説明

有害元素濃度測定方法および有害元素濃度測定装置

【課題】測定対象物の有害物質量の定量測定の測定精度の向上を図ることができる有害元素濃度測定方法および装置を提供すること。
【解決手段】測定対象物の識別情報を入力する識別情報入力工程と、前記測定対象物にX線を照射し、前記測定対象物から放射される蛍光X線強度を測定する蛍光X線強度測定工程と、前記蛍光X線強度測定工程の測定結果のうち所定の有害元素に対応する蛍光X線強度から、前記有害元素の第1の濃度を算出する第1の濃度算出工程と、前記蛍光X線測定工程の測定結果に基づく第1の補正係数を算出する第1の補正係数算出工程と、前記識別情報に紐付けられた過去の測定情報に基づく第2の補正係数を算出する第2の補正係数算出工程と、前記第1の補正係数と前記第2の補正係数とを用いて前記第1の濃度を補正し、前記有害元素の第2の濃度を算出する第2の濃度算出工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光X線分析を用いた有害元素の含有濃度測定方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界において、各種材料・製品中の重金属・臭素系難燃剤などが人間、環境に与える危険性が指摘され、有害物質の規制が世界的な広がりを見せている。例えば、欧州における「電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令(RoHS指令)」では、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、特定臭素系難燃剤(ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE))、6価クロム(Cr(VI))を1000ppm(Cdは100ppm)以上含有する部品の使用を禁止している。そのため、電気・電子機器製造メーカでは、各部品に規制値以上の有害物質が含有されていないと確認することが必要不可欠となっている。
【0003】
一般的に、環境負荷物質などの有害物質の含有は、蛍光X線分析器を用いた定量分析を行うことで判定・測定がされている。また、蛍光X線分析器は非破壊で測定可能であるため、簡易な定量分析器として多方面で利用されている。
【0004】
一方、非破壊で測定を可能とするため、同分析器の定量結果には多種多様な補正演算が施されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2006−162468号公報
【特許文献2】特開2006−71496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10に従来の有害元素濃度測定のフローチャートを示す。従来の有害元素濃度測定における補正係数演算方法は、まず、有害元素毎の蛍光X線強度(ピーク強度)を測定する。そして、他元素濃度又はバックグラウンド強度又はコンプトン散乱線強度などの補正係数を算出するために必要な強度データを計測する。そのため、それぞれの測定結果に発生する誤差成分が合算され、結果として定量結果に大きな差異が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、従来の測定方法と比べて、測定対象物の有害物質量の定量測定の測定精度の向上を図ることができる有害元素の測定方法および測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の有害元素濃度測定方法は、
測定対象物の識別情報を入力する識別情報入力工程と、
前記測定対象物にX線を照射し、前記測定対象物から放射される蛍光X線強度を測定する蛍光X線強度測定工程と、
前記蛍光X線強度測定工程の測定結果のうち所定の有害元素に対応する蛍光X線強度から、前記有害元素の第1の濃度を算出する第1の濃度算出工程と、
前記蛍光X線強度測定工程の測定結果に基づく第1の補正係数を算出する第1の補正係数算出工程と、
前記識別情報に紐付けられた過去の測定情報に基づく第2の補正係数を算出する第2の補正係数算出工程と、
前記第1の補正係数と前記第2の補正係数とを用いて前記第1の濃度を補正し、前記有害元素の第2の濃度を算出する第2の濃度算出工程と、を備えている。
【0008】
また、本発明の有害元素濃度測定装置は、
測定対象物の識別情報を入力する入力部と、
前記測定対象物にX線を照射するX線管と、
前記測定対象物から放射される蛍光X線を検出する検出器と、
前記測定対象物の過去の測定情報を記憶する記憶部と、
前記検出器により検出された結果に基づいて、所定の有害元素の第1の濃度および第1の補正係数を算出する演算制御部と、を備え、
