書き換え可能なディスクを使用する、ポーズの間に記録し再生する方法および装置
【課題】ディスクを使用してポーズの間にプログラムを記録し再生する方法および装置を提供する。
【解決手段】ポーズの開始と同時に、記録されてないセグメントの第2のパターンと交互する記録済みセグメントの第1のパターンとして、プログラムをディスクに記録するステップと、ポーズの終了と同時に前記第1のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻るステップと、前記第1のパターンの記録済みセグメントを再生することと、前記第2のパターンの記録されてないセグメントにプログラムを記録すること、を交互に行うステップとから成る。装置は、ポーズを開始するコマンドに応答して開始される、第1のパターンを記録する第1の動作モード、前記ポーズを終了しジャンプして戻るコマンドに応答して開始される第2の動作モード、および前記第1のパターンを再生し前記第2のパターンを記録する第3の動作モードを有するコントローラを備える。
【解決手段】ポーズの開始と同時に、記録されてないセグメントの第2のパターンと交互する記録済みセグメントの第1のパターンとして、プログラムをディスクに記録するステップと、ポーズの終了と同時に前記第1のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻るステップと、前記第1のパターンの記録済みセグメントを再生することと、前記第2のパターンの記録されてないセグメントにプログラムを記録すること、を交互に行うステップとから成る。装置は、ポーズを開始するコマンドに応答して開始される、第1のパターンを記録する第1の動作モード、前記ポーズを終了しジャンプして戻るコマンドに応答して開始される第2の動作モード、および前記第1のパターンを再生し前記第2のパターンを記録する第3の動作モードを有するコントローラを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に、記録可能なディジタル・ビデオ・ディスクのようなディスク媒体上に記録されるオーディオ・プログラム(番組)および/またはビデオ・プログラム(番組)用の高度動作機能を提供する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般消費者が、後で再生するためにオーディオ・プログラムおよびビデオ・プログラムを記録(録音/録画)することができる様々な装置が開発されている。そのような装置としては、テープ・レコーダ、ビデオ・カセット・レコーダ(Video Cassette Recorder:VCR)、記録可能なコンパクト・ディスク、ハード・ドライブ、および、最近の記録可能なディジタル・ビデオ・ディスク(DVD)等がある。記録が一度だけでき、その後は本質的にDVD読み出し専用メモリ(read only memory)となるDVDは、頭字語としてDVD−R(DVD−Recordable:一度書き込んだデータは消去できない、追記型のDVD)と称される。また、頭字語DVD−Rは、一度の書き込み(write−once)、または、一度の記録(record−once)に関する技術に言及する時にも一般的に使用されている。DVDに記録し、消去し、再記録(上書き、或いは、再書き込み)できるフォーマットが幾つかある。これらは、頭字語としてDVD−RAM(DVD−Random Access Memory:書き込み/読み出しが可能なDVD)、DVD−RW(DVD−ReWritable:書き換え可能なDVDの規格で、書き換え回数が1000回まで)、および、DVD+RW(DVD+ReWritable:DVD−ROMディスクが読める書き換え可能なディスク・ドライブの規格)と称される。現時点では、統一した業界規格は採用されていない。頭字語のDVD−RAM、DVD−RW、および、DVD+RWは、また、それぞれの書き換え可能な技術に言及する時にも一般的に使用されている。ここで、書き換え可能なDVD技術、書き換え可能なDVD装置、および、書き換え可能なDVD方法に言及するとき、それは、一般に、現在使用されている全ての規格を含み、更に、将来開発される可能性のある全ての規格をも含むものとする。
【0003】
プログラムのプレゼンテーションは、視聴者がその場に居ない時に、記録されて、その後、都合の良い時に再生される場合が多い。これは、プログラムの「タイム・シフティング(time shifting)」と称される。それ以外の時、プログラムは、記録する必要性がないので、記録されずに視聴される。しかし、視聴者は、例えば、電話が掛かって来ることによって、或いは、予期せぬ訪問者によって、そのプログラムの視聴を中断せざるを得ない時がある。そのような時、視聴者が、例えば、或るテレビジョン・プログラムを見ており、VCRにビデオ・カッセト・テープが装填されており、或いは、急いでVCRにビデオ・カッセト・テープを装填できると、そのプログラムを記録できることになる。しかし、視聴者は、その記録が完了するまで、そのプログラムの全部を適切な時系列で視聴することはできない。その記録が完了するまでの時間は、そのプログラム自体の長さによって、短くも長くもなる。
【0004】
DVD装置の優れた機能を用いれば、視聴者は、前記中断が終了したら直ぐに、その中断期間のプログラム内容を失うことなく、そのプログラムの視聴を再開することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
書き換え可能なDVD技術が一般に利用可能であっても、動作は、再生、記録、速や送り、逆戻し、停止といった基本的な機能に限定されている。ポーズ動作も利用可能であるが、VCRに於けるようなポーズ動作に相当するものにしか過ぎず、例えば、記録済みプログラムの再生を中断すること、或いは、コマーシャルを記録から排除するために、視聴するプログラムの記録を中断することにしか過ぎない。記録可能なDVD装置には、コンピュータ・ハード・ドライブには無い、非常に重要な機能がある。それは、予め記録されたDVDを再生することである。従って、コンピュータ・ハード・ドライブの代わりに使用できる、方法と装置とを含めた、書き換え可能なDVD技術を開発し発展させる経済的誘因がある。課題は、そのような装置に改良した優れた機能を持たせ、且つ、コストを低減して消費者の購買を促進することである。そのような新規なDVD機能に含まれるべきものとしては、コンピュータ・ハード・ドライブの高動作速度を用いずに、途切れなく(シームレスに)ディスク媒体の再生と記録を同時に行える機能がある。読み出しおよび書き込み用のヘッドが1つである書き換え可能なDVD装置は、読み出しと書き込みとを同時に行うことができない。従って、ここで使用する「シームレスに」および「同時に」という表現の意味は、この発明の構成に従うプログラム・マテリアルの記録および再生は、たとえ実際の機能では、交互に、或いは、多重的に行われていても、視聴者に対して外見上、「シームレス」および「同時」であるような感じを持たせる、ということである。
【0006】
別の課題は、プログラム・マテリアルが、ディスク媒体に、特に、同じDVDに記録および再記録が行える回数に関する。ディスクの同じ部分に繰返し記録を行うと、ディスクの寿命を短くしてしまう。新規な機能、特に、大量の上書きを必要とする機能を実行する際、ディスクの寿命が短くなるのを防止するため、書き換え可能なDVDの同じ部分に記録を繰り返さないようにすることが望ましい。
【0007】
更に別の課題は、最小能力の書き換え可能なDVD装置の最高データ速度に関する。ベーシックな書き換え可能なDVD装置、例えば、1X(1倍)の読み出し、1X(1倍)の書き込み能力を有するものは、記録或いは再生用の最高データ速度が、一般に、約11メガビット/秒である。従って、その使用可能な最高データ速度の枠内で実行できる新規な機能を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ディスクを使用してポーズの間にプログラムを記録しそのプログラムを再生する発明的構成に従う方法は、ポーズを開始するコマンドを受信すると直ちに、記録されてないセグメントの第2のパターンと交互する記録済みセグメントの第1のパターンとして、プログラムをディスクのトラックに記録するステップ(a)と、ポーズを終了するコマンドを受信すると直ちに第1のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻るステップ(b)と、第1のパターンの記録済みセグメントを再生することと、プログラムを第2のパターンの記録されてないセグメントに記録すること、を交互に行うステップ(c)、とから成る。
【0009】
ディスクを使用し、ポーズの間にプログラムを記録しそのプログラムを再生する発明的構成に従う装置は、プログラムを受信する第1の信号処理路と、ディスクにデータを書き込み、ディスクからデータを読み出すピックアップ構体と、ピックアップ構体のためのサーボ・システムと、プログラムを再生する第2の信号処理路と、制御コマンドを受信する手段と、ポーズを開始するコマンドに応答して開始される、プログラムを記録する第1の動作モード、ポーズを終了するコマンドに応答して開始される第2の動作モード、およびプログラムを再生/記録する第3の動作モードを有するコントローラと、から成り、第1の動作モードで、ピックアップ構体は、記録されてないセグメントの第2のパターンと交互する記録済みセグメントの第1のパターンとしてプログラムをディスクのトラックに記録する位置に置かれ、第2の動作モードで、ピックアップ構体は、第1のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻され、第3の動作モードで、ピックアップ構体は、第1のパターンの記録済みセグメントを再生することと、プログラムを第2のパターンの記録されてないセグメントに記録すること、を交互に行う位置に置かれる。
【0010】
発明的構成に従う、ポーズの間に記録し再生する特徴は、ディスクに書き換えをする装置に備えられ、ポーズの間に記録をしながらディスクに書き換えをする。現在、好ましいディスクは書き換え可能な(rewritable)DVDであり、好ましい装置は書き換え可能なDVD装置である。視聴者/聴取者は放送プログラムをポーズ/中断することができ、中断/ポーズの間にプログラム内容を損なうことなく、中断/ポーズの終了後直ちにプログラムの視聴を再開できる。更に、視聴者/聴取者は、プログラムの残りの部分が記録されるのを待たずにそのプログラムを見ることができる。
【0011】
発明的構成の更なる態様に従い、見掛け上同時に行われている記録と再生は、視聴者/聴取者にとってトランスペアレント(transparent)である。書き換え可能なDVD装置とそれに対応する方法により、ポーズの始まった瞬間から、視聴者/聴取者は放送プログラムを再生することができる。それと同時に、書き換え可能なDVD装置はポーズの長さに対応する期間の間(勿論、プログラムが先に終了しなければ)記録を行う。
【0012】
最後に、発明的構成に従って、ポーズ・モードにおいて、記録と視聴(再生)が見掛け上同時に行われるようにする技術は、記録と再生の進行につれて、書き換え可能なDVDのトラックに沿ってプリセス(precess:セグメントの各グループについて記録の開始点を、螺旋状のトラックに沿って一定の増分で移動させる)することにより、書き換え可能なDVDの有効な再録寿命を最大限に増進するので有利である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を有する書き換え可能なDVD装置のブロック図である。
【図2】この発明の構成の「ポーズおよび再生中の記録」機能に従う記録可能なセグメントが、どのように、書き換え可能なDVD上の螺旋トラックに関係しているかを説明するのに有効な図である。
【図3】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図4】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図5】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図6】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図7】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図8】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図9】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図10】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図11】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図12】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図13】図3乃至図12に示す交互に行われる記録と再生を要約した表である。
【図14】図3乃至図12に示すプリセッションを要約した表である。
【図15】この発明の構成に従う、書き換え可能なDVD装置用のバッファ管理の説明に有効なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には、この発明に構成に従って、書き換え可能なディスク媒体102を使用して、「ポーズ(pause:休止)および再生中の記録」を実行する装置100が、ブロック図の形式で示されている。書き換え可能なディスク媒体102は、具体的な例では、書き換え可能なDVDとして実施される。この装置は、この書き換え可能なDVD102について書き込み、および、読み出しが可能である。この装置には、機械的構体104、制御セクション120、ビデオ/オーディオ入力処理経路140、および、ビデオ/オーディオ出力処理経路170とが含まれている。種々のセクション、或いは、種々の経路に対する殆どのブロックの割り当ては自明であり、そのブロックの幾つかの割り当ては、便宜上のものであり、また、この装置の動作を理解するのに非常に重要なものでもない。
【0015】
