説明

有料道路課金システム

【課題】システムを簡略化できる有料道路課金システムを提供する。
【解決手段】有料道路課金システム1は、有料道路Rの入口料金所Enに設けられた入口料金所設備2と、出口料金所Exに設けられた出口料金所設備3と、中央制御装置4とを備えている。入口料金所設備2は、車両5が有料道路Rの入口料金所Enを通過した入口通過時刻T1を送信するための入口制御装置14を備えている。出口料金所設備3は、車両5が有料道路Rの出口料金所Exを通過した出口通過時刻T2と車載器6から送信された入口通過時刻T1との差である有料道路利用時間Tに基づいて課金額tを算出する出口制御装置25を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路の入口料金所及び出口料金所で車両が停止することなく課金可能な有料道路課金システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、有料道路の料金所での渋滞を緩和するために、料金所で停止させることなく車両に課金可能な有料道路課金システム(ETC)が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、入口料金所で課金されるオープンシステムにおいて、車載器と無線通信可能な入口制御装置及び出口制御装置が有料道路の入口料金所及び出口料金所にそれぞれ設けられた有料道路課金システムが開示されている。この有料道路課金システムでは、入口料金所において、入口制御装置から車載器に課金額が送信されるとともに、車載器から出口制御装置に送信された情報により、一定の条件を満たすと判断された場合には、後から課金額を減額可能に構成されている。
【0004】
また、このような有料道路課金システムを、利用距離などに応じて出口料金所で課金するクローズシステムに適用した場合、以下のような構成が知られている。まず、車両が有料道路に入る際に入口制御装置から車載器に入口料金所番号が送信され、車載器はその入口料金所番号を記憶するとともに、出口料金所を通過する際に入口料金所番号を出口制御装置に送信する。そして、出口制御装置は、車載器から送信された入口料金所番号及び自己に付与されている出口料金所番号に基づいて、課金額データから課金額を検索し、その課金額を車載器に送信する。これによって、車両を停止することなく課金可能な有料道路課金システムを実現している。
【特許文献1】特開2001−338318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したクローズシステムにおける有料道路課金システムでは、入口料金所番号及び出口料金所番号に基づいて課金額を決定するための課金額データを出口制御装置が保持しなければならないが、少なくとも課金額データの数は(入口料金所番号の個数)×(出口料金所番号の個数)となる。このため、現在の複雑化した有料道路では、膨大な量の課金額データとなり、システムが複雑になるといった課題がある。また、最近では、時間帯や曜日によって割引を行う割引制度が普及しているが、それぞれの割引に対応させて課金額データを作製する必要があり、これによって課金額データが益々複雑になり、よりシステムが複雑になる。更に、環境改善を目的として、道路の混雑状況に応じて課金額を変動させて、交通量をコントロールする場合には、道路情報を収集して課金額にフィードバックしなければならず、よりシステムが複雑になる。この結果、システムの構築が困難になり、運用負荷が高くなる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、システムを簡略化できる有料道路課金システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、車両が有料道路の入口料金所を通過した入口通過時刻を車両に搭載された車載器に送信可能な入口打刻手段と、前記車両が前記有料道路の出口料金所を通過した出口通過時刻と前記車載器から送信される前記入口通過時刻との差である道路利用時間に基づいて課金額を算出する課金額算出手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】
