説明

映像表示装置

【課題】3次元画像中に2次元画像を自動的に表示させる。
【解決手段】 実施形態によれば、番組コンテンツに基づく画像とデータ信号に基づく画像とを合成すると共に、合成して得た画像データに前記データ信号に基づく画像の表示領域を示すマスク情報を多重して出力する合成部と、前記合成部の出力が与えられ、前記マスク情報に基づいて、前記データ信号に基づく画像の表示領域を除く前記番組コンテンツに基づく画像部分のみを3次元画像に変換する画像変換部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル放送対応のテレビジョン受信機が普及している。デジタル放送においては、データ放送が行われており、デジタル放送対応のテレビジョン受信機においては、メニューからデータ放送を選択することで、画面の一部の領域にデータ放送に基づくグラフィック画像等の画像(データ放送画像)を表示させることができる。
【0003】
また、近年、画像の高画質化の要求に伴い、立体化処理技術の研究が盛んに行われている。簡単な回路で立体化処理を行う方法として、3次元(3D)画像を用いずに、2次元(2D)画像から3次元画像を生成する方法がある。このような2次元画像からステレオ3次元画像への変換、2視点のステレオ3次元画像から多視点の3次元画像への変換に採用される方法として、入力画像のデプス(奥行き)を推定する方法がある。なお、デプスを求める手法としては種々の方法が開発されている。
【0004】
ところが、このような3次元表示をグラフィック画像に適用すると、グラフィック画像の絵柄の特性から、逆に見にくい画像になることが考えられる。そこで、表示装置においては、3次元画像を表示している場合において、画像の一部にデータ放送表示を表示させるためのユーザ操作が行われると、3次元画像表示を停止して2次元画像表示を行うようになっている。
【0005】
このように、従来、コンテンツを3次元画像により視聴するために、例えば3次元画像用のメガネを装着する等の煩雑な準備の後に3次元表示を行っているにも拘らず、データ放送表示等のグラフィック画像を画面の一部に表示させる操作を行うと、3次元表示が停止して2次元表示になってしまい、コンテンツを臨場感溢れる3次元画像によって楽しむことができなくなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3332617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、3次元画像中に2次元画像を自動的に表示させることができる映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る映像表示装置は、番組コンテンツに基づく画像とデータ信号に基づく画像とを合成すると共に、合成して得た画像データに前記データ信号に基づく画像の表示領域を示すマスク情報を多重して出力する合成部と、前記合成部の出力が与えられ、前記マスク情報に基づいて、前記データ信号に基づく画像の表示領域を除く前記番組コンテンツに基づく画像部分のみを3次元画像に変換する画像変換部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態に係る映像表示装置を示すブロック図。
【図2】実施の形態における画像表示を説明するための説明図。
【図3】画像表示の他の例を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施の形態に係る映像表示装置を示すブロック図である。本実施の形態はテレビジョン受信装置に適用させたものである。
【0012】
図1において、映像表示装置11のアンテナ12には放送信号、例えばデジタル放送信号が受信される。このデジタル放送信号には、番組コンテンツに関する映像や音声情報だけでなく、各種マルチメディア情報やインターネットとのリンク機能を提供するデータ放送コンテンツが多重されている。
【0013】
データ放送コンテンツは、例えば、BML(Broadcast Markup Language/放送用マークアップ言語)によって記述されている。データ放送コンテンツは、静止画データ、テキストデータ、付加音声データ(以下、モノメディアという)等を含み、ニュースや天気予報、番組詳細情報等の種々の情報を提供する。
【0014】
BMLでは、各モノメディアを配置し各種制御を行うための情報が符号化されており、各モノメディアを画面上の何処にどのようなタイミングで表示させるか、リモコン操作によってどのような画面動作を行うか等の情報が記述されている。データ放送コンテンツは、BMLと各モノメディアによって構成される。
【0015】
データ放送コンテンツは、番組コンテンツと同様にパケット化される。なお、番組コンテンツでは、映像及び音声パケットがストリームとして伝送されるのに対し、データ放送コンテンツでは、同一データが一定周期で繰り返し伝送される。