機械的構体104には、DVD102を回転させるモータ106と、回転するディスクの上方を移動するように構成されたピックアップ構体108とが含まれている。ピックアップ構体108上のレーザによって、ディスク上の螺旋トラックにスポットが焼き付けられ、或いは、そのトラック上に既に焼き付けられたスポットが照射されて、ビデオ・プログラム・マテリアルおよび/またはオーディオ・プログラム・マテリアルの記録および再生が行われる。この発明を理解するにあたって、ディスクが片面のみ記録可能であるか、両面で記録可能であるかは問題ではない。また、両面に記録可能な場合、その両面記録、或いは、それに続くディスクからの読み出しが、ディスクの同一の片面から行われるか、両面から行われるかも問題ではない。ピックアップ構体108とモータ106は、サーボ110によって制御される。サーボ110は、第1の入力として、ディスク102の螺旋トラックから読み出されたデータの再生信号を受信する。再生信号は、また、エラー補正回路130にも入力される。このエラー補正回路130は、ビデオ/オーディオ出力処理経路の制御部の一部と見做すことができる。
【0016】
制御セクション120には、制御中央処理ユニット(CPU)122と、ナビゲーション・データ生成回路126とが含まれている。制御CPU122は、ナビゲーション・データ生成回路126に第1の入力信号を供給し、サーボ110は、ナビゲーション・データ生成回路126に第2の入力信号を供給する。サーボ110も、制御セクションの一部と見做すことができる。ナビゲーション・データ生成回路126は、ビデオ/オーディオ入力処理経路140の一部を形成するマルチプレクサ(MUX)154に第1の入力信号を供給する。MUX154の出力は、エラー補正符号化回路128に入力される。エラー補正符号化回路128の出力は、ピックアップ構体108に供給される記録可能な入力信号であり、レーザによってディスク102の螺旋トラックに焼き付けられる。
【0017】
視聴者が起動できる機能用の制御バッファ132には、現在利用可能な機能、即ち、再生、記録、逆方向送り、速い順方向送り、ポーズ/再生、停止の機能が示されている。ポーズ(pause:休止)は、VCRに於けるポーズ動作に相当するものであり、例えば、予め記録されたプログラムの再生を中断する、或いは、視聴するプログラムの記録を中断してコマーシャルを記録から排除するためのものである。特別な「ポーズおよび再生中の記録」機能は、「ポーズ(記録および再生中)」として、別のバッファ136の一部として図示され、この発明の構成のこの機能が強調されている。
【0018】
ビデオ/オーディオ入力処理経路140は、装置100によるディジタル記録のために、例えばNTSC方式或いはPAL方式のような従来のテレビジョン信号を、例えばMPEG−1或いはMPEG−2のようなディジタル化パケット・データに変換する信号処理回路である。入力処理経路140には、ビデオ・イン(VIDEO IN)用のTVデコーダ142とパケット・ビデオ・エンコーダ(例えば、MPEG−1或いはMPEG−2)144とが含まれ、更に、オーディオ・イン(AUDIO IN)用のオーディオ・アナログ/ディジタル変換器(A/D)146とオーディオ・エンコーダ(例えば、MPEG−1或いはMPEG−2)148とが含まれている。ディジタル化された各信号は、マルチプレクサ(MUX)150で合成されて、各パケット全体が構成されるまで、記録バッファ152に格納される。各パケットが構成されると、それは、MUX154内でナビゲーション・データ生成回路126の出力と合成されて、エラー補正符号化回路128に送られる。このエラー補正符号化回路128もまた、入力処理経路140の一部と見做すことができる。
【0019】
実用上、ディスクの螺旋トラック上の最小アドレス可能な単位は、16個のセクタから成るECC(Error Correction Code:エラー補正コード)ブロックである(各1つのセクタには2048バイトのユーザ・データが含まれる)。1つのグループが、整数個のECCブロックから成り、例えば12個のECCブロックから成る。これらのブロックから成る各1つのグループは、それぞれ、約0.5秒の合成されたビデオおよびオーディオ・プログラム・マテリアルを表す。ここで、それらのECCブロックから成る1つのグループ、例えば、192個のセクタ分を記録するのに必要な螺旋トラックに沿う直線スペースの量を螺旋トラックの1つのセグメントとして定義する。従って、記録バッファ152は、1セグメントのデータを格納するのに十分な大きさであればよいことが分る。1セグメントのデータは、例えば、約0.5秒のオーディオおよびビデオ・プログラム・マテリアルに相当する。
【0020】
出力処理経路170には出力バッファであるトラック・バッファ172が含まれており、このトラック・バッファ172で、ディスクから読み出されたデータが、更なる処理のために、パケットに組み立てられる。このパケットは、条件付きアクセス回路174によって処理される。この条件付きアクセス回路174は、パケットがデマルチプレクサ(DEMUX)176を介してビデオ処理用およびオーディオ処理用の各経路に伝播されるのを制御する。従って、トラック・バッファ172もまた、1セグメントのデータ(約0.5秒のオーディオおよびビデオ・プログラム・マテリアルに相当)を格納するのに十分な大きさであればよいことが分る。
【0021】
この発明の構成に従えば、入力処理経路140中の記録バッファ152の容量は、必要であると考えられる値よりもかなり大きいと都合がよい。本推奨実施例では、記録バッファの容量は、約1.5秒のビデオおよびオーディオ・データのプレゼンテーション(presentation:提示)を格納するのに十分な大きさである。また、この発明の構成に従えば、出力処理経路170中のトラック・バッファ172の容量も、必要であると考えられる値よりもかなり大きいと都合がよい。本推奨実施例では、トラック・バッファの容量も、約1.5秒のビデオおよびオーディオ・データのプレゼンテーションを格納するのに十分な大きさである。このように容量が大きな記録バッファとトラック・バッファを設けることによって、この発明の構成に従う記録および再生中のピックアップ構体108の最長可能なジャンプに対応できるという利点がある。後に詳述するが、装置100の最長可能なジャンプは、約0.9秒である。ここに開示する改良機能に要するコストは、改良書き換え可能なDVD装置の製造コストに影響があったとしても、それは最小限のものである。
【0022】
ビデオ信号は、パケット・ビデオ・デコーダ178によって、例えば、MPEG−1或いはMPEG−2から復号され、TVエンコーダ180によって、例えばNTSC方式或いはPAL方式のような従来のテレビジョン信号として符号化される。オーディオ信号は、オーディオ・デコーダ182によって、例えば、MPEG−1或いはMPEG−2から復号され、オーディオ・ディジタル/アナログ(D/A)変換器184によってアナログ形式に変換される。前述のように、出力処理経路170には、エラー補正回路130が含まれていると考えることができる。
【0023】
装置100は、例えば、1Xの読み出しおよび1Xの書き込みの能力を有するマシンを表すことができる。このような装置の記録、或いは、再生用の最高可能なデータ速度は、一般に、約11メガビット/秒である。「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行するには、再生(読み出し)と記録(書き込み)を外見上、同時に行う必要がある。使用できる最高データ速度は、再生(読み出し)について約5メガビット/秒、記録(書き込み)について約5メガビット/秒である。そのような速度は、最低限の能力を有するマシンの最高速度の半分でしかなく、従って、そのようなマシンで再生と記録を外見上、同時に行うことは、不可能と考えられるであろう。しかしながら、そのような最低限の能力のマシンでも、この発明の構成に従って動作させて、「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する必要がある場合に、記録バッファとトラック・バッファの優れた管理によって、再生と記録を外見上、同時に行うことができる。この発明の構成は、更に速いデータ速度を有する装置にも有効である。
【0024】
「ポーズおよび再生中の記録」(或いは、「記録および再生中のポーズ」)機能は、書き換え可能なDVD装置には非常に望ましい機能である。そのような機能は、例えば、訪問者が来た為、或いは、電話が掛かってきた為に、視聴者がテレビジョン・プログラムの視聴を中断する場合などに利用できる。視聴者がその場に居ない間にも、レコーダは、そのプログラムの記録を続ける。しばらくの後、例えば、1、2分乃至30分或いはそれ以上の後のどこかで、視聴者は、視聴を中断した所からテレビジョン・プログラムを再び見始めたいと思うであろう。その時、その装置は、入来するプログラム・マテリアルの記録を続けながら、ポーズを開始した所から記録したものを再生し始める必要がある。この外見上、同時に行う再生と記録は、通常、螺旋トラックの記録領域と再生領域の間で、大きなジャンプを必要とする。この大きなジャンプは、ビデオ・レコーダが再生と記録を交互に行う度に、繰り返される必要がある。ここで注意すべきは、ジャンプが生じる時、読み出しも書き込みもできないことである。従って、あらゆる種類のジャンプによって、平均ビットレートは減少する。ジャンプが長ければ長いほど、また、ジャンプの頻度が多ければ多いほど、それだけ益々、平均ビットレートの減少の度合いは大きくなる。
【0025】
この発明の構成に従えば、書き込みも読み出しも行えない時間が最小限になる中断の後に記録および再生を行う方法が提供される。この方法は、「ポーズおよび再生中の記録」機能の実行を妨げることなく、ジャンプの長さと、長いジャンプの数をできるだけ最小限に抑えることができる。この発明の革新的なバッファ管理とビットレート管理によって、可避できないそれらのジャンプに対する補償を行うことができる。この機能は、再生が完全にシームレスでなくても実質的にはシームレスである為、視聴者が許容できる度合いがより大きい。1つのポーズ中、プログラム・マテリアルは、例えば、ディスクの2回転或いは3回転に相当する短いセグメントに記録でき、記録されたセグメントと少なくとも同じ長さ、或いは、それよりも僅かに長いスペースがそれらセグメント相互間に残される。上記ポーズが終了すると、そのポーズの始まりに対応する記録の開始点までジャンプ・バックを行うことができる。記録されたセグメントのそれぞれが再生されるに従い、それら記録されたセグメント相互間の各スペースが、入来プログラム・マテリアルの記録に使用できる。最終的には、オリジナルのポーズに等しいもう1つの期間が終了した後、もう1つのジャンプ・バックを行う必要がある。このようにして、ポーズの終了時点で行われるジャンプ・バックを除けば、潜在的に長いジャンプを回避することができる。言い換えると、仮に1つのポーズが10分間であった場合、そのポーズが終了した後の再生には、10分間の記録されたプログラム・マテリアルに対応できる十分な長さのジャンプ・バックが必要である。そのようなジャンプ・バックは、プログラムの記録および再生が完了するまで、10分ごとに必要になる。十分な長さ(容量)のバッファ・メモリを使用して、ディスクから再生マテリアルが読み出される間、記録しようとする符号化プログラム・マテリアルを格納することができ、また、マテリアルがディスク上に記録される間、再生マテリアルを各デコーダに供給できる。また、これらのバッファをジャンプ中に使用して、プログラム・マテリアルの再生および記録を行う。同時に、エンコーダおよびデコーダのビットレートを、この機能の実行中に、制御して、所望のバッファ管理を実行するのに十分なビットレート能力を得ることができる。エンコーダおよびデコーダは、例えば、MPEG−2規格に従って、動作できる。
【0026】
この発明の構成の目的のために、プログラム・マテリアルは、上述したようなセグメントで、書き換え可能なDVD上に記録され、また、書き換え可能なDVDから再生される。各1つのセグメントは、図2に示すように、螺旋トラックの或る直線的な長さ、或いは、間隔を表す。書き換え可能なDVD10は、装置100内のディスク102として使用するのに適している。このディスクは、ディスク中央のホール28付近から始まり、外側に向かって螺旋する連続螺旋トラック12を有する。このトラックは、図示していないが、媒体形式の割出し(media type indexing)に対応できる横方向(side−to−side)のウォブル(wobble)を有する場合がある。縮尺で図示するのが困難であるため、トラック12は、その一部のみが図示しされ、大きく拡大した尺度で示されている。トラック上の記録の方向は、一般に、より短い半径部分から、より長い半径部分へとトラックに沿って外側に向いている。連続する3個の大きなドット(・・・)は、図示されていないトラック部分を表している。
【0027】
参照番号14は、この発明の構成に従って、1つのポーズ中に記録された1つのセグメントを示している。四角16は、その記録されたセグメントの終わりを示している。四角16は、また、記録されていないセグメント18の始まりも示している。その記録されていないセグメント18の終わりは、菱形20で示されている。菱形20は、また、任意のガードバンド(guard band)22の始まりも示している。この任意のガードバンド22は、記録されたセグメントおよび記録されていないセグメントよりも短くできる。この任意のガードバンド22の終わりは、黒丸24で示されている。黒丸24は、また、次の記録されたセグメント26の始まりも示している。上記ガードバンドは、書き換え可能なDVD装置が再生と記録との間で十分に速く切り替わることができない場合に、セグメントが誤って上書きされることを防止するために設けることができる。ガードバンドが不要な場合、記録容量の減少を避けるために、ガードバンドなしの動作が望ましい。
【0028】
ポーズ間書き込み法(pause−while−recording method)の手順を、図3乃至図14に示す。番号が付いた水平線或いはスペースは、螺旋トラックのセグメントを表している。1の番号が付いたセグメントは、必ずしもトラック上の最初のセグメントというわけではなく、ポーズ機能が開始された時に記録された最初のセグメントである。図3に示すように、セグメント1は、ポーズの開始に対応している。その後、記録されたセグメントと記録されていないセグメントとが交互するパターンAが、トラック上に形成される。記録されたセグメントは、奇数の番号が付いたセグメント1乃至43である。偶数の番号が付いたセグメント2乃至42は、記録されていない。ガードバンドは、図示されていないが、記録されたセグメントよりも長い記録されていないセグメントであると考えることができる。図3では、22個のセグメントが、記録されたものとして示されている。各1つのセグメントは、約0.5秒のプログラム・マテリアルを表し、従って、図示のポーズは、約11秒の長さである。ポーズの長さに拘わらず、パターンAは、ポーズが終了するまで続く。視聴者がポーズを終了しそこなう場合、制御ルーチンを設定して、例えば、トラック上の最後のセグメントが記録された時か、或いは、プログラムが終了した時に、そのポーズを終了することができる。
