説明

最適化されたエネルギー蓄積装置

鉛系電池電極材料と、鉛系電池電極材料を被覆する少なくとも1領域の蓄電材料とを含み、それぞれの電極が、電池の外部端子に電気的に接続されている、少なくとも1つの負極と、それぞれの正極が、電池の第2の外部端子に電気的に接続されている、少なくとも1つの二酸化鉛系電池正極と、向かい合う電極に差し挟むセパレータと、少なくとも、電極とセパレータとの空間を満たす電解質とを含み、鉛系電池電極材料を被覆する蓄電材料が、高導電性炭素材料20〜65重量%、高比表面積炭素材料30〜70%、少なくとも0.1%の鉛、及びバインダーを含む鉛蓄電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛酸蓄電池等の電池を含むエネルギー蓄積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
都市環境における大気汚染に取り組み、限られた供給量の化石燃料の世界的な消費量を減少させるために、ほぼ全く化石燃料に依存しない車両の開発及び導入に対する要求が高まっている。こうした車両は、3つの主な種類に分類され、すなわち、燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)である。ハイブリッド車にはいくつかの種類があり、すなわち、マイクロハイブリッド、マイルドハイブリッド、ミディアムハイブリッド及びフルハイブリッドである。ハイブリッド車の電池電圧は、マイクロハイブリッドにおける12V、マイルドハイブリッドにおける36V、ミディアムハイブリッドにおける144V、及びフルハイブリッドにおける200V超の順に増加する。他方で、電池容量は、マイクロハイブリッドにおける50〜60Ah、マイルドハイブリッドにおける15〜20Ah、ミディアムハイブリッドにおける6〜8Ah、及びフルハイブリッドにおける6Ahの順に減少する。
【0003】
電気自動車及びハイブリッド車には、鉛酸蓄電池を含む、様々な異なる電池種を用いることができる。費用が低減されるので、マイクロハイブリッド車及びマイルドハイブリッド車には、主に鉛酸蓄電池を用いることがある。ハイブリッド車は、内燃エンジンと電源用電池との組み合わせを利用している。ハイブリッド車により、より少ない排気ガスとより少ない燃料消費量とにつながる電気的に発生させた出力をより多く使用することを含む、既存の内燃エンジン車に勝るいくつかの利点がもたらされる。
【0004】
少なくとも部分的に電力を利用する車両のための新規な電池及び電力網の開発に多くの著しい進歩があったが、これらの車両において使用される電池は、いまだいくつかの問題を抱えている。
【0005】
これらすべての電池において、車両運転中の様々な段階で電池から引き出され電池に再充電される電流に関する、電池についての様々な要求が提起されている。車両の用途の場合には、一例として、電気自動車における加速、又はハイブリッド車における加速及びエンジンの始動を可能にするために、電池からの高速放電が必要とされている。電池の高速再充電は、回生ブレーキと関係がある。こうした高速の用途では(及び電池のための高充電用途では)、電池は、好ましくは、1分以上の間隔にわたる高速放電を供給できることを必要とする。
【0006】
鉛酸蓄電池が利用されている状況では、特にハイブリッド車において、電池の放電及び再充電の高速性は、負極プレートの表面への硫酸鉛層の形成と、負極プレート及び正極プレートでの水素/酸素の発生とにつながる。これは、主として、電池についての高電流の要求の結果として生じる。これらの電池が一般に作動する部分充電状態の条件(PSoC)は、電気自動車については20〜100%、ミディアムハイブリッド車及びフルハイブリッド車については40〜70%、マイクロハイブリッド車及びマイルドハイブリッド車については70〜90%である。これは、高率部分充電状態(HRPSoC)である。ハイブリッド車の運転等の擬似HRPSoC負荷の下で、鉛酸蓄電池は、主に、負極プレートの表面への硫酸鉛の漸増的蓄積により早くに機能しなくなる。回生ブレーキから、又はエンジンからの充電の間に、硫酸鉛を海綿状鉛に効率よく変換して戻すことができないので、こうしたことが生じるのである。結局、硫酸鉛のこの層は、プレートの有効表面積を著しく減少させる程度に発達し、そのプレートは、もはや、自動車から要求される、より多くの電流を送ることはできない。これにより、電池の潜在的な寿命は著しく低減される。
【0007】
電池についての様々な出力の要求を満たしつつ、改良された全寿命及び性能を提供する、代替的な電池種を提供することは、他の技術分野において有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、現行の電池に比べて、改良された寿命、及び/又は改良された総体的性能を有する、酸鉛蓄電池等の改良された電池が必要とされている。容量と寿命とのバランスに関して、修正して性能を改良することができる、電池の構成要素を特定することも必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、
鉛系電池電極材料と、鉛系電池電極材料を被覆する少なくとも1領域の蓄電材料とを含む少なくとも1つの負極電極であって、各電極が電池の外部端子に電気的に接続されている、少なくとも1つの負極電極と、
少なくとも1つの二酸化鉛系電池正極電極であって、各電極が電池の第2の外部端子に電気的に接続されている、少なくとも1つの二酸化鉛系電池正極と、
向かい合う電極に差し挟むセパレータと、
