有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法
【課題】本発明は、簡単に輝点を無くすことができる有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の画素それぞれの発光および非発光を制御するための複数のスイッチング素子30を形成する。複数の画素に対応する複数の画素電極36を形成する。複数の画素電極36上に、発光層を含む有機層42を形成する。有機層42上に、複数の画素電極36に対向するように共通電極44を形成する。複数の画素のうち、複数のスイッチング素子30によってOFFすることができない輝点画素を検出する。共通電極44の、輝点画素に対応する部分に、レーザー光Lを照射して島状電極形成領域54を形成する。輝点画素では、島状電極形成領域54によって、有機層42への電流の供給を遮断するかあるいは少なくとも低下させる。
【解決手段】複数の画素それぞれの発光および非発光を制御するための複数のスイッチング素子30を形成する。複数の画素に対応する複数の画素電極36を形成する。複数の画素電極36上に、発光層を含む有機層42を形成する。有機層42上に、複数の画素電極36に対向するように共通電極44を形成する。複数の画素のうち、複数のスイッチング素子30によってOFFすることができない輝点画素を検出する。共通電極44の、輝点画素に対応する部分に、レーザー光Lを照射して島状電極形成領域54を形成する。輝点画素では、島状電極形成領域54によって、有機層42への電流の供給を遮断するかあるいは少なくとも低下させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンスパネルは、スイッチング素子として薄膜トランジスタを有している。薄膜トランジスタは、電流供給線から画素電極に流れる電流を制御するようになっている。しかし、薄膜トランジスタの不良や、電流供給線と画素電極の電気的ショートが生じると、画素電極に常に電流が流れ、その画素が常時発光して輝点になっており、その輝点を黒点化してパネルとして目立たなくする技術が知られていた(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−64607号公報
【特許文献2】特開2008−235177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、輝点の対策として、輝点となる画素への電流を遮断するために発光面の裏から配線をレーザー光などで切断することが行われていた。しかし、この方法では、ショート個所を特定する場合に発光面の裏から見ているため輝点が見えず、輝点発生箇所の特定が難しい場合や、ショート個所によっては配線の切断が難しい場合があった。
【0005】
本発明は、簡単に輝点を無くすことができる有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法は、複数の画素それぞれの発光および非発光を制御するための複数のスイッチング素子を形成する工程と、前記複数の画素に対応する複数の画素電極を形成する工程と、前記複数の画素電極上に、発光層を含む有機層を形成する工程と、前記有機層上に、前記複数の画素電極に対向するように共通電極を形成する工程と、前記複数の画素のうち、前記複数のスイッチング素子によって非発光状態とすることができない輝点画素を検出する工程と、前記共通電極の、前記輝点画素に対応する部分に、レーザー光を照射して島状電極を形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。本発明によれば、レーザー光によって簡単に輝点を無くすことができる。
【0007】
(2)(1)に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記レーザー光を照射する前に、前記共通電極上に前記有機層を封止する絶縁膜を形成する工程をさらに含み、前記共通電極を100nm以下の厚みで金属から形成し、前記絶縁膜を非金属から形成し、前記レーザー光は、前記絶縁膜を通過するが前記絶縁膜に影響を与えない強度で照射することを特徴としてもよい。
【0008】
(3)(1)又は(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記レーザー光を照射する工程で、前記共通電極の一部の領域を囲むように前記レーザー光を照射することを特徴としてもよい。
【0009】
(4)(1)又は(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記レーザー光を照射する工程で、前記共通電極の点在する複数の位置のそれぞれに対して前記レーザー光を照射することを特徴としてもよい。
【0010】
(5)(1)又は(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記レーザー光を照射する工程で、交わることなく延びる方向が変わる1つの線に沿って前記レーザー光を照射することを特徴としてもよい。
【0011】
