説明

映像復号装置

【課題】使い勝手のよい画像復号装置を提供する。
【解決手段】監視画像復号装置10は、監視システムの画像復号装置である。監視画像復号装置10において、画像復号制御部102は、符号化された画像データを復号化する。また、モニタ出力制御部101は、復号化画像データ111を分割画面として描画し、選択された分割画面にOSD(On Screen Display)表示を行い、ビデオモニタ50に出力する。制御盤制御部104は、制御盤40からの分割画面の制御に係るコマンドを解析する。画像切り換え制御部103は、解析された前記コマンドにより、選択された前記分割画面に表示する画像を切り換える。制御盤40からのコマンドにより、切り換えた受信画像データは、画像復号制御部102で復号し、復号化画像データ111をビデオモニタ50上に画像出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像復号装置に係り、特に符号化されたカメラからの画像データを復号する映像復号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティ(安全)意識の高まりや警備の省力化の要求から、監視用の動画や静止画像のカメラ(監視カメラ)を用いた監視システムが注目されている。
これらの監視システムは、防犯用の監視カメラ等の撮像装置、及び撮像装置で取得した静止画や動画の画像の表示機能を含むシステムである。この監視システムでは、ホテル、ビル、コンビニエンスストア、金融機関、ダム、又は道路のような不特定多数の人が訪れる施設等の防犯・防災用に監視したい場所に撮像装置を配置する。
この撮像された画像は、管理室等にいる監視者が監視画像復号装置により監視し、目的や必要に応じて注意を喚起したり、画像を録画・保存したりする。
【0003】
ここで、図5〜図7を参照して、監視画像復号装置20を備えた従来の監視システムYの構成について説明する。
まず、図5の制御ブロック図を参照して説明すると、従来の監視システムYは、監視画像復号装置20と、IPカメラ31〜34と、制御盤40と、ビデオモニタ50とを備えている。
【0004】
ネットワーク5は、主に無線LAN、有線LAN、インターネット、専用線等のネットワークである。ネットワーク5としては、携帯電話網、PHS網、WiMAX、無線LAN、有線電話回線、有線LAN、電灯線LAN、cLink、専用回線等の通信回線である。また、ネットワーク5の形態としては、IPネットワークやその他のスター状やリング状のネットワーク等を用いることができる。
【0005】
監視画像復号装置20は、IPカメラ31〜34からの符号化(エンコード)された画像データを取得し、復号化(デコード)してビデオモニタ50に表示する復号装置である。すなわち、監視画像復号装置20は、監視画像の表示に特化しており、汎用コンピュータであるPC(Personal Computer)を用いない、いわゆる「PCレス」の監視画像復号装置である。
【0006】
IPカメラ31〜34は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等を用いた、いわゆるIPカメラやネットワークカメラ等の撮像装置である。IPカメラ31〜34は、ネットワーク5に接続して、例えばMP4等のフォーマットの動画像の画像データを送信したり、JPG等のフォーマットの静止画像の画像データを所定期間毎に送信可能である。
IPカメラ31〜34は、例えば人感センサや動きセンサやマイク等も備えている。なお、IPカメラ31〜34は、通常のテレビジョンカメラを用いて画像記録装置に直接接続し、画像記録装置の画像・音声符号化装置(encoder、図示せず)を用いて画像を符号化して送信するように構成してもよい。
【0007】
制御盤40は、監視画像復号装置20を制御するための制御コンソール等の入力部であり、各種スイッチ、ポインティングデバイス、ホイール、ジョイスティック、切り換えボタン等から構成する。
制御盤40は、IPカメラからの画像を単画面表示する単画面表示モードと、4分割の画面表示(4画面表示)する4画面表示モードとの切り換えを行う監視者の指示を検知して、コマンドとして送信する。
また、制御盤40は、どのIPカメラ31〜34を単画面表示にて表示するかについての監視者の指示を検知して、コマンドとして送信する。
【0008】