少なくとも、電極とセパレータとの空間を満たす電解質と
を含み、
該鉛系電池電極材料を被覆する蓄電材料が、高導電性炭素材料を20〜65重量%、高比表面積炭素材料を30〜70%、鉛、及びバインダーを含む
鉛酸蓄電池が提供される。
【0010】
好ましくは、蓄電材料中の鉛含有率は、少なくとも0.1重量%である。
【0011】
好ましくは、バインダーは、1〜30重量%、好ましくは5から20重量%の間の量で存在する。
【0012】
蓄電材料は、0から10重量%の量で繊維強化材料をさらに含んでよい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一実施形態によれば、蓄電材料は、高導電性炭素材料21〜65%、高比表面積炭素材料35〜65%、鉛3〜40%、バインダー5〜20%、及び繊維強化材料2〜10%からなる。
【0014】
層構造により、特に、上述の蓄電材料中の炭素材料の総量により、電池の最適な作動がもたらされることが見出されている。そのうえ、それぞれの負極電極の蓄電材料は、負極電池電極材料の1から15重量%の間を構成すべきことが見出されている。1%未満は、装置の最低限必要な性能には不十分である。10%超では飽和に達するので、さらなる重量増がさらに性能を増進させないことが見出されている。しかしながら、費用及び重量を考慮しなければ、10%を上回る蓄電材料の質量の増加は、約15%の水準まで許容できる。
【0015】
層構造により、鉛蓄電池材料及び炭素蓄電材料との反応により形成される、蓄電材料と電池材料との間の密着性界面の実質的な領域が得られ、電極の機械的強度を高め、電極の電気抵抗を低減することにつながることが見出されている。これらの有益な効果に加えて、作動中に、蓄電材料中のより多くの鉛含有物が、ガス発生を低下させるのに十分な電極電位を制御する、蓄電材料と直接接触している電池材料から移行する。
【0016】
最も効果的な作動のためには、蓄電材料の層で、正極に向かい合う負極電極の全有効面積を被覆することが見出されている。一般に、鉛酸蓄電池中の負極電極は、両面を鉛系電池電極材料でコーティングされた(グリッドの形であり得る)集電体を含む。負極電極の一部又は片面のみが蓄電材料により覆われることがあるとはいえ、負極電極が、鉛酸蓄電池材料によりコーティングされた集電体と、正極電極に向かい合う、鉛酸蓄電池材料のそれぞれの表面を被覆する蓄電材料の層とを含むことが好ましい。
【0017】
製造中においては、負極電池電極材料でコーティングした負極電極上に蓄電材料を塗布する前に、この電極を形成しても形成しなくてもよいことが特記される。
【0018】
好ましくは、鉛系電池電極材料を被覆する蓄電材料は、50〜90%の間の空隙率を有する。
【0019】
一実施形態によれば、正極電極は、一般に、鉛合金から形成された(グリッドの形であり得る)正極集電体を含む。好ましくは、その鉛合金は、Baを0.005〜0.015重量%、Caを0.03〜0.08重量%、Snを0.4〜2.2重量%、及び鉛を含む。好ましくは、鉛は、その合金材料の残分を構成する。この合金材料は、特許請求した種類の電池について高耐食性を有するので、この合金材料が最適である。
【0020】
電池は、制御弁式鉛酸蓄電池であってよい。この電池種において、好ましくは、電池は、隣接する電極の間に、吸収性ガラスマイクロファイバー又はガラスマット吸収式(AGM)セパレータを含む。さらに、制御弁式鉛酸蓄電池は、好ましくは、20から100kPaの間の電極圧力を有する。
【0021】
電池が、制御弁式鉛酸蓄電池型である場合、その電池は、好ましくは、95〜60%の間の充電状態(SoC)で作動するが、それは、95〜30%の間のSoCであってよい。
【0022】
電池は、注液式電解質型であってよい。この場合において、電極圧力は、5から45kPaの間であるのが好ましい。この実施形態において、多孔質ポリエチレン膜セパレータ等の多孔質ポリマーセパレータは、隣接する正極電極と負極電極との間に位置することが好ましい。多孔質ポリエチレンセパレータは、場合によって、不織布材料の強化材をさらに含むことができる。
【0023】
電池が、注液式電解質型である場合、好ましくは、98〜80%の間のSoCで作動する。自動車の用途において、車両は、好ましくは、注液式電解質電池、内燃エンジン及び交流発電機を含み、アイドリング、停車及び発車の動作のために車両へ電気を供給する。
【0024】
好ましくは、鉛酸蓄電池は、交互の一連の正極電極及び負極電極を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る鉛酸蓄電池の概略側面図である。
【図2】図1の鉛酸蓄電池の概略平面図である。
【0026】
次に、本発明の好ましい実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0027】
いかなる疑義をも回避するために、表現の言い回し、及び必要な暗示のため、文脈が別に必要とするときを除き、「含む(comprise)」の単語、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」等の変形は、包含的意味で、すなわち、述べられた特徴の存在を明示するためであるが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在又は追加を排除するためでないように用いられる。
【0028】
全体的特徴
「鉛酸蓄電池」の用語は、その最も広い意味で用いられて、1つ又は複数の鉛酸蓄電池セルを含有する任意のユニットを含む。
【0029】
