有機発光トランジスタ及び表示装置
【課題】有機発光層の電圧制御を行いつつ発光効率を向上できる有機発光トランジスタ及び表示装置を提供する。
【解決手段】有機発光トランジスタは、ソ−ス電極層に対向するドレイン電極層と、ソ−ス電極層及びドレイン電極層の間に形成された有機発光層と、有機発光層及びソ−ス電極層の間に形成された半導体層と、ソ−ス電極層におけるドレイン電極層と対向している面の反対側にゲ−ト絶縁膜を介して配置されたゲ−ト電極層と、を有する有機発光トランジスタであって、有機発光層及びソ−ス電極層の間に形成されかつ開口を有する電荷規制層と、電荷規制層及びソ−ス電極層の間に形成されかつソ−ス電極層から前記開口へ電荷を中継する中継領域と、を有する。
【解決手段】有機発光トランジスタは、ソ−ス電極層に対向するドレイン電極層と、ソ−ス電極層及びドレイン電極層の間に形成された有機発光層と、有機発光層及びソ−ス電極層の間に形成された半導体層と、ソ−ス電極層におけるドレイン電極層と対向している面の反対側にゲ−ト絶縁膜を介して配置されたゲ−ト電極層と、を有する有機発光トランジスタであって、有機発光層及びソ−ス電極層の間に形成されかつ開口を有する電荷規制層と、電荷規制層及びソ−ス電極層の間に形成されかつソ−ス電極層から前記開口へ電荷を中継する中継領域と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷輸送性(正孔又は電子の移動性)を有する化合物を利用し、かかる化合物からなる有機発光層を備えた有機発光トランジスタ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電界を印加して発光させる例えば物質における電荷(正孔又は電子)の再結合によるエレクトロルミネセンス(以下、単にELという)を利用している発光素子が着目されている。例えば、有機化合物材料を用いた注入型の有機EL素子による表示パネルを搭載したEL表示装置が開発されている。有機EL素子には、赤色で発光する構造を有する赤色EL素子、緑色で発光する構造を有する緑色EL素子、及び青色で発光する構造を有する青色EL素子がある。これら赤、青、緑RGBで発光する3つの有機EL素子を1画素発光ユニットとして、複数画素をパネル部上にマトリクス状に配列すればカラー表示装置を実現することができる。かかるカラー表示装置による表示パネルの駆動方式として、パッシブマトリクス駆動型と、アクティブマトリクス駆動型が知られている。アクティブマトリクス駆動型のEL表示装置は、パッシブマトリクス型のものに比べて、低消費電力であり、また画素間のクロストークが少ないなどの利点を有し、特に大画面表示装置や高精細度表示装置に適している。
【0003】
アクティブマトリクス駆動型のEL表示装置の表示パネルには、陽極電源供給線、陰極電源供給線、水平走査を担う走査線及び各走査線に交叉して配列されたデータ線が格子状に形成されている。走査線及びデータ線の各RGB交差部にRGBサブピクセルが形成されている。サブピクセル毎に、走査線選択用の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)のゲートには走査線が接続され、そのドレインにはデータ線が接続されて、そのソースには発光駆動用のFETのゲートが接続されている。発光駆動FETのソースには陽極電源供給線を介して駆動電圧が印加され、そのドレインにはEL素子の陽極端が接続されている。発光駆動FETのゲート及びソース間にはキャパシタが接続されている。更に、EL素子の陰極端には、陰極電源供給線を介して接地電位が印加される。
【0004】
例えば、先行発明(特許文献1参照)では、図1に示すように、基体上に、陽極と、発光材料層を介して少なくともその一部が対向して設置されている陰極とからなる発光体において、陽極の発光材料層を介して陰極と対向している面と反対側の面に、絶縁膜を介して補助電極が形成されている有機発光トランジスタ構造において、陽極及び陰極の間に印加する電圧方向と同方向になるように、補助電極と陰極との間に電圧を印加する。有機発光トランジスタを用いて多色の有機ELディスプレイとする場合、輝度を変化させるためには有機発光層に用いる材料を変更することとそれぞれの発光材料特性に応じた電圧制御とが必要である。
【特許文献1】特開2002−343578公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行発明によれば、ゲ−ト電極に印加するゲ−ト電圧によりソ−スドレイン間を流れる電流量を変化させることができるので、ソ−ス−ドレイン間に何らかの絶縁膜を形成しない場合には、ゲ−ト電圧によらない電流成分が支配的となり、ゲ−ト電圧による電流と輝度の変化が得られない。そこで、例えば、絶縁膜をソ−ス電極と接触するように成膜した場合、ソ−ス電極をゲ−ト絶縁膜上に形成してあるので、絶縁膜があることで半導体とソ−ス電極との電気的な接触が悪くなり、最悪の場合にはソ−ス−ドレイン間に100V以上の大きな電圧を印加しても発光が確認できるほどの電流が流れないという問題点があった。
【0006】
さらに、有機EL素子に代表される従来の有機発光素子は基本的にダイオード特性を示す素子であり、製品化されているものはほとんどパッシブマトリックス駆動によるものである。パッシブマトリックス駆動法では、線順次駆動を行うため瞬間的に高い輝度を必要とし、走査線数の限界数が限られてしまうため高精細な表示装置を得ることが難しかった。近年ではポリシリコンなどを用いたTFTを用いた有機ELディスプレイが検討されているが、プロセス温度が高い、単位面積あたりの製造コストが高く大画面化に向かない。また有機ELをTFTを用いてアクティブ駆動させる際には1画素内に2つ以上のトランジスタと1つ以上のコンデンサを配置しなければならないために開口率が下がる一方で、有機EL素子をそれぞれの発光材料特性に応じた電圧制御を行いつつ高輝度で発光させなければならない、などの問題があった。
【0007】
本発明の解決しようとする課題には、有機発光層の電圧制御を行いつつ発光効率を向上できる有機発光トランジスタ及び表示装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の有機発光トランジスタは、ソ−ス電極層と、前記ソ−ス電極層に対向するドレイン電極層と、前記ソ−ス電極層及び前記ドレイン電極層の間に形成された有機発光層と、前記有機発光層及び前記ソ−ス電極層の間に形成された半導体層と、前記ソ−ス電極層における前記ドレイン電極層と対向している面の反対側にゲ−ト絶縁膜を介して配置されたゲ−ト電極層と、を有する有機発光トランジスタであって、
前記有機発光層及び前記ソ−ス電極層の間に形成されかつ前記有機発光層へ電荷を通過させる開口を有する電荷規制層と、
前記電荷規制層及び前記ソ−ス電極層の間に形成されかつ前記ソ−ス電極層から前記開口へ電荷を中継する中継領域と、を有することを特徴とする。
【0009】
かかる有機発光トランジスタにおいては、ソ−ス電極層と電荷規制層を接触させずにソ−ス電極層と電荷規制層が半導体層などの中継領域を介して積層されている。かかる有機発光トランジスタは、ソ−ス電極層と電荷規制層を分離して形成することにより、ソ−ス電極層と半導体層の良好な電気的接触を確保したまま、OFF電流を低減することが可能になる。
【0010】
請求項13記載の表示装置は、かかる有機発光トランジスタをマトリクス状に複数配置した表示装置であって、前記有機発光トランジスタごとに前記ゲ−ト電極層に電気的に接続された少なくとも1つのスイッチング素子を有することを特徴とする。
