCリアクトル3に流れるリアクトル電流は、その検出値ILと同じ符号を使用する。
図2はDCリアクトル3に流れるリアクトル電流ILの定常時の電流波形例を示しており、平均電流にリプル電流が重畳されている。リアクトル電流ILに含まれるリプル電流を図2のように、上下のピーク間の変動幅として定義する。このとき、IGBT1a〜IGBT1dの通流率(オンデューティ比)は原則的には、次の表1に示すようになる。
【0021】
【表1】
【0022】
ここで、通流率“0”はIGBTが常時オフ、通流率“1”は常時オンの状態である。なお、直列に接続された一対のIGBT1aとIGBT1bの通流率の和、および一対IGBT1cとIGBT1dの通流率の和はそれぞれ“1”であって、一対のIGBT1a,IGBT1b、およびIGBT1c,IGBT1dに加わるゲート信号が常にオン/オフ逆の状態をとることは言うまでもない。したがって、ゲート信号の作成にはIGBT1a〜IGBT1d全ての通流率を求める必要はなく、IGBT1aとIGBT1bの何れかとIGBT1cとIGBT1dの何れかの通流率を求めればよい。さらに、一対のIGBT1a,IGBT1b、およびIGBT1c,IGBT1dの短絡防止のために双方がオフとなるデッドタイムの期間を設ける必要があるのも勿論である。
【0023】
また、各IGBT1a〜IGBT1dと還流ダイオード2a〜2dのどちらに電流が流れるかは、リアクトル電流ILの極性で決定される。具体的にはIL>0の場合は、IGBT1a,IGBT1d、還流ダイオード2b,2cに電流が流れ、また、IL<0の場合は、IGBT1b,IGBT1c、還流ダイオード2a,2dに電流が流れる。
【0024】
ところで、表1では電圧条件によって場合分けをしていたが、実際の通流率は0〜1であるから、次の表2に示すように、電圧V1,V2の大小関係や充電放電状態にかかわらず各IGBT1a〜IGBT1dの通流率を単純な式で求めることができる。つまり、V2/V1を計算し、次いでその逆数V1/V2を計算した後、これらの値をリミッタで0〜1の範囲に制限することにより、IGBT1aとIGBT1cの通流率を計算でき、これらより全部のゲート信号が作成できる。この点については、後述の制御部7を構成する通流率指令作成部12とゲート信号作成部13についての動作説明を行う際にさらに詳しく説明する。
【0025】
【表2】
【0026】
次に、この昇降圧双方向DC/DCコンバータの基本的な電流制御方法について説明する。
図3はリアクトル電流ILが変化する様子を示したものである。まず、図2に示すような定常状態において、IGBT1aとIGBT1cの通流率がDa,Dcとする。リアクトル電流ILの平均値を変化させる場合、IGBT1a,IGBT1cの通流率をDa+ΔDa,Dc+ΔDcに変更する。ここに、ΔDaは通流率Daについての変化分、ΔDcは通流率Dcについての変化分である。
【0027】
図3(a)のようにリアクトル電流ILが正の値の場合に、リアクトル電流ILが大きくなる方向に変化させる場合はΔDaを正の値、ΔDcを負の値に設定する。つまり、IGBT1aの通流率Daを増加させ、逆にIGBT1cの通流率Dcを減少させる。また、図3(b)のようにリアクトル電流ILが小さくなる方向に変化させる場合は、ΔDaを負の値、ΔDcを正の値に設定する。つまり、IGBT1aの通流率Daを減少させ、逆にIGBT1cの通流率Dcを増加させる。なお、リアクトル電流ILが負の値の場合に、そのリアクトル電流ILの絶対値を大きくするにはΔDaを負の値、ΔDcを正の値に設定することになる。
【0028】
図4は本発明の実施の形態1における制御部7を示す構成図である。
制御部7は、リアクトル電流制御部11、通流率指令作成部12、およびゲート信号作成部13からなる。
【0029】
図5は図4の制御部7におけるリアクトル電流制御部11の詳細を示す構成図である。
リアクトル電流制御部11では、図示しない上位の制御部から入力されるリアクトル電流指令値IL*からリアクトル電流検出値ILを減算器21で減算し、PI制御器22に入力する。
【0030】
このとき、PI制御器22の積分初期値は二次側の電圧検出値V2とする。PI制御器22はIGBT1a〜1dの全ゲートがオフしている、すなわちDC/DCコンバータが休止している間は積分を停止しており、全ゲートオフが解除されるタイミングで積分器を二次側の電圧検出値V2にリセットする。PI制御器22の出力は二次側電圧指令値V2*相当となり、次段の通流率指令作成部12に入力される。
