説明

映像記録再生装置

【課題】ランダムアクセス可能な記録媒体を用いた映像の記録において、ランダムアクセス可能な記録媒体の利点を維持しながら、ビデオテープレコーダ(VTR)のような編集結果を実現する。
【解決手段】映像の記録開始時に、制御手段102により、直前に記録再生を停止したクリップA上の位置aで前後にクリップを分割してクリップA1およびクリップA2とし、映像の記録終了時に、制御手段102により、前記位置aから記録した時間に相当する時間分だけ論理的に進んだところにあるクリップB上の上書き記録終了位置bで前後にクリップを分割してクリップB1およびクリップB2とし、制御手段102により、前記クリップA2から前記クリップB1までを新たに記録された映像クリップCと置き換え、クリップA1、クリップC、クリップB2と再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像の記録・再生を行う映像記録再生装置に関し、特にランダムアクセス可能な記録媒体に対して仮想的な上書き記録を実現する映像記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像記録再生装置の主流は、ビデオテープレコーダ(VTR)等のシーケンシャルアクセス記録媒体を用いた映像記録再生装置(以下、代表してVTRとする)であった。VTRにおいて新たに映像を記録する場合、記録開始時におけるテープ上の記録再生停止位置から映像を記録するため、その位置に既に映像が記録されている場合は、その領域を上書きするように新たな映像を記録してしまい、記録済みの映像の一部が消失してしまうという欠点があった。このため、ユーザはテープ上のどの位置に映像が記録されているかを管理しておく必要があった。
【0003】
図1は、VTRでの映像記録時における記録媒体の変化を示した模式図である。図中の矩形はテープを表し、横方向がテープの位置を示している。図1(a)は、テープの先頭から映像Aおよび映像Bが連続して記録され、その後ろは未記録の空き領域になっていることを示している。また、テープは映像Aの途中で停止しており、次の記録はこの停止位置から開始されることを示している。この状態から新たに映像Cの記録を開始すると、図1(b)に示すように、この停止位置から映像Aを上書きしながら記録を行う。映像Aに続く映像Bの途中まで記録をしたところで記録を停止すると、図1(c)に示すように、映像Aの後半および映像Bの前半が映像Cによって上書きされ、映像Aの前半が映像A’として、また映像Bの後半が映像B’として残る。このように、新たな映像の記録によって、既存映像の一部が消失していることがわかる。
【0004】
近年、カメラレコーダ等の映像記録再生装置に、光学ディスクや半導体メモリ、ハードディスク等のランダムアクセス可能な記録媒体が用いられることが多くなっている。
【0005】
ランダムアクセス可能な記録媒体を用いた装置では、記録されたデータを管理する方式としてファイルシステムが備えられることが一般的である。ファイルシステムを経由することによって、既に記録した映像を誤って上書きしてしまうことなく、新たな映像をファイルとして記録媒体へ記録することが可能である。
【0006】
また、ランダムアクセス可能な記録媒体を用いた映像記録再生装置では、映像をMPEG2やAVCHDなどのビデオ規格に準じたクリップのファイルとして管理することによって、自装置はもちろん、他の映像記録再生装置やパーソナルコンピュータ等においても、記録した映像クリップの削除やコピー等、各種ファイル操作が実行可能となることも利点の一つである。
【0007】
図2は、ランダムアクセス可能な記録媒体を用いた場合の映像記録時における記録媒体の変化を示した模式図である。図中の矩形は、記録媒体の論理的な記録領域を表し、横方向がその論理アドレスを示している。図2(a)は、図1(a)と同様に、論理アドレスの先頭からクリップAおよびクリップBが記録され、その後ろは未記録の空き領域になっていることを示している。この状態から新たにクリップCの記録を開始すると、図2(b)に示すように、ファイルシステムが記録媒体上の空き領域を検索し、クリップBの直後を記録開始位置としてクリップCの記録を開始する。記録を停止すると、図2(c)に示すように、空き領域だったところにクリップCが新たに記録される。このように、ランダムアクセス可能な記録媒体に記録する映像記録再生装置では、ファイルシステムが自動的に空き領域に新たな映像を記録するために、既存映像が消失しないことがわかる。
【0008】
一方でVTRの上書き記録は、既存映像の一部が消失するという欠点はあるが、既存映像の一部が新たな記録映像と置き換わるということでもあるため、上書き記録によって映像の編集を行うことができるという利点も存在する。
【0009】
