説明

易開裂部形成装置

【課題】 長尺のプラスチックフィルムに斜めの易開裂部を効率良く形成する装置を提供する。
【解決手段】 長尺のプラスチックフィルム1が巻回する硬質ロール11と、傾斜した刻印部13aをロール面に有する複数のパターンロール13と、パターンロール13が固定された駆動シャフト15と、シャフト15を回転自在に支持する一対の第一のキャリア17,17と、第一のキャリア17,17を硬質ロール11の方向に移動させる一対の第一のガイドレール19,19と、各パターンロール13を背後から押圧する押しロール21と、各押しロール21を回転自在に支持する第二のキャリア23と、第二のキャリア23を硬質ロール11の方向に移動させる第二のガイドレール25とを具備し、第二のキャリア23が硬質ロール11の方向に移動すると押しロール21がパターンロール13を押圧し、もってプラスチックフィルム1に傾斜した易開裂部100を周期的に形成する装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長尺のプラスチックフィルムに斜めの易開裂部を形成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルトパウチのように高い気密性、耐熱性及び強度を要するプラスチック包装容器は、例えばポリエチレンテレフタレート等の高耐熱性・高強度樹脂のフィルムと、アルミニウム箔のような高気密性層と、無延伸ポリプロピレン等のシーラント層からなる。レトルトパウチの場合、熱湯又は電子レンジにより加熱した後、開封して内容物を取り出すが、パウチが高強度であるため、パウチの辺にノッチ(切込み)が形成されていても、手で開封するのは困難なことが多い。特に高齢化のために、握力が不十分な人が増加したために、ノッチだけでは手で開封できず、ハサミを使わなければならないことが多い。
【0003】
易カット性積層フィルム包材の製造方法として、特開平11-77872号(特許文献1)は、基材フィルム層と、総厚の1/2以上の厚さを有するシーラント層とからなる積層フィルムに対して、シーラント層側からレーザー光線を照射することによりシーラント層を薄化し、もって連続的又は断続的なハーフカット状切り離し線を形成する方法を開示している。この方法によりレトルトパウチに斜めのハーフカット状切り離し線を形成する場合、個々のレトルトパウチを製造した後で斜めのハーフカット状切り離し線を形成しなければならず、効率が悪いという問題がある。
【0004】
延伸フィルムは延伸方向に避け易いので、開口部が延伸方向と平行になるように袋を形成し、開口部に隣接する一辺に切欠き部を形成すると、開口部付近のフィルムを容易に引き裂くことができる。しかし、このような方法では開口部と平行にしか開封できない。飲料や流動食品等では小さな開封の方が好ましいことが多いので、斜めの開封部を有する容器(袋)が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-77872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、長尺のプラスチックフィルムに斜めの易開裂部を効率良く形成する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、(a) 易開裂部(切れ目)パターンを有する刻印部が回転方向に対して斜めに形成された回転自在のロールをプラスチックフィルムの横手方向に複数個配置し、(b) 硬質ロール上を進行するプラスチックフィルムに上記ロールを同時かつ回転自在に押圧すると、プラスチックフィルムに複数の斜めの易開裂部が周期的に形成されることを発見し、本発明に想到した。
【0008】
すなわち、長尺のプラスチックフィルムに斜めの易開裂部を形成する本発明の装置は、(a) 長尺のプラスチックフィルムが巻回する硬質ロールと、(b) パターン状の突起部を有する傾斜した線状の刻印部をロール面に部分的に有する複数のパターンロールと、(c) 前記複数のパターンロールが固定されているとともにモータにより駆動されるシャフトと、(d) 前記シャフトを回転自在に支持する第一のキャリアと、(e) 前記硬質ロールの軸線に対して垂直に延在する第一のガイドレールであって、それに沿って前記第一のキャリアが前記硬質ロールの方向に移動し得る第一のガイドレールと、(f) 前記パターンロールの各々を背後から押圧する押しロールと、(g) 前記押しロールの各々を回転自在に支持する第二のキャリアと、(h) 前記硬質ロールの軸線に対して垂直に延在する第二のガイドレールであって、それに沿って前記第二のキャリアが前記硬質ロールの方向に移動し得る第二のガイドレールとを具備し、前記第二のキャリアが前記硬質ロールの方向に移動することにより前記押しロールが前記パターンロールを押圧し、もって前記プラスチックフィルムに前記刻印部のパターンに対応する多数の凹部からなる易開裂部を傾斜した線状に部分的かつ周期的に形成することを特徴とする。