なお、図5には示さないがPI制御器22の積分値や二次側電圧指令値V2*にリミッタにより制限をかけることができるのは言うまでもない。このとき、制限値の例としては、固定値ならば(二次側の電圧検出値V2の上限+所定値)と(二次側の電圧検出値V2の下限−所定値)である。
【0031】
図6は図4の制御部7における通流率指令作成部12の詳細を示す構成図である。
リアクトル電流制御部11から入力される二次側電圧指令値V2*は、除算器24により一次側の電圧検出値V1で除算される。なお、実際には一次側の電圧検出値V1はリミッタ23で現実的な電圧範囲に制限され、除算器24には制限後の値が入力される。リミッタ23の制限値の下限は“0”で除算することを防ぐため“0”より大きい値に設定する。概ね一次側電圧の変動範囲を設定すれば問題ない。
【0032】
除算器24の出力値(V2*/V1)をリミッタ27aで0〜1の範囲に制限したものが一次側端子10a,10bに接続されたIGBT1aの通流率D1となる。このとき、直列接続された他方のIGBT1bの通流率は(1−D1)である。定常時の通流率は、表2に示したとおりであるが、二次側の電圧検出値V2を逐次検出しなくてもリアクトル電流制御部11から出力される二次側電圧指令値V2*を使用して通流率を計算すればリアクトル電流を所望の値に制御することができる。
【0033】
次に、二次側端子10c,10dに接続されたIGBT1c,1dの通流率は、まず、除算器24の出力値(V2*/V1)をリミッタ25で制限した後の値をXとすると、逆数演算器26で1/Xを求める。続いて、逆数演算器26の出力をリミッタ27bで0〜1の範囲に制限したものが一方のIGBT1cの通流率D2である。このとき、直列接続された他方のIGBT1dの通流率は(1−D2)である。定常時の通流率は、表2に示したとおりであるが、二次側の電圧検出値V2を逐次検出しなくてもリアクトル電流制御部11から出力される二次側電圧指令値V2*を使用して通流率を計算すればリアクトル電流を所望の値に制御することができる。
【0034】
リミッタ25の制限値は通流率が0〜1に制限されることから、下限値は“0”より大きく“1”以下ならよい。上限値は処理上オーバーフローを起こさない値に制限する程度であって、リアクトル電流制御部11から出力される二次側電圧指令値V2*が制限されている際には特に設ける必要はない。
【0035】
このようにして、V1>V2のときは、通流率D1が0〜1の範囲になるので、逆数演算器26の出力は“1”より大きくなり、これをリミッタ27bで0〜1の範囲に制限した通流率D2は“1”になる。そのため、V1>V2のときは、通流率D1,(1−D1)が電流制御を担う。
【0036】
また、逆にV1<V2のときは、除算器24の出力は“1”より大きくなり、これをリミッタ27aで0〜1の範囲に制限した通流率D1は“1”になる。一方、逆数演算器26の出力は“1”より小さくなり、これをリミッタ27bで0〜1の範囲に制限した通流率D2は0〜1の範囲になる。そのため、V1<V2のときは通流率D2,(1−D2)が電流制御を担う。つまり、前述の表1、表2に示すようになる。なお、V1=V2のときは、D1=D2=1となるので、リアクトル電流制御部11から出力される二次側電圧指令値V2*は連続的に変化する。
【0037】
図7は図4の制御部7における通流率指令作成部12の別例を示す構成図である。
図7では図6の逆数演算器26の代わりに除算器28を用いたもので、同様の効果が得られる。
【0038】
図8は図4の制御部7におけるゲート信号作成部13の詳細を示す構成図である。
通流率指令作成部12からの通流率D1,D2の信号をコンパレータ29a,29bでキャリア信号Scと比較する。このときキャリア信号Scは、0〜1の値をとる三角波、ないしはのこぎり波とする。これにより、一方のコンパレータ29aの出力がIGBT1aのゲート信号G1p、このゲート信号G1pの反転パターンとなるNOT演算器30aの出力がIGBT1bのゲート信号G1nとなる。また、他方のコンパレータ29bの出力がIGBT1cのゲート信号G2p、その反転パターンとなるNOT演算器30bの出力がIGBT1dのゲート信号G2nとなる。
