説明

映像表示装置

【課題】カラーセンサ等の検知装置を用いて外部照明環境を検知しなくても、リモコン装置により遠隔制御される照明装置の照明色や光量に対応して、視聴者にとって見やすい映像を表示する映像表示装置を提供する。
【解決手段】映像表示装置1の映像信号処理部12が、リモコン装置3が出力した“電球色”調色制御信号を受信すると、映像信号補正部12aは、映像信号補正用テーブル101を参照して、“電球色”調色制御信号に対応する映像信号補正値を特定する。映像信号補正部12aは、特定した映像信号補正値に基づき、映像信号処理部12に入力される映像信号に対して映像信号補正処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置に係り、特に、照明装置の照明色、光量に対応して映像信号補正処理等を行う映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像の視聴環境に応じて、視聴者にとって見やすい映像を表示する映像表示装置が様々提案されている。例えば、バックライトを備えた液晶表示装置において、周囲の明るさを検知し、検知した明るさに基づいてバックライトの輝度調整を自動的に行う液晶表示装置が提案されている。
【0003】
また、周囲の明るさだけでなく、例えば、周囲の光の色温度、色相等を検知して、検知した色温度等に基づいて、表示映像の色温度等の調整を自動的に行う映像表示装置が提案されている。なお、色相は、色合いとも言う。
特許文献1には、映像表示機器に設けられたカラーセンサが機器外部の照明環境を検知し、検知した照明環境に該当する映像信号補正データに基づき、映像信号に対して補正処理を実行する映像表示機器が開示されている。
【0004】
ところで、現在では、LED電球を調色する機能及び/又は調光する機能を備えた照明装置が市場に登場している。この照明装置は、通常、リモコン装置により遠隔制御され、ユーザは、このリモコン装置を利用して電源オン、オフ指示操作や、調色、調光指示操作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−65701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の映像表示機器のように、カラーセンサを利用して外部の照明環境を検知する場合、映像表示機器にカラーセンサを設ける必要がある。その結果、回路構成が複雑になり、製品価格が上昇する。
また、カラーセンサの設置位置によっては、影がカラーセンサを覆ったりするため、精度良く外部の照明環境を検知することができなくなる場合がある。その結果、適確な映像信号補正処理を実行することができず、視聴者にとって見やすい映像を表示することができなくなる。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、カラーセンサ等の検知装置を用いて外部照明環境を検知しなくても、リモコン装置により遠隔制御される照明装置の照明色や光量に対応して、視聴者にとって見やすい映像を表示する映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の技術手段は、入力される映像信号に対して、映像信号補正処理を実行する映像信号補正部と、調色機能を備えた照明装置に送信されるリモコン装置からの調色制御信号を受信する受信部と、当該調色制御信号と入力される前記映像信号に対して映像信号補正処理を実行する際に参照される映像信号補正値とを対応付けて記録する映像信号補正用テーブルを備え、前記映像信号補正部は、前記映像信号補正用テーブルを参照して前記受信部が受信した調色制御信号に対応する映像信号補正値を特定し、当該特定した映像信号補正値に基づき入力される映像信号に対して映像信号補正処理を実行することを特徴とする映像表示装置である。
【0009】
第2の技術手段は、第1の技術手段の映像表示装置において、前記映像表示装置は、液晶パネルと、当該液晶パネルを照明するバックライトと、バックライト照明光の色相及び明るさを可変制御するバックライト制御部と、調色制御信号及び調光制御信号とバックライト照明光の色相及び明るさを補正する際に参照されるバックライト補正値とを対応付けて記録するバックライト補正用テーブルを備え、前記受信部は、調色機能及び調光機能を備えた照明装置に送信されるリモコン装置からの調色制御信号及び調光制御信号を受信し、前記バックライト制御部は、前記バックライト補正用テーブルを参照して前記受信部が受信した調色制御信号及び調光制御信号に対応するバックライト補正値を特定し、当該特定したバックライト補正値に基づきバックライト照明光の色相及び明るさを可変制御することを特徴とするものである。
