説明

映像伝送時間測定システムおよび映像伝送時間測定方法

【課題】映像伝送時間測定システムおよび映像伝送時間測定方法において、簡単な構成により、被測定システムに対し侵襲することなく被測定システムを実際に使用している状態で、映像伝送時間を短時間で高精度に測定可能とする。
【解決手段】映像伝送時間測定システム1は、撮像地Aに配置され明状態と暗状態とを繰り返す点滅マーカ3と、撮像地刻時タイマ2と、投影地Bに配置され点滅マーカ3の映像3aの明暗状態の変化を検出すると共に検出した旨の検出信号を出力する受光センサ4と、受光センサ4からの検出信号を受信した時に刻時時刻の表示を所定時間だけ固定する投影地刻時タイマ5と、映像投影装置13によって投影表示された映像2aと表示の固定された投影地刻時タイマ5とを並べて撮像すると共に撮像した映像を記録する測定用カメラ6と、を備えている。測定用カメラ6によって撮像された映像から両刻時時刻を読みとって映像伝送時間を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の映像伝送システムにおける映像の撮像完了から映像を伝送して表示する投影完了に至る時間として定義される映像伝送時間を測定する映像伝送時間測定システムおよび映像伝送時間測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチメディアの発達により、多地点間において撮像と投影とを相互に行うテレイグジスタンスシステムのような動画の映像伝送システムが実用化されている。動画は、通常、非静止の対象物を単位時間毎に画像フレームまたは単にフレームと呼ばれる単位画像の時系列として撮像して形成され、フレーム単位毎に送受信されて投影により再生される。以下において、画像と映像とは同義で用い、投影はスクリーンを用いるものに限らず広い意味の画像提示を指すものとする。各フレーム毎の映像の撮像完了から投影完了に至るまでに、映像信号送出の処理に要する時間、映像信号が伝送路や空間を中継されながら移動する伝送に要する時間、および映像信号を受信して投影装置画面上に表示する処理に要する時間、などを合計した時間が経過する。このような撮像完了から投影完了までの時間は、ある時間空間(撮像地)における映像を伝送して、他のある時間空間(投影地)において映像を再生するための時間であり、この時間を「映像伝送時間」ということにする。
【0003】
映像伝送時間は、原理的に正の非ゼロ値となり映像遅延時間とも呼ばれる。実時間伝送、いわゆるライブ中継を行うシステムにおいては、映像伝送時間を可能な限りゼロに近付けることが望まれる。また、同一映像を投影する場所が複数ある場合に、複数の投影場所に対する映像伝送時間を等しくする時間調整を要求されることがある。テレイグジスタンスのように実時間の映像をユーザインターフェースとする対話的システムにおいては、実景を撮影するビデオカメラからの映像を投影装置上で描画するまでの伝送時間の長短がシステムの使い勝手に影響する。映像時間を短縮したり、調整したりするには、映像伝送時間を測定して映像伝送システムの特性を把握することが必要である。また、映像伝送の媒体としてインターネットを経由する際のパケット伝送などについても対応する必要がある。
【0004】
一般に、映像伝送時間の測定は、撮像地から、映像とともに映像の伝送開始時刻の情報を投影地に伝達し、投影地において、伝達された時刻と映像の投影完了時刻との差を求めることにより行われる。映像の伝送開始時刻と投影完了時刻とを求めるために、撮像地と投影地とに、それぞれ同一時刻を刻む時計が必要である。
【0005】
ところで、パーソナルコンピュータ(以下、PCと称する)を用いた双方向画像通信システムにおいて、特別な外部機器を追加することなく、ソフトウェアを組み込んだPCの自動処理によって、画像伝送の遅延時間を精度よくかつ簡単に測定する映像伝送時間測定方法が知られている。この方法では、時間経過を指示する自局PC上の時計画像を自局PCに接続されたTVカメラを用いて撮影し、その時計画像の撮影画像を対局PCに送信し、対局PCから折り返し送信された画像を自局PCで受信し、受信した画像の指示時刻と現在の時計画像の指示時刻とを比較することにより、自局PCに入力された画像情報が対局PCから出力されるまでの時間を測定する(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ネットワーク伝送などのように測定対象画像の種類、つまり映像の情報量によって伝送時間が異なる場合に、種々の映像種別毎の伝送時間を自動測定するために、評価映像中に全面グレー画像などのように信号レベルが一定の基準映像を複数フレームにわたって挿入した測定用映像を用いる測定方法が知られている。この方法では、測定用映像を映像送信側端末に表示させると共に、映像送信を行い、伝送路を経由して時間遅延を伴って戻って来た測定用映像を受信用端末に表示させ、送信側端末と受信用端末の両画面を並べてビデオカメラで撮像し、両画面を撮像した画面全体の輝度変化などを自動測定して両画面間の表示遅れを検出することにより伝送時間を測定する(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−180294号公報
【特許文献2】特開2005−184749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるような従来の映像伝送時間の測定方法においては、撮像地において伝送用の映像を撮像する撮像用ビデオカメラのシャッタ開口時間の影響や投影地における映像描き替え時間の影響などを考慮した精度の高い映像伝送時間測定装置や測定方法については何ら記載されていない。また、自局から対局までの伝送時間は往復伝送時間を2分した平均的時間としてしか得られない。さらに、パケット伝送の場合には、通常、パケット損失に対処するために受信バッファを持つので、時間差を2分する際にバッファ長を考慮しなければ測定精度が低いものとなる。
【0008】
また、上述した特許文献2に示されるような測定方法においては、送信用端末と受信用端末とが同じ場所にあることが必要であり、従って、互いに離れた撮像地と投影地との間における映像伝送時間を測定することができない。
【0009】
一般に、映像伝送時間の測定において、測定精度をより高めるためには、被測定システムの違いにも対応する必要がある。また、単に測定精度を向上させるだけでなく、測定装置の使い勝手の向上、簡便性、汎用性、被測定システムに対する非侵襲性、測定時間の短縮、さらにはリアルタイムでの測定などが望まれる。
【0010】
例えば、インターネットに代表されるパケット伝送ネットワーク上で動作する映像伝送システムにおいては、等時性を保っての同期信号伝送ができなくなり、投影装置側で独立して同期信号を生成するので、送受信両者のフレーム時間(画像フレームの送出間隔や投影間隔)が等しいことは望めない。また、同期信号を伝送できる場合であっても、撮影装置と投影装置とでテレビ方式が異なればフレーム時間も異なる。このような場合、伝送時間がフレーム毎に変化することになるので、高精度の伝送時間測定は、フレーム毎に行わなければならず、それなりの測定精度で測定を行う必要がある。
【0011】
ところで、送受信両者のフレーム時間が等しい場合に、撮像地で撮像した時計像を投影地に伝送し、投影地で投影された時計像と投影地における時計とを同一画面に納まるように記録用カメラで撮像し、その像中の時計の読みから伝送時間を求めることができるが、その問題を説明する。この方法では、記録用カメラによる記録遅延(撮像タイミングの遅れ)を解消するために記録用カメラによる撮像を複数回行い、像中の2つの時計の読みから求めた時間差を複数求め、その最小値、つまり、伝送されて来た時計像の投影(投影像の描き替え)が終了した瞬間を捉えたときの値を伝送時間として求める。
【0012】
しかしながら、投影装置がテレビ放送用のテレビ受像機の場合、例えば、NTSC方式では、フレーム時間における投影像の描き替え時間の割合が大きく、約90%にもなるので、記録用カメラのシャッタの開口時間中に投影像の描き替えが行われている事態が発生して記録用カメラによる像中の時計の読取りが暖味になってしまう。また、記録用カメラによる撮像を複数回行うことが必要であり、測定に長時間を要するという問題がある。
【0013】
本発明は、上記課題を解消するものであって、映像伝送システム(被測定システム)に対してソフトウエアを組み込んだり、電気的信号を加えたり取り出したりすることなく、被測定システムを実際に使用している状態で、簡単な構成により、その被測定システムの映像伝送時間を短時間で高精度に測定できる映像伝送時間測定システムおよび映像伝送時間測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、撮像地に配置された撮像用ビデオカメラと、前記撮像用ビデオカメラによって撮像された映像を投影地に伝送する映像伝送手段と、投影地に配置され前記映像伝送手段によって伝送された映像を投影表示する映像投影装置とを備えた映像伝送システムにおける映像の撮像完了からその撮像した映像の信号を送出、伝送、および受信して映像を投影表示する投影完了までの時間を映像伝送時間として測定する映像伝送時間測定システムにおいて、撮像地に配置され明状態と暗状態とを繰り返す点滅マーカと、前記映像投影装置によって投影表示される前記点滅マーカの映像の明暗状態の変化を検出すると共に検出した旨の検出信号を出力する受光センサと、撮像地に配置され一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示する撮像地刻時タイマと、投影地に配置され前記撮像地刻時タイマに同期して刻時を開始し、一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示可能であり、前記受光センサからの前記検出信号を受信し、その受信の時に刻時時刻の表示を所定時間だけ固定するか、または、その受信時毎に刻時時刻の表示を更新すると共に固定する投影地刻時タイマと、投影地に配置されて前記映像投影装置によって投影表示された映像と前記投影地刻時タイマとを並べて撮像すると共に撮像した映像を記録する測定用カメラと、を備え、前記撮像用ビデオカメラによって前記撮像地刻時タイマと前記点滅マーカとを一緒に撮像し、その撮像された映像を前記映像伝送手段によって伝送した後、前記映像投影装置によって投影表示し、前記映像投影装置に投影表示された前記撮像地刻時タイマの映像と、前記受光センサからの出力に応じて刻時時刻の表示が固定された状態にある前記投影地刻時タイマとを同時に前記測定用カメラによって撮像し、前記測定用カメラによって撮像された映像から前記両刻時タイマの刻時時刻を読みとることにより前記映像伝送時間を決定するようにしたものである。