【0029】
図4に示すように、ポーズが終了した時、装置は、ジャンプの前に、先ず、ディスク媒体上に現在書き込まれているセグメントの書き込みを完了する必要がある。図3で、最後に記録されたセグメントは、セグメント43である。ポーズの終了が、例えば、セグメント42のスキッピング中(skipping)に生じた場合、セグメント43は、完全に記録される必要がある。ピックアップ構体は、セグメント1にジャンプ・バックする。このジャンプの後、プログラム・マテリアルが失われないようにして、記録を行いながら再生を開始することが望ましい。この為には、この発明の革新的なバッファ管理方法の手順を初期化する必要がある。この方法を理解するには、ポーズが終了した時の装置の開始条件を理解する必要がある。記録中には、プログラム・マテリアルは、ディスク媒体から読み出されていない。従って、トラック・バッファ172に書き込もうとするプログラム・マテリアルはなく、また、トラック・バッファ172から読み出され、再生経路170を介して視聴者に再生されるプログラム・マテリアルもない。要するに、トラック・バッファ172は、空の状態である。一方、この時に、符号化プログラム・マテリアルは、記録バッファ152を介して供給され、交互するパターンとビットレートが許す限りの速さで、ディスク上に書き込まれている。図示の実施例に於けるピーク・ビットレートは、11メガビット/秒である。従って、記録バッファ152は、空の状態か空に近い状態である。
【0030】
外見上、同時に行われるプログラム・マテリアルの再生と記録中に、ディスク媒体の読み出しと書き込みを交互に行うためには、トラック・バッファは、ディスク媒体への書き込み中に再生しようとするプログラム・マテリアルを十分に格納している必要がある。同様に、記録バッファは、データの損失を回避するために、データがディスク媒体から読み出されている時に、プログラム・マテリアルを十分に格納する十分な空状態にある必要がある。この発明の構成に従えば、入力経路バッファと出力経路バッファのそれぞれが、約1.5秒のプログラム・マテリアルに相当する3つのセグメント分のプログラム・マテリアルを格納できる必要があると分っている。このサイズの各バッファによって、装置100およびその他の同等なデータ速度の装置に於いて、「記録および再生中のポーズ」機能のシームレス動作が可能になる。
【0031】
ポーズが終了した時点では、必要なバッファ条件は満たされていない。更に、ある程度のビットレート能力が、ポーズ終了後にバッファを初期化するのに必要である。従って、ポーズが一旦開始されると、エンコーダに対するビットレートは、一定のビットレートに設定される。デコーダは、符号化中のビットレートに対応する速度で復号する必要があり、従って、デコーダは、自動的に符号化周波数で動作し、特定の値に設定する必要はない。本推奨実施例では、その一定のビットレートは、各場合、5メガビット/秒である。この結果、バッファを制御するために、約1メガビット/秒のビットレート能力(11メガビット/秒−2×5メガビット/秒)が残される。
【0032】
図4には、ポーズ終了後のジャンプが示されている。このジャンプは、最初のジャンプと考えることができる。この最初のジャンプが始まると直ぐに、ディスク媒体への書き込みが不可能になる。しかし、それでも、エンコーダは、5メガビット/秒の減少した一定のビットレートではあるが、出力を供給する。従って、図5に示すパターンBのセグメントになるプログラム・マテリアルは、記録バッファ152に順次格納される。ジャンプが終了すると直ぐに、そして、記録バッファへの格納が続いている間、パターンAの1番のセグメントが、ディスク媒体から読み出されてトラック・バッファ172に格納される。
【0033】
割増しのビットレート能力によって、バッファ動作の定常状態を得ることができる。その定常状態で、記録バッファとトラック・バッファを満たすこと(fulling)と空にすること(emptying)とは、常に相補関係にある。言い換えれば、入力バッファは、出力バッファが空にされるに従って、満たされて行き、逆に、出力バッファは、入力バッファが空にされるに従って、満たされて行く。また、2つのバッファ中のデータの合計は、容量の割合として、常に実質的に一定である。仮に一方のバッファが、例えば、3分の1満たされているとすると、他方のバッファは3分の2満たされている。また、一方のバッファが2分の1満たされているとすると、他方のバッファも2分の1満たされている。仮に、本推奨実施例のように、各1つのバッファが3つのセグメントを保持できる場合、同時に両バッファ内に在るセグメントの数の合計は、一定であり、3に等しいことになる。
【0034】
図5には、パターンAのセグメント1乃至43の読み出しとパターンBのセグメント2乃至44の書き込みが示されている。これらの読み出しと書き込みとは、一旦各バッファの動作が定常状態になると、互いに交替する順序で生じる。
【0035】
図6は、第2のジャンプ・バックを表し、事実上、残り全てのジャンプ・バックを表している。第1のジャンプがセグメント43からセグメント1までに生じた時、各バッファは初期化されていない。第2のジャンプがセグメント44からセグメント2までに生じた時、各バッファは、既に初期化されていて、相補関係で動作している。従って、第2のジャンプが始まった後、トラック・バッファは、そのジャンプ中、セグメントが読み出されるのに、且つ、再生が中断することなく、即ち、シームレスに継続するのに十分な程度に満たされている。同時に、記録バッファは、そのジャンプ中、符号化セグメントが格納されるのに、且つ、データの消失を防止するのに十分な程度の空状態になっている。ジャンプ・バック相互間の記録および再生は、ポーズの長さに等しい期間を有する。
【0036】
図7に示すように、偶数番号のセグメント2乃至44が再生されるに従って、パターンCの奇数番号のセグメント3乃至45が、それと交互して記録される。偶数番号のセグメント2乃至44が再生された後、且つ、奇数番号のセグメント3乃至45が記録された後、ピックアップ構体は、図8に示すように、セグメント3にジャンプ・バックする。このセグメント3は、再生する必要のあるパターンCの最初のセグメントである。図9に示すように、奇数番号のセグメント3乃至45が再生されるに従って、パターンDの偶数番号のセグメント4乃至46が、それと交互して記録される。
【0037】
奇数番号のセグメント3乃至45が再生された後、且つ、偶数番号のセグメント4乃至46が記録された後、ピックアップ構体は、図10に示すように、セグメント4にジャンプ・バックする。このセグメント4は、再生する必要のあるパターンDの最初のセグメントである。図11に示すように、偶数番号のセグメント4乃至46が再生されるに従って、パターンEの奇数番号のセグメント5乃至47が、それと交互して記録される。偶数番号のセグメント4乃至46が再生された後、且つ、奇数番号のセグメント5乃至47が記録された後、ピックアップ構体は、図12に示すように、セグメント5にジャンプ・バックする。このセグメント5は、再生する必要のあるパターンEの最初のセグメントである。
【0038】
各バッファの動作が定常状態になった後、本プロセスは、次の各段階に要約できる。即ち、第1のパターンの記録されたセグメントを再生した後、第2のパターンの最初に記録されたセグメントにジャンプ・バックする段階と、第2のパターンの記録されたセグメントの再生と、第1のパターンのセグメントを上書きすることによる第3のパターンのセグメントへのプログラムの記録とを交互に行う段階とに要約できる。これらの段階は、プログラムの終了まで、後に続くパターンのセグメントについて繰り返される。
【0039】
例えば、0.9秒もの長さのジャンプ時間も、前述のサイズのバッファによって吸収できると考えられる。ジャンプの持続時間には、ジャンプに必要な時間と、ディスク媒体と再同期するのに要する時間とが含まれている。最初のジャンプの後のジャンプは、各バッファが既に定常状態で動作しているため、最初のジャンプよりも速く完了する。従って、ディスク媒体に対する読み出しと書き込みが交互に行われるに従って再生マテリアルが中断されるようなことはない。従って、プログラム・マテリアルのプレゼンテーションはシームレスであり、この点に於いて、記録と再生とは、外見上、同時に行われる。
【0040】
本プロセスは、プログラムのプレゼンテーションが終了するまで続く。もし、プログラムが終了する前にトラックが終わりに達する場合、ルーチンを設けて、トラックの始まり、或いは、トラック上のその他の任意の場所にジャンプ・バックして、プログラムが終了するまで、交互に行われる記録と再生を継続することができる。交互に行われる記録と再生を、図13の表に要約する。
【0041】
動作手順を、図15のフローチャート200に、バッファ管理に重点を置いて示している。ステップ202で、ポーズが始まる。第1のパターン(パターンA)のセグメントが所望の一定速度、例えば、5メガビット/秒で復号されるようにすることが必要である。従って、第1のパターンのセグメントをその一定ビットレートで符号化する必要がある。その理由は、デコーダは、自動的に、符号化と同じ速度で復号動作をするためである。それ故、ステップ204に従って、エンコーダは、その所望の一定ビットレートに設定される。尚、デコーダは、ポーズが終了するまでは不要である。更に、後で詳しく説明するように、ポーズの終了時にデコーダをターンオフすることによって、トラック・バッファをより速く満たすことができる。それ故、ステップ206に従って、ポーズが始まった後、デコーダをターンオフすることが本実施例では望ましい。
【0042】
次に、ステップ208に従って、本装置は、第1のパターンのセグメントをディスク媒体のトラック上の1つ置きのセグメントに記録する。ポーズが終了していない限り、決定ブロック210によって、手順は、経路213に沿ってステップ208に戻り、待機する。ポーズが終了すると、手順は、経路211に沿ってステップ212に進む。このステップ212に従って、本装置は、第1のパターンの最後のセグメントの記録を完了する。その後、ステップ214に従って、ピックアップ構体は、第1のパターンの最初のセグメントにジャンプ・バックする。このジャンプが進行するに従って、記録バッファは、ステップ216に従って、第2のパターンになるセグメントで満たされ始める。これは、ジャンプ中に、入来プログラム・マテリアルが消失されないようにするために必要である。
【0043】
この発明の構成に従えば、ポーズ終了後の再生動作は、シームレスである。これは、再生は、一旦始まると、決して中断されないことを意味する。従って、トラック・バッファは、決してアンダーフロー状態にならない。さもなければ、デコーダは復号しようとするマテリアルが無くなり、再生が中断されてしまう。同時に、記録中にプログラム・マテリアルが消失されないようにするため、記録バッファは、決してオーバーフロー状態にならないようにする必要がある。さもなければ、エンコーダの出力を格納すべき場所が無くなってしまう。この発明の構成に従う各バッファの相補関係管理によって、各バッファのこれらの動作条件が満たされる。しかし、記録バッファとトラック・バッファとは、先ず、最初のジャンプに連係して、相補関係動作のための初期化を行う必要がある。この初期化は、本実施例では、両バッファ中のセグメントの数の合計が3に等しくなると直ぐに、達成される。この初期化が達成されると直ぐに、本装置は、この発明の構成に従って、セグメントの記録と再生とを交互に行うことができる。尚、2つ以上のプロセスが行われて、初期化が達成されることもある。図15に関連して説明する初期化のプロセスが、本実施例では望ましいものである。
【0044】
記録バッファが満たされようとしている間、決定ステップ218は、ジャンプが完了したかを問い合わせる。もし完了していない場合、手順は、経路221に沿って元に戻り、待機する。ジャンプが完了した時、手順は、経路219に沿って進む。ステップ220に従って、ピックアップ構体はディスク媒体からパターンAの最初のセグメントを読み出し、トラック・バッファはデータで満たされ始める。記録バッファは、依然として満たされようとしている。
【0045】
トラック・バッファが満たされようとしている間、決定ステップ222は、両バッファ中のセグメントの数の合計が、ステップ220の期間中に、即ち、最初のセグメントがトラック・バッファに完全に書き込まれる前に、3に等しくなったかを問い合わせる。3に等しくない時、最初のセグメントは、全部トラック・バッファに書き込まれる。この場合、手順は、経路223に沿ってステップ224に進む。このステップ224に従って、トラック・バッファへの最初のセグメントの書き込みが完了し、その後、トラック・バッファへの書き込みがストップする。この時点で、ディスクからの読み出しもディスクへの書き込みも行われていない。次に、決定ステップ226は、両バッファ中のセグメントの数の合計が、ステップ224の後、即ち、デコーダがターンオフしており、トラック・バッファが最初のセグメントのみを保持しており、記録バッファが依然として満たされようとしている間、3に等しくなったかを問い合わせる。3に等しくなっていない場合、手順は、経路229によって元に戻り、待機する。記録バッファは、遂に2つのセグメントで満たされることになる。この時、両バッファ中のセグメントの数の合計が3に等しくなり、従って、各バッファは初期化される。次に、手順は、経路227に沿ってステップ232に進む。このステップ232に従って、デコーダは、再びオンの状態に戻される。その後、ステップ234とステップ236に従って、本装置は、記録バッファからの読み出しとディスク媒体への書き込みを始めることができ、トラック・バッファからの読み出しとデコーダへの書き込みを始めることができる。第2のパターンの最初のセグメントが記録バッファからディスク媒体へ書き込まれた後、第1のパターンの2番目のセグメントがディスク媒体から読み出されトラック・バッファに書き込まれる。このようにして、この発明の構成の交互の読み出しと書き込みが確立される。
【0046】
決定ブロック222に戻って説明を続けると、記録バッファは、ディスク媒体から読み出された最初のセグメントが完全にトラック・バッファに書き込まれる前に、2つ分よりは多く、しかし、3つ分よりは少ないセグメントで満たされることが起こり得る。これが起きるか否かは、大部分、ステップ214の最初のジャンプの持続時間で決まる。これが起きた時、各バッファは、最初のセグメントが完全にトラック・バッファに書き込まれる前に、初期化される。その理由は、両バッファ中のセグメントの数の合計が3に等しくなるからである。一旦、各バッファが初期化されると、両バッファに対する書き込みと読み出しが可能になる必要がある。それ故、その時点で、手順は、経路225に沿ってステップ228に進み、このステップ228に従って、デコーダがターンオンされる。デコーダのターンオンの後、更に、ステップ230に従って、トラック・バッファへの最初のセグメントの書き込みを完了する必要がある。その後、本装置は、ステップ236でトラック・バッファからの読み出しとデコーダへの書き込みを始めているので、ステップ234で記録バッファからの読み出しとディスク媒体への書き込みを始めることができる。第2のパターンの最初のセグメントが記録バッファからディスク媒体に書き込まれた後、第1のパターンの2番目のセグメントがディスク媒体から読み出されトラック・バッファへ書き込まれる。このようにして、この発明の構成の交互の読み出しと書き込みが確立される。