(6)(1)又は(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記レーザー光を照射する工程で、複数の平行線のそれぞれに沿って前記レーザー光を照射することを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を説明する図である。
【図2】レーザー光によって形成する島状電極形成領域を説明する図である。
【図3】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図4】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図5】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図6】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図7】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図8】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図9】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図10】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図11】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を説明する図である。
【0014】
本実施形態では、ガラス基板などからなる基板10を用意する。基板10には、半導体層12を形成し、半導体層12を覆うように第1絶縁膜14(ゲート絶縁膜)を形成する。第1絶縁膜14上にはゲート電極16を形成する。ゲート電極16を覆うように第1絶縁膜14上に第2絶縁膜18を形成する。第2絶縁膜18上に、第1絶縁膜14及び第2絶縁膜18を貫通して半導体層12に至るように、ソース電極20及びドレイン電極22を形成する。図1に示すソース電極20及びドレイン電極22は、それぞれ、下層のバリアメタル層24、コア層のAl-Si系合金層26及び上層のキャップメタル層28からなる。
【0015】
半導体層12、ゲート電極16、ソース電極20及びドレイン電極22は、薄膜トランジスタの構成要素となる。薄膜トランジスタは、画素の発光および非発光を制御するためのスイッチング素子30である。図1には1つのみが示されているが、複数の薄膜トランジスタを形成する。これにより、複数の画素それぞれの発光および非発光を制御するための複数のスイッチング素子30を形成する。
【0016】
ソース電極20及びドレイン電極22を覆うように、第2絶縁膜18上に第3絶縁膜32を形成する。第3絶縁膜32の上面は、その下の構造に対応して凹凸になっているので、これを平坦化するために、第4絶縁膜34(平坦化膜)を第3絶縁膜32上に形成する。第4絶縁膜34は、平坦な上面を有する。
【0017】
第4絶縁膜34上には、第3絶縁膜32及び第4絶縁膜34を貫通して、ソース電極20及びドレイン電極22の一方に至る(電気的に接続される)ように、画素電極36を形成する。画素電極36は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料から形成する。図1には1つのみが示されているが、複数の画素に対応する複数の画素電極36を形成する。画素電極36は、アノードであることが多いが、カソードであってもよい。トップエミッション型であれば画素電極36の下に、アルミニウムなどからなる光反射膜38を形成するが、ボトムエミッション型であればこれは形成しない。
【0018】
それぞれの画素電極36を区画する凹部を有するようにバンク40を形成する。そして、複数の画素電極36上に、発光層を含む有機層42を形成する。
【0019】
有機層42上に、複数の画素電極36に対向するように共通電極44を形成する。共通電極44は、例えば100nm以下の厚みで金属(例えば銀)から形成する。共通電極44はカソードであることが多いが、アノードであってもよい。
【0020】
共通電極44上に、有機層42を封止するために、絶縁膜46を形成する。図1の例では、第5絶縁膜48、第6絶縁膜50及び第7絶縁膜52の三層を形成したが層の数はこれに限定されない。絶縁膜46は、樹脂、酸化膜又は窒化膜などの非金属から形成する。
【0021】
次に、複数のスイッチング素子30が正常に駆動するかどうかを試験する。具体的には、スイッチング素子30によって、画素電極36への電流の流れを遮断できるかどうかを試験する。電流を遮断することができない画素電極36に対応する画素を輝点画素と定義する。こうして、複数の画素のうち、複数のスイッチング素子30によって非発光状態とすることができない輝点画素の有無を検出する。
【0022】