【0016】
アンテナ12で受信された放送信号は、チューナー13に入力される。チューナー13は、制御部16からの制御信号により指定されたチャンネルの信号を、デジタル放送信号から選局する。チューナ13によって選局された放送信号は復調部14に与えられる。
【0017】
復調部14は、受信した放送方式に対応した復調処理が可能であり、チューナ13の出力を復調する。例えば、復調部14は、デジタル放送の放送信号についてはPSK(Phase Shift Keying)復調又はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調処理等のデジタル復調処理を行う。復調部14は、チューナ13の出力に対する復調処理によって、所望のコンテンツを含むトランスポートストリームを得る。
【0018】
なお、図1ではチューナ13として1つのチューナを採用した例を示しているが、衛星放送用、衛星通信用、CATV用等の複数のチューナを採用し、複数のチューナの出力を、復調部14において同時に復調して、複数番組の受信を可能に構成してもよい。
【0019】
復調部14からのトランスポートストリーム(以下、TSという)は、デコード部15に供給される。デコード部15は、制御部16からの制御信号によりトランスポートストリーム(TS)多重化された信号のTS復号処理を行い、所望の番組コンテンツのデジタルの映像信号(番組コンテンツの画像)及び音声信号を得る。
【0020】
一方、デコード部15は、TS復号処理によって、トランスポートストリームからデータ放送コンテンツを抽出して、制御部16に供給する。更に、デコード部15は、番組を取得するための各種データや電子番組ガイド(EPG)情報,番組属性情報(番組ジャンル等),字幕情報等(サービス情報、SIやPSI)を制御部16に出力する。
【0021】
制御部16は、テレビジョン受信装置の各部を統括的に制御する。制御部16は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等を内蔵しており、入力装置17から操作信号が供給され、操作信号に基づく操作内容が反映されるように各部を制御する。なお、入力装置17としては、例えばマウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチ及びレバー等を用いることができる。
【0022】
制御部16は、主として、そのCPUが実行する制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)18と、該CPUに作業エリアを提供するRAM(Random Access Memory)19と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリ20とを利用している。
【0023】
また、制御部16は図示しないOSD生成部を備えており、画像情報(OSD信号)を生成することができる。例えば、制御部16は、入力された情報に基づいて、EPGや字幕を表示するため画像生成処理を行うことができる。
【0024】
更に、制御部16は、BMLブラウザを内蔵しており、データ放送画像生成部としても機能する。制御部16は、このBMLブラウザによって、入力されたデータ放送コンテンツに含まれたBMLの記述内容を解釈すると共に処理し、コンテンツの画面提示用のデータ(データ放送画像)を生成して出力する。
【0025】
更に、本実施の形態においては、制御部16は、画面上におけるデータ放送画像の表示領域(以下、データ放送表示領域という)を示すマスク情報を生成して出力する。
【0026】
合成部21には、デコード部15から供給されるデジタルの映像信号(番組コンテンツの画像)と、制御部16からのOSD信号と、データ放送によるデータ放送画像と、EPGや字幕信号とが入力され、合成部21は、ユーザ操作に基づいて、入力された画像を合成する。例えば、合成部21は、番組コンテンツとデータ放送コンテンツとを表示させる場合には、画面中の所定の矩形領域に番組コンテンツを配置し、この矩形領域を囲むL字領域にデータ放送コンテンツを配置するように、画像情報の合成を行う。
【0027】
本実施の形態においては、合成部21は、合成画像の画像データにマスク情報を多重して2D3D変換部22に出力するようになっている。
【0028】
2D3D変換部22は、入力された2次元の画像データを3次元の画像データに変換する。即ち、2D3D変換部22は、入力された画像データから画像のデプスを推定し、デプスを視点に応じて水平方向のシフト量であるディスパリティ(視差)に変換する。2D3D変換部22は、求めた視差に応じて画像をシフトすることにより、各視点における視差画像を生成して表示制御部23に出力する。例えば、2D3D変換部22は、視差に応じた右目用の画像(以下、右画像という)と左目用の画像(以下、左画像という)とを生成して出力する。
