説明

映像受信装置及び表示装置

【課題】本線映像の臨場感を損なうことなく、本線映像及びマルチメディアデータを画面表示する。
【解決手段】映像受信装置2は表示装置20及び表示装置30を備える。表示装置20は、映像送信装置1から放送信号またはIPパケットを受信し、映像音声及びマルチメディアデータに分離する。そして、映像音声を復号し本線映像を画面表示する。これにより、ユーザ41に、臨場感を損なうことなく本線映像を視聴させることができる。また、表示装置20は、分離したマルチメディアデータを送信する。表示装置30は、表示装置20に表示された本線映像を撮影すると共に、表示装置20からマルチメディアデータを受信する。そして、本線映像及びマルチメディアデータを合成して画面表示する。これにより、ユーザ42に、マルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像受信装置及び表示装置に関し、特に、映像音声及びマルチメディアデータが多重化され放送信号またはパケットとして送信されるデータ放送において、放送信号またはパケットを受信して映像音声及びマルチメディアデータに分離し、画面表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、データ放送において、映像音声をユーザに視聴させながら、その映像音声に同期して、映像に関連する静止画、テキストデータ等のマルチメディアデータを表示するマルチメディアデータ放送技術が知られている(非特許文献1を参照)。映像受信装置は、マルチメディアデータを付加した状態で、映像音声の映像を本線映像として画面に表示することにより、ユーザに本線映像を視聴させると共に、映像に関連するマルチメディアデータを提示する。例えば、映像受信装置は、本線映像を縮小表示し、画面内の空いた箇所にマルチメディアデータを配置して表示したり、本線映像を通常サイズで表示し、その表示箇所にマルチメディアデータを被せて配置し、表示したりする。
【0003】
本線映像を通常サイズで表示し、その表示箇所にマルチメディアデータを被せて配置し表示する映像合成装置が知られている(特許文献1を参照)。この映像合成装置は、複数の映像信号から選択した1つの映像信号とグラフィック画面とを合成し、画面表示するものである。具体的には、複数の映像信号から選択した1つの映像信号に対し、その映像信号がアナログであるかデジタルであるかに関係なく、1つの処理部において、グラフィック画面信号、またはグラフィック画面情報が重畳された信号を生成し、その信号を映像信号と合成し、合成信号を画面出力するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−295527号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「デジタル放送におけるデータ放送符号化方式と伝送方式」、ARIB STD−B24、社団法人電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本線映像を縮小表示して空いた箇所にマルチメディアデータを表示する手法では、本線映像のサイズが通常よりも小さくなってしまう。このため、本線映像に対する臨場感が損なわれてしまい、映像音声を視聴するユーザを満足させることができないという問題があった。また、この手法では、本線映像を縮小表示することによって、マルチメディアデータの表示領域を確保することができるが、その領域には制限がある。このため、本線映像に付加して表示するマルチメディアデータの情報量を増やすことができないという問題もあった。
【0007】
一方、本線映像にマルチメディアデータを被せて表示する手法では、本線映像を通常のサイズで表示させることができる。しかしながら、この手法は本線映像を汚してしまうという欠点があり、ユーザは、マルチメディアデータが被さった状態で本線映像を視聴することになるから、本来の本線映像を視聴することができず、臨場感が損なわれてしまう。このため、本線映像を視聴するユーザを満足させることができないという問題があった。
【0008】
また、通常のテレビ受像機においては、多人数で本線映像を視聴する場合が多い。本線映像を視聴するユーザは、本線映像を純粋に楽しみたいと要求するユーザと、本線映像を視聴しながらその映像に関連する情報等を取得するために、マルチメディアデータを見たいと要求するユーザとに分類することができる。前述した、マルチメディアデータを付加した状態で本線映像を画面表示する手法では、要求の異なる双方のユーザを満足させることが難しいという問題があった。そのため、次世代のデジタル放送において、本線映像の臨場感を損なうことなく、多くの情報量を持つマルチメディアデータを柔軟に表示させたいという要求があった。
