説明

最適なエンドポイント・アルゴリズムを構築する方法

【解決手段】プラズマ処理システムにおける基板処理時の処理エンドポイントを検証するための最適なエンドポイント・アルゴリズムを自動的に特定する方法を提供する。方法は、プラズマ処理システムにおいて少なくとも1枚の基板の基板処理の間に複数のセンサーからセンサーデータを受信する工程を備える。ここで、センサーデータは、複数のセンサーチャンネルからの複数の信号ストリームを含む。方法は、また、エンドポイント・ドメインを特定する工程を備える。ここで、エンドポイント・ドメインは、処理エンドポイントが生じると予想される概算期間である。方法は、さらに、センサーデータを解析して、エンドポイント・サイン候補群を生成する。方法は、またさらに、エンドポイント・サイン候補群を最適なエンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程を備える。方法は、さらに、最適なエンドポイント・アルゴリズム群のうちの1つの最適なエンドポイント・アルゴリズムを生産環境に取り入れる工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
議論を容易にするために、いくつかの用語を以下のように定義する。
【0002】
データ群:処理ツールに関する1つのパラメータに対して時間の関数として測定した測定値の記録。
【0003】
変化点:時系列において何らかの変化が生じる点。
【0004】
エンドポイント:1つの処理(たとえば、シリコン層のエッチング)が完了した時点又はほぼ完了した時点。
【0005】
エンドポイント・ドメイン:エンドポイントが生じると考えられるデータ群における間隔。エンドポイント・ドメインは、通常、比較的広く、ユーザーの判断に基づく。
【0006】
部分最小二乗判別分析(Partial Least Squares Discriminant Analysis:PLS−DA):2つのデータ群の間の関係を見つける手法。複数の独立変数(入力行列X)と場合によって複数の従属変数(入力行列Y)とが存在する場合に、PLS−DAを用いることができる。PLS−DAでは、Y変数は、連続ではなく、独立の離散値又は離散クラス群から構成される。PLS−DAは、入力データを離散クラスの1つに分類するのに利用可能なX変数の線形結合を見つけるために用いることができる。
【0007】
前エンドポイント・ドメイン:エンドポイント・ドメインに先立つデータ群の部分。
【0008】
後エンドポイント・ドメイン:エンドポイント・ドメインの後にくるデータ群の部分。
【0009】
サイン:処理におけるエンドポイントを示すパラメータ又はパラメータの組み合わせの展開における特徴的変化点(又は変化点の組み合わせ)。パラメータの組み合わせ及び変化の特質が、サインの一部を形成する。
【0010】
段階的回帰:最小二乗フィッティング・アルゴリズムを用いて、直線を、個々のセンサーチャンネルからのデータの有限時区間におけるデータ値にフィッティングさせることを意味する。
【0011】
プラズマ処理の進歩により、半導体産業が発展してきた。競争で優位に立つためには、半導体デバイス製造メーカーは、処理環境の厳密な制御を維持して、無駄を最小限に抑え、高品質な半導体デバイスを製造する必要がある。
【0012】
厳密な制御を維持するための1つの方法は、処理エンドポイントを特定することである。上述したように、「エンドポイント」という用語は、1つの処理(たとえば、シリコン層のエッチング)が完了した時点又はほぼ完了した時点を意味する。エンドポイントを特定する工程は、最も大きな変化を伴う信号を特定するのと同等で簡単であるように思われるかもしれない。しかし、信号変化が常にエンドポイントに一致するわけではない。チャンネルのノイズ等他の要因でも、信号パターンの変化は生じる。
【0013】
議論を容易にするために、図1に、エンドポイント・アルゴリズムを構築する簡単な方法を示す。図1で説明する方法は、通常、たとえば、熟練ユーザーにより手動で実行される。
【0014】
たとえば、試験基板が処理されている、という状況を考える。さまざまな種類の基板が存在するため、生産環境で用いられる可能性のある基板と同じ種類の基板を試験基板とすることが多い。たとえば、生産時に特定のパターン化基板が用いられる場合には、同様のパターン化基板を試験基板として用いるようにしてもよい。
【0015】
最初のステップ102で、1つの基板に対してデータを取得する。たとえば、基板を処理する間に、(圧力計、発光分光分析装置(optical emission spectrometer:OES)、温度センサー等)のセンサーでデータを取得する。数千とは言わないまでも、数百のセンサーチャンネルのデータが収集される。
【0016】
基板を処理後、収集したデータを解析することができる。大量のデータが利用可能であれば、数千の信号ストリーム内でエンドポイントを見つけることは、ツールとレシピ(処理法)とに対する深い知識が必要となる難しい作業となると思われる。このため、解析の業務に携わるのは、通常、熟練ユーザーとなる。
【0017】
次のステップ104で、熟練ユーザーは、信号パターンにおける変化を1つ又は複数の信号で調べる。熟練ユーザーは、1つ以上のソフトウェア・プログラムを用いて、解析を行なうようにしてもよい。たとえば、ソフトフェア・プログラムは、単純計算及び解析を行なう単純な解析ツールでもよい。別の例として、ソフトウェア・プログラムは、例えば信号履歴を図示する簡単なデータ可視化プログラムでもよい。
【0018】
しかし、熟練ユーザーの技能と経験をもってしても、センサーにより取得され、解析に利用可能なデータ量は膨大である。したがって、エンドポイント・サインを特定する作業は、気が遠くなるような作業である。たとえば、たった1つのOESセンサーチャンネルで、2000を超える波長測定値が存在する。(温度、圧力、電圧等に関するデータを与えるセンサーチャンネル等)他のセンサーチャンネルでもエンドポイントデータが得られるため、すべての信号及び信号の組み合わせを解析する必要があるとしたら、熟練ユーザーは到達不可能な作業に向き合うことになる。
【0019】
自明のことであるが、適用に応じて、一部の信号が、他の信号と比べて、質の良いエンドポイントデータを与える場合がある。たとえば、信号Aと信号Bの両方がエンドポイントデータを有する場合、信号Aに比べて信号Bの方がノイズが少なければ、信号Bの方が質の良いエンドポイント・サインを与えることができる。何十、何百という信号が存在すると考えると、1つのエンドポイント・サイン、ましてや最適なエンドポイント・サインを見つけるためにデータ群を解析する作業は、非常に面倒で時間がかかる工程となる。
【0020】
データを解析する場合、熟練ユーザーは、エンドポイントの表れとして、信号変化(たとえば、信号パターンの変化)を探すと考えられる。たとえば、信号が下向き勾配の場合には、信号勾配のピークが変化を示すとも考えられる。手動で信号変化を特定する作業は従来面倒な作業であったが、近年では、信号変化が明らかでなくなるにつれて、この作業がより難しくなっている。基板上の小さな開口領域の処理に用いられるレシピでは、特に難しい。たとえば、処理される(たとえば、エッチングされる)開口領域が非常に小さい(たとえば、基板面積の1%未満)ため、信号の変化はごくわずかで、人間の目ではほとんど認識できない。
【0021】