【0009】
前記刻印部の突起部が鋭い角部を有するモース硬度は5以上の多数の硬質粒子からなり、かつ前記刻印部の両側のロール面に溝が形成されているのが好ましい。
【0010】
前記刻印部は前記ロール面上に斜めに延在する凸条であり、かつ前記突起部は前記凸条の上面に前記凸条と平行に配列されている複数のエッジからなるのが好ましい。前記エッジに周期的に切欠き部を設けても良い。
【0011】
前記第一のキャリアは常時弾性部材により前記硬質ロールから離隔する方向に小さな力で押圧されており、前記弾性部材の力に逆らって前記パターンロールは前記押しロールにより前記プラスチックフィルムに押圧されるのが好ましい。
【0012】
前記第二のガイドレールがテーブルに固定されており、前記テーブルは前記硬質ロールの軸線と平行に延在する第三のガイドレールに沿って、前記プラスチックフィルムの横手方向に移動自在であるのが好ましい。
【0013】
前記押しロールはゴムロールであるのが好ましい。
【0014】
前記パターンロールの周速の初期値を前記プラスチックフィルムの進行速度より若干遅く設定し、両者の差がゼロとなるように前記パターンロールの周速を高める制御を行うのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
長尺のプラスチックフィルムに斜めの易開裂部を形成する本発明の装置は、パターン状の突起部を有する傾斜した線状の刻印部をロール面に部分的に有するパターンロールを具備し、前記プラスチックフィルムを介して硬質ロールに前記パターンロールを押圧するので、前記プラスチックフィルムに前記刻印部のパターンに対応する多数の凹部からなる易開裂部を傾斜した線状に部分的かつ周期的に形成することができる。前記刻印部の突起部は、硬質粒子又は複数のエッジからなるので、前記刻印部が押圧されたプラスチックフィルムの部分は他の部分より容易に開裂できるようになる。そのため、傾斜した前記刻印部を周期的に前記プラスチックフィルムに押圧することにより、プラスチックフィルムに傾斜した易開裂部を周期的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の易開裂部形成装置を示す部分断面側面図である。
【図2】本発明の易開裂部形成装置を示す平面図である。
【図3】易開裂部を形成したプラスチックフィルムとともに本発明の易開裂部形成装置を示す正面図である。
【図4】本発明の易開裂部形成装置に用いるパターンロールの一例を示す正面図である
【図5】図4に示すパターンロールのロール面を示す展開図である。
【図6】図5の拡大A-A断面図である。
【図7】本発明の易開裂部形成装置に用いるパターンロールの他の例のロール面を示す展開図である。
【図8】図7における部分Aの拡大図である。
【図9】図7のB-B断面図である。
【図10】図8のC-C断面図である。
【図11】本発明の易開裂部形成装置を構成するキャリア、テーブル及びガイドレールの配置を示す平面図である。
【図12】押しロールのホルダーを示す拡大平面図である。
【図13】本発明の易開裂部形成装置を示す拡大部分正面図である。
【図14】パターンロールがプラスチックフィルムに押圧された状態にある本発明の易開裂部形成装置を示す部分断面側面図である。
【図15】易開裂部を形成したプラスチックフィルムから袋を形成する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を添付図面を参照して以下詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更を施しても良い。
【0018】
図1〜図3に示すように、本発明の易開裂部形成装置は、(a) 長尺のプラスチックフィルム1が巻回する硬質ロール11と、(b) パターン状の突起部を有する傾斜した線状の刻印部13aをロール面に部分的に有する複数(図示の例では4つ)のパターンロール13と、(c) 複数のパターンロール13が固定されているとともにモータMにより駆動されるシャフト15と、(d) シャフト15を回転自在に支持する一対の第一のキャリア17,17と、(e) 硬質ロール11の軸線に対して垂直に延在し、それに沿って第一のキャリア17,17が硬質ロール11の方向に移動し得る一対の第一のガイドレール19,19と、(f) パターンロール13の各々を背後から押圧する押しロール21と、(g) 押しロール21の各々を回転自在に支持する第二のキャリア23と、(h) 硬質ロール11の軸線に対して垂直に延在し、それに沿って第二のキャリア23が硬質ロール11の方向に移動し得る第二のガイドレール25とを具備し、第二のキャリア23が硬質ロール11の方向に移動することにより押しロール21がパターンロール13を押圧し、もってプラスチックフィルム1に刻印部13aのパターンに対応する多数の凹部からなる易開裂部100を傾斜した線状に部分的かつ周期的に形成する。
