説明

暖房装置および給湯暖房装置

【課題】除霜運転時にも十分な暖房能力で暖房運転できる給湯暖房装置11を提供する。
【解決手段】暖房回路55は、第1の暖房用熱交換器52aと第2の暖房用熱交換器52bを有する。貯湯タンク21の中間部から第2の暖房用熱交換器52b、沸上用熱交換器46、第1の暖房用熱交換器52aを順に経て貯湯タンク21に戻る暖房用循環路62を設ける。除霜時、暖房用循環路62に切り換え、ヒートポンプユニット13を逆サイクルで運転し、貯湯タンク21の湯を第2の暖房用熱交換器52bを経て暖房回路55と熱交換し、暖房回路55の循環水を温度上昇させる。第2の暖房用熱交換器52bを経た湯は除霜用としては十分な温度を保ったまま沸上用熱交換器46に流れて冷媒回路44と熱交換し、ヒートポンプユニット13の蒸発器48を除霜する。沸上用熱交換器46を経た湯は第1の暖房用熱交換器52aを経て暖房回路55と熱交換し、暖房回路55の循環水を温度上昇させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプユニットによって沸き上げた湯を貯湯タンクに貯湯して暖房に使用するヒートポンプユニット暖房装置および給湯暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプユニットによって沸き上げた湯を貯湯タンクに貯湯し、この貯湯タンクに貯湯した湯を給湯や暖房に用いる給湯暖房装置がある。
【0003】
この給湯暖房装置では、貯湯タンクの下部から循環ポンプ、ヒートポンプユニットの沸上用熱交換器を経て貯湯タンクの上部に戻る沸上用循環路を備え、貯湯タンク内の下部の水を取り出してヒートポンプユニットの沸上用熱交換器を通じて沸き上げ、この沸き上げた湯を貯湯タンクの上部に取り入れることにより、湯と水との比重の差を利用して貯湯タンクの上部から湯を貯湯させている。
【0004】
さらに、貯湯タンクに貯湯した湯を暖房に使用する場合には、貯湯タンクの上部から循環ポンプ、ヒートポンプユニットの沸上用熱交換器、暖房回路の暖房用熱交換器を経て貯湯タンクの下部に戻る暖房用循環路に切り換え、貯湯タンク内の上部の湯を取り出して暖房回路の暖房用熱交換器を通じて暖房回路の循環水と熱交換し、この熱交換して温度低下した中温水を貯湯タンクの下部に戻している。
【0005】
これら沸上用循環路と暖房用循環路とは、循環ポンプが配置された循環路域を共用し、切換弁を用いて切り換えるようにしており、これによって、循環ポンプを共用でき、暖房専用の循環ポンプが必要なく、製品のコストの低減を図っている。
【0006】
また、暖房運転の開始から所定時間経過した暖房安定時に、ヒートポンプユニットを運転しながら暖房する場合には、貯湯タンクの下部から沸上用熱交換器および暖房用熱交換器を順に経て貯湯タンクの下部に戻る沸上暖房用循環路に切り換え、貯湯タンク内の下部の水を取り出してヒートポンプユニットの沸上用熱交換器を通じて沸き上げ、この沸き上げた湯を暖房回路の暖房用熱交換器を通じて暖房回路の循環水と熱交換し、この熱交換して温度低下した湯水を貯湯タンクの下部に戻している。
【0007】
また、ヒートポンプユニットの運転時、蒸発器の温度を低温にして大気熱を集熱するため、運転時間の経過に伴って、大気中の水蒸気が蒸発器に付着が付着して凍結し、大気熱の集熱効率が低下してしまう。そこで、ヒートポンプユニットを沸上時のサイクルとは逆サイクルで運転することにより、蒸発器を加熱して付着した霜を融解させる除霜運転が行われる。
【0008】
この除霜運転のときには、貯湯タンクに貯湯した湯を暖房に使用する暖房時のように、貯湯タンクの上部から循環ポンプ、ヒートポンプユニットの沸上用熱交換器、暖房回路の暖房用熱交換器を経て貯湯タンクの下部に戻る暖房用循環路に切り換え、貯湯タンク内の上部の湯を取り出してヒートポンプユニットの沸上用熱交換器に流すことにより、沸上用熱交換器を通じて湯の熱を冷媒に熱交換させて迅速に除霜できるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−183908号公報(第5−7頁、図2−6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、除霜運転のときには、貯湯タンク内の上部の湯を取り出しているが、ヒートポンプユニットの沸上用熱交換器を通過することで温度低下し、この温度低下した湯水が暖房回路の暖房用熱交換器に流れるため、暖房回路を停止させる必要がある。
