説明

暖房システム

【課題】冷媒回路の冷媒によって加熱した熱搬送回路の熱媒体が放出する熱を利用して室内を暖房する暖房システムにおいて、エネルギー消費量を削減する。
【解決手段】冷媒を循環させて冷凍サイクルを行い、熱源側熱交換器(50〜53)を構成する冷媒回路用熱交換器(50)に接続されて冷媒回路用熱交換器(50)で熱搬送回路(30)の熱媒体を冷媒で加熱する冷媒回路(21)に加えて、太陽熱を集めるための太陽熱集熱器(76)を有し、太陽熱集熱器(76)で得た温熱を利用して熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する太陽熱利用部(20)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路を熱源とする暖房システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍サイクルを行う冷媒回路を熱源とする暖房システムが知られている。この種の暖房システムでは、冷媒回路を循環する冷媒によって加熱された熱媒体が放出する熱を利用して室内の暖房が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、この種の暖房システムとして、床暖房を行う床暖房装置が開示されている。この床暖房装置では、床暖房パネルが設けられた二次側回路(熱搬送回路)の温水熱交換器が冷媒回路に接続されている。温水熱交換器では、冷媒が放熱して、二次側回路を循環する水が加熱される。二次側回路では、温水熱交換器で加熱された温水が床暖房パネルで放熱する。このように、この床暖房装置では、冷媒回路の冷媒によって加熱された温水が床暖房パネルで放熱することによって室内の暖房が行われる。なお、この床暖房装置では、床暖房パネルから温水熱交換器へ戻る温水の温度が目標温度になるように、冷媒回路の圧縮機のインバータが制御される。
【特許文献1】特開2000−46417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の暖房システムでは、利用側熱交換器で放熱する熱搬送回路の熱媒体の熱源となるのが、冷凍サイクルを行う冷媒回路のみである。このため、冷媒回路では、熱搬送回路の熱媒体を加熱するための温熱を得るために、ある程度大きなエネルギーが必要となっていた。そして、その結果、暖房システムのエネルギー消費量が大きくなっていた。
【0005】
特に、冷媒回路の蒸発器において冷媒が熱交換する空気の温度が低くなる寒冷地では、冷凍サイクルの成績係数(COP)がそれほど高い値にはならず、冷媒回路のエネルギー消費量が大きくなっていた。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷媒回路の冷媒によって加熱した熱搬送回路の熱媒体が放出する熱を利用して室内を暖房する暖房システムにおいて、エネルギー消費量を削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、熱源側熱交換器(50〜53)と利用側熱交換器(35)の間で熱媒体を循環させる熱搬送回路(30)と、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行い、上記熱源側熱交換器(50〜53)を構成する冷媒回路用熱交換器(50)に接続されて該冷媒回路用熱交換器(50)で上記熱搬送回路(30)の熱媒体を冷媒によって加熱する冷媒回路(21)とを備え、上記利用側熱交換器(35)へ供給された熱媒体を室内の暖房に利用する暖房システム(10)を対象とする。そして、この暖房システム(10)は、太陽熱を集めるための太陽熱集熱器(76)を有し、該太陽熱集熱器(76)で得た温熱を利用して上記熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する太陽熱利用部(20)を備えている。
【0008】
第1の発明では、熱搬送回路(30)の熱媒体が、冷媒回路用熱交換器(50)で冷媒回路(21)の冷媒によって加熱される。また、熱搬送回路(30)の熱媒体は、太陽熱利用部(20)によっても加熱される。太陽熱利用部(20)は、太陽熱を集めるための太陽熱集熱器(76)で得た温熱を利用して熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する。そして、冷媒回路(21)の冷媒と太陽熱利用部(20)とによって加熱された熱媒体は、利用側熱交換器(35)で放熱する。この第1の発明では、冷凍サイクルを行う冷媒回路(21)に加えて、太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体の熱源になっている。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記熱搬送回路(30)には、太陽熱用熱交換器(51〜53)が上記熱源側熱交換器(50〜53)として設けられ、上記太陽熱利用部(20)は、上記太陽熱集熱器(76)で得た温熱によって加熱された流体を上記太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給するように構成されている。
【0010】
第2の発明では、太陽熱集熱器(76)で得た温熱によって加熱された流体が、太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される。太陽熱用熱交換器(51〜53)では、加熱された流体が熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する。この第2の発明では、太陽熱集熱器(76)で得た温熱が、流体を介して熱搬送回路(30)の熱媒体に伝達される。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記熱搬送回路(30)では、上記太陽熱用熱交換器(51〜53)が、上記冷媒回路用熱交換器(50)の下流の第1の位置と、該冷媒回路用熱交換器(50)に並列の第2の位置と、該冷媒回路用熱交換器(50)の上流の第3の位置のうち少なくとも1箇所に設けられている。
【0012】
第3の発明では、太陽熱用熱交換器(51〜53)が、熱搬送回路(30)において、冷媒回路用熱交換器(50)の下流の第1の位置と、冷媒回路用熱交換器(50)に並列の第2の位置と、冷媒回路用熱交換器(50)の上流の第3の位置のうち少なくとも1箇所に設けられている。太陽熱用熱交換器(51〜53)が第1の位置に配置されている場合には、冷媒回路用熱交換器(50)で加熱された熱媒体が、さらに第1の位置の太陽熱用熱交換器(51)で加熱された後に利用側熱交換器(35)へ供給される。また、太陽熱用熱交換器(51〜53)が第2位置に配置されている場合には、第2の位置の太陽熱用熱交換器(52)で加熱された熱媒体が、冷媒回路用熱交換器(50)で加熱された熱媒体と合流した後に利用側熱交換器(35)へ供給される。また、太陽熱用熱交換器(51〜53)が第3の位置に配置されている場合には、第3の位置の太陽熱用熱交換器(53)で加熱された熱媒体が、さらに冷媒回路用熱交換器(50)で加熱された後に利用側熱交換器(35)へ供給される。
【0013】
第4の発明は、上記第2又は第3の発明において、上記熱搬送回路(30)では、上記太陽熱用熱交換器(51〜53)が、上記第1の位置と上記第2の位置と上記第3の位置のうち少なくとも2箇所に設けられ、上記太陽熱利用部(20)は、上記太陽熱集熱器(76)で得た温熱によって加熱された流体を供給する太陽熱用熱交換器(51〜53)を、該太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度に応じて切り換えるように構成されている。
【0014】
第4の発明では、太陽熱集熱器(76)で得た温熱によって加熱された流体の供給先が、太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度に応じて切り換えられる。以下では、第1の位置と第2の位置と第3の位置の全てに太陽熱用熱交換器(51〜53)が配置されている場合を例に、第4の発明について説明する。
【0015】
この場合、太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度が、例えば熱搬送回路(30)において冷媒回路用熱交換器(50)によって加熱された後の熱媒体の温度に比べてある程度高くなる場合には、流体の供給先として、第1の位置の太陽熱用熱交換器(51)が選択される。つまり、冷媒回路用熱交換器(50)によって加熱された熱媒体をさらに第1の位置の太陽熱用熱交換器(51)で加熱することができる場合には、第1の位置の太陽熱用熱交換器(51)が選択される。また、太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度が、例えば熱搬送回路(30)において冷媒回路用熱交換器(50)によって加熱された後の熱媒体の温度とそれほど変わらない温度範囲の場合には、流体の供給先として、第2の位置の太陽熱用熱交換器(52)が選択される。また、太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度が、例えば熱搬送回路(30)において冷媒回路用熱交換器(50)によって加熱された後の熱媒体の温度に比べてある程度低くなる場合には、流体の供給先として、第3の位置の太陽熱用熱交換器(53)が選択される。太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度が低く、第1の位置や第2の位置の太陽熱用熱交換器(51,52)で熱搬送回路(30)の熱媒体と熱交換させたときに、利用側熱交換器(35)へ供給する熱媒体の温度が低下するおそれがある場合には、第3の位置の太陽熱用熱交換器(53)が選択される。この第4の発明では、太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度を、例えば熱搬送回路(30)において冷媒回路用熱交換器(50)によって加熱された後の熱媒体の温度と対比することによって、太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する位置が選択される。なお、熱搬送回路(30)において冷媒回路用熱交換器(50)によって加熱された後の熱媒体の温度は、実際に計測してもよいが、冷媒回路(21)における冷媒の放熱温度を想定し、その想定した放熱温度から決めることができるので、実際に計測する必要はない。