また、前記車両が駐車領域の入口を通過した駐車入口時刻を前記車載器に送信可能な駐車入口打刻手段と、前記車両が前記駐車領域の出口を通過した駐車出口時刻を前記車載器に送信可能な駐車出口打刻手段とを備え、前記課金額算出手段は、前記車載器から送信される前記駐車入口時刻と前記駐車出口時刻との差である駐車時間を算出し、前記道路利用時間と前記駐車時間との差である実質道路利用時間に基づいて課金額を算出することを特徴としている。
【0009】
また、前記入口料金所に割り当てられた入口料金所番号を前記車載器に送信する入口料金所番号送信手段を備え、前記課金額算出手段は、前記出口料金所に割り当てられた出口料金所番号及び前記車載器から送信される入口料金所番号とに基づいて課金額を増減することを特徴としている。
【0010】
また、前記車両が利用した前記入口料金所と前記出口料金所とを走行するのに最小限必要な最小道路利用時間と前記道路利用時間又は前記実質道路利用時間とを比較する利用時間比較手段を備えたことを特徴としている。
【0011】
また、前記課金額算出手段は、前記車両が利用した前記入口料金所と前記出口料金所との間の天候状況に応じて課金額を変更することを特徴としている。
【0012】
また、前記課金額算出手段は、前記車両が利用した前記入口料金所と前記出口料金所との間の渋滞状況に応じて課金額を変更することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、道路利用時間に基づいて課金額を算出する課金額算出手段を設けているので、ユーザが利用した入口料金所や出口料金所に関わらず、課金額を算出できる。これによって、従来のように入口料金所や出口料金所の数に応じた膨大な量の課金額データを必要としないので、システムを簡略化することができる。
【0014】
また、道路利用時間により課金額を算出することによって、渋滞などが多く必然的に道路利用時間が長くなる時間帯を避けて、有料道路が空いている時間に利用するユーザが増加する。これにより、道路情報を収集し、その情報に応じて課金額を変更することなく渋滞を緩和することができるので、よりシステムを簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による有料道路課金システムについて、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態による有料道路課金システムの全体構成図である。図2は、入口料金所設備及び車載器のブロック図である。図3は、出口料金所設備及び車載器のブロック図である。
【0016】
図1に示すように、第1実施形態による有料道路課金システム1は、有料道路Rの入口料金所Enに設けられた入口料金所設備2と、出口料金所Exに設けられた出口料金所設備3と、中央制御装置4とを備えている。また、車両5には、入口料金所設備2及び出口料金所設備3と無線通信によりデータを送受信するための車載器6が搭載されている。
【0017】
図2に示すように、入口料金所設備2は、第1無線制御部11と、第2無線制御部12と、路側表示器13と、入口制御装置(請求項の入口打刻手段に相当)14とを備えている。
【0018】
第1無線制御部11及び第2無線制御部12は、入口制御装置14が車載器6と無線通信するためのものである。尚、第1無線制御部11は、第2無線制御部12よりも手前側に設置されている。路側表示器13は、入口制御装置14からの指令によって、車載器6を搭載していない車両5などに対して停止信号などを表示するためのものである。
【0019】
入口制御装置14は、入口料金所設備2の制御全般を行うとともに、中央制御装置4と情報を送受信するためのものである。入口制御装置14は、第1無線制御部11を介して車載器6の搭載の有無を確認するための問い合わせ信号を送信するとともに、車載器6に挿入されたICカード33のユーザ情報のうち有効期限情報などを受信する。そして、入口制御装置14は、受信したユーザ情報により、通過車両5の車載器6の搭載の有無及びICカード33の有効性を判断する。更に、入口制御装置14は、車両5が通過可能と判断した場合には、第2無線制御部12を介して車載器6に入口を通過した入口通過時刻T1を送信する。
【0020】
図3に示すように、出口料金所設備3は、車種判別装置21と、第3無線制御部22と、第4無線制御部23と、路側表示器24と、出口制御装置(請求項の課金額算出手段に相当)25とを備えている。
【0021】