【0009】
そこで、本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、本線映像の臨場感を損なうことなく、本線映像及びマルチメディアデータを画面表示可能な映像受信装置を提供することにある。また、前記映像受信装置に用いる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明による映像受信装置は、映像音声及びマルチメディアデータが多重化された信号を受信し、前記映像音声の映像を本線映像として前記マルチメディアデータと共に画面表示し、ユーザに視聴させる映像受信装置において、前記多重化された信号を受信し、映像音声及びマルチメディアデータにそれぞれ分離する受信器、前記受信器により分離された映像音声をデコードするデコーダ、前記受信器により分離されたマルチメディアデータを送信するマルチメディアデータ送信器、及び、前記デコーダにより復号された映像音声の映像を本線映像として画面表示し、第1のユーザに視聴させる本線映像用表示器を有する第1の表示装置と、前記マルチメディアデータ送信器により送信されたマルチメディアデータを受信するマルチメディアデータ受信器、及び、前記本線映像用表示器により画面表示され第1のユーザに視聴される映像音声、及び前記マルチメディアデータ受信器により受信されたマルチメディアデータに対し、前記映像音声の映像を本線映像として前記マルチメディアデータと共に画面に表示し、第2のユーザに視聴させる本線映像及びマルチメディアデータ用表示器を有する第2の表示装置と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による映像受信装置は、前記第2の表示装置が、前記マルチメディアデータ受信器、前記本線映像用表示器により画面表示された本線映像を撮影する映像取込器、前記マルチメディアデータ受信器により受信されたマルチメディアデータと、前記映像取込器により撮影された本線映像とを合成する映像合成器、及び、前記映像合成器により合成された映像を画面に表示し、第2のユーザに視聴させる本線映像及びマルチメディアデータ用表示器を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明による映像受信装置は、前記第2の表示装置が、前記マルチメディアデータ受信器、及び、前記本線映像用表示器により画面表示された本線映像を透過し、前記マルチメディアデータ受信器により受信されたマルチメディアデータを所定箇所に表示し、第2のユーザに視聴させる本線映像及びマルチメディアデータ用表示器を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明による映像受信装置は、前記第2の表示装置を、前記第2のユーザが装着する眼鏡とし、前記眼鏡が、前記マルチメディアデータ受信器、前記本線映像用表示器により画面表示された本線映像を透過するレンズ、及び、前記本線映像及びマルチメディアデータ用表示器の代わりに、前記マルチメディアデータ受信器により受信されたマルチメディアデータを前記レンズの所定箇所に表示する表示器を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明による表示装置は、映像音声及びマルチメディアデータが多重化された信号を受信し、前記多重化された信号を映像音声及びマルチメディアデータに分離し、前記映像音声をデコードして本線映像を画面表示し、第1のユーザに視聴させる第1の表示装置と、前記本線映像を前記マルチメディアデータと共に画面に表示し、第2のユーザに視聴させる第2の表示装置とを備えた映像受信装置における前記第2の表示装置であって、前記第1の表示装置により分離されたマルチメディアデータを受信するマルチメディアデータ受信器、及び、前記第1の表示装置により画面表示された本線映像を入力し、前記マルチメディアデータ受信器により受信されたマルチメディアデータと共に画面に表示し、第2のユーザに視聴させる本線映像及びマルチメディアデータ用表示器を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、本線映像の臨場感を損なうことなく、本線映像及びマルチメディアデータを画面表示することができる。したがって、本線映像を視聴したいユーザ、及びマルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴したいユーザに対し、双方の要求を満足させることが可能となる。
【0016】