【0016】
第5の発明は、上記第1乃至第4の何れか1つの発明において、発電装置(81)の排熱を利用して上記熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する排熱利用部(85)を備えている。
【0017】
第5の発明では、熱搬送回路(30)の熱媒体が、排熱利用部(85)によっても加熱される。排熱利用部(85)は、発電装置(81)の排熱を利用して熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する。この第5の発明では、冷媒回路(21)と太陽熱利用部(20)とに加えて、排熱利用部(85)が熱搬送回路(30)の熱媒体の熱源になっている。
【0018】
第6の発明は、上記第1乃至第5の何れか1つの発明において、上記熱搬送回路(30)が、上記熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体を貯留するための蓄熱タンク(37)を備え、該熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体だけを上記利用側熱交換器(35)へ供給する通常動作と、該熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体を該利用側熱交換器(35)と上記蓄熱タンク(37)の両方へ供給する蓄熱動作と、該熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体と該蓄熱タンク(37)内の熱媒体の両方を該利用側熱交換器(35)へ供給する利用動作とを選択的に行う。
【0019】
第6の発明では、通常動作と蓄熱動作と利用動作が選択的に行われる。通常動作では、蓄熱タンク(37)を用いることなく、熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体だけが、利用側熱交換器(35)へ供給される。蓄熱動作では、熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体が、利用側熱交換器(35)と蓄熱タンク(37)の両方へ供給される。蓄熱動作では、熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体の一部が蓄熱タンク(37)へ供給されるので、利用側熱交換器(35)へ供給される熱媒体の熱量が減少し、その利用側熱交換器(35)における加熱能力が減少する。利用動作では、熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体と蓄熱タンク(37)内の熱媒体の両方が、利用側熱交換器(35)へ供給される。利用動作では、蓄熱タンク(37)からも利用側熱交換器(35)へ熱媒体が供給されるので、利用側熱交換器(35)へ供給される熱媒体の熱量が増加し、その利用側熱交換器(35)における加熱能力が増加する。このように、この第6の発明では、利用側熱交換器(35)に供給する熱媒体の熱量を蓄熱タンク(37)によって調節することで、利用側熱交換器(35)における加熱能力が調節される。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、太陽熱集熱器(76)で得た温熱を利用して熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する太陽熱利用部(20)を設けることによって、冷凍サイクルを行う冷媒回路(21)に加えて、その太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体の熱源になるようにしている。このため、冷媒回路(21)におけるエネルギー消費量を削減することができる。そして、太陽熱利用部(20)では、自然エネルギーである太陽熱を利用するので、熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する温熱を得るために、エネルギーが消費されることがない。従って、暖房システム(10)のエネルギー消費量を削減することができる。
【0021】
また、上記第2の発明では、太陽熱集熱器(76)で得た温熱が、流体を介して熱搬送回路(30)の熱媒体に伝達されるようにしている。このため、熱搬送回路(30)を太陽熱集熱器(76)の位置まで延ばす必要がなく、太陽熱集熱器(76)の位置に制約されることなく熱搬送回路(30)を構成することができる。
【0022】
また、上記第4の発明によれば、太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度を、例えば熱搬送回路(30)において冷媒回路用熱交換器(50)によって加熱された後の熱媒体の温度と対比することによって、太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する位置が選択される。ここで、太陽熱利用部(20)では、太陽熱集熱器(76)へ入射する光量に応じて、得られる温熱量が変化し、太陽熱集熱器(76)で得た温熱によって加熱されて太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度が変化する。このため、太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する位置が一定であれば、熱搬送回路(30)において冷媒回路用熱交換器(50)によって加熱された後の熱媒体の温度に対して、太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度が適切な温度にならず、熱搬送回路(30)の熱媒体の加熱に太陽熱利用部(20)を利用することができない場合がある。例えば、太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を冷媒回路用熱交換器(50)の下流でのみ加熱する場合には、太陽熱用熱交換器(51)へ供給される流体の温度が、熱搬送回路(30)において冷媒回路用熱交換器(50)によって加熱された後の熱媒体の温度よりも低くなってしまうと、冷媒回路用熱交換器(50)で加熱された熱媒体を太陽熱利用部(20)によって加熱することができない。従って、熱搬送回路(30)の熱媒体の加熱に太陽熱利用部(20)を利用することができない。
【0023】
これに対して、この第4の発明では、太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度を、熱搬送回路(30)において冷媒回路用熱交換器(50)によって加熱された後の熱媒体の温度と対比することによって、太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する位置を選択することが可能である。このため、太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度、つまり太陽熱集熱器(76)で得られる温熱量に応じて、太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を適切な位置で加熱することができる。従って、太陽熱利用部(20)が太陽熱から得た温熱を効率的に利用することができる。
【0024】
また、上記第5の発明では、発電装置(81)の排熱を利用して熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する排熱利用部(85)を設けることによって、冷媒回路(21)と太陽熱利用部(20)とに加えて、排熱利用部(85)が熱搬送回路(30)の熱媒体の熱源になるようにしている。排熱利用部(85)では、発電装置(81)の排熱を利用するので、冷媒回路(21)におけるエネルギー消費量をさらに削減することができる。従って、暖房システム(10)のエネルギー消費量を削減することができる。
【0025】
また、上記第6の発明では、利用側熱交換器(35)に供給する熱媒体の熱量を蓄熱タンク(37)によって調節することにより、利用側熱交換器(35)における加熱能力を調節することが可能である。ここで、従来の暖房システム(例えば引用文献1の暖房システム)では、床暖房パネルから温水熱交換器へ戻る温水の温度に応じて圧縮機の運転容量が制御されていた。温水熱交換器へ戻る温水の温度は、暖房負荷が高いほど低くなる。つまり、従来の暖房システムでは、冷媒回路(21)における冷媒の循環量が、暖房負荷に応じて調節されていた。
【0026】
ところで、冷媒回路(21)における冷媒の循環量が変化すると、それに伴って冷凍サイクルの成績係数(COP)も変化する。成績係数が変化するのは、冷媒の流速の変化に伴って熱交換器の性能が変化したり、圧縮機の回転速度の変化に伴って圧縮機の効率が変化したりするためである。このため、暖房負荷に応じて冷媒の循環量が調節される従来の暖房システムでは、冷媒回路(21)での冷媒の循環量を、それほど高い成績係数が得られないような値に設定せざるを得なくなる時間が長くなるおそれがあった。つまり、冷媒回路(21)における冷凍サイクルの成績係数がそれほど高い値にならない時間が長くなるおそれがあった。
【0027】
これに対して、この第6の発明では、利用側熱交換器(35)に供給する熱媒体の熱量を蓄熱タンク(37)によって調節することができるので、冷媒回路(21)における冷媒の循環量を調節しなくても、利用側熱交換器(35)における加熱能力を調節することが可能である。このため、冷媒回路(21)における冷媒の循環量の変動幅が小さくなるので、冷媒回路(21)における冷凍サイクルの成績係数がそれほど高い値にならない時間を短縮することができ、暖房システム(10)の運転効率を向上させることができる。
【0028】