記載の鉛酸蓄電池は、鉛系電池電極材料のコーティングを含む少なくとも1つの負極電極と、蓄電材料の少なくとも1箇所の被覆領域と、少なくとも1つの二酸化鉛系正極電極とを含有する。
【0030】
電極の構造
電極は、一般に、活性電池電極材料が塗布された集電体(別に、グリッド又は板(プレート)として知られる)を含む。活性電池電極材料は、最も一般的には、集電体にペーストの形で塗布され、本明細書において、ペーストの用語は、集電体に任意の方法で塗布される組成物を含有する、すべてのこうした活性材料に適用される。電極の文脈において用いられる「系」の用語は、活性電極材料を指すことを意図したものである。この用語は、事実でないのに電極が完全に活性材料から形成されていると示唆することを回避するために用いられる。その用語は、所与の電極の活性材料が、具体的に言及した活性材料以外の添加剤又は材料を含有し得ることを示すことを意図したものでもある。
【0031】
電極
(蓄電材料を塗布する前の)負極電極及び正極電極は、鉛酸蓄電池における使用に適した、任意の配列又は種類であり得る。一般に、このような電極は、グリッド上にペーストした電気化学的活性材料(鉛又は二酸化鉛)を支持している集電体又は金属グリッド(通常は鉛又は鉛合金製である)の形である。ペーストする操作は、当技術分野において周知である。電池の形成前に、活性材料が活性な形でないことがあり得る(すなわち、活性材料が、金属の形ではない、又は二酸化物の形ではないことがあり得る)ことを特記すべきである。このように、これらの用語は、電池を形成するときに鉛金属又は二酸化鉛に転換されるそれらの他の形が含まれる。
【0032】
集電体(グリッド)合金
装置の寿命は、主に正極電極により制御され、正極電極の基材は、腐食電位に曝されることがある。腐食は、グリッドの内部抵抗増加、成長又はクリープ変形につながり、そのことが、電池の欠陥すなわち装置の完全性の損失、及び最終的には電極構造の破壊につながる。
【0033】
これらの問題を回避するために、正極電極の集電体又はグリッドに、以下の合金を用いるのが有利であることが見出されている。すなわち、カルシウムを0.05〜0.08重量%、錫を1〜2重量%、場合によってバリウム、そして残分の鉛である。
【0034】
負極電極の集電体又はグリッドは、好ましくは、カルシウム0.06〜0.12重量%、錫0〜1重量%、及び残分の鉛、又は残分の鉛を伴う錫1〜2重量%、又は鉛のみを含む。
【0035】
蓄電材料
蓄電材料は、負極電極の少なくとも1領域に塗布され、負極電池材料を被覆する。蓄電電極材料は、一般に、(水又は有機の)液体中に蓄電材料成分を含むペーストとして塗布される。
【0036】
蓄電材料は、高比表面積(SSA)炭素材料を30〜70重量%の量で含む。これらの高比表面積炭素蓄電材料には、活性炭された炭(すなわち活性炭)、カーボンナノ粒子、又はカーボンナノチューブ(CNT)、メソポーラスカーボン及びそれらの混合物を含むナノカーボンが挙げられる。比表面積は、1000から3000m/g、好ましくは1000〜2500m/gの間である。現在のところ費用上の理由から、一般的に導電性ではない活性炭が手頃な原料である。
【0037】
蓄電材料中に20〜65重量%の間の量で存在する高導電性炭素材料には、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ(CNT)、気相成長のファイバー又はウィスカ、グラファイトファイバー、及びそれらの混合物が挙げられる。カーボンブラックは、元素炭素の粉末の形であり、一連の工程により作製され、任意のこうしたカーボンブラックを用いることができる。様々なカーボンブラックの例には、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラックが挙げられ、その表面積は、1000m/g未満であり、活性炭の表面積よりはるかに小さい。
【0038】
しかし、CNTのようなナノカーボンには、導電性で、約1000m/gのかなり大きな表面積をもつものもあり、その場合、このようなカーボンは、上述の2種類の炭素材料の一方の群として機能することができる。
【0039】
蓄電炭素材料は、不純物、及び異質な元素、及び意図的な改質のための基を含むが、全体として化学的に炭素である。一般的な例は、活性炭の表面上の官能基であり、場合により使用可能であるカーボンブラック粒子中のホウ素である。
【0040】
カーボンブラックの一般的な粒径は、10〜400nmであるが、カーボンブラックは、約100〜800nmの大きさの凝集体を形成する傾向がある。
【0041】
蓄電材料は、一般に、バインダーをさらに含む。スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ネオプレン及びカルボキシメチルセルロース(CMC)、又はそれらの混合物等の、当技術分野において既知の任意のバインダーを用いることができる。バインダーは、蓄電混合物の1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の量で適切に用いられる。
【0042】
蓄電材料は、繊維強化材料(FRM)も含むことができる。20〜500のアスペクト比をもつ繊維強化材料が好ましい。適切な材料には、ポリエステル繊維(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル等のプラスチック繊維、並びに炭素又はグラファイトの繊維、及び気相成長ウィスカが挙げられる。これらの繊維は、直径1〜30μm、長さ0.05〜2mmの間であってよい。それらは、適切には、蓄電材料の0〜10重量%を構成する。
