有価証券類の印刷物
【課題】宝くじ、商品券、抽選券等の有価証券類の可変情報印刷領域を認識し、複写防止機能や偽造防止機能やセキュリティー機能を保持していると共に、改竄や偽造が寸時に識別できる有価証券類の印刷物に関する。
【解決手段】
シート状基材上に可変情報印刷部と贋造識別印刷部を有する有価証券類の印刷物であって、前記可変情報印刷領域の一部または全面のいずれかの下部または上部に贋造識別印刷領域を設けたことを特徴とする有価証券類の印刷物である。
【解決手段】
シート状基材上に可変情報印刷部と贋造識別印刷部を有する有価証券類の印刷物であって、前記可変情報印刷領域の一部または全面のいずれかの下部または上部に贋造識別印刷領域を設けたことを特徴とする有価証券類の印刷物である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宝くじ、商品券、抽選券等の有価証券類の可変情報印刷領域を認識し、贋造や偽造を防止する有価証券類の印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写防止機能や偽造防止機能やセキュリティー機能を保持することを必要とする印刷物が益々多用されるようになってきている。
【0003】
そして、透明フィルムに微細な多数の平行線条の万線パターンを備えた万線シートを使用した印刷物なども用いられている。この印刷物は万線シートを使用することにより画像を観察できる印刷物である。
【0004】
さらに、この印刷物は、万線シートを印刷物上に重ね合わせると、潜像パターンが浮かび上がる、「万線モアレ」を応用した印刷物である。この印刷物は下記図9(a)〜(d)に示すような仕組みとなっている。
【0005】
図7(a)は、用紙130に印刷により形成された万線パターンのない通常印刷画像131、図7(b)は別の用紙130に印刷形成された同一線幅の多数本の平行な直線をその線幅と同一ピッチ(等間隔)で配置した平行直線により構成された万線パターン132、図7(c)は同一用紙130に前記通常印刷画像131と万線パターン132とを重ね刷り印刷した印刷物133である。
【0006】
図7(b)に示す万線パターン132には、潜像万線パターン140(例えば、図示するようにハート形パターン部分)を備え、この万線パターン132における潜像万線パターン140は、図7(d)のM部分拡大図に示すように、潜像万線パターン140の内側領域と外側領域のそれぞれ平行直線(万線)のピッチ位相を両領域の境界相当部分(潜像万線パターン140の輪郭線)に沿って半ピッチ分ずらすことにより形成されている。
【0007】
上記万線パターン132を構成する平行直線(万線)は、通常印刷画像131の印刷デザインの支障にならない程度の細い微細な線幅となっている。また、この万線パターン132の内側領域に形成されている潜像万線パターン140の万線はその外側領域の万線に対してピッチ位相がずれているだけであり、しかも万線は微細であるので、潜像万線パターン140は視覚的には(見かけ上は)画像としては何も目視観察されず、印刷物133には通常印刷画像131と万線パターン132だけが観察される。
【0008】
さらに、カラー複写機などでは偽造が極めて困難であり、かつ廉価で製造する事が可能であって、真正品と偽造品を簡単な装置を用いて明確に判別することができる偽造防止印刷物(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【0009】
この偽造防止印刷物100は図10(a)、(b)に示すように少なくとも基材101の片面上にコレステリック液晶層102とサーモトロピック性を示す高分子液晶層103を順次設けている。さらに、サーモトロピック性を示す高分子液晶層103の少なくとも一部を配向させている。そして、円偏光フィルタを通して観察すると所望のパターンが出現する。
【0010】
また、真偽の判別の容易な偽造判定効果を有し極めて高い偽造防止効果を発揮する、光学的性質の異なる膜を交互に積層した光学機能層を用いてなる偽造防止用積層体(例えば
、特許文献2参照。)も知られている。
【0011】
この偽造防止用積層体200は図11に示すように、光学機能層110が、金属膜107/低屈折率層と高屈折率層を交互に積層してなるセラミック多層膜。あるいは低屈折率か高屈折率のセラミック多層膜110(108〜109)/金属膜。あるいは低屈折率層と高屈折率層を交互に積層してなるセラミック多層膜あるいは低屈折率か高屈折率のセラミック多層膜110(108〜109)、金属膜(107、109)、からなっている。そして、その構成として、基材105上に、場合によっては剥離層106を有し、光学機能層、接着層111が順次積層されている。
【0012】
さらに、偽造防止用証紙が故意に剥がされたり、或いは経時で剥がれたとしても、その有価証券印刷物が真券であるか、偽造であるかを容易に鑑定できる偽造防止が施された有価証券印刷物(例えば、特許文献3参照。)も知られている。
【0013】
この、有価証券印刷物300は図12(a)、(b)に示すように所定領域にホログラムシール、箔等の偽造防止用証紙120を貼着している。そして、有価証券印刷物の偽造防止証紙下に、予め有色或いは透明な蛍光インキにより柄層121が設けられている。
【0014】
また、印刷物およびカードを偽造しようとする行為を困難にして偽造防止効果を著しく高められることことができる印刷物およびカード(例えば、特許文献4参照。)も知られている。
【0015】
この印刷物およびカード400は図13に示すようにカード本体の内部に、光またはおよび熱でのみ現像処理が可能なタイプのホログラム感光材料113を設け、かつカード本体の少なくともホログラム観察面側に、透明層114を設けている。
【0016】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2003−145912号公報
【特許文献2】特開平8−323911号公報
【特許文献3】特開平9−175067号公報
【特許文献4】特開平7−96693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1の偽造防止印刷物は少なくとも基材の片面上に高額なコレステリック液晶層とサーモトロピック性を示す高分子液晶層を順次形成する。このため、材料コストが上昇するという問題がある。
【0018】
また、特許文献2の偽造防止用積層体は光学的性質の異なる膜を交互に積層するなど作業工程が多く、作製が煩雑であるという問題がある。そして、製造コストが上昇する。
【0019】
さらに、特許文献3の偽造防止が施された有価証券印刷物は偽造防止用証紙として、ホログラムシールあるいは箔等が用いられる。そして、ホログラムシールあるいは箔などを作製しなければならない。このため、製造コストが上昇する。
【0020】
また、特許文献4の印刷物およびカードも特許文献3と同様にホログラムシールあるい
は箔などを作製しなければならない。このため、製造コストが上昇するという問題がある。
【0021】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、高額な印刷機械などの設備を用いることなく公知の印刷機械で、煩雑な印刷等の工程を経ず、安価な材料で、安易に作製できる有価証券類の印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、
シート状基材上に可変情報印刷領域と贋造識別印刷領域を有する有価証券類の印刷物であって、
前記可変情報印刷領域の一部または全面のいずれかの下部または上部に贋造識別印刷領域を設けたことを特徴とする有価証券類の印刷物である。
