説明

有機エレクトロルミネッセンス装置、及び有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法

【課題】高い信頼性を実現できるトップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス装置、及び有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第1電極及び第2電極の間に発光機能層110を備え、複数の画素領域の各々において発光機能層110を発光させる有機EL装置1であって、発光機能層110が設けられた基板20Aと、光透過性を有し該基板20Aに対向配置された封止基板30Aと、を備え、基板20Aと封止基板30Aとの間に形成された封止間隙33における画素領域には、導光部材25が設けられていること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置、及び有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)装置においては、基板上に複数の回路素子、陽極、正孔注入層や有機EL素子(発光素子)を含む発光機能層、陰極等を積層し、これらを封止した構成となっている。
具体的には、薄膜トランジスタ等のスイッチング素子が形成されたガラス基板等の透明基板上に、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化スズ(SnO)等の透明導電材料からなる陽極と、ポリチオフェン誘導体(以下、PEDOTと略記する)のドーピング体からなる正孔注入層と、ポリフルオレン等の発光物質からなる発光層と、Ca等の低仕事関数を有する金属材料や金属化合物からなる陰極とを順次積層したものがある。
【0003】
このような有機EL装置の構成として、有機EL素子が形成された基板側から発光機能層からの発光を取り出すボトムエミッション型や、発光機能層を封止する封止基板側から発光を取り出すトップエミッション型が知られている。
また、近年においては、封止基板にカラーフィルタとブラックマトリクスを作りこんだトップエミッション構造が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【特許文献1】特開平8−321380号公報
【特許文献2】特開平10−92580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トップエミッション型の有機EL装置においては、発光機能層からの発光の取り出し側を封止樹脂で全面接着する所謂ベタ封止構造が採用されていた。しかしながら、封止樹脂を全面接着する構造は、信頼性の観点から理想的ではなかった。なぜなら、缶封止であれば内部に乾燥剤を配設することができ、内部の水分を効率的に除去でき、素子寿命を飛躍的に改善することができるからである。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑み創案されたもので、高い信頼性を実現できるトップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス装置、及び有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前述したようなトップエミッション型の有機EL装置における課題に鑑み、有機EL装置の構成として、封止樹脂で全面接着する必要がないトップエミッション型の構造の実現を鋭意検討した。
封止樹脂で全面接着しない構造としては、例えば缶封止構造のように、封止基板と基板との間に封止間隙を形成し、乾燥剤によって該封止間隙内を乾燥状態に維持する構造が知られている。ところが、この構造をトップエミッション型に適用すると、発光機能層で発光した光(発光光)は、封止基板と基板との間の封止間隙を透過して、封止基板側から出射される。すると、封止間隙内において発光光が反射したり、視差による画素領域と発光の出射位置のずれが生じたりするため、結果的にブラックマトリクスに発光光が吸収され、導光性が低下してしまうという問題があった。特に、封止基板にカラーフィルタを設けた構造では、封止間隙において、発光機能層からの発光光が斜め方向にも出射するため、隣接する画素領域のカラーフィルタを透過することで色ずれを生じ、発光のクロストークが生じるという問題もあった。
そこで、本発明者は、上記の問題点を解決すべくさらに検討を重ねた結果、以下の手段に想到し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の有機EL装置は、第1電極及び第2電極の間に発光機能層を備え、複数の画素領域の各々において前記発光機能層を発光させる有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記発光機能層が設けられた基板と、光透過性を有し、該基板に対向配置された封止基板と、を備え、前記基板と前記封止基板との間に形成された封止間隙における前記画素領域には、導光部材が設けられていること、を特徴としている。
【0008】
この有機EL装置によれば、第1電極と第2電極との間の発光機能層が発光し、その発光光が導光部材の内部を透過して、封止基板の側から出射する。このように導光部材を具備することにより、発光機能層が封止基板に向けて放射的に発光しても、該発光光を導光部材によってその延在方向に規制し、出射方向が規制された発光光を封止基板側から取り出すことができる。したがって、各画素領域からの発光が隣接する画素領域へ漏れることを防止できる。換言すれば、隣接する画素領域間において、発光のクロストークを防止することができる。
【0009】
また、前記有機EL装置においては、前記封止間隙の、非画素領域で前記導光部材の側方に空隙部が形成され、該空隙部の少なくとも一部に乾燥剤が配設されていること、を特徴としている。その場合に、前記封止間隙における空隙部は、その全てが互いに連通しているのが好ましい。
このように空隙部の少なくとも一部に乾燥剤が配設されていれば、基板と封止基板との間の封止空隙が乾燥状態に保持されるようになり、したがって陰極や発光層などの水分による劣化が防止される。また、空隙部の全てが互いに連通していれば、封止間隙全体が乾燥剤によって同じ乾燥状態に保持されるようになり、したがって前記乾燥剤を適宜な箇所に設けておくことで、部分的な水分劣化も起こさせることなく全体の水分劣化を防止することが可能になる。
なお、本発明では、封止基板の内側(基板と対向する側)の面に凹部が形成されていれば、缶封止構造となる。この缶封止構造においては、封止基板の凹部面と基板との間の封止間隙が乾燥状態に保持される構成となり、凹部面側と基板側との間に導光部材が挟持される構造となる。
【0010】
前記導光部材は、前記空隙部より高い屈折率を有する材料によって形成されていること、を特徴としている。
このようにすれば、前記発光機能層で発光し該導光部材中を透過する発光光の一部が、該導光部材と前記空隙部との間の界面に至った際、屈折率差によって該界面でその一部が反射し導光部材中に戻るようになり、したがって出射効率を高めることができるとともに、隣接する画素領域へのクロストークを防止することができる。
【0011】
また、本発明の有機EL装置においては、複数の画素領域の各々において、前記発光機能層からの発光の出射光路上に着色部が配置されていること、を特徴としている。
このようにすれば、導光部材を透過する発光機能層からの発光を着色させて、封止基板の側から着色光を取り出すことができる。
【0012】
ここで、複数の画素領域によって有機EL装置の表示単位画素が構成され、該複数の画素領域の着色部が、各々異なる光透過特性を有していることが好ましい。例えば、光透過特性がR(赤),G(緑),B(青)それぞれの表示色の主波長に透過極大がある場合には、RGBの色を表示する主波長を有する光を合成させて表示単位画素から出射させることができる。したがって、フルカラー表示が可能な有機EL装置を実現できる。
【0013】
さらに、前述したように、発光機能層からの発光光を、導光部材に透過させ、該発光光の出射方向を規制させて封止基板の側から取り出しているので、画素領域の光と着色部を透過する光とがずれることがない。したがって、着色部を透過した着色光がぼけたり、隣接する画素領域の着色光が混色したりすることがない。これにより、視野角が拡大された有機EL装置を実現できる。
【0014】
さらに、基板と封止基板との間において導光部材の厚さ(長さ)を薄く(短く)し、着色部の膜厚を厚くすることで、導光部材を形成する工程において、導光部材の膜厚を厚くする必要がなくなり、簡素な工程で導光部材を形成することができる。
【0015】
また、本発明の有機EL装置においては、前記着色部は、着色材料が前記導光部材に含有されていることで形成されていること、を特徴としている。
このようにすれば、着色部(カラーフィルタ)を特別に作り込む必要が無く、導光部材を作製するときに同時に着色部も形成でき、コストダウンを図ることができる。ここで、着色材料の含有量が調整されることで、導光部材を透過する発光の着色の程度(色合い)を調整することが可能となる。また、複数の異なる色の着色材料の各々について、各着色材料の含有量を調整すれば、RGBの着色光が合成された白色光の白バランスを調整することが可能となる。
【0016】
また、本発明の有機EL装置においては、前記封止基板の内面側に複数の着色部が形成され、該着色部間に遮光部が設けられていること、を特徴としている。
このようにすれば、導光部材を透過して着色部を通過した発光光が着色部の色に着色されて出射する。したがって、着色部の色に対応したカラー表示が可能になる。また、着色部間に遮光部が設けられているので、該遮光部によって画素領域間での外光反射を抑えることができ、また、着色部を通らない光を遮光部で確実に遮断し、その光漏れを防止することができ、したがって高コントラストな表示が実現可能になる。
【0017】
また、本発明の有機EL装置においては、前記封止基板の内面側に前記導光部材が配設され、該導光部材の内面側に前記着色部が設けられ、該着色部が、前記基板の発光機能層側との接着層となっていること、を特徴としている。
このようにすれば、この有機EL装置の製造の際、基板と封止基板との間の貼り合わせ処理と、着色部の形成処理とが一括してなされるようになり、したがって生産性の高いものとなる。また、接着層の封止基板側が導光部材となっているので、例えばこれら封止基板、導光部材を通して紫外線照射を行うことで、接着層の硬化処理を行うことが可能になる。よって、このように熱硬化でなく紫外線照射で接着層を硬化させることにより、熱による発光層(EL層)等の劣化を防止することができる。