なお、通流率D1,D2の信号を−1〜1の信号にレベル変換した後に、−1〜1の値をとるキャリア信号Scと比較しても同様の結果が得られる。
【0039】
したがって、V1>V2のときは、通流率D1が0〜1の範囲になるので、一方のコンパレータ29aの出力であるゲート信号G1pと、その反転パターンとなるNOT演算器30aの出力であるゲート信号G1nとによって上下のIGBT1a,IGBT1bが駆動制御される。このとき、ゲート信号G2pは“1”でIGBT1cは常時オン、ゲート信号G2nは“0”でIGBT1dは常時オフである。
【0040】
また、V1<V2のときは、通流率D2が0〜1の範囲になるので、他方のコンパレータ29bの出力であるゲート信号G2pと、その反転パターンとなるNOT演算器30bの出力であるゲート信号G2nとによって上下のIGBT1c,IGBT1dが駆動制御される。このとき、ゲート信号G1pは“1”でIGBT1aは常時オン、ゲート信号G1nは“0”でIGBT1dは常時オフである。
なお、実際にはゲート信号G1pとG1nの間、ゲート信号G2pとG2nの間にはそれぞれ短絡防止期間が設けられる。短絡防止期間中は還流ダイオード2a〜2dに電流が流れる。
【0041】
以上のように、この実施の形態1では、リアクトル電流ILが一次側と二次側の各電圧検出値V1,V2の大小関係に関係なく、上位の制御部から入力されるリアクトル電流指令値IL*により連続的に制御できる。つまり、上位の制御部が所望の一次側と二次側で授受したい電力の向きと大きさに応じて正、0、負の間を変化するリアクトル電流指令値LI*を作成しても、降圧と昇圧を切り換える動作が不要で、全動作領域で単一の制御アルゴリズムを使用して連続的な電圧可変制御が可能となる。
【0042】
さらに、この実施の形態1では、二次側の電圧検出値V2は、リアクトル電流制御部11のPI制御器22の積分初期値としてだけ用いられており、全ゲートオフの状態が解除されDC/DCコンバータの動作が開始されるタイミングでのみ使用される。また、通流率指令作成部12は、二次側の電圧検出値V2に代わり、二次側電圧指令値V2*を使用するため、逐次の値を演算に使用することがなく、電圧検出器5a,5bを簡略化できるという従来にない効果が得られる。
【0043】
なお、リアクトル電流制御部11と通流率指令作成部12において一次側の電圧検出値V1と二次側の電圧検出値V2を入れ換えることもできる。このとき、リアクトル電流制御部11への入力は一次側の電圧検出値V1に、通流率指令作成部12への入力は二次側の電圧検出値V2に、リアクトル電流制御部11の出力は一次側電圧指令値V1*になり、通流率指令作成部12の一方のリミッタ27aの出力は二次側の通流率D2に、他方のリミッタ27bの出力は一次側の通流率D1になる。
【0044】
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2における制御部7の構成図、図10はゲート信号作成部13の構成図であり、図4および図8に示した実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。また、実施の形態1と同様の構成部分の説明は省略する。
【0045】
この実施の形態2の特徴は、ゲート信号作成部13に一次側と二次側の各通流率D1,D2に加えて、リアクトル電流指令値IL*が入力される。また、ゲート信号作成部13は、実施の形態1の構成に加えて、2つのコンパレータ31a,31bと、4つのAND演算器32a〜32dが設けられている。
【0046】
ここで、コンパレータ31aの一方の入力端子に加えるしきい値ILspは正の所望の値に設定され、また、他方のコンパレータ31bの一方の入力端子に加えるしきい値ILsmは負の所望の値に設定される。これにより、リアクトル電流指令値IL*の不感帯を決定する。
【0047】
すなわち、各しきい値ILsp,ILsmをリアクトル電流指令値IL*と比較することにより、
(1)リアクトル電流指令値IL*が両しきい値ILsm〜ILspの間の範囲では、各コンパレータ31a,31bは共に“0”を出力するため、各AND演算器32a〜32dの出力は全て“0”、つまり全ゲートオフの状態になる。