車種判別装置21は、車高・車長検出器や踏板(図示略)などを備え、これらから送られてくる情報に基づいて、車両5について大型車、中型車などの車種を判別し、その車種情報を出口制御装置25に送る。第3無線制御部22及び第4無線制御部23は、出口制御装置25が車載器6と無線通信するためのものである。路側表示器24は、出口制御装置25からの指令によって、車載器6を搭載していない車両5などに対して停止信号などを表示するためのものである。
【0022】
出口制御装置25は、出口料金所設備3の制御全般を行うとともに、中央制御装置4と情報を送受信するためのものである。出口制御装置25は、車載器6から送信された入口通過時刻T1及びICカード33のユーザ情報のうちカード番号情報などを第3無線制御部22を介して受信するとともに、車両5が出口料金所設備3を通過する時刻を出口通過時刻T2として生成する。そして、出口制御装置25は、入口通過時刻T1と出口通過時刻T2との差である道路利用時間T(=T2−T1)を算出し、その道路利用時間Tに単位時間当たりの道路利用単価Uを掛けて課金額tを算出する。ここで道路利用単価Uとは、車種ごとに異なり、例えば、15分当たり、大型車に関しては200円、中型車に関しては150円、小型車に関しては100円と設定される。そして、出口制御装置25は、算出した課金額tを車載器6に第4無線制御部23を介して送信する。また、出口制御装置25は、課金額t及びICカード33のカード番号情報などを中央制御装置4に送る。
【0023】
中央制御装置4は、中継所(図示略)を介して有料道路Rに設置された全ての入口料金所設備2及び出口料金所設備3と情報を送受信可能に接続されている。中央制御装置4は、出口制御装置25から送られた課金額tをICカード33のカード番号情報に基づいて銀行又はカード会社などに請求する。また、中央制御装置4では、道路利用単価Uや割引情報などが入力されるとともに、その入力された情報を入口料金所設備2及び出口料金所設備3へと送る。
【0024】
図2及び図3に示すように、車載器6は、車載器制御装置31と、無線制御部32とを備えている。
【0025】
車載器制御装置31は、利用者が所有するICカード33に記憶されているユーザ情報を読み出すことが可能に構成されている。車載器制御装置31は、無線制御部32を介して入口制御装置14にユーザ情報を送信するとともに、入口制御装置14から送信される入口通過時刻T1を受信して記憶する。また、車載器制御装置31は、無線制御部32を介して出口制御装置25に入口通過時刻T1及びユーザ情報を送信するとともに、出口制御装置25から送信される課金額tを受信して表示部(図示略)に表示する。
【0026】
次に、図面を参照して、上述した第1実施形態による有料道路課金システムの動作説明を行う。図4は、入口制御装置で行われる制御のフローチャートである。図5は、出口制御装置で行われる制御のフローチャートである。
【0027】
最初に、入口料金所Enを車両5が通過する際の動作説明を行う。
【0028】
まず、図4に示すように、車両5が入口料金所設備2に接近すると、入口制御装置14は、第1無線制御部11を介して車載器6の有無を確認するための問い合わせ信号を送信する(S11)。そして、問い合わせ信号を受信した車載器6は、ICカード33に記憶されているユーザ情報のうちICカード33の有効期限情報などを送信する。ここで、入口制御装置14は、ユーザ情報を受信しない場合は(S12:No)、車両5が車載器6を搭載していないと判定し、路側表示器13に停止信号を表示させる(S16)。一方、入口制御装置14は、第1無線制御部11を介してユーザ情報を受信した場合(S12:Yes)、そのユーザ情報に基づいてICカード33の有効性を判別して、車両5を通過させてもよいか否かを判定する(S13)。
【0029】
ここで、ICカード33の有効期限が切れている場合は、入口制御装置14は、当該車両5が通過可能車両でないと判定し(S13:No)、路側表示器13に停止信号を表示させる(S16)。一方、入口制御装置14は、ICカード33が有効であり、当該車両5が通過可能車両であると判断した場合は(S13:Yes)、第2無線制御部12により入口通過時刻T1を送信する(S14)。
【0030】
そして、車載器6は、入口通過時刻T1を受信すると、その入口通過時刻T1を記憶するとともに、入口通過時刻T1を受信したことを通知するための応答信号を送信する。ここで、入口制御装置14が入口通過時刻T1を受信したことを通知するための応答信号を受信しなければ(S15:No)、再度、入口制御装置14は入口通過時刻T1を送信する。そして、入口制御装置14が入口通過時刻T1を受信したことを通知するための応答信号を受信すれば(S15:Yes)、入口料金所設備2での処理は終了する。