【0018】
また、本発明の有機EL装置においては、前記複数の画素領域において、複数の前記着色部の各々は、異なる光透過特性を有し、複数の前記発光機能層の各々は、白色光で発光すること、を特徴としている。
ここで、白色光は、複数のピーク波長の色波長が合成された光であるため、この合成された光が、複数の着色部の各々を透過する。これにより、透過した光は異なる光透過特性によって着色されて出射される。そして、着色された光が合成されることで、表示単位画素の表示光が生じる。したがって、複数の着色部によって、白色光を構成する光を着色させて出射させることができる。
また、発光機能層については、白色発光材料のみを用いてこれを形成すればよいので、画素領域毎に発光材料を塗り分ける必要がなくなる。よって、複数の発光材料を製膜する場合に比べ、一つの材料(白色材料)を製膜するだけでよくなり、したがって工程が簡略化し、製造コストの低減化が図られたものとなる。
【0019】
また、本発明の有機EL装置においては、前記複数の画素領域において、複数の前記着色部の各々は、異なる光透過特性を有し、複数の前記発光機能層の各々は、異なる発光波長特性で発光し、前記複数の着色部の各々と前記複数の発光機能層の各々は、前記光透過特性及び前記発光波長特性において、同じ波長領域を有する関係で配置されていること、を特徴としている。
【0020】
ここで、「同じ波長領域を有する関係」とは、光透過特性のピーク波長を含む波長領域と、発光機能層からの発光のピーク波長を含む波長領域とが概ね一致している関係を意味する。また、「概ね一致」とは、観察者の視覚的に同色と判断される色波長の関係となっていることを意味する。
このように、同じ波長領域を有する関係で発光機能層と着色部とが配置されているので、発光機能層からの所定の波長領域の発光は、同じ波長領域を透過する着色部を透過して出射する。したがって、複数の画素領域の各々から出射される発光は、色濃度が高い色を有することとなる。そして、該色濃度が高い光が合成されて、表示単位画素の表示光が生じる。
したがって、複数の着色部又は複数の着色導光部材により、白色光を構成する光を着色させて出射させることができる。
【0021】
また、本発明の有機EL装置においては、複数の画素領域の相互間に、遮光部が設けられていること、を特徴としている。
このように構成することにより、遮光部に囲まれた画素開口部が複数の画素領域に対応して形成されるようになり、該画素開口部から導光部材透過後の発光光が取り出されるようになる。
【0022】
したがって、このような遮光部を備えたことにより、遮光部本来の役割としての、画素領域間での外光の反射を低減する効果を奏するとともに、例えば発光光が導光部材の側面を通過して外に漏れてしまったとしても、遮光部によってこの光を遮断し、封止基板を透過して出射してしまうのを防止することができる。
また、このように画素領域の相互間に遮光部が設けられているので、画素開口部のみから光を取り出すことができ、したがって外光反射低減と相まって高コントラストな表示を実現することが可能になる。
【0023】
前記発光機能層の側方には、該発光機能層を画素領域毎に区画するとともに、遮光部としても機能する隔壁が設けられていること、を特徴としている。
このようにすれば、前記と同様の効果、すなわち、高コントラストな表示が可能な有機EL装置を実現できる。また、隔壁が、発光機能層を画素領域毎に区画するだけでなく、遮光部としても機能するので、隔壁とは別に遮光部を設ける必要がなくなり、装置構成の簡素化が可能になる。
なお、隔壁とは別に、封止基板上、導光部材またはカラーフィルタ間に遮光部を設ければ、画素間の外光反射を効果的に低減することが可能になる。
【0024】
本発明の有機EL装置の製造方法は、第1電極及び第2電極の間に発光機能層を備え、複数の画素領域の各々において前記発光機能層を発光させる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記発光機能層を基板上に形成する工程と、光透過性を有し、前記基板に対向配置された封止基板を形成する工程と、前記基板又は前記封止基板の一方に導光部材を形成する工程と、前記基板及び前記封止基板を貼り合わせて、前記導光部材を封止間隙内に形成する工程と、を含み、前記導光部材を、前記発光機能層からの発光の出射光路上に形成すること、を特徴としている。
【0025】
この有機EL装置の製造方法によれば、得られる有機EL装置が、第1電極と第2電極との間の発光機能層が発光し、その発光光が導光部材の内部を透過して、封止基板の側から出射するようになる。したがって、このように導光部材を形成することにより、発光機能層が封止基板に向けて放射的に発光しても、該発光光を導光部材によってその延在方向に規制し、出射方向が規制された発光光を封止基板の側から取り出すことができる。よって、各画素領域からの発光が隣接する画素領域へ漏れることを防止できる。換言すれば、隣接する画素領域間において、各画素領域からの発光のクロストークを防止することができる。
【0026】
また、本発明の有機EL装置の製造方法においては、複数の画素領域の各々において発光機能層からの発光の出射光路上に着色部を形成する工程、複数の画素領域の相互間に遮光部を形成する工程、前記発光機能層の側方に該発光機能層を画素領域毎に区画する隔壁を形成する工程、のうち、少なくとも一つの工程を行うこと、を特徴としている。
【0027】
発光機能層からの発光の出射光路上に着色部を形成する工程を施して、着色部を形成すれば、発光機能層からの発光光を着色して、封止基板の側から着色光を取り出すことができる。また、前述したように発光機能層からの発光光が導光部材を透過することにより、該発光光の出射方向が規制されて封止基板の側から取り出されるようになるので、例えばカラーフィルタからなる着色部を透過した着色光と、隣接する画素領域の着色光との混色が防止される。
【0028】
また、複数の画素領域の相互間に遮光部を形成する工程を施して遮光部を形成すれば、例えば発光光が導光部材の側面を通過して外に漏れてしまったとしても、遮光部によってこの光を遮断し、封止基板を透過して出射してしまうのを防止することができる。また、画素開口部のみから光を取り出すことができ、したがって外光反射低減と相まって高コントラストな表示を実現することが可能になる。
【0029】
また、前記発光機能層の側方に該発光機能層を画素領域毎に区画する隔壁を形成する工程を施して隔壁を形成すれば、画素領域毎に発光機能層を形成することができ、画素領域毎に発光を取り出すことができる。また、隔壁が遮光部として機能する場合であれば、前記と同様の効果、すなわち、高コントラストな表示が可能な有機EL装置を実現できる。また、隔壁は、発光機能層を画素領域毎に区画するだけでなく、遮光部としても機能するので、隔壁とは別途の遮光部を設ける必要がなくなり、有機EL装置の構成を簡素にすることができる。また、この遮光性隔壁を、封止基板側の導光部材間または着色部(カラーフィルタ)間に設けるようにすれば、外光反射を効率的に防止することができる。
【0030】
また、本発明の有機EL装置の製造方法においては、前記発光機能層、前記導光部材、前記着色部、前記遮光部、又は前記隔壁、のうち少なくともいずれか一つを、湿式成膜法又は転写法によって形成すること、を特徴としている。
湿式成膜法は、液体材料を基板又は封止基板に塗布し、該液体材料を乾燥させることで、液体材料に含まれる液体成分を除去し、層膜を基板上に形成する方法である。
また、転写法は、転写層が形成された転写基板又はフィルムを、該転写層が接触するように基板又は封止基板に貼り合わせ、転写層の少なくとも一部を前記基板上に転写する方法である。
このような方法によれば、低温、低コストな製造方法を実現できる。また、基板や封止基板に耐熱性に劣る材料が予め形成されていても、該材料の熱劣化を抑制することもできる。
【0031】
また、本発明の有機EL装置の製造方法においては、前記湿式成膜法は、液滴吐出法又は印刷法であること、を特徴としている。
液滴吐出法は、基板又は封止基板に吐出ヘッドを対向させ、基板と吐出ヘッドを相対移動させながら、所定のパターンに液体材料を塗布形成することが可能となる方法である。
また、印刷法は、基板又は封止基板に所定のパターンを有するスクリーンを貼り合わせ、該スクリーンを通じて液体材料を塗布形成することが可能となる方法である。
いずれの方法も、基板又は封止基板の全面に液体材料を塗布形成する必要がなく、液体材料によって各構成要素をパターンニング形成できるので、製造方法を容易にすることができる。
【0032】
また、本発明の有機EL装置の製造方法においては、前記転写法は、レーザ熱転写法であること、を特徴としている。
レーザ熱転写法は、レーザ照射による局所的な加熱によって軟化する剥離層と、転写層と、を転写基板上にこの順に設け、該転写層と基板又は封止基板とを対向させた状態で、転写基板の所定領域に光照射又は加熱を行い、剥離層から転写層を剥離し、該所定領域に応じた転写層を基板又は封止基板に転写し、基板又は封止基板に所定の膜を形成する方法である。
この方法は、転写基板に予め必要な転写層(発光機能層、導光部材、着色部、遮光部、及び隔壁のいずれか)を形成し、該転写層を基板又は封止基板に転写することができる。
【0033】
また、本発明の有機EL装置の製造方法においては、前記導光部材を形成する工程では、該導光部材を封止基板側に形成し、前記基板及び前記封止基板を貼り合わせる工程では、着色剤を含有した接着剤を用いて該接着剤を前記封止基板の導光部材と前記基板側との間に配し、これを硬化させて貼り合わせを行うとともに該接着剤からなる着色部を形成すること、を特徴としている。
このようにすれば、基板と封止基板との間の貼り合わせ処理と、着色部の形成処理とを一括して同時に行うことができ、したがって生産性を向上することができる。また、接着層の封止基板側が導光部材となっているので、例えばこれら封止基板、導光部材を通して紫外線照射を行うことで、接着層の硬化処理を行うことができる。よって、このように熱硬化でなく紫外線照射で接着層を硬化させることにより、熱による発光層(EL層)等の劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を詳しく説明する。
なお、この実施の形態は、本発明の一部の態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下に示す各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならせてある。
【0035】
(有機EL装置の第1実施形態)
まず、本発明の有機EL装置の第1実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の有機EL装置の配線構造を示す模式図であり、図1において符号1は有機EL装置である。