【0010】
第3の技術手段は、第1の技術手段の映像表示装置において、前記映像表示装置は、更に、外部装置が提供する映像信号補正用テーブルを取得するテーブル取得部と、前記映像表示装置に既に記録されている映像信号補正用テーブルを前記テーブル取得部が取得した映像信号補正用テーブルに更新するテーブル更新部を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
第4の技術手段は、第2の技術手段の映像表示装置において、前記映像表示装置は、更に、外部装置が提供するバックライト補正用テーブルを取得するテーブル取得部と、前記映像表示装置に既に記録されているバックライト補正用テーブルを前記テーブル取得部が取得したバックライト補正用テーブルに更新するテーブル更新部を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の映像表示装置によれば、外部照明環境を検知するカラーセンサ等の検知装置を用いなくても、リモコン装置により遠隔制御される照明装置の照明色や光量に対応して、視聴者にとって最も見やすい映像を表示できる。また、カラーセンサ等の検知装置を用いないので、回路構成が単純になり、製品価格の上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】映像表示装置、照明装置、リモコン装置を示す図である。
【図2】実施例1で説明する映像表示装置、照明装置、リモコン装置の機能ブロック図である。
【図3】リモコン装置の外観の一例を示す図である。
【図4】映像信号補正用テーブルの一例を示す図である。
【図5】実施例2で説明する映像表示装置の機能ブロック図である。
【図6】バックライト補正用テーブルの一例を示す図である。
【図7】実施例3で説明する映像表示装置の機能ブロック図である。
【図8】映像信号補正用テーブルの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
図1は、本発明に係る映像表示装置1、映像表示装置1の周囲を照明する照明装置2、照明装置2を遠隔制御するリモコン装置3を示す図である。
【0015】
映像表示装置1は、照明装置の照明色に対応して、入力される映像信号に対して映像信号補正処理を実行する。
照明装置2は、LED電球により照明を行い、このLED電球を調色する機能及び調光する機能を備えている。以下の説明では、照明装置2は、LED電球を調色する機能及び調光する機能を備えているものとして説明する。
【0016】
リモコン装置3は、照明装置2に調色制御信号及び調光制御信号を送信し、照明装置2の遠隔制御を行う。以下の説明では、リモコン装置3は、照明装置2に調色制御信号及び調光制御信号を送信するものとして説明する。
【0017】
映像表示装置1は、リモコン装置3が送信する調色制御信号に対応する映像信号補正値を特定し、この映像信号補正値に基づき、入力される映像信号に対して映像信号補正処理を実行する。なお、詳細については後述する。
【0018】
図2は、映像表示装置1、照明装置2、リモコン装置3の機能ブロック図である。
まず、リモコン装置3の機能ブロック図について説明する。
リモコン装置3は、操作部31、制御信号生成部32、制御信号送信部33、制御部34を備える。
【0019】
操作部31は、照明装置2を遠隔操作するボタンから構成される。図3は、操作部31の外観の一例を示す図である。
操作部31のボタンとしては、照明装置2の電源“切”、“入”ボタン311、照明装置2の調色制御ボタン312、照明装置2の調光制御ボタン313がある。
【0020】
この調色制御とは、例えば、照明装置2のLED電球を昼白色、電球色等に変化させる制御を意味するが、後述するように、これに限定するものではない。
【0021】
リモコン装置3の“入”ボタン311を操作すると、前回動作時に照明装置2に設定されていた調色状態、調光状態を反映した照明制御が照明装置2において実行される。
【0022】
調色制御ボタン312の昼白色ボタン312aが操作されると、照明装置2のLED電球は昼白色に調色される。電球色ボタン312bが操作されると、照明装置2のLED電球は電球色に調色される。中間色ボタン312cが操作されると、照明装置2のLED電球は昼白色と電球色の中間色に調色される。
【0023】
調光制御ボタン313の全灯ボタン313aが操作されると、照明装置2のLED電球は所定の明るさに調光される。微灯ボタン313bが操作されると、照明装置2のLED電球は所定の暗さに調光される。半灯ボタン313cが操作されると、照明装置2のLED電球は、前記所定の明るさと前記所定の暗さの中間の明るさに調光される。
【0024】
