説明

有機光電子素子のための低コスト高効率透明有機電極

本開示は、エレクトロルミネセント素子のコストを削減し、効率を向上させるための方法および材料を提供する。本開示はまた、そのような方法によって調製される、エレクトロルミネセント素子を提供する。一実施形態では、例えば、2つの金属電極と、エレクトロルミネセント層と、光学/絶縁層と、伝導性層とを備え、それらはすべて、透明基板上に配置される、エレクトロルミネセント素子を調製するための方法が提供される。電極の一方は、パターン化され、光学/絶縁層は、パターン化された電極と伝導性層との間の伝導を可能にするビアを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第61/178,398号(2009年5月14日出願)に基づき、合衆国法典第35巻§119による優先権を主張する。該出願の内容はその全体において参照により本明細書に引用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、発光素子の生産において使用され得る、材料の多様性を増加させるための方法、ならびにそのような方法によって生産される素子を対象とする。本発明は、例えば、電子素子の分野において、有用性が見出される。
【背景技術】
【0003】
従来の有機発光ダイオード(OLED)のある実施形態では、2つの電極が、エレクトロルミネセント層によって分離される。光子が、電子と電子正孔の再結合によって、エレクトロルミネセント層内に発生されるため、電極の一方は、典型的には、透明材料から成り、放出させた光子を素子から逃出可能にする。例えば、一般的透明電極材料は、インジウムスズ酸化物(ITO)である。OLED素子内で広範に使用される、透明伝導性ITO電極は、典型的には、85−90%透明であって、約10オーム/スクエア(Ω/□)シート抵抗を有する。ITO電極の主要な欠点の1つは、その高屈折率による、高光学損失である。光学損失は、透明担持基板(概して、現在のOLED素子では、ガラス)に対するITOの高屈折率と関連付けられる光反射によって増大する。この高光学損失は、OLED素子の外部量子効率(EQE)を大幅に低減させている。ITOを使用するさらなる欠点は、材料が、比較的に高価であることである。
【0004】
当技術分野において、上述の欠点を克服し、ならびに、概して、エレクトロルミネセント素子(ELD)等の効率的かつ低コストの有機電気素子を製造するための新しい方法および材料を開発する必要性が残っている。理想的方法は、容易に利用可能である、または容易に調製される、材料を利用し、素子出力(効率および/または総出力)における有意な向上を提供し、プロセスステップの数を最小限にし、および/または高再現性結果を提供することであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の欠点のうちの1つ以上を解決し、特に、透明電極を必要としない、エレクトロルミネセント素子を調製するための方法および材料の提供を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面では、透明材料を備える基板と、透明光学材料を備え、基板に接触する光学層と、基板、光学層、または基板と光学層の両方に接触する第1の電極と、光学層を通って第1の電極へのチャネルを形成する1つ以上のビアと、伝導性材料を備える伝導性層であって、伝導性材料は、伝導性材料が第1の電極に接触するように、少なくとも部分的に1つ以上のビアを充填し、さらに、伝導性層は、光学層に重層する、伝導性層と、伝導性層に接触するエレクトロルミネセント層と、エレクトロルミネセント層に接触する第2の電極とを備えるエレクトロルミネセント素子が提供される。
【0007】
別の側面では、エレクトロルミネセント層を形成する方法が提供される。方法は、透明基板を提供するステップと、基板上にパターン化された第1の電極を形成するステップと、パターン化された第1の電極および基板を覆って光学材料を蒸着するステップと、第1の電極の一部が露出されるように、光学材料を除去することによって、光学材料内にビアのパターンを形成するステップと、伝導性材料がビアを通して第1の電極に接触するように、光学材料を覆って、かつビア内に、伝導性材料を蒸着するステップと、伝導性材料を覆ってエレクトロルミネセント材料を蒸着するステップと、エレクトロルミネセント材料を覆って第2の電極を蒸着するステップとを含む。
【0008】
さらに別の側面では、エレクトロルミネセント素子を形成するための方法が提供される。方法は、透明基板を提供するステップと、基板を覆って光学材料の第1の部分を蒸着するステップと、随意に、光学材料の一部を除去することによって、光学材料内にパターンを形成するステップと、光学材料の第1の部分上にパターン化された第1の電極を形成するステップと、第1の部分および第1の電極を覆って光学材料の第2の部分を蒸着するステップと、第1の電極の一部がビアを通して露出されるように、光学材料を除去することによって、光学材料の第2の部分内にビアのパターンを形成するステップと、伝導性材料がビアを通して第1の電極に接触するように、光学材料を覆って、かつビア内に、伝導性材料を蒸着するステップと、伝導性材料を覆ってエレクトロルミネセント材料を蒸着するステップと、エレクトロルミネセント材料を覆って第2の電極を蒸着するステップとを含む。
【0009】
本発明の他の側面は、請求項および実施例を含む、以下の説明から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1a】図1aは、本開示のある実施形態による、グリッド第1電極からの2つのワイヤ間の交差点の略図を提供する。
【図1b】図1bは、本開示のある実施形態による、グリッド第1電極の略図を提供する。
【図2】図2は、本開示のある実施形態による、素子の略図を提供する。
【図3】図3は、本開示の実施形態による、いくつかの素子構造の略図を提供する。
【図4】図4は、本開示の種々の実施形態による、素子の略図を提供する。
【図5a】図5aは、光学層内にビアを有し、ビア内およびそれを覆って配置される、伝導性材料を有する、素子の略図を提供する。
【図5b】図5bは、約8000cd/m素子輝度を伴う6V印加電圧における、光学顕微鏡下で撮像された素子の画像を提供する。黒点は、ビアの場所を示す。
【図6】図6は、図5bに例証される素子に対して、従来のOLEDと比較された、外部量子効率対見掛輝度を示す、グラフを提供する。
【図7】図7は、図5bに例証される素子に対して、従来のOLEDと比較された、電力効率対輝度を示す、グラフを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであって、限定することを意図するものではないことを理解されたい。本明細書に提供される定義は、互いに排他的となることを意味するものではない。例えば、いくつかの化学基は、2つ以上の定義に当てはまリ得ることを理解されるであろう。
【0012】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、必ずしもではないが、典型的には、1個から約24個の炭素原子を含有する、分岐または非分岐飽和炭化水素基を指し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシル等、ならびにシクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基である。概して、再度、必ずしもではないが、本明細書のアルキル基は、1個から約18個の炭素原子を含有し得、そのような基は、1個から約12個の炭素原子を含有し得る。用語「低級アルキル」は、1個から6個の炭素原子のアルキル基を意図する。「置換アルキル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルキルを指し、用語「ヘテロ原子含有アルキル」および「ヘテロアルキル」は、以下に詳述されるように、少なくとも1つの炭素原子が、ヘテロ原子と置き換えられたアルキル置換基を指す。別様に示されない場合、用語「アルキル」および「低級アルキル」は、それぞれ、直鎖、分岐、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有のアルキルあるいは低級アルキルを含む。
【0013】
本明細書で使用される用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含有する、2個から約24個の炭素原子の直鎖、分岐、または環状炭化水素基を指し、例えば、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニル等である。概して、再度、必ずしもではないが、本明細書のアルケニル基は、2個から約18個の炭素原子を含有し得、例えば、2個から12個の炭素原子を含有し得る。用語「低級アルケニル」は、2個から6個の炭素原子のアルケニル基を意図する。用語「置換アルケニル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルケニルを指し、用語「ヘテロ原子含有アルケニル」および「ヘテロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素原子が、ヘテロ原子で置き換えられたアルケニルを指す。別様に示されない場合、用語「アルケニル」および「低級アルケニル」は、それぞれ、直鎖、分岐、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有のアルケニルおよび低級アルケニルを含む。
【0014】
本明細書で使用される用語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を含有する、2個から24個の炭素原子の直鎖または分岐炭化水素基を指し、例えば、エチニル、n−プロピニル等である。概して、再度、必ずしもではないが、本明細書のアルキニル基は、2個から約18個の炭素原子を含有し得、そのような基は、2個から12個の炭素原子をさらに含有し得る。用語「低級アルキニル」は、2個から6個の炭素原子のアルキニル基を意図する。用語「置換アルキニル」は、1つ以上の置換基で置換されたアルキニルを指し、用語「ヘテロ原子含有アルキニル」および「ヘテロアルキニル」は、少なくとも1つの炭素原子が、ヘテロ原子で置き換えられたアルキニルを指す。別様に示されない場合、用語「アルキニル」および「低級アルキニル」は、それぞれ、直鎖、分岐、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有のアルキニルおよび低級アルキニルを含む。
【0015】
別様に示されない場合、用語「不飽和アルキル」は、アルケニルおよびアルキニル、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0016】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、単一の末端エーテル結合を通して結合されたアルキル基を意図し、すなわち、「アルコキシ」基は、アルキルが上記のように定義される、−O−アルキルとして表され得る。「低級アルコキシ」基は、1個から6個の炭素原子を含有するアルコキシ基を意図し、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、t−ブチロキシ等を含む。本明細書で「C−Cアルコキシ」または「低級アルコキシ」として識別される置換基は、例えば、1個から3個の炭素原子を含有し得、さらなる実施例として、そのような置換基は、1個から2個の炭素原子を含有し得る(すなわち、メトキシおよびエトキシ)。
