説明

有機発光ダイオードデバイスのためのシロールをベースとするモノマーおよびポリマー

本発明は、一般的には、良好なホスト特性および溶液加工性を有する、機能化アリールおよびアルキルシロール側鎖を含む有機エレクトロルミネセントノルボルネン−シロールモノマー、ポリ(ノルボルネン)ホモポリマー、およびポリ(ノルボルネン)コポリマーに関し、ならびに、それらの化合物を含む、電子輸送および/または正孔ブロッキング層、および発光層、有機電子デバイス、および物質組成物、に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、米国仮特許出願第61/015,650号(2007年12月20日出願)の優先権を主張するものであって、それをここに引用することにより、すべての目的においてその全てを本明細書に援用したものとする。
【0002】
連邦政府支援研究開発についての陳述
本発明は、米国海軍研究所(the Office of Naval Research)、認可番号第68A−1060806号の認可の政府支援を用いてなされたものである。米国政府は、本発明に関して、しかるべき権利を有している。
【0003】
本発明は、一般的には、官能基化シロール側鎖を含む、ノルボルネンモノマー、ポリ(ノルボルネン)ホモポリマーおよびポリ(ノルボルネン)コポリマー化合物、ならびにそれらの化合物を含む、電子輸送および/または正孔ブロッキング層、および発光層、有機電子デバイス、有機電子デバイス、および物質組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
シロールすなわちシラシクロペンタジエンは、ユニークなシグマ−パイ(σ−π)結合を有していて、それがそれらの最低空軌道エネルギー準位(LUMO)を顕著に低下させ、それらの電子親和力を向上させている。Luo,J.et al.,Chem.Commun.1740(2001)には、シロールが、凝集することで誘起される興味深い発光を有していて、それらが溶液中ではほとんど発光しないのに、固相では強い発光を示すことが記載されている。シロールの凝集物のフォトルミネセンス量子収率は、それらが分子的に溶解された種のそれよりも、2桁は異なる可能性がある。シロール溶液のフォトルミネセンスが、温度の低下に従って強くなるという事実から、シロールはさらに、冷却によって促進される発光も示す。さらに、σ−π結合は、シクロペンタジエンの場合と比較すると、バンドギャップを狭めるので、このことによって、シロールが蛍光材料となる。
【0005】
それらの高い電子親和力と、エキシマフリーな、凝集することで誘起される発光特性のために、シロールは、高効率エレクトロルミネセンスデバイスの製造における電子輸送および発光層として使用されてきた。シロールをポリマーの中に組み入れるために大きな努力が傾けられてきたが、その理由は、ポリマーが、それらに対応する小分子よりも、加工の面で有利であるからである。そのような努力としては、ポリ(2,5−シロール)、ポリ(1,1−シロール)、シロール−チオフェンコポリマー、シロール−フルオレンコポリマー、シロール−カルバゾールコポリマー、ポリ(ジチエノシロール)、シロール−アセチレンコポリマー、シロール−シランコポリマー、シロール側鎖ポリマー、高度分岐ポリシロール、およびシロール−コアのデンドリマーなどの、シロリルポリマーの使用が挙げられる。Chen,J.,Kwok,H.S.,Tang,B.Z.,Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,2006,44,2487においては、シロールを合成し、それらの発光特性を評価した。チェン(Chen)の発表よりも前に、シロール含有ポリマーおよびコポリマーが、たとえば発光ダイオード、光電池、および電界効果トランジスタのような、デバイス用途では使用されていた。Yamaguchi,S.,et al,J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,1998,3693;Luo,J.et al.,Chem.Commun.1740(2001)、およびChen,J.,et al.,Chem.Mater.,2003,15,1535。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Luo,J.et al.,Chem.Commun.1740(2001)
【非特許文献2】Chen,J.,Kwok,H.S.,Tang,B.Z.,Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,2006,44,2487
【非特許文献3】Yamaguchi,S.,et al,J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,1998,3693
【非特許文献4】Chen,J.,et al.,Chem.Mater.,2003,15,1535
【非特許文献5】Furstner,A.,Angew.Chem.,Int.Ed.,2000,39,3013
【非特許文献6】T.M.Trnka,T.M.;Grubbs,R.H.,Acc.Chem.Res.,2001,34,18
【非特許文献7】『Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization』(第2版、Ivin,J.,Mol,I.C.編、Academic,New York、1996)
【非特許文献8】『Handbook of Metathesis、第3卷、Application in Polymer Synthesis』(Grubbs,R.H.編、Wiley−VCH,Weinheim,2003
【非特許文献9】Tang,et al.,J.Mater.Chem.,2001,11,2974〜2978
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シロールをベースとするポリマーの合成に費やされた努力にもかかわらず、有機発光ダイオード(OLED)デバイスの製造におけるホスト材料として使用することが可能であり、溶液加工によりOLEDデバイスに薄膜を析出させうるような、錯体ポリマー構成物が現在でも必要とされている。本願発明者らは、新規な錯体ポリマー構成物を合成し、それらは、ほとんどの官能基と混和性があり、ブロックコポリマーを作るのに必要な前提条件である、リビング重合の可能性を有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、官能基化アリールおよびアルキルシロール側鎖を含む新規な有機エレクトロルミネセントノルボルネンモノマー、ポリ(ノルボルネン)、またはポリ(ノルボルネン)コポリマー化合物、ならびに、前記化合物を含む、電子輸送および/または正孔ブロッキング層および発光層、有機電子デバイス、および物質組成物を提供することである。
【0009】
本発明の目的に従えば、本明細書において具体化し広く説明しているように、この発明は、一つの態様においては、式(I)で表される化合物に関する。
【化1】

[式中、
Xは、アレーンジイルまたはアルカンジイルであり、それらそれぞれは、C1〜20の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖または環式であり;
およびLは独立して、存在しないか、または次式を表し、
【化2】

は、存在しないか、またはアルカンジイル、アルケンジイル、アルキンジイル、もしくはアレーンジイルを表し、それらはそれぞれ、C1〜20の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖、または環式であり;
−R−Lはまとまって、ノルボルネンモノマーへの結合であって、エステル上の炭素もしくは酸素原子を介するか、またはエーテルの酸素原子を介して結合されており;
’はアリールであり;そして
およびRはアリールである]
【0010】
第二の態様においては、本発明は、式(II)により表される化合物に関する。
【化3】

[式中、
Xは、アレーンジイルまたはアルカンジイルであり、それらそれぞれは、C1〜20の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖または環式であり;
およびLは独立して、存在しないか、または次式を表し、
【化4】

