有機エレクトロルミネセンス装置およびその製造方法
有機エレクトロルミネセンス装置およびかかる装置を作成する方法が提供される。有機エレクトロルミネセンス装置には、第1の電極、発光構造体、第2の電極、導電層、および非導電性材料が含まれる。発光構造体は、第1と第2の電極の間に配置される。導電層は、第2の電極の少なくとも一部の上に配置され、非導電性材料中の開口部を通じて第2の電極と電気的に導通する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネセンス装置および有機エレクトロルミネセンス装置を作成する方法に関する。より詳しくは、電極の1つと電気的に導通する変形可能な箔などの導電層を含む有機エレクトロルミネセンス装置が提供される。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネセンス装置には、一般に、アノードとカソードとの間に配置される有機エレクトロルミネセンス材料が含まれる。この装置は、酸素または水分に反応性のある電極材料またはエレクトロルミネセンス材料を含むことがある。反応性材料を含む有機エレクトロルミネセンス装置は、装置の有効寿命を延ばすために、通常カプセル化される。カプセル化方法は、通常、ガラスと高分子材料などの2つの基板の間に、または基板と金属缶との間に、電極およびエレクトロルミネセンス材料を配置すること、および封止することが含まれる。また、反応性材料が酸素および水と接触するのをさらに低減するため、他の様々な保護層を含むことがある。
【0003】
有機エレクトロルミネセンス装置は、例えば、様々な照明の用途において、並びに高および低分解能表示装置の作成において、有用である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、本発明は、有機エレクトロルミネセンス装置およびかかる装置を作成する方法に関する。
【0005】
本発明の一態様は、第1の電極、第2の電極、第1と第2の電極の間に配置される発光構造体、第2の電極の少なくとも一部の上に配置される導電層、および、導電層が開口部を通じて第2の電極と電気的に導通するその開口部を画定する非導電性材料、を含む有機エレクトロルミネセンス装置を提供する。
【0006】
本発明の別の態様は、有機エレクトロルミネセンス装置を作成する方法を提供する。第1の電極、第2の電極、および、第1と第2の電極の間に配置される発光構造体を含むエレクトロルミネセンス構造体が形成される。開口部が、非導電性材料の中に形成され、第2の電極の表面に位置合わせされる。非導電性材料中の開口部を通じて、導電層と第2の電極との間に電気的導通が確立される。この方法は、ロールツーロール法とすることができる。
【0007】
上記本発明の要約は、本発明のそれぞれ開示した実施形態またはすべての実施態様を記載することを意図していない。以下の図および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳しく例証する。
【0008】
本発明は、添付図面と関連した本発明の様々な実施形態についての次の詳細な説明を考慮して、より一層完全に理解することができる。
【0009】
本発明は、様々な修正形態および代替形態に影響を受けやすいが、その明細を図面に一例として示し、詳細に記載することになる。しかし、この趣旨は、本発明を、記載した具体的な実施形態に限定しないことを理解されるべきである。これに反して、この趣旨は、本発明の精神と範囲内に属する全ての修正形態、均等物、および代替物におよぶべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
有機エレクトロルミネセンス装置およびかかる装置を作成する方法が提供される。より詳しくは、非導電性材料中の開口部を通じて電極の1つと電気的に導通している導電層を含む有機エレクトロルミネセンス装置が提供される。この有機エレクトロルミネセンス装置は、例えば、バックライト、低解像度表示装置、高分解能表示装置等として使用することができる。
【0011】
本明細書で使用されるとき、「有機エレクトロルミネセンス装置」または「OEL装置」は、第1の電極と第2の電極との間に配置される少なくとも1種の有機エレクトロルミネセンス材料の層を含む物品を指す。通常、電極の少なくとも1つは、有機エレクトロルミネセンス材料が発光する光を透過することができる。本明細書で使用されるとき、「有機エレクトロルミネセンス表示装置」または「OEL表示装置」は、1つもしくはそれ以上の有機エレクトロルミネセンス装置を含む物品を指す。
【0012】
R.H.フレンド(Friend)らは、「共役ポリマーにおけるエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence in Conjugated Polymers)」(ネイチャー(Nature)、397、121ページ(1999年))において、有機エレクトロルミネセンス装置の一つの動作機構を記載している。電子が、カソードから有機エレクトロルミネセンス材料の中に注入され、正孔が、アノードから有機エレクトロルミネセンス材料の中に注入される。注入された電荷が、反対に帯電した電極の方へ移動するとき、それらは再結合して、通常エキシトンと呼ばれる電子正孔対を形成することができる。これらのエキシトンまたは励起状態の化学種は、それらが基底状態に戻って失活するとき、光の形をしたエネルギーを放出することができる。主としてエキシトンが形成される装置の領域は、再結合ゾーンと呼ばれることがある。
【0013】
図1は、有機エレクトロルミネセンス装置または表示装置100の一例の概略断面図を示す。この構造体には、装置層110および任意選択の基板120が含まれる。他の適切な表示装置の構成要素はどれも、この装置または表示装置100に含まれ得る。電子表示装置または装置に使用するのに適切な追加の任意選択の構成要素または装置130を、OEL装置または表示装置100と視聴者位置140との間に設けることができる。
【0014】
装置層110には、任意選択の基板120を通じて視聴者位置140の方向へ光を発する1つもしくはそれ以上のOEL装置が含まれる。視聴者位置は、それが、実際のヒト観察者、スクリーン、光学的構成要素、電子装置などであろうとなかろうと、一般に、放出光の目的とする発信先を示すために使用される。
【0015】
装置層110は、任意の適切な方法で配列される1つもしくはそれ以上のOEL装置を含むことができる。例えば、ランプの用途(例えば、液晶表示装置(LCD)モジュールのバックライト)では、装置層110は、目的とする全体のバックライト領域にまたがる単一のOEL装置の構成要素となることができる。あるいは、他のランプ用途では、装置層110は、同時に活動化できる複数の密接した装置の構成要素になることができる。例えば、発光体を活動化したとき、装置層が白色光を発光したと見えるように、比較的小さくてかつ密接した赤、緑、および青発光体を、共通電極間にパターン化することができる。バックライト用途の他の配列もまた予測される。
【0016】
ある用途では、装置層110は、同じもしくは異なる色を発光する複数の独立してアドレス可能なOEL装置を含むことができる。それぞれの装置は、画素化した表示装置(例えば、高分解能表示装置)の別々の画素もしくは別々のサブ画素、区分化された表示装置(例えば、少ない情報量の表示装置)の別々のセグメントもしくはサブ・セグメント、または、別々のアイコン、アイコンの一部、あるいは、アイコン用のランプ(例えば、表示用途)を意味することがある。
【0017】
任意選択の構成要素130は、OEL装置または表示装置100に使用するのに適切な任意の構成要素または構成要素の組合せとすることができる。例えば、この任意選択の構成要素は、装置または表示装置100がバックライトである場合、液晶表示装置モジュールを含むことができる。1つもしくはそれ以上の偏光子、または吸収もしくは反射クリーンアップ偏光子などの他の構成要素を、液晶モジュールとバックライト装置または表示装置100との間に設けることができる。あるいは、装置または表示装置100が情報表示装置である場合、任意選択の構成要素130は、1つもしくはそれ以上の偏光子、波長板、タッチパネル、反射防止コーティング、汚れ防止コーティング、投映スクリーン、輝度向上フィルム、あるいは、他の光学装置、コーティング、ユーザー・インターフェイス機器などを含むことができる。
【0018】
図2は、周知の有機エレクトロルミネセンス装置80の概略断面図である。第1の導電層は、基板300上に配置される。導電層の一部は、例えばエッチングによって、除去またはパターン化され、アノード20および電気接点30が形成される。発光構造体40は、基板300とは反対側のアノード20の表面の一部の上に配置される。発光構造体は、一般に、アノード20と電気接点30との間のパターン化された区域の一部を占める。カソード50は、発光構造体40がアノード20とカソード50との間にあるように、発光構造体40上に配置される。カソード50は、パターン化された区域に延在し、電気接点30と電気的に導通している。発光構造体40およびカソード50は、装置のこれら構成要素が酸素および水分に暴露されるのを低減するため、金属缶70で覆われる。金属缶70は、電気絶縁体90によってアノード20および電気接点30から絶縁される。隙間60は、金属缶70を第2の電極50から電気的に絶縁する。
【0019】
本明細書で使用されるとき、用語「パターン」は、構成要素(例えば、電極または導電層)が2つ以上の非接続部分に分割されることを意味する。一部の実施形態では、構成要素は、構成要素の一部を除去することによってパターン化される。例えば、構成要素はエッチングされることがある。他の実施形態では、構成要素は、接続されてない2つ以上の区域に構成要素を堆積させることによってパターン化される。例えば、構成要素を堆積させるために、マスクまたは印刷方式を使用することができる。「非パターン化」構成要素は、2つ以上の非接続部分に分割されてない構成要素を指す。
【0020】
図2に示す装置は、通常、第1の導電層をパターン化するため、光リソグラフィ・プロセスを使用して作成され、アノード20および電気接点30が形成される。かかるプロセスは、導電層をエッチングするのに、例えば、強酸の使用が必要になる。その他の製造方法が望まれる。
【0021】
通常、カソードおよび発光構造体は両方とも、水分および酸素による劣化を受けやすい。有機エレクトロルミネセンス装置の有効寿命を延ばすことができるカプセル化方式が望ましい。
【0022】
本発明の有機エレクトロルミネセンス装置には、これらに限定されないが、第1の電極、第2の電極、発光構造体、導電層、および非導電性材料が含まれる。発光構造体は、第1と第2の電極の間に配置される。導電層は、第2の電極の少なくとも一部の上に配置することができ、非導電性材料の中に画定される少なくとも1つの開口部を通じて、第2の電極と電気的に導通している。
【0023】
本明細書で使用されるとき、用語「非導電性((non−conducting)あるいは(non−conductive))」は、電気を導通しない材料を指す。同様に、本明細書で使用されるとき、用語「導電性((conducting)あるいは(conductive))」は、電気を導通する材料を指す。
【0024】
図3は、本発明による有機エレクトロルミネセンス装置260の一実施形態の概略断面図である。発光構造体220は、第1の電極210と第2の電極230との間に配置される。発光構造体220は、電極210および230と電気的に導通している。非導電層240は、開口部200を画定する。開口部200は、第2の電極230の表面区域、例えば、発光構造体220とは反対側の表面区域に配置される。導電層250は、一般に、非導電層240によって画定される開口部200を通じて、第2の電極230と電気的に導通している。
【0025】
図3に示すように、非導電性材料240中の開口部200は、第2の電極230の表面、例えば発光構造体220とは反対側の表面区域内に完全に配置することができる。開口部200の面積は、第2の電極230の表面積より小さく、第2の電極の上に開口部が配置される。非導電性材料240は、第2の電極230の外側縁部近傍の導電層250を、第2の電極230から隔てることができる。
【0026】
一部の実施形態では、第2の電極は、発光構造体の外周部を越えて延在することができる。例えば、図2の第2の電極(カソード50)は、発光構造体40を越えて延在している。かかる実施形態では、非導電層中の開口部を、発光構造体の直接上の第2の電極の区域に配置することができ、または、発光構造体の直接上ではない第2の電極の区域に配置することができる。
【0027】
図3の導電層250は、非導電層240に接着することができ、その両方が、第2の電極230の外周部を越えて延在することができる。この非導電層は、導電層を、装置の他の能動装置、例えば、発光構造体、第1の電極、またはそれらの組合せから隔てることができる。
【0028】
非導電性材料240は、OEL装置の他の構成要素に接着することができる。例えば、図3では、非導電性材料240は、第2の電極230の外周部を越えて第1の電極210に接着することができる。非導電性材料の1つの表面を接着すると、封止として機能して、発光材料および第2の電極が水分または酸素に暴露されるのを低減することができる。
【0029】
有機エレクトロルミネセンス装置に含まれる様々な構成要素には、カプセル化を行なうことができる。本明細書で使用されるとき、用語「カプセル化」は、酸素に暴露される表面がない発光構造体および第2の電極を有する有機エレクトロルミネセンス装置を指す。様々な構成要素の組成に応じて、有機エレクトロルミネセンス装置の有効寿命を、カプセル化することによって延ばすことができる。例えば、一部の電極材料および発光構造体は、酸素、水分、またはそれらの組合せに長時間暴露すると劣化する。カプセル化することにより、第2の電極または発光構造体と酸素または水分の接触が低減される。図3では、第1の電極210、非導電層240、および導電層250の組合せが、第2の電極230および発光構造体220をカプセル化することができる。カプセル化を行なうために、他の様々な構成要素または構造体を加えることができる。例えば、一部の実施形態では、装置をさらにカプセル化するために、基板、障壁層、縁部封止、またはそれらの組合せが含まれる。
【0030】
図3および本出願に含まれる他図の多くに示すように、第1の電極210は、導電層250および非導電性材料240の外周部を越えて延在することはない。しかし、一部の実施形態では、第1の電極は、酸素または水分とは反応しない材料から作成される。このように、第1の電極は、カプセル化する必要がなく、カプセル化される装置の一部を越えて延在することができる。
【0031】
第2の電極230および発光構造体220は、図3では同じ大きさであるとして示されている。他の実施形態では、これらの構成要素は、同じ寸法を有しない。例えば、図4に示すOEL装置270は、発光構造体220に比べて短い長さ、幅、またはそれらの組合せを有する第2の電極230を含む。導電層250は、第2の電極230の表面、例えば発光構造体220とは反対側の表面と電気的に導通している。第2の電極210のこの表面の全体区域が、導電層250と接触している。すなわち、第2の電極230の表面上に配置される非導電性材料240が全くなく、ここに開口部200が配置される。
【0032】
OEL装置280の別の実施形態が、図5に概略的に示されている。第2の電極230の長さおよび幅は、発光構造体220の対応する寸法にほぼ同じであり、非導電性材料240の厚さは、少なくとも発光構造体220の厚さに等しい。第2の電極230のこの表面の全体区域が、導電層250と接触している。すなわち、第2の電極230の表面上に配置される非導電性材料240が全くなく、ここに開口部200が配置される。
【0033】
図4および5では、非導電性材料240中の開口部200は、第2の電極230の表面区域、例えば発光構造体220とは反対側の表面に配置することができる。導電層250は、第2の電極230の外周部を越えて非導電性材料240に接着することができる。非導電性材料240は、第2の電極230の外周部を越えて、導電層を、第1の電極210、発光構造体220、またはそれらの組合せから隔てる。非導電性材料は、第2の電極230の外周部を越えて他の構成要素に接着することができる。
【0034】
第1および第2の電極には、金属、合金、金属化合物、金属酸化物、導電性セラミック、導電性分散体、および導電性ポリマーなどの、導電性材料が含まれる。適切な材料は、例えば、金、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、チタン、窒化チタン、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素スズ酸化物(FTO)、黒鉛、およびポリアニリンを含むことができる。電極は、導電性材料の単一の層または多重層を有することができる。例えば、電極は、アルミニウムの層と金の層、カルシウムの層とアルミニウムの層、アルミニウムの層とフッ化リチウムの層、または金属層と導電性有機層を含むことができる。表示装置の用途などの多くの用途の場合、電極の少なくとも1つは、発光構造体が発光する出力光を透過することができる。
【0035】
一部の実施形態では、第1の電極はアノードであり、第2の電極はカソードである。アノードは、仕事関数が高い(例えば、約4.5eVより上)材料から作成することができる。通常、アノードは、発光構造体が発光する出力光を透過することができる。適切な材料には、金、白金、ニッケル、黒鉛、銀、あるいはそれらの組合せなどの、電気的に陰性の金属の薄層が含まれる。アノードはまた、例えば、インジウムスズ酸化物などの金属酸化物から作成することができる。
【0036】
カソードは、仕事関数が低い(例えば約4.5eV未満)材料から作成することができる。適切な材料には、n−ドープしたシリコン、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が含まれる。例えば、カソードは、リチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、あるいはそれらの組合せを含むことができる。かかるカソード材料は、水、酸素、またはそれらの組合せと反応する傾向があり、カプセル化によって保護できることが有利である。
【0037】
電極を作成する方法には、これらに限定されないが、スパッタリング、蒸着、レーザー熱パターン化、インクジェット印刷、スクリーン印刷、熱ヘッド印刷、および光リソグラフィ・パターン化が含まれる。電極は、蒸着によって作成するのが最も一般的である。
【0038】
発光構造体は、一般には、少なくとも1種の有機エレクトロルミネセンス材料を含む。エレクトロルミネセンス材料には、これらに限定されないが、蛍光性またはリン光性材料が含まれる。有機エレクトロルミネセンス材料は、例えば、小分子(SM)発光体(例えば非高分子発光体)、SMドープしたポリマー、発光ポリマー(LEP)、ドープしたLEP、またはブレンドしたLEPを含むことができる。適切な有機エレクトロルミネセンス材料は、米国特許第6,358,664号明細書、米国特許出願第09/662,980号明細書、米国特許出願第09/931,598号明細書、および米国特許出願第10/254,237号明細書に記載されている。有機エレクトロルミネセンス材料は、単独で、あるいは、有機エレクトロルミネセンス表示装置または装置において機能的または非機能的である他の任意の有機もしくは無機質材料と組合わせて、形成することができる。
【0039】
一部の実施形態では、有機エレクトロルミネセンス材料は、発光ポリマーを含む。LEP材料は、通常、共役高分子またはオリゴマー分子であり、それは、溶液処理に関して十分なフィルム形成特性を有することが好ましい。本明細書で使用されるとき、「共役ポリマーまたはオリゴマー分子」は、ポリマー骨格鎖に沿って非局在化したπ−電子系を有するポリマーまたはオリゴマーを指す。かかるポリマーまたはオリゴマーは半導体であり、高分子またはオリゴマー鎖に沿って正および負の電荷担体を担持することができる。
【0040】