【0017】
本明細書で使用される用語「アリール」は、別様に指定されない限り、概して、必ずしもではないが、5個から30個の炭素原子を含有し、単一芳香環、または、ともに融合される、直接連鎖される、または間接的に連鎖される(異なる芳香環が、共通基、例えば、メチレンまたはエチレン部分に結合されるように)複数の芳香環(例えば、1個から3個の環)を含有する芳香族置換基である。アリール基は、例えば、5個から20個の炭素原子を含有し得、さらなる実施例として、アリール基は、5個から12個の炭素原子を含有し得る。例えば、アリール基は、1つの芳香環、あるいは2つの融合または連鎖芳香環を含有し得、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、ベンゾフェノン等である。「置換アリール」は、1つ以上の置換基で置換されたアリール部分を指し、用語「ヘテロ原子含有アリール」および「ヘテロアリール」は、以下に詳述されるように、少なくとも1つの炭素原子が、ヘテロ原子で置き換えられたアリールを指す。別様に示されない場合、用語「アリール」は、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有アリール置換基を含む。
【0018】
用語「アラルキル」は、アリール置換基を伴うアルキル基を指し、用語「アルカリール」は、アルキル置換基を伴うアリール基を指し、「アルキル」および「アリール」は、上述の通りである。概して、本明細書のアラルキルおよびアルカリール基は、6個から30個の炭素原子を含有する。アラルキルおよびアルカリール基は、例えば、6個から20個の炭素原子を含有し得、さらなる実施例として、そのような基は、6個から12個の炭素原子を含有し得る。
【0019】
用語「オレフィン基」は、2個から12個の炭素原子の単不飽和または二不飽和炭化水素基を意図する。本分類内の好ましいオレフィン基は、時として、本明細書では、「低級オレフィン基」と呼ばれ、単一末端二重結合を含有する、2個から6個の炭素原子の炭化水素部分を意図する。後者の部分はまた、「低級アルケニル」と称され得る。
【0020】
本明細書で使用される用語「アルキレン」は、1個から24個の炭素原子を含有する、二官能性飽和分岐または非分岐炭化水素鎖を指す。「低級アルキレン」は、1個から6個の炭素原子を含有するアルキレン連鎖を指し、例えば、メチレン(−−CH−−)、エチレン(−−CHCH−−)、プロピレン(−−CHCHCH−−)、2−メチルプロピレン(−−CH−−CH(CH)−−CH−−)、ヘキシレン(−−(CH−−)等を含む。
【0021】
用語「アミノ」は、本明細書では、非水素置換基を伴う、基−NZ(式中、ZおよびZは、水素または非水素置換基)を指すために使用され、例えば、アルキル、アリール、アルケニル、アラルキル、ならびにそれらの置換および/またはヘテロ原子含有の変種を含む。
【0022】
「ヘテロ原子含有アルキル基(また、「ヘテロアルキル」基とも称される)または「ヘテロ原子含有アリール基(また、「ヘテロアリール」基とも称される)における用語「ヘテロ原子含有」は、1つ以上の炭素原子が、炭素以外の原子、例えば、窒素、酸素、硫黄、リン、またはシリコン、典型的には、窒素、酸素、または硫黄で置き換えられた分子、連鎖、または置換基を指す。同様に、用語「ヘテロアルキル」は、ヘテロ原子含有アルキル置換基を指し、用語「複素環式」は、ヘテロ原子含有環状置換基を指し、用語「ヘテロアリール」および「ヘテロ芳香族」は、それぞれ、ヘテロ原子含有「アリール」および「芳香族」置換基等を指す。ヘテロアルキル基の実施例として、アルコキシアリール、アルキルスルファニル−置換アルキル、N−アルキル化アミノ等が挙げられる。ヘテロアリール置換基の実施例として、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、キノリニル、インドリル、フリル、ピリミジニル、イミダゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル等が挙げられ、ヘテロ原子含有脂環式基の実施例は、ピロリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノ、テトラヒドロフラニル等である。
【0023】
「ヒドロカルビル」は、1個から約30個の炭素原子を含有し、1個から約24個の炭素原子を含み、さらに1個から約18個の炭素原子を含み、さらに1個から12個の炭素原子を含み、直鎖、分岐、環状、飽和、および不飽和種を含む、一価ヒドロカルビルラジカルを指し、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基等である。「置換ヒドロカルビル」は、1つ以上の置換基で置換されたヒドロカルビルを指し、用語「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」は、少なくとも1つの炭素原子が、ヘテロ原子で置き換えられたヒドロカルビルを指す。別様に示されない限り、用語「ヒドロカルビル」は、非置換、置換、ヘテロ原子含有、および置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル部分を含むものとして解釈されるものとする。
【0024】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはイオドを指し、通常は、有機化合物中の水素原子のハロ置換基に関する。ハロの中でも、クロロおよびフルオロが、概して、好ましい。
【0025】
上述の定義のうちのいくつかに示唆されるように、「置換ヒドロカルビル」、「置換アルキル」、「置換アリール」等における「置換」によって、ヒドロカルビル、アルキル、アリール、または他の部分において、炭素(または、その他)原子に結合された少なくとも1つの水素原子が、1つ以上の置換基で置き換えられることが意味される。そのような置換基の実施例として、以下が挙げられるが、それらに限定されない:官能基、例えば、ハロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C−C24アルコキシ、C−C24アルケニルオキシ、C−C24アルキニルオキシ、C−C20アリールオキシ、アシル(C−C24アルキルカルボニル(−CO−アルキル)およびC−C20アリールカルボニル(−CO−アリール)を含む)、アシルオキシ(−O−アシル)、C−C24アルコキシカルボニル(−(CO)−O−アルキル)、C−C20アリールオキシカルボニル(−(CO)−O−アリール)、ハロカルボニル(−CO)−X(式中、Xは、ハロ)、C−C24アルキルカルバモイル(−O−(CO)−O−アルキル)、C−C20アリールカルバモイル(−O−(CO)−O−アリール)、カルボキシ(−COOH)、カルボキシラト(−COO)、カルバモイル(−(CO)−NH)、一置換C−C24アルキルカルボニル(−(CO)−NH(C−C24アルキル))、二置換アルキルカルボニル(−(CO)−N(C−C24アルキル))、一置換アリールカルバモイル(−(CO)−NH−アリール)、チオカルバモイル(−(CS)−NH)、カルバミド(−NH−(CO)−NH)、シアノ(−C≡N)、イソシアナ(−N≡C)、シアナト(−O−C≡N)、イソシアナト(−O−N≡C)、イソチオシアナト(−S−C≡N)、アジド(−N=N=N)、ホルミル(−(CO)−H)、チオホルミル(−(CS)−H)、アミノ(−NH)、モノ−およびジ−(C−C24アルキル)−置換アミノ、モノ−およびジ−(C−C20アリール)−置換アミノ、C−C24アルキルアミド(−NH−(CO)−アルキル)、C−C20アリールアミド(−NH−(CO)−アリール)、イミノ(−CR=NH(式中、R=水素、C−C24アルキル、C−C20アリール、C−C20アルカリール、C−C20アラルキル等))アルキルイミノ(−CR=N(アルキル)(式中、R=水素、アルキル、アリール、アルカリール等))、アリールイミノ(−CR=N(アリール)(式中、R=水素、アルキル、アリール、アルカリール等))、ニトロ(−NO)、ニトロソ(−NO)、スルホ(−SO−OH)、スルホナト(−SO−O)、C−C24アルキルスルファニル(−S−アルキル;また、「アルキルチオ」とも称される)、アリールスルファニル(−S−アリール;また、「アリールアルキルチオ」とも称される)、C−C24アルキルスルフィニル(−(SO)−アルキル)、C−C20アリールスルフィニル(−(SO)−アリール)、C−C24アルキルスルフォニル(−SO−アルキル)、C−C20アリールスルフォニル(−SO−アリール)、ホスホノ(−P(O)(OH))、ホスホナト(−P(O)(O)、ホスフィナト(−P(O)(O))、ホスホ(−PO)、およびホスフィノ(−PH)、モノ−およびジ−(C−C24アルキル)−置換ホスフィノ、モノ−およびジ−(C−C20アリール)−置換ホスフィノ;ならびにヒドロカルビル部分C−C24アルキル(C−C18アルキルを含み、さらに、C−C12アルキルを含み、さらに、C−Cアルキルを含む)、C−C24アルケニル(C−C18アルケニルを含み、さらに、C−C12アルケニルを含み、さらに、C−Cアルケニルを含む)、C−C24アルキニル(C−C18アルキニルを含み、さらに、C−C12アルキニルを含み、さらに、C−Cアルキニルを含む)、C−C30アリール(C−C20アリールを含み、さらに、C−C12アリールを含む)、およびC−C30アラルキル(C−C20アラルキルを含み、さらに、C−C12アラルキルを含む)。加えて、上述の官能基は、特定の基が可能である場合、1つ以上の追加の官能基または1つ以上のヒドロカルビル部分、例えば、具体的に上述に列挙されたものでさらに置換され得る。同様に、上述のヒドロカルビル部分は、1つ以上の官能基または追加のヒドロカルビル部分、例えば、具体的に列挙されたものでさらに置換され得る。
【0026】
可能な置換基のリストの前に用語「置換」が現れる時、用語は、その基のすべての要素に適用されることが意図される。例えば、語句「置換アルキルおよびアリール」は、「置換アルキルおよび置換アリール」と解釈されるものとする。
【0027】
別様に指定されない限り、原子の参照は、その原子の同位体を含むものと意味される。例えば、Hの参照は、H、H(すなわち、D)、およびH(すなわち、T)を含むものと意味され、Cの参照は、12Cおよび炭素の全同位体(例えば、13C)を含むものと意味される。
【0028】
本開示を通して、用語「側部」および「縁」が使用される。これらの用語は、その通常の意味を有するものと意味される。例えば、いくつかの実施形態では、「側部」は、実質的に平坦表面であって、「縁」は、2つの側部の交差によって形成される、非常に湾曲された(すなわち、鋭利)表面である。いくつかの実施形態では、「側部」は、徐々に湾曲および/またはテキスチャ加工され得る。
【0029】
