説明

有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを使用する発光ダイオード

【課題】高い発光効率並びに素子駆動の優れた電力効率及び寿命を示す有機エレクトロルミネセント化合物、この化合物を含有する有機発光ダイオード又は太陽電池を提供する。
【解決手段】本発明は、化学式(1)によって表される有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含有する有機発光ダイオードに関する。本発明に従った有機エレクトロルミネセント化合物は、良好な発光効率及び材料の寿命特性を有するので、非常に良好な駆動寿命を有するOLEDを製造することができる。
【化1】


(式中、Xは、
【化2】


を表す)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含有する有機発光ダイオード(OLED)に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会は情報化時代になってくるので、電子情報機器と人間との間のインターフェースの役割を演じるディスプレイの重要性が顕著になりつつある。OLEDは自己発光型素子として優れたディスプレイ特性を示し、単純な素子構造のためにその製造が容易であり、超薄型及び超軽量ディスプレイを製造できるので、新規な平面ディスプレイ技術として、OLEDが世界中で積極的に研究されてきた。
【0003】
OLED素子は、通常、金属から製造された陰極と陽極との間の、有機化合物の複数の薄層からなっている。陰極及び陽極を通して注入される電子及び正孔は、電子注入層及び電子輸送層、正孔注入層及び正孔輸送層を経てエレクトロルミネセント層に送られて、励起子を形成し、これが安定した状態に崩壊し、光を発する。特に、OLEDの特性は、使用される有機エレクトロルミネセント化合物の特性に大きく依存する。従って、増強された性能を有するコア有機材料についての研究が積極的になされてきた。
【0004】
このコア有機材料は、エレクトロルミネセント材料とキャリヤ注入及び輸送材料とに分類される。エレクトロルミネセント材料は、ホスト材料とドーパント材料とに分類することができる。通常、最も優れたEL特性を有する素子構造として、ホスト−ドーパントドーピングシステムを使用するコア有機薄膜層を含有する構造が知られている。
【0005】
最近、小サイズディスプレイが実際的に使用され、そうして高効率及び長寿命を有するOLEDの開発が、緊急の課題として持ち上がってきている。これは、大サイズOLEDパネルへの媒体の実際的な使用の分野に於ける重要な里程標であろう。従って、既存のコア有機材料と比較して一層優れた特性を有するコア有機材料の開発は、緊急に必要とされる。この観点から、ホスト材料並びにキャリヤ注入及び輸送材料の開発は、取り組まれるべき重要な課題の一つである。
【0006】
OLEDに於いて、固体状態の溶媒及びエネルギー伝達子(deliverer)としてのホスト材料、またはキャリヤ注入もしくは送達のための材料についての望ましい特性は、高い純度及び真空中での蒸着を可能にするための適切な分子量である。更に、これらは、高いガラス転移温度及び熱分解温度と共に熱安定性を確保し、そしてこれらは、製品の長寿命のための高い電気化学的安定性を有し、無定形薄層を容易に形成すべきである。特に、これらは、隣接する他の層の材料との良好な接着を有するが、層間移動がほとんど起こらないことが非常に重要である。
【0007】
従来のホスト材料には、出光興産からのジフェニルビニルビフェニル(DPVBi)及びコダック社(Kodak)からのジナフチル−アントラセン(DNA)が挙げられるが、効率、寿命及び色純度に関して、更なる改良をなお必要としている。
【0008】
【化1】

【0009】
DPVBiは、100℃以下のガラス転移温度で、劣った熱安定性を示すので、アントラセン及びジアントラセンが、それぞれDPVBiのビフェニルの内側に導入された、DPVPAN及びDPVPBANが開発された。これらの熱安定性は、ガラス転移温度を105℃以上に上昇させることによって増強されたけれども、これらの化合物は、満足できる水準で色純度又は発光効率を示さなかった。
【0010】
【化2】

【0011】
一方、ITO上への真空蒸着によってDNAから形成された薄膜を、原子顕微鏡によって観察したとき、この薄膜の劣った安定性のために、結晶化がしばしば起こる。このような現象は、素子寿命に悪い影響を与える。DNAの前記の欠点を克服するために、分子の対称性を壊し、膜安定性を向上させるために、mDNA及びtBDNA(DNAの2位に、メチル基又はt−ブチル基が導入されている)が開発されたが、これらの化合物の色純度及び発光効率は、未だ満足いくものではなかった。
【0012】
【化3】

【0013】
高い効率及び長い寿命を有するホスト材料を開発するために、異なった骨格をベースにしたエレクトロルミネセント(EL)化合物、例えば、ジスピロフルオレン−アントラセン(TBSA)、ター−スピロフルオレン(TSF)及びビトリフェニレン(BTP)が開示された。しかしながら、これらの化合物は、十分な水準での色純度及び発光効率にならなかった。
【0014】
【化4】

【0015】
韓国国立キョンサン大学及び三星SDI(Kwon,S.K.ら、Advanced Materials,2001,13,1690;特開2002−121547号公報)によって報告されたような化合物TBSAは、7.7Vで3cd/Aの発光効率及び(0.15,0.11)の比較的良好な色座標を示したが、これは実際的な使用のためには不適切であることが知られていた。
【0016】
国立台湾大学(Wu,C.−C.ら、Advanced Materials,2004,16,61;米国特許出願公開第2005040392号)によって報告された化合物TSFは、5.3%の比較的良好な外部量子効率を示したが、実際的な使用のためには、なお不十分である。
【0017】
台湾の国立清華大学(Cheng,C.−H.ら、Advanced Materials,2002,14,1409;米国特許出願公開第2004076852号)によって報告された化合物BTPは、2.76cd/Aの発光効率及び(0.16,0.14)の比較的良好な色座標を示したが、これは実際的な使用のためにはなお不十分であった。
【0018】
リン光発光材料のためのホスト材料として、現在まで、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)が最も広く知られており、正孔遮断層(例えば、BCP及びBAlq)が適用された高効率を有するOLEDが開発されている。パイオニア株式会社(日本)などは、ホストとしてビス(2−メチル−8−キノリナト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(BAlq)誘導体を使用することによって開発された、高性能のOLEDを報告した。
【0019】
【化5】