【0031】
次に、出口料金所Exを車両5が通過する際の動作説明を行う。
【0032】
まず、図5に示すように、車両5が出口料金所設備3に接近すると、車種判別装置21が車両5の車種を判別するとともに、その車種情報を出口制御装置25に送る(S21)。次に、出口制御装置25は、第3無線制御部22を介して車載器6の有無を確認するための問い合わせ信号を送信する(S22)。そして、車載器6は、問い合わせ信号を受信すると、車載器6に記憶されている入口通過時刻T1及びICカード33のユーザ情報のうち、カード番号などを送信する。ここで、出口制御装置25は、入口通過時刻T1などを受信しない場合(S23:No)、車両5が車載器6を搭載していないと判定し、路側表示器24に停止信号を表示させる(S30)。一方、出口制御装置25は、第3無線制御部22を介して入口通過時刻T1などを受信した場合(S23:Yes)、出口料金所を通過した時刻である出口通過時刻T2を生成する(S24)。
【0033】
次に、出口制御装置25は、入口通過時刻T1と出口通過時刻T2との差である道路利用時間T(=T2−T1)を算出する(S25)。そして、出口制御装置25は、その車両5の車種に対応した道路利用時間Tと道路利用単価Uとを掛けて課金額t(=T×U)を算出する(S26)。その後、出口制御装置25は、中央制御装置4に課金額t及びICカード33のカード番号を送る(S27)。また、出口制御装置25は、第4無線制御部23を介して、課金額tを車載器6に送信する(S28)。そして、車載器6は、受信した課金額tを表示部に表示するとともに、受信したことを通知するための応答信号を出口制御装置25へと送信する。ここで、出口制御装置25は、車載器6からの応答信号を受信しない場合(S29:No)、再度、課金額tを送信する。そして、出口制御装置25が応答信号を受信したら(S29:Yes)、出口料金所設備3での処理は終了する。
【0034】
上述したように第1実施形態による有料道路課金システム1では、道路利用時間Tに道路利用単価Uを掛けることにより課金額tを算出する出口制御装置25を設けているので、入口料金所Enや出口料金所Exに関わらず、課金額tを算出できる。これによって、従来のように入口料金所Enや出口料金所Exの数に応じた膨大な量の課金データを必要としないので、システムを簡略化することができる。
【0035】
また、道路利用時間Tにより課金額tを算出することによって、渋滞などが多く必然的に道路利用時間Tが長くなる時間帯を避け、有料道路Rが空いている時間に利用するユーザが増加する。これにより、道路情報を収集して、その情報に基づいて課金額を変更しなくても渋滞を緩和することができるので、よりシステムを簡略化することができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態の一部を変更した第2実施形態による有料道路課金システムについて、図面を参照して説明する。図6は、第2実施形態による有料道路課金システムの全体構成図である。図7は、駐車入口打刻設備及び車載器のブロック図である。図8は、駐車出口打刻設備及び車載器のブロック図である。尚、第1実施形態と同じ構成には、同じ符号を付けて説明を省略する。
【0037】
図6に示すように、第2実施形態による有料道路課金システム1Aは、入口料金所設備2と、出口料金所設備3と、中央制御装置4と、有料道路の途中に設けられているサービスエリアやパーキングエリアなどの駐車領域7の入口及び出口に設けられた駐車入口打刻設備8及び駐車出口打刻設備9とを備えている。
【0038】
駐車入口打刻設備8は、車載器6を搭載した車両5が駐車領域7の入口を通過した駐車入口時刻T3を車載器6に無線送信するためのものである。図7に示すように、駐車入口打刻設備8は、第1車両検出器41と、第5無線制御部42と、駐車入口打刻制御装置(請求項の駐車入口打刻手段に相当)43とを備えている。
【0039】
第1車両検出器41は、駐車入口打刻設備8に接近した車両5を検出すると、駐車入口打刻制御装置43に車両検出信号を出力する。駐車入口打刻制御装置43は、第1車両検出器41から車両検出信号が入力されると、駐車入口時刻T3を車載器6に第5無線制御部42を介して送信する。
