説明

有機ケイ素化合物の製造方法

本発明は、式(I):


を有する少なくとも1個の活性アゾ基を含む官能化有機ケイ素化合物の合成に関する。本発明の方法は、化合物(I)の少なくとも1種のヒドラジノ(−HN−NH−)前駆体(II)を用い、少なくとも1種の酸化剤(Ox)及び少なくとも1種の塩基(B)を含む酸化系によって前駆体(II)を酸化して化合物(I)特有のアゾ基にすることから成る。この方法は、(1)Oxがヒドラジン官能基をアゾ官能基に酸化することができる酸化剤(N−ブロモスクシンイミド(NBS)を除外する又は除外しない)から、好ましくはハロゲン、ハロゲン誘導体及びそれらの混合物から、より一層好ましくは臭素、次亜塩素酸t−ブチル、トリクロロイソシアヌル酸、塩素及びそれらの混合物から、選択されること;並びに/又は(2)Ox(及び随意にB)が、前駆体(II)に対して化学量論的量で用いられること;並びに/又は(3)製造された有機ケイ素化合物(I)を、用いた塩基Bの望まれない残留物を除去するための後処理精製に付すこと:を特徴とし;但し、NBSを除外しない場合には、特徴(1)と特徴(2)及び/又は特徴(3)とが組み合わされる。本発明はまた、前記の方法によって得ることができる純粋な化合物(I)にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、官能化有機ケイ素化合物の合成の分野である。
【0002】
本発明は、より詳細には、少なくとも1つの活性化されたアゾ基を含む有機ケイ素化合物(以下、「活性アゾ基含有有機ケイ素化合物」と言う)に関する。前記活性化は、例えば窒素の近くのカルボニル基の存在の結果としてもたらすことができる。これらの化合物の有機ケイ素部分は、例えば≡SiOR又は≡SiOHのタイプの加水分解性又は縮合性基を含むことができる。
【背景技術】
【0003】
このような利用できる活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(例えば基−CO−N=N−CO−を有するもの)は、特に農薬及び薬学の分野において用いるための有機活性分子(例えば窒素含有ヘテロ環類)の合成において、例えばヘテロディールスアルダー反応におけるジエノフィルとして、非常に有用である。
【0004】
しかしながら、これらの化合物は特に調製するのが難しいので、いくつかのものしか得られていない。従って、入手できる有機ケイ素化合物の範囲を広げられることが望ましい。
【0005】
数少ない先行技術の中で、フランス国特許第2340323号明細書には、式(I*):
【化1】

{ここで、X及びX1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれイミノ基、酸素原子又は置換若しくは非置換メチレン基を表わし;
Yは置換若しくは非置換アルキル、アリール若しくはアラルキル基であるか、又はZ*と同一であるかであり;
*は式Si(OR)3又はOSi(OR)3の少なくとも1個のシラン基を置換基として有するアルキル、アリール又はアラルキル基であり、ここで、Rは(好ましくは1〜6個の炭素原子を有する)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である}
の有機ケイ素化合物が開示されている。
【0006】
式(II*)及び式(III*):
【化2】

{ここで、R1*及びR2*は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ(好ましくは1〜6個の炭素原子を有する)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表わし、
mは0、1、2又は3であり、
nは1、2又は3である}
の有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0007】
式(III*)に従う式エチル−O−CO−N=N−CO−NH−(CH2)3−Si(Oエチル)3のアゾ基を有する有機ケイ素化合物(「アゾ基含有有機ケイ素化合物」と言う)が、例3に開示されている。
【0008】
このタイプの活性アゾ基含有有機ケイ素化合物の合成において鍵となる工程は、ヒドラゾ(NH−NH)タイプの官能基の対応するアゾ(N=N)官能基への酸化にある。
【0009】
フランス国特許第2340323号明細書に従えば、この変換(転化)は、ハロゲン化誘導体(とりわけ塩素、臭素、N−ブロモスクシンイミド)から成る酸化剤及びピリジンタイプの塩基を含む酸化系によって実施される。
【0010】
かくして、フランス国特許第2340323号明細書の例3に記載された方法は、ジクロロメタン中の前駆体のエチル−O−CO−HN−NH−CO−NH−(CH2)3−Si(Oエチル)3及びピリジンの有機溶液を使用することを構想している。この溶液にN−ブロモスクシンイミド(NBS)を添加し、NBSの添加後に2時間撹拌する。溶媒及びピリジンを真空下で蒸発させることによって除去する一方、反応の間に生成した固体状の塩を次いで濾過によって除去する。残渣を洗浄した後に、式(III*)のアゾ基を有する有機ケイ素化合物が濾液中に回収される。この文献に依れば、酸化系NBS−ピリジンは、前駆体に対して過剰(10モル%)に用いられる。
【0011】
最後に、最終生成物は純粋ではない。これは、特に産業衛生及び生態毒性の点並びに用途性能の点で望ましくない不利な残留物を含有する。
【0012】
この既知の方法は、少なくとも次の4つの欠点を有する。
【0013】
1.固体状NBSの使用は工業プロセスにおいて非常に不利な操作ファクターである。
【0014】
2.この方法は収率及び生産性の点で改善の余地が残る。
【0015】
3.この方法は比較的コスト高であり、経済性の点で改善されるのが有利である。
【0016】
4.最後に、得られる最終生成物(I*)、(II*)、(III*)の品質には、特に純度、より正確には最終生成物中に望ましくないピリジン残留物が存在することに関して、要望が残る。これらの残留物は、特に産業衛生及び生態毒性の点並びにこれらの官能化有機ケイ素化合物(好ましくは活性アゾ基を含有するもの)の用途性能の点で、最終生成物の品質にとって不利である。
【特許文献1】フランス国特許第2340323号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前記先行技術に鑑みて、本発明の本質的な目的の1つは、前駆体のヒドラジノ基をアゾ基に酸化することによるアゾ基含有有機ケイ素化合物の改良型製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明の別の本質的な目的は、アゾ基含有有機ケイ素化合物の製造方法であって、(特に反応混合物中に添加するために)方法をより複雑なものにする固体状NBSのような固体状試薬の使用を回避する前記方法を提供することにある。
【0019】
本発明の別の本質的な目的は、アゾ基含有有機ケイ素化合物の製造方法であって、(特に生産性及び目的アゾアルコキシシランの収率の点で)先行技術のものより良好な性能を有する前記方法を提供することにある。
【0020】
本発明の別の本質的な目的は、アゾ基含有有機ケイ素化合物の経済的な製造方法を提供することにある。
【0021】
本発明の別の本質的な目的は、アゾ基含有有機ケイ素化合物の製造方法であって、最終生成物の品質を、特に有機ケイ素化合物の純度に関して、特に用いた塩基の望ましくない残留物(特に塩基がピリジンを含む場合のピリジン残留物)を痕跡量に減らし又はさらには完全に除去することによって、最適化することができる前記方法を提供することにある。これを行うに当たり、本方法は、最終生成物の品質、産業衛生及び環境影響の点で改善される。
【0022】
本発明の別の本質的な目的は、ピリジン残留物の含有量が減少した新規のアゾ基含有有機ケイ素化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
これらの目的及び他の目的は、本発明によって達成される。本発明は、まず最初に、下記の式(I):
【化3】