また、映像受信装置における第1の表示装置が、受信した多重化信号をマルチメディアデータに分離して送信し、第2の表示装置が、第1の表示装置により送信されたマルチメディアデータを受信するようにした。これにより、第2の表示装置は、多重化信号をマルチメディアデータに分離する必要がないから、処理負荷を削減し、小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による映像受信装置へ放送信号またはIPパケットを送信する映像送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による映像受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本線映像が表示される画面を説明する図である。
【図4】本線映像及びマルチメディアデータが表示される画面を説明する図である。
【図5】映像受信装置に備えた本線映像用の表示装置の構成を示すブロック図である。
【図6】映像受信装置に備えた、本発明の第1の実施形態(実施例1)による本線映像及びマルチメディアデータ用の表示装置の構成を示すブロック図である。
【図7】映像受信装置に備えた、本発明の第2の実施形態(実施例2)による本線映像及びマルチメディアデータ用の表示装置の構成を示すブロック図である。
【図8】実施例2の本線映像及びマルチメディアデータ用の表示装置を眼鏡に適用した場合の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明の実施形態による映像受信装置は、2台の表示装置を備えている。第1の表示装置は、映像送信装置により映像音声及びマルチメディアデータが多重化され送信された放送信号またはIPパケットを受信し、映像音声及びマルチメディアデータを分離する。そして、第1の表示装置は、映像音声の映像を本線映像として表示する。一方、第2の表示装置は、第1の表示装置により分離された映像音声及びマルチメディアデータを入力し、これらを合成して映像音声の映像を本線映像とし、マルチメディアデータと共に表示する。
【0019】
これにより、本線映像の視聴を希望するユーザは、第1の表示装置により、臨場感を損なうことなく本線映像を視聴することができる。また、マルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴したいユーザは、第2の表示装置により、本線映像を視聴しながらマルチメディアデータを取得することができる。したがって、本発明の実施形態による映像受信装置を用いることにより、前述したユーザ双方の要求を満足させることが可能となる。
【0020】
〔映像送信装置〕
まず、本発明の実施形態による映像受信装置へ、映像音声及びマルチメディアデータを多重化して放送信号またはIPパケットを送信する映像送信装置について説明する。図1は、映像送信装置の構成を示すブロック図である。この映像送信装置1は、エンコーダ11、多重化器12及び変調器/IPインタフェース13を備えている。
【0021】
映像音声は、映像信号及び音声信号からなり、映像信号を本線映像としてユーザに提示することができる。また、マルチメディアデータは、本線映像に関連する情報、または、ニュース、天気等の本線映像に関連しない情報であり、例えば、静止画データ、テキストデータ、簡易動画データである。マルチメディアデータには、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、PNG(Portable Network Graphics)等の符号化データに変換した状態、VRML(Virtual Reality Modeling Language)、Java(登録商標)等のプログラム言語の状態、及びこれらを実行形式ファイルとした状態のデータも含まれる。
【0022】
エンコーダ11は、映像音声を入力し、映像音声を符号化する。符号化方式としては、例えば、MPEG−2またはH.264/AVCが用いられる。多重化器12は、エンコーダ11により符号化された映像音声を入力すると共に、マルチメディアデータを入力し、映像音声及びマルチメディアデータをMPEG−2 TS Systems等により多重化する。
【0023】
変調器/IPインタフェース13は、多重化器12により多重化された映像音声及びマルチメディアデータの多重化信号を入力する。映像送信装置1と映像受信装置との間が放送網である場合、変調器が用いられ、映像送信装置1と映像受信装置との間がインターネット等の通信網である場合、IPインタフェースが用いられる。変調器は、入力した多重化信号を高周波帯の信号に変調し、放送信号として放送網へ送信する。IPインタフェースは、入力した多重化信号のデータをIPパケットに収容し、IPプロトコルを用いて送信先の映像受信装置へ通信網を介して送信する。
【0024】