は、存在しないか、またはアルカンジイル、アルケンジイル、アルキンジイル、もしくはアレーンジイルを表し、それらはそれぞれ、C1〜20の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖、または環式であり;
−R−Lはまとまって、ノルボルネンポリマーへの結合であって、エステル上の炭素もしくは酸素原子を介するか、またはエーテルの酸素原子を介して結合されており;
’はアリールであり;
およびRはアリールであり;そして
nは、約1〜約2,000の整数である]
【0011】
第三の態様においては、本発明は、式(I)または(II)を含む電子輸送および/または正孔ブロッキング層、ならびに発光層に関する。
【0012】
第四の態様においては、本発明は、燐光ドーパントと組み合わせた式(I)または(II)の化合物を含む、電子輸送および/または正孔ブロッキング層、および発光層のための物質組成物に関する。
【0013】
第五の態様においては、本発明は、以下からなる群から選択される化合物を含む物質組成物に関する:
a)化合物5;
b)化合物6;
c)化合物8;
d)化合物AH−I−172
e)化合物XZ−III−43;ならびに
それらの混合物。
【0014】
さらに別の態様においては、本発明は、式(I)または(II)の化合物、ならびにそれらのブレンドを含むシロール材料を含む有機電子デバイスに関する。
【0015】
好ましくは、その有機エレクトロルミネセンスデバイスは、赤色光、黄色光、緑色光、青色光、白色光、または複数の色ピークを含む広帯域光を発光する。本発明のノルボルネン化合物を、他のポリマーとドープして、白色の有機発光ダイオードを得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】XZ−I−149A(参照化合物)、ならびにXZ−II−87およびXZ−III−43のアリールシロール側鎖を含む2種の新規なノルボルネン化合物の化学構造を示す図である。
【図2】XZ−I−149A、XZ−II−87およびXZ−III−43のUV吸収スペクトル(クロロホルム中)である。
【図3】XZ−I−149A、XZ−II−87およびXZ−III−43発光スペクトル(クロロホルム中)である。
【図4】膜中のXZ−II−87、XZ−III−43およびXZ−149AのPLスペクトルである。
【図5】XZ−I−149Aのサイクリックボルタンモグラムである。
【図6】XZ−II−87のサイクリックボルタンモグラムである。
【図7】XZ−I−149A、XZ−II−87およびXZ−III−43のTGA曲線である。
【図8】XZ−I−149AのDSC曲線のグラフである。
【図9】XZ−III−43のDSC曲線のグラフである。
【図10】実施例3のデバイス構成の図である。
【図11】実施例3のOLEDデバイスにおける、電圧の関数としての最大輝度および外部量子効率(EQE)である。
【図12】実施例4の飛行時間信号のグラフである。
【図13】実施例5のデバイス構成の図である。
【図14】実施例5のOLEDデバイスのエレクトロルミネセンススペクトルである。
【図15】実施例5のOLEDデバイスの電流密度−電圧(J−V)特性である。
【図16】実施例5のOLEDデバイスにおける、電圧の関数としての最大輝度および外部量子効率(EQE)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の本発明の好ましい実施態様についての詳しい説明およびそこに含まれる実施例を参照することによって、本発明をより容易に理解することができるであろう。
【0018】
本発明の化合物、組成物、物品、デバイス、および/または方法を開示し、説明するより前に、本明細書において使用される用語は、特定の実施態様を記述することだけを目的としており、限定的にしようとする意図はないということを理解しておかれたい。
【0019】
本明細書および添付の特許請求項において使用する場合、単数形の冠詞の「a」、「an」および「the」には、明確にそうではないと判る文脈以外では、複数のものも含むということに注目されたい。したがって、たとえば、「環式化合物」には、複数の芳香族化合物の混合物も含まれる。
【0020】
以下の明細書および特許請求項においては、定義されるべきいくつかの用語は以下のような意味合いを有している。
【0021】
本明細書においては、「約」特定の数値から、および/または「約」特定の数値までとして、範囲を表していることが多い。そのような範囲の表記をした場合、他の実施態様には、一つの特定の数値から、および/または他の特定の数値までが含まれる。同様にして、数値が、先行詞「約」を使用することによって、近似値を表している場合には、その特定の数値が、他の実施態様を形成していると理解されたい。
【0022】
「ハロゲン」または「ハロ」の用語は、臭素、塩素、フッ素およびヨウ素を指している。
【0023】
「アルコキシ」という用語は、直鎖状、分岐状、または環式のC1〜20アルキル−Oを指しているが、そのアルキル基は、場合によっては本明細書に記載されているようにして置換されていてもよい。
【0024】
「アルカンジイル(alkanediylまたはalkane diyl)」という用語は、1〜20個の炭素原子の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖または環式のアルファ,オメガ−アルカンジイルを指し、たとえばメタンジイル、エタンジイル、プロパンジイルなどである。
【0025】
「アルケンジイル(alkenediylまたはalkene diyl)」という用語は、1〜20個の炭素原子の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖または環式のアルファ,オメガ−アルケンジイルを指し、たとえばエテンジイル、プロペンジイル、ブタンジイルなどである。
【0026】
「アルキンジイル(alkynediylまたはalkyne diyl)」という用語は、1〜20個の炭素原子の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖または環式のアルファ,オメガ−アルキンジイルを指し、たとえばエチンジイル、プロピンジイル、ブチンジイルなどである。
【0027】
「アレーンジイル」という用語は、1〜20個の炭素原子の鎖長を有し、2個の水素原子が除去された位置で基が置換できるように、2個の水素原子が除去された、芳香族またはヘテロ芳香族アリール基を指している。「アレーンジイル」という用語は、先にアリールの定義のところに記載したのと同じ芳香族およびヘテロ芳香族基を含むが、ただし結合点が一つではなく、二つ存在している。
【0028】
「アルキル」という用語は、1〜20個の炭素原子の炭素鎖長を有する分岐状または直鎖状または環式の炭化水素基を指しており、たとえば、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。置換される場合には、アルキル基は、CN、NO、S、NH、OH、COO−、およびハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つのメンバーを用いて、任意の可能な結合位置で置換されていてもよい。アルキル基が、アルキルで置換されているという場合、これは、「分岐状の」アルキル基という用語と区別なく使用される。
【0029】
「アルケニル」という用語は、1〜20個の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む直鎖状、分岐状、または環式の炭化水素基を指している。より好ましいアルケニルは、C3〜10アルケニルである。好適なアルケニル基としては、プロペニル、ブテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。
【0030】
「アルキニル」という用語は、1〜20個の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む直鎖状、分岐状、または環式の炭化水素基を指している。より好ましいアルケニルは、C3〜10である。好ましいアルキニル基としては、プロピニルおよびブチニルが挙げられる。
【0031】
「アリール」という用語は、置換基として使用される芳香族環、たとえば、フェニル、置換フェニルなど、さらには縮合された環、たとえば、ナフチル、フェナントレニルなどを指す。したがって、アリール基には、少なくとも6個の原子を有する少なくとも1つの環が含まれる。アリール基の上の置換基は、任意の位置、すなわち、オルト、メタまたはパラ位に存在してもよいし、あるいは芳香族環に縮合されてもよい。より詳しくは、アリール基は、芳香族またはヘテロ芳香族基で置換されていてもまたは非置換であってもよく、その芳香族またはヘテロ芳香族基は、各種のアリール基、アルキル基、ハロゲン、フルオロアルキル基、アルコキシ基、およびアミノ基からなる群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい。好ましい置換アリール基としては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。「環式」という用語は、アリール基または、環式アルキル基、たとえばシクロヘキシル置換基のいずれを指すことも可能である。
【0032】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1個のヘテロ原子、O、S、またはNを含む、5または6個の環原子を有する共役単環式芳香族炭化水素基、8〜10個の原子を有する共役2環式芳香族基、または少なくとも12個の原子を有する共役多環式芳香族基を指しており、そこでは、CまたはN原子が結合位置であり、そこでは1個または2個のさらなる炭素原子が、場合によってはOまたはSから選択されるヘテロ原子によって置換されていてもよく、そしてそこでは、1〜3個のさらなる炭素原子が、場合によっては窒素ヘテロ原子によって置換されていてもよく、前記ヘテロアリール基は、場合によっては、本明細書に記載のように置換されていてもよい。このタイプの例は、ピロール、オキサゾール、チアゾール、およびオキサジンである。第一の窒素および酸素または硫黄と共にさらなる窒素原子が存在して、たとえばチアジアゾールなどであってもよい。好適なヘテロアリール化合物は、カルバゾール、プリン、インドール、プリン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、フラン、チオフェン、トリアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラジン、ピリダジン、およびトリアジンである。ヘテロ環式またはヘテロアリールの上での好ましい置換基は、カルバゾールの3位と6位のところでアルキル基、たとえばt−ブチルで置換されているカルバゾールである。「ヘテロ環式」という用語では、上述のヘテロアリール種と、飽和ヘテロ環式基の両方を指すことができる。
【0033】
添字の「n」は、ポリマー中における繰り返し単位の数を表している。本発明におけるポリマーに関しては、「n」は、約1〜約2,000の繰り返し単位である。より好ましくは、「n」は、約700〜約1,500の繰り返し単位である。最も好ましくは、「n」は、約20〜約500の繰り返し単位である。
【0034】
本明細書において使用しているアスタリスク()は、その化学構造上での結合点を示すためのものである。
【0035】
「Alq」という用語は、トリス(8−ヒドロキノラト)アルミニウムを意味している。
【0036】
「ポリ−TPD−F」という用語は、正孔輸送モノマーと架橋モノマーのコポリマーであって、下記の構造で表される:
【化5】