【0036】
この有機EL装置1は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTと称する。)を用いたアクティブマトリクス方式のもので、複数の走査線101…と、各走査線101に対して直角に交差する方向に延びる複数の信号線102…と、各信号線102に並列に延びる複数の電源線103…とからなる配線構成を有し、走査線101…と信号線102…との各交点付近に画素領域X…を形成したものである。
もちろん本発明の技術的思想に沿えば、TFTなどを用いるアクティブマトリクスは必須ではなく、単純マトリクス向けの基板を用いて本発明を実施し、単純マトリクス駆動しても全く同じ効果が低コストで得られる。
【0037】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路100が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路80が接続されている。
【0038】
さらに、画素領域Xの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT(スイッチング素子)112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量113と、該保持容量113によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT(スイッチング素子)123と、この駆動用TFT123を介して電源線103に電気的に接続したときに該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(第1電極)23と、該画素電極23と陰極(第2電極)50との間に挟み込まれた発光機能層110とが設けられている。
【0039】
次に、本実施形態の有機EL装置1の具体的な態様を、図2〜図4を参照して説明する。ここで、図2は有機EL装置1の構成を模式的に示す平面図である。図3は有機EL装置1を模式的に示す断面図である。図4は、図3の要部を示す図であって、表示単位画素内の画素領域の構成を説明するための断面図である。
【0040】
まず、図2を参照し、有機EL装置1の構成を説明する。
図2は、基板本体20上に形成された各種配線,TFT,画素電極,各種回路によって、発光機能層110を発光させる基板20Aを示す図である。
図2に示すように、有機EL装置1の基板20Aは、電気絶縁性とを備える基板本体20と、スイッチング用TFT112に接続された画素電極23が基板本体20上にマトリックス状に配置されてなる画素領域X(図1参照)と、画素領域Xの周囲に配置されるとともに各画素電極に接続される電源線103…と、少なくとも画素領域X上に位置する平面視ほぼ矩形の画素部3(図2中一点鎖線枠内)とを備えて構成されている。
なお、本実施形態において画素部3は、中央部分の実表示領域4(図中二点鎖線枠内)と、実表示領域4の周囲に配置されたダミー領域5(一点鎖線および二点鎖線の間の領域)とに区画されている。
【0041】
実表示領域4においては、画素領域Xに対応して設けられた表示領域RGBが紙面左右方向に規則的に配置されている。また、表示領域RGBの各々は、紙面縦方向において同一色で配列しており、所謂ストライプ配置を構成している。また、表示領域RGBの各々は、画素領域XのTFT112,123の動作に伴って、赤色発光(R)、緑色発光(G)、及び青色発光(B)で発光する発光機能層110を備えた構成となっている。そして、表示領域RGBが一つのまとまりとなって、表示単位画素が構成されており、該表示単位画素はRGBの発光を混色させてフルカラー表示を行うようになっている。
また、実表示領域4の図2中両側には、走査線駆動回路80、80が配置されている。
この走査線駆動回路80、80は、ダミー領域5の下層側に位置して設けられている。
【0042】
また、実表示領域4の図2中上方側には検査回路90が配置されており、この検査回路90はダミー領域5の下層側に配置されて設けられている。この検査回路90は、有機EL装置1の作動状況を検査するための回路であって、例えば検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(図示せず)を備え、製造途中や出荷時における有機EL装置の品質、欠陥の検査を行うことができるように構成されている。
【0043】
走査線駆動回路80および検査回路90の駆動電圧は、所定の電源部から駆動電圧導通部(不図示)及び駆動電圧導通部(不図示)を介して印加されている。また、これら走査線駆動回路80及び検査回路90への駆動制御信号および駆動電圧は、この有機EL装置1の作動制御を司る所定のメインドライバなどから駆動制御信号導通部(不図示)及び駆動電圧導通部(不図示)を介して送信および印加されるようになっている。なお、この場合の駆動制御信号とは、走査線駆動回路80および検査回路90が信号を出力する際の制御に関連するメインドライバなどからの指令信号である。
【0044】
次に、図3を参照して、有機EL装置1の断面構造を説明する。
有機EL装置1は、大別すると、既述の基板20A、封止基板30A、及び周辺封止部31によって構成されている。
ここで、基板20Aは、基板本体20上に設けられた層間絶縁膜21と、層間絶縁膜21上に設けられた発光機能層110(後述)を備えている。また、発光機能層110は、封止基板30Aと対向する側に配置されている。
基板本体20は、透明性材料あるいは非透明性材料からなる基板である。透明性基板としてはガラス基板や透明性の樹脂基板等が採用され、非透明性基板としては金属基板や非透明性の樹脂基板が採用される。
【0045】
層間絶縁膜21は、酸化シリコン膜(SiO)であって、基板本体20上に設けられた走査線101…、信号線102…、電源線103…、スイッチング用TFT112、及び駆動用TFT123(以上図1記載)を被覆している。また、層間絶縁膜21にはコンタクトホールが形成されており、駆動用TFT123と画素電極23とを接続させている。
また、層間絶縁膜21が酸化シリコン膜であることから、層間絶縁膜21に対する表面処理として酸素プラズマ処理を施すと、該層間絶縁膜21の表面の親液性を向上させることが可能となる。また、有機バンク22bに施すCFプラズマ処理が施されても、撥液化され難くすることが可能となる。
【0046】
また、層間絶縁膜21は、その材料自身によってTFT112,123や各種配線101,102,103を埋設して平坦化させていることから、平坦化膜としても機能する層膜である。したがって、層間絶縁膜21上に形成される画素電極23の表面も平坦になるので、液滴吐出法によって塗布される発光機能層110の液体材料を、画素電極23の平坦面上に形成することが可能となり、発光機能層110の平坦化及び膜厚均一化を促進させることか可能となる。
なお、本実施形態においては、層間絶縁膜21として酸化シリコン膜を採用したが、これに限定することなく、窒化シリコン膜(SiN)や酸窒化シリコン膜(SiON)等、絶縁性と親液性を備える材料であれば採用してもよい。
【0047】
また、封止基板30Aは、光透過性と電気絶縁性とを備える基板であり、例えば、ガラス基板からなるものである。また、該封止基板30Aには、基板20Aと対向する側に、実表示領域4を深さ10μmに掘り込んで形成された凹部面30Bが設けられている。該凹部面30Bの内側の外周には、乾燥剤34が貼設されており、さらに後述する空隙部にも、必要に応じて乾燥剤(図示せず)が配設されるようになっている。
また、実表示領域4の画素領域Xの相互間には、Cr等の遮光性金属や樹脂ブラック等からなるブラックマトリクス(遮光部)35が設けられいる。一方、画素領域Xは、ブラックマトリクス35の非形成領域となっていて、透光部(開口部)36となっている。これにより、封止基板30Aは、発光機能層110からの発光を透光部36のみから取り出すようになっている。また、凹部面30Bが基板20Aの発光機能層110と対向するように、封止基板30Aが配置されている。
【0048】
また、周辺封止部31は、紫外線硬化樹脂によって硬化された樹脂部材であり、封止基板30Aの凸部32と基板20Aの周縁との間に設けられ、基板20A及び封止基板30Aの間の封止間隙33を密閉させている。ここで、基板20Aと封止基板30Aとの間に形成される封止間隙33は、後述するように画素領域Xに設けられた導光部材25によって区画されており、該導光部材25の側方には封止間隙33を構成する空隙部が形成されている。該空隙部は、封止間隙33全体にて全てが互いに連通していてもよく、複数の独立した空間に分離されていてもよい。そして、これら空隙部からなる封止間隙33には、乾燥剤34が設けられていることにより、封止間隙33内は該乾燥剤34によって乾燥状態が保持され、これによって基板20Aの発光機能層110に対する水分や酸素の侵入が抑制されている。
なお、空隙部が互いに全て連通していれば、例えば前述したように凹部面30Bの内側の外周に乾燥剤34を貼設しておくことで、封止間隙33内全体を乾燥状態に保持することができる。また、空隙部が複数の独立した空間に分離されている場合には、これら独立した空間のそれぞれに乾燥剤を配設しておくことで、空隙部からなる封止間隙33全体を乾燥状態に保持することができる。
【0049】
基板20Aと封止基板30Aとの間の封止間隙33には、複数の発光機能層110の各々に対応した位置、すなわち画素領域Xに、導光部材25が設けられており、該導光部材25により、発光機能層110の各々から発光光が、封止基板30A側に取り出されるようになっている。
したがって、有機EL装置1は、基板20Aと封止基板30Aとの間の封止間隙33を乾燥状態に保つ缶封止構造が実現されていると共に、封止基板30Aの側から発光を取り出すトップエミッション型が実現された有機EL装置である。
【0050】
ここで、導光部材25は、前記の封止間隙33を構成する空隙部より高い屈折率を有する材料によって形成されている。具体的には、空隙部は窒素等の不活性ガスからなっていたり、比較的高い真空状態(減圧状態)となっているため、屈折率が1に近く、したがって導光部材25は、例えばアクリル樹脂等の透明性の樹脂部材であれば、その屈折率が空隙部より高いものとなる。そして、このように導光部材25の屈折率を空隙部より高くしておくことで、発光機能層110で発光した光を、より効率的に画素領域Xから出射させることができる。
【0051】