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の映像伝送時間測定システムにおいて、前記撮像用ビデオカメラによって撮像された前記点滅マーカと前記撮像地刻時タイマの映像のうち、前記点滅マーカの方が、前記撮像地刻時タイマよりも時間的に後に、前記映像投影装置によって描画されるように投影表示されるものである。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の映像伝送時間測定システムにおいて、前記点滅マーカの明状態と暗状態とを繰り返す時間間隔が、前記撮像用ビデオカメラによる撮像周期よりも長いものである。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定システムにおいて、前記撮像地刻時タイマと前記投影地刻時タイマとは、それぞれ、一定の単位時間経過とともに順番に点灯して消灯する複数個の発光源を配列して構成されると共に、桁上がり時刻を表示する複数個の発光源を備えているものである。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定システムにおいて、前記測定用カメラによって撮像された画像データを画像処理して前記撮像地刻時タイマおよび前記投影地刻時タイマの刻時時刻を読みとる画像処理手段を備えたものである。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定システムにおいて、前記受光センサからの前記検出信号を受信することにより、前記映像投影装置に投影表示された前記撮像地刻時タイマの映像と、前記受光センサからの出力に応じて刻時時刻の表示が固定された状態にある前記投影地刻時タイマとを撮像するように前記測定用カメラを制御する測定用カメラ制御装置を備えたものである。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定システムにおいて、前記点滅マーカを複数備えたものである。
【0021】
請求項8の発明は、撮像地に配置された撮像用ビデオカメラと、前記撮像用ビデオカメラによって撮像された映像を投影地に伝送する映像伝送手段と、投影地に配置され前記映像伝送手段によって伝送された映像を投影表示する映像投影装置とを備えた映像伝送システムにおける映像の撮像完了からその撮像した映像の信号を送出、伝送、および受信して映像を投影表示する投影完了までの時間を映像伝送時間として測定する映像伝送時間測定方法において、撮像地に配置され一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示する撮像地刻時タイマと、同じく撮像地に配置され一定時間毎に明状態と暗状態とを繰り返す点滅マーカとを一緒に前記撮像用ビデオカメラによって撮像し、その撮像された映像を前記映像伝送手段によって伝送した後、前記映像投影装置によって投影表示する第1の工程と、前記第1の工程によって投影表示される前記点滅マーカの映像の明暗状態の変化を検出し、その明暗状態の変化が検出された時に、投影地に配置され前記撮像地刻時タイマに同期して刻時を開始し、一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示する投影地刻時タイマの刻時時刻の表示を所定時間だけ固定する第2の工程と、前記第1の工程によって投影表示された前記撮像地刻時タイマの映像と、前記第2の工程によって刻時時刻の表示が固定された状態にある投影地刻時タイマとを同時に測定用カメラによって撮像する第3の工程と、前記第3の工程によって得られた撮像地刻時タイマの映像および投影地刻時タイマの映像から両刻時タイマの刻時時刻を読みとり、その読みとり値に基づいて前記映像伝送システムの映像伝送時間を決定する第4の工程と、を備えるものである。
【0022】
請求項9の発明は、請求項8に記載の映像伝送時間測定方法において、前記第2の工程において、前記投影地刻時タイマの刻時時刻の表示を固定する前記所定時間が次の明暗状態の変化を検出するまでの時間であり、変化の検出時毎に前記投影地刻時タイマの刻時時刻の表示を更新すると共に固定するものである。
【0023】
請求項10の発明は、請求項8または請求項9に記載の映像伝送時間測定方法において、前記第1の工程において、前記撮像用ビデオカメラによって撮像された前記点滅マーカと前記撮像地刻時タイマの映像のうち、前記点滅マーカの方が、前記撮像地刻時タイマよりも時間的に後に、前記映像投影装置によって描画されるように投影表示されるものである。
【0024】
請求項11の発明は、請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定方法において、前記点滅マーカの明状態と暗状態とを繰り返す時間間隔が、前記撮像用ビデオカメラによる撮像周期よりも長いものである。
【0025】
請求項12の発明は、請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定方法において、前記測定用カメラによる撮像間隔が前記映像投影装置による映像投影周期よりも短いものである。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明によれば、画像フレームの描き替え完了が点滅マーカの映像で擬似的に判断され、受光センサからの検出信号に応じて投影地刻時タイマの表示が固定された後、それぞれの表示が固定された状態にある撮像地刻時タイマの表示と投影地刻時タイマの表示とを測定用カメラによって撮像するので、測定用カメラのシャッタ開口時間や撮像タイミングなどに影響されることなく、映像伝送システムにおける映像の撮像完了からその撮像の投影完了までの時間を映像伝送時間として高精度に測定することができる。これは、受光センサによって点滅マーカの映像の明暗状態の変化を検出し、映像投影装置における前画像フレームに対する次画像フレームの上書きによる描き替え完了の検出を行うことにより、可能となっている。
【0027】
また、画像フレームの描き替え完了を擬似的に点滅マーカの明暗状態の変化によって検出するので、実時間映像送出側の撮像用ビデオカメラのフレーム時間と受信側の映像投影装置のフレーム時間とが異なる場合であっても、映像伝送システムにおける注目フレームに関する伝送時間を測定することができる。すなわち、種々の測定対象システムに対して対応可能であり、汎用性のある測定ができる。また、測定用カメラによる最短の場合1回の撮像により映像伝送時間を測定できるので、短時間の測定が可能であり、リアルタイムで映像伝送時間を測定可能である。また、受光センサの出力によって測定用カメラを連動させることもでき、これにより、より確実かつ簡便に映像伝送時間を測定できる。さらに、映像を外部から読み取る受光センサを用いるので、被測定システム(映像伝送システム)に対してソフトウエアを組み込んだり、電気的信号を加えたり取り出したりすることなく、被測定システムを実際に使用している状態で、すなわち非侵襲的方法により、映像伝送時間を測定できる。
【0028】
請求項2の発明によれば、前回の残像フレームではなく、更新された最新の画像フレームにおける撮像地刻時タイマの映像によって撮像完了時刻を読み取ることができるので、精度良い映像伝送時間測定ができる。例えば、映像投影装置の画面における左上から描画開始され、右下で描画終了する場合に、点滅マーカの像が右下隅に配置されるようにすればよい。なお、点滅マーカの映像の方が、撮像地刻時タイマの映像よりも先に、映像投影装置によって描画される設定の場合には、受光センサからの出力を遅延させたりすることによって、映像伝送時間測定システムにおける測定タイミングの設定を調整できるので、1フレーム前の撮像地刻時タイマの映像を扱うという事態を回避できる。
【0029】
請求項3の発明によれば、点滅マーカの明暗状態の繰り返し時間間隔が、撮像用ビデオカメラによる撮像周期、すなわち画像フレーム時間よりも長いので、1フレームの中で多くとも1回しか明暗状態の変化がなく、映像投影装置における前画像フレームに対する次画像フレームの上書きによる描き替え完了の検出を有効に行うことができる。なお、1フレームの中で複数回の明暗状態変化が発生すると、いつまでも描き替え完了の検出をできない事態が発生する可能性がある。
【0030】
請求項4の発明によれば、発光源が点灯する一定の単位時間、すなわち刻時の単位時間を短くすることにより、撮像用ビデオカメラのシャッタ開口時間よりも短い時間分解のもとで時間測定が可能であり、映像伝送時間の高精度な測定を実現できる。また、時刻の読み取りは、測定用カメラによって記録した映像に基づいて行うことができ、非侵襲的方法により、被測定システムにおける映像伝送時間を測定できる。また、各刻時タイマに、それぞれ桁上がり時刻を表示する複数個の発光源を備えるので、長時間にわたる時間測定が時刻のあいまいさなく可能となり、また、最少個数の光源によって精度良い刻時タイマを構成できる。例えば、撮像用ビデオカメラや測定用カメラにおける撮像周期を大きく超える時間について、桁上がり時刻表示を用いればよい。なお、両刻時タイマが刻時する単位時間は、通常、両刻時タイマに対して同じ時間長さとするが、必ずしも同じとする必要はない。例えば、一方の単位時間を他方の単位時間の2倍にしてもよい。
【0031】
請求項5の発明によれば、両刻時タイマの刻時時刻を読みとる画像処理手段を備えるので、これにより、測定用カメラの出力映像を実時間画像処理して映像伝送時間の測定結果を容易かつ迅速に得られる。また、測定用カメラによって撮像記録された映像を、画像処理手段によって後処理することもでき、映像伝送時間の測定結果を容易に得られる。
【0032】