解析を容易にするために、熟練ユーザーは、エンドポイントの特定に関係がないと思うデータ値を取り除くことが考えられる。データ群を削減する1つの方法は、熟練ユーザーがエンドポイントが生じると考えない信号ストリーム内の区域を特定して、取り除く。すなわち、熟練ユーザーは、通常は前エンドポイント・ドメインと後エンドポイント・ドメインとの間にある信号ストリーム内の標的区域に、エンドポイントの検索を限定することが考えられる。エンドポイント・サインを見つけ出して絞り込むのは非常にコスト(熟練者の時間)がかかるため、前エンドポイント・ドメインと後エンドポイント・ドメインとをできるため広くとって、エンドポイントの検索対象として残される区域を限定することが望まれる。
【0022】
熟練ユーザーは、通常、処理に精通しているため、厳選した信号だけを解析することにより、データ群をさらに削減することも考えられる。厳選した信号には、たとえば、熟練ユーザーの経験に基づいて、エンドポイントデータが含まれている可能性がある信号及び信号の組み合わせが含まれる。信号の組み合わせをまとめて解析する場合、その信号の組み合わせは、通常、1つの同じセンサー源からのものである。一般に、センサー間の差異により相関分析を手動で行うのが不可能ではないとしても難しくなるため、異なるセンサー源からのデータは組み合わせない。
【0023】
自明のことであるが、フィルターにかけたデータ群のみを処理する場合には、最適なエンドポイント・サインを気が付かずに取り除いてしまう危険性が増大すると考えられる。すなわち、データをフィルタリングすることにより、熟練ユーザーは、1つのエンドポイント・サイン、ましてや最適なエンドポイント・サイン、がフィルタリング後に残った信号の1つに存在すると仮定する。この結果、残った信号内で特定されるエンドポイント・サインは、必ずしも、最適なエンドポイント・サインではない。
【0024】
信号変化を特定した後、熟練ユーザーは、検証解析を行なって、エンドポイント候補としての信号変化のロバスト性を求めることができる。たとえば、熟練ユーザーは、信号の履歴を解析して、信号変化の一意性を求めるようにしてもよい。信号変化が一意でなければ(すなわち、信号履歴において2回以上生じていれば)、その信号をデータ群から取り除く。そして、熟練ユーザーは、他の信号で「捉えどころのない」エンドポイントを特定する面倒な作業を再開する。
【0025】
次のステップ106で、フィルター群(たとえば、デジタルフィルター群)をデータ群に適用して、ノイズを除去し、データのスムージングを行なう。適用可能なフィルターの例としては、以下に限定されるものではないが、時系列フィルターや周波数に基づくフィルターが挙げられる。データ群にフィルターを適用すればデータ群のノイズは削減できるが、フィルターは信号内のリアルタイム遅延も増大させる可能性があるため、通常は、フィルターの適用は慎重に行われる。
【0026】
場合によっては、データを解析する際に、(主成分分析や部分最小二乗法等の)多変量解析を行なうようにしてもよい。多変量解析を行なうことにより、さらに、データ群を削減することができる。多変量解析を用いるためには、熟練ユーザーは、エンドポイント特性の形状(たとえば、曲線)を規定する必要があると考えられる。すなわち、熟練ユーザーには、エンドポイント候補がいまだに特定されていない状態で、エンドポイントの形状を予想することが期待されている。エンドポイントの形状を事前に規定することにより、多変量解析で、所望の形状を示していない信号を取り除く。たとえば、エンドポイントの形状がピークであると規定された場合には、この形状を示していない信号が取り除かれる。したがって、最適なエンドポイント・サインが「予想」形状ではない場合には、最適なエンドポイント・サインを見逃すことになる。
【0027】
以上の説明からわかるように、大量のデータから1つのエンドポイント・サインを特定する作業は、気が遠くなるような作業であり、数週間はかからないとしても、長い時間がかかる。さらに、1つのエンドポイント・サインを特定したとしても、エンドポイント・サインとして信号又は信号の組み合わせが適しているかという定量的解析はほとんど又はまったくなされていない。たとえば、エンドポイント・サインとして信号変化を検証するために、熟練ユーザーは、他の信号を解析して、同じタイムフレームを中心に同様の信号変化を検索する。最初のエンドポイント・サインを特定するために、熟練ユーザーが既にかなりの時間を費やしたとすると、結果の検証にかける時間、資源、及び/又は情熱が残っているとは限らない。
【0028】
次のステップ108で、熟練ユーザーは、遷移の特質に基づいて、エンドポイント・アルゴリズムの種類を選択する。エンドポイント・アルゴリズムの種類は、エンドポイントを表わす可能性のあるスペクトル線の形状に基づくものでもよい。たとえば、エンドポイントは、勾配の変化により表されるものでもよい。したがって、熟練ユーザーは、勾配依存アルゴリズムを提案すると考えられる。
【0029】
さらに、エンドポイント・アルゴリズムは、最適なエンドポイント・サインを与えることのできる導関数に基づくものでもよい。ただし、エンドポイント・サインの一次導関数(たとえば、勾配の変化)が最適なエンドポイント・アルゴリズムを与えるとは限らない。代わりに、(変曲点等の)勾配の二次導関数が、より望ましいエンドポイント・アルゴリズムを与える場合もある。エンドポイント・サインのみではなく、エンドポイント・サインに関連する最適なエンドポイント・アルゴリズムを特定する能力は、(熟練ユーザーと言えども)持っているユーザーが少ない技能を必要とする。
【0030】
次のステップ110で、アルゴリズム設定を最適化及び/又は試験する。エンドポイント・アルゴリズムを特定した後、エンドポイント・アルゴリズムを生産エンドポイント・アルゴリズムに変換するようにしてもよい。試験環境と生産環境とは異なっているため、エンドポイント・アルゴリズムを生産工程に導入する前に、エンドポイント・アルゴリズムを調整する必要がある。調整される設定としては、以下に限定されるものではないが、たとえば、スムージング・フィルター、遅延時間、アルゴリズムの種類に特異的な設定等が挙げられる。
【0031】
たとえば、試験環境でデータをスムージングするために用いられるフィルターが、生産環境で許容できないリアルタイム遅延を引き起こす可能性がある。本明細書において、リアルタイム遅延は、フィルタリングしていない信号の変化とフィルタリングした信号の変化との時間差を意味する。たとえば、信号のピークが、処理開始後40秒で生じていた場合、フィルターの適用後には、ピークが生じる時間が5秒遅くなる。エンドポイント・アルゴリズムをフィルター設定で適用すれば、エンドポイント・アルゴリズムがエンドポイントを特定する前に、基板がオーバーエッチングされる可能性がある。リアルタイム遅延を最小限に抑えるためには、フィルターを調整する必要がある。
【0032】
エンドポイント・アルゴリズムを生産工程に導入する前に、試験を行なって、設定が最適化されたか否かを判定するようにしてもよい。たとえば、エンドポイント・アルゴリズムを作成するために用いたデータ群に、エンドポイント・アルゴリズムを適用するようにしてもよい。エンドポイント・アルゴリズムが、調整された設定を用いて正しくエンドポイントを特定できる場合には、その設定は最適化されたと考えられる。一方、エンドポイント・アルゴリズムが正しくエンドポイントを特定できない場合には、設定を調整する必要がある。設定が最適化されるまで、(試行錯誤方式で)この試験を複数回行なう必要がある場合もある。
【0033】