適切な一群のLEP材料の例には、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(パラ−フェニレン)、ポリフルオレン、知られていないまたは後に開発される他のLEP材料、およびそれらの共重合体またはブレンドが含まれる。適切なLEPにはまた、分子ドープをする、蛍光性色素または光ルミネセンス材料を分散する、活性または非活性材料とブレンドする、活性または非活性材料を分散する等などができる。適切なLEP材料の例は、クラフト(Kraft)らのアンゲバンデ・ケミー・国際版(Angew. Chem.Int.Ed.)(37、402〜428(1998年))、米国特許第5,621,131号明細書、米国特許第5,708,130号明細書、米国特許第5,728,801号明細書、米国特許第5,840,217号明細書、米国特許第5,869,350号明細書、米国特許第5,900,327号明細書、米国特許第5,929,194号明細書、米国特許第6,132,641号明細書、米国特許第6,169,163号明細書、およびPCT特許出願公開第99/40655号明細書に記載されている。
【0041】
LEP材料は、例えば、LEP材料の溶媒溶液を基板上にキャスティングすることによって、発光構造体に形成し、溶媒を蒸発させて、高分子フィルムを製造することができる。あるいは、LEP材料は、前駆体化学種の反応によって、基板上にその場形成することができる。LEP層を形成する適切な方法は、米国特許第5,408,109号明細書に記載されている。LEP材料から発光構造体を形成する他の方法には、これらに限定されないが、レーザー熱パターン化、インクジェット印刷、スクリーン印刷、熱ヘッド印刷、光リソグラフィ・パターン化、および押出しコーティングが含まれる。発光構造体は、LEP材料または他のエレクトロルミネセンス材料の単一層または多重層を含むことができる。
【0042】
一部の実施形態では、有機エレクトロルミネセンス材料は、1種もしくはそれ以上の小分子発光体を含むことができる。SMエレクトロルミネセンス材料には、電荷輸送化合物、電荷障壁化合物、および半導体有機化合物もしくは有機金属化合物が含まれる。通常、SM材料を、減圧堆積させて、または溶液から被覆して、装置に薄層を形成することができる。実際面では、所与の材料は、一般に、所望の電荷輸送特性およびエレクトロルミネセンス特性の両方を有するというわけではないので、通常、SM材料の多重層を使用して、効率のよい有機エレクトロルミネセンス装置を製造する。
【0043】
SM材料は、一般に、OEL表示装置および装置において、発光体材料、電荷輸送材料、発光体層中のドーパント(例えば、発光色を制御するため)、電荷輸送層などとして使用することができる非高分子有機質または有機金属材料である。一般に使われるSM材料には、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(TPD)、および、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(AlQ)などの金属キレート化合物が含まれる。その他のSM材料は、例えば、C.H.チェン(Chen)らのマクロモレキュラ・シンポジウム(Macromol.Symp.)(125、1(1997年))、特開2000−195673号公報、米国特許第6,030,715号明細書、米国特許第6,150,043号明細書、および米国特許第6,242,115号明細書、並びに、PCT特許出願の国際公開第00/18851号パンフレット(二価ランタニド金属錯体)、国際公開第00/70655号パンフレット(シクロメタル化イリジウム化合物およびその他)、および国際公開第98/55561号パンフレットに開示されている。
【0044】
有機エレクトロルミネセンス装置は、場合により、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、正孔障壁層、電子障壁層、バッファ層等を含むことができる。これら並びに他の層および材料を使用して、OEL装置の電子的性質および特性を変えるか、または調整することができる。例えば、かかる層および材料を使用して、所望の電流/電圧応答、所望の装置効率、所望の輝度等を達成することができる。加えて、有機エレクトロルミネセンス材料が発光する光を別の色相に変換する光ルミネセンス材料が存在できる。これら任意選択の層を、2つの電極間に配置することができ、発光構造体または別の層の一部とすることができる。
【0045】
例えば、有機エレクトロルミネセンス装置は、場合により、発光構造体と第1または第2の電極のうちの1つの間に正孔輸送層を含むことができる。正孔輸送層は、装置の中への正孔の注入およびカソードに向う正孔の移動を容易にする。正孔輸送層はさらに、電子のアノードへの通過に対して障壁として働くことができる。正孔輸送層は、例えば、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン、N,N’−ビス(3−ナフタレン−2−イル)−N,N−ビス(フェニル)ベンジジンなどのジアミン誘導体、または、4,4’,4’’−トリス(N,N’−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン、または、4,4’,4’’−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン誘導体を含むことができる。他の例には、銅のフタロシアニンおよび1,3,5−トリス(4−ジフェニルアミノフェニル)ベンゼンが含まれる。正孔輸送層に含み得るなお別の適切な化合物は、H.フジカワ(Fujikawa)らの合成金属(Synthetic Metal)(91、161ページ(1997年))、および、J.V.グラバレブィシウス(Gravulevicius)およびP.ストロリーグル(Strohriegl)の「電荷輸送ポリマーおよび分子性ガラス(Charge Transporting Polymers and Molecular Glasses)」(進歩した電子および光材料並びにデバイスのハンドブック(Handbook of Advanced Electronic and Photonic Materials and Devices)、H.S.ナルワ(Nalwa)(編集)、10、pp.233〜274(2001年))に記載されている。
【0046】
有機エレクトロルミネセンス装置は、場合により、発光構造体と第1または第2の電極のうちの1つの間に電子輸送層を含むことができる。電子輸送層は、電子の注入および再結合ゾーンに向かうそれらの移動を容易にする。電子輸送層はさらに、正孔のカソードへの通過に対して障壁として働くことができる。電子輸送層用の適切な材料には、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム、1,3−ビス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン、2−(ビフェニル−4−イル)−5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、および、C.H.チェンらのマクロモレキュラ・シンポジウム(125、1(1997年))、および、J.V.グラバレブィシウスおよびP.ストロリーグルの「電荷輸送ポリマーおよび分子性ガラス」(進歩した電子的および光材料並びにデバイスのハンドブック、H.S.ナルワ(編集)、10、pp.233〜274(2001年))に記載されている他の化合物が含まれる。
【0047】
一実施形態では、電極、発光構造体、他の任意選択の層、またはそれらの組合せは、レーザー熱パターン化により1つもしくはそれ以上の層を転写することによって形成することができ、それらは、例えば、米国特許第6,485,884号明細書、米国特許第6,482,564号明細書、米国特許第6,284,425号明細書、米国特許第6,242,152号明細書、米国特許第6,228,555号明細書、米国特許第6,228,543号明細書、米国特許第6,221,553号明細書、米国特許第6,221,543号明細書、米国特許第6,214,520号明細書、米国特許第6,194,119号明細書、米国特許第6,114,088号明細書、米国特許第5,998,085号明細書、米国特許第5,725,989号明細書、米国特許第5,710,097号明細書、米国特許第5,695,907号明細書、および米国特許第5,693,446号明細書、並びに、同時譲渡発行された米国特許出願第20020158574号明細書、同時譲渡された米国特許出願第09/662,980号明細書、米国特許出願第09/451,984号明細書、米国特許出願第09/931,598号明細書、および米国特許出願第10/004,706号明細書に記載されている。例えば、有機エレクトロルミネセンス材料を、ドナー・シートに被覆し、次いで、単独で、あるいは、他の層または1つもしくはそれ以上の電極と組合わせて、レセプタ・シートに選択的に転写することができる。レセプタ・シートは、1つもしくはそれ以上の電極、トランジスタ、キャパシタ、絶縁体リブ、スペーサ、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、正孔輸送層、電子輸送層、電子表示装置および装置に適切な他の装置、またはそれらの組合せにより、予めパターン化しておくことができる。
【0048】
本発明の有機エレクトロルミネセンス装置にはまた、導電層が開口部を通じて第2の電極と電気的に導通するその開口部を画定する非導電性材料が含まれる。非導電性材料は、これらに限定されないが、セラミック材料、ガラス材料、高分子材料等を含むことができる。
【0049】
非導電性材料は、一般に、第2の電極の外周部を越えて延在する。この材料は、例えば、第2の電極の周縁部を越えて、導電層を第1の電極から隔てる働きをすることができる。非導電層材料は、OEL装置の他の任意の構成要素の一部に接着することができる。非導電性材料はまた、導電層、第1の電極、基板、またはそれらの組合せと共に、発光構造体および第2の電極をカプセル化する働きをすることができる。カプセル化することにより、装置を密封し、有機エレクトロルミネセンス装置の外側から、発光構造体、第2の電極、またはそれらの組合せまでの水または酸素の移動を低減させることができる。カプセル化は、一部の有機エレクトロルミネセンス装置の有効寿命を延ばすことができる。
【0050】
一部の実施形態では、非導電性材料は、高分子材料である。適切な高分子材料には、熱可塑性または熱硬化性ホモポリマー、および熱可塑性または熱硬化性共重合体が含まれる。非電導性高分子材料は、硬化可能なもの、または硬化不可能なものとすることができる。使用できる非導電性高分子材料の例には、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、またはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、非導電性高分子材料は、ホットメルト接着剤または感圧型接着剤などの接着剤である。この接着剤は、室温で粘着性または非粘着性のものとすることができる。高分子材料の酸性度は、電極の腐食を引き起こすほど高くすべきではない。
【0051】
非導電性高分子材料は、予め形成された層として、あるいは、溶液または分散液として加えることができる。一部の実施形態では、接着剤層などの予め形成された非導電層が使用される。適切な非導電層の例には、エチレンビニルアセテート、または、3MTMサーモボンド(Thermo−bond)(ミネソタ州セントポール(St.Paul)の3Mから市販)などの改変したポリオレフィン熱可塑性材料が含まれる。
【0052】
非導電性材料は、例えば酸化カルシウムなどの乾燥剤を含むことができる。乾燥剤を含む適切なホットメルト接着剤は、マルチソーブ・テクノロジー社(Multisorb Technologies Inc.)(ニューヨーク州バッファロ(Buffalo))からのデシマックス(DesiMax)TMである。
【0053】
開口部は、非導電層で作られる。開口部は、第2の電極の表面区域、例えば発光構造体とは反対側の表面区域に配置される。開口部の長さおよび幅は、通常、第2の電極の表面の対応する寸法にほぼ等しいか、またはそれより小さい。導電層は、非導電層中の開口部を通じて第2の電極と電気的に導通している。
【0054】
予め形成される非導電層は、第2の電極の外周部を越えて、この層を導電層および第1の電極に接着するとき、装置の電気的短絡につながる可能性がある大きさの微粒子を含まないことが好ましい。この厚さは、導電層が、第2の電極の外周部を越えて、第1および第2の電極と短絡するのを防止するのに十分な厚さにすべきである。しかし、この厚さは、導電層が、非導電性材料中に画定される開口部を通じて導電層と第2の電極との間に電気的導通を形成するのに十分に変形することができないほど厚くすべきではない。予め形成される非導電層の典型的な厚さは、約0.5ミル(0.012mm)〜約2ミル(0.05mm)の範囲である。
【0055】
一部の実施形態では、図3に示すように、非導電層240中の開口部200は、第2の電極230の全体の表面、例えば発光構造体220とは反対側の表面より小さいその上に配置される。非導電性材料240は、第2の電極230のこの表面の一部の上に配置され、第2の電極230の外周部を越えて延在する。他の実施形態では、図4および5に示すように、非導電層240中の開口部200は、第2の電極230の全体の表面、例えば発光構造体220とは反対側の表面の上に配置される。この非導電性材料240は、第2の電極230のこの表面のいかなる部分にも配置されない。すなわち、開口部が配置される全体表面が導電性材料と接触する。
【0056】
非導電性材料は、予め形成したフィルムとしてではなく、溶液または分散液として塗布してもよい。かかる材料は、例えば、印刷方式またはマスキングのない区域を使用して塗布することができる。図3に示すように、非導電性材料240は、第2の電極230の表面、例えば発光構造体220とは反対側の表面の外側縁部に塗布することができる。図4および5に示すように、OELは、第2の電極230の表面に塗布されるいかなる非導電性材料240もなしで、作成することができる。
【0057】
非導電性材料はまた、OEL装置をカプセル化するため、他の構成要素の部分にも適用することができる。図3および5に示すように、非導電性材料は、発光構造体220の縁部に、および第1の電極210の表面の一部に適用することができる。図4では、非導電性材料240は、発光構造体220の一表面の一部、発光構造体220の縁部、および第1の電極210の表面の一部に適用されている。
【0058】
予め形成した層の形で使用できる導電性材料の同じタイプは、分散液または溶液の形でも使用することができる。この組成物は、装置中の他の材料と反応性のある化合物、および、装置の様々な層を通じて移動できる最少の化学種を含む化合物を含まないことが好ましい。
【0059】
導電層には、金属、金属合金などの材料、金属酸化物、導電性セラミックなどの金属化合物、および導電性ポリマーが含まれる。一部の実施形態では、導電層は、金属、または金、銀、銅、インジウムスズ酸化物、アルミニウム等を含む金属化合物を含むことができる。
【0060】
導電層は、変形可能なフィルムとすることができる。適切な変形可能なフィルムには、銅、銀、金、アルミニウム等の金属が含まれる。導電層は、通常、約1〜約2ミル(約0.025〜約0.05mm)の範囲の厚さを有する。導電層の表面粗さは、カソードの厚さ未満(例えば約100〜300nm)であることが好ましい。導電層は、有機エレクトロルミネセンス装置の中への水分または酸素の導入が可能になるようなピンホールなどの欠陥がないことが好ましい。
【0061】
導電層は、第2の電極の表面と直接接触させるか、または、導電性高分子接着剤などの別の導電性材料によって、第2の電極から隔てることができる。第2の電極と電気的に導通して低い抵抗率を有する導電層を設けることによって、得られる有機エレクトロルミネセンス装置は、装置全体の照度強さをさほど失うことなく、広い面積にわたって都合よくかなりの照度を有することができる。
【0062】
一部の実施形態では、第2の電極の全体の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面は、導電層と直接接触している。他の実施形態では、第2の電極の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面の外側の一部以外の全ては、非導電性材料中の単一の開口部を通じて導電層と直接接触している。さらに別の実施形態では、第2の電極の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面は、非導電性材料中の複数の開口部を通じて導電層と直接接触している。
【0063】
開口部は、任意の所望の形状を有することができる。この形状は、規則的または不規則的とすることができる。複数の開口部が存在する場合、開口部の形状は、均一または不均一とすることができる。複数の開口部は、秩序のある、または無規則である任意の所望の構成に配列することができる。例えば、図13は、一実施形態の概略断面図を示し、そこでは、有機エレクトロルミネセンス装置380は、非導電性材料240中に複数の開口部200を含み、その開口部を通じて、導電層250と第2の電極230との間で接触させることができる。複数の開口部は、直線状の配置で配列することができる。
【0064】
有機エレクトロルミネセンス装置は、さらに基板を含むことができる。例えば、装置290について図6Aに概略的に示すように、第1の電極210は、基板300上に配置することができる。第1の電極210は、基板300と発光構造体220との間に配置される。基板300は、通常透明である。本明細書で使用されるとき、「透明」は、発光構造体中のエレクトロルミネセンス材料が発光する少なくとも一部の光を透過する材料を指す。基板は、可撓性か、または剛性とすることができる。
【0065】
適切な剛性透明基板には、例えば、ガラス、ポリカーボネート、アクリル等が含まれる。適切な可撓性透明基板には、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、ポリオレフィン(例えば、線状、分岐、および環式のポリオレフィン)、ポリビニル(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニールアセタール、ポリスチレン、ポリアクリレート等)、セルロースエステル塩基(例えば、トリアセチルセルロース、アセチルセルロース)、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン、並びに他の従来の高分子フィルムが含まれる。
【0066】
基板、導電層、またはその両方とも、装置の柔軟性を高めるため、ノッチ(切欠き)をつけることができる。ノッチは、基板、導電層、または両方とも全体にわたり、一方向または複数の方向にすることができる。ノッチは、スリット、V字形、またはU字形などの様々な形状を有することができる。ノッチは、通常、基板または導電層の厚さの約50パーセント未満まで延在する。
【0067】
有機エレクトロルミネセンス装置は、装置490について図6Bに示すように2つの基板を含むことができる。第1の電極210は、第1の基板300上に配置される。基板300は、第2の基板440上に配置される第2の導電層410に積層することができる。第1の電極210は、電気相互接続420および電気相互接続補助層430を通じて、第2の導電層410と電気的に接触している。発光構造体220は、第1の電極210上に配置される。第2の電極230は、発光構造体220上に配置される。第1の導電層250は、非導電性材料240の中に画定される開口部200を通じて、第2の電極230と電気的に導通している。電気相互接続420および電気相互接続補助層430は、非導電性材料240によって、第2の電極230および第1の導電層250から電気的に絶縁される。
【0068】
本実施形態では、第1の電極、第2の電極、および発光構造体は、第1の基板300上に形成することができる。次いで、この組立体を、第2の導電層410および第2の基板に取り付けて、装置中の反応性のある構成要素用の保護をさらに設けることができる。
【0069】
図6Bでは、第1の電極210、発光構造体220、および第2の電極230を含むエレクトロルミネセンス構造体は、第1の基板300、第2の導電層410、および第2の基板440によって、一方の側をカプセル化される。このエレクトロルミネセンス構造体は、非導電層240および第1の導電層250によって、反対側をカプセル化される。アノード接点は、第2の導電層410であり、カソード接点は、第1の導電層250である。装置490は、装置アノードをパターン化する必要を伴わずに、密封封止することができる。