【0043】
蓄電材料は、好ましくは、少なくとも0.1%、好ましくは3〜40%の含有率で、負の電位を制御することを可能にする鉛をさらに含む。電極の電位変化により、鉛成分は、微粒子の形で、及び/又は炭素表面上に吸着されて、金属状態、又は硫酸塩等の対イオンをもつ化合物としての酸化状態にある。
【0044】
蓄電材料の塗布
蓄電材料は、負極電池材料上に層として適切に塗布される。蓄電材料と水又は溶媒とを含む粘性混合物を、ドクターブレード、ロールコーター及びディップコーター等の様々な方法によりコーティングすることができる。別の塗布技術は、蓄電材料の予備形成シートを用いることによる接着又は積層である。製造の観点から、好ましい予備形成シートは、紙シート、及びプラスチック又はガラスの繊維の不織シート等の多孔質の薄いシート上にコーティングした蓄電材料を含む。
【0045】
混合物の調製前に、蓄電材料の成分の少なくとも一部を、粉砕、研磨、研削、分散、混合又は類似のものにより混合する。これにより、緻密性及び高エネルギー密度とともに、電池部及び蓄電部の高い機能性が最適に保持される。さらに、電池材料層と蓄電材料層との間の生成界面により、鉛と炭素との反応により、負極電極の最適な構造及び特性を達成することが可能になる。
【0046】
(全負極材料の質量−電池部及び蓄電部の重量%として)蓄電材料の厚さは、好ましくは1%から15%の間である。1%未満では、蓄電層が薄すぎて、ハイブリッド性能の利点を得ることができない。ハイブリッド性能は、(負極材料の質量の)10重量%で飽和となる。この水準を超えると、蓄電材料質量の増加により性能が向上し続けることはないが、15重量%までは耐えることができる。
【0047】
蓄電材料の多孔性は、イオンの運搬のために必要であり、蓄電層とその下にある電池負極電池材料との両方に不可欠である。多孔性は、蓄電材料が負極電池材料の表面積の90%以上を被覆するときに特に必要である。空隙率は、好ましくは50〜90%である。
【0048】
蓄電材料は液体中のペーストとして塗布され、その液体を、ペーストの塗布後に蒸発させる。構成成分は混合され、水又は有機溶媒等の液体中に分散される。他の添加剤、特に、CMC、MC、PVA及びポリアクリレート等のバインダーを、ペースト組成物中に含むことができる。有機ペーストには、NMPを溶媒として用いることができる。
【0049】
物理的構成
電極は、任意の適切な形状であることができ、したがって、平板の形、又は角柱状若しくはらせん巻きのセルを形成するためのらせん巻きプレートの形であることができる。設計を単純にするために、平板が好ましい。集電体は、好ましくはグリッドの形である。
【0050】
電解質
鉛酸蓄電池の場合では、任意の適切な酸電解質を用いることができる。電解質は、例えば、液体又はゲルの形であってよい。硫酸電解質が好ましい。
【0051】
電解質は、不足及び腐食を防止するために、アルカリ硫酸塩又はアルカリ土類硫酸塩等の添加剤を含有することができる。アルミニウム含有物は、電池の寿命を保つのに有効である。アルミニウム含有量は、好ましくはAlイオン0.01〜0.3mol/L、すなわちAl(SO.18HOを5〜50g/Lである。
【0052】
電極板又は導線
鉛酸蓄電池の電極板は、任意の適切な構造であることができ、当技術分野において既知の任意の適切な導電性材料から作製され得る。電極板の文脈において用いられる「接続される」の用語は、電気的な接続を指すが、直接の物理的接触が好ましい。電池が、電極板をもつ一般的な鉛酸蓄電池の構造でない場合、電池外部の回路部品を含まない任意の導線を使用してよい。
【0053】
他の電池の特徴
一般に、使用する電池の種類に適したさらなる特徴をもつ、電池の構成要素を、電池ケース内に含有する。その電池ケースには、電池との電気的接続のための外部端子(正及び負)を含む。鉛酸蓄電池は、注液式電解質の設計、又は制御弁式の設計であってよい。鉛酸蓄電池が、制御弁式鉛酸蓄電池である場合、電池は、任意の適切な設計であってよく、例えばゲル電解質を含有することができる。こうした設計に適した電池ユニットの具体的な特徴は、本発明の技術分野においては周知である。
【0054】
鉛酸蓄電池のプレート群にかけられ得る圧力は、注液式電解質の設計については5〜45kPa、制御弁式鉛酸蓄電池の設計については20〜100kPaの範囲であってよい。圧力は、多孔質電極を機械的に保護するために、プレートの全面に、好ましくは均一でなければならず、したがって、固体シート又は弾性体のスペーサを、容器の壁とその群との間に挿入することがある。
【0055】
セパレータ
一般に、それぞれの正極電極及び負極電極は、多孔質セパレータにより隣接する電極から分離されている。圧力が電極の横から電極にかけられたときに、セパレータは特に重要である。
【0056】
セパレータは、隣接する電極の間の適切な分離距離を維持し、群の圧力を維持する。隣接する電極の間に位置するセパレータを、ポリエチレンを含む多孔質ポリマー材料、不織布材料、及び吸収性ガラスマイクロファイバー(「AGM」)等の、当技術分野において一般に用いられる任意の適切な多孔質材料から作製することができる。制御弁式鉛酸蓄電池には、AGMセパレータが好ましい。注液式電解質型電池のためのセパレータは、好ましくは、場合によって不織布材料で強化され得るポリエチレン(PE)膜等のポリマー膜から選択される。AGMセパレータは、0.8から2.5ミリメートルの間の厚さであり得る一方で、ポリエチレンセパレータは、適切には、1から1.5ミリメートルの間の厚さである。
