説明

有形製剤物の搬送供給装置

【課題】複数の錠剤を外観検査部へ連続的に供給する際に複数の錠剤間に所定の間隔を空けて搬送し供給することができる錠剤搬送供給装置を提供する。
【解決手段】本発明の錠剤搬送供給装置20は、錠剤Tを収納する複数の収納孔21Aが周方向に所定間隔を空けて形成された回転体21と、回転体21を所定の速度で回転させる回転駆動機構22と、回転体21の回転に伴って回転体21上に供給された複数の錠剤Tを回転体21の上面に分散させながら一錠ずつ各収納孔21Aへ分配する分散機構23と、回転体21の各収納孔21A内にそれぞれ収納された錠剤Tを回転体21の下面側から支承し且つ回転体21の回転により収納孔21A内の錠剤Tをローラ搬送装置30へ供給するために形成された通過部24Aを所定の位置に有する支持体24と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤)等の有形の製剤物(以下、「有形製剤物」と称す。)の外観検査部へ複数の有形製剤物を連続的に搬送、供給する有形製剤物の供給装置に関し、更に詳しくは、連続的に供給される有形製剤物間に所定の間隔を空けて搬送して供給することができる有形製剤物の搬送供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置として、例えば特許文献1に記載の錠剤目視検査装置が知られている。この錠剤目視検査装置は、錠剤を供給するホッパーと、ホッパーから受給した複数の錠剤を連続又は間欠的に供給する錠剤搬送供給装置と、上記錠剤搬送供給装置から供給された錠剤を流すための流れ溝を有する錠剤表面検査部と、上記錠剤表面検査部に連続して配置され且つ錠剤を反転することができる反転部と、上記反転部に接続され且つ錠剤の流れ溝を有する錠剤裏面検査部とを備えている。
【0003】
上記錠剤搬送供給装置は、振動機によって複数の錠剤に振動を付与して錠剤を間欠的又は連続的に錠剤表面検査部へ搬送し、供給する。また、上記錠剤表面検査部、上記反転部及び上記錠剤裏面検査部は同一振動機上に連続して配置されている。
【0004】
従って、上記錠剤目視検査装置は、錠剤表面検査部、反転部及び錠剤裏面検査部が同一振動機上に連続して外観検査部として配置されているため、外観検査部を通過する複数の錠剤をひとりの監視人で目視検査できるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−095898
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の錠剤目視検査装置に用いられる錠剤搬送供給装置の場合には、振動機を用いて複数の錠剤を間欠的又は連続的に外観検査部へ供給するため、外観検査部で振動機によって錠剤に振動を付与しながら搬送しても錠剤が隙間なく流れ、時には前後の錠剤が重なった状態で流れることもあり、錠剤表面検査部では個々の錠剤を正確に検査できないことがある。特に、カメラを利用して錠剤の外観検査を自動化する場合には、錠剤が隙間なく流れたり、あるいは重なったまま流れるとカメラで錠剤を一錠ずつ撮像して外観検査を行うことが難しく、検査漏れを生じたり、あるいは外観を正確に検出できず不良品を良品と判断し、あるいは逆の判断をすることがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、複数の錠剤、カプセル剤等の有形製剤物を外観検査部へ連続的に供給する際に複数の有形製剤物間に所定の間隔を空けて搬送し供給することができる有形製剤物の搬送供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の有形製剤物の搬送供給装置は、複数の有形製剤物を所定間隔ずつ空けて搬送し、有形製剤物の外観検査部へ所定間隔を空けて有形製剤物を供給する有形製剤物の搬送供給装置であって、上記有形製剤物を収納する複数の収納孔が周方向に所定間隔を空けて形成された回転体と、上記回転体を所定の速度で回転させる回転駆動機構と、上記回転体の回転に伴って上記回転体上に供給された複数の有形製剤物を上記回転体の上面に分散させながら一錠ずつ上記各収納孔へ分配する分散機