すなわち、このように構成することで、前記発光機能層110で発光し該導光部材25中を透過する発光光の一部が、図3中に矢印で示すように該導光部材25と前記空隙部(封止間隙33)との間の界面に至った際、その屈折率差によって該界面で大半が反射し、導光部材25中に戻り、そのまま封止基板30Aを透過するようになる。したがって、このように導光部材25の屈折率を、その側方に位置する空隙部(封止間隙33)の屈折率より高くしておくことにより、導光部材25からの出射効率、すなわち画素領域Xでの出射効率を高めることができる。また、導光部材25中を透過する発光光が、空隙部との界面を透過することなくここで反射するようになっているので、隣接する画素領域Xへのクロストークについても防止されるようになる。
【0052】
次に、図4を参照して、有機EL装置1の表示単位画素を構成する画素領域Xの構成について詳述する。
なお、図4においては、画素領域Xの発光駆動を制御するのTFT123が画素電極23に接続されているものとする。
【0053】
図4に示すように、有機EL装置1の表示単位画素は、赤色発光が出射される赤画素領域XR,緑色発光が出射される緑画素領域XG,及び青色発光が出射される青画素領域XB、が一つのまとまりとなって構成されている。
画素領域XR,XG,XBの各々は、画素電極23及び陰極50の間に設けられた発光機能層110と、陰極50を被覆する封止層55と、発光機能層110からの発光を封止基板30Aに導く導光部材25と、を積層させて備えている。
また、各画素領域XR,XG,XBの相互間は、発光機能層110に接触して設けられた無機バンク(隔壁)22a及び有機バンク(隔壁)22bによって区画されている。
【0054】
ここで、画素電極23は、Al等の光反射性金属の単層構造、あるいは該光反射性金属と透明導電膜との積層構造からなる。該透明導電膜としては、インジウム錫酸化物(ITO)等を用いることができる。また、本実施形態においては、このような画素電極23には駆動用TFT123を介して通電されるようになっているが、これに限らず、ドライバーにより直接通電され、時分割駆動されるようになっていてもよい。
【0055】
発光機能層110は、画素電極23上に形成された正孔注入層(発光機能層)70と、該正孔注入層70上に形成された有機EL層(発光機能層)60とが積層されて構成されている。
正孔注入層70の形成材料としては、高分子材料では特に3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられる。
なお、正孔注入層70の形成材料としては、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。低分子材料では、銅フタロシアニン、m−MTDATA、TPD、α―NPDなど、通常の正孔注入材料を蒸着法にて用いることができる。
【0056】
有機EL層60を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。また、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の有機EL層60R,60G,60Bを複数の画素電極23毎に設けることで、フルカラー表示が可能な有機EL装置となる。
有機EL層60の形成材料として具体的には、高分子材料としては(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。低分子材料としては、Alq3、DPVBiなどのホスト材料、これにナイルレッド、DCM、ルブレン、ぺリレン、ローダミンなどをドープして、またはホスト単独で、蒸着法にて用いることができる。
また、赤色の有機EL層60の形成材料としては例えばMEHPPV(ポリ(3−メトキシ6−(3−エチルヘキシル)パラフェニレンビニレン)を、緑色の有機EL層60の形成材料としては例えばポリジオクチルフルオレンとF8BT(ジオクチルフルオレンとベンゾチアジアゾールの交互共重合体)の混合溶液を、青色の有機EL層60の形成材料としては例えばポリジオクチルフルオレンを用いる場合がある。また、このような有機EL層60については、特にその厚さについては制限がなく、各色毎に好ましい膜厚が調整されている。
【0057】
陰極50は、有機EL層60の総面積より広い面積を備え、それを覆うように形成されたもので、有機EL層60上に設けられた低仕事関数の金属からなる第1陰極と、該第1陰極上に設けられて該第1陰極を保護する第2陰極とからなるものである。第1陰極を形成する低仕事関数の金属としては、特に仕事関数が3.0eV以下の金属であるのが好ましく、具体的にはCa(仕事関数;2.6eV)、Sr(仕事関数;2.1eV)、Ba(仕事関数;2.5eV)が好適に用いられる。第2陰極は、第1陰極を覆って酸素や水分などからこれを保護するとともに、陰極50全体の導電性を高めるために設けられたものである。かつ、本発明がトップエミッション構造前提であるため、透明であることが必要である。したがってこの第2陰極の形成材料としては、導電性が高く、化学的に安定でしかも透明で、製膜温度が比較的低いものに限定される。例えばITOが好適に用いられる。また、インジウム亜鉛酸化物や、タングステンインジウム酸化物、インジウムガリウム酸化物なども使用可能である。
【0058】
封止層55は、陰極50の全面に設けられた酸化窒化シリコン膜等のパシベーション膜であり、発光機能層110への水分や酸素の侵入を抑制し、かつ発光層で発生した光を封止基板の側に透過する機能を有する。したがって、不透明な金属製のものは使用できず、前記のような透明で緻密な酸化窒化膜や窒化膜が好適に用いられる。
【0059】
なお、本実施形態においては、有機EL層60の表面に陰極50を設けた構成となっているが、これに限定されることなく、有機EL層60と陰極50との間に電子注入層を設けた構成を採用してもよい。この場合、電子注入層としてLiFやSrF2等が採用される。低分子材料を用いた場合には、BCP:Cs/ITO、Mg:Ag/ITO陰極やLiF/Al/ITOの薄膜陰極など、仕事関数の比較的高いしかも透明性を有する陰極を用いる。
【0060】
また、導光部材25は、前述したようにアクリル樹脂等からなる透明性の樹脂部材である。そして、その屈折率については、前述したように空隙部(封止間隙33)より高くなっており、さらに、封止基板30Aとの間での界面反射を極力減らすべく、該封止基板30Aを構成するガラスの屈折率と同じ程度となっているのが好ましい。
また、導光部材25は、図4に示したように封止基板30Aに直接接合した状態で設けられる場合には、透明な封止基板30Aを介しての紫外線照射が可能となっているため、紫外線照射硬化型の樹脂によって形成されるようになっている。このように紫外線照射硬化型樹脂からなっていることにより、熱硬化性樹脂からなっている場合に比較し、熱による有機EL層60等の劣化が防止されるようになっている。なお、封止基板30Aに対し、後述するように導光部材25がカラーフィルタ(着色部)を介して設けられる場合には、該導光部材25は熱硬化性樹脂によって形成され、基板外部から付与される熱によって硬化させられるようになっている。
また、導光部材25は、乾燥状態に保たれた封止間隙33内に設けられ、一端側が封止基板30Aにおける凹部面30Bの透光部36に当接し、他端側が封止層55に当接して設けられている。
【0061】
無機バンク22a及び有機バンク22bは、画素領域Xの両側に設けられており、複数の画素領域Xの相互間に設けられ、発光機能層110を画素領域Xの間で隔離するものである。
無機バンク22aは、酸化シリコン膜(SiO)からなり、画素電極23の側方に接触して設けられている。この無機バンク22aは、表面状態が親液性となる部位であり、湿式成膜法によって形成される発光機能層110の液体材料を濡れ広がらせるようになっている。
【0062】
有機バンク22bは、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等の有機物によって形成されており、非感光性樹脂あるいは感光性樹脂からなっている。また、有機バンク22b,22b間には、開口部22cが形成されており、この開口部22c内の画素電極23上には、発光機能層110が形成されている。すなわち、開口部22cは、有機バンク22bによって囲まれたことにより、液滴受容部として機能したものとなっている。また、有機バンク22bの表面は、CFプラズマ処理によって撥液性が付与されている。
【0063】
このように構成された有機EL装置1においては、有機EL層60R,60G,60Bで発光した各々の光(発光光)が、直接的に導光部材25に向けて出射し、あるいは一旦画素電極23側に出射し該画素電極23で反射した後、有機EL層60を透過して導光部材25に出射する。そして、これにより導光部材25を透過し、封止基板30Aを透過して外部に出射する。このとき、前述したように導光部材25と空隙部(封止間隙33)との屈折率差により、発光光は導光部材25のみを透過し、封止基板30Aに到達する。すなわち、導光部材25を透過する発光光が導光部材25と空隙部との間の界面に到達しても、その屈折率差によって図4中に矢印で示すように該界面を透過することなく反射し、これによって導光部材25を透過して最終的に該導光部材25の先端面を透過し、この先端面に当接する封止基板30Aを透過して外に出射するようになる。したがって、一つの画素領域Xで発光した光は、他の画素領域Xに導光することが防止されているのである。
【0064】
このように本実施形態によれば、空隙部側に光を漏らすことなく導光部材25内に発光光を透過させ、封止基板30Aの側から出射させることができ、したがって出射効率を最大限に高めることができる。また、発光機能層110での発光が封止基板30Aに向けて放射的になされても、導光部材25によって発光光の出射方向を、導光部材25の延在方向に規制することができる。すなわち、導光部材25と空隙部との間の屈折率差により、発光光を導光部材25内にのみ導波させることが可能になる。そして、このように出射方向が規制された発光光を封止基板30Aの側から取り出すことができることから、各画素領域Xの発光光が隣接する画素領域Xに漏れることを防止することができ、これにより隣接する画素領域X間での発光光のクロストークを防止することができる。
【0065】
また、ブラックマトリクス(遮光部)35を備えたことにより、ブラックマトリクス本来の役割としての、画素領域間での外光の反射を低減することができ、さらに、発光光の一部が導光部材25の側面を通過して空隙部側に漏れてしまったとしても、ブラックマトリクス35によってこの光を遮断し、封止基板30Aを透過して外に出射してしまうのを防止することができる。
また、このように画素領域Xの相互間にブラックマトリクス35が設けられていることで、このブラックマトリクス35に囲まれた透光部36(画素領域X)のみから光を取り出すことができ、したがって高コントラストな表示を実現することができる。