(2)リアクトル電流指令値IL*が一方のしきい値ILsp以上になると、コンパレータ31aの出力が“1”となるため、AND演算器32a,32dを介してゲート信号G1p,G2nが出力される。
(3)リアクトル電流指令値IL*が他方のしきい値ILsm以下になると、コンパレータ31bの出力が“1”となるため、AND演算器32b,32cを介してゲート信号G1n,G2pが出力される。
【0048】
これにより、チョッパ動作により電流がIGBT1a〜1dを流れる場合にゲート信号を出力し、還流ダイオード2a〜2dを流れる場合にはゲートオフされることになる。つまり、AND演算器32a〜32dによって、リアクトル電流指令値IL*に基づき自動的に実質的に不要であるゲート信号をオフすることができる。したがって、この場合には、不感帯がデッドタイムの役割を果たすため、上下のIGBT1a,IGBT1b、およびIGBT1c,IGBT1dに対する短絡防止期間を設ける必要がなくなる。
【0049】
このとき、各しきい値ILsm,ILspの絶対値を概ね図2に示したリプル電流の1/2としてもよい。リアクトル電流指令値IL*がリプル電流の1/2以下になると、直列に接続したIGBTの片側だけをゲート駆動している場合には誤差が大きくなるので、この区間を不感帯にできる効果がある。
【0050】
以上のように、この実施の形態2では、実施の形態1と同様に、二次側の電圧検出値V2はリアクトル電流制御部11のPI制御器22の積分初期値として用いており、全ゲートオフの状態が解除され、DC/DCコンバータの動作が開始されるタイミングでのみ使用される。また、通流率指令作成部12は、二次側の電圧検出値V2の代わり二次側電圧指令値V2*を使用するため、逐次の値を演算に使用することがなく、電圧検出器を簡略化できるという従来にない効果が得られる。さらに、この実施の形態2では、短絡防止期間を必要としないため、短絡防止期間に起因するIGBT1a〜1dの導通時間の誤差が発生しないという効果も得られる。また、この実施の形態2ではリアクトル電流指令値IL*を用いたが、リアクトル電流検出値ILを用いることもできる。
【0051】
実施の形態3.
図11は本発明の実施の形態3における交流モータ駆動装置の全体を示す構成図である。
【0052】
この実施の形態3の交流モータ駆動装置は、直流電源51から直流電力が供給される直流母線52に接続された複数のインバータ53,53,・・・と、直流母線52に並列に接続された一つの電力貯蔵装置55とを備え、各インバータ53,53,・・・には個別に交流モータ54,54,・・・が接続されている。
【0053】
そして、直流電源51より出力された直流電力は、直流母線52を介して各インバータ53,53,・・・に供給され、各インバータ53,53,・・・で所望の交流電圧を発生させて交流モータ54,54,・・・を駆動する。なお、ここでは直流母線52に対して各インバータ53,53,・・・と交流モータ54,54,・・・とが複数組設けられているが1組だけ接続される場合もある。
【0054】
上記の直流電源51は、図示しないが、例えば交流電源からの交流電力をトランスやリアクトルを介して回生可能な整流器に入力されて整流化された後、平滑コンデンサで平滑されることにより直流電力を得ている。
【0055】
電力貯蔵装置55は、図12に示すように、エネルギを蓄積する電力貯蔵要素61と、昇降圧双方向DC/DCコンバータ62とから構成されており、このDC/DCコンバータ62の一次側が直流母線52に、二次側が電力貯蔵要素61に接続されている。
【0056】
電力貯蔵要素61は、例えば図13に示すような構成を有する。すなわち、この電力貯蔵要素61は、電気二重層キャパシタ(EDLC)からなる複数のEDLCセル71,71,・・・を直列接続するとともに、各EDLCセル71,71,・・・間の電圧のばらつきを低減するために、各EDLCセル71,71,・・・に対して電圧バランス抵抗73,73,・・・を個別に並列接続してなるEDLCモジュール72,72,・・・を有する。そして、電力貯蔵要素61は、これらのEDLCモジュール72,72,・・・のm×n(m、nは1以上の数)個を直・並列接続することでEDLCユニットとして構成されている。
【0057】
また、昇降圧双方向DC/DCコンバータ62は、電力変換用の主回路部8と、この主回路部8を制御する制御部7とからなる。