上書き記録は記録媒体上で直接映像の一部を入れ替えたい場合に有効な方法であり、VTRでは「インサート編集」等と呼ばれ標準的な編集方法である。しかしながら、記録媒体にランダムアクセス可能な記録媒体を用いた場合、一般的に新たな映像はファイルシステムによって自動的に空き領域に記録されてしまうため、VTRのような編集結果を得ることが困難であった。
【0010】
この問題を解決するため、特許文献1に記載された従来の映像記録再生装置は、映像の記録開始位置を直前に記録再生したクリップの記録再生停止位置とし、その位置以降の映像が記録された領域に対して新たに映像を上書き記録していくことによって、ランダムアクセス可能な記録媒体を用いた場合でもVTRのような編集結果を得ることを可能としている。
【特許文献1】特開2007−293946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の映像記録再生装置では、ランダムアクセス可能な記録媒体上において既存映像の領域をそのまま上書きすることによってVTRのような編集結果を得ているため、VTRと同様、既存映像の一部が消失してしまうという課題があった。
【0012】
また、上記従来の映像記録再生装置では、既存映像の領域をそのまま上書きしているため、既存映像の一部と新たな記録映像が領域的に繋がって一つのクリップファイルとなってしまい、映像クリップの削除やコピー時に悪影響を与えてしまうという課題があった。以下、この課題について説明する。
【0013】
図3は、特許文献1に開示された従来の映像記録再生装置の映像記録時における記録媒体の変化を示す模式図である。図3(a)は、論理アドレスの先頭からクリップAおよびクリップBが記録され、その後ろは未記録の空き領域になっていることを示している。また、直前の操作としてクリップAを再生し、その途中の停止位置で停止したことを示している。なお、クリップAおよびクリップBを順に再生するように、プレイリスト等が設定されているものとする。この状態から新たに映像の記録を開始すると、図3(b)に示すように、ファイルシステムはこの停止位置を記録媒体上のクリップAが記録された領域から検索して記録開始位置とし、クリップAのこの位置以降が記録されている領域に対して、新たに映像を上書きしていく。クリップAの終端まで達すると、プレイリスト上で次に再生することになっているクリップBが記録されている領域に対し、引き続き上書き記録を行う。記録を停止すると、図3(c)に示すように、クリップAの後半およびクリップBの前半が新たな映像と置き換わったかたちで、新たな映像が記録される。このように新たな映像を上書き記録すると、既存映像と新たな記録映像が一つのクリップになることがわかる。
【0014】
したがって、従来の映像記録再生装置では、上書きされた映像のみ、および上書きした映像のみを容易に削除したりコピーしたりすることができなかった。
【0015】
図4は、従来の映像記録再生装置において、映像クリップを削除およびコピーする場合における記録媒体の変化を示す模式図である。図4(a)は、一部が上書きされた映像クリップを削除する場合における記録媒体の変化を表している。図4(a)のようにクリップAを削除すると、これに上書きした新たな記録映像の一部も同時に削除されてしまうため、既存のクリップAだけを削除することはできない。また、図4(b)は上書きにより新たに記録した映像クリップをコピーする場合における記録媒体の変化を表している。図4(b)のように新たな記録映像をコピーするためには、既存映像も同時にコピーする必要があり、コピー時間とコピー先容量に無駄が生じてしまう。
【0016】
以上のように、既存映像領域そのものを上書きする従来の映像記録再生装置では、VTRのような編集結果を得ることはできるが、既存映像の一部が消失する課題をVTRと同様に有しており、さらに、ファイル操作にも悪影響を与えるものであった。
【0017】
上記課題に鑑みて本発明の映像記録再生装置は、既存映像の消失を防ぎながら、ファイル操作にも影響を与えずに、VTRのような編集結果を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記従来の課題を解決するために、本発明の映像記録再生装置は、外部から入力される映像を受け付ける映像入力手段と、前記映像入力手段から入力された前記映像をクリップとして記録媒体に記録すると共に、前記記録媒体に記録された複数の前記クリップをプレイリストにしたがって記録媒体から再生して出力する制御手段とを備え、前記制御手段は、最後に記録再生を行った前記クリップ上の位置である上書き記録開始位置を記憶し、入力された映像を上書きクリップとして記録を開始する際に、前記クリップを前記上書き記録開始位置で前後に分割し、前記上書きクリップを前記記録媒体中の空き領域に記録し、前記上書きクリップの記録終了時において、前記上書き記録開始位置から記録した時間に相当する時間分だけ前記プレイリストにしたがって論理的に進んだ上書き記録終了位置を含むクリップを前記上書き記録終了位置で前後に分割し、前記プレイリスト上における前記上書き記録開始位置および前記上書き記録終了位置の間に含まれるクリップを前記上書きクリップで置き換えるように前記プレイリストを更新する構成としたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の映像記録再生装置によれば、新たな映像を記録する場合、既存映像の消失を防ぎながら、ファイル操作にも影響を与えず、VTRのような編集結果を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図5は、本発明の実施の形態にかかる映像記録再生装置におけるブロック図である。