説明

映像表示装置及び方法

【課題】周囲の照明環境と人の生体リズムに合わせてより適切に色温度を変更可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示手段7の周囲に設けられた色温度検出手段6で検出された色温度とメモリ4に格納されている時刻に応じた色温度補正値とをマイコン3で演算し、得られた演算結果を環境色温度とする。マイコン3はメモリ4に格納されている環境色温度と映像色温度との関係を示すテーブルをもとに映像色温度を設定し色温度調整信号を色温度設定手段2に出力し、表示手段7では調整された色温度の映像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴ユーザの周囲の室内照明環境などのユーザ環境に応じて、テレビジョン受像機もしくはパーソナルコンピュータ等の表示条件を自動的に設定できるようにした表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の目には照明の光質が変化しても、光源の色温度に応じて色の見え方が同じように感じる色順応反応があることが知られている。例えば人の目は部屋の照明が白熱電灯(色温度が低い)下で見た色と蛍光灯(色温度が高い)下で見た色とは、大きく色が変化したと感じないように照明環境に応じた相対的な色判断するように色順応作用が備わっている。
【0003】
このような色順応作用により、例えばユーザがテレビジョン番組などを視聴中に、室内の照明環境とディスプレイの色温度が異なる場合に、その差を違和感として感じることがある。そこで、色温度検出手段によって、部屋の色温度を自動的に検出し、それに見合った色味にテレビの色温度を合わせる技術がある(例えば特許文献1)。この技術によって常に部屋の色味とテレビの色味が合致し、ユーザが感じる違和感を軽減できる。
【0004】
ところで、近年の研究報告によると、人には昼間活動し夜間は眠るという睡眠・覚醒リズムや、夕方に最高温度・朝方には最低温度となる体温リズムがあり、それは概日リズム(サーカディアンリズム)の代表的なものとされるとの報告がある(非特許文献1)。概日リズムとは24時間周期で変動する生活リズムであり、正常に保つための重要な役割として光が挙げられる。光が生体に及ぼす影響の1つに、一般に人はメラトニンというホルモンの分泌により眠気を誘発し、光刺激を網膜で受光することによりメラトニンの分泌が抑制されるということが知られている。
【0005】
また、メラトニンと色温度との間には相関関係があり、色温度の高い光ほど覚醒作用が強く、人の生活リズムを活発化させる方向へ導く働きかけを行い、色温度の低い光ほど気分を落ち着かせ、人の生活リズムを安静な状態へ導く働きかけを行うといわれている。
【0006】
そして、特許文献1では色温度検出手段により、ディスプレイの周囲の照明環境の色温度に応じてディスプレイの色温度を調整する技術について開示されている。しかし、開示の技術では、周囲の照明環境に応じてディスプレイの色温度の調整を行うのであって、時刻による色温度の調整については記載されておらず、例えば外光の入りにくい室内のような照明環境の変化が少ない状況においては、映像表示装置の色温度を変化させることができず、ユーザは同一の色味の表示装置を見ることになる。このことは上述した理由により生体のリズムに害を及ぼすと考えられる。
【0007】
さらに、特許文献2には、時間帯に応じて屋外光の色温度に追従してホワイトバランスを調整するカメラに関する技術が開示されている。しかしながら、特許文献2で開示の技術では、あらかじめカメラ本体のメモリに内蔵されている時間に基づいてホワイトバランスの調整を行っているので、周囲の照明環境に応じて適切に調整することができない。
【0008】
故に、周囲の照明環境と人の生体リズムに適合するように色温度を変更可能な映像表示装置が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−78920(平成15年3月14日公開)
【特許文献2】特開昭62−199191(昭和62年9月2日公開)
【非特許文献1】安河内 朗、“照明光に対するヒトの適応能−生理人類学からのアプローチ”、[online]、平成19年9月5日、文部科学省、[平成21年6月18日検索]、インターネット<URL:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/07091111/006.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