前記演算制御部は、前記識別情報に基づいて前記記憶部に記憶された過去の測定情報に基づく第2の補正係数を算出するとともに、前記第1の補正係数と前記第2の補正係数とを用いて前記第1の濃度を補正して前記有害元素の第2の濃度を算出する、構成を採る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来の測定方法と比べて、測定対象物の有害物質量の定量測定の測定精度の向上を図ることができる有害元素濃度測定方法および装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態1では、測定対象物が単一の素材からなる単一部品であるとする。
【0011】
<有害元素濃度測定装置の構成>
以下、実施の形態1に係る有害元素濃度測定装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る有害元素濃度測定装置100の概略図である。
【0012】
有害元素濃度測定装置100は、入力部101、演算制御部102、コントローラ103、X線管104、検出器108、増幅器109、表示部110、記憶部111により構成される。
【0013】
入力部101は、測定対象物106に関する識別情報を入力するキーボードなどからなる。測定対象物106とは、ここでは例えば、電気・電子部品である。また、測定対象物106に関する識別情報とは、測定対象物106の部品番号などである。
【0014】
演算制御部102は、測定条件を信号処理し、測定対象物106のスペクトルを求めるための演算処理を実行する。
【0015】
コントローラ103は、X線管104の印加電圧、電流を制御する。
【0016】
X線管104は、コントローラ103の制御に基づいてX線を発光させ、一次線105として照射する。それにより、測定対象物106からは、蛍光X線107が放射される。
【0017】
検出器108は、蛍光X線107の光量を検出する。検出器108は、検出した蛍光X線107の光量に基づいて、検出信号を出力する。
【0018】
増幅器109は、検出器108から出力される検出信号を増幅して、再び演算制御部102へ送る。
【0019】
演算制御部102は、増幅された検出信号からスペクトルを求める。そして、演算制御部102は、そのスペクトル、各種の補正値、を用いて有害元素濃度の定量値を演算する(詳細は後述する)。
【0020】
表示部110は、定量値などを出力、表示する。
【0021】
記憶部111は、測定対象物106の情報、演算結果、基準スペクトルのデータベースなどを保存している。また、記憶部111は、スペクトルのデータとして、測定された数値データ全てを記憶していてもよいし、主成分のピーク位置、ピーク高さ、他元素の影響による元素補正値やバックグランド強度、散乱X線強度から導かれた形状補正値などの主要なデータを記憶していてもよい。記憶部111では、上述した測定対象物に関する情報を識別情報に紐付けして記憶している。
【0022】
<検量線の作成>
以下、演算制御部102において用いられる検量線の作成について、図2および図3を用いて説明する。ここでは、CHOなどの軽元素から構成されるポリエチレン(PE)から構成されるプラスチックサンプルを用いるものとする。測定する有害元素は、カドミウム(Cd)である。測定面は平面形状を有し、かつ十分な測定厚さを有するものとして説明する。
【0023】
検量線の作成にあたっては、測定したい有害元素の含有濃度が判明している2種類のサンプルを用意する。2種類のサンプルの元素濃度は濃度が異なるものであれば濃度値に制限はないが、高精度に測定を実施したい上限値と下限値であることが好ましい。本実施の形態においては、RoHS対応のCd濃度の定量のため、ブランクサンプル(Cd濃度=0ppm)と濃度既知サンプル(Cd濃度=100ppm)の2種類を用意した。
【0024】
図2は、検量線測定のフローチャートである。また、図3は、ブランクサンプル、濃度既知サンプルの測定スペクトルを示す図である。
【0025】
まず、ステップS21では、ブランクサンプルのスペクトルを測定し、Cdの蛍光X線のうちKα線(27.1keV)のピーク高さ(X)を算出する(図3(a))。
【0026】
次に、ステップS22では、濃度既知サンプルのスペクトルを同様に測定し、そのスペクトルからCd元素のKα線のピーク高さ(Y)を算出する(図3(b))。
【0027】
最後に、ステップS23では、Cdの濃度とX線強度(ピーク強度)をそれぞれX軸Y軸としたグラフ上に、ステップS21およびS22で測定した2つのCd濃度とX線強度をプロットし、検量線を作成する。作成された検量線を図4に示す。
【0028】
<第1の補正係数>
図5、図6を用いて第1の補正係数の概要とその算出方法を説明する。ここでは、Cdを100ppm含有する2つのサンプル(A:樹脂成分はPE樹脂、B: 樹脂成分はCl元素を多量に含有するPVC樹脂)を用いて説明する。