【0010】
しかしながら、除霜運転のときには、貯湯タンク内の上部の湯がヒートポンプユニットの沸上用熱交換器および暖房回路の暖房用熱交換器に順に流れるが、ヒートポンプユニットの沸上用熱交換器を湯が通過する間に、暖房回路を流れる循環水を十分に温度上昇させるのが困難な温度に低下してしまうため、暖房回路を停止させるか、停止させなくても暖房能力が低下する問題がある。
【0011】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、除霜運転のときにも、十分な暖房能力で暖房運転ができる暖房装置および給湯暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の暖房装置は、貯湯タンクと、圧縮機、沸上用熱交換器および蒸発器が設けられた冷媒回路を有し、沸上時には圧縮機、沸上用熱交換器および蒸発器の順に冷媒が流れる沸上サイクルで運転し、除霜時には沸上サイクルに対して逆サイクルで運転するヒートポンプユニットと、暖房用熱交換器を有する暖房回路と、前記貯湯タンクから沸上用熱交換器を経て貯湯タンクに戻る沸上用循環路と、前記貯湯タンクから暖房用熱交換器を経た後に沸上用熱交換器を経て貯湯タンクに戻る暖房用循環路と、前記沸上用循環路と暖房用循環路とを切り換える循環路切換手段と、沸上時には前記循環路切換手段で沸上用循環路に切り換えるとともに前記ヒートポンプユニットを沸上サイクルで運転させ、暖房時には前記循環路切換手段で暖房用循環路に切り換え、除霜時には前記循環路切換手段で暖房用循環路に切り換えるとともに前記ヒートポンプユニットを逆サイクルで運転させる制御部とを具備しているものである。
【0013】
請求項2記載の暖房装置は、貯湯タンクと、圧縮機、沸上用熱交換器および蒸発器が設けられた冷媒回路を有し、沸上時には圧縮機、沸上用熱交換器および蒸発器の順に冷媒が流れる沸上サイクルで運転し、除霜時には沸上サイクルに対して逆サイクルで運転するヒートポンプユニットと、直列に接続された第1の暖房用熱交換器および第2の暖房用熱交換器を有する暖房回路と、前記貯湯タンクから沸上用熱交換器を経て貯湯タンクに戻る沸上用循環路と、前記貯湯タンクから第2の暖房用熱交換器を経た後に沸上用熱交換器および第1の暖房用熱交換器を順に経て貯湯タンクに戻る暖房用循環路と、前記沸上用循環路と沸上暖房用循環路とを切り換える循環路切換手段と、沸上時には前記循環路切換手段で沸上用循環路に切り換えるとともに前記ヒートポンプユニットを沸上サイクルで運転させ、暖房時には前記循環路切換手段で暖房用循環路に切り換え、除霜時には前記循環路切換手段で暖房用循環路に切り換えるとともに前記ヒートポンプユニットを逆サイクルで運転させる制御部とを具備しているものである。
【0014】
請求項3記載の暖房装置は、請求項2記載の暖房装置において、貯湯タンクから沸上用熱交換器および第1の暖房用熱交換器を順に経て貯湯タンクに戻る沸上暖房用循環路を具備し、制御部は、沸上暖房時に循環路切換手段で沸上暖房用循環路に切り換えるとともにヒートポンプユニットを沸上サイクルで運転させるものである。
【0015】
請求項4記載の暖房装置は、請求項2または3記載の暖房装置において、第1および第2の暖房用熱交換器に対して暖房回路の循環方向の順番と暖房用循環路の循環方向の順番とが逆に接続されているものである。
【0016】
請求項5記載の給湯暖房装置は、請求項1ないし4いずれか記載の暖房装置と、貯湯タンクの湯を給湯する給湯路とを具備しているものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の暖房装置によれば、除霜時には、暖房用循環路に切り換えるとともにヒートポンプユニットを逆サイクルで運転させることにより、貯湯タンクの中間部以上から取り出した湯がまずは暖房用熱交換器を経て暖房回路と熱交換し、暖房回路の循環水を十分に温度上昇させることができ、さらに、暖房用熱交換器を経た湯は除霜用としては十分な温度を保ったままヒートポンプユニットの沸上用熱交換器に流れて冷媒回路と熱交換し、ヒートポンプユニットの蒸発器を除霜でき、したがって、短時間で除霜できるとともにこの除霜運転のときにも十分な暖房能力で暖房運転ができる。
【0018】
