映像ノイズ低減装置及び映像ノイズ低減方法
【課題】映像信号の平坦部分に含まれる映像ノイズを低減しつつ、映像信号のテクスチャ部分の画質劣化を小さくすることができ、また、エンコード情報が得られない映像信号に対しても適切なノイズ低減効果を得る。
【解決手段】近傍画素レベルソート部12は、注目画素と注目画素の周辺の近傍画素の画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布から上位代表値と下位代表値とを算出する。平坦度算出部16は、基準閾値を上位代表値と下位代表値との差分で除算することにより、注目画素の近傍領域の平坦度を算出し、更に予め設定した範囲内において平坦度に比例して値が変化するスライスレベルSaを算出する。スライサ15は、加算器14から出力される高域信号に対してスライスレベル|Sa|以下の微小振幅の信号成分を映像ノイズ成分とみなして除去し、それ以外の振幅の信号成分を出力する。
【解決手段】近傍画素レベルソート部12は、注目画素と注目画素の周辺の近傍画素の画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布から上位代表値と下位代表値とを算出する。平坦度算出部16は、基準閾値を上位代表値と下位代表値との差分で除算することにより、注目画素の近傍領域の平坦度を算出し、更に予め設定した範囲内において平坦度に比例して値が変化するスライスレベルSaを算出する。スライサ15は、加算器14から出力される高域信号に対してスライスレベル|Sa|以下の微小振幅の信号成分を映像ノイズ成分とみなして除去し、それ以外の振幅の信号成分を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像ノイズ低減装置及び映像ノイズ低減方法に係り、特に映像のランダムノイズを低減する映像ノイズ低減装置及び映像ノイズ低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、映像信号に含まれるランダムノイズ(以下、単にノイズ、または映像ノイズと呼ぶことがある)を低減する方法としてノイズコアリングと呼ばれる手法が多く使用されている。この手法を用いた従来の映像ノイズ低減装置では、低域フィルタ(LPF)により入力映像信号の所定カットオフ周波数以下の低域信号を取り出し、更に入力映像信号からその低域信号を減算することで入力映像信号の高域信号を取り出す。そして、映像ノイズ低減装置は、その高域信号のうちのレベル(振幅)の小さい信号成分をノイズとみなし、小振幅信号除去手段(以下、これを本明細書では「スライサ」というものとする)で取り除いた後、スライサから出力される小振幅除去後の高域信号とLPFからの低域信号とを加算することで、ノイズの軽減された映像信号を得る。
【0003】
図13は、上記のスライサの一例の入出力特性を示す。同図に示す入出力特性のスライサは、スライスレベル|S1|以下の小振幅の入力高域信号を除去し、|S1|より大なる振幅の入力高域信号に対しては入力高域信号からスライスレベル|S1|を減算した信号を出力する。
【0004】
図14は、上記のスライサの他の例の入出力特性を示す。同図に示す入出力特性のスライサは、スライスレベル|S2|以下の小振幅の入力高域信号を除去し、|S2|より大なる振幅の入力高域信号に対しては入力高域信号の振幅を保って出力する。ただし、スライスレベル|S2|付近では入力高域信号の入力レベルよりも若干小レベルとして出力する。この図14に示す入出力特性のスライサは、図13に示した入出力特性のスライサのような入力高域信号の振幅の大きい信号成分も一律に取り除かれることによる解像度劣化を防ぐことができる。
【0005】
このノイズコアリング方式の映像ノイズ低減装置では、輝度差がノイズレベルと同等の小レベルの模様のような映像部分(以下、テクスチャ部分と呼ぶ)が入力映像信号に含まれる場合にも、振幅の大きさが同程度のノイズとの区別がつかず、テクスチャ部分の高域信号成分を比較的多く取り除いてしまってテクスチャ部分の再現性が悪くなる。これを避けるためにスライサのスライスレベルを小さくすると、テクスチャ部分の再現性は良くなるが、ノイズの低減効果が小さくなるという課題がある。
【0006】
そこで、従来の映像ノイズ低減装置では、この課題を解決するために、輝度レベルに応じてスライスレベルを適応的に可変する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、MPEG(Moving Picture Experts Group)による圧縮映像信号をデコードする際に、エンコード時の量子化レベルに応じてスライスレベルを適応的に可変する映像ノイズ低減装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−347723号公報
【特許文献2】特開平8−205158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の従来の映像ノイズ低減装置では、テクスチャ部分を特定できないため、テクスチャ部分の再現性を確保しようとすると所期のノイズ低減効果が期待できない。また、特許文献2記載の従来の映像ノイズ低減装置では、エンコード情報が得られないカメラの撮像映像信号等に対しては、エンコード時の量子化レベルが得られないためスライスレベルの適応的な可変ができず、所期のノイズ低減効果が期待できない。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、映像信号の平坦部分に含まれる映像ノイズを低減しつつ、映像信号のテクスチャ部分の画質劣化を小さくすることができ、また、エンコード情報が得られない映像信号に対しても適切なノイズ低減効果を得ることができる映像ノイズ低減装置及び映像ノイズ低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の映像ノイズ低減装置は、供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、予め定められた基準閾値を上位代表値と下位代表値との差分で除算することにより、注目画素の近傍領域の平坦度を算出する平坦度算出手段と、平坦度と予め定められた基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、高域信号抽出手段により抽出された高域信号に対して、スライスレベル算出手段により算出されたスライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、入力映像信号の所定周波数未満の低域信号と、微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、本発明の映像ノイズ低減装置は、供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素からなる一定画素領域内において、複数の近傍画素のうち注目画素を中心として所定の複数画素以上一定方向に連続しないような配置位置が散在する位置関係にある二以上の近傍画素を選択して、二以上の近傍画素と注目画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、予め定められた基準閾値を上位代表値と下位代表値との差分で除算することにより、注目画素の近傍領域の平坦度を算出する平坦度算出手段と、平坦度と予め定められた基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、高域信号抽出手段により抽出された高域信号に対して、スライスレベル算出手段により算出されたスライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、入力映像信号の所定周波数未満の低域信号と、微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段とを有することを特徴とする。
【0012】
ここで、上記スライスレベル算出手段は、一定画素領域内の予め定めた数の近傍画素をそれぞれ注目画素として平坦度算出手段により算出した近傍画素の各平坦度の平均値を、注目画素の平坦度とし、この注目画素の平坦度と基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において注目画素の平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出する手段であってもよい。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、本発明の映像ノイズ低減装置は、供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、上位代表値と下位代表値との差分が大きいほど値が小さくなるスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、高域信号抽出手段により抽出された高域信号に対して、スライスレベル算出手段により算出されたスライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、入力映像信号の所定周波数未満の低域信号と、微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段とを有することを特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成するため、本発明の映像ノイズ低減方法は、供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出ステップと、入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを生成するソートステップと、上位代表値と下位代表値との差分が大きいほど値が小さくなるスライスレベルを算出するスライスレベル算出ステップと、高域信号抽出ステップにより抽出された高域信号に対して、スライスレベル算出ステップにより算出されたスライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、スライスレベルより大なる振幅成分を生成する微小振幅除去ステップと、入力映像信号の所定周波数未満の低域信号と、微小振幅除去ステップにより生成された微小振幅成分除去後の高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、映像信号の平坦部分に含まれる映像ノイズを低減しつつ、映像信号のテクスチャ部分の画質劣化を小さくすることができ、また、エンコード情報が得られない映像信号に対しても適切なノイズ低減効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の映像ノイズ低減装置の第1の実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明の映像ノイズ低減方法の第1の実施の形態の動作説明用フローチャートである。