図2の制御信号生成部32は、操作部31におけるボタン操作に対応する制御信号を生成する。例えば、ユーザが調色制御ボタン312の昼白色ボタン312aを操作すると、制御信号生成部32は、LED電球を昼白色に調色する調色制御信号(“昼白色”調色制御信号)を生成する。同じく、ユーザの電球色ボタン312b操作、中間色ボタン312c操作に対応して、“電球色”調色制御信号、“中間色”調色制御信号を生成する。
【0025】
また、ユーザが調光制御ボタン313の全灯ボタン313aを操作すると、制御信号生成部32は、LED電球を所定の明るさに調光する調光制御信号(“全灯”調光制御信号)を生成する。同じく、ユーザの微灯ボタン313b操作、半灯ボタン313c操作に対応して、“微灯”調光制御信号、“半灯”調光制御信号を生成する。
【0026】
制御信号送信部33は、制御信号生成部32が生成した制御信号を照明装置2及び映像表示装置1に送信する。なお、送信手段としては、赤外線や無線を使用することができる。
制御部34は、各機能ブロックを制御する。
【0027】
次に、照明装置2の機能ブロックについて説明する。
照明装置2は、LED電球21、制御信号受信部22、制御部23を備える。
LED電球21は、調光及び調色可能なLED電球である。
【0028】
制御信号受信部22は、リモコン装置3が送信した制御信号を受信し、制御部23に出力する。
制御部23は、制御信号受信部22が受信した制御信号に基づきLED電球21の調色及び調光を制御する。
前述の例では、LED電球21を昼白色に調色する制御信号(“昼白色”調色制御信号)を受信した場合、制御部23は、LED電球21を昼白色に調色制御する。また、LED電球21を所定の明るさにする制御信号(“全灯”調光制御信号)を受信した場合、制御部23は、LED電球21を所定の明るさにするように調光制御する。
【0029】
次に、映像表示装置1の機能ブロックについて説明する。
映像表示装置1は、映像信号入力I/F11、映像信号処理部12、表示部13、制御信号受信部14、制御部15、テーブル記録部16を備える。
映像信号入力I/F11は、映像信号を映像表示装置1に入力するインターフェイスとして機能し、例えば、放送受信チューナー、コンポジットケーブル端子、D端子ケーブル端子、HDMIケーブル端子等から構成される。映像信号入力I/F11は、入力される映像信号を映像信号処理部12に出力する。
【0030】
映像信号処理部12は、入力される映像信号に対して各種映像処理を施すICや、表示部13を駆動するタイミングコントロール信号を生成するICを備え、入力される映像信号を表示部13に出力する。また、映像信号処理部12は、映像信号補正部12aを備える。なお、映像信号補正部12aの詳細については、後述する。
【0031】
表示部13は、液晶パネル、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)等の表示パネルから構成され、映像信号処理部12が出力した映像信号に基づき映像表示処理を実行する。
【0032】
制御信号受信部14は、リモコン装置3が送信する制御信号を受信し、制御部15に出力する。なお、映像表示装置1の遠隔制御を行うリモコン装置(図示しない)が送信する制御信号も受信する。
【0033】
制御部15は、マイコン等から構成され、制御信号受信部14が出力する制御信号をデコードし、このデコードした制御信号に基づき、各機能ブロックを制御する。また、制御信号受信部14が受信した制御信号が、リモコン装置3が送信した調色制御信号の場合には、この調色制御信号を映像信号処理部12に出力する。
【0034】
テーブル記録部16は、ROM等から構成され、調色制御信号と入力される映像信号に対して映像信号補正処理を実行する際に参照される映像信号補正値とを対応付けて記録する映像信号補正用テーブル101を記録する。この映像信号補正用テーブルは、LUTテーブルとして構成される。
【0035】
図4は、映像信号補正用テーブル101の一例を示す図である。
映像信号補正用テーブル101は、制御信号欄101a、映像信号補正値欄101bを有する。制御信号欄101aには、調色制御信号が記録されている。調色制御信号としては、“昼白色”、“中間色”、“電球色”調色制御信号がある。
【0036】
映像信号補正値欄101bには、制御信号欄101aに記録された調色制御信号と対応付けて各種映像信号補正値が記録されている。
映像信号補正値としては、“色温度”、“色相”、“色濃度”、“ガンマ”、“黒レベル”、“明るさ”補正用の各種映像信号補正値が記録されている。
【0037】