【0057】
鉛酸蓄電池の形成
鉛酸蓄電池の電極は、「形成」される必要がある。これは、電池の組立て(「槽形成」)前の類似の電極をもつバルクで、又は組み立てられた電池の中で行われ得る。形成の操作は、当技術分野において周知である。「鉛系」材料及び「二酸化鉛系」材料への言及は、鉛自体若しくは二酸化鉛自体、金属/金属二酸化物を含有する材料、又は場合によっては所与の電極で鉛若しくは二酸化鉛に転換される材料を指すのに用いられると理解されるべきである。
【0058】
上記で用いた言い回しによって示されるように、鉛酸蓄電池は、それぞれの種類の電極の少なくとも1つを含有する。蓄電池中の個々のセル(負極プレート及び正極プレートから作製される)の数は、それぞれの電池の所望の電圧次第である。マイルドハイブリッド車の電池(42ボルトまで充電できる)として使用するのに適した36ボルト電池には、18個のセルの使用が含まれる。
【0059】
機能及び特徴
本願の装置は、部分充電状態(PSOC)の条件下でうまく機能する利点がある一方、充電性能及び放電性能のようないくつかの特徴が、従来の鉛酸蓄電池より良好である。PSOC下で、サルフェーション、すなわち硬質PbSO結晶の成長が軽減され、大処理量のためのPSOCサイクル下での作動と、PSOCの長い休止期間中に装置を作動可能に保つこととを可能にする。PbSOの特性と同じ推移である、充電アクセプタンス性能及び深放電性能は実質的に高められる。さらに、蓄電領域の存在により、電池反応の反応性が高まり、容量の改良につながる。PSOCは、実際には、80〜98%のSOCと50〜80%との2つの範囲に分けられる。前者の浅いPSOCは、放電性能についてのものであり、後者の深いPSOCは、再充電性能すなわち再生性能についてのものである。
【0060】
VRLA及び注液型の両者を、自動車及び工業(据付及び牽引)の用途を含む、幅広い様々な二次電池用途において用いることができる。
【0061】
注液式鉛酸蓄電池は、最近、自動車のSLI(従来のスターティング−ライトニング−イグニション)電池として用いられているが、本明細書に記載のPSOCにおける注液型は、現今、これらの用途に用いることができ、それらのすべてが自動車車両における良好な燃費に必要である、アイドリングストップ、回生ブレーキ及びスタートアシスト等のさらなる利点をもたらす。注液式電解質電池を用いるこうしたハイブリッド車(HEV)は、マイクロHEVと呼ばれる。VRLA型の電池もうまく機能するが、注液型は、低費用及び高熱容量の2つの利点を有する。自動車の電池は、一般に、ボンネット下のエンジン室内に搭載され、そこでは、電池は、エンジン及び電気回路からの多量の熱流に曝される。より小さい熱容量のVRLA電池は、熱散逸、及び加速された水損失の傾向がある。したがって、VRLA型の電池は、トランクルーム/ブーツルームの領域内に搭載されるべきである。この用途において、PSOCは、80〜98%、好ましくは90〜98%の浅さである。
【0062】
自動車用途のための、この電池のVRLA型は、より深いPSOCを有するので、回生ブレーキがブレーキエネルギーを回収するためにうまく機能し、燃費を改善する。これは、マイルドHEVと呼ばれるある種類のHEVにおける使用に適する。
【実施例】
【0063】
本発明の一実施形態の鉛酸蓄電池を、図1及び2に概略的に図示する。説明を容易にするために、図示した電池は、電池の市販の形で一般に含有されるセル数より少ないセルを有している。
【0064】
電池は、3つの二酸化鉛正極プレート(1)、及び2つの負極電極(2)を含む。負極電極は、集電体又はグリッド(3)を含み、鉛含有電池電極ペースト組成物がそれに塗布され(4)、鉛負極材料の表面上に蓄電材料ペーストが塗布されている(5)。これには、正極電極に向かい合う電極面が含まれる。
【0065】
電極の形成は、当技術分野において既知の方法で行われる。製造がより簡単な、この実施形態についての変形においては、鉛系負極電極が、従来の技術により、鉛ペースト材料の本体部分にペーストされた鉛により調製され、それが硬化、乾燥された後に、蓄電材料を、この鉛系負極電極の表面上に(例えばディッピングにより)ペーストする。形成を、蓄電電極材料を塗布する前及び後に行うことができる。正極電極(1)及び負極電極(2)は、電池ケース(6)中に交互の配列で設置される。
【0066】
図1に図示する実施形態の二酸化鉛正極電極(1)及び負極電極(2)は、76ミリメートル幅×76ミリメートル高×0.8〜1.7ミリメートル厚である。負極電極の蓄電材料領域(5)は、負極電極の厚みの0.5ミリメートル、すなわち負極電池電極材料の10重量%以下を占める。
【0067】
セパレータ(7)は、隣接する電極の間に位置する。厚さで1.1ミリメートルの吸収性ガラスマイクロファイバー(AGM)セパレータ(7)は、正極電極(1)と負極電極(2)との間に設置される。
【0068】
電池ケース(6)は、硫酸溶液(8)で満たされる。正極電極は、正電極板(9)に接続され、負極電極は、負電極板(10)に接続される。
【0069】
(実施例1)
VRLA配列での6セルのモノブロック電池(87mmW×150mmL×110mmH)を、以下の構成要素、工程及び条件で組み立てた。
【0070】
負極電極:76mmW×76mmH×1.4mm厚のグリッド(Ca0.1%を含むPb)、5枚/セル
【0071】
酸化鉛、エキスパンダー、ポリエステル繊維及び硫酸の水性混合物(密度4.0)を、従来の方法により、グリッドに塗布、硬化、乾燥させ、次いで槽形成した。
【0072】
蓄電混合物は、
【表1】