本明細書で使用されるように、用語「ビア」は、光学(すなわち、誘電)材料を通る間隙を指す。例えば、伝導性層に重層する光学層の場合、ビアは、伝導性層への電気接続を可能にする、光学層内の孔を指す。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「ワイヤ」は、他の2つより大幅に大きい、1つの次元を有する、3次元構造を指す。用語「ワイヤ」は、任意の特定の断面形状に限定されないが、好適な断面形状として、円形、楕円形、正方形、四角形、台形等が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用されるように、用語「透明」は、電磁放射に透過性である、材料を指す。LEDにおいて採用される透明材料の具体的文脈では、用語は、LEDによって放出される電磁放射の波長に透過性である、材料を指す。別様に記述されない限り、用語は、完全に透過性である材料、ならびに半透過性である材料を含む。
【0032】
本発明の素子は、概して、複数の層を備える、電子素子である。そのような層は、均質または非均質であり得る。「均質層」とは、素子の断面内の任意の点において、層の存在および厚さが、実質的に同一であることを意味する。「非均質層」は、厚さが変動し、連続的ではない層である(すなわち、空隙が、層内に存在する)。例えば、グリッド層は、グリッド層を有する素子の断面が、層が存在する面積および層が存在しない面積を示すため、非均質層である。パターン化層は、非均質層である。
【0033】
いくつかの実施形態では、次いで、両方とも不透明材料から形成される、2つの電極層を有する、エレクトロルミネセント素子(例えば、OLED)が提供される。電極の一方、「底部」または「第1」電極(すなわち、基板に最も近い電極)は、非均質層の形態である。他方の電極、「上部」または「第2」電極(すなわち、基板から最も遠い電極)は、実質的に均質層の形態である。
【0034】
概して、本発明の素子は、透明基板と、2つの電極層と、電極層との間のエレクトロルミネセント層とを採用する、エレクトロルミネセント素子である。追加の層および特徴が、本明細書に説明されるように、組み込まれ得る。電極層の一方は、電子注入層として機能し、他方の電極層は、正孔注入層として機能する(また、電子正孔注入層とも称される)。光子が、電子と電子正孔との再結合によって、エレクトロルミネセント層内に発生する。光子は、透明基板を通って、環境中へと、素子によって放出される。
【0035】
基板に到達するために、エレクトロルミネセント層内で発生した光子は、底部電極を通過しなければならない。そのような通過を可能にするために、本発明の素子は、パターン化された底部電極を採用する。いくつかの実施形態では、底部電極は、グリッド、例えば、交差ワイヤのグリッドの形態である。底部電極のさらなる説明は、本明細書の以下に提供される。
【0036】
本発明の素子は、透明基板を備える。任意の好適な透明材料が、基板のために使用され得るが、そのような材料の実施例は、以下に提供される。本開示の目的のために、基板は、本発明の素子の「底部」層とみなされ、そのように称される。したがって、第1の層は、第1の層が、第2の層より基板から遠い場合、第2の層の「上方」にあり、すなわち、第2の層は、基板と第1の層との間にある。同様に、第1の層は、第1の層が、基板と第2の層との間にある場合、第2の層の「下方」にある。本用語の表現法は、必ずしも、層の蒸着の任意の特定の順番を含意することを意図するものではない。したがって、基板は、「底部」層と称され、他の層がすべて、基板の「上方」にあるが、そのような参照は、基板が、必ずしも、最初に提供されなければならず、全層が、基板上に蒸着されることを含意することを意味しない。素子の層が、基板から始まり、互いに蒸着される実施形態は、発明の範囲内である。しかしながら、素子の層が、互いに蒸着され、基板で終わる実施形態もまた、発明の範囲内である。
【0037】
本開示を通して、「上部」および「底部」表面という参照が成される。層の「上部」表面は、基板から最も離れた表面を指し、層の「底部」表面は、基板に最も近い表面を指すことを理解されるであろう。
【0038】
本発明の素子は、基板に接触する光学層を備える。光学層は、透明誘電材料から成り、好適な材料の実施例は、以下に提供される。光学層は、単一ステップで蒸着され、材料の単一層を形成し得、または光学層は、ステップの組み合わせで蒸着され、材料の複数の層を形成し得る。しかしながら、典型的には、光学層がステップの組み合わせで蒸着される場合、各ステップにおいて使用される材料は、同一であるか、または各ステップにおいて使用される材料の屈折率は、同一となるであろう。したがって、好ましい実施形態では、任意の特定の素子のための光学層を形成するために使用される材料間に、屈折率の変化は存在しない。光学層は、光学層および基板が、(光学的に)単一層として機能するように、基板と同一材料から成り得る。光学層は、光学層が、基板に接触(すなわち、重層)するように、基板を覆って、直接蒸着される。
【0039】
光学層の上方(かつ、接触する)には、伝導性層がある(上述のように、「上方」とは、伝導性層が、光学層より基板から遠いことを意味する)。伝導性層は、透明であって、任意の好適な透明伝導性材料から成り得る。いくつかのそのような材料は、後述される。好ましい実施形態では、伝導性層は、光学層を覆って、共形的に蒸着される。
【0040】
伝導性層の上方(かつ、接触する)には、エレクトロルミネセント層がある。エレクトロルミネセント層は、任意の好適なエレクトロルミネセント材料から成り得、いくつかのそのような材料は、後述される。好ましい実施形態では、エレクトロルミネセント層は、伝導性層を覆って、共形的に蒸着される。
【0041】
エレクトロルミネセント層の上方(かつ、接触する)には、電極層がある。エレクトロルミネセント層の上方の電極層は、本明細書では、「第2」電極層または「上部」電極と称される。第2の電極層は、好ましい実施形態では、エレクトロルミネセント層を覆って、共形的に蒸着される、均質層である。いくつかの実施形態では、第2の電極は、カソードおよび/または電子注入電極として機能する。他の実施形態では、第2の電極は、アノードおよび/または正孔注入電極として機能する。第2の電極に好適な材料の実施例は、後述される。概して、必ずしもではないが、第2の電極は、不透明材料から調製される。
【0042】
本明細書の素子は、第1の電極層に重層する追加の層をさらに備え得ることを理解されるであろう。例えば、封入層または望ましい光学特性を提供する層が、第2の電極層の上方にあり得る。
【0043】
本発明の素子はさらに、代替として、本明細書では、「底部」電極と称され得る、第1の電極を備える。いくつかの実施形態では、第1の電極は、カソードおよび/または電子注入電極として機能する。他の実施形態では、第1の電極は、アノードおよび/または正孔注入電極として機能する。第1の電極に好適な材料の実施例は、後述される。概して、必ずしもではないが、第1の電極は、不透明材料から調製される。
【0044】
底部電極は、エレクトロルミネセント層内で発生する光子の少なくとも一部を底部電極に横断させ、基板を通して、素子から出射させるために好適なパターンとして、パターン化される。故に、底部電極は、非均質層である。好ましい実施形態では、底部電極は、グリッドパターンとして、パターン化される。グリッドパターンは、第1の方向に配置される、複数の実質的に平行なワイヤと、第2の方向に配置される、複数の実質的に平行なワイヤとを備える。第1および第2の方向は、互いに対して垂直(すなわち、90度)であり得、または互いに対して90度以外の角度(例えば、45度等)であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、底部電極は、光学層内に埋入され、基板に接触しない。他の実施形態では、底部電極は、基板と光学層の両方に接触する。いくつかのそのような実施形態では、底部電極は、基板の上側に配置される。他のそのような実施形態では、底部電極は、底部電極が、基板内に部分的に埋入され、光学層内に部分的に埋入されるように、基板と光学層との間の界面を横断する。なおも他のそのような実施形態では、底部電極は、底部電極の上部表面が、基板の上部表面と同一平面にあり、したがって、底部電極の上部表面が、光学層に接触するように、基板内に埋入される。
【0046】
本発明による、グリッド底部電極のワイヤの寸法および断面形状は、素子の特性を最適化するように選択され得る。例えば、好ましい実施形態では、ワイヤの断面形状は、台形または正方形であって、したがって、ワイヤは、4つの表面(すなわち、上部、底部、および2つの側部表面)と、4つの縁(すなわち、2つの上部縁および2つの底部縁)とを備える。好ましい実施形態では、ワイヤの上部2つの縁は、光学層に接触する。例えば、2つの上部縁は、光学層内に完全に埋入され得る。代替として、ワイヤの上部表面は、ワイヤの2つの上部縁が、光学層と基板との間の界面にあるように、基板の上部表面と同一平面にあり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明のグリッド底部電極のワイヤは、約50nmから約2000nm、または約100nmから約1500nm、または約250nmから約1000nm、または約500nmから約1000nm、または約500nmから750nmの平均断面幅を有する。いくつかの実施形態では、ワイヤは、2000nm未満、または1500nm未満、または1250nm未満、または1000nm未満、または900nm未満、または800nm未満、または700nm未満、または600nm未満、または500nm未満、または400nm未満、または300nm未満、または200nm未満、または100nm未満の平均幅を有する。いくつかの実施形態では、ワイヤは、50nm超、または100nm超、または200nm超、または300nm超、または400nm超、または500nm超、または600nm超、または700nm超、または800nm超、または900nm超、または1000nm超、または1250nm超、または1500nm超、または2000nm超の平均幅を有する。
【0048】
同様に、本明細書に詳述されるいくつかの実施形態では、任意の所与の素子のためのビアの平均幅は、第1の電極ワイヤの平均幅未満である。例えば、ビアは、100nmから1500nm、または250nmから1000nm、または500nmから1000nm、または500nmから750nmの平均幅を有し得る。いくつかの実施形態では、ビアは、1500nm未満、または1250nm未満、または1000nm未満、または900nm未満、または800nm未満、または700nm未満、または600nm未満、または500nm未満、または400nm未満、または250nm未満、または100nm未満の平均幅を有する。いくつかの好ましい実施形態では、ビアは、100nm超、または250nm超、または400nm超、または500nm超、または600nm超、または700nm超、または800nm超、または900nm超、または1000nm超、または1250nm超、または1500nm超の平均幅を有する。
【0049】