このように、映像送信装置1は、映像音声及びマルチメディアデータを多重化して放送信号を放送網へ送信し、またはIPパケットを通信網へ送信する。これにより、映像受信装置は、映像送信装置1により映像音声及びマルチメディアデータが多重化された放送信号またはIPパケットを、放送網または通信網を介して受信することができる。
【0025】
〔映像受信装置〕
次に、本発明の実施形態による映像受信装置について説明する。図2は、映像受信装置の構成を示すブロック図である。この映像受信装置2は、表示装置20及び表示装置30を備えている。
【0026】
映像受信装置2の表示装置20は、映像音声及びマルチメディアデータが多重化された放送信号またはIPパケットを受信し、映像音声及びマルチメディアデータに分離し、映像音声の映像を本線映像として画面表示する。これにより、ユーザ41は、本線映像を視聴することができる。また、表示装置20は、マルチメディアデータを表示装置30へ送信する。これにより、表示装置30は、マルチメディアデータを受信し画面表示することができる。
【0027】
図3は、図2に示した表示装置20により本線映像が表示される画面を説明する図である。図3に示すように、表示装置20(に備えた後述する表示器23)には、従来のテレビ受像機と同様に、映像音声の映像が本線映像として表示され、音声が出力される。これにより、本線映像の視聴Aを希望するユーザ41は、大画面により臨場感を損なうことなく、本線映像を楽しむことができる。
【0028】
図2に戻って、表示装置30は、表示装置20からマルチメディアデータを受信し、表示装置20により画面表示された本線映像と共にマルチメディアデータを画面表示する。これにより、ユーザ42は、マルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴することができる。
【0029】
図4は、図2に示した表示装置30により本線映像及びマルチメディアデータが表示される画面を説明する図である。図4に示すように、表示装置30(に備えた後述する表示器34)には、画面中央に、表示装置20(に備えた後述する表示器23)における本線映像が表示され、その両側にマルチメディアデータが表示され、本線映像の音声が出力される。これにより、ユーザ42は、従来のテレビ受像機に表示される本線映像に加えて、マルチメディアデータを取得することができる。尚、ユーザが本線映像のみを視聴したい場合は、表示装置20により、図3に示した本線映像を視聴すればよい。また、マルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴したい場合は、表示装置30により、マルチメディアデータを見ながら本線映像を視聴すればよい。したがって、複数のユーザが1台の映像受信装置2を用いて視聴を行う場合であっても、個々のユーザの要求に応じた視聴を実現することができる。また、ユーザは、その要求に応じて表示装置20または表示装置30の画面を見ればよいから、表示装置30は、本線映像の表示領域を狭く配置し、マルチメディアデータの表示領域を広く配置することができる。つまり、表示装置30は、表示すべきマルチメディアデータの情報量に応じて、本線映像の表示領域及びマルチメディアデータの表示領域を設定することにより、情報量に応じたマルチメディアデータを柔軟に表示することができる。
【0030】
このように、映像受信装置2は、映像送信装置1から、映像音声及びマルチメディアデータが多重化された放送信号またはIPパケットを受信し、表示装置20が本線映像を画面表示することにより、ユーザ41に本線映像を視聴させる。また、表示装置30が本線映像及びマルチメディアデータを画面表示することにより、ユーザ42に、マルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴させる。これにより、本線映像を視聴したいユーザ41、及びマルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴したいユーザ42に対し、双方の要求を満足させることが可能となる。
【0031】
(第1の表示装置)
次に、図2に示した本線映像用の表示装置20(第1の表示装置)について説明する。図5は、表示装置20の構成を示すブロック図である。この表示装置20は、復調器/IPインタフェース21、デコーダ22、表示器23及びマルチメディアデータ送信器24を備えている。
【0032】
