説明

映像記録装置

【課題】 入力ビデオ信号と入力タイムコード信号が同期していない場合であっても、記録するタイムコードが不連続とならないように記録する映像記録装置を提供する
【解決手段】 複数の撮像装置を用いてビデオ画像を撮像して、タイムコードをタイムコード信号発生器で発生する基準タイムコードのタイミングに変換して、前記ビデオ画像と共に記録させる際、前記基準タイムコードのタイミングで変換されたタイムコードにおける現在から直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲内にあるかを検出する検出手段7と、現在から直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲内にある場合には、現在のタイムコードを直前のタイムコードに+1を加えるタイムコードに修正し、現在のタイムコードから直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲以外にある場合には、前記現在のタイムコードをそのままにするタイムコード修正手段8と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号、音声信号、タイムコード信号をテープなどのメディアに記録する際に、タイムコードデータを補正して記録する映像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号をテープなどのメディアに記録する場合に、番組上の位置を特定するためにタイムコード信号が同時に記録される。このタイムコード信号には、通常、映像記録装置に内蔵されたタイムコード信号発生器により生成されたタイムコード信号が使われる。
【0003】
ところで、複数台のカメラと映像記録装置を使って同一被写体を撮像・記録して、あとからタイムコードを使って編集をするような用途がある。この場合、図5に示すように、複数の映像記録装置に対して外部に一台のタイムコード信号発生器を設け、各映像記録装置に同一のタイムコード信号を供給して記録する。これにより、それぞれの映像記録装置で記録された映像信号は、記録されたタイムコード信号により、時間軸を一致させて編集することができる。ただし各映像信号とタイムコードは同期していることが前提となるため、すべての機器は外部同期により同期運転される必要がある。
【0004】
カメラが外部同期に非対応の場合は、図6に示すように外部同期を使わないでシステムを構成することになり、ビデオ信号とタイムコードを同期させることはできない。
この場合、記録されるタイムコードには不連続が発生することを、図7により説明する。図7は、「入力タイムコード」、入力ビデオ、および入力タイムコードを入力ビデオの同期立下りのタイミングで読み取り記録する「読み取りタイムコード」のタイミング関係とタイムコードの値を示す。ここでタイムコードの値は、フレームごとのタイムコードを代表する数値で、タイムコード(番号)が連続しているかどうかを示すものである。
図7の例では、“00”、“01”、“02”、“03”、・・・と連続したタイムコードを入力しても、入力タイムコードと入力ビデオが同期していないと、入力タイムコードと入力ビデオのずれは時間と共に大きくなり、読み取りタイムコードには、“00”、“01”、“02”、“02”、・・・と“02”が連続するといった不連続が発生する。一般的には、ずれが蓄積していって1フレームを超えると、同じ値の繰り返し、またはある値を飛ばす事となる。
【0005】
エラーという判断が可能な場合は、タイムコードエラーを補正することもあるが、一般的には、再生時、記録されたタイムコード信号を読み取る時に補正するものである(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10―289535号公報(第3〜4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、タイムコード信号は、特に映像音声の編集において重要である。不連続なタイムコードの記録されたテープを使って編集を行うと、たとえば2台のVTRで調相しながら編集しようとして、調相領域に不連続点が入ると、調相不能となって異常終了することもある。
そこで本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、ビデオ信号と入力タイムコード信号が同期していない場合であっても、記録するタイムコードが不連続とならないように記録する映像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、複数の撮像装置を用いてビデオ画像をタイムコードに付加して撮像する際、前記タイムコードが前記複数の撮像装置間で非同期である場合に、前記タイムコードをタイムコード信号発生器で発生する基準タイムコードのタイミングに変換して、前記ビデオ画像と共に記録させる映像記録装置において、前記基準タイムコードのタイミングで変換されたタイムコードにおける現在のタイムコードから直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲内にあるかを検出する検出手段と、前記検出手段で検出された現在のタイムコードから直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲内にある場合には、現在のタイムコードを直前のタイムコードに+1を加えるタイムコードに修正し、前記検出手段で検出された現在のタイムコードから直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲以外にある場合には、前記現