【0070】
一部の実施形態では、電気相互接続420および電気相互接続補助層430は、ハンダなどの単一の層である。他の実施形態では、電気相互接続層420は、金属箔、金属ワイヤ、または金属化プラスチックであり、電気相互接続補助層430は、導電性接着剤またはハンダである。電気相互接続層420および電気相互接続補助層430は両方とも、電気を導通する。
【0071】
第2の導電層410用に適切な材料は、通常透明であり、金、白金、ニッケル、黒鉛、銀、またはそれらの組合せなどの電気的に陰性の金属の薄層が含まれる。この層もまた、例えば、インジウムスズ酸化物などの金属酸化物から作成することができる。一部の実施形態では、第2の導電層は、パターン化される。
【0072】
第2の基板440は、第1の基板300と同じ材料から作成することができる。例えば、第2の基板は、ガラス、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、ポリオレフィン(例えば、線状、分岐、および環式のポリオレフィン)、ポリビニル(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニールアセタール、ポリスチレン、ポリアクリレート等)、セルロースエステル塩基(例えば、トリアセチルセルロース、アセチルセルロース)、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン、並びに、他の従来の高分子フィルムから作成することができる。第2の基板は、障壁構造体を含むことができ、この例は後述する。
【0073】
図6Cは、第2の電極230および発光構造体220をさらにカプセル化するための基板および縁部封止400を有する有機エレクトロルミネセンス装置480の概略断面図である。縁部封止400は、ポリオレフィンまたはエポキシなどのプラスチック材料から作成することができる。縁部封止を作成するのに使用する組成物中に、酸化カルシウムなどの乾燥剤材料を含むことができる。
【0074】
縁部封止400を有する装置480について図6Cに、および縁部封止なしの装置510について図6Dに示すように、第1の電極210は、非導電性材料240および導電層250の外周部を越えて延在することができる。かかる装置は、酸素または水分と反応しない第1の電極210用の材料を使用して作成することができる。第1の電極用に適切な材料には、例えば、金、白金、ニッケル、黒鉛、銀、またはそれらの組合せが含まれる。この電極はまた、例えば、インジウムスズ酸化物などの金属酸化物から作成することができる。非導電性材料240は、第2の電極の周縁部を越えて、導電層250および第1の電極に接着することができる。
【0075】
図7は、基板を含む有機エレクトロルミネセンス装置310の別の実施形態の概略断面図を示す。非導電性高分子材料240および導電層250は、図3、4、5、および6a−dに示すように第1の電極ではなく、基板300に積層される。本実施形態では、第1の電極210、第2の電極230、および発光構造体220は、基板300、導電層250、および非導電性材料240の組合せによってカプセル化される。この実施形態は、第1の電極210が、水分または酸素と反応するおそれがある材料で組立てられる場合、都合よく使用することができる。
【0076】
両方の電極が酸素または水分に反応性がある場合、第1の電極210は、装置を越えて延在する非反応性導電性材料と電気的に導通することができる。例えば、バイア(ビア)は基板を貫通することができ、そのバイアは非反応性導電性材料を含むことができる。
【0077】
図8は、基板300を含む有機エレクトロルミネセンス装置340のさらに別の実施形態の概略断面図を示す。第1の電極210は、窪みの中に配置することができる。窪みは、例えば、エッチングなどにより基板の一部を除去することによって形成することができる。あるいは、窪みは、基板表面上に、例えば、並列縞または格子の形をした電極および非導電性材料を印刷することによって、形成することができる。
【0078】
基板は、OEL装置または表示装置に適切な装置または構成要素をいくつでも含むことができる。適切な装置または構成要素には、例えば、トランジスターアレイおよび他の電子デバイス;カラーフィルタ、偏光子、波長板、ディフューザ、および他の光学装置;絶縁体、障壁リブ、ブラックマトリックス、マスクワーク、および他のそのような構成要素;等が含まれる。
【0079】
基板は、障壁構造体を含むことができる。本明細書で使用されるとき、用語「障壁構造体」は、水分、酸素、またはそれらの組合せが基板を横切って移動して、有機エレクトロルミネセンス装置の発光構造体および電極と接触するのを低下させる構造体を指す。障壁構造体は、通常透明であり、1つもしくはそれ以上の層を含むことができる。例示的な障壁構造体では、基板に担持された障壁材料層および高分子平滑化材料層を含む複数の層の対(すなわち2層一組)を含むことができる。一部の実施形態では、障壁構造体を使用することによって、有機エレクトロルミネセンス装置の寿命を延ばすことができる。
【0080】
障壁構造体は、金属含有層を含むことができる。金属含有層には、一般に、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、またはそれらの組合せが含まれる。金属含有層に適切な材料には、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、インジウムスズ酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ボロン、炭化ケイ素、並びに、アルミニウム酸窒化物、ケイ素酸窒化物、およびホウ素酸窒化物が含まれる。一部の実施形態では、金属含有層には、酸化アルミニウムまたはインジウムスズ酸化物のような金属酸化物が含まれる。適切な材料は、米国特許第6,231,939号明細書、米国特許第5,725,909号明細書、およびPCT特許出願の国際公開第00/26973号パンフレットに記載されている。
【0081】
障壁構造体の金属含有層は、通常厚さ約300nm未満である。障壁構造体はまた、金属含有層に加えて、少なくとも1つの高分子層を含むことができる。例えば、障壁構造体は、高分子層および金属含有層の互層構造を積層することによって作成することができる。
【0082】
図9は、金属含有層330および高分子層320を有する基板300を含むOEL装置350の概略断面図を示す。障壁構造体の高分子層320は、通常、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリオレフィン、またはそれらの組合せを含む。図9では、障壁構造体の金属含有層330は、第1の電極210と高分子層320との間にある。他の実施形態では、高分子層320は、第1の電極210と隣接している。この高分子層は、薄い金属含有層の整合性を維持するように機能することができる。金属含有層中のわずかな亀裂または欠陥は、水分および酸素が障壁構造体を横切って移動して、第2の電極、発光構造体、またはそれらの組合せと接触するのを増加させるおそれがある。高分子および金属含有層の複数の層の対は、一般に、水分および酸素の移動に対する抵抗を増加させる。
【0083】
本発明のエレクトロルミネセンス装置は、複数の第1の電極、複数の有機エレクトロルミネセンス材料、複数の第2の電極、またはそれらの組合せを含むことができる。図10Aは、有機エレクトロルミネセンス装置360が、複数の第2の電極230を含む実施形態の概略断面図を示す。図10Bは、同じ装置の概略上面図を示す。複数の第2の電極230は、第1の電極210および発光構造体220の上に、直線状にまたは任意の構成で配列することができる。
【0084】
図10Aおよび図10Bに示す有機エレクトロルミネセンス装置360は、発光構造体220を第1の電極210上に配置することによって作成することができる。複数の第2の電極230は、第1の電極210の反対側の発光構造体220の表面上に配置することができる。複数の開口部200は、非導電性材料240中に画定することができる。開口部200は、第2の電極の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面区域内に完全に配置することができる。非導電性材料240は、第2の電極230のそれぞれの間に配置され、第1の電極210または第2の電極230と接触しない発光構造体220の表面を覆う。導電層250は、非導電性材料240中に画定された開口部200を通じて、第2の電極230のそれぞれと電気的に導通している。導電層250は、第2の電極230の周縁部を越える非電導性材料240によって、発光構造体220および第1の電極210から隔てることができる。
【0085】
図10Aおよび10Bに示す装置360では、単一の導電層250が第2の電極全てと電気的に導通しているので、複数の第2の電極230に対して、同時にアドレス指定を行うことができる。かかる装置は、装置全体の照度強さのさほどの損失を伴わずに、広い区域にわたって輝かすことができる。
【0086】
図10Aおよび10Bの装置360とは対照的に、複数の第1の電極を含む装置、または複数の第1の電極および複数の第2の電極を含む装置に対して、複数の位置でアドレス指定を行うことができる。すなわち、かかる装置を使用して、複数の画素を有する装置または表示装置を形成することができる。図11A、11B、12A、および12Bは、複数の第1の電極210を含む有機エレクトロルミネセンス装置の概略断面図である。図11A、12A、および12Bには、複数の第1の電極210および第2の電極230が含まれる。
【0087】
図11Aは、複数の第1の電極210、非パターン化発光構造体220、および複数の第2の電極230を含む装置370の概略断面図である。図11Bは、複数の第1の電極210、非パターン化発光構造体220、および非パターン化第2の電極230を含む装置450の概略断面図である。これらの装置における第1の電極は、例えば、複数の第1の電極210および複数の非導電性材料を、並列縞または格子のようなパターンで基板300上に配置することによって作成することができる。2次元の任意のパターンを使用して、第1の電極210を基板300に印刷することができる。
【0088】
一部の実施形態では、有機エレクトロルミネセンス装置は、複数のカラー表示装置とすることができる。例えば、図12Aに示すOEL装置390および図12Bに示すOEL装置500は、複数の第1の電極210と複数の第2の電極230との間にパターン化した複数の有機エレクトロルミネセンス材料を含むことができる。異なる有機エレクトロルミネセンス材料は、異なる波長の光を発光することができる。非導電性材料460は、複数の第1の電極および第2の電極を互いから隔てることができる。非導電性材料460は、240と同じ材料でもよく、または異なる材料でもよい。非導電性材料460は、例えば、ブラックマトリックスとすることができる。
【0089】
本発明の別の態様は、有機エレクトロルミネセンス装置を作成する方法を提供する。一実施形態では、これらに限定されないが、第1の電極、第2の電極、発光構造体、導電層、および非導電性材料が含まれるエレクトロルミネセンス構造体が形成される。発光構造体は、第1と第2の電極の間に配置される。非導電性材料中に開口部が形成され、第2の電極の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面区域に配置される。非導電性材料中の開口部の面積は、通常、第2の電極の表面面積より小さいか、またはそれにほぼ等しく、その上に開口部が配置される。非導電性材料中の開口部を通じて、導電層と第2の電極との間に電気的導通を確立することができる。
【0090】
本方法は、第2の電極および発光構造体をカプセル化することを含むことができる。例えば、導電層および非導電性材料は、第2の電極の周縁部を越えて延在することができる。非導電性材料は、第2の電極の周縁部を越えて、導電層をOEL装置の他の能動装置から隔てることができる。非導電性材料を使用して、導電層を、第2の電極の周縁部を越えて第1の電極、基板、またはその両方に積層することによって、封止を形成することができる。
【0091】
一例として、導電性材料を堆積させて、対象となる出力光(例えば、発光構造体が発光する出力光)に対して透明な第1の電極を形成することによって、本発明の有機エレクトロルミネセンス装置を作成することができる。有機エレクトロルミネセンス材料の1つもしくはそれ以上の層を第1の電極上に配置して、発光構造体を形成することができる。第2の電極は、発光構造体が第1と第2の電極の間にあるように、発光構造体上に配置することができる。
【0092】
1つもしくはそれ以上の開口部を、非導電性材料、例えば剥離ライナを一面または両面に有する接着剤層中に形成することができる。この開口部は、例えば、ダイ打抜き、キスカッティング(kiss cutting)、または他の方法によって、接着剤層および少なくとも1つの剥離ライナを貫通して削除することができる。その時、1つの剥離ライナを除去し、導電層または第2の電極のいずれかに付着している接着剤を除去することができる。次いで、第2の剥離ライナを除去することができ、導電層は第2の電極に、構造体の残部は接着剤層を介して、結合させることができる。
【0093】
開口部は、第2の電極の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面区域に配置することができる。剥離ライナを除去すると、接着剤層は、導電層が、接着剤層中の開口部を通じて第2の電極と電気的に導通するように、導電層に接着することができる。
【0094】
この方法は、ロールツーロール法とすることができる。エレクトロルミネセンス構造体は、第1のロール上に組立てることができる。例えば、第1の電極は、基板のロール上に堆積することができ、または、ロール上に基板なしで入手できる。発光構造体および第2の電極は、発光構造体が2つの電極間に配置されるように、第1の電極の表面上に配置することができる。非導電性材料および導電層は、それぞれ第2のロールおよび第3のロールの形態で設けることができる。少なくとも1つの開口部を、第2のロールに形成することができる。第2のロールは、開口部が第2の電極の表面と位置合わせされるように、第1と第3のロールの間に積層することができ、非導電層の開口部を通じて導電層と第2の電極との間に電気的導通が確立される。
【0095】
接着剤層と導電層は両方とも、第2の電極の外周部を越えて延在することができる。接着剤層は、導電層を、第2の電極の外周部を越えて、第1の電極または基板に積層するように機能することができ、それによって有機エレクトロルミネセンス装置がカプセル化される。接着剤層はまた、導電層を、第2の電極の外周部を越えて、第1の電極のようなOEL装置の他の能動装置から隔てるように機能する。接着剤層はまた、装置を封止するように機能することができる。
【0096】
積層温度は、接着剤層を軟化または溶解させるのに十分であればよい。一部の実施形態では、この温度は、通常約100℃未満に保持される。例えば、積層温度は、発光構造体などの装置層への損傷の可能性を低減するため、約60℃未満に保持することができる。
【0097】
この有機エレクトロルミネセンス装置は、アクティブまたはパッシブの表示装置または装置とすることができる。パッシブ表示装置または装置は、場合によっては他の配向があり得るが、通常、90度の角度で互いに向きを定めたアノードおよびカソードを有する。
【0098】
本発明の有機エレクトロルミネセンス装置は、例えば、一般照明の目的にまたはバックライトとして使用することができる。バックライトの構造には、素地または回路付きの基板、アノード、カソード、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、発光層、色相変換層、および他の層、並びに、有機エレクトロルミネセンス装置にとって適切なその他の材料を含むことができる。構造体にはまた、偏光子、ディフューザ、光導波路、レンズ、光量制御フィルム、輝度向上フィルム等を含むことができる。用途には、白色および単色大規模面積の単一画素ランプ、並びに、多色大規模面積の単一画素ランプが含まれる。
【0099】
本発明の有機エレクトロルミネセンス装置は、低解像度表示装置として使用することができる。構造体には、素地または回路付きの基板、アノード、カソード、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、発光層、色相変換層、および他の層、並びに、OEL装置に適切な材料を含むことができる。構造体はまた、偏光子、ディフューザ、光導波路、レンズ、光量制御フィルム、輝度向上フィルム等を含むことができる。用途には、画像表示ランプ(例えばアイコン);区分化された英数字表示装置(例えば器具の時間表示器);小さい単色のパッシブまたはアクティブ・マトリックス表示装置;一体化された表示装置の一部としての画像表示ランプを加えた小さい単色のパッシブまたはアクティブ・マトリックス表示装置(例えば携帯電話表示装置);使用する屋外での表示に適切であるような大規模面積画素表示タイル(例えば、複数のモジュールまたはタイルであって、それぞれが比較的小数の画素を有するもの);および、安全表示の用途が含まれる。
【0100】
本発明の有機エレクトロルミネセンス装置は、高分解能表示装置として使用することができる。構造体には、素地または回路付きの基板、アノード、カソード、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、発光層、色相変換層、および他の層、並びに、OEL装置に適切な材料を含むことができる。構造体はまた、偏光子、ディフューザ、光導波路、レンズ、光量制御フィルム、輝度向上フィルム等を含むことができる。用途には、アクティブもしくはパッシブ・マトリックス多色またはフルカラー表示装置;区分化されたもしくは画像の表示ランプを加えたアクティブもしくはパッシブ・マトリックス多色またはフルカラー表示装置(例えば、同じ基板上のアイコンの熱ホットスタンプを加えた高分解能装置のレーザー誘起転送);および、安全表示の用途が含まれる。
【0101】
上記の記述は、本発明を、発明者によって予見される実施形態によって記載したもので、そのために実現可能な説明を利用できるが、にもかかわらず、現在予見されない本発明の実体のない修正形態は、それでもなお本発明に均等なものを意味するものである。
【実施例】
【0102】
実施例1
コビオン(Covion)PDY132発光ポリマー(LEP)を使用して、直径1インチの円形の発光面積を有する可撓性有機発光ダイオード(OLED)を作成した。
【0103】
80グラムのエベクリル(Ebecryl)TM629(UCBケミカルズ(UCB Chemicals)、ジョージア州スミルナ(Smyrna))、20グラムのSR399(サートマー社(Sartomer Company)、ペンシルバニア州エクストン(Exton))、および、1000グラムのメチルエチルケトンに溶解した2グラムのイルガキュア(Irgacure)TM184(チバ・スペシャリィティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)、ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown))を含むUV硬化性ポリマー溶液を作成した。得られた溶液を、110R節を取り付けたヤスイ・セイキ(Yasui Seiki)モデルCAG150コーターを使用して、20フィート/分のウェブ速度で、100ミクロンPETフィルム(帝人社(Teijin Corp.)、日本)から市販のHSPE100)に被覆した。被覆は、70℃でインライン乾燥し、100%出力で動作するF−600フュージョン(Fusion)D UVランプで硬化させた。次いで、得られたポリマー被覆ウェブに、順番に35nmのITO、10nmのAg、および35nmのITOを被覆して、抵抗15オーム/平方のシートを得た。ITO/Ag/ITO被覆は、パターン化してないままであった。
【0104】
ITO/Ag/ITO被覆PETの小片を、装置製造に使用するべく、ロールから切断した。この片を、超音波洗浄装置中で洗浄した。次いで、ITO表面を、プラズマ・サイエンス(Plasma Science)プラズマ処理器(マサチューセッツ州ビラリカ(Billerica)のAST社(AST Inc.)から市販のモデルPS500)の中で、0.030トールのベース圧力、500sccmの酸素流速、および400ワットのRf出力で2分間プラズマ処理した。