【0011】
かかる有機発光トランジスタを用いた表示装置を作製する際には少なくとも1つの電界効果トランジスタなどのスイッチング素子が必要となるが、このスイッチング素子を水や活性ガスなどからの影響を受けにくくするための保護膜を電荷規制層を作製する際に同時に形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態の有機発光トランジスタを図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<実施形態1>
図2は、本発明の実施形態における、対向する1対の電極(ソース電極4及びドレイン電極層7)の間に成膜された有機発光層6を備えた基板1上に形成された有機発光トランジスタ114を示す。
【0014】
有機発光トランジスタ114は、基板1上に、ゲート電極層2、ゲート絶縁膜3、開口φ1を有するソース電極層4(陽極)、半導体層5、電荷規制層BF、有機発光層6、ドレイン電極層7(陰極)、を順に形成してなる。すなわち、有機発光トランジスタは、平行に対向するソース電極層4及びドレイン電極層7に間に成膜された有機発光層6と、有機発光層6及びソース電極層4の間に成膜された半導体層5と、ソース電極層4におけるドレイン電極層7と対向している面の反射側にゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極層2と、を備える。この有機発光トランジスタにおいて、電荷規制層BFは、ソース電極層4とドレイン電極層7の間に半導体層5を介してソース電極層4を覆うように形成されており、素子内での電荷規制層BFが占める面積がソース電極層4の占める面積と同じもしくは大である。電荷規制層BFの開口φ2を画定する部分はソース電極層4の開口φ1を画定する縁部を覆うように形成されている。電荷規制層BFは、有機発光層6へ電荷を供給する開口φ2を有するが、開口φ2はソース電極4の開口φ1よりも面積が小である。
【0015】
ソース電極層4及び電荷規制層BFはほぼ重なり合う格子状、櫛状又は簾状の形状のパターンで成膜される。このようにすれば、半導体層5を通過するゲート電極層2による電気力線のためには都合がよい。ソース電極4の開口φ1及び電荷規制層BFの開口φ2は閉じた線状の縁部であることには限られず、櫛状又は簾状の形状に挟まれた開口も含む。
【0016】
また、ゲート電極層2、ゲート絶縁膜3及びソース電極層4はそれぞれの電源へ接続される。すなわち、この有機発光トランジスタでは発光部ごとにゲ−ト電極層に電気的に接続されたスイッチング素子を備え、1対の電極に電力を供給する配線と、スイッチング素子にオンオフの電圧情報を印加する配線と、を有する。
【0017】
電荷規制層BFには、ゲート絶縁膜3に上げられるような絶縁材料が用いられる。絶縁材料のほか、電荷規制層BFには半導体層5と逆の極性を持つ半導体材料も用いられる。すなわち、半導体層5の材料と極性の異なる半導体材料(例えば半導体層5がp型の材料であれば、電荷規制層BFはn型の材料、あるいは、半導体層5がn型の材料であれば、電荷規制層BFはp型の材料)を用いることが好ましい。電荷の移動を阻害するにはエネルギー障壁が大であるほうがよいからである。電荷規制層BFに電荷が進入されなければよい。電荷規制層BFは、その開口φ2からのみソース電極層4から有機発光層6へ電荷が供給されるように、電荷の流れを狭窄するように形成されている。電荷規制層BFの厚さがソース電極層4と同じかそれ以上の厚さを有する。
【0018】
有機発光トランジスタ114は、電荷規制層BF及びソース電極層4の間に成膜されかつソース電極層4から供給される電荷を電荷規制層BFの開口へ中継する中継領域RLを有する。中継領域RLは半導体層5の材料と同一であり、この実施形態では半導体層5の一部として形成されている。
【0019】
本実施形態では、中継領域RLが存在するのでソース電極層4と半導体層5(中継領域RL)との電気的接触を犠牲にすることなく電荷規制層BFが形成されている。さらに、中継領域RLにより、電荷規制層BFの面積をソース電極層4の面積よりも自由に大きく設定できることから、ソースドレイン間のリーク電流を大幅に低減できる。結果として、従来素子よりも低電圧で動作し、さらにON/OFF比を大きくすることが可能となる。
【0020】
本実施形態では、ソース電極層4を形成した後に半導体層5(中継領域RL)を成膜する手法であるので、ソース電極層のエッチング時のプロセスが半導体層5に影響しない。
【0021】
<実施形態2>
実施形態2は、図3に示すように、半導体層5と有機発光層6の間に電荷輸送層CTLを挿入した以外、図2に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。電荷規制層BFは半導体層5及び電荷輸送層CTLの界面に配置されている。
【0022】
<実施形態3>
実施形態3は、図4に示すように、半導体層5と有機発光層6の間に電荷輸送層CTLを挿入し、さらに、ドレイン電極層7と有機発光層6の間に電荷注入層CILを挿入した以外、図2に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。電荷規制層BFは半導体層5及び電荷輸送層CTLの界面に配置されている。
【0023】
実施形態2、3のように、ドレイン電極層7と有機発光層6の間に電荷注入層もしくは1層以上の電荷輸送層もしくはその両方を設けることができる。
【0024】
電荷輸送層として正孔輸送層があり、電荷注入層として正孔注入層がある。これらの材料としては、トリフェニルジアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を有するアミン誘導体、カルバゾール誘導体、高分子材料としてはポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリチオフェンなどが挙げられる。これらの化合物は2種以上を併用してもよい。一般的に、正孔輸送層は正孔注入層よりもイオン化ポテンシャルIpが大きい有機半導体材料を用いた方が好ましい。
【0025】
さらに、電荷輸送層として電子注入層があり、電荷注入層として電子注入層がある。これらの材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などの8−キノリノール又はその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などが挙げられる。電子注入層及び又は電子輸送層は有機発光層6をかねたものであってもよく、このような場合にはトリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどを使用することが好ましい。電子注入層と電子輸送層を積層して作成するときには、ドレイン電極層7側から電子親和力の値の大きい化合物の順に積層することが好ましい。
【0026】
<実施形態4>
実施形態4は、図5に示すように、ドレイン電極層7と有機発光層6の間に電荷輸送層CTLを挿入した以外、図2に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。電荷規制層BFは半導体層5及び有機発光層6の界面に配置されている。この場合、電荷輸送層CTLに代えて電荷注入層CILを配置してもよい。
【0027】
<実施形態5>