図5において、操作手段101は、映像記録再生装置に必要とされる再生、記録、停止等の機能を有した操作キーであり、ユーザによる映像の記録、再生、停止等の指示に使用される。ユーザが操作キーを操作すると、それに対応した信号が制御手段102に送られる。制御手段102は通常マイコンや映像のデコーダ・エンコーダ等によって構成される。制御手段102は、操作手段101からの信号を受けて記録媒体103へアクセスし、映像の記録および再生の制御を行う。記録媒体103へのアクセスは、ファイルシステムを通して行われる。ファイルシステムも制御手段102によって実現されるが、ファイルシステムについては公知の構成であり、詳細な説明は省略する。記録媒体103は、映像をファイルとして記録する媒体であり、媒体としてはハードディスクやフラッシュメモリ、光ディスクなどのランダムアクセス可能な媒体が考えられる。表示手段104は、制御手段102によって再生(デコード)された映像データ等を表示する手段であり、通常はディスプレイ装置が用いられる。映像入力手段105は、外部から映像を入力するインターフェイスであり、コンポジット端子やコンポーネント端子等の入力端子である。映像入力手段105には、外部の映像再生装置やビデオカメラ等、映像を出力可能な機器が接続される。本実施の形態においては映像は外部から入力されるものとして説明するが、例えばカメラ一体型記録再生装置(カメラレコーダ)のように、映像を生成するための手段が一体に構成されていてもよい。
【0022】
映像入力手段105から入力された映像は、制御手段102に送られる。制御手段102は、送られてきた映像を所定のビデオ規格に準じたクリップファイルに変換し、記録媒体103へ記録する。すなわち、本実施の形態においては、1つの映像クリップを1つのファイルとして記録媒体103に記録するものとする。また、このクリップファイルは映像と共にXML形式で記述された、クリップについてのメタ情報を含むものとする。メタ情報は、クリップの記録日時、記録時間、記録フレーム数、フレームレート等を含む。なお、記録媒体103に記録されている全てのクリップファイルについてのメタ情報をひとつのメタ情報ファイルに含めて管理するようにしてもよい。
【0023】
なお、一般的にはファイルは非連続な複数の領域に分断されて記録される可能性があり、それらのつながりに関する情報はファイルシステムが管理するようになっている。しかしながらこのような場合でも本発明が適用可能であることは容易に理解できるため、本実施の形態では発明のポイントを理解しやすいように、各ファイルが記録媒体103の論理アドレス上で連続して記録されるものとして説明する。
【0024】
以下、本発明の映像記録再生装置の動作について説明する。
【0025】
図6は、本発明の映像記録再生装置の記録動作フローチャートである。また図7は、図6のフローチャートの各々のステップにおける、記録媒体の状態、および、再生順番を示す図である。
【0026】
ここで、具体例として、記録媒体103にはクリップAとクリップBが既存クリップとして記録されているものとする。クリップAとクリップBは、図7(a)のように、論理アドレスの先頭から連続して記録されており、その後ろは未記録の空き領域になっているものとし、制御手段102のファイルシステムによって管理されているものとする。
【0027】
また、クリップの再生順番は、クリップAを再生した後にクリップBが再生されるものとする。本発明の実施の形態では、クリップの再生順番の設定に、記録媒体103上に保存されたXML形式のプレイリストファイルを使用するものとし、制御手段102は、プレイリストファイルに記述された再生順番に従ってクリップファイルを順次記録媒体103から読み出して再生するものとする。再生順番を具体例のようにクリップA、クリップBと設定する場合のプレイリストファイルは、
<Playlist>
<クリップA>
<クリップB>
</Playlist>
のように記述される。
【0028】
プレイリストファイルは、ユーザが操作手段を操作する等してクリップの再生順番を指定し、この指定通りに制御手段102が作成してもよいし、例えば再生順番をクリップの記録順として制御手段102が作成するようにしてもよい。また、外部で作成したプレイリストファイルを本実施の形態の映像記録再生装置に入力し、記録媒体103に保存するようにしてもよい。
【0029】
