説明

映像機器ラック一体型プロジェクタ

【課題】投射型映像表示装置と映像機器との鑑賞方向を揃えることが出来ると共に、夫々の設置空間を少なくすることが出来る装置を提供することを課題とする。
【解決手段】映像機器38を設置するラック29と、ラック29の液晶テレビ設置場所32の天面に水平設置され、ラック29の前面へ映像を投射する短焦点プロジェクタ20と、短焦点プロジェクタ20から前面に投射された映像を投影可能にラック29の前面に配置されていると共に収納自在なスクリーン34と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は光源からの光を入力映像信号に基づき変調して、投射レンズを介して映像を投射するプロジェクタ等の投射型映像表示装置及び、映像機器ラック、収納自在なスクリーンを具備した映像機器ラック一体型プロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の投射型映像表示装置は、例えば図6に示すような出窓部分1に配置されるプロジェクタ4と、該プロジェクタ4からの投射光を反射する反射手段5と、昇降可能であり、上昇位置で前記反射手段からの投射光を裏側に投射するスクリーン7とを具えた特許文献1記載の構成が知られている。
【特許文献1】特開平5−66471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記先行技術の投射型映像表示装置は、出窓部分に投射型映像表示装置が組込設置されており、テレビ等の映像機器を出窓とは異なる場所に設置した時には鑑賞者が投射型映像表示装置の映像と映像機器の映像を鑑賞する方向を夫々変える必要があった。
【0004】
そこで、映像機器を出窓部分に設置すると、映像機器が出窓風景を鑑賞することの妨げとなる為、映像機器を設置する場所として別の設置空間が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の第1の手段は、映像機器ラックの天面側に配置され前記ラックの前方に映像を投射する短焦点の投射型映像表示装置と、該投射型映像表示装置から投射された映像が投射可能となる投影位置と収納されて投影不能となる収納位置間で変位可能なスクリーンと、前記投射型映像表示装置の下方にあり、映像表示面を前方に向けた状態で映像機器を収納可能な収納部を備える映像機器ラック一体型プロジェクタであり、前記スクリーンが前記投影位置にある場合に、前記収納部は前記スクリーンにより非露出状態となり、前記収納位置にある場合に前記収納部は露出状態となることによるものである。
【0006】
第2の手段は、映像機器ラックの天面側に配置された投射型映像表示装置と、該投射型映像表示装置の投射レンズからの投射光を屈曲反射させて映像機器ラックの前面へ映像を投射する反射鏡と、前記反射鏡から反射された映像が投射可能となる投影位置と収納されて投影不能となる収納位置間で変位可能なスクリーンと、前記投射型映像表示装置の下方にあり、映像表示面を前方に向けた状態で映像機器を収納可能な収納部を備える映像機器ラック一体型プロジェクタであり、前記スクリーンが前記投影位置にある場合に、前記収納部は前記スクリーンにより非露出状態となり、前記収納位置にある場合に前記収納部は露出状態となることによるものである。
【0007】
また、短焦点の投射型映像表示装置または投射型映像表示装置や映像機器のケーブル類を映像機器ラックの内外へ引き回すための複数のケーブル通し穴を備えていても良いものである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば投射型映像表示装置による映像の表示面と、映像機器の表示面が同一方向となるように両者を設置できる為、双方の鑑賞を容易に行うことが出来ると共に、設置場所の省スペース化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本願発明の第1実施形態を図1乃至図3を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本願発明に係る短焦点の投射型映像表示装置としての短焦点プロジェクタ20の側断面図で、図示しない超高圧水銀ランプ等の光源から出射された光を反射鏡、レンズ、偏光板、液晶バルブ等を含む複数の光学部品により映像信号に基づき変調する光変調部21と、光変調部21からの映像を拡大投射する投射レンズ22と、投射レンズ22の投射方向に配置され、投射レンズ22から投射された映像の映像光路23を屈曲させる凹面反射鏡24と、短焦点プロジェクタ20の筐体25と映像光路23が交差する部分に形成された投射窓26から構成されている。
【0011】
また、短焦点プロジェクタ20を直立させた状態では、短焦点プロジェクタ20の筐体25に形成された投射窓26から投射された映像は、床面27に投影できるようになっている。
【0012】
図2は、本願発明に係る第1実施形態の映像機器ラック一体型プロジェクタ28を第三角法で三面図に図示したものである。尚、以下図2、図3、図4、図5には同様に夫々の説明に用いている映像機器ラック一体型プロジェクタにかかる正面図を符号(a)、上面図を符号(b)、側面図を符号(c)として図示している。
【0013】
短焦点プロジェクタ20は、ラック29の上段にある天面空間30に設置され、留め具31によってラック29に対して螺着固定され、且つ投射窓26から投射される映像がラック29の前面へ投射可能に水平設置されている。