なお、本発明では、得られる温熱量が天候によって変動する太陽熱利用部(20)が、熱搬送回路(30)の熱媒体の熱源になっている。このため、利用側熱交換器(35)に供給する熱媒体の熱量を蓄熱タンク(37)によって調節することができない場合には、太陽熱利用部(20)で得られる温熱量の変動に伴って、冷媒回路(21)での冷媒の循環量の変動幅がさらに大きくなるおそれがある。従って、せっかく太陽熱を利用しても、冷媒回路(21)における冷凍サイクルの成績係数がそれほど高い値にならない時間が長くなるおそれがある。これに対して、この第6の発明によれば、太陽熱利用部(20)で得られる温熱量の変動が蓄熱タンク(37)によって緩和される。このため、太陽熱利用部(20)で得られる温熱量が変動しても、冷媒回路(21)における冷媒の循環量に与える影響は少ない。従って、太陽熱利用部(20)を設けることによって、冷媒回路(21)における冷凍サイクルの成績係数がそれほど高い値にならない時間が長くなることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態1は、本発明に係る暖房システム(10)である。この暖房システム(10)は、ヒートポンプ式の冷凍装置として構成された第1熱源ユニット(19)と、太陽熱利用部(20)を構成する第2熱源ユニット(20)とによって、利用側熱交換器(35)が設けられた熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱するように構成されている。この暖房システム(10)は、例えば寒冷地の一般家庭に設置される。
【0031】
この暖房システム(10)は、図1に示すように、複数の熱源側熱交換器(50〜53)により構成された熱源側熱交換部(27)と、複数の利用側熱交換器(35)により構成された利用側熱交換部(28)とが設けられた熱搬送回路(30)を備えている。熱搬送回路(30)には、熱媒体として水が充填されている。熱搬送回路(30)では、熱源側熱交換部(27)と利用側熱交換部(28)との間で水が循環する。
【0032】
熱源側熱交換部(27)は、冷媒回路用熱交換器(50)と第1太陽熱用熱交換器(51)と第2太陽熱用熱交換器(52)と第3太陽熱用熱交換器(53)の4つの熱源側熱交換器(50〜53)により構成されている。熱搬送回路(30)では、第1太陽熱用熱交換器(51)が、冷媒回路用熱交換器(50)の流出側から延びる供給通路(31)に配置されている。すなわち、第1太陽熱用熱交換器(51)は、冷媒回路用熱交換器(50)の下流の第1の位置に配置されている。また、第2太陽熱用熱交換器(52)が、冷媒回路用熱交換器(50)が設けられた第1通路(58)に並列に設けられた第2通路(59)に配置されている。すなわち、第2太陽熱用熱交換器(52)は、冷媒回路用熱交換器(50)に並列の第2の位置に配置されている。また、第3太陽熱用熱交換器(53)が、冷媒回路用熱交換器(50)の流入側へ繋がる戻り通路(32)に配置されている。すなわち、第3太陽熱用熱交換器(53)は、冷媒回路用熱交換器(50)の上流の第3の位置に配置されている。なお、第1通路(58)は、供給通路(31)の一部と、後述する戻り通路(32)の一部により構成されている。
【0033】
冷媒回路用熱交換器(50)は、第1流路(50a)と第2流路(50b)とを備え、第1流路(50a)の流体と第2流路(50b)の流体が熱交換を行うように構成されている。冷媒回路用熱交換器(50)では、第1流路(50a)が熱搬送回路(30)に接続されている。また、各太陽熱用熱交換器(51〜53)は、第1流路(51a〜53a)と第2流路(51b〜53b)とを備え、第1流路(51a〜53a)の流体と第2流路(51b〜53b)の流体が熱交換を行うように構成されている。各太陽熱用熱交換器(51〜53)では、第1流路(51a〜53a)が熱搬送回路(30)に接続されている。
【0034】
一方、利用側熱交換部(28)は、複数の利用側熱交換器(35)により構成されている。複数の利用側熱交換器(35)は、供給側ヘッダ(33)と戻り側ヘッダ(34)の間において互いに並列に接続されている。各利用側熱交換器(35)は、床面材の裏側に設置される床暖房用のラジエータや、室内空間に設置されるラジエータとして構成されている。
【0035】
供給通路(31)は、冷媒回路用熱交換器(50)の流出側から各利用側熱交換器(35)の流入側まで延びている。供給通路(31)では、第1太陽熱用熱交換器(51)と供給側ヘッダ(33)の間に、開閉自在の第1開閉弁(41)が設けられている。また、供給通路(31)の上流側の第1通路(58)には、冷媒回路用熱交換器(50)の下流の位置に、冷媒回路用熱交換器(50)で加熱された水の温度を計測するための第1温度センサ(16)が設けられている。
【0036】
また、戻り通路(32)は、各利用側熱交換器(35)の流出側から冷媒回路用熱交換器(50)の流入側まで延びている。戻り通路(32)では、戻り側ヘッダ(34)と第3太陽熱用熱交換器(53)との間に、吐出流量が可変のポンプ(36)が設けられている。また、戻り通路(32)におけるポンプ(36)の吸入側には、熱搬送回路(30)の圧力を逃がすための膨張タンク(38)が接続されている。また、戻り通路(32)における戻り側ヘッダ(34)とポンプ(36)の間には、各利用側熱交換器(35)で放熱した水の温度を計測するための第2温度センサ(17)が設けられている。また、第2通路(59)には、開閉自在の第6開閉弁(46)が設けられている。
【0037】
また、本実施形態1の熱搬送回路(30)には、熱源側熱交換部(27)で加熱された温水を貯留するための蓄熱タンク(37)が設けられている。蓄熱タンク(37)は、水で満杯になっており、上方ほど水の温度が高くなっている。蓄熱タンク(37)の頂部には、蓄熱タンク(37)に温水を流入させるための流入通路(61)と、蓄熱タンク(37)から温水を流出させるための流出通路(64)とが接続されている。流入通路(61)は、供給通路(31)における第1太陽熱用熱交換器(51)と第1開閉弁(41)の間から分岐している。流入通路(61)には、開閉自在の第2開閉弁(42)が設けられている。一方、流出通路(64)は、供給通路(31)における第1開閉弁(41)と供給側ヘッダ(33)との間に合流している。流出通路(64)には、開閉自在の第5開閉弁(45)が設けられている。
【0038】
また、本実施形態1の蓄熱タンク(37)の底面には、合流通路(63)が接続されている。合流通路(63)は、蓄熱タンク(37)とは逆側が、第1連通通路(62a)と第2連通通路(62b)とに分岐している。第1連通通路(62a)は、戻り通路(32)におけるポンプ(36)の上流に接続されている。第1連通通路(62a)には、開閉自在の第4開閉弁(44)が設けられている。一方、第2連通通路(62b)は、戻り通路(32)におけるポンプ(36)下流に接続されている。第2連通通路(62b)には、開閉自在の第3開閉弁(43)が設けられている。
【0039】
本実施形態1の熱搬送回路(30)では、第1から第5開閉弁(41〜45)を制御することによって、熱源側熱交換部(27)で加熱された温水だけを利用側熱交換部(28)へ供給する通常動作と、熱源側熱交換部(27)で加熱された温水を利用側熱交換部(28)と蓄熱タンク(37)の両方へ供給する蓄熱動作と、熱源側熱交換部(27)で加熱された温水と蓄熱タンク(37)内の温水の両方を利用側熱交換部(28)へ供給する利用動作の3種類の動作のうち何れかが行われる。各動作についての詳細は後述する。
【0040】
〈第1熱源ユニット〉
第1熱源ユニット(19)は、冷媒が充填された冷媒回路(21)を備えている。冷媒回路(21)には、フロン系冷媒が充填されている。冷媒回路(21)には、圧縮機(22)、冷媒回路用熱交換器(50)、減圧機構(24)、及び室外熱交換器(25)が順番に接続されている。冷媒回路(21)では、冷媒を循環させて冷媒回路用熱交換器(50)が凝縮器となって室外熱交換器(25)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0041】
具体的に、圧縮機(22)は、運転容量が固定の圧縮機として構成されている。圧縮機(22)は、電動機が常に一定の回転速度で運転されるものであって、その運転容量が固定になっている。圧縮機(22)は、熱搬送回路(30)で水が循環している間は停止することなく連続運転を行う。なお、圧縮機(22)として、運転容量が可変の圧縮機を採用することも勿論可能である。
【0042】
冷媒回路用熱交換器(50)は、熱搬送回路(30)に接続された第1流路(50a)と、冷媒回路(21)に接続された第2流路(50b)とを備えている。冷媒回路用熱交換器(50)は、第1流路(50a)の水と第2流路(50b)の冷媒とが熱交換を行うように構成されている。冷媒回路用熱交換器(50)は、例えばプレート式の熱交換器により構成されている。
【0043】
減圧機構(24)は、開度可変の電子膨張弁として構成されている。また、室外熱交換器(25)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器として構成されている。室外熱交換器(25)の近傍には、室外熱交換器(25)に空気を送るための室外ファン(26)が設けられている。
【0044】
〈第2熱源ユニット〉
第2熱源ユニット(20)は、太陽熱集熱装置(70)と、太陽熱利用回路(71)と、上述の3つの太陽熱用熱交換器(51〜53)とを備えている。第2熱源ユニット(20)は、太陽熱集熱装置(70)で得た温熱を利用して熱搬送回路(30)の水を加熱するように構成されている。
【0045】
具体的に、太陽熱集熱装置(70)は、太陽熱集熱器(76)と集熱タンク(77)と集熱器用ポンプ(78)とが設けられた集熱側回路(80)を備えている。集熱側回路(80)には、熱媒体として不凍液が充填されている。集熱側回路(80)では、集熱器用ポンプ(78)から吐出された熱媒体が循環する。
【0046】
太陽熱集熱器(76)は、表面が透明板によって構成された中空板状のケーシングの内部に、集熱側回路(80)の熱媒体が流通する集熱管が配設されることによって構成されている。太陽熱集熱器(76)は屋根面に設置される。太陽熱集熱器(76)では、集熱管の下側には断熱材が設けられている。集熱管は集熱側回路(80)に接続されている。
