説明

有機物に基く平らな基体、このような基体の使用及び方法

本発明は、有機物に基く平らな基体を提案し、基体が少なくとも一方の側を塗被され、塗被される側の表面が100nm以下の表面粗さを持っている。
基体は、特に電子部品及び/又は集積回路の製造のために使用される。
少なくとも1つの電子部品及び/又は少なくとも1つの集積回路を備えかつ少なくとも一方の側を塗被されている、有機物に基く基体を製造するための本発明による方法によれば、
塗被される側に100nm以下の表面粗さを持つ基体が製造され、
基体の塗被された表面に、印刷により電子部品又は集積回路が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ドイツ連邦共和国特許第19601358号明細書から、有機物に基く基体が公知である。基体は紙である。所定のデータを含む集積回路が紙に埋込まれていろ。集積回路は、紙の厚さに比べて小さい厚さを持ち、紙が印刷技術で取扱い可能であるように、集積回路を少なくとも部分的に包囲する不働態層を持つ紙パルプへ埋込まれている。
【0002】
有機物に基く平らな基体は更に欧州特許第1073993号明細書から公知である。この基体は、集積回路を備えた紙である。この構成は、模造及び偽造に対して保護するため、特に安全文書及び紙幣に使用される。集積回路は半導体有機ポリマを含んでいる。ポリマチップは可撓的であり、従って折畳むことを排除できない紙幣のような安全文書において使用するのに特に適している。半導体有機ポリマから成るチップの強い折畳みは、チップの機能に影響を与えない。紙幣では、紙基体の厚さは一般に100μm未満の範囲にある。
【0003】
製紙工業における従来技術は、1μm以下の平らな基体の表面粗さである。この表面粗さは、例えば塗被又は光沢加工のような加工方法により又はこれらの方法の組合わせにより行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、例えばトランジスタ、チップ及び/又は1つ又は複数の集積回路のような1つ又は複数の電子部品を基体上に印刷するのを可能にする平らな基体を提供することである。この印刷は、今まで無機物に基いて製造される膜においてのみ可能であった。本発明にとって、更に基体に生物学的分解可能性が重要である。無機物に基いて製造される膜は、この要求を満たさない。基体は高い安定性を持つようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は有機物に基く平らな基体を提案し、有機物に基く平らな基体であって、基体が少なくとも1一方の側を塗被され、塗被される側の表面が100nm以下の表面粗さを持っている。
【0006】
基体が少なくとも1つの例を塗被されていることによって、基体の高い安定性が得られる。基体の塗被される側の表面の非常に小さい表面粗さ、従ってこの表面の均質な構造は、印刷法により小さい構造の有機電子装置を設けるのを可能にする。
【0007】
塗被調剤は、なるべく内容物質として、製紙工業において周知の顔料、結合剤、共結合剤及び添加剤を持っている。この意味における添加材が特に粘度調節剤、湿潤強力剤、pH調節剤色素及び調色顔料、増白剤、抑泡剤、潤滑剤、網状結合剤である。
【0008】
顔料は、特に粘土、カオリン、滑石、炭酸カルシウム、しゅす白、二酸化チタン、合成重合体顔料、アルミニウムシリカ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、石こう、シリカ、三水化アルミニウム、酸化アルミニウム、雲母顔料、珪藻土、珪酸、ベーマイト(水酸化アルミニウム)、導電性顔料の群から選ばれている。
【0009】
結合剤は、特にスチロール−ブタジエン−ラテックス結合剤、スチロール−アクリレート−ラテックス結合剤、スチロール−ブタジエンアクリルニトリル−ラテックス結合剤、スチロール無水マレイン酸結合剤、スチロールアクリル無水マレイン酸結合剤、多糖類、たん白質、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、セルロース及びセルロース誘導体、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル酸、エチレンアクリル酸ワックスに基く生体高分子、ポリエチレンの群から選ばれている。
【0010】
網状結合剤は、特にグリオキザル樹脂、エポキシ樹脂、アンモニウム又はカリウム炭酸ジルコニウム、メラミンホルムアルデヒド、尿素メラミンホルムアルデヒドのようなホルムアルデヒド提供剤、及び部分的又は完全にメチル化された誘導体、イソシアネートの群から選ばれている。
【0011】
前記の調剤により製造される基体は、次の化学薬品及び類似物に比べて安定性を持っている。水、アミンに基く顕色剤、酸、有機溶媒中の絶縁体、アセトン、エッチング剤としてのヨード、有機溶媒ホトレジスト中の半導体。基体と前記化学薬品との接触後、基体の表面組織の変化は認められず、従って表面被覆は侵食されない。これは、無機及び有機の導電性物質(場合によってはエッチング法を含む印刷法によるラック塗装及びインク塗装)で製造される電子部品及び集積回路の製造及び機能性の観点から特に有利である。最終製品の質的及び量的評価(従って印刷される電気部品及び回路の産出量及び読み取り速度は、無機物に基いて印刷された物に対して相違していない。
