説明

映像情報処理装置

【課題】
これまで赤外線やGPSを利用した、被写体の位置検知による撮像装置は有ったが、無線タグと顔検出を利用して被写体の撮影を行う仕組みや装置は無かった。
【解決手段】
本発明によれば、無線タグを利用することにより、ビデオカメラ起動時や被写体を見失ったときに、被写体の位置を位置検知により被写体を効率よく探す事が出来る。また、被写体認識により、顔を検出したら撮影や記録を行い、顔を検出できなければ撮影や記録を停止する事が可能である。位置検出は、無線信号を受信して三辺測量などの原理により、被写体の位置情報を取得することが出来、位置情報を元に効率よく被写体を撮影する事を促すことが可能となる。更に、位置情報に応じて自動でパン、チルトして撮影することが可能であるため、自動で被写体を撮影する事が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像する機能を有するビデオカメラや、デジタルカメラや、監視カメラや、定点カメラなどの映像情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「特定の被写体を狙った撮影を容易に行えるようにする」という課題に対し、「被写体100に赤外発信器102を取り付けると共に、ビデオカメラ本体101に赤外光のセンサ103を設ける。センサ103の検出画角は撮像部1の撮像画角より広い。撮影者がファインダ10を見ながら被写体100を狙うが、このとき被写体100が撮像画角を外れていても、センサ103では被写体100を赤外光により検出するので、この検出に基づいて赤外光の発信位置、即ち、被写体の位置や方向等の情報を算出し、これをファインダ10でマーク等により表示する」という解決手段を用いることが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、「認証に用いた顔画像を、より高い圧縮率で画像圧縮することにより、より多くの顔画像を格納する」という課題に対し、「顔画像格納システムであって、利用者の顔画像を撮像する撮像部と、複数の顔画像を格納している顔画像格納部と、顔画像格納部に格納されている複数の顔画像から、撮像部により撮像された撮像顔画像に対して、予め定められた基準値以上の類似度を示す類似顔画像を選択する類似顔画像選択部と、類似顔画像及び撮像顔画像の差分に基づいて、撮像顔画像を差分圧縮する差分圧縮部と、差分圧縮部により差分圧縮された撮像顔画像を顔画像格納部に格納する格納処理部とを備える顔画像格納システムを提供する」という解決手段を用いることが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平09-023359
【特許文献2】特開2006-59200
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビデオカメラで被写体を撮影するには、カメラ起動時や、被写体を見失ったときに探す手間がある。また、ビデオカメラで撮影した撮影情報から、被写体が登場する場面を抽出してDVDなどの記録メディアにまとめるには、編集機能を持つ機器で人手で編集しなければできなかった。
【0006】
また、被写体が赤外線センサを有する場合、ビデオカメラが顔認識機能を有している場合であっても、被写体を適切に撮影することができない場合があった。
【0007】
そこで、本発明では被写体の撮影を適切に行ない、映像情報処理装置の使い勝手を向上させる映像情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為、本発明の一実施態様によれば、被写体と撮像する撮像部と、無線タグと通信する通信部と、前記撮像部で撮像した情報に基づき被写体を認識する被写体認識部と、前記通信部で得られた無線タグからの情報に基づき前記被写体の位置情報を検出する位置検出部とを備えた映像情報処理装置を用いることとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被写体の撮影を適切に行なうことができ、映像情報処理装置の使い勝手を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本実施形態による無線タグから得られる位置情報等と、撮像部より得られる撮像情報による映像情報処理装置の構成の一例を示す。なお、位置情報とは、例えばカメラから被写体までの3次元的な距離を示す位置に関する情報を指し、撮像情報とは例えばカメラの撮像ぶから得られる被写体の映像を指すものとする。
【0012】
図1のビデオカメラの動作について簡単に説明する。
【0013】
ビデオカメラ3を、三脚ねじ部(図示省略)を有し、三脚ねじ部を三脚410の雲台411に固定する。該雲台には位置情報に従い自動で上下左右に可動する可動部が備えられている。ビデオカメラ3の電源を投入する。ビデオカメラ3の電源を投入した後、自動撮影モード切替スイッチ(図示省略)で自動撮影モードの状態にする。無線タグ1は、固有識別情報を持つ。無線タグ1の電源を入れると無線信号で固有識別情報を発信する。ビデオカメラ3は自動撮影モードの状態において、少なくとも3個以上備えられたアンテナ(図示省略)を備えた無線受信部で無線タグ1の無線信号を受信し、受信した無線信号を通信部401の位置検出機能により無線タグ1の位置を検出する。