【0047】
各バッファの初期化のプロセスに拘わらず、所定のビットレートで次のジャンプの準備をするのに、ある程度の時間が必要である。本実施例では、1メガビット/秒がその準備プロセスに使用できる。もしポーズが短すぎる場合、例えば、その長さが10秒未満の場合、上記の時間が得られないことがある。そのようなポーズの一例としては、視聴者が偶然に本機能を選択してしまう場合である。考えられる別の原因としては、視聴者が、1回目のポーズに続く初期化の直後に、2回目のポーズを開始することである。それ故、例えば、制御プログラムを用いて、全てのポーズを最小限の継続期間に制限しなければならない場合がある。
【0048】
ステップ234とステップ236の後、ステップ238に従って、本装置は、ディスク媒体からの第1のパターンのセグメントの読み出しと、ディスク媒体への第2のパターンのセグメントの書き込みとを交互に行い、各バッファを満たすことと空にすることとを相補関係的に行う。このプロセスは、図3乃至図5に対応する。
【0049】
各バッファの相補関係的動作は、各バッファの動作全体を見て理解べきであって、常に瞬時的にしか維持されない一状態を見て理解すべきでない。本実施例では、1つ置きのセグメントへの記録中、記録バッファは、エンコーダによって、エンコーダの選択出力速度、即ち、5メガビット/秒で、満たされようとしている。もし、トータルなディスクへの書き込みビットレート能力が前述のように11メガビット/秒であるとすると、記録バッファは、満たす速度と空にする速度との差により、正味6メガビット/秒で空にされようとしていることになる。書き込み動作中、トラック・バッファは、復号速度と同じ速度、即ち、5メガビット/秒で空にされようとしている。両バッファが空にされようとしているので、瞬間的には、両バッファ中のセグメントの数の合計は減少している。セグメントがディスクに書き込まれた後、別のセグメントも、前述の11メガビット/秒で、ディスクから読み出され、トラック・バッファに書き込まれる。トラック・バッファは、5メガビット/秒で、空にされようとしている。従って、ディスクが読み出されている時、トラック・バッファは、満たす速度と空にする速度との差により、正味6メガビット/秒で満たされようとしている。読み出し動作中、記録バッファは、5メガビット/秒で満たされようとしている。両バッファが満たされようとしているので、瞬間的には、両バッファ中のセグメントの数の合計は増加している。それでも、各バッファの動作を、読み出し/書き込みサイクルの同じ時点で考えると、例えば、常に、読み出し動作、或いは、書き込み動作の始まる時点で考えると、動作に係るこの優れた相補的特性は明らかである。
【0050】
第2のパターンは、殆どの場合は、最後のパターンにはならないが、その可能性はある。従って、決定ブロック240は、最後のパターンが再生されたかを問い合わせる。もし、最後のパターンが再生されていない場合、手順は、経路241に沿ってステップ242に進む。このステップ242に従って、ピックアップ構体は、再生しようとする次のパターンの最初のセグメントにジャンプ・バックする。このジャンプの後、各バッファは既に初期化されているので、本装置は、ステップ244に従って、直ちに、読み出しと書き込みとを交互に行い、記録と再生とを交互に行うことができる。この発明の構成に従えば、各バッファを満たすことと空にすることとが相補関係的に行われるのに従って、読み出しおよび書き込みと記録および再生とが実行される。
【0051】
ステップ240、242および244は、決定ブロック240によって最後のパターンが記録され再生されたことが認められるまで、繰り返される。最後のパターンが記録され再生されたことが認められると、手順は、経路243に沿ってステップ246に進む。ステップ246では、最後のパターンの処理がプログラムの終わりに対応することが確認される。各バッファのデフォルト(default)動作が再開する。手順は、ステップ248で終了する。
【0052】
図14の表に、図4、図6、図8、図10および図12に示すジャンプ・バックを要約している。この表から、最初のジャンプはセグメント1に戻り、2番目のジャンプはセグメント2に戻り、3番目のジャンプはセグメント3に戻り、4番目のジャンプはセグメント4に戻り、5番目のジャンプはセグメント5に戻ること等が分る。各ジャンプ・バックの結果、ディスクへのセグメントの再記録或いは再書き込みが行われる。ディスク媒体の消耗を早めないようにするため、本発明の方法は、ジャンプ・バックする度に、少なくとも1つのセグメントを処理する。最初のジャンプ・バックによって、奇数番号のセグメント1乃至43の書き込み或いは再書き込みが行われる。2番目のジャンプ・バックによって、セグメント1がスキップされ、偶数番号のセグメント2乃至44の書き込み或いは再書き込みが行われる。3番目のジャンプ・バックによって、セグメント2がスキップされ、奇数番号のセグメント3乃至45の再書き込み等が行われる。以下同様。
【0053】
ポーズ中、トラック内に、記録されていないギャップが、記録されたセグメント相互間に形成される。1つの記録されたセグメントの終わりから次のセグメントが書き込まれるトラック上の位置へジャンプすることは可能である。しかし、殆どの場合、単に、ディスク媒体をピックアップ構体の下で回転させて、次のセグメントに達するまでトラックを走査することの方が容易である。
【0054】
ディスク媒体の回転速度が必要以上に速いために、しばしば、トラックの1回転をジャンプ・バックする必要がある。そのようなジャンプは、前述のジャンプと比較すると、第3の種類のジャンプである。そのようなジャンプは、DVD装置についてさえも非常に短いものである。また、そのようなジャンプは、「記録および再生中の記録」(或いは、「ポーズおよび再生中の記録」)機能に必要となり得る長いジャンプに比べて、特別のバッファ管理、或いは、大きなバッファ・サイズを必要とはしない。
【0055】
書き換え可能なディスク媒体の記録中のプリセッション(precession:セグメントの各グループについて上書きの開始点を、螺旋状のトラックに沿って一定の増分で移動させること。)は、この発明の構成に従う、ここに開示した「ポーズおよび再生中の記録」機能以外の記録が繰り返される動作に有効である。
【0056】
発明的な構成に従って、ポーズの間に後続の記録および再生も可能であり、2セット以上の周期的なジャンプが必要になることを除いて、上述のように実施することができる。
【0057】
総合的に、上述した発明的構成により提供される新しいDVDの特徴により、視聴者は、プログラムを中断し、中断後に、なんらの遅延もなく、且つプログラム内容を失うこともなく、シームレス(seamless)にプログラムの視聴を再開できる。この発明的構成は、基本的な書き換え可能な(rewritable)ディスク装置、例えば、予め記録済みのDVDを再生できそして従来のレコーディング(記録)もできる書き換え可能なDVD装置、を使用して実施できる。
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に、記録可能なディジタル・ビデオ・ディスクのようなディスク媒体上に記録されるオーディオ・プログラム(番組)および/またはビデオ・プログラム(番組)用の高度動作機能を提供する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般消費者が、後で再生するためにオーディオ・プログラムおよびビデオ・プログラムを記録(録音/録画)することができる様々な装置が開発されている。そのような装置としては、テープ・レコーダ、ビデオ・カセット・レコーダ(Video Cassette Recorder:VCR)、記録可能なコンパクト・ディスク、ハード・ドライブ、および、最近の記録可能なディジタル・ビデオ・ディスク(DVD)等がある。記録が一度だけでき、その後は本質的にDVD読み出し専用メモリ(read only memory)となるDVDは、頭字語としてDVD−R(DVD−Recordable:一度書き込んだデータは消去できない、追記型のDVD)と称される。また、頭字語DVD−Rは、一度の書き込み(write−once)、または、一度の記録(record−once)に関する技術に言及する時にも一般的に使用されている。DVDに記録し、消去し、再記録(上書き、或いは、再書き込み)できるフォーマットが幾つかある。これらは、頭字語としてDVD−RAM(DVD−Random Access Memory:書き込み/読み出しが可能なDVD)、DVD−RW(DVD−ReWritable:書き換え可能なDVDの規格で、書き換え回数が1000回まで)、および、DVD+RW(DVD+ReWritable:DVD−ROMディスクが読める書き換え可能なディスク・ドライブの規格)と称される。現時点では、統一した業界規格は採用されていない。頭字語のDVD−RAM、DVD−RW、および、DVD+RWは、また、それぞれの書き換え可能な技術に言及する時にも一般的に使用されている。ここで、書き換え可能なDVD技術、書き換え可能なDVD装置、および、書き換え可能なDVD方法に言及するとき、それは、一般に、現在使用されている全ての規格を含み、更に、将来開発される可能性のある全ての規格をも含むものとする。
【0003】
プログラムのプレゼンテーションは、視聴者がその場に居ない時に、記録されて、その後、都合の良い時に再生される場合が多い。これは、プログラムの「タイム・シフティング(time shifting)」と称される。それ以外の時、プログラムは、記録する必要性がないので、記録されずに視聴される。しかし、視聴者は、例えば、電話が掛かって来ることによって、或いは、予期せぬ訪問者によって、そのプログラムの視聴を中断せざるを得ない時がある。そのような時、視聴者が、例えば、或るテレビジョン・プログラムを見ており、VCRにビデオ・カッセト・テープが装填されており、或いは、急いでVCRにビデオ・カッセト・テープを装填できると、そのプログラムを記録できることになる。しかし、視聴者は、その記録が完了するまで、そのプログラムの全部を適切な時系列で視聴することはできない。その記録が完了するまでの時間は、そのプログラム自体の長さによって、短くも長くもなる。
【0004】
DVD装置の優れた機能を用いれば、視聴者は、前記中断が終了したら直ぐに、その中断期間のプログラム内容を失うことなく、そのプログラムの視聴を再開することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
書き換え可能なDVD技術が一般に利用可能であっても、動作は、再生、記録、速や送り、逆戻し、停止といった基本的な機能に限定されている。ポーズ動作も利用可能であるが、VCRに於けるようなポーズ動作に相当するものにしか過ぎず、例えば、記録済みプログラムの再生を中断すること、或いは、コマーシャルを記録から排除するために、視聴するプログラムの記録を中断することにしか過ぎない。記録可能なDVD装置には、コンピュータ・ハード・ドライブには無い、非常に重要な機能がある。それは、予め記録されたDVDを再生することである。従って、コンピュータ・ハード・ドライブの代わりに使用できる、方法と装置とを含めた、書き換え可能なDVD技術を開発し発展させる経済的誘因がある。課題は、そのような装置に改良した優れた機能を持たせ、且つ、コストを低減して消費者の購買を促進することである。そのような新規なDVD機能に含まれるべきものとしては、コンピュータ・ハード・ドライブの高動作速度を用いずに、途切れなく(シームレスに)ディスク媒体の再生と記録を同時に行える機能がある。読み出しおよび書き込み用のヘッドが1つである書き換え可能なDVD装置は、読み出しと書き込みとを同時に行うことができない。従って、ここで使用する「シームレスに」および「同時に」という表現の意味は、この発明の構成に従うプログラム・マテリアルの記録および再生は、たとえ実際の機能では、交互に、或いは、多重的に行われていても、視聴者に対して外見上、「シームレス」および「同時」であるような感じを持たせる、ということである。
【0006】
別の課題は、プログラム・マテリアルが、ディスク媒体に、特に、同じDVDに記録および再記録が行える回数に関する。ディスクの同じ部分に繰返し記録を行うと、ディスクの寿命を短くしてしまう。新規な機能、特に、大量の上書きを必要とする機能を実行する際、ディスクの寿命が短くなるのを防止するため、書き換え可能なDVDの同じ部分に記録を繰り返さないようにすることが望ましい。
【0007】
更に別の課題は、最小能力の書き換え可能なDVD装置の最高データ速度に関する。ベーシックな書き換え可能なDVD装置、例えば、1X(1倍)の読み出し、1X(1倍)の書き込み能力を有するものは、記録或いは再生用の最高データ速度が、一般に、約11メガビット/秒である。従って、その使用可能な最高データ速度の枠内で実行できる新規な機能を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ディスクを使用してポーズの間にプログラムを記録しそのプログラムを再生する発明的構成に従う方法は、ポーズを開始するコマンドを受信すると直ちに、記録されてないセグメントの第2のパターンと交互する記録済みセグメントの第1のパターンとして、プログラムをディスクのトラックに記録するステップ(a)と、ポーズを終了するコマンドを受信すると直ちに第1のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻るステップ(b)と、第1のパターンの記録済みセグメントを再生することと、プログラムを第2のパターンの記録されてないセグメントに記録すること、を交互に行うステップ(c)、とから成る。
【0009】