共通電極44の、輝点画素に対応する部分には、レーザー光Lを照射する。そして、図2に示すように島状電極形成領域54を形成する。島状電極形成領域54は、共通電極44から電気的に切断されるように間隔をあけて、かつ、相互にも電気的に孤立する複数の島状電極が点在する領域である。レーザーとして例えばYAGレーザーを使用する。レーザー光Lは、絶縁膜46を通過するが、このとき絶縁膜46にほとんど影響しない強度で照射することで、均一な薄膜の共通電極44が選択的にレーザーのエネルギーを吸収して溶融分離し島状電極形成領域54となる。この処理によってレーザー照射された輝点画素では、島状電極形成領域54の構造によって、有機層42(発光層)への電流の供給を遮断するかあるいは少なくとも低下させる。こうして、レーザー光Lによって簡単に輝点を無くすことができる。島状電極形成領域54を大きく形成して電流の供給が無くなればその画素は黒点化される。あるいは、島状電極形成領域54によって電流の供給が減少すればその画素の輝度を低下させることができるので、常時発光していても目立たなくなる。
【0023】
本実施形態では、有機層42の上方に中空構造を形成しない固体封止が適用されているため、共通電極44にレーザー光Lを照射して島状電極形成領域54を形成してもゴミが飛び散らない。発明者の実験では、島状電極形成領域54から周囲へのゴミの飛散はなかった。なお、共通電極44上に絶縁膜を有しない中空封止を適用してもよい。
【0024】
図3〜図11は、レーザー光の照射方法を説明する図である。これらの図において、共通電極44の画素電極36と対向する領域を二点鎖線で示してある。
【0025】
図3に示す例では、共通電極44の一部の領域を囲むように連続的にレーザー光Lを照射する。そして、レーザー光Lの照射軌跡に囲まれた部分を孤立させて、その部分には電流が供給されないようにする。
【0026】
図4に示す例では、共通電極44の点在する複数の位置のそれぞれに対してレーザー光Lを照射する。これにより、共通電極44の電流が供給される領域の面積が減るので、画素の輝度を低下させることができる。
【0027】
図5に示す例では、交わることなく、延びる方向が変わる1つの線(例えば折れ曲がる線又は曲線)に沿って、蛇行するようにレーザー光Lを照射する。これにより、共通電極44の電流が供給される領域の面積が減るので、画素の輝度を低下させることができる。
【0028】
図6及び図7に示す例では、複数の平行線のそれぞれに沿ってレーザー光Lを照射する。図6では、レーザー光Lの移動軌跡が、画素電極36(図1参照)に対向する長方形領域の短辺方向に平行である。図7では、レーザー光Lの移動軌跡が、画素電極36(図1参照)に対向する長方形領域の長辺方向に平行である。
【0029】
図3〜図7の例では、レーザー光Lを絞ることで点又は線を描くように照射を行っているが、レーザー光Lを絞らずに広い領域に照射してもよい。図8に示す例では、画素電極36(図1参照)に対向する長方形領域を短辺に平行な直線で2つに区切った領域の一方にレーザー光Lを照射している。図9に示す例では、画素電極36(図1参照)に対向する長方形領域を長辺に平行な直線で2つに区切った領域の一方にレーザー光Lを照射している。
【0030】
図10に示す例では、画素電極36(図1参照)に対向する長方形領域の周縁部を残して、中央部を囲むようにレーザー光Lを照射している。図3に示す例と比較すると、図10に示す例では、長方形領域の周縁部において電流が供給される。
【0031】
図11に示す例では画素PのバンクBで囲まれた領域全体にレーザー光Lを照射した例である。この場合、短時間で処理を行うことができる。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 基板、12 半導体層、14 第1絶縁膜、16 ゲート電極、18 第2絶縁膜、20 ソース電極、22 ドレイン電極、24 バリアメタル層、26 Al-Si系合金層、28 キャップメタル層、30 スイッチング素子、32 第3絶縁膜、34 第4絶縁膜、36 画素電極、38 光反射膜、40 バンク、42 有機層、44 共通電極、46 絶縁膜、48 第5絶縁膜、50 第6絶縁膜、52 第7絶縁膜、54 島状電極形成領域、B バンク、L レーザー光、P 画素。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンスパネルは、スイッチング素子として薄膜トランジスタを有している。薄膜トランジスタは、電流供給線から画素電極に流れる電流を制御するようになっている。しかし、薄膜トランジスタの不良や、電流供給線と画素電極の電気的ショートが生じると、画素電極に常に電流が流れ、その画素が常時発光して輝点になっており、その輝点を黒点化してパネルとして目立たなくする技術が知られていた(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−64607号公報
【特許文献2】特開2008−235177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、輝点の対策として、輝点となる画素への電流を遮断するために発光面の裏から配線をレーザー光などで切断することが行われていた。しかし、この方法では、ショート個所を特定する場合に発光面の裏から見ているため輝点が見えず、輝点発生箇所の特定が難しい場合や、ショート個所によっては配線の切断が難しい場合があった。
【0005】