{ここで、
m、n、o、pはそれぞれ0又は0より大きい整数又は小数を表わし;
qは1又は1より大きい整数又は小数を表わし;
aは0、1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
aとa'との合計a+a'は0〜3の範囲内であり、
但し、
(C1)aが0である場合には、
m、n、o及びpの内の少なくとも1つが0以外の数であり且つqが1若しくは1より大きいか;又は
qが1より大きく且つm、n、o及びpのそれぞれが任意の値を有するか;
であり、且つ
記号G0の少なくとも1つがG2について下に与える定義に従い;
(C2)a+a'が3である場合には、m=n=o=p=0であり;
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG2又はG1に対応する基の1つを表わし;
記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれがヒドロキシル基若しくは加水分解性一価基を表わすか、又は2個のG2がそれらが結合しているケイ素と一緒になって3〜5個の炭化水素環員を有する環を形成するか(この環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができ、且つ前記環員の少なくとも1個が少なくとも1つの他の炭化水素環又は芳香族環の環員であることもできる)であり;
記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし;
記号Zは飽和又は不飽和脂肪族炭化水素;飽和、不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される二価基を表わし、この二価基は随意に酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は窒素原子(この窒素原子は、水素原子;飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;並びに飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される一価基1個を有する)で置換され又は中断されていることができ;
記号Aは、
・飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;
・基−X−G3
(ここで、Xは−O−、−S−又は−NG4−を表わし、ここで、G4はG1について上で与えた意味のいずれかを有し;
3はG4と同一であっても異なっていてもよく、G1について定義した基の内のいずれかを表わし;
さらに基−NG43の置換基G3及びG4はそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜7個の環員を有する単環を形成することもでき、この環は3〜6個の炭素原子及び1又は2個の窒素原子を有し且つ随意に1又は2個の不飽和二重結合を有する);或は
・q=1の時に、次式:
【化4】

(ここで、記号Z、G1、G2、a、a'、m、n、o及びpは上記の定義を有する)
の基:
を表わす}
の1種又はそれより多くの互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物の製造方法であって、
⇒該方法が、
・少なくとも1種の有機ケイ素化合物(I)の少なくとも1種の前駆体(II)を用い、この前駆体が次式(II):
【化5】

(ここで、記号G0、G1、G2、Z、A、m、n、o、p、a、a'及びqは式(I)について上で定義した通りである)
に相当するものであり;
・前駆体(II)のヒドラジノ基を、少なくとも1種の酸化剤(Ox)及び少なくとも1種の塩基(B)を含む酸化系によって酸化して、活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)に属するアゾ基にし;
・条件(C1)の場合に、(単独で又は混合物として用いられる)次式(III):
【化6】