実施形態5は、図6に示すように、ドレイン電極層7と有機発光層6の間に電荷注入層CIL及び電荷輸送層CTLを挿入した以外、図2に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。電荷規制層BFは半導体層5及び有機発光層6の界面に配置されている。
【0028】
<実施形態6>
実施形態6は、図7に示すように、電荷規制層BFの位置をソース電極4側へ変位させた以外、図4に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。上記実施形態3では電荷輸送層CTLと半導体層5の界面に電荷規制層BFを設けているが、この例では、半導体層5中に電荷規制層BFを埋設してある。
【0029】
これによれば、電荷規制層BF材料から放出されるガス、水分などが半導体材料には影響しないものの、そのほかの材料には重大な影響を与える場合に、電荷規制層BFを半導体層5中に埋め込むことにより影響を少なくすることが可能になる。
【0030】
<実施形態7>
実施形態7は、図8に示すように、電荷規制層BFの位置を有機発光層6側へ変位させた以外、図4に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。上記実施形態3では電荷輸送層CTLと半導体層5の界面に電荷規制層BFを設けているが、この例では、電荷輸送層CTL中に電荷規制層BFを埋設してある。中継領域RLとして電荷輸送層CTLの一部(半導体層5及び電荷規制層BF間)が存在する。
【0031】
<実施形態8>
実施形態8は、図9に示すように、電荷規制層BFの位置を有機発光層6側へさらに変位させた以外、図4に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。上記実施形態3では電荷輸送層CTLと半導体層5の界面に電荷規制層BFを設けているが、この例では、電荷輸送層CTLと有機発光層6の界面に設けてある。
【0032】
<実施形態9>
実施形態9は、図10に示すように、電荷輸送層を第1及び第2の電荷輸送層CTL1、CTL2の積層としこれらの界面に電荷規制層BFの位置を設けた以外、図8に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。半導体層5と有機発光層6の間に1層以上の電荷輸送層を設けることができる。中継領域RLとして電荷輸送層CTLの一部(半導体層5及び電荷規制層BF間)が存在する。中継領域RLとして第1電荷輸送層CTL1の一部(半導体層5及び電荷規制層BF間)が存在する。
【0033】
実施形態8、9によれば、半導体層5に用いる材料が大気暴露(活性ガスの影響)やウェットプロセス(水、有機溶剤、酸、アルカリなどの影響)に対して非常に弱い場合に、そのような影響が少ない材料を電荷輸送層CTLとして用い、その層上に電荷規制層BFを設けることで半導体層5には影響せず、電荷規制層BFを形成できる。
【0034】
<実施形態10>
また実施形態10として、図11に示すように、電荷規制層BFと半導体層5との間に電荷規制層BFとほぼ同じ形状の絶縁膜を形成した以外、図2に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタとして、ソース電極層2及びドレイン電極層7間の漏れ電流をさらに減少させる構造としてもよい。このように、電荷規制層BFのソース電極層4側のみを覆う絶縁性材料からなる絶縁膜を設け、有機発光層6を電荷規制層BFと半導体層5との間から排除することにより、不要な発光を防止できる。中継領域RLとして絶縁膜の一部(半導体層5及び電荷規制層BF間)が存在する。
【0035】
<材料例>
基板1の材料としては、ガラス、石英、ポリスチレンなどのプラスチック材料といった半透明材料の他に、シリコンやAlなどの不透明な材料、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂などを用いることができる。
【0036】
ゲート電極層2、ソース電極層4及びドレイン電極層7の電極材料としては、Ti、Al、Li:Al、Cu、Ni、Ag、Mg:Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Cr、Mo、W、Taなどの金属あるいはこれらの合金が挙げられる。あるいは、ポリアニリンやPEDT:PSなどの導電性高分子を用いることができる。あるいは、酸化物透明導電薄膜、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)のいずれかを主組成としたものを用いることができる。また、各電極の厚さは10〜500nm程度が好ましい。これらの電極材料は真空蒸着法、スパッタ法で作製されたものが好ましい。特にドレイン電極層7とゲート電極層2のうちどちらか、もしくはその両方が、有機発光材料から得られる発光波長において少なくとも10%以上の透過率を持つ材料を選択することが好ましい。
【0037】
ゲート絶縁膜3には、SiO2、Si3N4に代表される種々の絶縁材料の無機酸化物皮膜又は有機酸化物皮膜を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物も好適に用いることができる。また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びアノエチルプルラン、ポリマー体、エラストマー体を含むホスファゼン化合物、などを用いることもできる。
【0038】
半導体層5の半導体材料には有機半導体材料、もしくは無機酸化物半導体材料を用いることができる。有機半導体材料には銅フタロシアニン(CuPc)に代表されるポルフィリン誘導体、ペタセンに代表されるポリアセン、α−4Tに代表されるオリゴチオフェン、C60に代表されるフラーレン、m−TDATAに代表されるスターバーストアミンと呼ばれる高分子アリールアミンが低分子系ではよく用いられる。高分子半導体材料では、ポリ(3−チオフェン)(P3HT)などのポリチオフェンやポリシラン、ポリアセチレンなどの材料が挙げられる。無機酸化物半導体には、アルミニウム、亜鉛、インジウム、錫、ガリウム、チタン、タングステン、バナジウムなどの酸化物を主成分とする酸化物を用いることが好ましい。ゲート絶縁膜3及び半導体層5も、光の取り出し側になる場合には、有機発光層6材料から得られる発光波長の10%以上を透過する材料から選択されることが好ましい。
【0039】
有機発光層6には、発光機能を有する化合物である蛍光物質もしくは燐光物質を含有させる。蛍光物質ではトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alg3)などがある。燐光物質を有機発光層6に含有させ発光効率を上げることが好ましい。このような蛍光性物質としては、例えば特開63−264692号公報に開示されているような化合物、例えばキナクリドン、ルブレン、スチリル系色素などの化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。燐光性物質としてはApp1.Phys.Lett.,75巻、4項、1999年にあるような有機イリジウム錯体、有機プラチナ錯体などが挙げられる。
【0040】
<表示装置>
上記実施形態の有機発光トランジスタの複数を表示装置の画素の発光部に用いることもできる。具体的には、少なくともスイッチング素子を1つ、コンデンサなど必要な素子、画素電極などを共通の基板上に作製すれば、本発明によるアクティブ駆動型の表示装置を実現できる。