さらに、クリップAの映像記録時間は15秒、クリップBの映像記録時間は18秒であるとする。
【0030】
図6中のステップS201において制御手段102は、上書き記録を開始したい映像クリップA上の上書き記録開始位置aで再生を停止する。この時の記録媒体の状態と再生順番は図7(a)に示す通りであるとする。ここで、これ以下の記述における、具体例の上書き記録開始位置aは、クリップAの先頭フレームから12秒進んだ位置であったとする。この時、制御手段102は停止位置情報として、停止したクリップと停止したクリップ上の位置aをメモリ等の記憶媒体に保存する。具体例では、「クリップA、12秒」の情報が保存される。すなわち、制御手段102が記録再生を停止している状態においては、制御手段102は最後に記録再生を行ったクリップ上の位置を上書き記録開始位置aとして記憶していることになる。
【0031】
ステップS202において制御手段102は、ユーザにより操作手段101の記録キーが押されたか否かを判断する。記録キーが押されるとステップS203へ進む。記録キーが押されていない場合は押されるまでステップS202を繰り返す。
【0032】
ステップS203において制御手段102は、ユーザの指示に従って記録を開始する前に、ステップS201で保存された停止位置情報に従って、上書き記録開始位置aでクリップAを前後に分割して、クリップA1およびクリップA2を作成する。クリップAの分割は、制御手段102によって実現されるファイルシステムが、クリップA1およびクリップA2の管理情報を新たに作成し、クリップAの先頭フレームから位置aまでが新たにクリップA1となるように、またクリップAの位置a以降が新たにクリップA2となるように各々の管理情報を設定すると共に、クリップAの管理情報を削除することによって行うものとする。すなわち、クリップの実体を記録媒体103上で変更することなく、管理情報のみを書き換えてクリップファイルを分割する。なお、クリップ分割は、例えばクリップAにおけるクリップA1に相当する部分およびクリップA2に相当する部分を各々空き領域にコピーし、それらをクリップA1およびクリップA2とすると共に、元のクリップAを削除するような処理をしてもよい。具体例では、映像記録時間が12秒のクリップA1、および、映像記録時間が3秒のクリップA2が作成される。ステップS203におけるクリップ分割を行った場合の記録媒体の状態を図7(b)に示す。
【0033】
ステップS204において制御手段102は、ファイルシステムを通して記録媒体103上における実際に映像を記録するための空き領域の開始位置を検索する。具体例では検索の結果、記録媒体103上の空き領域の先頭が実際に映像を記録する領域の開始位置として設定されたものとする。なお、ファイルシステムによる空き領域の検索処理については公知の技術を用いることができるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0034】
ステップS205において制御手段102は、映像入力105から入力された映像を、ステップS204で検索した記録媒体103上の空き領域に記録する。ステップS205における記録処理を実行中の記録媒体の状態を図7(c)に示す。
【0035】
ステップS206において制御手段102は、ユーザにより操作手段101の停止キーが押されたか否かを判断する。停止キーが押されるとステップS207へ進む。停止キーが押されていない場合は押されるまでステップS205の記録処理を継続する。
【0036】
ステップS207において制御手段102は、記録処理を停止する。この新たに記録した映像をクリップCとする。このクリップCが、クリップAおよびクリップBを仮想的に上書きする上書きクリップに相当する。ステップS207の記録停止処理を行った場合の記録媒体の状態を図7(d)に示す。ここで、具体例におけるクリップCの映像記録時間は8秒であったものとする。
【0037】
ステップS208において制御手段102は、上書き記録開始位置aから、クリップCの記録時間分だけ論理的に進んだ上書き記録終了位置bを、上書き記録開始位置aと、各クリップのメタ情報に含まれる各クリップの記録時間と、再生順番を示すプレイリストファイルとから計算する。具体例では、上書き記録開始位置aはクリップAの先頭フレームから12秒進んだ位置であり、クリップA、BおよびCの記録時間は各々15秒、18秒および8秒、プレイリスト上ではクリップA、クリップBの再生順番となっているので、上書き記録終了位置bはクリップBの先頭フレームから5秒進んだ位置となる。上書き記録終了位置bの計算後、制御手段102は、上書き記録終了位置bでクリップBを前後に分割して、クリップB1およびクリップB2を作成する。具体例では、クリップB1およびクリップB2の映像記録時間は各々5秒および13秒となる。また、ステップS208のクリップ分割処理を行った場合の記録媒体の状態を図7(e)に示す。
【0038】