【0014】
液晶テレビ設置場所32は、ラック29の中段に設けられ、前面側のみ開口された略直方体の空間である。液晶テレビ設置場所32は前面側と後述のケーブル通し穴37以外からは外光が射し込まない構造をしている。
【0015】
引き出し33は、ラック29の下段に設けられ、収納物を収納する際に区分可能な様に複数配置されている。
【0016】
巻き取り式スクリーン34は、短焦点プロジェクタ20同様にラック29の上段にある天面空間30に収納され、巻き取り式スクリーン34の主軸41は、天面空間30の両側内側面に回転可能に固定されている。
【0017】
前記主軸41は、図示しない渦状にバネ材を巻いて成されるぜんまいバネを具備しており、ユーザーが手動で巻き取り式スクリーン34の端辺を引き出すことにより、ぜんまいバネが弾性変形し巻き取り式スクリーン34を引き戻す力が発生する。しかし、巻き取り式スクリーン34は、完全に映像機器設置空間32の前面に垂下させると、巻き取り式スクリーン34の端辺とラック29に具備されている図示しない留め具機構または磁石等により一時固定され、垂下状態で保持可能となる。また、解除する際には、留め具機構または磁石等の保持力より強い力で巻き取り式スクリーン34を引き上げることにより解除することが可能となる。
【0018】
仕切り板35は、天面空間30と液晶テレビ設置場所32の間に設けられた隔壁である。
【0019】
投射穴36は、仕切り板35に設けられ、短焦点プロジェクタ20の投射窓26から投射される映像面より十分大きく開いた空間である。
【0020】
ケーブル通し穴37は、短焦点プロジェクタ20または液晶テレビ38に使用する電源ケーブルまたは映像機器ケーブル等をラック内外に引き回す為、ラック29の複数の場所に設けられた通し穴である。
【0021】
識別線39は、液晶テレビ設置場所32の両側内側面に具備されている。識別線39は、短焦点プロジェクタ20の投射窓26から投射される下限の映像光路23の跡をペイントまたは凹凸によって示しており、液晶テレビ38をユーザーが液晶テレビ設置場所32に設置する時に映像光路23を遮って設置しないための目印になっている。
【0022】
図3は、前記映像機器ラック一体型プロジェクタ28において天面空間30に収納された巻取り式スクリーン34を伸ばして使用した状態を第三角法で三面図に図示したものである。
【0023】
この状態では、短焦点プロジェクタ20の投射窓26から投射された映像が投射穴36を経て、巻き取り式スクリーン34に映像40が投影される。
【0024】
また、液晶テレビ設置場所32に設置されている液晶テレビ38は、巻き取り式スクリーン34により隠れている為、短焦点プロジェクタ20の生成する映像を鑑賞する時に最適である。
【0025】
また、巻き取り式スクリーン34が天面空間30に収納された図2の状態では、液晶テレビ38を鑑賞者から見て遮るものは何もなく、液晶テレビ38の映像を鑑賞する時に最適である。
【0026】
また、液晶テレビ38を設置する際に液晶テレビ設置場所32の両側内側面に設けられた識別線39によって、ユーザーに映像光路23の下限側を把握させることが可能で有る為に液晶テレビ38が映像光路23を遮ることが無いように設置することが容易となる。
【0027】
この様に、短焦点プロジェクタ20、ラック29、収納自在な巻き取り式スクリーン34を一体とした映像機器ラック一体型プロジェクタ28とすることによって、短焦点プロジェクタ20や、液晶テレビ38を配置する場所が同一設置方向に設置できる為、短焦点プロジェクタ20の投射窓26から投射される映像と液晶テレビ38の映像とを鑑賞する方向が同一で夫々の映像鑑賞が容易に出来ると共に、設置場所の省スペース化が図れる。
【0028】
また、備え付けのケーブル通し穴37がある為、引き回しのためのケーブル配線が容易となる。
【0029】
更に、短焦点プロジェクタ20の使用時には、巻き取り式スクリーン34が垂下され、その裏にある液晶テレビ設置場所32に光が射し込み難いように囲まれる為、明るい室内でも短焦点プロジェクタ20の映像鑑賞が容易となる。
【0030】
また、巻き取り式スクリーン34は、手動で垂下動作を行ったが巻き取り式スクリーン34がたるまない様にその端辺重量を増やし、電動モーター等により主軸41を回転させて自動で使用または収納を行っても良いものとする。
【0031】
また、第1実施形態では、液晶テレビ設置場所32と天面空間30との間を仕切り板35により仕切ったが、仕切り板35をなくし、天面空間30と液晶テレビ設置場所32を一つの空間としても良いものとする。
【0032】
また、液晶テレビ38は、液晶テレビ設置場所32へ直立させて設置しているが映像光路23を遮らない限り、壁掛け設置を行っても良いものとする。
【0033】
(第2実施形態)
以下、本願発明の第2実施形態を図4または図5を参照して詳細に説明する。
【0034】
図4は、第2実施形態における映像機器ラック一体型プロジェクタ128を三角法で三面図に図示したものであり、第1実施形態と同一部品については同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