請求項6の発明によれば、受光センサの出力に応じて測定用カメラを連動させるので、短時間で確実かつ簡便に映像伝送時間を測定できる。
【0033】
請求項7の発明によれば、受光センサによる状態変化検出用とは別に画像記録用に点滅マーカを用いることができ、受光センサの受光部によって点滅マーカの映像が隠された場合であっても、他の点滅マーカの映像によって、その点滅マーカの状態を把握できる。また、複数の点滅マーカを画面上の映像位置が替わる用に配置することにより、映像伝送時間の画面位置に対する依存性を測定できる。
【0034】
請求項8の発明によれば、画像フレームの描き替え完了が擬似的に点滅マーカの映像で判断され、受光センサからの検出信号に応じて投影地刻時タイマの表示が固定された後、それぞれの表示が固定された状態にある撮像地刻時タイマの表示と投影地刻時タイマの表示とを測定用カメラによって撮像するので、測定用カメラのシャッタ開口時間や撮像タイミングなどに影響されることなく、映像伝送システムにおける映像の撮像完了からその撮像の投影完了までの時間を映像伝送時間として高精度に測定することができる。また、映像を外部から読み取る受光センサを用いるので、被測定システムを実際に使用している状態で非侵襲的方法により、映像伝送時間を測定できる。また、本測定方法によると、単に測定精度を向上させるだけでなく、測定の容易化、簡便性と汎用性の向上、測定時間の短縮、さらにはリアルタイムでの測定などが可能となる。
【0035】
請求項9の発明によれば、請求項8の発明と同様の効果が奏される。また、表示の変更と固定が点滅マーカの映像の明暗状態の変化の検出によって行われるので、一定時間だけ表示を固定する場合と異なり、点滅マーカの点滅時間の設定変更などに応じてその一定時間を設定し直す必要がない。
【0036】
請求項10の発明によれば、前回の残像フレームではなく、更新された最新の画像フレームにおける撮像地刻時タイマの映像によって撮像完了時刻を読み取ることができるので、精度良い映像伝送時間測定ができる。また、1フレーム前の撮像地刻時タイマの映像を扱うという事態を回避できる。
【0037】
請求項11の発明によれば、点滅マーカの明暗状態の繰り返し時間間隔が、撮像用ビデオカメラによる撮像周期、すなわち画像フレーム時間よりも長いので、1フレームの中で多くとも1回しか明暗状態の変化がなく、映像投影装置における前画像フレームに対する次画像フレームの上書きによる描き替え完了の検出を有効に行うことができる。
【0038】
請求項12の発明によれば、測定用に記録すべき映像を飛ばすことなく、より確実に記録できるようになるので、記録データ整理時の煩雑さを避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態に係る映像伝送時間測定システムおよび映像伝送時間測定方法について、図面を参照して説明する。図1は映像伝送時間測定システムのブロック構成を示し、図2は同システムの模式的構成を示し、図3は映像伝送時間測定方法における測定フローを示す。
【0040】
映像伝送時間測定システム1は、図1、図2に示すように、既存の映像伝送システム10(以下、被測定システム10とも称する)に対して電気的信号を加えたり取り出したりすることなく、その被測定システム10の映像伝送時間を測定する。ここで、映像伝送時間は、映像伝送システム10における映像の撮像完了からその撮像した映像の信号を送出、伝送、および受信して映像を投影表示する投影完了までの時間として定義される時間であり、一般に映像伝送時間と呼ばれる時間である。従って、映像伝送時間には、実際の伝送時間の他に、送信側の送信バッファや受信側の受信バッファにおける遅延も含まれる。なお、投影完了(画像フレームの描き替え完了)の検出は、一般にはできないので、映像伝達時間測定システム1では、この完了を検出する替わりに投影画面における特定位置の明暗状態(後述の点滅マーカ像)の変化を検出する。
【0041】
この測定対象である被測定システム10は、撮像地Aに配置された撮像用ビデオカメラ11と、撮像用ビデオカメラ11によって撮像された映像を伝送する映像伝送手段であるネットワーク12と、投影地Bに配置されネットワーク12によって伝送された映像を投影表示する投影装置13とを備えている。
【0042】
映像伝送時間測定システム1は、撮像地Aに配置され明状態と暗状態とを繰り返す点滅マーカ3と、投影地Bに配置され映像投影装置13によって投影表示される点滅マーカ3の映像の明暗状態の変化を検出すると共に検出した旨の検出信号を出力する受光センサ4と、撮像地Aに配置され一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示する撮像地刻時タイマ2と、投影地Bに配置され撮像地刻時タイマ2に同期して刻時を開始し、一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示可能であり、受光センサ4からの検出信号を受信し、その受信の時に刻時時刻の表示を所定時間だけ固定する投影地刻時タイマ5と、投影地Bに配置されて映像投影装置13によって投影表示された映像と投影地刻時タイマ5とを並べて撮像すると共に撮像した映像を記録する測定用カメラ6とを備えている。
【0043】
また、映像伝送時間測定システム1は、さらに、測定用カメラ6によって撮像された測定用映像を表示する測定用表示装置7と、測定用映像を画像処理して映像中の両刻時タイマ2,5の時刻を自動的に読みとる画像処理手段である画像処理装置8と、を備えることができる。
【0044】
図1において、白抜きの矢印は時刻情報が光を介してやり取りされる様子を示し、映像伝送時間測定システム1と被測定システム10とは、光以外について互いに非侵襲の関係にあることを示す。また、図2において、投影装置13には、撮像地刻時タイマ2の映像2aと、点滅マーカ3の映像3aとが表示されている。また、測定用表示装置7には、投影地刻時タイマ5の映像5aと、投影装置13の映像13a、さらに、その映像13aの中に表示された撮像地刻時タイマ2の映像2aと、点滅マーカ3の映像3aと、受光センサ4の映像4aと、が表示されている。
【0045】
映像伝送時間測定システム1は、上述の構成のもとで、擬似的に画像フレームの描き替え完了と見做すことのできる受光センサ4からの検出信号によって投影地刻時タイマ5の表示が固定された後、それぞれ表示が固定された状態にある撮像地刻時タイマ2の表示(映像2a)と投影地刻時タイマ5の表示とを測定用カメラ6によって撮像することにより、測定用カメラ6のシャッタ開口時間や撮像タイミングなどに影響されることなく、映像伝送システム10における映像伝送時間を高精度に測定できる。詳細は後述する(図5乃至図7参照)。
【0046】
受光センサ4は、上述したように、映像投影装置13によって投影表示される点滅マーカ3の映像3aの明暗状態の変化を検出すると共に検出した旨の検出信号を出力する。このような検出信号を出力するために、受光センサ4は、例えば、映像3aの明暗情報を取得し、その情報を電気信号として出力する光電変換機能を有する受光部と、光電変換された電気信号の変化から映像3aの明暗状態の変化を検出してその検出信号を出力する比較部とを備えて構成される。受光部は、例えば、フォトトランジスタを用いることができる。比較部は、例えば、予め条件設定したアナログ電圧の設定スレショルドと受光部からの電圧信号とを比較するコンパレータによって構成することができる。この場合、映像3aの明暗変化があればコンパレータ出力の論理レベルが変わるので、そのエッジ(立上り、または立下り)を検出信号として用いることができる。投影地刻時タイマ5は、そのエッジ(検出信号)によって刻時のデジタル値をラッチすることにより、刻時時刻の表示を所定時間だけ固定することができる。なお、受光センサ4の構成は、このような構成に限らず、映像3aの明暗状態の変化を検出して検出信号を出力できるものであればよい。
【0047】
被測定システム10の撮像用ビデオカメラ11は、固有のシャッタ開閉時間のもとで映像を取得し、その映像信号を出力する処理を、固有の撮像周期で行う。また、ネットワーク12は、撮像用ビデオカメラ11における映像信号出力回路や、同軸ケーブルその他の伝送線路や、投影装置13における映像信号受信回路や投影出力用回路などを含んで構成される。また、投影装置13は、通常の映像表示装置、例えば、CRTや液晶表示装置、ビデオプロジェクタなどであって、投影表示された映像を測定用カメラ6によって撮像できるものであればよい。
【0048】
映像伝送時間測定システム1の測定用カメラ6は、スチルカメラでもビデオカメラでも用いることができる。測定用表示装置7は、測定用カメラ6によって撮像された測定用映像を表示できるものであればよい。例えば、測定用表示装置7として、コンピュータとそのモニタ装置を用いることができる。
【0049】
上述の場合、前記画像処理装置8は、コンピュータに内蔵した画像処理ソフトウエアを用いて構成できる。画像処理装置8によると、両刻時タイマ2,5の刻時時刻を自動的に読みとることにより、測定用カメラ6の出力映像を実時間画像処理して映像伝送時間の測定結果が容易かつ迅速に得られる。また、測定用カメラ6によって撮像記録された映像を、画像処理装置8によって後処理することもでき、映像伝送時間の測定結果を容易に得られる。例えば、後述するような発光源の配列により時刻表示する刻時タイマの場合、点灯状態にある発光源の映像を画像処理により検出することは容易に行うことができ、画像中の点灯状態の発光源の配置から、自動的に時刻を読み取ることができる。なお、刻時タイマ2,5については後述する(図4参照)。
【0050】
(映像伝送時間測定フロー)
次に、測定方法の概要を説明する。映像伝送システム10の映像伝送時間は、上述の映像伝送時間測定システム1、および被測定システム10の装置を用いて、図3に示す4つの工程によって測定される。
【0051】
まず第1の工程では(#1)、撮像地Aに配置され一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示する撮像地刻時タイマ2と、同じく撮像地Aに配置され一定時間毎に明状態と暗状態とを繰り返す点滅マーカ3とを一緒に撮像用ビデオカメラ11によって撮像し、その撮像された映像をネットワーク12によって伝送した後、映像投影装置13によって投影表示する。