【0029】
図5に上記2サンプルの蛍光X線スペクトル波形を示す。図5(a)に示すように、PE樹脂からなるサンプルは、Cdに起因する23.1keV付近のピークが確認できる。一方、図5(b)に示すように、PVC樹脂からなるサンプルは、同様のCd起因のピークに加え2.621keV付近にClに起因する急峻なピークが観察される。これらのスペクトル波形を比較すると、Cd濃度はどちらも100ppmであるにもかかわらず、23.1keVに発生するピーク強度が大きく異なることがわかる。上述した検量線を用いてこれら2サンプルを定量すると、PVC樹脂からなるサンプルにおける定量結果は真値より小さな値となる。つまり、正確度が大きく減少することがわかる。これは、多量のCl元素に影響され、Cd起因のピーク強度が小さくなる現象(マトリックス効果)であり、一般によく知られている現象である。
【0030】
これらの課題に対し、蛍光X線分析器は、Cl濃度を算出し、検量線の傾きを補正する機能を有している(図6)。図中では簡略化のため、Cl濃度が低い場合、Cl濃度が高い場合の2条件のみ記載したが、濃度値により補正式を作成して補正を実施する場合が多い。
【0031】
上記のCl濃度と同様に、測定物質の大きさ、X線照射面の形状等によっても同様の検量線の補正が必要不可欠である。そのため、測定されたスペクトルデータを基に、バックグランド強度、散乱X線強度測定を行い、形状補正値を算出するなどして、定量値の正確度を向上している。
【0032】
上述した補正方法は、取得したスペクトル波形から有害物質起因のピーク強度、他元素の濃度情報、バックグランド強度、散乱X線強度など多数の情報を取り出す。そのため、取得スペクトルの誤差が全てのパラメータに影響を及ぼす。結果として、有害元素濃度の出力精度が悪化してしまう可能性がある。
【0033】
<第2の補正係数>
次に、本実施の形態の特徴的部分である第2の補正係数について説明する。
【0034】
RoHS指令を遵守し、有害元素を含有しない電気・電子製品を生産するには、電気電子製品を構成する全ての部品を定期的に検査する必要がある。実際、多くの電気・電子機器製造会社においては、全ての構成部品を定期的に検査する方法が採用されている。検査間隔は部品毎に異なるが、おおむね1回/月程度で検査が行われている。
【0035】
下記の表1は同一サンプルを複数回測定した結果を集約したものである。実験に用いたサンプルは有害元素としてCdを100ppm含有するPVC樹脂で、十分な厚さを有する。また、PVC樹脂の測定面は平面なものとした。同一条件で3回測定し、Cd測定値と、Cl測定値、補正値を算出し、Cd濃度の定量結果を比較した。
【0036】
【表1】

【0037】
表1から分かるように、補正前のCd濃度に関しては、高い再現性を有する結果を得ることができた。一方、Cl濃度はそのピーク強度の高さゆえ再現性が乏しく、補正係数に誤差が発生した。結果として、Cd濃度の定量値(Cdの補正濃度)に大きな誤差が発生した。ここで、3回の測定結果を平均化することで、補正値を真値に近づけることが可能となることが分かった。つまり、第2の補正係数として過去の測定結果を考慮することで、濃度定量値の精度を向上させることが可能となる。
【0038】
図7は、実施の形態1に係る有害元素濃度測定装置における第2の補正係数の算出方法を示すフローチャートである。ここでは、過去の測定実績から過去の補正値を読み出し、それらを平均化して第2の補正係数としている。
【0039】
<有害元素濃度測定装置の動作>
以下に本実施の形態1における有害元素濃度測定装置の動作を図1、図8を用いて説明する。
【0040】
図8は、本実施の形態1に係る有害元素濃度測定装置の動作を示すフローチャートである。ここで、有害元素は環境負荷物質であるとする。環境負荷物質とは、例えば、RoHS指令で指定されている元素群であり、所定濃度以上含有されているか否かの判定を必要とされているものである。
【0041】
まず、ステップS81では、入力部101から測定対象物106の部品番号が入力される。
【0042】
ステップS82では、入力された部品名に基づいて、記憶部111に保存されている基準スペクトルのデータベース(DB)から、部品番号に対応した図3のようなスペクトル、もしくは表1のようなテーブルが検索される。そして、ステップS83で検索されたデータから過去補正値を含むデータが読み出される。
【0043】
一方、ステップS84では、測定対象物106に対し、X線が照射され、演算制御部102において、図5に示すような測定対象物106のスペクトルを得る。
【0044】
ステップS85では、演算制御部102において、得られたスペクトルのうち、有害元素に起因するエネルギー領域のピーク強度を算出する。