構と、上記回転体を下面から支持し且つ上記回転体の回転により上記収納孔内の上記有形製剤物を後工程へ供給するために形成された通過部を有する支持体と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の有形製剤物の搬送供給装置は、請求項1に記載の発明において、上記複数の収納孔は上記回転体に同心円状に複数列に亘って配列されていると共に、上記通過部は上記回転体の径方向に並ぶ上記収納孔に合わせて形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の錠剤、カプセル剤等の有形製剤物を外観検査部へ連続的に供給する際に複数の有形製剤物間に所定の間隔を空けて搬送し供給することができる有形製剤物の搬送供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1〜図3に示す実施形態に基づいて本発明の錠剤搬送供給装置について説明する。尚、各図中、図1は本発明の有形製剤物の搬送供給装置の一実施形態である錠剤搬送供給装置を適用した錠剤外観検査装置の一例を示す構成図、図2は図1に示す錠剤搬送供給装置を拡大して示す斜視図、図3は図2に示す錠剤搬送供給装置の回転体を示す平面図である。
【0012】
まず、本発明の有形製剤物の搬送供給装置の一実施形態である錠剤搬送供給装置が適用された錠剤外観検査装置について説明する。この錠剤外観検査装置は、例えば図1に示すように、錠剤Tを定量して複数の錠剤Tを供給する錠剤定量供給機10と、錠剤定量供給機10から複数の錠剤Tを受給し、後述のように前後の錠剤T間に所定の間隔を空けて搬送し供給する錠剤搬送供給装置20と、錠剤搬送供給装置20から受給する錠剤T間に所定の間隔を空けて各錠剤Tを吸着して回転搬送し、所定の回転位置で吸着を解除して錠剤Tを連続的に供給するローラ搬送装置30と、ローラ搬送装置30から受給した順序で錠剤Tの外観検査を行う外観検査装置40と、を備え、外観検査装置40での外観検査の結果、錠剤Tの不良品を系外へ除去し、錠剤Tの良品を所定の次工程へ排出するようにしている。
【0013】
而して、本実施形態の錠剤搬送供給装置20は、図1〜図3に示すように、円盤式の搬送供給装置として構成されている。即ち、この錠剤搬送供給装置20は、図1〜図3に示すように、錠剤Tを一錠ずつ収納するように周方向に所定の間隔を空けて形成された収納孔21Aを有する回転体21と、回転体21を所定の速度で回転させる回転駆動機構22と、回転体21の回転に伴って回転体21上に供給された複数の錠剤Tを回転体21上で分散させて各収納孔21Aへ錠剤Tを一錠ずつ分配する分配機構23と、回転体21の各収納孔21A内にそれぞれ収納された錠剤Tを回転体21の下面側から支承し且つ回転体21の回転により収納孔21A内の錠剤Tをローラ搬送装置30へ供給するために径方向にスリット状に切り欠いて形成された通過部24Aを所定の位置に有する支持体24と、を備えている。そして、互いに重なる回転体21及び支持体24が分配機構23側から錠剤定量供給機10側に向けて下降傾斜して配置されている。
【0014】
回転体21と支持体24は、図1、図2に示すように軸心を共有し、同一外径に形成されており、回転体21及び支持体24の中央孔に回転駆動機構22が配置されている。この回転駆動機構22は、図2、図3に示すように回転体21及び支持体24の中央部を貫通するように配置され、回転体21を静止する支持体24上で回転させるようにしてある。回転体21の中央孔には回転駆動機構22のカバーが覆われている。錠剤Tの収納孔21Aは回転体21に周方向に所定間隔を空けて形成されていると共に同心円状に複数列(図2、図3では4列)に亘って配列されている。また、回転体21及び支持体24の傾斜下部から外周に沿って分配機構23側に向けて側壁25が立設され、側壁25によって回転体21上の錠剤Tがこぼれ落ちないようにしてある。
【0015】
ここで、回転体21は、一体物として形成されたものであっても良いが、回転体21が大きく重量があれば、図3に示すように複数の扇形に分割しても良い。本実施形態では回転体21が6つの扇形に分割されている。このように回転体21を6つの扇形に分割することにより、各扇形として軽量化し、組み付け作業を容易にすることができる。