【0037】
「ポリ−TPD−MeO」または「ポリTPD−MeO」という用語は、正孔輸送モノマーと架橋モノマーのコポリマーであって、下記の構造で表される:
【化6】

【0038】
電子アプリケーションデバイスとしては以下のようなものを挙げることができる(これらに限定される訳ではない):能動電子部品、受動電子部品、エレクトロルミネセント(EL)デバイス(たとえば、有機発光デバイス(OLED))、光電池、発光ダイオード、電界効果トランジスタ、フォトトランジスタ、無線周波数IDタグ、半導体デバイス、光導電ダイオード、金属−半導体接合(たとえば、ショットキーバリアダイオード)、p−n接合ダイオード、p−n−p−nスイッチングデバイス、光検出器、光学センサー、光トランスデューサー、バイポーラ接合型トランジスタ(BJT)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ、スイッチングトランジスタ、電荷転送デバイス、薄膜トランジスタ、有機放射線検出器、赤外線発光体、出力波長可変同調マイクロキャビティ、遠距離通信デバイスおよび用途、光コンピューティングデバイス、光学記憶デバイス、化学検出器、それらの組合せなど。
【0039】
適切な混和性を有する錯体シロール含有ポリマー構成物を得る目的で、本願発明者らは、アリールおよびアルキルシロール鎖を含む新規なノルボルネン−モノマーおよびポリマー系を合成した。これらのアリールおよびアルキルシロール鎖を含む新規なノルボルネン−モノマーおよびポリマー系は、開環メタセシス重合(ROMP)法を用いて容易に重合させることが可能であり、その重合は、ルテニウム触媒によって開始させる。
【0040】
この新規な発明はさらに、他のシロールをベースとする基のグラフト反応のため、および、ホスホルの間での相互作用を最小に抑えながらも大量のホスホルを担持させるために適切な、広く各種の官能基化非晶質ポリマーも提供する。
【0041】
さらに、この新規な発明は、この努力傾注分野において現在公知であるものよりは安定なシロールを提供することも意図している。
【0042】
本発明は、有機発光ダイオード(OLED)において使用するための材料としての、ポリ(ノルボルネン)の上に共有結合的にグラフトされた金属錯体を目的としている。ポリ(ノルボルネン)は、開環メタセシス重合(ROMP)を介して重合させることができ、このリビング重合法では、調節された分子量と低多分散性を有するポリマーが得られ、さらに、ブロックコポリマーを形成させることもできる。たとえば以下の文献を参照されたい:Furstner,A.,Angew.Chem.,Int.Ed.,2000,39,3013;T.M.Trnka,T.M.;Grubbs,R.H.,Acc.Chem.Res.,2001,34,18;『Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization』(第2版、Ivin,J.,Mol,I.C.編、Academic,New York、1996);および『Handbook of Metathesis、第3卷、Application in Polymer Synthesis』(Grubbs,R.H.編、Wiley−VCH,Weinheim,2003(これらそれぞれを、引用することにより、そのすべてを本明細書にそれぞれ援用したものとする)。さらに、ルテニウムをベースとするROMP重合開始剤は、官能基に対する耐性が高いので、蛍光および燐光金属錯体を含むノルボルネンモノマーの重合を可能とする。
【0043】
電荷輸送分子およびポリマー材料は、その中で電界の影響を受けて電荷が移行することが可能な半導性材料である。それらの電荷は、酸化剤または還元剤を用いた電子ドーピングの結果として存在していて、それにより、ポリマー繰り返し単位の輸送分子の一部がラジカルカチオンまたはアニオンとして存在していてもよい。より一般的には、電荷は、電界の影響下に他の材料から注入されることにより導入される。電荷輸送材料は、正孔輸送材料と電子輸送材料とに分類することができる。正孔輸送材料においては、電子ドーピングまたは注入のいずれかによって、軌道の充填マニホールドから電子が抜き出されて、正に荷電した分子またはポリマー繰り返し単位が得られる。分子またはポリマー繰り返し単位とそれに相当するラジカルカチオンとの間の電子移動によって、輸送が起き、このことは、この電子の移動とは反対の方向への正の電荷(正孔)の移動とみなすことができる。電子輸送材料においては、電子ドーピングまたは注入のいずれかによって、余分な電子が加わるが、ここで、その輸送過程には、分子またはポリマーの繰り返し単位のラジカルアニオンから、対応する中性の種への電子の移動が含まれる。
【0044】
本発明のモノマー性ノルボルネン化合物およびそれらのポリマーは、ゲストとして燐光金属錯体と化学的にドープさせることもでき、あるいは金属燐光錯体と共重合させることもできる。その燐光ドーパントは、好ましくは、Ir、Rd、Pd、Pt、OsおよびReなどからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む金属錯体である。燐光ドーパントのより具体的な例としては以下のような金属錯体が挙げられる(これらに限定される訳ではない):トリス(2−フェニルピリジナト−N,C)ルテニウム、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C)白金、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン、イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’]ピコリネート(Firpic)、トリス−(2−フェニルピリジナト−N,C)イリジウム(Ir(ppy))、緑色材料のビス−(2−フェニルピリジナト−N,C)イリジウム(アセチルアセトネート)(Ir(ppy)(acac))、ならびに赤色材料の2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,,23H−ホルフィン白金(II)(PtOEP)、さらには、OLEDおよび金属有機化合物の分野の当業者に公知のその他のもの。
【0045】
電荷輸送材料の複数の層は、約0.01〜1000μm、0.05〜100μm、0.05〜10μmの厚みを有することが可能な電荷輸送層を形成するように製造することができる。電荷輸送層の長さと幅は、その用途に依存して変化させることができるが、一般的には、その長さが約0.01μm〜1000cm、幅が約0.01μm〜1000cmとすることができる。
【0046】
本明細書に記載したもの、さらにはその他のものを含むその他の電子輸送材料との混合物として、電荷輸送材料を使用することも可能であることに注目されたい。同様にして、その電荷輸送材料は、デバイスに他の機能を加える目的で、他の正孔輸送材料、増感剤、発光体、発色団などと組み合わせて使用することも可能である。
【0047】
電荷輸送材料分子の重合および架橋は、当業者に理解される方法を使用して実施することができる。一般的には、重合は、開始剤の存在下で熱または化学線に暴露させることによって起こすことができる。一般的には、架橋は、内部反応として、および/または架橋添加剤を添加することによって起こすことができる。電荷輸送材料の調製についてのさらなる詳細は、実施例1に記述する。
【0048】
「化学線」とは、放射線を用いた照射(たとえば、UV光、IR光もしくは可視光、X線もしくはガンマ線を用いた照射、または高エネルギー粒子、たとえばイオンまたは電子を用いた照射)を意味する。一つの実施態様においては、加熱した時に分解して、重合を開始させるフリーラジカルまたはイオンを発生する重合開始剤を使用することができる。別の実施態様においては、化学線の波長に吸収のある開始剤の存在下で重合を実施することができる。たとえば、重合でUV光を使用する場合には、UV照射をしたときに、分解して、重合反応を開始させるフリーラジカルまたはイオンを発生するUV開始剤が使用できる。
【0049】