【0052】
次の第2の工程では(#2)、第1の工程によって投影表示される点滅マーカ3の映像3aの明暗状態の変化を検出し、その明暗状態の変化が検出された時に、投影地Bに配置され撮像地刻時タイマ2に同期して刻時を開始し、一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示する投影地刻時タイマ5の刻時時刻の表示を所定時間だけ固定する。これにより、投影地刻時タイマ5による刻時が見かけ上停止する。
【0053】
次の第3の工程では(#3)、第1の工程によって投影表示された撮像地刻時タイマ2の映像2aと、第2の工程によって刻時時刻の表示が固定された状態にある投影地刻時タイマ5とを同時に測定用カメラ6によって撮像する。
【0054】
次に、第4の工程において(#4)、第3の工程によって得られた撮像地刻時タイマ2の映像2aおよび投影地刻時タイマ5の映像5aから両刻時タイマ2,5の刻時時刻を読みとり、その読みとり値に基づいて映像伝送システム10の映像伝送時間を決定できる。
【0055】
上述の第1乃至第4の各工程は、ステップ#5によって測定終了が判断されるまで繰り返される。被測定システム10は、通常の使用状態のもとで、撮像地刻時タイマ2の映像を伝送し続け、測定用カメラ6は、両刻時タイマ2,5の映像を撮像して記録し続ける。測定用カメラ6によって測定用映像として撮像された両刻時タイマ2,5の映像2a,5aには、それぞれの撮像周期のもとで、撮像用ビデオカメラ11と測定用カメラ6とによって撮像された時刻が記録されている。
【0056】
上述の工程によると、例えば、被測定システム10における映像伝送時間が、そのシステムの特性によってその運用中に変動する場合には、測定を繰り返してその変動を把握することができる。また、映像伝送時間が安定して変動しない被測定システム10の場合は、比較的少ない回数の繰り返し測定によって、映像伝送時間を精度良く決定できる。
【0057】
(刻時タイマ)
次に、図4を参照して、刻時タイマ2,5について説明する。撮像地刻時タイマ2、および投影地刻時タイマ5は、時刻を一意的に表示するように一定の単位時間(ΔTで表す)経過とともに順番に点灯して消灯する複数個の発光源Lを配列して構成される。また、投影地Bに配置される刻時タイマ5は、継続される刻時とは独立に時刻表示を固定したり、現在時刻の表示に復帰する機能を備える。
【0058】
なお、発光源Lの配置は、各々の発光源Lが示す時刻を特定して識別できるような配置であればよい。また、刻時タイマの時刻表示器として、7セグメント数字表示などを援用することもできる。
【0059】
図4に示すタイマの例では、発光源Lは、十進数を構成するため横方向jに10個一組とし、縦方向iに時間測定に必要な個数を備えて、格子状に2次元配列して、下位桁表示部と上位桁表示部とを構成している。下位桁表示部は、横方向にj=0〜9、縦方向にi=0〜9の100個の発光源を等間隔に格子状に配列して成り、表示時間tは、t=0〜99ΔTである。上位桁表示部は、10個の発光源を配列したA列、B列、C列から成り、それぞれ100ΔT、1,000ΔT、10,000ΔTの位を表示する。従って、図4に示す刻時タイマは、t=0〜99,999ΔTの時刻を表示することができる。図4の例では、図中黒丸が点灯状態を示し、時刻62,749ΔTが表示されている。
【0060】
発光源Lとして、発光ダイオードを用いると、点滅切替速度が発熱ランプなどと比べて高速であり、高精度時間計測に好適である。各発光源Lは、1つの発光源Lの消灯と他の1つの発光源Lの点灯とを同時に行うように動作される。つまり、位取りは別として単位時間ΔTの間、1個の発光源が点灯していることになる。
【0061】
また、撮像地刻時タイマ2は、撮像地Aに配置され、投影地刻時タイマ5は、投影地Bに配置され、これらは互いに同期して刻時するように調整される。これらの刻時タイマ2,5は、時刻を一意的に表示するように刻時を開始し、一定の単位時間ΔTの経過とともに順番に点灯して消灯する。そこで、撮像用ビデオカメラ11と測定用カメラ6とによって撮像された映像から、それぞれの刻時時刻を一意的に読みとることができる。
【0062】
ただし、撮像用ビデオカメラ11による映像については、シャッタの開口時間を考慮する必要がある。つまり、単位時間ΔTを短くした場合に、シャッタの開口時間中に刻時が変化して、多数の発光源Lが連続して点灯した状態の映像が撮像される。
【0063】
逆に、このような映像からシャッタ開口時刻を知ることができる。なお、撮像された映像中において、100個の発光源Lの内の少なくとも1個が消灯状態でなければシャッタ開口時刻と閉口時刻を分離できないので、知ることのできるシャッタ開口時間の最長は99ΔTである。しかし、その発光源Lの直前や直後の点灯中にシャッタの開閉がある可能性があるので、確実に知ることのできるシャッタ開口時間の最長は97ΔTである。
【0064】
上述のように、一定の単位時間経過とともに順番に点灯して消灯する複数個の発光源Lを配列して構成されると共に、桁上がり時刻を表示する複数個の発光源Lを備えている撮像地刻時タイマ2と投影地刻時タイマ5とによれば、発光源が点灯する一定の単位時間、すなわち刻時の単位時間を短くすることにより、撮像用ビデオカメラ11のシャッタ開口時間よりも短い時間分解能のもとで時間測定が可能であり、映像伝送時間の高精度な測定を実現できる。
【0065】
また、時刻の読みとりは、測定用カメラ6によって記録した映像に基づいて行うことができ、非侵襲的方法により、被測定システム10における映像伝送時間を測定できる。なお、両刻時タイマ2,5が刻時する単位時間ΔTは、通常、両刻時タイマに対して同じ時間長さとするが、必ずしも同じとする必要はない。例えば、一方の単位時間を他方の単位時間の2倍にしてもよい。また、両刻時タイマを同期動作をさせるには、刻時開始時に両刻時タイマを回路的に接続して同期させ、刻時を始めたら分離して、それぞれ撮像地Aと投影地Bに移設すればよい。
【0066】
また、各刻時タイマに、それぞれ桁上がり時刻を表示する複数個の発光源を備えるので、長時間にわたる時間測定が時刻のあいまいさなく可能となり、また、最少個数の光源によって精度良い刻時タイマ2,5を構成できる。例えば、撮像用ビデオカメラ11や測定用カメラ6における撮像周期を大きく超える時間について桁上がりによる時刻表示を併用すればよい。
【0067】
(映像伝送時間の測定原理)
次に、上述の図1乃至図4に加え、図5、図6を参照して、映像伝送時間測定システム1による映像伝送時間の測定原理とその詳細を時間軸に沿って説明する。図5、図6は同システムおよび測定方法における映像伝送時間測定の原理を時間軸に沿って示している。
【0068】
なお、以下では、各機器の動作の相互関係を各機器に関する信号に関連づけて説明するため、撮像用ビデオカメラ11をCM1、測定用カメラ6をCM2、投影装置13をDSP、撮像地刻時タイマ2をT1、点滅マーカ3をMK、投影地刻時タイマ5をT2、受光センサ4をSENによって表す。すなわち、これらの符号は、時間変化する信号に注目してつけられた符号である。
【0069】
図5において、横軸は両刻時タイマT1,T2に共通に経過する時間tを示し、縦軸は各刻時タイマT1,T2の表示値を示す。ところで、前述の図3に示した第1の工程(#1)中の撮像(#11)は、撮像地刻時タイマT1の表示を映像として固定することに対応する。そこで、撮像完了(#11)によって、時刻τ1が映像中に固定され、その映像が伝送され(#12)、その後、投影開始されて投影装置DSPの表示画面上に新たな画面として描き替えられて投影表示される(#13)。
【0070】
上述の投影装置DSPにおける画面において、描き替えの前後に点滅マーカMKの映像3aの明暗の変化があった場合に、図5に示すように、受光センサSENからの信号によって、撮像地刻時タイマT1の表示がその時の時刻τ2に固定される(#2)。
【0071】
上述の測定用カメラCM2によって撮像された画像フレームが、時刻τ1,τ2を読み取るための画像かどうかは、その画像フレームと直前の画像フレームとにおける点滅マーカMKの映像3aの状態変化を見て判断できる。
【0072】
上述の固定された時刻τ1,τ2が、測定用カメラCM2によって撮像され(#3)、その時刻τ1,τ2を読み取ることにより、映像伝送時間(以下tdと表す)が、td=τ1−τ2、として求められる。
【0073】
図6には、撮像地Aにおける撮像用ビデオカメラCM1の撮像周期Taと、投影地Bにおける投影装置DSPの投影周期Tbと、測定用カメラCM2による記録周期Tcとの3つの周期に注目して、各機器における状態変化が、時間的により詳細に示されている。これらの周期Ta,Tb,Tcは、動画像を撮像したり投影表示したりする場合の、各画像当たりの表示時間、いわゆるフレーム時間であり、単位時間当たりの画像数(フレーム数)の逆数である。
【0074】
上述の各周期は、一般に、互いに異なる場合が想定される。その周期の異同は、映像伝送時間tdを多数回測定した場合の測定値に反映され、その異同に応じた特有の周期的変動が測定される。このことについては、後述する(図9乃至図12参照)。
【0075】
図6には、点滅マーカMKの状態が、暗状態mk1から、明状態mk2に変化する前後において撮像用ビデオカメラCM1によって撮像される様子が示されている。明状態mk2において最初の画像フレームが撮像された時刻が、時刻τ1である。より厳密に定義すると、撮像完了時刻、すなわち撮像用ビデオカメラCM1のシャッタが閉じた時刻、すなわち閉口時刻が時刻τ1である。
【0076】
映像投影装置DSPにおける投影周期Tbの始めの区間taでは、画面の描き替えが行われている。図6の例では、区間taにおいて、撮像地刻時タイマT1の映像2aが描かれた後に、点滅マーカMKの映像3aが描かれ、その後、描き替えが終了し、1つの画像フレーム時間が終了している。
【0077】