(ここで、
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ:飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;又はポリシロキサン残基:を表わし;
記号G2'は同一であっても異なっていてもよく、式(I)に関して記載した記号G2について上で与えたものと同じ定義に相当する加水分解性一価基を表わし、
p1は1及び2から選択される整数、好ましくは1を表わす)
のシランから選択される追加の試薬を用いる:
ことを含むタイプのものであり、
⇒該方法が、
(1)Oxが、ヒドラジン官能基を酸化してアゾ官能基にすることができる酸化剤(N−ブロモスクシンイミド(NBS)を除外する又は包含する)から、好ましくはハロゲン、ハロゲン誘導体及びそれらの混合物から、より一層好ましくは臭素、次亜塩素酸t−ブチル、トリクロロイソシアヌル酸、塩素及びそれらの混合物から、選択されること、並びに/又は
(2)Ox(及び随意にB)が、前駆体(II)に対して化学量論的量で用いられること、並びに/又は
(3)製造された有機ケイ素化合物(I)を、特に用いた塩基Bの望まれない残留物を除去するための後処理精製に付すこと
を特徴とし;
但し、NBSを除外しない場合には、特徴(1)と特徴(2)及び/又は特徴(3)とを組み合わせる、前記方法に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明者らは、このタイプの反応における既知のNBS酸化剤の代替物であって、方法をより一層経済性のよいものにしながら、方法の性能(収率/生産性)にも生成物の品質にも影響を及ぼすことがないものを見出した。
【0025】
さらに、本発明に従う方法によって得られる前記化合物(I)は、著しく純度が高い。特に、これらの化合物は例えば塩基Bから誘導される望ましくない残留物(例えば塩基Bがピリジンを含む場合のピリジン残留物)を殆ど又は全く(検出不能な痕跡量しか)持たない。
【0026】
理論に縛られることは望まないが、この純度は、本発明に従う2相法から得られる前記化合物(I)に見られる優れた安定性の根源となっている。「安定性」とは、特に貯蔵時安定性、特に湿り気のある状況における安定性、しかし特に加熱時安定性を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
別の又は累加的な実施態様に従えば、前駆体(II)に対して化学量論的量のOxを用いることが考えられる。これに対して、フランス国特許第2340323号明細書に従う既知の方法においては酸化剤が過剰に用いられる。
【0028】
好ましくは、Oxはハロゲン、ハロゲン誘導体及びそれらの混合物から、より一層好ましくは臭素、次亜塩素酸t−ブチル、トリクロロイソシアヌル酸、塩素及びそれらの混合物より成る群から選択される。
【0029】
本発明に従う方法の特定的な実施態様に従えば、前駆体(II)に対して化学量論的量のピリジンを含む塩基Bを用いる。この制限された量のピリジンの使用は、先行技術と比較して有意の進歩となる。と言うのも、すでに上で説明したように、ピリジンは最終有機ケイ素化合物(I)から除去するのが非常に困難な望ましくない残留物を形成するからである。
【0030】
最終目標の有機ケイ素化合物(I)の純度の最適化を可能にする興味深い実施態様に従えば、1段階又はそれより多くの段階での後処理であって、最終有機ケイ素化合物(I)の品質の有意の改善をもたらし、例えば塩基Bから生じる望ましくない残留物(特に塩基Bがピリジンを含む場合に存在することがあるピリジン残留物)の完全な又はほぼ完全な除去に貢献するものが推奨される。この後処理は、最終有機ケイ素化合物(I)に関する収率及び/又は生産性に影響を及ぼすことがないものであればなお一層素晴らしい。
【0031】
アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)を製造するための本発明に従う方法は、少なくとも次の工程を含む合成方法と分類することができる。
(i)式(IV)の前駆体シラン:
【化7】

と式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体:
【化8】

とを反応させる工程
(これら式中、記号G0、G1、G2、m、n、o、p、q、a、a'及びAは上で定義した通りであり、
1及びL2は互いに反応して真ん中の結合−Z−CO−を生成して式(II):
【化9】

の前駆体を与えることができるような構造及び官能基を有する基を表わす);
(ii)式(II)の前駆体をヒドラゾ基−HN−NH−を酸化してアゾ基−N=N−にする反応に付す工程。
【0032】
工程(ii)の酸化は、本発明に従う製造方法に相当する。
【0033】
例えば構造中の記号Zが二価基−(CH2)3−NH−を表わすアゾ基含有有機ケイ素化合物(I)を製造するためには、用いられる合成式は次の通りであることができる。
(i)式(IV)の前駆体シラン:
【化10】