ディスクを使用し、ポーズの間にプログラムを記録しそのプログラムを再生する発明的構成に従う装置は、プログラムを受信する第1の信号処理路と、ディスクにデータを書き込み、ディスクからデータを読み出すピックアップ構体と、ピックアップ構体のためのサーボ・システムと、プログラムを再生する第2の信号処理路と、制御コマンドを受信する手段と、ポーズを開始するコマンドに応答して開始される、プログラムを記録する第1の動作モード、ポーズを終了するコマンドに応答して開始される第2の動作モード、およびプログラムを再生/記録する第3の動作モードを有するコントローラと、から成り、第1の動作モードで、ピックアップ構体は、記録されてないセグメントの第2のパターンと交互する記録済みセグメントの第1のパターンとしてプログラムをディスクのトラックに記録する位置に置かれ、第2の動作モードで、ピックアップ構体は、第1のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻され、第3の動作モードで、ピックアップ構体は、第1のパターンの記録済みセグメントを再生することと、プログラムを第2のパターンの記録されてないセグメントに記録すること、を交互に行う位置に置かれる。
【0010】
発明的構成に従う、ポーズの間に記録し再生する特徴は、ディスクに書き換えをする装置に備えられ、ポーズの間に記録をしながらディスクに書き換えをする。現在、好ましいディスクは書き換え可能な(rewritable)DVDであり、好ましい装置は書き換え可能なDVD装置である。視聴者/聴取者は放送プログラムをポーズ/中断することができ、中断/ポーズの間にプログラム内容を損なうことなく、中断/ポーズの終了後直ちにプログラムの視聴を再開できる。更に、視聴者/聴取者は、プログラムの残りの部分が記録されるのを待たずにそのプログラムを見ることができる。
【0011】
発明的構成の更なる態様に従い、見掛け上同時に行われている記録と再生は、視聴者/聴取者にとってトランスペアレント(transparent)である。書き換え可能なDVD装置とそれに対応する方法により、ポーズの始まった瞬間から、視聴者/聴取者は放送プログラムを再生することができる。それと同時に、書き換え可能なDVD装置はポーズの長さに対応する期間の間(勿論、プログラムが先に終了しなければ)記録を行う。
【0012】
最後に、発明的構成に従って、ポーズ・モードにおいて、記録と視聴(再生)が見掛け上同時に行われるようにする技術は、記録と再生の進行につれて、書き換え可能なDVDのトラックに沿ってプリセス(precess:セグメントの各グループについて記録の開始点を、螺旋状のトラックに沿って一定の増分で移動させる)することにより、書き換え可能なDVDの有効な再録寿命を最大限に増進するので有利である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を有する書き換え可能なDVD装置のブロック図である。
【図2】この発明の構成の「ポーズおよび再生中の記録」機能に従う記録可能なセグメントが、どのように、書き換え可能なDVD上の螺旋トラックに関係しているかを説明するのに有効な図である。
【図3】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図4】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図5】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図6】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図7】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図8】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図9】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図10】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図11】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図12】この発明の構成に従う「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する、この発明の構成に従う方法を過程順に示す図である。
【図13】図3乃至図12に示す交互に行われる記録と再生を要約した表である。
【図14】図3乃至図12に示すプリセッションを要約した表である。
【図15】この発明の構成に従う、書き換え可能なDVD装置用のバッファ管理の説明に有効なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には、この発明に構成に従って、書き換え可能なディスク媒体102を使用して、「ポーズ(pause:休止)および再生中の記録」を実行する装置100が、ブロック図の形式で示されている。書き換え可能なディスク媒体102は、具体的な例では、書き換え可能なDVDとして実施される。この装置は、この書き換え可能なDVD102について書き込み、および、読み出しが可能である。この装置には、機械的構体104、制御セクション120、ビデオ/オーディオ入力処理経路140、および、ビデオ/オーディオ出力処理経路170とが含まれている。種々のセクション、或いは、種々の経路に対する殆どのブロックの割り当ては自明であり、そのブロックの幾つかの割り当ては、便宜上のものであり、また、この装置の動作を理解するのに非常に重要なものでもない。
【0015】
機械的構体104には、DVD102を回転させるモータ106と、回転するディスクの上方を移動するように構成されたピックアップ構体108とが含まれている。ピックアップ構体108上のレーザによって、ディスク上の螺旋トラックにスポットが焼き付けられ、或いは、そのトラック上に既に焼き付けられたスポットが照射されて、ビデオ・プログラム・マテリアルおよび/またはオーディオ・プログラム・マテリアルの記録および再生が行われる。この発明を理解するにあたって、ディスクが片面のみ記録可能であるか、両面で記録可能であるかは問題ではない。また、両面に記録可能な場合、その両面記録、或いは、それに続くディスクからの読み出しが、ディスクの同一の片面から行われるか、両面から行われるかも問題ではない。ピックアップ構体108とモータ106は、サーボ110によって制御される。サーボ110は、第1の入力として、ディスク102の螺旋トラックから読み出されたデータの再生信号を受信する。再生信号は、また、エラー補正回路130にも入力される。このエラー補正回路130は、ビデオ/オーディオ出力処理経路の制御部の一部と見做すことができる。
【0016】
制御セクション120には、制御中央処理ユニット(CPU)122と、ナビゲーション・データ生成回路126とが含まれている。制御CPU122は、ナビゲーション・データ生成回路126に第1の入力信号を供給し、サーボ110は、ナビゲーション・データ生成回路126に第2の入力信号を供給する。サーボ110も、制御セクションの一部と見做すことができる。ナビゲーション・データ生成回路126は、ビデオ/オーディオ入力処理経路140の一部を形成するマルチプレクサ(MUX)154に第1の入力信号を供給する。MUX154の出力は、エラー補正符号化回路128に入力される。エラー補正符号化回路128の出力は、ピックアップ構体108に供給される記録可能な入力信号であり、レーザによってディスク102の螺旋トラックに焼き付けられる。
【0017】
視聴者が起動できる機能用の制御バッファ132には、現在利用可能な機能、即ち、再生、記録、逆方向送り、速い順方向送り、ポーズ/再生、停止の機能が示されている。ポーズ(pause:休止)は、VCRに於けるポーズ動作に相当するものであり、例えば、予め記録されたプログラムの再生を中断する、或いは、視聴するプログラムの記録を中断してコマーシャルを記録から排除するためのものである。特別な「ポーズおよび再生中の記録」機能は、「ポーズ(記録および再生中)」として、別のバッファ136の一部として図示され、この発明の構成のこの機能が強調されている。
【0018】
ビデオ/オーディオ入力処理経路140は、装置100によるディジタル記録のために、例えばNTSC方式或いはPAL方式のような従来のテレビジョン信号を、例えばMPEG−1或いはMPEG−2のようなディジタル化パケット・データに変換する信号処理回路である。入力処理経路140には、ビデオ・イン(VIDEO IN)用のTVデコーダ142とパケット・ビデオ・エンコーダ(例えば、MPEG−1或いはMPEG−2)144とが含まれ、更に、オーディオ・イン(AUDIO IN)用のオーディオ・アナログ/ディジタル変換器(A/D)146とオーディオ・エンコーダ(例えば、MPEG−1或いはMPEG−2)148とが含まれている。ディジタル化された各信号は、マルチプレクサ(MUX)150で合成されて、各パケット全体が構成されるまで、記録バッファ152に格納される。各パケットが構成されると、それは、MUX154内でナビゲーション・データ生成回路126の出力と合成されて、エラー補正符号化回路128に送られる。このエラー補正符号化回路128もまた、入力処理経路140の一部と見做すことができる。
【0019】
実用上、ディスクの螺旋トラック上の最小アドレス可能な単位は、16個のセクタから成るECC(Error Correction Code:エラー補正コード)ブロックである(各1つのセクタには2048バイトのユーザ・データが含まれる)。1つのグループが、整数個のECCブロックから成り、例えば12個のECCブロックから成る。これらのブロックから成る各1つのグループは、それぞれ、約0.5秒の合成されたビデオおよびオーディオ・プログラム・マテリアルを表す。ここで、それらのECCブロックから成る1つのグループ、例えば、192個のセクタ分を記録するのに必要な螺旋トラックに沿う直線スペースの量を螺旋トラックの1つのセグメントとして定義する。従って、記録バッファ152は、1セグメントのデータを格納するのに十分な大きさであればよいことが分る。1セグメントのデータは、例えば、約0.5秒のオーディオおよびビデオ・プログラム・マテリアルに相当する。
【0020】
出力処理経路170には出力バッファであるトラック・バッファ172が含まれており、このトラック・バッファ172で、ディスクから読み出されたデータが、更なる処理のために、パケットに組み立てられる。このパケットは、条件付きアクセス回路174によって処理される。この条件付きアクセス回路174は、パケットがデマルチプレクサ(DEMUX)176を介してビデオ処理用およびオーディオ処理用の各経路に伝播されるのを制御する。従って、トラック・バッファ172もまた、1セグメントのデータ(約0.5秒のオーディオおよびビデオ・プログラム・マテリアルに相当)を格納するのに十分な大きさであればよいことが分る。
【0021】
この発明の構成に従えば、入力処理経路140中の記録バッファ152の容量は、必要であると考えられる値よりもかなり大きいと都合がよい。本推奨実施例では、記録バッファの容量は、約1.5秒のビデオおよびオーディオ・データのプレゼンテーション(presentation:提示)を格納するのに十分な大きさである。また、この発明の構成に従えば、出力処理経路170中のトラック・バッファ172の容量も、必要であると考えられる値よりもかなり大きいと都合がよい。本推奨実施例では、トラック・バッファの容量も、約1.5秒のビデオおよびオーディオ・データのプレゼンテーションを格納するのに十分な大きさである。このように容量が大きな記録バッファとトラック・バッファを設けることによって、この発明の構成に従う記録および再生中のピックアップ構体108の最長可能なジャンプに対応できるという利点がある。後に詳述するが、装置100の最長可能なジャンプは、約0.9秒である。ここに開示する改良機能に要するコストは、改良書き換え可能なDVD装置の製造コストに影響があったとしても、それは最小限のものである。
【0022】
ビデオ信号は、パケット・ビデオ・デコーダ178によって、例えば、MPEG−1或いはMPEG−2から復号され、TVエンコーダ180によって、例えばNTSC方式或いはPAL方式のような従来のテレビジョン信号として符号化される。オーディオ信号は、オーディオ・デコーダ182によって、例えば、MPEG−1或いはMPEG−2から復号され、オーディオ・ディジタル/アナログ(D/A)変換器184によってアナログ形式に変換される。前述のように、出力処理経路170には、エラー補正回路130が含まれていると考えることができる。
【0023】
装置100は、例えば、1Xの読み出しおよび1Xの書き込みの能力を有するマシンを表すことができる。このような装置の記録、或いは、再生用の最高可能なデータ速度は、一般に、約11メガビット/秒である。「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行するには、再生(読み出し)と記録(書き込み)を外見上、同時に行う必要がある。使用できる最高データ速度は、再生(読み出し)について約5メガビット/秒、記録(書き込み)について約5メガビット/秒である。そのような速度は、最低限の能力を有するマシンの最高速度の半分でしかなく、従って、そのようなマシンで再生と記録を外見上、同時に行うことは、不可能と考えられるであろう。しかしながら、そのような最低限の能力のマシンでも、この発明の構成に従って動作させて、「ポーズおよび再生中の記録」機能を実行する必要がある場合に、記録バッファとトラック・バッファの優れた管理によって、再生と記録を外見上、同時に行うことができる。この発明の構成は、更に速いデータ速度を有する装置にも有効である。
【0024】
「ポーズおよび再生中の記録」(或いは、「記録および再生中のポーズ」)機能は、書き換え可能なDVD装置には非常に望ましい機能である。そのような機能は、例えば、訪問者が来た為、或いは、電話が掛かってきた為に、視聴者がテレビジョン・プログラムの視聴を中断する場合などに利用できる。視聴者がその場に居ない間にも、レコーダは、そのプログラムの記録を続ける。しばらくの後、例えば、1、2分乃至30分或いはそれ以上の後のどこかで、視聴者は、視聴を中断した所からテレビジョン・プログラムを再び見始めたいと思うであろう。その時、その装置は、入来するプログラム・マテリアルの記録を続けながら、ポーズを開始した所から記録したものを再生し始める必要がある。この外見上、同時に行う再生と記録は、通常、螺旋トラックの記録領域と再生領域の間で、大きなジャンプを必要とする。この大きなジャンプは、ビデオ・レコーダが再生と記録を交互に行う度に、繰り返される必要がある。ここで注意すべきは、ジャンプが生じる時、読み出しも書き込みもできないことである。従って、あらゆる種類のジャンプによって、平均ビットレートは減少する。ジャンプが長ければ長いほど、また、ジャンプの頻度が多ければ多いほど、それだけ益々、平均ビットレートの減少の度合いは大きくなる。
【0025】