【0041】
図12は、画素のサブピクセルの発光部として図2に示す有機発光トランジスタ114の複数をマトリクス配置した有機EL表示パネルにおける当該発光部を示す基板側から見た拡大部分平面図である。なお、図12において有機発光層、ドレイン電極層は全面を覆うように形成されているので敢えて図示していない。図13は、図12のA−A’線における断面図を示す。図14は、図12の発光部の等価回路図を示す。
【0042】
図12〜14に示すように、は板上に形成された発光部の各々は、選択用トランジスタのスイッチング素子111と、データ電圧の保持用のキャパシタ113と、有機発光トランジスタ114と、から構成されている。この構成を走査線SL及び電源供給線VccL、並びにデータ線DLの各交点近傍に配置することで画素の発光部を実現することができる。
【0043】
スイッチング素子111のゲート電極Gは、アドレス信号が供給される走査線SLに接続され、スイッチング素子111のソース電極Sはそれぞれデータ線DLに接続されている。スイッチング素子111のドレイン電極Dは有機発光トランジスタ114のゲート電極層2とキャパシタ113の一方の端子に接続されている。
【0044】
有機発光トランジスタ114のドレイン電極層7は電源供給線VccLに接続されており、有機発光トランジスタ114のソース電極層4は接地されている。
【0045】
走査線SL各々は走査線用ドライバSLDに接続され、データ線DLはそれぞれデータ線用ドライバDLDに接続され、電源供給線VccLは電源に接続される。
【0046】
かかる電源がソ−ス電極層とドレイン電極層との間に一定電圧を印加する第1電圧供給手段となり、走査線用ドライバSLD及びデータ線用ドライバDLDがソ−ス電極層とゲ−ト電極層との間に可変電圧を印加する第2供給手段となる。
【0047】
図13に示すように、かかる有機発光トランジスタ114を用いた表示装置を作製する際には少なくとも1つの電界効果トランジスタなどのスイッチング素子111が必要となるが、このスイッチング素子111を水や活性ガスなどからの影響を受けにくくするための保護膜を、有機発光トランジスタ114の電荷規制層BFを作製する際に同時に形成できる。また、スイッチング素子111のゲート電極Gを、有機発光トランジスタ114のゲート電極層2を作製する際に同時に形成できる。さらに、スイッチング素子111の絶縁膜を、有機発光トランジスタ114のゲ−ト絶縁膜3を作製する際に同時に形成できる。よって、スイッチング素子111は、有機発光トランジスタ114のゲ−ト絶縁膜3と同一材料からなる絶縁膜を、その電荷規制層BFと同一材料からなる絶縁膜を、その半導体層5と同一材料からなる半導体膜を有することができる。
【0048】
<実施例1>
実施例として電荷規制層の有機絶縁膜を用いた発光素子を作製した。図15〜図20は作製工程中の有機発光トランジスタの基板の平面図である。図16に示すように、ソース電極層4は櫛状又は簾状の形状として形成しているが、格子状でもよく、さらにソース電極層を格子状、櫛状又は簾状の形状とすれば、電荷供給のための表面積(界面)が増える。図17に示すように、電荷規制層BFは、半導体層5を介してソース電極層4を覆うように形成されており、素子内での電荷規制層BFが占める面積がソース電極層4の占める面積より大である。これにより半導体層5を通過する電荷のための開口パターンを画定することができる。
【0049】
かかる発光素子は以下の(1)〜(7)の工程で作製した。
【0050】
工程(1)--図15に示すように、ゲート電極層2としてITOが100nm成膜されたコーニングTMガラス基板1上にゲート絶縁膜3としてSiO2をスパッタ法により300nmになるように成膜した。
【0051】
工程(2)--図16に示すように、ゲート絶縁膜3上にソース電極層4としてスパッタ法により金(Au)を30nm成膜し、所望のパターンが得られるようにフォトリマスクを用いた露光、現像によりフォトレジストのパターンを形成し、金(Au)専用エッチング液(関東化学製:AURUM−302)を用いて金(Au)をエッチングしたのち、専用のレジスト剥離液を用いてレジスト膜を剥離した。
【0052】
工程(3)--図17に示すように、ゲート絶縁膜3及びソース電極層4上に、10-5Paの真空下においてシャドウマスクを用いた真空蒸着法により半導体層5となるペンタセンを50nm、0.01nm/sの蒸着レートで成膜した。
【0053】
工程(4)--図18に示すように、ゲート絶縁膜3及び半導体層5上に、電荷規制層BFとして感光性ポリビニルアルコール材料をスピンコート法により塗布し500nmの均一な膜を得た後、フォトマスクを用いて露光した。その後、水を用いて現像して所望のパターン得た。
【0054】
工程(5)--その後、図19に示すように、ゲート絶縁膜3及び電荷規制層BF上に、10-5Paの真空下においてシャドウマスクを用いた真空蒸着法により電荷輸送層としてα−NPDを50nm0.2nm/sの蒸着レートで成膜し、続いて有機発光層6としてAlg3を60nm0.2nm/sの蒸着レートで成膜した。
【0055】
工程(6)--その後、図20に示すように、ゲート絶縁膜3及び有機発光層6上に、電荷注入層としてフッ化リチウム(LiF)を1nm成膜し、これまでと異なるシャドウマスクを用いてドレイン電極層7となるアルミニウム(Al)を基板1上に渡るまで100nm成膜した。
【0056】
<比較例との評価>
比較例として、上記工程(4)による電荷規制層BFを設けない以外、上記工程(1)〜(6)で比較例有機発光トランジスタ素子を作製した。実施例1と比較例のゲート電圧輝度特性を図21に示す。
【0057】
実施例1では半導体層に有機膜(ペンタセン)を用いている。通常真空蒸着法で成膜される有機膜は水や有機溶剤などに非常に弱く、実施例1のように有機膜上に塗布法で他の膜を成膜することは非常に困難であるが、ペンタセンが水には比較的強い特徴をもっているという点に着目し、水溶性のレジストを用いて電荷規制層BFを形成している。その結果、それほど大きな特性の劣化もなくOFF電流の小さい素子の作製が可能になった。
【0058】
また、適宜電荷輸送層や電荷注入層を挿入することで発光開始電圧の低電圧化や、発光効率の向上が望めるので、実施例1では電荷輸送層としてα−NPDを、電荷注入層としてLiFを用いた。
【0059】
<実施例2>
工程(1)--実施例1と同様にゲート電極層2としてITOが100nm成膜されたコーニングTMガラス基板上にゲート絶縁膜3としてSiO2をスパッタ法により300nmになるように成膜した。
【0060】
工程(2)--ソース電極層4としてクロムを真空蒸着法により作製し、実施例1の工程(2)と同じバターンが得られるようにウェットエッチングでパターンを形成した。この時クロムのエッチング液には関東化学製の専用エッチング液を用いた。
【0061】
工程(3)--半導体層5として亜鉛酸化物(ZnO)を、スパッタ法で50nmになるように形成した後、フォトマスクを用いて所望の形状のレジストパターンを形成し、ドライエッチング法により不要な部分のZnO薄膜を除去した。その後、レジスト専用剥離液で剥離した。
【0062】
工程(4)--電荷規制層BFにノボラック系レジスト(東京応化製:TFR−1250)を実施例1の工程(4)と同様に形成した。
【0063】