室内の照明環境に変化が生じにくい状況においては、時刻による色温度の調整をする手段を有さずに色温度検出手段のみを有する映像表示装置は、周囲の照明の色温度と同一の色温度の映像を表示することになる。しかしながら、このような映像表示装置は、前述したとおり、人の生活リズムにとって悪影響を及ぼすという課題がある。本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、視聴環境と人の生活リズムに適合するように色温度を調整可能な映像表示装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる映像表示装置は、表示手段に表示される映像の色温度を補正するために前記表示手段の周囲の色温度を検出する色温度検出手段を備えた映像表示装置であって、前記色温度検出手段によって検出された色温度を時刻に応じて補正する色温度補正手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる映像表示装置によれば、従来から行われている映像表示装置の周囲光を検出して、その周囲光を判断して表示装置の色温度を調整する技術に加えて、時刻による色温度の補正も行うことで、例えば、窓のない部屋や地下街のような周囲の照明環境に変化が生じにくいような状況においても、人の生活リズムに適合するように色温度を調整可能な映像表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】視聴環境の時刻による色温度の変化を示す関係図
【図2】本発明の第1の実施例のブロック構成図
【図3】時刻による色温度補正値の変化を示す関係図
【図4】環境色温度に対する映像の色温度を示す関係図
【図5】本発明の第1乃至第4の実施例に関するフローチャート
【図6】本発明の第2の実施例に関するブロック構成図
【図7】本発明の第2の実施例に関する天気の違いによる色温度補正値の変化を示す関係図
【図8】本発明の第3の実施例に関するフローチャート
【図9】本発明の第3の実施例に関するユーザ決定による色温度補正値の変化を示す関係図
【図10】本発明の第4の実施例に関するブロック構成図
【図11】本発明の第4の実施例に関するLEDバックライトに関する構成図
【図12】本発明の第3の実施例に関するブロック構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のいくつかの実施例について以下に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
本発明の第1の実施例に対して図1乃至図5を用いて説明する。図2は本発明の第1の実施例のブロック構成図であり、第1の実施例では、信号処理手段1は映像信号を色温度設定手段2に入力する。色温度検出手段6は例えばRGBセンサであり、表示手段7の周囲の色温度を検出し、検出した信号をマイコン3を介してメモリ4に入力する。
【0016】
図2に示されるように、内蔵カレンダー5は時刻、年月日等の情報を有しておりマイコン3に出力を行う。メモリ4は色温度検出手段6で検出された色温度と図3に示すような時刻と色温度補正値との関係を規定した色温度補正値テーブルを格納する。マイコン3は色温度検出手段6で検出した色温度と前記内蔵カレンダー5から入力される時刻と年月日の情報から定まる色温度補正値とを演算し環境色温度とする。環境色温度は図5に示すような順序で算出される。即ち、色温度検出手段6での読み取り値(A)を、検出した色温度に図3に示す現在時刻に対応する色温度補正値を加算して色温度補正値(B)を算出し、環境色温度(C)を決定し、その値をメモリ4に格納する。
【0017】
図4に示すようなあらかじめメモリ4に格納されている環境色温度と映像色温度との関係を示すテーブルにもとづいて、マイコン3によって映像色温度が設定され色温度調整信号として色温度設定手段2に出力する。色温度設定手段2は入力された色温度調整信号と信号処理手段1より入力される映像信号を表示手段7で表示されるための映像の色温度として設定する。表示手段7は色温度設定手段2からの出力に応じて映像を表示する。
【0018】
次に、第1の実施例の動作について説明する。色温度検出手段6で検出された表示手段7の周囲の色温度はマイコン3を介してメモリ4に入力される。色温度検出手段6は例えばRGBセンサで、光をフォトダイオードによって受光して、アナログ−デジタル変換を行い電圧信号を出力する。図1は、比較のために外光の入る部屋と入らない部屋において色温度検出手段6で検出されるおよその検出結果である。破線は、外光の入る部屋における色温度の検出結果である。実線は、外光の入らない部屋における色温度の検出結果であり、一般的に室内で用いられる昼白色の蛍光ランプ(約5000(K))に一致する。内蔵カレンダー5は時刻情報をマイコン3に入力する。
【0019】