と式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体:
【化11】

とを反応させて式(II):
【化12】

のヒドラゾ化合物を得る;
(ii)式(II)の化合物をヒドラゾ基−HN−NH−を酸化してアゾ基−N=N−にする反応に付す。
【0034】
まとめると、前駆体(II)を得る工程(i)及び(II)を(I)に酸化する工程(ii)は、次の一般的方法に従う。
【0035】
工程(i):
【0036】
・式(V)の前駆体ヒドラゾ誘導体及び溶媒を反応器中で周囲温度において不活性雰囲気下で用いる。
・数百rpmで撹拌し、T=40〜100℃に加熱する。
・式(IV)の前駆体シランを数十分で添加する。
・室温に戻す前にT=40〜100℃において撹拌しながら数時間反応させる。
・室温において数時間放置する。
・式(II)の(例えば)固体状の前駆体を回収し、濾過し、洗浄し、乾燥させる。
【0037】
工程(ii):
【0038】
・前駆体(II)、有機溶媒、水性緩衝液及び/又は水及び/又は添加剤(A)を反応器中で周囲温度において不活性雰囲気下で用いる。
・酸化剤(Ox)及び(B0)、(B1)を同時に、30℃以下の温度(好ましくは室温)において、少量ずつ(例えば滴下)且つ非常にゆっくり(数分〜数時間、例えば0.5〜2時間かけて)反応器に添加する。
・室温において数時間撹拌する。
・水性相を抽出し、有機相を集める。
・有機相を分離する。
・随意に乾燥させる。
・随意に濾過する。
・濃縮する。
・活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)を回収する。
【0039】
好ましくは、後処理を施すことによって有機ケイ素化合物(I)の精製を実施して、不純物の含有率を減らし又は不純物を取り除く。この不純物は、例えば塩基Bから由来するものであり得る。かくして、塩基Bがピリジンを含有する場合には、ピリジン残留物が形成されることがあり、これは特に産業衛生及び化合物(I)の用途における性能の観点から望ましくない。
【0040】
かくして、本発明の好ましい実施態様に従えば、前記の後処理は本質的に、有機ケイ素化合物(I)を不純物トラップと接触させることを含み、このトラップは、
・イオン親和性支持体から、好ましくはカーボンブラックを含む群に属するものから;及び/又は
・化学的親和性支持体から、好ましくは酸性状の樹脂を含む群に属するものから:
選択される。
【0041】
さらにより一層好ましくは、前記後処理は本質的に、
(a)イオン親和性支持体(好ましくはカーボンブラック)と充填剤の有機溶液とを充填剤に対してイオン親和性支持体0.1〜20重量%の割合、好ましくは1〜10重量%の割合で混合し、
(b)数分〜数時間、好ましくは撹拌下で接触させておき、
(c)不純物が付着した支持体を充填剤の溶液から好ましくは濾過によって分離し、
(d)溶媒を好ましくは蒸発によって取り除き、
(e)化学的親和性支持体(好ましくは酸性状の樹脂、有利にはIR50タイプの僅かに酸性の樹脂)と充填剤の有機溶液とを充填剤に対して化学的親和性支持体0.01〜10重量%の割合、好ましくは0.1〜5重量%の割合で混合し、
(f)数分〜数時間、好ましくは撹拌下で接触させておき、
(g)不純物が付着した支持体を充填剤の溶液から好ましくは濾過によって分離し、
(h)溶媒を好ましくは蒸発によって取り除く:
ことを含み、随意に工程(e)〜(h)は、工程(a)〜(d)の前に又は同時に実施してもよい。
【0042】
実際、工程(a)〜(d)が第1の処理を構成し、工程(e)〜(h)が第2の処理を構成し、これら2つの処理を同時に実施することもでき、任意の順序で順次実施することもできる。
【0043】
さらに、本発明に従う方法において実施される後処理は、これら2つの処理(a)〜(d)及び(e)〜(h)の内の一方のみを含むことも可能である。
【0044】
上記の一般操作条件に加えて、本発明に従うこの方法によって得られ又は得ることができる活性アゾ官能基含有有機ケイ素化合物(I)について、もう少々論じる。
【0045】
上記のように、化合物(I)は不純物、特にピリジン残留物を含有しない又はほとんど(検出不能な痕跡量しか)含有しない。従って、本発明は、新規物質としての、本発明に従う方法によって得ることができ、不純物、特にピリジン残留物を含有しない又はほとんど(検出不能な痕跡量しか)含有しないことを特徴とする活性アゾ官能基含有有機ケイ素化合物(I)に関する。
【0046】
好ましくは、これらの新規の有機ケイ素化合物(I)は、0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、さらにより一層好ましくは0.1重量%以下のピリジン残留物含有率によって特徴付けることができる。
【0047】
本発明に従う方法によって得ることができるこれらの活性アゾ官能基含有有機ケイ素化合物(I)はまた、加熱時、例えば80〜180℃の範囲の温度において、安定であるということをも特徴とする。
【0048】
本発明はまた、新規物質としての、40モル%以下、好ましくは10モル%以下、さらにより一層好ましくは1モル%以下の官能基G2の加水分解/縮合度によって特徴付けられる活性アゾ官能基含有有機ケイ素化合物(I)にも関する。
【0049】
さらに、以下においては再び上記の式(I)中の記号の意味に戻る。
【0050】
最初に、基(Z−CO−N=N−CO−A)は二価基−Z−を介してSiO(3-a-a')/2単位のSi原子に結合するものと理解されたい。
【0051】
さらに、脂肪族炭化水素基とは、本発明の意味においては、直鎖状又は分岐鎖状の基(好ましくは1〜25個の炭素原子を有するもの)であり、随意に置換されていてよい。
【0052】
有利には、前記脂肪族炭化水素基は1〜18個の炭素原子、より一層好ましくは1〜8個の炭素原子、さらにより一層好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。
【0053】
飽和脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、1−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1−メチル−1−エチルプロピル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、1−プロピルブチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、ノニル、デシル、1−メチルノニル、3,7−ジメチルオクチル及び7,7−ジメチルオクチル、並びにヘキサデシル基を挙げることができる。
【0054】
前記不飽和脂肪族炭化水素基は、エチレンタイプ(二重結合)及び/又はアセチレンタイプ(三重結合)の1つ以上の不飽和、好ましくは1、2又は3個の不飽和を含む。
【0055】
それらの例は、上で定義したアルキル基から2つ以上の水素原子を取り除くことによって誘導されるアルケニル又はアルキニル基である。好ましくは、不飽和脂肪族炭化水素基は、単一の不飽和を含む。
【0056】
本発明の範囲内で、炭素環式基とは、随意に置換された単環式又は多環式基(好ましくはC3〜C50のもの)を意味する。有利には、C3〜C18基、好ましくは単環、二環又は三環式のものである。炭素環式基が(多環式炭素環の場合におけるように)1つより多くの環状核を含む場合、環状核は2つずつ縮合したものである。2つの縮合核はオルト縮合であってもペリ縮合であってもよい。
【0057】
炭素環式基は、別途記載がない限り、飽和部分及び/又は芳香族部分及び/又は不飽和部分を含むことができる。
【0058】
飽和炭素環式基の例には、シクロアルキル基がある。好ましくは、シクロアルキル基はC3〜C18、より一層好ましくはC5〜C10のものである。特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル又はノルボルニル基を挙げることができる。
【0059】
不飽和炭素環又は炭素環式タイプの任意の不飽和部分は、1つ以上のエチレン性不飽和、好ましくは1、2又は3個のエチレン性不飽和を有する。これは、6〜50個の炭素原子、より一層好ましくは6〜20個、例えば6〜18個の炭素原子を有するのが有利である。不飽和炭素環の例には、C6〜C10シクロアルケニル基がある。
【0060】
芳香族炭素環式基の例には、(C6〜C18)アリール基、より一層好ましくは(C6〜C12)アリール基、特にフェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリルがある。
【0061】
上で定義した通りの脂肪族炭化水素部分及び上で定義した通りの炭素環式部分の両方を有する基は、例えばベンジルのようなアラルキル基、又はトリルのようなアルカリール基である。
【0062】
脂肪族炭化水素基又は部分及び炭素環式基又は部分の置換基は、例えばアルコキシ基(そのアルキル部分は上で定義した通りであるのが好ましい)である。
【0063】
記号G2に関して上で論じた加水分解性一価基とは、例えば次のような基を意味する:
・ハロゲン原子、特に塩素原子;
・基−O−G7及び−O−CO−G7(ここで、G7は飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又は飽和、不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基、又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし、G7は随意にハロゲン化されていてもよく且つ/又は1個以上のアルコキシで置換されていてもよい);
・基−O−N=CG89(ここで、G8及びG9は独立的にG7について上で与えた意味のいずれかを持ち、G8及びG9はハロゲン化されていてもよく且つ/又は1個以上のアルコキシで随意に置換されていてもよい);
・基−O−NG89(ここで、G8及びG9は上で定義した通りである)。
【0064】
有利には、前記加水分解性一価基は、次の基:
・直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルコキシ(これは随意にハロゲン化されていてよく且つ/若しくは随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換されていてよい);
・C2〜C9アシルオキシ(これは随意にハロゲン化されていてよく若しくは随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換されていてよい);
・C5〜C10シクロアルキルオキシ;又は
・C6〜C18アリールオキシ:
である。例として、加水分解性基は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ、メトキシエトキシ、β−クロロプロポキシ若しくはβ−クロロエトキシ又はアセトキシである。
【0065】
式(I)において2個の置換基G2がそれらが結合しているケイ素原子と一緒になって形成することができる一価の炭素環式基としては、例えば次の環系を挙げることができる:
【化13】