工程(5)--10-5Paの真空下において有機発光層6としてトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alg3)とクマリン(C545T)を真空蒸着法により共蒸着し40nm成膜した。この時クマリンの濃度は3wt%とした。続いて電荷輸送層としてα−NPDを50nm成膜した。その後、電荷注入層として銅フタロシアニン(CuPc)を30nm成膜した。また、有機発光層6と電荷輸送層、電荷注入層の作成時には同じシャドウマスクを用いて成膜エリアを規定した。
【0064】
工程(6)--工程(5)とは別のシャドウマスクを用いて真空蒸着法により金(Au)を50nm成膜しドレイン電極層7とした。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】従来の有機発光トランジスタを示す部分断面図である。
【図2】本発明による実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図3】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図4】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図5】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図6】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図7】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図8】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図9】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図10】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図11】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図12】本発明による他の実施形態の表示装置におけるサブピクセル発光部を示す基板側から見た拡大部分平面図(透視図)である。
【図13】図12のA−A’線における断面図である。
【図14】本発明による他の実施形態の表示装置のサブピクセル発光部を示す等価回路図である。
【図15】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図16】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図17】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図18】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図19】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図20】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図21】本発明による実施例1と比較例のゲート電圧輝度特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0066】
1 基板
2 ゲート電極層
3 ゲート絶縁膜
4 ソース電極層
5 半導体層
6 有機発光層
RL 中継領域
7 ドレイン電極層
HTL 正孔輸送層
EIL 電子注入層
113 キャパシタ
114 有機発光トランジスタ
BF 電荷規制層
DL データ線
SL 走査線
VccL 電源供給線
φ1、φ2 開口
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷輸送性(正孔又は電子の移動性)を有する化合物を利用し、かかる化合物からなる有機発光層を備えた有機発光トランジスタ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電界を印加して発光させる例えば物質における電荷(正孔又は電子)の再結合によるエレクトロルミネセンス(以下、単にELという)を利用している発光素子が着目されている。例えば、有機化合物材料を用いた注入型の有機EL素子による表示パネルを搭載したEL表示装置が開発されている。有機EL素子には、赤色で発光する構造を有する赤色EL素子、緑色で発光する構造を有する緑色EL素子、及び青色で発光する構造を有する青色EL素子がある。これら赤、青、緑RGBで発光する3つの有機EL素子を1画素発光ユニットとして、複数画素をパネル部上にマトリクス状に配列すればカラー表示装置を実現することができる。かかるカラー表示装置による表示パネルの駆動方式として、パッシブマトリクス駆動型と、アクティブマトリクス駆動型が知られている。アクティブマトリクス駆動型のEL表示装置は、パッシブマトリクス型のものに比べて、低消費電力であり、また画素間のクロストークが少ないなどの利点を有し、特に大画面表示装置や高精細度表示装置に適している。
【0003】
アクティブマトリクス駆動型のEL表示装置の表示パネルには、陽極電源供給線、陰極電源供給線、水平走査を担う走査線及び各走査線に交叉して配列されたデータ線が格子状に形成されている。走査線及びデータ線の各RGB交差部にRGBサブピクセルが形成されている。サブピクセル毎に、走査線選択用の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)のゲートには走査線が接続され、そのドレインにはデータ線が接続されて、そのソースには発光駆動用のFETのゲートが接続されている。発光駆動FETのソースには陽極電源供給線を介して駆動電圧が印加され、そのドレインにはEL素子の陽極端が接続されている。発光駆動FETのゲート及びソース間にはキャパシタが接続されている。更に、EL素子の陰極端には、陰極電源供給線を介して接地電位が印加される。
【0004】
例えば、先行発明(特許文献1参照)では、図1に示すように、基体上に、陽極と、発光材料層を介して少なくともその一部が対向して設置されている陰極とからなる発光体において、陽極の発光材料層を介して陰極と対向している面と反対側の面に、絶縁膜を介して補助電極が形成されている有機発光トランジスタ構造において、陽極及び陰極の間に印加する電圧方向と同方向になるように、補助電極と陰極との間に電圧を印加する。有機発光トランジスタを用いて多色の有機ELディスプレイとする場合、輝度を変化させるためには有機発光層に用いる材料を変更することとそれぞれの発光材料特性に応じた電圧制御とが必要である。
【特許文献1】特開2002−343578公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行発明によれば、ゲ−ト電極に印加するゲ−ト電圧によりソ−スドレイン間を流れる電流量を変化させることができるので、ソ−ス−ドレイン間に何らかの絶縁膜を形成しない場合には、ゲ−ト電圧によらない電流成分が支配的となり、ゲ−ト電圧による電流と輝度の変化が得られない。そこで、例えば、絶縁膜をソ−ス電極と接触するように成膜した場合、ソ−ス電極をゲ−ト絶縁膜上に形成してあるので、絶縁膜があることで半導体とソ−ス電極との電気的な接触が悪くなり、最悪の場合にはソ−ス−ドレイン間に100V以上の大きな電圧を印加しても発光が確認できるほどの電流が流れないという問題点があった。