次のステップ112で、エンドポイント・アルゴリズムに対してロバスト性試験を実施するか否かを判定する。ロバスト性試験を実施する場合には(ステップ114)、エンドポイント・アルゴリズムを、他の基板に関係するデータ群に適用するようにしてもよい。たとえば、第2の試験基板を処理して、データを収集する。この第2のデータ群にエンドポイント・アルゴリズムを適用する。エンドポイント・アルゴリズムがエンドポイントを特定できれば、エンドポイント・アルゴリズムはロバストであると考えられ、エンドポイント・アルゴリズムを生産工程に導入する(ステップ116)。一方、エンドポイント・アルゴリズムがエンドポイントを特定できなければ、エンドポイント・アルゴリズムは、十分にロバストではないと考えられ、熟練ユーザーは、処理をステップ104に戻し、他のエンドポイント候補を特定して、他のエンドポイント・アルゴリズムを構築する作業を再開する。
【0034】
ロバスト性試験の実行及び解析には時間がかかることを考えれば、ロバスト性試験を実施することなく、多くのエンドポイント・アルゴリズムを生産環境に導入するようにしてもよい。すなわち、ステップ112は、エンドポイント・アルゴリズム作成において、オプションのステップであると考えられる。
【0035】
図1からわかるように、エンドポイント・アルゴリズムを作成する方法は、大部分が手動の工程であり、複雑な解析を実行する技能と経験を備える熟練者によって通常は実施される。資源が限られていることを考えると、生産工程に導入されるエンドポイント・アルゴリズムは、定量的な裏付けに欠ける場合がある。さらに、適当な期間で信号及び/又は信号の組み合わせのすべてを一人の人間が解析するのは不可能であるため、作成されるエンドポイント・アルゴリズムは、必ずしも、処理の最適なエンドポイント・アルゴリズムであるとは限らない。
【0036】
したがって、ロバストなエンドポイント・アルゴリズムを構築する簡単な方法が求められている。
【0037】
本発明を、以下、添付の図面に従って説明するが、これらは単に例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。以下の説明において、同じ構成要素は同じ符号で示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】エンドポイント・アルゴリズムを構築する簡単な方法を示す図。
【0039】
【図2】本発明の一実施形態において、エンドポイント・アルゴリズムを拘置する方法の概略を示すフローチャート。
【0040】
【図3A】本発明の一実施形態において、最適なエンドポイント・アルゴリズムを見つけるためにエンドポイント・アルゴリズムが実行するステップの概略を示すフローチャート。
【図3B】本発明の一実施形態において、最適なエンドポイント・アルゴリズムを見つけるためにエンドポイント・アルゴリズムが実行するステップの概略を示すフローチャート。
【0041】
【図4】本発明の一実施形態において、生産環境で最適なエンドポイント・アルゴリズムを実行する概略を示すフローチャート。
【0042】
【図5】本発明の一実施形態において、データ群を最適なエンドポイント・アルゴリズムのリストに展開する例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明を、添付の図面に示す実施形態を参照して、詳細に説明する。以下で説明する数多くの詳細は、本発明を完全に理解する目的のものである。当業者には自明のように、このような詳細の一部又は全部を省略しても、本発明は実施可能である。また、本発明の特徴を不要に分かりにくくしないように、周知の処理ステップ及び/又は構造は詳細には説明しない。
【0044】
以下、方法及び手法を含む様々な実施形態を説明する。また、本発明の技術を実施するためのコンピュータ読み取り可能な命令が格納されたコンピュータ読み取り可能な媒体を含む製品として本発明を構成することも可能である。コンピュータ読み取り可能な媒体には、たとえば、半導体媒体、磁気媒体、光磁気媒体、光媒体やその他コンピュータ読み取り可能なコードを記憶可能なコンピュータ読み取り可能な媒体が含まれる。さらに、本発明の実施形態を実行する装置として本発明を構成することも可能である。このような装置は、本発明の実施形態に関するタスクを実施する専用及び/又はプログラム可能な回路を備えるものでもよい。このような装置の例としては、必要に応じてプログラミングされた汎用コンピュータ及び/又は専用計算装置が挙げられ、本発明の実施形態に関連する様々なタスクに適した専用/プログラム可能な回路とコンピュータ/計算装置の組み合わせでもよい。
【0045】
本発明の一実施形態において、エンドポイント・アルゴリズムを自動的に見つけて最適化する方法を提供する。本発明の実施形態は、処理における最適なエンドポイントを求めるためのエンドポイント・アルゴリズムを構築する方法を含む。本発明の実施形態は、また、エンドポイント・アルゴリズムを生産環境に適用する現場(in situ)法を含む。
【0046】
本明細書において、エンドポイントを例として用いて、様々な実施形態や実施例を説明するが、本発明は、エンドポイントに限定されるものではなく、処理時に起こり得る任意の変化点にも同様に適用可能である。したがって、以下の説明は例示に過ぎず、何ら本発明をこれらの例示に限定するものではない。
【0047】
本発明の一実施形態において、エンドポイント・アルゴリズムを構築する方法を提供する。方法は、熟練ユーザーでも非熟練ユーザーでも用いることのできる簡単で使い勝手の良い自動化方法でもよい。方法は、センサーデータを取得し、概算エンドポイント期間を自動的に規定し、データを自動的に解析し、エンドポイント・サイン候補群を自動的に求め、最適なエンドポイント・アルゴリズムを生産工程に取り込むものでもよい。
【0048】
従来技術では、データ量が莫大なため、一人の人間がすべての信号を適当な期間でうまく解析することは不可能に近かった。従来技術とは異なり、実施形態の解析法では、人間の関与をほとんど又は全く必要としない。本発明の実施形態では、代わりに、アルゴリズム・エンジンを用いて解析を行なう。手動ではなく自動でデータが解析されるため、すべてのデータではないとしても、より多くのデータの解析が可能になる。一実施形態において、すべての信号を解析し、エンドポイント・サイン候補としての妥当性の観点から各信号を特性化することができる。さらに、アルゴリズム・エンジンで解析が行われるため、1つの基板からのデータファイルに解析が限定されることもない。したがって、より多くのデータを解析して、ロバスト性の高い最適なエンドポイント・アルゴリズム群を構築することができる。
【0049】
アルゴリズム・エンジンは、エンドポイントに関する標的範囲(たとえば、エンドポイント・ドメイン)に対する時間の関数に基づくソフトウェア・プログラムでもよい。ユーザーが概算エンドポイント範囲(たとえば、エンドポイント・ドメイン)を規定すれば、アルゴリズム・エンジンを用いて、データを解析し、最適なエンドポイント・サイン群を見つけることができる。
【0050】
一実施形態において、アルゴリズム・エンジンは、多変量解析におけるエンドポイント・サイン候補を示す可能性のある形状候補群を特定するようにしてもよい。従来技術とは異なり、ユーザーが各エンドポイント・サイン候補に関する形状(たとえば、ピーク、谷、階段状等)を予め知っている必要はない。代わりに、アルゴリズム・エンジンが、エンドポイント・サイン候補を特定後に、形状候補のリストを作成する。したがって、アルゴリズム・エンジンにより特定されるエンドポイント・アルゴリズム候補は、1つの形状(たとえば、曲線)に限定されるものではない。一実施形態において、アルゴリズム・エンジンは、データ調整を行ない、既知のエンドポイント候補を試験して、処理に最適なエンドポイント・サインを特定するように構成される。段階的回帰を行なって、処理履歴にわたる一連の有限時間間隔における各データ入力パラメータの勾配を求めることにより、各パラメータの変動を、時間の関数として導き出すことができる。一実施形態において、勾配計算に用いられる時間間隔は、入力データ内のノイズを受け入れないように、かつ、エンドポイントに関係しないデータにおける遅いドリフトを受け入れないように、設定されるものでもよい。