マイコン3では、図3に示すようなメモリ4にあらかじめ格納されている時刻に対応する色温度補正値を決定し、色温度検出手段6で検出され前記入力された色温度に前記色温度補正値を加算する演算を行い環境色温度とする。更にマイコン3によってあらかじめメモリ4に格納されている図4に示すような環境色温度と映像色温度との関係を示すテーブルにもとづいて映像色温度が設定され、色温度調整信号として色温度設定手段2に出力する。図4で示すような環境色温度と映像色温度の関係は映像表示装置の特性によって定まる関数である。
【0020】
また、加算される補正値に関して、図3の縦軸に示す基準値は、便宜上(0(K))と記載しているが、本来は、一般的に室内で使用される蛍光ランプの色温度値(5000(K))である。つまり、外光の入らない室内が一般的な蛍光ランプで照明されているときには、色温度検出手段で検出される色温度値は約(5000(K))であり、この値に対してどれぐらい色温度補正値として加算されるかを表現するために、形式的に基準値(0(K))と記載している。具体的に述べると、例えば、正午における時刻による色温度の補正値(+7000(K))を色温度検出手段6で室内において検出される蛍光ランプの色温度値(5000(K))に加算する演算を行うと、環境色温度は(12000(K))となり、青空光の色温度(約12000(K))に一致する。これにより、照明環境に変化が生じない状況でも、正午の映像の色温度を表示することができる。信号処理手段1は映像信号を色温度設定手段2に入力する。色温度設定手段2では、入力された色温度調整信号にもとづいて映像の色温度を設定し、表示手段7に出力する。表示手段7では調整された色温度の映像を表示する。 上記構成により、色温度検出手段によって表示装置周囲の色温度を検出し、更に時刻による色温度の補正値を加算して補正することにより、ユーザの照明環境と人の概日リズムとを考慮した映像を表示可能な映像表示装置を提供することが出来る。
【実施例2】
【0021】
次に、本発明の第2の実施例を図4乃至図7を用いて説明する。図6において、アンテナ11は放送信号を受信しチューナ10に出力する。放送信号にはテレビ放送の映像信号に加え、例えば、天気に関するデータ等を有したデータ放送信号が含まれている。チューナ10は受信した放送信号を選局し映像信号、データ放送信号を信号処理手段1に出力する。信号処理手段1は信号処理が行われた後、映像信号を色温度設定手段2に出力する。また、信号処理手段1はデータ放送信号をマイコン3に出力し、データ放送信号中の天気に関するデータが抽出されて、メモリ4に格納される。色温度検出手段6は、表示手段7の周囲の色温度を検出して、検出した信号をマイコン3を介してメモリ4に出力する。内蔵カレンダー5は時刻、年月日等の情報を有しておりマイコン3に出力を行う。メモリ4は色温度検出手段6で検出された色温度と図7に示すような時刻と色温度補正値との関係を規定した色温度補正値テーブルと信号処理手段1から入力される天気に関するデータを格納する。
マイコン3はメモリ4に格納されている天気に関するデータにもとづいて、前記内蔵カレンダー5から入力される時刻と年月日の情報から定まる色温度補正値テーブルを選択して、色温度検出手段6で検出した色温度と演算して環境色温度とする。
【0022】
環境色温度は上述と同様、図5に示すような順序で算出され、図4に示すようなあらかじめメモリ4に格納されている環境色温度と映像色温度との関係を示すテーブルにもとづいて、マイコン3によって映像色温度が設定され色温度調整信号として色温度設定手段2に出力する。
色温度設定手段2は入力された色温度調整信号と信号処理手段1より入力される映像信号を表示手段7で表示されるための映像の色温度として設定する。表示手段7は色温度設定手段2からの入力に応じて映像を表示する。
【0023】
次に第2の実施例の動作について説明する。アンテナ11は放送信号を受信しチューナ10に出力する。チューナ10は受信した放送信号を選局し映像信号、データ放送信号を信号処理手段1に出力する。信号処理手段1は信号処理が行われた後、映像信号を色温度設定手段2に出力する。また、信号処理手段1はデータ放送信号をマイコン3に出力し、データ放送信号中の天気に関するデータが抽出されて、メモリ4に格納される。
【0024】
色温度検出手段6は、表示手段7の周囲の色温度を検出して、検出した信号をマイコン3を介してメモリ4に入力する。色温度検出手段6の構成は第1の実施例で示した通りである。内蔵カレンダー5は時刻、年月日等の情報を有しておりマイコン3に出力を行う。メモリ4は色温度検出手段6で検出された色温度と図7に示すような時刻と色温度補正値との関係を規定した色温度補正値テーブルと信号処理手段1から入力される天気に関するデータを格納する。図7の破線で示す時刻と色温度補正値との関係は天気が晴れの日を基準にしており、点線は曇りの日を基準にしている。