【0047】
集熱タンク(77)は、太陽熱集熱器(76)で得た温熱を集めるためのものである。集熱タンク(77)は例えば地面上に設置される。集熱タンク(77)には、太陽熱利用回路(71)が接続されている。集熱タンク(77)の内部には、太陽熱利用回路(71)の水が貯まるようになっている。また、集熱タンク(77)は、集熱側回路(80)に接続された熱交換部(77a)を収容している。熱交換部(77a)は、熱伝導率が高い金属性の管材により構成されている。集熱タンク(77)では、その内部に貯まる太陽熱利用回路(71)の水が、熱交換部(77a)を流通する集熱側回路(80)の熱媒体によって加熱される。
【0048】
なお、本実施形態の太陽熱集熱装置(70)では、集熱タンク(77)が太陽熱集熱器(76)から離れた位置に設置されるので、熱媒体の循環にポンプ(78)を使用している。しかし、集熱タンク(77)の配置によっては、ポンプを使用せずに太陽熱による加熱に伴う熱媒体の比重の変化によって熱媒体を循環させる太陽熱集熱装置(70)を使用することも可能である。
【0049】
太陽熱利用回路(71)は、太陽熱集熱装置(70)によって加熱された熱媒体(例えば水)が循環するように構成されている。太陽熱利用回路(71)には、利用回路用ポンプ(66)、集熱タンク(77)、及び上述した3つの太陽熱用熱交換器(51〜53)が接続されている。利用回路用ポンプ(66)及び集熱タンク(77)は主通路(71a)に配置されている。利用回路用ポンプ(66)は集熱タンク(77)の上流に配置されている。また、主通路(71a)における集熱タンク(77)の下流には、集熱タンク(77)から太陽熱用熱交換器(51〜53)側へ向かう温水の温度を計測するための第3温度センサ(18)が設けられている。
【0050】
3つの太陽熱用熱交換器(51〜53)は、主通路(71a)から分岐した分岐通路(71b,71c,71d)にそれぞれ設けられている。これらの太陽熱用熱交換器(51〜53)は、互いに並列に接続されている。太陽熱利用回路(71)では、第1太陽熱用熱交換器(51)が設けられた第1分岐配管(71b)に開閉自在の第7開閉弁(47)が、第2太陽熱用熱交換器(52)が設けられた第2分岐配管(71c)に開閉自在の第8開閉弁(48)が、第3太陽熱用熱交換器(53)が設けられた第3分岐配管(71d)に開閉自在の第9開閉弁(49)が、それぞれ設けられている。第7乃至第9開閉弁(47〜49)の各々は、分岐開閉弁を構成している。
【0051】
各太陽熱用熱交換器(51〜53)は、熱搬送回路(30)に接続された第1流路(51a〜53a)と、太陽熱利用回路(71)の各分岐通路(71b,71c,71d)に接続された第2流路(51b〜53b)とを備えている。各太陽熱用熱交換器(51〜53)は、第1流路(51a〜53a)の水と第2流路(51b〜53b)の水とが熱交換を行うように構成されている。各太陽熱用熱交換器(51〜53)は、例えばプレート式の熱交換器により構成されている。
【0052】
なお、本実施形態1の第2熱源ユニット(20)では、太陽熱用熱交換器(51〜53)の個数が3つであるが、太陽熱用熱交換器(51〜53)の個数が2つであってもよい。この場合、太陽熱用熱交換器(51〜53)が、熱搬送回路(30)において、第1の位置と第2の位置に配置されていてもよいし、第1の位置と第3の位置に配置されていてもよいし、第2の位置と第3の位置に配置されていてもよい。
【0053】
〈コントローラの構成〉
本実施形態1の暖房システム(10)には、暖房システム(10)の運転状態を制御するコントローラ(55)が設けられている。コントローラ(55)は、制御手段(55)を構成している。
【0054】
コントローラ(55)は、第2温度センサ(17)の計測値(TB)に基づいて熱搬送回路(30)の動作を制御する。具体的に、コントローラ(55)は、第2温度センサ(17)の計測値(TB)に基づいて通常動作と蓄熱動作と利用動作から実行する動作を選択し、選択した動作を熱搬送回路(30)に実行させるように構成されている。
【0055】
コントローラ(55)には、第2温度センサ(17)の計測値(TB)と、室内の設定温度(Ts)とが入力される。また、コントローラ(55)には、熱搬送回路(30)の動作を選択するための第1判定値(T1)及び第2判定値(T2)が、予め設定されている。第1判定値(T1)はプラスの値になっている。第2判定値(T2)はマイナスの値になっている。第1判定値(T1)と第2判定値(T2)は絶対値が等しくなっている。
【0056】
コントローラ(55)は、第2温度センサ(17)の計測値(TB)と室内の設定温度(Ts)との差(TB−Ts)を、第1判定値(T1)及び第2判定値(T2)と比較することによって、実行する動作を選択する。具体的に、コントローラ(55)は、下記の式1が成立する場合、つまり、各利用側熱交換器(35)を通過した水の温度が所定の数値範囲(T2+Ts以上T1+Ts以下の範囲)内の値であると判断した場合には、通常動作を選択する。通常動作は、図2に示すように、室内の暖房負荷がそれほど高くも低くもないときに選択される。コントローラ(55)は、通常動作を選択すると、第1開閉弁(41)を開状態に設定し、第2開閉弁(42)、第3開閉弁(43)、第4開閉弁(44)及び第5開閉弁(45)を閉状態に設定することによって、熱搬送回路(30)に通常動作を実行させる。
【0057】
式1:T2≦TB−Ts≦T1
また、コントローラ(55)は、下記の式2が成立する場合、つまり、各利用側熱交換器(35)を通過した水の温度が所定の数値範囲内の上限値(T1+Ts)を上回ると判断した場合には、蓄熱動作を選択する。蓄熱動作は、室内の暖房負荷が比較的低く各利用側熱交換器(35)で温水の温度がそれほど低下しない場合に選択される。コントローラ(55)は、蓄熱動作を選択すると、第1開閉弁(41)、第2開閉弁(42)及び第4開閉弁(44)を開状態に設定し、第3開閉弁(43)及び第5開閉弁(45)を閉状態に設定することによって、熱搬送回路(30)に蓄熱動作を実行させる。また、コントローラ(55)は、ポンプ(36)の吐出流量を通常動作のまま維持する。
【0058】
式2:T1<TB−Ts
また、コントローラ(55)は、下記の式3が成立する場合、つまり、各利用側熱交換器(35)を通過した水の温度が所定の数値範囲内の下限値(T2+Ts)を下回ると判断した場合には、利用動作を選択する。利用動作は、室内の暖房負荷が比較的高く各利用側熱交換器(35)で温水の温度が比較的大きく低下する場合に選択される。コントローラ(55)は、利用動作を選択すると、第1開閉弁(41)、第3開閉弁(43)及び第5開閉弁(45)を開状態に設定し、第2開閉弁(42)及び第4開閉弁(44)を閉状態に設定することによって、熱搬送回路(30)に利用動作を実行させる。また、コントローラ(55)は、ポンプ(36)の吐出流量を通常動作よりも大きな値に設定する。
【0059】
式3:TB−Ts<T2
また、この実施形態では、コントローラ(55)が、第3温度センサ(18)の計測値(TC)と第1温度センサ(16)の計測値(TA)の差(TC−TA)に基づいて太陽熱利用回路(71)の動作を制御する。具体的に、コントローラ(55)は、上記計測値の差(TC−TA)に基づいて、集熱タンク(77)から温水を供給する太陽熱用熱交換器(51〜53)を選択し、選択した太陽熱用熱交換器(51〜53)に水が供給されるように第7乃至第9開閉弁(47〜49)を制御するように構成されている。なお、本実施形態1では、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の水の温度の値として、第1温度センサ(16)の計測値(TA)を用いているが、冷媒回路(21)における冷媒の凝縮温度を想定し、その想定した凝縮温度から熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の水の温度の値を想定してもよい。この場合、第1温度センサ(16)を設ける必要はない。
【0060】
コントローラ(55)には、第1温度センサ(16)の計測値(TA)及び第3温度センサ(18)の計測値(TC)が入力される。また、コントローラ(55)には、集熱タンク(77)の温水を供給する太陽熱用熱交換器(51〜53)を選択するための第3判定値(T3)及び第4判定値(T4)が、予め設定されている。第3判定値(T3)はプラスの値になっている。第4判定値(T4)はマイナスの値になっている。第3判定値(T3)と第4判定値(T4)は絶対値が等しくなっている。
【0061】
コントローラ(55)は、上記計測値の差(TC−TA)を、第3判定値(T3)及び第4判定値(T4)と比較することによって、温水を供給する太陽熱用熱交換器(51〜53)を選択する。
【0062】
具体的に、コントローラ(55)は、下記の式4が成立する場合には、集熱タンク(77)の温水の供給先として第1太陽熱用熱交換器(51)を選択する。太陽熱利用回路(71)において太陽熱用熱交換器(51〜53)側へ向かう温水の温度が、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の温水の温度よりもある程度高くなる場合には、第1太陽熱用熱交換器(51)が選択される。この場合、コントローラ(55)は、第7乃至第9開閉弁(47〜49)のうち第7開閉弁(47)だけを開状態に設定する。
【0063】
式4:TC−TA>T3
また、コントローラ(55)は、下記の式5が成立する場合には、集熱タンク(77)の温水の供給先として第2太陽熱用熱交換器(52)を選択する。太陽熱利用回路(71)において太陽熱用熱交換器(51〜53)側へ向かう温水の温度が、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の温水の温度との温度差が小さい所定の数値範囲内の値である場合には、第2太陽熱用熱交換器(52)が選択される。この場合、コントローラ(55)は、第7乃至第9開閉弁(47〜49)のうち第8開閉弁(48)だけを開状態に設定する。さらに、コントローラ(55)は、同時に第6開閉弁(46)も開状態に設定する。なお、第6開閉弁(46)は、集熱タンク(77)の温水の供給先として第2太陽熱用熱交換器(52)が選択されるとき以外は、閉鎖される。