ステップS209において制御手段102は、上書き区間にあるクリップを上書きクリップで置き換えるようにプレイリストを書き換える。具体例では、制御手段102はプレイリストファイルを下記のように記述しなおす。すなわち、現在のプレイリストに対して上書き記録開始位置aを含むクリップAおよび上書き記録終了位置bを含むクリップBを各々分割した後の仮の再生順番はクリップA1、クリップA2、クリップB1、クリップB2となる。ここでこの仮の再生順番に対して、上書きされた映像区間に相当するクリップA2とクリップB1とを、「上書き」したクリップCで置き換えて新たな再生順番をクリップA1、クリップC、クリップB2とする。
<Playlist>
<クリップA1>
<クリップC>
<クリップB2>
</Playlist>
ステップS209のプレイリスト更新処理を行った場合の記録媒体の状態と再生順番を図7(f)に示す。
【0039】
ここで、本発明の実施の形態では、クリップの再生順番の設定にXML形式のプレイリストファイルを使用しているが、再生順番の設定にXML等の言語を利用していない映像記録再生装置においても、再生順番がクリップA1、クリップC、クリップB2となるように、再生制御を行えばよい。
【0040】
上記記録動作が本発明の映像記録再生装置の記録動作であり、上記の記録動作後にプレイリストの記述にしたがって映像を再生すると、図7(f)で示したように、映像はクリップA1、クリップC、クリップB2と再生されるため、上記の記録動作を行えば、VTRの上書き記録のような編集結果を得ることが可能となる。
【0041】
次に、上書き記録による既存映像の消失を防ぐ方法について説明する。
【0042】
上記記録動作の説明の中で述べたように、本発明の映像記録再生装置では、新たな映像を空き領域に記録するため、上書き区間に相当する既存映像(クリップA2およびクリップB1)は記録媒体103中に存在しており、再生対象から除外されているだけである。
【0043】
したがって、例えば新たな記録映像を削除した場合、新たな記録映像によって上書きされた区間に相当する既存映像を再び再生対象に戻せば、既存映像の消失を防ぐことが可能となる。
【0044】
図8は、本発明の実施の形態における映像記録再生装置で新たな記録映像を削除した場合の記録媒体の状態と再生順番を示した図である。図8では、上記記録動作の説明中の具体例において、クリップCを削除した後に、クリップA2とクリップB1を再び再生対象に戻し、クリップA1、クリップA2、クリップB1、クリップB2と再生されるような再生制御を行った場合のイメージを示している。
【0045】
図8から分かるように、新たな記録映像によって上書きされた区間に相当する既存映像を再び再生対象に戻すことができれば、既存映像の消失を防ぐことが可能となる。
【0046】
ここで、上記記録動作の説明中の具体例において、クリップCを削除した後に、クリップA2とクリップB1を再び再生対象に戻し、クリップA1、クリップA2、クリップB1、クリップB2と再生されるような制御方法について、以下に記す。
【0047】
まず、制御手段102によって、上書きクリップであるクリップCを記録する際に、クリップCのヘッダ部やクリップCを記述するXML等のメタ情報欄に、クリップCが仮想的に上書きした区間に相当する既存クリップ、ここではクリップA2とクリップB1を示す情報を、その再生順の情報も含めて付加して記録する。次に、クリップCの削除時に、制御手段102によって、クリップCのメタ情報欄からクリップCが上書きした区間に相当する既存クリップ(仮の再生順番上でクリップCと置き換えたクリップ)、ここではクリップA2とクリップB1を割り出し、メモリ等の記憶媒体に保存する。クリップCの削除後、制御手段102によって、メモリ等の記憶媒体に保存された上書き情報を用いて、プレイリストファイルを下記のように記述しなおす。すなわち、プレイリスト中のクリップCを、クリップA2、クリップB1と置き換えるようにする。
<Playlist>
<クリップA1>
<クリップA2>
<クリップB1>
<クリップB2>
</Playlist>
なお、本実施の形態では上書きクリップであるクリップCの削除時に、仮想的に上書きされたクリップA2およびクリップB1を再び再生対象に戻す処理について説明したが、クリップCを削除せず、単にプレイリストから除外したときに、同様にクリップA2およびクリップB1を再生対象に戻すようにしてもよい。
【0048】
上記記録動作の説明の中で述べたように、本発明の映像記録再生装置では、新たな映像を上書き記録する場合、新たな映像は既存映像の領域にそのまま記録するのではなく、空き領域に記録し、且つ、上書き記録開始位置と、記録開始位置から記録時間分論理的に進んだ位置で既存クリップを分割している。このため、新たな記録映像と既存映像は別々のファイルになっており、独立してファイル操作を行うことができる。
【0049】