【0019】
易開裂部100を形成する際にプラスチックフィルム1を支える硬質ロール11は、金属ロールであるのが好ましいが、表面が十分に硬質であればその材質は限定されない。プラスチックフィルム1を把持してその進行速度を制御するために、硬質ロール11に対向する別の硬質ロール12を設けるのが好ましい。プラスチックフィルム1は一対の硬質ロール11,12に把持されるので、硬質ロール11の表面上で十分な張力を有する。
【0020】
プラスチックフィルム1に易開裂部100となる多数の凹部を形成する複数のパターンロール13は、図2に示すように、1本のシャフト15に所定の間隔で固定されている。各パターンロール13は高硬度の金属製であり、ロール面に傾斜した1本の刻印部13aを有する。図4及び図5に示すように、刻印部13aは硬質ロール13のロール面上に斜め(例えば45°)に形成されている。
【0021】
刻印部13aの第一の例は、図4〜図6に示すように、鋭い角部を有するモース硬度が5以上の多数の硬質粒子からなる突起部を有する。刻印部13aの両側には溝13bが形成されている。両側の溝13bにより刻印部13aの輪郭がシャープになり、綺麗な易開裂部100が得られる。硬質粒子としてはダイヤモンド微粒子が好ましい。ダイヤモンド微粒子は、金属製ロール本体の表面にニッケルめっき等により付着している。硬質粒子の平均粒径は、プラスチックフィルム1の厚さ及び層構成に応じて適宜決める。例えばプラスチックフィルム1が、厚さ15μmのポリエチレンテレフタレート(PET)層と、厚さ20μmのナイロン層と、アルミニウム箔と、厚さ40μmのポリエチレン(シーラント)層とからなる場合、PET層とナイロン層に十分な切れ目を形成する必要があるので、15μm+20μm=35μmに近い深さまで凹部が形成できるように、硬質粒子の平均粒径を30〜200μmの範囲内で決めるのが好ましい。硬質ロール11の表面における硬質粒子の割合(面積率)は一般に10〜50%であり、好ましくは15〜30%である。硬質ロール11はモータ(図示せず)により駆動されており、それに対向する表面平滑なロール12はプラスチックフィルム1の進行により回転する従動ロールである。
【0022】
刻印部13aの第二の例は、図7〜図10に示すように、硬質ロール11のロール面上に斜めに形成された凸条131と、凸条131の上面から平行に突出する複数列の平行なエッジ132とを有する。エッジ132がプラスチックフィルム1に食い込むのを容易にするために、エッジ132に周期的に切欠き部134を設けても良い。刻印部13aのエッジ132は、まず金属ロールの表面(ロール面)に研削により凸条131を形成し、次いで凸条131の上面にグラインダーにより複数の平行な溝133を形成することにより得られる。エッジ132の高さは、上記の例では約35μmの深さまで切れ目を入れるのに十分でなければならず、具体的には100〜300μm程度が好ましい。エッジ132が十分な強度及び硬度を有するために、刻印部13aを形成する金属ロールは高速度鋼、工具鋼、超硬等により形成するのが好ましい。
【0023】
図2及び図11から明らかなように、複数のパターンロール13が固定されたシャフト15の両端は一対の第一のキャリア17,17により回転自在に支持されており、シャフト15の一方の端部にモータMが取り付けられている。各第一のキャリア17,17は各第一のガイドレール19,19に沿って硬質ロール11の軸線に対して垂直方向に移動自在である。各第一のガイドレール19,19の先端(硬質ロール11の側)には、ストッパ19a,19aと、ストッパ19a,19aに当接するコイルバネ19b,19bが設けられている。そのため、押しロール21がパターンロール13を押圧していない状態では、第一のキャリア17,17は硬質ロール11から離隔した位置(各第一のガイドレール19,19の後端側に設けられたストッパ19cの位置)まで後退しており、その結果硬質ロール11とパターンロール13との間に隙間がある。
【0024】