表示装置20の復調器/IPインタフェース21は、映像送信装置1により映像音声及びマルチメディアデータが多重化された放送信号またはIPパケットを、放送網または通信網を介して受信する。映像送信装置1と映像受信装置2との間が放送網である場合、復調器が用いられ、映像送信装置1と映像受信装置2との間がインターネット等の通信網である場合、IPインタフェースが用いられる。復調器は、放送信号を受信し、放送信号である高周波帯の信号を復調して元の多重化信号を生成し、映像音声及びマルチメディアデータに分離する。IPインタフェースは、IPプロトコルを用いてIPパケットを受信し、IPパケットに収容されている多重化信号のデータを抽出し、映像音声及びマルチメディアデータに分離する。
【0033】
デコーダ22は、復調器/IPインタフェース21により分離されたデジタルの映像音声を入力し、デジタルの映像音声を復号し、アナログのベースバンド信号による映像音声を生成する。表示器23は、デコーダ22により復号された映像音声を入力し、図3に示したように、本線映像を表示する。これにより、ユーザ41は、表示器23の画面から放出される光信号、及び図示しないスピーカからの音声出力により、本線映像を視聴することができる。
【0034】
マルチメディアデータ送信器24は、復調器/IPインタフェース21により分離されたマルチメディアデータを入力し、マルチメディアデータを有線信号または無線信号として表示装置30へ送信する。表示装置20と表示装置30との間が有線により接続される場合、マルチメディアデータ送信器24は、有線信号のマルチメディアデータを送信する。表示装置20と表示装置30との間が無線により接続される場合、マルチメディアデータ送信器24は、例えばBluetooth等の無線方式を用いて、無線信号のマルチメディアデータを送信する。これにより、表示装置30は、表示装置20から有線信号または無線信号のマルチメディアデータを受信することができる。
【0035】
このように、映像受信装置2の表示装置20は、映像音声及びマルチメディアデータが多重化された放送信号またはIPパケットを受信し、映像音声及びマルチメディアデータに分離する。そして、表示装置20は、分離した映像音声の映像を本線映像として画面表示し、分離したマルチメディアデータを表示装置30へ送信する。これにより、ユーザ41は本線映像を視聴することができる。また、表示装置30は、マルチメディアデータを受信して画面表示することができる。
【0036】
(第2の表示装置)
次に、図2に示した本線映像及びマルチメディアデータ用の表示装置30(第2の表示装置)について説明する。この本発明の実施形態による表示装置30には2つの実施例がある。実施例1の表示装置30(30−1)は、表示装置20に表示された本線映像の再撮(再度の撮影)を行い、本線映像及びマルチメディアデータを合成して表示するものである。実施例2の表示装置30(30−2)は、表示装置20に表示された本線映像の再撮を行うことなく、表示装置20により表示された本線映像をそのまま用いると共に、マルチメディアデータも表示するものである。以下、実施例1の表示装置30−1及び実施例2の表示装置30−2についてそれぞれ説明する。
【0037】
(第2の表示装置/実施例1)
まず、実施例1の表示装置30−1について説明する。図6は、実施例1の表示装置30−1の構成を示すブロック図である。この表示装置30−1は、表示装置20に表示された本線映像の再撮を行うものであり、映像取込器31、マルチメディアデータ受信器32、映像合成器33及び表示器34を備えている。
【0038】
表示装置30−1の映像取込器31は、例えばカメラであり、表示装置20の表示器23に表示された本線映像を撮影する。すなわち、映像取込器31は、光信号の本線映像を取り込み、本線映像を取得する。
【0039】
マルチメディアデータ受信器32は、表示装置20から有線信号または無線信号のマルチメディアデータを受信する。表示装置20と表示装置30との間が有線により接続される場合、マルチメディアデータ受信器32は、有線信号のマルチメディアデータを受信する。表示装置20と表示装置30との間が無線により接続される場合、マルチメディアデータ受信器32は、無線信号のマルチメディアデータを受信する。
【0040】
映像合成器33は、映像取込器31により取り込まれた本線映像を入力すると共に、マルチメディアデータ受信器32からマルチメディアデータを入力し、本線映像とマルチメディアデータとの映像合成を行い、図4に示したような合成映像を表示器34に出力する。尚、合成映像は、本線映像を縮小表示して空いた箇所にマルチメディアデータを表示するような映像でもよいし、本線映像にマルチメディアデータを被せて表示するような映像でもよい。ここで、合成映像が、本線映像を縮小表示して空いた箇所にマルチメディアデータを表示するような映像の場合、映像合成器33は、マルチメディアデータの情報量を算出し、その情報量に応じたマルチメディアデータの表示領域を設定し、本線映像の表示領域を設定する。すなわち、マルチメディアデータの情報量が所定量を超える場合、マルチメディアデータの表示領域が所定値よりも広くなるように領域を確保する。一方、マルチメディアデータの情報量が所定量以下の場合、マルチメディアデータの表示領域が所定値よりも狭くなるように領域を確保する。本線映像の表示領域は、マルチメディアデータの表示領域の広さに応じて設定される。
