説明

有機性残渣を活用した家畜用飼料の有機性残渣の保存及び製造方法

【課題】給食センター、老人ホーム、病院などで発生した生ごみや食品加工場から排出される動植物性残渣、焼酎工場から排出される焼酎廃液等を簡便な方法で効率よく家畜用飼料としてリサイクルする。
【解決手段】上記目的を達成するため、食品残さを80℃で一定時間殺菌する。次いで温度を瞬時に下げ乳酸菌、酵素、を添加し発酵させたものを主原料とし、飼料を製造する。まず、有機性残渣を発酵加工した主原料に糖蜜(アミノ酸抽出)、単味飼料を混合する。こうして得られた飼料は家畜の飼養前期に有効な飼料となる。次に、焼酎工場から排出される焼酎廃液はビタミン、ミネラル、食物繊維豊富で家畜用飼料として有望であるが腐敗が早いため不安定である。ゆえに、これに天然由来添加剤(ギ酸)を加え性状安定、品質保持させたものを副原料とし、主原料と副原料に単味飼料を混合し飼養中期、後期、種家畜、母家畜の家畜用飼料とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は有機性残渣から家畜用飼料を保存及び製造する方法の提供に関する。
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0002】
従来、有機性残渣、焼酎工場から排出される焼酎廃液、食品工場から排出される動植物性残さ等は、一般廃棄物及び産業廃棄物として、焼却処分、埋立処分されているものが大半である。一般廃棄物として取り扱われる食品残さ、所謂生ごみは日本国内で2000万トンにものぼると言われている。リサイクル率はわずか9%程である。また、焼酎廃液は海洋投棄と陸上処理が行われている。海洋投棄は平成19年2月に全面禁止の措置が取られることが決定されている。その後は陸上処理に頼ることとなるが、現状のままでは処理は追いつかず、早急な対策を迫られている。
陸上処理は新たなエネルギー消費が派生し、埋立する場合でも新たな処理施設が必要となり、ゴミ問題は尽きることのない課題である。
【0003】
このような理由から、ここ数年、家畜用飼料として有機性残渣を飼料に再利用する動向がある。しかし飼料化システムを導入するには莫大な資金や処理コストがかかり、既存の飼料よりも高価な物になりがちであり中小、零細な家畜の肥育農家や処理業者が取り組めない一因となっている。
【0004】
家畜の飼料の大半は輸入穀物が主体の配合飼料を、家畜の肥育にあてており、輸入穀物の価格の上昇があっても売値に繁栄されず経営を逼迫させているのが現状である。
【0005】
本発明は、上記の問題を改善するためになされたもので、大量に排出される有機性残さを保存、家畜用飼料として有効活用できる発酵飼料の製造方法を提供することを目的とする。
さらに有機性残渣飼料は、生ごみにおいては様々な成分を含むものが混合されており、高塩分、高カロリー、高脂肪になりがちで調整の難しさから敬遠されるむきもあるが、成長に応じて配合する割合を変え、混合する単味飼料を調整したり、食物繊維の多く含まれる残渣を混合することにより高塩分、高カロリーを調整し、高脂肪にならない為とBSE問題等に配慮して動物性蛋白は除去し課題を克服している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、有機性残さを80℃で一定時間殺菌する。次いで温度を真空状態にして瞬時に下げ乳酸菌、酵素を添加し発酵させたものを主原料とし、成長に応じた数種類の有機性残さ飼料を製造する。
まず、有機性残さを発酵加工したものに、魚より抽出したアミノ酸、及びとうもろこし、米ぬか等の単味飼料を混合する。こうして得られた飼料は家畜の飼養前期に有効な飼料となる。次に、焼酎工場から排出される焼酎廃液はビタミン、ミネラル、食物繊維豊富で家畜用飼料として有望であるが腐敗が早いため不安定である。ゆえに、これに天然由来添加剤(ギ酸)を加え性状安定、品質保持させたものを副原料とし、主原料と副原料と魚より抽出したアミノ酸、とうもろこし、小麦ふすま、米ぬか等の単味飼料を混合し飼養中期、後期の家畜用飼料とする。このように、有機性残さから数種類の栄養価の高い飼料を製造しうることを見出した。これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明によれば、有機性残さをそのまま利用し殺菌と乳酸菌発酵の過程を経て飼料を製造することができ、また、焼酎廃液も性状安定の添加物を加えることで利用できる。
本発明によって、大量に排出される有機性廃棄物と焼酎廃液を余すことなく有効的かつ安価な家畜用飼料として提供できる。
【0008】
さらに、本発明によって得られた飼料を、要望によって造粒機を使って造粒化することで、流通をも容易にすることができる。
【0010】