グリッド電極は、第1の方向に延設する第1の一式の平行ワイヤと、第2の方向に延設する第2の一式の平行ワイヤとを備える。平行一式のワイヤ間の好ましい間隔は、伝導性層内の伝導性材料の伝導性によって影響を受ける。高伝導性を有する材料(例えば、PEDOTまたはPEDOT誘導体のある配合)の場合、平行ワイヤ間の間隔は、低または中程度伝導性を有する材料より大きくなることが可能である(例えば、希釈されたPEDOTまたはPEDOT誘導体)。理論に拘束されることを所望するわけではないが、これは、より高い伝導性材料が、エレクトロルミネセント層に進入する前に、伝導性層を通して電荷をより効率的に拡散させ、それによってエレクトロルミネセント層からのより均一な放出を可能にするためと考えられる。したがって、一般に、本発明の素子のための平行ワイヤ間の間隔(中心から中心)は、1μmから500μm、または2μmから400μm、または2μmから300μm、または5μmから300μm、または5μmから200μm、または10μmから200μm、または10μmから100μm、または15μmから100μm、または20μmから50μmである。いくつかの実施形態では、平行ワイヤ(中心から中心)間の間隔は、1μmから5μm、または1.5μmから5μm、または1.5μmから4μm、または2μmから4μm、または2.5μmから4μmである。いくつかの実施形態では、平行ワイヤ間の中心から中心の間隔は、5μm未満、または4μm未満、または3μm未満、または3.5μm未満、または2μm未満、または2.5μm未満である。いくつかの実施形態では、平行ワイヤ間の中心から中心の間隔は、1μm超、または2μm超、または2.5μm超、または3μm超、または3.5μm超、または4μm超、または5μm超である。いくつかの実施形態では、第1の方向に延設する平行ワイヤ間の間隔は、第2の方向に延設する平行ワイヤ間の間隔と同一である。他の実施形態では、第1の方向に延設する平行ワイヤ間の間隔は、第2の方向に延設する平行ワイヤ間の間隔と異なる。
【0050】
交差ワイヤのグリッドを備える、第1の電極の場合、第1の電極の伝導性は、ワイヤの断面プロファイル(すなわち、幅および高さ)を変動させることによって、調節可能であることを理解されるであろう。同様に、第1の電極の「透明性」(すなわち、エレクトロルミネセント層内に産生される光子のうち、第1の電極層を横断可能な光子の数対第1の電極層に到達する光子の全数)は、ワイヤの幅および間隔を変動させることによって、調節可能である。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の電極は、第1の方向に延設する第1の一式の平行ワイヤと、第2の方向に延設する第2の一式の平行ワイヤとを備える、グリッド電極である。いくつかのそのような実施形態では、第1の一式のワイヤが電流を搬送するか、または第2の一式のワイヤが電流を搬送する。
【0052】
本発明の素子の好ましい実施形態では、一連のビアが、光学層内に存在する。ビアは、光学層内のチャネルであって、第1の電極のワイヤの位置に対応するように位置付けられる。したがって、第1の電極が、交差ワイヤのグリッドを備える場合、ビアは、同様に配列されたグリッド内に存在する。ビアは、光学層の上表面から、第1の電極の上表面まで延在し、それによって、光学層を通して、第1の電極を露出させる、チャネルを形成する。上述のように、伝導性材料を備える伝導性層は、光学層に重層する。ビアの内部は、ビアが、光学層を通して、伝導性チャネルを形成し、第1の電極を伝導性層と電気的に接続させるように、伝導性材料を備える。
【0053】
上述のように、本発明による素子のための第1の電極は、パターン化された電極である。例えば、好ましい素子では、第1の電極は、相互接続されたワイヤのグリッドとしてパターン化される。そのような電極は、第1の一式の実質的に平行なワイヤと、第2の一式の実質的に平行なワイヤとを備える。第1の一式のワイヤは、第1の平均幅と、第1の平均深さとを有し、第2の一式のワイヤは、第2の平均幅と、第2の平均深さとを有する。第1の平均幅は、第2の平均幅と同一または異なってもよく、第1の平均深さは、第2の平均深さと同一または異なり得る。典型的には、第1および第2の平均幅は、同一であって、第1および第2の平均深さも、同一であろう。第1の一式のワイヤの全部または一部は、第2の一式のワイヤの全部または一部と交差し、それによって、複数の交差点を形成する。
【0054】
図1aは、2つのワイヤ間の交差点を図式的に例証する。第1のワイヤは、幅W1を有し、第2のワイヤは、幅W2を有する。2つのワイヤ間の交差は、D1として標識される直径(すなわち、最大寸法)を有する。D1は、W1より大きく、W2より大きく、またはW1およびW2の両方より大きくてもよいことを理解されるであろう。また、交差点は、図1a内の破線によって示されるように、鋭角ではなく、湾曲を備え得ることを理解されるであろう。湾曲角は、D1の値をさらに増加させるであろう。
【0055】
第1の電極が、上述のように、グリッドとしてパターン化されると、ビアは、同一グリッドパターンとして、交差チャネル網を形成する(それによって、電極のグリッドを光学層の上方の伝導性層に露出させる)。概して、ビアのパターンは、第1の電極のパターンを模倣する。いくつかの実施形態では、ビアは、第1の電極の上部表面全体を露出しない。例えば、第1の電極が、平均幅W1を有するワイヤ網を備える場合、ビアは、第1の電極の一部が、光学層の光学材料によって被覆されたままとなるように、W1より小さい平均幅を有するであろう。好ましい実施形態では、ビアは、第1の電極ワイヤの上部2つの縁が、光学材料によって被覆されるように、第1の電極のワイヤを覆って中心に置かれる。例えば、図3d(後述される)参照。グリッドとしてパターン化されるビアは、(図1aに関連する)第1の電極に対して上述されたものと同一寸法配慮を有するであろう。言い換えると、ビアは、幅を有し、ビアが交差する点は、直径を有するであろう。いくつかの実施形態では、任意の所与の素子に対して、ビアの平均幅は、第1の電極のワイヤの平均幅より小さくなるであろう。さらに、任意の所与の素子に対して、ビアの交差における平均直径は、ワイヤの交差における平均直径より小さくなるであろう。しかしながら、所与の素子に対して、ビアの交差における平均直径は、第1の電極のワイヤの平均幅より大きくてもよいことを理解されるであろう。さらに、いくつかの実施形態では(後述される)、ビアの幅は、第1の電極のワイヤの幅より大きい。
【0056】
第1の電極が、マスキング技法を使用して形成される場合、同一マスクが、ビア網を形成するために使用され得、または異なるマスクが、ビア網を形成するために使用され得る。典型的には、ビアを形成するためのマスクは、第1の電極を形成するためのマスクを模倣するであろう(しかしながら、例えば、第1の電極と比較して、より小さい幅または直径を有するビアを形成するように修正され得る)。「模倣」とは、マスクパターンのある特徴は、類似する一方、マスクパターンの他の特徴は、異なり得ることを意味する。例えば、第1の電極を生成するために使用されるマスクは、幅W1および間隔S1を有する、ワイヤを形成し得る。重層ビアを生成するために使用される、「模倣」マスクは、幅W2(式中、W1>W2)および間隔S2(式中、S1=S2)を有する、ビアを生成するであろう。そのようなマスクは、第1の電極のワイヤの上部表面の一部を露出する、ビアのパターンを生成するであろう。
【0057】
理論に拘束されることを所望するわけではないが、グリッド電極は、ビアを通して、伝導性層内に均一かつ効率的に、電流を分布させる。すなわち、各ビアを通過する電流は、伝導性層全体を通して、側方に拡散され、素子を均一に発光させる。本機構を想定すると、隣接するビア間の許容可能距離は、有機伝導性層の伝導性に依存するであろう。すなわち、有機伝導性層が、より高い伝導性を有する場合、ビア間の距離は、より大きくなることが可能である。
【0058】
金属グリッド電極の透明性は、グリッドによって被覆されない表面積の部分対総表面積を計算することによって、予測可能である。ワイヤの幅が、Dであって、隣接するワイヤの縁から縁の間隔が、Sである場合、透明性(T%)は、以下の式を使用して予測可能である
T%=S/(S+D) (1)
例えば、0.5μm幅のワイヤが、4μm離れて配置される場合、式(1)を使用して電極に対して予測される透明性は、4/(4+0.5)=79%となるであろう。ワイヤが、0.25μmまで細くされる場合、透明性は、89%まで増加するであろう。代替として、より大きなSは、伝導性層が十分な伝導性を有する限り、ワイヤの幅を低減させることなく、T%を増加させるために使用可能である。
【0059】
大部分の金属の伝導性は、ITOより1−2桁大きいため、かつグリッド電極の断面厚は、調節可能であるため、グリッド電極のシート抵抗は、透明性を犠牲にすることなく、ITO電極以下にすることが可能であって、典型的には、約10Ω/□である。例えば、グリッド電極が、100nm厚のタングステン(W)膜から成る(すなわち、第1の電極が、厚さ100nmを有するワイヤを備える)場合、W薄膜のシート抵抗(Rs−w)は、膜厚(d)で除算された抵抗率W(ρ)に相当する。これは、以下によって求められる。
Rs−w=ρ/d=5.60×10−8Ωm/100×10−9m=0.56Ω/□
概算として、図1を参照すると、グリッド電極の全ての平方表面積が、1つの金属線伝導電流のみを有すると仮定して、グリッド電極の相当シート抵抗は、各平方の箱内の単一ワイヤの抵抗を使用して予測可能である。図1では、電極ワイヤ60は、グリッドを形成し、電流の流動方向は、太矢印によって示される。65と標識されるワイヤの区画は、正方形66のための導体とみなすことが可能である。4μm離れて離間された0.5μm幅のワイヤを想定する上述の実施例を使用すると、各4.5μm×4.5μmの箱内のワイヤの長さは、9平方(4.5/0.5=9□)である。したがって、各線の抵抗(Rs−グリッド)は、0.56Ω/□×9□=5.0Ωである。グリッド電極の見掛シート抵抗は、Rs−グリッド=5.0Ω/□である。ワイヤの幅が、0.25μmまで削減される場合、シート抵抗は、ITO電極に相当する、2×5.0Ω/□=10Ω/□まで増加する。より低いシート抵抗が所望される場合、dを適宜増加可能である。
【0060】
上述の議論によって示されるように、本発明によるグリッド電極は、ITO電極に匹敵する抵抗率および透明性を有するように調製可能である。しかしながら、グリッド電極の光学性能は、グリッド電極が、ITO電極のように光学損失を生じさせないため、ITO電極より大幅に優れている。本発明の素子は、ITO等の透明伝導性電極を使用時に、電極/基板界面における反射によって従来損失される光の量を低減または排除する。特に、本発明の素子内で使用される光学層材料が、基板材料に近似または一致する屈折率を有する場合、反射は、光学層/基板界面において、低減または排除される。
【0061】
第2の電極は、パターン化(すなわち、非均質)または非パターン化(すなわち、均質)され得る。例えば、第2の電極は、所望に応じて、シャドウマスクまたはパターン化層を生成するための他の手段を使用して、パターン化され得る。同様に、エレクトロルミネセント層は、パターン化または非パターン化され得る。
【0062】
(材料)
本発明の素子は、透明基板を備える。本発明の方法における基板に好適な材料は、透明または半透明であって、OLED素子と適合性がある。ポリマーおよび非晶質または半結晶性セラミックは、好ましい材料である。無機材料の実施例として、二酸化ケイ素(すなわち、シリカガラス)、種々のシリコン系ガラス、例えば、ソーダ石灰ガラスおよびホウケイ酸ガラス、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、塩化ナトリウム、ダイヤモンド等が挙げられる。透明または半透明ポリマー材料の実施例として、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。基板は、硬質または可撓性であってよく、任意の好適な形状および構成であり得る。