【0023】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、
前記贋造識別印刷領域が万線パターンからなることを特徴とする請求項1記載の有価証券類の印刷物である。
【0024】
次に、本発明の請求項3に係る発明は、
前記万線パターンの線幅が0.05mm以上であることを特徴とする請求項2記載の有価証券類の印刷物である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の有価証券類の印刷物は以上の構成からなるので、公知の印刷機械で、容易に製造することができる。そして、安価で大量生産ができる。
【0026】
また、偽造・改竄して不正使用していないかが安価な器具又は装置等で、寸時にわかる。そして、不正使用者に偽造・改竄等していることを説得し易い。
【0027】
さらに、安価な材料で、煩雑な工程を経ずに、且つ、製造コストを上昇することなく、偽造・改竄して不正使用されない有価証券類の印刷物を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の有価証券類の印刷物を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。
【0029】
本発明の有価証券類の印刷物は、例えば、宝くじ、商品券、抽選券、株券等の有価証券類の可変情報印刷領域を認識し、「外れ」等の有価証券類の印刷物を偽造・改鼠して不正使用等を行っても容易に、且つ、一瞬にして鑑定することができる。そして、不正使用者に偽造・改鼠等していることを説得し易い。
【0030】
例えば、「当たり」が「123456」の6桁の数字の場合に図7あるいは図8に示すように1つ数字が異なる「外れ」の有価証券印刷物5と他の「外れ」の有価証券印刷物6を用いて「当たり」の有価証券類の印刷物を偽造・改鼠等して、不正使用等が古くから行われていた。
【0031】
この方法は1つ数字が異なる「外れ」の有価証券類の印刷物5の異なる数字(「1」)を切り取る。そして、他の「外れ」の有価証券印刷物6の「当たり」となる数字(「2」)を切り取り、1つ数字が異なる「外れ」の有価証券印刷物5の切り取り取った部分に貼り付けることにより、「当たり」の有価証券類の印刷物と同じ数字に改鼠することが行われていた。
【0032】
このため、図8に示すような6桁の数字の上側面または下側面に円弧状の細紋等による贋造識別印刷を施すことにより改鼠することが難しい有価証券類の印刷物も作製されているが、完全な贋造防止策とはなっていない。
【0033】
本発明の有価証券類の印刷物は偽造あるいは改鼠することが難しいだけでなく、真贋鑑定が鑑定ようの万線フィルムを当てるだけで偽造あるいは改鼠された有価証券類の印刷物かどうか一瞬で鑑定できる。そして、不正使用者に偽造・改鼠等していることを説得し易い。
【0034】
図1(a)および(b)は、本発明の有価証券類の印刷物の真贋を説明する一実施例の概略を示す概略図である。また、図2(a)および(b)は、発明の有価証券類の印刷物の真贋を説明する他の一実施例の概略を示す概略図である。
【0035】
本発明の有価証券類の印刷物の真贋の判定は、例えば、図1(a)に示すように「当たり」が「012345」の6桁の数字で可変情報印刷領域(3)が構成されている。この6桁の数字の中で「4」の部分が改鼠されているような疑問がある。このため、真贋の判定をするために鑑定用万線フィルムを「45」の部分に載置する。そして、図1(b)に示すように贋造識別印刷領域(2)のパターンが連続性を有していることにより改鼠されていない有価証券類の印刷物であることが容易に判定される。
【0036】
また、図2(a)に示すように1つ数字が異なる「外れ」の有価証券類の印刷物5と他の「外れ」の有価証券類の印刷物6を用いて「当たり」の有価証券類の印刷物を改鼠して、「当たり」の数字か「012325」で可変情報印刷領域(3)が構成されている。このため、真贋の判定をするために鑑定用万線フィルムを「25」の部分に載置する。そして、図2(b)に示すように贋造識別印刷領域(2)のパターンが連続性を有していないことにより改鼠された有価証券類の印刷物であることが容易に判定される。
【0037】
また、本発明の有価証券類の印刷物は図1(a)に示すように、有価証券類の印刷物(10)のシート状基材(1)の上側面に少なくとも可変情報印刷領域(3)と贋造識別印刷領域(2)から形成されている。
【0038】
そして、図3または図4に示すように「当たり」「外れ」の数字により形成されている可変情報印刷領域(3)の一部分あるいは全面の下側面または上側面に贋造識別印刷領域(2)が形成されている。
【0039】
前記シート状基材(1)の上側面に形成される可変情報印刷領域(3)と贋造識別印刷領域(2)は、図3に示すようにシート状基材(1)の上側面に「当たり」「外れ」の数字による可変情報印刷領域(3)を形成し、その上側面に偽造・改鼠等を識別鑑定可能とする贋造識別印刷領域(2)を可変情報印刷領域(3)の一部分あるいは全面に形成することもできる。そして、図には示していないが贋造識別印刷領域(2)の上側面およびシート状基材(1)の上側面に保護層を形成。
【0040】
また、図4に示すようにシート状基材(1)の上側面に偽造・改鼠等を識別鑑定可能とする贋造識別印刷領域(2)を形成し、その一部分内あるいは全面に当たり」「外れ」の数字による可変情報印刷領域(3)を形成することもできる。そして、図には示していないが可変情報印刷領域(3)の上側面およびシート状基材(1)の上側面に保護層を形成することができる。
【0041】
さらに、偽造・改鼠等を困難にし不正使用を防止し、且つ、不正使用であることを分からせ示すために図5または図6に示すようにシート状基材(1)の上側面に可変情報印刷領域(3)と贋造識別印刷領域(2)の一部分あるいは全面に贋造防止層(4)を形成することもできる。
【0042】
前記贋造防止層(4)は図5に示すようにシート状基材(1)の上側面の一部分あるいは全面に形成し、その上側面に可変情報印刷領域(3)と贋造識別印刷領域(2)を形成するもともできる。
【0043】
また、図には示していないがシート状基材(1)の上側面に形成されている贋造識別印刷領域(2)の一部分あるいは全面に贋造防止層(4)を形成した上側面の一部分あるいは全面に可変情報印刷領域(3)形成することもできる。
【0044】
さらに、図6に示すようにシート状基材(1)の上側面の一部分あるいは全面に可変情報印刷領域(3)と贋造識別印刷領域(2)を形成した、その上側面に贋造防止層(4)を形成するもともできる。
【0045】
前記可変情報印刷領域(3)や贋造識別印刷領域(2)、贋造防止層(4)が形成されているシート状基材(1)は本発明の有価証券類の印刷物が使用される目的あるいは方法、または使用される環境等によって、プラスチック、紙、合成紙、金属箔、アルミニウム箔、あるいはそれらの複合体などを用いることができる。そして、特に限定されるものではない。
【0046】
前記紙を使用する際には、例えば、アイボリー紙、ポストカード、両面カード紙、マニラボール紙、白ボールである白板紙等、通常の板紙も使用することができる。
【0047】
さらに、紙の中間層に古紙を使用した紙、あるいは黄ボール、チップボール、色ボール(両面クラフトボール、片面クラフトボール他)等の下級紙等を用いることもできる。
【0048】
また、前記使用する目的あるいは方法、または使用される環境等によって、紙に耐水性、耐熱性、耐薬品性等を附与したものも使用される。
【0049】
前記紙に耐水性あるいは耐油性、耐熱性あるいは耐薬品性を附与する方法としては紙を抄造加工時に行う方法と抄造加工された紙に含浸あるいは塗工する方法がある。
【0050】