【図3】本発明の処理対象画像が平坦な部分である場合の近傍画素の画素値分布の一例を示す図である。
【図4】本発明の処理対象画像がテクスチャ部分である場合の近傍画素の画素値分布の一例を示す図である。
【図5】本発明の処理対象画像が平坦な部分である場合の近傍画素の上位代表値と下位代表値の一例を示す図である。
【図6】本発明の処理対象画像がテクスチャ部分である場合の近傍画素の上位代表値と下位代表値の一例を示す図である。
【図7】図1中のスライサの一例の入出力特性を示す図である。
【図8】本発明の映像ノイズ低減装置の第2の実施の形態のブロック図である。
【図9】本発明の映像ノイズ低減方法の第2の実施の形態の動作説明用フローチャートである。
【図10】図8中の近傍選択画素レベルソート部における処理対象近傍画素の選択の一例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の効果を説明するために、第2の実施の形態により算出されたスライスレベル及び比較スライスレベルの一例を明暗画像として入力画像と共に示す図である。
【図12】図8中の近傍選択画素レベルソート部における処理対象近傍画素の選択の他の例を示す図である。
【図13】従来の映像ノイズ低減装置におけるスライサの入出力特性の一例を示す図である。
【図14】従来の映像ノイズ低減装置におけるスライサの入出力特性の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に詳細に説明する。本発明の映像ノイズ低減装置は、ノイズコアリングにまつわるスライスレベルを適応的に変化させることを骨子としており、ノイズの含まれた高域信号をどのように分離するかについては既存の技術のどのようなものを使用してもよい。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明になる映像ノイズ低減装置の第1の実施の形態のブロック図、図2は、本発明になる映像ノイズ低減方法の第1の実施の形態の動作説明用フローチャートを示す。図1に示すように、本実施の形態の映像ノイズ低減装置10は、低域フィルタ(LPF)11、ソート手段を構成する近傍画素レベルソート部12、符号反転器13、加算器14、微小振幅除去手段であるスライサ15、平坦度算出部16及び加算器17より構成される。LPF11、近傍レベルソート部12及び加算器14は、入力端子を介して映像ノイズを含む入力映像信号がそれぞれ供給される。上記の入力映像信号は、MPEGなどの符号化方式で圧縮された符号化信号をデコードした信号でもよいし、撮像信号などのエンコード時の量子化レベルが得られない映像信号であってもよい。
【0019】
LPF11は、入力端子を介して入力される映像信号から予め設定したカットオフ周波数以下の低域信号を周波数選択して出力する。符号反転器13は、LPF11から出力される低域信号を−1倍して信号レベルの符号を反転する(極性反転する)。加算器14は、符号反転器13から出力される極性反転映像信号と入力端子を介して供給される入力映像信号とを加算することにより、入力映像信号から低域信号を減算した高域信号を出力する。LPF11、符号反転器13及び加算器14は、本発明の高域信号抽出手段を構成している。
【0020】
スライサ15は、加算器14から出力される高域信号に含まれるスライスレベル以下の微小振幅の信号成分をノイズとみなして除去し、それ以外の振幅の高域信号を出力する。スライサ15は、前述した図13や図14に示した通常に用いられるスライサの入出力特性と同様の入出力特性を有するが、スライスレベルが後述するように適応的に可変制御される点で従来の映像ノイズ低減装置におけるスライサと異なる。
【0021】
次に、図2のフローチャートと共に図1の実施の形態の映像ノイズ低減装置10の動作について説明する。まず、LPF11、符号反転器13及び加算器14からなる高域信号抽出手段が入力映像信号中の高域信号を抽出する(ステップS1)。すなわち、LPF11により周波数選択された入力映像信号中の低域信号を符号反転器13により極性反転し、その符号反転器13から出力される極性反転された低域信号と入力映像信号とを加算器14により加算することで、加算器14から入力映像信号中の高域信号が抽出される。
【0022】
続いて、映像ノイズ低減装置10は、近傍画素レベルソート部12により入力映像信号の上位代表値と下位代表値とを算出する(ステップS2)。ステップS2において、近傍画素レベルソート部12は、まず、入力映像信号の映像ノイズ除去対象の注目画素と注目画素の周辺の近傍画素とについて、それらの画素値(レベル)の大きさの順にソートする。近傍画素レベルソート部12における注目画素と近傍画素とからなる総画素数は、後述する平坦度算出部16において算出される平坦度が近傍画素レベルソート部12のソート結果(上位代表値及び下位代表値)の統計的性質を利用しているため、できるだけ多い方が算出の精度が良くなるので望ましい。しかし、注目画素と近傍画素とからなる総画素数が多くなると演算規模も大きくなる。そこで、本実施の形態では、近傍画素レベルソート部12は、上記総画素数を、注目画素及びその周辺の横5画素、縦5画素の計25画素としてソートするものとして説明する。
【0023】
注目画素近傍の本来の映像部分が、輝度レベル差が殆ど無い単純な平坦部分であった場合、上記25画素のうちの近傍画素の画素値の多くは注目画素の本来の画素値(ノイズを含まない場合の画素値)と同じであるため、近傍画素レベルソート部12は、その注目画素の本来の画素値を中心として概略正規分布の傾向で画素値が分布するソート結果を得る。図3は、この平坦部分におけるソートされた画素値の一例を示す。図3は、丸印が上記25画素を示しており、横軸が画素値、縦軸が画素数を示している(後述の図4も同様)。従って、図3の例では、最も画素数の多い画素値「80」が本来の映像レベルであることを示している。なお、画素値は例えば「0」〜「255」の範囲内の値である(後述の図4も同様)。
【0024】
一方、注目画素近傍の本来の映像部分がテクスチャ部分の場合の例として、2値が均等に分布する市松模様であったものとすると、近傍画素レベルソート部12は、それら2値をそれぞれ中心とした2つの概略正規分布が合成されたような傾向で分布するソート結果を得る。図4は、このテクスチャ部分におけるソートされた画素値の一例を示す。図4の例では、一番画素数の多い画素値「83」と2番目に画素数の多い画素値「77」の2値が均等に分布しているテクスチャ部分であることを示している。
【0025】
近傍画素レベルソート部12は、ステップS2において上記の注目画素及び近傍画素の画素値のソートに続いて、上位代表値と下位代表値とを算出して出力する。「上位代表値」とは、ソートして得た分布の中心画素値より大きい画素値グループを代表する値であり、例としてここでは、大きい方から25%の位置にある画素のレベル(画素値)とする。同様に、「下位代表値」とはソートして得た分布の中心画素値より小さい画素値グループを代表する値であり、例としてここでは、大きい方から75%の位置にある画素のレベル(画素値)とする。
【0026】
注目画素及び近傍画素からなる25画素では、上記の分布の大きい方から25%の位置にある画素値である上位代表値は、大きな方から7(≒25×0.25)番目の画素値である。また、上記の分布の大きい方から75%の位置にある画素値である下位代表値は、大きな方から19(≒25×0.75)番目の画素値である。従って、図3の分布の場合、図5に太い丸印で示す画素の画素値となり、上位代表値は「80」、下位代表値は「79」となる。また、図4の分布の場合、図6に太い丸印で示す画素の画素値となり、上位代表値は「83」、下位代表値は「77」となる。
【0027】
続いて、映像ノイズ低減装置10は平坦度算出部16により平坦度を算出する(ステップS3)。ステップS3において、平坦度算出部16は、近傍画素レベルソート部12により算出された上位代表値と下位代表値とを入力として受け、これらと予め設定された基準閾値とに基づいて、平坦度を算出する。更に、平坦度算出部16は、算出した平坦度と予め設定された基準スライスレベルとに基づいて、スライサ15で用いるスライスレベルを算出してスライサ15に出力する。
【0028】
すなわち、平坦度算出部16は、まず、上位代表値をRu、下位代表値をRd、基準閾値をThsとするとき、次式に基づいて平坦度Fを算出する。
【0029】
(i)Ru≠Rdの場合
F=Ths/(Ru−Rd) (1a)
(ii)Ru=Rdの場合
F=Ths (1b)
次に、平坦度算出部16は、平坦度に基づいてスライスレベルを算出する(ステップS4)。ステップS4において、平坦度算出部16は、上記のように算出した平坦度Fに基づいて、基準スライスレベルをSs、任意の係数をkとするとき、次式によりスライスレベルSaを算出する。
【0030】
Sa=Ss×{1+k×(F−1)} (2)
Sa/2≦Sa≦Ss×2 (3)