ビデオモニタ50は、監視画像復号装置20により復号化された画像を表示するための画像表示装置である。このビデオモニタ50は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、プロジェクタ等を用いることができる。
ビデオモニタ50には、IPカメラ31〜34のいずれかの復号化された画像が単画面表示されるか、又はIPカメラ31〜34それぞれの画像が4画面表示にて表示される。
【0009】
さらに、監視画像復号装置20は、切り換え部200と、記憶部210とから構成される。
切り換え部200は、IPカメラ31〜34からの符号化された画像データを受信し、復号化し、画面表示の切り換えを行って描画し、ビデオモニタ50に出力するための各種回路の部位である。
記憶部210は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体からなる記憶媒体であり、切り換え部200のための記憶部位であり、各種のデータとプログラムを記憶している。
【0010】
切り換え部200は、画面表示切り換え部201と、画像復号制御部202と、画像切り換え制御部203と、制御盤制御部204とを備えている。
画面表示切り換え部201は、復号化された画像データである復号化画像データ211を描画して、ビデオモニタ50に出力するVDP(Video Display Processor)等の部位である。
画像復号制御部202は、符号化された画像データである符号化画像データ212を記憶部210から取得して、復号化画像データ211を作成するDSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を用いたデコーダである。
画像切り換え制御部203は、ネットワーク5に接続するネットワーク接続部と、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の制御部であり、IPカメラ31〜34からの符号化画像データ212を受信し、記憶部210の設定により、各部の制御を行う。
制御盤制御部204は、制御盤40からの監視者の指示のコマンドを受信し、表示カメラ番号215や画面情報216として記憶部に記憶するI/Oポート等である。
【0011】
記憶部210は、復号化画像データ211と、符号化画像データ212と、カメラ登録情報213と、表示カメラ番号215と、画面情報216とを記憶して備えている。
復号化画像データ211は、符号化画像データ212が復号化されて記憶される画像データである。
符号化画像データ212は、IPカメラ31〜34から受信し、符号化され、記憶される画像データである。
カメラ登録情報213は、受信するIPカメラ31〜34の各種情報、例えばIPアドレスや符号化のフォーマット形式等を記憶するデータである。
表示カメラ番号215は、監視者の指示であるコマンドにより設定される、単画面表示にて表示するIPカメラ31〜34のカメラ登録情報213により示される番号等を記憶するデータである。
画面情報216は、監視者の指示であるコマンドにより設定される、単画面表示モードにて表示するか、4画面表示モードにて表示するかの情報を記憶するデータである。
【0012】
ここで、図6のフローチャートを参照して、従来の監視システムYを用いた表示画像制御処理について説明する。
【0013】
ステップS201において、制御盤制御部204は、単画面表示/4画面表示切り換え検知処理を行う。
具体的に、制御盤制御部204は、制御盤40からのコマンドを入力したことを検知して、このコマンドの解析を行う。
制御盤制御部204は、単画面表示モードで表示するコマンドを検知した場合、表示カメラ番号215に、単画面表示モードである旨、記憶する。また、表示するカメラの切り換えのコマンドを検知した場合、表示を行うIPカメラ31〜34の番号を表示カメラ番号215に記憶する。
また、制御盤制御部204は、4画面表示モードで表示するコマンドを検知した場合、記憶部210の画面情報216を、4画面表示を行うフラグを記憶する。
【0014】
次に、ステップS202において、画像切り換え制御部203は、モニタ出力処理を行う。
具体的に、画像切り換え制御部203は、表示カメラ番号215と、画面情報216とを所定期間毎に定期的に参照しする。これにより、画像切り換え制御部203は、単画面表示モード/4画面表示モードの切り換えを、画像切り換え部201に指示する。