なお、ブラックマトリクスの材料としては、CrOなどの金属酸化膜や、光吸収性樹脂等を用いることができる。
【0066】
また、基板20Aと封止基板30Aとの間の封止間隙33に乾燥剤34が設けられているので、封止間隙33内を乾燥状態に保持することができ、したがって水分に起因する発光機能層110や陰極50の劣化を抑制することができる。
なお、図3に示した実施形態では、封止基板30Aにおける凹部面30Bの内側の外周に乾燥剤34を貼設したが、例えばこれに代えて、あるいはこれに加えて、封止基板30Aの内面に形成されたブラックマトリクス35の内面、すなわち封止間隙33を構成する空隙部に、乾燥剤を設けてもよい。その場合に、乾燥剤としては例えば液状の乾燥剤を用い、ブラックマトリクス35上にディスペンサーで選択的に配するようにするのが好ましい。このように液状の乾燥剤を選択的に配した後、不活性雰囲気で加熱乾燥することにより、固形の乾燥剤を得ることができる。なお、このように乾燥剤を設けた後には、以降の工程は当然ながら乾燥した雰囲気、すなわち不活性雰囲気で処理するのが望ましい。前記の液状の乾燥剤としては、例えば双葉電子工業株式会社製の「ole Dry(商品名)」が好適に用いられる。
このようにして、例えば全てのブラックマトリクス35の内面に乾燥剤を設けることにより、前述した水分に起因する劣化をより良好に抑えることができ、したがって実表示領域4全体での表示の信頼性をより一層向上することができる。
【0067】
(有機EL装置の製造方法の第1実施形態)
次に、本発明の有機EL装置の製造方法における第1実施形態について説明する。
図5は、本実施形態の製造方法における一工程を説明する図であって、封止基板30Aの側断面図である。
本実施形態の製造方法は、基板20Aの形成工程と、封止基板30Aの形成工程と、両基板20A,30Aを貼り合わせる工程とからなる。
【0068】
(基板の形成工程)
まず、基板本体20aAの形成工程について説明する。
図3及び図4に示したように、基板本体20上に、走査線101、信号線102、電源線103、スイッチング用TFT112、及び駆動用TFT123(以上図1に記載)を形成する。
このようなTFTや各種配線の形成方法は、CVD法やスパッタ法等によって各種層膜を形成した後に、公知のフォトリソグラフィ法及びエッチング法等が用いてパターニングを行う。また、半導体層におけるソース領域及びドレイン領域を形成するには、イオンドーピング法等が採用される。
【0069】
次に、これらを被覆するように層間絶縁膜21を形成し、その後、層間絶縁膜21にコンタクトホールを形成する。
次に、層間絶縁膜21上に画素電極23を形成し、該画素電極23と駆動用TFT123とを導通させる。
次に、画素電極23の側方に無機バンク22aを形成し、該無機バンク22a上に有機バンクを形成する。
有機バンク22bの形成方法としては、スピンコート法、ディップ法、スリットコート法等の湿式成膜法が好適に採用される。また、成膜後には、熱処理等を施して樹脂の硬化を行い、公知のフォトリソグラフィ技術によってパターニングされることで、開口部22cが形成される。また、液滴吐出法を用いて有機バンク22bを形成してもよい。
【0070】
次に、有機バンク22bを形成した後に、基板本体20上において露出状態となっている有機バンク22b、無機バンク22a、及び画素電極23の表面に対し、プラズマ処理を施す。該プラズマ処理は、2段階に亘って行われ、最初に酸素プラズマ処理を施し、その後にCFプラズマ処理を施す。
酸素プラズマ処理を施すことにより、有機バンク22b、無機バンク22a、及び画素電極23の表面には親液性が付与される。また、CFプラズマ処理を施すことにより、有機物からなる有機バンク22bの表面には撥液性が付与される。なお、該CFプラズマ処理を施しても、画素電極23及び無機バンク22aの親液性は保たれる。
【0071】
次に、正孔注入層70と有機EL層60とを順次積層し、発光機能層110を形成する。正孔注入層70、有機EL層60の形成に際しては、特に液相法でこれらを形成する場合、液滴吐出法で行うのが、工程が簡単であり、材料の無駄も少ないなどの理由により好ましい。また、特に乾燥・焼成により有機EL層60を形成する工程、及びその後の工程については、水分や酸素が除去された雰囲気、例えば窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気にて各処理を行うのが望ましい。このようにすることにより、有機EL層60の水分に起因する劣化を防止することができる。
【0072】
なお、前記の液滴吐出法は、液体を吐出するための吐出ヘッドの吐出ノズルを、有機バンク22bの開口部22c内に位置する画素電極23に対向させる。吐出ヘッドには、正孔注入層70の材料を含有する組成物インクを充填されている。そして、吐出ヘッドと基板本体20とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインク滴を吐出する。すると、有機バンク22bの表面は撥液性が付与されているので、吐出ノズルから吐出されて有機バンク22bに接触したインク滴は、開口部22cの側に流れ込むようになる。したがって、吐出後のインク滴を乾燥処理して組成物インクに含まれる極性溶媒(液体材料)を蒸発させることにより、正孔注入層70が形成される。
その後、液体材料のみを異ならせ、同様に液滴吐出を行うことにより、正孔注入層70上に有機EL層60を形成することができる。
【0073】
このようにして発光機能層110を形成したら、続いて陰極50を形成する。該陰極50は、有機EL層60及び有機バンク22bを含む基板本体20上の領域全面に、蒸着法を利用してCa、さらにその上にイオンプレーティング法等を用いてITOとを順次積層して形成される。
次に、封止層55を形成する。該封止層55を形成する際には、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極50にピンホール等の欠陥が生じていた場合に、この欠陥部分から水分や酸素等が陰極50に侵入して陰極50が酸化されるおそれがあるので好ましくない。
以上の工程を経ることにより、図4に示す画素領域Xを備える有機EL装置が製造される。
【0074】
(封止基板の形成工程)
次に、封止基板30Aの形成工程について説明する。
図5は、封止基板30Aの形成工程を説明するための図であって、封止基板30Aの断面図である。
図5(a)に示すように、封止基板30Aに凹部面30Bを形成する。該凹部面30Bの形成方法としては、エッチング法やブラスト法、研磨法等が好適に採用される。
次に、凹部面30B内にブラックマトリクス35を形成する。該ブラックマトリクス35は、画素領域Xの相互間に相当する位置に形成される。また、画素領域Xに相当する位置、すなわち、発光光の取り出し部分は、ブラックマトリクス35を形成せずに、透光部36としている。このようなブラックマトリクス35の形成方法としては、液滴吐出法を利用して、所定の部分のみにブラックマトリクス35をパターニング形成する方法が挙げられる。また、公知のフォトリソグラフィ技術を利用して凹部面30Bに全面成膜されたCr等の遮光性金属膜をエッチング法によって除去する方法が挙げられる。
【0075】
次に、凹部面30B内に対して、フッ化アルキルシラン(FAS)等を用いたフッ素化処理を施し、凹部面30Bの表面に単分子膜を形成する。該単分子膜は、ブラックマトリクス35及び透光部36に形成される。その後、透光部36のみに紫外線照射を施すと、透光部36上の単分子膜は分解して除去され、ブラックマトリクス35上のみに単分子膜が残留する。これにより、透光部36上が親液性を有し、ブラックマトリクス35上が撥液性を有することとなる。
なお、紫外線照射を行う方法としては、透光部36を形成する際に用いたマスクを利用すれば、マスク開口を透過する紫外線によって透光部36上の単分子膜を除去することが可能となる。
【0076】
次に、図5(a)に示すように凹部面30B内の周縁部に乾燥剤34を貼設する。
なお、前述したようにブラックマトリクス35の内面に乾燥剤を設ける場合には、ディスペンサーを用い、例えば図5(b)に示すように全てのブラックマトリクス35の内面上に、前記の液状の乾燥剤をそれぞれ選択的に配する。その後、不活性雰囲気にて乾燥することにより、液状の乾燥剤を固形の乾燥剤34にする。
【0077】
次いで、図5(a)に示したように乾燥剤34を貼設した後、例えば液滴吐出法を用い、透光部36を覆うようにして導光部材25を形成する。具体的には、導光部材25の材料となるアクリル樹脂の液体材料を、溶媒を用いずに直接吐出ヘッドHに充填し、該吐出ヘッドHを凹部面30Bに対向させる。
その後、封止基板30Aと吐出ヘッドHとを相対移動させながら、吐出ヘッドHの吐出ノズルから透光部36に向けて液体材料が吐出される。ここで、透光部36の表面は撥液性が付与されているので、吐出ノズルNから吐出されてブラックマトリクス35に接触したインク滴は、透光部36の側に流れ込むようになる。導光部材25は、硬化させずに、適度な粘度を有していることが好ましい。また、一つの画素領域Xにおける導光部材25の吐出量としては、他の画素領域Xにおける導光部材25の液体材料と繋がらない量とする。
【0078】
次に、図5(c)に示すように、封止基板30Aの凸部32上に紫外線硬化樹脂からなる周辺封止部31を配置する。次いで、封止基板30Aの凹部面30Bと、基板20Aの素子形成面20Bとを対向させて、基板20Aと封止基板30Aとを、画素領域X及び透光部36の位置合わせをした上で貼り合わせる。その後、周辺封止部31に対して紫外線を照射して、該周辺封止部31を硬化させる。さらに、封止基板30Aの光出射面30C側から紫外線を照射し、または加熱処理を施すことにより、導光部材25を硬化させる。
以上の工程を経ることにより、図3に示す有機EL装置1が得られる。導光部材25は、発光機能層110からの発光の光路上に形成され、したがって画素領域Xに配されるとともに、基板20A及び封止基板30Aによって乾燥状態に保たれた封止間隙33に挟持される。
乾燥の貼り付け、または塗布・乾燥の工程から封止工程に至るまでは、前述したように不活性ガス雰囲気中で各処理を行い、乾燥剤の吸湿を防止しておくようにする。
【0079】
本実施形態の製造方法によれば、前記の有機EL装置1を製造することができるので、前述の効果と同様の効果が得られる。
また、基板20A側に導光部材25を形成することなく、封止基板30A側に導光部材25を形成しているので、基板20A側の工程数増加を抑えることができる。
また、導光部材25を形成する方法として、液滴吐出法を採用しているので、全面に液体材料を塗布形成することなく、液体材料の所望量を所望位置に配してパターンニング形成できるので、製造工程を容易にすることができる。