【0066】
式(I)の記号A中に存在する窒素原子の置換基G3及びG4が一緒になって形成することができる単環、並びに式(III)の記号J中に存在する窒素原子の置換基R2及びR3が一緒になって形成する単環としては、次の環を挙げることができる(これらの環においては窒素原子が自由原子価を有する):ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピロリジン、Δ2−ピロリン、イミダゾリジン、Δ2−イミダゾリン、ピラゾリジン、Δ3−ピラゾリン、ピペリジン。好ましい例は、ピロール、イミダゾール及びピラゾールである。
【0067】
式(I)の好ましい形F1において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基、C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わし;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換された直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C8アルコキシ基を表わし;
・Zは二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖;C5〜C10飽和シクロアルキレン基;C6〜C18アリーレン基;又はこれらの基少なくとも2個の組合せを含む二価基を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子;直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基;C6〜C18アリール基;又は(C6〜C18)アリール−(C1〜C8)アルキル基を表わし;
・Aは基−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わす。
【0068】
式(I)のより一層好ましい形F2において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ及びメトキシエトキシ基を含む群から選択され;
・Zは二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル及びベンジル基を含む群から選択され;
・Aは−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される。
【0069】
式(I)のさらにより一層好ましい形F3において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG1又はG2について下で選択される基の内の1つを表わし;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシ基を含む群から選択され;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はメチレン、エチレン及びプロピレン二価基を含む群から選択され;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子であり;
・Aは基−O−G3を表わし、ここで、G3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される。
【0070】
特に好ましい実施態様に従えば、一般式(I)の官能化された有機ケイ素化合物は、次の種を含む群から選択される:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物。
【0071】
シロキサンオリゴマー(2i)は式(I)の化合物の下位グループを構成する。この下位グループは、式(I)において本発明に従う方法の条件(C1)に相当し、即ちa=0の場合に:
・m、n、o及びpの内の少なくとも1つが0以外の数であり且つqが1若しくは1より大きいか;又は
・qが1より大きく且つm、n、o及びpのそれぞれが任意の値を有するか;
であり、且つ
・記号G0の少なくとも1つがG2について下に与える定義に相当する:
化合物から誘導される。
【0072】
条件(C1)を満たす式(I)の化合物を得るためには、対応する酸化の際に追加の試薬(III)を用いるのが得策である。
【0073】
追加の試薬(III)の使用量は臨界的ではないが、しかし本発明に従えばこの量は前駆体(II)に対して少なくとも0.1M、好ましくは少なくとも1Mであって100Mまで又はそれ以上、さらにより一層好ましくは1〜10Mの範囲にするのが好ましい。
【0074】
追加の試薬(III)の例には、トリメチルエトキシシランがある。
【0075】
有利には、種(2i)は次の下位種に細分される:
・(2i.1)式(I)においてa+a'=2;m=1;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(2i.2)式(I)においてa+a'=1;m=2;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー。
【0076】
特に好ましい実施態様の興味深い変形に従えば、一般式(I)の官能化有機ケイ素化合物は、次の(下位)種の群から選択される:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i.1)式(I)においてa+a'=2;m=1;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(2i.2)式(I)においてa+a'=1;m=2;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.1)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.2)の混合物。
【0077】
この変形の中で、特に好ましい一般式(I)の官能化有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.1)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.2)の混合物(3i)によって構成されるものである。
【0078】
実施に当たっては、本発明に従う有機ケイ素化合物は、式(I)において:
・記号G0は同一であっても異なっていてもよく、G1、G2について下に与える定義に相当し;
・記号G1は同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2は同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシ基を含む群から選択され;
・Aは基−O−G3を表わし、ここで、G3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され、
・Zは二価基Z'−NR4−を表わし、
ここで、
・・Z'はメチレン、エチレン及びプロピレン二価基を含む群から選択され;
・・R4は水素原子である:
化合物(i)及び/又は(2i.1)及び/又は(2i.2)を含む少なくとも1種の混合物(3i)を含むことができる。
【0079】
本発明はまた、本発明に従う方法によって得ることができる一般式(I)の有機ケイ素化合物自体であって、次の種を含む群から選択されるものにも関する:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン(種(i)が単独で用いられる場合には、上で規定した式(I*)、(II*)及び(III*)の有機ケイ素化合物を除外する);
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物。
【0080】
追加の試薬(III)を用いない場合、製造される化合物は、種(i)のシラン、言い換えれば次式(I')に相当するものである:
【化14】