【0020】
先行技術に於ける材料は、発光特性の観点で有利であるけれども、これらは低いガラス転移温度及び非常に劣った熱安定性を有するため、これらの材料は、真空中の高温度蒸着の工程の間に変化する傾向がある。OLEDに於いて、電力効率=(π/電圧)×電流効率と定義されている。従って、電力効率は電圧に逆比例し、OLEDのより低い電力消費を得るために、電力効率をより高くしなくてはならない。実際に、リン光エレクトロルミネセント(EL)材料を使用するOLEDは、蛍光EL材料を使用するOLEDよりも著しく高い電流効率(cd/A)を示す。しかしながら、リン光材料のホスト材料として、従来の材料、例えば、BAlq及びCBPが使用された場合に、蛍光材料を使用するOLEDと比較して、より高い駆動電圧なので、電力効率(lm/w)二面で著しい利点を得ることはできない。
更に、これらから製造されたOLEDの寿命は、決して満足できる水準ではあり得ない。従って、より良い安定性及び一層改良された性能を有するホスト材料の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2002−121547号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2005040392号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004076852号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Kwon,S.K.ら、Advanced Materials,2001,13,1690
【非特許文献2】Wu,C.−C.ら、Advanced Materials,2004,16,61
【非特許文献3】Cheng,C.−H.ら、Advanced Materials,2002,14,1409
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明の目的は、前記の問題点を克服すること、並びに従来の材料に対して比較したとき、(エレクトロルミネセント材料に於いて、溶媒又はエネルギー伝達子として機能する)ホストの特性を顕著に改良し、それによって、高い発光効率並びに優れた電力効率及び素子駆動の寿命を示す有機エレクトロルミネセント化合物を提供することである。本発明の他の目的は、上記の新規な有機エレクトロルミネセント化合物を含有する有機発光ダイオードを提供することである。
【0024】
本発明の更に他の目的は、この新規な有機エレクトロルミネセント化合物を含有する有機太陽電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
特に、本発明は、化学式(1)によって表される新規な有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含有する有機発光ダイオードに関する。本発明に従った有機エレクトロルミネセント化合物は、良好な発光効率及び電力効率並びに素子の優れた駆動寿命を有するOLEDを提供するために有利である。
【0026】
【化6】

[式中、A及びBは、独立に、化学結合を表すか、又はハロゲン置換基を有する若しくは有しない直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール及びハロゲンから選択された1種以上の置換基を有する若しくは有しない(C6〜C60)アリーレンを表し、但し、A及びBの両方がアントリレンを表す場合を除く、
Arは、(C6〜C60)アリーレン又は(C5〜C60)ヘテロアリーレンを表し、但し、A及びBの両方が化学結合を表す場合、Arは必ず
【化7】

を表す、
Arのアリーレン又はヘテロアリーレンは、重水素、ハロゲン置換基を有する又は有しない直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール及びハロゲンから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、
〜Rは、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール又は(C5〜C60)ヘテロアリールを表し;R〜Rのアルキル又はアリールは、重水素、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール、ハロゲン、フェニル、ナフチル及びアントリルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく、
Xは、
【化8】

を表し、
〜R13は、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール又は(C5〜C60)ヘテロアリールを表し;R〜R13のアルキル又はアリールは、重水素、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール、ハロゲン、フェニル、ナフチル及びアントリルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい]。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1はOLEDの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を参照すると、図1は、ガラス1、透明電極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、エレクトロルミネセント層5、電子輸送層6、電子注入層7及びAl陰極8を含有する、本発明のOLEDの断面図を示す。
【0029】
化学式(1)のA又はB中に元素が存在せず、SiとArとが単純に結合している場合、これは「化学結合」と称され、アリーレン又はヘテロアリーレンは、化学結合によって結合された複数のアリーレン又はヘテロアリーレンを含む。
【0030】
本明細書中に記載された、用語「アリール」は、具体的には、芳香族基、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、インデニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル及びナフタセニルを指す。用語「ヘテロアリール」は、N、O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含有する5員又は6員の芳香族環をいい、例えば、ピロール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン及びピリダジンなどが挙げられる。
【0031】
縮合した(C6〜C20)芳香族環を有する5員又は6員のヘテロ芳香族環の具体的な例には、インダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、キノリン及びイソキノリンが挙げられる。
【0032】
本明細書中に記載された、用語「アルキル」又は「アルコキシ」には、直鎖及び枝分かれ種の両方が含まれる。
【0033】
化学式(1)におけるArのアリーレン又はヘテロアリーレンは、下記の構造から選択される。
【0034】
【化9】

【0035】
【化10】

【0036】
[式中、D、E及びFは、独立に、CR3132、NR33、O又はSを表し、
21、R22、R23、R24及びR25は、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、ハロゲン又は(C6〜C60)アリールを表し;
31、R32及びR33は、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル又は(C6〜C60)アリールを表し;
21、R22、R23、R24、R25、R31、R32及びR33のアルキル、アルコキシ又はアリールは、ハロゲン又は直鎖若しくは分岐鎖の(C1〜C60)アルキルによって更に置換されていてよく;
mは、0〜4の整数であり;
nは、0〜3の整数である]。
【0037】
好ましくは、化学式(1)のA及びBは、独立に、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、フルオレニレン、スピロビフルオレニレン、フェナントリレン、トリフェニレニレン、ピレニレン、クリセニレン又はナフタセニレンを表し、A及びBは、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、ハロゲン、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、9,9−ジメチル−フルオレン−2−イル及び9,9−ジフェニル−フルオレン−2−イルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい。
【0038】
化学式(1)に於いて、R〜Rは、独立に、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−アミル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、ベンジル、トリル、2−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ナフタセニル、フルオレニル、9,9−ジメチル−フルオレン−2−イル、ピレニル、フェニレニル又はフルオランテニルから選択することができる。
【0039】
本発明に従った有機エレクトロルミネセント化合物は、下記の化合物によって具体的に例示することができるが、これらは下記のものに限定されない。
【0040】
【化11】