請求項2記載の暖房装置によれば、除霜時には、暖房用循環路に切り換えるとともにヒートポンプユニットを逆サイクルで運転させることにより、貯湯タンクの中間部以上から取り出した湯がまずは第2の暖房用熱交換器を経て暖房回路と熱交換し、暖房回路の循環水を十分に温度上昇させることができ、さらに、第2の暖房用熱交換器を経た湯は除霜用としては十分な温度を保ったままヒートポンプユニットの沸上用熱交換器に流れて冷媒回路と熱交換し、ヒートポンプユニットの蒸発器を除霜でき、さらに、ヒートポンプユニットの沸上用熱交換器を経た湯が第1の暖房用熱交換器を経て暖房回路と熱交換し、暖房回路の循環水に少しでも吸熱させることができ、したがって、短時間で除霜できるとともにこの除霜運転のときにも十分な暖房能力で暖房運転ができる。
【0019】
請求項3記載の暖房装置によれば、請求項2記載の暖房装置の効果に加えて、貯湯タンクの下部から沸上用熱交換器および第1の暖房用熱交換器を順に経て貯湯タンクの下部に戻る沸上暖房用循環路に切り換えるとともにヒートポンプユニットを沸上サイクルで運転している沸上暖房時に、除霜運転に切り換える場合でも、十分な能力で暖房運転を継続できる。
【0020】
請求項4記載の暖房装置によれば、請求項2または3記載の暖房装置の効果に加えて、第1および第2の暖房用熱交換器に対して暖房回路の循環方向の順番と暖房用循環路の循環方向の順番とが逆に接続しているため、暖房回路の循環水を暖房用循環路の低温の湯から高温の湯の順に段階的に熱交換して温度上昇させることができ、全体としての熱交換効率が向上し、暖房回路の循環水の温度を高めることができる。
【0021】
請求項5記載の給湯暖房装置によれば、請求項1ないし4いずれか記載の暖房装置の貯湯タンクから湯を給湯する給湯路を備え、給湯と暖房とができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、給湯暖房装置11は、本体ユニット12、ヒートポンプユニット13、暖房ユニット14を備え、さらに、浴槽15に自動湯張りする自動湯張り機能および浴槽15に湯張りされた湯を追い焚きする追焚き機能などを有している。
【0024】
本体ユニット12は湯を貯湯する貯湯タンク21を有し、この貯湯タンク21には、上部、中間部および下部に上部接続口22、2つの中間接続口23、下部接続口24a,24bがそれぞれ設けられている。この貯湯タンク21の側面には、貯湯タンク21の上部から例えば60L、120L、180L、下から30L、60Lの容量の各高さ位置に、貯湯タンク21内の湯水温度を検知する複数の温度検知手段としてのサーミスタ25a〜25eが配設されている。
【0025】
貯湯タンク21の上部接続口22には上部配管27が接続され、中間接続口23には中間配管28が接続され、下部接続口24a,24bには下部配管29a,29bが接続されている。
【0026】
下部配管29aの途中位置には、水道管などの給水源に配管される給水管30が減圧弁31を介して接続されている。
【0027】
貯湯タンク21とヒートポンプユニット13との間には、貯湯タンク21内の湯水をヒートポンプユニット13との間で循環させる循環配管33が設置されている。この循環配管33は、貯湯タンク21内の湯水がヒートポンプユニット13に流入する往き配管34、およびヒートポンプユニット13から吐出する湯水が貯湯タンク21に戻る戻り配管35を有し、往き配管34にはこの往き配管34から戻り配管35に湯水が流れるように循環させる循環ポンプ36が配置されている。
【0028】
また、上部配管27と中間配管28と循環配管33の往き配管34および戻り配管35にそれぞれ接続可能とする接続配管38との間には、それらの間で流路を切り換える第1の三方弁39が配設されている。
【0029】
接続配管38と一方の下部配管29aと循環配管33の往き配管34との間には、それらの間で流路を切り換える第2の三方弁40が配設されている。
【0030】
接続配管38と他方の下部配管29bと循環配管33の戻り配管35との間には、それらの間で流路を切り換える調整弁41が配設されている。この調整弁41は、循環配管33の戻り配管35に対して、接続配管38側のみを開く貯湯用位置、他方の下部配管29bのみを開く暖房専用位置、接続配管38側と他方の下部配管29bとの両方を開くとともにそれらへの流量の割合を調整する貯湯暖房調整位置に切換可能とする。この貯湯暖房調整位置では、上部と中間部との各流量の割合を、例えば、全体流量を100%とした場合に、10%:90%、20%:80%、……90%:10%などの複数段階に可変するようにしてもよいし、あるいは連続的に可変するようにしてもよい。