【0016】
分配機構23は回転体21に接触した状態で横切る接触体23Aを2箇所に有し、これらの接触体23Aが周方向に離間して配置され、複数の錠剤Tを堰き止めると共に複数の錠剤Tを各収納孔21A内に一錠ずつ配分するようにしてある。接触体23Aは、例えばシリコンパッド、ブラシ、エアナイフなどによって形成することができる。各収納孔21A内に収納された錠剤Tは、回転体21の回転によりローラ搬送装置30まで錠剤T間に所定の間隔を空けて搬送される。支持体24には回転体21の径方向に並ぶ複数(本実施形態では4個)の収納孔21Aに対応する通過部24Aは、例えばローラ搬送装置30に最も接近する位置に設けられている。支持体24の通過部24Aとローラ搬送装置30との間には錠剤Tが介在する隙間が形成されており、支持体24の通過部24Aを介して回転体21の4個の収納孔21Aから受給した各錠剤Tがローラ搬送装置30によって下流側に搬送されるようになっている。
【0017】
ローラ搬送装置30は、図1、図2に示すように回転体21の径方向の幅と実質的に同一幅を有する回転リング31と、回転リング31を両側面から封止する側板(図示せず)と、回転リング31と両側板で囲まれた内部空間を二室に分割する隔壁32と、を備え、回転リング31が回転駆動機構(図示せず)を介して回転体21と同期して所定の速度で回転するように構成されている。
【0018】
図2に示すように、回転リング31には回転体21の収納孔21Aに対応する貫通孔31Aが全周に亘って所定の間隔を空けて4列に亘って形成され、4列の貫通孔31Aが通気性を有する無端状ベルト33によってそれぞれ被覆されている。複数の貫通孔31Aは回転リング31に外面全周に亘って形成された浅い溝に所定間隔を空けて形成されており、無端状ベルト33が浅い溝に嵌め込まれている。隔壁32は、回転リング31の支持体24に最も接近する位置から中心部に向けて形成された隔壁32Aと、外観検査装置40の水平搬送機構41に最も接近する位置から中心部に向けて形成された隔壁32Bとからなっている。そして、中心角の小さい方の扇形の部屋には真空排気装置(図示せず)が接続され、真空排気装置によって扇形の部屋を真空引きして減圧室となるように形成され、この減圧室を通過する4本の通気性の無端状ベルト33において通過部24Aを介して回転体21の収納孔21Aから受給する4個ずつの錠剤Tを同時に真空吸着するようにしてある。隔壁32の取り付け形態は、ローラ搬送装置30の構造によって適宜変更することができる。要は、隔壁32は減圧室と常圧室に区画する機能を有するものであれば良い。
【0019】
従って、錠剤搬送供給装置20の回転体21の4個の収納孔21Aから通過部24Aを介して錠剤Tを4個ずつ受給すると、回転リング31に巻回された4本の通気性のある無端状ベルト33において錠剤Tを4個ずつ真空吸着し、回転リング31が反時計方向に回転して外観検査装置40の水平搬送機構41まで錠剤Tを4個ずつ搬送する。無端状ベルト33で真空吸着された錠剤Tは、水平搬送機構41に達すると同時に真空吸着が解除されて、水平搬送機構41上に移載される。
【0020】
外観検査装置40は、上記水平搬送機構41と、水平搬送機構41の下流側に隣接させて配設された第1の外観検査機構42と、第1の外観検査機構42の下流側に隣接させて配設された第2の外観検査機構43と、第2の外観検査機構43の下流端部に設けられた第1、第2の錠剤排出機構44、45と、を備えている。
【0021】
水平搬送機構41は、ローラ搬送装置30の回転リング31と実質的に同一幅を有する無端状ベルト41Aと、無端状ベルト41Aが巻回された左右一対のローラ41B、41Bと、を備え、ローラ搬送装置30から錠剤Tを4個ずつ受給して第1の外観検査機構42へ搬送するように構成されている。
【0022】
第1の外観検査機構42と第2の外観検査機構43は、図1に示すように、上下の向きが逆になっていること以外は実質的に同一の構造を備えている。そこで、第1の外観検査機構42について説明し、第2の外観検査機構43については必要に応じて第1の外観検査機構42の符号「42」を「43」に代えて説明する。