本発明は、簡単に輝点を無くすことができる有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法は、複数の画素それぞれの発光および非発光を制御するための複数のスイッチング素子を形成する工程と、前記複数の画素に対応する複数の画素電極を形成する工程と、前記複数の画素電極上に、発光層を含む有機層を形成する工程と、前記有機層上に、前記複数の画素電極に対向するように共通電極を形成する工程と、前記複数の画素のうち、前記複数のスイッチング素子によって非発光状態とすることができない輝点画素を検出する工程と、前記共通電極の、前記輝点画素に対応する部分に、レーザー光を照射して島状電極を形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。本発明によれば、レーザー光によって簡単に輝点を無くすことができる。
【0007】
(2)(1)に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記レーザー光を照射する前に、前記共通電極上に前記有機層を封止する絶縁膜を形成する工程をさらに含み、前記共通電極を100nm以下の厚みで金属から形成し、前記絶縁膜を非金属から形成し、前記レーザー光は、前記絶縁膜を通過するが前記絶縁膜に影響を与えない強度で照射することを特徴としてもよい。
【0008】
(3)(1)又は(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記レーザー光を照射する工程で、前記共通電極の一部の領域を囲むように前記レーザー光を照射することを特徴としてもよい。
【0009】
(4)(1)又は(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記レーザー光を照射する工程で、前記共通電極の点在する複数の位置のそれぞれに対して前記レーザー光を照射することを特徴としてもよい。
【0010】
(5)(1)又は(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記レーザー光を照射する工程で、交わることなく延びる方向が変わる1つの線に沿って前記レーザー光を照射することを特徴としてもよい。
【0011】
(6)(1)又は(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記レーザー光を照射する工程で、複数の平行線のそれぞれに沿って前記レーザー光を照射することを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を説明する図である。
【図2】レーザー光によって形成する島状電極形成領域を説明する図である。
【図3】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図4】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図5】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図6】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図7】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図8】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図9】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図10】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【図11】レーザー光の照射方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を説明する図である。
【0014】
本実施形態では、ガラス基板などからなる基板10を用意する。基板10には、半導体層12を形成し、半導体層12を覆うように第1絶縁膜14(ゲート絶縁膜)を形成する。第1絶縁膜14上にはゲート電極16を形成する。ゲート電極16を覆うように第1絶縁膜14上に第2絶縁膜18を形成する。第2絶縁膜18上に、第1絶縁膜14及び第2絶縁膜18を貫通して半導体層12に至るように、ソース電極20及びドレイン電極22を形成する。図1に示すソース電極20及びドレイン電極22は、それぞれ、下層のバリアメタル層24、コア層のAl-Si系合金層26及び上層のキャップメタル層28からなる。
【0015】
半導体層12、ゲート電極16、ソース電極20及びドレイン電極22は、薄膜トランジスタの構成要素となる。薄膜トランジスタは、画素の発光および非発光を制御するためのスイッチング素子30である。図1には1つのみが示されているが、複数の薄膜トランジスタを形成する。これにより、複数の画素それぞれの発光および非発光を制御するための複数のスイッチング素子30を形成する。
【0016】
ソース電極20及びドレイン電極22を覆うように、第2絶縁膜18上に第3絶縁膜32を形成する。第3絶縁膜32の上面は、その下の構造に対応して凹凸になっているので、これを平坦化するために、第4絶縁膜34(平坦化膜)を第3絶縁膜32上に形成する。第4絶縁膜34は、平坦な上面を有する。
【0017】