【0006】
さらに、有機EL素子に代表される従来の有機発光素子は基本的にダイオード特性を示す素子であり、製品化されているものはほとんどパッシブマトリックス駆動によるものである。パッシブマトリックス駆動法では、線順次駆動を行うため瞬間的に高い輝度を必要とし、走査線数の限界数が限られてしまうため高精細な表示装置を得ることが難しかった。近年ではポリシリコンなどを用いたTFTを用いた有機ELディスプレイが検討されているが、プロセス温度が高い、単位面積あたりの製造コストが高く大画面化に向かない。また有機ELをTFTを用いてアクティブ駆動させる際には1画素内に2つ以上のトランジスタと1つ以上のコンデンサを配置しなければならないために開口率が下がる一方で、有機EL素子をそれぞれの発光材料特性に応じた電圧制御を行いつつ高輝度で発光させなければならない、などの問題があった。
【0007】
本発明の解決しようとする課題には、有機発光層の電圧制御を行いつつ発光効率を向上できる有機発光トランジスタ及び表示装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の有機発光トランジスタは、ソ−ス電極層と、前記ソ−ス電極層に対向するドレイン電極層と、前記ソ−ス電極層及び前記ドレイン電極層の間に形成された有機発光層と、前記有機発光層及び前記ソ−ス電極層の間に形成された半導体層と、前記ソ−ス電極層における前記ドレイン電極層と対向している面の反対側にゲ−ト絶縁膜を介して配置されたゲ−ト電極層と、を有する有機発光トランジスタであって、
前記有機発光層及び前記ソ−ス電極層の間に形成されかつ前記有機発光層へ電荷を通過させる開口を有する電荷規制層と、
前記電荷規制層及び前記ソ−ス電極層の間に形成されかつ前記ソ−ス電極層から前記開口へ電荷を中継する中継領域と、を有することを特徴とする。
【0009】
かかる有機発光トランジスタにおいては、ソ−ス電極層と電荷規制層を接触させずにソ−ス電極層と電荷規制層が半導体層などの中継領域を介して積層されている。かかる有機発光トランジスタは、ソ−ス電極層と電荷規制層を分離して形成することにより、ソ−ス電極層と半導体層の良好な電気的接触を確保したまま、OFF電流を低減することが可能になる。
【0010】
請求項13記載の表示装置は、かかる有機発光トランジスタをマトリクス状に複数配置した表示装置であって、前記有機発光トランジスタごとに前記ゲ−ト電極層に電気的に接続された少なくとも1つのスイッチング素子を有することを特徴とする。
【0011】
かかる有機発光トランジスタを用いた表示装置を作製する際には少なくとも1つの電界効果トランジスタなどのスイッチング素子が必要となるが、このスイッチング素子を水や活性ガスなどからの影響を受けにくくするための保護膜を電荷規制層を作製する際に同時に形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態の有機発光トランジスタを図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<実施形態1>
図2は、本発明の実施形態における、対向する1対の電極(ソース電極4及びドレイン電極層7)の間に成膜された有機発光層6を備えた基板1上に形成された有機発光トランジスタ114を示す。
【0014】
有機発光トランジスタ114は、基板1上に、ゲート電極層2、ゲート絶縁膜3、開口φ1を有するソース電極層4(陽極)、半導体層5、電荷規制層BF、有機発光層6、ドレイン電極層7(陰極)、を順に形成してなる。すなわち、有機発光トランジスタは、平行に対向するソース電極層4及びドレイン電極層7に間に成膜された有機発光層6と、有機発光層6及びソース電極層4の間に成膜された半導体層5と、ソース電極層4におけるドレイン電極層7と対向している面の反射側にゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極層2と、を備える。この有機発光トランジスタにおいて、電荷規制層BFは、ソース電極層4とドレイン電極層7の間に半導体層5を介してソース電極層4を覆うように形成されており、素子内での電荷規制層BFが占める面積がソース電極層4の占める面積と同じもしくは大である。電荷規制層BFの開口φ2を画定する部分はソース電極層4の開口φ1を画定する縁部を覆うように形成されている。電荷規制層BFは、有機発光層6へ電荷を供給する開口φ2を有するが、開口φ2はソース電極4の開口φ1よりも面積が小である。
【0015】
ソース電極層4及び電荷規制層BFはほぼ重なり合う格子状、櫛状又は簾状の形状のパターンで成膜される。このようにすれば、半導体層5を通過するゲート電極層2による電気力線のためには都合がよい。ソース電極4の開口φ1及び電荷規制層BFの開口φ2は閉じた線状の縁部であることには限られず、櫛状又は簾状の形状に挟まれた開口も含む。
【0016】
また、ゲート電極層2、ゲート絶縁膜3及びソース電極層4はそれぞれの電源へ接続される。すなわち、この有機発光トランジスタでは発光部ごとにゲ−ト電極層に電気的に接続されたスイッチング素子を備え、1対の電極に電力を供給する配線と、スイッチング素子にオンオフの電圧情報を印加する配線と、を有する。
【0017】
電荷規制層BFには、ゲート絶縁膜3に上げられるような絶縁材料が用いられる。絶縁材料のほか、電荷規制層BFには半導体層5と逆の極性を持つ半導体材料も用いられる。すなわち、半導体層5の材料と極性の異なる半導体材料(例えば半導体層5がp型の材料であれば、電荷規制層BFはn型の材料、あるいは、半導体層5がn型の材料であれば、電荷規制層BFはp型の材料)を用いることが好ましい。電荷の移動を阻害するにはエネルギー障壁が大であるほうがよいからである。電荷規制層BFに電荷が進入されなければよい。電荷規制層BFは、その開口φ2からのみソース電極層4から有機発光層6へ電荷が供給されるように、電荷の流れを狭窄するように形成されている。電荷規制層BFの厚さがソース電極層4と同じかそれ以上の厚さを有する。
【0018】
有機発光トランジスタ114は、電荷規制層BF及びソース電極層4の間に成膜されかつソース電極層4から供給される電荷を電荷規制層BFの開口へ中継する中継領域RLを有する。中継領域RLは半導体層5の材料と同一であり、この実施形態では半導体層5の一部として形成されている。
【0019】
本実施形態では、中継領域RLが存在するのでソース電極層4と半導体層5(中継領域RL)との電気的接触を犠牲にすることなく電荷規制層BFが形成されている。さらに、中継領域RLにより、電荷規制層BFの面積をソース電極層4の面積よりも自由に大きく設定できることから、ソースドレイン間のリーク電流を大幅に低減できる。結果として、従来素子よりも低電圧で動作し、さらにON/OFF比を大きくすることが可能となる。
【0020】
本実施形態では、ソース電極層4を形成した後に半導体層5(中継領域RL)を成膜する手法であるので、ソース電極層のエッチング時のプロセスが半導体層5に影響しない。
【0021】
<実施形態2>
実施形態2は、図3に示すように、半導体層5と有機発光層6の間に電荷輸送層CTLを挿入した以外、図2に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。電荷規制層BFは半導体層5及び電荷輸送層CTLの界面に配置されている。
【0022】
<実施形態3>