UV開始剤としては、たとえば、フリーラジカル開始剤、カチオン性開始剤、またはそれらの組合せのような化学物質が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。フリーラジカル開始剤としては、UV照射に暴露させたときにフリーラジカルを発生する化合物が挙げられる。そのフリーラジカルが、存在しているモノマーおよび/またはオリゴマーの間で重合反応を開始させることができる。
【0050】
フリーラジカル開始剤の例としては以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):ベンゾフェノン(たとえば、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、およびキサントン)、アシルホスフィンオキシド型のフリーラジカル開始剤(たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TMPO)、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(TEPO)、およびビスアシルホスフィンオキシド(BAPO))、アゾ化合物(たとえば、AIBN)、ベンゾイン、ならびにベンゾインアルキルエーテル(たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、およびベンゾインイソプロピルエーテル)。
【0051】
さらに、フリーラジカル光開始剤としては以下のものを挙げることができる(これらに限定される訳ではない):アシロイン;アシロインの誘導体、たとえばベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、臭化デシル、およびα−メチルベンゾイン;ジケトン、たとえばベンジルおよびジアセチル;有機スルフィド、たとえばジフェニルモノスルフィド、ジフェニルジスルフィド、デシルフェニルスルフィド、およびテトラメチルチウラムモノスルフィド;チオキサントン;S−アシルジチオカルバメート、たとえばS−ベンゾイル−N,N−ジメチルジチオカルバメートおよびS−(p−クロロベンゾイル)−N,N−ジメチルジチオカルバメート;フェノン、たとえばアセトフェノン、α−α−α−トリブロモアセトフェノン、o−ニトロ−α−α−α−トリブロモアセトフェノン、ベンゾフェノン、およびp,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン;キノン;トリアゾール;スルホニルハライド、たとえばp−トルエンスルホニルクロリド;リン含有光開始剤、たとえばアシルホスフィンオキシド;アクリレート化アミン;またはそれらの混合物。
【0052】
フリーラジカル開始剤は単独で使用することもできるし、あるいは共開始剤と組み合わせて使用することもできる。共開始剤は、UV系において活性のある、ラジカルを発生させるための第二の分子が必要な開始剤と共に使用する。たとえば、ベンゾフェノンでは、反応性ラジカルを発生させるためには、第二の分子、たとえばアミン、を使用する。好ましい共開始剤の種類は、アルカノールアミン、たとえば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンであるが、これらに限定される訳ではない。
【0053】
好適なカチオン性開始剤としては、重合を開始させるのに十分なUV光に暴露させたときに、非プロトン酸またはブレンステッド酸を形成する化合物が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。使用するカチオン性開始剤は、単一の化合物であっても、2種以上の活性化合物の混合物であっても、あるいは2種以上の異なった化合物(たとえば、共開始剤)を組み合わせたものであってもよい。
【0054】
カチオン性光開始剤としては、オニウム塩、たとえばスルホニウム塩、ヨードニウム塩、またはそれらの混合物などを挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。さらに、カチオン性光開始剤としては以下のようなものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:アリールジアゾニウム塩、ビス−ジアリールヨードニウム塩、スルホン酸のジアリールヨードニウム塩、スルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ホウ酸のジアリールヨードニウム塩、ボロン酸のジアリールヨードニウム塩、ホウ酸のトリアリールスルホニウム塩、ボロン酸のトリアリールスルホニウム塩、またはそれらの混合物。カチオン性光開始剤の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ヘキサフルオロアンチモン酸ジアリールヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸アリールスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸アリールスルホニウム、ヘキサフルオロヒ酸ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリル−クミルヨードニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸ジアルキルフェニルヨードニウム、ペルフルオロアルキルスルホン酸のジアリールヨードニウム塩(たとえば、ペルフルオロブタンスルホン酸、ペルフルオロエタンスルホン酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩)、アリールスルホン酸のジアリールヨードニウム塩(たとえば、パラ−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、および3−ニトロベンゼンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩)、ペルフルオロアルキルスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩(たとえば、ペルフルオロブタンスルホン酸、ペルフルオロエタンスルホン酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩)、アリールスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩(たとえば、パラ−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、および3−ニトロベンゼンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩)、ペルハロアリールボロン酸のジアリールヨードニウム塩、ペルハロアリールボロン酸のトリアリールスルホニウム塩、またはそれらの混合物。
【0055】
可視光照射開始剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ジケトン(たとえば、ショウノウキノン、1,2−アセナフチレンジオン、1H−インドール−2,3−ジオン、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−10、および11−ジオン)、フェノキサジン染料(たとえば、レサズリン、レゾルフィン)、アシルホスフィンオキシド、(たとえば、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)、など。
【実施例】
【0056】
実験
以下の実施例は、本明細書において特許請求された化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法をいかに製造し評価するかを、当業者に対して完全に開示し、説明するための提示であり、これらは、本発明の単純な例示を意図しているものであって、本発明者らが発明と認識していることの範囲を本発明者らが限定することを意図したものではない。数値(たとえば、量、温度など)に関しては正確であるように努めたが、幾分かの誤差や偏差は許されたい。特に断らない限り、部は重量部であり、温度は℃であり、周囲(ambient)温度および圧力は、大気または大気近傍のものである。
【0057】
実施例1
(AH−I−172の合成)
【化7】