例えば、紙を抄造加工時に行う方法で添加される耐水剤は、通常、抄紙前のパルプ縣濁液に内添する内添耐水剤であり、湿潤紙力増強剤として、尿素―ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ジアルデヒドでんぷん、グリオキザール化ポリアクリルアミド樹脂等がある。
【0051】
また、紙に耐油性を付与するためには、通常、加工処理面の臨海表面張力を油性物質の表面張力より小さくすることが必要である。
【0052】
このような機能を有する薬品を耐油剤と称し、主に過フッ素化水素のアクリルレートまたはリン酸エステル等のフッ素化合物を用いたものが耐油紙として知られているように、一般的にフッ素系耐油剤で処理されている。
【0053】
また、上記抄造加工された紙に耐水剤あるいは耐油剤等の加工に際しては、ロールコーター、エアナイフコーター、メタリングバーコーター、ファウンテンブレードコーター、ベベルブレードコーター、ショート・ドゥエルコーターあるいはカーテンコーター等、特
に限定されないが、いずれかの適宜の塗工機を用いて紙の表側面、あるいは裏側面、または両側面に塗工が施される。
【0054】
また、紙にアルミニウム箔をサンドイッチする場合、アルミニウム箔の厚さは、6〜12μmのものが用いられる。そして、アルミニウム箔の材質としては、アルミニウム−鉄系合金の軟質材を使用する。そして、鉄含有量が0.3〜9.0%、好ましくは0.7〜2.0%とすることが望ましい。
【0055】
また、冷間圧延で製造されたアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、アルミニウムは焼きなましをしていない、いわゆる硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理を行った柔軟性アルミニウムが好ましい。
【0056】
また、シート状基材(1)上に透明フィルムを形成することもできる。前記透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレートーイソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂またはポリカーボネート樹脂等の単体あるいは積層フィルムを使用する。
【0057】
次に、前記贋造識別印刷領域(2)は公知である万線シートを印刷物上に重ね合わせると、潜像パターンが浮かびあがるという「万線モアレ」を応用してシート状基材(1)または可変情報印刷領域(3)等の一部分あるいは全面に線部と非線部の万線比率が1:1で、同一の万線ピッチの万線パターンが形成される。
【0058】
また、該万線パターンは、それぞれ異なる万線角度にて形成された2乃至数種類の万線パターン領域により構成されている。そして、万線パターンの異なる万線角度にて形成された各パターン領域には、万線位相を半ピッチ分だけずらして形成された潜像万線パターンによる潜像パターンを備える。
【0059】
また、線部と非線部を形成してなる万線の線幅は印刷適性等を考慮すると、0.05mm以上であることが望ましい。そして、線部と非線部を形成はグラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等の何れかの印刷方式が適宜選択されてなされる。
【0060】
さらに、上述した印刷方式のほかに高精細なインキジェット方式等可変印字可能な印刷装置を用いることもできる。
【0061】
また、可変情報印刷領域(3)の形成はグラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、インキジェット方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等のいずれかの印刷方式が適宜選択されて形成される。
【0062】
また、贋造防止層(4)は、例えば、目視することができる蒸着薄膜層からなるホログラムあるいは目視出来ない状態で文字や絵柄、イラスト、細紋等を感熱インキ、あるいは示温インキまたは赤外吸収インキ、機能性インキ等で形成される。
【0063】
前記蒸着薄膜層を構成する金属酸化物としては、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫などの酸化物の単体、あるいはそれらの複合物からなる金属酸化物が挙げられるが、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムの単体、あるいはそれらの複合物
が好ましく用いられる。
【0064】
蒸着薄膜層の厚さは、用いられる金属酸化物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがある。
【0065】
また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。より好ましくは、10〜150nmの範囲内にあることである。
【0066】
金属酸化物からなる蒸着薄膜層をプラスチック基材上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができる。
【0067】
また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。
【0068】
上記真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。
【0069】
また蒸着薄膜層とシート状基材の密着性および蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いてもよい。
【0070】
また、金属蒸着材料としては、アルミニウム、コバルト、ニッケル、鉛、銅、銀、あるいはそれらの混合物など特に限定するものではない。
【0071】
前記感熱インキの印刷は、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、インキジェット方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等の何れかの印刷方式が適宜選択されてなされる。
【0072】
次に、贋造防止層(4)に用いられる周知の示温インキの性質について簡単に説明する。この示温インキは、各種色の顔料に温度の高低によって凝固、溶融する特殊物質を混合し、この特殊物質に粒径3〜10μmのマイクロカプセルに包含したものを特殊バインダーにより結合させたものである。
【0073】
さらに、この示温インキは、温度が上昇し指定温度に達すると溶融して、ゲル状に変化すると透明になる性質を有し、−15℃〜+60℃の範囲が設定可能な温度範囲とされている。
【0074】
また、示温インキとしては、金属錯体Mgを耐熱性の高いシリコン樹脂、耐光性の高いアクリル樹脂のビヒクルに分散した無機系のもの、あるいは、サーモクロミック液晶をマイクロカプセル化してビヒクル中に分散した液晶系のもの。さらに、顕色剤、発色剤(呈色剤)、溶媒(減感剤)の三成分を内包するマイクロカプセルを作り、これを顔料としてビヒクルに分散した有機系のものが挙げられる。
【0075】
前記顕色剤としては、フェノール類(p−クロルフェノール、p−t−ブチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−オ
キシ安息香酸メチル等)、カルボン酸(カプロン酸、オクチル酸等)、フェニル酢酸,酸性リン酸エステル;これらの塩等が挙げられる。
【0076】
また、前記発色剤(呈色剤)は、電子供与性呈色性有機化合物であり、ジアリ−ルフタリド類、ポリアリールカルビノール類、ロイコオーラミン類、アシルオーラミン類、インドリン類、スピロピラン類、アリールオーラミン類、ローダミンBラムタム類が挙げられる。