【0080】
なお、本実施形態においては、封止基板30Aの側に導光部材25を形成したが、基板20Aの側に形成してもよい。
また、本実施形態の有機EL装置1は、凹部面30Bを形成した缶封止構造としたが、凹部面30Bを形成せずに周辺封止部31内に含有されたギャップ部材によって封止間隙33が規定された構造であってもよい。
また、本実施形態においては、凹部面30Bの周囲に乾燥剤34を設けているが、該乾燥剤34が配置される位置を限定するものではない。該乾燥剤34は、発光を遮蔽しない位置に形成されていればよく、基板20Aの周囲に設けた構成でもよいし、前記したようにブラックマトリクス35の内面に形成されていてもよい。また、封止間隙33内に限定されることなく、周辺封止部31に添加されていてもよい。
【0081】
(有機EL装置の第2実施形態)
次に、本発明の有機EL装置の第2実施形態を説明する。
本実施形態においては、既述の第1実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
図6は、本実施形態の有機EL装置1における表示単位画素内の画素領域の構成を説明するための断面図であり、既述の第1実施形態における図4と対応する図である。
【0082】
図6に示すように、本実施形態においては、導光部材25の構成材料としてアクリル樹脂に着色材料が添加されており、これにより表示単位画素を構成する画素領域XR,XG,XBの各々に、着色導光部材(導光部材,着色部)25R,25G,25Bが対応して配設されている。したがって、着色導光部材25R,25G,25Bは、異なる光透過特性で発光を透過するようになっている。
また、発光機能層110を構成する有機EL層60としては、白色で発光する白色有機EL層60Wが採用されている。白色光は、複数のピーク波長の色波長が合成された光である。
【0083】
このように構成された有機EL装置においては、着色導光部材25R,25G,25Bが、白色有機EL層60Wからの発光の光路上に設けられているので、白色光が着色導光部材25R,25G,25Bによって着色される。すなわち、着色導光部材25Rを通じて画素領域XRから赤色発光が出射し、着色導光部材25Gを通じて画素領域XGから緑色発光が出射し、着色導光部材25Bを通じて画素領域XBから青色発光が出射する。そして、着色された光が合成されることで、表示単位画素の表示光が生じる。
【0084】
前述したように、本実施形態の有機EL装置においては、複数の着色導光部材25R,25G,25Bによって、白色光を構成する光を着色させて出射させることができる。
また、着色導光部材25R,25G,25Bに発光光を透過させ、該発光光の出射方向を規制して封止基板30Aの側から取り出すことができるので、画素領域Xから出射する光(発光光)が必ず設定された着色導光部材(着色部)25R,25G,25Bを透過するようになり、したがって所望の色の発光をなさせることが可能になる。よって、着色導光部材25R,25G,25Bを透過した着色光が隣接する画素領域Xの着色光と混色したりすることがなくなり、これにより、視野角が拡大された有機EL装置を実現することができる。
また、本実施形態の有機EL装置においても、前記の実施形態と同様、着色導光部材25R,25G,25Bと前記空隙部との間の屈折率差により、出射効率を高めることができるとともに、隣接する画素領域Xへのクロストークを防止することができる。
【0085】
また、発光機能層110を構成する有機EL層60として、白色有機EL層60Wからなる単色の発光材料を採用すればよいので、画素領域X毎に有機EL層60を塗り分ける必要がなくなる。したがって、複数の発光材料を製膜する場合と比較して、一つの材料(白色材料)を製膜するだけでよいので、工程を簡素にすることができ、生産性を向上することができる。
【0086】
(有機EL装置の第3実施形態)
次に、本発明の有機EL装置の第3実施形態を説明する。
本実施形態においては、既述の第1及び第2実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
図7は、本実施形態の有機EL装置1における表示単位画素内の画素領域の構成を説明するための断面図であり、既述の第1実施形態における図4と対応する図である。
【0087】
図7に示すように、本実施形態は、表示単位画素を構成する画素領域XR,XG,XBの各々に、着色導光部材25R,25G,25Bが対応して配設されている。したがって、着色導光部材25R,25G,25Bは、異なる波長領域で各々対応する画素領域からの発光を透過するようになっている。
また、発光機能層110を構成する有機EL層60は、第1実施形態と同様に、画素領域XR,XG,XBの各々に、有機EL層60R,60G,60Bが対応して配設されている。したがって、有機EL層60R,60G,60Bは、異なる発光波長特性で発光するようになっている。
また、着色導光部材25R,25G,25Bと、有機EL層60R,60G,60Bとの各々は、光透過特性及び発光波長特性において、同じ波長領域を有する関係で配置されている。換言すれば、着色導光部材25R,25G,25Bと有機EL層60R,60G,60Bとが同色の関係で配置されている。
【0088】
このように構成された有機EL装置においては、同じ波長領域を有する関係で着色導光部材25R,25G,25Bと有機EL層60R,60G,60Bとが配置されているので、有機EL層60で発光した所定の波長領域の光(発光光)は、同じ波長領域を透過する着色導光部材を透過して出射する。したがって、複数の画素領域XR,XG,XBの各々から出射される光は、色純度が高い色を有することとなる。そして、この色純度が高い光が合成されることにより、表示単位画素の表示光が形成されるようになる。
【0089】
前述したように、本実施形態の有機EL装置においては、複数の着色導光部材25R,25G,25B及び有機EL層60R,60G,60Bによって、色純度が高い光を出射させることができる。
また、着色導光部材25R,25G,25Bによって光の出射方向を規制することができるので、画素領域Xから出射する光(発光光)が必ず設定された着色導光部材(着色部)25R,25G,25Bを透過するようになり、したがって所望の色の発光をなさせることが可能になる。よって、着色導光部材25R,25G,25Bを透過した着色光が隣接する画素領域Xの着色光と混色したりすることがなくなり、これにより、視野角が拡大された有機EL装置を実現することができる。
また、本実施形態の有機EL装置においても、前記の実施形態と同様、着色導光部材25R,25G,25Bと前記空隙部との間の屈折率差により、出射効率を高めることができるとともに、隣接する画素領域Xへのクロストークを防止することができる。
【0090】
(有機EL装置の第4実施形態)
次に、本発明の有機EL装置の第4実施形態を説明する。
本実施形態においては、既述の第1〜第3実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
図8は、本実施形態の有機EL装置1における表示単位画素内の画素領域の構成を説明するための断面図であり、既述の第1実施形態における図4と対応する図である。
【0091】
図8に示すように、本実施形態は、表示単位画素を構成する画素領域XR,XG,XBの各々において、凹部面30Bの透光部36にカラーフィルタ(着色部)26R,26G,26Bが対応して設けられており、これらカラーフィルタ26R,26G,26B間にブラックマトリクス(遮光部)35が設けられている。また、カラーフィルタ26R,26G,26Bと封止層55との間には、既述の導光部材25が設けられている。したがって、導光部材25を透過した発光は、カラーフィルタ26R,26G,26Bを透過するようになっている。
【0092】
ここで、カラーフィルタ26R,26G,26Bにおいては、その膜厚と、色素濃度とが調整可能となっている。例えば、色素濃度を減らして膜厚を大きくする場合と、色素濃度を増やして膜厚を小さくする場合とにおいて、カラーフィルタを透過する発光の着色量(色合い)を同じにすることが可能となる。
したがって、隙間間隔が規定されている封止間隙33において、カラーフィルタ26R,26G,26Bの膜厚を大きくすれば、導光部材25の膜厚を小さくすることが可能となり、カラーフィルタ26R,26G,26Bの膜厚を小さくすれば、導光部材25の膜厚を大きくすることが可能となる。
【0093】
このようなカラーフィルタ26R,26G,26Bの形成方法としては、既述の製造方法において、単分子膜が除去された親液性となっている透光部36上に液滴吐出法によってパターニングする方法が挙げられる。ここで、カラーフィルタ26R,26G,26Bの膜厚を大きくすれば、後に形成される導光部材25の膜厚を小さくすることが可能となる。
なお、カラーフィルタ26R,26G,26Bの形成方法としては、3回のフォトリソグラフィ工程を施して形成してもよい。
【0094】
また、カラーフィルタ26R,26G,26Bが形成された後には、該カラーフィルタ26R,26G,26B上に単分子膜を全面に形成し、カラーフィルタ26R,26G,26Bの表面の単分子膜を除去して、該部位に導光部材25を形成する。
なお、導光部材25は、基板20Aの側に形成しておき、基板20Aと封止基板30Aとを貼り合せた際に導光部材25とカラーフィルタ26R,26G,26Bとを接合させてもよい。
【0095】
また、発光機能層110を構成する有機EL層60は、第2実施形態と同様に、白色で発光する白色有機EL層60Wが採用されている。
【0096】
このように構成された有機EL装置においては、カラーフィルタ26R,26G,26Bが、白色有機EL層60Wの発光の光路上に設けられているので、白色光がカラーフィルタ26R,26G,26Bによって着色される。すなわち、カラーフィルタ26Rを通じて画素領域XRから赤色発光が出射し、カラーフィルタ26Gを通じて画素領域XGから緑色発光が出射し、カラーフィルタ26Bを通じて画素領域XBから青色発光が出射する。そして、それらの光が合成されることで、表示単位画素の表示光が形成される。
【0097】
前述したように、本実施形態の有機EL装置においては、既述の第2実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、本実施形態においては、カラーフィルタ26R,26G,26Bを厚膜に形成する分だけ、導光部材25を薄く形成することができるので、導光部材25を形成する液滴吐出工程において、液体材料の吐出量を少なくすることができるので、工程負荷を低減させることができる。
【0098】