そこで、点滅マーカMKの映像3aの明暗変化を検出することにより、周期的に切り替わる画像フレームの切り替わりを擬似的に検出することが可能であることが分かる。この場合、明暗変化の検出時刻は、点滅マーカMKの映像3aが画面のどこにあるかによって左右される。映像3aの明暗変化が受光センサSENによって検出されると、上述したように、その検出信号によって投影地刻時タイマT2の表示を時刻τ2の表示に固定し(#2)、測定用カメラCM2によって時刻τ1,τ2の表示を記録して(#3)、時刻τ1,τ2を読み取ることにより(#4)、映像伝送時間tdを決定できる。映像3aの描画完了時が、時刻τ2とされている。この時刻τ2は、受光センサSENまたは投影地刻時タイマT2の回路調整によって、所定時間遅延させるような設定が可能である。
【0078】
上述のことから、映像伝送時間測定システム1において、撮像用ビデオカメラCM1によって撮像される点滅マーカMKと撮像地刻時タイマT1の映像のうち、点滅マーカMKの映像3aの方が、撮像地刻時タイマT1の映像2aよりも時間的に後に、映像投影装置DSPによって描画されるように投影表示される構成が、より好適と言える。
【0079】
上述の構成によれば、更新された最新の画像フレームにおける撮像地刻時タイマT1の映像2aによって撮像完了時刻τ1を読み取ることができるので、精度良く映像伝送時間tdを測定できる。例えば、映像投影装置DSPの画面における左上から描画開始され、右下で描画終了する場合に、点滅マーカMKの像が画面の右下方向に配置されるようにすればよい。
【0080】
ところで、点滅マーカMKの映像3aの方が、撮像地刻時タイマT1の映像2aよりも先に、映像投影装置DSPによって描画される設定の場合には、映像2aの描画が終わるまで受光センサSENからの出力を遅延させたりすることによって、映像伝送時間測定システム1における測定タイミングの設定を調整できる。この場合、1フレーム前の撮像地刻時タイマの映像を扱うという事態を回避できる。
【0081】
また、映像伝送時間測定システム1において、点滅マーカMKの明状態mk2と暗状態mk1とを繰り返す時間間隔(以下、点滅周期Tkとする)を、撮像用ビデオカメラCM1の撮像周期Taよりも長くする、すなわち、Ta<Tkとする方が好適である。
【0082】
これは、点滅マーカMKの明暗状態の繰り返しの点滅周期Tkが、撮像用ビデオカメラCM1による撮像周期Ta、すなわち画像フレーム時間よりも長いので、1フレームの中で多くとも1回の明暗状態変化とすることができ、映像投影装置DSPにおける前画像フレームに対する次画像フレームの上書きによる点滅マーカMKの映像3aの描き替え完了の検出を正しく行うことができるからである。なお、1フレームの中で複数回の明暗状態変化が発生すると、ストロボ効果により、いつまでも描き替え完了の検出をできないような事態が発生する可能性がある。
【0083】
また、映像伝送時間測定システム1において、受光センサSENからの検出信号を受信することにより、映像投影装置DSPに投影表示された撮像地刻時タイマT1の映像2aと、受光センサSENからの出力によって刻時時刻の表示が固定された状態にある投影地刻時タイマT2とを撮像するように測定用カメラCM2を制御する測定用カメラ制御装置(不図示)を備えることができる。
【0084】
上述の測定用カメラ制御装置を備えることにより、映像伝送時間測定システム1は、受光センサSENの出力によって測定用カメラCM2を連動させることができ、短時間で確実かつ簡便に映像伝送時間tdを測定できる。また、この連動した撮像に際して、その撮像画像を識別するデータをその画像に付加することもできる。これによれば、後に行うデータ処理に有用である。
【0085】
上述のように、時刻読み取り用の画像が時刻表示を停止した状態で記録されるので、映像伝送時間測定システム1は、測定用カメラCM2による記録タイミングの遅れや、シャッタ開口時間中の時間経過に影響されることなく、映像伝送システム10における映像伝送時間tdを高精度に測定できる。また、画像フレームの描き替え完了と見做せる状態、または、その完了直前の状態を検出できるので、実時間映像送出側の撮像用ビデオカメラCM1のフレーム時間と受信側の映像投影装置DSPのフレーム時間とが異なる場合であっても、映像伝送システム10における注目フレームに関する伝送時間を測定することができる。
【0086】
映像伝送時間測定システム1は、上述のように、種々の被測定システム10に対して対応可能であり、汎用性のある測定ができる。また、測定用カメラCM2による1回の撮像により映像伝送時間tdを測定できるので、短時間の測定が可能であり、リアルタイムで映像伝送時間tdを測定可能である。また、受光センサSENの出力によって測定用カメラCM2を連動させることにより、より確実かつ簡便に映像伝送時間を測定できる。また、映像を外部から読み取る受光センサSENを用いるので、被測定システム(映像伝送システム)10に対してソフトウエアを組み込んだり、電気的信号を加えたり取り出したりすることなく、被測定システムを実際に使用している状態で、すなわち非侵襲的方法により、映像伝送時間tdを測定できる。
【0087】
(投影地刻時タイマの表示固定)
次に、図7(a)(b)を参照して、投影地刻時タイマT2における表示固定の方法を説明する。図7(a)は、時間tの経過とともに刻時時刻の表示を所定時間dだけ一時的に固定する様子を示す。この場合、表示の固定は、図中に示した時刻t1,t2,t3のように、受光センサ4からの検出信号を受信した時に行われる。
【0088】
また、図7(b)は、刻時時刻の表示が階段状に更新され、表示が更新されるまではその表示が固定される様子を示す。この場合、図中に示した時刻t1,t2,t3のように、受光センサ4からの検出信号を受信した時に、刻時時刻の表示が更新される。
【0089】
映像伝送時間測定システム1においては、上述のいずれの表示固定方式の投影地刻時タイマT2でも用いることができる。
【0090】
(映像伝送時間の連続測定の概要)
次に、図8の測定フローを参照して、映像伝送時間の連続測定における測定用映像の連続記録について説明する。以下では、測定用カメラ6としてビデオカメラを用いるものとし、その撮像周期のもとで撮像して映像を記録する。従って、測定用カメラ6による記録周期Tcは、測定用ビデオカメラの撮像周期となる。なお、図8の測定フローには特徴的な面のみが時系列的に記載されているが、実際は、複数の処理が同時並行的に行われる。
【0091】
すなわち、図8の測定フローにおいて、ステップS1〜S4,S8は、それぞれ独自の動作周期または同じ動作周期のもとで直列的にまたは同時並行的に行われ、測定が終了(S9でNo)するまで、繰り返される。ステップS5は、測定中に常時実行され、ステップS7は、点滅マーカ3の状態変化が検出されたときのみ(S6でYes)実行される。
【0092】
さらに述べると、点滅マーカ3は独自の点滅周期Tkで明暗変化を継続し(S1)、撮像用ビデオカメラ11は独自の撮像周期Taで撮像地刻時タイマ2と点滅マーカ3の撮像を継続し(S2)、撮像された映像は画像フレーム単位で映像伝送され(S3)、映像投影装置13は、やはり独自の投影周期Tbで画像フレームの描き替えを継続して行う(S4)。
【0093】
受光センサ4によって映像3aの明暗状態の変化が検出されると(S6でYes)、投影地刻時タイマ5は、例えば前述の図7(a)のように、その時刻の表示を一時的にまたは次の更新時まで固定する(S7)。
【0094】
上述の測定フローの終了後に、測定用カメラ6によって記録された多数の画像フレームにおける撮像地刻時タイマ2の映像2aと刻時表示の固定された投影地刻時タイマ5の映像5aとから時刻を読み取って、種々の状態における映像伝送時間tdを時系列的に求めることができる。この読み取りを、前述の画像処理装置8によって行うようにすれば、後処理ではなく、記録中の実時間に刻々変化する映像伝送時間tdを求めることができる。
【0095】
(被測定システムの特性の考慮)
ここで、映像をパケット伝送する場合について説明する。撮像地刻時タイマ2と点滅マーカ3の映像は、被測定システム10の撮像用ビデオカメラ11によって、画像フレーム毎に撮像されて伝送される。各画像フレームは、一般に複数のパケットに分割されて伝送され、受信側において受信された複数のパケットから画像フレームが再構成される。映像投影装置13の画面上には主として画像フレーム単位で投影される。
【0096】
被測定システム10の撮像用ビデオカメラ11は、シャッタを閉じた後、映像データに何らかの処理を加えてデータを送出する。送出側での処理時間はすべて送信バッファにおける遅延とされる。この遅延は多くのシステムでは一定であるが、伝送路がLANの場合には、ジッタを持つことがある。また、映像投影装置13は、受信バッファを備え、伝送における遅延時間のジッタを吸収したり、パケット損失に対処したりしてデータを再構成する。映像投影装置13における画面への描画は、このバッファのデータに何らかの処理をして行われる。そこで、映像データ受信から描画までの処理時間はすべて受信バッファにおける遅延として映像伝送時間に含めるものとする。
【0097】
なお、伝送や映像投影がインターレース方式の場合は、画像フィールドを対象として時間関係を定義するものとする。インターレース方式では、偶数フィールドの描画時にマーカ像の状態変化を検出できずに奇数フィールドのそれまで遅れると、撮像周期の半分だけ遅延時間が大きくなった値が得られることになる。従って、測定条件を一定とするために受光センサの感度と開口面に注意が必要がある。
【0098】
一般にパケット伝送を利用する映像伝送システムでは、パケットの伝送時間のジッタや、送信側と受信側(投影側)におけるフレーム時間の差、すなわち1秒間に表示する複数の画像フレームの各フレームに割り当てられる時間の差を、受信バッファによって吸収するようにされている。映像伝送システム10において送受信間にフレーム時間の差がある場合には、画像フレームを飛ばすコマ落ちや、同一画像フレームを続ける二重投影などが行われる。また、伝送中にパケット損失が発生すると、同一の画像フレームを続けて投影するか(フレーム単位での描き替え一時停止、画面はフリーズ状態になる)、または、該当するパケットのペイロードになっていたブロック部分のみを続けて投影する(フレーム中の該当部分のブロックのみ描き替え停止、画面の一部がモザイク状になる)。
【0099】
同期信号を伝送しないシステムや、伝送路あるいは受信バッファでフレーム変換を行うシステムでは、撮像用ビデオカメラと提示装置のそれぞれのフレーム周期が独立となるので、知りたい映像伝送時間は連続するフレーム毎に異なることになる。そこで、測定用カメラ6として、ビデオカメラを用いると共に、点滅マーカ3の点滅周期や、各機器の動作周期を考慮して連続的に記録と測定を行う必要がある。