【0041】
【化12】

【0042】
【化13】

【0043】
【化14】

【0044】
本発明に従った有機エレクトロルミネセント化合物は、下記反応式(1)によって示される反応経路を経て製造することができる:
【化15】

[式中、A、B、Ar、R、R、R及びXは、化学式(1)に於けるように定義される]。
【0045】
更に、本発明は、1種以上の、化学式(1)によって表される有機エレクトロルミネセント化合物を含有する有機太陽電池を提供する。
【0046】
本発明は、また、第一電極;第二電極;及び第一電極と第二電極との間に設けられた少なくとも1つの有機層;を含んでなる有機発光ダイオードであって、この有機層が化学式(1)によって表される1種以上の化合物を含有する、有機発光ダイオードを提供する。
【0047】
本発明に従った有機発光ダイオードは、有機層が、エレクトロルミネセント領域を含有し、この領域が、エレクトロルミネセントホストとして1〜20重量%の量で化学式(1)によって表される1種以上の化合物及び1種以上のエレクトロルミネセントドーパントを含有することで特徴付けられる。
【0048】
本発明に従ったエレクトロルミネセント素子に適用されるエレクトロルミネセントドーパントは、特に限定されないが、青色のものの場合に、化学式(2)〜(4)のものによって表される化合物によって例示することができる。
【0049】
【化16】

【0050】
化学式(2)に於いて、R301〜R304は、独立に、水素、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表すか、又はR301〜R304のそれぞれは、隣接する置換基と縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンで連結されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ;
301〜R304のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アルキルシリル、アルキルオキシ、アリールオキシ、アリールチオ、アルキルアミノ若しくはアリールアミノ、又は隣接する置換基と縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンで連結されてそれらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい。
【0051】
【化17】

【0052】
化学式(3)及び(4)に於いて、Ar11及びAr12は、独立に、置換若しくは非置換の(C6〜C60)アリーレン、置換若しくは非置換の(C5〜C60)ヘテロアリーレン、または下記
【化18】

のインデノフルオレン(indenofluorene)、フルオレン(fluorene)もしくはスピロフルオレン(spiro−fluorene)を表し;
Ar13〜Ar16は、独立に、(C6〜C60)芳香族環、(C5〜C60)ヘテロ芳香族環及び多環式芳香族環から選択され;但し、Ar11とAr12とは同じであっても又は異なっていてもよく、Ar13とAr15とは同じであっても又は異なっていてもよく、Ar14とAr16とは同じであっても又は異なっていてもよく;
Ar17〜Ar20は、独立に、(C5〜C60)芳香族環、(C5〜C60)ヘテロ芳香族環又は縮合した2以上の芳香族環を有する縮合多環式芳香族環を表し;
【化19】

は、
【化20】

を表し;
G及びHは、独立に、化学結合、
【化21】

を表し;
41及びR42は、独立に、(C5〜C60)芳香族環、(C5〜C60)ヘテロ芳香族環又は縮合した2以上の芳香族環を有する縮合多環式芳香族環を表し;
43〜R46は、独立に、ハロゲンを有する若しくは有しない直鎖若しくは分岐鎖の(C1〜C60)アルキル、置換若しくは非置換の(C6〜C50)アリール、置換若しくは非置換の(C5〜C50)ヘテロアリール又はハロゲンを表し;
51〜R56は、独立に、(C1〜C60)アルキル、置換又は非置換の(C6〜C50)アリール、置換又は非置換の(C5〜C50)ヘテロアリール、ハロゲン及び(C1〜C60)アルキル置換基を有する又は有しないフェニル又はナフチルから選択され;そして
61〜R64は、独立に、水素、重水素、ハロゲン又は(C5〜C60)芳香族環を表す。
【0053】
化学式(2)又は(4)によって表される化合物は、具体的に下記のものによって例示することができる。
【0054】
【化22】

【0055】
【化23】

【0056】
【化24】

【0057】
【化25】

【0058】
【化26】

【0059】
【化27】

【0060】
【化28】

【0061】
【化29】

【0062】
[式中、R43〜R46は、メチル基又はエチル基を表す]。
【0063】
緑色エレクトロルミネセントドーパントは、化学式(5)又は(6)によって表される化合物によって例示することができる。
【0064】
【化30】

【0065】
化学式(6)に於いて、
Lは、水素、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含有する5員又は6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、(C1〜C60)アルコキシ、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルからなる群から選択された1種以上の置換基を有する又は有しない(C6〜C60)アリーレンを表し;前記アリーレン上のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アルキルシリル、アルキルアミノ及びアリールアミノ置換基は、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含有する5員又は6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、(C1〜C60)アルコキシ、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
71〜R74は、独立に、水素、ハロゲン、重水素、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、(C6〜C60)アリールアミノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、N、O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含有する5員又は6員のヘテロシクロアルキル、アダマンチル、(C3〜C60)シクロアルキルを表すか、又はR71〜R74のそれぞれは、隣接する置換基と縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンで連結されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ;そして
71〜R74のアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアミノ、アルキルアミノ、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のへテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、(C1〜C60)アルコキシ、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい。
【0066】
化学式(6)の化合物は、下記の化合物によって例示することができる。
【0067】
【化31】

【0068】
【化32】

【0069】
【化33】

【0070】
【化34】

【0071】
【化35】

【0072】
【化36】

【0073】
【化37】

【0074】
【化38】

【0075】
【化39】

【0076】
赤色エレクトロルミネセントドーパントは、化学式(7)によって表される化合物によって例示することができる。
【0077】
【化40】

【0078】
式中、Mは、元素の周期表の第7族、第8族、第9族、第10族、第11族、第13族、第14族、第15族及び第16族からの金属からなる群から選択され、好ましくは、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Os、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Au及びAgから選択される。リガンドL、L及びLは、独立に、下記の構造から選択される:
【0079】
【化41】