【0041】
また、本線映像とマルチメディアデータとの映像合成処理には、例えばAR(Augmented Reality:拡張現実)の技術が用いられる。ARとは、現実映像に対してコンピュータ・グラフィックスによる映像をリアルタイムで現実映像の動きに合わせて合成し、現実映像内の各物体に関連する視覚情報をアノテーション情報として付け加える技術である。映像合成器33は、マルチメディアデータをアノテーション情報として扱い、ARの技術によって、本線映像にマルチメディアデータを付加して合成映像を生成する。
【0042】
表示器34は、映像合成器33により生成された合成映像を入力し、図4に示したように、本線映像及びマルチメディアデータを表示する。尚、表示装置30−1は、表示装置20から音声出力の信号を入力し、スピーカから出力する。これにより、ユーザ42は、表示器23の画面から放出される光信号、及び、表示装置20からの音声出力、または表示装置20から音声出力の信号を入力して図示しないスピーカからの音声出力により、マルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴することができる。
【0043】
このように、映像受信装置2における実施例1の表示装置30−1は、表示装置20に表示された本線映像の再撮を行うと共に、表示装置20からマルチメディアデータを受信し、本線映像とマルチメディアデータとを合成し、合成映像を画面表示する。これにより、ユーザ42はマルチメディアデータが付加された本線映像を視聴することができる。
【0044】
表示装置30−1の例として、携帯電話機、インターネットを用いたカメラ及びパーソナルコンピュータが挙げられる。携帯電話機の場合、映像取込器31に相当する内蔵カメラによって本線映像を撮影し、本線映像にマルチメディアデータを付加して画面表示する。また、インターネットを用いたカメラ及びパーソナルコンピュータの場合、映像取込器31に相当するカメラによって本線映像を撮影し、インターネットを介して送信された本線映像を、マルチメディアデータと共にパーソナルコンピュータに画面表示する。
【0045】
(第2の表示装置/実施例2)
次に、実施例2の表示装置30−2について説明する。図7は、実施例2の表示装置30−2の構成を示すブロック図である。この表示装置30−2は、表示装置20に表示された本線映像の再撮を行わないで光信号の本線映像を透過させるものであり、マルチメディアデータ受信器32及び表示器35を備えている。
【0046】
実施例2の表示装置30−2と図6に示した実施例1の表示装置30−1とを比較すると、実施例2の表示装置30−2は、表示装置20に表示された本線映像の再撮を行うカメラ等の映像取込器31、及び、本線映像とマルチメディアデータとを合成して合成映像を生成する映像合成器33を備えていない点で、実施例1の表示装置30−1と相違する。また、実施例2の表示装置30−2は、表示装置20に表示された光信号の本線映像を透過させる表示器35を備えている点で、実施例1の表示装置30−1と相違する。
【0047】
表示装置30−2のマルチメディアデータ受信器32は、実施例1と同様に、表示装置20から有線信号または無線信号のマルチメディアデータを受信する。マルチメディアデータ受信器32により受信されたマルチメディアデータは、表示器35に出力される。
【0048】
表示器35は、表示装置20の表示器23に表示された光信号の本線映像を取り込んで透過させると共に、マルチメディアデータ受信器32からマルチメディアデータを入力する。表示器35は、例えば、光信号の本線映像を透過させるガラスを有しており、ガラスの一部にプリズム及びホログラム素子、または液晶ディスプレイが設けられている。表示器35は、入力したマルチメディアデータをガラスの一部に表示する。これにより、ユーザ42は、表示器35により透過された本線映像、及び表示器35の表示領域の一部に表示されたマルチメディアデータを見ることができ、本線映像とマルチメディアデータとの合成映像として見ることができる。したがって、ユーザ42は、表示装置20からの音声出力、または表示装置20から音声出力の信号を入力して図示しないスピーカからの音声出力により、マルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴することができる。
【0049】