実施形態3は、図4に示すように、半導体層5と有機発光層6の間に電荷輸送層CTLを挿入し、さらに、ドレイン電極層7と有機発光層6の間に電荷注入層CILを挿入した以外、図2に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。電荷規制層BFは半導体層5及び電荷輸送層CTLの界面に配置されている。
【0023】
実施形態2、3のように、ドレイン電極層7と有機発光層6の間に電荷注入層もしくは1層以上の電荷輸送層もしくはその両方を設けることができる。
【0024】
電荷輸送層として正孔輸送層があり、電荷注入層として正孔注入層がある。これらの材料としては、トリフェニルジアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を有するアミン誘導体、カルバゾール誘導体、高分子材料としてはポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリチオフェンなどが挙げられる。これらの化合物は2種以上を併用してもよい。一般的に、正孔輸送層は正孔注入層よりもイオン化ポテンシャルIpが大きい有機半導体材料を用いた方が好ましい。
【0025】
さらに、電荷輸送層として電子注入層があり、電荷注入層として電子注入層がある。これらの材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などの8−キノリノール又はその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などが挙げられる。電子注入層及び又は電子輸送層は有機発光層6をかねたものであってもよく、このような場合にはトリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどを使用することが好ましい。電子注入層と電子輸送層を積層して作成するときには、ドレイン電極層7側から電子親和力の値の大きい化合物の順に積層することが好ましい。
【0026】
<実施形態4>
実施形態4は、図5に示すように、ドレイン電極層7と有機発光層6の間に電荷輸送層CTLを挿入した以外、図2に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。電荷規制層BFは半導体層5及び有機発光層6の界面に配置されている。この場合、電荷輸送層CTLに代えて電荷注入層CILを配置してもよい。
【0027】
<実施形態5>
実施形態5は、図6に示すように、ドレイン電極層7と有機発光層6の間に電荷注入層CIL及び電荷輸送層CTLを挿入した以外、図2に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。電荷規制層BFは半導体層5及び有機発光層6の界面に配置されている。
【0028】
<実施形態6>
実施形態6は、図7に示すように、電荷規制層BFの位置をソース電極4側へ変位させた以外、図4に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。上記実施形態3では電荷輸送層CTLと半導体層5の界面に電荷規制層BFを設けているが、この例では、半導体層5中に電荷規制層BFを埋設してある。
【0029】
これによれば、電荷規制層BF材料から放出されるガス、水分などが半導体材料には影響しないものの、そのほかの材料には重大な影響を与える場合に、電荷規制層BFを半導体層5中に埋め込むことにより影響を少なくすることが可能になる。
【0030】
<実施形態7>
実施形態7は、図8に示すように、電荷規制層BFの位置を有機発光層6側へ変位させた以外、図4に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。上記実施形態3では電荷輸送層CTLと半導体層5の界面に電荷規制層BFを設けているが、この例では、電荷輸送層CTL中に電荷規制層BFを埋設してある。中継領域RLとして電荷輸送層CTLの一部(半導体層5及び電荷規制層BF間)が存在する。
【0031】
<実施形態8>
実施形態8は、図9に示すように、電荷規制層BFの位置を有機発光層6側へさらに変位させた以外、図4に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。上記実施形態3では電荷輸送層CTLと半導体層5の界面に電荷規制層BFを設けているが、この例では、電荷輸送層CTLと有機発光層6の界面に設けてある。
【0032】
<実施形態9>
実施形態9は、図10に示すように、電荷輸送層を第1及び第2の電荷輸送層CTL1、CTL2の積層としこれらの界面に電荷規制層BFの位置を設けた以外、図8に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタである。半導体層5と有機発光層6の間に1層以上の電荷輸送層を設けることができる。中継領域RLとして電荷輸送層CTLの一部(半導体層5及び電荷規制層BF間)が存在する。中継領域RLとして第1電荷輸送層CTL1の一部(半導体層5及び電荷規制層BF間)が存在する。
【0033】
実施形態8、9によれば、半導体層5に用いる材料が大気暴露(活性ガスの影響)やウェットプロセス(水、有機溶剤、酸、アルカリなどの影響)に対して非常に弱い場合に、そのような影響が少ない材料を電荷輸送層CTLとして用い、その層上に電荷規制層BFを設けることで半導体層5には影響せず、電荷規制層BFを形成できる。
【0034】
<実施形態10>
また実施形態10として、図11に示すように、電荷規制層BFと半導体層5との間に電荷規制層BFとほぼ同じ形状の絶縁膜を形成した以外、図2に示す有機発光トランジスタ114と同一の有機発光トランジスタとして、ソース電極層2及びドレイン電極層7間の漏れ電流をさらに減少させる構造としてもよい。このように、電荷規制層BFのソース電極層4側のみを覆う絶縁性材料からなる絶縁膜を設け、有機発光層6を電荷規制層BFと半導体層5との間から排除することにより、不要な発光を防止できる。中継領域RLとして絶縁膜の一部(半導体層5及び電荷規制層BF間)が存在する。
【0035】
<材料例>
基板1の材料としては、ガラス、石英、ポリスチレンなどのプラスチック材料といった半透明材料の他に、シリコンやAlなどの不透明な材料、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂などを用いることができる。
【0036】
ゲート電極層2、ソース電極層4及びドレイン電極層7の電極材料としては、Ti、Al、Li:Al、Cu、Ni、Ag、Mg:Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Cr、Mo、W、Taなどの金属あるいはこれらの合金が挙げられる。あるいは、ポリアニリンやPEDT:PSなどの導電性高分子を用いることができる。あるいは、酸化物透明導電薄膜、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)のいずれかを主組成としたものを用いることができる。また、各電極の厚さは10〜500nm程度が好ましい。これらの電極材料は真空蒸着法、スパッタ法で作製されたものが好ましい。特にドレイン電極層7とゲート電極層2のうちどちらか、もしくはその両方が、有機発光材料から得られる発光波長において少なくとも10%以上の透過率を持つ材料を選択することが好ましい。
【0037】