【0051】
一実施形態において、処理が進むにつれて変動する変化度(すなわち、勾配)に従って、OES信号をグループ化するようにしてもよい。たとえば、同様の勾配変化を有する隣接波長をグループ化するようにしてもよい。OES信号を勾配に基づいてグループ化することにより、解析が必要な信号数と信号に含まれるノイズを大幅に削減することができる。この結果得られる信号及び信号グループのリストには、エンドポイントに関する情報が含まれている可能性が非常に高い。
【0052】
一実施形態において、選択除去を実施して、エンドポイント・サイン候補の数を削減するようにしてもよい。一実施形態において、ロバストなエンドポイント・サインは、すべての処理された基板に存在するエンドポイント・サインである。たとえば、あるエンドポイント・サインが、すべての試験基板又は実質的に大部分の試験基板に共通する特性でない場合には、そのエンドポイント・サインはロバストではないため、除外する。あるエンドポイント・サインが対照基板で見られた場合には、対照基板はエッチングされない基板であり、エンドポイント・サインが生じるはずはないため、そのエンドポイント・サインを除外する。
【0053】
一実施形態において、多変量解析を実行するようにしてもよい。たとえば、解析結果を部分最小二乗判別分析(PLS−DA)の入力として用いて、勾配に基づく各グループにおける個々の信号の重みを最適化するようにしてもよい。一実施形態において、(従来技術のように)エンドポイント曲線の予想される形状を入力することをユーザーに求める代わりに、PLS−DAは、アルゴリズム・エンジンにより提供されるエンドポイントの標的範囲と形状に基づいて行われるものでもよい。
【0054】
一実施形態において、OES信号のPLS−DAの結果をまとめて他のセンサー信号と組み合わせるようにしてもよい。一実施形態において、PLS−DAを新しくまとめた信号群に対して繰り返し、リアルタイムのエンドポイント計算に対する計算負荷が低くコントラストが高いエンドポイント・サインのコンパクトで最適な組み合わせを生成するようにしてもよい。
【0055】
一実施形態において、エンドポイント・サイン候補を最小遅延時間を有するエンドポイント・アルゴリズムに変換する。最小リアルタイム遅延を有するリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムに変換できないエンドポイント・サイン候補を除外するようにしてもよい。すなわち、アルゴリズムに伴うリアルタイム遅延が最大許容可能なリアルタイム遅延を超える場合には、リアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを廃棄するようにしてもよい。
【0056】
一実施形態において、以下で忠実性比(フィデリティ比)と称する、無関係な情報及び/又はリアルタイム遅延に関する情報に対する有用な情報の比に基づいて、エンドポイント・アルゴリズム候補をランク付けするようにしてもよい。たとえば、忠実性比が高くリアルタイム遅延が小さなアルゴリズムをよりロバスト性の高いアルゴリズムと考える。ランク付けをした後、リアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムの1つを選択して、生産工程に導入するようにしてもよい。
【0057】
本発明の特徴及び効果は、以下の図面を参照した説明により、さらに理解できるであろう。
【0058】
図2のフローチャートに、本発明の一実施形態において、エンドポイント・アルゴリズムを構築する方法の概略を示す。
【0059】
最初のステップ202で、処理チャンバ内でセンサー群によりデータを取得する。ここで考える状況は、たとえば、試験基板が処理されている状況である。基板が処理されている間、(光学発光、電気信号、圧力データ、プラズマデータ等)のデータがセンサー群により収集される。
【0060】
一実施形態において、最適なエンドポイント・アルゴリズムを形成するのに用いられるデータは、複数の試験基板から得られる場合もある。異なる試験基板からのデータを統合することによって、基板間の材料の差異や処理の変動性に伴うノイズを除去することができる。一実施形態において、データが、異なるチャンバで処理された試験基板から得られる場合もある。異なるチャンバからのデータを統合することによって、チャンバ間の相違に伴うノイズを除去することができる。
【0061】
次のステップ204で、処理エンドポイントが生じると予想される概算期間を特定する。すなわち、エンドポイント・ドメインを規定する。従来技術と異なり、エンドポイント・ドメインは、アルゴリズム・エンジンが有効なエンドポイント・サインを検索する比較的広い概算期間を意味する。たとえば、高速検索のために、従来技術では前エンドポイント・ドメインであった部分の一部を含むようにエンドポイント・ドメインを拡張することができる。このようにすれば、処理の早い段階で生じる可能性のあるエンドポイント・サインを、アルゴリズム・エンジンが特定することが可能になる。このように早いエンドポイントは、下層の半導体層を処理により損傷する危険性を削減することができる。
【0062】
次のステップ206で、アルゴリズム・エンジンを起動してデータ解析を実行し、最適なエンドポイント・アルゴリズム群を生成する。一実施形態において、データ解析は手動で行われるのではないため、複数基板からのデータファイルを解析可能である。当業者には自明のことであるが、複数の基板からのデータファイルから構築されるエンドポイント・アルゴリズムは、より大量のデータが関与しているにも関わらず、解析されている複数の基板に共通して見出されるのではないエンドポイント特性を除外することができるため、ロバスト性が高くなる傾向がある。
【0063】
図3A及び図3Bのフローチャートは、本発明の一実施形態において、データ群を解析して、最適なエンドポイント・アルゴリズムのリストを生成するためにアルゴリズム・エンジンが実行するステップの概略を示す。議論を容易にするために、図3A及び図3Bを図5と関連させて説明する。図5は、一実施形態において、データ群を最適なエンドポイント・アルゴリズムのリストに展開する例を示すブロック図である。
【0064】
最初のステップ302で、アルゴリズム・エンジンは、利用可能なデータ群(最初のデータ群502)に対して線形フィッティングを実施する。すなわち、各信号を時間間隔に基づいて、一定のセグメントに分割する(データ群504)。ノイズを最小限に抑える一方で、エンドポイント特性を特定する可能性を最大にするためには、セグメントの長さが重要である。セグメントの長さが長すぎれば、エンドポイントが平均化されて失われてしまう可能性がある。一方、セグメントの長さが短すぎれば、(ステップ304で後述する)勾配がノイズの影響を受ける可能性がある。一実施形態において、セグメントの長さの最小値及び最大値を予め規定するようにしてもよい。一実施形態において、最小のセグメントの長さは、1秒の1/10より長い。また、別の実施形態において、最大のセグメントの長さは、10Hzでのデータ収集の場合、2秒未満である。
【0065】
次のステップ304で、アルゴリズム・エンジンは、各セグメントに対して、勾配とそれに対応する勾配ノイズ値(勾配フィッティングの不確実性)とを計算する。たとえば、信号Aを10個のセグメントに分割した場合、信号Aに対して、10個の勾配と勾配ノイズ値とが求められる(データ群506A)。勾配ノイズ値を用いて、勾配を正規化するようにしてもよい(データ群506B).