(ここで、
aは1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
a+a'は3であり;
記号G1、G2、Z及びAは好ましい形F1、F2又はF3について上で与えたものと同じ定義に相当する)。
【0081】
さらにより一層好ましくは、式(I)のシランにおいて、aは整数3を表わし且つ記号G1、G2、Z及びAは好ましい形F3について上で与えたものと同じ定義に相当する。
【0082】
特に好適な式(I')のシラン(i)の例としては、次式の、a=3、a'=0、m=n=o=p=0且つq=1であるタイプ(i)の種を特に挙げることができる。
【化15】

【実施例】
【0083】
以下の実施例から、本発明がよりよく理解され、その利点がよりはっきりわかるだろう。これら実施例は、上で規定した方法及び新規の物質の範囲及び利点を例示する。
【0084】
これらの実施例には、次の例を記載する。
・例1:OxがNBSであり、Ox及びBが前駆体(II)に対して化学量論的量で用いられる実施態様。
・例2:OxがBr2であり、Oxが前駆体(II)に対して化学量論的量で用いられ、Bが放出されるHBrに対して化学量論的量で用いられる実施態様。
・例3:後処理工程(a)〜(d)及びその後の工程(e)〜(h)。
【0085】
従って、上記の例は、次のことを示す。
・NBS及びピリジンは、前駆体に対して化学量論的量で用いることができる。この結果は、過剰分のピリジンは媒体から除去するのが非常に難しいので、特に興味深いことである。
・臭素は、たとえその使用がピリジンの量を倍増させることを意味したとしても、価格の観点から有利にNBSの代わりとなることができる(この場合には捕捉される臭化水素酸が2倍多くなる)。
・1つ以上の工程での後処理は、サンプルのSilcaf含有量が低下することなくピリジン残留物をほぼ完全に除去するのに貢献することによって、最終生成物の品質を改善することができる。
【0086】
例1:NBS/ピリジン化学量論的系の使用
【0087】
装填材料:
【表1】

【0088】
アルゴン雰囲気下で計量済の反応器中に前駆体、ピリジン及びジクロロメタンを装填する。この反応混合物は均質であり、ほとんど無色だった。
【0089】
N−ブロモスクシンイミド(NBS)をスパチュラによって30分で添加する。温度は25℃以下に保つ。NBSの最初の添加を開始すると、反応混合物が明るいオレンジ色になった。
【0090】
NBSの添加の終了後に、反応混合物を室温において2時間撹拌する。
【0091】
反応混合物を回転式蒸発器中で減圧下で濃縮する。
【0092】
オレンジ色ペーストの形の残留物をヘプタン/iPr2O混合物(1/1:容量/容量)100ミリリットル中に取り出し、次いで多孔度4の焼結ガラス(125ミリリットル)上で濾過する。濾過ケークを追加の25ミリリットルずつの前記の溶剤混合物で4回洗浄する。
【0093】
母液をケーク上で濾過する(2回目)。濾液を減圧下で濃縮する。
【0094】
無臭で明るいオレンジ色の液体が得られた:m=18.8g。この液体をNMRで分析した(第1表を参照されたい)。
【0095】
例2:NBSの臭素による置き換え
【0096】
装填材料:
【表2】

【0097】
アルゴン雰囲気下で計量済の反応器中に前駆体、ピリジン及びジクロロメタン45ミリリットルを装填する。この反応混合物は均質であり、ほとんど無色だった。
【0098】
ジクロロメタン15ミリリットル中の臭素の溶液を反応器中に45分で注入する。温度は25℃以下に保つ。臭素を注入する間に、反応混合物が徐々に明るいオレンジ色になった。
【0099】
注入終了後に、反応混合物を室温において2時間撹拌する。
【0100】
反応混合物を回転式蒸発器中で減圧下で濃縮する。
【0101】
オレンジ色ペーストの形の残留物をヘプタン/iPr2O混合物(1/1:容量/容量)45ミリリットル中に取り出し、次いで多孔度4の焼結ガラス(125ミリリットル)上で濾過する。濾過ケークを追加の10ミリリットルずつの前記の溶剤混合物で2回洗浄する。
【0102】
母液をケーク上で濾過する(2回目)。濾液を減圧下で濃縮する。
【0103】
無臭で明るいオレンジ色の液体が得られた:m=9.8g。
【0104】
【表3】

(i)ピリジンと臭化水素酸ピリジニウムとの混合物
【0105】
例3:ピリジン残留物の除去
【0106】
産業衛生及び生態毒性の観点から、ピリジン残留物の存在は問題がある。従って、これらの化合物を最小量で含有するサンプルを得ることが特に興味深い。
【0107】
ピリジン残留物は臭化水素酸ピリジニウムとピリジンとの混合物から成るので、二重の処理が考えられていた:
(1)イオンタイプの不純物を吸着するためのカーボンブラックによる処理。
(2)ピリジンを化学的に捕捉するための前もって乾燥させた僅かに酸性の樹脂(例えばIR50)による処理。
【0108】
Carbon Black 2Sによる処理は、次の操作手順に従って実施される:
(a)Silcafをジクロロメタン中に希釈する;
(b1)用いたSilcafに対して6重量%の割合で乾燥Carbon Black 2Sを添加する;
(b2)室温において2時間撹拌する;
(c)Carbon Black 2Sを濾過によって除去する;
(d)溶媒を減圧下で蒸発させる(例3A)。
【0109】
樹脂による処理は、次の操作手順に従って実施される:
(e)Silcafをジクロロメタン中に希釈する;
(f1)用いたSilcafに対して2重量%の割合で乾燥樹脂を添加する;
(f2)室温において2時間撹拌する;
(g)樹脂を濾過によって除去する;
(h)溶媒を減圧下で蒸発させる(例3B)。
【0110】
【表4】