【0105】
H.C.シュタルク(Starck)(レーヴァークセン(Leverkusen)、ドイツ)から市販の、PEDT/PSSとしても知られている(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)PEDOT8000を、IPAで希釈し、真空スピンコーティング・チャックを使用して、ITO表面上にスピンコートした。3000rpmで30秒間スピンすると、厚さ90〜100nmのPEDOT8000が得られた。このPEDOTを、65℃の窒素パージ・オーブン中で10分間乾燥させた。この片を、窒素雰囲気のグローブボックスの中に移し、PEDOT8000をさらに乾燥させるために、100℃ホットプレート上に2分間置いた。PEDOT8000は、導電性ポリマーであり、バッファ層として機能した。
【0106】
コビオンPDY132LEP(トルエン中0.5重量%、コビオン・オーガニック・セミコンダクタ社(Covion Organic Semiconductors GmbH)から市販、フランクフルト(Frankfurt)、ドイツ)を、真空チャックを使用して、PEDOT8000表面上にスピンコートした。2500rpmで30秒間スピンすると、75nmフィルムが得られた。
【0107】
LEPおよびPEDOTのうちのITO表面の小部分を、アノードとしてITOと接触させるために洗浄した。この片から50×50mm平方を切断した。
【0108】
次いで、カルシウムを、熱蒸発によって、直径1インチの開口部を有するマスクを通じて、LEP表面上に400オングストロームの厚さに堆積させた。次いで、銀を、同じ方法およびマスクを使用して、このカルシウム上に厚さ3000オングストロームまで真空堆積させた。
【0109】
3MTMサーモボンド845の35mm×35mm片の中間部から直径0.5インチの孔を切断することによって、カプセル化材料を作成した。3MTMサーモボンドを、4ミル(0.1mm)銅箔の35mm×35mm片に300°F(148℃)で積層した。3MTMサーモボンド/銅の片を、銅面を下向き、3MTMサーモボンド面を上向きにして、ライナーを除去して、300°F(148℃)ホットプレート上に置いた。この3MTMサーモボンド/銅の温度は、5〜10分間で到達させた。
【0110】
可撓性OLED装置を、3MTMサーモボンドと接触させて置き、それに貼り付かせた。次いで、この構造体をホットプレートから取り外し、グローブボックスの床上に置き、2つの片を手動ローラーと共に積層した。得られたカプセル化されたOLED装置は、銅箔およびITO被覆を電池の導線に接続したとき、発光した。
【0111】
実施例2
いくつかのオレンジ−赤色発光OLED装置を、22mm平方(厚さ1.0mm)ITO被覆ガラス(15オーム/平方、コロラド・コンセプト・コーティング(Colorado Concept Coatings)LLC、コロラド州ロングモント(Longmont))上に作成した。ITO被覆はパターン化せず、したがって、ガラス基板の全体表面を覆った。メタノール浸漬した糸くずの出ない布(ベクトラ・アルファ(Vectra Alpha)10、テックスワイプ社(Texwipe Co.)、LLC、ニュージャージー州アッパー・サドル・リバー(Upper Saddle River))で表面をこすることによって、ITO被覆基板を洗浄し、続けて4分の酸素プラズマ処理(全出力、5psi酸素、プラズマ−プリーン(Plasma−Preen)II−973、プラズマテック・システムズ社(Plasmatic Systems,Inc.)、ニュージャージー州ノース・ブランズウィック(North Brunswick))を行った。
【0112】
(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホナート)の水溶液(1%の固形物、バイトロン(Baytron)P4083、バイエル(Bayer)、レバークッセン(Leverkuesen)、ドイツ)を、洗浄し、エッチングした基板上にスピンコートして、50nmのフィルムを得た。バイトロンP4083は、導電性ポリマーであり、バッファ層として機能した。バイトロンP4083とITOを被覆した基板を、窒素流れの下で110℃ホットプレート上で15分間乾燥させた。
【0113】
被覆した基板をベルジャー蒸発チャンバに移し、約10-6トールまで排気した。厚さ300オングストロームのN,N’−ビス(3−ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(NPD、H.W.サンド社(Sands Corp.)から、フロリダ州ジュピター(Jupiter))、1%の4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル(julolidyl)−9−エニル)−4H−ピラン(DCJTB、イーストマン・コダック社から、ニューヨーク州ロチェスター(Rochester))をドープした、厚さ300オングストロームの9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(イーストマン・コダック社(Eastman Kodak Co.)からのADN、ニューヨーク州ロチェスター)、および、厚さ200オングストロームのトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(AlQ、H.W.サンド社から、フロリダ州ジュピター)の層を、19.5mm平方の開口部を含むシャドーマスクを通じて、順番に熱堆積させた。NPDは正孔輸送層として機能し、ADNおよびAlQは電子輸送層として機能し、DCJTBは、光発光の色相を変えるドーパントとして使用した蛍光色素であった。
【0114】
この有機物を被覆した基板を、カソードを熱堆積させるために、薄いフィルム蒸発チャンバ(エドワーズ(Edwards)500、BOCエドワーズ(BOC Edwards)、イギリス)を含むグローブボックスへ移した。厚さ100オングストロームのAlQ(H.W.サンド社から、フロリダ州ジュピター)、厚さ7オングストロームのLiF(アルファ・アイーザー社(Alfa−Aesar Co.)から、マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill))、厚さ200オングストロームのAl(アルファ・アイーザー社から、マサチューセッツ州ワードヒル)、および、厚さ1,000オングストロームのAg(アルファ・アイーザー社から、マサチューセッツ州ワードヒル)の層を、カソードが基板のほぼ中心になるように配置して、1cm2の円形開口部を含む金属シャドーマスクを通じて、有機物を被覆した基板上に、約10-7トールで順番に堆積させた。
【0115】
剥離ライナ(接着剤厚さ2.5ミル)約100×50mm上の3MTMサーモボンド845−EG熱積層フィルムの片を、材料のロールから切断した。剥離ライナには印をつけて、25mm平方の2×8格子を形成した。携帯プライヤ−型式のペーパーパンチを使用して、それぞれの25mm平方の中央に6mmの円形孔を切り取った。これを、厚さ0.05mmのAl箔(マクマスター−カール・サプライ社(McMaster−Carr Supply Co.)、イリノイ州シカゴ(Chicago))の約125×75mm片上に、接着剤側を箔と接触させて置いた。この組立体を、今度はアルミニウム・プレート(3×9×0.025インチ、Q−パネル社(The Q−panel Company)、オハイオ州クリーブランド(Cleveland))上に、剥離ライナ側をアルミニウム・プレートに接触させて置いた。次いで、これを、約102℃で動作する2−ロール熱積層装置(TDEシステムズモデルHL−406、クマート社(Kmart Corp.)、ミシガン州トロイ(Troy))の中に連続して3回送って、接着剤フィルムをAl箔に積層し、その箔を、接着剤中の6mmの孔の中に変形させた。
【0116】
積層したAl箔を、アルミニウム担体プレートから取り外し、はさみで25mm平方に切断し、オレンジ−赤色発光OLED装置を含むグローブボックスに持ち込んだ。25mm平方のうちの1つを、接着剤層中の6mmの孔がフィルムのほぼ中心にとどまるように、約16mm平方にはさみで形を整えた。次いで、剥離ライナを取り除き、カプセル化フィルムを、カプセル化フィルムの接着剤層がOLED装置と接触し、接着剤層を貫通する6mmの孔が、装置のカソード上のほぼ中央に置かれるように、22mm平方のOLED装置の1つのカソード面上に置いた。カソードおよびその周囲の区域は、カプセル化フィルムによって完全に覆われた。この組立体を、約100℃で運転される2ロール熱積層装置(ベステック(Bestech)モデル2962、ローズ・アート・インダストリーズ(Rose Art Industries)、ニュージャージー州リヴィングストン(Livingston))中に通すことによって、カプセル化フィルムを、グローブボックスの不活性窒素雰囲気中で、OLED装置に熱積層した。
【0117】
冷却して、基板のITOをAlカプセル化フィルムの周縁部上の任意の場所と接触させることによって、カプセル化されたOLEDに対するアノード接続を行い、Alカプセル化フィルムの任意の部分と接触させることによって、カソード接続を行った。電流を印加したとき、装置からオレンジ−赤色光が発光した。6mA/cm2で、積層した装置の電流−電圧−輝度特性は、熱積層のカプセル化手順の前の装置特性からは実質的に変化しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】有機エレクトロルミネセンス表示構造の概略断面図である。
【図2】従来技術の有機エレクトロルミネセンス装置の概略断面図である。
【図3】有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図4】有機エレクトロルミネセンス装置の別の実施形態の概略断面図である。
【図5】有機エレクトロルミネセンス装置のさらに別の実施形態の概略断面図である。
【図6A】基板を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図6B】2つの基板を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図6C】基板および縁部封止を有する有機エレクトロルミネセンス装置の概略断面図である。
【図6D】基板、および、装置の他の構成要素の外周を越えて延在する第1の電極を有するOEL装置の概略断面図である。
【図7】基板を有する有機エレクトロルミネセンス装置の別の実施形態の概略断面図である。
【図8】基板を有する有機エレクトロルミネセンス装置のさらに別の実施形態の概略断面図である。
【図9】障壁構造体を含む基板を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図10A】複数の第2の電極を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図10B】この実施形態の対応する概略上面図である。
【図11A】複数の第1および第2の電極を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図11B】複数の第1の電極および単一の第2の電極を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図12A−12B】複数の第1および第2の電極を有する有機エレクトロルミネセンス装置の他の実施形態の概略断面図である。図12Bでは、電極の対の間に非導電性材料が含まれる。
【図13】非導電性材料中に複数の開口部を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図であり、その開口部を通じて、導電層が第2の電極と電気的に導通することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネセンス装置および有機エレクトロルミネセンス装置を作成する方法に関する。より詳しくは、電極の1つと電気的に導通する変形可能な箔などの導電層を含む有機エレクトロルミネセンス装置が提供される。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネセンス装置には、一般に、アノードとカソードとの間に配置される有機エレクトロルミネセンス材料が含まれる。この装置は、酸素または水分に反応性のある電極材料またはエレクトロルミネセンス材料を含むことがある。反応性材料を含む有機エレクトロルミネセンス装置は、装置の有効寿命を延ばすために、通常カプセル化される。カプセル化方法は、通常、ガラスと高分子材料などの2つの基板の間に、または基板と金属缶との間に、電極およびエレクトロルミネセンス材料を配置すること、および封止することが含まれる。また、反応性材料が酸素および水と接触するのをさらに低減するため、他の様々な保護層を含むことがある。
【0003】
有機エレクトロルミネセンス装置は、例えば、様々な照明の用途において、並びに高および低分解能表示装置の作成において、有用である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、本発明は、有機エレクトロルミネセンス装置およびかかる装置を作成する方法に関する。
【0005】
本発明の一態様は、第1の電極、第2の電極、第1と第2の電極の間に配置される発光構造体、第2の電極の少なくとも一部の上に配置される導電層、および、導電層が開口部を通じて第2の電極と電気的に導通するその開口部を画定する非導電性材料、を含む有機エレクトロルミネセンス装置を提供する。
【0006】
本発明の別の態様は、有機エレクトロルミネセンス装置を作成する方法を提供する。第1の電極、第2の電極、および、第1と第2の電極の間に配置される発光構造体を含むエレクトロルミネセンス構造体が形成される。開口部が、非導電性材料の中に形成され、第2の電極の表面に位置合わせされる。非導電性材料中の開口部を通じて、導電層と第2の電極との間に電気的導通が確立される。この方法は、ロールツーロール法とすることができる。
【0007】
上記本発明の要約は、本発明のそれぞれ開示した実施形態またはすべての実施態様を記載することを意図していない。以下の図および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳しく例証する。
【0008】
本発明は、添付図面と関連した本発明の様々な実施形態についての次の詳細な説明を考慮して、より一層完全に理解することができる。
【0009】
本発明は、様々な修正形態および代替形態に影響を受けやすいが、その明細を図面に一例として示し、詳細に記載することになる。しかし、この趣旨は、本発明を、記載した具体的な実施形態に限定しないことを理解されるべきである。これに反して、この趣旨は、本発明の精神と範囲内に属する全ての修正形態、均等物、および代替物におよぶべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
有機エレクトロルミネセンス装置およびかかる装置を作成する方法が提供される。より詳しくは、非導電性材料中の開口部を通じて電極の1つと電気的に導通している導電層を含む有機エレクトロルミネセンス装置が提供される。この有機エレクトロルミネセンス装置は、例えば、バックライト、低解像度表示装置、高分解能表示装置等として使用することができる。
【0011】
本明細書で使用されるとき、「有機エレクトロルミネセンス装置」または「OEL装置」は、第1の電極と第2の電極との間に配置される少なくとも1種の有機エレクトロルミネセンス材料の層を含む物品を指す。通常、電極の少なくとも1つは、有機エレクトロルミネセンス材料が発光する光を透過することができる。本明細書で使用されるとき、「有機エレクトロルミネセンス表示装置」または「OEL表示装置」は、1つもしくはそれ以上の有機エレクトロルミネセンス装置を含む物品を指す。
【0012】
R.H.フレンド(Friend)らは、「共役ポリマーにおけるエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence in Conjugated Polymers)」(ネイチャー(Nature)、397、121ページ(1999年))において、有機エレクトロルミネセンス装置の一つの動作機構を記載している。電子が、カソードから有機エレクトロルミネセンス材料の中に注入され、正孔が、アノードから有機エレクトロルミネセンス材料の中に注入される。注入された電荷が、反対に帯電した電極の方へ移動するとき、それらは再結合して、通常エキシトンと呼ばれる電子正孔対を形成することができる。これらのエキシトンまたは励起状態の化学種は、それらが基底状態に戻って失活するとき、光の形をしたエネルギーを放出することができる。主としてエキシトンが形成される装置の領域は、再結合ゾーンと呼ばれることがある。
【0013】
図1は、有機エレクトロルミネセンス装置または表示装置100の一例の概略断面図を示す。この構造体には、装置層110および任意選択の基板120が含まれる。他の適切な表示装置の構成要素はどれも、この装置または表示装置100に含まれ得る。電子表示装置または装置に使用するのに適切な追加の任意選択の構成要素または装置130を、OEL装置または表示装置100と視聴者位置140との間に設けることができる。
【0014】
装置層110には、任意選択の基板120を通じて視聴者位置140の方向へ光を発する1つもしくはそれ以上のOEL装置が含まれる。視聴者位置は、それが、実際のヒト観察者、スクリーン、光学的構成要素、電子装置などであろうとなかろうと、一般に、放出光の目的とする発信先を示すために使用される。
【0015】
装置層110は、任意の適切な方法で配列される1つもしくはそれ以上のOEL装置を含むことができる。例えば、ランプの用途(例えば、液晶表示装置(LCD)モジュールのバックライト)では、装置層110は、目的とする全体のバックライト領域にまたがる単一のOEL装置の構成要素となることができる。あるいは、他のランプ用途では、装置層110は、同時に活動化できる複数の密接した装置の構成要素になることができる。例えば、発光体を活動化したとき、装置層が白色光を発光したと見えるように、比較的小さくてかつ密接した赤、緑、および青発光体を、共通電極間にパターン化することができる。バックライト用途の他の配列もまた予測される。
【0016】
ある用途では、装置層110は、同じもしくは異なる色を発光する複数の独立してアドレス可能なOEL装置を含むことができる。それぞれの装置は、画素化した表示装置(例えば、高分解能表示装置)の別々の画素もしくは別々のサブ画素、区分化された表示装置(例えば、少ない情報量の表示装置)の別々のセグメントもしくはサブ・セグメント、または、別々のアイコン、アイコンの一部、あるいは、アイコン用のランプ(例えば、表示用途)を意味することがある。
【0017】
任意選択の構成要素130は、OEL装置または表示装置100に使用するのに適切な任意の構成要素または構成要素の組合せとすることができる。例えば、この任意選択の構成要素は、装置または表示装置100がバックライトである場合、液晶表示装置モジュールを含むことができる。1つもしくはそれ以上の偏光子、または吸収もしくは反射クリーンアップ偏光子などの他の構成要素を、液晶モジュールとバックライト装置または表示装置100との間に設けることができる。あるいは、装置または表示装置100が情報表示装置である場合、任意選択の構成要素130は、1つもしくはそれ以上の偏光子、波長板、タッチパネル、反射防止コーティング、汚れ防止コーティング、投映スクリーン、輝度向上フィルム、あるいは、他の光学装置、コーティング、ユーザー・インターフェイス機器などを含むことができる。
【0018】
図2は、周知の有機エレクトロルミネセンス装置80の概略断面図である。第1の導電層は、基板300上に配置される。導電層の一部は、例えばエッチングによって、除去またはパターン化され、アノード20および電気接点30が形成される。発光構造体40は、基板300とは反対側のアノード20の表面の一部の上に配置される。発光構造体は、一般に、アノード20と電気接点30との間のパターン化された区域の一部を占める。カソード50は、発光構造体40がアノード20とカソード50との間にあるように、発光構造体40上に配置される。カソード50は、パターン化された区域に延在し、電気接点30と電気的に導通している。発光構造体40およびカソード50は、装置のこれら構成要素が酸素および水分に暴露されるのを低減するため、金属缶70で覆われる。金属缶70は、電気絶縁体90によってアノード20および電気接点30から絶縁される。隙間60は、金属缶70を第2の電極50から電気的に絶縁する。