また、導光部材25を透過してカラーフィルタ26R,26G,26Bを通過した発光光がカラーフィルタ26R,26G,26Bの各色に着色されて出射するので、カラーフィルタ26R,26G,26Bの色に対応したカラー表示が可能になる。また、カラーフィルタ26R,26G,26B間にブラックマトリクス35が設けられているので、該ブラックマトリクス35によって画素領域X間での外光反射を抑えることができ、また、カラーフィルタ26R,26G,26Bを通らない光をブラックマトリクス35で確実に遮断し、その光漏れを防止することができ、したがって高コントラストな表示を実現することができる。
また、本実施形態の有機EL装置においても、前記の実施形態と同様、着色導光部材25R,25G,25Bと前記空隙部との間の屈折率差により、出射効率を高めることができるとともに、隣接する画素領域Xへのクロストークを防止することができる。
【0099】
(有機EL装置の第5実施形態)
次に、本発明の有機EL装置の第5実施形態を説明する。
本実施形態においては、既述の第1〜第4実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
【0100】
本実施形態においては、前記発光機能層110の側方に配設されて、該発光機能層110を画素領域X毎に区画する有機バンク(隔壁)22bが、遮光部としても機能するように構成されている。すなわち、有機バンク22bには光吸収性材料が含有されており、これによって該有機バンク22bは、遮光バンク(遮光部,隔壁)として機能するようになっている。
このようにすれば、既述の実施形態と同様の効果、すなわち、高コントラストな表示が可能な有機EL装置を実現することができる。また、遮光バンクは、発光機能層110を画素領域X毎に区画するだけでなく、ブラックマトリクスとしても機能するので、遮光バンクとは別途の遮光部を設ける必要がなくなり、有機EL装置の構成を簡素にすることができる。
なお、前記の第1〜第4実施形態においては特に言及していないものの、その有機バンンク22bについては、本実施形態と同様に遮光バンクとしてもよい。
【0101】
(有機EL装置の製造方法の第2実施形態)
次に、有機EL装置の製造方法における第2実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法においては、導光部材25(25R,25G,25B)、カラーフィルタ26(26R,26G,26B)、ブラックマトリクス35、又は有機バンク22bを、レーザ熱転写法(LITI法)を利用して形成している。
レーザ熱転写法は、レーザ光照射によって軟化する剥離層と、レーザ光照射により軟化接着する転写層と、を転写基板上にこの順に設け、該転写層と基板又は封止基板とを対向させた状態で、転写基板の所定領域にレーザ光照射を行い、該所定領域に応じた転写層を基板又は封止基板に転写し、剥離層から転写層を剥離し、基板又は封止基板に所定の膜を形成する方法である。
【0102】
次に、レーザ熱転写法を利用する方法について具体的に説明する。
導光部材25を形成する場合には、転写基板の剥離層上に導光部材25を形成し、転写基板と封止基板30Aとを貼り合わせて、凹部面30Bに導光部材25を接触させる。そして、転写基板の裏面側から導光部材25を転写する部分のみにレーザ光を照射すると、レーザ光の熱エネルギに作用して転写層が軟化して相手基板に張り付いて、同時に剥離層が軟化して転写基板から剥離し、導光部材25を凹部面30Bの所定の部位のみに形成することできる。
【0103】
次に、ブラックマトリクス35を形成する場合には、転写基板の剥離層上にブラックマトリクス35を形成し、転写基板と封止基板30Aとを貼り合わせて、凹部面30Bにブラックマトリクス35を接触させる。そして、転写基板の裏面側からブラックマトリクス35を転写する部分のみにレーザ光を照射すると、レーザ光の熱エネルギに作用して剥離層が剥離し、ブラックマトリクス35を凹部面30Bの所定の部位のみに形成することできる。その後ブラックマトリクス35は転写基板から剥離する。
【0104】
次に、カラーフィルタ26を形成する場合には、転写基板の剥離層上にカラーフィルタ26を形成し、転写基板と封止基板30Aとを貼り合わせて、凹部面30Bにカラーフィルタ26を接触させる。そして、転写基板の裏面側からカラーフィルタ26を転写する部分のみにレーザ光を照射すると、レーザ光の熱エネルギに作用してカラーフィルタ26を凹部面30Bの所定の部位のみに形成することできる。その後カラーフィルタ26は転写基板から剥離する。
【0105】
次に、有機バンク22bを形成する場合には、転写基板の剥離層上に有機バンク22bを形成し、転写基板と封止基板30Aとを貼り合わせて、基板20Aの無機バンク22aに有機バンク22bを接触させる。そして、転写基板の裏面側から有機バンク22bを転写する部分のみにレーザ光を照射すると、レーザ光の熱エネルギに作用して有機バンク22bを無機バンク22aのみに形成することできる。その後有機バンク22bは転写基板から剥離する。
【0106】
本実施形態の製造方法によれば、低温、低コストな製造方法を実現できる。また、基板20Aや封止基板30Aに耐熱性に劣る材料が予め形成されていても、該材料の熱劣化を抑制することもできる。
【0107】
なお、導光部材25(25R,25G,25B)、カラーフィルタ26(26R,26G,26B)、ブラックマトリクス35、又は有機バンク22bを形成する方法として、湿式成膜法の一つである印刷法を採用してもよい。
印刷法を利用する場合では、液体材料を所定のパターンのみに透過させるスクリーンを基板20Aや封止基板30Aに貼り合わせ、該スクリーンを通じて液体材料を塗布形成する方法である。この方法であっても、液体材料をパターンニング形成できるので、製造方法を容易にすることができる。
【0108】
(有機EL装置の第6実施形態)
次に、本発明の有機EL装置の第6実施形態を説明する。
本実施形態においては、既述の第1〜第5実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略している。
図9は、本実施形態の有機EL装置1における表示単位画素内の画素領域の構成を説明するための断面図であり、既述の第1実施形態における図4と対応する図である。
【0109】
図9に示すように、本実施形態では、表示単位画素を構成する画素領域XR,XG,XBの各々において、封止基板30Aの内面側、すなわち凹部面30Bの各透光部36に導光部材25が配設され、該導光部材25の内面側に着色導光部材25R,25G,25Bが連続して設けられている。着色導光部材25R,25G,25Bは、硬化に伴って接着性を発揮する透明樹脂からなるもので、先の実施形態において述べた着色導光部材25R,25G,25Bと同様に、例えばアクリル樹脂に着色材料が添加されて構成されたものである。なお、このようにして形成された着色導光部材25R,25G,25Bは、例えばその屈折率が1.5程度とされ、導光部材25と同様に、空隙部(封止間隙33)の屈折率に比べ十分に高い屈折率を有するものとなっている。
【0110】
また、この着色導光部材25R,25G,25Bは、特に前述した接着性により、基板20A側と封止基板30A側との間を接着するための接着層(接着剤)として機能するようになっている。ここで、この着色導光部材25R,25G,25Bを構成する樹脂としては、紫外線照射硬化型のものや熱硬化型のものが用いられるが、特に紫外線照射硬化型のものが好適に用いられる。また、導光部材25についても、これを構成する透明樹脂としては、紫外線照射硬化型のものや熱硬化型のものが用いられる。
【0111】
なお、発光機能層110を構成する有機EL層60としては、図9に示した例では図4に示した実施形態と同様に、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の有機EL層60R,60G,60Bを設け、これらを着色導光部材25R,25G,25Bの各色と対応させて配置している。ただし、本実施形態では、図6に示した実施形態と同様にして、有機EL層60として白色で発光する白色有機EL層60Wを採用するようにしてもよい。
【0112】
このような構成の有機EL装置を製造するには、基板20A側を前記製造方法の第1実施形態と同様にして用意する。また、封止基板30A側については、これの内面側にブラックマトリクス35を形成するとともに、これらの間に導光部材25の形成材料を配する。そして、この形成材料を硬化させて導光部材25を形成した後、該導光部材25上に着色導光部材25R,25G,25Bの形成材料を接着剤(接着層)として配する。なお、導光部材25の形成材料については、これを単独で硬化させることなく、後述するように着色導光部材25R,25G,25Bの形成材料を硬化する際に一括して硬化処理するようにしてもよい。
【0113】
次いで、この接着剤(着色導光部材25R,25G,25Bの形成材料)を挟んだ状態で基板20A側と封止基板30A側とを貼り合わせ、さらに接着剤を硬化させることで、基板20A側と封止基板30A側との貼り合わせを完了すると同時に、着色導光部材(着色部)25R,25G,25Bを形成する。なお、貼り合わせに際しては、特に有機EL層60としてR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の有機EL層60R,60G,60Bを採用している場合、これら各色と着色導光部材(着色部)25R,25G,25Bの各色とが対応するよう、位置決めして行うようにする。
【0114】
ここで、接着剤(着色導光部材25R,25G,25Bの形成材料)の硬化にあたっては、特にこれを紫外線照射硬化型の樹脂によって構成した場合、封止基板30A側から紫外線を照射することで行うのが好ましい。このようにして紫外線を照射すると、接着剤の封止基板30A側が透明な導光部材25となっているので、これら封止基板30A、導光部材25を通して接着剤に紫外線が照射され、接着剤が良好に硬化するようになる。したがって、熱硬化でなく紫外線照射で接着層を硬化させることにより、熱による発光層(EL層)等の劣化を防止することができる。
【0115】
ただし、接着剤として熱硬化型のものを用いた場合には、もちろん熱処理を行うことで貼り合わせと着色導光部材25R,25G,25Bの形成とを同時に行うことができる。
また、特に前記の導光部材25の形成材料と着色導光部材25R,25G,25Bの形成材料とを、同じ硬化型(硬化タイプ)の樹脂とした場合には、これらを一括して紫外線照射処理し、または熱処理することにより、これらを同時に硬化させることもでき、その場合には生産性の向上を図ることができる。
【0116】