【化8】

ステップ1:ビスリチウム中間体化合物の合成:
アセチレン基の三重結合へリチウムを作用させて、ビス−リチウム中間体化合物を形成させることからなる。この中間体の調製については、Tang,et al.,J.Mater.Chem.,2001,11,2974〜2978を参照されたい。
【0058】
ステップ2:
A.4−ブロモ(tert−ブチルジメチルシリル)フェノキシ(3)の合成:
ブロモフェノールまたは4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニル(0.20mol、34.6g)のDMF(240mL)の中の溶液に、25℃で、tert−ブチル−ジメチルシリルクロリド(TBDMS−Cl、30.2g、0.20mol)を添加した。その溶液にイミダゾール(34.0g、0.40mol)を慎重に添加し、25℃で3時間撹拌を続けた。その反応混合物をNaHCO飽和水溶液(400mL)の中に注ぎ、ヘキサン(3×200mL)を用いてその水相を抽出した。有機相を合わせ、塩水(3×100mL)およびHO(100mL)を用いて洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮すると、シリル化された臭化アリールが無色の油状物として得られた。49.6g(86%)。
H−NMR δppm(400MHz、CDCl):7.30(d,J=12Hz,2H)、6.70(d,J=12Hz,2H)、0.95(s,9H)、0.16(s,6H)。
【0059】
B.保護された4−ブロモフェノールのグリニャール誘導体(4):
シリル化された臭化アリール(3)(3.62g、12.6mmol)を、30mLの脱水THF中のマグネシウム(306mg、12.6mmol、1.0当量)に、窒素下、触媒量のヨウ素の存在下に60℃で添加した。その混合物の赤褐色が消えてから、その反応混合物を冷却して25℃とし、マグネシウムがほとんど消費されるまで(2〜5時間)撹拌した。
【0060】
ステップ3:ジクロロ[tert−ブチル(ジメチル)シリルフェノキシ]フェニルシラン(4’)
化合物4(18gの3、62mmolおよび1.52gの削り屑状マグネシウム、62mmol)のTHF(30mL)中の溶液を、フェニルトリクロロシラン(13.12g、62mmol)のTHF(40mL)中の溶液に、0℃で滴下により添加した。その反応混合物を放置して室温にまで温め、窒素下で一晩撹拌した。その生成物を、次の反応にin-situで直接使用した。
【0061】
ステップ4:1−フェニル−1−[4−(tert−ブチルジメチルシリル)フェノキシ]−2,3,4,5−テトラフェニルシロール(5)の合成:
ステップ3で得られた官能基化シラン誘導体(4’)を、上述のビス−リチウム中間体化合物と反応させると、化合物(5)が得られた。ジフェニルアセチレン(124.00mmol、22.10g)およびきれいなリチウム削り屑状物(124.00mmol、868mg)を、100mLの三口丸底フラスコに仕込み、窒素を用いて30分間酸素除去を行った。次いで、30mLの脱水THFを添加した。その反応混合物を、室温で14時間、窒素雰囲気下で撹拌した。50mLの脱水THFを用いてその深緑色の混合物を希釈してから、カニューレを介して、調製した新しいシラン誘導体(4’)を含む反応装置の滴下ロートに移した。その滴下ロートの内容物を、塩化ケイ素溶液に、室温で0.5時間かけて滴下により加えた。その褐色の混合物を、同じ温度で2時間撹拌してから、一晩還流させた。水を用いて、得られた黄緑色の溶液を洗浄し、エーテルを用いてその有機層を抽出し、MgSO上で乾燥させた。真空下で溶媒を除去し、その残渣を、溶出液としてヘキサン/ジクロロメタン(8/1、容積比)を使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、5が黄色の固形物として得られた:9.7g(25%)。
H−NMR δppm(400MHz、CDCl):7.66〜6.70(m,29H)、0.99(s,6H)、0.97(s,3H)、0.21(s,6H)。
【0062】
ステップ5:1−フェニル−1−(p−フェノール)−2,3,4,5−テトラフェニルシロール(6):
丸底フラスコの中で、保護されたシロール(3.47g、5.19mmol)のTHF(40mL)中溶液を調製した。2.11mLのフッ化テトラブチルアンモニウム(7.28mmol、TBAF、THF中1M)を滴下により添加し、その反応混合物を室温で撹拌した。TLCによりその反応をモニターしたところ、反応は10分後には完結していた。ロータリーエバポレーター上でTHFを除去し、化合物を、ヘキサン/ジクロロメタン8:2(v/v)の混合物、次いで純ジクロロメタンを用いて溶出させた、シリカ上のクロマトグラフィーにより精製すると、2.60gの所望の化合物が黄色の固形物として得られた(90%)。
H−NMR δppm(400MHz、CDCl):7.64(m,2H)、7.52(m,2H)、7.26〜7.48(m,4H)、7.04〜6.92(m,11H)、6.90〜6.78(m,10H)、4.89(s,1H)。
MS(FAB)554.20、計算値(C4030OSi)554.21。
【0063】
ステップ6:5−(5−ブロモペンチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(7):
80mLの脱水THF中の削り屑状マグネシウム(2.42g、0.099mol)を、コンデンサー、窒素入口、および臭化ノルボルニルメチレン(16.22g、0.086mol)入りの滴下ロートを備えた三口フラスコに入れた。1時間かけて、マグネシウムに対してノルボルネンを徐々に添加し、その溶液を冷却し、カニューレを介して、LiCuCl(THF中0.1M、10mL)および1,4−ジブロモブタン(22.95g、0.106mol)を仕込んでおいたシュレンクフラスコに取り付けた滴下ロートに移した。その反応混合物を冷却して約−20℃とし、2時間かけてグリニャール溶液を徐々に添加した。その反応混合物を、一晩かけて徐々に室温にまで温めた。ジエチルエーテル(100mL)をその溶液に加え、飽和NHCl溶液を用いて洗浄した。エーテルを用いてその水層を抽出し、有機層を合わせてから、塩水を用いて洗浄した。ロータリーエバポレーター上で揮発性成分を除去し、残渣を減圧下で蒸留すると、黄色がかった油状物が10g(44%)得られた。
H−NMR δppm(400MHz、CDCl):6.10(1H,m,HCCHendo)、6.08(1H,m,HCCHexo)、6.02(1H,m,HCCHexo)、5.91(1H,m,HCCHendo)、3.37(2H,m,(CHCHBr)、2.72(2H,m,CHCHCHCH2norb)、2.0〜1.76(5H,m)、1.5〜0.9(6H,m)、0.49(1H,m,(CHCHCHH)。
【0064】
ステップ7:1−(4−(5−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ペンチルオキシ)フェニル)−1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1H−シロール(8):
コンデンサーおよびセプタムを備えた二口丸底フラスコの中に、1.00gの6(1.80mmol)、1.25gの7(4.50mmol)および40mLのアセトンを仕込んだ。1.39gのKCOを少しずつ加え、その反応混合物を一晩還流させた。反応混合物を冷却して室温とし、ロータリーエバポレーター上でアセトンを除去すると、黄色の固形物が得られた。溶出液としてヘキサン/ジクロロメタン5/5(v/v)の混合物を使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって、その生成物を精製すると、723mgの所望の化合物が黄色の固形物(56%)として得られた。
H−NMR δppm(400MHz、CDCl):7.63(dd,2H)、7.55(d,2H)、7.42〜7.30(m,4H)、7.80〜6.92(m,11H)、6.78〜6.91(m,10H)、6.10〜6.07(m,1Hexoendo)、6.20〜5.80(m,1Hexo)、5.95〜5.80(m,1Hendo)、3.93(t,2H)、3.38(t,1H)、2.72(bs,3H)、2.40〜1.62(m,4H)、1.48〜0.98(m,4H)、0.92〜0.78(m,1H)、0.48〜0.43(m,1H)。
MS(EI)716.50、計算値(C5248OSi)716.35。
【0065】
ステップ8:ポリマー−I(AH−I−172):
第三世代グラブス触媒。25mLの二口フラスコに730mgの8(1.018mmol)を加え、窒素を用いて30分間酸素除去を行った。パージしたバイアルの中で、9.01mgの第三世代グラブス触媒(0.010mmol)の5mLのTHF中の溶液を調製し、注射器で反応混合物へ加え、室温で15分間撹拌した。重合を停止させるために、数滴のエチルビニルエーテルを加え、その混合物を20分間撹拌した。その黄色の溶液を75mLのエタノールの中に滴下し、沈殿したポリマーを濾過してから、CHClの中への溶解とエタノール中での沈殿を4回繰り返し、次いで濾過、乾燥させると500mgの黄色の固形物(68%)が得られた。
H−NMR δppm(400MHz、CDCl):7.63(bd,2H)、7.53(bd,2H)、7.42〜7.25(m,4H)、7.3〜6.5(m,21H)、5.5〜5.4(m,5H)、4.05〜3.7(m,4H)、3.5〜0.8(m,10H)。
GPC結果:Mn=13000、Mw=30000、DP=18、PDI=2.33。
元素分析計算値(C5248OSi):C、87.10;H、6.75。実測値:C、86.48;H、7.05。
【0066】
実施例2(スキーム1)
【化9】