(3)式の不等式は、ノイズのばらつきの影響を小さくするため、スライスレベルSaを制限するものである。
【0031】
これにより、平坦度算出部16は、例えば基準閾値Thsを「3」、基準スライスレベルSsを「5」、係数kを「1」としたとき、(1a)式、(2)式、及び(3)式より、スライスレベルSaとして図3の注目画素及び近傍画素の映像部分が平坦部分の分布の場合は「10」、図4のテクスチャ部分の分布の場合は「2.5」を算出する。すなわち、スライスレベルSaは、注目画素及び近傍画素の映像部分が平坦部分であるか、テクスチャ部分であるかに応じて適応的に算出される。なお、係数kは任意の値に定められるが、通常は「1」に設定される。
【0032】
続いて、スライサ15はスライスレベル以下の高域信号の微小振幅成分を除去する(ステップS5)。すなわち、スライサ15は、加算器14から出力される入力映像信号中の映像ノイズ成分を多く含む高域信号に対してスライスレベル|Sa|以下の微小振幅の信号成分を映像ノイズ成分とみなして除去し、それ以外の振幅の信号成分を出力する。
【0033】
図7は、スライサ15の一例の入出力特性を示す。同図に示すように、スライサ15はスライスレベル|Sa|以下の小振幅の入力高域信号を除去し、スライスレベル|Sa|より大なる振幅の入力高域信号に対しては入力高域信号の振幅を保って出力する。ただし、スライスレベル|Sa|付近では入力高域信号の入力レベルよりも若干小レベルとして出力する。また、スライスレベル|Sa|は、(2)式及び(3)式に従い、画像の平坦度Fに応じて適応的に制御される。
【0034】
例えば、スライサ15の入出力特性は図7に示すように、ある平坦度では実線Iで示され、その平坦度よりも大きな平坦度の映像信号に対しては同図に一点鎖線IIで示すようにスライスレベル|Sa|が大きくされる。一方、上記平坦度よりも小さな平坦度の映像信号に対しては同図に二点鎖線IIIで示すようにスライスレベル|Sa|が小さくされる。従って、スライサ15は、前述した図3の分布の映像信号の場合はスライスレベルSaが「10」であるので、例えば図7に一点鎖線IIで示すような入出力特性に制御され、高域信号中のより大きい振幅成分までをノイズとして除去する。一方、スライサ15は、前述した図4の分布の映像信号の場合はスライスレベルSaが「2.5」であるので、例えば図7に二点鎖線IIIで示すような入出力特性に制御され、高域信号中のより小さい振幅成分だけをノイズとして除去し、テクスチャ部分までを含めて除去することはない。
【0035】
そして、映像ノイズ低減装置10は、加算器17において、スライサ15から出力される微小振幅除去後の高域信号と、LPF11から出力される入力映像信号中の低域信号とを加算する(ステップS6)。これにより、加算器17は、入力映像信号からテクスチャ部分が殆ど除去されることなく、ランダムノイズである映像ノイズが低減された映像信号を生成して出力する。
【0036】
このように、本実施の形態の映像ノイズ低減装置10によれば、入力映像信号の映像の内容を分析し、注目画素の近傍画素が平坦部分にノイズが含まれている映像に近いのか、テクスチャ部分の映像に近いのかを数値化する手段を導入することにより、平坦部分にノイズが含まれていると判断される場合(平坦度Fが大きい場合)はスライスレベルを大きく、テクスチャ部分と判断される場合(平坦度Fが小さい場合)にはスライスレベルを小さくする、という可変スライスレベルを用いて、映像信号の平坦部分に含まれた映像ノイズを低減しつつ、映像信号のテクスチャ部分の画質劣化を小さくすることができる。また、本実施の形態の映像ノイズ低減装置10によれば、エンコード情報が得られない映像信号に対しても適切なノイズ低減効果を得ることができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8は、本発明になる映像ノイズ低減装置の第2の実施の形態のブロック図、図9は、本発明になる映像ノイズ低減方法の第2の実施の形態の動作説明用フローチャートを示す。図8中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、また、図9中、図2と同一処理のステップには同一符号を付し、それぞれその説明を省略する。
【0038】
図8に示す本発明の第2の実施の形態の映像ノイズ低減装置20は、低域フィルタ(LPF)11、符号反転器13、加算器14、微小振幅除去手段であるスライサ15、加算器17、ソート手段である近傍選択画素レベルソート部21、平坦度算出部22及び平坦度近傍平均算出部23より構成される。
【0039】
近傍選択画素レベルソート部21は、入力映像信号の映像ノイズ除去対象の注目画素と注目画素の周辺の近傍画素とについて、それらの画素値(レベル)の大きさの順にソートする。近傍選択画素レベルソート部21における注目画素と近傍画素とからなる総画素数は、第1の実施の形態における近傍画素レベルソート部12では平坦度の算出精度と演算規模との兼ね合いから注目画素を中心とする横5画素、縦5画素の計25画素としていた。本実施の形態では第1の実施の形態よりもさらに演算規模を小さくし、ハードウェアコストを低減するため、近傍選択画素レベルソート部21はソートの処理対象とする注目画素と近傍画素とからなる総画素数を9個にする。
【0040】
ただし、注目画素を中心とする横3画素、縦3画素からなる計9画素の領域をソートの処理対象にすると、平坦度の算出のために参照する領域が小さすぎるため、平坦度の誤差が大きくなる恐れがある。それを解決するため、近傍選択画素レベルソート部21は、注目画素を中心とする横5画素、縦5画素の計25画素の近傍領域のうち、図10に星印で示す9個の画素を演算対象画素として選択し、演算対象とする。図10の演算対象画素のパターンは縦横斜めの位置関係を適度に含むように設定したものである。
【0041】
次に、本実施の形態の映像ノイズ低減装置20の第1の実施の形態と異なる動作について、図9のフローチャートを併せ参照して説明する。近傍選択画素レベルソート部21は、入力映像信号の上位代表値と下位代表値とを算出する(ステップS11)。すなわち、近傍選択画素レベルソート部21は、ステップS11において、図10に星印で示した9個の画素について、それらの画素値(レベル)の大きさ順にソートした後、そのソート結果の分布において大きい方から25%の位置にある画素のレベル(画素値)を上位代表値Ruとして算出し、大きい方から75%の位置にある画素のレベル(画素値)を下位代表値Rdとして算出する。
【0042】
続いて、映像ノイズ低減装置20は、平坦度算出部22において平坦度を算出する(ステップS12)。すなわち、平坦度算出部22は、ステップS12において、近傍選択画素レベルソート部21から出力される上位代表値Ru及び下位代表値Rdと、予め設定されている基準閾値Thsとに基づいて、(1a)式及び(1b)式により平坦度Fを算出する。
【0043】
続いて、映像ノイズ低減装置20は、平坦度近傍平均値に基づいてスライスレベルを算出する(ステップS13)。すなわち、平坦度近傍平均算出部23は、ステップS13において、まず平坦度近傍平均値を算出する。これは、本実施の形態では処理に用いる画素数が図10に示した9画素であり、第1の実施の形態の25画素に比べて少ないことによる誤差の増大を避けるためで、平坦度近傍平均算出部23は、平坦度算出部22で得られた平坦度F自体を、次式に示すように、その近傍画素領域(例えば横5画素、縦5画素の領域)の平坦度で平均化する。ただし、次式中、F'(x,y)は座標(x,y)に位置する注目画素の平坦度近傍平均値、F(a,b)は座標(a,b)に位置する近傍画素を注目画素として(1a)式又は(1b)式により算出した近傍画素の平坦度を示す。
【0044】
F'(x,y)={F(x-2,y-2)+F(x-1,y-2)+F(x,y-2)+F(x+1,y-2)+F(x+2,y-2)+・・・
+F(x,y+2)+F(x+1,y+2)+F(x+2,y+2)}/25 (4)
なお、平坦度近傍平均算出部23は、平坦度算出部22で得られた平坦度F自体を、(4)式のような25画素のそれぞれの平坦度の平均ではなく、横3画素、縦3画素の近傍画素領域の各画素の平坦度で平均化するようにしてもよい。
【0045】
平坦度近傍平均算出部23は、ステップS13において、上記のように注目画素の平坦度近傍平均値F'(x,y)を算出すると、続いてその平坦度近傍平均値F'(x,y)と予め設定されている基準スライスレベルSsとに基づいて、(2)式及び(3)式によりスライスレベルSaを算出する。ただし、(2)式中の平坦度Fは、ステップS13では平坦度近傍平均値F'(x,y)とする。
【0046】
これにより、図8におけるスライサ15の入出力特性も、図7と同様となり、平坦な部分にノイズが含まれていると判断される場合(平坦度近傍平均値F'(x,y)が大きい場合)はスライスレベルを大きく、テクスチャ部分と判断される場合(平坦度近傍平均値F'(x,y)が小さい場合)にはスライスレベルを小さくする、という可変スライスレベルの入出力特性に設定される。以下、第1の実施の形態と同様の動作が行われ、加算器17は入力映像信号からテクスチャ部分が殆ど除去されることなく、ランダムノイズである映像ノイズが低減された映像信号を生成して出力する。
【0047】
次に、本実施の形態の効果について図面に基づいて説明する。図11は、本実施の形態の映像ノイズ低減装置20の効果を説明する図である。図11(A)は、入力映像信号の画像の一例を示す。この画像は、緑茶の缶の表面の画像部分31aが平坦部分であり、緑茶の缶の下の敷物の画像部分32aはテクスチャ部分であることを示している。
【0048】