パターンロール13の横手方向の位置は、製作すべき包装容器(袋)の大きさ及び易開裂部100の位置に応じて決める必要があるので、シャフト15に沿って調節できなければならない。その上、形成すべき易開裂部100の深さを正確に制御するために、硬質ロール11とパターンロール13との間隔を正確に保たなければならない。これには、パターンロール13がシャフト15と完全に同軸的に回転する必要がある。従って、パターンロール13を焼き嵌めによりシャフト15に固定するのが好ましい。
【0025】
パターンロール13は、シャフト15の一端に取り付けられたモータMにより回転される。すなわち、長尺のプラスチックフィルム1はともに回転する硬質ロール11とパターンロール13との隙間を通ることになる。易開裂部100をプラスチックフィルム1に正確に周期的に形成しなければならないので、長尺のプラスチックフィルム1の進行速度とパターンロール13の周速とを正確に一致させる必要がある。そのため、長尺のプラスチックフィルム1の進行速度を測定するセンサ(図示せず)を設け、長尺のプラスチックフィルム1の進行速度とパターンロール13の周速との差がゼロとなるように制御する。制御はフィードバック制御でも良いが、より正確に制御するために、パターンロール13の周速の初期値を長尺のプラスチックフィルム1の進行速度より若干遅く設定し、両者の差がゼロとなるようにパターンロール13の周速を高める制御を行うのが好ましい。パターンロール13の周速の初期値は長尺のプラスチックフィルム1の進行速度の95〜99%が好ましい。このような制御は、パターンロール13の直径に必ず誤差があり、従って易開裂部100の周期的な間隔にも誤差があるためである。そのため、例えばパターンロール13が従動ロールであると、パターンロール13の回転に応じて上記誤差が蓄積し、易開裂部100の周期的な間隔が所望の範囲から逸脱してしまうので好ましくない。
【0026】
パターンロール13を押圧する押しロール21は、パターンロール13の刻印部13aを保護するためにゴムロールであるのが好ましい。またプラスチックフィルム1に形成する易開裂部100の位置及び深さを正確に制御するために、押しロール21の正確な位置制御が必要である。そのため、押しロール21の駆動装置22は、各押しロール21のホルダー24と、ホルダー24を支持する第二のキャリア23と、第二のキャリア23を位置決めするための第二のガイドレール25を有するテーブル27と、テーブル27を位置決めするための第三のガイドレール49a,49bとを有する。
【0027】
テーブル27の第二のガイドレール25に沿って移動自在な第二のキャリア23は、テーブル27の垂直フレーム31に回転自在に支持されたネジ軸33と、ネジ軸33に螺合してネジ軸33の回転運動を直線運動に変換するナット部材35と、ナット部材35に固定されたキャリア本体37と、テーブル27の第二のガイドレール25と係合するようにキャリア本体37の下面に設けられたガイド部材39とを有する。ネジ軸33とナット部材35はいわゆるボールネジを形成している。ネジ軸33の後端部には、駆動ベルト41を介してモータ43に接続されたプーリ45が設けられている。
【0028】
図1及び図11に示すように、テーブル27の下面には、装置の水平フレーム47の上面に設けられた一対の第三のガイドレール49a,49bに係合する一対のガイド部材51a,51bが設けられている。テーブル27にはまた、第三のガイドレール49aと係合してテーブル27の軸線方向位置を固定するリニアクランプ53が設けられており、リニアクランプ53にはクランプアーム53aが設けられている。第三のガイドレール49a,49bに沿ってガイド部材51a,51bを所望の位置まで移動させた後、クランプアーム53aを回転させるとリニアクランプ53は第三のガイドレール49aに強固に係合するので、押しロール21の横手方向位置を正確に決めることができる。なおテーブル27の上下位置を調整するために、水平フレーム47に上下動機構を設けても良い。
【0029】
図1、図12及び図13に示すように、各押しロール21のホルダー24は、押しロール21を回転自在に支持するとともにホルダー本体55に対してテレスコーピックに可動な支持体57と、ホルダー本体55内に設けられたロードセル59と、コイルバネ61を介して第二のキャリア23の垂直フレーム63に固定されたロッド65とを具備する。ホルダー本体55に支持体57の回転を防止する係止部材(図示せず)を設けても良い。支持体57の先端部は二股になっており、押しロール21のシャフト21aを回転自在に受承する。支持体57の後端はロードセル59に当接し、ロードセル59は押しロール21が受ける負荷を測定する。押しロール21が受ける負荷が所定のレベルを超えるとコイルバネ61が圧縮され、パターンロール13に対する押しロール21の押圧力は低減し、長尺のプラスチックフィルム1や装置の損傷を防止することができる。