【0064】
式5:T4≦TC−TA≦T3
また、コントローラ(55)は、下記の式6が成立する場合には、集熱タンク(77)の温水の供給先として第3太陽熱用熱交換器(53)を選択する。太陽熱利用回路(71)において太陽熱用熱交換器(51〜53)側へ向かう温水の温度が、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の温水の温度よりもある程度低くなる場合には、第3太陽熱用熱交換器(53)が選択される。この場合、コントローラ(55)は、第7乃至第9開閉弁(47〜49)のうち第9開閉弁(49)だけを開状態に設定する。
【0065】
式6:TC−TA<T4
−運転動作−
本実施形態1の暖房システム(10)の動作について説明する。
【0066】
まず、第1熱源ユニット(19)の動作について説明する。第1熱源ユニット(19)の冷媒回路(21)では、圧縮機(22)から吐出された冷媒が循環することによって、冷媒回路用熱交換器(50)が凝縮器として動作して、室外熱交換器(25)が蒸発器として動作する冷凍サイクルが行われる。この冷凍サイクルでは、減圧機構(24)の開度が適宜調節される。なお、圧縮機(22)は、暖房システム(10)の電源がオンになっている間、つまり熱搬送回路(30)のポンプ(36)が運転を行っている間は、連続運転を行う。
【0067】
具体的に、圧縮機(22)から吐出された冷媒は、冷媒回路用熱交換器(50)で熱搬送回路(30)の水に放熱して凝縮する。冷媒回路用熱交換器(50)で凝縮した冷媒は、減圧機構(24)で減圧され、室外熱交換器(25)において室外ファン(26)が送る空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(25)で蒸発した冷媒は、圧縮機(22)に戻って圧縮され、再び吐出される。なお、第1熱源ユニット(19)の動作は、熱搬送回路(30)の動作の種類によらず同じである。
【0068】
続いて、第2熱源ユニット(20)の動作について説明する。まず、太陽熱集熱装置(70)では、集熱器用ポンプ(78)の運転が行われる。集熱器用ポンプ(78)の運転は、例えば太陽熱集熱器(76)に太陽光が入射している間に亘って行われる。
【0069】
集熱側回路(80)では、太陽熱集熱器(76)を通過する際に太陽熱によって加熱された集熱管によって不凍液が加熱され、太陽熱集熱器(76)で加熱された不凍液が集熱タンク(77)内の熱交換部(77a)に流入する。熱交換部(77a)を通過する不凍液は、集熱タンク(77)の内部に貯まる太陽熱利用回路(71)の水に放熱して冷却され、集熱タンク(77)の内部に貯まる太陽熱利用回路(71)の水は加熱される。熱交換部(77a)で冷却された不凍液は、太陽熱集熱器(76)を通過する際に再び加熱される。このように、太陽熱集熱装置(70)では、集熱側回路(80)を不凍液が循環することによって、太陽熱から得た温熱が集熱タンク(77)内に集められる。
【0070】
続いて、太陽熱利用回路(71)では、利用回路用ポンプ(66)の運転が行われる。なお、利用回路用ポンプ(66)の運転は、集熱タンク(77)に集めた温熱で熱搬送回路(30)の水を加熱することができないときは、行われない。
【0071】
具体的に、太陽熱利用回路(71)では、上述したように、第3温度センサ(18)の計測値に基づいて、集熱タンク(77)の温水が供給される太陽熱用熱交換器(51〜53)が選択される。そして、太陽熱利用回路(71)では、選択された太陽熱用熱交換器(51〜53)と集熱タンク(77)との間で水が循環する。集熱タンク(77)の温水が供給された太陽熱用熱交換器(51〜53)では、供給された温水が熱搬送回路(30)の水に放熱して冷却される。
【0072】
続いて、熱搬送回路(30)の動作について説明する。以下では、熱搬送回路(30)の動作を通常動作、蓄熱動作、利用動作の順番に説明する。
【0073】
〈通常動作〉
通常動作では、図3に示すように、第1開閉弁(41)が開状態に設定され、第2開閉弁(42)、第3開閉弁(43)、第4開閉弁(44)及び第5開閉弁(45)が閉状態に設定される。熱搬送回路(30)では、熱源側熱交換部(27)で加熱された温水が、供給通路(31)を通じて供給側ヘッダ(33)に流入する。供給側ヘッダ(33)では、温水が各利用側熱交換器(35)に分配される。各利用側熱交換器(35)では、分配された温水が室内へ放熱して冷却される。各利用側熱交換器(35)で放熱した水は、戻り側ヘッダ(34)で他の利用側熱交換器(35)を放熱した水と合流し、熱源側熱交換部(27)に戻って再び加熱される。
【0074】
熱搬送回路(30)では、熱源側熱交換部(27)と各利用側熱交換器(35)の間で水が循環することで、第1熱源ユニット(19)及び第2熱源ユニット(20)からの温熱が熱搬送回路(30)の水を介して室内に伝達され、室内が暖房される。なお、熱源側熱交換部(27)と各利用側熱交換器(35)の間で水が循環する点は、後述する蓄熱動作及び利用動作でも同じである。
【0075】
〈蓄熱動作〉
蓄熱動作では、図4に示すように、第1開閉弁(41)、第2開閉弁(42)及び第4開閉弁(44)が開状態に設定され、第3開閉弁(43)及び第5開閉弁(45)が閉状態に設定される。ポンプ(36)の吐出流量は、通常動作と同じ値に設定される。以下では、通常動作と異なる点について説明する。
【0076】
熱搬送回路(30)では、第4開閉弁(44)が開状態になっているので、蓄熱タンク(37)の下層の水が、第1連通通路(62a)を通じてポンプ(36)に吸入されて、蓄熱タンク(37)から流出する。蓄熱タンク(37)から流出した水は、各利用側熱交換器(35)を通過した水と合流して、熱源側熱交換部(27)へ送られる。また、熱搬送回路(30)では、第2開閉弁(42)が開状態になっているので、供給通路(31)を流れる温水の一部が、流入通路(61)を通じて蓄熱タンク(37)へ流入する。蓄熱タンク(37)には、第1連通通路(62a)から流出する流量と同じ流量の温水が流入する。蓄熱タンク(37)では、熱源側熱交換部(27)で加熱された高温の水が流入して下層の低温の水が流出するので、温水量が増加する。
【0077】
蓄熱動作では、熱源側熱交換部(27)で加熱された温水の一部が蓄熱タンク(37)へ供給されるので、各利用側熱交換器(35)へ供給される温水の流量が通常動作に比べて少なくなる。従って、各利用側熱交換器(35)へ供給される温水の熱量が通常動作に比べて少なくなるので、各利用側熱交換器(35)における加熱能力が通常動作に比べて低くなる。
【0078】
〈利用動作〉
利用動作では、図5に示すように、第1開閉弁(41)、第3開閉弁(43)及び第5開閉弁(45)が開状態に設定され、第2開閉弁(42)及び第4開閉弁(44)が閉状態に設定される。ポンプ(36)の吐出流量は、通常動作よりも大きな値に設定される。以下では、通常動作と異なる点について説明する。
【0079】
熱搬送回路(30)では、第5開閉弁(45)が開状態になっているので、蓄熱タンク(37)の上層の温水が、流出通路(64)を通じて流出する。蓄熱タンク(37)から流出した温水は、熱源側熱交換部(27)で加熱された温水と合流して、各利用側熱交換器(35)へ供給される。また、熱搬送回路(30)では、第3開閉弁(43)が開状態になっているので、ポンプ(36)から吐出された水の一部が、第2連通通路(62b)を通じて蓄熱タンク(37)へ供給される。蓄熱タンク(37)には、流出通路(64)から流出する流量と同じ流量の水が流入する。蓄熱タンク(37)では、上層の高温の水が流出して放熱後の比較的低温の水が流入するので、温水量が減少する。
【0080】
利用動作では、熱源側熱交換部(27)だけでなく蓄熱タンク(37)からも各利用側熱交換器(35)へ温水が供給されるので、各利用側熱交換器(35)へ供給される温水の流量が通常動作に比べて多くなる。従って、各利用側熱交換器(35)へ供給される温水の熱量が通常動作に比べて多くなるので、各利用側熱交換器(35)における加熱能力が通常動作に比べて高くなる。
【0081】
−実施形態1の効果−
本実施形態1では、太陽熱集熱器(76)で得た温熱を利用して熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する第2熱源ユニット(20)を設けることによって、冷凍サイクルを行う冷媒回路(21)に加えて、その第2熱源ユニット(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体の熱源になるようにしている。このため、冷媒回路(21)におけるエネルギー消費量を削減することができる。そして、第2熱源ユニット(20)では、自然エネルギーである太陽熱を利用するので、熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する温熱を得るために、エネルギーが消費されることがない。従って、暖房システム(10)のエネルギー消費量を削減することができる。
【0082】
また、本実施形態1では、太陽熱集熱装置(70)において太陽熱集熱器(76)が太陽熱から得た温熱が、太陽熱利用回路(71)の熱媒体を介して、熱搬送回路(30)の熱媒体に伝達されるようにしている。このため、熱搬送回路(30)を太陽熱集熱器(76)の位置まで延ばす必要がなく、太陽熱集熱器(76)の位置に制約されることなく熱搬送回路(30)を構成することができる。
【0083】