【0040】
駐車出口打刻設備9は、車載器6を搭載した車両5が駐車領域7の出口を通過した駐車出口時刻T4を車載器6に無線送信するためのものである。図8に示すように、駐車出口打刻設備9は、第2車両検出器45と、第6無線制御部46と、駐車出口打刻制御装置(請求項の駐車出口打刻手段に相当)47とを備えている。
【0041】
第2車両検出器45は、駐車出口打刻設備9に接近した車両5を検出し、駐車出口打刻制御装置47に車両検出信号を出力する。駐車出口打刻制御装置47は、第2車両検出器45から車両検出信号が入力されると、駐車出口時刻T4を車載器6に第6無線制御部46を介して送信する。
【0042】
出口料金所設備3の出口制御装置25は、車載器6から送信される駐車入口時刻T3と駐車出口時刻T4との差である駐車時間T(=T4−T3)を算出し、更に、道路利用時間Tと駐車時間Tとの差である実質道路利用時間T(=T−T)を算出する。そして、出口制御装置25は、実質道路利用時間Tと道路利用単価Uとを掛けて課金額tを算出する。尚、上述したように出口料金所設備3の出口制御装置25における制御処理は第1実施形態と異なるが、各構成には同じ符号を付与する。
【0043】
次に、図面を参照して、上述した第2実施形態による有料道路課金システムの動作説明を行う。図9は、駐車入口打刻制御装置で行われる制御のフローチャートである。図10は、駐車出口打刻制御装置で行われる制御のフローチャートである。図11は、出口制御装置で行われる制御のフローチャートである。尚、入口料金所での制御処理は第1実施形態と同じ制御処理が行われるので説明を省略する。
【0044】
まず、図9に示すように、駐車入口打刻設備8では、第1車両検出器41が駐車入口打刻設備8に接近する車両5を検出すると(S41:Yes)、駐車入口打刻制御装置43に車両検出信号を送る。そして、駐車入口打刻制御装置43は、車両検出信号を受けると(S41:Yes)、車両検出信号を受けた時刻を駐車入口時刻T3として車載器6へと送信する(S42)。車載器6は、駐車入口時刻T3を受信すると、その駐車入口時刻T3を記憶するとともに、駐車入口時刻T3を受信したことを通知するための応答信号を送信する。そして、駐車入口打刻制御装置43は、応答信号を受信するまで駐車入口時刻T3を送信する(S43)。
【0045】
次に、図10に示すように、駐車出口打刻設備9では、第2車両検出器45が駐車出口打刻設備9に接近する車両5を検出すると、第2車両検出器45は、駐車出口打刻制御装置47に車両検出信号を送る。そして、駐車出口打刻制御装置47は、車両検出信号を受けると(S45:Yes)、車両検出信号を受けた時刻を駐車出口時刻T4として車載器6へと送信する(S46)。車載器6は、駐車出口時刻T4を受信すると、その駐車出口時刻T4を記憶するとともに、駐車出口時刻T4を受信したことを通知するための応答信号を送信する。駐車出口打刻制御装置47は、応答信号を受信するまで駐車出口時刻T4を送信する(S47)。
【0046】
次に、図11に示すように、出口料金所設備3では、第1実施形態と同様にS21、S22の処理が行われる。そして、問い合わせ信号を受信した車載器6により送信されるICカード33のユーザ情報と、入口通過時刻T1と、駐車入口時刻T3と、駐車出口時刻T4とを出口制御装置25が受信すると(S51:Yes)、出口制御装置25は、出口料金所Exを通過する時刻である出口通過時刻T2を生成する(S24)。
【0047】
次に、出口制御装置25は、入口通過時刻T1と出口通過時刻T2との差である道路利用時間T及び駐車入口時刻T3と駐車出口時刻T4との差である駐車時間T(=T4−T3)を算出した後、道路利用時間Tと駐車時間Tとの差である実質道路利用時間T(=T−T)を算出する(S52)。そして、実質道路利用時間Tに道路利用単価Uを掛けて課金額tを算出する(S53)。その後、第1実施形態と同様に、S27〜S29の処理が行われる。
【0048】
上述したように第2実施形態による有料道路課金システム1Aでは、駐車領域7での駐車時間Tが道路利用時間Tから引かれた実質道路利用時間Tに基づいて課金額tが算出されるので、ユーザは課金額tを気にすることなく駐車領域7で休むことができる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、上述した実施形態の一部を変更した第3実施形態による有料道路課金システムについて、図面を参照して説明する。図12は、第3実施形態による有料道路課金システムの出口制御装置が保持する最小道路利用時間データである。尚、上述した各実施形態と同様の構成には、同じ符号を付けて説明を省略する。