【0023】
第1の外観検査機構42は、図1に示すように、扁平な台形状に形成された減圧室42Aと、減圧室42Aの角の外側に配置された4箇所のローラ42Bと、これら4箇所のローラ42Bに掛け回されて減圧室42Aを囲むと共に減圧室42Aの下面に接触する無端状ベルト42Cと、減圧室42Aの下面と対向する位置に配置された第1、第2のカメラ42D、42Eと、を備え、減圧室42Aに接続された真空排気装置(図示せず)によって減圧室42A内を減圧するように構成されている。無端状ベルト42Cには水平搬送機構41の無端状ベルト41Aによって搬送される4個の錠剤Tに対応させた4本の通気性を有する通気性ラインが形成されている。また、無端状ベルト42Cの上流端部と水平搬送機構41の無端状ベルト41Bの下流端部とが隙間を介して対向すると共に無端状ベルト42Cの下流端部と第2の外観検査機構43の無端状ベルト43Cの上流端部とが隙間を介して対向している。そして、減圧室42Aの下面には無端状ベルト42Cの通気性ラインに対応させた吸気孔が全長に亘って所定の間隔を空けて形成されている。尚、無端状ベルト42C、43Cとしては、例えば全体に通気性のある無端状ベルトを用いることもできる。無端状ベルト42C、43Cが通気性のあるものであれば、上述のように通気性ラインを形成する必要がない。
【0024】
従って、第1の外観検査機構42側の無端状ベルト42Cが減圧室42Aの下面に差し掛かると4本の通気性ラインが水平搬送機構41側の無端状ベルト41Aから幅方向に所定間隔を空けて並ぶ4個の錠剤Tをそれぞれ真空吸着し、無端状ベルト42Cが反時計方向に回転して4本の通気性ラインの錠剤Tを搬送すると、この間に先の錠剤Tとの間に所定の間隔を空けて後続の錠剤Tを次々と真空吸着し、前後の錠剤T間に所定の間隔を保持してこれらの錠剤Tを下流端部へ搬送する。無端状ベルト42Cの回転により最先の4個の錠剤Tが第2の外観検査機構43の無端状ベルト43Cの4本の通気性ラインの上流端部に差し掛かると第1の外観検査機構42での4本の通気性ラインにおける真空吸着が解除された後、第2の外観検査機構43側の4本の通気性ラインがそれぞれ錠剤Tを真空吸着し、前後の錠剤Tの間に所定の間隔を空けて錠剤Tを4個ずつ搬送する。
【0025】
第1の外観検査機構42では無端状ベルト42Cの4本の通気性ラインで錠剤Tを4個ずつ所定の間隔を保持して搬送すると、この間にそれぞれの下方に配置された第1のカメラ42Dで各錠剤Tの下面を撮像した後、第2のカメラ42Eで各錠剤Tの側面を撮像し、それぞれの撮像画像を画像処理部で画像処理し、この処理画像に基づいて各錠剤Tの下面及び側面に欠損あるいは汚れがあるか否かを判断する。この判断はオペレータが処理画像を見て判断することもできる。この際、必要に応じて基準画像を画像処理部に登録しておき、この基準画像と撮像画像を画像処理部において比較し、比較結果に基づいて錠剤Tの良否を自動的に判断させるようにしても良い、
【0026】
また、第1の外観検査機構42において錠剤Tの下面及び側面の欠損あるいは汚れを検出して錠剤Tの良否を判断した後、第2の外観検査機構43においても同様に第1、第2のカメラ43D、43Eによって錠剤Tの上面及び側面の欠損あるいは汚れを検出し、錠剤Tの良否を判断する。
【0027】
錠剤Tが不良品である場合には、第2の外観検査機構43の無端状ベルト43Cの下流端部に配置された第1の錠剤排出機構44を介して不良品を回収容器44Aへ排出する。錠剤Tが良品である場合には、第1の錠剤排出機構44は作動せず、第1の錠剤排出機構44の下流側にある第2の錠剤排出機構45を介して次工程へ排出し、次工程へ供給する。
【0028】
次に、動作について説明する。まず、錠剤定量供給機10から定量の錠剤Tを錠剤搬送供給装置20へ供給すると、錠剤搬送供給装置20では回転体21が回転駆動機構22を介して所定の速度で回転している。回転体21上の定量された複数の錠剤Tは、回転体21の反時計方向の回転により分配機構23に向けて搬送される。この間に複数の錠剤Tは傾斜する回転体21上で少しずつ拡散して分配機構23に達する。これらの錠剤Tは接触体23Aによって更に回転体21上で分散されて空の収納孔21A内に一錠ずつ落とし込まれ、接触体21Aを通過した複数の収納孔21Aの全てに錠剤Tが一錠ずつ収納される。この間に適時錠剤定量供給機10から錠剤Tが定量して供給される。