ステップ1:XZ−II−87の合成:
A.XZ−III−17の調製:
ジフェニルアセチレン(33.4mmol、6.0g)およびきれいなリチウムの削り屑状物(28mmol、196mg)を100mLの三口丸底フラスコに入れ、窒素を用いて30分間酸素除去を行った。次いで、30mLの脱水THFを添加した。その反応混合物を、室温で14時間、窒素雰囲気下で撹拌した。50mLの脱水THFを用いてその深緑色の混合物を希釈し、滴下ロートに移した。窒素を用いて30分間かけて、別の250mL三口丸底フラスコの酸素除去を行い、20mLの脱水THFおよびPhSiCl(12.6mmol、2.66g)を入れた。得られた懸濁液を、塩化ケイ素溶液に、室温で0.5時間かけて滴下により加えた。その褐色の混合物を同じ温度で2時間撹拌してから、5時間還流させると、暗黄色の溶液が得られた。
【0067】
B.淡灰色混合物:5−(5−ブロモペンチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンのグリニャール試薬:
250mLの三口丸底フラスコに、マグネシウムの削り屑状物(20mmol、480mg)、臭化5−ノルボルネン−2−ペンチルのJYC−II−055(12.6mmol、3.06g)および少量のヨウ素を入れ、窒素を用いて30分間の酸素除去を行った。次いで、20mLの脱水THFを加え、その混合物を40℃で8時間撹拌した。その混合物の色が、淡赤色から無色へ、次いで淡灰色へと変化した。
【0068】
C.XZ−II−87:
暗黄色の塩化シロール溶液と上述の淡灰色のグリニャール試薬溶液の両方を冷却して0℃とし、後者を前者に30分間かけて滴下により加えた。深緑色がかった褐色の混合物を0℃で1時間撹拌してから、徐々に温めて室温とし、一晩撹拌した。水を用いて、得られた黄緑色の溶液を洗浄し、エーテルを用いてその有機層を抽出し、MgSO上で乾燥させた。溶媒を除去し、その残渣を、溶出液としてヘキサン/ジクロロメタン=8/1を使用したシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、メタノールから再結晶させると、淡黄色で、強い青色蛍光の固形物(2.0g、25.6%)が得られた。XZ−II−87:5mmol、1.0g、32.1%。
H NMR(300MHz、CDCl):δ7.64(m,2H)、7.34(m,3H)、7.01(m,12H)、6.85(m,8H)、6.08(m,1.3H)、5.87(m,0.7H)、2.72(s,2H)、1.93〜1.76(m,2H)、1.53(m,2H)、1.42〜1.16(m,8H)、1.00(m,2H)、0.46(m,1H)。
13C NMR(75MHz、CDCl):δ155.98、139.75、139.48、138.85、136.70、134.79、133.01、132.31、129.85、129.69、128.90、128.08、127.68、127.35、126.18、125.42、49.57、45.43、42.56、38.75、34.67、33.26、32.50、28.28、23.336、10.82。
HRMS(EI)、m/z624.3182(計算値(C4644Si)=624.3212)。
元素分析計算値(C4644Si):C、88.41;H、7.10。実測値:C、88.28;H、7.15。
【0069】
ステップ2:XZ−III−43:
25mLのフラスコに、モノマーXZ−II−87(0.5mmol、312mg)、および第三世代グラブス触媒(0.005mmol、4.42mg)を入れ、窒素を用いて30分間酸素除去を行った。10mLのクロロホルムを加え、室温で一晩撹拌した。重合を停止させるために、数滴のエチルビニルエーテルを加えた。その黄色の溶液を100mLのエタノールの中に滴下すると、淡黄色の沈殿物が生じた。その淡黄色の固形物を5mLのクロロホルムに溶解させ、100mLのエタノールの中で沈殿させると、淡黄色の固形物(301mg、96.5%)が得られた。
H NMR(300MHz、CDCl):δ7.60(m,2H)、7.30(m,3H)、6.96〜6.83(m,20H)、5.20(s,br,2H)、2.90〜2.30(m,br,2H)、1.82(m,br,3H)、1.50〜0.80(m,br,10H)。
13C NMR(75MHz、CDCl):δ155.92、139.75、139.43、138.78、134.73、132.93、129.81、129.67、128.84、128.06、127.68、127.35、126.16、125.42、45.44、43.18、42.47、40.06、37.10、33.33、31.72、28.26、23.42、10.76。
元素分析計算値((C4644Si)):C、88.41;H、7.10。実測値:C、88.01;H、7.12。
GPC(標準としてポリスチレン、溶出液としてジクロロメタン):重量平均分子量(Mw)、1.02×10;分子量分布(MWD)、2.96。
【0070】
新規な化合物のXZ−II−87およびXZ−III−43、それに対する参照のXZ−I−149Aの性能を表1〜5に示す。
【化10】