【0080】
[式中、R81〜R83は、独立に、水素、重水素、ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキル置換基を有する若しくは有しない(C6〜C60)アリール又はハロゲンを表し;
84〜R99は、独立に、水素、重水素、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、(C2〜C30)アルケニル、(C6〜C60)アリール、モノ若しくはジ(C1〜C30)アルキルアミノ、モノ若しくはジ(C6〜C30)アリールアミノ、SF、トリ(C1〜C30)アルキルシリル、ジ(C1〜C30)アルキル(C6〜C30)アリールシリル、トリ(C6〜C30)アリールシリル、シアノ又はハロゲンを表し、R84〜R99のアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアリールは、重水素、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール及びハロゲンから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
100〜R103は、独立に、水素、重水素、ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C60)アルキル又は(C1〜C60)アルキル置換基を有する若しくは有しない(C6〜C60)アリールを表し;
104及びR105は、独立に、水素、重水素、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール若しくはハロゲンを表し、又はR104とR105とは縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンで連結されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ;R104及びR105のアルキル若しくはアリール、又は縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンでの連結によりそれらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、重水素、ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C30)アルキルシリル、トリ(C6〜C30)アリールシリル及び(C6〜C60)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
106は、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール又はハロゲンを表し;
107〜R109は、独立に、水素、重水素、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール又はハロゲンを表し、R106〜R109のアルキル又はアリールは、ハロゲン又は(C1〜C60)アルキルによって更に置換されていてよく;
Qは、
【化42】

を表し、式中、R111〜R122は、独立に、水素、重水素、ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、ハロゲン、(C6〜C60)アリール、シアノ若しくは(C5〜C60)シクロアルキルを表すか、又はR111〜R122のそれぞれは、隣接する置換基とアルキレン若しくはアルケニレンで連結されて、(C5〜C7)スピロ環若しくは(C5〜C9)縮合環を形成することができ、又はR87若しくはR88とアルキレン若しくはアルケニレンで連結されて、(C5〜C7)縮合環を形成することができる]。
【0081】
化学式(7)の化合物は、下記の化合物によって具体的に例示することができるが、これらに限定されない。
【0082】
【化43】

【0083】
【化44】

【0084】
エレクトロルミネセント層は、エレクトロルミネセンスが起こる層を意味し、これは、単一層又は積層された2枚以上の層からなる複数層であってよい。ホスト−ドーパントの混合物が本発明の構成に従って使用される場合、発光効率に於ける顕著な改良を確認することができた。
【0085】
本発明に従った有機発光ダイオードは、更に、アリールアミン化合物及びスチリルアリールアミン化合物から選択された1種以上の化合物、並びに化学式(1)によって表される有機エレクトロルミネセント化合物を含有することができる。アリールアミン又はスチリルアリールアミン化合物の例には、化学式(8)によって表される化合物が挙げられるが、これらはこの化合物に限定されない。
【0086】
【化45】

【0087】
[式中、Ar31及びAr32は、独立に、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、(C6〜C60)アリールアミノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、N、O及びSから選択された1以上のへテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル若しくは(C3〜C60)シクロアルキルを表し、又はAr31とAr32とは、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンで連結されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ;
cが1である場合、Ar33は、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール又は下記の構造式のものによって表される置換基を表し:
【化46】

cが2である場合、Ar33は、(C6〜C60)アリーレン、(C4〜C60)ヘテロアリーレン又は下記の構造式のものによって表される置換基を表し:
【化47】

[式中、Ar34及びAr35は、独立に、(C6〜C60)アリーレン又は(C4〜C60)ヘテロアリーレンを表し;
131〜R133は、独立に、水素、重水素、(C1〜C60)アルキル又は(C6〜C60)アリールを表し;
dは、1〜4の整数であり、eは、0又は1の整数である];
Ar31及びAr32のアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアミノ、アルキルアミノ、シクロアルキル若しくはヘテロシクロアルキル、又はAr33のアリール、ヘテロアリール、アリーレン若しくはヘテロアリーレン、又はAr34及びAr35のアリーレン若しくはヘテロアリーレン、又はR131〜R133のアルキル若しくはアリールは、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のへテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルからなる群から選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい]。
【0088】
アリールアミン化合物及びスチリルアリールアミン化合物は、下記の化合物によって更に具体的に例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
【化48】

【0090】
本発明に従った有機エレクトロルミネセント素子に於いて、有機層は、更に、第1族、第2族、第4周期及び第5周期遷移金属、ランタン系列金属並びにd−遷移元素の有機金属からなる群から選択された1種以上の金属、並びに化学式(1)によって表される有機エレクトロルミネセント化合物を含有していてよい。この有機層は、同時に、エレクトロルミネセント層及び電荷生成層を含有していてよい。
【0091】
本発明に従った有機発光ダイオードに於いて、カルコゲニド層、金属ハロゲン化物層及び金属酸化物層から選択された1以上の層(以下、「表面層」と称する)を、電極の対の少なくとも一方の内側表面上に配置することが好ましい。特に、EL媒体層(EL medium layer)の陽極表面上にケイ素及びアルミニウム金属のカルコゲニド(酸化物を含む)層を配置し、EL媒体層の陰極表面上に金属ハロゲン化物層又は金属酸化物層を配置することが好ましい。その結果、駆動に於ける安定性を得ることができる。
【0092】
カルコゲニドの例には、好ましくは、SiO(1≦x≦2)、AlO(1≦x≦1.5)、SiON、SiAlONなどが挙げられる。金属ハロゲン化物の例には、好ましくは、LiF、MgF、CaF、希土類金属のフッ化物などが挙げられる。金属酸化物の例には、好ましくは、CsO、LiO、MgO、SrO、BaO、CaOなどが挙げられる。
【0093】
本発明に従った有機エレクトロルミネセント素子に於いて、このようにして製造された電極の対の少なくとも一方の表面上に、電子輸送化合物及び還元性ドーパントの混合領域又は酸化性ドーパントを含有する正孔輸送化合物の混合領域を配置することも好ましい。従って、電子輸送化合物はアニオンにまで還元され、そうして、この混合領域からEL媒体への電子の注入及び輸送が容易になる。更に、正孔輸送化合物が酸化されてカチオンを形成するので、この混合領域からEL媒体への正孔の注入及び輸送が容易になる。好ましい酸化性ドーパントには、種々のルイス酸及びアクセプター(acceptor)化合物が挙げられる。好ましい還元性ドーパントには、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの混合物が挙げられる。
【0094】
本発明に従った有機エレクトロルミネセント化合物は、それらが、優れた発光効率、良好な色純度及び低下した駆動電圧を有するOLEDを製造するために使用することができる点で有利である。本発明に従った有機化合物は、蛍光素子又はリン光素子に有利に適用できる。
【実施例】
【0095】
本発明を、本発明に従った有機エレクトロルミネセント化合物、その製造及びそれから製造された素子の発光特性に関して、代表的な化合物を参照することによって更に説明するが、これらの実施例は、本発明のより良い理解のためにのみ提供されるが、決して本発明の範囲を限定するように意図されない。
【0096】
[製造例1]
化合物(101)の合成
【0097】
【化49】