図11(A)に示す原画の入力映像信号に対し、本実施の形態の映像ノイズ低減装置20の平坦度近傍平均算出部23は、図11(B)に明暗表示して示す値のスライスレベルを算出する。図11(B)及び(C)は算出したスライスレベルの値を20倍して明暗表示したもので、スライスレベルの値が大きいほど明るく表示される。図11(C)はスライスレベルの値が「5」であるときの比較用の明暗画像33である。図11(B)に示すように、平坦度近傍平均算出部23が算出するスライスレベルは、平坦部分の画像31aに対応した部分のスライスレベルは31bで示すように、同図(C)に示す比較用のスライスレベルの明暗画像33よりも明るい(すなわち、スライスレベルが比較用のスライスレベルよりも大きい)。一方、テクスチャ部分の画像32aに対応した部分のスライスレベルは図11(B)に32bで示すように、同図(C)に示す比較用のスライスレベルの明暗画像33よりも暗い(すなわち、スライスレベルが比較用のスライスレベルよりも小さい)。
【0049】
このように、本実施の形態の映像ノイズ低減装置20によれば、映像ノイズ低減装置10に比べて演算規模が小さく安価なハードウェア構成により、平坦部分ではスライスレベルを大きく、テクスチャ部分ではスライスレベルを小さくする、というように適応的にスライスレベルを可変するようにしたため、映像信号の平坦部分に含まれた映像ノイズを低減しつつ、映像信号のテクスチャ部分の画質劣化を小さくするという効果を得ることができる。また、本実施の形態の映像ノイズ低減装置20によれば、エンコード情報が得られない映像信号に対しても適切なノイズ低減効果を得ることができる。
【0050】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、その他の変形例も包含する。例えば、図8に示した第2の実施の形態の映像ノイズ低減装置20では、スライサ15は平坦度近傍平均算出部23により、平坦度近傍平均値に応じて算出したスライスレベルが設定されるように説明したが、平坦度算出部22において算出した平坦度Fを用いて(2)式及び(3)式からスライスレベルを算出するようにしてもよい。すなわち、スライスレベル算出手段は平坦度近傍平均算出部23に限定されるものではなく、平坦度近傍平均算出部23を設けず、平坦度算出部22が平坦度算出手段及びスライスレベル算出手段を兼ねる構成とすることも可能である。
【0051】
また、近傍選択画素レベルソート部21がレベルソートする画素は、図10に示した横5画素、縦5画素の一定領域内の特定の位置関係にある9画素としたが、画素の配置位置はこれに限定されるものではなく、上記一定領域内の図12(A)や(B)に示す位置関係にある9画素、更にはその他の位置関係にある9画素でもよい。すなわち、近傍選択画素レベルソート部21が注目画素と共にレベルソートする近傍画素は、注目画素と注目画素の周辺の複数の近傍画素とからなる一定の画素領域において、複数の近傍画素のうち注目画素を中心として所定の複数画素(図10、図12では4画素)以上一定方向に連続しないような配置位置が散在する位置関係にある二以上の近傍画素であればよい。また、近傍選択画素レベルソート部21がレベルソートする画素の画素数は9画素に限定されるものではない。
【0052】
また、本発明は、例えば入力映像信号から低域フィルタ(LPF)出力信号を減算して高域信号を得るのではなく、例えばアダマール変換やコサイン変換等で得られる複数の帯域に対してノイズコアリングを行うような場合も、同様な実施が可能である。
【0053】
また、以上の実施の形態では上位代表値をソートされた複数の画素値の大きい方から25%の位置にある画素値、下位代表値をソートされた複数の画素値の大きい方から75%の位置にある画素値としたが、これに限定されるものではない。例えば上位代表値は上記複数の画素値の大きい方から15%〜35%の範囲内の位置にある画素値とし、下位代表値は上記複数の画素値の大きい方から65%〜85%の範囲内の位置にある画素値としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10、20 映像ノイズ低減装置
11 低域フィルタ(LPF)
12 近傍画素レベルソート部
13 符号反転器
14、17 加算器
15 スライサ(微小振幅除去器)
16、22 平坦度算出部
21 近傍選択画素レベルソート部
23 平坦度近傍平均算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は映像ノイズ低減装置及び映像ノイズ低減方法に係り、特に映像のランダムノイズを低減する映像ノイズ低減装置及び映像ノイズ低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、映像信号に含まれるランダムノイズ(以下、単にノイズ、または映像ノイズと呼ぶことがある)を低減する方法としてノイズコアリングと呼ばれる手法が多く使用されている。この手法を用いた従来の映像ノイズ低減装置では、低域フィルタ(LPF)により入力映像信号の所定カットオフ周波数以下の低域信号を取り出し、更に入力映像信号からその低域信号を減算することで入力映像信号の高域信号を取り出す。そして、映像ノイズ低減装置は、その高域信号のうちのレベル(振幅)の小さい信号成分をノイズとみなし、小振幅信号除去手段(以下、これを本明細書では「スライサ」というものとする)で取り除いた後、スライサから出力される小振幅除去後の高域信号とLPFからの低域信号とを加算することで、ノイズの軽減された映像信号を得る。
【0003】
図13は、上記のスライサの一例の入出力特性を示す。同図に示す入出力特性のスライサは、スライスレベル|S1|以下の小振幅の入力高域信号を除去し、|S1|より大なる振幅の入力高域信号に対しては入力高域信号からスライスレベル|S1|を減算した信号を出力する。
【0004】
図14は、上記のスライサの他の例の入出力特性を示す。同図に示す入出力特性のスライサは、スライスレベル|S2|以下の小振幅の入力高域信号を除去し、|S2|より大なる振幅の入力高域信号に対しては入力高域信号の振幅を保って出力する。ただし、スライスレベル|S2|付近では入力高域信号の入力レベルよりも若干小レベルとして出力する。この図14に示す入出力特性のスライサは、図13に示した入出力特性のスライサのような入力高域信号の振幅の大きい信号成分も一律に取り除かれることによる解像度劣化を防ぐことができる。
【0005】
このノイズコアリング方式の映像ノイズ低減装置では、輝度差がノイズレベルと同等の小レベルの模様のような映像部分(以下、テクスチャ部分と呼ぶ)が入力映像信号に含まれる場合にも、振幅の大きさが同程度のノイズとの区別がつかず、テクスチャ部分の高域信号成分を比較的多く取り除いてしまってテクスチャ部分の再現性が悪くなる。これを避けるためにスライサのスライスレベルを小さくすると、テクスチャ部分の再現性は良くなるが、ノイズの低減効果が小さくなるという課題がある。
【0006】
そこで、従来の映像ノイズ低減装置では、この課題を解決するために、輝度レベルに応じてスライスレベルを適応的に可変する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、MPEG(Moving Picture Experts Group)による圧縮映像信号をデコードする際に、エンコード時の量子化レベルに応じてスライスレベルを適応的に可変する映像ノイズ低減装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−347723号公報
【特許文献2】特開平8−205158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の従来の映像ノイズ低減装置では、テクスチャ部分を特定できないため、テクスチャ部分の再現性を確保しようとすると所期のノイズ低減効果が期待できない。また、特許文献2記載の従来の映像ノイズ低減装置では、エンコード情報が得られないカメラの撮像映像信号等に対しては、エンコード時の量子化レベルが得られないためスライスレベルの適応的な可変ができず、所期のノイズ低減効果が期待できない。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、映像信号の平坦部分に含まれる映像ノイズを低減しつつ、映像信号のテクスチャ部分の画質劣化を小さくすることができ、また、エンコード情報が得られない映像信号に対しても適切なノイズ低減効果を得ることができる映像ノイズ低減装置及び映像ノイズ低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の映像ノイズ低減装置は、供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、予め定められた基準閾値を上位代表値と下位代表値との差分で除算することにより、注目画素の近傍領域の平坦度を算出する平坦度算出手段と、平坦度と予め定められた基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、高域信号抽出手段により抽出された高域信号に対して、スライスレベル算出手段により算出されたスライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、入力映像信号の所定周波数未満の低域信号と、微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、本発明の映像ノイズ低減装置は、供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素からなる一定画素領域内において、複数の近傍画素のうち注目画素を中心として所定の複数画素以上一定方向に連続しないような配置位置が散在する位置関係にある二以上の近傍画素を選択して、二以上の近傍画素と注目画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、予め定められた基準閾値を上位代表値と下位代表値との差分で除算することにより、注目画素の近傍領域の平坦度を算出する平坦度算出手段と、平坦度と予め定められた基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、高域信号抽出手段により抽出された高域信号に対して、スライスレベル算出手段により算出されたスライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、入力映像信号の所定周波数未満の低域信号と、微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段とを有することを特徴とする。