前述したように、映像信号処理部12が、制御部15が出力した調色制御信号を受信すると、映像信号補正部12aは、テーブル記録部16に記録されている映像信号補正用テーブル101を参照して、この調色制御信号に対応する映像信号補正値を特定し、特定した映像信号補正値に基づき入力される映像信号に対して映像信号補正処理を実行する。
【0038】
以下に、本発明の映像信号補正処理について詳細に説明する。
例えば、ユーザが、リモコン装置3の電球色ボタン312b(図3参照)を操作すると、制御信号生成部32は、“電球色”調色制御信号を生成し、制御信号送信部33に出力する。制御信号送信部33は、制御信号生成部32が出力した“電球色”調色制御信号を、照明装置2、映像表示装置1に送信する。
【0039】
照明装置2の制御信号受信部22は、リモコン装置3が送信した“電球色”調色制御信号を受信し、制御部23に出力する。制御部23は、制御信号受信部22が出力した“電球色”調色制御信号を受信し、この“電球色”調色制御信号に基づき、LED電球21を電球色に調色制御する。
【0040】
同時に、映像表示装置1の制御信号受信部14は、リモコン装置3が送信した“電球色”調色制御信号を受信し、制御部15に出力する。制御部15は、制御信号受信部22が出力した“電球色”調色制御信号を受信し、映像信号処理部12に出力する。
【0041】
映像信号処理部12が、制御部15が出力した“電球色”調色制御信号を受信すると、映像信号補正部12aは、映像信号補正用テーブル101を参照して、“電球色”調色制御信号に対応する映像信号補正値を特定する。前述の例では、“色温度”、“色相”、“色濃度”、“ガンマ”、“黒レベル”、“明るさ”の映像信号補正値として、“T3”、“H3”、“D3”、“γ3”、“BL3”、“BR3”を特定する。
【0042】
そして、映像信号補正部12aは、特定した映像信号補正値に基づき、映像信号処理部12に入力される映像信号に対して映像信号補正処理を実行する。前述の例では、入力される映像信号に関する“色温度”、“色相”、“色濃度”、“ガンマ”、“黒レベル”、“明るさ”の各数値を、特定した映像信号補正値“T3”、“H3”、“D3”、“γ3”、“BL3”、“BR3”に変更することにより映像信号補正処理を実行する。なお、補正値の内容によっては、現在の“色温度”等に、特定した映像信号補正値を乗算する等の計算処理を施し、映像信号補正処理を実行してもよい。
【0043】
映像信号処理部12は、映像信号補正部12aが補正した映像信号を表示部13に出力する。
【0044】
なお、前述の例では、特定した全映像信号補正値について映像信号補正処理を実行したが、特定した映像信号補正値の中から何れかの映像信号補正値を選択してこの選択した映像信号補正値に基づき映像信号補正処理を実行してもよい。例えば、“色温度”、“色相”についてのみ映像信号補正処理を実行してもよい。
【0045】
実施例1では、照明装置2は、調色機能及び調光機能を備えていたが、調色機能のみを備えていればよい。この場合、リモコン装置3も、調色制御信号を送信することになる。
【0046】
このようにすることで、カラーセンサ等の検知装置を用いることなく、外部照明環境に応じて映像信号補正処理を行うことができるので、回路構成が単純になり、製品価格の上昇を抑制できる。また、カラーセンサ等の検知装置を用いないので、例えば、影がカラーセンサを覆うことによる外部照明環境の誤検知が発生せず、適確な映像信号補正処理を行うことができる。
【0047】
(実施例2)
実施例1で説明した映像表示装置1の表示部13として、例えば、液晶パネル及びこの液晶パネルを照明するバックライトを備えた液晶表示装置を利用する場合に実行するバックライトの照明制御処理について説明する。なお、映像信号補正処理については、後述する。
【0048】
図5は、このようなバックライトの照明制御処理を実行する映像表示装置4の機能ブロック図である。
映像表示装置4は、映像信号入力I/F41、映像信号処理部42、電極駆動制御部43、液晶パネル44、バックライト制御部45、バックライト46、制御信号受信部47、制御部48、テーブル記録部49を備える。なお、映像信号入力I/F41、制御信号受信部47の機能は、図2で示した映像表示装置1の映像信号入力I/F11、制御信号受信部14の機能と同様なのでその説明を省略する。
【0049】
映像信号処理部42は、入力される映像信号に対して各種画像処理を施すICや、電極駆動制御部43、バックライト制御部45を駆動するタイミングコントロール信号を生成するICを備え、入力される映像信号を電極駆動制御部43、バックライト制御部45に出力する。また、実施例1で説明した映像信号補正部12aと同様の機能を有する映像信号補正部42aを備える。
【0050】