から構成される。
【0073】
混合物を、形成されたすべてのプレートの両面にドクターブレード法により塗布、乾燥する。蓄電物質量は、75%の空隙率をもち、全負極活動量(乾燥ベース)の5%であった。
【0074】
正極電極:76mmW×76mmH×1.7mm厚のグリッド(Ca0.035%、Ba0.007%、Sn1.8%を含むPb)、4枚/セル
【0075】
酸化鉛、硫酸及びポリエステル繊維の水性混合物(密度4.2)を、グリッドに塗布し、硬化、乾燥させ、従来の方法により槽形成する。
【0076】
セパレータ:AGM1.1mm厚
【0077】
AGMを挟んだ両極6群は、キャストオンストラップ(COS)装置で接続し、60kPaの群の圧力で6つのセルの中に挿入、密封し、次いで電解質を注入した。
【0078】
電解質:Al(SO.18HOを30g/L含有する、比重1.30の硫酸水溶液。
【0079】
活性化を以下のように行った。すなわち、
1Aの定電流充電15時間、
10.5Vに電圧低下するまでの、2Aの定電流放電、
1Aの定電流充電15時間、
5時間レートでの容量を、10.2Ahとして測定した。
【0080】
活性化後に、調査対象の電池を分解し、蓄電層を化学的に分析し、電極部分をEPMAにより調査した。鉛含有率は、1.9%であり、電池物及び蓄電物の界面付近に多少鉛リッチで分布していた。
【0081】
放電の電池容量は、5時間レートで測定した。
【0082】
(参照例1)
実施例1の負極電極の代わりに、以下のようなある種の参照構造を有する負極電極を調製した。すなわち、
負極電極の半分の面積に電池混合物をペーストし、他の半分に蓄電混合物をペーストした。半分とは、左面と右面とであり、両面に電池材料又は蓄電材料をそれぞれコーティングした。
【0083】
(参照例2)
実施例1で用いた容器の代わりに、新しいより大きな容器(87mmW×220mmL×110mmH)を用いて、以下の群の圧力を60kPaに保った電池部及び蓄電部から構成される同じプレートの群を挿入した。電池部は、上記の実施例1と同じであり、蓄電部は、連続して交互に配列した、5つの蓄電負極電極及び4つの正極電極から構成され、0.5mm厚のAGMを挟んだ。両電極を、蓄電電池混合物及び正極電池混合物をそれぞれコーティングすることによる、45%の穴あけ開口部をもつ0.6mm厚の鉛シート基材で組み立て、負極電極及び正極電極の乾燥厚さは、それぞれ約0.9及び0.7mm厚であった。基材は、実施例1と同じ合金であった。蓄電材料の質量は、電池材料の5重量%であった。正極電極は、積層及び組立ての前に槽形成した。
【0084】
すべての負極電極及び正極電極を、溶接(COS)して、それぞれ、平行にして電気的に接続し、6つのセルに挿入、密封した。次いで、電解質を注入した。活性化を同様に行った。
【0085】
容量を測定し、結果を以下に記した。
【表2】