【0063】
本発明の素子は、光学層をさらに備える。本発明の方法における光学層に好適な材料は、透明誘電(すなわち、非伝導性)材料である。ポリマーおよび非晶質または半結晶性セラミックは、好ましい材料である。無機材料の実施例として、二酸化ケイ素(すなわち、シリカガラス)、種々のシリコン系ガラス、例えば、ソーダ石灰ガラスおよびホウケイ酸ガラス、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、塩化ナトリウム、ダイヤモンド等が挙げられる。透明または半透明ポリマー材料の実施例として、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。
【0064】
いくつかの実施形態では、光学材料は、セラミックまたはプレセラミック材料を備える。そのような材料は、架橋結合される(セラミック材料の場合)または架橋結合網を形成可能な(プレセラミック材料の場合)非伝導性材料である。
【0065】
いくつかの実施形態では、光学材料は、有機または完全に無機であり得る、シリコン含有材料である。実施例として、光学材料は、1993年9月21日発行のBlumの米国特許第5,246,738号(「Hydridosiloxanes as Precursors to Ceramic Products」)、および2008年12月8日出願の同時係属中の米国特許出願第12/330,319号に説明されている、プレセラミック材料の構造を有し得、本明細書に開示される方法によって、合成され得る。そのような材料および方法に関わるこれらの文書の開示は、参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0066】
例えば、光学材料は、式(I)の構造を有する、反復単位を備え得る。
【0067】
【化1】

式中、RおよびRは、独立して、H、OH、C−C30ヒドロカルビル、有機金属、ハロカルビル、および有機シリルから選択され、そのそれぞれは、随意に、置換され、随意に、ヘテロ原子含有であり得、式中、Xは、−O−および−NR−から選択され、式中、Rは、ヒドロカルビルである。例えば、各RおよびRは、H、OH、またはヒドロカルビルであり得る。好ましい実施形態では、RおよびRは、H、OH、C−C20アルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、C−C20アルコキシ、C−C20アリール、C−C20アリールオキシ、C−C20アラルキル、およびC−C20アルカリールから選択される。さらに好ましい実施形態では、RおよびRは、置換または非置換C−C20アルキル、置換または非置換ヘテロ原子含有C−C20アルキル、置換または非置換C−C20アルケニル、置換または非置換ヘテロ原子含有C−C20アルケニル、置換または非置換C−C20アルキニル、置換または非置換ヘテロ原子含有C−C20アルキニル、置換または非置換C−C20アリール、置換または非置換C−C20ヘテロアリール、置換または非置換C−C20アラルキル、置換または非置換ヘテロ原子含有C−C20アラルキル、置換または非置換C−C20アルカリール、および置換または非置換ヘテロ原子含有C−C20アルカリールから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、OHであって、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、およびアルカリールから選択され、そのいずれも、ヘテロ原子含有であり得、そのいずれも、非置換であるか、またはハロ、ヒドロキシル、アルキル、およびアリールから選択される、1つ以上の基で置換され得る。いくつかの実施形態では、Rは、低級アルキル、例えば、メチルまたはエチルであって、Rは、H、OH、またはC−C20アルコキシである。いくつかの好ましい実施形態では、Xは、材料が、シロキサンまたはポリシロキサン材料で有るように、−O−である。
【0068】
さらに、式(I)では、nは、1以上の整数である。故に、モノマー、ダイマー、トリマー、および高次材料、例えば、オリゴマーおよびポリマーが、好適である。光学材料は、異なる化合物の混合物を備え得、それぞれ、式(I)の構造を有するが、種々のnの値を有する、反復単位を備えることを理解されるであろう。
【0069】
例えば、光学材料は、化[RSi(OH)O]、[RSi(OR2a)O]、および/または[RSi(H)O]を有する、反復単位を備え得、式中、Rは、上に定義されるものであって、R2aは、ヒドロカルビルおよび有機シリルから選択される。
【0070】
光学材料は、硬化反応を介して、架橋結合されるか、または架橋性のいずれかである。硬化は、材料を架橋結合する際に効果的な任意の方法を使用して、実行可能であって、他のOLED要素のいずれとも適合性がある。例えば、所定の時間における熱および/またはUV放射の印加は、高温および/または放射への露出で架橋結合するプレセラミック材料を硬化する効果的な方法である。代替として、または加えて、架橋結合触媒、例えば、有機アミンまたは別の有機塩基を使用して、結合材料を架橋結合し得る。ある場合には、そのような反応は、自発的に生じるため、硬化反応を誘発する(例えば、熱を印加することによって)必要性がないことを理解されるであろう。好ましい実施形態では、硬化反応から生じるいずれの副産物も、溶媒洗浄または真空の印加によって、便宜に除去される、小分子(例えば、水、メタノール等)である。
【0071】
いくつかの実施形態では、硬化後、セラミック材料は、構造−[Si(R)(X)1.5]−を有する架橋単位を備え、式中、Rは、H、ヒドロキシル、フルオロカルビル、およびヒドロカルビルから選択され、Xは、−O−および−NR−から選択され、Rは、アルキルおよびアリールから選択される。例えば、Xは、−O−であって、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、およびアルカリールから選択され、そのいずれも、ヘテロ原子含有であり得、そのいずれも、非置換であるか、またはハロ、ヒドロキシル、アルキル、およびアリールから選択される、1つ以上の基で置換され得る。
【0072】
上述のセラミック材料は、例えば、米国出願第12/330,319号に説明されるように、デヒドロカップリング反応および/またはヒドロシリル化反応を使用して、調製され得る。例えば、セラミック材料は、遷移金属触媒、例えば、Ru(CO)12、HPtCl等の存在下、ポリヒドロメチルシロキサン(PHMS)の水および/またはアルコールとの反応によって調製され得る。セラミック材料は、調製されると、例えば、当技術分野において典型的であるように、シリカゲルまたは活性炭カラムを使用して、遷移金属触媒で精製可能である。
【0073】
本発明の素子は、伝導性層をさらに備える。本発明の方法における伝導性層に好適な材料は、伝導性で透明であって、光学層を覆って、かつビア内に蒸着するために好適である。伝導性材料は、有機または無機(金属および金属酸化物を含む)であり得る。好ましい実施形態では、伝導性材料は、有機である。
【0074】
伝導性材料のための好ましい材料は、透明伝導性ポリマーであって、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。PEDOTの誘導体およびコポリマー、例えば、PEDOT/スルホン酸ポリスチレンは、好適な材料のさらなる実施例である。好適な追加の材料として、ポリアニリン(PANI)、グラフェン、カーボンナノチューブ、およびグラフェン−カーボンナノチューブハイブリッドが挙げられる。伝導性かつ透明である、非ポリマー有機材料もまた、使用され得る。
【0075】
伝導性材料は、代替として、透明無機材料、例えば、透明伝導性酸化物(TCO)であり得る。実施例は、以下のような伝導性あるいは半伝導性金属および/または金属酸化物層を含む:スズ酸化物;酸化亜鉛;Ag;SnO:X(式中、X=Sb、Cl、またはF);In:X(式中、X=Sb、Sn、Zn(すなわち、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物等));CdSnO;TiN;ZnO:X(式中、X=In、Al、B、Ga、F);ZnSnO;ZnSnO;ならびにCdSnO。さらに、伝導性材料は、極薄金属(例えば、Ag、Au、Cr、Al、Ti、Co、Ni等)であり得る。伝導性材料は、本明細書に説明される、金属、金属酸化物、および有機伝導性材料の任意の組み合わせであり得る。
【0076】
本発明の素子は、エレクトロルミネセント層をさらに備える。本発明の方法における、エレクトロルミネセント層に好適な材料は、正孔注入層からの正孔および電子注入層からの電子を受け取り、注入された正孔および電子が結合すると、電磁放射(例えば、光)を放出可能な材料である。故に、ある実施形態では、エレクトロルミネセント材料は、有機または小分子の多層等、いくつかの有機または無機化合物あるいはそれらの混合物のうちのいずれかを含み得る。例えば、エレクトロルミネセント層は、ポリマー材料を含む、または1つ以上の小分子材料から成り得る。しかしながら、材料は、少なくとも1つのエレクトロルミネセント化合物、例えば、有機、無機、または小分子エレクトロルミネセント化合物を含有しなければならない。ある実施形態では、エレクトロルミネセント化合物は、単純有機分子または複合ポリマーあるいはコポリマーを含み得る。例えば、単純有機ルミネセント分子は、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)−アルミニウムまたはペリレンを含み得る。
【0077】
ある実施形態では、エレクトロルミネセント材料は、ポリマーまたはコポリマーを含む。好適なポリマーまたはコポリマーの分子構造は、炭素系またはシリコン系バックボーンを含み得る。ポリマーおよびコポリマーは、直鎖、分岐、架橋、またはそれらの任意の組み合わせであり得、約5000の低程度から1,000,000超の広範囲の分子量を有し得る。コポリマーの場合、コポリマーは、交互、ブロック、ランダム、グラフトコポリマー、またはそれらの組み合わせであり得る。本開示に関連して有用である、好適なエレクトロルミネセントポリマーの実施例として、共役ポリマー、例えば、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニルビニレン、ポリフルオレン類、1,3,4−オキサジアゾール含有ポリマー、ならびにそれらの種々の誘導体およびコポリマー等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0078】
例示的エレクトロルミネセントポリマーは、以下の式(II)の一般構造を有する、アリール置換されたポリ(アリレン−ビニレン)ポリマーである。
【0079】
【化2】

式中、Arは、1個から3個の芳香環を含有する、アリレン、ヘテロアリレン、置換アリレン、または置換ヘテロアリレンである。
【0080】
は、アリール置換基であって、かつ式−−Ar−−N(R)であって、式中、Arは、Arについて定義される通りであって、RおよびRは、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルである。
【0081】
およびRは、独立して、ヒドリド、ハロ、シアノ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルから成る群から選択されるか、またはRおよびRは、三重結合を一緒に形成し得る。