ここで、画像切り換え制御部203は、表示カメラ番号215に係るカメラ登録情報213を参照して、画面表示を行うIPカメラ31〜34にログインし、画像データの受信を行なう。
この際、単画面表示モードの場合、画像切り換え制御部203は、単画面表示を行うIPカメラ31〜34のいずれかにログインする。この上で、画像切り換え制御部203は、画像表示切り換え部201を、単画面表示を行うように設定する。
また、4画面表示モードの場合、画像切り換え制御部203は、画面表示を行うIPカメラ31〜34すべてにログインする。そして、画像切り換え制御部203は、画像表示切り換え部201を、4画面表示を行うように設定する。
【0015】
この上で、画像切り換え制御部203は、復号化と表示のために各部の指示を行う。
たとえば、IPカメラ31の画像を画像切り換え制御部203にて受信した場合、符号化画像データ212として記憶部210に記憶する。
画像切り換え制御部203は、符号化画像データ212を画像復号制御部202にて復号化するよう指示する。これにより、画像復号制御部202は、復号化画像データ211を作成して記憶部210に記憶する。
その後、画像切り換え制御部203は、画面表示切り替え部201に、復号化画像データ211をビデオモニタ50に出力するように指示する。
この際、画像切り換え制御部203は、単画面表示モードの場合は、復号化画像データ211を単画面表示するように画面表示切り替え部201に指示する。
また、画像切り換え制御部203は、4画面表示モードの場合は、復号化画像データ211を、各IPカメラ31〜34毎に4画面表示するように画面表示切り替え部201に指示する。
【0016】
ここで、図7を参照して、従来の監視システムYによる、ビデオモニタ50上の表示画面のイメージである画面例300について説明する。
この画面例300では、4画面表示モードとして、IPカメラ31〜34の画像をそれぞれ表示している。
このように、従来の監視システムYでは、4画面表示モードでは、単純に設定されたIPカメラ31〜34の画像が、分割して表示される。すなわち、4画面表示モードにおいては、制御盤からの操作によるカメラ切り換えは行なえなかった。
【0017】
すなわち、従来の監視システムYでは、制御盤40からのカメラ切り換えの指示により、画面情報216が単画面表示モードの場合は切り換え可能であった。しかしながら、4画面表示モードの場合は切り換えを行うことができなかった。
つまり、従来の監視システムYでは、単画面表示モードの場合は、暗黙の了解で現在表示中の画面を表示カメラ番号215のカメラに切り換えることができた。
しかしながら、4画面表示モードの場合は、分割された4画面中のいずれかのカメラに切り換えるという概念がなく、切り換えを行うことができなかった。
このため、監視者の使い勝手が悪かった。
【0018】
ここで、より監視者の使い勝手をよくする従来の監視システムの1種として、特許文献1を参照すると、複数の画像データが入力される入力手段と、該複数の画像データを、それぞれ、表示手段の表示画面を分割して生成された領域の所定の領域に表示するように、多分割画面データを生成する多分割画面生成手段と、該多分割画面生成手段で生成された多分割画面データを該表示手段に出力する出力手段と、該複数の画像データのうち1つ以上の画像データを拡大する拡大手段とを備えた画像データ処理装置が記載されている(以下、従来技術1とする。)。
従来技術1の画像データ処理装置は、多分割画面生成手段が、拡大手段で画像データが拡大された場合、拡大されていない場合に比べて、所定の領域を変えることを特徴としている。
すなわち、従来技術1では、選択した画像を大きくし、他を小さくするといった制御が可能である。
これにより、従来技術1の画像データ処理装置は、多分割画面を生成/表示する装置の使い勝手が向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−28876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、従来技術1は、画面表示の場合に、どのカメラが現在選択されているかを「チャンネル」として制御するという概念がなく、チャンネル毎にカメラの個別切り換えや画像の拡大・縮小制御を行うことができなかった。