【0086】
鉛酸蓄電池プレート上に蓄電層をコーティングすることは、鉛酸蓄電池プレートがエネルギーを与える利益を有し得る一方で、蓄電電極は出力を与える。層構造をもつ実施例1は、他の2つの構造に比べて、明らかに高い値を示す。
【0087】
(実施例2)
上記の実施例1を繰り返したが、以下の変化をもたせた。
蓄電混合物の組成
【表3】

【0088】
蓄電層の質量は、全負極質量の10%であり、空隙率は65%であった。
【0089】
容量及びサイクル寿命の結果を表1に示す。
【0090】
(実施例3)
上記の実施例1を繰り返したが、以下の変化をもたせた。
蓄電混合物の組成
【表4】

【0091】
蓄電層の質量は8%であり、空隙率は65%であった。
【0092】
結果を表1に示す。
【0093】
(実施例4)
上記の実施例1を繰り返したが、以下の変化をもたせた。
蓄電混合物の組成
【表5】

【0094】
蓄電層の質量は10%であり、空隙率は65%であった。
【0095】
結果を表1に示す。
【0096】
(実施例5)
上記の実施例1を繰り返したが、以下の変化をもたせた。すなわち、
蓄電層の質量は2%であり、空隙率は65%であった。
【0097】
(実施例6)
上記の実施例1を繰り返したが、以下の変化をもたせた。すなわち、
蓄電コーティングを、プレートの片面のみに塗布した。質量は、全負極質量の5%であった。
【0098】
(実施例7)
上記の実施例1を繰り返したが、以下の変化をもたせた。
【表6】

【0099】
(実施例8)
上記の実施例1を繰り返したが、以下の変化をもたせた。
【表7】

【0100】
(実施例9)
実施例1における正極グリッド合金に代わり、Baのない合金を用いた。電解質は、Al添加剤を含有しなかった。
【0101】
合金の元素:Sn1.5質量%、Ca0.06%、Al0.002%
【0102】
(参照例3)
上記の実施例1を繰り返したが、以下の変化をもたせた。
すなわち、蓄電材料コーティングを塗布しなかった。
【0103】
(参照例4)
上記の実施例1を繰り返したが、以下の変化をもたせた。
【表8】

【0104】
(参照例5)
上記の実施例1を繰り返したが、以下の変化をもたせた。
【表9】

【0105】
(参照例6)
実施例1における層にしたコーティングに代わり、5%の乾燥し粉状にした蓄電混合物を、負極電池混合物に加えた。
【0106】
上記の電池に関して、ハイブリッド車用途(HEV)のための電池性能を以下のように試験した。すなわち、
サイクルパターン:電池を2Aで1時間放電し、80%SOCに到達させ、次いで、
50Aの放電1秒間と、20Aの充電1秒間とを500セット、
次いで、30Aの充電1秒間と、休止1秒間とを510セット適用した。
【0107】
連続した上記のセットを1サイクルとして数え、サイクル寿命は、電池電圧が0Vに達したときに決定した。
【0108】
実施例1の試験後に、鉛含有率と、蓄電層部分の中のその分布を検査した。鉛の含浸が、平均で30.2重量%にまで進んだことを確認した。この後、蓄電物中の鉛含有率を、前及び後の値の平均として算出する。
【0109】
結果を表1に示す。
【表10】

【0110】
本発明のすべての実施例は、PSOC操作下でのより長いサイクル寿命を有していた。従来のBa不含合金を用いる実施例9は、正極グリッドの腐食と内部抵抗の増大につながることとにより、より短い寿命を有する。参照例について、蓄電材料のない従来の電池(対照)の参照例3は、最も貧弱な結果を示した。特許請求の範囲の水準外の蓄電材料を含む参照例4及び参照例5は、より貧弱に機能した。
【0111】
特許請求の構造と異なる電極構造をもつ参照例1及び参照例2は、前述のようにエネルギー密度がより低く、より短い寿命を示した。このことは、電池材料と蓄電材料との間の界面が存在しないことに関連するものと仮定される。電池材料と蓄電材料との両方の混合物を含有する参照例6も、短いPSOCサイクル寿命であった。
【0112】
(実施例11)
注液式配列での6個のセル(JIS B24の大きさ)のモノブロック電池(126mmW×236mmL×200mmH)を、以下の構成要素、工程及び条件で組み立てた。
【0113】
負極電極:102mmW×108.5mmH×1.5mm厚のグリッド(Ca0.1%を含むPb)、7枚/セル
【0114】
酸化鉛、エキスパンダー、ポリプロピレン繊維及び硫酸の水性混合物(密度4.0)を、従来の方法により、グリッドに塗布、硬化、乾燥させた。
【0115】
蓄電混合物は、
【表11】


から構成される。
【0116】
蓄電混合物を、すべてのプレートの両面にドクターブレード法により塗布し乾燥させる。蓄電物は、75%の空隙率をもち、全負極活物質質量(乾燥ベース)の5%であった。
【0117】
正極電極:102mmW×108.5mmH×1.7mm厚のグリッド(Ca0.035%、Ba0.007%、Sn1.8%を含むPb)、6枚/セル
【0118】
酸化鉛、硫酸及びポリエステル繊維の水性混合物(密度4.2)を、従来の方法により、グリッドに塗布し、硬化、乾燥させる。
【0119】
セパレータ:不織ガラスファイバー層で被覆された多孔質ポリエチレン(PE)シートで、1.0mm厚。
【0120】
電解質:比重1.24の硫酸。
【0121】
正極電極をセパレータシートで覆った後、6群の両極をCOS装置で接続し、次いで20kPaの群の圧力でモノブロック容器の6つのセルに挿入した。ふた板を溶接し、次いで電解質を注入した。次いで、35℃の水浴中で容器形成を行い、10時間の間、理論値の180%である全電気(76Ah)を印加した。
【0122】
電池容量を、5時間レートで42.0Ahとして測定した。
【0123】
自動車のアイドリングストップサイクルのための電池性能を、以下のように試験した。すなわち、
放電 59秒間45A、及び1秒間300A
充電 14.0Vで60秒間100A
【0124】
上記の放電−充電を、3600サイクル繰り返し、その後48時間の休止を続けた。この手順を、電池の電圧が、サイクル寿命の中断電圧である7.2Vに減少するまで、25℃の環境の中で続けた。
【0125】
結果を表2に示す。
【0126】
(実施例12)
上記の実施例11を繰り返したが、以下の変化をもたせた。すなわち、
群の圧力を40kPaに設定し、電解質にAl(SO.18HOを15g/Lで加えた。
【0127】
(実施例13)
上記の実施例11を繰り返したが、以下の変化をもたせた。すなわち、
群の圧力を8kPaに変化させた。
【0128】
(実施例14)
上記の実施例11を繰り返したが、以下の変化をもたせた。すなわち、
蓄電混合物が、
【表12】