【0029】
回転体21の反時計方向の回転により錠剤Tが収納された収納孔21Aが分配機構23を通過した後、回転体21の更なる回転により径方向に並ぶ4箇所の収納孔21A内にそれぞれ収納された錠剤Tが支持体24の通過部24Aに到達すると、通過部24Aを介してローラ搬送装置30へ供給される。ローラ搬送装置30では4個の錠剤Tが反時計方向に回転する回転リング31の4本の通気性のある無端状ベルト33において真空吸着されて回転搬送される。回転リング31が所定量回転すると、通過部24Aを介して後続の4個の錠剤Tがそれぞれの収納孔21Aから対応する4本の無端状ベルト33へ供給される。先の4個の錠剤Tと後続の4個の錠剤Tとの間には所定の間隔が形成されている。
【0030】
ローラ搬送装置30の無端状ベルト33に真空吸着された先の4個の錠剤Tが外観検査装置40の水平搬送機構41に最も近づくと回転リング31の4本の無端状ベルト33における真空吸着が解除され、4本の無端状ベルト33から水平搬送機構41の無端状ベルト41A上に同時に移載され、4個の錠剤Tが無端状ベルト41Aを介して水平方向に搬送される間に、後続の4個の錠剤Tが無端状ベルト41A上に供給され、先の錠剤Tとの間に所定の間隔が形成される。
【0031】
水平搬送機構41の先の錠剤Tが下流端部に到達すると、これらの錠剤Tは第1の外観検査機構42の無端状ベルト42Cの4本の通気性ラインによって真空吸着されて水平搬送される。4個の錠剤Tがそれぞれの通気性ラインを介して水平方向に搬送される間に後続の4個の錠剤Tが4本の通気性ラインに真空吸着され、先の錠剤Tとの間に所定の間隔が形成される。
【0032】
第1の外観検査機構42では、4個の錠剤Tがそれぞれの無端状ベルト42Cによって水平搬送される間に各錠剤Tの下面が第1のカメラ42Dによって撮像された後、各錠剤Tの側面が第2のカメラ42Eによって撮像される。第1、第2のカメラ42D、42Eが4個の錠剤Tの下面及び側面を撮像すると、画像処理部において画像処理され、モニター画面に映し出される。このモニター画面を監視することにより、各錠剤Tの下面及び/または側面の欠損及び/または汚れを確認することができる。欠損及び/または汚れのある錠剤T(不良品)は、外観検査装置40における最終工程で第1の錠剤排出機構44から回収容器内に自動的に排除される。
【0033】
第1の外観検査機構42の無端状ベルト42Cよって下流端部に搬送された4個の錠剤Tは第2の外観検査機構43の無端状ベルト43Cの4本の通気性ラインにおいて真空吸着されて水平搬送される。4個の錠剤Tが無端状ベルト43Cを介して水平方向に搬送される間に後続の4個の錠剤Tが無端状ベルト43Cの4本の通気性ラインに真空吸着され、先の錠剤Tとの間に所定の間隔が形成される。
【0034】
第2の外観検査機構43では、4個の錠剤Tが無端状ベルト43Cによって水平搬送される間に各錠剤Tの上面が第1のカメラ43Dによって撮像された後、各錠剤Tの側面が第2のカメラ43Eによって撮像される。第1、第2のカメラ43D、43Eが4個の錠剤Tの下面及び側面を撮像し、第1の外観検査機構42の場合と同様に処理される。錠剤Tの上面及び/または側面に欠損及び/または汚れのある不良品は、最終工程の第1の錠剤排出機構44から回収容器内に自動的に排除される。第1、第2の外観検査機構42、43において不良品が排除され、良品のみが第2の錠剤排出機構45を介して次工程へ排出される。
【0035】
このように先の錠剤Tの外観検査をした後、所定の間隔を空けて後続の4個の錠剤Tの外観検査を行うようにしたため、全ての錠剤Tを確実に外観検査することができる。
【0036】