【0045】
ステップS86では、あらかじめ作成され、記憶部111に格納された検量線を用いて有害元素濃度(第1の濃度)を算出する。
【0046】
ステップS87では、測定対象物106のスペクトルデータを用いて、第1の補正に必要なデータを収集する。第1の補正に必要なデータとしては、他の共存元素の影響を補正する他元素濃度や、形状、大きさを補正するバックグランド強度、コンプトン散乱線強度測定等が例示できるが、これに限定されるものではない。
【0047】
一方、データベース上では、ステップS88において、読み出された過去補正値を用いて演算処理が施される。ここで、演算処理は単純な平均化処理を用いている。ただし、演算処理としては、相加平均処理、相乗平均処理、過去の測定実績に重み付けを施した演算処理であってもよく、またこれらの演算処理方法に限定されるものではない。
【0048】
ステップS89では、第1の補正係数(元素補正値、形状補正値など)と第2の補正係数(過去実績から推算される補正値)の双方を用い、測定対象物106の有害元素濃度の補正を行う。この補正の処理は単純な平均化処理や、相加平均処理、相乗平均処理、過去の測定実績に重み付けを施した演算処理であってもよく、またこれら演算方法に限定されるものではない。そして、ステップS810において、有害元素濃度の定量値(第2の濃度)を算出する。
【0049】
ステップS811では、表示部110にその定量値が出力される。表示された定量値を規格値と比較することで、出荷のOKやNGが判断できる。
【0050】
上記の動作に示したように、過去の測定実績を有効に活用することで、環境負荷物質の定量結果をより正確に求めることが可能となる。つまり、従来の測定方法と比べて一つの部品の測定にかかる時間の短縮化、さらには作業工程の簡易化、測定対象物の処理量の向上を図ることができる。
【0051】
(他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態1について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、他の実施の形態についてその一例を列挙する。
【0052】
<A>
上記実施の形態1で、環境負荷物質を所定値以上含有すると判定、抽出された電気・電子部品に対して、さらに詳細な測定を行ってもよい。
【0053】
ここで、より詳細な測定とは、例えば、有害元素の含有量を定量的に測定するICP定量分析などであればよい。例えば、図8におけるステップS85の後に行ってもよい。これにより、測定対象物に含まれる有害元素の定量的な評価が可能となり、含有量を特定できる。
【0054】
<B>
上記実施の形態1では、測定対象物である電気・電子部品は単一の素材からなるとした。しかし、複数の素材(例えば、金属やプラスチック、さらには測定対象物の各部に施されるめっきなど)からなる複合部品であってもよい。すなわち、異なる素材からなる部品が複数個組み合わされて別の部品であってもよい。あるいは、完成品を構成しているもの、例えば、めっき処理されたプラスチック製品、複数の金属から構成された部品などであってもよい。
【0055】
一般的に、複合部品の含有量を判定する際には、単一の素材からなる単一部品に分解する必要がある。従って、従来の方法では、全ての測定対象物を分解した後に測定を行うため、全体の処理に時間がかかる。また、オペレータへの負荷も大きい。
【0056】
上述した実施の形態1によれば、複合部品であっても、初めから分解することなく有害元素の含有の有無を調べることが可能となる。従って、分解処理を行う複合部品の量を抑えることができる。その結果、大量の部品を扱う必要のある有害元素の処理の効率化を図ることができる。
【0057】
なお、測定の結果、有害元素が含まれていると判定、抽出された電気・電子部品に対してさらに上記<A>で説明した工程を行う場合には、当該工程の前に単一の素材からなる単一部品に分解することが好ましい。
【0058】
<C>
データベースに蓄積された過去の測定実績から導かれる第2の補正係数が高い信頼性を有する場合、スペクトルから導かれる第1の補正係数の演算工程を省力することも可能である。図9は、本変形例に係る有害元素濃度測定方法のフローチャートである。
【0059】
<D>
上記実施の形態1では、濃度を測定する有害元素である環境負荷物質として主な5元素を挙げたが、測定対象はこれに限定されない。例えば、同様の方法で、金、銀、白金、パラジウムなどの他の有害物質にも適用可能である。
【0060】
<E>
上記実施の形態1では、記憶部111が有害元素濃度測定装置100に内蔵されている例を示したが、構成はこれに限定されない。例えば、記憶部111は、有害元素濃度測定装置100とケーブルなどで接続されている外部記憶装置であってもよい。