【0058】
この場合、主回路部8の構成は、基本的には図1に示した実施の形態1の主回路部8の構成と同じであるが、この実施の形態3では、主回路部8の一次側が直流母線52に接続されるので、一次側端子10a,10bと二次側端子10c,10dに接続された電圧検出器5a,5bやDCリアクトル3の電流を検出する電流検出器6に加えて、直流電源51の出力電流すなわち直流母線52上の交流モータ駆動装置の入力電流Iinを検出する電流検出器9を備えている。なお、一次側端子10a,10bの電圧は直流母線52の電圧、二次側端子10c,10dの電圧は電力貯蔵要素61の端子電圧と等価であるので、各々の端子とは別の場所に電圧検出器5a,5bを設けてもよい。さらに、直流電源51や電力貯蔵要素61は容量成分を持つので、平滑コンデンサ4a,4bのどちらかあるいは両方を省略することが可能である。
【0059】
一方、制御部7は、上記の各検出値や図示しない上位の制御部から入力される交流モータ駆動装置の入力電力指令値Pin*に基づいて、IGBT1a〜1dのスイッチング制御を行うためのゲート信号を出力する。このとき、交流モータ駆動装置の入力電流Iinと入力電力Pinの向きは、直流電源51から電力貯蔵装置55の向きを正とする。また、入力電流Iinは、インバータ3や昇降圧双方向DC/DCコンバータ62のスイッチングに起因する高周波成分を含むため、入力電流Iinの検出値はアナログまたはデジタルのフィルタを介して制御部7に入力することが望ましい。
【0060】
ここで、制御部7の構成としては、図14に示すように、実施の形態1(図4)の場合と同様、リアクトル電流制御部11、通流率指令作成部12、およびゲート信号作成部13を備えるとともに、さらにリアクトル電流制御部11の前段に、入力電力制御部14が設けられている。
【0061】
図15は本発明の実施の形態3における入力電力制御部14の構成例を示す図である。
入力電力制御部14は、交流モータ駆動装置の入力電力の絶対値を所定値内に制限するために必要となるリアクトル電流を求め、これをリアクトル電流指令値IL*として出力するものである。
【0062】
すなわち、一次側の電圧検出値V1と入力電流Iinとを乗算器81に入力して両者を乗算することで入力電力検出値Pinを求める。次いで、減算器82で入力電力検出値Pinと入力電力指令値Pin*との差(Pin*−Pin)を求める。ここで、入力電力指令値Pin*は、入力電力の制限値に相当し、力行時は正の値、回生時は負の値をとる。続いて、増幅器83で減算器82の出力(Pin*−Pin)を所定倍Kし、この出力K・(Pin*−Pin)を積分器84に入力して積分し、その積分した値をリアクトル電流指令値IL*として出力する。
【0063】
なお、力行時はリアクトル電流指令値IL*を“0”以下に、回生時はリアクトル電流指令値IL*を“0”以上に制限することにより、電力貯蔵装置55への不要な充放電を阻止し、入力電力のピークカットだけを行うことができる。
その他の構成、および動作等は、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0064】
以上のように、この実施の形態3では電力貯蔵装置55に本発明の昇降圧双方向DC/DCコンバータ62を適用したため、直流母線52の電圧検出値V1に影響されず電力貯蔵要素61を充放電することができ、電力貯蔵要素61の利用率を向上できる。また、直流母線52の電圧検出値V1と電力貯蔵要素61の電圧検出値V2の大小関係にかかわらず自動的に所望の電力を充放電することができる。さらに、通流率指令作成部12では、電力貯蔵要素61側の電圧検出値V2の代わりに、リアクトル電流制御部11で得られる二次側電圧指令値V2*を使用するため、電力貯蔵要素61の電圧検出値V2は、逐次の値を演算に使用することはなく、所望の電力を充放電することができる。その結果、交流モータ駆動装置の入力電力Pinを所定値内に制限できるというこれまでにない効果を得ることができる。
【0065】
なお、この実施の形態3では、実施の形態1に示した構成の昇降圧双方向DC/DCコンバータ62を適用したが、実施の形態2に示した制御部7の構成(図9)において、リアクトル電流制御部11の前段に入力電力制御部14を設けることも可能である。
【0066】
実施の形態4.