【0012】
ここで、上記スライスレベル算出手段は、一定画素領域内の予め定めた数の近傍画素をそれぞれ注目画素として平坦度算出手段により算出した近傍画素の各平坦度の平均値を、注目画素の平坦度とし、この注目画素の平坦度と基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において注目画素の平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出する手段であってもよい。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、本発明の映像ノイズ低減装置は、供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、上位代表値と下位代表値との差分が大きいほど値が小さくなるスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、高域信号抽出手段により抽出された高域信号に対して、スライスレベル算出手段により算出されたスライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、入力映像信号の所定周波数未満の低域信号と、微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段とを有することを特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成するため、本発明の映像ノイズ低減方法は、供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出ステップと、入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを生成するソートステップと、上位代表値と下位代表値との差分が大きいほど値が小さくなるスライスレベルを算出するスライスレベル算出ステップと、高域信号抽出ステップにより抽出された高域信号に対して、スライスレベル算出ステップにより算出されたスライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、スライスレベルより大なる振幅成分を生成する微小振幅除去ステップと、入力映像信号の所定周波数未満の低域信号と、微小振幅除去ステップにより生成された微小振幅成分除去後の高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、映像信号の平坦部分に含まれる映像ノイズを低減しつつ、映像信号のテクスチャ部分の画質劣化を小さくすることができ、また、エンコード情報が得られない映像信号に対しても適切なノイズ低減効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の映像ノイズ低減装置の第1の実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明の映像ノイズ低減方法の第1の実施の形態の動作説明用フローチャートである。
【図3】本発明の処理対象画像が平坦な部分である場合の近傍画素の画素値分布の一例を示す図である。
【図4】本発明の処理対象画像がテクスチャ部分である場合の近傍画素の画素値分布の一例を示す図である。
【図5】本発明の処理対象画像が平坦な部分である場合の近傍画素の上位代表値と下位代表値の一例を示す図である。
【図6】本発明の処理対象画像がテクスチャ部分である場合の近傍画素の上位代表値と下位代表値の一例を示す図である。
【図7】図1中のスライサの一例の入出力特性を示す図である。
【図8】本発明の映像ノイズ低減装置の第2の実施の形態のブロック図である。
【図9】本発明の映像ノイズ低減方法の第2の実施の形態の動作説明用フローチャートである。
【図10】図8中の近傍選択画素レベルソート部における処理対象近傍画素の選択の一例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の効果を説明するために、第2の実施の形態により算出されたスライスレベル及び比較スライスレベルの一例を明暗画像として入力画像と共に示す図である。
【図12】図8中の近傍選択画素レベルソート部における処理対象近傍画素の選択の他の例を示す図である。
【図13】従来の映像ノイズ低減装置におけるスライサの入出力特性の一例を示す図である。
【図14】従来の映像ノイズ低減装置におけるスライサの入出力特性の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に詳細に説明する。本発明の映像ノイズ低減装置は、ノイズコアリングにまつわるスライスレベルを適応的に変化させることを骨子としており、ノイズの含まれた高域信号をどのように分離するかについては既存の技術のどのようなものを使用してもよい。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明になる映像ノイズ低減装置の第1の実施の形態のブロック図、図2は、本発明になる映像ノイズ低減方法の第1の実施の形態の動作説明用フローチャートを示す。図1に示すように、本実施の形態の映像ノイズ低減装置10は、低域フィルタ(LPF)11、ソート手段を構成する近傍画素レベルソート部12、符号反転器13、加算器14、微小振幅除去手段であるスライサ15、平坦度算出部16及び加算器17より構成される。LPF11、近傍レベルソート部12及び加算器14は、入力端子を介して映像ノイズを含む入力映像信号がそれぞれ供給される。上記の入力映像信号は、MPEGなどの符号化方式で圧縮された符号化信号をデコードした信号でもよいし、撮像信号などのエンコード時の量子化レベルが得られない映像信号であってもよい。
【0019】
LPF11は、入力端子を介して入力される映像信号から予め設定したカットオフ周波数以下の低域信号を周波数選択して出力する。符号反転器13は、LPF11から出力される低域信号を−1倍して信号レベルの符号を反転する(極性反転する)。加算器14は、符号反転器13から出力される極性反転映像信号と入力端子を介して供給される入力映像信号とを加算することにより、入力映像信号から低域信号を減算した高域信号を出力する。LPF11、符号反転器13及び加算器14は、本発明の高域信号抽出手段を構成している。
【0020】
スライサ15は、加算器14から出力される高域信号に含まれるスライスレベル以下の微小振幅の信号成分をノイズとみなして除去し、それ以外の振幅の高域信号を出力する。スライサ15は、前述した図13や図14に示した通常に用いられるスライサの入出力特性と同様の入出力特性を有するが、スライスレベルが後述するように適応的に可変制御される点で従来の映像ノイズ低減装置におけるスライサと異なる。
【0021】
次に、図2のフローチャートと共に図1の実施の形態の映像ノイズ低減装置10の動作について説明する。まず、LPF11、符号反転器13及び加算器14からなる高域信号抽出手段が入力映像信号中の高域信号を抽出する(ステップS1)。すなわち、LPF11により周波数選択された入力映像信号中の低域信号を符号反転器13により極性反転し、その符号反転器13から出力される極性反転された低域信号と入力映像信号とを加算器14により加算することで、加算器14から入力映像信号中の高域信号が抽出される。
【0022】
続いて、映像ノイズ低減装置10は、近傍画素レベルソート部12により入力映像信号の上位代表値と下位代表値とを算出する(ステップS2)。ステップS2において、近傍画素レベルソート部12は、まず、入力映像信号の映像ノイズ除去対象の注目画素と注目画素の周辺の近傍画素とについて、それらの画素値(レベル)の大きさの順にソートする。近傍画素レベルソート部12における注目画素と近傍画素とからなる総画素数は、後述する平坦度算出部16において算出される平坦度が近傍画素レベルソート部12のソート結果(上位代表値及び下位代表値)の統計的性質を利用しているため、できるだけ多い方が算出の精度が良くなるので望ましい。しかし、注目画素と近傍画素とからなる総画素数が多くなると演算規模も大きくなる。そこで、本実施の形態では、近傍画素レベルソート部12は、上記総画素数を、注目画素及びその周辺の横5画素、縦5画素の計25画素としてソートするものとして説明する。
【0023】
注目画素近傍の本来の映像部分が、輝度レベル差が殆ど無い単純な平坦部分であった場合、上記25画素のうちの近傍画素の画素値の多くは注目画素の本来の画素値(ノイズを含まない場合の画素値)と同じであるため、近傍画素レベルソート部12は、その注目画素の本来の画素値を中心として概略正規分布の傾向で画素値が分布するソート結果を得る。図3は、この平坦部分におけるソートされた画素値の一例を示す。図3は、丸印が上記25画素を示しており、横軸が画素値、縦軸が画素数を示している(後述の図4も同様)。従って、図3の例では、最も画素数の多い画素値「80」が本来の映像レベルであることを示している。なお、画素値は例えば「0」〜「255」の範囲内の値である(後述の図4も同様)。
【0024】
一方、注目画素近傍の本来の映像部分がテクスチャ部分の場合の例として、2値が均等に分布する市松模様であったものとすると、近傍画素レベルソート部12は、それら2値をそれぞれ中心とした2つの概略正規分布が合成されたような傾向で分布するソート結果を得る。図4は、このテクスチャ部分におけるソートされた画素値の一例を示す。図4の例では、一番画素数の多い画素値「83」と2番目に画素数の多い画素値「77」の2値が均等に分布しているテクスチャ部分であることを示している。
【0025】