【0021】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の映像復号装置は、監視システムの映像復号装置において、符号化された画像データを復号化するための画像復号制御部と、復号化された画像データを分割画面として描画し、選択された前記分割画面にOSD(On Screen Display)表示を行ってビデオモニタに出力するモニタ出力制御部と、制御盤からの前記分割画面の制御に係るコマンドを解析する制御盤制御部と、解析された前記コマンドにより、選択された前記分割画面に表示する画像を切り換える画像切り換え制御部とを備え、前記制御盤から前記コマンドにより、切り換えた受信画像データを前記画像復号制御部で復号し、復号化された画像データをビデオモニタ上に画像出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、OSD表示により選択された前記分割画面に表示する画像を切り換えることで、使い勝手のよい映像復号装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視システムXの制御構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る監視システムXの選択枠表示制御処理のフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る復号画像のビデオモニタ出力の概念図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る移動先チャンネル位置の算出パターンのデータを示す概念図である。
【図5】従来の監視システムYの制御構成を示すブロック図である。
【図6】従来の監視システムYの表示画像制御処理のフローチャートである。
【図7】従来の監視システムYの復号画像のビデオモニタ出力の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施の形態>
〔監視システムXの制御構成〕
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る監視システムXの構成について説明する。
監視システムXは、監視画像復号装置10(映像復号装置)と、IPカメラ31〜34と、制御盤40と、ビデオモニタ50とを備えている。ここで、図1において、従来の監視システムY(図5)と同じ符号の部位は、同様の構成であることを示している。
また、監視画像復号装置10において、切り換え部100は、切り換え部200と同様に、IPカメラ31〜34からの符号化された画像データを受信し、復号化し、画面表示の切り換えを行って描画し、ビデオモニタ50に出力する部位である。ここで、監視画像復号装置10の画像復号制御部102は、監視システムYの監視画像復号装置20の画像復号制御部202と、画像切り換え制御部103は画像切り換え制御部203と、制御盤制御部104は制御盤制御部204と、それぞれ同様の構成部位である。
また、記憶部110は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDD、SSD(Solid State Disk)等の記憶媒体からなる記憶媒体であり、切り換え部100のための各種のデータとプログラムを記憶している。ここで、記憶部110の復号化画像データ111は復号化画像データ211と、符号化画像データ112は符号化画像データ212と、カメラ登録情報113はカメラ登録情報213と、表示カメラ番号115は表示カメラ番号215と、画面情報116は画面情報216と、それぞれ同様の構成部位である。
なお、以下の例では、IPカメラ31〜34の4つのカメラを用いて監視をする例について説明するが、監視システムXは、任意の台数のカメラからの画像を受信し、チャンネルとして選択して表示可能である。
【0026】
切り換え部100のモニタ出力制御部101は、VDPやGPU(Graphics Processing Unit)等の部位である。
モニタ出力制御部101は、ビデオモニタ50に、復号化画像データ111を復号した画像を出力する。
これに加えて、モニタ出力制御部101は、OSD(On Screen Display)表示を行うことができる。
【0027】