【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
実施例3
この実施例では、電子輸送および/または正孔ブロッキング層としてポリシロール化合物のAH−I−172(実施例1)を使用したOLEDデバイスの製作を説明する。そのデバイスの構成は、ITO/ポリ−TPD−F(35nm)/オレンジコポリマーシンナメート(orange copolymer cinnamate)(20nm)/ポリシロール(40nm)/LiF/Alであり、図10に示す。オレンジコポリマーシンナメートおよびポリ−TPD−Fは以下に示すものである。
【化11】

【0077】
正孔輸送層のためには、10mgのポリ−TPD−Fを、1mLの蒸留、脱気したトルエンの中に溶解させた。発光層のためには、5mgの架橋性オレンジコポリマー(5mol%のイリジウム含量とイリジウム錯体とポリマー主鎖との間に長いスペーサーを有する)を、1mLの蒸留、脱気したトルエンの中に溶解させた。最後に、電子輸送層のために、10mgのポリシロールを、1mLの蒸留、脱気したトルエンの中に溶解させた。溶液はすべて不活性雰囲気下で作り、一晩撹拌した。
【0078】
正孔輸送材料の35nm厚の膜を、20Ω/平方のシート抵抗を有する、空気プラズマ処理したインジウムスズ酸化物(ITO)コーティングしたガラス基板(Colorado Concept Coatings,L.L.C.)の上に、スピンコーティング(60s(2500rpm)、加速度10,000)した。膜は、0.7mW/cmの出力密度を有する標準的な広帯域UV光を1分間使用して、架橋させた。次いで、架橋性オレンジコポリマー溶液の17nm厚の膜を、架橋させた正孔輸送層の上にスピンコーティングした(60s(1500rpm)、加速度10,000)。発光層は、同じUV光を用い0.7mW/cmの出力密度で30分間かけて架橋させた。電子輸送層のためには、オキサジアゾールポリマー溶液の40nm厚の膜を、その架橋させた発光層の上にスピンコーティングした(60s(1500rpm)、加速度10,000)。
【0079】
最後に、電子注入層としての2.5nmのフッ化リチウム(LiF)および200nm厚のアルミニウム陰極を、1×10−6Torr未満の圧力、それぞれ0.1Å/sおよび2Å/sの速度で真空蒸着させた。一つの基板あたり0.1cmの面積を有する5個のデバイスを形成させるために、金属の蒸発にはシャドーマスクを使用した。製造の際には、デバイスを大気条件に暴露させることは決してなかった。試験は、金属陰極を蒸着させた直後に、不活性雰囲気中でデバイスを空気に暴露させることなく実施した。
【0080】
上述の化合物の性能を次の表6に示す。
【0081】
【表6】

【0082】
上述の参照OLEDの場合の、電圧の関数としての最大輝度および外部量子効率(EQE)の曲線を、図11に示す。
【0083】
実施例4
この実施例では、ポリマーXZ−III−43の電子移動度について説明する。
【0084】
飛行時間法(TOF)を使用してポリマーの電子移動度の特性解析をした。2枚のITO電極の間でポリマーを溶融させ、較正したガラススペーサーを使用して、20μm厚の膜を製造した。ns−パルス窒素レーザーを使用して、電界下でサンプルを照射し、発生した過渡電流を測定した。図12に、印加電場7.5×10V/cmの場合に得られるTOF過渡信号を示す。過渡時間は、過渡電流信号から評価することが可能であって、3.5×10−5cm/Vsの電子移動度の値が得られた。これらの実験は、空気中、室温で実施した。
【0085】
実施例5
この実施例では、発光層としてシロール化合物のポリシロール化合物XZ−III−43(実施例2)を使用したOLEDデバイスの製作を説明する。デバイスの構成は、ITO/ポリ−TPD−F(35nm)/ポリシロールXZ−III−43(35nm)/BCP(40nm)/LiF/Alであり、図13に示す。BCPは以下に示すものである。
【化12】

【0086】
正孔輸送層のためには、10mgのポリ−TPD−Fを、1mLの蒸留、脱気したトルエンの中に溶解させた。発光層のためには、10mgのポリシロールXZ−III−43を、1mLの蒸留、脱気したトルエンに溶解させた。両方の溶液は不活性雰囲気下で作り、一晩撹拌した。
【0087】
正孔輸送材料の35nm厚の膜を、20Ω/平方のシート抵抗を有する、空気プラズマ処理したインジウムスズ酸化物(ITO)コーティングしたガラス基板(Colorado Concept Coatings,L.L.C.)の上に、スピンコーティング(60s(1500rpm)、加速度10,000)した。膜は、0.7mW/cmの出力密度を有する標準的な広帯域UV光を1分間使用して、架橋させた。次いで、ポリシロールXZ−III−43溶液の35nm厚の膜を、架橋させた正孔輸送層の上にスピンコーティングした(60s(2000rpm)、加速度10,000)。正孔ブロッキング層のためには、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、BCP)を、グラジエントゾーン昇華法を使用してまず精製し、次いで40nmの膜を発光層の上に、0.4Å/sの速度と1×10−7Torr未満の圧力で加熱蒸発させた。
【0088】
最後に、電子注入層としての2.5nmのフッ化リチウム(LiF)および200nm厚のアルミニウム陰極を、1×10−6Torr未満の圧力、それぞれ0.1Å/sおよび2Å/sの速度で真空蒸着させた。一つの基板あたり0.1cmの面積を有する5個のデバイスを形成させるために、金属の蒸発にはシャドーマスクを使用した。製造の際には、デバイスを大気条件に暴露させることは決してなかった。試験は、金属陰極を蒸着させた直後に、不活性雰囲気中でデバイスを空気に暴露させることなく実施した。
【0089】
上述の化合物の性能を次の表8に示す。
【0090】
【表7】