【0031】
また、ヒートポンプユニット13は、冷媒が充填された冷媒回路44を有し、この冷媒回路44には圧縮機45、凝縮器として機能する沸上用熱交換器46、膨張弁47、蒸発器48、沸上サイクル(正サイクル)とこの沸上サイクルに対する逆サイクルとにサイクルを切り換える四方弁49などが含まれている。沸上サイクルでは、冷媒が圧縮機45、沸上用熱交換器46、膨張弁47、蒸発器48、圧縮機45の順に循環し、蒸発器48で外気から集熱して沸上用熱交換器46で循環配管33を循環する水を沸き上げる。逆サイクルは除霜時に切り換えるもので、この逆サイクルでは、冷媒が圧縮機45、蒸発器48、膨張弁47、沸上用熱交換器46、圧縮機45の順に循環し、沸上用熱交換器46で循環配管33を循環する湯から吸熱して蒸発器48の温度を上昇させて除霜する。圧縮機45、膨張弁47および蒸発器48などは本体ユニット12とは別の室外機50に配置され、また、沸上用熱交換器46などは本体ユニット12内または室外機50側のいずれに配置されていてもよい。
【0032】
また、暖房ユニット14は、例えば床暖房用や屋内暖房用などで、暖房用熱交換器としての直列に接続された第1の暖房用熱交換器52aおよび第2の暖房用熱交換器52b、暖房パネル53、暖房用循環ポンプ54などによって構成される暖房回路55を備えている。この暖房回路55に熱交換用の循環水が充填され、暖房用循環ポンプ54によって循環水が第1の暖房用熱交換器52a、第2の暖房用熱交換器52b、暖房パネル53、暖房用循環ポンプ54の順に循環する。これら各暖房用熱交換器52a,52bおよび暖房用循環ポンプ54などは本体ユニット12に配置されている。
【0033】
第1の暖房用熱交換器52aは貯湯タンク21の他方の下部接続口24bと調整弁41との間の他方の下部配管29bの途中位置に接続されている。第2の暖房用熱交換器52bは第1の三方弁39と第2の三方弁40との間の接続配管38の途中位置に接続されている。
【0034】
また、一方の下部配管29a、第2の三方弁40、循環配管33の往き配管34、循環ポンプ36、ヒートポンプユニット13の沸上用熱交換器46、循環配管33の戻り配管35、調整弁41、接続配管38、第1の三方弁39および上部配管27により、貯湯タンク21の下部から沸上用熱交換器46を経て貯湯タンク21の上部に戻る沸上用循環路61が構成されている。
【0035】
中間配管28、第1の三方弁39、接続配管38、第2の暖房用熱交換器52b、第2の三方弁40、循環配管33の往き配管34、循環ポンプ36、沸上用熱交換器46、循環配管33の戻り配管35、調整弁41、第1の暖房用熱交換器52a、他方の下部配管29bにより、貯湯タンク21の中間部以上(上部を含む)から第2の暖房用熱交換器52bを経た後に、沸上用熱交換器46および第1の暖房用熱交換器52aを順に経て貯湯タンク21の中間部以下(下部を含む)に戻る暖房用循環路62が構成されている。この暖房用循環路62は除霜用循環路と共用されている。
【0036】
一方の下部配管29a、第2の三方弁40、循環配管33の往き配管34、循環ポンプ36、沸上用熱交換器46、循環配管33の戻り配管35、調整弁41、第1の暖房用熱交換器52a、他方の下部配管29bにより、貯湯タンク21の下部から沸上用熱交換器46および第1の暖房用熱交換器52aを順に経て貯湯タンク21の下部に戻る沸上暖房用循環路63が構成されている。
【0037】
これら沸上用循環路61と暖房用循環路62と沸上暖房用循環路63とは、第2の三方弁40、循環配管33の往き配管34、循環ポンプ36、沸上用熱交換器46、循環配管33の戻り配管35、および調整弁41を共用している。
【0038】
そして、第1の三方弁39、第2の三方弁40、調整弁41により、沸上用循環路61と暖房用循環路62と沸上暖房用循環路63とを切り換える循環路切換手段66が構成されている。
【0039】
第1の暖房用熱交換器52aおよび第2の暖房用熱交換器52bに対して、暖房回路55の循環水の循環方向と暖房用循環路62の循環水の循環方向とが逆の関係となるように接続されている。
【0040】
また、接続配管38には給湯路71の給湯配管72が接続され、この給湯配管72と給水管30とは、給湯用電動ミキシングバルブ73および風呂用電動ミキシングバルブ74にそれぞれ接続されている。これら給湯用電動ミキシングバルブ73および風呂用電動ミキシングバルブ74は、給水管30からの水と給湯配管72からの湯とを混合して、例えば台所などに設置されるメインリモコンおよび浴室に設置される浴室リモコンなどによりそれぞれ設定される給湯設定温度の湯水を給湯する。