また、本実施形態1によれば、太陽熱利用回路(71)において太陽熱用熱交換器(51〜53)側へ向かう熱媒体の温度を、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の熱媒体の温度と対比することによって、太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する位置が選択される。ここで、第2熱源ユニット(20)では、太陽熱集熱器(76)へ入射する光量に応じて、得られる温熱量が変化し、太陽熱集熱装置(70)によって加熱されて太陽熱用熱交換器(51〜53)側へ向かう太陽熱利用回路(71)の熱媒体の温度が変化する。このため、第2熱源ユニット(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する位置が一定であれば、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の熱媒体の温度に対して、太陽熱用熱交換器(51〜53)側へ向かう太陽熱利用回路(71)の熱媒体の温度が適切な温度にならず、熱搬送回路(30)の熱媒体の加熱に第2熱源ユニット(20)を利用することができない場合がある。例えば、第2熱源ユニット(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を冷媒回路用熱交換器(50)の下流でのみ加熱する場合には、太陽熱用熱交換器(51〜53)側へ向かう太陽熱利用回路(71)の熱媒体の温度が、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の熱媒体の温度よりも低くなってしまうと、冷媒回路用熱交換器(50)で加熱された熱媒体を第2熱源ユニット(20)によって加熱することができない。従って、熱搬送回路(30)の熱媒体の加熱に第2熱源ユニット(20)を利用することができない。
【0084】
これに対して、本実施形態1では、太陽熱用熱交換器(51〜53)側へ向かう太陽熱利用回路(71)の熱媒体の温度を、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の熱媒体の温度と対比することによって、太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する位置を選択することが可能である。このため、太陽熱集熱器(76)で得られる温熱量、つまり太陽熱用熱交換器(51〜53)側へ向かう太陽熱利用回路(71)の熱媒体の温度に応じて、太陽熱利用部(20)が熱搬送回路(30)の熱媒体を適切な位置で加熱することができる。従って、第2熱源ユニット(20)が太陽熱から得た温熱を効率的に利用することができる。
【0085】
また、本実施形態1では、利用側熱交換器(35)に供給する熱媒体の熱量を蓄熱タンク(37)によって調節することによって、冷媒回路(21)における冷媒の循環量を調節しなくても、利用側熱交換器(35)における加熱能力を調節することが可能である。このため、冷媒回路(21)における冷媒の循環量の変動幅が小さくなるので、冷凍サイクルの成績係数がそれほど高い値にならない時間を短縮することができ、暖房システム(10)の運転効率を向上させることができる。
【0086】
なお、本実施形態1では、得られる温熱量が天候によって変動する第2熱源ユニット(20)が、熱搬送回路(30)の熱媒体の熱源になっている。このため、利用側熱交換器(35)に供給する熱媒体の熱量を蓄熱タンク(37)によって調節することができない場合には、第2熱源ユニット(20)で得られる温熱量の変動に伴って、冷媒回路(21)での冷媒の循環量の変動幅が大きくなるおそれがある。従って、せっかく太陽熱を利用しても、冷凍サイクルの成績係数がそれほど高い値にならない時間がさらに長くなるおそれがある。これに対して、本実施形態1によれば、第2熱源ユニット(20)で得られる温熱量の変動が蓄熱タンク(37)によって緩和される。このため、第2熱源ユニット(20)で得られる温熱量が変動しても、冷媒回路(21)における冷媒の循環量に与える影響は少ない。従って、第2熱源ユニット(20)を設けることによって、冷凍サイクルの成績係数がそれほど高い値にならない時間が長くなることを回避することができる。
【0087】
また、本実施形態1では、冷媒回路(21)の圧縮機(22)として運転容量が固定の圧縮機を用いている。このため、圧縮機(22)の運転容量における成績係数が高くなるように冷媒回路(21)を設計することで、常に成績係数が高くなる状態で運転を行うことができる。従って、暖房システムの運転効率を向上させることができる。
【0088】
また、本実施形態1では、熱搬送回路(30)で熱媒体が循環している間は、圧縮機(22)が連続運転を行うので、その間は冷媒回路(21)から熱搬送回路(30)へ連続的に熱が供給される。このため、冷媒回路(21)の単位時間当たりの出力熱量を小さくすることが可能である。従って、圧縮機(22)を含めて冷媒回路(21)の構成を小型化することができる。また、圧縮機(22)の発停に伴うエネルギーロスをなくすことができるので、暖房システムの運転効率を向上させることが可能である。
【0089】
また、本実施形態1では、利用側熱交換器(35)を通過した水の温度を用いて熱搬送回路(30)の動作を制御しているので、暖房負荷に応じて熱搬送回路(30)の動作が切り換えられる。従って、暖房負荷に応じて利用側熱交換器(35)の加熱能力を適切に調節することができる。
【0090】
また、本実施形態1では、ポンプ(36)の吐出流量の制御によって、通常動作に比べて利用動作の方が利用側熱交換器(35)へ供給される温水の流量を多くなるようにしている。従って、利用動作において利用側熱交換器(35)における加熱能力を効率的に高めることができる。
【0091】
−実施形態1の変形例1−
実施形態1の変形例1について説明する。この変形例1では、第2熱源ユニット(20)が太陽熱用熱交換器(51〜53)を1つだけ備え、熱搬送回路(30)では、その太陽熱用熱交換器(51)が、図6に示すように、冷媒回路用熱交換器(50)の下流の第1の位置に配置されている。
【0092】
この配置は、太陽熱集熱装置(70)の集熱側回路(80)における太陽熱集熱器(76)の出口の熱媒体の温度が、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の温水の温度に比べてある程度高くなると想定される場合に採用される。この変形例1では、熱搬送回路(30)において水が冷媒回路用熱交換器(50)の下流でさらに加熱されるので、第1熱源ユニット(19)の冷媒回路(21)における冷媒の凝縮温度を、熱搬送回路(30)の第1の位置に太陽熱用熱交換器(51)がない場合に比べて低い値に設定することができる。従って、冷媒回路(21)の圧縮機(22)の入力を削減させることができ、冷媒回路(21)におけるエネルギー消費量を削減させることができる。
【0093】
−実施形態1の変形例2−
実施形態1の変形例2について説明する。この変形例2では、第2熱源ユニット(20)が太陽熱用熱交換器(51〜53)を1つだけ備え、熱搬送回路(30)では、その太陽熱用熱交換器(52)が、図7に示すように、冷媒回路用熱交換器(50)の並列の第2の位置に配置されている。
【0094】
この配置は、太陽熱集熱装置(70)の集熱側回路(80)における太陽熱集熱器(76)の出口の熱媒体の温度が、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の温水の温度と同等になると想定される場合に採用される。この変形例2では、太陽熱用熱交換器(51〜53)が設けられた第2通路(59)に水が流れる分だけ冷媒回路用熱交換器(50)の水の流量を減少させることができる。従って、冷媒回路(21)において熱搬送回路(30)の水の加熱に必要な温熱量が少なくなるので、冷媒回路(21)の圧縮機(22)の入力を削減させることができ、冷媒回路(21)におけるエネルギー消費量を削減させることができる。
【0095】
−実施形態1の変形例3−
実施形態1の変形例3について説明する。この変形例3では、第2熱源ユニット(20)が太陽熱用熱交換器(51〜53)を1つだけ備え、熱搬送回路(30)では、その太陽熱用熱交換器(53)が、図8に示すように、冷媒回路用熱交換器(50)の上流の第3の位置に配置されている。
【0096】
この配置は、太陽熱集熱装置(70)の集熱側回路(80)における太陽熱集熱器(76)の出口の熱媒体の温度が、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の温水の温度よりもある程度低くなると想定される場合に採用される。この変形例3では、第2熱源ユニット(20)における熱媒体の温度が上記変形例1や変形例2に比べて全体的に低くなるので、放熱ロスが比較的小さくなり、太陽熱集熱装置(70)における太陽熱の集熱効率が比較的高くなる。
【0097】
−実施形態1の変形例4−
実施形態1の変形例4について説明する。この変形例4では、冷媒回路(21)が、冷凍サイクルの高圧圧力が冷媒の臨界圧力よりも高い値に設定される超臨界の冷凍サイクルを行うように構成されている。冷媒回路(21)では、冷凍サイクルの高圧圧力が冷媒の臨界圧力よりも低い値に設定される通常の冷凍サイクルでは凝縮器となる冷媒回路用熱交換器(50)がガスクーラとして動作する。冷媒回路(21)には、冷媒として例えば二酸化炭素冷媒が充填されている。この変形例4の熱搬送回路(30)では、図9に示すように、太陽熱用熱交換器(51〜53)が第3の位置に設けられていない。
【0098】
ここで、冷媒回路(21)が超臨界の冷凍サイクルを行うように構成されている場合に、仮に太陽熱用熱交換器(51〜53)を第3の位置に設けると、冷媒回路用熱交換器(50)に戻る水の温度が高くなる。このため、冷媒回路(21)では、冷媒回路用熱交換器(50)で放熱後の冷媒の温度が高くなり、温熱として利用できる冷媒の熱量が少なくなる。このとき、圧縮機(22)において冷媒の圧縮に要するエネルギーは減少しない。従って、太陽熱用熱交換器(51〜53)を第3の位置に設けると、冷媒回路(21)における成績係数が低下してしまう。
【0099】
これに対して、この第4変形例では、太陽熱用熱交換器(51〜53)を第3の位置に配置せずに、熱搬送回路(30)において冷媒回路用熱交換器(50)に戻る前に水を加熱しないようにしている。従って、太陽熱用熱交換器(51〜53)を設けることによって、冷媒回路(21)における成績係数が低下することを回避することができる。
【0100】
なお、図9では、太陽熱用熱交換器(51〜53)が第1の位置と第2の位置の両方に設けられているが、太陽熱用熱交換器(51〜53)が第1の位置と第2の位置の一方だけに設けられていてもよい。