【0082】
他の部分は、以下の通りであり得る。
【0083】
Arは、5員または6員アリレン、ヘテロアリレン、置換アリレン、または置換ヘテロアリレン基であり得、あるいは融合もしくは連鎖された、1個から3個のそのような基を含有し得る。好ましくは、Arは、1つまたは2つの芳香環から構成され、最も好ましくは、5員または6員アリレン、ヘテロアリレン、置換アリレン、または置換ヘテロアリレンである、単一芳香環から構成される。アリール置換基中のアリレン結合部分であるArは、同じように定義される。
【0084】
置換基RおよびRは、概して、ヒドリドであるが、また、ハロ(特に、クロロまたはフルオロ)あるいはシアノ、もしくは置換または非置換アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、およびヘテロアリールであり得る。
【0085】
およびRは、同じであるか、または異なり得、述べたように、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルである。例えば、RおよびRは、アルキル、アルコキシ置換されたアルキル、ポリエーテル置換されたアルキル、ニトロ置換されたアルキル、ハロ置換されたアルキル、アリール、アルコキシ置換されたアリール、ポリエーテル置換されたアリール、ニトロ置換されたアリール、ハロ置換されたアリール、ヘテロアリール、アルコキシ置換されたヘテロアリール、ポリエーテル置換されたヘテロアリール、ニトロ置換されたヘテロアリール、ハロ置換されたヘテロアリール等であり得る。ある実施形態では、置換基は、アリール、例えば、フェニル、アルコキシ置換されたフェニル(特に、メトキシフェニル等の低級アルコキシ置換されたフェニル)、ポリエーテル置換されたフェニル(特に、−−CH(OCHCHOCHまたは−−(OCHCHOCHで置換されたフェニル、式中、nは、概して1〜12、好ましくは1〜6、最も好ましくは1〜3である)、およびハロ置換されたフェニル(特に、フッ化または塩化フェニル)である。
【0086】
米国特許第6,414,104号で説明されている別の例示的エレクトロルミネセントポリマー材料は、以下の式(III)の一般的構造を有するモノマー単位を含有する、アリール置換されたポリ(アリレン−ビニレン)ポリマーである。
【0087】
【化3】

式中、X、Y、およびZは、独立して、N、CH、およびCRから成る群から選択され、Rは、ハロ、シアノ、アルキル、置換アルキル、ヘテロ原子含有アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、または置換へテロアリールである、または、隣接する炭素原子上の2つのR部分は、追加環状基を形成するように連鎖され得る。
【0088】
Arは、上で定義される通りである。
【0089】
ArおよびArは、独立して、1つまたは2つの芳香環を含有する、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、および置換ヘテロアリールから成る群から選択される。
【0090】
およびRは、上で定義される通りである。
【0091】
上述の式(I)では、X、Y、およびZがすべて、CHである時、ポリマーは、ポリ(フェニレンビニレン)誘導体である。X、Y、およびZのうちの少なくとも1つがNである時、芳香環は、例えば、置換または非置換ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,4−トリアジニル、または1,2,3−トリアジニルとなるであろう。例えば、X、Y、およびZのうちの1つは、CHであり得、他の2つは、CHまたはCRのいずれか一方であり得、式中、Rは、ヘテロ原子含有アルキル、例えば、アルコキシ、または、nが、1から12、例えば、1から3等の1から6であり得る、ポリエーテル置換基−CH(OCHCHOCHまたは−(OCHCHOCH基であり得る。
【0092】
ポリマーは、少なくとも1つの追加種類のモノマー単位を伴う、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。好ましくは、ポリマーがコポリマーである場合、追加モノマー単位もまた、例えば、式(IV)の構造を有する、アリレン−ビニレンモノマー単位である。
【0093】
【化4】

式中、R、R、およびRは、上に定義された通りであって、qは、0から4(0と4を含む)の範囲の整数である。
【0094】
式(I)の構造を有する具体的なポリマーの実施例は、ポリ(2−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−1,4−フェニレンビニレン、およびポリ(2−(3−ジフェニルアミノフェニル)−1,4−フェニレンビニレンである。
【0095】
米国特許第6,414,104号で開示されている具体的なポリマーの実施例は、ポリ(2−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−1,4−フェニレンビニレン、およびポリ(2−(3−ジフェニルアミノフェニル)−1,4−フェニレンビニレンである。
【0096】
本発明における使用に好適なエレクトロルミネセントポリマーもまた、米国特許第6,723,828号、第6,800,722号、および第7,098,297に説明されており、参照することによって本明細書に組み込まれる。これらの参照された特許において、式(V)の構造を有するモノマー単位を含有する、共役ポリマーが開示される。
【0097】
【化5】

式中、ArおよびArは、独立して、単環式、二環式、および多環式アリレン、ヘテロアリレン、置換アリレン、置換ヘテロアリレン基から成る群から選択される。
【0098】
Lは、アルキレン、アルケニレン、置換アルキレン、置換アルケニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、置換ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルケニレン、アリレン、ヘテロアリレン、置換アリレン、または置換ヘテロアリレンである。
【0099】
mは、0または1である。
【0100】
nは、0または1である。
【0101】
およびQは、独立して、H、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、アルキル、および置換アルキルから成る群から選択され、Qは、mが1であって、QおよびQがH以外であるという条件で、アルキルおよび置換アルキルから成る群から選択される。
【0102】
は、負の電荷を持つ対イオンである。
【0103】
エレクトロルミネセント材料はまた、式(IV)内のポリマーと他のポリマーの混成物ならびに種々のコポリマーを含み得る。
【0104】
本発明の素子はさらに、上部電極層(すなわち、第2の電極)と、底部電極(すなわち、第1の電極)とを備える。本発明の方法における電極層のための材料は、金属、例えば、Au、Pt、Ag、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等である。伝導性金属酸化物、例えば、SN、In、La、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、またはZnの酸化物もまた、使用され得る。任意の他の好適な伝導性材料(例えば、伝導性ポリマー、カーボンナノチューブ、グラフェン、それらのハイブリッド等)もまた、使用され得る。いくつかの実施形態では、第2の電極は、透明材料(例えば、ITO等)から成る。そのような実施形態は、素子の両側から光子を放出可能な素子を備える。
【0105】
本明細書に説明される層の蒸着は、任意の適切な方法によって達成可能である。例えば、方法は、化学溶液蒸着方法、例えば、ゾルーゲル処理、浸漬コーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング等を含む。金属層は、例えば、真空蒸着方法(例えば、スパッタリング、熱蒸発、化学気相蒸着等)を使用して、蒸着され得る。パターン化された第1の電極の形成は、任意の適切なパターン化技法、例えば、リソグラフィック方法等によって、達成され得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明の素子は、以下のように調製され得る。透明基板が提供される。パターン化された第1の電極が、基板上に蒸着される。第1の電極は、基板内の凹所に設けられてもよく(すなわち、第1の電極を蒸着する前に、基板内に適切なパターンをエッチングすることによって)、または基板の上面に重層し得る。いくつかの実施形態では、第1の電極は、基板内の全体的凹所に設けられ、第1の電極の上部表面および基板の上部表面が同一平面にあることが意味される。第1の電極は、最初に、電極材料の均質層を蒸着し、続いて、材料をエッチングまたは別様に除去し、パターン化された第1の電極を形成することによって、蒸着され得る。代替として、第1の電極は、例えば、マスクを通して、層を蒸着することによって、または電極材料を使用して、パターン化層を基板上に「塗布」することによって、パターン化層として直接蒸着され得る。
【0107】
パターン化された第1の電極の蒸着後、光学材料が、第1の電極および基板を覆って蒸着される。第1の電極のパターンを模倣する、ビアのパターンが、光学材料内に生成される(例えば、光学材料をエッチングまたは別様に除去することによって)。ビアは、第1の電極の上部表面の一部が、ビアを通して露出されるように形成される。伝導性材料は、伝導性材料が、ビアを通して、第1の電極の上部表面に接触するように、光学材料を覆って、かつビア内に、蒸着される。エレクトロルミネセント材料は、均質層またはパターン化層として、伝導性材料を覆って蒸着される。第2の電極は、エレクトロルミネセント材料を覆って蒸着される。すなわち、第2の電極もまた、均質層またはパターン化層として、生成される。
【0108】
いくつかの実施形態では、第1の電極は、基板に接触しない。そのような素子は、以下の手順に従って、調製され得る。透明基板が提供される。光学材料の第1の部分が、基板を覆って蒸着される。光学材料の第1の部分は、随意に、光学材料の一部をエッチングまたは別様に除去することによって、パターン化され得る。パターン化された第1の電極は、光学材料の第1の部分上に形成される。光学材料の第1の部分が、パターン化される場合、第1の電極は、パターン内の凹所に設けられ得る。すなわち、光学材料の第1の部分が、パターン化さない場合、第1の電極は、光学材料に重層するであろう。光学材料の第2の部分は、随意に、第1の部分および第1の電極を覆って蒸着され、それによって、平滑上部表面を形成し、光学材料内に第1の電極を封入する。光学材料の第2の部分が蒸着される場合、続いて、第1の電極の上部表面の一部が、ビアを通して露出されるように、光学材料を除去することによって、ビアのパターンが、光学材料の第2の部分内に形成される。伝導性材料は、伝導性材料が、ビアを通して、第1の電極の上部表面に接触するように、光学材料の第2の部分を覆って、かつビア内に、蒸着される。代替実施形態では、光学材料の第2の部分が蒸着されない場合、伝導性材料は、第1の電極および光学材料の第1の部分を覆って、直接蒸着される。エレクトロルミネセント材料は、伝導性材料を覆って蒸着される(再度、非パターン化またはパターン化層のいずれかを形成する)。第2の電極が、エレクトロルミネセント材料を覆って蒸着される(再度、パターン化または非パターン化層として)。