【0041】
給湯用電動ミキシングバルブ73から台所などに給湯するための給湯管75には、湯水の流量を検知する流量センサ76および湯水の温度を検知するサーミスタ77が配設されている。また、風呂用電動ミキシングバルブ74から浴槽15に給湯するための風呂用給湯管78には、湯水の流量を検知する流量センサおよび湯水の温度を検知する給湯温度センサなどを有するホッパ79が配設されている。
【0042】
また、貯湯タンク21内の上部であって上部接続口22と中間接続口23との間に風呂用熱交換器81が配置され、この風呂用熱交換器81と浴槽15とが風呂用循環路82の往路83および復路84で接続されている。往路83には浴槽湯水を循環させる風呂用循環ポンプ85が配設されている。この風呂用循環路82には風呂用三方弁86を介して風呂用給湯管78が接続され、浴槽15への自動湯張りなどが可能となっている。
【0043】
また、本体ユニット12には、給湯暖房装置11を制御する制御部91が配置されている。この制御部91は、各センサやサーミスタ(25a〜25e)などの検知手段から信号を入力し、ヒートポンプユニット13、暖房ユニット14、各三方弁39,40、調整弁41、各ミキシングバルブ73,74、風呂用循環ポンプ85、風呂用三方弁86などを制御する。
【0044】
すなわち、制御部91は、沸上時には沸上用循環路61に切り換えるとともにヒートポンプユニット13を沸上サイクルで運転させ、暖房時には暖房用循環路62に切り換え、沸上暖房時には沸上暖房用循環路63に切り換えるとともにヒートポンプユニット13を沸上サイクルで運転させ、除霜時には暖房用循環路62に切り換えるとともにヒートポンプユニット13を逆サイクルで運転させる。
【0045】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0046】
まず、図2において、沸上運転(貯湯運転)について説明する。
【0047】
ヒートポンプユニット13を沸上サイクルで運転開始した後、各三方弁39,40および調整弁41で沸上用循環路61を形成し、循環ポンプ36を駆動する。
【0048】
これにより、貯湯タンク21の下部接続口24aから取り出した水を、一方の下部配管29a、第2の三方弁40、循環配管33の往き配管34、循環ポンプ36、ヒートポンプユニット13の沸上用熱交換器46、循環配管33の戻り配管35、調整弁41、接続配管38、第1の三方弁39および上部配管27を経て貯湯タンク21に循環する。
【0049】
そして、貯湯タンク21の下部接続口24aから取り出した水をヒートポンプユニット13の沸上用熱交換器46で沸上目標温度に沸き上げ、この沸き上げた湯を貯湯タンク21の上部に戻し、貯湯タンク21の上部から下方に向かって順次貯湯する。
【0050】
次に、図3において、貯湯タンク21内の湯を利用した暖房運転について説明する。この暖房運転は、中間部のサーミスタ25cで検知する貯湯タンク21の中間部の湯の温度が暖房に利用可能とする所定の温度以上ある場合に可能とする。
【0051】
各三方弁39,40および調整弁41で暖房用循環路62を形成し、循環ポンプ36を駆動する。これにより、貯湯タンク21の中間接続口23から取り出した湯を、中間配管28、第1の三方弁39、接続配管38、第2の暖房用熱交換器52b、第2の三方弁40、循環配管33の往き配管34、循環ポンプ36、沸上用熱交換器46、循環配管33の戻り配管35、調整弁41、第1の暖房用熱交換器52a、他方の下部配管29bを経て貯湯タンク21の下部に循環する。
【0052】
暖房ユニット14では、暖房回路55の暖房用循環ポンプ54を駆動する。これにより、暖房回路55内の循環水を、暖房用循環ポンプ54、第1の暖房用熱交換器52a、第2の暖房用熱交換器52b、暖房パネル53の順に循環する。
【0053】
そして、暖房用循環路62の湯の流れでは、まず、貯湯タンク21から取り出された一次側の湯を第2の暖房用熱交換器52bで暖房回路55の循環水と熱交換し、続いて、この熱交換分だけ温度低下した二次側の湯を第1の暖房用熱交換器52aで暖房回路55の循環水と熱交換し、この熱交換によってさらに温度低下した湯を貯湯タンク21の下部に戻す。
【0054】