近傍画素レベルソート部12は、ステップS2において上記の注目画素及び近傍画素の画素値のソートに続いて、上位代表値と下位代表値とを算出して出力する。「上位代表値」とは、ソートして得た分布の中心画素値より大きい画素値グループを代表する値であり、例としてここでは、大きい方から25%の位置にある画素のレベル(画素値)とする。同様に、「下位代表値」とはソートして得た分布の中心画素値より小さい画素値グループを代表する値であり、例としてここでは、大きい方から75%の位置にある画素のレベル(画素値)とする。
【0026】
注目画素及び近傍画素からなる25画素では、上記の分布の大きい方から25%の位置にある画素値である上位代表値は、大きな方から7(≒25×0.25)番目の画素値である。また、上記の分布の大きい方から75%の位置にある画素値である下位代表値は、大きな方から19(≒25×0.75)番目の画素値である。従って、図3の分布の場合、図5に太い丸印で示す画素の画素値となり、上位代表値は「80」、下位代表値は「79」となる。また、図4の分布の場合、図6に太い丸印で示す画素の画素値となり、上位代表値は「83」、下位代表値は「77」となる。
【0027】
続いて、映像ノイズ低減装置10は平坦度算出部16により平坦度を算出する(ステップS3)。ステップS3において、平坦度算出部16は、近傍画素レベルソート部12により算出された上位代表値と下位代表値とを入力として受け、これらと予め設定された基準閾値とに基づいて、平坦度を算出する。更に、平坦度算出部16は、算出した平坦度と予め設定された基準スライスレベルとに基づいて、スライサ15で用いるスライスレベルを算出してスライサ15に出力する。
【0028】
すなわち、平坦度算出部16は、まず、上位代表値をRu、下位代表値をRd、基準閾値をThsとするとき、次式に基づいて平坦度Fを算出する。
【0029】
(i)Ru≠Rdの場合
F=Ths/(Ru−Rd) (1a)
(ii)Ru=Rdの場合
F=Ths (1b)
次に、平坦度算出部16は、平坦度に基づいてスライスレベルを算出する(ステップS4)。ステップS4において、平坦度算出部16は、上記のように算出した平坦度Fに基づいて、基準スライスレベルをSs、任意の係数をkとするとき、次式によりスライスレベルSaを算出する。
【0030】
Sa=Ss×{1+k×(F−1)} (2)
Sa/2≦Sa≦Ss×2 (3)
(3)式の不等式は、ノイズのばらつきの影響を小さくするため、スライスレベルSaを制限するものである。
【0031】
これにより、平坦度算出部16は、例えば基準閾値Thsを「3」、基準スライスレベルSsを「5」、係数kを「1」としたとき、(1a)式、(2)式、及び(3)式より、スライスレベルSaとして図3の注目画素及び近傍画素の映像部分が平坦部分の分布の場合は「10」、図4のテクスチャ部分の分布の場合は「2.5」を算出する。すなわち、スライスレベルSaは、注目画素及び近傍画素の映像部分が平坦部分であるか、テクスチャ部分であるかに応じて適応的に算出される。なお、係数kは任意の値に定められるが、通常は「1」に設定される。
【0032】
続いて、スライサ15はスライスレベル以下の高域信号の微小振幅成分を除去する(ステップS5)。すなわち、スライサ15は、加算器14から出力される入力映像信号中の映像ノイズ成分を多く含む高域信号に対してスライスレベル|Sa|以下の微小振幅の信号成分を映像ノイズ成分とみなして除去し、それ以外の振幅の信号成分を出力する。
【0033】
図7は、スライサ15の一例の入出力特性を示す。同図に示すように、スライサ15はスライスレベル|Sa|以下の小振幅の入力高域信号を除去し、スライスレベル|Sa|より大なる振幅の入力高域信号に対しては入力高域信号の振幅を保って出力する。ただし、スライスレベル|Sa|付近では入力高域信号の入力レベルよりも若干小レベルとして出力する。また、スライスレベル|Sa|は、(2)式及び(3)式に従い、画像の平坦度Fに応じて適応的に制御される。
【0034】
例えば、スライサ15の入出力特性は図7に示すように、ある平坦度では実線Iで示され、その平坦度よりも大きな平坦度の映像信号に対しては同図に一点鎖線IIで示すようにスライスレベル|Sa|が大きくされる。一方、上記平坦度よりも小さな平坦度の映像信号に対しては同図に二点鎖線IIIで示すようにスライスレベル|Sa|が小さくされる。従って、スライサ15は、前述した図3の分布の映像信号の場合はスライスレベルSaが「10」であるので、例えば図7に一点鎖線IIで示すような入出力特性に制御され、高域信号中のより大きい振幅成分までをノイズとして除去する。一方、スライサ15は、前述した図4の分布の映像信号の場合はスライスレベルSaが「2.5」であるので、例えば図7に二点鎖線IIIで示すような入出力特性に制御され、高域信号中のより小さい振幅成分だけをノイズとして除去し、テクスチャ部分までを含めて除去することはない。
【0035】
そして、映像ノイズ低減装置10は、加算器17において、スライサ15から出力される微小振幅除去後の高域信号と、LPF11から出力される入力映像信号中の低域信号とを加算する(ステップS6)。これにより、加算器17は、入力映像信号からテクスチャ部分が殆ど除去されることなく、ランダムノイズである映像ノイズが低減された映像信号を生成して出力する。
【0036】
このように、本実施の形態の映像ノイズ低減装置10によれば、入力映像信号の映像の内容を分析し、注目画素の近傍画素が平坦部分にノイズが含まれている映像に近いのか、テクスチャ部分の映像に近いのかを数値化する手段を導入することにより、平坦部分にノイズが含まれていると判断される場合(平坦度Fが大きい場合)はスライスレベルを大きく、テクスチャ部分と判断される場合(平坦度Fが小さい場合)にはスライスレベルを小さくする、という可変スライスレベルを用いて、映像信号の平坦部分に含まれた映像ノイズを低減しつつ、映像信号のテクスチャ部分の画質劣化を小さくすることができる。また、本実施の形態の映像ノイズ低減装置10によれば、エンコード情報が得られない映像信号に対しても適切なノイズ低減効果を得ることができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8は、本発明になる映像ノイズ低減装置の第2の実施の形態のブロック図、図9は、本発明になる映像ノイズ低減方法の第2の実施の形態の動作説明用フローチャートを示す。図8中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、また、図9中、図2と同一処理のステップには同一符号を付し、それぞれその説明を省略する。
【0038】
図8に示す本発明の第2の実施の形態の映像ノイズ低減装置20は、低域フィルタ(LPF)11、符号反転器13、加算器14、微小振幅除去手段であるスライサ15、加算器17、ソート手段である近傍選択画素レベルソート部21、平坦度算出部22及び平坦度近傍平均算出部23より構成される。
【0039】
近傍選択画素レベルソート部21は、入力映像信号の映像ノイズ除去対象の注目画素と注目画素の周辺の近傍画素とについて、それらの画素値(レベル)の大きさの順にソートする。近傍選択画素レベルソート部21における注目画素と近傍画素とからなる総画素数は、第1の実施の形態における近傍画素レベルソート部12では平坦度の算出精度と演算規模との兼ね合いから注目画素を中心とする横5画素、縦5画素の計25画素としていた。本実施の形態では第1の実施の形態よりもさらに演算規模を小さくし、ハードウェアコストを低減するため、近傍選択画素レベルソート部21はソートの処理対象とする注目画素と近傍画素とからなる総画素数を9個にする。
【0040】
ただし、注目画素を中心とする横3画素、縦3画素からなる計9画素の領域をソートの処理対象にすると、平坦度の算出のために参照する領域が小さすぎるため、平坦度の誤差が大きくなる恐れがある。それを解決するため、近傍選択画素レベルソート部21は、注目画素を中心とする横5画素、縦5画素の計25画素の近傍領域のうち、図10に星印で示す9個の画素を演算対象画素として選択し、演算対象とする。図10の演算対象画素のパターンは縦横斜めの位置関係を適度に含むように設定したものである。
【0041】
次に、本実施の形態の映像ノイズ低減装置20の第1の実施の形態と異なる動作について、図9のフローチャートを併せ参照して説明する。近傍選択画素レベルソート部21は、入力映像信号の上位代表値と下位代表値とを算出する(ステップS11)。すなわち、近傍選択画素レベルソート部21は、ステップS11において、図10に星印で示した9個の画素について、それらの画素値(レベル)の大きさ順にソートした後、そのソート結果の分布において大きい方から25%の位置にある画素のレベル(画素値)を上位代表値Ruとして算出し、大きい方から75%の位置にある画素のレベル(画素値)を下位代表値Rdとして算出する。
【0042】
続いて、映像ノイズ低減装置20は、平坦度算出部22において平坦度を算出する(ステップS12)。すなわち、平坦度算出部22は、ステップS12において、近傍選択画素レベルソート部21から出力される上位代表値Ru及び下位代表値Rdと、予め設定されている基準閾値Thsとに基づいて、(1a)式及び(1b)式により平坦度Fを算出する。
【0043】
続いて、映像ノイズ低減装置20は、平坦度近傍平均値に基づいてスライスレベルを算出する(ステップS13)。すなわち、平坦度近傍平均算出部23は、ステップS13において、まず平坦度近傍平均値を算出する。これは、本実施の形態では処理に用いる画素数が図10に示した9画素であり、第1の実施の形態の25画素に比べて少ないことによる誤差の増大を避けるためで、平坦度近傍平均算出部23は、平坦度算出部22で得られた平坦度F自体を、次式に示すように、その近傍画素領域(例えば横5画素、縦5画素の領域)の平坦度で平均化する。ただし、次式中、F'(x,y)は座標(x,y)に位置する注目画素の平坦度近傍平均値、F(a,b)は座標(a,b)に位置する近傍画素を注目画素として(1a)式又は(1b)式により算出した近傍画素の平坦度を示す。