【0077】
さらに、前記溶媒(減感剤)としては、エステル類(ステアリン酸n−ブチル、2―メチル安息香酸ステアリル、4―t−ブチル安息香酸セチル、4―シクロヘキシル安息香酸ベヘニル等)、アルコール類(ステアリ酸アミド等)、ケトン類(ジオクチルケトン、ベンジルステアリルケトンフェニルオクチルケトン等)、スルフィド類(ジステアリルスルフィド等)が挙げられる。
【0078】
前記示温インキによる贋造防止層(4)の形成方法としては、例えば、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、インキジェット方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等が上げられる。そして、インキあるいは二ス等の塗布剤は前記各印刷方式に用いられる、公知のインキあるいは塗布剤が用いられる。
【0079】
前記機能性インキとしては、上述した赤外吸収インキの他、例えば、蛍光インキ、膨張インキ、燐光インキ、蓄光インキ、フォトクロミックインキ、エレクトロルミネッセントインキ、メタメリックインキ、カラーシフトインキ、パールインキ、金属光沢インキ、磁気インキ、導電インキ、絶縁インキ、バイオコードインキ、放射線インキ、撥水撥油インキ、発泡インキ、香料インキ、インク消し反応インキ等が挙げられる。そして、そのインキを単独あるいは複数併用することで多種、多機能の偽造・改竄等の不正使用を防止することもできる。
【0080】
前記贋造防止層(4)に用いられる目視できない周知の赤外吸収インキは、通常、読み取り部と画像信号作成部と表示手段としてのディスプレイを有する認識装置によって、ベタ刷り、文字、ロゴマーク、イラスト、細紋、マイクロ文字等が結像されることなどで用いられている。
【0081】
例えば、赤外吸収インキでベタ刷り、文字、ロゴマーク、イラスト、細紋、又はマイクロ文字等が形成されている領域を認識装置の使用者が読み取り部の読み取り部分を近接して合わせると、読み取り部に内接された赤外光源から赤外光が赤外吸収インキで形成されている領域に照射される。
【0082】
そして、その反射光が赤外域の光のみ透光する透光フィルタを介して読み取り部に内設されたCCD光センサー等の受光素子に結像する。このとき、赤外吸収インキで形成されている領域に照射された赤外光は吸収され、それ以外の領域に照射された赤外光が反射し透光フィルタを介して受光素子に結像する。
【0083】
前記赤外吸収インキでベタ刷り、文字、ロゴマーク、イラスト、細紋、又はマイクロ文字等の形成は、グラビア印刷方式またはオフセット印刷方式、凸版印刷方式、インキジェット方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等のいずれかの印刷方式が適宜選択されてなされる。
【0084】
また、赤外吸収インキの材料としては、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、アントラキノン系色素、ジルオール系色素等の赤外領域に吸収域をもつ色素を有する材料、または、シアンフィルターガラ
ス(Cu2+含有)が用いられる。
【0085】
具体的には、例えば、Yb3+(イッテリビウムイオン)が重量率0.5〜50%で含まれるガラス粉末とビヒクルとからなる材料が用いられる。
【0086】
前記フォトクロミックインキは、一般の照明のもとでは白色系にしか見えないが、太陽光(紫外線部)により急激に発色し、遮断することにより短時間に無色に戻る。
【0087】
また、前記蓄光インキは、太陽や蛍光灯等の光線を吸収・蓄積し、暗所でこれを除々に放出・発光する。
【0088】
さらに、膨張インキは、水に接触すると最大300倍程度の水を吸収し、膨潤・保水する。
【0089】
また、前記蛍光インキの材料としては、例えば、粒子0.7〜50μmの無機蛍光顔料、有機蛍光顔料、ビヒクル等が重量率15〜45%で含まれるものが用いられる。
【0090】
前記無機蛍光顔料は、耐久性、耐候性に優れ、例えば、Ca,Ba,Mg,Zn,Cd等の酸化物、硫化物、ケイ酸塩、タングステン酸塩等の結晶を主成分とし、Mn,Zn,Ag,Cu,Sb,Pb等の金属元素、または、ランタノイド類等の希土類元素を活性剤として添加して得られる顔料である。
【0091】
また、有機蛍光顔料は、粒子が小さくできるため、インキかしやすく、例えば、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾール、カルバゾール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロン等の誘導体、クリオレセイン、エオシン等の色素、アントラセン等のベンゼン環をもつ化合物等である。そして、ビヒクルは、例えば、上述した赤外吸収インキの材料として述べたものと同一である。
【0092】
前記保護層を形成するときは、例えば、フェノール樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニールブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリウレタン樹脂などをビヒクルとするインキ組成物を使用して印刷または塗工する。
【0093】
前記塗工に際しては、ロールコーター、エアナイフコーター、メタリングバーコーター、ファウンテンブレードコーター、ベベルブレードコーター、ショート・ドゥエルコーターあるいはカーテンコーター等、特に限定されないがいずれかの適宜の塗工機を用いてシート状基材(1)上側面に施される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の有価証券類の印刷物は抽選券やゲームカード、宝くじ等として優れていることはもとより、錠剤や医療部材あるいは精密部材等、医薬分野や精密機械分野等、広い分野で使用できる素晴らしい発明である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】(a)および(b)は、本発明の有価証券類の印刷物の真贋を説明する一実施例の概略を示す概略図である。
【図2】(a)および(b)は、発明の有価証券類の印刷物の真贋を説明する他の一実施例の概略を示す概略図である。
【図3】本発明の有価証券類の印刷物の構成の一実施例の断面を示す概略図である。
【図4】本発明の有価証券類の印刷物の構成の他の一実施例の断面を示す概略図である。
【図5】本発明の有価証券類の印刷物の構成の他の一実施例の断面を示す概略図である。
【図6】本発明の有価証券類の印刷物の構成の他の一実施例の断面を示す概略図である。
【図7】有価証券類の印刷物の不正使用方法を説明するための説明図である。
【図8】有価証券類の印刷物の不正使用方法を説明するための他の説明図である。
【図9】(a)〜(d)は万線パターンを説明するための説明図である。
【図10】従来使用されている偽装防止用カード。
【図11】従来使用されている偽装防止用積層体。
【図12】(a)および(b)は従来使用されている偽装防止用カード。
【図13】従来使用されている偽装防止用積層体。
【符号の説明】
【0096】
1…シート状基材
2…贋造識別印刷領域
3…可変情報印刷領域
4…贋造防止層
10…本発明の有価証券類の印刷物
【技術分野】
【0001】
本発明は、宝くじ、商品券、抽選券等の有価証券類の可変情報印刷領域を認識し、贋造や偽造を防止する有価証券類の印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写防止機能や偽造防止機能やセキュリティー機能を保持することを必要とする印刷物が益々多用されるようになってきている。
【0003】