暖房回路55の循環水の流れでは、まず、暖房パネル53を通過して温度低下した循環水が第1の暖房用熱交換器52aで暖房用循環路62を流れる二次側の湯と熱交換し、続いて、この熱交換によって温度上昇した循環水が第2の暖房用熱交換器52bで暖房用循環路62を流れるより二次側の湯より高い温度の一次側の湯と熱交換し、続いて、この熱交換によって温度上昇した循環水が暖房パネル53に流れて暖房する。
【0055】
したがって、沸上用循環路61と暖房用循環路62とで循環ポンプ36を共用した構成でありながら、暖房時には、貯湯タンク21から取り出した湯がまずは第2の暖房用熱交換器52bを経て熱交換した後、熱交換によって温度低下した湯が循環ポンプ36に流れ、さらに第1の暖房用熱交換器52aに流れるため、湯が第2の暖房用熱交換器52bに到達するまでの熱損失が小さいとともに第2の暖房用熱交換器52bおよび第1の暖房用熱交換器52aで段階的に熱交換することで、暖房回路55での熱交換効率が向上して暖房能力を向上でき、循環ポンプ36に対する熱影響を低減できる。
【0056】
さらに、第1および第2の暖房用熱交換器52a,52bに対して暖房回路55の循環方向と暖房用循環路62の循環方向とが逆の関係に接続しているため、暖房回路55の循環水を暖房用循環路62の低温の湯から高温の湯の順に段階的に熱交換して温度上昇させることができ、全体としての熱交換効率が向上し、暖房回路55の循環水の温度を高めることができる。そのため、暖房設定温度までの到達時間の短縮、暖房パネル53の小形化、寒冷地での暖房が可能となる。
【0057】
また、貯湯タンク21から取り出した湯を第2の暖房用熱交換器52bおよび第1の暖房用熱交換器52aを通過して十分に温度低下した状態で貯湯タンク21の下部に戻すことができるため、ヒートポンプユニット13による再加熱が可能となり、沸上運転や、ヒートポンプユニット13で沸上を行いながら暖房する沸上暖房運転ができる。
【0058】
次に、図4において、ヒートポンプユニット13で沸上を行いながら暖房する沸上暖房運転について説明する。この沸上暖房運転は、沸上運転中に暖房する場合、中間部のサーミスタ25cで検知する貯湯タンク21の中間部の湯の温度が暖房に利用可能とする所定の温度以下の場合などに行われる。
【0059】
ヒートポンプユニット13を沸上サイクルで運転開始した後、各三方弁39,40および調整弁41で沸上暖房用循環路63を形成し、循環ポンプ36を駆動する。これにより、貯湯タンク21の下部接続口24aから取り出した水を、一方の下部配管29a、第2の三方弁40、循環配管33の往き配管34、循環ポンプ36、沸上用熱交換器46、循環配管33の戻り配管35、調整弁41、第1の暖房用熱交換器52a、他方の下部配管29bを経て貯湯タンク21の下部に循環する。
【0060】
そして、沸上暖房用循環路63の湯の流れでは、貯湯タンク21の下部接続口24aから取り出した水をヒートポンプユニット13の沸上用熱交換器46で沸上目標温度に沸き上げ、この沸き上げた湯を第1の暖房用熱交換器52aで暖房回路55の循環水と熱交換し、この熱交換によってさらに温度低下した湯を貯湯タンク21の下部に戻す。
【0061】
一方、暖房回路55の循環水の流れでは、暖房パネル53を通過して温度低下した循環水が第1の暖房用熱交換器52aで暖房用循環路62を流れる湯と熱交換し、この熱交換によって温度上昇した循環水が暖房パネル53に流れて暖房する。
【0062】
また、調整弁41の調整で、ヒートポンプユニット13の沸上用熱交換器46で沸き上げた湯を第1の暖房用熱交換器52a側と貯湯タンク21の上部側とに振り分けることにより、貯湯タンク21の上部に湯を貯湯しながら暖房もできる。
【0063】
次に、図5において、例えば沸上暖房運転中に、ヒートポンプユニット13の蒸発器48に霜が付着した場合の除霜運転について説明する。
【0064】
ヒートポンプユニット13を逆サイクルに切り換えて運転開始した後、各三方弁39,40および調整弁41で暖房用循環路62を形成し、循環ポンプ36を駆動する。これにより、貯湯タンク21の中間接続口23から取り出した湯を、中間配管28、第1の三方弁39、接続配管38、第2の暖房用熱交換器52b、第2の三方弁40、循環配管33の往き配管34、循環ポンプ36、沸上用熱交換器46、循環配管33の戻り配管35、調整弁41、第1の暖房用熱交換器52a、他方の下部配管29bを経て貯湯タンク21の下部に循環する。
【0065】