記憶部110の選択チャンネル情報114は、各IPカメラ31〜34を、ビデオモニタ50の画面上の各分割画面に対応する「チャンネル」に割り当てるための設定を記憶する部位である。すなわち、選択チャンネル情報114は、チャンネル毎に、画像を表示するIPカメラ31〜34のカメラ番号等のID(Identification)を記憶する。これにより、監視システムXにおいては、モニタ出力制御部101から分割画面毎にIPカメラ31〜34のいずれかを選択して表示可能である。この際、従来技術と異なり、各チャンネルに同一のIPカメラ31〜34のIDを割り当てることも可能である。
また、選択チャンネル情報114は、分割画面に表示された各チャンネルの画像の拡大率や拡大する位置の情報についても記憶する。
さらに、選択チャンネル情報114は、監視者がチャンネルを変更する際に用いるOSD表示である選択枠により、現在選択されている状態のチャンネルついての情報も記憶する。
加えて、選択チャンネル情報114は、分割画面にて選択枠を移動させる場合において、移動方向毎の移動先のチャンネルについてのデータを例えば表形式で記憶している。
なお、本発明の実施の形態に係る監視システムXにおいて、設定可能なチャンネル数は、画面の分割形状に合わせて例えば2以上で設定できる。
また、監視者が視認可能な範囲の分割された各画面に対して各チャンネルを割り当てることができる。
【0028】
〔監視システムXの選択枠表示制御処理〕
次に、図2〜図4を参照して、本発明の実施の形態に係る監視システムXの選択枠表示制御処理について説明する。
この選択枠表示処理においては、4画面表示の左上〜右下をそれぞれチャンネルA〜Dとして割り当てる例について説明する。
また、この例においては、各IPカメラ31〜34の画像を画像切り換え制御部103にて受信して、符号化画像データ112として記憶部110に記憶する。これを画像復号制御部102が復号し、復号化画像データ111として記憶部110に記憶する。モニタ出力制御部101は、復号化画像データ111を単画面表示又は4画面表示にて、ビデオモニタ50に出力している。
この上で、本実施形態に係る監視システムXにおいては、ビデオモニタ50の分割画面を選択するためのカーソルや太枠等のOSD表示である「選択枠」を描画する。本実施形態に係る監視システムXにおいては、監視者の指示により、この選択枠を移動させ、チャンネル制御により、画像表示を変更することができる。
【0029】
ここで、図3を参照して、選択枠表示制御に係る、ビデオモニタ50上の表示例について説明する。
図3(a)は、選択チャンネル情報114の選択枠に係るチャンネルがチャンネルAの場合の表示例である。
ここでは、モニタ出力制御部101は、選択チャンネル情報114を参照して、選択枠に係るチャンネルがチャンネルAであるという情報を取得する。この上で、モニタ出力制御部101は、画像切り換え制御部103により作成された選択枠のOSDデータを、ビデオモニタ50上のチャンネルAの位置に、チャンネル選択枠400として表示する。
これにより、監視者は、チャンネルAが選択されていることを知覚することができる。
【0030】
以下で、このような状態において、監視者が選択枠を移動させる指示を行った場合の選択枠表示制御処理について、以下で、図2のフローチャートを参照して、各ステップについて詳しく説明する。
【0031】
まず、ステップS101において、制御盤制御部104は、コマンド受信があったか否かを判定する。このステップで、制御盤制御部104は、制御盤40から監視者の指示に対応するコマンドを受信した場合、Yesと判定する。それ以外の場合には、制御盤制御部104は、Noと判定する。
Yesの場合、制御盤制御部104は、処理をステップS102に進める。
Noの場合、制御盤制御部104は、コマンド受信を待ち続ける。この際に、ビデオモニタ50の表示画面には、復号化画像データ111による各分割画面の画像は表示され続ける。
【0032】
ステップS102において、制御盤制御部104は、コマンドが選択枠移動コマンドであったか否かを判定する。このステップにおいては、制御盤制御部104は、制御盤40からのコマンドを解析し選択枠を移動させる指示であった場合には、Yesと判定する。それ以外の場合は、Noと判定する。
Yesの場合、制御盤制御部104は、処理をステップS103に進める。
Noの場合、制御盤制御部104は、コマンド受信を待ち続ける。この際にも、上述のように、各分割画面の画像は表示され続ける。
【0033】
ステップS103において、画像切り換え制御部103は、選択チャンネル情報取得処理を行う。