【0066】
これに加えて、または、これに代えて、アルゴリズム・エンジンが、勾配ノイズ値でスケーリングされた勾配を入力として用いて(部分最小二乗解析等の)多変量解析を実行し、センサーチャンネルの組み合わせからの信号に基づく勾配と勾配ノイズ値の追加リストを生成するようにしてもよい(データ群506Aに含まれる)。一実施形態において、勾配ノイズ値を用いて、勾配を正規化するようにしてもよい(データ群506Bに含まれる)。
【0067】
各セグメントに対して勾配と勾配ノイズ値とのリストを作成した(データ群506A)後、次のステップ306で、アルゴリズム・エンジンは、エンドポイントデータを有する可能性のある候補信号を特定する。たとえば、アルゴリズム・エンジンは、各信号(及びそのセグメント)を解析して、各信号に関する勾配の変化量を数値化するようにしてもよい。勾配変化を数値化する1つの方法は、正規化した勾配の標準偏差を計算する。たとえば、大きな標準偏差は、勾配に変化が生じている信号を表わす。この例では、大きな標準偏差は、エンドポイントデータ候補を有する可能性のある信号を意味するものと考えられる。したがって、大きな勾配変化のある信号を、信号候補として特定するようしてもよい(データ群508)。
【0068】
OESデータには大量の波長測定値(少なくとも2000個の信号)が含まれるため、アルゴリズム・エンジンは、次のステップ308で、同様の勾配変化を有する隣接波長を組み合わせて信号波長域を形成する(データ群510)ことにより、OES信号の数を削減するようにしてもよい。たとえば、255ナノメータと280ナノメータの間で100個の波長測定値が存在し、かつ、これらの波長測定値が同様の勾配変化を有する場合には、100個の波長測定値を組み合わせて1つの信号波長域を形成し、解析の際に1つの単位として取り扱うことができる。たとえば、2000個の波長測定値があるとしても、たった10個の信号波長域を解析すればよいことになる。波長測定値をグループ化することにより、解析する対象である項目数が大幅に減少するため、計算負荷を減らすことができる。
【0069】
次のステップ310で、アルゴリズム・エンジンは、基本的処理におけるドリフトとノイズとを捕捉可能な正規化信号のリスト(データ群506B)を特定する。すなわち、アルゴリズム・エンジンは、(勾配ノイズに対して)勾配が大きく変化が小さな、正規化に適した信号を特定する。正規化信号(データ群512)は、センサー信号における共通のモード変化(たとえば、ドリフト、ノイズ等)を取り除くための可能な候補を示すものでもよい。
【0070】
次のステップ312で、アルゴリズム・エンジンは、同様の勾配変化を有する隣接波長を組み合わせて正規化信号波長域を形成する(データ群514)ことにより、正規化OES信号の数を削減するようにしてもよい。このステップ312は、正規化OES信号に適用されることを除き、ステップ308と同様のものである。
【0071】
次のステップ314で、アルゴリズムは、すべてのセンサーチャンネルに関して、高コントラストセンサー信号(データ群508)と、高コントラストセンサー信号波長域(データ群510)と、正規化信号(データ群512)と、正規化信号波長域(データ群514)のリストを生成する。一実施形態において、各データ群の信号をランク付けする。各信号におけるエンドポイントデータの可能性は数値化されているため、各データ群の信号をランク付けすることができる。たとえば、勾配変化が大きな信号を、勾配変化が小さな信号よりも高いランクにすることができる。
【0072】
次のステップ316で、アルゴリズム・エンジンは、エンドポイント・ドメイン内でエンドポイント・サイン候補(データ群516)となる高コントラストセンサー信号及び/又は波長域を検索する。一実施形態において、エンドポイント・サインは、クラス特徴群(ピーク、谷、変曲点等)を通じて特定されるものでもよい。一実施形態において、クラス特徴群を予め規定するものでもよい。また、クラス特徴群は、信号の様々な導関数内で検索されるものでもよい。
【0073】
一実施形態において、データ群508,510にフィルターを適用して、ノイズを除去し、データをスムージングするようにしてもよい。一実施形態において、データ群に適用するフィルターは、時間対称フィルターでもよい。時間対称フィルターは、特定の点の前と後で同じ数の点を用いて、平均値を算出する。このようなフィルターを、処理をリアルタイムで実行中ではなく、後処理モードでのみ適用するようにしてもよい。時間非対称フィルターとは異なり、時間対称フィルターでは、導入される時間歪み及び/又は振幅歪みはごくわずかであると考えられる。この結果、フィルタリングされたデータのリアルタイム遅延が最小になると考えられる。
【0074】
以上の説明からわかるように、各データ群は、大量の信号を含むものでもよい。一実施形態において、各データ群はランク付けされているため、検索数を減らすことにより、データ解析時間を大幅に削減することができる。たとえば、データ群508に含まれる項目すべてを検索する代わりに、上位10個の高コントラストセンサー信号のみを解析することとしてもよい。検索対象となる項目数は変更可能である。逓減回帰解析を実行して、最適な数を求めるようにしてもよい。
【0075】
次のステップ318で、アルゴリズム・エンジンは、エンドポイント・ドメイン内でエンドポイント・サイン候補(データ群518)となる正規化信号/波長域(データ群512及び514)に対する高コントラストセンサー信号/波長域(データ群508及び510)の比を検索する。各正規化信号/波長域に対する高コントラストセンサー信号/波長域の比を取ることにより、より高い忠実性比を有するエンドポイント・サイン候補を特定することができる。
【0076】
次のステップ320で、アルゴリズム・エンジンは、結果として得られたデータ(データ群516及び518)を検索して、組み合わせ(データ群520)のランク付けを行なう。すなわち、同様の形状と期間とを有するエンドポイント・サインを組み合わせるためのマッチングを実施して、コントラストとSNRを向上させる。一実施形態において、同じ導関数において線形結合を実施する。すなわち、たとえ、同じ時間間隔内で生じたものであっても、一次導関数で生じたピークを、二次導関数で生じたピークとは結合させない。
【0077】
次のステップ322で、アルゴリズム・エンジンは、ロバスト性試験を実施して、再現性がないと考えられるエンドポイント・サインを取り除く。一実施形態において、ロバスト性試験は、複数の基板にわたる一貫性を検証するものでもよい。たとえば、エンドポイント・サイン候補が複数の基板にわたって一貫したものでなければ、そのエンドポイント・サイン候補は、ノイズ/ドリフトに起因する可能性があるため、捨てる。
【0078】
別の例として、ロバスト性試験は、試験基板と対照基板(又は対照基板群)との間の類似性を検証するものでもよい。たとえば、試験基板が、シリコン領域を露出させた部分を有するレジストマスクを備える基板であると仮定する。対照基板は、レジストマスクで完全に覆われていることを除けば、試験基板と同様の特徴を持つものである。試験基板と対照基板の両方に同じ基板処理を施す。ただし、対照基板は表面全体がレジストマスクで覆われているため、エッチングの兆候は見られない。すなわち、対照基板には、エンドポイントが存在しない。対照基板上の変化がエンドポイント・サイン候補のいずれかと一致する場合には、一致したエンドポイント・サイン候補を捨てる。
【0079】
また別の例として、ロバスト性試験は、一意性を検証するものでもよい。たとえば、試験対象のエンドポイント・サイン候補がピーク特性を有する場合、残りの信号を解析して、エンドポイント・サイン候補が生じる前後に他のピーク特性が生じているか否かを判定するものでもよい。他のピークが同定された場合には、そのエンドポイント・サイン候補を消去する。
【0080】
正しいエンドポイント・サインではないと思われるサインを除外するために適用可能な様々なロバスト性基準の例を説明した。エンドポイント・サイン候補にロバスト性試験を行なうことにより、実際のエンドポイントである可能性のあるエンドポイント・サイン候補のリストをさらに固めることができる。
【0081】
一実施形態において、アルゴリズム・エンジンは、相関に基づく部分最小二乗判別分析(PLS−DA)等の多変量相関分析を実行して、エンドポイント・サイン候補のリストを最適化するようにしてもよい。上述したように、(相関に基づくPLS分析等の)多変量解析では、通常、エンドポイント・サインの形状を規定する必要がある。すなわち、多変量解析では、サイン曲線の所望の形状を知る必要がある。従来技術では、エンドポイント・サインの形状(ピーク、谷、勾配等)は、通常、ユーザーにより規定されていた。(従来技術では)エンドポイント候補の形状の決定には、数週間はかからないとしても、長い時間がかかることを考えれば、ユーザーは、多変量解析の入力として、1つの形状特性を与えるのがやっとであった。従来技術と異なり、アルゴリズム・エンジンにより特定されるエンドポイント・サイン候補は、異なる形状特性を備える可能性がある。結果として、多変量相関分析に入れることができる入力数は、特定されたエンドポイント・サイン候補の形状に応じて決まる。