【0025】
マイコン3はメモリ4に格納されている天気に関するデータにもとづいて、前記内蔵カレンダー5から入力される時刻と年月日の情報から定まる色温度補正値テーブルを選択して、色温度検出手段6で検出した色温度と演算して環境色温度とする。
【0026】
例えば、メモリ4に格納されている天気に関するデータが曇りであれば、図7に示す色温度補正値テーブルは曇りモードのテーブルが選択され、色温度検出手段6で検出された色温度と演算されて環境色温度とされる。
【0027】
メモリ4に格納される天気に関するデータはマイコン3によって一定時間おきに参照されて、色温度補正値テーブルを選択する基準とされる。一定時間おきに参照されるとは、例えば1時間おきに参照されることである。尚、本実施例においては、データ放送信号中の天気に関するデータにもとづいて、色温度補正値テーブルを選択するような構成としているが、これに限定されることはなく、例えば、インターネットから天気に関するデータを取得するような構成としてもよい。以下第1の実施例と同様であるので省略する。
【0028】
上記構成により、第1の実施例で示した効果に加えて、天気の違いに対応するように色温度補正値をユーザによって選択可能とすることにより、より正確な色温度補正値を再現可能な映像表示装置を提供することが出来る。
【実施例3】
【0029】
次に、本発明の第3の実施例を図4、図5、図8、図9、図12を用いて説明する。図12において、信号処理手段1は映像信号を色温度設定手段2に入力する。色温度検出手段6は、表示手段7の周囲の色温度を検出して、検出した信号をマイコン3を介してメモリ4に入力する。内蔵カレンダー5は時刻、年月日等の情報を有しておりマイコン3に出力を行う。メモリ4は色温度検出手段6で検出された色温度と図9に示すような時刻と色温度補正値との関係を規定した色温度補正値テーブルを格納する。遠隔制御装置はユーザによって図9に示すようなメモリ4の時刻と色温度補正値との関係を規定した色温度補正値テーブルを選択可能である。
【0030】
マイコン3は色温度検出手段6で検出した色温度と前記遠隔制御装置からの入力により選択されたテーブルの色温度補正値とを演算して環境色温度とする。環境色温度は図5に示すような順序で算出され、図4に示すようなあらかじめメモリ4に格納されている環境色温度と映像色温度との関係を示すテーブルにもとづいて、マイコン3によって映像色温度が設定され色温度調整信号として色温度設定手段2に出力する。色温度設定手段2は入力された色温度調整信号と信号処理手段1より入力される映像信号を表示手段7で表示されるための映像の色温度として設定する。表示手段7は色温度設定手段2からの入力に応じて映像を表示する。
【0031】
次に第3の実施例の動作について説明する。本実施例の動作は図8に示す手順に従う。即ち、色温度検出手段6での読み取り値(A)に対して、ユーザによる決定が行われなかった場合は、現在時刻に対する色温度補正値を加算して色温度補正値(B)を算出し、環境色温度(D)を決定し、その値をメモリ4に格納する。ユーザによる決定が行われた場合は、ユーザ選択による現在時刻に対する色温度補正値を加算して色温度補正値(C)を算出し、環境色温度(E)を決定し、その値をメモリ4に格納する。
【0032】
色温度検出手段6で検出された表示手段7の周囲の色温度はマイコン3を介してメモリ4に入力される。色温度検出手段6の構成は第1の実施例で示した通りである。内蔵カレンダー5は時刻情報をマイコン3に入力する。
【0033】
またユーザによる遠隔制御装置でのマイコン3への入力により、メモリ4に格納されている図9の破線に示すような色温度補正値のテーブルを選択する指示が与えられる。図9の破線で示した時刻と色温度補正値との関係は、第1の実施例中の図3で示した時刻と色温度補正値との関係を規定したテーブルの色温度補正値を全体的に10%ほど増加させている。
【0034】
また、破線で示した関係は、本実施例において、ユーザが遠隔制御装置で選択可能な色温度補正値のテーブルであり、メモリ4にあらかじめ格納されている。本実施例においては破線で示した関係と比較すると全体的におよそ10%増加させているが、これ以外に例えば20%減少させた時刻と色温度補正値との関係がメモリに格納されていて、ユーザによって選択可能とされてもよい。
【0035】
このように、色温度補正値を選択可能とすることにより、時刻による色温度の補正値が強調でき、通常の設定では映像が時刻によって変化することを感じにくいユーザにとって効果的である。マイコン3では、色温度検出手段6で検出された色温度と前記遠隔制御装置によって選択されるテーブルの色温度補正値を加算する演算を行い環境色温度とする。以下第1の実施例と同様であるので省略する。
【0036】