【0030】
この装置により、例えばシーラント層を有する長尺の積層プラスチックフィルム1に易開裂部100を形成する場合、まず易開裂部100の間隔に対応するようにパターンロール13をシャフト15上で横手方向に位置決めする。これには、各パターンロール13を加熱して、パターンロール13をシャフト15に対して可動にし、所定の横手方向位置まで移動させた後、そのまま冷却すれば良い。なお、パターンロール13をシャフト15にネジ止めする場合には、ネジを緩めた後所定の横手方向位置まで移動させ、ネジを締結すれば良い。
【0031】
通常包装袋の一辺は折り目であるので、易開裂部100を折り目に対向する辺側に設けるのが好ましい。すなわち、見開きでは一対の易開裂部100は、図3に示すように、「ハ」の字に配置された状態になるのが好ましい。このため、複数対のパターンロール13をシャフト15に固定し、各対のパターンロール13は、一対の易開裂部100が「ハ」の字に配置されるように、逆方向に傾斜した刻印部13aを有する。
【0032】
次に、シーラント層を上にして(シーラント層を硬質ロール11側にして)、長尺のプラスチックフィルム1を一対の硬質ロール11,12の間に通す。さらにテーブル27のガイド部材51a,51bをフレーム47上の第三のガイドレール49a,49bに沿ってパターンロール13に対応する位置まで移動させた後、リニアクランプ53によりテーブル27の位置を固定する。これにより、各パターンロール13に正確に対向するように各押しロール21の横手方向位置が定まる。
【0033】
さらにモータ43を作動させ、ベルト41を介してネジ軸33を回転させることにより、図14に示すように、各押しロール21を各パターンロール13に当接させる。図2に示すように、パターンロール13を固定したシャフト15は第一のガイドレール19,19に沿って硬質ロール11の方向に移動自在であるので、図14に示すように押しロール21に押されたパターンロール13はプラスチックフィルム1を介して硬質ロール11に押圧される。
【0034】
パターンロール13に及ぼす押しロール21の押圧力に応じて、パターンロール13がプラスチックフィルム1に形成する易開裂部100を構成する多数の凹部の平均深さが決まる。押圧力は押しロール21にかかる負荷により判定できるので、ロードセル59から得られる信号に従って押しロール21の位置を決める。図1及び図14に示すように、押しロール21の中心とパターンロール13の中心とを連結する直線は水平であるのが好ましい。この状態で長尺のプラスチックフィルム1が硬質ロール11とパターンロール13の間を通過すると、パターンロール13の刻印部13aのパターンに対応する多数の凹部が長尺のプラスチックフィルム1に形成される。刻印部13aはパターンロール13のロール面上に部分的かつ斜めに形成されているので、図3に示すように、刻印部13aにより周期的に形成された易開裂部100は長尺のプラスチックフィルム1の軸線方向に対して傾斜している。
【0035】
各対のパターンロール13は逆方向に傾斜した刻印部13aを有するので、図3に示すように、「ハ」の字に配置された複数対の易開裂部100が形成される。図示の例では長尺のプラスチックフィルム1に二対の易開裂部100の列が形成されるので、中央線1aに沿ってプラスチックフィルム1を二分し、図15に示すように、得られた各帯片101,101を長手方向線1bに沿って折り畳むと、一対の易開裂部100は改善に重なる(工程A)。次に易開裂部100の外端100aに沿って長手方向にヒートシールするとともに、得られたヒートシール部103に沿って側端部を切り落とし、平坦な筒状の帯片105とする(工程B)。さらに各易開裂部100に近い横手方向線1cに沿ってヒートシール部107を形成するとともに、筒状帯片105を切断し、個々の袋109にする(工程C)。個々の袋109に内容物を充填した後、入口をヒートシール(ヒートシール部111を形成)し、内容物を含有する袋113とする(工程D)。ヒートシール部111の易開裂部100に接する位置に切欠き部115を設けると、易開裂部100に沿って袋113を開封するのが容易になる。
【符号の説明】
【0036】
1・・・プラスチックフィルム
11・・・硬質ロール
13・・・パターンロール
13a・・・刻印部
13b・・・溝
131・・・凸条
132・・・エッジ
133・・・溝
134・・・切欠き部
15・・・シャフト
17・・・第一のキャリア
19・・・第一のガイドレール
19a,19c・・・ストッパ
19b・・・コイルバネ
21・・・押しロール
23・・・第二のキャリア
24・・・ホルダー
25・・・第二のガイドレール
27・・・テーブル
31・・・垂直フレーム