具体的には、画像切り換え制御部103は、選択チャンネル情報114を参照して、現在の選択されている選択枠に係るチャンネルの情報を取得する。
図3(a)の例では、このチャンネルはチャンネルAとなる。
【0034】
次に、ステップS104において、画像切り換え制御部103は、移動先チャンネル番号演算処理を行う。
図4を参照して、この移動先チャンネル番号演算処理について説明する。この図4は、移動先チャンネル位置の算出パターンを示す図である。
画像切り換え制御部103は、上述の選択枠移動コマンドから、移動方向の情報を取得する。この移動方向としては、上下左右斜めのような移動方向を選択可能である。
この上で、画像切り換え制御部103は、選択チャンネル情報114の移動方向毎の移動先のチャンネルについてのデータを参照して、当該移動方向における移動先チャンネル位置を算出する。
なお、画像切り換え制御部103は、例えば、移動先チャンネル位置を、現在の選択チャンネルの端側に移動させる場合には、処理負荷軽減のため移動させないことができる。たとえば、図3(a)の例では、現在の選択チャンネルがチャンネルAで、選択枠移動コマンドの移動方向の情報が左方向、上方向、斜め上方向等を示していた場合、移動先チャンネルを該当なしと算出することができる。
【0035】
ステップS105において、画像切り換え制御部103は、移動先に該当するチャンネル番号が算出されたか否か判定する。
Yes、すなわち、該当するチャンネルが算出された場合、画像切り換え制御部103は、処理をステップS106に進める。
Noの場合、制御盤制御部104は、コマンド受信を待ち続ける。この際には、表示枠の画像は移動しないが、分割画面の画像は表示され続ける。
【0036】
ステップS106において、画像切り換え制御部103は、移動先チャンネル番号設定処理を行う。
具体的に、画像切り換え制御部103は、算出された移動先に該当するチャンネル番号を、記憶部110の選択チャンネル情報114の選択枠に係るチャンネルの情報に記憶する。
【0037】
次に、ステップS107において、画像切り換え制御部103は、選択チャンネル枠OSDデータ作成処理を行う。
具体的には、画像切り換え制御部103は、ステップS106で書込んだ選択チャンネル情報114を参照し、チャンネルの選択枠のOSDデータを作成する。
【0038】
次に、ステップS108において、モニタ出力制御部101は、選択枠ビデオモニタ出力処理を行う。
この処理において、モニタ出力制御部101は、移動後のチャンネル位置に、選択枠のOSDデータを表示する。
具体的に、図3(b)の例を参照して説明すると、選択枠移動コマンドの移動方向が右で、チャンネルBが選択された選択枠に係るチャンネルとなった場合、ビデオモニタ50上のチャンネルBの位置に、選択枠を表示する。
【0039】
次に、ステップS109において、モニタ出力制御部101、画像切り換え制御部103、及び制御盤制御部104は、カメラ切り換え処理を行う。
この処理においては、制御盤制御部104は、制御盤40からのIPカメラ31〜34のいずれかへのカメラ切り換えのコマンドを受信した場合、選択チャンネル情報114に記憶する。この際、制御盤制御部104は、選択枠が表示されているチャンネルに対応するIPカメラ31〜34のIDを記憶する。
【0040】
次に、画像切り換え制御部103は、選択チャンネル情報114を定期的に参照して、各チャンネルに表示されている復号化画像データ111が、対応するIPカメラ31〜34のIDと異なる場合、ログイン・ログアウトを行う。
例えば、図3(c)の例では、選択チャンネル情報114の選択枠が表示されているチャンネルで、ログイン中のカメラがIPカメラ32であるのに、カメラ切り換えのコマンドによりIPカメラ33が指示された場合を示している。画像切り換え制御部103は、IPカメラ32からログアウトし、IPカメラ33にログインして、画像受信を行う。
【0041】
これにより、モニタ出力制御部101は、画像切り換え制御部103は、ビデオモニタ50のチャンネルBの表示画像をIPカメラ33の画像に切り換えて表示する。
なお、上述の図3(c)の例のように、既にチャンネルCにてIPカメラ33にログインしている場合、同じIPカメラ31〜34に二重にログインして画像データを受信しないような構成にすることもできる。
また、ほぼ同じ場所に設置されていて、レンズとズーム機構を複数備えたIPカメラ31〜34においては、それぞれのレンズとズーム機構毎に制御を行うようログインすることができる。