尚、図示していないが、例えば季節や梅雨など時季によって太陽光の日照時間、照度が異なるため、それらの期間に応じた時刻と色温度補正値との関係を規定した色温度補正値テーブルがメモリに格納されていて、ユーザが選択できるような構成としてもよい。あるいは、雨や曇りなど天気に応じた時刻と色温度補正値との関係を規定した色温度補正値テーブルがメモリに格納されていて、ユーザが選択できるような構成としてもよい。
【0037】
上記構成により、第1の実施例で示した効果に加えて、更に時刻に対応する色温度補正値をユーザによって選択可能とすることにより、ユーザの嗜好性も考慮した映像を表示可能な映像表示装置を提供することが出来る。
【実施例4】
【0038】
次に、本発明の第4の実施例を、図3乃至図5、図10、図11を用いて説明する。本実施例は図11に示すようなLED(発光ダイオード)バックライトを用いた表示装置に適用したものである。
【0039】
第4の実施例は、図10において、アンテナ11は放送信号を受信しチューナ10に出力する。チューナ10は受信した放送信号を選局し映像信号を信号処理手段1に出力する。信号処理手段1は映像処理が行われた後、映像信号を表示制御手段9に出力する。色温度検出手段6は例えばRGBセンサであり、表示手段7の周囲の色温度を検出し、検出した信号をマイコン3を介してメモリ4に出力する。
【0040】
内蔵カレンダー5は時刻、年月日等の情報を有しておりマイコン3に出力を行う。メモリ4は色温度検出手段6で検出された色温度と図3に示すような時刻と色温度補正値との関係を規定した色温度補正値テーブルとを格納する。マイコン3は色温度検出手段6で検出した色温度と前記内蔵カレンダー5から入力される時刻と年月日の情報から定まる色温度補正値を演算し環境色温度とする。
【0041】
環境色温度は上述と同様、図5に示すような順序で算出され、図4に示すようなあらかじめメモリ4に格納されている環境色温度と映像色温度との関係を示すテーブルにもとづいて、マイコン3によって映像色温度が設定されバックライト輝度調整信号としてLED制御手段8に出力する。
【0042】
LED制御手段8は入力されたバックライト輝度調整信号にもとづいてバックライトの輝度を調整して色温度を変化させるためのLED駆動信号としてLEDバックライト12に出力する。LEDバックライト12は図11に示すような構成となっている。図11においてLEDバックライト12は液晶パネル20の背面に取り付けられる筐体30内に拡散板32と、赤色、緑色、青色の3原色からなる複数色のLED光源、すなわち赤色LED光源41、緑色LED光源42、及び青色LED光源43を配設して構成される。
【0043】
また、LEDバックライト12は図示しないが、LED制御手段8から入力されるLED駆動信号に従って、矩形波の高電位レベルと低電位レベルの信号期間比が変化するパルス幅変調出力を調光信号として出力する調光制御回路と、調光制御からの調光信号を受けてその調光信号に応じた周期及び電圧の交流電圧を発生し、点灯駆動するインバータとを含んでいる。表示制御手段9は信号処理手段1から入力される映像信号に基づいて液晶駆動信号を表示手段7に出力する。表示手段7はLED制御手段8と表示制御手段9からの入力に応じて所定の色温度に変化させた映像を表示する。
【0044】
次に、第4の実施例の動作について説明する。アンテナ11は放送信号を受信しチューナ10に出力する。チューナ10は受信した放送信号を選局し映像信号を信号処理手段1に出力する。色温度検出手段6で検出された表示手段7の周囲の色温度はマイコン3を介してメモリ4に入力される。色温度検出手段6は例えばRGBセンサである。
【0045】
内蔵カレンダー5は時刻情報をマイコン3に出力する。マイコン3では、図3に示すようなメモリ4にあらかじめ格納されている時刻に対応する色温度補正値を決定し、色温度検出手段6で検出され前記入力された色温度に前記色温度補正値を加算する演算を行い環境色温度とする。
【0046】
更にマイコン3によってあらかじめメモリ4に格納されている図4に示すような環境色温度と映像色温度との関係を示すテーブルにもとづいて映像色温度が設定され、バックライト輝度調整信号としてLED制御手段8に出力する。LED制御手段8では、入力されるバックライト輝度調整信号を用いてバックライトの輝度を調整して各色のLED素子を発光させるための信号をLEDバックライト12にLED駆動信号として出力する。
【0047】
LEDバックライト12は入力されたLED駆動信号に従って点灯駆動を行う。表示制御手段9は信号処理手段1より入力される映像信号に基づいて表示手段7の図示しないゲートドライバ及びソースドライバに対して液晶駆動信号を出力し、映像信号に従う映像を表示手段7に表示する。表示手段7では表示制御手段9とLED制御手段8からの入力で所定の色温度の映像を表示する。