【0012】
更に上述した基体が連続的な印刷プロセスにおいて多層の構造化された層を正確に合わせて重ねるのを可能にするような材料強度特に伸び特性を持っていることが、有利である。
【0013】
基体が両側にそれぞれ100nm以下の表面粗さを持っているのがよい。特に基体の少なくとも1つの側の表面粗さが50nm以下特に10〜40nmである。
【0014】
基体が紙又は生体高分子又は生体高分子から成る裏側及び表側の層を持つ紙又は裏側及び/又は表側紙塗被で仕上げ加工されている生体高分子であるのがよい。
【0015】
特に基体が次の層構造を持っている
a)紙塗被−紙又は
b)紙塗被−紙−紙塗被又は
c)紙塗被−生体高分子又は
d)紙塗被−生体高分子−紙塗被又は
e)生体高分子−紙又は
f)生体高分子−紙−生体高分子又は
g)紙塗被−生体高分子−紙又は
h)紙塗被−生体高分子−紙−生体高分子−紙塗被。
【0016】
特に紙である基体が少なくとも片側で塗被されている。更に少なくとも片側で塗被されている基体が続いて光沢加工される。基体へ前塗被として厚塗被が設けられ、カーテン被覆により覆い層が設けられるのがよい。前塗被との間に中間を設けることができる。
【0017】
それにより本発明は最小表面粗さを持つ基体を提案し、この減少された表面粗さは、特に基本調剤と塗被調剤とを合わせることにより、被覆方法及び光沢加工方法により得られる。最後の両方法はオンラインプロセスでもオフラインプロセスでも行うことができる。
【0018】
従って基体という名称は、有機物に基く平らな出発素子従って紙又は生体高分子のみならず、100nm以下の所望の小さい表面粗さを得るために少なくとも1つの側で1回又は複数回される処理出発製品も意味する。
【0019】
従って基体の表面は、100nm以下の非常に小さい表面粗さを持っている。12μmの針頭部でmgの圧力において基体の表面輪郭の測定により、表面粗さが求められる、特に表面粗さが10〜40nmである時、基体の表面輪郭の傾斜角は特に5μmで10°以下である。
【0020】
基体の非常に滑らかな表面は、印刷法により50nm特に20nm以下の厚さの有機電子装置を製造するのを可能にする均質な構造を持っている。基体表面は特に有機重合体電子装置の製造に特に適している。なぜならば、そうしない場合紙に典型的な強い表面相違(ピーク)のないことにより、印刷技術部品の機能性が保証されるからである。
【0021】
基体はなるべく塗被される基体特に塗被される紙である。基体は少なくとも1つの側を塗被されている。基体のそれぞれの外に少なくとも1つの塗被が設けられているのがよい。特に各側に2つ又は3つの塗被が設けられる。続いて光沢加工が少なくとも片側で行われる。
【0022】
それぞれの塗被を設けるために、一般にサイズプレス、にわかプレス、吹付け法、ドクタ塗布、厚塗布、バーコーティング、逆ロール形コーティング、エアナイフコーティング、カーテンコーティング、及びこれらの方法の組合わせのようなすべての塗被法及び積層方法が適している。
【0023】
特に基体の印刷が凹刻印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリン印刷又はインクジェット印刷で行われる。特にこれらの方法を互いに組合わせた製造方法が適している。連続及び不連続の印刷プロセスが適している。
【0024】
更に本発明は、特に印刷により製造される電子部品及び/又は集積回路を製造するための本発明による基体の使用を提案する。
【0025】
更に本発明は、少なくとも1つの側で塗被されかつ少なくとも1つの電子部品及び/又は少なくとも1つの集積回路を備えている、有機物に基く基体の製造方法を提案し、まず塗被される側に100nm以下の表面粗さを持つ基体を製造し、基体の塗被される表面に、印刷により電子部品又は集積回路を設ける。
【0026】
それにより本発明は、今までプラスチック膜(なるべくPET)によってのみ達せられた、有機物に基く平らな基体を持つ上述した印刷プロセスの要求を可能にする。本発明の別の重要な局面は、無機物に基いて製造される膜と比較して基体の生物分解可能性である。
【0027】
基体は、無機、有機及び導電性印刷インキ、ラック及び電子部品及び集積回路の製造用インキによる印刷に適している。基体調剤及び塗被調剤、積層方法及び光沢加工方法を互いに合わせることによる表面粗さ(Rz<100nm)の減少によって。後者はインラインプロセス又はオフラインプロセスで行うことができる。更に上述した製造プロセスで基体と接触するような化学薬品に対する安定性により、基体の適正が得られる。最終製品の質的及び量的評価は、無機物に基く製品に対して相違を示さない。
【0028】
実施例のために、有機物に基く平らな基体がその製造に関して以下に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
同じ厚紙から出発され、
厚紙に3つの塗被が塗布される。即ち
1. 前塗被即ち染色される塗被、ブレード法で塗布される。
2. 中間塗被。染色される塗被、カーテン被覆法で塗布される。
3. 覆い塗被。高分子積層、ロールドクタ又はカーテン被覆法により塗布される。