(i)ND=検出不能
【0111】
上記の例は、Carbon Black 2Sによる処理は臭化水素酸ピリジニウムを除去することができ、一方、樹脂はピリジンをトラップすることができるということを示す。従って、連続的に用いると、これら2つの処理はピリジン誘導体を含有しない又はほとんど含有しないサンプルを得ることを可能にする。
【0112】
例4:前駆体(II)の合成
【0113】
多くの文献に実験室用の合成経路が記載されているが、しかし例証は与えられていない。これらは下記の式で示される。
【化16】

【0114】
装填材料
【表5】

【0115】
手順
【0116】
アルゴン雰囲気下で計量済の反応器中に周囲温度においてカルバジン酸エチル(IV)及び無水トルエンを装填する。
【0117】
反応器を300回転/分で撹拌し、次いで反応混合物RMを60℃に加熱する。(このRMは加熱時にほとんど均質になる。)
【0118】
次いで等圧注入漏斗を用いてシラン(III)99.8gを60分で添加する。
【0119】
前記RMを室温に戻す前に60℃において2時間撹拌する。
【0120】
前記RMを室温において数時間放置する。
【0121】
白色固体が結晶化する。これを濾過し、150ミリリットルずつのイソプロピルエーテルで2回洗浄し、次いで真空下で乾燥させる。最後に固体を一定重量になるまで60℃においてオーブン乾燥させる。m=131.5g。
【0122】
前駆体(II)を構成する生成物をNMRで分析する(モル純度>99%)。収率=97.4%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I):
【化1】

{ここで、
m、n、o、pはそれぞれ0又は0より大きい整数又は小数を表わし;
qは1又は1より大きい整数又は小数を表わし;
aは0、1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
aとa'との合計a+a'は0〜3の範囲内であり、
但し、
(C1)aが0である場合には、
m、n、o及びpの内の少なくとも1つが0以外の数であり且つqが1若しくは1より大きいか;又は
qが1より大きく且つm、n、o及びpのそれぞれが任意の値を有するか;
であり、且つ
記号G0の少なくとも1つがG2について下に与える定義に相当し;
(C2)a+a'が3である場合には、m=n=o=p=0であり;
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれG2又はG1に対応する基の1つを表わし;
記号G2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれがヒドロキシル基若しくは加水分解性一価基を表わすか、又は2個のG2がそれらが結合しているケイ素と一緒になって3〜5個の炭化水素環員を有する環を形成するか(この環は、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができ、且つ前記環員の少なくとも1個が少なくとも1つの他の炭化水素環又は芳香族環の環員であることもできる)であり;
記号G1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基を表わし;
記号Zは飽和又は不飽和脂肪族炭化水素;飽和、不飽和及び/又は芳香族の単環式又は多環式炭素環式基;並びに飽和又は不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される二価基を表わし、この二価基は随意に酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は窒素原子(この窒素原子は、水素原子;飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;並びに飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基:から選択される一価基1個を有する)で置換され又は中断されていることができ;
記号Aは、
・飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;又は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;
・基−X−G3
(ここで、Xは−O−、−S−又は−NG4−を表わし、ここで、G4はG1について上で与えた意味のいずれかを有し;
3はG4と同一であっても異なっていてもよく、G1について定義した基の内のいずれかを表わし;
さらに基−NG43の置換基G3及びG4はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、5〜7個の環員を有する単環であって環中に3〜6個の炭素原子及び1又は2個の窒素原子を有し且つ随意に1又は2個の不飽和二重結合を有する前記単環を形成することもできる);或は
・q=1の時に、次式:
【化2】

(ここで、記号Z、G1、G2、a、a'、m、n、o及びpは上記の定義を有する)
の基:
を表わす}
の1種又はそれより多くの互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物の製造方法であって、
⇒該方法が、
・少なくとも1種の有機ケイ素化合物(I)の少なくとも1種の前駆体(II)を用い、この前駆体が次式(II):
【化3】

(ここで、記号G0、G1、G2、Z、A、m、n、o、p、a、a'及びqは式(I)について上で定義した通りである)
に相当するものであり;
・前駆体(II)のヒドラジノ基を、少なくとも1種の酸化剤(Ox)及び少なくとも1種の塩基(B)を含む酸化系によって酸化して、活性アゾ基含有有機ケイ素化合物(I)に属するアゾ基にし;
・条件(C1)の場合に、(単独で又は混合物として用いられる)次式(III):
【化4】