電極駆動制御部43は、映像信号処理部42が出力した映像信号に基づき液晶パネル44の走査電極及びデータ電極を駆動する。液晶パネル44は、液晶層とこの液晶層に走査信号及びデータ信号を印加する電極とを有するアクティブマトリクス型の液晶パネルである。
【0051】
バックライト制御部45は、映像信号処理部12が出力した映像信号に係る映像フレームの平均輝度値を算出し、算出した平均輝度値に基づき、バックライト46の発光素子の発光制御を行う。具体的には、バックライト46の照明光の色相及び明るさを可変制御する。また、バックライト制御部45は、バックライト補正部45aを備える。なお、バックライト補正部45aの詳細については、後述する。
【0052】
バックライト46は、液晶パネル44を照明するもので、発光素子として、例えば、照明装置2のLED電球21と同機能のLEDを備える。なお、発光素子としては、LED電球21と同様に、調色、調光可能であればLED電球に限らない。
【0053】
制御部48は、マイコン等から構成され、制御信号受信部47が出力する制御信号をデコードし、このデコードした制御信号に基づき、各機能ブロックを制御する。また、制御信号受信部47が受信した制御信号が照明装置2に送信された調色制御信号、調光制御信号の場合には、これら調色制御信号、調光制御信号をバックライト制御部45、映像信号処理部42に出力する。
【0054】
テーブル記録部49は、ROM等から構成され、調色制御信号及び調光制御信号とバックライト照明光の色相及び明るさを補正する際に参照されるバックライト補正値とを対応付けて記録するバックライト補正用テーブル102を記録する。このバックライト補正用テーブルは、LUTテーブルとして構成される。また、テーブル記録部49は、図4に示した映像信号補正用テーブル101を記録する。
【0055】
図6は、バックライト補正用テーブルの一例を示す図である。
バックライト補正用テーブル102は、制御信号欄102a、バックライト補正値欄102bを有する。
制御信号欄102aには、調色制御信号及び調光制御信号が記録されている。調色制御信号としては、“昼白色”、“中間色”、“電球色”調色制御信号がある。また、調光制御信号としては、“全灯”、“半灯”、“微灯”調光制御信号がある。
【0056】
バックライト補正値欄102bには、制御信号欄102aに記録された調色制御信号及び調光制御信号と対応付けて各種バックライト補正値が記録されている。
バックライト補正値としては、“色相”、“明るさ”補正用のバックライト補正値が記録されている。
【0057】
前述したように、バックライト制御部45が、制御部48が出力した調色制御信号、調光制御信号を受信すると、バックライト補正部45aは、テーブル記録部49に記録されているバックライト補正用テーブル102を参照して、この調色制御信号、調光制御信号に対応する色相補正値及び明るさ補正値を特定し、特定した色相補正値及び明るさ補正値に基づきバックライト照明光の色相及び明るさを可変制御する。
【0058】
以下に、本発明のバックライト照明光の補正処理について詳細に説明する。ここでは、実施例1と同様に、リモコン装置3が、“電球色”調色制御信号を送信したとする。
映像表示装置1の制御信号受信部47は、リモコン装置3が送信した“電球色”調色制御信号を受信し、制御部48に出力する。制御部48は、制御信号受信部47が出力した“電球色”調色制御信号を受信し、バックライト制御部45、映像信号処理部42に出力する。
【0059】
バックライト制御部45が、制御部48が出力した“電球色”調色制御信号を受信すると、バックライト補正部45aは、バックライト補正用テーブル102を参照して、“電球色”調色制御信号に対応するバックライト補正値を特定する。前述の例では、“色相”バックライト補正値として、“H3”を特定する。なお、“明るさ” バックライト補正値としては、現時点で映像表示装置4に設定されている“明るさ”補正値が適用される。
【0060】
そして、バックライト補正部45aは、特定したバックライト補正値に基づき、バックライト46の発光素子の調色補正処理を実行する。前述の例では、バックライト46の発光素子の調色補正として“色相”を“H3”に変更する。なお、補正値の内容によっては、現在の“色相”に、特定した“H3”を乗算する等の計算処理を施し、バックライト照明光の補正処理を実行してもよい。
同じく、“電球色”調色制御信号を受信した映像信号処理部42の映像信号補正部42aは、実施例1で説明したように、映像信号補正用テーブル101を参照して入力される映像信号に対して映像信号補正処理を実行する。
【0061】