【0050】
第3実施形態による有料道路課金システム1Aは、第2実施形態と同様に、入口料金所設備2と、出口料金所設備3と、中央制御装置4と、駐車入口打刻設備8と、駐車出口打刻設備9とを備えている。尚、入口料金所設備2及び出口料金所設備3において行われる制御処理は、第2実施形態と異なるが同じ符号を付けて説明する。
【0051】
入口制御装置(請求項の入口料金所番号送信手段にも相当)14は、車両5が入口料金所設備2を通過する際に、入口通過時刻T1とともに入口料金所Enに割り当てられた入口料金所番号EnX(X=1、2・・)を、第2無線制御部12を介して車載器6に送信する。そして、車載器6はその入口料金所番号EnXを記憶し、出口制御装置25に送信可能に構成されている。
【0052】
また、出口制御装置(請求項の利用時間比較手段にも相当)25には、図12に示すような、各入口料金所Enに割り当てられた入口料金所番号EnX及び各出口料金所Exに割り当てられた出口料金所番号ExY(Y=1、2・・)に対応した最小道路利用時間Tmin(単位:分)のデータが記憶されている。そして、出口制御装置25は、最小道路利用時間Tminと実質道路利用時間Tとを比較し、車両5が最小道路利用時間Tmin以上の時間で有料道路Rを走行したか否かを判定する。例えば、入口料金所番号En1の入口料金所Enから出口料金所番号Ex3の出口料金所Exまで走行した車両5が、図12の最小道理利用時間データに示すように20分以上で走行したか否かを判定する。尚、ここでいう最小道路利用時間Tminとは、入口料金所Enと出口料金所Exとの間を法定速度内の最高速度で走行した際に最小限必要な時間のことである。
【0053】
次に、図面を参照して、上述した第3実施形態による有料道路課金システムの動作説明を行う。図13は、第3実施形態による出口制御装置で行われる制御のフローチャートである。尚、入口料金所設備で行われる制御処理は、第1実施形態のS14において入口通過時刻T1とともに入口料金所番号EnXが送信される以外は同じ制御処理が行われるので説明を省略する。また、駐車入口打刻設備8及び駐車出口打刻設備9での制御処理は、第2実施形態と同じ制御処理であるので説明を省略する。
【0054】
まず、図13に示すように、出口制御装置25では、S21、S22の制御処理が行われる。次に、問い合わせ信号を受信した車載器6により送信されるICカード33のユーザ情報と、入口通過時刻T1と、駐車入口時刻T3と、駐車出口時刻T4と、入口料金所番号EnXを出口制御装置25が受信する(S61:Yes)。その後、第2実施形態と同様に、S24、S52、S53の制御処理が行われる。次に、受信した入口料金所番号EnXと自己に付与された出口料金所番号ExYとから最小道路利用時間Tminを図12に示す最小道路利用時間データから検索する(S62)。そして、実質道路利用時間Tが最小道路利用時間Tminよりも短い場合は(S63:Yes)、法定速度以上の速度で車両5が走行したと判定され、S53で算出された課金額tを一定の割合で増額して、それを新たな課金額tとする(S64)。一方、実質道路利用時間Tが最小道路利用時間Tminよりも長い場合は(S63:No)、S53で算出された課金額tをそのまま課金額tとする。その後は、第1実施形態と同様にS27〜S29の制御処理が行われる。
【0055】
上述したように第3実施形態による有料道路課金システム1Aでは、実質道路利用時間Tが最小道路利用時間Tminよりも短い場合には、課金額tを増額することによって、ユーザが課金額tを小さくするために法定速度以上の速度で有料道路Rを走行することを抑制できる。尚、道路利用時間Tと最小道路利用時間Tminとを比較して、その比較結果に基づいて課金額tを変更してもよい。
【0056】
(第4実施形態)
次に、上述した実施形態の一部を変更した第4実施形態による有料道路課金システムについて、図面を参照して説明する。尚、上述した各実施形態と同様の構成には、同じ符号を付けて説明を省略する。
【0057】