【0019】
本明細書で使用されるとき、用語「パターン」は、構成要素(例えば、電極または導電層)が2つ以上の非接続部分に分割されることを意味する。一部の実施形態では、構成要素は、構成要素の一部を除去することによってパターン化される。例えば、構成要素はエッチングされることがある。他の実施形態では、構成要素は、接続されてない2つ以上の区域に構成要素を堆積させることによってパターン化される。例えば、構成要素を堆積させるために、マスクまたは印刷方式を使用することができる。「非パターン化」構成要素は、2つ以上の非接続部分に分割されてない構成要素を指す。
【0020】
図2に示す装置は、通常、第1の導電層をパターン化するため、光リソグラフィ・プロセスを使用して作成され、アノード20および電気接点30が形成される。かかるプロセスは、導電層をエッチングするのに、例えば、強酸の使用が必要になる。その他の製造方法が望まれる。
【0021】
通常、カソードおよび発光構造体は両方とも、水分および酸素による劣化を受けやすい。有機エレクトロルミネセンス装置の有効寿命を延ばすことができるカプセル化方式が望ましい。
【0022】
本発明の有機エレクトロルミネセンス装置には、これらに限定されないが、第1の電極、第2の電極、発光構造体、導電層、および非導電性材料が含まれる。発光構造体は、第1と第2の電極の間に配置される。導電層は、第2の電極の少なくとも一部の上に配置することができ、非導電性材料の中に画定される少なくとも1つの開口部を通じて、第2の電極と電気的に導通している。
【0023】
本明細書で使用されるとき、用語「非導電性((non−conducting)あるいは(non−conductive))」は、電気を導通しない材料を指す。同様に、本明細書で使用されるとき、用語「導電性((conducting)あるいは(conductive))」は、電気を導通する材料を指す。
【0024】
図3は、本発明による有機エレクトロルミネセンス装置260の一実施形態の概略断面図である。発光構造体220は、第1の電極210と第2の電極230との間に配置される。発光構造体220は、電極210および230と電気的に導通している。非導電層240は、開口部200を画定する。開口部200は、第2の電極230の表面区域、例えば、発光構造体220とは反対側の表面区域に配置される。導電層250は、一般に、非導電層240によって画定される開口部200を通じて、第2の電極230と電気的に導通している。
【0025】
図3に示すように、非導電性材料240中の開口部200は、第2の電極230の表面、例えば発光構造体220とは反対側の表面区域内に完全に配置することができる。開口部200の面積は、第2の電極230の表面積より小さく、第2の電極の上に開口部が配置される。非導電性材料240は、第2の電極230の外側縁部近傍の導電層250を、第2の電極230から隔てることができる。
【0026】
一部の実施形態では、第2の電極は、発光構造体の外周部を越えて延在することができる。例えば、図2の第2の電極(カソード50)は、発光構造体40を越えて延在している。かかる実施形態では、非導電層中の開口部を、発光構造体の直接上の第2の電極の区域に配置することができ、または、発光構造体の直接上ではない第2の電極の区域に配置することができる。
【0027】
図3の導電層250は、非導電層240に接着することができ、その両方が、第2の電極230の外周部を越えて延在することができる。この非導電層は、導電層を、装置の他の能動装置、例えば、発光構造体、第1の電極、またはそれらの組合せから隔てることができる。
【0028】
非導電性材料240は、OEL装置の他の構成要素に接着することができる。例えば、図3では、非導電性材料240は、第2の電極230の外周部を越えて第1の電極210に接着することができる。非導電性材料の1つの表面を接着すると、封止として機能して、発光材料および第2の電極が水分または酸素に暴露されるのを低減することができる。
【0029】
有機エレクトロルミネセンス装置に含まれる様々な構成要素には、カプセル化を行なうことができる。本明細書で使用されるとき、用語「カプセル化」は、酸素に暴露される表面がない発光構造体および第2の電極を有する有機エレクトロルミネセンス装置を指す。様々な構成要素の組成に応じて、有機エレクトロルミネセンス装置の有効寿命を、カプセル化することによって延ばすことができる。例えば、一部の電極材料および発光構造体は、酸素、水分、またはそれらの組合せに長時間暴露すると劣化する。カプセル化することにより、第2の電極または発光構造体と酸素または水分の接触が低減される。図3では、第1の電極210、非導電層240、および導電層250の組合せが、第2の電極230および発光構造体220をカプセル化することができる。カプセル化を行なうために、他の様々な構成要素または構造体を加えることができる。例えば、一部の実施形態では、装置をさらにカプセル化するために、基板、障壁層、縁部封止、またはそれらの組合せが含まれる。
【0030】
図3および本出願に含まれる他図の多くに示すように、第1の電極210は、導電層250および非導電性材料240の外周部を越えて延在することはない。しかし、一部の実施形態では、第1の電極は、酸素または水分とは反応しない材料から作成される。このように、第1の電極は、カプセル化する必要がなく、カプセル化される装置の一部を越えて延在することができる。
【0031】
第2の電極230および発光構造体220は、図3では同じ大きさであるとして示されている。他の実施形態では、これらの構成要素は、同じ寸法を有しない。例えば、図4に示すOEL装置270は、発光構造体220に比べて短い長さ、幅、またはそれらの組合せを有する第2の電極230を含む。導電層250は、第2の電極230の表面、例えば発光構造体220とは反対側の表面と電気的に導通している。第2の電極210のこの表面の全体区域が、導電層250と接触している。すなわち、第2の電極230の表面上に配置される非導電性材料240が全くなく、ここに開口部200が配置される。
【0032】
OEL装置280の別の実施形態が、図5に概略的に示されている。第2の電極230の長さおよび幅は、発光構造体220の対応する寸法にほぼ同じであり、非導電性材料240の厚さは、少なくとも発光構造体220の厚さに等しい。第2の電極230のこの表面の全体区域が、導電層250と接触している。すなわち、第2の電極230の表面上に配置される非導電性材料240が全くなく、ここに開口部200が配置される。
【0033】
図4および5では、非導電性材料240中の開口部200は、第2の電極230の表面区域、例えば発光構造体220とは反対側の表面に配置することができる。導電層250は、第2の電極230の外周部を越えて非導電性材料240に接着することができる。非導電性材料240は、第2の電極230の外周部を越えて、導電層を、第1の電極210、発光構造体220、またはそれらの組合せから隔てる。非導電性材料は、第2の電極230の外周部を越えて他の構成要素に接着することができる。
【0034】
第1および第2の電極には、金属、合金、金属化合物、金属酸化物、導電性セラミック、導電性分散体、および導電性ポリマーなどの、導電性材料が含まれる。適切な材料は、例えば、金、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、チタン、窒化チタン、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素スズ酸化物(FTO)、黒鉛、およびポリアニリンを含むことができる。電極は、導電性材料の単一の層または多重層を有することができる。例えば、電極は、アルミニウムの層と金の層、カルシウムの層とアルミニウムの層、アルミニウムの層とフッ化リチウムの層、または金属層と導電性有機層を含むことができる。表示装置の用途などの多くの用途の場合、電極の少なくとも1つは、発光構造体が発光する出力光を透過することができる。
【0035】
一部の実施形態では、第1の電極はアノードであり、第2の電極はカソードである。アノードは、仕事関数が高い(例えば、約4.5eVより上)材料から作成することができる。通常、アノードは、発光構造体が発光する出力光を透過することができる。適切な材料には、金、白金、ニッケル、黒鉛、銀、あるいはそれらの組合せなどの、電気的に陰性の金属の薄層が含まれる。アノードはまた、例えば、インジウムスズ酸化物などの金属酸化物から作成することができる。
【0036】
カソードは、仕事関数が低い(例えば約4.5eV未満)材料から作成することができる。適切な材料には、n−ドープしたシリコン、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が含まれる。例えば、カソードは、リチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、あるいはそれらの組合せを含むことができる。かかるカソード材料は、水、酸素、またはそれらの組合せと反応する傾向があり、カプセル化によって保護できることが有利である。
【0037】
電極を作成する方法には、これらに限定されないが、スパッタリング、蒸着、レーザー熱パターン化、インクジェット印刷、スクリーン印刷、熱ヘッド印刷、および光リソグラフィ・パターン化が含まれる。電極は、蒸着によって作成するのが最も一般的である。
【0038】
発光構造体は、一般には、少なくとも1種の有機エレクトロルミネセンス材料を含む。エレクトロルミネセンス材料には、これらに限定されないが、蛍光性またはリン光性材料が含まれる。有機エレクトロルミネセンス材料は、例えば、小分子(SM)発光体(例えば非高分子発光体)、SMドープしたポリマー、発光ポリマー(LEP)、ドープしたLEP、またはブレンドしたLEPを含むことができる。適切な有機エレクトロルミネセンス材料は、米国特許第6,358,664号明細書、米国特許出願第09/662,980号明細書、米国特許出願第09/931,598号明細書、および米国特許出願第10/254,237号明細書に記載されている。有機エレクトロルミネセンス材料は、単独で、あるいは、有機エレクトロルミネセンス表示装置または装置において機能的または非機能的である他の任意の有機もしくは無機質材料と組合わせて、形成することができる。
【0039】
一部の実施形態では、有機エレクトロルミネセンス材料は、発光ポリマーを含む。LEP材料は、通常、共役高分子またはオリゴマー分子であり、それは、溶液処理に関して十分なフィルム形成特性を有することが好ましい。本明細書で使用されるとき、「共役ポリマーまたはオリゴマー分子」は、ポリマー骨格鎖に沿って非局在化したπ−電子系を有するポリマーまたはオリゴマーを指す。かかるポリマーまたはオリゴマーは半導体であり、高分子またはオリゴマー鎖に沿って正および負の電荷担体を担持することができる。
【0040】
適切な一群のLEP材料の例には、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(パラ−フェニレン)、ポリフルオレン、知られていないまたは後に開発される他のLEP材料、およびそれらの共重合体またはブレンドが含まれる。適切なLEPにはまた、分子ドープをする、蛍光性色素または光ルミネセンス材料を分散する、活性または非活性材料とブレンドする、活性または非活性材料を分散する等などができる。適切なLEP材料の例は、クラフト(Kraft)らのアンゲバンデ・ケミー・国際版(Angew. Chem.Int.Ed.)(37、402〜428(1998年))、米国特許第5,621,131号明細書、米国特許第5,708,130号明細書、米国特許第5,728,801号明細書、米国特許第5,840,217号明細書、米国特許第5,869,350号明細書、米国特許第5,900,327号明細書、米国特許第5,929,194号明細書、米国特許第6,132,641号明細書、米国特許第6,169,163号明細書、およびPCT特許出願公開第99/40655号明細書に記載されている。
【0041】
LEP材料は、例えば、LEP材料の溶媒溶液を基板上にキャスティングすることによって、発光構造体に形成し、溶媒を蒸発させて、高分子フィルムを製造することができる。あるいは、LEP材料は、前駆体化学種の反応によって、基板上にその場形成することができる。LEP層を形成する適切な方法は、米国特許第5,408,109号明細書に記載されている。LEP材料から発光構造体を形成する他の方法には、これらに限定されないが、レーザー熱パターン化、インクジェット印刷、スクリーン印刷、熱ヘッド印刷、光リソグラフィ・パターン化、および押出しコーティングが含まれる。発光構造体は、LEP材料または他のエレクトロルミネセンス材料の単一層または多重層を含むことができる。
【0042】
一部の実施形態では、有機エレクトロルミネセンス材料は、1種もしくはそれ以上の小分子発光体を含むことができる。SMエレクトロルミネセンス材料には、電荷輸送化合物、電荷障壁化合物、および半導体有機化合物もしくは有機金属化合物が含まれる。通常、SM材料を、減圧堆積させて、または溶液から被覆して、装置に薄層を形成することができる。実際面では、所与の材料は、一般に、所望の電荷輸送特性およびエレクトロルミネセンス特性の両方を有するというわけではないので、通常、SM材料の多重層を使用して、効率のよい有機エレクトロルミネセンス装置を製造する。
【0043】
SM材料は、一般に、OEL表示装置および装置において、発光体材料、電荷輸送材料、発光体層中のドーパント(例えば、発光色を制御するため)、電荷輸送層などとして使用することができる非高分子有機質または有機金属材料である。一般に使われるSM材料には、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(TPD)、および、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(AlQ)などの金属キレート化合物が含まれる。その他のSM材料は、例えば、C.H.チェン(Chen)らのマクロモレキュラ・シンポジウム(Macromol.Symp.)(125、1(1997年))、特開2000−195673号公報、米国特許第6,030,715号明細書、米国特許第6,150,043号明細書、および米国特許第6,242,115号明細書、並びに、PCT特許出願の国際公開第00/18851号パンフレット(二価ランタニド金属錯体)、国際公開第00/70655号パンフレット(シクロメタル化イリジウム化合物およびその他)、および国際公開第98/55561号パンフレットに開示されている。
【0044】
有機エレクトロルミネセンス装置は、場合により、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、正孔障壁層、電子障壁層、バッファ層等を含むことができる。これら並びに他の層および材料を使用して、OEL装置の電子的性質および特性を変えるか、または調整することができる。例えば、かかる層および材料を使用して、所望の電流/電圧応答、所望の装置効率、所望の輝度等を達成することができる。加えて、有機エレクトロルミネセンス材料が発光する光を別の色相に変換する光ルミネセンス材料が存在できる。これら任意選択の層を、2つの電極間に配置することができ、発光構造体または別の層の一部とすることができる。
【0045】
例えば、有機エレクトロルミネセンス装置は、場合により、発光構造体と第1または第2の電極のうちの1つの間に正孔輸送層を含むことができる。正孔輸送層は、装置の中への正孔の注入およびカソードに向う正孔の移動を容易にする。正孔輸送層はさらに、電子のアノードへの通過に対して障壁として働くことができる。正孔輸送層は、例えば、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン、N,N’−ビス(3−ナフタレン−2−イル)−N,N−ビス(フェニル)ベンジジンなどのジアミン誘導体、または、4,4’,4’’−トリス(N,N’−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン、または、4,4’,4’’−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン誘導体を含むことができる。他の例には、銅のフタロシアニンおよび1,3,5−トリス(4−ジフェニルアミノフェニル)ベンゼンが含まれる。正孔輸送層に含み得るなお別の適切な化合物は、H.フジカワ(Fujikawa)らの合成金属(Synthetic Metal)(91、161ページ(1997年))、および、J.V.グラバレブィシウス(Gravulevicius)およびP.ストロリーグル(Strohriegl)の「電荷輸送ポリマーおよび分子性ガラス(Charge Transporting Polymers and Molecular Glasses)」(進歩した電子および光材料並びにデバイスのハンドブック(Handbook of Advanced Electronic and Photonic Materials and Devices)、H.S.ナルワ(Nalwa)(編集)、10、pp.233〜274(2001年))に記載されている。
【0046】
有機エレクトロルミネセンス装置は、場合により、発光構造体と第1または第2の電極のうちの1つの間に電子輸送層を含むことができる。電子輸送層は、電子の注入および再結合ゾーンに向かうそれらの移動を容易にする。電子輸送層はさらに、正孔のカソードへの通過に対して障壁として働くことができる。電子輸送層用の適切な材料には、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム、1,3−ビス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン、2−(ビフェニル−4−イル)−5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、および、C.H.チェンらのマクロモレキュラ・シンポジウム(125、1(1997年))、および、J.V.グラバレブィシウスおよびP.ストロリーグルの「電荷輸送ポリマーおよび分子性ガラス」(進歩した電子的および光材料並びにデバイスのハンドブック、H.S.ナルワ(編集)、10、pp.233〜274(2001年))に記載されている他の化合物が含まれる。
【0047】
一実施形態では、電極、発光構造体、他の任意選択の層、またはそれらの組合せは、レーザー熱パターン化により1つもしくはそれ以上の層を転写することによって形成することができ、それらは、例えば、米国特許第6,485,884号明細書、米国特許第6,482,564号明細書、米国特許第6,284,425号明細書、米国特許第6,242,152号明細書、米国特許第6,228,555号明細書、米国特許第6,228,543号明細書、米国特許第6,221,553号明細書、米国特許第6,221,543号明細書、米国特許第6,214,520号明細書、米国特許第6,194,119号明細書、米国特許第6,114,088号明細書、米国特許第5,998,085号明細書、米国特許第5,725,989号明細書、米国特許第5,710,097号明細書、米国特許第5,695,907号明細書、および米国特許第5,693,446号明細書、並びに、同時譲渡発行された米国特許出願第20020158574号明細書、同時譲渡された米国特許出願第09/662,980号明細書、米国特許出願第09/451,984号明細書、米国特許出願第09/931,598号明細書、および米国特許出願第10/004,706号明細書に記載されている。例えば、有機エレクトロルミネセンス材料を、ドナー・シートに被覆し、次いで、単独で、あるいは、他の層または1つもしくはそれ以上の電極と組合わせて、レセプタ・シートに選択的に転写することができる。レセプタ・シートは、1つもしくはそれ以上の電極、トランジスタ、キャパシタ、絶縁体リブ、スペーサ、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、正孔輸送層、電子輸送層、電子表示装置および装置に適切な他の装置、またはそれらの組合せにより、予めパターン化しておくことができる。
【0048】