第1実施形態では、短焦点の投射型映像表示装置として短焦点プロジェクタ20をラック29の液晶テレビ設置場所32の天面空間30に留め具31によってラック29に対して固定され、且つ投射窓26から投射される映像がラック29の前面へ投射可能に水平設置したが、短焦点プロジェクタ20の代わりとして該短焦点プロジェクタ20より長焦点なプロジェクタである既存のプロジェクタ20aと凹面反射鏡24aとを使用している。
【0036】
プロジェクタ20aは、ラック29の液晶テレビ設置場所32の天面空間30に留め具31によってラック29に対して水平に螺着固定されている。
【0037】
凹面反射鏡24aは、天面空間30の内壁面から突出した図示しない固定部に凹面反射鏡24aの図示しないフランジ部を固定され、投射レンズ22aから投射された映像を屈曲反射させる為に投射レンズ22aの投射方向に固定されている。
【0038】
そして、プロジェクタ20aと凹面反射鏡24aとを組み合わせた時に投射レンズ22aからの映像がラック29の前面へ投射可能になっており、それらを組み合わせた焦点距離は、前記短焦点プロジェクタ20とほぼ同等となるように凹面反射鏡24aの曲率半径や投射レンズ22aからの設置距離が設定されている。
【0039】
図5は、前記第2の実施形態の映像機器ラック一体型プロジェクタ128において図3と同様に天面空間30に収納された巻取り式スクリーン34を伸ばして使用した状態を第三角法で三面図に図示したものであり、プロジェクタ20aの投射レンズ22aから投射された映像を凹面反射鏡24aにより屈曲させ、巻き取り式スクリーン34へ映像40を投影させている。
【0040】
この様に、プロジェクタ20a、凹面反射鏡24a、ラック29、収納自在な巻き取り式スクリーン34を一体とした映像機器ラック一体型プロジェクタ128とすることによって、第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。また、既存の投射型映像表示装置を使用することが可能であると共に、凹面反射鏡24aを投射型映像表示装置の筐体25で覆う必要がないため、筐体25の材料コストも削減をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態の短焦点プロジェクタの断面図
【図2】第1実施形態の短焦点プロジェクタを使用した映像機器ラック一体型プロジェクタ(液晶テレビ映鑑賞時)
【図3】第1実施形態の短焦点プロジェクタを使用した映像機器ラック一体型プロジェクタ(プロジェクタ映像鑑賞時)
【図4】第2実施形態のプロジェクタと凹面反射鏡を使用した映像機器ラック一体型プロジェクタ(液晶テレビ映像鑑賞時)
【図5】第2実施形態のプロジェクタと凹面反射鏡を使用した映像機器ラック一体型プロジェクタ(プロジェクタ映像鑑賞時)
【図6】出窓部分に投射型映像表示装置を組み込んだ先行技術実施例
【符号の説明】
【0042】
20 短焦点のプロジェクタ(短焦点の投射型映像表示装置)
28 映像機器ラック一体型プロジェクタ
29 ラック(映像機器ラック)
30 天面空間
32 液晶テレビ設置場所(収納部)
34 巻き取り式スクリーン(スクリーン)

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38 液晶テレビ(映像機器)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像機器ラックの天面側に配置され前記ラックの前方に映像を投射する短焦点の投射型映像表示装置と、該投射型映像表示装置から投射された映像が投射可能となる投影位置と収納されて投影不能となる収納位置間で変位可能なスクリーンと、前記投射型映像表示装置の下方にあり、映像表示面を前方に向けた状態で映像機器を収納可能な収納部を備える映像機器ラック一体型プロジェクタであり、前記スクリーンが前記投影位置にある場合に、前記収納部は前記スクリーンにより非露出状態となり、前記収納位置にある場合に前記収納部は露出状態となることを特長とする映像機器ラック一体型プロジェクタ。
【請求項2】
映像機器ラックの天面側に配置された投射型映像表示装置と、該投射型映像表示装置の投射レンズからの投射光を屈曲反射させて映像機器ラックの前面へ映像を投射する反射鏡と、前記反射鏡から反射された映像が投射可能となる投影位置と収納されて投影不能となる収納位置間で変位可能なスクリーンと、前記投射型映像表示装置の下方にあり、映像表示面を前方に向けた状態で映像機器を収納可能な収納部を備える映像機器ラック一体型プロジェクタであり、前記スクリーンが前記投影位置にある場合に、前記収納部は前記スクリーンにより非露出状態となり、前記収納位置にある場合に前記収納部は露出状態となることを特長とする映像機器ラック一体型プロジェクタ。
【請求項3】
短焦点の投射型映像表示装置または投射型映像表示装置や映像機器のケーブル類を映像機器ラックの内外へ引き回すための複数のケーブル通し穴を備えた請求項1または請求項2記載の映像機器ラック一体型プロジェクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−204811(P2009−204811A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46059(P2008−46059)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】