【0109】
いくつかの実施形態では、ビアの幅は、電極ワイヤの幅以上である。そのような実施形態による素子は、いくつかの方法で調製され得る。第1の実施例として、ビアの幅は、ワイヤの幅と同一であり得、両方の特徴は、同一マスク/リソグラフィプロセスによって形成され得る。第2の実施例として、ビアおよびワイヤの等幅は、以下の様態で得られる。透明基板を覆って、光学層が蒸着され、続いて、例えば、底部電極のために所望されるグリッドパターンに対応する一連の溝を伴って、パターン化される。底部電極ワイヤは、光学材料の溝内に蒸着される。本実施例の一実施形態では、ワイヤは、部分的にのみ、溝を充填し、他の実施形態では、ワイヤは、完全に、溝を充填する(しかしながら、溝の上部を越えて延在しない)。第3の実施例では、素子は、基板内にパターンをエッチングし、底部グリッドワイヤをエッチングされたパターン内に蒸着し、基板および底部電極を覆って、光学材料を蒸着し、続いて、ビアのパターンを光学材料内にエッチングすることによって形成される。このようにエッチングされたビアは、ワイヤの幅と比較して、同一またはより大きい幅を有し得る。上述の実施例のいずれにおいても、ワイヤの側部面全体が、基板、光学材料、または基板および光学材料の両方に接触し、ワイヤの2つの上部縁もまた、基板および/または光学材料に接触する。
【0110】
上述の実施形態のいずれにおいても、電極は、単一層または層の組み合わせとして、蒸着可能であることを理解されるであろう。例えば、電極は、アノード材料と正孔注入材料とを備える一対の層として、または単一層として蒸着可能である。同様に、電極は、カソード材料と電子注入材料とを備える一対の層として、または単一層として蒸着可能である。さらに、追加の層、例えば、封入層が、第2の電極を覆って蒸着され得る。
【0111】
(素子および図)
本明細書に開示される本発明は、エレクトロルミネセント素子、例えば、OLEDを調製するために好適である。加えて、エネルギー管理能力を伴う、他の光電子工学(例えば、光起電およびエレクトロクロミック)素子は、本明細書に開示されるように、不透明電極の使用から恩恵を受けることが可能である。本発明の素子は、従来の素子に勝る種々の利点を享受する。例えば、第1の電極は、パターン化されるため、不透明材料が、第1の電極のために使用され得る。いくつかの実施形態では、これは、より低コストおよび/またはより軽量の素子をもたらす。さらに、パターン化層としての第1の電極の存在は、そうでなければ、素子内に捕捉されるであろう、いくつかの光子の放出を確保するのに有用である(特に、そうでなければ、基板の上部表面で反射されるであろう、それらの光子のいくつか)。本原理は、図に例証され、後述される。
【0112】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による、素子100が、図式的に、断面として例証される。基板10は、透明材料を使用して調製される。光学(すなわち、絶縁体)層20は、基板10の片側(内部側)と接触する。光学層20と反対の基板10の側は、基板と環境との間の界面11を形成する。伝導性層30は、光学層20に重層する。エレクトロルミネセント層40は、伝導性層30に重層する。第2の電極層50は、エレクトロルミネセント層40に重層する。素子100内に埋入され、基板10および光学層20と交差するのは、第1の電極60である。第1の電極60の3つの領域は、図2に示される。第1の電極60は、実際は、連続電極(例えば、グリッドまたは本発明による他の実施形態)であることを理解されるであろう。したがって、3つの分離した電極領域が、図2の断面図に表出するが、そのような電極領域は、異なる断面(図示せず)において相互接続される。素子100はさらに、光学層20を通してチャネルを形成する、ビア35(3つが、図2に示される)を含む。ビア35は、伝導性層30を形成する、同一伝導性材料を含み、したがって、伝導性層30と電気的に連続であって、伝導性層30の一部とみなされ得る。素子100の動作のために必要とされる電極の一方を形成するのに加えて、第1の電極60はまた、エレクトロルミネセント層40によって放出される光子を方向付けるための手段を提供する。例えば、光子が、エレクトロルミネセント層40から放出され、経路Aによって示される軌道を有すると、光子は、第1の電極60に反射し、経路A1を辿る。第1の電極60が不在の場合、光子は、経路A2によって示される代替軌道を辿るであろう。経路A2は、大き過ぎて、光子を素子100から逃出させることができない入射角を伴って、界面11(すなわち、基板10と環境との間の界面)と交差することが分かる。対照的に、経路A1は、遥かに小さい入射角を伴って、界面11と交差し、界面を通って、環境内へと透過される。したがって、第1の電極60はさらに、素子100によって放出される光の量を増加させる機能を果たす。
【0113】
図3(a)、3(b)、および3(c)を参照すると、素子200、210、ならびに220が、図式的に、断面として示される。素子のそれぞれでは、基板10は、透明材料を備える。光学層20は、基板10の片側(内部側)と接触する。基板10の外部側(すなわち、光学層20と反対の側)は、基板と環境との間に界面11を形成する。伝導性層30は、光学層20に重層する。エレクトロルミネセント層40は、伝導性層30に重層する。第2の電極層50は、エレクトロルミネセント層40に重層する。素子のそれぞれ内に埋入されるのは、第1の電極60である(電極60の3つの領域が、各素子内に示される)。素子200では、第2の電極60は、第2の電極60の一側面が、基板10の一側面と同一面にあるように、基板10内に完全に埋入される。素子210では、第2の電極60は、基板10と光学層20との間の界面を横断する。素子220では、第2の電極60は、第2の電極60が、基板10に接触しないように、光学層20内に完全に埋入される。素子200、210、および220はさらに、光学層20を通してチャネルを形成する、ビア35(3つが、素子のそれぞれ内に示される)を含む。ビア35は、伝導性層30を形成する、同一伝導性材料で充填され、したがって、伝導性層30と電気的に連続であって、伝導性層30の一部とみなされ得る。素子200では、ビア35は、光学層20全体を通して延在する一方、素子210および220では、ビア35は、光学層20を部分的にのみ通って延在する。各素子では、ビア35は、ビア内側の伝導性材料が、第1の電極60に接触するように、第1の電極60まで延在する。
【0114】
素子210の拡大図は、図3(d)に示される。第1の電極60は、底部61、上部62、および側部63を伴う、台形断面を有する、ワイヤを備える。「底部」とは基板に接触する第1の電極の面を指す、または、第1の電極が基板に接触しない時、「底部」とは、基板に最も近い面を指すことを理解されるであろう。同様に、「上部」とは、底部面と反対の第1の電極の面を指す。第1の電極60はさらに、光学層20に接触する(すなわち、その中に埋入される)縁64を備える。本明細書に上述されるように、光学(すなわち、非伝導性)材料内に縁64を埋入することによって、本発明の素子は、第1の電極の縁を通して、殆どまたは全く伝導をもたらさない。
【0115】
また、図3(d)には、基板10と環境との間の界面表面である、外部表面11と、基板10と光学層20との間の界面表面である、内部表面12と、が示される。素子内の第1の電極60の位置は、素子200、210、および220によって実証されるように、可変であり得ることを理解されるであろう。さらなる実施例として、底部61は、接触表面12(例えば、また、図4の素子300によって例証される)であり得る。
【0116】
図4aを参照すると、素子300が、図式的に、断面として示される。図2および図3における素子と同様に、素子300は、基板10と、光学層20と、伝導性層30と、エレクトロルミネセント層40と、第2の電極50とを含む。第1の電極60は、正方形断面(再度、第1の電極60の3つの領域が、素子内に示される)を有し、基板10の上部に直接配置される。言い換えると、第1の電極60の底部面は、基板10と光学層20との間の界面に接触する。ビア35は、光学層20を通して延在し、ビア35内の伝導性材料を第2の電極60に接触させる。
【0117】
図4bおよび4cを参照すると、第1の電極60の幅と等しいビア35を有する素子(素子310)、または第1の電極60の幅より大きいビア35を有する素子(素子320)が示される。
【0118】
本明細書で言及される全ての特許、特許出願、および公報は、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。しかしながら、明確な定義を含む特許、特許出願、または公報が、参照することによって組み込まれる場合、これらの明確な定義は、それらが見出される、組み込まれた特許、特許出願、または公報に適用され、本願の残りの本文、特に本願の特許請求の範囲には適用されないことを理解されたい。
【0119】
本発明は、その好ましい具体的実施形態と関連して説明されたが、上述の説明ならびに以下の実施例は、例証を意図し、発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行なわれ、均等物と置換され得、さらに、他の側面、利点、および修正が、本発明に関わる当業者には明白となるであろうことを理解されたい。
【実施例】
【0120】
(実施例1)
図5aにおいて、素子400として、図式的に、断面として示される素子は、以下の手順に従って調製された。市販のITO/ガラス基板から開始し、プラズマ化学気相蒸着(PECVD)プロセスを使用して、ITO/ガラス基板の上部に、SiOの薄層を蒸着した。続いて、基板は、標準的リソグラフィプロセスを使用して、2−7μm離れた離間した0.3−3.0μmの範囲の直径を伴う、ビアのアレイを用いてパターン化された。反応性イオンエッチング(RIE)を使用して、SiO層を通して、ビアを生成した。レジストを剥離後、基板に、PEDOT層をスピンコーティングし、発光ポリマー(LEP)層をスピンコーティングし、Ca/Alカソードを蒸着させるステップを含む、標準的OLED加工プロセスを行なった。図5aでは、ガラス基板10は、重層ITO層60を有する。ビア35は、SiO層20を通して延在する。PEDOT層30は、ビア35を充填する。LEP層40は、PEDOT層30に重層し、Ca/Alカソード層50は、LEP層40に重層する。
【0121】
本手順による素子は、異なる絶縁層厚、異なるビア直径、および異なる間隔を有するように調製された。これらのパラメータはすべて、素子性能に影響を及ぼすことが見出された。これらのパラメータのある組み合わせでは、素子EQEは、絶縁(SiO)層を伴わない、通常のITO電極上に加工された対照素子より10−20%高かった。すなわち、これらのパラメータのより最適化された組み合わせでは、素子EQEは、対照素子より100−200%高かった。素子はまた、類似寿命および類似電流密度−電圧−輝度(JVB)特性を有していたが、たいていの場合、対照素子は、漏出電流が若干高かった。
【0122】