【0098】
500mLの丸底フラスコに、2,7−ジブロモ−(9,9’−ジメチル)フルオレン(10.0g、28.4ミリモル)及びTHF(200mL)を入れ、n−BuLi(THF中1.6M)(28.4mL、71.0ミリモル)を、−78℃で滴下により添加した。この混合物を1時間撹拌した後、これに、トリフェニルシリルクロリド(PhSiCl)(20.9g、71.0ミリモル)を滴下により添加し、温度を常温にまで上昇させ、この反応混合物を12時間攪拌した。反応が完結したとき、反応混合物に蒸留水を添加し、次いでこれを有機溶媒で抽出した。抽出物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(101)(6.74g、9.49ミリモル、収率33.4%)を得た。
mp 254℃
H NMR(300MHz、CDCl):δ=7.93(m,2H),7.84(m,2H),7.66(m,2H),7.46(m,12H),7.37(m,18H),1.67(s,6H)。
HRMS(FAB)実測値710.2832(C5142Si 計算値710.2825)。
【0099】
製造例1と同じ手順に従って、表1中に記載した化合物を製造し、それらのH NMRデータを表2中に記載する。
【0100】
【表1】

【0101】
【表2】

【0102】
【表3】

【0103】
【表4】

【0104】
【表5】

【0105】
【表6】

【0106】
【表7】

【0107】
【表8】

【0108】
【表9】

【0109】
【表10】

【0110】
【表11】

【0111】
【表12】

【0112】
【表13】

【0113】
【表14】

【0114】
【表15】

【0115】
【表16】

【0116】
[実施例1〜5]本発明の化合物を使用することによるOLEDの製造
本発明に従ったエレクトロルミネセント化合物を使用することによって、OLED素子を製造した。
【0117】
最初に、OLED用のガラスから製造された透明電極ITO薄膜(15Ω/□)を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノール及び蒸留水による超音波洗浄に逐次的に付し、そして使用前にイソプロパノール中に貯蔵した。
【0118】
次いで、ITO基板を、真空蒸着装置の基板ホルダー内に装着し、4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)(その構造を下記に示す)を、真空蒸着装置のセル内に置き、次いで、この装置を、10−6torrのチャンバー内の真空まで排気した。電流をセルに適用して、2−TNATAを蒸発させ、それによって、ITO基板の上に、60nmの厚さを有する正孔注入層の蒸着物を設けた。
【0119】
【化50】

【0120】
次いで、真空蒸着装置の他のセルに、N,N’−ビス(α−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPB)を入れ、電流をこのセルに適用して、NPBを蒸発させ、それによって正孔注入層の上に20nmの厚さの正孔輸送層の蒸着物を設けた。
【0121】
【化51】

【0122】
正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、エレクトロルミネセント層を、下記のようにして蒸着した。真空蒸着装置の一方のセルに、本発明に従った化合物(例えば、化合物(101))を入れ、ペリレン(その構造を下記に示す)を、ドーパント材料として他のセルに入れた。エレクトロルミネセント層を、100:1の蒸着速度で、正孔輸送層の上に35nmの厚さで蒸着した。
【0123】
【化52】

【0124】
次いで、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(III)(Alq)(その構造を下記に示す)を、20nmの厚さで電子輸送層として蒸着し、リチウムキノラート(Liq)を、1〜2nmの厚さで電子注入層として蒸着した。その後、Al陰極を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0125】
【化53】

【0126】
OLEDを製造するために使用したそれぞれの材料は、10−6torr下での真空昇華により精製した後、エレクトロルミネセント材料として使用した。
【0127】
[比較例1]従来のエレクトロルミネセント材料を使用することによるOLEDの製造
実施例1に記載したのと同じ手順に従って、正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、ジナフチルアントラセン(DNA)を、青色エレクトロルミネセント材料として該真空蒸着装置の一方のセルに入れ、ペリレン(その構造を下記に示す)を、他の青色エレクトロルミネセント材料として他方のセルに入れた。次いで、30nmの厚さを有するエレクトロルミネセント層を、100:1の蒸着速度で、正孔輸送層の上に蒸着した。
【0128】
【化54】

【0129】
次いで、電子輸送層及び電子注入層を、実施例1と同じ手順に従って蒸着し、Al陰極を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで、その上に蒸着して、OLEDを製造した。
【0130】
[実験例1]製造されたOLEDの特性の決定
本発明に従った有機EL化合物を含有するOLED(実施例1〜5)又は従来のEL化合物を含有するOLED(比較例1)の青色発光効率を、それぞれ、500cd/m及び2,000cd/mで測定した。それらの結果を表3に示す。
【0131】
【表17】

【0132】
表3からわかるように、本発明に従った有機EL化合物を使用するOLEDは、広く知られている従来のEL材料としてDNA:ペリレンを使用するOLEDと比較したとき、より良い色座標と共に、より高い発光効率をもたらすことができることが見出される。更に、本発明に従ったエレクトロルミネセント材料は、低輝度領域(500cd/m)から高輝度領域(2000cd/m)まで、従来のEL材料よりも良い効率を示すので、このEL材料は、多様なサイズのパネルに有利に適用することができる。
【0133】
[実施例6〜7]OLED素子の製造(2)
本発明に従った化合物を使用することによって、リン光OLED素子を製造した。
【0134】
最初に、実施例1と同じ手順に従って、正孔注入層及び正孔輸送層を形成し、その上に本発明に従った化合物(101)を入れ、化合物(G)(その構造を下記に示す)を、ドーパント材料として他のセルに添加した。35nmの厚さを有するEL層を、2〜5重量%の蒸着速度で、正孔輸送層の上に蒸着した。
【0135】
【化55】