33・・・ネジ軸
35・・・ナット部材
37・・・キャリア本体
39・・・ガイド部材
41・・・駆動ベルト
43・・・モータ
45・・・プーリ
47・・・水平フレーム
49a,49b・・・第三のガイドレール
51a,51b・・・ガイド部材
53・・・リニアクランプ
53a・・・クランプアーム
55・・・ホルダー本体
57・・・支持体
59・・・ロードセル
61・・・コイルバネ
63・・・垂直フレーム
65・・・ロッド
100・・・易開裂部
101・・・帯片
103・・・ヒートシール部
105・・・筒状帯片
107・・・ヒートシール部
109・・・内容物を含有しない袋
111・・・ヒートシール部
113・・・内容物を含有する袋
115・・・切欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のプラスチックフィルムに斜めの易開裂部を形成する装置であって、(a) 長尺のプラスチックフィルムが巻回する硬質ロールと、(b) パターン状の突起部を有する傾斜した線状の刻印部をロール面に部分的に有する複数のパターンロールと、(c) 前記複数のパターンロールが固定されているとともにモータにより駆動されるシャフトと、(d) 前記シャフトを回転自在に支持する第一のキャリアと、(e) 前記硬質ロールの軸線に対して垂直に延在する第一のガイドレールであって、それに沿って前記第一のキャリアが前記硬質ロールの方向に移動し得る第一のガイドレールと、(f) 前記パターンロールの各々を背後から押圧する押しロールと、(g) 前記押しロールの各々を回転自在に支持する第二のキャリアと、(h) 前記硬質ロールの軸線に対して垂直に延在する第二のガイドレールであって、それに沿って前記第二のキャリアが前記硬質ロールの方向に移動し得る第二のガイドレールとを具備し、前記第二のキャリアが前記硬質ロールの方向に移動することにより前記押しロールが前記パターンロールを押圧し、もって前記プラスチックフィルムに前記刻印部のパターンに対応する多数の凹部からなる易開裂部を傾斜した線状に部分的かつ周期的に形成することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記刻印部の突起部が鋭い角部を有するモース硬度が5以上の多数の硬質粒子からなり、前記刻印部の両側のロール面に溝が形成されていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記刻印部が前記ロール面上に斜めに延在する凸条であり、前記突起部が前記凸条の上面に前記凸条と平行に配列されている複数のエッジからなることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記エッジに周期的に切欠き部が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の装置において、前記第一のキャリアは常時弾性部材により前記硬質ロールから離隔する方向に小さな力で押圧されており、前記弾性部材の力に逆らって前記パターンロールは前記押しロールにより前記プラスチックフィルムに押圧されることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の装置において、前記第二のガイドレールがテーブルに固定されており、前記テーブルは前記硬質ロールの軸線と平行に延在する第三のガイドレールに沿って、前記プラスチックフィルムの横手方向に移動自在であることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の装置において、前記押しロールがゴムロールであることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の装置において、前記パターンロールの周速の初期値を前記プラスチックフィルムの進行速度より若干遅く設定し、両者の差がゼロとなるように前記パターンロールの周速を高める制御を行うことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−107241(P2013−107241A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252845(P2011−252845)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【特許番号】特許第4976581号(P4976581)
【特許公報発行日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(391009408)
【Fターム(参考)】