暖房ユニット14では、暖房回路55の暖房用循環ポンプ54を継続駆動する。すなわち、暖房回路55内の循環水を、暖房用循環ポンプ54、第1の暖房用熱交換器52a、第2の暖房用熱交換器52b、暖房パネル53の順に循環する。
【0066】
そして、暖房用循環路62の湯の流れでは、まず、貯湯タンク21から取り出された一次側の湯を第2の暖房用熱交換器52bで暖房回路55の循環水と熱交換し、続いて、この熱交換分だけ温度低下した二次側の湯を沸上用熱交換器46で冷媒回路44の冷媒と熱交換し、この熱交換分だけさらに温度低下した二次側の湯を第1の暖房用熱交換器52aで暖房回路55の循環水と熱交換し、この熱交換によってさらに温度低下した湯を貯湯タンク21の下部に戻す。
【0067】
暖房回路55の循環水の流れでは、まず、暖房パネル53を通過して温度低下した循環水が第1の暖房用熱交換器52aで暖房用循環路62を流れる二次側の湯と熱交換し、続いて、この熱交換によって温度上昇した循環水が第2の暖房用熱交換器52bで暖房用循環路62を流れるより二次側の湯より高い温度の一次側の湯と熱交換し、続いて、この熱交換によって温度上昇した循環水が暖房パネル53に流れて暖房する。
【0068】
冷媒回路44の冷媒の流れでは、蒸発器48および膨張弁47を通過した冷媒が沸上用熱交換器46で暖房用循環路62を流れる二次側の湯と熱交換し、この熱交換によって吸熱した冷媒が圧縮機45で高温高圧に圧縮されて蒸発器48に流れ、蒸発器48の温度を上昇させて除霜する。
【0069】
したがって、この除霜時には、暖房用循環路62に切り換えるとともにヒートポンプユニット13を逆サイクルで運転させることにより、貯湯タンク21の中間部から取り出した湯がまずは第2の暖房用熱交換器52bを経て暖房回路55と熱交換し、暖房回路55の循環水を十分に温度上昇させることができ、さらに、第2の暖房用熱交換器52bを経た湯は除霜用としては十分な温度を保ったままヒートポンプユニット13の沸上用熱交換器46に流れて冷媒回路44と熱交換し、ヒートポンプユニット13の蒸発器48を除霜でき、さらに、ヒートポンプユニット13の沸上用熱交換器46を経た湯が第1の暖房用熱交換器52aを経て暖房回路55と熱交換し、暖房回路55の循環水に少しでも吸熱させることができ、そのため、短時間で除霜できるとともにこの除霜運転のときにも十分な暖房能力で暖房運転ができる。
【0070】
沸上暖房用循環路63に切り換えてヒートポンプユニット13を沸上サイクルで運転している沸上暖房時に、除霜運転に切り換える場合でも、十分な能力で暖房運転を継続できる。
【0071】
次に、給湯動作について説明する。
【0072】
台所や浴室のシャワーなどで湯を使用すると、給湯管75から出湯し、給湯用電動ミキシングバルブ73で貯湯タンク21から取り出される湯と給水管30から給水される水とを混合して給湯設定温度の湯を給湯する。
【0073】
同様に、浴槽15に湯張りしたり足し湯すると、風呂用給湯管78から出湯し、風呂用電動ミキシングバルブ74で貯湯タンク21から取り出される湯と給水管30から給水される水とを混合して風呂設定温度の湯を浴槽15に給湯する。
【0074】
この給湯時には、第1の三方弁39によって中間配管28を通じて貯湯タンク21の中間高さの中温水を給湯し、例えば食器洗い機のように高温湯を必要とする場合には第1の三方弁39によって上部配管27を通じて貯湯タンク21の上部の高温湯を給湯する。
【0075】
なお、暖房回路55の第1の暖房用熱交換器52aおよび第2の暖房用熱交換器52bはそれぞれ1つずつに限らず、それのうちのいずれか一方または両方を複数個ずつ設けてもよい。
【0076】
また、暖房回路55の少なくとも第2の暖房用熱交換器52bのみを設けるだけでも、除霜時において、貯湯タンク21の中間部から取り出した湯が第2の暖房用熱交換器52bを経て暖房回路55と熱交換し、暖房回路55の循環水を十分に温度上昇させることができ、さらに、第2の暖房用熱交換器52bを経た湯は除霜用としては十分な温度を保ったままヒートポンプユニット13の沸上用熱交換器46に流れて冷媒回路44と熱交換し、ヒートポンプユニット13の蒸発器48を除霜でき、そのため、短時間で除霜できるとともにこの除霜運転のときにも十分な暖房能力で暖房運転ができる。
【0077】
また、第1の暖房用熱交換器52aを経た湯は、貯湯タンク21の下部に戻すのに限らず、貯湯タンク21の中間部に戻してもよい。
【0078】