【0042】
次に、ステップS110において、モニタ出力制御部101、及び制御盤制御部104は、拡大/縮小処理を行う。
この処理においては、制御盤制御部104は、制御盤40から制御盤40からの拡大コマンドを受信した場合、選択チャンネル情報114に記憶する。具体的には、制御盤制御部104は、制御盤40の拡大/縮小を指示するホイールや、拡大箇所を指示するジョイスティックにより、選択されたIPカメラ31〜34の画像の任意の位置を、任意の倍率にて拡大/縮小して表示するよう、選択チャンネル情報114の拡大率や拡大する位置の情報に記憶する。
【0043】
この上で、モニタ出力制御部101は、当該選択チャンネル情報114の拡大率や拡大する位置の情報を基に、選択枠で選択されているIPカメラ31〜34のいずれかの画像を拡大又は縮小して表示する。この際に、モニタ出力制御部101は、矩形転送(ビットブルター、Blter)等を用いて、復号化画像データ111の選択されたIPカメラ31〜34に係る画像を、リアルタイムで拡大/縮小して表示する。この拡大の際には、画像のエッジを強調したり、人工知能や統計解析の演算により画像を明瞭化して表示することができる。また、画像認識により、ヒトの顔を拡大して表示するようにすることもできる。
【0044】
具体的に、図3(d)を参照すると、この例では、チャンネル選択枠がチャンネルBの位置で、IPカメラ33の画像を表示中である。
この状態で、選択中の画像について拡大制御をすることで、ビデオモニタ50の4画面表示中のチャンネルBの画像のみを拡大表示させることが可能となる。
表示画像を縮小する制御に関しても、拡大の制御と同様に、選択枠で選択されたチャンネルのみを制御することが可能である。
なお、ほぼ同じ場所に設置されていて、レンズとズーム機構を複数備えたIPカメラ31〜34においては、選択されたチャンネルに係るログインしたレンズとズーム機構に指示を与えて、ズームイン/アウトやレンズの向きを変化させることで、画像の拡大/縮小の代わりに用いることができる。
【0045】
その後、モニタ出力制御部101は、処理をステップS101に戻す。これにより、再び制御盤40からの制御コマンド受信待ち状態となる。
以上により、選択枠表示制御処理を終了する。
【0046】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
まず、従来の監視システムYの場合、4画面表示において、カメラを切り換えることができなかった。
すなわち、従来の監視システムYの場合、4画面表示の場合に、どのチャンネルが現在選択されているかという概念がなく、チャンネル毎にカメラの個別切り換えを行うことができなかった。
【0047】
これに対して、本発明の実施の形態に係る監視システムXは、PCレスの環境において、4画面表示で任意の画像表示をさせたい場合、個別に制御可能であり、監視者の画像監視の効率を向上させることができる。
具体的には、本発明の実施の形態に係る監視システムXの監視画像復号装置10は、4画面表示の場合でも、現在選択されているチャンネルを明示させるため、ビデオモニタ50上にOSD表示でチャンネル選択枠を表示する。この上で、監視画像復号装置10は、制御盤40における上下左右の操作を検知して、チャンネルの選択枠を連動して移動させることで、任意のチャンネルを選択することができる。また、監視画像復号装置10は、カメラ切り換えを行うことで、選択したチャンネルの表示画像を選択したカメラ番号の画像に切り換えることができる。
これにより、IPカメラ31〜34のような符号化された画像データの復号化を行う監視画像復号装置10において、表示画像制御をPCレスで行ない、より監視者の利便性を向上させることができる。
【0048】
また、従来技術1においては、カメラ側で撮像した複数の画像を、表示画面を分割して複数表示する表示装置において、選択した画像を大きくし他を小さくすることはできるものの、チャンネル毎にカメラの個別切り換えや画像の拡大/縮小制御を行うことができなかった。
【0049】
これに対して、本発明の実施の形態に係る監視システムXは、分割画面表示時に、チャンネル毎の分割画面の画像表示の切り換え、及び画像拡大・縮小表示を容易に行うことができる。
このために、本発明の実施の形態に係る監視システムXは、分割表示をした際に、選択した分割画面に選択枠を描画し、この分割画面を別のカメラの画像に切り換え、拡大・縮小することができる。