そして、透明フィルムに微細な多数の平行線条の万線パターンを備えた万線シートを使用した印刷物なども用いられている。この印刷物は万線シートを使用することにより画像を観察できる印刷物である。
【0004】
さらに、この印刷物は、万線シートを印刷物上に重ね合わせると、潜像パターンが浮かび上がる、「万線モアレ」を応用した印刷物である。この印刷物は下記図9(a)〜(d)に示すような仕組みとなっている。
【0005】
図7(a)は、用紙130に印刷により形成された万線パターンのない通常印刷画像131、図7(b)は別の用紙130に印刷形成された同一線幅の多数本の平行な直線をその線幅と同一ピッチ(等間隔)で配置した平行直線により構成された万線パターン132、図7(c)は同一用紙130に前記通常印刷画像131と万線パターン132とを重ね刷り印刷した印刷物133である。
【0006】
図7(b)に示す万線パターン132には、潜像万線パターン140(例えば、図示するようにハート形パターン部分)を備え、この万線パターン132における潜像万線パターン140は、図7(d)のM部分拡大図に示すように、潜像万線パターン140の内側領域と外側領域のそれぞれ平行直線(万線)のピッチ位相を両領域の境界相当部分(潜像万線パターン140の輪郭線)に沿って半ピッチ分ずらすことにより形成されている。
【0007】
上記万線パターン132を構成する平行直線(万線)は、通常印刷画像131の印刷デザインの支障にならない程度の細い微細な線幅となっている。また、この万線パターン132の内側領域に形成されている潜像万線パターン140の万線はその外側領域の万線に対してピッチ位相がずれているだけであり、しかも万線は微細であるので、潜像万線パターン140は視覚的には(見かけ上は)画像としては何も目視観察されず、印刷物133には通常印刷画像131と万線パターン132だけが観察される。
【0008】
さらに、カラー複写機などでは偽造が極めて困難であり、かつ廉価で製造する事が可能であって、真正品と偽造品を簡単な装置を用いて明確に判別することができる偽造防止印刷物(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【0009】
この偽造防止印刷物100は図10(a)、(b)に示すように少なくとも基材101の片面上にコレステリック液晶層102とサーモトロピック性を示す高分子液晶層103を順次設けている。さらに、サーモトロピック性を示す高分子液晶層103の少なくとも一部を配向させている。そして、円偏光フィルタを通して観察すると所望のパターンが出現する。
【0010】
また、真偽の判別の容易な偽造判定効果を有し極めて高い偽造防止効果を発揮する、光学的性質の異なる膜を交互に積層した光学機能層を用いてなる偽造防止用積層体(例えば
、特許文献2参照。)も知られている。
【0011】
この偽造防止用積層体200は図11に示すように、光学機能層110が、金属膜107/低屈折率層と高屈折率層を交互に積層してなるセラミック多層膜。あるいは低屈折率か高屈折率のセラミック多層膜110(108〜109)/金属膜。あるいは低屈折率層と高屈折率層を交互に積層してなるセラミック多層膜あるいは低屈折率か高屈折率のセラミック多層膜110(108〜109)、金属膜(107、109)、からなっている。そして、その構成として、基材105上に、場合によっては剥離層106を有し、光学機能層、接着層111が順次積層されている。
【0012】
さらに、偽造防止用証紙が故意に剥がされたり、或いは経時で剥がれたとしても、その有価証券印刷物が真券であるか、偽造であるかを容易に鑑定できる偽造防止が施された有価証券印刷物(例えば、特許文献3参照。)も知られている。
【0013】
この、有価証券印刷物300は図12(a)、(b)に示すように所定領域にホログラムシール、箔等の偽造防止用証紙120を貼着している。そして、有価証券印刷物の偽造防止証紙下に、予め有色或いは透明な蛍光インキにより柄層121が設けられている。
【0014】
また、印刷物およびカードを偽造しようとする行為を困難にして偽造防止効果を著しく高められることことができる印刷物およびカード(例えば、特許文献4参照。)も知られている。
【0015】
この印刷物およびカード400は図13に示すようにカード本体の内部に、光またはおよび熱でのみ現像処理が可能なタイプのホログラム感光材料113を設け、かつカード本体の少なくともホログラム観察面側に、透明層114を設けている。
【0016】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2003−145912号公報
【特許文献2】特開平8−323911号公報
【特許文献3】特開平9−175067号公報
【特許文献4】特開平7−96693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1の偽造防止印刷物は少なくとも基材の片面上に高額なコレステリック液晶層とサーモトロピック性を示す高分子液晶層を順次形成する。このため、材料コストが上昇するという問題がある。
【0018】
また、特許文献2の偽造防止用積層体は光学的性質の異なる膜を交互に積層するなど作業工程が多く、作製が煩雑であるという問題がある。そして、製造コストが上昇する。
【0019】
さらに、特許文献3の偽造防止が施された有価証券印刷物は偽造防止用証紙として、ホログラムシールあるいは箔等が用いられる。そして、ホログラムシールあるいは箔などを作製しなければならない。このため、製造コストが上昇する。
【0020】
また、特許文献4の印刷物およびカードも特許文献3と同様にホログラムシールあるい
は箔などを作製しなければならない。このため、製造コストが上昇するという問題がある。
【0021】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、高額な印刷機械などの設備を用いることなく公知の印刷機械で、煩雑な印刷等の工程を経ず、安価な材料で、安易に作製できる有価証券類の印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、
シート状基材上に可変情報印刷領域と贋造識別印刷領域を有する有価証券類の印刷物であって、
前記可変情報印刷領域の一部または全面のいずれかの下部または上部に贋造識別印刷領域を設けたことを特徴とする有価証券類の印刷物である。
【0023】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、
前記贋造識別印刷領域が万線パターンからなることを特徴とする請求項1記載の有価証券類の印刷物である。
【0024】
次に、本発明の請求項3に係る発明は、
前記万線パターンの線幅が0.05mm以上であることを特徴とする請求項2記載の有価証券類の印刷物である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の有価証券類の印刷物は以上の構成からなるので、公知の印刷機械で、容易に製造することができる。そして、安価で大量生産ができる。
【0026】
また、偽造・改竄して不正使用していないかが安価な器具又は装置等で、寸時にわかる。そして、不正使用者に偽造・改竄等していることを説得し易い。
【0027】
さらに、安価な材料で、煩雑な工程を経ずに、且つ、製造コストを上昇することなく、偽造・改竄して不正使用されない有価証券類の印刷物を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の有価証券類の印刷物を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。
【0029】