このように、映像受信装置2における実施例2の表示装置30−2は、表示装置20に表示された本線映像の再撮を行うことなく光信号の本線映像を透過させ、表示装置20からマルチメディアデータを受信し、表示領域の一部にマルチメディアデータを画面表示する。これにより、ユーザ42はマルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴することができる。また、実施例2の表示装置30−2は、本線映像の再撮を行い再表示する実施例1の表示装置30−1に比べ、品質の高い本線映像を画面表示することができる。
【0050】
次に、実施例2の表示装置30−2について、具体的な例を挙げて説明する。図8は、実施例2の表示装置30−2を眼鏡に適用した場合の構成を示す図である。この眼鏡は、レンズ36、テンプル及び鼻当てからなる通常の構成に加え、マルチメディアデータ受信器32、プリズム37、ホログラム素子38、及び、表示器35における制御部を備えている。表示器35は、右側レンズ36R、左側レンズ36L及び制御部(図8では、マルチメディアデータ受信器32と一体に形成されている。)を備えており、右側レンズ36Rの一部にはプリズム37及びホログラム素子38が設けられている。
【0051】
ユーザ42は、この眼鏡を装着し、表示装置20に表示された本線映像を視聴するものとする。レンズ36R,36Lは、表示装置20からの光信号の本線映像を透過し、眼鏡を装着しているユーザ42の眼に入射させる。
【0052】
マルチメディアデータ受信器32は、表示装置20(図示せず)から無線信号のマルチメディアデータを受信する。表示器35の制御部は、マルチメディアデータ受信器32からマルチメディアデータを入力し、マルチメディアデータを表示するための光信号をプリズム37に放出する。プリズム37は、制御部からの光信号を内部に導き入れ、壁面に反射させながらホログラム素子38に導く。ホログラム素子38は、導かれた光信号を回折させ、眼鏡を装着しているユーザ42の眼に入射させる。
【0053】
これにより、ユーザ42は、眼鏡の右側レンズ36Rに備えたホログラム素子38により、マルチメディアデータを見ることができる。したがって、ユーザ42は、眼鏡により、マルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴することができる。
【0054】
以上のように、本発明の実施形態による映像受信装置2によれば、映像送信装置1から、映像音声及びマルチメディアデータが多重化された放送信号またはIPパケットを受信し、表示装置20が本線映像を画面表示するようにした。これにより、ユーザ41に本線映像を視聴させることができる。また、表示装置30が本線映像及びマルチメディアデータを画面表示するようにした。これにより、表示装置20のユーザ41とは異なるユーザ42に、マルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴させることができる。したがって、多数のユーザ41,42が本線映像を視聴する場合に、本線映像を視聴したいユーザ41、及びマルチメディアデータが付加された状態で本線映像を視聴したいユーザ42に対し、双方の要求を満足させることが可能となる。
【0055】
また、映像受信装置2の表示装置20は、映像送信装置1から放送信号またはIPパケットを受信し、放送信号またはIPパケットを映像音声及びマルチメディアデータに分離し、マルチメディアデータを表示装置30へ送信するようにした。そして、表示装置30は、表示装置20により分離されたマルチメディアデータを受信し、画面表示するようにした。これにより、表示装置30は、マルチメディアデータを取得するために、映像送信装置1から放送信号またはIPパケットを受信して映像音声及びマルチメディアデータに分離する必要がなく、表示装置20により送信されたマルチメディアデータを受信すれば済むようになる。したがって、表示装置30の処理負荷が低減し、小型化を実現することができる。
【0056】
映像受信装置2の表示装置30−1は、映像合成器33において、本線映像を縮小表示して空いた箇所にマルチメディアデータを表示するような合成映像を生成する場合、マルチメディアデータの情報量に応じてマルチメディアデータの表示領域を設定し、マルチメディアデータの表示領域の広さに応じて本線映像の表示領域を設定するようにした。これにより、映像受信装置2の表示装置30−1は、情報量に応じたマルチメディアデータを柔軟に表示することができる。また、ユーザは、臨場感のある本線映像を視聴したい場合は表示装置20を見ればよく、マルチメディアデータを見たい場合は表示装置30−1を見ればよいから、表示装置30−1における本線映像の表示領域が狭くても、ユーザの要求には直接影響することなく、情報量に応じたマルチメディアデータを見ることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 映像送信装置