【0101】
また、冷媒回路(21)が超臨界の冷凍サイクルを行うように構成されている場合には、図10に示すように、熱搬送回路(30)の戻り通路(32)に、冷却用熱交換器(107,107)を設けて冷媒回路用熱交換器(50)に戻る水の温度を低下させてもよい。この場合、冷却用熱交換器(107,107)は、例えば複数設けられ、ヘッダ(108,109)の間において互いに並列に接続されている。各冷却用熱交換器(107)は、室内に設置される室内機に収容されている(図示省略)。各室内機には、冷却用熱交換器(107)へ空気を送る室内ファン(110)が設けられている。各利用側熱交換器(35)で冷却された水は、各冷却用熱交換器(107)において室内ファン(110)が送る空気と熱交換を行ってさらに冷却される。各冷却用熱交換器(107)で加熱された空気は室内へ供給される。冷媒回路用熱交換器(50)に戻る水の温度は、冷却用熱交換器(107)がない場合に比べて低くなる。
【0102】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態2は、本発明に係る暖房システム(10)である。以下では、上記実施形態1と異なる点について説明する。
【0103】
本実施形態2では、熱搬送回路(30)の水の熱源として、第1熱源ユニット(19)と第2熱源ユニット(20)とに加えて、図11に示すように、排熱利用部(85)を構成する第3熱源ユニット(85)が設けられている。
【0104】
第3熱源ユニット(85)は、燃料を供給されて電力と排熱とを発生するように構成された発電装置(81)から排熱を取り出すための排熱側回路(82)と、排熱側回路(82)に接続された排熱用熱交換器(83)とを備えている。排熱側回路(82)には、熱媒体(例えば水やエンジン冷却水など)が充填されている。また、排熱側回路(82)には、熱媒体を循環させるための排熱側ポンプが設けられている(図示省略)。また、排熱用熱交換器(83)は、例えばプレート式の熱交換器により構成されている。排熱側回路(82)では、発電装置(81)を通過する熱媒体が発電装置(81)の排熱によって加熱され、発電装置(81)の排熱によって加熱された熱媒体が排熱用熱交換器(83)で熱搬送回路(30)の水を加熱する。
【0105】
発電装置(81)は、例えば、ガスタービン若しくはガスエンジン等の熱機関を備えたもの、又は燃料電池を備えたもので構成されている。なお、発電装置(81)で発生した電力は、例えば第1熱源ユニット(19)の運転に使用される。
【0106】
上記熱機関を備えた発電装置(81)では、熱機関が空気と燃料との供給を受け、燃料の燃焼エネルギを動力に変換して駆動するように構成されている。この発電装置(81)では、発生した電力が出力されると共に、熱機関の燃焼排ガス等の排熱が温熱として出力される。
【0107】
また、燃料電池を備えた発電装置(81)では、燃料電池により発電を行い、この燃料電池から電力が出力される。この発電装置(81)では、燃料電池に供給する水素を燃料の改質により生成する改質部と、燃料電池との少なくとも一方の排熱が温熱として出力される。なお、燃料電池を備えた発電装置(81)は、改質部を有さずに水素燃料が直接供給されるものや、燃料として液体炭化水素(例えば、メタノール、エタノール)を用いるものであってもよい。
【0108】
排熱用熱交換器(83)は、熱搬送回路(30)において、冷媒回路用熱交換器(50)及び第3太陽熱用熱交換器(53)が設けられた第1通路(58)に配置されている。第1通路(58)では、排熱用熱交換器(83)が冷媒回路用熱交換器(50)の下流に配置されている。この配置は、第3熱源ユニット(85)の排熱側回路(82)における発電装置(81)の出口の熱媒体の温度が、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の温水の温度に比べてある程度高くなると想定される場合に採用される。
【0109】
この実施形態2では、第1熱源ユニット(19)の冷媒回路(21)における冷媒の凝縮温度を、冷媒回路用熱交換器(50)の下流において第3熱源ユニット(85)によって熱搬送回路(30)の水を加熱しない場合に比べて低い値に設定することができる。従って、冷媒回路(21)の圧縮機(22)の入力を削減させることができ、冷媒回路(21)におけるエネルギー消費量が削減される。
【0110】
なお、図11では、熱搬送回路(30)において太陽熱用熱交換器(51〜53)が第1の位置と第2の位置と第3の位置の3箇所に設けられているが、図12〜14に示すように、この3箇所のうち1箇所だけに、太陽熱用熱交換器(51〜53)が設けられていてもよい。また、この3箇所のうち2箇所に、太陽熱用熱交換器(51〜53)が設けられていてもよい。熱搬送回路(30)の第2の位置に太陽熱用熱交換器(52)を設けない場合には、図12に示すように、排熱用熱交換器(83)は、冷媒回路用熱交換器(50)と第1太陽熱用熱交換器(51)との間に配置される。
【0111】
−実施形態2の効果−
本実施形態2では、発電装置(81)の排熱を利用して熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する第3熱源ユニット(85)を設けることによって、第1熱源ユニット(19)と第2熱源ユニット(20)とに加えて、第3熱源ユニット(85)が熱搬送回路(30)の熱媒体の熱源になるようにしている。第3熱源ユニット(85)では、発電装置(81)の排熱を利用するので、冷媒回路(21)におけるエネルギー消費量をさらに削減することができる。従って、暖房システム(10)のエネルギー消費量を削減することができる。
【0112】
−実施形態2の変形例−
実施形態2の変形例について説明する。この変形例では、熱搬送回路(30)において、図15に示すように、排熱用熱交換器(83)が冷媒回路用熱交換器(50)に並列に配置されている。この配置は、第3熱源ユニット(85)の排熱側回路(82)における発電装置(81)の出口の熱媒体の温度が、熱搬送回路(30)での冷媒回路用熱交換器(50)の出口の温水の温度と同等になると想定される場合に採用される。
【0113】
なお、図15では、熱搬送回路(30)において太陽熱用熱交換器(51〜53)が第1の位置と第2の位置と第3の位置の3箇所に設けられているが、図16及び図17に示すように、この3箇所のうち1箇所だけに太陽熱用熱交換器(51〜53)が設けられていてもよい。また、この3箇所のうち2箇所に太陽熱用熱交換器(51〜53)が設けられていてもよい。
【0114】
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。本実施形態3は、本発明に係る暖房システム(10)を備える暖房給湯システム(11)である。以下では、上記実施形態1と異なる点について説明する。なお、本実施形態3の暖房給湯システム(11)には、上記の全ての実施形態の暖房システムを適用することが可能である。
【0115】
図18に示すように、実施形態3では、熱搬送回路(30)の水と熱交換を行う熱媒体が循環する室内側回路(100)が、利用側熱交換器(35)に接続されている。なお、利用側熱交換器(35)の個数は1つである。この実施形態3では、室内に設置する熱交換器を室内側回路(100)に設けているので、熱搬送回路(30)を室内側に配設する必要がない。従って、冷媒回路(21)と熱搬送回路(30)とを1つの室外ユニットに組み込むことが可能である。
【0116】
室内側回路(100)には、室内熱交換器(105)が複数設けられている。複数の室内熱交換器(105)は、ヘッダ(103,104)の間において互いに並列に接続されている。室内熱交換器(105)は、床面材の裏側に設置される床暖房用のラジエータや、室内空間に設置されるラジエータとして構成されている。
【0117】
室内側回路(100)には、戻り側のヘッダ(104)と利用側熱交換器(35)の間に、吐出流量が一定の室内用ポンプ(101)が設けられている。また、室内用ポンプ(101)の吸入側には、室内側回路(100)の圧力を逃がすための膨張タンク(102)が接続されている。
【0118】
熱搬送回路(30)には、給水用回路(90)が接続されている。給水用回路(90)は、市水を熱搬送回路(30)に供給するための市水側通路(91)と、風呂場の浴槽及びシャワーや台所の蛇口などの利用側へ延びる利用側通路(92)とを備えている。市水側通路(91)の出口端は、合流通路(63)に接続されている。一方、利用側通路(92)の入口端は、流出通路(64)に接続されている。
【0119】
利用側通路(92)には、混合弁(95)が設けられている。混合弁(95)には、市水側通路(91)から分岐した分岐通路(93)が接続されている。混合弁(95)は、利用側で必要となる水温に応じて、利用側通路(92)を流通する温水と分岐通路(93)から流入する水との流量割合を調節可能に構成されている。
【0120】
また、市水側通路(91)には、蓄熱タンク(37)へ向かう水の流れのみを許容する逆止弁(98)が設けられている。また、蓄熱タンク(37)の頂部には、蓄熱タンク(37)の圧力を逃がすための逃し通路(97)が接続されている。逃し通路(97)には逃し弁(96)が設けられている。
【0121】
−運転動作−
本実施形態3の暖房給湯システム(11)において、給水用回路(90)の利用側で温水を利用する場合の動作について説明する。
【0122】
熱搬送回路(30)が通常動作を行う場合、図19に示すように、蓄熱タンク(37)には市水側通路(91)を通じて低温の水が流入し、蓄熱タンク(37)からは利用側通路(92)を通じて高温の水が流出する。蓄熱タンク(37)では、温水量が減少する。
【0123】
熱搬送回路(30)が蓄熱動作を行う場合、図20に示すように、蓄熱タンク(37)には、供給通路(31)を流れる温水の一部が、流入通路(61)を通じて流入する。蓄熱タンク(37)からは、利用側通路(92)を通じて高温の水が流出すると共に、合流通路(63)を通じて低温の水が流出する。合流通路(63)には、市水側通路(91)の水が合流する。
【0124】