【0014】
ビデオカメラ3は、被写体2の保持する無線タグ1の位置を検出するために、各種の接続機器や各構成要素の一部に後述するアンテナを有する。アンテナは一例として、三脚410、雲台411、フード412、マイク413、カメラ筐体414、リモコン415などに設けられる。前記無線受信部4は、被写体2が保持する無線タグ1からの無線信号を受信して位置情報を抽出する。被写体2は、可搬可能な無線タグ1を装着し、無線タグ1は、少なくとも固有識別情報を含む被写体識別情報を送出する。被写体識別情報には、固有識別情報以外にも測位するための測位情報やその他データなどの情報が含まれても良い。
【0015】
ビデオカメラ3は、主記録部としてハードディスクドライブ記憶装置(以下、HDDと称す。図示省略)を内蔵し、副記録部として、DVDドライブ(図示省略)を内蔵していてDVD−Videoディスク500(以下、DVDと称す)に撮像情報などを記録する。
【0016】
本実施例では、無線信号の到達時間差を利用した三辺測量の原理により測位する方式を利用している。通信部4は、三辺測量の原理により測位する所定の測位アルゴリズムを備える。ビデオカメラ3の無線受信部4にはアンテナ(図示省略)が少なくとも3つ以上あり、無線タグ1が送出した被写体識別情報5をアンテナで受信する。受信した被写体識別情報5を無線受信部4から通信部401で受信して測位する。
【0017】
ビデオカメラ3は抽出した位置情報をもとに、位置情報をビデオカメラ3の例えば表示部に出力したり、音声出力部(図示省略)に音声で出力したりすると共に、雲台411を制御し、被写体2を撮像するためパン、チルトする。また、ビデオカメラ3で抽出した位置情報を元に表示部(図示省略)の画角に所定の大きさで被写体2の画像が表示されるようにズーム制御する。
【0018】
位置情報の表示の一例として、位置検出した被写体2の保有する無線タグ1の周辺を枠311で囲んだり、印312で無線タグの位置を示す。
【0019】
ビデオカメラ3が被写体2を撮像できる状態が整ってから、表示部310に撮像情報を表示したり、識別情報や位置情報や撮像情報などの情報を記録部に記録することも可能とし、ビデオカメラ3が有するバッテリや記録領域を節約することが可能である。
【0020】
また、各部を制御する管理部(図示省略)としてビデオカメラ3に内蔵する中央演算処理装置(一般的なCPUの機能を有する)により、外部機器に固有識別情報や位置情報や撮像情報を出力する。
【0021】
図2に本実施例のビデオカメラ3の構成図の一例を示す。ビデオカメラ3は、無線受信部4を備える。無線受信部4には、前述の図1で説明したように、三脚410や雲台411、レンズフード412、マイク413、表示部310を収める筐体414、ビデオカメラ3を操作するリモコン415に無線信号を受信するためのアンテナの機能を有する。なお、説明簡単ため、要素によっては図示を省略している。また、映像情報を記録する主記録部303、副記録部304を有する。
通信部401には、無線受信以外にも外部機器との情報のやり取りを行う機能を有し、少なくとも撮像情報などの情報を外部機器に出力する。ビデオカメラ3で受信した被写体2の被写体識別情報5は、無線信号の固有識別情報と測位情報により所定の測位方式により、測位され位置情報を抽出する。
【0022】
位置情報を元に所定の制御アルゴリズムに従って制御情報を出力して、雲台411を上下、左右に制御して、無線タグ1を撮像できるようビデオカメラ3の向きを調整する。ビデオカメラ3の向きが調整され、無線タグ1を撮像可能な状態にビデオカメラ3を整えた後に、撮像部301で被写体を撮像し、撮像情報を被写体認識部302に送る。被写体認識部302によって被写体2の顔を検出できた場合、表示する顔の大きさが所定値になるようオートズーム制御部(図示省略)によりズームして、被写体2を撮影する。被写体認識部301によって被写体2の顔を検出できなかった場合は、位置情報から求められる距離に応じて所定のズーム値に制御して、被写体2の近傍を撮影する。また、ビデオカメラ3は、雲台無しで電子パン、電子チルト機能を有して被写体2の保持する無線タグ1の動きに応じて撮像しても良い。
【実施例2】
【0023】
前記実施例1のように無線タグ1を撮像可能な状態にビデオカメラ3を整えた後に、常に無線タグ1の距離に応じて所定のズーム値に制御する。所定のズーム値に制御して撮影可能な状態にした後、顔検出を行い、顔を検出すれば撮影を開始して、記録を行う。顔検出を行って顔を検出できなければ撮影を停止して、記録を停止する。このようにして、無線タグ1との距離に応じてズームし常に撮像可能な状態を保ち顔を検出したときのみ撮影、記録する。
【実施例3】
【0024】
ビデオカメラ3は、撮像情報から被写体2をどれだけ正確に被写体の顔を検出したかを示す値を含む被写体検出精度情報を抽出する。また、どれだけ正確に無線タグ1の位置を検出したかを示す値を含む位置検出精度情報を抽出する。
【0025】
被写体検出精度情報と位置検出精度情報がそれぞれ、所定の閾値に対しどれだけ高いか低いかによって、オートズーム制御するための参照情報として切り替えられる。
【0026】
被写体2の顔が障害物などで遮られて精度よく検出できず被写体の被写体検出精度情報が所定の閾値に対し低く、位置検出精度情報が所定の閾値に対し高い場合は、位置検出の位置情報に従ってオートズームする。