塗被後紙が光沢加工される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物に基く平らな基体であって、基体が少なくとも一方の側を塗被され、塗被される側の表面が100nm以下の表面粗さを持っている、基体。
【請求項2】
塗被調剤の内容物質が顔料、結合剤、共結合剤及び添加材である、請求項1に記載の基体。
【請求項3】
添加材が粘度調節剤、湿潤強力剤、pH調節剤色素及び調色顔料、増白剤、抑泡剤、潤滑剤、網状結合剤である、請求項2に記載の基体。
【請求項4】
顔料が、粘土、カオリン、滑石、炭酸カルシウム、しゅす白、二酸化チタン、合成重合体顔料、アルミニウムシリカ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、石こう、シリカ、三水化アルミニウム、酸化アルミニウム、雲母顔料、珪藻土、珪酸、ベーマイト(水酸化アルミニウム)、導電性顔料の群から選ばれ、かつ/又は
結合剤がスチロール−ブタジエン−ラテックス結合剤、スチロール−アクリレート−ラテックス結合剤、スチロール−ブタジエンアクリルニトリル−ラテックス結合剤、スチロール無水マレイン酸結合剤、スチロールアクリル無水マレイン酸結合剤、多糖類、たん白質、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、セルロース及びセルロース誘導体、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル酸、エチレンアクリル酸ワックスに基く生体高分子、ポリエチレンの群から選ばれ、かつ/又は
網状結合剤が特にグリオキザル樹脂、エポキシ樹脂、アンモニウム又はカリウム炭酸ジルコニウム、メラミンホルムアルデヒド、尿素メラミンホルムアルデヒドのようなホルムアルデヒド提供剤、及び部分的又は完全にメチル化された誘導体、イソシアネートの群から選ばれている
請求項2又は3に記載の基体。
【請求項5】
基体が次の層構造を持っている
a)紙塗被−紙又は
b)紙塗被−紙−紙塗被又は
c)紙塗被−生体高分子又は
d)紙塗被−生体高分子−紙塗被又は
e)生体高分子−紙又は
f)生体高分子−紙−生体高分子又は
g)紙塗被−生体高分子−紙又は
h)紙塗被−生体高分子−紙−生体高分子−紙塗被
請求項1〜4の1つに記載の基体。
【請求項6】
基体が両側にそれぞれ100nm以下の表面粗さを持っている、請求項1〜5の1つに記載の基体。
【請求項7】
基体の少なくとも1つの側の表面粗さが50nm以下特に10〜40nmである、請求項1〜6の1つに記載の基体。
【請求項8】
基体の表面輪郭の傾斜角が、特に基体の10〜40nmの表面粗さで5μmで10°以下である、請求項1〜7の1つに記載の基体。
【請求項9】
紙が片側又は両側で塗被されている、請求項1〜8の1つに記載の基体。
【請求項10】
基体が、少なくとも片側で塗被され、塗被される側が光沢加工されている、請求項1〜9の1つに記載の基体。
【請求項11】
基体へ前塗被として厚塗被が設けられ、カーテン被覆により覆い層が設けられている、請求項1〜10の1つに記載の基体。
【請求項12】
少なくとも1つの電子部品特にトランジスタ又はチップ及び/又は少なくとも1つの集積回路を製造するために使用される、請求項11の1つに記載の基体。
【請求項13】
少なくとも1つの側で塗被されかつ少なくとも1つの電子部品特にトランジスタ
及び/又は少なくとも1つの集積回路を備えている、有機物に基く基体の製造方法であって、次の特徴即ち
塗被される側に100nm以下なるべく50nm以下特に0〜40nmの表面粗さを持つ基体を製造し、
基体の塗被される表面に、印刷により電子部品又は集積回路を設ける
を持つ方法。
【請求項14】
100nm以下の表面粗さを生じるため基体の被覆及び平滑化が、インラインプロセス又はオフラインプロセスで行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電子部品又は集積回路が、無機又は有機導電物質ラック又はインキにより製造される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
基体が凹刻印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリン印刷又はインクジェット印刷で印刷される、請求項13〜15の1つに記載の方法。
【請求項17】
基体が連結して又は不連続に印刷される、請求項13〜16の1つに記載の方法。

【公表番号】特表2012−523509(P2012−523509A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505076(P2012−505076)
【出願日】平成22年4月3日(2010.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002136
【国際公開番号】WO2010/115597
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511247943)シヤーム・ペイパー・グループ・シユヴアイツ・アクチエンゲゼルシヤフト (1)
【Fターム(参考)】