【0061】
<F>
上記実施の形態1では、基準スペクトルのデータベースが記憶部111に保存されている例を示したが、これに限定されない。例えば、データベースが外部保存媒体に保存されており、外部保存媒体が有害元素濃度測定装置100とケーブルなどで接続されている構成であってもよい。
【0062】
<G>
上記実施の形態1では、結果出力が表示部110に表示される例を示したが、これに限定されない。例えば、結果を用紙に出力する形態などでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明にかかる有害元素濃度測定方法および装置は、処理にかかる時間の短縮化、さらには、作業工程の簡易化や判定対象物の処理量の向上を必要とする、元素の含有量を測定する分野に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態1に係る有害元素濃度測定装置の構成例を示す概略図
【図2】検量線作成方法の一例を示すフローチャート
【図3】(a)ブランクサンプルの測定スペクトルデータを示す図、(b)濃度既知サンプルの測定スペクトルデータを示す図
【図4】検量線の一例を示す図
【図5】(a)PE樹脂の場合のスペクトルデータを示す図、(b)PVC樹脂の場合のスペクトルデータを示す図
【図6】第1の補正係数を算出する検量線の補正の例を示す図
【図7】本発明の実施形態1における第2の補正係数の算出方法を示すフローチャート
【図8】本発明の実施形態1に係る有害元素濃度測定装置の動作を示すフローチャート
【図9】本発明の他の実施形態に係る有害元素濃度測定装置の動作を示すフローチャート
【図10】従来例における有害元素濃度測定のフローチャート
【符号の説明】
【0065】
100 有害元素濃度測定装置
101 入力部
102 演算制御部
103 コントローラ
104 X線管
105 一次線
106 測定対象物
107 蛍光X線
108 検出器
109 増幅器
110 表示部
111 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の識別情報を入力する識別情報入力工程と、
前記測定対象物にX線を照射し、前記測定対象物から放射される蛍光X線強度を測定する蛍光X線強度測定工程と、
前記蛍光X線強度測定工程の測定結果のうち所定の有害元素に対応する蛍光X線強度から、前記有害元素の第1の濃度を算出する第1の濃度算出工程と、
前記蛍光X線強度測定工程の測定結果に基づく第1の補正係数を算出する第1の補正係数算出工程と、
前記識別情報に紐付けられた過去の測定情報に基づく第2の補正係数を算出する第2の補正係数算出工程と、
前記第1の補正係数と前記第2の補正係数とを用いて前記第1の濃度を補正し、前記有害元素の第2の濃度を算出する第2の濃度算出工程と、を備えた、
有害元素濃度測定方法。
【請求項2】
前記有害元素は、
環境負荷物質である、請求項1に記載の有害元素濃度測定方法。
【請求項3】
前記環境負荷物質は、
カドミウム、鉛、水銀、臭素、クロムの少なくとも一つを含む、
請求項2に記載の有害元素濃度測定方法。
【請求項4】
前記第1の濃度算出工程は、
あらかじめ準備した検量線に基づいて第1の濃度を算出する、
請求項1に記載の有害元素濃度測定方法。
【請求項5】
前記第1の補正係数算出工程は、
前記有害元素とは異なる元素濃度、バックグラウンド強度、散乱線強度の内少なくとも1つを考慮し、前記第1の補正係数を算出する、
請求項1に記載の有害元素濃度測定方法。
【請求項6】
前記有害元素が所定の濃度以上含まれる場合、より詳細な測定を行う、
請求項1に記載の有害元素濃度測定方法。
【請求項7】
測定対象物の識別情報を入力する入力部と、
前記測定対象物にX線を照射するX線管と、
前記測定対象物から放射される蛍光X線を検出する検出器と、
前記測定対象物の過去の測定情報を記憶する記憶部と、
前記検出器により検出された結果に基づいて、所定の有害元素の第1の濃度および第1の補正係数を算出する演算制御部と、を備え、
前記演算制御部は、
前記識別情報に基づいて前記記憶部に記憶された過去の測定情報に基づく第2の補正係数を算出するとともに、前記第1の補正係数と前記第2の補正係数とを用いて前記第1の濃度を補正して前記有害元素の第2の濃度を算出する、
有害元素濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−190584(P2010−190584A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32178(P2009−32178)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】