この発明の構成に従えば、書き込みも読み出しも行えない時間が最小限になる中断の後に記録および再生を行う方法が提供される。この方法は、「ポーズおよび再生中の記録」機能の実行を妨げることなく、ジャンプの長さと、長いジャンプの数をできるだけ最小限に抑えることができる。この発明の革新的なバッファ管理とビットレート管理によって、可避できないそれらのジャンプに対する補償を行うことができる。この機能は、再生が完全にシームレスでなくても実質的にはシームレスである為、視聴者が許容できる度合いがより大きい。1つのポーズ中、プログラム・マテリアルは、例えば、ディスクの2回転或いは3回転に相当する短いセグメントに記録でき、記録されたセグメントと少なくとも同じ長さ、或いは、それよりも僅かに長いスペースがそれらセグメント相互間に残される。上記ポーズが終了すると、そのポーズの始まりに対応する記録の開始点までジャンプ・バックを行うことができる。記録されたセグメントのそれぞれが再生されるに従い、それら記録されたセグメント相互間の各スペースが、入来プログラム・マテリアルの記録に使用できる。最終的には、オリジナルのポーズに等しいもう1つの期間が終了した後、もう1つのジャンプ・バックを行う必要がある。このようにして、ポーズの終了時点で行われるジャンプ・バックを除けば、潜在的に長いジャンプを回避することができる。言い換えると、仮に1つのポーズが10分間であった場合、そのポーズが終了した後の再生には、10分間の記録されたプログラム・マテリアルに対応できる十分な長さのジャンプ・バックが必要である。そのようなジャンプ・バックは、プログラムの記録および再生が完了するまで、10分ごとに必要になる。十分な長さ(容量)のバッファ・メモリを使用して、ディスクから再生マテリアルが読み出される間、記録しようとする符号化プログラム・マテリアルを格納することができ、また、マテリアルがディスク上に記録される間、再生マテリアルを各デコーダに供給できる。また、これらのバッファをジャンプ中に使用して、プログラム・マテリアルの再生および記録を行う。同時に、エンコーダおよびデコーダのビットレートを、この機能の実行中に、制御して、所望のバッファ管理を実行するのに十分なビットレート能力を得ることができる。エンコーダおよびデコーダは、例えば、MPEG−2規格に従って、動作できる。
【0026】
この発明の構成の目的のために、プログラム・マテリアルは、上述したようなセグメントで、書き換え可能なDVD上に記録され、また、書き換え可能なDVDから再生される。各1つのセグメントは、図2に示すように、螺旋トラックの或る直線的な長さ、或いは、間隔を表す。書き換え可能なDVD10は、装置100内のディスク102として使用するのに適している。このディスクは、ディスク中央のホール28付近から始まり、外側に向かって螺旋する連続螺旋トラック12を有する。このトラックは、図示していないが、媒体形式の割出し(media type indexing)に対応できる横方向(side−to−side)のウォブル(wobble)を有する場合がある。縮尺で図示するのが困難であるため、トラック12は、その一部のみが図示しされ、大きく拡大した尺度で示されている。トラック上の記録の方向は、一般に、より短い半径部分から、より長い半径部分へとトラックに沿って外側に向いている。連続する3個の大きなドット(・・・)は、図示されていないトラック部分を表している。
【0027】
参照番号14は、この発明の構成に従って、1つのポーズ中に記録された1つのセグメントを示している。四角16は、その記録されたセグメントの終わりを示している。四角16は、また、記録されていないセグメント18の始まりも示している。その記録されていないセグメント18の終わりは、菱形20で示されている。菱形20は、また、任意のガードバンド(guard band)22の始まりも示している。この任意のガードバンド22は、記録されたセグメントおよび記録されていないセグメントよりも短くできる。この任意のガードバンド22の終わりは、黒丸24で示されている。黒丸24は、また、次の記録されたセグメント26の始まりも示している。上記ガードバンドは、書き換え可能なDVD装置が再生と記録との間で十分に速く切り替わることができない場合に、セグメントが誤って上書きされることを防止するために設けることができる。ガードバンドが不要な場合、記録容量の減少を避けるために、ガードバンドなしの動作が望ましい。
【0028】
ポーズ間書き込み法(pause−while−recording method)の手順を、図3乃至図14に示す。番号が付いた水平線或いはスペースは、螺旋トラックのセグメントを表している。1の番号が付いたセグメントは、必ずしもトラック上の最初のセグメントというわけではなく、ポーズ機能が開始された時に記録された最初のセグメントである。図3に示すように、セグメント1は、ポーズの開始に対応している。その後、記録されたセグメントと記録されていないセグメントとが交互するパターンAが、トラック上に形成される。記録されたセグメントは、奇数の番号が付いたセグメント1乃至43である。偶数の番号が付いたセグメント2乃至42は、記録されていない。ガードバンドは、図示されていないが、記録されたセグメントよりも長い記録されていないセグメントであると考えることができる。図3では、22個のセグメントが、記録されたものとして示されている。各1つのセグメントは、約0.5秒のプログラム・マテリアルを表し、従って、図示のポーズは、約11秒の長さである。ポーズの長さに拘わらず、パターンAは、ポーズが終了するまで続く。視聴者がポーズを終了しそこなう場合、制御ルーチンを設定して、例えば、トラック上の最後のセグメントが記録された時か、或いは、プログラムが終了した時に、そのポーズを終了することができる。
【0029】
図4に示すように、ポーズが終了した時、装置は、ジャンプの前に、先ず、ディスク媒体上に現在書き込まれているセグメントの書き込みを完了する必要がある。図3で、最後に記録されたセグメントは、セグメント43である。ポーズの終了が、例えば、セグメント42のスキッピング中(skipping)に生じた場合、セグメント43は、完全に記録される必要がある。ピックアップ構体は、セグメント1にジャンプ・バックする。このジャンプの後、プログラム・マテリアルが失われないようにして、記録を行いながら再生を開始することが望ましい。この為には、この発明の革新的なバッファ管理方法の手順を初期化する必要がある。この方法を理解するには、ポーズが終了した時の装置の開始条件を理解する必要がある。記録中には、プログラム・マテリアルは、ディスク媒体から読み出されていない。従って、トラック・バッファ172に書き込もうとするプログラム・マテリアルはなく、また、トラック・バッファ172から読み出され、再生経路170を介して視聴者に再生されるプログラム・マテリアルもない。要するに、トラック・バッファ172は、空の状態である。一方、この時に、符号化プログラム・マテリアルは、記録バッファ152を介して供給され、交互するパターンとビットレートが許す限りの速さで、ディスク上に書き込まれている。図示の実施例に於けるピーク・ビットレートは、11メガビット/秒である。従って、記録バッファ152は、空の状態か空に近い状態である。
【0030】
外見上、同時に行われるプログラム・マテリアルの再生と記録中に、ディスク媒体の読み出しと書き込みを交互に行うためには、トラック・バッファは、ディスク媒体への書き込み中に再生しようとするプログラム・マテリアルを十分に格納している必要がある。同様に、記録バッファは、データの損失を回避するために、データがディスク媒体から読み出されている時に、プログラム・マテリアルを十分に格納する十分な空状態にある必要がある。この発明の構成に従えば、入力経路バッファと出力経路バッファのそれぞれが、約1.5秒のプログラム・マテリアルに相当する3つのセグメント分のプログラム・マテリアルを格納できる必要があると分っている。このサイズの各バッファによって、装置100およびその他の同等なデータ速度の装置に於いて、「記録および再生中のポーズ」機能のシームレス動作が可能になる。
【0031】
ポーズが終了した時点では、必要なバッファ条件は満たされていない。更に、ある程度のビットレート能力が、ポーズ終了後にバッファを初期化するのに必要である。従って、ポーズが一旦開始されると、エンコーダに対するビットレートは、一定のビットレートに設定される。デコーダは、符号化中のビットレートに対応する速度で復号する必要があり、従って、デコーダは、自動的に符号化周波数で動作し、特定の値に設定する必要はない。本推奨実施例では、その一定のビットレートは、各場合、5メガビット/秒である。この結果、バッファを制御するために、約1メガビット/秒のビットレート能力(11メガビット/秒−2×5メガビット/秒)が残される。
【0032】
図4には、ポーズ終了後のジャンプが示されている。このジャンプは、最初のジャンプと考えることができる。この最初のジャンプが始まると直ぐに、ディスク媒体への書き込みが不可能になる。しかし、それでも、エンコーダは、5メガビット/秒の減少した一定のビットレートではあるが、出力を供給する。従って、図5に示すパターンBのセグメントになるプログラム・マテリアルは、記録バッファ152に順次格納される。ジャンプが終了すると直ぐに、そして、記録バッファへの格納が続いている間、パターンAの1番のセグメントが、ディスク媒体から読み出されてトラック・バッファ172に格納される。
【0033】
割増しのビットレート能力によって、バッファ動作の定常状態を得ることができる。その定常状態で、記録バッファとトラック・バッファを満たすこと(fulling)と空にすること(emptying)とは、常に相補関係にある。言い換えれば、入力バッファは、出力バッファが空にされるに従って、満たされて行き、逆に、出力バッファは、入力バッファが空にされるに従って、満たされて行く。また、2つのバッファ中のデータの合計は、容量の割合として、常に実質的に一定である。仮に一方のバッファが、例えば、3分の1満たされているとすると、他方のバッファは3分の2満たされている。また、一方のバッファが2分の1満たされているとすると、他方のバッファも2分の1満たされている。仮に、本推奨実施例のように、各1つのバッファが3つのセグメントを保持できる場合、同時に両バッファ内に在るセグメントの数の合計は、一定であり、3に等しいことになる。
【0034】
図5には、パターンAのセグメント1乃至43の読み出しとパターンBのセグメント2乃至44の書き込みが示されている。これらの読み出しと書き込みとは、一旦各バッファの動作が定常状態になると、互いに交替する順序で生じる。
【0035】
図6は、第2のジャンプ・バックを表し、事実上、残り全てのジャンプ・バックを表している。第1のジャンプがセグメント43からセグメント1までに生じた時、各バッファは初期化されていない。第2のジャンプがセグメント44からセグメント2までに生じた時、各バッファは、既に初期化されていて、相補関係で動作している。従って、第2のジャンプが始まった後、トラック・バッファは、そのジャンプ中、セグメントが読み出されるのに、且つ、再生が中断することなく、即ち、シームレスに継続するのに十分な程度に満たされている。同時に、記録バッファは、そのジャンプ中、符号化セグメントが格納されるのに、且つ、データの消失を防止するのに十分な程度の空状態になっている。ジャンプ・バック相互間の記録および再生は、ポーズの長さに等しい期間を有する。
【0036】
図7に示すように、偶数番号のセグメント2乃至44が再生されるに従って、パターンCの奇数番号のセグメント3乃至45が、それと交互して記録される。偶数番号のセグメント2乃至44が再生された後、且つ、奇数番号のセグメント3乃至45が記録された後、ピックアップ構体は、図8に示すように、セグメント3にジャンプ・バックする。このセグメント3は、再生する必要のあるパターンCの最初のセグメントである。図9に示すように、奇数番号のセグメント3乃至45が再生されるに従って、パターンDの偶数番号のセグメント4乃至46が、それと交互して記録される。
【0037】
奇数番号のセグメント3乃至45が再生された後、且つ、偶数番号のセグメント4乃至46が記録された後、ピックアップ構体は、図10に示すように、セグメント4にジャンプ・バックする。このセグメント4は、再生する必要のあるパターンDの最初のセグメントである。図11に示すように、偶数番号のセグメント4乃至46が再生されるに従って、パターンEの奇数番号のセグメント5乃至47が、それと交互して記録される。偶数番号のセグメント4乃至46が再生された後、且つ、奇数番号のセグメント5乃至47が記録された後、ピックアップ構体は、図12に示すように、セグメント5にジャンプ・バックする。このセグメント5は、再生する必要のあるパターンEの最初のセグメントである。
【0038】
各バッファの動作が定常状態になった後、本プロセスは、次の各段階に要約できる。即ち、第1のパターンの記録されたセグメントを再生した後、第2のパターンの最初に記録されたセグメントにジャンプ・バックする段階と、第2のパターンの記録されたセグメントの再生と、第1のパターンのセグメントを上書きすることによる第3のパターンのセグメントへのプログラムの記録とを交互に行う段階とに要約できる。これらの段階は、プログラムの終了まで、後に続くパターンのセグメントについて繰り返される。
【0039】
例えば、0.9秒もの長さのジャンプ時間も、前述のサイズのバッファによって吸収できると考えられる。ジャンプの持続時間には、ジャンプに必要な時間と、ディスク媒体と再同期するのに要する時間とが含まれている。最初のジャンプの後のジャンプは、各バッファが既に定常状態で動作しているため、最初のジャンプよりも速く完了する。従って、ディスク媒体に対する読み出しと書き込みが交互に行われるに従って再生マテリアルが中断されるようなことはない。従って、プログラム・マテリアルのプレゼンテーションはシームレスであり、この点に於いて、記録と再生とは、外見上、同時に行われる。
【0040】
本プロセスは、プログラムのプレゼンテーションが終了するまで続く。もし、プログラムが終了する前にトラックが終わりに達する場合、ルーチンを設けて、トラックの始まり、或いは、トラック上のその他の任意の場所にジャンプ・バックして、プログラムが終了するまで、交互に行われる記録と再生を継続することができる。交互に行われる記録と再生を、図13の表に要約する。
【0041】
動作手順を、図15のフローチャート200に、バッファ管理に重点を置いて示している。ステップ202で、ポーズが始まる。第1のパターン(パターンA)のセグメントが所望の一定速度、例えば、5メガビット/秒で復号されるようにすることが必要である。従って、第1のパターンのセグメントをその一定ビットレートで符号化する必要がある。その理由は、デコーダは、自動的に、符号化と同じ速度で復号動作をするためである。それ故、ステップ204に従って、エンコーダは、その所望の一定ビットレートに設定される。尚、デコーダは、ポーズが終了するまでは不要である。更に、後で詳しく説明するように、ポーズの終了時にデコーダをターンオフすることによって、トラック・バッファをより速く満たすことができる。それ故、ステップ206に従って、ポーズが始まった後、デコーダをターンオフすることが本実施例では望ましい。