本発明の有機エレクトロルミネセンス装置にはまた、導電層が開口部を通じて第2の電極と電気的に導通するその開口部を画定する非導電性材料が含まれる。非導電性材料は、これらに限定されないが、セラミック材料、ガラス材料、高分子材料等を含むことができる。
【0049】
非導電性材料は、一般に、第2の電極の外周部を越えて延在する。この材料は、例えば、第2の電極の周縁部を越えて、導電層を第1の電極から隔てる働きをすることができる。非導電層材料は、OEL装置の他の任意の構成要素の一部に接着することができる。非導電性材料はまた、導電層、第1の電極、基板、またはそれらの組合せと共に、発光構造体および第2の電極をカプセル化する働きをすることができる。カプセル化することにより、装置を密封し、有機エレクトロルミネセンス装置の外側から、発光構造体、第2の電極、またはそれらの組合せまでの水または酸素の移動を低減させることができる。カプセル化は、一部の有機エレクトロルミネセンス装置の有効寿命を延ばすことができる。
【0050】
一部の実施形態では、非導電性材料は、高分子材料である。適切な高分子材料には、熱可塑性または熱硬化性ホモポリマー、および熱可塑性または熱硬化性共重合体が含まれる。非電導性高分子材料は、硬化可能なもの、または硬化不可能なものとすることができる。使用できる非導電性高分子材料の例には、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、またはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、非導電性高分子材料は、ホットメルト接着剤または感圧型接着剤などの接着剤である。この接着剤は、室温で粘着性または非粘着性のものとすることができる。高分子材料の酸性度は、電極の腐食を引き起こすほど高くすべきではない。
【0051】
非導電性高分子材料は、予め形成された層として、あるいは、溶液または分散液として加えることができる。一部の実施形態では、接着剤層などの予め形成された非導電層が使用される。適切な非導電層の例には、エチレンビニルアセテート、または、3MTMサーモボンド(Thermo−bond)(ミネソタ州セントポール(St.Paul)の3Mから市販)などの改変したポリオレフィン熱可塑性材料が含まれる。
【0052】
非導電性材料は、例えば酸化カルシウムなどの乾燥剤を含むことができる。乾燥剤を含む適切なホットメルト接着剤は、マルチソーブ・テクノロジー社(Multisorb Technologies Inc.)(ニューヨーク州バッファロ(Buffalo))からのデシマックス(DesiMax)TMである。
【0053】
開口部は、非導電層で作られる。開口部は、第2の電極の表面区域、例えば発光構造体とは反対側の表面区域に配置される。開口部の長さおよび幅は、通常、第2の電極の表面の対応する寸法にほぼ等しいか、またはそれより小さい。導電層は、非導電層中の開口部を通じて第2の電極と電気的に導通している。
【0054】
予め形成される非導電層は、第2の電極の外周部を越えて、この層を導電層および第1の電極に接着するとき、装置の電気的短絡につながる可能性がある大きさの微粒子を含まないことが好ましい。この厚さは、導電層が、第2の電極の外周部を越えて、第1および第2の電極と短絡するのを防止するのに十分な厚さにすべきである。しかし、この厚さは、導電層が、非導電性材料中に画定される開口部を通じて導電層と第2の電極との間に電気的導通を形成するのに十分に変形することができないほど厚くすべきではない。予め形成される非導電層の典型的な厚さは、約0.5ミル(0.012mm)〜約2ミル(0.05mm)の範囲である。
【0055】
一部の実施形態では、図3に示すように、非導電層240中の開口部200は、第2の電極230の全体の表面、例えば発光構造体220とは反対側の表面より小さいその上に配置される。非導電性材料240は、第2の電極230のこの表面の一部の上に配置され、第2の電極230の外周部を越えて延在する。他の実施形態では、図4および5に示すように、非導電層240中の開口部200は、第2の電極230の全体の表面、例えば発光構造体220とは反対側の表面の上に配置される。この非導電性材料240は、第2の電極230のこの表面のいかなる部分にも配置されない。すなわち、開口部が配置される全体表面が導電性材料と接触する。
【0056】
非導電性材料は、予め形成したフィルムとしてではなく、溶液または分散液として塗布してもよい。かかる材料は、例えば、印刷方式またはマスキングのない区域を使用して塗布することができる。図3に示すように、非導電性材料240は、第2の電極230の表面、例えば発光構造体220とは反対側の表面の外側縁部に塗布することができる。図4および5に示すように、OELは、第2の電極230の表面に塗布されるいかなる非導電性材料240もなしで、作成することができる。
【0057】
非導電性材料はまた、OEL装置をカプセル化するため、他の構成要素の部分にも適用することができる。図3および5に示すように、非導電性材料は、発光構造体220の縁部に、および第1の電極210の表面の一部に適用することができる。図4では、非導電性材料240は、発光構造体220の一表面の一部、発光構造体220の縁部、および第1の電極210の表面の一部に適用されている。
【0058】
予め形成した層の形で使用できる導電性材料の同じタイプは、分散液または溶液の形でも使用することができる。この組成物は、装置中の他の材料と反応性のある化合物、および、装置の様々な層を通じて移動できる最少の化学種を含む化合物を含まないことが好ましい。
【0059】
導電層には、金属、金属合金などの材料、金属酸化物、導電性セラミックなどの金属化合物、および導電性ポリマーが含まれる。一部の実施形態では、導電層は、金属、または金、銀、銅、インジウムスズ酸化物、アルミニウム等を含む金属化合物を含むことができる。
【0060】
導電層は、変形可能なフィルムとすることができる。適切な変形可能なフィルムには、銅、銀、金、アルミニウム等の金属が含まれる。導電層は、通常、約1〜約2ミル(約0.025〜約0.05mm)の範囲の厚さを有する。導電層の表面粗さは、カソードの厚さ未満(例えば約100〜300nm)であることが好ましい。導電層は、有機エレクトロルミネセンス装置の中への水分または酸素の導入が可能になるようなピンホールなどの欠陥がないことが好ましい。
【0061】
導電層は、第2の電極の表面と直接接触させるか、または、導電性高分子接着剤などの別の導電性材料によって、第2の電極から隔てることができる。第2の電極と電気的に導通して低い抵抗率を有する導電層を設けることによって、得られる有機エレクトロルミネセンス装置は、装置全体の照度強さをさほど失うことなく、広い面積にわたって都合よくかなりの照度を有することができる。
【0062】
一部の実施形態では、第2の電極の全体の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面は、導電層と直接接触している。他の実施形態では、第2の電極の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面の外側の一部以外の全ては、非導電性材料中の単一の開口部を通じて導電層と直接接触している。さらに別の実施形態では、第2の電極の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面は、非導電性材料中の複数の開口部を通じて導電層と直接接触している。
【0063】
開口部は、任意の所望の形状を有することができる。この形状は、規則的または不規則的とすることができる。複数の開口部が存在する場合、開口部の形状は、均一または不均一とすることができる。複数の開口部は、秩序のある、または無規則である任意の所望の構成に配列することができる。例えば、図13は、一実施形態の概略断面図を示し、そこでは、有機エレクトロルミネセンス装置380は、非導電性材料240中に複数の開口部200を含み、その開口部を通じて、導電層250と第2の電極230との間で接触させることができる。複数の開口部は、直線状の配置で配列することができる。
【0064】
有機エレクトロルミネセンス装置は、さらに基板を含むことができる。例えば、装置290について図6Aに概略的に示すように、第1の電極210は、基板300上に配置することができる。第1の電極210は、基板300と発光構造体220との間に配置される。基板300は、通常透明である。本明細書で使用されるとき、「透明」は、発光構造体中のエレクトロルミネセンス材料が発光する少なくとも一部の光を透過する材料を指す。基板は、可撓性か、または剛性とすることができる。
【0065】
適切な剛性透明基板には、例えば、ガラス、ポリカーボネート、アクリル等が含まれる。適切な可撓性透明基板には、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、ポリオレフィン(例えば、線状、分岐、および環式のポリオレフィン)、ポリビニル(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニールアセタール、ポリスチレン、ポリアクリレート等)、セルロースエステル塩基(例えば、トリアセチルセルロース、アセチルセルロース)、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン、並びに他の従来の高分子フィルムが含まれる。
【0066】
基板、導電層、またはその両方とも、装置の柔軟性を高めるため、ノッチ(切欠き)をつけることができる。ノッチは、基板、導電層、または両方とも全体にわたり、一方向または複数の方向にすることができる。ノッチは、スリット、V字形、またはU字形などの様々な形状を有することができる。ノッチは、通常、基板または導電層の厚さの約50パーセント未満まで延在する。
【0067】
有機エレクトロルミネセンス装置は、装置490について図6Bに示すように2つの基板を含むことができる。第1の電極210は、第1の基板300上に配置される。基板300は、第2の基板440上に配置される第2の導電層410に積層することができる。第1の電極210は、電気相互接続420および電気相互接続補助層430を通じて、第2の導電層410と電気的に接触している。発光構造体220は、第1の電極210上に配置される。第2の電極230は、発光構造体220上に配置される。第1の導電層250は、非導電性材料240の中に画定される開口部200を通じて、第2の電極230と電気的に導通している。電気相互接続420および電気相互接続補助層430は、非導電性材料240によって、第2の電極230および第1の導電層250から電気的に絶縁される。
【0068】
本実施形態では、第1の電極、第2の電極、および発光構造体は、第1の基板300上に形成することができる。次いで、この組立体を、第2の導電層410および第2の基板に取り付けて、装置中の反応性のある構成要素用の保護をさらに設けることができる。
【0069】
図6Bでは、第1の電極210、発光構造体220、および第2の電極230を含むエレクトロルミネセンス構造体は、第1の基板300、第2の導電層410、および第2の基板440によって、一方の側をカプセル化される。このエレクトロルミネセンス構造体は、非導電層240および第1の導電層250によって、反対側をカプセル化される。アノード接点は、第2の導電層410であり、カソード接点は、第1の導電層250である。装置490は、装置アノードをパターン化する必要を伴わずに、密封封止することができる。
【0070】
一部の実施形態では、電気相互接続420および電気相互接続補助層430は、ハンダなどの単一の層である。他の実施形態では、電気相互接続層420は、金属箔、金属ワイヤ、または金属化プラスチックであり、電気相互接続補助層430は、導電性接着剤またはハンダである。電気相互接続層420および電気相互接続補助層430は両方とも、電気を導通する。
【0071】
第2の導電層410用に適切な材料は、通常透明であり、金、白金、ニッケル、黒鉛、銀、またはそれらの組合せなどの電気的に陰性の金属の薄層が含まれる。この層もまた、例えば、インジウムスズ酸化物などの金属酸化物から作成することができる。一部の実施形態では、第2の導電層は、パターン化される。
【0072】
第2の基板440は、第1の基板300と同じ材料から作成することができる。例えば、第2の基板は、ガラス、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、ポリオレフィン(例えば、線状、分岐、および環式のポリオレフィン)、ポリビニル(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニールアセタール、ポリスチレン、ポリアクリレート等)、セルロースエステル塩基(例えば、トリアセチルセルロース、アセチルセルロース)、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン、並びに、他の従来の高分子フィルムから作成することができる。第2の基板は、障壁構造体を含むことができ、この例は後述する。
【0073】
図6Cは、第2の電極230および発光構造体220をさらにカプセル化するための基板および縁部封止400を有する有機エレクトロルミネセンス装置480の概略断面図である。縁部封止400は、ポリオレフィンまたはエポキシなどのプラスチック材料から作成することができる。縁部封止を作成するのに使用する組成物中に、酸化カルシウムなどの乾燥剤材料を含むことができる。
【0074】
縁部封止400を有する装置480について図6Cに、および縁部封止なしの装置510について図6Dに示すように、第1の電極210は、非導電性材料240および導電層250の外周部を越えて延在することができる。かかる装置は、酸素または水分と反応しない第1の電極210用の材料を使用して作成することができる。第1の電極用に適切な材料には、例えば、金、白金、ニッケル、黒鉛、銀、またはそれらの組合せが含まれる。この電極はまた、例えば、インジウムスズ酸化物などの金属酸化物から作成することができる。非導電性材料240は、第2の電極の周縁部を越えて、導電層250および第1の電極に接着することができる。
【0075】
図7は、基板を含む有機エレクトロルミネセンス装置310の別の実施形態の概略断面図を示す。非導電性高分子材料240および導電層250は、図3、4、5、および6a−dに示すように第1の電極ではなく、基板300に積層される。本実施形態では、第1の電極210、第2の電極230、および発光構造体220は、基板300、導電層250、および非導電性材料240の組合せによってカプセル化される。この実施形態は、第1の電極210が、水分または酸素と反応するおそれがある材料で組立てられる場合、都合よく使用することができる。
【0076】
両方の電極が酸素または水分に反応性がある場合、第1の電極210は、装置を越えて延在する非反応性導電性材料と電気的に導通することができる。例えば、バイア(ビア)は基板を貫通することができ、そのバイアは非反応性導電性材料を含むことができる。
【0077】
図8は、基板300を含む有機エレクトロルミネセンス装置340のさらに別の実施形態の概略断面図を示す。第1の電極210は、窪みの中に配置することができる。窪みは、例えば、エッチングなどにより基板の一部を除去することによって形成することができる。あるいは、窪みは、基板表面上に、例えば、並列縞または格子の形をした電極および非導電性材料を印刷することによって、形成することができる。
【0078】
基板は、OEL装置または表示装置に適切な装置または構成要素をいくつでも含むことができる。適切な装置または構成要素には、例えば、トランジスターアレイおよび他の電子デバイス;カラーフィルタ、偏光子、波長板、ディフューザ、および他の光学装置;絶縁体、障壁リブ、ブラックマトリックス、マスクワーク、および他のそのような構成要素;等が含まれる。
【0079】
基板は、障壁構造体を含むことができる。本明細書で使用されるとき、用語「障壁構造体」は、水分、酸素、またはそれらの組合せが基板を横切って移動して、有機エレクトロルミネセンス装置の発光構造体および電極と接触するのを低下させる構造体を指す。障壁構造体は、通常透明であり、1つもしくはそれ以上の層を含むことができる。例示的な障壁構造体では、基板に担持された障壁材料層および高分子平滑化材料層を含む複数の層の対(すなわち2層一組)を含むことができる。一部の実施形態では、障壁構造体を使用することによって、有機エレクトロルミネセンス装置の寿命を延ばすことができる。
【0080】
障壁構造体は、金属含有層を含むことができる。金属含有層には、一般に、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、またはそれらの組合せが含まれる。金属含有層に適切な材料には、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、インジウムスズ酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ボロン、炭化ケイ素、並びに、アルミニウム酸窒化物、ケイ素酸窒化物、およびホウ素酸窒化物が含まれる。一部の実施形態では、金属含有層には、酸化アルミニウムまたはインジウムスズ酸化物のような金属酸化物が含まれる。適切な材料は、米国特許第6,231,939号明細書、米国特許第5,725,909号明細書、およびPCT特許出願の国際公開第00/26973号パンフレットに記載されている。
【0081】
障壁構造体の金属含有層は、通常厚さ約300nm未満である。障壁構造体はまた、金属含有層に加えて、少なくとも1つの高分子層を含むことができる。例えば、障壁構造体は、高分子層および金属含有層の互層構造を積層することによって作成することができる。
【0082】
図9は、金属含有層330および高分子層320を有する基板300を含むOEL装置350の概略断面図を示す。障壁構造体の高分子層320は、通常、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリオレフィン、またはそれらの組合せを含む。図9では、障壁構造体の金属含有層330は、第1の電極210と高分子層320との間にある。他の実施形態では、高分子層320は、第1の電極210と隣接している。この高分子層は、薄い金属含有層の整合性を維持するように機能することができる。金属含有層中のわずかな亀裂または欠陥は、水分および酸素が障壁構造体を横切って移動して、第2の電極、発光構造体、またはそれらの組合せと接触するのを増加させるおそれがある。高分子および金属含有層の複数の層の対は、一般に、水分および酸素の移動に対する抵抗を増加させる。
【0083】
本発明のエレクトロルミネセンス装置は、複数の第1の電極、複数の有機エレクトロルミネセンス材料、複数の第2の電極、またはそれらの組合せを含むことができる。図10Aは、有機エレクトロルミネセンス装置360が、複数の第2の電極230を含む実施形態の概略断面図を示す。図10Bは、同じ装置の概略上面図を示す。複数の第2の電極230は、第1の電極210および発光構造体220の上に、直線状にまたは任意の構成で配列することができる。
【0084】
図10Aおよび図10Bに示す有機エレクトロルミネセンス装置360は、発光構造体220を第1の電極210上に配置することによって作成することができる。複数の第2の電極230は、第1の電極210の反対側の発光構造体220の表面上に配置することができる。複数の開口部200は、非導電性材料240中に画定することができる。開口部200は、第2の電極の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面区域内に完全に配置することができる。非導電性材料240は、第2の電極230のそれぞれの間に配置され、第1の電極210または第2の電極230と接触しない発光構造体220の表面を覆う。導電層250は、非導電性材料240中に画定された開口部200を通じて、第2の電極230のそれぞれと電気的に導通している。導電層250は、第2の電極230の周縁部を越える非電導性材料240によって、発光構造体220および第1の電極210から隔てることができる。
【0085】
図10Aおよび10Bに示す装置360では、単一の導電層250が第2の電極全てと電気的に導通しているので、複数の第2の電極230に対して、同時にアドレス指定を行うことができる。かかる装置は、装置全体の照度強さのさほどの損失を伴わずに、広い区域にわたって輝かすことができる。