熱搬送回路(30)が利用動作を行う場合、図21に示すように、蓄熱タンク(37)には、合流通路(63)を通じて、ポンプ(36)から吐出された水の一部と、市水側通路(91)から供給される水とが流入する。蓄熱タンク(37)からは、流出通路(64)を通じて高温の水が流出する。蓄熱タンク(37)から流出した高温の水は、供給通路(31)側と利用側通路(92)とに分岐する。
【0125】
《その他の実施形態》
上記実施形態は、以下の変形例のように構成してもよい。
【0126】
−第1変形例−
第1変形例では、図22に示すように、熱搬送回路(30)に、主ポンプ(36)と副ポンプ(39)の2つのポンプが設けられている。主ポンプ(36)は戻り通路(32)に配置されている。副ポンプ(39)は第2連通通路(62b)に配置されている。なお、この第1変形例では、第2連通通路(62b)の戻り通路(32)側が、主ポンプ(36)の吸入側に接続されている。
【0127】
コントローラ(55)は、利用動作のときだけ副ポンプ(39)を運転させる。副ポンプ(39)は、図22に示すように、利用動作の際に戻り通路(32)を流通する水の一部を蓄熱タンク(37)の下部へ送り、流出通路(64)を通じて蓄熱タンク(37)の温水を流出させる。なお、利用動作の際の主ポンプ(36)の吐出流量は、上記実施形態と異なり、通常動作の値と同じである。つまり、主ポンプ(36)の吐出流量は常に一定である。このため、主ポンプ(36)には、吐出流量が固定のポンプを用いることができる。
【0128】
この第1変形例では、利用動作の際に蓄熱タンク(37)の下部へ送られる水の流量が、副ポンプ(39)の吐出流量によって決定される。蓄熱タンク(37)では、下部へ送られた水によって利用側熱交換器(35)へ供給される温水が押し出される。従って、利用動作の際に蓄熱タンク(37)から利用側熱交換器(35)へ供給される温水の流量は、副ポンプ(39)の吐出流量によって決定されるので、利用動作の際に蓄熱タンク(37)から利用側熱交換器(35)へ供給される温水の流量を所望の流量に容易に設定することができる。
【0129】
−第2変形例−
上記実施形態では、第2熱源ユニット(20)が太陽熱用熱交換器(51〜53)を用いて熱搬送回路(30)の水を加熱しているが、第2熱源ユニット(20)の太陽熱利用回路(71)が、蓄熱タンク(37)に接続されていてもよい。この場合、太陽熱利用回路(71)では、蓄熱タンク(37)から取り出された熱搬送回路(30)の水が太陽熱集熱装置(70)で加熱されて蓄熱タンク(37)に戻る。
【0130】
−第3変形例−
上記実施形態について、太陽熱集熱器(76)が、太陽熱利用回路(71)に直接接続されていてもよい。この場合、太陽熱集熱装置(70)には、集熱タンク(77)や集熱側回路(80)が設けられない。
【0131】
−第4変形例−
上記実施形態では、コントローラ(55)が、利用側熱交換器(35)を通過した水の温度を用いて熱搬送回路(30)の動作を選択しているが、利用側熱交換器(35)を通過する途中の水の温度を用いて熱搬送回路(30)の動作を選択してもよい。この場合、第2温度センサ(17)が利用側熱交換器(35)に設けられる。
【0132】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0133】
以上説明したように、本発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路を熱源とする暖房システムについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本実施形態1に係る暖房システムの概略構成図である。
【図2】本実施形態1に係る暖房システムにおける熱搬送回路の動作と暖房負荷の関係を示す図表である。
【図3】本実施形態1に係る暖房システムの通常動作中の熱搬送回路の水の流れを示す概略構成図である。
【図4】本実施形態1に係る暖房システムの蓄熱動作中の熱搬送回路の水の流れを示す概略構成図である。
【図5】本実施形態1に係る暖房システムの利用動作中の熱搬送回路の水の流れを示す概略構成図である。
【図6】本実施形態1の変形例1に係る暖房システムの概略構成図である。
【図7】本実施形態1の変形例2に係る暖房システムの概略構成図である。
【図8】本実施形態1の変形例3に係る暖房システムの概略構成図である。
【図9】本実施形態1の変形例4に係る暖房システムの概略構成図である。
【図10】本実施形態1の変形例4に係る暖房システムの別の形態の概略構成図である。
【図11】本実施形態2に係る暖房システムの概略構成図である。
【図12】本実施形態2に係る暖房システムの別の形態の概略構成図である。
【図13】本実施形態2に係る暖房システムの別の形態の概略構成図である。
【図14】本実施形態2に係る暖房システムの別の形態の概略構成図である。
【図15】本実施形態2の変形例に係る暖房システムの概略構成図である。
【図16】本実施形態2の変形例に係る暖房システムの別の形態の概略構成図である。
【図17】本実施形態2の変形例に係る暖房システムの別の形態の概略構成図である。
【図18】本実施形態3に係る暖房給湯システムの概略構成図である。
【図19】本実施形態3に係る暖房給湯システムの通常動作中の熱搬送回路及び給水用回路の水の流れを示す概略構成図である。
【図20】本実施形態3に係る暖房給湯システムの蓄熱動作中の熱搬送回路及び給水用回路の水の流れを示す概略構成図である。
【図21】本実施形態3に係る暖房給湯システムの利用動作中の熱搬送回路及び給水用回路の水の流れを示す概略構成図である。
【図22】その他の実施形態の第1変形例に係る暖房システムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0135】
10 暖房システム
19 第1熱源ユニット
20 第2熱源ユニット(太陽熱利用部)
21 冷媒回路
30 熱搬送回路
35 利用側熱交換器
36 ポンプ
37 蓄熱タンク
50 冷媒回路用熱交換器(熱源側熱交換器)
51 第1太陽熱用熱交換器(熱源側熱交換器)
52 第2太陽熱用熱交換器(熱源側熱交換器)
53 第3太陽熱用熱交換器(熱源側熱交換器)
55 コントローラ(制御手段)
70 太陽熱集熱装置
71 太陽熱利用回路
76 太陽熱集熱器
77 集熱タンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源側熱交換器(50〜53)と利用側熱交換器(35)の間で熱媒体を循環させる熱搬送回路(30)と、
冷媒を循環させて冷凍サイクルを行い、上記熱源側熱交換器(50〜53)を構成する冷媒回路用熱交換器(50)に接続されて該冷媒回路用熱交換器(50)で上記熱搬送回路(30)の熱媒体を冷媒によって加熱する冷媒回路(21)とを備え、
上記利用側熱交換器(35)へ供給された熱媒体を室内の暖房に利用する暖房システムであって、
太陽熱を集めるための太陽熱集熱器(76)を有し、該太陽熱集熱器(76)で得た温熱を利用して上記熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する太陽熱利用部(20)を備えていることを特徴とする暖房システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記熱搬送回路(30)には、太陽熱用熱交換器(51〜53)が上記熱源側熱交換器(50〜53)として設けられ、
上記太陽熱利用部(20)は、上記太陽熱集熱器(76)で得た温熱によって加熱された流体を上記太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給するように構成されていることを特徴とする暖房システム。
【請求項3】
請求項2において、
上記熱搬送回路(30)では、上記太陽熱用熱交換器(51〜53)が、上記冷媒回路用熱交換器(50)の下流の第1の位置と、該冷媒回路用熱交換器(50)に並列の第2の位置と、該冷媒回路用熱交換器(50)の上流の第3の位置のうち少なくとも1箇所に設けられていることを特徴とする暖房システム。
【請求項4】
請求項3において、
上記熱搬送回路(30)では、上記太陽熱用熱交換器(51〜53)が、上記第1の位置と上記第2の位置と上記第3の位置のうち少なくとも2箇所に設けられ、
上記太陽熱利用部(20)は、上記太陽熱集熱器(76)で得た温熱によって加熱された流体を供給する太陽熱用熱交換器(51〜53)を、該太陽熱用熱交換器(51〜53)へ供給される流体の温度に応じて切り換えるように構成されていることを特徴とする暖房システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つにおいて、
発電装置(81)の排熱を利用して上記熱搬送回路(30)の熱媒体を加熱する排熱利用部(85)を備えていることを特徴とする暖房システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つにおいて、
上記熱搬送回路(30)は、上記熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体を貯留するための蓄熱タンク(37)を備え、該熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体だけを上記利用側熱交換器(35)へ供給する通常動作と、該熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体を該利用側熱交換器(35)と上記蓄熱タンク(37)の両方へ供給する蓄熱動作と、該熱源側熱交換器(50〜53)で加熱された熱媒体と該蓄熱タンク(37)内の熱媒体の両方を該利用側熱交換器(35)へ供給する利用動作とを選択的に行うことを特徴とする暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−281644(P2009−281644A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133296(P2008−133296)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】