【0082】
一実施形態において、(エンドポイント・サイン候補リストにより求められるような)形状/形状群を各信号に相関させて、エンドポイント・サイン候補と各センサーチャンネル内の信号との間の相関行列を生成するようにしてもよい。相関行列は、各信号に適用して、各エンドポイント・サイン候補のコントラストを最大にすることが可能な最適重み及び/又は最適負荷を備えるものでもよい。多変量解析はエンドポイント・サイン候補のリスト(データ群522)の最適化に役立つが、多変量相関分析は、最適なエンドポイント・アルゴリズムのリストの特定に必ずしも必要なものではない。また、上述した例では、相関に基づくPLS分析を用いたが、本発明は、相関に基づくPLS分析に限定されるものではなく、任意の種類の相関に基づく多変量解析を用いることができる。
【0083】
次のステップ324で、アルゴリズム・エンジンは、残ったエンドポイント・サイン候補(データ群522)を、最小のリアルタイム遅延を有するリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズム(データ群524)に変換する。すなわち、アルゴリズム・エンジンは、エンドポイント・サイン候補を、わずかなリアルタイム遅延で生産時に実行可能なエンドポイント・アルゴリズムに変換するように構成される。一実施形態において、各エンドポイント・アルゴリズムにより必要とされる設定を自動的に算出するものでもよい。たとえば、リアルタイム・フィルターの設定を自動的に最適化して、各処理試験基板に対して、最小フィルター遅延を有するエンドポイントを求めるようにしてもよい。リアルタイムフィルターをカスケード構造として、カスケードメモリー部の初期化を行なうことにより、無限インパルス応答フィルターで生じる初期トランジェントを最小限に抑えるようにしてもよい。これは、データ履歴の開始時近くにエンドポイントを持つ可能性のあるエンドポイント・アルゴリズムでは特に重要である。
【0084】
各エンドポイント・サイン候補に関して、アルゴリズム・エンジンは、リアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを与えるものでもよい。一実施形態において、アルゴリズム・エンジンがリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを構築できなければ、いかなるエンドポイント・アルゴリズムも提供しない。たとえば、アルゴリズム・エンジンが、各処理試験基板に関するエンドポイントを求める/特定することが可能なリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを構築できなければ、いかなるエンドポイント・アルゴリズムも提供しないものでもよい。
【0085】
次のステップ326で、アルゴリズム・エンジンは、最大許容可能なリアルタイム遅延を超える可能性のあるエンドポイント・アルゴリズムを除外する。たとえば、エンドポイントの特定に必要な時間が所定の閾値を超える場合には、リアルタイム遅延が生産時に基板のオーバーエッチングにつながる可能性があるため、そのエンドポイント・アルゴリズムを消去する。
【0086】
次のステップ328で、アルゴリズム・エンジンは、ロバスト性基準群を満たしていないリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを除外する。ロバスト性基準の例としては、最小のリアルタイム遅延ですべての試験基板に関するエンドポイントを特定することが挙げられる。すなわち、各エンドポイント・アルゴリズムは、すべての試験基板に関するエンドポイントを特定することが必要となる。ロバスト性基準の別の例は、対照基板に関するエンドポイントを特定しないことである。すなわち、あるエンドポイント・アルゴリズムが対照基板に関するエンドポイントを特定できる場合には、そのエンドポイント・アルゴリズムはロバストではないため、捨てるようにしてもよい。
【0087】
次のステップ330で、アルゴリズム・エンジンは、リアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムのランク付けを行なう。一実施形態において、ランク付けは、忠実性比及び/又はリアルタイム遅延に基づくものでもよい。たとえば、2つのリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムが同じ忠実性比を有する場合には、リアルタイム遅延が小さい方のエンドポイント・アルゴリズムのランクを高くする。別の例として、2つのエンドポイント・アルゴリズムが同じリアルタイム遅延を有する場合には、忠実性が高い方のエンドポイント・アルゴリズムのランクを高くする。
【0088】
図2に戻って、次のステップ208で、リアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを生産工程に導入する。一実施形態において、最も高いランキングのリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを自動的に生産工程に導入するようにしてもよい。別の実施形態において、生産工程に導入されるリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムは、ユーザーにより制御されるものでもよく、ユーザーの要求に最もよく合致するエンドポイント・アルゴリズムを選択するようにしてもよい。たとえば、リアルタイム遅延は、デバイス製造メーカーにとって重要な問題である。このため、デバイス製造メーカーは、遅延時間が短ければロバスト性の低いエンドポイント・アルゴリズムを選ぶ可能性がある。
【0089】
経験的証拠から、処理を自動化することにより、最適なリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを作成する作業は2、3分で完了可能であることがわかっている。さらに、アルゴリズム・エンジンは、人からの入力を最小に抑えた解析を実行するように構成されているため、非熟練ユーザーでもエンドポイント・アルゴリズムを構築する工程を実施できる。したがって、所定のエンドポイント・ドメインで許容可能なエンドポイント・アルゴリズムリストを生成できなければ、ユーザーは、直ちにエンドポイント・ドメインを規定しなおして、アルゴリズム・エンジンに2、3分で新しいエンドポイント・アルゴリズムリストを生成させることができる。
【0090】
図4のフローチャートに、本発明の一実施形態において、生産環境でリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを実行する概略を示す。
【0091】
最初のステップ402で、レシピを実行する。
【0092】
次のステップ404で、基板処理の間に、センサー群によりデータを取得する。
【0093】
次のステップ406で、エンドポイント・アルゴリズムをその場で(in-situで)用いて、データを解析し、処理エンドポイントを特定する。一実施形態において、計算エンジンを用いてデータを解析するようにしてもよい。大量のデータが収集されるため、計算エンジンは、大量のデータを処理可能に構成された高速処理モジュールでもよい。生産設備ホストコントローラー、あるいは、処理モジュールコントローラーを介する代わりに、センサーから直接データを送信するようにしてもよい。Huangらにより2009年9月8日に出願された米国出願No.12/555,674に、解析を実行するのに適した解析コンピュータの例が記載されている。
【0094】
次のステップ408で、システムは、エンドポイントが特定されたか否かの判定を行なう。
【0095】
エンドポイントが特定されていない場合には、システムはステップ404に戻る。
【0096】
一方、エンドポイントが特定された場合には、次のステップ410で、レシピを終了する。
【0097】
以上の説明から理解できるように、本発明の1つ又は複数の実施形態は、最適なリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを特定する方法を提供する。これらの方法では、解析を自動化することにより、熟練ユーザーを必要としない。本明細書で説明する方法を用いれば、よりロバスト性の高いエンドポイント・アルゴリズムを生産工程に導入することが可能になる。また、エンドポイント・アルゴリズムを作成するために必要な時間が大幅に削減されるため、エンドポイント・アルゴリズムを更新したり新しいエンドポイント・アルゴリズムを作成したりする作業は、もはや資源を消費し、時間のかかる作業ではない。
【0098】