【0086】
図10Aおよび10Bの装置360とは対照的に、複数の第1の電極を含む装置、または複数の第1の電極および複数の第2の電極を含む装置に対して、複数の位置でアドレス指定を行うことができる。すなわち、かかる装置を使用して、複数の画素を有する装置または表示装置を形成することができる。図11A、11B、12A、および12Bは、複数の第1の電極210を含む有機エレクトロルミネセンス装置の概略断面図である。図11A、12A、および12Bには、複数の第1の電極210および第2の電極230が含まれる。
【0087】
図11Aは、複数の第1の電極210、非パターン化発光構造体220、および複数の第2の電極230を含む装置370の概略断面図である。図11Bは、複数の第1の電極210、非パターン化発光構造体220、および非パターン化第2の電極230を含む装置450の概略断面図である。これらの装置における第1の電極は、例えば、複数の第1の電極210および複数の非導電性材料を、並列縞または格子のようなパターンで基板300上に配置することによって作成することができる。2次元の任意のパターンを使用して、第1の電極210を基板300に印刷することができる。
【0088】
一部の実施形態では、有機エレクトロルミネセンス装置は、複数のカラー表示装置とすることができる。例えば、図12Aに示すOEL装置390および図12Bに示すOEL装置500は、複数の第1の電極210と複数の第2の電極230との間にパターン化した複数の有機エレクトロルミネセンス材料を含むことができる。異なる有機エレクトロルミネセンス材料は、異なる波長の光を発光することができる。非導電性材料460は、複数の第1の電極および第2の電極を互いから隔てることができる。非導電性材料460は、240と同じ材料でもよく、または異なる材料でもよい。非導電性材料460は、例えば、ブラックマトリックスとすることができる。
【0089】
本発明の別の態様は、有機エレクトロルミネセンス装置を作成する方法を提供する。一実施形態では、これらに限定されないが、第1の電極、第2の電極、発光構造体、導電層、および非導電性材料が含まれるエレクトロルミネセンス構造体が形成される。発光構造体は、第1と第2の電極の間に配置される。非導電性材料中に開口部が形成され、第2の電極の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面区域に配置される。非導電性材料中の開口部の面積は、通常、第2の電極の表面面積より小さいか、またはそれにほぼ等しく、その上に開口部が配置される。非導電性材料中の開口部を通じて、導電層と第2の電極との間に電気的導通を確立することができる。
【0090】
本方法は、第2の電極および発光構造体をカプセル化することを含むことができる。例えば、導電層および非導電性材料は、第2の電極の周縁部を越えて延在することができる。非導電性材料は、第2の電極の周縁部を越えて、導電層をOEL装置の他の能動装置から隔てることができる。非導電性材料を使用して、導電層を、第2の電極の周縁部を越えて第1の電極、基板、またはその両方に積層することによって、封止を形成することができる。
【0091】
一例として、導電性材料を堆積させて、対象となる出力光(例えば、発光構造体が発光する出力光)に対して透明な第1の電極を形成することによって、本発明の有機エレクトロルミネセンス装置を作成することができる。有機エレクトロルミネセンス材料の1つもしくはそれ以上の層を第1の電極上に配置して、発光構造体を形成することができる。第2の電極は、発光構造体が第1と第2の電極の間にあるように、発光構造体上に配置することができる。
【0092】
1つもしくはそれ以上の開口部を、非導電性材料、例えば剥離ライナを一面または両面に有する接着剤層中に形成することができる。この開口部は、例えば、ダイ打抜き、キスカッティング(kiss cutting)、または他の方法によって、接着剤層および少なくとも1つの剥離ライナを貫通して削除することができる。その時、1つの剥離ライナを除去し、導電層または第2の電極のいずれかに付着している接着剤を除去することができる。次いで、第2の剥離ライナを除去することができ、導電層は第2の電極に、構造体の残部は接着剤層を介して、結合させることができる。
【0093】
開口部は、第2の電極の表面、例えば発光構造体とは反対側の表面区域に配置することができる。剥離ライナを除去すると、接着剤層は、導電層が、接着剤層中の開口部を通じて第2の電極と電気的に導通するように、導電層に接着することができる。
【0094】
この方法は、ロールツーロール法とすることができる。エレクトロルミネセンス構造体は、第1のロール上に組立てることができる。例えば、第1の電極は、基板のロール上に堆積することができ、または、ロール上に基板なしで入手できる。発光構造体および第2の電極は、発光構造体が2つの電極間に配置されるように、第1の電極の表面上に配置することができる。非導電性材料および導電層は、それぞれ第2のロールおよび第3のロールの形態で設けることができる。少なくとも1つの開口部を、第2のロールに形成することができる。第2のロールは、開口部が第2の電極の表面と位置合わせされるように、第1と第3のロールの間に積層することができ、非導電層の開口部を通じて導電層と第2の電極との間に電気的導通が確立される。
【0095】
接着剤層と導電層は両方とも、第2の電極の外周部を越えて延在することができる。接着剤層は、導電層を、第2の電極の外周部を越えて、第1の電極または基板に積層するように機能することができ、それによって有機エレクトロルミネセンス装置がカプセル化される。接着剤層はまた、導電層を、第2の電極の外周部を越えて、第1の電極のようなOEL装置の他の能動装置から隔てるように機能する。接着剤層はまた、装置を封止するように機能することができる。
【0096】
積層温度は、接着剤層を軟化または溶解させるのに十分であればよい。一部の実施形態では、この温度は、通常約100℃未満に保持される。例えば、積層温度は、発光構造体などの装置層への損傷の可能性を低減するため、約60℃未満に保持することができる。
【0097】
この有機エレクトロルミネセンス装置は、アクティブまたはパッシブの表示装置または装置とすることができる。パッシブ表示装置または装置は、場合によっては他の配向があり得るが、通常、90度の角度で互いに向きを定めたアノードおよびカソードを有する。
【0098】
本発明の有機エレクトロルミネセンス装置は、例えば、一般照明の目的にまたはバックライトとして使用することができる。バックライトの構造には、素地または回路付きの基板、アノード、カソード、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、発光層、色相変換層、および他の層、並びに、有機エレクトロルミネセンス装置にとって適切なその他の材料を含むことができる。構造体にはまた、偏光子、ディフューザ、光導波路、レンズ、光量制御フィルム、輝度向上フィルム等を含むことができる。用途には、白色および単色大規模面積の単一画素ランプ、並びに、多色大規模面積の単一画素ランプが含まれる。
【0099】
本発明の有機エレクトロルミネセンス装置は、低解像度表示装置として使用することができる。構造体には、素地または回路付きの基板、アノード、カソード、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、発光層、色相変換層、および他の層、並びに、OEL装置に適切な材料を含むことができる。構造体はまた、偏光子、ディフューザ、光導波路、レンズ、光量制御フィルム、輝度向上フィルム等を含むことができる。用途には、画像表示ランプ(例えばアイコン);区分化された英数字表示装置(例えば器具の時間表示器);小さい単色のパッシブまたはアクティブ・マトリックス表示装置;一体化された表示装置の一部としての画像表示ランプを加えた小さい単色のパッシブまたはアクティブ・マトリックス表示装置(例えば携帯電話表示装置);使用する屋外での表示に適切であるような大規模面積画素表示タイル(例えば、複数のモジュールまたはタイルであって、それぞれが比較的小数の画素を有するもの);および、安全表示の用途が含まれる。
【0100】
本発明の有機エレクトロルミネセンス装置は、高分解能表示装置として使用することができる。構造体には、素地または回路付きの基板、アノード、カソード、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、発光層、色相変換層、および他の層、並びに、OEL装置に適切な材料を含むことができる。構造体はまた、偏光子、ディフューザ、光導波路、レンズ、光量制御フィルム、輝度向上フィルム等を含むことができる。用途には、アクティブもしくはパッシブ・マトリックス多色またはフルカラー表示装置;区分化されたもしくは画像の表示ランプを加えたアクティブもしくはパッシブ・マトリックス多色またはフルカラー表示装置(例えば、同じ基板上のアイコンの熱ホットスタンプを加えた高分解能装置のレーザー誘起転送);および、安全表示の用途が含まれる。
【0101】
上記の記述は、本発明を、発明者によって予見される実施形態によって記載したもので、そのために実現可能な説明を利用できるが、にもかかわらず、現在予見されない本発明の実体のない修正形態は、それでもなお本発明に均等なものを意味するものである。
【実施例】
【0102】
実施例1
コビオン(Covion)PDY132発光ポリマー(LEP)を使用して、直径1インチの円形の発光面積を有する可撓性有機発光ダイオード(OLED)を作成した。
【0103】
80グラムのエベクリル(Ebecryl)TM629(UCBケミカルズ(UCB Chemicals)、ジョージア州スミルナ(Smyrna))、20グラムのSR399(サートマー社(Sartomer Company)、ペンシルバニア州エクストン(Exton))、および、1000グラムのメチルエチルケトンに溶解した2グラムのイルガキュア(Irgacure)TM184(チバ・スペシャリィティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)、ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown))を含むUV硬化性ポリマー溶液を作成した。得られた溶液を、110R節を取り付けたヤスイ・セイキ(Yasui Seiki)モデルCAG150コーターを使用して、20フィート/分のウェブ速度で、100ミクロンPETフィルム(帝人社(Teijin Corp.)、日本)から市販のHSPE100)に被覆した。被覆は、70℃でインライン乾燥し、100%出力で動作するF−600フュージョン(Fusion)D UVランプで硬化させた。次いで、得られたポリマー被覆ウェブに、順番に35nmのITO、10nmのAg、および35nmのITOを被覆して、抵抗15オーム/平方のシートを得た。ITO/Ag/ITO被覆は、パターン化してないままであった。
【0104】
ITO/Ag/ITO被覆PETの小片を、装置製造に使用するべく、ロールから切断した。この片を、超音波洗浄装置中で洗浄した。次いで、ITO表面を、プラズマ・サイエンス(Plasma Science)プラズマ処理器(マサチューセッツ州ビラリカ(Billerica)のAST社(AST Inc.)から市販のモデルPS500)の中で、0.030トールのベース圧力、500sccmの酸素流速、および400ワットのRf出力で2分間プラズマ処理した。
【0105】
H.C.シュタルク(Starck)(レーヴァークセン(Leverkusen)、ドイツ)から市販の、PEDT/PSSとしても知られている(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)PEDOT8000を、IPAで希釈し、真空スピンコーティング・チャックを使用して、ITO表面上にスピンコートした。3000rpmで30秒間スピンすると、厚さ90〜100nmのPEDOT8000が得られた。このPEDOTを、65℃の窒素パージ・オーブン中で10分間乾燥させた。この片を、窒素雰囲気のグローブボックスの中に移し、PEDOT8000をさらに乾燥させるために、100℃ホットプレート上に2分間置いた。PEDOT8000は、導電性ポリマーであり、バッファ層として機能した。
【0106】
コビオンPDY132LEP(トルエン中0.5重量%、コビオン・オーガニック・セミコンダクタ社(Covion Organic Semiconductors GmbH)から市販、フランクフルト(Frankfurt)、ドイツ)を、真空チャックを使用して、PEDOT8000表面上にスピンコートした。2500rpmで30秒間スピンすると、75nmフィルムが得られた。
【0107】
LEPおよびPEDOTのうちのITO表面の小部分を、アノードとしてITOと接触させるために洗浄した。この片から50×50mm平方を切断した。
【0108】
次いで、カルシウムを、熱蒸発によって、直径1インチの開口部を有するマスクを通じて、LEP表面上に400オングストロームの厚さに堆積させた。次いで、銀を、同じ方法およびマスクを使用して、このカルシウム上に厚さ3000オングストロームまで真空堆積させた。
【0109】
3MTMサーモボンド845の35mm×35mm片の中間部から直径0.5インチの孔を切断することによって、カプセル化材料を作成した。3MTMサーモボンドを、4ミル(0.1mm)銅箔の35mm×35mm片に300°F(148℃)で積層した。3MTMサーモボンド/銅の片を、銅面を下向き、3MTMサーモボンド面を上向きにして、ライナーを除去して、300°F(148℃)ホットプレート上に置いた。この3MTMサーモボンド/銅の温度は、5〜10分間で到達させた。
【0110】
可撓性OLED装置を、3MTMサーモボンドと接触させて置き、それに貼り付かせた。次いで、この構造体をホットプレートから取り外し、グローブボックスの床上に置き、2つの片を手動ローラーと共に積層した。得られたカプセル化されたOLED装置は、銅箔およびITO被覆を電池の導線に接続したとき、発光した。
【0111】
実施例2
いくつかのオレンジ−赤色発光OLED装置を、22mm平方(厚さ1.0mm)ITO被覆ガラス(15オーム/平方、コロラド・コンセプト・コーティング(Colorado Concept Coatings)LLC、コロラド州ロングモント(Longmont))上に作成した。ITO被覆はパターン化せず、したがって、ガラス基板の全体表面を覆った。メタノール浸漬した糸くずの出ない布(ベクトラ・アルファ(Vectra Alpha)10、テックスワイプ社(Texwipe Co.)、LLC、ニュージャージー州アッパー・サドル・リバー(Upper Saddle River))で表面をこすることによって、ITO被覆基板を洗浄し、続けて4分の酸素プラズマ処理(全出力、5psi酸素、プラズマ−プリーン(Plasma−Preen)II−973、プラズマテック・システムズ社(Plasmatic Systems,Inc.)、ニュージャージー州ノース・ブランズウィック(North Brunswick))を行った。
【0112】
(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホナート)の水溶液(1%の固形物、バイトロン(Baytron)P4083、バイエル(Bayer)、レバークッセン(Leverkuesen)、ドイツ)を、洗浄し、エッチングした基板上にスピンコートして、50nmのフィルムを得た。バイトロンP4083は、導電性ポリマーであり、バッファ層として機能した。バイトロンP4083とITOを被覆した基板を、窒素流れの下で110℃ホットプレート上で15分間乾燥させた。
【0113】
被覆した基板をベルジャー蒸発チャンバに移し、約10-6トールまで排気した。厚さ300オングストロームのN,N’−ビス(3−ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(NPD、H.W.サンド社(Sands Corp.)から、フロリダ州ジュピター(Jupiter))、1%の4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル(julolidyl)−9−エニル)−4H−ピラン(DCJTB、イーストマン・コダック社から、ニューヨーク州ロチェスター(Rochester))をドープした、厚さ300オングストロームの9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(イーストマン・コダック社(Eastman Kodak Co.)からのADN、ニューヨーク州ロチェスター)、および、厚さ200オングストロームのトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(AlQ、H.W.サンド社から、フロリダ州ジュピター)の層を、19.5mm平方の開口部を含むシャドーマスクを通じて、順番に熱堆積させた。NPDは正孔輸送層として機能し、ADNおよびAlQは電子輸送層として機能し、DCJTBは、光発光の色相を変えるドーパントとして使用した蛍光色素であった。
【0114】
この有機物を被覆した基板を、カソードを熱堆積させるために、薄いフィルム蒸発チャンバ(エドワーズ(Edwards)500、BOCエドワーズ(BOC Edwards)、イギリス)を含むグローブボックスへ移した。厚さ100オングストロームのAlQ(H.W.サンド社から、フロリダ州ジュピター)、厚さ7オングストロームのLiF(アルファ・アイーザー社(Alfa−Aesar Co.)から、マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill))、厚さ200オングストロームのAl(アルファ・アイーザー社から、マサチューセッツ州ワードヒル)、および、厚さ1,000オングストロームのAg(アルファ・アイーザー社から、マサチューセッツ州ワードヒル)の層を、カソードが基板のほぼ中心になるように配置して、1cm2の円形開口部を含む金属シャドーマスクを通じて、有機物を被覆した基板上に、約10-7トールで順番に堆積させた。
【0115】
剥離ライナ(接着剤厚さ2.5ミル)約100×50mm上の3MTMサーモボンド845−EG熱積層フィルムの片を、材料のロールから切断した。剥離ライナには印をつけて、25mm平方の2×8格子を形成した。携帯プライヤ−型式のペーパーパンチを使用して、それぞれの25mm平方の中央に6mmの円形孔を切り取った。これを、厚さ0.05mmのAl箔(マクマスター−カール・サプライ社(McMaster−Carr Supply Co.)、イリノイ州シカゴ(Chicago))の約125×75mm片上に、接着剤側を箔と接触させて置いた。この組立体を、今度はアルミニウム・プレート(3×9×0.025インチ、Q−パネル社(The Q−panel Company)、オハイオ州クリーブランド(Cleveland))上に、剥離ライナ側をアルミニウム・プレートに接触させて置いた。次いで、これを、約102℃で動作する2−ロール熱積層装置(TDEシステムズモデルHL−406、クマート社(Kmart Corp.)、ミシガン州トロイ(Troy))の中に連続して3回送って、接着剤フィルムをAl箔に積層し、その箔を、接着剤中の6mmの孔の中に変形させた。
【0116】
積層したAl箔を、アルミニウム担体プレートから取り外し、はさみで25mm平方に切断し、オレンジ−赤色発光OLED装置を含むグローブボックスに持ち込んだ。25mm平方のうちの1つを、接着剤層中の6mmの孔がフィルムのほぼ中心にとどまるように、約16mm平方にはさみで形を整えた。次いで、剥離ライナを取り除き、カプセル化フィルムを、カプセル化フィルムの接着剤層がOLED装置と接触し、接着剤層を貫通する6mmの孔が、装置のカソード上のほぼ中央に置かれるように、22mm平方のOLED装置の1つのカソード面上に置いた。カソードおよびその周囲の区域は、カプセル化フィルムによって完全に覆われた。この組立体を、約100℃で運転される2ロール熱積層装置(ベステック(Bestech)モデル2962、ローズ・アート・インダストリーズ(Rose Art Industries)、ニュージャージー州リヴィングストン(Livingston))中に通すことによって、カプセル化フィルムを、グローブボックスの不活性窒素雰囲気中で、OLED装置に熱積層した。
【0117】