第4実施形態による有料道路課金システム1Aは、第2実施形態と同様に、入口料金所設備2と、出口料金所設備3と、中央制御装置4と、駐車入口打刻設備8と、駐車出口打刻設備9とを備えている。尚、出口料金所設備3において行われる制御処理は、第2実施形態と異なるが同じ符号を付けて説明する。
【0058】
第4実施形態による出口制御装置25は、中央制御装置4から送られる天候状況による速度規制情報を記憶可能に構成されている。また、出口制御装置25は、入口料金所番号EnX及び出口料金所番号ExYに基づいて、車両5が利用した入口料金所Enと出口料金所Exとの間に速度規制が行われている領域があると判定した場合は、速度規制によって通常よりも走行に時間が掛かったものとし、当該車両5の課金額tを通常の課金額tよりも減額する。
【0059】
具体的には、車両5が走行した領域において、距離L[km]の間で通常の制限速度よりも時速S[km/h]遅い速度規制が行われているとした場合、通常よりも「L/S」の時間が走行するのに必要だったとして、その時間に道路利用単価Uを掛けた「(L/S)×U」円が通常の課金額tよりも減額されたものが新たな課金額tとして当該車両5に課金される。
【0060】
上述したように、第4実施形態による有料道路課金システム1Aでは、天候状況により速度規制が行われている場合でも、ユーザは、課金額tの増額を意識することなく、速度規制を守って走行することができる。
【0061】
(第5実施形態)
次に、上述した実施形態の一部を変更した第5実施形態による有料道路課金システムについて、図面を参照して説明する。尚、上述した各実施形態と同様の構成には、同じ符号を付けて説明を省略する。
【0062】
第5実施形態による有料道路課金システム1Aは、第2実施形態と同様に、入口料金所設備2と、出口料金所設備3と、中央制御装置4と、駐車入口打刻設備8と、駐車出口打刻設備9とを備えている。尚、出口料金所設備3において行われる制御処理は、第2実施形態と異なるが同じ符号を付けて説明する。
【0063】
出口制御装置25は、中央制御装置4から送られる渋滞情報を記憶可能に構成されている。また、出口制御装置25は、入口料金所番号EnX及び出口料金所番号ExYに基づいて、車両5が利用した入口料金所Enと出口料金所Exとの間に渋滞領域あるか否かを判定する。更に、出口制御装置25は、車両5が渋滞を回避可能であったか否かを判定する。
【0064】
具体的には、渋滞が発生した時点で、車両5と渋滞との間に駐車領域7又は出口料金所Exがあったか否かを判定する。そして、駐車領域7又は出口料金所Exがあった場合には当該車両5が渋滞を回避できたと判定し、実質道路利用時間Tに道路利用単価Uを掛けた通常の課金額tが課金される。一方、駐車領域7又は出口料金所Exがなく、渋滞が回避できなかったと判定された車両5に課金する場合には、出口制御装置25は、通常の課金額tよりも一定の割合で減額された課金額tが算出される。例えば、渋滞を抜けるのに必要な時間を実質道路利用時間Tから引いた時間に道路利用単価Uを掛けたものを課金額tとすることにより、通常の課金額tよりも減額することができる。
【0065】
上述したように、第5実施形態による有料道路課金システム1Aでは、回避不可能な渋滞中を走行しても、ユーザは不当に課金額tが増額されることを避けることができる。
【0066】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。以下、上記実施形態を一部変更した変更形態について説明する。
【0067】
例えば、上述した第1〜第5実施形態のうち複数の実施形態を組み合わせてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、出口制御装置25によって課金額tを算出したが、中央制御装置4によって課金額tを算出するように構成してもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、道路利用時間及び実質道路利用時間が長くなると、無制限に課金額が上昇するが、所定の上限を設定し、その上限を超えた場合には上限の課金額を請求するように構成してもよい。
【0070】
また、上述した第4実施形態では、天候状況による速度規制に基づいて課金額tを減額するように構成したが、速度規制に関わらず、天候状況のみに基づいて課金額tを減額してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態による有料道路課金システムの全体構成図である。