第4絶縁膜34上には、第3絶縁膜32及び第4絶縁膜34を貫通して、ソース電極20及びドレイン電極22の一方に至る(電気的に接続される)ように、画素電極36を形成する。画素電極36は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料から形成する。図1には1つのみが示されているが、複数の画素に対応する複数の画素電極36を形成する。画素電極36は、アノードであることが多いが、カソードであってもよい。トップエミッション型であれば画素電極36の下に、アルミニウムなどからなる光反射膜38を形成するが、ボトムエミッション型であればこれは形成しない。
【0018】
それぞれの画素電極36を区画する凹部を有するようにバンク40を形成する。そして、複数の画素電極36上に、発光層を含む有機層42を形成する。
【0019】
有機層42上に、複数の画素電極36に対向するように共通電極44を形成する。共通電極44は、例えば100nm以下の厚みで金属(例えば銀)から形成する。共通電極44はカソードであることが多いが、アノードであってもよい。
【0020】
共通電極44上に、有機層42を封止するために、絶縁膜46を形成する。図1の例では、第5絶縁膜48、第6絶縁膜50及び第7絶縁膜52の三層を形成したが層の数はこれに限定されない。絶縁膜46は、樹脂、酸化膜又は窒化膜などの非金属から形成する。
【0021】
次に、複数のスイッチング素子30が正常に駆動するかどうかを試験する。具体的には、スイッチング素子30によって、画素電極36への電流の流れを遮断できるかどうかを試験する。電流を遮断することができない画素電極36に対応する画素を輝点画素と定義する。こうして、複数の画素のうち、複数のスイッチング素子30によって非発光状態とすることができない輝点画素の有無を検出する。
【0022】
共通電極44の、輝点画素に対応する部分には、レーザー光Lを照射する。そして、図2に示すように島状電極形成領域54を形成する。島状電極形成領域54は、共通電極44から電気的に切断されるように間隔をあけて、かつ、相互にも電気的に孤立する複数の島状電極が点在する領域である。レーザーとして例えばYAGレーザーを使用する。レーザー光Lは、絶縁膜46を通過するが、このとき絶縁膜46にほとんど影響しない強度で照射することで、均一な薄膜の共通電極44が選択的にレーザーのエネルギーを吸収して溶融分離し島状電極形成領域54となる。この処理によってレーザー照射された輝点画素では、島状電極形成領域54の構造によって、有機層42(発光層)への電流の供給を遮断するかあるいは少なくとも低下させる。こうして、レーザー光Lによって簡単に輝点を無くすことができる。島状電極形成領域54を大きく形成して電流の供給が無くなればその画素は黒点化される。あるいは、島状電極形成領域54によって電流の供給が減少すればその画素の輝度を低下させることができるので、常時発光していても目立たなくなる。
【0023】
本実施形態では、有機層42の上方に中空構造を形成しない固体封止が適用されているため、共通電極44にレーザー光Lを照射して島状電極形成領域54を形成してもゴミが飛び散らない。発明者の実験では、島状電極形成領域54から周囲へのゴミの飛散はなかった。なお、共通電極44上に絶縁膜を有しない中空封止を適用してもよい。
【0024】
図3〜図11は、レーザー光の照射方法を説明する図である。これらの図において、共通電極44の画素電極36と対向する領域を二点鎖線で示してある。
【0025】
図3に示す例では、共通電極44の一部の領域を囲むように連続的にレーザー光Lを照射する。そして、レーザー光Lの照射軌跡に囲まれた部分を孤立させて、その部分には電流が供給されないようにする。
【0026】
図4に示す例では、共通電極44の点在する複数の位置のそれぞれに対してレーザー光Lを照射する。これにより、共通電極44の電流が供給される領域の面積が減るので、画素の輝度を低下させることができる。
【0027】
図5に示す例では、交わることなく、延びる方向が変わる1つの線(例えば折れ曲がる線又は曲線)に沿って、蛇行するようにレーザー光Lを照射する。これにより、共通電極44の電流が供給される領域の面積が減るので、画素の輝度を低下させることができる。
【0028】
図6及び図7に示す例では、複数の平行線のそれぞれに沿ってレーザー光Lを照射する。図6では、レーザー光Lの移動軌跡が、画素電極36(図1参照)に対向する長方形領域の短辺方向に平行である。図7では、レーザー光Lの移動軌跡が、画素電極36(図1参照)に対向する長方形領域の長辺方向に平行である。
【0029】
図3〜図7の例では、レーザー光Lを絞ることで点又は線を描くように照射を行っているが、レーザー光Lを絞らずに広い領域に照射してもよい。図8に示す例では、画素電極36(図1参照)に対向する長方形領域を短辺に平行な直線で2つに区切った領域の一方にレーザー光Lを照射している。図9に示す例では、画素電極36(図1参照)に対向する長方形領域を長辺に平行な直線で2つに区切った領域の一方にレーザー光Lを照射している。
【0030】
図10に示す例では、画素電極36(図1参照)に対向する長方形領域の周縁部を残して、中央部を囲むようにレーザー光Lを照射している。図3に示す例と比較すると、図10に示す例では、長方形領域の周縁部において電流が供給される。
【0031】