【0136】
次いで、電子輸送層及び電子注入層を、実施例1と同じ手順に従って蒸着し、Al陰極を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで、その上に蒸着して、OLEDを製造した。
【0137】
[比較例2]従来のEL材料を使用することによるOLED素子の製造
実施例1と同じ手順に従って、正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、真空蒸着装置の他のセルに、ELホスト材料としてDNPBAを入れ、一方、化合物(G)を更に他のセルに入れた。この2種の材料を異なった速度で蒸発させて、DNPBA基準で2〜5重量%でドーピングを行った。このようにして、30nmの厚さを有するEL層が、正孔輸送層の上に形成された。
【0138】
【化56】

【0139】
次いで、電子輸送層及び電子注入層を、実施例1と同じ手順に従って蒸着し、Al陰極を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで、その上に蒸着して、OLEDを製造した。
【0140】
[実験例2]製造されたOLEDの特性の決定
本発明に従った有機EL化合物を含有するOLED(実施例6及び7)又は従来のEL化合物を含有するOLED(比較例2)の緑色発光効率を、それぞれ、5,000cd/m及び20,000cd/mで測定した。それらの結果を表4に示す。
【0141】
【表18】

【0142】
表4からわかるように、本発明に従った有機EL化合物を使用するOLEDは、従来のEL材料としてDNPBAを使用するOLEDと比較したとき、より良い色座標と共に、より高い発光効率をもたらすことができることが見出される。更に、本発明に従ったエレクトロルミネセント材料は、広い輝度領域に於いて従来のEL材料よりも良い効率及び素子寿命に関するより良い特性を示すので、このEL材料は、多様なサイズのパネルに適用することができる。
【0143】
[実施例8〜10]OLEDの製造(3)
本発明に従った化合物を使用することによって、リン光OLED素子を製造した。
【0144】
最初に、実施例1と同じ手順に従って、正孔注入層及び正孔輸送層を形成し、その上に本発明に従ったリン光ホスト化合物である化合物(101)を入れ、赤色リン光ドーパントとして1−フェニルイソキノリンを、他のセルに添加した。この2種の材料を、異なった速度での蒸発によってドープして、正孔輸送層の上の30nmの厚さを有するEL層の蒸着物を設けた。ドーピング濃度は、好ましくは、ホスト基準で4〜10重量%である。
【0145】
【化57】

【0146】
次いで、電子輸送層及び電子注入層を、実施例1と同じ手順に従って蒸着し、Al陰極を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで、その上に蒸着して、OLEDを製造した。
【0147】
[比較例3]従来のEL材料を使用することによるOLED素子の製造
実施例8と同じ手順に従って、正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)を、ELホスト材料としてその上に入れ、一方、1−フェニルイソキノリンを他のセルに、従来の赤色ELドーパントとして入れた。この2種の材料を異なった速度で蒸発させて、ドーピングを行い、正孔輸送層の上に30nmの厚さを有するEL層の蒸着物を設けた。ドーピング濃度は、好ましくは、ホスト基準で4〜10重量%である。
【0148】
【化58】

【0149】
次いで、ビス(2−メチル−8−キノリナト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(BAlq)を10nmの厚さで正孔遮断層として蒸着し、正孔遮断層、電子輸送層及び電子注入層を、実施例6と同じ手順に従って蒸着した。他の真空蒸着装置を使用することによって、Al陰極を、150nmの厚さでその上に蒸着して、OLEDを製造した。
【0150】
[実験例3]製造されたOLEDの特性の決定
本発明に従った有機EL化合物を含有するOLED(実施例8〜10)又は従来のEL化合物を含有するOLED(比較例3)の駆動電圧及び赤色発光効率を、それぞれ、10mA/cmで測定し、それらの結果を表5に示す。
【0151】
【表19】

【0152】
本発明に従った化合物(101)、(121)及び(136)を使用するとき、この素子は、従来のELホストを使用するものに匹敵する効率特性を示し、良好な色座標をもたらし、さらに0.8〜1.1V低下した駆動電圧に起因するOLEDの低下した電力消費の顕著な効果をもたらす。本発明に従ったホストをOLEDの大量生産に適用する場合、大量生産のための時間を短縮させることもでき、商業化に大きい利益をもたらしうる。
【0153】
[実施例11〜13]OLEDの製造(4)
本発明に従った化合物を使用することによって、リン光OLED素子を製造した。
【0154】
最初に、実施例1と同じ手順に従って、正孔注入層及び正孔輸送層を形成し、その上に本発明に従ったリン光ホスト化合物である化合物(112)を入れ、Ir(ppy)を、緑色エレクトロルミネセントドーパントとして他のセルに添加した。この2種の材料を、異なった速度での蒸発によってドープして、正孔輸送層の上の30nmの厚さを有するEL層の蒸着物を設けた。ドーピング濃度は、好ましくは、ホスト基準で4〜10重量%である。
【0155】
【化59】

【0156】
次いで、正孔遮断層、電子輸送層及び電子注入層を、実施例1と同じ手順に従って蒸着し、Al陰極を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで、その上に蒸着して、OLEDを製造した。
【0157】
[比較例4]従来のEL材料を使用することによるOLED素子の製造
実施例9と同じ手順に従って、正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、ELホスト材料として4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)をその上に入れ、一方、従来の緑色ELドーパントとしてIr(ppy)を、他のセルに入れた。この2種の材料を異なった速度で蒸発させて、ドープして、正孔輸送層の上の30nmの厚さを有するEL層の蒸着物を設けた。ドーピング濃度は、好ましくは、ホスト基準で4〜10重量%である。
【0158】
[実験例4]製造されたOLEDの特性の決定
本発明に従った有機EL化合物を含有するOLED(実施例11〜13)又は従来のEL化合物を含有するOLED(比較例4)の駆動電圧及び緑色発光効率を、それぞれ、10mA/cmで測定した。それらの結果を表6に示す。
【0159】
【表20】