以上、本発明をいくつかの好適な実施形態に従って説明してきたが、本発明の要旨の範囲内で、様々に変更、変形、置換等が可能である。上述の様々な実施形態や実施例は例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。また、本明細書を通して、エンドポイントを例として用いたが、本発明は、処理の間に生じる可能性のある信号変化イベントである変化点に対しても適用可能である。
【0099】
本発明の名称及び概要は、便宜上のものであり、特許請求の範囲を解釈するためのものではない。さらに、発明の要約は、非常に簡略化した形態を記載したものであり、便宜上のものであるため、特許請求の範囲に記載される本発明全体を解釈したり限定したりするものではない。本明細書で用いた「群」という用語は、普通に理解される数学的な意味で用いるものであり、0、1又は2以上を含む。本発明の方法及び装置は、様々に変形して実施可能である。以下に記載する特許請求の範囲には、本発明の要旨の範囲内における様々な変形、置換、及びそれらに等価のものも含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理システムにおける基板処理の際の処理エンドポイントを検証するための最適なエンドポイント・アルゴリズムを自動的に特定する方法であって、
前記プラズマ処理システムにおいて、少なくとも1つの基板の基板処理の間に、複数のセンサーからセンサーデータを受信する工程であって、前記センサーデータが複数のセンサーチャンネルからの複数の信号ストリームを含む、工程と、
エンドポイント・ドメインを特定する工程であって、前記エンドポイント・ドメインは前記処理エンドポイントが生じると予測される概算期間である、工程と、
前記センサーデータを解析してエンドポイント・サイン候補群を生成する工程と、
前記エンドポイント・サイン候補群を最適なエンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程と、
前記最適なエンドポイント・アルゴリズム群の1つの最適なエンドポイント・アルゴリズムを、生産環境に取り込む工程と、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記センサーデータは2つ以上の基板から収集される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記センサーデータを分析する工程は、前記センサーデータに対して線形フィッティングを実行して、前記複数の信号ストリームからの各信号ストリームを、時間間隔に基いて複数のセグメントに分割する工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記複数のセグメントの各セグメントは、一様である、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
前記センサーデータを分析して前記エンドポイント・サイン候補群の第1のエンドポイント・サイン群を生成する工程は、
前記センサーデータに関して第1の勾配群と第1の対応勾配ノイズ値群とを算出する工程であって、勾配及び対応勾配ノイズ値を前記複数のセグメントの各セグメントに関して計算する、工程と、
前記勾配群における勾配変化を算出して、前記複数の信号ストリームから、大きな勾配変化を有するハイコントラスト信号群を特定する工程と、
同様の勾配変化を有する隣接波長を組み合わせて信号波長域群を形成する工程と、
前記ハイコントラスト信号のランク付けをする工程と、
前記信号波長域群のランク付けをする工程と、
前記ハイコントラスト信号と前記信号波長域群との少なくとも一部にクラス特徴群を適用することにより、前記第1のエンドポイント・サイン候補群を特定する工程であって、前記クラス特徴群はピーク、谷、及び変曲点の少なくとも一つを備える、工程と、
を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記センサーデータを分析して前記エンドポイント・サイン候補群の第2のエンドポイント・サイン群を生成する工程は、
前記第1の勾配群の対応勾配ノイズ値によってスケーリングされた勾配と、前記第1の対応勾配ノイズ値群とを組み合わせることにより多変量解析を行って、正規化された勾配群と正規化された対応勾配ノイズ値群とを生成する工程と、
前記正規化された勾配群における勾配変化を算出することによって、前記複数の信号ストリームから、大きな勾配と小さな変化を有する正規化信号を特定する工程工程と、
同様の勾配変化を有する隣接波長を組み合わせて正規化信号波長域群を形成する工程と、
前記正規化信号のランク付けをする工程と、
前記正規化信号波長域群のランク付けをする工程と、
前記正規化信号と前記正規化信号波長域群に対する前記ハイコントラスト信号群と前記信号波長域群の比にクラス特徴群を適用することにより、前記第2のエンドポイント・サイン候補群を生成する工程と、
を含む、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記エンドポイント・サイン候補群を前記最適なエンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程が、
前記エンドポイント・サイン候補群のうちの第1のエンドポイント・サイン候補と第2のエンドポイント・サイン候補とが同様の形状と同様の期間を有する場合に、前記第1のエンドポイント・サイン候補と前記第2のエンドポイント・サイン候補とを組み合わせる工程と、
ロバスト性試験を実施し、前記エンドポイント・サイン候補群から再現性がないと考えられるエンドポイント・サインを除外する工程と、
多変量相関分析を実行し、前記エンドポイント・サイン候補群の中の最適なエンドポイント・サイン群を特定する工程と、
前記最適なエンドポイント・サイン群を最小のリアルタイム遅延を伴うエンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程であって、前記リアルタイム遅延はフィルター遅延に基づくものである工程と、
前記最適エンドポイント・アルゴリズム群を生成する工程であって、
所定の閾値よりも大きな対応するリアルタイム遅延を伴うリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを除外する工程と、
前記リアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムがロバスト性試験に合格しなかった場合に、前記リアルタイム・エンドポイントアルゴリズムを除外する工程と、
のうちの少なくとも一方を行う工程と、
忠実性比とリアルタイム遅延の少なくとも1つに基づいて、前記最適なエンドポイント・アルゴリズム群の各エンドポイント・アルゴリズムのランク付けをする工程と、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、
前記エンドポイント・サイン候補群を最適なエンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程が、
前記エンドポイント・サイン候補群のうちの第1のエンドポイント・サイン候補と第2のエンドポイント・サイン候補とが同様の形状と同様の期間を有する場合に、前記第1のエンドポイント・サイン候補と前記第2のエンドポイント・サイン候補とを組み合わせる工程と、
ロバスト性試験を実施し、前記エンドポイント・サイン候補群から再現性がないと考えられるエンドポイント・サインを除外する工程と、
多変量相関分析を実行し、前記エンドポイント・サイン候補群の中の最適なエンドポイント・サイン群を特定する工程と、
前記最適なエンドポイント・サイン群を、最小のリアルタイム遅延を伴うリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程であって、前記リアルタイム遅延はフィルター遅延に基づくものである工程と、
前記最適エンドポイント・アルゴリズム群を生成する工程であって、
所定の閾値よりも大きな対応するリアルタイム遅延を伴うリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを除外する工程と、
前記エンドポイント・アルゴリズムがロバスト性試験に合格しなかった場合に、前記リアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを除外する工程と、
のうちの少なくとも一方を行う工程と、
忠実性比とリアルタイム遅延の少なくとも1つに基づいて、前記最適なエンドポイント・アルゴリズム群の各エンドポイント・アルゴリズムのランク付けをする工程と、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記取り込む工程が、前記エンドポイント・アルゴリズム群のランク付けとユーザー規定条件群の少なくとも1つに基づく、方法。
【請求項10】
処理チャンバにおける基板処理の際のエンドポイントを検証する方法であって、