在のタイムコードをそのままにするタイムコード修正手段と、を有することを特徴とする映像記録装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の映像記録装置によれば、基準タイムコードのタイミングで変換されたタイムコードにおける現在のタイムコードから直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲内にあるかを検出する検出手段と、前記検出手段で検出された現在のタイムコードから直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲内にある場合には、現在のタイムコードを直前のタイムコードに+1を加えるタイムコードに修正し、前記検出手段で検出された現在のタイムコードから直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲以外にある場合には、前記現在のタイムコードをそのままにするタイムコード修正手段と、を有するので、ビデオ信号と入力タイムコード信号が同期していない場合であっても、記録するタイムコードが不連続とならないように記録できる。
また複数台のカメラにより撮像・記録する場合、すべての装置を同期運転するような複雑なシステムを組まなくても、あとから共通のタイムコードを使って同一の時間軸上で編集をすることができる。ただし、複数の記録メディアのタイムコードの時間軸は、入力が非同期のため正確には一致しないが、実用上十分である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の各実施形態に係る映像記録装置について図1〜図4を用いて説明する。
図1は、本願発明の実施形態における映像記録装置のタイムコード信号記録に係る主要ブロックの構成図である。図2は、本願発明の実施形態における映像記録装置のタイムコード信号記録に係るフローチャートである。図3および図4は、本願発明の実施形態における入力タイムコード、入力ビデオと書き込みタイムコードの関係を示す図である。
【実施例1】
【0010】
図1は、DVフォーマットのVTRを例にとった本発明の映像記録装置のタイムコード信号記録に係る主要ブロック図で、映像記録装置1は、カメラからのビデオ信号と外部のタイムコード信号発生器からのタイムコード信号(以下、入力タイムコードという。)を入力して、タイムコードの記録されたビデオテープを作成するもので、前記入力ビデオ信号より同期分離された同期信号、および前記入力タイムコードを入力し、記録するタイムコード(以下、書き込みタイムコードという。)を出力するタイムコード処理部3と、前記ビデオ信号と前記書き込みタイムコードを入力してテープに記録するビデオ記録部2より構成されている。
【0011】
まずビデオ記録部2の構成要素の機能について説明する。DV圧縮部4は、入力されたビデオ信号を圧縮処理して、圧縮したビデオ信号をDVフォーマッタ5へ出力する。DVフォーマッタ5は、前記圧縮ビデオ信号および前記書き込みタイムコードを入力して、DV形式の信号にフォーマットして、DV記録部6へ出力する。DV記録部6は、前記DV形式の信号を、ドラムヘッドを介して、テープに記録する。
次に、タイムコード処理部3の構成要素の機能について説明する。タイムコード読み取り部7は、前記入力タイムコードおよび前記入力ビデオの同期信号を入力して、前記入力ビデオ信号の垂直同期のタイミングで前記入力タイムコードを読み取り(以下、読み取ったタイムコードを読み取りタイムコードという。)、その読み取りタイムコードを入力、タイムコード判定部8に出力する。入力タイムコード判定部8は、入力した前記読み取りタイムコードを、1フレーム前の読み取りタイムコードと比較して、後述する方法によりその時の入力タイムコードが連続か不連続かを判定して、その判断結果を、書き込みタイムコード設定部9に出力する。書き込みタイムコード設定部9は、読み取りタイムコードと前記判断結果を入力し後述する方法により、書き込みタイムコードを設定してDVフォーマタ5に出力する。
【0012】
次に図2のフローチャートを用いて、タイムコード処理部3の動作を説明する。
まず前述したように、ビデオ信号に同期して、外部から入力されるタイムコードを読み取り、読み取りタイムコードとする(ステップS1)。
次に、前記読み取りタイムコードから、そのときの入力タイムコードが、連続であるか不連続であるかを判断する(ステップS2〜S4、入力タイムコード判断部8に相当)。
読み取りタイムコードを「前回の読み取りタイムコード値」と比較し、等しい場合は、ステップS5へ、異なる場合は、ステップS3へ進む(ステップS2)。
ステップS3では、読み取りタイムコードを「前回の読み取りタイムコード値+1」と比較し、等しい場合はステップS5へ、異なる場合はステップS4へ進む(ステップS3)。
ステップS4では、読み取りタイムコードを「前回の読み取りタイムコード値+2」と比較し、等しい場合はステップS5へ、異なる場合はステップS6へ進む(ステップS4)。
次に書き込みタイムコードを設定して出力する(ステップS6〜S7、書き込みタイムコード設定部9に相当)。
ステップS5では、前記入力タイムコードは連続していると判断し、書き込みタイムコードを「前回の書き込みタイムコード値+1」に設定して、書き込みタイムコードを記憶して、ステップS7へ進む(ステップS5)。
ステップS6では、前記入力タイムコードは不連続である又は新規プリセット値であると判断し、書き込みタイムコードを「読み取りタイムコード値」に設定して、書き込みタイムコードを記憶して、ステップS7へ進む(ステップS6)。
ステップS7では、設定された書き込みタイムコードをDVフォーマッタに出力して記録する(ステップS7)。