本実施形態の有機EL装置においては、基板20Aと封止基板30Aとの間の貼り合わせ処理と、着色導光部材25R,25G,25Bの形成処理とを一括して同時に行うことができ、したがって生産性を向上することができる。また、接着層となる着色導光部材25R,25G,25Bの封止基板30A側が導光部材25となっているので、特に着色導光部材25R,25G,25Bの形成材料として紫外線照射硬化型の樹脂を用いた場合、これら封止基板30A、導光部材25を通して紫外線照射を行うことで、接着層の硬化処理を行うことができる。よって、このように熱硬化でなく紫外線照射で接着層を硬化させることにより、熱による有機EL層60等の劣化を防止することができる。
また、本実施形態の有機EL装置においても、着色導光部材25R,25G,25B及び導光部材25と空隙部との間の屈折率差により、図9中に矢印で示すように発光光を着色導光部材25R,25G,25B及び導光部材25内にのみ導波させることが可能になり、したがって出射効率を高めることができるとともに、隣接する画素領域Xへのクロストークを防止することができる。
【0117】
(電子機器)
次に、前記実施形態の有機EL装置を備えた電子機器の例について説明する。
図10(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10(a)において、符号500は携帯電話本体を示し、符号501は有機EL装置を備えた表示部を示している。
図10(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図10(b)において、符号600は情報処理装置、符号601はキーボードなどの入力部、符号603は情報処理本体、符号602は有機EL装置を備えた表示部を示している。
図10(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図10(c)において、符号700は時計本体を示し、符号701は有機EL装置を備えたEL表示部を示している。
図10(a)〜(c)に示す電子機器は、先の実施形態に示した有機EL装置が備えられたものであるので、表示特性が良好な電子機器となる。
【0118】
なお、電子機器としては、前記電子機器に限られることなく、種々の電子機器に適用することができる。例えば、ディスクトップ型コンピュータ、液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の電子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の配線構造を示す模式図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の構成を模式的に示す平面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の構成を模式的に示す断面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置における表示単位画素の断面図。
【図5】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の表示単位画素の断面図。
【図7】本発明の第3実施形態に係る有機EL装置の表示単位画素の断面図。
【図8】本発明の第4実施形態に係る有機EL装置の表示単位画素の断面図。
【図9】本発明の第6実施形態に係る有機EL装置の表示単位画素の断面図。
【図10】本発明の有機EL装置を備える電子機器を示す図。
【符号の説明】
【0120】
1 有機EL装置(有機エレクトロルミネッセンス装置)、 20A 基板、 22a 無機バンク(隔壁)、 22b 有機バンク(隔壁)、 23 画素電極(第1電極)、 25 導光部材、 25R 着色導光部材(導光部材,着色部)、 25G 着色導光部材(導光部材,着色部)、 25B 着色導光部材(導光部材,着色部)、 26 カラーフィルタ(着色部)、 26R カラーフィルタ(着色部)、 26G カラーフィルタ(着色部)、 26B カラーフィルタ(着色部)、 30A 封止基板、 33 封止間隙、 35 ブラックマトリクス(遮光部)、 50 陰極(第2電極)、 60 有機EL層(発光機能層)、 70 正孔注入層(発光機能層)、 110 発光機能層、 112 スイッチング用TFT(スイッチング素子)、 123 駆動用TFT(スイッチング素子)、 X 画素領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極の間に発光機能層を備え、複数の画素領域の各々において前記発光機能層を発光させる有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
前記発光機能層が設けられた基板と、
光透過性を有し、該基板に対向配置された封止基板と、を備え、
前記基板と前記封止基板との間に形成された封止間隙における前記画素領域には、導光部材が設けられていること、
を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
前記封止間隙には、非画素領域で前記導光部材の側方に空隙部が形成され、該空隙部の少なくとも一部に乾燥剤が配設されていること、
を特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
前記封止間隙における空隙部は、その全てが互いに連通してなること、
を特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
前記導光部材は、前記空隙部より高い屈折率を有する材料によって形成されていること、
を特徴とする請求項2又は3に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
複数の画素領域の各々において、
前記発光機能層からの発光の出射光路上に着色部が配置されていること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
前記着色部は、着色材料が前記導光部材に含有されていることで形成されていること、
を特徴とする請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
前記封止基板の内面側に複数の着色部が形成され、該着色部間に遮光部が設けられていること、
を特徴とする請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
前記封止基板の内面側に前記導光部材が配設され、該導光部材の内面側に前記着色部が設けられ、該着色部が、前記基板の発光機能層側との接着層となっていること、
を特徴とする請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項9】
前記複数の画素領域において、
複数の前記着色部の各々は、異なる光透過特性を有し、
複数の前記発光機能層の各々は、白色光で発光すること、
を特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項10】
前記複数の画素領域において、
複数の前記着色部の各々は、異なる光透過特性を有し、
複数の前記発光機能層の各々は、異なる発光波長特性で発光し、
前記複数の着色部の各々と前記複数の発光機能層の各々は、前記光透過特性及び前記発光波長特性において、同じ波長領域を有する関係で配置されていること、
を特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項11】
複数の画素領域の相互間に、遮光部が設けられていること、
を特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項12】
前記発光機能層の側方には、該発光機能層を画素領域毎に区画するとともに、遮光部としても機能する隔壁が設けられていること、
を特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項13】
第1電極及び第2電極の間に発光機能層を備え、複数の画素領域の各々において前記発光機能層を発光させる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記発光機能層を基板上に形成する工程と、
光透過性を有し、前記基板に対向配置された封止基板を形成する工程と、
前記基板又は前記封止基板の一方に導光部材を形成する工程と、
前記基板及び前記封止基板を貼り合わせて、前記導光部材を封止間隙内に形成する工程と、
を含み、
前記導光部材を、前記発光機能層からの発光の出射光路上に形成すること、
を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項14】
複数の画素領域の各々において発光機能層からの発光の出射光路上に着色部を形成する工程、
複数の画素領域の相互間に遮光部を形成する工程、
前記発光機能層の側方に該発光機能層を画素領域毎に区画する隔壁を形成する工程、
のうち、少なくとも一つの工程を行うこと、
を特徴とする請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項15】
前記発光機能層、前記導光部材、前記着色部、前記遮光部、又は前記隔壁、のうち少なくともいずれか一つを、湿式成膜法又は転写法によって形成すること、
を特徴とする請求項13又は請求項14に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項16】
前記湿式成膜法は、液滴吐出法又は印刷法であること、
を特徴とする請求項15記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項17】
前記転写法は、レーザ熱転写法であること、
を特徴とする請求項15記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項18】
前記導光部材を形成する工程では、該導光部材を封止基板側に形成し、
前記基板及び前記封止基板を貼り合わせる工程では、着色剤を含有した接着剤を用いて該接着剤を前記封止基板の導光部材と前記基板側との間に配し、これを硬化させて貼り合わせを行うとともに該接着剤からなる着色部を形成すること、
を特徴とする請求項13記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−332019(P2006−332019A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323248(P2005−323248)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】