本発明の有価証券類の印刷物は、例えば、宝くじ、商品券、抽選券、株券等の有価証券類の可変情報印刷領域を認識し、「外れ」等の有価証券類の印刷物を偽造・改鼠して不正使用等を行っても容易に、且つ、一瞬にして鑑定することができる。そして、不正使用者に偽造・改鼠等していることを説得し易い。
【0030】
例えば、「当たり」が「123456」の6桁の数字の場合に図7あるいは図8に示すように1つ数字が異なる「外れ」の有価証券印刷物5と他の「外れ」の有価証券印刷物6を用いて「当たり」の有価証券類の印刷物を偽造・改鼠等して、不正使用等が古くから行われていた。
【0031】
この方法は1つ数字が異なる「外れ」の有価証券類の印刷物5の異なる数字(「1」)を切り取る。そして、他の「外れ」の有価証券印刷物6の「当たり」となる数字(「2」)を切り取り、1つ数字が異なる「外れ」の有価証券印刷物5の切り取り取った部分に貼り付けることにより、「当たり」の有価証券類の印刷物と同じ数字に改鼠することが行われていた。
【0032】
このため、図8に示すような6桁の数字の上側面または下側面に円弧状の細紋等による贋造識別印刷を施すことにより改鼠することが難しい有価証券類の印刷物も作製されているが、完全な贋造防止策とはなっていない。
【0033】
本発明の有価証券類の印刷物は偽造あるいは改鼠することが難しいだけでなく、真贋鑑定が鑑定ようの万線フィルムを当てるだけで偽造あるいは改鼠された有価証券類の印刷物かどうか一瞬で鑑定できる。そして、不正使用者に偽造・改鼠等していることを説得し易い。
【0034】
図1(a)および(b)は、本発明の有価証券類の印刷物の真贋を説明する一実施例の概略を示す概略図である。また、図2(a)および(b)は、発明の有価証券類の印刷物の真贋を説明する他の一実施例の概略を示す概略図である。
【0035】
本発明の有価証券類の印刷物の真贋の判定は、例えば、図1(a)に示すように「当たり」が「012345」の6桁の数字で可変情報印刷領域(3)が構成されている。この6桁の数字の中で「4」の部分が改鼠されているような疑問がある。このため、真贋の判定をするために鑑定用万線フィルムを「45」の部分に載置する。そして、図1(b)に示すように贋造識別印刷領域(2)のパターンが連続性を有していることにより改鼠されていない有価証券類の印刷物であることが容易に判定される。
【0036】
また、図2(a)に示すように1つ数字が異なる「外れ」の有価証券類の印刷物5と他の「外れ」の有価証券類の印刷物6を用いて「当たり」の有価証券類の印刷物を改鼠して、「当たり」の数字か「012325」で可変情報印刷領域(3)が構成されている。このため、真贋の判定をするために鑑定用万線フィルムを「25」の部分に載置する。そして、図2(b)に示すように贋造識別印刷領域(2)のパターンが連続性を有していないことにより改鼠された有価証券類の印刷物であることが容易に判定される。
【0037】
また、本発明の有価証券類の印刷物は図1(a)に示すように、有価証券類の印刷物(10)のシート状基材(1)の上側面に少なくとも可変情報印刷領域(3)と贋造識別印刷領域(2)から形成されている。
【0038】
そして、図3または図4に示すように「当たり」「外れ」の数字により形成されている可変情報印刷領域(3)の一部分あるいは全面の下側面または上側面に贋造識別印刷領域(2)が形成されている。
【0039】
前記シート状基材(1)の上側面に形成される可変情報印刷領域(3)と贋造識別印刷領域(2)は、図3に示すようにシート状基材(1)の上側面に「当たり」「外れ」の数字による可変情報印刷領域(3)を形成し、その上側面に偽造・改鼠等を識別鑑定可能とする贋造識別印刷領域(2)を可変情報印刷領域(3)の一部分あるいは全面に形成することもできる。そして、図には示していないが贋造識別印刷領域(2)の上側面およびシート状基材(1)の上側面に保護層を形成。
【0040】
また、図4に示すようにシート状基材(1)の上側面に偽造・改鼠等を識別鑑定可能とする贋造識別印刷領域(2)を形成し、その一部分内あるいは全面に当たり」「外れ」の数字による可変情報印刷領域(3)を形成することもできる。そして、図には示していないが可変情報印刷領域(3)の上側面およびシート状基材(1)の上側面に保護層を形成することができる。
【0041】
さらに、偽造・改鼠等を困難にし不正使用を防止し、且つ、不正使用であることを分からせ示すために図5または図6に示すようにシート状基材(1)の上側面に可変情報印刷領域(3)と贋造識別印刷領域(2)の一部分あるいは全面に贋造防止層(4)を形成することもできる。
【0042】
前記贋造防止層(4)は図5に示すようにシート状基材(1)の上側面の一部分あるいは全面に形成し、その上側面に可変情報印刷領域(3)と贋造識別印刷領域(2)を形成するもともできる。
【0043】
また、図には示していないがシート状基材(1)の上側面に形成されている贋造識別印刷領域(2)の一部分あるいは全面に贋造防止層(4)を形成した上側面の一部分あるいは全面に可変情報印刷領域(3)形成することもできる。
【0044】
さらに、図6に示すようにシート状基材(1)の上側面の一部分あるいは全面に可変情報印刷領域(3)と贋造識別印刷領域(2)を形成した、その上側面に贋造防止層(4)を形成するもともできる。
【0045】
前記可変情報印刷領域(3)や贋造識別印刷領域(2)、贋造防止層(4)が形成されているシート状基材(1)は本発明の有価証券類の印刷物が使用される目的あるいは方法、または使用される環境等によって、プラスチック、紙、合成紙、金属箔、アルミニウム箔、あるいはそれらの複合体などを用いることができる。そして、特に限定されるものではない。
【0046】
前記紙を使用する際には、例えば、アイボリー紙、ポストカード、両面カード紙、マニラボール紙、白ボールである白板紙等、通常の板紙も使用することができる。
【0047】
さらに、紙の中間層に古紙を使用した紙、あるいは黄ボール、チップボール、色ボール(両面クラフトボール、片面クラフトボール他)等の下級紙等を用いることもできる。
【0048】
また、前記使用する目的あるいは方法、または使用される環境等によって、紙に耐水性、耐熱性、耐薬品性等を附与したものも使用される。
【0049】
前記紙に耐水性あるいは耐油性、耐熱性あるいは耐薬品性を附与する方法としては紙を抄造加工時に行う方法と抄造加工された紙に含浸あるいは塗工する方法がある。
【0050】
例えば、紙を抄造加工時に行う方法で添加される耐水剤は、通常、抄紙前のパルプ縣濁液に内添する内添耐水剤であり、湿潤紙力増強剤として、尿素―ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ジアルデヒドでんぷん、グリオキザール化ポリアクリルアミド樹脂等がある。
【0051】
また、紙に耐油性を付与するためには、通常、加工処理面の臨海表面張力を油性物質の表面張力より小さくすることが必要である。
【0052】
このような機能を有する薬品を耐油剤と称し、主に過フッ素化水素のアクリルレートまたはリン酸エステル等のフッ素化合物を用いたものが耐油紙として知られているように、一般的にフッ素系耐油剤で処理されている。
【0053】
また、上記抄造加工された紙に耐水剤あるいは耐油剤等の加工に際しては、ロールコーター、エアナイフコーター、メタリングバーコーター、ファウンテンブレードコーター、ベベルブレードコーター、ショート・ドゥエルコーターあるいはカーテンコーター等、特
に限定されないが、いずれかの適宜の塗工機を用いて紙の表側面、あるいは裏側面、または両側面に塗工が施される。
【0054】