【0044】
F'(x,y)={F(x-2,y-2)+F(x-1,y-2)+F(x,y-2)+F(x+1,y-2)+F(x+2,y-2)+・・・
+F(x,y+2)+F(x+1,y+2)+F(x+2,y+2)}/25 (4)
なお、平坦度近傍平均算出部23は、平坦度算出部22で得られた平坦度F自体を、(4)式のような25画素のそれぞれの平坦度の平均ではなく、横3画素、縦3画素の近傍画素領域の各画素の平坦度で平均化するようにしてもよい。
【0045】
平坦度近傍平均算出部23は、ステップS13において、上記のように注目画素の平坦度近傍平均値F'(x,y)を算出すると、続いてその平坦度近傍平均値F'(x,y)と予め設定されている基準スライスレベルSsとに基づいて、(2)式及び(3)式によりスライスレベルSaを算出する。ただし、(2)式中の平坦度Fは、ステップS13では平坦度近傍平均値F'(x,y)とする。
【0046】
これにより、図8におけるスライサ15の入出力特性も、図7と同様となり、平坦な部分にノイズが含まれていると判断される場合(平坦度近傍平均値F'(x,y)が大きい場合)はスライスレベルを大きく、テクスチャ部分と判断される場合(平坦度近傍平均値F'(x,y)が小さい場合)にはスライスレベルを小さくする、という可変スライスレベルの入出力特性に設定される。以下、第1の実施の形態と同様の動作が行われ、加算器17は入力映像信号からテクスチャ部分が殆ど除去されることなく、ランダムノイズである映像ノイズが低減された映像信号を生成して出力する。
【0047】
次に、本実施の形態の効果について図面に基づいて説明する。図11は、本実施の形態の映像ノイズ低減装置20の効果を説明する図である。図11(A)は、入力映像信号の画像の一例を示す。この画像は、緑茶の缶の表面の画像部分31aが平坦部分であり、緑茶の缶の下の敷物の画像部分32aはテクスチャ部分であることを示している。
【0048】
図11(A)に示す原画の入力映像信号に対し、本実施の形態の映像ノイズ低減装置20の平坦度近傍平均算出部23は、図11(B)に明暗表示して示す値のスライスレベルを算出する。図11(B)及び(C)は算出したスライスレベルの値を20倍して明暗表示したもので、スライスレベルの値が大きいほど明るく表示される。図11(C)はスライスレベルの値が「5」であるときの比較用の明暗画像33である。図11(B)に示すように、平坦度近傍平均算出部23が算出するスライスレベルは、平坦部分の画像31aに対応した部分のスライスレベルは31bで示すように、同図(C)に示す比較用のスライスレベルの明暗画像33よりも明るい(すなわち、スライスレベルが比較用のスライスレベルよりも大きい)。一方、テクスチャ部分の画像32aに対応した部分のスライスレベルは図11(B)に32bで示すように、同図(C)に示す比較用のスライスレベルの明暗画像33よりも暗い(すなわち、スライスレベルが比較用のスライスレベルよりも小さい)。
【0049】
このように、本実施の形態の映像ノイズ低減装置20によれば、映像ノイズ低減装置10に比べて演算規模が小さく安価なハードウェア構成により、平坦部分ではスライスレベルを大きく、テクスチャ部分ではスライスレベルを小さくする、というように適応的にスライスレベルを可変するようにしたため、映像信号の平坦部分に含まれた映像ノイズを低減しつつ、映像信号のテクスチャ部分の画質劣化を小さくするという効果を得ることができる。また、本実施の形態の映像ノイズ低減装置20によれば、エンコード情報が得られない映像信号に対しても適切なノイズ低減効果を得ることができる。
【0050】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、その他の変形例も包含する。例えば、図8に示した第2の実施の形態の映像ノイズ低減装置20では、スライサ15は平坦度近傍平均算出部23により、平坦度近傍平均値に応じて算出したスライスレベルが設定されるように説明したが、平坦度算出部22において算出した平坦度Fを用いて(2)式及び(3)式からスライスレベルを算出するようにしてもよい。すなわち、スライスレベル算出手段は平坦度近傍平均算出部23に限定されるものではなく、平坦度近傍平均算出部23を設けず、平坦度算出部22が平坦度算出手段及びスライスレベル算出手段を兼ねる構成とすることも可能である。
【0051】
また、近傍選択画素レベルソート部21がレベルソートする画素は、図10に示した横5画素、縦5画素の一定領域内の特定の位置関係にある9画素としたが、画素の配置位置はこれに限定されるものではなく、上記一定領域内の図12(A)や(B)に示す位置関係にある9画素、更にはその他の位置関係にある9画素でもよい。すなわち、近傍選択画素レベルソート部21が注目画素と共にレベルソートする近傍画素は、注目画素と注目画素の周辺の複数の近傍画素とからなる一定の画素領域において、複数の近傍画素のうち注目画素を中心として所定の複数画素(図10、図12では4画素)以上一定方向に連続しないような配置位置が散在する位置関係にある二以上の近傍画素であればよい。また、近傍選択画素レベルソート部21がレベルソートする画素の画素数は9画素に限定されるものではない。
【0052】
また、本発明は、例えば入力映像信号から低域フィルタ(LPF)出力信号を減算して高域信号を得るのではなく、例えばアダマール変換やコサイン変換等で得られる複数の帯域に対してノイズコアリングを行うような場合も、同様な実施が可能である。
【0053】
また、以上の実施の形態では上位代表値をソートされた複数の画素値の大きい方から25%の位置にある画素値、下位代表値をソートされた複数の画素値の大きい方から75%の位置にある画素値としたが、これに限定されるものではない。例えば上位代表値は上記複数の画素値の大きい方から15%〜35%の範囲内の位置にある画素値とし、下位代表値は上記複数の画素値の大きい方から65%〜85%の範囲内の位置にある画素値としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10、20 映像ノイズ低減装置
11 低域フィルタ(LPF)
12 近傍画素レベルソート部
13 符号反転器
14、17 加算器
15 スライサ(微小振幅除去器)
16、22 平坦度算出部
21 近傍選択画素レベルソート部
23 平坦度近傍平均算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、
前記入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と前記中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、
予め定められた基準閾値を前記上位代表値と前記下位代表値との差分で除算することにより、前記注目画素の近傍領域の平坦度を算出する平坦度算出手段と、
前記平坦度と予め定められた基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において前記平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、
前記高域信号抽出手段により抽出された前記高域信号に対して、前記スライスレベル算出手段により算出された前記スライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、前記スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、
前記入力映像信号の前記所定周波数未満の低域信号と、前記微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の前記高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段と
を有することを特徴とする映像ノイズ低減装置。
【請求項2】
供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、
前記入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素からなる一定画素領域内において、前記複数の近傍画素のうち前記注目画素を中心として所定の複数画素以上一定方向に連続しないような配置位置が散在する位置関係にある二以上の近傍画素を選択して、前記二以上の近傍画素と前記注目画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と前記中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、
予め定められた基準閾値を前記上位代表値と前記下位代表値との差分で除算することにより、前記注目画素の近傍領域の平坦度を算出する平坦度算出手段と、
前記平坦度と予め定められた基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において前記平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、
前記高域信号抽出手段により抽出された前記高域信号に対して、前記スライスレベル算出手段により算出された前記スライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、前記スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、
前記入力映像信号の前記所定周波数未満の低域信号と、前記微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の前記高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段と
を有することを特徴とする映像ノイズ低減装置。
【請求項3】
前記スライスレベル算出手段は、