から構成される。
【0129】
セパレータを、不織ガラスファイバー層のない多孔質PEシートに変え、群の圧力を15kPaに変えた。
【0130】
(参照例11)
上記の実施例11を繰り返したが、以下の変化をもたせた。すなわち、
蓄電コーティングを塗布しなかった。
【0131】
(参照例12)
上記の実施例11を繰り返したが、以下の変化をもたせた。すなわち、
群の圧力を55kPaとした。
【0132】
(参照例13)
上記の実施例11を繰り返したが、以下の変化をもたせた。すなわち、
群の圧力を3kPaとした。
【0133】
【表13】

【0134】
参照例12の場合において、サイクル寿命は長いが、Ah容量は低下した。参照例13の場合における短寿命は、蓄電層の剥離によるものであった。
【0135】
上述の実施形態及び実施例に対しては、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変更をすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛系電池電極材料と、該鉛系電池電極材料を被覆する少なくとも1領域の蓄電材料とを含む少なくとも1つの負極電極であって、各電極が電池の外部端子に電気的に接続されている、少なくとも1つの負極電極と、
少なくとも1つの正極電極であって、各正極電極が電池の第2の外部端子に電気的に接続されている、少なくとも1つの二酸化鉛系電池正極と、
向かい合う電極に差し挟むセパレータと、
少なくとも、電極とセパレータとの空間を満たす電解質と
を含み、
該鉛系電池電極材料を被覆する蓄電材料が、20〜65重量%の高導電性炭素材料、30〜70%の高比表面積炭素材料、少なくとも0.1%の鉛及びバインダーを含む鉛酸蓄電池。
【請求項2】
バインダーが、1から30重量%の間の量で存在する、請求項1に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項3】
蓄電材料が、繊維強化材料を0から10重量%の量でさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項4】
蓄電材料が、21〜65%の高導電性炭素材料、35〜65%の高比表面積炭素材料、3〜40%の鉛、5〜20%のバインダー、及び2〜10%の繊維強化材料からなる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項5】
各負極電極の蓄電材料が、負極電池電極材料に対して1から15重量%の間を構成する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項6】
蓄電材料の層により、正極電極に向かい合う負極電池材料の全表面積が被覆されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項7】
負極電極の各々が、両面を鉛系電池電極材料でコーティングされた集電体を含み、蓄電材料の層により、正極電極に向かい合う鉛酸蓄電池電極材料の各面が被覆されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項8】
鉛系電池電極材料を被覆する蓄電材料が、50〜90%の間の空隙率を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項9】
電解質が、0.01〜0.3mol/Lのアルミニウム、すなわち、5〜50g/LのAl(SO.18HOを含有する硫酸水溶液を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項10】
正極電極が、0.005〜0.015重量%のBa、0.03〜0.08重量%のCa、0.4〜2.2重量%のSn、及び鉛を含む鉛合金から形成される正極集電体を含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項11】
鉛が、合金材料の残分を構成する、請求項10に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項12】
制御弁式鉛酸蓄電池である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項13】
隣接する電極の間に、吸収性ガラスマイクロファイバー又はガラスマット吸収式のセパレータをさらに含む、請求項12に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項14】
電池が、20から100kPaの間の電極圧力を有する、請求項12又は13に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項15】
95〜50%の間のSoCで動作可能である、請求項12から14までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項16】
注液式電解質鉛酸蓄電池である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
【請求項17】
電池が5から45kPaの間の電極圧力を有する、請求項16に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項18】
隣接する正極電極と負極電極との間に、多孔質ポリマーセパレータをさらに含む、請求項16又は17に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項19】
多孔質ポリマーセパレータが、不織布材料の強化材をさらに含む、請求項18に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項20】
98〜80%の間のSoCで動作可能である、請求項16から19までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池。
【請求項21】
請求項16から20までのいずれか一項に記載の鉛酸蓄電池と、内燃エンジンと、交流発電機とを含む自動車。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−521783(P2010−521783A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553869(P2009−553869)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000405
【国際公開番号】WO2008/113133
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(305039998)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション (92)
【出願人】(000005382)古河電池株式会社 (314)
【Fターム(参考)】