【0042】
次に、ステップ208に従って、本装置は、第1のパターンのセグメントをディスク媒体のトラック上の1つ置きのセグメントに記録する。ポーズが終了していない限り、決定ブロック210によって、手順は、経路213に沿ってステップ208に戻り、待機する。ポーズが終了すると、手順は、経路211に沿ってステップ212に進む。このステップ212に従って、本装置は、第1のパターンの最後のセグメントの記録を完了する。その後、ステップ214に従って、ピックアップ構体は、第1のパターンの最初のセグメントにジャンプ・バックする。このジャンプが進行するに従って、記録バッファは、ステップ216に従って、第2のパターンになるセグメントで満たされ始める。これは、ジャンプ中に、入来プログラム・マテリアルが消失されないようにするために必要である。
【0043】
この発明の構成に従えば、ポーズ終了後の再生動作は、シームレスである。これは、再生は、一旦始まると、決して中断されないことを意味する。従って、トラック・バッファは、決してアンダーフロー状態にならない。さもなければ、デコーダは復号しようとするマテリアルが無くなり、再生が中断されてしまう。同時に、記録中にプログラム・マテリアルが消失されないようにするため、記録バッファは、決してオーバーフロー状態にならないようにする必要がある。さもなければ、エンコーダの出力を格納すべき場所が無くなってしまう。この発明の構成に従う各バッファの相補関係管理によって、各バッファのこれらの動作条件が満たされる。しかし、記録バッファとトラック・バッファとは、先ず、最初のジャンプに連係して、相補関係動作のための初期化を行う必要がある。この初期化は、本実施例では、両バッファ中のセグメントの数の合計が3に等しくなると直ぐに、達成される。この初期化が達成されると直ぐに、本装置は、この発明の構成に従って、セグメントの記録と再生とを交互に行うことができる。尚、2つ以上のプロセスが行われて、初期化が達成されることもある。図15に関連して説明する初期化のプロセスが、本実施例では望ましいものである。
【0044】
記録バッファが満たされようとしている間、決定ステップ218は、ジャンプが完了したかを問い合わせる。もし完了していない場合、手順は、経路221に沿って元に戻り、待機する。ジャンプが完了した時、手順は、経路219に沿って進む。ステップ220に従って、ピックアップ構体はディスク媒体からパターンAの最初のセグメントを読み出し、トラック・バッファはデータで満たされ始める。記録バッファは、依然として満たされようとしている。
【0045】
トラック・バッファが満たされようとしている間、決定ステップ222は、両バッファ中のセグメントの数の合計が、ステップ220の期間中に、即ち、最初のセグメントがトラック・バッファに完全に書き込まれる前に、3に等しくなったかを問い合わせる。3に等しくない時、最初のセグメントは、全部トラック・バッファに書き込まれる。この場合、手順は、経路223に沿ってステップ224に進む。このステップ224に従って、トラック・バッファへの最初のセグメントの書き込みが完了し、その後、トラック・バッファへの書き込みがストップする。この時点で、ディスクからの読み出しもディスクへの書き込みも行われていない。次に、決定ステップ226は、両バッファ中のセグメントの数の合計が、ステップ224の後、即ち、デコーダがターンオフしており、トラック・バッファが最初のセグメントのみを保持しており、記録バッファが依然として満たされようとしている間、3に等しくなったかを問い合わせる。3に等しくなっていない場合、手順は、経路229によって元に戻り、待機する。記録バッファは、遂に2つのセグメントで満たされることになる。この時、両バッファ中のセグメントの数の合計が3に等しくなり、従って、各バッファは初期化される。次に、手順は、経路227に沿ってステップ232に進む。このステップ232に従って、デコーダは、再びオンの状態に戻される。その後、ステップ234とステップ236に従って、本装置は、記録バッファからの読み出しとディスク媒体への書き込みを始めることができ、トラック・バッファからの読み出しとデコーダへの書き込みを始めることができる。第2のパターンの最初のセグメントが記録バッファからディスク媒体へ書き込まれた後、第1のパターンの2番目のセグメントがディスク媒体から読み出されトラック・バッファに書き込まれる。このようにして、この発明の構成の交互の読み出しと書き込みが確立される。
【0046】
決定ブロック222に戻って説明を続けると、記録バッファは、ディスク媒体から読み出された最初のセグメントが完全にトラック・バッファに書き込まれる前に、2つ分よりは多く、しかし、3つ分よりは少ないセグメントで満たされることが起こり得る。これが起きるか否かは、大部分、ステップ214の最初のジャンプの持続時間で決まる。これが起きた時、各バッファは、最初のセグメントが完全にトラック・バッファに書き込まれる前に、初期化される。その理由は、両バッファ中のセグメントの数の合計が3に等しくなるからである。一旦、各バッファが初期化されると、両バッファに対する書き込みと読み出しが可能になる必要がある。それ故、その時点で、手順は、経路225に沿ってステップ228に進み、このステップ228に従って、デコーダがターンオンされる。デコーダのターンオンの後、更に、ステップ230に従って、トラック・バッファへの最初のセグメントの書き込みを完了する必要がある。その後、本装置は、ステップ236でトラック・バッファからの読み出しとデコーダへの書き込みを始めているので、ステップ234で記録バッファからの読み出しとディスク媒体への書き込みを始めることができる。第2のパターンの最初のセグメントが記録バッファからディスク媒体に書き込まれた後、第1のパターンの2番目のセグメントがディスク媒体から読み出されトラック・バッファへ書き込まれる。このようにして、この発明の構成の交互の読み出しと書き込みが確立される。
【0047】
各バッファの初期化のプロセスに拘わらず、所定のビットレートで次のジャンプの準備をするのに、ある程度の時間が必要である。本実施例では、1メガビット/秒がその準備プロセスに使用できる。もしポーズが短すぎる場合、例えば、その長さが10秒未満の場合、上記の時間が得られないことがある。そのようなポーズの一例としては、視聴者が偶然に本機能を選択してしまう場合である。考えられる別の原因としては、視聴者が、1回目のポーズに続く初期化の直後に、2回目のポーズを開始することである。それ故、例えば、制御プログラムを用いて、全てのポーズを最小限の継続期間に制限しなければならない場合がある。
【0048】
ステップ234とステップ236の後、ステップ238に従って、本装置は、ディスク媒体からの第1のパターンのセグメントの読み出しと、ディスク媒体への第2のパターンのセグメントの書き込みとを交互に行い、各バッファを満たすことと空にすることとを相補関係的に行う。このプロセスは、図3乃至図5に対応する。
【0049】
各バッファの相補関係的動作は、各バッファの動作全体を見て理解べきであって、常に瞬時的にしか維持されない一状態を見て理解すべきでない。本実施例では、1つ置きのセグメントへの記録中、記録バッファは、エンコーダによって、エンコーダの選択出力速度、即ち、5メガビット/秒で、満たされようとしている。もし、トータルなディスクへの書き込みビットレート能力が前述のように11メガビット/秒であるとすると、記録バッファは、満たす速度と空にする速度との差により、正味6メガビット/秒で空にされようとしていることになる。書き込み動作中、トラック・バッファは、復号速度と同じ速度、即ち、5メガビット/秒で空にされようとしている。両バッファが空にされようとしているので、瞬間的には、両バッファ中のセグメントの数の合計は減少している。セグメントがディスクに書き込まれた後、別のセグメントも、前述の11メガビット/秒で、ディスクから読み出され、トラック・バッファに書き込まれる。トラック・バッファは、5メガビット/秒で、空にされようとしている。従って、ディスクが読み出されている時、トラック・バッファは、満たす速度と空にする速度との差により、正味6メガビット/秒で満たされようとしている。読み出し動作中、記録バッファは、5メガビット/秒で満たされようとしている。両バッファが満たされようとしているので、瞬間的には、両バッファ中のセグメントの数の合計は増加している。それでも、各バッファの動作を、読み出し/書き込みサイクルの同じ時点で考えると、例えば、常に、読み出し動作、或いは、書き込み動作の始まる時点で考えると、動作に係るこの優れた相補的特性は明らかである。
【0050】
第2のパターンは、殆どの場合は、最後のパターンにはならないが、その可能性はある。従って、決定ブロック240は、最後のパターンが再生されたかを問い合わせる。もし、最後のパターンが再生されていない場合、手順は、経路241に沿ってステップ242に進む。このステップ242に従って、ピックアップ構体は、再生しようとする次のパターンの最初のセグメントにジャンプ・バックする。このジャンプの後、各バッファは既に初期化されているので、本装置は、ステップ244に従って、直ちに、読み出しと書き込みとを交互に行い、記録と再生とを交互に行うことができる。この発明の構成に従えば、各バッファを満たすことと空にすることとが相補関係的に行われるのに従って、読み出しおよび書き込みと記録および再生とが実行される。
【0051】
ステップ240、242および244は、決定ブロック240によって最後のパターンが記録され再生されたことが認められるまで、繰り返される。最後のパターンが記録され再生されたことが認められると、手順は、経路243に沿ってステップ246に進む。ステップ246では、最後のパターンの処理がプログラムの終わりに対応することが確認される。各バッファのデフォルト(default)動作が再開する。手順は、ステップ248で終了する。
【0052】
図14の表に、図4、図6、図8、図10および図12に示すジャンプ・バックを要約している。この表から、最初のジャンプはセグメント1に戻り、2番目のジャンプはセグメント2に戻り、3番目のジャンプはセグメント3に戻り、4番目のジャンプはセグメント4に戻り、5番目のジャンプはセグメント5に戻ること等が分る。各ジャンプ・バックの結果、ディスクへのセグメントの再記録或いは再書き込みが行われる。ディスク媒体の消耗を早めないようにするため、本発明の方法は、ジャンプ・バックする度に、少なくとも1つのセグメントを処理する。最初のジャンプ・バックによって、奇数番号のセグメント1乃至43の書き込み或いは再書き込みが行われる。2番目のジャンプ・バックによって、セグメント1がスキップされ、偶数番号のセグメント2乃至44の書き込み或いは再書き込みが行われる。3番目のジャンプ・バックによって、セグメント2がスキップされ、奇数番号のセグメント3乃至45の再書き込み等が行われる。以下同様。
【0053】
ポーズ中、トラック内に、記録されていないギャップが、記録されたセグメント相互間に形成される。1つの記録されたセグメントの終わりから次のセグメントが書き込まれるトラック上の位置へジャンプすることは可能である。しかし、殆どの場合、単に、ディスク媒体をピックアップ構体の下で回転させて、次のセグメントに達するまでトラックを走査することの方が容易である。
【0054】
ディスク媒体の回転速度が必要以上に速いために、しばしば、トラックの1回転をジャンプ・バックする必要がある。そのようなジャンプは、前述のジャンプと比較すると、第3の種類のジャンプである。そのようなジャンプは、DVD装置についてさえも非常に短いものである。また、そのようなジャンプは、「記録および再生中の記録」(或いは、「ポーズおよび再生中の記録」)機能に必要となり得る長いジャンプに比べて、特別のバッファ管理、或いは、大きなバッファ・サイズを必要とはしない。
【0055】
書き換え可能なディスク媒体の記録中のプリセッション(precession:セグメントの各グループについて上書きの開始点を、螺旋状のトラックに沿って一定の増分で移動させること。)は、この発明の構成に従う、ここに開示した「ポーズおよび再生中の記録」機能以外の記録が繰り返される動作に有効である。
【0056】
発明的な構成に従って、ポーズの間に後続の記録および再生も可能であり、2セット以上の周期的なジャンプが必要になることを除いて、上述のように実施することができる。
【0057】
総合的に、上述した発明的構成により提供される新しいDVDの特徴により、視聴者は、プログラムを中断し、中断後に、なんらの遅延もなく、且つプログラム内容を失うこともなく、シームレス(seamless)にプログラムの視聴を再開できる。この発明的構成は、基本的な書き換え可能な(rewritable)ディスク装置、例えば、予め記録済みのDVDを再生できそして従来のレコーディング(記録)もできる書き換え可能なDVD装置、を使用して実施できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを使用して、ポーズの間にプログラムを記録しそのプログラムを再生する方法であって
(a)ポーズを開始するコマンドを受信すると直ちに、ガードバンドによって分けられた、記録されてないセグメントの第2のパターンと交互する記録済みセグメントの第1のパターンとして、プログラムをディスクのトラックに記録するステップと、
(b)前記ポーズを終了するコマンドを受信すると直ちに前記第1のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻るステップと、
(c)前記第1のパターンの記録済みセグメントを再生することと、前記第2のパターンの記録されてないセグメントにプログラムを記録すること、を交互に行うステップと、を含む、前記方法。
【請求項2】
(d)ディスクに書き込まれるプログラム部分を第1のバッファに貯え、ディスクから読み出される他の部分を第2のバッファに貯えるステップと、
(e)前記第1および第2のバッファを相補的に満たしそして空にするステップと、を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
(f)前記ジャンプするステップに先立ち、前記第1のバッファを空にしそして前記第2のバッファを満たすステップと、
(g)前記ジャンプするステップの間、前記第1のバッファを満たしそして前記第2のバッファを空にするステップと、を更に含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