図16は実施の形態4における制御部7の構成図、図17は入力電力制御部14の構成図であり、実施の形態3の図14、図15と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。また、実施の形態3と同様の構成部分の説明は省略する。
【0067】
この実施の形態4では、入力電力制御部14に対して、一次側の電圧検出値V1に加えて二次側の電圧検出値V2を共に入力している。そして、両電圧検出値V1,V2を最小値演算器86に入力して両電圧検出値V1,V2のうちの小さい方の値を選択する。こうして選択された値が“0”より大きくなるようにリミッタ87で制限した後、この選択された値(0より大)と、減算器82で得られた電力検出値Pinと入力電力指令値Pin*との電力差(Pin*−Pin)とを共に除算器85に入力する。そして、除算器85で上記の電力差(Pin*−Pin)を最小値演算器86で選択された値(0より大)で除算する。そして、除算器85で得られた値を増幅器83と積分器84で積分制御を行ってリアクトル電流指令値IL*を求める。
【0068】
これにより、入力電力制御部14では、二次側の電圧検出値V2を必要とするが、入力電力制御部14の制御周期をリアクトル電流制御部11や通流率指令作成部12の制御周期よりも遅く設定することが可能である。したがって、リアクトル電流制御部11や通流率指令作成部12で二次側の電圧検出値V2の逐次の値を用いる必要がなく、電圧検出器5a,5bや制御プログラムの負荷を軽減できるという効果がある。
【0069】
なお、上記の各実施の形態1〜実施の形態4では、自己消弧型半導体スイッチング素子としてIGBTを用いた場合について説明したが、これに限らず、MOSFETなど他の半導体スイッチング素子を用いることもできる。また、MOSFETを用いた場合には逆並列に接続するダイオードを省略することができる。
【符号の説明】
【0070】
1a,1b,1c,1d IGBT(自己消弧型半導体スイッチング素子)、
2a,2b,2c,2d 還流ダイオード、3 DCリアクトル、
5a,5b 電圧検出器、6 電流検出器、7 制御部、11 リアクトル電流制御部、12 通流率指令作成部、13 ゲート信号作成部、14 入力電力制御部、
51 直流電源、52 直流母線、53 インバータ、54 交流モータ、
55 電力貯蔵装置、61 電力貯蔵要素、62 昇降圧双方向DC/DCコンバータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側と二次側の2つの直流電源の間で双方向に直流電力を供給する昇降圧双方向DC/DCコンバータであって、
電力変換用の主回路部と、この主回路部の動作を制御する制御部とを備え、
上記主回路部は、上記一次側の直流電源に接続される一次側端子の両端に接続された一次側の一対のスイッチと、上記二次側の直流電源に接続される二次側端子の両端に接続された二次側の一対のスイッチと、DCリアクトルと、このDCリアクトルに流れるリアクトル電流を検出するリアクトル電流検出器とを有し、上記各一対のスイッチ同士は互いに直列に接続され、かつ上記一次側と上記二次側の各一対のスイッチの互いの直列接続点同士が上記DCリアクトルを介して接続され
上記制御部は、上記DCリアクトルに流れるリアクトル電流の制御指令値となるリアクトル電流指令値と上記リアクトル電流検出器で検出されるリアクトル電流検出値との誤差が0となるように上記リアクトル電流を制御するリアクトル電流制御部と、
このリアクトル電流制御部で得られる電圧指令値に基づいて上記スイッチの通流率を作成する通流率指令作成部と、この通流率指令作成部で作成された通流率を有する上記スイッチのオン、オフ制御用のゲート信号を作成するゲート信号作成部とを備え、
上記リアクトル電流制御部は、上記リアクトル電流指令値と上記リアクトル電流検出値との差を積分制御する積分器を有し、この積分器の初期値に上記一次側端子の電圧値および上記二次側端子の電圧値のうちのいずれか一方を用いており、また上記通流率指令作成部は、上記一次側端子の電圧値および上記二次側端子の電圧値のうち上記積分器の初期値に用いていない他方の電圧値を用いて通流率を計算するものである昇降圧双方向DC/DCコンバータ。