【0160】
本発明に従った化合物をリン光ホストとして使用する素子は、従来のELホスト材料としてCBPを使用する素子と比較したとき、ELメインピークの位置の変化を示さなかったが、FWHMが減って、著しく減少した色座標のx値を示した。更に、この素子は、ホスト材料としてCBPを使用する素子と比較したとき、0.6V以上低い電圧で駆動した。従って、本発明に従った化合物を緑色リン光ホストとして使用するとき、従来の材料を使用する素子と比較して、電力消費を低下させることができる。本発明に従った緑色リン光ホストは、正孔遮断層を使用しなくても、この素子が優れた発光効率を示し、それによってOLEDを製造するための工程を単純化することができる点で有利である。
【符号の説明】
【0161】
1 ガラス
2 透明電極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 エレクトロルミネセント層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 Al陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)によって表される、有機エレクトロルミネセント化合物:
【化1】

[式中、A及びBは、独立に、化学結合を表すか、又はハロゲン置換基を有する若しくは有しない直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール及びハロゲンから選択された1種以上の置換基を有する若しくは有しない(C6〜C60)アリーレンを表し、但し、A及びBの両方がアントリレンを表す場合を除く;
Arは、(C6〜C60)アリーレン又は(C5〜C60)ヘテロアリーレンを表し、但し、A及びBの両方が化学結合を表す場合、Arは必ず
【化2】

を表す;
Arのアリーレン又はヘテロアリーレンは、重水素、ハロゲン置換基を有する又は有しない直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール及びハロゲンから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
〜Rは、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール又は(C5〜C60)ヘテロアリールを表し;R〜Rのアルキル又はアリールは、重水素、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール、ハロゲン、フェニル、ナフチル及びアントリルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
Xは、
【化3】

を表し;
〜R13は、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール又は(C5〜C60)ヘテロアリールを表し;R〜R13のアルキル又はアリールは、重水素、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール、ハロゲン、フェニル、ナフチル及びアントリルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい]。
【請求項2】
Arのアリーレン又はヘテロアリーレンが下記の構造から選択される、請求項1記載の有機エレクトロルミネセント化合物:
【化4】

【化5】

[式中、D、E及びFは、独立に、CR3132、NR33、O又はSを表し、
21、R22、R23、R24及びR25は、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、ハロゲン又は(C6〜C60)アリールを表し;
31、R32及びR33は、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル又は(C6〜C60)アリールを表し;
21、R22、R23、R24、R25、R31、R32及びR33のアルキル、アルコキシ又はアリールは、ハロゲン又は直鎖若しくは分岐鎖の(C1〜C60)アルキルによって更に置換されていてよく;
mは、0〜4の整数であり;
nは、0〜3の整数である]。
【請求項3】
第一電極;第二電極;及び第一電極と第二電極との間に設けられた少なくとも1つの有機層;を含んでなる有機発光ダイオードであって;
前記有機層が、下記化学式(1)によって表される1種以上の有機エレクトロルミネセント化合物と、下記化学式(2)〜(7)のものによって表される化合物から選択された1種以上のドーパントとを含有する、有機発光ダイオード:
【化6】

[式中、A及びBは、独立に、化学結合を表すか、又はハロゲン置換基を有する若しくは有しない直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール及びハロゲンから選択された1種以上の置換基を有する若しくは有しない(C6〜C60)アリーレンを表し、但し、A及びBの両方がアントリレンを表す場合を除く;
Arは、(C6〜C60)アリーレン又は(C5〜C60)ヘテロアリーレンを表し、但し、A及びBの両方が化学結合を表す場合、Arは必ず
【化7】

を表す;
Arのアリーレン又はヘテロアリーレンは、重水素、ハロゲン置換基を有する又は有しない直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール及びハロゲンから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
〜Rは、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール又は(C5〜C60)ヘテロアリールを表し;R〜Rのアルキル又はアリールは、重水素、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール、ハロゲン、フェニル、ナフチル及びアントリルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
Xは、
【化8】

を表し;
〜R13は、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール又は(C5〜C60)ヘテロアリールを表し;R〜R13のアルキル又はアリールは、重水素、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール、ハロゲン、フェニル、ナフチル及びアントリルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい]:
【化9】

[化学式(2)に於いて、R301〜R304は、独立に、水素、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のへテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表すか、又はR301〜R304のそれぞれは、隣接する置換基と縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンで連結されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ;
301〜R304のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アルキルシリル、アルキルオキシ、アリールオキシ、アリールチオ、アルキルアミノ若しくはアリールアミノ、又は隣接する置換基と縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンで連結されてそれらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のへテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい]:
【化10】

[化学式(3)及び(4)に於いて、Ar11及びAr12は、独立に、置換若しくは非置換の(C6〜C60)アリーレン、置換若しくは非置換の(C5〜C60)ヘテロアリーレンまたは下記のインデノフルオレン、フルオレンもしくはスピロフルオレン:
【化11】

を表し;
Ar13〜Ar16は、独立に、(C6〜C60)芳香族環、(C5〜C60)ヘテロ芳香族環及び多環式芳香族環から選択され;但し、Ar11とAr12とは同じであっても又は異なっていてもよく、Ar13とAr15とは同じであっても又は異なっていてもよく、Ar14とAr16とは同じであっても又は異なっていてもよく;
Ar17〜Ar20は、独立に、(C5〜C60)芳香族環、(C5〜C60)ヘテロ芳香族環、又は縮合した2以上の芳香族環を有する縮合多環式芳香族環を表し;
【化12】