【0091】
発光層としてXZ−III−43を使用した上述のOLEDのエレクトロルミネセンススペクトルを、オーシャン・オプティックス(Ocean Optics)ファイバースペクトロメーターを使用して測定し、その結果を図14に示す。
【0092】
発光層としてXZ−III−43を使用した上述のOLEDデバイスの電流密度−電圧(J−V)特性を図15に示す。上述の参照OLEDの場合の、電圧の関数としての最大輝度および外部量子効率(EQE)の曲線を、図16に示す。
【0093】
本出願全体を通して、各種の公刊物を参照した。それらの公刊物の開示は、本発明に関わる従来技術をより完全に説明するために、そのすべてを、ここで、本明細書の中に参照として援用したものとする。
【0094】
現時点において、最も実際的で好ましい実施態様と考えられるものの観点から本発明を説明してきたが、開示された実施態様に本発明が限定される必要はないということは理解されたい。それとは逆に、添付の特許請求項の精神と範囲に含まれる、各種の修正および類似の配列をカバーすることが意図されており、特許請求項は、そのような修正および類似の構造のすべてを包含するような最も広い解釈を与えられるべきである。したがって、ここまでの記述および説明は、添付の特許請求項で定義される本発明の範囲を限定すると受け取るべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Xは、アレーンジイルまたはアルカンジイルであり、それらそれぞれは、C1〜20の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖または環式であり;
およびLは独立して、存在しないか、または次式を表し、
【化2】

は、存在しないか、またはアルカンジイル、アルケンジイル、アルキンジイル、もしくはアレーンジイルを表し、それらはそれぞれ、C1〜20の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖、または環式であり;
−R−Lはまとまって、ノルボルネンモノマーへの結合であって、前記エステル上の炭素もしくは酸素原子を介するか、または前記エーテルの酸素原子を介して結合されており;
ここで、LおよびLが存在しない場合には、RおよびXの中の炭素原子の数は、合わせても直鎖のペンタンジイルを形成できず;
’はアリールであり;そして
およびRはアリールである]
で表される化合物。
【請求項2】
がアルカンジイルである、請求項1に記載のノルボルネン−シロール化合物。
【請求項3】
が、メチレンジイル、エチレンジイル、プロピレンジイル、ブチレンジイル、ペンチレンジイル、ヘキシレンジイル、ヘプチレンジイル、オクチレンジイル、ノニレンジイル、デシレンジイル、またはドデシレンジイルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Xが、アレーンジイルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Xが次式であり、
【化3】

’で示された位置において、シロール、L、R、L、またはノルボルネンに結合されている、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Xが次式であり、
【化4】

’で示された位置において、シロール、L、R、L、またはノルボルネンに結合されている、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
Xが、C1〜11アルカンジイルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Xが、メチレンジイル、エチレンジイル、プロピレンジイル、ブチレンジイル、ペンチレンジイル、ヘキシレンジイル、ヘプチレンジイル、オクチレンジイル、ノニレンジイル、デシレンジイル、またはドデシレンジイルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
またはLの少なくとも一つが存在している、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
−R−Lがまとまって、
【化5】

であり、ここでzおよびz’が独立して選択された整数の0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
−R−Lがまとまって、
【化6】

であり、ここでzおよびz’が独立して選択された整数の0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
’がフェニルである、請求項1に記載のノルボルネン−シロール化合物。
【請求項13】
’が、C1〜11アルキルまたはアルコキシ基で置換されている、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
およびRのいずれもがフェニルである、請求項1に記載のノルボルネン−シロール化合物。
【請求項15】
およびRが、C1〜11アルキルまたはアルコキシ基で置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
式(II)
【化7】

[式中、
Xは、アレーンジイルまたはアルカンジイルであり、それらそれぞれは、C1〜20の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖または環式であり;
およびLは独立して、存在しないか、または次式を表し、
【化8】

は、存在しないか、またはアルカンジイル、アルケンジイル、アルキンジイル、もしくはアレーンジイルを表し、それらはそれぞれ、C1〜20の炭素鎖長を有する直鎖、分岐鎖、または環式であり;
−R−Lはまとまって、ノルボルネンポリマーへの結合であって、前記エステル上の炭素もしくは酸素原子を介するか、または前記エーテルの酸素原子を介して結合されており;
’はアリールであり;
およびRはアリールであり;そして
nは、約1〜約2,000の整数である]
によって表される化合物。
【請求項17】
がアルカンジイルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
が、メチレンジイル、エチレンジイル、プロピレンジイル、ブチレンジイル、ペンチレンジイル、ヘキシレンジイル、ヘプチレンジイル、オクチレンジイル、ノニレンジイル、デシレンジイル、またはドデシレンジイルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
Xが、アレーンジイルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
Xが次式であり、
【化9】

’で示された位置において、シロール、L、R、L、またはノルボルネンに結合されている、請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
Xが次式であり、
【化10】

’で示された位置において、シロール、L、R、L、またはノルボルネンに結合されている、請求項16に記載の化合物。
【請求項22】
Xが、C1〜11アルカンジイルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項23】
Xが、メチレンジイル、エチレンジイル、プロピレンジイル、ブチレンジイル、ペンチレンジイル、ヘキシレンジイル、ヘプチレンジイル、オクチレンジイル、ノニレンジイル、デシレンジイル、またはドデシレンジイルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項24】
またはLの少なくとも一つが存在している、請求項16に記載の化合物。
【請求項25】
−R−Lがまとまって、
【化11】

であり、ここでzおよびz’が独立して選択された整数の0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である、請求項16に記載の化合物。
【請求項26】
−R−Lがまとまって、
【化12】

であり、ここでzおよびz’が独立して選択された整数の0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である、請求項16に記載の化合物。
【請求項27】
’がフェニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項28】
’が、C1〜11アルキルまたはアルコキシ基で置換されたフェニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項29】
およびRのいずれもがフェニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項30】
およびRのいずれもが、C1〜11アルキルまたはアルコキシ基で置換されたフェニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項31】
nが、5〜2000である、請求項16から30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
請求項1から31のいずれか一項に記載の化合物の1種または複数を含む、デバイス。
【請求項33】
請求項16から31に記載の化合物の1種または複数を含む、デバイスの電子輸送および/または正孔ブロッキング層。
【請求項34】
請求項16から31に記載の化合物の1種または複数、および燐光ドーパントを含む、デバイスの発光層。
【請求項35】
次式
【化13】

を有する化合物。
【請求項36】
次式
【化14】

を有する化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−508731(P2011−508731A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538778(P2010−538778)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068118
【国際公開番号】WO2009/080796
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(594136664)ジョージア・テック・リサーチ・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】