2 映像受信装置
11 エンコーダ
12 多重化器
13 変調器/IPインタフェース
20,30 表示装置
21 復調器/IPインタフェース
22 デコーダ
23,34,35 表示器
24 マルチメディアデータ送信器
31 映像取込器
32 マルチメディアデータ受信器
33 映像合成器
36 レンズ
37 プリズム
38 ホログラム素子
41,42 ユーザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像音声及びマルチメディアデータが多重化された信号を受信し、前記映像音声の映像を本線映像として前記マルチメディアデータと共に画面表示し、ユーザに視聴させる映像受信装置において、
前記多重化された信号を受信し、映像音声及びマルチメディアデータにそれぞれ分離する受信器、
前記受信器により分離された映像音声をデコードするデコーダ、
前記受信器により分離されたマルチメディアデータを送信するマルチメディアデータ送信器、及び、
前記デコーダにより復号された映像音声の映像を本線映像として画面表示し、第1のユーザに視聴させる本線映像用表示器を有する第1の表示装置と、
前記マルチメディアデータ送信器により送信されたマルチメディアデータを受信するマルチメディアデータ受信器、及び、
前記本線映像用表示器により画面表示され第1のユーザに視聴される映像音声、及び前記マルチメディアデータ受信器により受信されたマルチメディアデータに対し、前記映像音声の映像を本線映像として前記マルチメディアデータと共に画面に表示し、第2のユーザに視聴させる本線映像及びマルチメディアデータ用表示器を有する第2の表示装置と、
を備えたことを特徴とする映像受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像受信装置において、
前記第2の表示装置は、
前記マルチメディアデータ受信器、
前記本線映像用表示器により画面表示された本線映像を撮影する映像取込器、
前記マルチメディアデータ受信器により受信されたマルチメディアデータと、前記映像取込器により撮影された本線映像とを合成する映像合成器、及び、
前記映像合成器により合成された映像を画面に表示し、第2のユーザに視聴させる本線映像及びマルチメディアデータ用表示器を有することを特徴とする映像受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の映像受信装置において、
前記第2の表示装置は、
前記マルチメディアデータ受信器、及び、
前記本線映像用表示器により画面表示された本線映像を透過し、前記マルチメディアデータ受信器により受信されたマルチメディアデータを所定箇所に表示し、第2のユーザに視聴させる本線映像及びマルチメディアデータ用表示器を有することを特徴とする映像受信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の映像受信装置において、
前記第2の表示装置を、前記第2のユーザが装着する眼鏡とし、
前記眼鏡は、
前記マルチメディアデータ受信器、
前記本線映像用表示器により画面表示された本線映像を透過するレンズ、及び、
前記本線映像及びマルチメディアデータ用表示器の代わりに、前記マルチメディアデータ受信器により受信されたマルチメディアデータを前記レンズの所定箇所に表示する表示器を有することを特徴とする映像受信装置。
【請求項5】
映像音声及びマルチメディアデータが多重化された信号を受信し、前記多重化された信号を映像音声及びマルチメディアデータに分離し、前記映像音声をデコードして本線映像を画面表示し、第1のユーザに視聴させる第1の表示装置と、前記本線映像を前記マルチメディアデータと共に画面に表示し、第2のユーザに視聴させる第2の表示装置とを備えた映像受信装置における前記第2の表示装置であって、
前記第1の表示装置により分離されたマルチメディアデータを受信するマルチメディアデータ受信器、及び、
前記第1の表示装置により画面表示された本線映像を入力し、前記マルチメディアデータ受信器により受信されたマルチメディアデータと共に画面に表示し、第2のユーザに視聴させる本線映像及びマルチメディアデータ用表示器を有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−15154(P2011−15154A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157076(P2009−157076)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】