また、紙にアルミニウム箔をサンドイッチする場合、アルミニウム箔の厚さは、6〜12μmのものが用いられる。そして、アルミニウム箔の材質としては、アルミニウム−鉄系合金の軟質材を使用する。そして、鉄含有量が0.3〜9.0%、好ましくは0.7〜2.0%とすることが望ましい。
【0055】
また、冷間圧延で製造されたアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、アルミニウムは焼きなましをしていない、いわゆる硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理を行った柔軟性アルミニウムが好ましい。
【0056】
また、シート状基材(1)上に透明フィルムを形成することもできる。前記透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレートーイソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂またはポリカーボネート樹脂等の単体あるいは積層フィルムを使用する。
【0057】
次に、前記贋造識別印刷領域(2)は公知である万線シートを印刷物上に重ね合わせると、潜像パターンが浮かびあがるという「万線モアレ」を応用してシート状基材(1)または可変情報印刷領域(3)等の一部分あるいは全面に線部と非線部の万線比率が1:1で、同一の万線ピッチの万線パターンが形成される。
【0058】
また、該万線パターンは、それぞれ異なる万線角度にて形成された2乃至数種類の万線パターン領域により構成されている。そして、万線パターンの異なる万線角度にて形成された各パターン領域には、万線位相を半ピッチ分だけずらして形成された潜像万線パターンによる潜像パターンを備える。
【0059】
また、線部と非線部を形成してなる万線の線幅は印刷適性等を考慮すると、0.05mm以上であることが望ましい。そして、線部と非線部を形成はグラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等の何れかの印刷方式が適宜選択されてなされる。
【0060】
さらに、上述した印刷方式のほかに高精細なインキジェット方式等可変印字可能な印刷装置を用いることもできる。
【0061】
また、可変情報印刷領域(3)の形成はグラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、インキジェット方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等のいずれかの印刷方式が適宜選択されて形成される。
【0062】
また、贋造防止層(4)は、例えば、目視することができる蒸着薄膜層からなるホログラムあるいは目視出来ない状態で文字や絵柄、イラスト、細紋等を感熱インキ、あるいは示温インキまたは赤外吸収インキ、機能性インキ等で形成される。
【0063】
前記蒸着薄膜層を構成する金属酸化物としては、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫などの酸化物の単体、あるいはそれらの複合物からなる金属酸化物が挙げられるが、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムの単体、あるいはそれらの複合物
が好ましく用いられる。
【0064】
蒸着薄膜層の厚さは、用いられる金属酸化物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがある。
【0065】
また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。より好ましくは、10〜150nmの範囲内にあることである。
【0066】
金属酸化物からなる蒸着薄膜層をプラスチック基材上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができる。
【0067】
また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。
【0068】
上記真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。
【0069】
また蒸着薄膜層とシート状基材の密着性および蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いてもよい。
【0070】
また、金属蒸着材料としては、アルミニウム、コバルト、ニッケル、鉛、銅、銀、あるいはそれらの混合物など特に限定するものではない。
【0071】
前記感熱インキの印刷は、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、インキジェット方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等の何れかの印刷方式が適宜選択されてなされる。
【0072】
次に、贋造防止層(4)に用いられる周知の示温インキの性質について簡単に説明する。この示温インキは、各種色の顔料に温度の高低によって凝固、溶融する特殊物質を混合し、この特殊物質に粒径3〜10μmのマイクロカプセルに包含したものを特殊バインダーにより結合させたものである。
【0073】
さらに、この示温インキは、温度が上昇し指定温度に達すると溶融して、ゲル状に変化すると透明になる性質を有し、−15℃〜+60℃の範囲が設定可能な温度範囲とされている。
【0074】
また、示温インキとしては、金属錯体Mgを耐熱性の高いシリコン樹脂、耐光性の高いアクリル樹脂のビヒクルに分散した無機系のもの、あるいは、サーモクロミック液晶をマイクロカプセル化してビヒクル中に分散した液晶系のもの。さらに、顕色剤、発色剤(呈色剤)、溶媒(減感剤)の三成分を内包するマイクロカプセルを作り、これを顔料としてビヒクルに分散した有機系のものが挙げられる。
【0075】
前記顕色剤としては、フェノール類(p−クロルフェノール、p−t−ブチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−オ
キシ安息香酸メチル等)、カルボン酸(カプロン酸、オクチル酸等)、フェニル酢酸,酸性リン酸エステル;これらの塩等が挙げられる。
【0076】
また、前記発色剤(呈色剤)は、電子供与性呈色性有機化合物であり、ジアリ−ルフタリド類、ポリアリールカルビノール類、ロイコオーラミン類、アシルオーラミン類、インドリン類、スピロピラン類、アリールオーラミン類、ローダミンBラムタム類が挙げられる。
【0077】
さらに、前記溶媒(減感剤)としては、エステル類(ステアリン酸n−ブチル、2―メチル安息香酸ステアリル、4―t−ブチル安息香酸セチル、4―シクロヘキシル安息香酸ベヘニル等)、アルコール類(ステアリ酸アミド等)、ケトン類(ジオクチルケトン、ベンジルステアリルケトンフェニルオクチルケトン等)、スルフィド類(ジステアリルスルフィド等)が挙げられる。
【0078】
前記示温インキによる贋造防止層(4)の形成方法としては、例えば、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、インキジェット方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等が上げられる。そして、インキあるいは二ス等の塗布剤は前記各印刷方式に用いられる、公知のインキあるいは塗布剤が用いられる。
【0079】
前記機能性インキとしては、上述した赤外吸収インキの他、例えば、蛍光インキ、膨張インキ、燐光インキ、蓄光インキ、フォトクロミックインキ、エレクトロルミネッセントインキ、メタメリックインキ、カラーシフトインキ、パールインキ、金属光沢インキ、磁気インキ、導電インキ、絶縁インキ、バイオコードインキ、放射線インキ、撥水撥油インキ、発泡インキ、香料インキ、インク消し反応インキ等が挙げられる。そして、そのインキを単独あるいは複数併用することで多種、多機能の偽造・改竄等の不正使用を防止することもできる。