冷却して、基板のITOをAlカプセル化フィルムの周縁部上の任意の場所と接触させることによって、カプセル化されたOLEDに対するアノード接続を行い、Alカプセル化フィルムの任意の部分と接触させることによって、カソード接続を行った。電流を印加したとき、装置からオレンジ−赤色光が発光した。6mA/cm2で、積層した装置の電流−電圧−輝度特性は、熱積層のカプセル化手順の前の装置特性からは実質的に変化しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】有機エレクトロルミネセンス表示構造の概略断面図である。
【図2】従来技術の有機エレクトロルミネセンス装置の概略断面図である。
【図3】有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図4】有機エレクトロルミネセンス装置の別の実施形態の概略断面図である。
【図5】有機エレクトロルミネセンス装置のさらに別の実施形態の概略断面図である。
【図6A】基板を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図6B】2つの基板を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図6C】基板および縁部封止を有する有機エレクトロルミネセンス装置の概略断面図である。
【図6D】基板、および、装置の他の構成要素の外周を越えて延在する第1の電極を有するOEL装置の概略断面図である。
【図7】基板を有する有機エレクトロルミネセンス装置の別の実施形態の概略断面図である。
【図8】基板を有する有機エレクトロルミネセンス装置のさらに別の実施形態の概略断面図である。
【図9】障壁構造体を含む基板を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図10A】複数の第2の電極を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図10B】この実施形態の対応する概略上面図である。
【図11A】複数の第1および第2の電極を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図11B】複数の第1の電極および単一の第2の電極を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図である。
【図12A−12B】複数の第1および第2の電極を有する有機エレクトロルミネセンス装置の他の実施形態の概略断面図である。図12Bでは、電極の対の間に非導電性材料が含まれる。
【図13】非導電性材料中に複数の開口部を有する有機エレクトロルミネセンス装置の一実施形態の概略断面図であり、その開口部を通じて、導電層が第2の電極と電気的に導通することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の電極、
b)第2の電極、
c)前記第1と前記第2の電極の間に配置される発光構造体、
d)前記第2の電極の少なくとも一部の上に配置される導電層、および
e)前記導電層が開口部を通じて前記第2の電極と電気的に導通するその開口部を画定する非導電性材料、
を含む、有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項2】
前記非導電性材料中の前記開口部が、前記発光構造体とは反対側の前記第2の電極の表面区域内に完全に配置され、前記開口部の面積が、前記発光構造体とは反対側の前記第2の電極の表面面積より小さい、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項3】
前記非導電性材料中の前記開口部が、前記発光構造体とは反対側の前記第2の電極の表面区域に配置され、前記発光構造体とは反対側の前記第2の電極の全体表面が、前記導電層と接触している、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項4】
前記導電層が、前記第2の電極の周縁部を越えて延在し、前記非導電性材料が、前記第2の電極の周縁部を越えて、前記導電層を前記第1の電極から隔てる、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項5】
前記非導電性材料が、高分子材料を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項6】
前記高分子材料が、接着剤を含む、請求項5に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項7】
前記装置が、カプセル化される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項8】
前記第1の電極が、金属または金属酸化物の透明層を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項9】
前記第2の電極が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、n−ドープしたシリコン、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項10】
前記導電層が、変形可能なフィルムを含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項11】
前記導電層が、金属を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項12】
基板をさらに含み、前記基板が、実質的に透明である、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項13】
前記基板が、可撓性である、請求項12に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項14】
前記基板が、障壁構造体を含む、請求項12に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項15】
前記障壁構造体が、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、またはそれらの組合せを含む、請求項14に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項16】
前記装置が、複数の第1の電極を含み、それぞれの第1の電極に対して、独立してアドレス指定を行うことができる、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項17】
前記非導電性材料が、複数の開口部を画定し、前記導電層が、前記複数の開口部を通じて前記第2の電極と電気的に導通している、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項18】
前記複数の開口部が、直線状の配置である、請求項17に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項19】
前記装置が、複数の第2の電極を含み、前記複数の開口部が、前記複数の第2の電極に位置合わせされる、請求項17に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項20】
前記装置が、前記複数の第2の電極に位置合わせされる複数の第1の電極を含む、請求項19に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項21】
第1および第2の電極のそれぞれの対に対して、独立してアドレス指定を行うことができる、請求項20に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項22】
前記導電層が、前記第2の電極の周縁部を越えて延在し、前記非導電性材料が、前記第2の電極の周縁部を越えて、前記導電層を前記第1の電極から隔て、かつ、前記第1の電極が、前記導電層および前記非導電性材料の周縁部を越えて延在する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項23】
前記第1の電極が、パターン化されない、請求項22に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項24】
前記第2の電極が、パターン化されない、請求項22に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項25】
前記第1の電極が、基板に面し、かつ基板を完全に覆う、請求項22に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項26】
前記非導電性材料が、高分子材料および乾燥剤を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項27】
前記基板、前記導電層、またはそれらの組合せが、ノッチをつけられている、請求項12に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項28】
第1の電極、第2の電極、および発光構造体を含み、前記発光構造体が、前記第1と前記第2の電極の間に配置されるエレクトロルミネセンス構造体を形成するステップと、
非導電性材料中に開口部を形成するステップと、
前記非導電性材料中の開口部を、第2の電極の表面に位置合わせするステップと、
前記非導電性材料中の前記開口部を通じて、前記導電層と前記第2の電極との間に電気的導通を確立するステップと、
を含む、有機エレクトロルミネセンス装置を製造する方法。
【請求項29】
前記第2の電極および前記発光構造体をカプセル化するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の電極および前記発光構造体を、前記非導電性材料および前記導電層でカプセル化するステップをさらに含み、前記導電層が、前記第2の電極の周縁部を越えて延在し、前記非導電層が、前記第2の電極の周縁部を越えて、前記導電層を前記第1の電極から隔てる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、ロールツーロール法である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
第1のロールの形態で第1の電極を形成するステップと、
発光構造体および第2の電極を、前記第1のロールに加えるステップであって、前記発光構造体が前記第1と前記第2の電極の間に配置されるステップと、
第2のロールの形態をした非導電性材料、および第3のロールの形態をした導電層を提供するステップと、
前記第2のロールに開口部を形成するステップと、
前記第2のロールを前記第1と前記第3のロールの間に積層するステップであって、前記開口部が、前記第2の電極の表面に位置合わせされ、前記非導電層の開口部を通じて前記導電層と前記第2の電極との間に電気的導通が確立されるステップと、
を含む、エレクトロルミネセンス装置を製造する方法。
【請求項33】
前記第1のロールが、基板をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項1】
a)第1の電極、
b)第2の電極、
c)前記第1と前記第2の電極の間に配置される発光構造体、
d)前記第2の電極の少なくとも一部の上に配置される導電層、および
e)前記導電層が開口部を通じて前記第2の電極と電気的に導通するその開口部を画定する非導電性材料、
を含む、有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項2】
前記非導電性材料中の前記開口部が、前記発光構造体とは反対側の前記第2の電極の表面区域内に完全に配置され、前記開口部の面積が、前記発光構造体とは反対側の前記第2の電極の表面面積より小さい、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項3】
前記非導電性材料中の前記開口部が、前記発光構造体とは反対側の前記第2の電極の表面区域に配置され、前記発光構造体とは反対側の前記第2の電極の全体表面が、前記導電層と接触している、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項4】
前記導電層が、前記第2の電極の周縁部を越えて延在し、前記非導電性材料が、前記第2の電極の周縁部を越えて、前記導電層を前記第1の電極から隔てる、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項5】
前記非導電性材料が、高分子材料を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項6】
前記高分子材料が、接着剤を含む、請求項5に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項7】
前記装置が、カプセル化される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項8】
前記第1の電極が、金属または金属酸化物の透明層を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項9】
前記第2の電極が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、n−ドープしたシリコン、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項10】
前記導電層が、変形可能なフィルムを含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項11】
前記導電層が、金属を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項12】
基板をさらに含み、前記基板が、実質的に透明である、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項13】
前記基板が、可撓性である、請求項12に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項14】
前記基板が、障壁構造体を含む、請求項12に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項15】
前記障壁構造体が、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、またはそれらの組合せを含む、請求項14に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項16】
前記装置が、複数の第1の電極を含み、それぞれの第1の電極に対して、独立してアドレス指定を行うことができる、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項17】
前記非導電性材料が、複数の開口部を画定し、前記導電層が、前記複数の開口部を通じて前記第2の電極と電気的に導通している、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項18】
前記複数の開口部が、直線状の配置である、請求項17に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項19】
前記装置が、複数の第2の電極を含み、前記複数の開口部が、前記複数の第2の電極に位置合わせされる、請求項17に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項20】
前記装置が、前記複数の第2の電極に位置合わせされる複数の第1の電極を含む、請求項19に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項21】
第1および第2の電極のそれぞれの対に対して、独立してアドレス指定を行うことができる、請求項20に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項22】
前記導電層が、前記第2の電極の周縁部を越えて延在し、前記非導電性材料が、前記第2の電極の周縁部を越えて、前記導電層を前記第1の電極から隔て、かつ、前記第1の電極が、前記導電層および前記非導電性材料の周縁部を越えて延在する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項23】
前記第1の電極が、パターン化されない、請求項22に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項24】
前記第2の電極が、パターン化されない、請求項22に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項25】
前記第1の電極が、基板に面し、かつ基板を完全に覆う、請求項22に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項26】
前記非導電性材料が、高分子材料および乾燥剤を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項27】
前記基板、前記導電層、またはそれらの組合せが、ノッチをつけられている、請求項12に記載の有機エレクトロルミネセンス装置。
【請求項28】
第1の電極、第2の電極、および発光構造体を含み、前記発光構造体が、前記第1と前記第2の電極の間に配置されるエレクトロルミネセンス構造体を形成するステップと、
非導電性材料中に開口部を形成するステップと、
前記非導電性材料中の開口部を、第2の電極の表面に位置合わせするステップと、
前記非導電性材料中の前記開口部を通じて、前記導電層と前記第2の電極との間に電気的導通を確立するステップと、
を含む、有機エレクトロルミネセンス装置を製造する方法。
【請求項29】
前記第2の電極および前記発光構造体をカプセル化するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の電極および前記発光構造体を、前記非導電性材料および前記導電層でカプセル化するステップをさらに含み、前記導電層が、前記第2の電極の周縁部を越えて延在し、前記非導電層が、前記第2の電極の周縁部を越えて、前記導電層を前記第1の電極から隔てる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、ロールツーロール法である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
第1のロールの形態で第1の電極を形成するステップと、
発光構造体および第2の電極を、前記第1のロールに加えるステップであって、前記発光構造体が前記第1と前記第2の電極の間に配置されるステップと、
第2のロールの形態をした非導電性材料、および第3のロールの形態をした導電層を提供するステップと、
前記第2のロールに開口部を形成するステップと、
前記第2のロールを前記第1と前記第3のロールの間に積層するステップであって、前記開口部が、前記第2の電極の表面に位置合わせされ、前記非導電層の開口部を通じて前記導電層と前記第2の電極との間に電気的導通が確立されるステップと、
を含む、エレクトロルミネセンス装置を製造する方法。
【請求項33】
前記第1のロールが、基板をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【公表番号】特表2006−511916(P2006−511916A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564784(P2004−564784)
【出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/032378
【国際公開番号】WO2004/061992
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/032378
【国際公開番号】WO2004/061992
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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