また、このように分割画面の特定のチャンネルを拡大/縮小表示させたい場合に、当該分割画面を選択した状態で、制御盤40から拡大・縮小操作を行うことで、各チャンネル個別で拡大/縮小表示を行うことができる。
このように、本発明は分割画面の表示サイズはそのままに、選択された分割画面の画像を切り換え、拡大/縮小できる。このため、自由度の高い監視作業が可能となる。
【0050】
また、本発明の実施の形態に係る監視画像復号装置10は、監視システムの画像復号装置において、符号化された画像データを復号化するための画像復号制御部102と、復号化された復号化画像データ111を分割画面として描画し、選択された前記分割画面にOSD(On Screen Display)表示を行ってビデオモニタ50に出力するモニタ出力制御部101と、制御盤40からの前記分割画面の制御に係るコマンドを解析する制御盤制御部104と、解析された前記コマンドにより、選択された前記分割画面に表示する画像を切り換える画像切り換え制御部103とを備え、制御盤40から前記コマンドにより、切り換えた受信画像データを画像復号制御部102で復号し、復号化画像データ111をビデオモニタ50上に画像出力することを特徴とする。
【0051】
また、本発明の実施の形態に係る監視システムXは、画像復号化を複数のチャンネルで行う機能を備えた画像復号装置において、OSD表示と制御盤40の指示に係るコマンドにより、任意のチャンネルを選択して、選択したチャンネルの画像を、同一ネットワークに接続された別のカメラの画像に切り換えることを特徴とする。
【0052】
また、本発明の実施の形態に係る監視システムXは、OSD表示と制御盤40の指示に係るコマンドにより、任意のチャンネルを選択して、選択したチャンネルの画像について、拡大/縮小表示を行うことを特徴とする。
【0053】
なお、上述の実施の形態においては、カメラが4台の場合について説明したが、これに限られず、複数のカメラの画像を切り換えて拡大表示可能である。
また、上述の実施の形態においては、切り換え部100と、記憶部110とがそれぞれ異なる構成部位として説明したが、たとえばASICにて1つのプロセッサにより構成してもよい。また、複数の部位を汎用プロセッサを用いて構成することもできる。
【0054】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
5 ネットワーク
10、20 監視画像復号装置
31〜34 IPカメラ
40 制御盤
50 ビデオモニタ
100、200 切り換え部
101 モニタ出力制御部
110、210 記憶部
102、202 画像復号制御部
103、203 画像切り換え制御部
104、204 制御盤制御部
111、211 復号化画像データ
112、212 符号化画像データ
113、213 カメラ登録情報
114 選択チャンネル情報
115、215 表示カメラ番号
116、216 画面情報
201 画面表示切り換え部
300 画面例
310、320、330、340 表示画面
400 チャンネル選択枠
X、Y 監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視システムの映像復号装置において、
符号化された画像データを復号化するための画像復号制御部と、
復号化された画像データを分割画面として描画し、選択された前記分割画面にOSD(On Screen Display)表示を行ってビデオモニタに出力するモニタ出力制御部と、
制御盤からの前記分割画面の制御に係るコマンドを解析する制御盤制御部と、
解析された前記コマンドにより、選択された前記分割画面に表示する画像を切り換える画像切り換え制御部とを備え、
前記制御盤から前記コマンドにより、切り換えた受信画像データを前記画像復号制御部で復号し、復号化された画像データをビデオモニタに画像出力する
ことを特徴とする映像復号装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−80324(P2012−80324A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223565(P2010−223565)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】