【0029】
本実施の形態においては、2D3D変換部22は、制御部16からのマスク情報によって示されるデータ放送表示領域については、2D3D変換処理を施すことなく、2次元画像のままとする。例えば、2D3D変換部22は、マスク情報によって示されるデータ放送表示領域については、画像に拘らず、デプスを0に設定して以後の処理を行うようにしてもよい。また、例えば、2D3D変換部22は、マスク情報によって示されるデータ放送表示領域については、2D3D変換処理を行うことなく、他の領域のみについて2D3D変換処理するようにしてもよい。なお、この場合でも、2D3D変換部23は、データ放送表示領域については、同一のデータ放送画像を右画像及び左画像として出力する。これにより、2D3D変換処理に必要なメモリ容量の削減も可能である。
【0030】
表示制御部23は、2D3D変換部22の出力を図示しない3D表示用の表示部に供給して、画像表示を行う。即ち、表示制御部24は、2D3D変換部22の出力のうち右画像によって表示部の右画像表示用の画素を駆動し、左画像によって表示部の左画像用の画素を駆動する。これにより、左右画像による立体表示が可能である。
【0031】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図2を参照して説明する。図2は本実施の形態における画像表示を説明するための説明図である。なお、図2は斜線部によって3次元画像の表示領域を示し、斜線部以外の部分は2次元画像の表示領域を示している。
【0032】
映像表示装置11のアンテナ12には、放送信号が受信される。チューナ13は、制御部16に制御されて、ユーザの選局操作に対応したチャンネルを選局して復調部14に出力する。復調部14は復調処理によって、トランスポートストリームを得る。このトランスポートストリームがデコード部15に供給され、デコード部15は、制御部16の制御に基づいて、TS復号処理を行う。こうして、デコード部15は、番組コンテンツの画像データを得ると共に、データ放送コンテンツのデータを得る。デコード部15は、番組コンテンツの画像データを合成部21に与え、データ放送コンテンツを制御部16に与える。
【0033】
いま、ユーザによって、データ放送表示を行うことなく、所定のチャンネルの番組コンテンツのみの表示が指示されているものとする。この場合には、合成部21は、番組コンテンツの画像をそのまま2D3D変換部22に与える。2D3D変換部22は、入力された番組コンテンツの画像に基づいて右画像及び左画像を生成して表示制御部23に出力する。これにより、表示制御部23は、図示しない表示部に右画像及び左画像を与えて、番組コンテンツの3次元画像表示を行う。
【0034】
この場合には、図2(a)に示す表示が行われる。図2(a)は表示部の画面31上の全ての領域32に、3次元画像が表示されていることを示している。
【0035】
ここで、ユーザが入力装置17を操作して、データ放送表示を指示するものとする。制御部16は、MBLブラウザによってデータ放送コンテンツに含まれるBMLの記述内容を解釈し、コンテンツの画面提示用のデータ放送画像を生成する。更に、制御部16は、データ放送画像を表示する画面上の領域(データ放送表示領域)を示すマスク情報を生成する。これらのデータ放送画像及びマスク情報は合成部21に与えられる。
【0036】
合成部21は、番組コンテンツの画像とデータ放送画像とを合成して得た画像データにマスク情報を多重して2D3D変換部22に与える。2D3D変換部22は、画面全域に表示する画像のうちマスク情報によって示される領域、即ちデータ放送表示領域については、2次元画像のままとし、他の領域、即ち番組コンテンツ画像の領域については3次元画像への変換を行う。
【0037】
こうして、2D3D変換部22は、3次元の番組コンテンツ画像の右画像及び左画像を生成すると共に、データ放送画像については右画像及び左画像が同一である2次元の画像信号を生成する。2D3D変換部22の出力は表示制御部23に与えられる。表示制御部23は、2D3D変換部22からの右画像及び左画像を表示部に与えて表示させる。
【0038】
図2(b)はこの場合の表示例を示しており、画面31中の矩形領域33に3次元画像による番組コンテンツが表示され、矩形領域33を囲むL字領域34に2次元画像によるデータ放送表示が行われていることを示している。
【0039】
即ち、ユーザがデータ放送表示を指示する前後において、番組コンテンツの3次元画像表示が継続されると共に、データ放送表示が指示されると、データ放送表示領域については2次元画像表示によるデータ放送画像の表示が行われる。これにより、ユーザは番組コンテンツを臨場感溢れる3次元画像表示によって連続的に楽しむことができると共に、データ放送表示を見やすい2次元画像表示によって同時に視聴することができる。