【0013】
次に図3、図4のタイミングチャートにより、タイムコード処理部3の動作例を具体的に説明する。なお図3は入力タイムコードが連続している場合、図4は入力タイムコードに不連続がある場合の例を示す。
【0014】
図3(A)は、入力ビデオのフレーム周期が入力タイムコードの周期より短い場合の例を示し、ずれが時間と共に蓄積していって1フレームを超えると、入力タイムコード“02のフレーム期間中に入力ビデオ同期の立下りが2回現れるため、読み取りタイムコードは同じ値(“02“)を繰り返す。また図3(B)は、逆に入力ビデオのフレーム周期が入力タイムコードの周期より長いため、読み取りタイムコードは値(“02“)を一つ飛ばす。このように、連続したタイムコードが入力されても、入力タイムコード信号と入力ビデオ信号が同期していないと、読み取りタイムコードは、通常「前回の読み取りタイムコード値+1」となるが、「前回の読み取りタイムコード値」、「前回の読み取りタイムコード値+2」となることがある。
本方式では、読み取りタイムコードが不連続でも、前記3つの値をとる場合は、入力タイムコードは連続していると判断して、書き込みタイムコードは連続するように補正する。すなわち、書き込みタイムコード設定部7は、読み取りタイムコードを出力するのではなく、「前回の書き込みタイムコード値」に「+1」した値を、書き込みタイムコードに設定し(フローチャートのステップS5)、出力して記録する。
【0015】
また、図4(A)また(B)に示すように、入力タイムコードが“04”から“15”に飛ぶような不連続がある場合は、読み取りタイムコードは、「前回の読み取りタイムコード値」、「前回の読み取りタイムコード値+1」、「前回の読み取りタイムコード値+2」の3つの値以外の値となる。読み取りタイムコードが、この3つの値以外の場合は、そのときの入力タイムコードはもともと不連続があったと判断して、書き込みタイムコード設定部7は、読み取りタイムコードの値を、書き込みタイムコードに設定し(フローチャートのステップS6)、出力して記録する。
【0016】
以上のように本発明の映像記録装置によれば、ビデオ信号と入力されるタイムコード信号が同期していない場合であっても、記録するタイムコードが不連続とならないように記録できる。また外部同期非対応のカメラにより、複数の映像信号を同時に記録して、あとから共通のタイムコードを使って同一の時間軸上で、編集をすることができる。
さらに、本発明のタイムコード記録補正方法によれば、1フレーム前のタイムコードを監視するだけで対応できるので装置に対する負担が少なく、かつ常時動作させても問題がないシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の実施形態における映像記録装置のタイムコード信号記録に係る主要ブロックの構成図である。
【図2】本願発明の実施形態における映像記録装置のタイムコード信号記録に係るフローチャートである。
【図3】本願発明の実施形態における入力タイムコード、入力ビデオと書き込みタイムコードの関係を示す図である。(タイムコードが連続している場合)
【図4】本願発明の実施形態における入力タイムコード、入力ビデオと書き込みタイムコードの関係を示す図である。(タイムコードに不連続がある場合)
【図5】複数の映像記録装置へのタイムコード信号の供給形態を示す図である。(外部同期信号を使う場合)
【図6】複数の映像記録装置へのタイムコード信号の供給形態を示す図である。(外部同期信号を使わない場合)
【図7】入力ビデオと入力タイムコードが非同期のときのタイムコード信号記録状態を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1…映像記録装置、2…ビデオ記録部、3…タイムコード処理部、4…DV圧縮部、5…DVフォーマッタ、6…DV記録部、7…タイムコード読み取り部、8…入力タイムコード判定部、9…書き込みタイムコード設定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像装置を用いてビデオ画像をタイムコードに付加して撮像する際、前記タイムコードが前記複数の撮像装置間で非同期である場合に、前記タイムコードをタイムコード信号発生器で発生する基準タイムコードのタイミングに変換して、前記ビデオ画像と共に記録させる映像記録装置において、
前記基準タイムコードのタイミングで変換されたタイムコードにおける現在のタイムコードから直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲内にあるかを検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された現在のタイムコードから直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲内にある場合には、現在のタイムコードを直前のタイムコードに+1を加えるタイムコードに修正し、前記検出手段で検出された現在のタイムコードから直前のタイムコードを引いた値が0〜2の範囲以外にある場合には、前記現在のタイムコードをそのままにするタイムコード修正手段と、
を有することを特徴とする映像記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−4575(P2006−4575A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182734(P2004−182734)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】