(h)前記第1のパターンの少なくとも第1のセグメントを除いて、前記第1のパターンのセグメントに上書きするステップを含み、それによって、上書きがディスクのトラックに沿ってプリセスされる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
(d)前記第1のパターンの記録済みセグメントを再生後に、前記第2のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻るステップと、
(e)前記第1のパターンのセグメントに上書きすることにより、前記第2のパターンの記録済みセグメントを再生することと、前記プログラムをセグメントの第3のパターンとして記録すること、を交互に行うステップと、
(f)プログラムの終了まで、セグメントの更に別のパターンについて前記ステップ(d)および(e)を繰り返すステップと、を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
(g)ディスクに書き込まれるプログラム部分を第1のバッファに貯え、ディスクから読み出されたプログラム部分を第2のバッファに貯えるステップと、
(h)前記第1および第2のバッファを相補的に満たしそして空にするステップと、を更に含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
(i)前記ジャンプする各ステップに先立ち、前記第1のバッファを空にしそして前記第2のバッファを満たすステップと、
(j)前記ジャンプする各ステップの間、前記第1のバッファを満たしそして前記第2のバッファを空にするステップと、を更に含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
(k)前記第1のパターンおよび更に別のパターンの少なくとも第1のセグメントを除いて、前記第1のパターンおよび更に別のパターンのセグメントに上書きするステップを含み、それによって、上書きがディスクのトラックに沿ってプリセスされる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
(d)ディスクに書き込まれるプログラム部分を第1のバッファに貯え、ディスクから読み出された他の部分を第2のバッファに貯えるステップと、
(e)前記第1および第2のバッファを相補的に初期化するステップと、
(f)前記第1および第2のバッファを相補的に満たしそして空にするステップと、を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
書き込み前にプログラムをパケットストリーム・データとして符号化し、読み出し後に前記パケットストリーム・データを復号化するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
プログラムを第1のバッファに貯える前にパケットストリーム・データとして符号化し、前記パケットストリーム・データを第2のバッファに貯えた後に復号化するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
番組を螺旋状のトラックに沿って記録するステップと、
記録されてないセグメントを、螺旋状トラックの少なくとも約1/2回転だけ長くするステップと、を含む請求項1記載の方法。
【請求項13】
プログラムをディジタル・ビデオ・ディスクに記録するステップを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
プログラムをディジタル・ビデオ・ディスクに記録するステップを更に含む、請求項5記載の方法。
【請求項15】
(d)第1のパターンのセグメントのうち少なくとも第1のセグメントを除いて、前記第1のパターンのセグメントに上書きするステップを更に含み、それによって、前記上書きはトラックに沿ってプリセスされる、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ディスク使用し、ポーズの間にプログラムを記録しそしてそのプログラムを再生する装置であって、
プログラムを受信する第1の信号処理路と、
データをディスクに書き込み、データを前記ディスクから読み出すピックアップ構体と、
前記ピックアップ構体のためのサーボ・システムと、
前記プログラムを再生する第2の信号処理路と、
制御コマンドを受信する手段と、
ポーズを開始するコマンドに応答して開始される、プログラムを記録する第1の動作モード、ポーズを終了するコマンドに応答して開始される第2の動作モード、およびプログラムを再生/記録する第3の動作モードを有するコントローラと、を備え、
前記第1の動作モードで、前記ピックアップ構体は、ガードバンドによって分けられた、記録されてないセグメントの第2のパターンと交互する記録済みセグメントの第1のパターンとして、プログラムをディスクのトラックに記録する位置に置かれ、
前記第2の動作モードで、前記ピックアップ構体は、前記第1のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻され、
前記第3の動作モードで、前記ピックアップ構体は、前記第1のパターンの記録済みセグメントを再生することと、プログラムを前記第2のパターンの記録されてないセグメントに記録すること、を交互に行う、前記装置。
【請求項17】
ディスクに書き込まれるプログラム部分を貯える第1のバッファと、
ディスクから読み出される他のプログラム部分を貯える第2のバッファと、
前記第1および第2のバッファを相補的に初期化し、その後、前記第1および第2のバッファを相補的に満たしそして空にするバッファ制御手段と、を更に含む、請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記第3の動作モードの間、前記ピックアップ構体は、前記第1のパターンのセグメントのうち少なくとも第1のセグメントを除いて、前記第1のパターンのセグメントに上書きする位置に置かれ、それによって、前記上書きは前記トラックに沿ってプリセスされる、請求項16記載の装置。
【請求項1】
ディスクを使用して、ポーズの間にプログラムを記録しそのプログラムを再生する方法であって
(a)ポーズを開始するコマンドを受信すると直ちに、ガードバンドによって分けられた、記録されてないセグメントの第2のパターンと交互する記録済みセグメントの第1のパターンとして、プログラムをディスクのトラックに記録するステップと、
(b)前記ポーズを終了するコマンドを受信すると直ちに前記第1のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻るステップと、
(c)前記第1のパターンの記録済みセグメントを再生することと、前記第2のパターンの記録されてないセグメントにプログラムを記録すること、を交互に行うステップと、を含む、前記方法。
【請求項2】
(d)ディスクに書き込まれるプログラム部分を第1のバッファに貯え、ディスクから読み出される他の部分を第2のバッファに貯えるステップと、
(e)前記第1および第2のバッファを相補的に満たしそして空にするステップと、を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
(f)前記ジャンプするステップに先立ち、前記第1のバッファを空にしそして前記第2のバッファを満たすステップと、
(g)前記ジャンプするステップの間、前記第1のバッファを満たしそして前記第2のバッファを空にするステップと、を更に含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
(h)前記第1のパターンの少なくとも第1のセグメントを除いて、前記第1のパターンのセグメントに上書きするステップを含み、それによって、上書きがディスクのトラックに沿ってプリセスされる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
(d)前記第1のパターンの記録済みセグメントを再生後に、前記第2のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻るステップと、
(e)前記第1のパターンのセグメントに上書きすることにより、前記第2のパターンの記録済みセグメントを再生することと、前記プログラムをセグメントの第3のパターンとして記録すること、を交互に行うステップと、
(f)プログラムの終了まで、セグメントの更に別のパターンについて前記ステップ(d)および(e)を繰り返すステップと、を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
(g)ディスクに書き込まれるプログラム部分を第1のバッファに貯え、ディスクから読み出されたプログラム部分を第2のバッファに貯えるステップと、
(h)前記第1および第2のバッファを相補的に満たしそして空にするステップと、を更に含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
(i)前記ジャンプする各ステップに先立ち、前記第1のバッファを空にしそして前記第2のバッファを満たすステップと、
(j)前記ジャンプする各ステップの間、前記第1のバッファを満たしそして前記第2のバッファを空にするステップと、を更に含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
(k)前記第1のパターンおよび更に別のパターンの少なくとも第1のセグメントを除いて、前記第1のパターンおよび更に別のパターンのセグメントに上書きするステップを含み、それによって、上書きがディスクのトラックに沿ってプリセスされる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
(d)ディスクに書き込まれるプログラム部分を第1のバッファに貯え、ディスクから読み出された他の部分を第2のバッファに貯えるステップと、
(e)前記第1および第2のバッファを相補的に初期化するステップと、
(f)前記第1および第2のバッファを相補的に満たしそして空にするステップと、を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
書き込み前にプログラムをパケットストリーム・データとして符号化し、読み出し後に前記パケットストリーム・データを復号化するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
プログラムを第1のバッファに貯える前にパケットストリーム・データとして符号化し、前記パケットストリーム・データを第2のバッファに貯えた後に復号化するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
番組を螺旋状のトラックに沿って記録するステップと、
記録されてないセグメントを、螺旋状トラックの少なくとも約1/2回転だけ長くするステップと、を含む請求項1記載の方法。
【請求項13】
プログラムをディジタル・ビデオ・ディスクに記録するステップを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
プログラムをディジタル・ビデオ・ディスクに記録するステップを更に含む、請求項5記載の方法。
【請求項15】
(d)第1のパターンのセグメントのうち少なくとも第1のセグメントを除いて、前記第1のパターンのセグメントに上書きするステップを更に含み、それによって、前記上書きはトラックに沿ってプリセスされる、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ディスク使用し、ポーズの間にプログラムを記録しそしてそのプログラムを再生する装置であって、
プログラムを受信する第1の信号処理路と、
データをディスクに書き込み、データを前記ディスクから読み出すピックアップ構体と、
前記ピックアップ構体のためのサーボ・システムと、
前記プログラムを再生する第2の信号処理路と、
制御コマンドを受信する手段と、
ポーズを開始するコマンドに応答して開始される、プログラムを記録する第1の動作モード、ポーズを終了するコマンドに応答して開始される第2の動作モード、およびプログラムを再生/記録する第3の動作モードを有するコントローラと、を備え、
前記第1の動作モードで、前記ピックアップ構体は、ガードバンドによって分けられた、記録されてないセグメントの第2のパターンと交互する記録済みセグメントの第1のパターンとして、プログラムをディスクのトラックに記録する位置に置かれ、
前記第2の動作モードで、前記ピックアップ構体は、前記第1のパターンの第1の記録済みセグメントにジャンプして戻され、
前記第3の動作モードで、前記ピックアップ構体は、前記第1のパターンの記録済みセグメントを再生することと、プログラムを前記第2のパターンの記録されてないセグメントに記録すること、を交互に行う、前記装置。
【請求項17】
ディスクに書き込まれるプログラム部分を貯える第1のバッファと、
ディスクから読み出される他のプログラム部分を貯える第2のバッファと、
前記第1および第2のバッファを相補的に初期化し、その後、前記第1および第2のバッファを相補的に満たしそして空にするバッファ制御手段と、を更に含む、請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記第3の動作モードの間、前記ピックアップ構体は、前記第1のパターンのセグメントのうち少なくとも第1のセグメントを除いて、前記第1のパターンのセグメントに上書きする位置に置かれ、それによって、前記上書きは前記トラックに沿ってプリセスされる、請求項16記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−199722(P2009−199722A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138252(P2009−138252)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【分割の表示】特願2001−534867(P2001−534867)の分割
【原出願日】平成12年10月25日(2000.10.25)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【分割の表示】特願2001−534867(P2001−534867)の分割
【原出願日】平成12年10月25日(2000.10.25)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]