(ここで、
記号G0は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ:飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基;飽和若しくは不飽和及び/若しくは芳香族の単環式若しくは多環式炭素環式基;飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素部分と上記の炭素環式部分とを有する基;又はポリシロキサン残基:を表わし;
記号G2'は同一であっても異なっていてもよく、式(I)に関して記載した記号G2について上で与えたものと同じ定義に相当する加水分解性一価基を表わし、
p1は1及び2から選択される整数、好ましくは1を表わす)
のシランから選択される追加の試薬を用いる:
ことを含むタイプのものであり、
⇒該方法が、
(1)Oxが、ヒドラジン官能基を酸化してアゾ官能基にすることができる酸化剤(N−ブロモスクシンイミド(NBS)を除外する又は包含する)から、好ましくはハロゲン、ハロゲン誘導体及びそれらの混合物から、より一層好ましくは臭素、次亜塩素酸t−ブチル、トリクロロイソシアヌル酸、塩素及びそれらの混合物から、選択されること、並びに/又は
(2)Ox(及び随意にB)が、前駆体(II)に対して化学量論的量で用いられること、並びに/又は
(3)製造された有機ケイ素化合物(I)を、特に用いた塩基Bの望まれない残留物を除去するための後処理精製に付すこと
を特徴とし;
但し、NBSを除外しない場合には、特徴(1)と特徴(2)及び/又は特徴(3)とを組み合わせる、前記方法。
【請求項2】
Oxがハロゲン、ハロゲン誘導体及びそれらの混合物から、さらにより一層好ましくは臭素、次亜塩素酸t−ブチル、トリクロロイソシアヌル酸、塩素及びそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記後処理が本質的に前記有機ケイ素化合物(I)を不純物トラップと接触させることを含み、このトラップが、
・イオン親和性支持体から、好ましくはカーボンブラックを含む群に属するものから;及び/又は
・化学的親和性支持体から、好ましくは酸性状の樹脂を含む群に属するものから:
選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記後処理が本質的に
(a)イオン親和性支持体(好ましくはカーボンブラック)と充填剤の有機溶液とを充填剤に対してイオン親和性支持体0.1〜20重量%の割合、好ましくは1〜10重量%の割合で混合し、
(b)数分〜数時間、好ましくは撹拌下に置き、
(c)不純物が付着した支持体を充填剤の溶液から好ましくは濾過によって分離し、
(d)溶媒を好ましくは蒸発によって取り除き、
(e)化学的親和性支持体(好ましくは酸性状の樹脂、有利にはIR50タイプの僅かに酸性の樹脂)と充填剤の有機溶液とを充填剤に対して化学的親和性支持体0.01〜10重量%の割合、好ましくは0.1〜5重量%の割合で混合し、
(f)数分〜数時間、好ましくは撹拌下に置き、
(g)不純物が付着した支持体を充填剤の溶液から好ましくは濾過によって分離し、
(h)溶媒を好ましくは蒸発によって取り除く:
ことを含み、随意に工程(e)〜(h)を工程(a)〜(d)の前に又は同時に実施することもできることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
式(I)において
・記号G0が同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1が同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基、C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わし;
・記号G2が同一であっても異なっていてもよく、それぞれ随意に1個以上の(C1〜C8)アルコキシで置換された直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C8アルコキシ基を表わし;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖;C5〜C10飽和シクロアルキレン基;C6〜C18アリーレン基;又はこれらの基少なくとも2個の組合せを含む二価基を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子;直鎖状若しくは分岐鎖状のC1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基;C6〜C18アリール基;又は(C6〜C18)アリール−(C1〜C8)アルキル基を表わし;
・Aが基−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基;C5〜C10シクロアルキル基又はC6〜C18アリール基を表わす:
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
式(I)において
・記号G0が同一であっても異なっていてもよく、基G1又はG2について下に与えるものと同じ定義に相当し;
・記号G1が同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2が同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ及びメトキシエトキシ基を含む群から選択され;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はC1〜C8アルキレン鎖を表わし;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル及びベンジル基を含む群から選択され;
・Aが−O−G3又は−NG43を表わし、ここで、G3及びG4は互いに同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される:
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
式(I)において
・記号G0が同一であっても異なっていてもよく、それぞれG1又はG2について下で選択される基の内の1つを表わし;
・記号G1が同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択され;
・記号G2が同一であっても異なっていてもよく、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシ基を含む群から選択され;
・Zが二価基Z'−Z''−を表わし、
ここで、
・・Z'はメチレン、エチレン及びプロピレン二価基を含む群から選択され;
・・Z''は−O−又は−NR4−を表わし、ここで、R4は水素原子であり;
・Aが基−O−G3を表わし、ここで、G3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル及びフェニル基を含む群から選択される:
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記の一般式(I)の官能化有機ケイ素化合物が次の種:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物:
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記の一般式(I)の官能化有機ケイ素化合物が次の種:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン;
・(2i.1)式(I)においてa+a'=2;m=1;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(2i.2)式(I)においてa+a'=1;m=2;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.1)及び/又は少なくとも1種の下位種(2i.2)の混合物:
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
製造される化合物が種(i)のシラン又は言い換えれば次式(I'):
【化5】

(ここで、
aは1、2及び3から選択される整数を表わし;
a'は0、1及び2から選択される整数を表わし;
a+a'は3であり;
記号G1、G2、Z及びAは請求項5〜7のいずれかに記載の定義に相当する)
に相当するものであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって得ることができ、前記の式(I):
【化6】

の1種以上の互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物であって、不純物、特にピリジン残留物を含有しない又はほとんど含有しないことを特徴とする、前記有機ケイ素化合物。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって得ることができる一般式(I)の有機ケイ素化合物であって、次の種:
・(i)式(I)においてa+a'=3;m=n=o=p=0;且つq=1であるものに相当する官能化オルガノシラン(種(i)が単独で用いられる場合には、上で規定した式(I*)、(II*)及び(III*)の有機ケイ素化合物を除外する);
・(2i)式(I)においてa+a'=1又は2;mが1〜2の範囲であり;n=p=o=0;且つq=1であるものに相当する官能化シロキサンオリゴマー;
・(3i)少なくとも1つの種(i)及び/又は少なくとも1つの種(2i)の混合物:
を含む群から選択される、前記有機ケイ素化合物。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって得ることができる有機ケイ素化合物であって、ピリジン残留物含有率が0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、さらにより一層好ましくは0.1重量%以下であることを特徴とする、前記有機ケイ素化合物。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって得ることができ、前記の式(I):
【化7】

の1種以上の互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物であって、加熱時、特に80〜180℃の範囲の温度に加熱した時に安定であることを特徴とする、前記有機ケイ素化合物。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって得ることができ、前記の式(I):
【化8】

の1種以上の互いに同一であっても異なっていてもよい化合物を含む有機ケイ素化合物であって、官能基G2の加水分解/縮合度が40モル%未満、好ましくは10モル%未満、さらにより一層好ましくは1モル%未満であることを特徴とする、前記有機ケイ素化合物。

【公表番号】特表2008−542244(P2008−542244A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512861(P2008−512861)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001098
【国際公開番号】WO2006/125884
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】