以上説明したように本実施形態によれば、錠剤搬送供給装置20は、錠剤Tを収納する複数の収納孔21Aが周方向に所定間隔を空けて形成された回転体21と、回転体21を所定の速度で回転させる回転駆動機構22と、回転体21の回転に伴って回転体21上に供給された複数の錠剤Tを回転体21の上面に分散させながら一錠ずつ各収納孔21Aへ分配する分散機構23と、回転体21の各収納孔21A内にそれぞれ収納された錠剤Tを回転体21の下面側から支承し且つ回転体21の回転により収納孔21A内の錠剤Tをローラ搬送装置30へ供給するために径方向にスリット状に切り欠いて形成された通過部24Aを所定の位置に有する支持体24と、を備え、複数の錠剤Tを所定間隔ずつ空けて搬送し、錠剤Tの外観検査装置40へ所定間隔を空けて錠剤Tを供給することができるため、複数の錠剤Tを外観検査装置40へ連続的に供給する際に複数の錠剤T間に所定の間隔を空けて搬送し供給することができ、もって複数の錠剤Tの外観検査を1個ずつ確実に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、複数の収納孔21Aは回転体21に同心円状に4列に亘って配列されていると共に、通過部24Aは回転体21の径方向に並ぶ4個の収納孔21Aに合わせて形成されているため、ローラ回転搬送装置30を介して外観検査装置40へ錠剤Tを4個ずつ同時に供給して外観検査することができ、検査効率を高めることができる。
【0038】
本発明は、上記実施形態に何等制限されるものではなく、各構成要素を必要に応じて適宜変更することができる。例えば、上記実施形態では有形製剤物として錠剤を例に挙げて説明したが、本発明はカプセル剤(ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤)等の有形製剤物について広く適用することができる。また、本発明は、薬剤以外の栄養補助食品等からなる有形製剤物にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、錠剤、カプセル剤等の有形製剤物の外観検査をする外観検査装置の搬送供給装置として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の有形製剤物の搬送供給装置の一実施形態である錠剤搬送供給装置を適用した錠剤外観検査装置の一例を示す構成図である。
【図2】図1に示す錠剤搬送供給装置を拡大して示す斜視図である。
【図3】図2に示す錠剤搬送供給装置の回転体を示す平面図である。
【符号の説明】
【0041】
20 錠剤搬送供給装置(有形製剤物の搬送供給装置)
21 回転体
21A 収納孔
22 回転駆動機構
23 分配機構
24 支持体
24A 通過部
30 ローラ搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の有形製剤物を所定間隔ずつ空けて搬送し、有形製剤物の外観検査部へ所定間隔を空けて有形製剤物を供給する有形製剤物の搬送供給装置であって、上記有形製剤物を収納する複数の収納孔が周方向に所定間隔を空けて形成された回転体と、上記回転体を所定の速度で回転させる回転駆動機構と、上記回転体の回転に伴って上記回転体上に供給された複数の有形製剤物を上記回転体の上面に分散させながら一錠ずつ上記各収納孔へ分配する分散機構と、上記回転体を下面から支持し且つ上記回転体の回転により上記収納孔内の上記有形製剤物を後工程へ供給するために形成された通過部を有する支持体と、を備えたことを特徴とする有形製剤物の搬送供給装置。
【請求項2】
上記複数の収納孔は上記回転体に同心円状に複数列に亘って配列されていると共に、上記通過部は上記回転体の径方向に並ぶ上記収納孔に合わせて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有形製剤物の搬送供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−104732(P2010−104732A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282558(P2008−282558)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(508328109)株式会社 エステック (1)
【出願人】(508327294)
【Fターム(参考)】