従来の映像記録再生装置で既存映像クリップ、例えばクリップAを削除すると、図4(a)のように新たな記録映像クリップ、すなわちクリップCの一部も同時に削除されてしまうが、本発明の映像記録再生装置でクリップAを削除した場合は、図9(a)のようにクリップCの一部も同時に削除されてしまうということはなく、クリップAだけを削除することができる。
【0050】
また、従来の映像記録再生装置でクリップCをコピーすると、図4(b)のように既存映像クリップも同時にコピーされるため、コピー時間とコピー先容量に無駄が生じてしまうが、本発明の映像記録再生装置でクリップCをコピーした場合は、図9(b)のように既存映像クリップを同時にコピーする必要はなく、クリップCだけをコピーすることができる。
【0051】
以上が、本発明の映像記録再生装置の動作である。この動作によれば、新たな映像を記録する場合、既存映像の消失を防ぎながら、ファイル操作にも影響を与えず、VTRのような編集結果を得ることが可能となる。
【0052】
なお、本実施の形態では、新たな映像を記録する前に上書き記録開始位置でクリップの分割を行ったが、新たな映像を記録する前の動作は、上書き記録開始位置をメモリ等の記憶手段に記憶しておくだけに留め、新たな映像の記録が終了した後にクリップを分割してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の映像記録再生装置は、新たな映像を記録する場合、既存映像の消失を防ぎながら、ファイル操作にも影響を与えず、VTRのような編集結果を得ることが可能となるため、ランダムアクセス可能な記録媒体に対して仮想的な上書き記録を実現する映像記録再生装置等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】VTRの映像記録時における記録媒体の変化を示す図
【図2】ランダムアクセス可能な記録媒体を用いた場合の映像記録時における記録媒体の変化を示す図
【図3】従来技術の映像記録時における記録媒体の変化を示す図
【図4】映像クリップを削除およびコピーする場合における記録媒体の変化を示す図
【図5】本発明の実施の形態における映像記録再生装置のブロック図
【図6】本発明の実施の形態における映像記録再生装置のフローチャート
【図7】本発明の実施の形態における映像記録再生装置の記録動作中の記録媒体の状態と再生順番を示す図
【図8】本発明の実施の形態における映像記録再生装置で新たな記録映像を削除した場合の記録媒体の状態と再生順番を示す図
【図9】本発明の実施の形態における映像記録再生装置で映像クリップを削除およびコピーする場合における記録媒体の変化を示す図
【符号の説明】
【0055】
101 操作手段
102 制御手段
103 記録媒体
104 表示手段
105 映像入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される映像を受け付ける映像入力手段と、
前記映像入力手段から入力された前記映像をクリップとして記録媒体に記録すると共に、前記記録媒体に記録された複数の前記クリップをプレイリストにしたがって記録媒体から再生して出力する制御手段とを備え、
前記制御手段は、最後に記録再生を行った前記クリップ上の位置である上書き記録開始位置を記憶し、入力された映像を上書きクリップとして記録を開始する際に、前記クリップを前記上書き記録開始位置で前後に分割し、前記上書きクリップを前記記録媒体中の空き領域に記録し、前記上書きクリップの記録終了時において、前記上書き記録開始位置から記録した時間に相当する時間分だけ前記プレイリストにしたがって論理的に進んだ上書き記録終了位置を含むクリップを前記上書き記録終了位置で前後に分割し、前記プレイリスト上における前記上書き記録開始位置および前記上書き記録終了位置の間に含まれるクリップを前記上書きクリップで置き換えるように前記プレイリストを更新する、
映像記録再生装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記映像をメタ情報を含んだ前記クリップとして前記記録媒体に記録し、
前記制御手段は、前記上書きクリップの記録時に、前記プレイリスト上で前記上書きクリップと置き換えたクリップを示す情報を含むメタ情報と共に前記上書きクリップを前記記録媒体に記録し、
前記上書きクリップの削除時に、前記上書きクリップに含まれるメタ情報から前記上書きクリップと置き換えたクリップを特定し、前記プレイリスト上で前記上書きクリップと前記置き換えたクリップを置き換えるように前記プレイリストを更新する、請求項1記載の映像記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−301646(P2009−301646A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155016(P2008−155016)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】