前記一定画素領域内の予め定めた数の前記近傍画素をそれぞれ前記注目画素として前記平坦度算出手段により算出した近傍画素の各平坦度の平均値を、前記注目画素の前記平坦度とし、この注目画素の平坦度と前記基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において前記注目画素の平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出することを特徴とする請求項2記載の映像ノイズ低減装置。
【請求項4】
供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、
前記入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と前記中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、
前記上位代表値と前記下位代表値との差分が大きいほど値が小さくなるスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、
前記高域信号抽出手段により抽出された前記高域信号に対して、前記スライスレベル算出手段により算出された前記スライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、前記スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、
前記入力映像信号の前記所定周波数未満の低域信号と、前記微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の前記高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段と
を有することを特徴とする映像ノイズ低減装置。
【請求項5】
供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出ステップと、
前記入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と前記中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを生成するソートステップと、
前記上位代表値と前記下位代表値との差分が大きいほど値が小さくなるスライスレベルを算出するスライスレベル算出ステップと、
前記高域信号抽出ステップにより抽出された前記高域信号に対して、前記スライスレベル算出ステップにより算出された前記スライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、前記スライスレベルより大なる振幅成分を生成する微小振幅除去ステップと、
前記入力映像信号の前記所定周波数未満の低域信号と、前記微小振幅除去ステップにより生成された微小振幅成分除去後の前記高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算ステップと
を含むことを特徴とする映像ノイズ低減方法。
【請求項1】
供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、
前記入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と前記中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、
予め定められた基準閾値を前記上位代表値と前記下位代表値との差分で除算することにより、前記注目画素の近傍領域の平坦度を算出する平坦度算出手段と、
前記平坦度と予め定められた基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において前記平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、
前記高域信号抽出手段により抽出された前記高域信号に対して、前記スライスレベル算出手段により算出された前記スライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、前記スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、
前記入力映像信号の前記所定周波数未満の低域信号と、前記微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の前記高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段と
を有することを特徴とする映像ノイズ低減装置。
【請求項2】
供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、
前記入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素からなる一定画素領域内において、前記複数の近傍画素のうち前記注目画素を中心として所定の複数画素以上一定方向に連続しないような配置位置が散在する位置関係にある二以上の近傍画素を選択して、前記二以上の近傍画素と前記注目画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と前記中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、
予め定められた基準閾値を前記上位代表値と前記下位代表値との差分で除算することにより、前記注目画素の近傍領域の平坦度を算出する平坦度算出手段と、
前記平坦度と予め定められた基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において前記平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、
前記高域信号抽出手段により抽出された前記高域信号に対して、前記スライスレベル算出手段により算出された前記スライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、前記スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、
前記入力映像信号の前記所定周波数未満の低域信号と、前記微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の前記高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段と
を有することを特徴とする映像ノイズ低減装置。
【請求項3】
前記スライスレベル算出手段は、
前記一定画素領域内の予め定めた数の前記近傍画素をそれぞれ前記注目画素として前記平坦度算出手段により算出した近傍画素の各平坦度の平均値を、前記注目画素の前記平坦度とし、この注目画素の平坦度と前記基準スライスレベルとから、予め設定した範囲内において前記注目画素の平坦度に比例して値が変化するスライスレベルを算出することを特徴とする請求項2記載の映像ノイズ低減装置。
【請求項4】
供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出手段と、
前記入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と前記中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを出力するソート手段と、
前記上位代表値と前記下位代表値との差分が大きいほど値が小さくなるスライスレベルを算出するスライスレベル算出手段と、
前記高域信号抽出手段により抽出された前記高域信号に対して、前記スライスレベル算出手段により算出された前記スライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、前記スライスレベルより大なる振幅成分を出力する微小振幅除去手段と、
前記入力映像信号の前記所定周波数未満の低域信号と、前記微小振幅除去手段から出力された微小振幅成分除去後の前記高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算手段と
を有することを特徴とする映像ノイズ低減装置。
【請求項5】
供給される入力映像信号から所定周波数以上の高域信号を抽出する高域信号抽出ステップと、
前記入力映像信号の注目画素及びその周辺の複数の近傍画素の各画素値を画素値の大きさの順にソートし、ソートして得た画素値分布の中心値より値が大きな画素値グループ内の代表値である上位代表値と前記中心値より値が小さな画素値グループ内の代表値である下位代表値とを生成するソートステップと、
前記上位代表値と前記下位代表値との差分が大きいほど値が小さくなるスライスレベルを算出するスライスレベル算出ステップと、
前記高域信号抽出ステップにより抽出された前記高域信号に対して、前記スライスレベル算出ステップにより算出された前記スライスレベル以下の振幅成分を除去し、かつ、前記スライスレベルより大なる振幅成分を生成する微小振幅除去ステップと、
前記入力映像信号の前記所定周波数未満の低域信号と、前記微小振幅除去ステップにより生成された微小振幅成分除去後の前記高域信号とを加算して映像ノイズの低減された映像信号を出力する加算ステップと
を含むことを特徴とする映像ノイズ低減方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図11】
【公開番号】特開2013−26698(P2013−26698A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157382(P2011−157382)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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