これらの素子の光学顕微鏡検査は、PEDOT層の伝導性が、電流をビアの周囲で側方に拡散させ、LEP膜全体を非常に均一に照射するために十分であることを明らかにした。図5bは、CCDカメラを使用して、光学顕微鏡下で撮像された、6V印加電圧(素子輝度約8000cd/m、EQE約11%)で動作する素子の画像である。画像は、素子が、ビアから離れた面積内で均一に照射することを実証する。ビア直上の面積は、スピンコーティングによって蒸着されたLEP膜が、ビアを覆ってより厚く、ビアから離れた面積内でより薄くなるため、非常に暗かった。断面透過型電子顕微鏡(TEM)分析は、ビア内側のLEP膜が、ビア外側より約10nm厚いことを確認した(データ図示せず)。
【0123】
図5bに示される素子(素子400の構造を有する)は、図6および7に示されるデータを得るために使用された。データは、素子B(すなわち、図5bの素子)が、EQEおよび電力効率によって測定されるように、従来のOLED(すなわち、本明細書に説明される光学層を欠いたOLED)である素子Aより優れた性能を果たすことを示す。
【0124】
(実施例2)
実施例1に説明される方法を使用して、以下の素子構成:PEDOT/NPB/AlQ/LiF/Alを有する、小分子OLED素子が、ITO/ガラス基板上に加工された(NPBは、N,N′−ビス−(3−ナフチル)−N,N′−ビフェニル−(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミンであって、AlQは、トリス−(8−ヒドロキシキノリン)−アルミニウムである)。本構成では、ビアを覆う素子輝度とビアから離れた素子輝度とは、主としてビア内側と外側の有機膜厚が同一であるため、同様となった。非最適素子構造パラメータを有する(すなわち、空洞直径、光学層厚、およびワイヤ間隔が、最適化されていない)いくつかの素子では、従来の構造を使用する対照素子(すなわち、ITO電極を使用し、光学または絶縁層が無い)に対して、EQEの顕著な向上(〜10%)が観察された。これは、ポリマー素子に対して観察されたものに一致する。両方の場合において(すなわち、ポリマーと小分子OLEDの両方)、絶縁層の直上に生成されたエレクトロルミネッセンス(EL)が、ビアを覆って直接生成されたELより高い効率を有することが示唆される。
【0125】
(実施例3)
素子は、以下の手順に従って調製される。
【0126】
(1)金属薄膜が、従来の薄膜蒸着プロセス、例えば、スパッタリングまたは蒸着プロセスによって、透明基板上に蒸着される。
【0127】
(2)金属グリッドが、標準的フォトリソグラフィ/エッチングプロセスによって形成される。
【0128】
(3)溶液処理可能な誘電材料、例えば、本明細書に開示されるプレセラミックポリマー材料、ポリカーボネート、ポリアクリル等から選択される1つが、従来のコーティング方法(例えば、スピンコーティング、ドクターブレードコーティング、スプレーコーティング等)によって塗膜される。
【0129】
(4)リソグラフィ/エッチングプロセスを使用して、ビアを開孔する。
【0130】
上述の手順の代替として、ステップ1および2は、金属インクを使用して、グリッド金属電極を印刷(スクリーン印刷またはインクジェット印刷)する単一ステップと置換可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロルミネセント素子であって
透明材料を備える基板と、
透明光学材料を備え、該基板に接触する光学層と、
該基板、該光学層、または該基板と該光学層との両方に接触する第1の電極と、
該光学層を通って該第1の電極へのチャネルを形成する1つ以上のビアと、
伝導性材料を備える伝導性層であって、該伝導性材料は、該伝導性材料が、該第1の電極に接触するように、少なくとも部分的に該1つ以上のビアを充填し、さらに、該伝導性層は、該光学層に重層する、伝導性層と、
該伝導性層に接触するエレクトロルミネセント層と、
該エレクトロルミネセント層に接触する第2の電極と
を備える、エレクトロルミネセント素子。
【請求項2】
前記第1の電極は、パターン化され、交差ワイヤのグリッドを備える、請求項1に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項3】
前記ワイヤは、前記基板の方向に面する底部表面と、該基板の反対方向に面する上部表面と、該上部表面と該底部表面とを接続する2つの側部表面とを備える、請求項2に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項4】
前記ワイヤの上部表面と側部表面とが交わって縁を形成し、該縁は、前記光学層に接触するか、または該光学層内に埋入される、請求項3に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項5】
前記ビアは、前記第1の電極のグリッドパターンを模倣する接続されたチャネル網を形成する、請求項4に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項6】
前記チャネルは、前記ワイヤの上部の少なくとも一部を露出し、前記ビア内の前記伝導性材料は、該ワイヤの露出された部分に接触する、請求項5に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項7】
前記第1の電極は、相互接続されたワイヤのグリッドを備え、該グリッドは、第1の所定の量だけ離間された第1の組の実質的に平行なワイヤと、第2の所定の量だけ離間された第2の組の実質的に平行なワイヤとを備え、該第1の組からのワイヤは、該第2の組からのワイヤと交差し、複数の交差点を形成する、請求項1に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項8】
前記ワイヤは、平均幅を有し、前記交差点は、平均直径を有する、請求項7に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項9】
前記ビアの平均幅は、前記ワイヤの平均幅より小さいか、または該ビアの平均幅は、該ワイヤの平均幅と実質的に等しいか、または該ビアの平均幅は、該ワイヤの平均幅より大きい、請求項7に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項10】
前記第2の電極は、パターン化層および非パターン化層から選択される、請求項1に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項11】
エレクトロルミネセント素子を形成する方法であって、
透明基板を提供するステップと、
該基板上にパターン化された第1の電極を形成するステップと、
該パターン化された第1の電極および該基板を覆って光学材料を蒸着するステップと、
該第1の電極の少なくとも一部が露出されるように、光学材料を除去することによって、該光学材料にビアのパターンを形成するステップと、
伝導性材料が該ビアを通して該第1の電極に接触するように、該伝導性材料を、該光学材料を覆って蒸着し、かつ該ビア内に蒸着するステップと、
該伝導性材料を覆ってエレクトロルミネセント材料を蒸着するステップと、
該エレクトロルミネセント材料を覆って第2の電極を蒸着するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記パターン化された第1の電極は、(a)伝導性材料の実質的に均一な層を蒸着するステップと、(b)該均一な層から伝導性材料を選択的に除去することにより、パターンを形成するステップとを含む2つのステップで形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の電極は、上部表面と、2つの側部表面と、該上部表面と各側部表面との交差点における縁とを有するワイヤを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ビアは、前記ワイヤの上部表面の少なくとも一部を露出するが、前記ワイヤの縁を露出せず、前記伝導性材料が、該ビア内に蒸着された場合に、該伝導性材料は、該ワイヤの縁に接触しない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ビアは、前記ワイヤの上部表面全体を露出する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記パターン化された第1の電極は、伝導性材料をパターンとして蒸着することによって、単一ステップで形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、前記パターン化された第1の電極を形成するステップに先立って、前記基板内にチャネルのパターンを形成し、続いて、前記第1の電極が、少なくとも部分的に該基板のチャネル内に配置されるように、パターン化された第1の電極を形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1および第2の電極は、不透明材料を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
エレクトロルミネセント素子を形成する方法であって、
透明基板を提供するステップと、
該基板を覆って、光学材料の第1の部分を蒸着するステップと、
随意に、該光学材料の一部を除去することによって該光学材料にパターンを形成するステップと、
該光学材料の第1の部分上にパターン化された第1の電極を形成するステップと、
該第1の部分および該第1の電極を覆って光学材料の第2の部分を蒸着するステップと、
該第1の電極の少なくとも一部が該ビアを通して露出されるように、該光学材料を除去することによって、該光学材料の第2の部分にビアのパターンを形成するステップと、
伝導性材料が該ビアを通して該第1の電極に接触するように、該伝導性材料を、該光学材料を覆って蒸着し、かつ該ビア内に蒸着するステップと、
該伝導性材料を覆ってエレクトロルミネセント材料を蒸着するステップと、
該エレクトロルミネセント材料を覆って第2の電極を蒸着するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
前記第1の電極は、2つ以上の縁を有するワイヤを備え、該2つ以上の縁は、前記光学材料内に埋入され、該2つ以上の縁は、前記ビア内に配置された前記伝導性材料に接触しない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の電極は、2つ以上の縁を有するワイヤを備え、該2つ以上の縁は、前記光学材料と前記ビア内に配置された前記伝導性材料との両方に接触する、請求項19に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図3(d)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−527092(P2012−527092A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511027(P2012−511027)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/034804
【国際公開番号】WO2010/132715
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(501228071)エスアールアイ インターナショナル (66)
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
【Fターム(参考)】