本発明によれば、従来のように有機性残さの飼料化のための高額な専用プラントは必要ない。しかし、家畜農家の規模に応じた機材が必要となろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明につき図面を参照して更に詳しく説明する。図1は本発明方法の一例を説明するフローチャートである。本実施の形態に使用する装置は破砕刃付の真空乾燥機と攪拌機と造粒機である。
【0012】
給食センター、老人ホーム、食品工場から排出された有機性残さは異物除去をする。また本発明は家畜用飼料として完成度を高める為、動物性残さを除去する。(魚は別にアミノ酸抽出、魚粉の原料になる。)この作業は有機性残さ排出先の協力によって省力化できる。
【0013】
異物除去された有機性残さを殺菌するため真空乾燥機に投入する。加熱することによって一般細菌、大腸菌等を滅菌すると共に、後の乳酸菌・酵素添加後の発酵促進を短時間で行うことができる。また有機性残さを投入する前に真空乾燥機は空の状態で加熱しておく。こうすることにより80℃達成までの時間を短縮することができる。真空乾燥機には破砕刃が装着されており回転しながら破砕、加熱をしてゆくために残渣物の大きさを均一化できる。10分程度で温度80℃到達し投入後80℃で10分間以上加熱する。尚、破砕工程、加熱工程を真空乾燥機で一括に行っているが、別々に行ってもよく、家畜の飼養規模に応じたものでよい。
【0012】
次に温度を真空乾燥機にて急速冷却する。一般に雑菌は温度を徐々に下げる工程で繁殖しやすく、本発明では温度が下降する間の雑菌侵入を防ぐため急速冷却する。温度40℃に下がった時点で排出する。
【0013】
排出後に乳酸菌・酵素を添加する。添加する割合は有機性残さ総量に対し5ppmである。また添加する乳酸菌・酵素の種類選定は重要で、種類選定如何で飼料としての普遍性・肉質の安定が左右される。本発明の方法によって製造された有機性残さ飼料は、既に飼料として流通され、飼養された豚の肉質も安定している。乳酸菌・酵素を添加のち、本発明ではおよそ12時間程度発酵させる。本発酵工程で主原料の製造工程が完了する。
次に、魚からアミノ酸抽出と魚粉の製造を行う。アミノ酸は魚のアラ等を糖蜜に2週間程度漬け置くことで抽出できる。魚粉は魚のあら等を粉砕乾燥する。
【0014】
発酵工程で得られた有機性残さを主原料とし、離乳ステージ、飼養ステージ1の飼料を製造する。
【0015】
次に、使用中期、後期に使用する副原料を製造する。副原料は焼酎廃液に性状安定、品質保持のため、天然由来添加物(ギ酸)を加えたものである。本例で、焼酎廃液は芋焼酎の蒸留廃液を使用した。芋焼酎の蒸留廃液は、水分含有量94%、有機物5.2%、灰分0.54%、pH4.3であり、BOD値50,000ppm、SS値37,000ppm、T−N値2,300ppmで腐敗が早く飼料として使用するには添加物を加え性状安定させる必要がある。本例で使用する天然由来添加物は芋焼酎廃液の性状安定、品質保持のために調整したものである。
【0015】
主原料の発酵有機性残さ、副原料の焼酎廃液加工品及び糖蜜(アミノ酸抽出)、単味飼料数種を混合して飼養中期、後期及び母家畜、種家畜用の飼料を製造する。それぞれの配合割合も飼養ステージ毎に変える。
【0016】
得られた6種類の飼料を必要に応じて造粒機にて造粒する。通常、造粒は必要ない。保存、運搬はプラスチック容器等でよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、有機性残渣や焼酎廃液をそのままの状態で使用して有効な家畜用飼料として活用できる。家畜農家は飼養規模に応じて簡単な機材があれば、有機性残渣と焼酎廃液から簡単に飼料の製造ができる。更に廃棄物処理業者も本発明を利用して家畜用有機性残渣飼料の製造販売を行うことができ、それぞれ地域の食品リサイクルに貢献、さらにコスト削減に役立とう。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性残渣を高温で殺菌したのち乳酸菌(天然由来の一般的な物)、酵素(パパイヤ酵素)を加え発酵加工したものに単味飼料を混合し乳酸発酵させ飼料効率と吸収効率、保存性を高めることを特徴とする家畜用有機性残渣飼料の有機性残渣の保存及び製造方法
【請求項2】
焼酎廃液に天然由来添加物(ph4程度のギ酸)を加え保存性を高めたものに、上記の有機性残渣飼料を混合し飼料効率と吸収効率、保存性を高めることを特徴とする家畜用有機性残渣飼料の焼酎廃液の保存及び製造方法

【公開番号】特開2007−143539(P2007−143539A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376351(P2005−376351)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(505141107)有限会社アメニティー (2)
【出願人】(505141129)
【出願人】(505141130)
【Fターム(参考)】