図11に示す例では画素PのバンクBで囲まれた領域全体にレーザー光Lを照射した例である。この場合、短時間で処理を行うことができる。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 基板、12 半導体層、14 第1絶縁膜、16 ゲート電極、18 第2絶縁膜、20 ソース電極、22 ドレイン電極、24 バリアメタル層、26 Al-Si系合金層、28 キャップメタル層、30 スイッチング素子、32 第3絶縁膜、34 第4絶縁膜、36 画素電極、38 光反射膜、40 バンク、42 有機層、44 共通電極、46 絶縁膜、48 第5絶縁膜、50 第6絶縁膜、52 第7絶縁膜、54 島状電極形成領域、B バンク、L レーザー光、P 画素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素それぞれの発光および非発光を制御するための複数のスイッチング素子を形成する工程と、
前記複数の画素に対応する複数の画素電極を形成する工程と、
前記複数の画素電極上に、発光層を含む有機層を形成する工程と、
前記有機層上に、前記複数の画素電極に対向するように共通電極を形成する工程と、
前記複数の画素のうち、前記複数のスイッチング素子によって非発光状態にすることができない輝点画素を検出する工程と、
前記共通電極の、前記輝点画素に対応する部分に、レーザー光を照射して島状電極を形成する工程とを含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記レーザー光を照射する前に、前記共通電極上に前記有機層を封止する絶縁膜を形成する工程をさらに含み、
前記共通電極を100nm以下の厚みで金属から形成し、
前記絶縁膜を非金属から形成し、
前記レーザー光は、前記絶縁膜を通過する強度で照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記レーザー光を照射する工程で、前記共通電極の一部の領域を囲むように前記レーザー光を照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記レーザー光を照射する工程で、前記共通電極の点在する複数の位置のそれぞれに対して前記レーザー光を照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記レーザー光を照射する工程で、交わることなく延びる方向が変わる1つの線に沿って前記レーザー光を照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記レーザー光を照射する工程で、複数の平行線のそれぞれに沿って前記レーザー光を照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項1】
複数の画素それぞれの発光および非発光を制御するための複数のスイッチング素子を形成する工程と、
前記複数の画素に対応する複数の画素電極を形成する工程と、
前記複数の画素電極上に、発光層を含む有機層を形成する工程と、
前記有機層上に、前記複数の画素電極に対向するように共通電極を形成する工程と、
前記複数の画素のうち、前記複数のスイッチング素子によって非発光状態にすることができない輝点画素を検出する工程と、
前記共通電極の、前記輝点画素に対応する部分に、レーザー光を照射して島状電極を形成する工程とを含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記レーザー光を照射する前に、前記共通電極上に前記有機層を封止する絶縁膜を形成する工程をさらに含み、
前記共通電極を100nm以下の厚みで金属から形成し、
前記絶縁膜を非金属から形成し、
前記レーザー光は、前記絶縁膜を通過する強度で照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記レーザー光を照射する工程で、前記共通電極の一部の領域を囲むように前記レーザー光を照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記レーザー光を照射する工程で、前記共通電極の点在する複数の位置のそれぞれに対して前記レーザー光を照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記レーザー光を照射する工程で、交わることなく延びる方向が変わる1つの線に沿って前記レーザー光を照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記レーザー光を照射する工程で、複数の平行線のそれぞれに沿って前記レーザー光を照射することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−22843(P2012−22843A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158830(P2010−158830)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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