【0080】
前記贋造防止層(4)に用いられる目視できない周知の赤外吸収インキは、通常、読み取り部と画像信号作成部と表示手段としてのディスプレイを有する認識装置によって、ベタ刷り、文字、ロゴマーク、イラスト、細紋、マイクロ文字等が結像されることなどで用いられている。
【0081】
例えば、赤外吸収インキでベタ刷り、文字、ロゴマーク、イラスト、細紋、又はマイクロ文字等が形成されている領域を認識装置の使用者が読み取り部の読み取り部分を近接して合わせると、読み取り部に内接された赤外光源から赤外光が赤外吸収インキで形成されている領域に照射される。
【0082】
そして、その反射光が赤外域の光のみ透光する透光フィルタを介して読み取り部に内設されたCCD光センサー等の受光素子に結像する。このとき、赤外吸収インキで形成されている領域に照射された赤外光は吸収され、それ以外の領域に照射された赤外光が反射し透光フィルタを介して受光素子に結像する。
【0083】
前記赤外吸収インキでベタ刷り、文字、ロゴマーク、イラスト、細紋、又はマイクロ文字等の形成は、グラビア印刷方式またはオフセット印刷方式、凸版印刷方式、インキジェット方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等のいずれかの印刷方式が適宜選択されてなされる。
【0084】
また、赤外吸収インキの材料としては、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、アントラキノン系色素、ジルオール系色素等の赤外領域に吸収域をもつ色素を有する材料、または、シアンフィルターガラ
ス(Cu2+含有)が用いられる。
【0085】
具体的には、例えば、Yb3+(イッテリビウムイオン)が重量率0.5〜50%で含まれるガラス粉末とビヒクルとからなる材料が用いられる。
【0086】
前記フォトクロミックインキは、一般の照明のもとでは白色系にしか見えないが、太陽光(紫外線部)により急激に発色し、遮断することにより短時間に無色に戻る。
【0087】
また、前記蓄光インキは、太陽や蛍光灯等の光線を吸収・蓄積し、暗所でこれを除々に放出・発光する。
【0088】
さらに、膨張インキは、水に接触すると最大300倍程度の水を吸収し、膨潤・保水する。
【0089】
また、前記蛍光インキの材料としては、例えば、粒子0.7〜50μmの無機蛍光顔料、有機蛍光顔料、ビヒクル等が重量率15〜45%で含まれるものが用いられる。
【0090】
前記無機蛍光顔料は、耐久性、耐候性に優れ、例えば、Ca,Ba,Mg,Zn,Cd等の酸化物、硫化物、ケイ酸塩、タングステン酸塩等の結晶を主成分とし、Mn,Zn,Ag,Cu,Sb,Pb等の金属元素、または、ランタノイド類等の希土類元素を活性剤として添加して得られる顔料である。
【0091】
また、有機蛍光顔料は、粒子が小さくできるため、インキかしやすく、例えば、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾール、カルバゾール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロン等の誘導体、クリオレセイン、エオシン等の色素、アントラセン等のベンゼン環をもつ化合物等である。そして、ビヒクルは、例えば、上述した赤外吸収インキの材料として述べたものと同一である。
【0092】
前記保護層を形成するときは、例えば、フェノール樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニールブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリウレタン樹脂などをビヒクルとするインキ組成物を使用して印刷または塗工する。
【0093】
前記塗工に際しては、ロールコーター、エアナイフコーター、メタリングバーコーター、ファウンテンブレードコーター、ベベルブレードコーター、ショート・ドゥエルコーターあるいはカーテンコーター等、特に限定されないがいずれかの適宜の塗工機を用いてシート状基材(1)上側面に施される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の有価証券類の印刷物は抽選券やゲームカード、宝くじ等として優れていることはもとより、錠剤や医療部材あるいは精密部材等、医薬分野や精密機械分野等、広い分野で使用できる素晴らしい発明である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】(a)および(b)は、本発明の有価証券類の印刷物の真贋を説明する一実施例の概略を示す概略図である。
【図2】(a)および(b)は、発明の有価証券類の印刷物の真贋を説明する他の一実施例の概略を示す概略図である。
【図3】本発明の有価証券類の印刷物の構成の一実施例の断面を示す概略図である。
【図4】本発明の有価証券類の印刷物の構成の他の一実施例の断面を示す概略図である。
【図5】本発明の有価証券類の印刷物の構成の他の一実施例の断面を示す概略図である。
【図6】本発明の有価証券類の印刷物の構成の他の一実施例の断面を示す概略図である。
【図7】有価証券類の印刷物の不正使用方法を説明するための説明図である。
【図8】有価証券類の印刷物の不正使用方法を説明するための他の説明図である。
【図9】(a)〜(d)は万線パターンを説明するための説明図である。
【図10】従来使用されている偽装防止用カード。
【図11】従来使用されている偽装防止用積層体。
【図12】(a)および(b)は従来使用されている偽装防止用カード。
【図13】従来使用されている偽装防止用積層体。
【符号の説明】
【0096】
1…シート状基材
2…贋造識別印刷領域
3…可変情報印刷領域
4…贋造防止層
10…本発明の有価証券類の印刷物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状基材上に可変情報印刷領域と贋造識別印刷領域を有する有価証券類の印刷物であって、
前記可変情報印刷領域の一部または全面のいずれかの下部または上部に贋造識別印刷領域を設けたことを特徴とする有価証券類の印刷物。
【請求項2】
前記贋造識別印刷領域が万線パターンからなることを特徴とする請求項1記載の有価証券類の印刷物。
【請求項3】
前記万線パターンの線幅が0.05mm以上であることを特徴とする請求項2記載の有価証券類の印刷物。
【請求項1】
シート状基材上に可変情報印刷領域と贋造識別印刷領域を有する有価証券類の印刷物であって、
前記可変情報印刷領域の一部または全面のいずれかの下部または上部に贋造識別印刷領域を設けたことを特徴とする有価証券類の印刷物。
【請求項2】
前記贋造識別印刷領域が万線パターンからなることを特徴とする請求項1記載の有価証券類の印刷物。
【請求項3】
前記万線パターンの線幅が0.05mm以上であることを特徴とする請求項2記載の有価証券類の印刷物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−80698(P2008−80698A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264573(P2006−264573)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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