【0100】
また、特性の異なる被測定システムの相互の比較を行う場合などには、被測定システムの違いによる映像伝送時間の差異を考察できるように、例えば、点滅マーカ3の映像3aが映像投影装置13の画面中央となるようにするなどのように条件を共通化する配慮が必要である。
【0101】
(映像伝送時間の連続測定)
次に、映像伝送時間tdを多数回測定した場合の測定値について説明する。映像伝送時間tdを連続して測定する場合、その測定結果は、各機器における動作周期、すなわち、撮像用ビデオカメラCM1の撮像周期Ta、投影装置DSPの投影周期Tb、測定用カメラCM2による記録周期Tc、または、点滅マーカMkの点滅周期Tkなどの、相互の長短などの異同による影響が反映された特有の周期的変動を有するものとなる。
【0102】
以下では、映像伝送時間tdを測定する対象である映像伝送システム10をモデル化して扱うこととし、時刻や時間の変数を、両刻時タイマT1,T2が刻時する単位時間ΔTが互いに等しいとしたときの単位時間ΔTによって正規化し量子化しておく。なお、正規化とは、正規形(比較・演算などの操作のために望ましい性質を持った一定の形のこと)でないものを正規形に変形することをいい、量子化とは、情報理論において、アナログデータ(連続量)をデジタルデータなどの離散的な値で近似的に表すことをいう(物理学における量子化とは異なる)。
【0103】
具体的には、各時間変数を単位時間ΔTによって割り算すると共に、四捨五入して整数化し(量子化)、同じ変数名で呼ぶことにする。なお、下記の関数f[*]は、変数*の四捨五入演算(丸め演算)結果を返す関数である。また、以下では、測定用カメラCM2は、ビデオカメラを用いるものとする。従って、測定用カメラCM2の記録周期Tcは、そのフレーム時間となる。
Ma=f[Ta/ΔT]:撮像用ビデオカメラCM1の撮像周期(フレーム時間)、
Mb=f[Tb/ΔT]:映像投影装置DSPの投影周期(フレーム時間)、
Mc=f[Tc/ΔT]:測定用カメラCM2による記録周期(フレーム時間)、
Mk=f[Tk/ΔT]:点滅マーカMKの点滅周期、
Xd=f[td/ΔT]:映像伝送時間、
χ=f[t/ΔT]:時間(正規化時間)。
【0104】
前述したように、映像伝送時間tdを連続して測定する場合、その測定結果は、各機器における動作周期の相互の長短などの異同による影響が反映された特有の挙動を示す。そこで、以下のような場合分けに基づいて説明する。なお、撮像用ビデオカメラCM1が、撮像したフレームを規則的に間引いて送出している場合は、撮像周期Maは、送出間隔に置き換えるものとする。
(1)Ma=Mb>Mc、
(2)Ma=Mb>Mc、パケット損失あり、
(3)Ma=Mb<Mc、
(4)Ma=Mb=Mc、
(5)Ma<Mb、
(6)Ma>Mb。
【0105】
(Ma=Mb>Mcの場合)
撮像周期Maと投影周期Mbとが等しい場合、映像伝送時間Xdは、点滅マーカMKの状態が変化した後の映像のフレームから時刻(図6におけるτ1,τ2)を読み取って得られ、このような映像伝送時間Xdの測定値は、測定を複数回行っても量子化誤差の範囲内で一定となる。
【0106】
(Ma=Mb>Mc、パケット損失がある場合)
また、ネットワーク12が、パケット通信によって伝送するものの場合、伝送時になんらかの原因でパケット損失が発生すると、映像投影装置DSPにおいてフレームが更新されない状態が発生しうる。この場合、上記同様に、測定用カメラCM2の映像を読み取ることにより同様に映像伝送時間Xdを求めることができる。
【0107】
上述の状況をさらに説明する。注目している画像フレーム、すなわち、点滅マーカMKの点滅状態が変化した後の、最初(1番目)の画像フレームがパケット損失によって投影されなかった場合、投影装置DSPの画面には、画面の更新が行われなかった結果、点滅マーカMKの点滅状態がまだ変化していない状態の画面のままである。そして、損失したフレームの次のフレーム、つまり、点滅マーカMKの点滅状態が変化した後の2番目の画像フレームが投影され、前々回のフレームにおける点滅マーカMKの画像3aからの点滅状態の変化が受光センサSENにより検出され、映像伝送時間Xdが求められることになる。
【0108】
(Ma=Mb<Mcの場合)
記録周期Mcが投影周期Mbよりも大きい場合には、測定用カメラCM2が投影地刻時タイマT2の表示固定後に投影画像を撮影できずに次のフレーム描き替え後に撮影することが生じうる。すると、刻時タイマT1の表示値はMaだけ大きく、両刻時タイマの表示値から映像伝送時間Xdを求めた際にXdの真値よりも小さくなり、Xdの真値がMaよりも大ならば求めた値が負となることもある。
【0109】
上述の現象を観測するには、撮像周期Maの数倍程度に点滅周期Mkを十分に長くした上で、点滅マーカの複数回の状態変化にわたって映像伝送時間Xdを求めなければならない。この結果得られた複数の映像伝送時間Xdの中に、この現象に起因するものがあれば、前述のMa=MbからXdが量子化誤差範囲内で一定のはずであり、容易に見分けられるので、それらは測定値として採用しないようにできる。なお、記録データ整理時の煩雑さを避ける上でも、記録周期Mcは投影周期Mbよりも小さくすることが望ましい。
【0110】
(Ma=Mb=Mcの場合)
ところで、投影周期Mbと記録周期Mcとが等しい場合、つまり、Ma=Mb=Mcの場合、投影地刻時タイマT2の表示の固定時刻と記録時刻とが偶然同じになると、常に変わり目に記録されるので、映像からの値の読取りが不明瞭となる。このような場合には、測定用カメラCM2を再起動することにより記録時刻のタイミングをずらすことによって対処できる。
【0111】
(Ma<Mbの場合)
以下では、図9、図10を参照して説明する。これらの図は、横軸に正規化時間χをとって、縦軸に示す映像伝送時間Xdの時間変化を示す。図中の黒点は、点滅マーカMKの映像が状態変化する可能性のあるタイミングを示す。従って、黒点の横軸方向における間隔は、投影周期Mbの間隔である。なお、縦軸は横軸に対して拡大表示されている。
【0112】
撮像周期Maが投影周期Mbよりも小さい場合には、図9に示すように、映像伝送時間Xdが右上がりの鋸歯状の時間変化をする。これは、Ma<Mb、という条件のもとにおいて、フレームを送る毎に遅延が増加し、その増加の積算値が撮像周期Maを超えて未投影のフレームが1枚発生すると、図9における期間gにおいて、受信バッファ中の1フレーム分が破棄され、積算遅延がゼロまたはゼロ近くに戻されるという状況を反映している。
【0113】
つまり、撮像用ビデオカメラCM1の撮像周期Ma毎に、ΔM=Mb−Maだけ映像伝送時間Xdが増加する。このように遅延が増加するので、映像伝送時間Xdは、フレームの伝送毎に直線的に増加し、受信バッファ中の1フレーム分が破棄されることにより、図9に示すように、振幅がMaの鋸歯状特性が現れる。
【0114】
ところで、図9は、撮像周期MaがΔM=Mb−Maによって割り切れない場合、つまり、Ma/ΔMが整数とならない場合を示している。ここで、この除算Ma/ΔMの余りをRXdとする。鋸歯状の時間変化をする映像伝送時間Xdが複数回の鋸歯状変化をした後に同じ状態に戻るとき、その1周期の測定結果を得るには、少なくともMaとRXdの最小公倍数の枚数だけの測定をする必要がある。
【0115】
図9において、隣り合う鋸歯パターンにおける対応する状態変化発生可能点(すなわち黒点)のχ軸方向の差分αと、Xd軸方向の差分βは、近似的にそれぞれ、α=N・Mb(Nは整数)、β=RXdと表される。
【0116】
上述のRXdがゼロの場合は、β=0となり、図10に示すようになる。この図に示すように、RXdがゼロであると、得られた映像伝送時間Xdの最大値あるいは最小値は、ΔMに等しい大きさの誤差を有することになる。
【0117】
また、Ma<Mbの場合において、パケット損失が発生した場合や、測定用カメラCM2の記録周期Mcと映像投影装置DSPの投影周期Mbの大小関係の影響などについては、それぞれ、上述の(Ma=Mb>Mc、パケット損失がある場合)や、(Ma=Mb=Mcの場合)などと同様に考えて処理することができる。
【0118】
(Ma>Mbの場合)
撮像周期Maが投影周期Mbよりも大きい場合には、上述の図9、図10において、χ軸を時間反転した図(左右反転した図)となる。これは、ΔM=Mb−Maが負、すなわち、ΔM<0、となり、撮像周期Ma毎に、−ΔMだけ映像伝送時間Xdが減少するからである。他の時間関係に対する取扱いは、上述のMa<Mbの場合と同様に行える。
【0119】
(点滅マーカの点滅周期Mk)
次に、図11を参照して、点滅マーカMKの点滅周期Mkの影響を説明する。図11は、前述の図9、図10と同様に正規化時間χに対する映像伝送時間Xdの時間変化を示す。
【0120】
(Ma<Mb<Mkの場合)
点滅周期Mkが投影周期Mbより大きい場合、点滅マーカMKの映像3aの描き替え毎(受信フレーム毎)には、点滅マーカMKの状態変化は発生せず、状態変化の見られるフレームは、図11に、符号q1などで示すように、飛びとびとなる。なお、図11において、点滅マーカMKの状態変化点が符号p1等で示されており、その各符号p1等に対応する測定可能点が各符号q1等によって示されている。また、図11中に、投影装置DSPの投影周期と測定用カメラCM2の撮像周期の差などによる撮像遅れDtが示されている。
【0121】
ところで、図11は、点滅周期Mkが投影周期Mbによって割り切れない場合、つまり、Mk/Mbが整数とならない場合を示している。この除算Mk/Mbの余りをRMkとすると、RMkとMkの最小公倍数に等しい数の複数の鋸歯状パターンを周期として、状態変化の投影画面への反映タイミングが変化して行く。
【0122】
従って、鋸歯状特性の1周期を得るための記録フレーム数(測定用カメラCM2によって一定周期で記録される画像フレーム数)に、この周期数を併せて考えると、映像伝送時間Xdの特性を知るには、RXdとMaとの最小公倍数と、RMkとMkとの最小公倍数と、の積の数枚の投影フレームの記録が必要であることが分かる。
【0123】