【0027】
逆に、電波状況が悪く位置検出精度情報の値が所定の閾値より低く、被写体検出精度情報の値が所定の閾値より高い場合は、被写体2を撮像した撮像情報に従ってオートズームする。ビデオカメラ3は、各々の検出精度情報の値に基づきオートズーム時に採用する情報を選択して、撮影する事により精度よく被写体2を撮影する。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、 必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【0028】
以上、説明した実施例によれば、これまで、人間の感覚だけに頼って撮像していたビデオカメラに位置情報と顔検出を提供する事により、顔検出のみと比較して、起動時や被写体を見失ったときに探し回らなくて済む為、更に効率よく被写体を撮影する事を可能とすることが出来る。また、無線タグのみの場合と比較して、被写体が隠れてしまった場合に無駄に記録しなくて済む為、記録容量や電力を節約できる効果がある。被写体がうまく検出できないときは位置検出情報に従ってオートズームしたり、逆に、位置検出精度が低くて被写体検出精度が高い場合に被写体の撮像情報に従ってオートズームする事により、一方の検出精度が低いときに他方の検出結果を利用して補い合いながらオートズームする事が可能となる。以上のような発明により、無線タグの位置検出と顔検出を利用した撮影を行うことで、撮影対象とする被写体を効率よく撮影、録画する事を可能とし、被写体の思わぬ動きで見失ってしまうような場面や、いつ登場してくるか分からないといったようなで場面で、被写体を撮影し損ねる事を避けることが可能となる。又、記録した被写体の撮像情報と共に、固有識別情報や、固有識別情報と関連付けた、例えば、子供の名前で記録した情報を表示する事が出来るため、サムネイル以外に名前を選択して、再生や、他記録メディアへの出力を行う事が出来る利便性の効果が得られる。
【0029】
また、無線タグを被写体に装着し、通信部で無線タグの信号を受信することで、被写体の位置や距離などの位置情報を検出できる。この位置情報に基づき可動部にて自動でパン、チルトして被写体を撮影可能な方向に撮像装置を向けることが可能になる。被写体認識を用いたオートズームにより、所定の表示サイズで該被写体を撮影したり、被写体認識する事で記録を開始したり、停止したりすることが可能となる。また、どの方向に向ければ該被写体を撮影できるかを表示手段や音声出力手段により被写体の方向を撮影者に伝達する事が可能となる。このように、無線タグの固有識別情報と被写体認識を利用して目的の被写体を自動で撮影、記録する事が可能となるため上記課題を解決することが可能である。
【0030】
本発明の映像情報処理装置は、無線タグを利用した位置検知によって、被写体の位置に関する情報を抽出して、被写体を見失ったり、人間の目では認識不能になった場合でも、位置に関する情報を元に目的の被写体を効率よく撮影することが可能である。また、撮像部から得た信号から、顔の部分を検出する事により、効率よく撮影することが可能である。例えば、似たような服装で、似たような体格の子供が集まるような運動会などであっても、無線タグからの情報と、撮像した被写体の撮像情報により、無線タグの位置情報に基づき、表示や音声により、位置を知りうることが可能で、効率よく撮影することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ビデオカメラの位置検出による映像情報処理装置の図である。
【図2】ビデオカメラの構成図である。
【符号の説明】
【0032】
1 無線タグ
2 撮像対象の被写体
3 ビデオカメラ
301 撮像部
302 被写体認識部
311 無線タグと被写体を囲む枠
312 無線タグを示す矢印
320 ファインダ
303 主記録部
304 副記録部
4 無線受信部
401 通信部
410 三脚
411 雲台
412 レンズフード
413 マイク
414 表示部筐体
415 ビデオカメラのリモコン
5 被写体識別情報
500 DVD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像部と、
無線タグと通信する通信部と、
前記撮像部で撮像した情報に基づき被写体を認識する被写体認識部と、
前記通信部で得られた無線タグからの情報に基づき前記被写体の位置情報を検出する位置検出部と、
を備えたことを特徴とする映像情報処理装置。
【請求項2】
請求項1の映像情報処理装置であって、
前記被写体認識結果に基づき撮影の開始、終了を制御することを特徴とする映像情報処理装置。
【請求項3】
請求項1の映像情報処理装置であって、
前記被写体認識結果と前記位置検出結果に応じてズーム制御を行うことを特徴とした映像情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−288745(P2008−288745A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130000(P2007−130000)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】