基板上でレシピを実行する工程と、
基板処理の間にセンサー群から処理データを受信する工程と、
最適なエンドポイント・アルゴリズムを適用して前記処理データを分析する工程と、
処理エンドポイントを特定する工程と、
前記基板処理を終了する工程と、
を備える方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記分析は、計算エンジンにより実行され、前記計算エンジンは、大量のデータを処理するように構成された高速処理モジュールである、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記最適なエンドポイント・アルゴリズムは、
前記プラズマ処理システムにおける少なくとも1つの基板の処理の間に、複数のセンサーからセンサーデータを受信する工程であって、前記センサーデータが複数のセンサーチャンネルからの複数の信号ストリームを含む、工程と、
エンドポイント・ドメインを特定する工程であって、前記エンドポイント・ドメインは前記処理エンドポイントが生じると予測される概算期間である、工程と、
前記センサーデータを解析してエンドポイント・サイン候補群を生成する工程と、
前記エンドポイント・サイン候補群を最適なエンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程と、
前記最適なエンドポイント・アルゴリズム群の1つの最適なエンドポイント・アルゴリズムを、生産環境に取り込む工程と、
によって構成されている、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記センサーデータは2つ以上の基板から収集される、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記センサーデータを分析する工程は、前記センサーデータに対して線形フィッティングを実行して、前記複数の信号ストリームからの各信号ストリームを時間間隔に基いて複数のセグメントに分割する工程を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記センサーデータを分析して前記エンドポイント・サイン候補群の第1のエンドポイント・サイン群を生成する工程は、
前記センサーデータに関して第1の勾配群と第1の対応勾配ノイズ値群とを算出する工程であって、勾配及び対応勾配ノイズ値を前記複数のセグメントの各セグメントに関して計算する、工程と、
前記勾配群における勾配変化を算出して、前記複数の信号ストリームから、大きな勾配変化を有するハイコントラスト信号群を特定する工程と、
同様の勾配変化を有する隣接波長を組み合わせて信号波長域群を形成する工程と、
前記ハイコントラスト信号のランク付けをする工程と、
前記信号波長域群のランク付けをする工程と、
前記ハイコントラスト信号と前記信号波長域群との少なくとも一部にクラス特徴群を適用することにより、前記第1のエンドポイント・サイン候補群を特定する工程であって、前記クラス特徴群はピーク、谷、及び変曲点の少なくとも一つを備える、工程と、
を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記センサーデータを分析して前記エンドポイント・サイン候補群の第2のエンドポイント・サイン群を生成する工程は、
前記第1の勾配群の対応勾配ノイズ値によってスケーリングされた勾配と、前記第1の対応勾配ノイズ値群とを組み合わせることにより多変量解析を行って、正規化された勾配群と、正規化された対応勾配ノイズ値群とを生成する工程と、
前記正規化された勾配群における勾配変化を算出することによって、前記複数の信号ストリームから、大きな勾配と小さな変化を有する正規化信号を特定する工程と、
同様の勾配変化を有する隣接波長を組み合わせて正規化信号波長域群を形成する工程と、
前記正規化信号のランク付けをする工程と、
前記正規化信号波長域群のランク付けをする工程と、
前記正規化信号と前記正規化信号波長域群に対する前記ハイコントラスト信号群と前記信号波長域群の比にクラス特徴群を適用することにより、前記第2のエンドポイント・サイン候補群を生成する工程と、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
前記エンドポイント・サイン候補群を前記最適なエンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程が、
前記エンドポイント・サイン候補群のうちの第1のエンドポイント・サイン候補と第2のエンドポイント・サイン候補とが同様の形状と同様の期間を有する場合に、前記第1のエンドポイント・サイン候補と前記第2のエンドポイント・サイン候補とを組み合わせる工程と、
ロバスト性試験を実施し、前記エンドポイント・サイン候補群から再現性がないと考えられるエンドポイント・サインを除外する工程と、
多変量相関分析を実行し、前記エンドポイント・サイン候補群の中の最適なエンドポイント・サイン群を特定する工程と、
前記最適なエンドポイント・サイン群を最小のリアルタイム遅延を伴うエンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程であって、前記リアルタイム遅延はフィルター遅延に基づくものである工程と、
前記最適エンドポイント・アルゴリズム群を生成する工程であって、
所定の閾値よりも大きな対応するリアルタイム遅延を伴うリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを除外する工程と、
前記リアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムがロバスト性試験に合格しなかった場合に、前記リアルタイム・エンドポイントアルゴリズムを除外する工程と、
のうちの少なくとも一方を行う工程と、
忠実性比とリアルタイム遅延の少なくとも1つに基づいて、前記最適なエンドポイント・アルゴリズム群の各エンドポイント・アルゴリズムのランク付けをする工程と、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、
前記エンドポイント・サイン候補群を最適なエンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程が、
前記第1のエンドポイント・サイン候補群のうちの第1のエンドポイント・サイン候補と第2のエンドポイント・サイン候補とが同様の形状と同様の期間を有する場合に、前記第1のエンドポイント・サイン候補と前記第2のエンドポイント・サイン候補とを組み合わせる工程と、
ロバスト性試験を実施し、前記エンドポイント・サイン候補群から再現性がないと考えられるエンドポイント・サインを除外する工程と、
多変量相関分析を実行し、前記第1のエンドポイント・サイン候補群の中の最適なエンドポイント・サイン群を特定する工程と、
前記最適なエンドポイント・サイン群を、最小のリアルタイム遅延を伴うリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズム群に変換する工程であって、前記リアルタイム遅延はフィルター遅延に基づくものである工程と、
前記最適エンドポイント・アルゴリズム群を生成する工程であって、
所定の閾値よりも大きな対応するリアルタイム遅延を伴うリアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを除外する工程と、
前記エンドポイント・アルゴリズムあロバスト性試験に合格しなかった場合に、前記リアルタイム・エンドポイント・アルゴリズムを除外する工程と、
のうちの少なくとも一方を行う工程と、
忠実性比とリアルタイム遅延の少なくとも1つに基づいて、前記最適なエンドポイント・アルゴリズム群の各エンドポイント・アルゴリズムのランク付けをする工程と、を備える、
方法。
【請求項19】
請求項12に記載の方法であって、
前記最適なエンドポイント・アルゴリズムを取り込む工程は、ランク付けと、ユーザーが規定した条件群とのうちの少なくとも一方に基づく、方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、
前記複数のセグメントの各セグメントは、一様である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−532463(P2012−532463A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518588(P2012−518588)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040477
【国際公開番号】WO2011/002810
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】