また、バックライト制御部45が、制御部48が出力した“微灯”調光制御信号を受信すると、バックライト補正部45aは、バックライト補正用テーブル102を参照して、“微灯”調光制御信号に対応するバックライト補正値を特定する。このとき、バックライト補正値の“色相”については、現時点で映像表示装置4に設定されている“色相”補正値に対応する補正値とする。例えば、現時点で設定されている“色相”補正値が“電球色”に対応する補正値の場合には、“明るさ”のバックライト補正値として、現在設定されている“電球色”に対応する“BR3’’”を特定する。
【0062】
このようにすることで、バックライト照明光の色相や明るさを、照明装置2の照明光の色相や明るさとほとんど同じにすることができる。その結果、バックライト照明光の色相や明るさと照明装置2の照明光の色相や明るさとが大きく異なることにより生じる視聴者の視力低下を防ぐことが出来る。
【0063】
(実施例3)
実施例1、実施例2で説明した照明装置2は、調色制御として、“昼白色”、“電球色”、“中間色”の調色や、調光制御として、“全灯”、“半灯”、“微灯”(3段階)の調光が可能であった。しかし、より複雑な調色制御や調光制御が可能な照明装置が家庭内等に設けられ、この照明装置の照明環境下で、本発明に係る映像表示装置により映像を視聴することが考えられる。
【0064】
このような照明装置の遠隔操作を行う場合、リモコン装置が送信する制御信号の種類も増える。例えば、調色制御として、“昼白色”、“電球色”、”中間色”に加え、“白色”、“昼光色”の調色制御が可能な照明装置の場合、各色に対応する調色制御信号(5種類)が必要になる。そして、このような照明装置に対応して、実施例1で説明したような映像信号補正処理を行う場合、図4に示した映像信号補正用テーブル101を、前記調色制御信号(5種類)に対応させる必要がある。
【0065】
図7は、このような高機能化した照明装置に対応可能な映像表示装置を示すブロック図であり、図2で説明した映像表示装置1に、ネットワーク接続部57、テーブル取得部58、テーブル更新部59を追加したものである。
【0066】
映像表示装置5は、映像信号入力I/F51、映像信号処理部52、表示部53、制御信号受信部54、制御部55、テーブル記録部56、ネットワーク接続部57、テーブル取得部58、テーブル更新部59を備える。なお、映像信号入力I/F51、映像信号処理部52、表示部53、制御信号受信部54、制御部55、テーブル記録部56は、図2で説明した映像表示装置1の映像信号入力I/F11、映像信号処理部12、表示部13、制御信号受信部14、制御部15、テーブル記録部16と同様なのでその説明を省略する。
【0067】
外部装置6は、最新の調色制御信号と映像信号補正値とが対応付けられて記録された映像信号補正用テーブルを提供する。前述の例では、例えば、図8に示す映像信号補正用テーブル103を、例えばネットワークNを介して提供する。
【0068】
映像信号補正用テーブル103の制御信号欄103aには、調色制御信号として、“昼白色”、“中間色”、”電球色”制御信号に加え、“白色”、“昼光色”制御信号が追加記録されている。そして、映像信号補正値欄103bに、追加記録された“白色”、“昼光色”制御信号等に対応付けて各種映像信号補正値が記録されている。
【0069】
映像表示装置5のネットワーク接続部57は、ネットワークNに対するインターフェイス機能を提供し、外部装置6とのデータ送受信処理を実行する。
【0070】
テーブル取得部58は、様々なタイミングで、外部装置6が提供する映像信号補正用テーブルの取得処理を実行する。例えば、制御部55が、デコードした調色制御信号が、テーブル記録部56に記録されている映像信号補正用テーブルの制御信号欄に記録されていないことを検知した場合(未対応制御信号の検知)、この未対応制御信号が記録された映像信号補正用テーブルの提供を外部装置6に依頼する。
そして、この依頼に対して外部装置6が提供した映像信号補正用テーブルを取得する。
【0071】
テーブル更新部59は、テーブル記録部56に既に記録されている映像信号補正用テーブルを、テーブル取得部58が取得した最新の映像信号補正用テーブルに更新する。
【0072】
以後、前述のように、映像信号補正部52aは、テーブル記録部56に新たに記録された最新の映像信号補正用テーブルを参照して、映像信号補正処理を実行する。
【0073】
なお、実施例2で説明した映像表示装置4に、ネットワーク接続部57、テーブル取得部58、テーブル更新部59を設けてもよい。
この場合、外部装置6は、種類が増えた調色制御信号、調光制御信号に対応したバックライト補正値が記録されたバックライト補正用テーブルを映像表示装置4に提供する。
【0074】
外部装置6は、ネットワークNを介して映像信号補正用テーブル103等を提供したが、放送波に映像信号補正用テーブル103を重畳して映像表示装置5に提供してもよい。