【請求項2】
上記各スイッチは、半導体スイッチング素子と、この半導体スイッチング素子と逆並列に接続された還流ダイオードとからなり、上記リアクトル電流指令値または上記リアクトル電流検出値に応じて、少なくとも上記還流ダイオードに電流が流れる期間において上記ゲート信号をオフする請求項1記載の昇降圧双方向DC/DCコンバータ。
【請求項3】
直流電源から直流電力が供給される直流母線に接続されて交流モータを駆動するインバータと、上記直流母線に接続された電力貯蔵装置とを備える交流モータ駆動装置において、
上記電力貯蔵装置は、エネルギを蓄積する電力貯蔵要素と、上記直流母線を介した上記電力貯蔵要素への充電および上記電力貯蔵要素からの上記直流母線側への放電の双方向に直流電力を供給する昇降圧双方向DC/DCコンバータとを含み、
上記昇降圧双方向DC/DCコンバータが請求項1または請求項2記載の昇降圧双方向DC/DCコンバータである交流モータ駆動装置。
【請求項1】
一次側と二次側の2つの直流電源の間で双方向に直流電力を供給する昇降圧双方向DC/DCコンバータであって、
電力変換用の主回路部と、この主回路部の動作を制御する制御部とを備え、
上記主回路部は、上記一次側の直流電源に接続される一次側端子の両端に接続された一次側の一対のスイッチと、上記二次側の直流電源に接続される二次側端子の両端に接続された二次側の一対のスイッチと、DCリアクトルと、このDCリアクトルに流れるリアクトル電流を検出するリアクトル電流検出器とを有し、上記各一対のスイッチ同士は互いに直列に接続され、かつ上記一次側と上記二次側の各一対のスイッチの互いの直列接続点同士が上記DCリアクトルを介して接続され
上記制御部は、上記DCリアクトルに流れるリアクトル電流の制御指令値となるリアクトル電流指令値と上記リアクトル電流検出器で検出されるリアクトル電流検出値との誤差が0となるように上記リアクトル電流を制御するリアクトル電流制御部と、
このリアクトル電流制御部で得られる電圧指令値に基づいて上記スイッチの通流率を作成する通流率指令作成部と、この通流率指令作成部で作成された通流率を有する上記スイッチのオン、オフ制御用のゲート信号を作成するゲート信号作成部とを備え、
上記リアクトル電流制御部は、上記リアクトル電流指令値と上記リアクトル電流検出値との差を積分制御する積分器を有し、この積分器の初期値に上記一次側端子の電圧値および上記二次側端子の電圧値のうちのいずれか一方を用いており、また上記通流率指令作成部は、上記一次側端子の電圧値および上記二次側端子の電圧値のうち上記積分器の初期値に用いていない他方の電圧値を用いて通流率を計算するものである昇降圧双方向DC/DCコンバータ。
【請求項2】
上記各スイッチは、半導体スイッチング素子と、この半導体スイッチング素子と逆並列に接続された還流ダイオードとからなり、上記リアクトル電流指令値または上記リアクトル電流検出値に応じて、少なくとも上記還流ダイオードに電流が流れる期間において上記ゲート信号をオフする請求項1記載の昇降圧双方向DC/DCコンバータ。
【請求項3】
直流電源から直流電力が供給される直流母線に接続されて交流モータを駆動するインバータと、上記直流母線に接続された電力貯蔵装置とを備える交流モータ駆動装置において、
上記電力貯蔵装置は、エネルギを蓄積する電力貯蔵要素と、上記直流母線を介した上記電力貯蔵要素への充電および上記電力貯蔵要素からの上記直流母線側への放電の双方向に直流電力を供給する昇降圧双方向DC/DCコンバータとを含み、
上記昇降圧双方向DC/DCコンバータが請求項1または請求項2記載の昇降圧双方向DC/DCコンバータである交流モータ駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−244642(P2012−244642A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108950(P2011−108950)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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