【0040】
このように本実施の形態においては、番組コンテンツ画像とデータ放送画像とを合成すると共にデータ放送コンテンツから取得したデータ放送表示領域を示すマスク情報を多重し、2D3D変換に際してマスク情報によって規定された領域については、3次元画像化せずに2次元画像のままとする。これにより、臨場感溢れる3次元画像と見やすい2次元画像とを同時に表示することができる。
【0041】
なお、上記実施の形態においては、番組コンテンツ画像中にデータ放送画像を同時に表示する例について説明したが、3次元画像による番組コンテンツ画像中にOSD画像等のグラフィック画像を2次元画像により同時に表示する場合にも適用可能である。
【0042】
図3はこの場合の表示例を示す説明図である。図3においては、斜線部によって3次元画像の表示領域を示し、斜線部以外の部分は2次元画像の表示領域を示している。図3(a)は表示部の画面35上の全ての領域36に、例えば番組コンテンツによる3次元画像が表示されていることを示している。一方、図3(b)は画面35の一部を除く領域37に、3次元画像による番組コンテンツ画像を表示し、領域37中の矩形領域38において、OSD画像等のグラフィック画像を2次元画像により同時に表示していることを示している。
【0043】
このように、合成画像にマスク情報を多重して2D3D変換部に与えることにより、3次元画像中に各種2次元画像を同時に表示することが可能である。また、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)では、画像情報だけでなく各種制御情報をCEC(Consumer Electronics Control)通信を利用して伝送することができるので、マスク情報をCEC通信を利用して伝送することで、グラフィック画像の3次元化を停止させるようにすることも可能である。
【0044】
また、上記実施の形態においては、マスク情報によって2D3D変換を行わない領域を指定する例について説明したが、マスク情報によって2D3D変換を行う領域を指定し、マスク情報によって指定した領域以外の領域を2D3D変換しないようにすることも可能である。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0046】
13…チューナ、14…復調部、15…デコード部、16…制御部、17…入力装置、21…合成部、22…2D3D変換部、23…表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組コンテンツに基づく画像とデータ信号に基づく画像とを合成すると共に、合成して得た画像データに前記データ信号に基づく画像の表示領域を示すマスク情報を多重して出力する合成部と、
前記合成部の出力が与えられ、前記マスク情報に基づいて、前記データ信号に基づく画像の表示領域を除く前記番組コンテンツに基づく画像部分のみを3次元画像に変換する画像変換部と
を具備したことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
放送信号が与えられて前記番組コンテンツに基づく画像を生成するデコード部と、
データ信号が与えられて前記データ信号に基づく画像を生成すると共に、前記マスク情報を生成する画像生成部と
を具備したことを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
放送信号から番組コンテンツとデータ放送コンテンツとを取り出すデコード部と、
前記データ放送コンテンツに基づくデータ放送画像を生成すると共に、前記データ放送画像の表示領域を示すマスク情報を生成するデータ放送画像生成部と、
前記番組コンテンツの画像と前記データ放送画像とを合成した画像データに前記マスク情報を多重して出力する合成部と、
前記合成部の出力が入力され、前記マスク情報に基づいて、前記データ放送画像の表示領域を除く前記番組コンテンツの画像部分のみを3次元画像に変換する画像変換部と
を具備したことを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
3次元画像を表示可能であって、前記画像変換部の出力に基づいて、前記番組コンテンツに基づく画像を3次元画像表示すると共に、前記マスク情報によって示される領域に2次元画像を表示する表示部
を具備したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−74434(P2013−74434A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211422(P2011−211422)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】