は、
【化13】

を表し;
G及びHは、独立に、化学結合、
【化14】

を表し;
41及びR42は、独立に、(C5〜C60)芳香族環、(C5〜C60)ヘテロ芳香族環、又は縮合した2以上の芳香族環を有する縮合多環式芳香族環を表し;
43〜R46は、独立に、ハロゲンを有する若しくは有しない直鎖若しくは分岐鎖の(C1〜C60)アルキル、置換若しくは非置換の(C6〜C50)アリール、置換若しくは非置換の(C5〜C50)ヘテロアリール又はハロゲンを表し;
51〜R56は、独立に、(C1〜C60)アルキル、置換又は非置換の(C6〜C50)アリール、置換又は非置換の(C5〜C50)ヘテロアリール、ハロゲン及び(C1〜C60)アルキル置換基を有する又は有しないフェニル又はナフチルから選択され;
61〜R64は、独立に、水素、重水素、ハロゲン又は(C5〜C60)芳香族環を表す]:
【化15】

[化学式(6)に於いて、Lは、水素、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のへテロ原子を含有する5員又は6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、(C1〜C60)アルコキシ、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルからなる群から選択された1種以上の置換基を有する又は有しない(C6〜C60)アリーレンを表し;アリーレン上のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アルキルシリル、アルキルアミノ及びアリールアミノ置換基は、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のへテロ原子を含有する5員又は6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、(C1〜C60)アルコキシ、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
71〜R74は、独立に、水素、ハロゲン、重水素、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、(C6〜C60)アリールアミノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、N、O及びSから選択された1以上のへテロ原子を含有する5員又は6員のヘテロシクロアルキル、アダマンチル、(C3〜C60)シクロアルキルを表すか、又はR71〜R74のそれぞれは、隣接する置換基と縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンで連結されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ;
71〜R74のアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアミノ、アルキルアミノ、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは、重水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1以上のへテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、(C1〜C60)アルコキシ、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい]:
【化16】

[式中、Mは、元素の周期表の第7族、第8族、第9族、第10族、第11族、第13族、第14族、第15族及び第16族からの金属からなる群から選択され;リガンドL、L及びLは、独立に、下記の構造から選択される:
【化17】

式中、R81〜R83は、独立に、水素、重水素、ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキル置換基を有する若しくは有しない(C6〜C60)アリール又はハロゲンを表し;
84〜R99は、独立に、水素、重水素、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、(C2〜C30)アルケニル、(C6〜C60)アリール、モノ若しくはジ(C1〜C30)アルキルアミノ、モノ若しくはジ(C6〜C30)アリールアミノ、SF、トリ(C1〜C30)アルキルシリル、ジ(C1〜C30)アルキル(C6〜C30)アリールシリル、トリ(C6〜C30)アリールシリル、シアノ又はハロゲンを表し、R84〜R99のアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアリールは、重水素、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール及びハロゲンから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
100〜R103は、独立に、水素、重水素、ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、又は(C1〜C60)アルキル置換基を有する若しくは有しない(C6〜C60)アリールを表し;
104及びR105は、独立に、水素、重水素、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール若しくはハロゲンを表すか、又はR104とR105とは、縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンで連結されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ;R104及びR105のアルキル若しくはアリール、又は縮合環を有する若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンで連結されてそれらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、重水素、ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C30)アルキルシリル、トリ(C6〜C30)アリールシリル及び(C6〜C60)アリールから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
106は、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール又はハロゲンを表し;
107〜R109は、独立に、水素、重水素、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール又はハロゲンを表し、R106〜R109のアルキル又はアリールは、ハロゲン又は(C1〜C60)アルキルによって更に置換されていてよく;
Qは、
【化18】

を表し、式中、R111〜R122は、独立に、水素、重水素、ハロゲン置換基を有する若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、ハロゲン、(C6〜C60)アリール、シアノ若しくは(C5〜C60)シクロアルキルを表すか、又はR111〜R122のそれぞれは、隣接する置換基とアルキレン若しくはアルケニレンで連結されて、(C5〜C7)スピロ環若しくは(C5〜C9)縮合環を形成することができ、又はR87若しくはR88とアルキレン若しくはアルケニレンで連結されて、(C5〜C7)縮合環を形成することができる]。
【請求項4】
有機層が、アリールアミン化合物及びスチリルアリールアミン化合物からなる群から選択された1種以上の化合物を含有する、請求項3記載の有機発光ダイオード。
【請求項5】
有機層が、第1族、第2族、第4周期及び第5周期遷移金属、ランタン系列金属並びにd−遷移元素の有機金属からなる群から選択された1種以上の金属を含有する、請求項3記載の有機発光ダイオード。
【請求項6】
有機層が、エレクトロルミネセント層及び電荷生成層を含有する、請求項3記載の有機発光ダイオード。
【請求項7】
還元性ドーパントと有機物質との混合領域、又は酸化性ドーパントと有機物質との混合領域が、対になった電極のうちの片方又は両方の電極の内側表面上に配置されている、請求項3記載の有機発光ダイオード。
【請求項8】
下記化学式(1)によって表される有機エレクトロルミネセント化合物を含有する、有機太陽電池:
【化19】

[式中、A及びBは、独立に、化学結合を表すか、又はハロゲン置換基を有する若しくは有しない直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール及びハロゲンから選択された1種以上の置換基を有する若しくは有しない(C6〜C60)アリーレンを表し、但し、A及びBの両方がアントリレンを表す場合を除く;
Arは、(C6〜C60)アリーレン又は(C5〜C60)ヘテロアリーレンを表し、但し、A及びBの両方が化学結合を表す場合、Arは必ず
【化20】

を表す;
Arのアリーレン又はヘテロアリーレンは、重水素、ハロゲン置換基を有する又は有しない直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール及びハロゲンから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
〜Rは、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール又は(C5〜C60)ヘテロアリールを表し;R〜Rのアルキル又はアリールは、重水素、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール、ハロゲン、フェニル、ナフチル及びアントリルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよく;
Xは、
【化21】

を表し;
〜R13は、独立に、直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール又は(C5〜C60)ヘテロアリールを表し;R〜R13のアルキル又はアリールは、重水素、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の(C1〜C60)アルキル、(C1〜C30)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C5〜C60)ヘテロアリール、ハロゲン、フェニル、ナフチル及びアントリルから選択された1種以上の置換基によって更に置換されていてよい]。

【図1】
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【公開番号】特開2009−179627(P2009−179627A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−425(P2009−425)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(508223435)グラセル・ディスプレイ・インコーポレーテッド (53)
【Fターム(参考)】