測定用カメラCM2による撮影時間、すなわち、測定に必要な最短時間は、上述の議論から決定される。また、余りRMkがゼロならば、RXdとMaとの最小公倍数と、Mkとの積の数枚の投影フレームの記録が必要となる。
【0124】
また、鋸歯状特性の振幅はMaであるから、点滅周期Mk毎に得られる映像伝送時間Xdをプロットすると、その値の変化範囲は当然、撮像周期Ma以下である。
【0125】
ところで、撮像周期Maは、投影像中の被写体である撮像地刻時タイマT1の値を、各フレームについて追って行くことにより容易に知ることができる。また、測定に要する時間を見積もるためには、投影周期Mbも知る必要がある。この場合、投影地刻時タイマT2の表示固定が、Nを自然数としたとき、投影周期MbのN倍、または(N+1)倍が略点滅周期Mkとなる、つまり、Mk=N・Mb、または、Mk=(N+1)・Mbとなるように繰り返されることが判るので(図11参照)、この関係をもとにして投影周期Mbを容易に知ることができる。
【0126】
(点滅周期Mkを大きくする効果)
ここで単位時間ΔTで各値を正規化する前に戻り、記録された映像データから得られるデータの傾向を考察する。点滅マーカMKの状態変化毎に、(Tb−Ta)に、(Tk/Tb)を乗じた時間だけ映像伝送時間tdが長くなる。そこで、状態変化を追いながらデータを処理して行くことは、等価的には、単位時間ΔTを(ΔT・Tb/Tk)として各値を正規化することになる。
【0127】
これは、四捨五入丸め演算f[*]をより下位の桁で行うことに等しく、MbとMaとが等しいことや、RXdがゼロであることが生じにくくなる。これは、単位時間ΔTをゼロに近づけた(ΔT→0)極限である連続時間について考えれば容易に理解できる。従って、点滅周期Tkを大きくとって測定すると、図10、図11に示されるような関係にならずに、時間経過と共に映像伝送時間tdが変化する測定結果が得やすくなるという効果が奏される。
【0128】
(画像表示方式と点滅マーカ)
ラスタスキャン方式の映像投影装置では、画面内における点滅マーカMKの映像3aの位置によって異なる映像伝送時間tdが得られる。従って、映像伝送システム10の方式の違いによる映像伝送時間tdの比較を行うような場合には、比較基準を一定にするため、点滅マーカMKの投影映像内位置などを同じ条件にする必要がある。例えば、投影像の中心位置の描き替え時刻をもって映像伝送時間tdを定義するならば、この位置に点滅マーカMKの映像3aが存在するように撮像地Aにおける点滅マーカ配置を決めるか、被測定システム10の撮像用ビデオカメラCM1の視野を調整するかしなければならない。
【0129】
また、投影地B側では、測定用カメラCM2で記録撮影する前に受光センサSENの位置と点滅マーカMKの映像3aの位置とを一致させる準備作業をしなければならない。また、光量に応じた受光センサSENのスレショルド調整なども必要である。
【0130】
上述の点滅マーカMKとして、より小さな発光源を採用すると、より精度の良い測定結果を得ることができる。また、点滅マーカMKの周囲にある光源の影響を避けるようにすることが望ましい。例えば、投影地側において、受光センサSENによって点滅マーカMKの点滅のみを確実に捉えるために、点滅マーカMKの映像3aの大きさに比べて受光センサSENの受光面を小さくすることが望ましい。
【0131】
また、映像投影装置DSPがインターレーススキャン方式である場合には、点滅マーカMKの状態変化を受光センサSENが検出する時刻に、2ラスタ分の量子化誤差が存在する。プログレッシブ方式の場合は、1ラスタ分の量子化誤差が存在する。このように、例えば、NTSCの場合、1ラスタ時間は63.5μsであり、ΔTを100μsにすると、この量子化誤差が測定値に明確に観測されるはずであることに留意が必要である。
【0132】
(実施例)
つぎに、具体的な実施例を説明する。図12は測定用カメラによって撮像された記録画像フレームの1枚を示し、図13は測定を実施している様子を示す。図12において、映像投影装置13の映像13aの中に表示された撮像地刻時タイマ2の映像2aと、投影地刻時タイマ5の映像5aと、受光センサ4の映像4aとが、記録されている。点滅マーカ3の映像3aは、受光センサの映像4aに隠されている。また、受光センサからの信号配線の映像4bが記録されている。
【0133】
本実施例では、撮像地刻時タイマ2と、投影地刻時タイマ5とは、同等構成の刻時タイマが用いられている。各刻時タイマには、点滅して刻時する発光源の他に、画像検出や視認性容易化のための位置決め発光源、点滅マーカ3、さらに、7セグメント数字表示器などが、組み込まれている。以下に、他の構成や条件設定を含めて、詳細説明する。
【0134】
各刻時タイマは、刻時させながら地理的に離れた場所に移して設置するので、電源として電池を用い、回路構成には、CMOS素子を用いて電力消費を押さえている。単位時間ΔTだけ確実に点灯させて刻時する数字相当の発光源は、直径が5mmの赤色LEDを用いている。発光源の配置は横長として、7桁分の表示を可能としている。また、読取り補助のために各桁に7セグメント数字表示器を併置している。
【0135】
時間基準として12.8MHzの温度補償型水晶発振器を採用し、発振周期を調整して刻時を一致させている。刻時の単位時間ΔTは、0.1msから9.9msまで0.1ms刻みで設定可能である。また、記録画像フレームにおける撮影時刻を読み取る際にガイドとして用いるため、連続点灯させる直径が3mmの緑色LEDを備えている。各刻時タイマの時刻の桁あふれは、最短時間1,000s、最長時間99,000sで生じる構成となっている。両刻時タイマの誤差は、単位時間ΔT=0.1ms、温度26℃の約60分の同温放置後において、表示が3の誤差であった。
【0136】
点滅マーカ3の点滅周期Mkは、10ΔT、100ΔT、1,000ΔT、10,000ΔTに設定可能とし、点灯時間は点滅周期Mkの5分の1、Mk/5の時間としている。受光センサ4の受光部は、フォトトランジスタを用いており、その出力遅れは0.08ms(カタログ値)である。
【0137】
測定に際して誤操作を避けるため、刻時開始スイッチは撮像地刻時タイマ2のみに設けた。また、このスイッチは、両刻時タイマの同期用回路を切離した後に不用意に再投入することのないように錠付きスイッチとした。
【0138】
図13の記録画像は、撮像用ビデオカメラ11からのNTSC−TVフレームの画像を、CRTタイプの映像投影装置13に投影表示したものの画像である。CRTでは蛍光体の残光特性があるので、測定用カメラのシャッタ開口時間内にタイマ像が描画されると明瞭な像が記録できる。しかしながら、映像伝送時間を測ることができるが、長いシャッタ開口が必要であり、測定用カメラのシャッタ開口中にマーカ像の状態変化が発生し、前後のタイマ表示値が同じフレームに重なって記録されることがあり、注意を要する。この点、液晶ディスプレイでは、残光によらずに、画像が保持されているので、記録用カメラのシャッタ開口時間を短くして対処でき、CRTよりも明瞭な記録画像が得られ、読取りが容易になる。ただし、液晶ディスプレイでは描画時間(液晶の状態変化時間)が10ms前後であるので、記録用カメラのシャッタ時間が短くても残像が明瞭に記録される点に注意が必要である。
【0139】
次に、上述の構成を備えた映像伝送時間測定システム1のもとで測定した例を、図14の測定結果を参照して説明する。この測定例における被測定システム10の構成は、撮像用ビデオカメラCM1がNTSCビデオカメラであり、ネットワーク12がLinux2.4.18上のRealSystem8.5を等価的に扱ったものであり、映像投影装置DSPが液晶ディスプレイである。映像伝送時間測定システム1の構成は、両刻時タイマT1,T2の単位時間ΔTが0.1ms、点滅マーカMKは光電素子(LED)から成り、その点滅周期Tkが0.1sである。受光センサSENは、点滅マーカMKの消灯から点灯への状態変化を利用するように設定した。
【0140】
図14において、横軸は点滅マーカMK像の明暗状態変化を検出した時刻を示し、縦軸は測定された映像伝送時間tdを示す。繰り返し測定された映像伝送時間tdは変動しており、その測定値がRealSystem8.5のフレーム取り込み周期(図6における撮像周期Taに相当)0.0667sの範囲内に納まっていることが分かる。この周期は、図11に関連して上述したように、投影像中の被写体である撮像地刻時タイマT1の値を、各フレームについて追って行くことにより容易に知ることができる。
【0141】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、点滅マーカMKは、1個だけでなく、同時に点滅するものを複数設けることができる。これは、点滅マーカMKの映像3aが、投影地刻時タイマT2の表示を固定するトリガとして用いられる他に、記録された画像フレームから投影地刻時タイマT2の表示が固定された画像フレームを選択する目印としても用いられることから、効果的である。
【0142】
すなわち、受光センサ4によって点滅マーカMKの映像3aの明暗状態を検出する場合、受光センサ4の受光部は、画面上の映像3aに密着させるように配置される。すると、映像3aが受光センサ4の受光部によって覆われるので、測定用カメラCM2によって記録された測定用映像には映像3aが写らないことになる。点滅マーカMKを複数にすると、映像投影装置13の画面に複数の映像3aが得られるので、測定用映像に映像3aを記録でき、上述の効果が奏される。
【0143】
また、複数の点滅マーカMKの複数の映像3aのどれを受光センサによって検出するかによって映像伝送時間tdの画面位置に対する依存性を測定することもできる。
【0144】
また、点滅マーカMKの状態変化の検出は、点滅マーカMKの明状態から暗状態への変化、またはその逆、またはその両方を検出する方法のいずれを採用してもよい。さらに、点滅マーカMKの状態変化は、明暗状態の変化に限らず、色調の変化を検出するようにしてもよい。
【0145】
本発明は、上述した各実施形態の構成を矛盾のない範囲で互いに組み合わせた構成とすることができ、そのような組合せ可能な構成の実施形態は明記されていなくても当然に本発明に含まれる。なお、時間の単位の秒の表記として、sとsecを区別せずに適宜用いている。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の一実施形態に係る映像伝送時間測定システムのブロック構成図。