【0075】
このようにすることで、調色機能、調光機能が高性能化した照明装置の照明色、光量変化に対応して、映像信号補正処理、バックライトの照明光補正処理を実行することができる。
【0076】
なお、自発光型の例えばプラズマディスプレイ装置(PDP:Plasma Display Panel)などの各種表示パネルを用いた映像表示装置でも、色相や明るさ制御が可能であれば、本発明を適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
1,4,5…映像表示装置、11,41,51…映像信号入力I/F、12,42,52…映像信号処理部、12a,42a,52a…映像信号補正部、13,53…表示部、14,47,54…制御信号受信部、15,48,55…制御部、16,49,56…テーブル記録部、43…電極駆動制御部、44…液晶パネル、45…バックライト制御部、45a…バックライト補正部、46…バックライト、2…照明装置、21…LED電球、22…制御信号受信部、23…制御部、3…リモコン装置、31…操作部、32…制御信号生成部、33…制御信号送信部、34…制御部、57…ネットワーク接続部、58…テーブル取得部、59…テーブル更新部、6…外部装置、101,103…映像信号補正用テーブル、101a,103a…制御信号欄、101b,103b…映像信号補正値欄、102…バックライト補正用テーブル、102a…制御信号欄、102b…バックライト補正値欄、311…電源“切”、“入”ボタン、312…調色制御ボタン、312a…昼白色ボタン、312b…電球色ボタン、312c…中間色ボタン、313…調光制御ボタン、313a…全灯ボタン、313b…微灯ボタン、313c…半灯ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される映像信号に対して、映像信号補正処理を実行する映像信号補正部と、
調色機能を備えた照明装置に送信されるリモコン装置からの調色制御信号を受信する受信部と、
当該調色制御信号と入力される前記映像信号に対して映像信号補正処理を実行する際に参照される映像信号補正値とを対応付けて記録する映像信号補正用テーブルを備え、
前記映像信号補正部は、前記映像信号補正用テーブルを参照して前記受信部が受信した調色制御信号に対応する映像信号補正値を特定し、当該特定した映像信号補正値に基づき入力される映像信号に対して映像信号補正処理を実行することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置において、前記映像表示装置は、液晶パネルと、当該液晶パネルを照明するバックライトと、
バックライト照明光の色相及び明るさを可変制御するバックライト制御部と、
調色制御信号及び調光制御信号とバックライト照明光の色相及び明るさを補正する際に参照されるバックライト補正値とを対応付けて記録するバックライト補正用テーブルを備え、
前記受信部は、調色機能及び調光機能を備えた照明装置に送信されるリモコン装置からの調色制御信号及び調光制御信号を受信し、
前記バックライト制御部は、前記バックライト補正用テーブルを参照して前記受信部が受信した調色制御信号及び調光制御信号に対応するバックライト補正値を特定し、当該特定したバックライト補正値に基づきバックライト照明光の色相及び明るさを可変制御することを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の映像表示装置において、前記映像表示装置は、更に、外部装置が提供する映像信号補正用テーブルを取得するテーブル取得部と、前記映像表示装置に既に記録されている映像信号補正用テーブルを前記テーブル取得部が取得した映像信号補正用テーブルに更新するテーブル更新部を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の映像表示装置において、前記映像表示装置は、更に、外部装置が提供するバックライト補正用テーブルを取得するテーブル取得部と、前記映像表示装置に既に記録されているバックライト補正用テーブルを前記テーブル取得部が取得したバックライト補正用テーブルに更新するテーブル更新部を備えたことを特徴とする映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−150129(P2011−150129A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11114(P2010−11114)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】