また、前記実施の形態では、給湯および暖房が可能な給湯暖房装置11に適用した例を示したが、給湯がなく暖房専用の暖房装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態を示す給湯暖房装置の構成図である。
【図2】同上給湯暖房装置の沸上運転を示す説明図である。
【図3】同上給湯暖房装置の暖房運転を示す説明図である。
【図4】同上給湯暖房装置の沸上暖房運転を示す説明図である。
【図5】同上給湯暖房装置の除霜運転を示す説明図である。
【符号の説明】
【0080】
11 給湯暖房装置
13 ヒートポンプユニット
21 貯湯タンク
44 冷媒回路
45 圧縮機
46 沸上用熱交換器
48 蒸発器
52a 暖房用熱交換器としての第1の暖房用熱交換器
52b 暖房用熱交換器としての第2の暖房用熱交換器
55 暖房回路
61 沸上用循環路
62 暖房用循環路
63 沸上暖房用循環路
66 循環路切換手段
71 給湯路
91 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、
圧縮機、沸上用熱交換器および蒸発器が設けられた冷媒回路を有し、沸上時には圧縮機、沸上用熱交換器および蒸発器の順に冷媒が流れる沸上サイクルで運転し、除霜時には沸上サイクルに対して逆サイクルで運転するヒートポンプユニットと、
暖房用熱交換器を有する暖房回路と、
前記貯湯タンクから沸上用熱交換器を経て貯湯タンクに戻る沸上用循環路と、
前記貯湯タンクから暖房用熱交換器を経た後に沸上用熱交換器を経て貯湯タンクに戻る暖房用循環路と、
前記沸上用循環路と暖房用循環路とを切り換える循環路切換手段と、
沸上時には前記循環路切換手段で沸上用循環路に切り換えるとともに前記ヒートポンプユニットを沸上サイクルで運転させ、暖房時には前記循環路切換手段で暖房用循環路に切り換え、除霜時には前記循環路切換手段で暖房用循環路に切り換えるとともに前記ヒートポンプユニットを逆サイクルで運転させる制御部と
を具備していることを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
貯湯タンクと、
圧縮機、沸上用熱交換器および蒸発器が設けられた冷媒回路を有し、沸上時には圧縮機、沸上用熱交換器および蒸発器の順に冷媒が流れる沸上サイクルで運転し、除霜時には沸上サイクルに対して逆サイクルで運転するヒートポンプユニットと、
直列に接続された第1の暖房用熱交換器および第2の暖房用熱交換器を有する暖房回路と、
前記貯湯タンクから沸上用熱交換器を経て貯湯タンクに戻る沸上用循環路と、
前記貯湯タンクから第2の暖房用熱交換器を経た後に沸上用熱交換器および第1の暖房用熱交換器を順に経て貯湯タンクに戻る暖房用循環路と、
前記沸上用循環路と沸上暖房用循環路とを切り換える循環路切換手段と、
沸上時には前記循環路切換手段で沸上用循環路に切り換えるとともに前記ヒートポンプユニットを沸上サイクルで運転させ、暖房時には前記循環路切換手段で暖房用循環路に切り換え、除霜時には前記循環路切換手段で暖房用循環路に切り換えるとともに前記ヒートポンプユニットを逆サイクルで運転させる制御部と
を具備していることを特徴とする暖房装置。
【請求項3】
貯湯タンクから沸上用熱交換器および第1の暖房用熱交換器を順に経て貯湯タンクに戻る沸上暖房用循環路を具備し、
制御部は、沸上暖房時に循環路切換手段で沸上暖房用循環路に切り換えるとともにヒートポンプユニットを沸上サイクルで運転させる
ことを特徴とする請求項2記載の暖房装置。
【請求項4】
第1および第2の暖房用熱交換器に対して暖房回路の循環方向の順番と暖房用循環路の循環方向の順番とが逆に接続されている
ことを特徴とする請求項2または3記載の暖房装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載の暖房装置と、
貯湯タンクの湯を給湯する給湯路と
を具備していることを特徴とする給湯暖房装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−71471(P2007−71471A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260349(P2005−260349)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000221269)東芝機器株式会社 (125)
【Fターム(参考)】