【図2】同上システムの模式的構成図。
【図3】一実施形態に係る映像伝送時間測定方法についてのフローチャート。
【図4】同上システムおよび測定方法において用いられる刻時タイマの説明図。
【図5】同上システムおよび測定方法における映像伝送時間測定の原理説明図。
【図6】同上システムおよび測定方法における映像伝送時間測定の他の説明図。
【図7】(a)は同上システムおよび測定方法において投影地刻時タイマの表示を一時的に固定する場合の時刻表示の時間変化図、(b)は同タイマの表示を切り換えて固定する場合の時刻表示の時間変化図。
【図8】同上システムおよび測定方法によって映像伝送時間を連続測定する場合のフローチャート。
【図9】同上システムおよび測定方法において連続的に測定した場合における映像伝送時間の時間変化図。
【図10】同上システムおよび測定方法において連続的に測定した場合における映像伝送時間の時間変化の他の例を示す図。
【図11】同上システムおよび測定方法において連続的に測定した場合における映像伝送時間の時間変化のさらに他の例を示す図。
【図12】同上システムおよび測定方法における測定用カメラによる刻時タイマの映像例の説明図。
【図13】同上刻時タイマの映像を示す図。
【図14】同上システムおよび測定方法による測定結果を示す図。
【符号の説明】
【0147】
1 映像伝送時間測定システム
2 刻時タイマ(撮像地用)
3 点滅マーカ
4 受光センサ
5 刻時タイマ(投影地用)
6 測定用カメラ
7 測定用表示装置
8 画像処理装置
10 映像伝送システム
11 撮像用ビデオカメラ
12 ネットワーク
13 投影装置
2a 映像(撮像地刻時タイマの)
3a 映像(点滅マーカの)
4a 映像(受光センサの)
5a 映像(投影地刻時タイマの)
A 撮像地
B 投影地
CM1 撮像用ビデオカメラ
CM2 測定用カメラ
DSP 投影装置
L 発光源
MK 点滅マーカ
SEN 受光センサ
T1 刻時タイマ(撮像地用)
T2 刻時タイマ(投影地用)
Ta,Ma 撮像周期(撮像用ビデオカメラの)
Tb,Mb 投影周期(投影装置の)
Tc,Mc 記録周期(測定用カメラの)
Tk,Mk 点滅周期(点滅マーカの)
ΔT 単位時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像地に配置された撮像用ビデオカメラと、前記撮像用ビデオカメラによって撮像された映像を投影地に伝送する映像伝送手段と、投影地に配置され前記映像伝送手段によって伝送された映像を投影表示する映像投影装置とを備えた映像伝送システムにおける映像の撮像完了からその撮像した映像の信号を送出、伝送、および受信して映像を投影表示する投影完了までの時間を映像伝送時間として測定する映像伝送時間測定システムにおいて、
撮像地に配置され明状態と暗状態とを繰り返す点滅マーカと、
前記映像投影装置によって投影表示される前記点滅マーカの映像の明暗状態の変化を検出すると共に検出した旨の検出信号を出力する受光センサと、
撮像地に配置され一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示する撮像地刻時タイマと、
投影地に配置され前記撮像地刻時タイマに同期して刻時を開始し、一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示可能であり、前記受光センサからの前記検出信号を受信し、その受信の時に刻時時刻の表示を所定時間だけ固定するか、または、その受信時毎に刻時時刻の表示を更新すると共に固定する投影地刻時タイマと、
投影地に配置されて前記映像投影装置によって投影表示された映像と前記投影地刻時タイマとを並べて撮像すると共に撮像した映像を記録する測定用カメラと、を備え、
前記撮像用ビデオカメラによって前記撮像地刻時タイマと前記点滅マーカとを一緒に撮像し、その撮像された映像を前記映像伝送手段によって伝送した後、前記映像投影装置によって投影表示し、
前記映像投影装置に投影表示された前記撮像地刻時タイマの映像と、前記受光センサからの出力に応じて刻時時刻の表示が固定された状態にある前記投影地刻時タイマとを同時に前記測定用カメラによって撮像し、
前記測定用カメラによって撮像された映像から前記両刻時タイマの刻時時刻を読みとることにより前記映像伝送時間を決定するようにしたことを特徴とする映像伝送時間測定システム。
【請求項2】
前記撮像用ビデオカメラによって撮像された前記点滅マーカと前記撮像地刻時タイマの映像のうち、前記点滅マーカの方が、前記撮像地刻時タイマよりも時間的に後に、前記映像投影装置によって描画されるように投影表示されることを特徴とする請求項1に記載の映像伝送時間測定システム。
【請求項3】
前記点滅マーカの明状態と暗状態とを繰り返す時間間隔が、前記撮像用ビデオカメラによる撮像周期よりも長いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の映像伝送時間測定システム。
【請求項4】
前記撮像地刻時タイマと前記投影地刻時タイマとは、それぞれ、一定の単位時間経過とともに順番に点灯して消灯する複数個の発光源を配列して構成されると共に、桁上がり時刻を表示する複数個の発光源を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定システム。
【請求項5】
前記測定用カメラによって撮像された画像データを画像処理して前記撮像地刻時タイマおよび前記投影地刻時タイマの刻時時刻を読みとる画像処理手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定システム。
【請求項6】
前記受光センサからの前記検出信号を受信することにより、前記映像投影装置に投影表示された前記撮像地刻時タイマの映像と、前記受光センサからの出力に応じて刻時時刻の表示が固定された状態にある前記投影地刻時タイマとを撮像するように前記測定用カメラを制御する測定用カメラ制御装置を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定システム。
【請求項7】
前記点滅マーカを複数備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定システム。
【請求項8】
撮像地に配置された撮像用ビデオカメラと、前記撮像用ビデオカメラによって撮像された映像を投影地に伝送する映像伝送手段と、投影地に配置され前記映像伝送手段によって伝送された映像を投影表示する映像投影装置とを備えた映像伝送システムにおける映像の撮像完了からその撮像した映像の信号を送出、伝送、および受信して映像を投影表示する投影完了までの時間を映像伝送時間として測定する映像伝送時間測定方法において、
撮像地に配置され一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示する撮像地刻時タイマと、同じく撮像地に配置され一定時間毎に明状態と暗状態とを繰り返す点滅マーカとを一緒に前記撮像用ビデオカメラによって撮像し、その撮像された映像を前記映像伝送手段によって伝送した後、前記映像投影装置によって投影表示する第1の工程と、
前記第1の工程によって投影表示される前記点滅マーカの映像の明暗状態の変化を検出し、その明暗状態の変化が検出された時に、投影地に配置され前記撮像地刻時タイマに同期して刻時を開始し、一定の単位時間経過とともに刻時して各時刻を一意的に表示する投影地刻時タイマの刻時時刻の表示を所定時間だけ固定する第2の工程と、
前記第1の工程によって投影表示された前記撮像地刻時タイマの映像と、前記第2の工程によって刻時時刻の表示が固定された状態にある投影地刻時タイマとを同時に測定用カメラによって撮像する第3の工程と、
前記第3の工程によって得られた撮像地刻時タイマの映像および投影地刻時タイマの映像から両刻時タイマの刻時時刻を読みとり、その読みとり値に基づいて前記映像伝送システムの映像伝送時間を決定する第4の工程と、を備えることを特徴とする映像伝送時間測定方法。
【請求項9】
前記第2の工程において、前記投影地刻時タイマの刻時時刻の表示を固定する前記所定時間が次の明暗状態の変化を検出するまでの時間であり、変化の検出時毎に前記投影地刻時タイマの刻時時刻の表示を更新すると共に固定することを特徴とする請求項8に記載の映像伝送時間測定方法。
【請求項10】
前記第1の工程において、前記撮像用ビデオカメラによって撮像された前記点滅マーカと前記撮像地刻時タイマの映像のうち、前記点滅マーカの方が、前記撮像地刻時タイマよりも時間的に後に、前記映像投影装置によって描画されるように投影表示されることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の映像伝送時間測定方法。
【請求項11】
前記点滅マーカの明状態と暗状態とを繰り返す時間間隔が、前記撮像用ビデオカメラによる撮像周期よりも長いことを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定方法。
【請求項12】
前記測定用カメラによる撮像間隔が前記映像投影装置による映像投影周期よりも短いことを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載の映像伝送時間測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−171334(P2009−171334A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8313(P2008−8313)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年9月19日、日本バーチャルリアリティ学会発行の「日本バーチャルリアリティ学会第12回大会2007福岡第12回大会論文抄録集」第215−218ページにおいて発表
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)
【Fターム(参考)】