【0048】
上記構成により、色温度検出手段によって表示手段7の周囲の色温度を検出し、更に時刻による色温度の補正値を加算して補正することにより、ユーザの照明環境と人の概日リズムとを考慮した映像を表示可能な映像表示装置を提供することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によると、視聴ユーザの周囲の室内照明環境などのユーザ環境に応じて、表示装置の表示条件を自動的に設定でき、特にテレビジョン受像機もしくはパーソナルコンピュータ等に有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 信号処理手段
2 色温度設定手段
3 マイコン
4 メモリ
5 内蔵カレンダー
6 色温度検出手段
7 表示手段
8 LED制御手段
9 表示制御手段
10 チューナ
11 アンテナ
12 LEDバックライト
20 液晶パネル
30 筐体
32 拡散板
41 赤色LED光源
42 緑色LED光源
43 青色LED光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段に表示される映像の色温度を補正するために前記表示手段の周囲の色温度を検出する色温度検出手段を備えた映像表示装置であって、
前記色温度検出手段によって検出された色温度を時刻に応じて補正する色温度補正手段を設けたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
表示手段に背面から光を照射するバックライトの色温度を補正するために前記表示手段の周囲の色温度を検出する色温度検出手段を備えた映像表示装置であって、
前記色温度検出手段によって検出された色温度を時刻に応じて補正する色温度補正手段を設けたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
前記色温度補正手段による時刻に応じた補正の補正値は天気に関する外部情報にもとづいて変更されることを特徴とする請求項1又は2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記天気に関する外部情報は少なくともデータ放送信号により取得される天気に関するデータあるいはインターネットにより取得される天気に関するデータであることを特徴とする請求項3に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記色温度補正手段による時刻に応じた補正の補正値は少なくとも天気、時季のいずれか1つにもとづいて変更されることを特徴とする請求項1又は2に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記色温度補正手段による時刻に応じた補正の補正値はユーザの嗜好性にもとづいて変更されることを特徴とする請求項1又は2に記載の映像表示装置。
【請求項7】
表示手段に表示される映像の色温度を補正するために前記表示手段の周囲の色温度を検出するステップを備えた映像表示方法であって、
前記検出した色温度を時刻に応じて補正するステップを設けたことを特徴とする映像表示方法。
【請求項8】
表示手段に背面から光を照射するバックライトの色温度を補正するために前記表示手段の周囲の色温度を検出するステップを備えた映像表示方法であって、
前記検出した色温度を時刻に応じて補正するステップを設けたことを特徴とする映像表示方法。
【請求項9】
前記時刻に応じて補正するステップの補正値は天気に関する外部情報にもとづいて変更されることを特徴とする請求項7又は8に記載の映像表示方法。
【請求項10】
前記天気に関する外部情報は少なくともデータ放送信号により取得される天気に関するデータあるいはインターネットにより取得される天気に関するデータであることを特徴とする請求項9に記載の映像表示方法。
【請求項11】
前記時刻に応じて補正するステップの補正値は少なくとも天気、時季のいずれか1つにもとづいて変更されることを特徴とする請求項7又は8に記載の映像表示方法。
【請求項12】
前記時刻に応じて補正するステップの補正値はユーザの嗜好性にもとづいて変更されることを特徴とする請求項7又は8に記載の映像表示方法。












【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−71680(P2011−71680A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220168(P2009−220168)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】