【図2】入口料金所設備及び車載器のブロック図である。
【図3】出口料金所設備及び車載器のブロック図である。
【図4】入口制御装置で行われる制御のフローチャートである。
【図5】出口制御装置で行われる制御のフローチャートである。
【図6】第2実施形態による有料道路課金システムの全体構成図である。
【図7】駐車入口打刻設備及び車載器のブロック図である。
【図8】駐車出口打刻設備及び車載器のブロック図である。
【図9】駐車入口打刻制御装置で行われる制御のフローチャートである。
【図10】駐車出口打刻制御装置で行われる制御のフローチャートである。
【図11】出口制御装置で行われる制御のフローチャートである。
【図12】第3実施形態による有料道路課金システムの出口制御装置が保持する最小道路利用時間データである。
【図13】出口制御装置で行われる制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1、1A 有料道路課金システム
2 入口料金所設備
3 出口料金所設備
4 中央制御装置
5 車両
6 車載器
7 駐車領域
8 駐車入口打刻設備
9 駐車出口打刻設備
14 入口制御装置
25 出口制御装置
43 駐車入口打刻制御装置
47 駐車出口打刻制御装置
En 入口料金所
EnX 入口料金所番号
Ex 出口料金所
ExY 出口料金所番号
t 課金額
T 道路利用時間
T1 入口通過時刻
T2 出口通過時刻
T3 駐車入口時刻
T4 駐車出口時刻
min 最小道路利用時間
駐車時間
実質道路利用時間
U 道路利用単価

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が有料道路の入口料金所を通過した入口通過時刻を車両に搭載された車載器に送信可能な入口打刻手段と、
前記車両が前記有料道路の出口料金所を通過した出口通過時刻と前記車載器から送信される前記入口通過時刻との差である道路利用時間に基づいて課金額を算出する課金額算出手段とを備えたことを特徴とする有料道路課金システム。
【請求項2】
請求項1に記載の有料道路課金システムにおいて、
前記車両が駐車領域の入口を通過した駐車入口時刻を前記車載器に送信可能な駐車入口打刻手段と、
前記車両が前記駐車領域の出口を通過した駐車出口時刻を前記車載器に送信可能な駐車出口打刻手段とを備え、
前記課金額算出手段は、前記車載器から送信される前記駐車入口時刻と前記駐車出口時刻との差である駐車時間を算出し、前記道路利用時間と前記駐車時間との差である実質道路利用時間に基づいて課金額を算出することを特徴とする有料道路課金システム。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の有料道路課金システムにおいて、
前記入口料金所に割り当てられた入口料金所番号を前記車載器に送信する入口料金所番号送信手段を備え、
前記課金額算出手段は、前記出口料金所に割り当てられた出口料金所番号及び前記車載器から送信される入口料金所番号とに基づいて課金額を増減することを特徴とする有料道路課金システム。
【請求項4】
請求項3に記載の有料道路課金システムにおいて、
前記車両が利用した前記入口料金所と前記出口料金所とを走行するのに最小限必要な最小道路利用時間と前記道路利用時間又は前記実質道路利用時間とを比較する利用時間比較手段を備えたことを特徴とする有料道路課金システム。
【請求項5】
請求項3又は4のいずれか1項に記載の有料道路課金システムにおいて、
前記課金額算出手段は、前記車両が利用した前記入口料金所と前記出口料金所との間の天候状況に応じて課金額を変更することを特徴とする有料道路課金システム。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の有料道路課金システムにおいて、
前記課金額算出手段は、前記車両が利用した前記入口料金所と前記出口料金所との間の渋滞状況に応じて課金額を変更することを特徴とする有料道路課金システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−234198(P2008−234198A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71393(P2007−71393)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】