ゲート絶縁膜3には、SiO2、Si3N4に代表される種々の絶縁材料の無機酸化物皮膜又は有機酸化物皮膜を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物も好適に用いることができる。また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びアノエチルプルラン、ポリマー体、エラストマー体を含むホスファゼン化合物、などを用いることもできる。
【0038】
半導体層5の半導体材料には有機半導体材料、もしくは無機酸化物半導体材料を用いることができる。有機半導体材料には銅フタロシアニン(CuPc)に代表されるポルフィリン誘導体、ペタセンに代表されるポリアセン、α−4Tに代表されるオリゴチオフェン、C60に代表されるフラーレン、m−TDATAに代表されるスターバーストアミンと呼ばれる高分子アリールアミンが低分子系ではよく用いられる。高分子半導体材料では、ポリ(3−チオフェン)(P3HT)などのポリチオフェンやポリシラン、ポリアセチレンなどの材料が挙げられる。無機酸化物半導体には、アルミニウム、亜鉛、インジウム、錫、ガリウム、チタン、タングステン、バナジウムなどの酸化物を主成分とする酸化物を用いることが好ましい。ゲート絶縁膜3及び半導体層5も、光の取り出し側になる場合には、有機発光層6材料から得られる発光波長の10%以上を透過する材料から選択されることが好ましい。
【0039】
有機発光層6には、発光機能を有する化合物である蛍光物質もしくは燐光物質を含有させる。蛍光物質ではトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alg3)などがある。燐光物質を有機発光層6に含有させ発光効率を上げることが好ましい。このような蛍光性物質としては、例えば特開63−264692号公報に開示されているような化合物、例えばキナクリドン、ルブレン、スチリル系色素などの化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。燐光性物質としてはApp1.Phys.Lett.,75巻、4項、1999年にあるような有機イリジウム錯体、有機プラチナ錯体などが挙げられる。
【0040】
<表示装置>
上記実施形態の有機発光トランジスタの複数を表示装置の画素の発光部に用いることもできる。具体的には、少なくともスイッチング素子を1つ、コンデンサなど必要な素子、画素電極などを共通の基板上に作製すれば、本発明によるアクティブ駆動型の表示装置を実現できる。
【0041】
図12は、画素のサブピクセルの発光部として図2に示す有機発光トランジスタ114の複数をマトリクス配置した有機EL表示パネルにおける当該発光部を示す基板側から見た拡大部分平面図である。なお、図12において有機発光層、ドレイン電極層は全面を覆うように形成されているので敢えて図示していない。図13は、図12のA−A’線における断面図を示す。図14は、図12の発光部の等価回路図を示す。
【0042】
図12〜14に示すように、は板上に形成された発光部の各々は、選択用トランジスタのスイッチング素子111と、データ電圧の保持用のキャパシタ113と、有機発光トランジスタ114と、から構成されている。この構成を走査線SL及び電源供給線VccL、並びにデータ線DLの各交点近傍に配置することで画素の発光部を実現することができる。
【0043】
スイッチング素子111のゲート電極Gは、アドレス信号が供給される走査線SLに接続され、スイッチング素子111のソース電極Sはそれぞれデータ線DLに接続されている。スイッチング素子111のドレイン電極Dは有機発光トランジスタ114のゲート電極層2とキャパシタ113の一方の端子に接続されている。
【0044】
有機発光トランジスタ114のドレイン電極層7は電源供給線VccLに接続されており、有機発光トランジスタ114のソース電極層4は接地されている。
【0045】
走査線SL各々は走査線用ドライバSLDに接続され、データ線DLはそれぞれデータ線用ドライバDLDに接続され、電源供給線VccLは電源に接続される。
【0046】
かかる電源がソ−ス電極層とドレイン電極層との間に一定電圧を印加する第1電圧供給手段となり、走査線用ドライバSLD及びデータ線用ドライバDLDがソ−ス電極層とゲ−ト電極層との間に可変電圧を印加する第2供給手段となる。
【0047】
図13に示すように、かかる有機発光トランジスタ114を用いた表示装置を作製する際には少なくとも1つの電界効果トランジスタなどのスイッチング素子111が必要となるが、このスイッチング素子111を水や活性ガスなどからの影響を受けにくくするための保護膜を、有機発光トランジスタ114の電荷規制層BFを作製する際に同時に形成できる。また、スイッチング素子111のゲート電極Gを、有機発光トランジスタ114のゲート電極層2を作製する際に同時に形成できる。さらに、スイッチング素子111の絶縁膜を、有機発光トランジスタ114のゲ−ト絶縁膜3を作製する際に同時に形成できる。よって、スイッチング素子111は、有機発光トランジスタ114のゲ−ト絶縁膜3と同一材料からなる絶縁膜を、その電荷規制層BFと同一材料からなる絶縁膜を、その半導体層5と同一材料からなる半導体膜を有することができる。
【0048】
<実施例1>
実施例として電荷規制層の有機絶縁膜を用いた発光素子を作製した。図15〜図20は作製工程中の有機発光トランジスタの基板の平面図である。図16に示すように、ソース電極層4は櫛状又は簾状の形状として形成しているが、格子状でもよく、さらにソース電極層を格子状、櫛状又は簾状の形状とすれば、電荷供給のための表面積(界面)が増える。図17に示すように、電荷規制層BFは、半導体層5を介してソース電極層4を覆うように形成されており、素子内での電荷規制層BFが占める面積がソース電極層4の占める面積より大である。これにより半導体層5を通過する電荷のための開口パターンを画定することができる。
【0049】
かかる発光素子は以下の(1)〜(7)の工程で作製した。
【0050】
工程(1)--図15に示すように、ゲート電極層2としてITOが100nm成膜されたコーニングTMガラス基板1上にゲート絶縁膜3としてSiO2をスパッタ法により300nmになるように成膜した。
【0051】
工程(2)--図16に示すように、ゲート絶縁膜3上にソース電極層4としてスパッタ法により金(Au)を30nm成膜し、所望のパターンが得られるようにフォトリマスクを用いた露光、現像によりフォトレジストのパターンを形成し、金(Au)専用エッチング液(関東化学製:AURUM−302)を用いて金(Au)をエッチングしたのち、専用のレジスト剥離液を用いてレジスト膜を剥離した。
【0052】
工程(3)--図17に示すように、ゲート絶縁膜3及びソース電極層4上に、10-5Paの真空下においてシャドウマスクを用いた真空蒸着法により半導体層5となるペンタセンを50nm、0.01nm/sの蒸着レートで成膜した。
【0053】
工程(4)--図18に示すように、ゲート絶縁膜3及び半導体層5上に、電荷規制層BFとして感光性ポリビニルアルコール材料をスピンコート法により塗布し500nmの均一な膜を得た後、フォトマスクを用いて露光した。その後、水を用いて現像して所望のパターン得た。
【0054】
工程(5)--その後、図19に示すように、ゲート絶縁膜3及び電荷規制層BF上に、10-5Paの真空下においてシャドウマスクを用いた真空蒸着法により電荷輸送層としてα−NPDを50nm0.2nm/sの蒸着レートで成膜し、続いて有機発光層6としてAlg3を60nm0.2nm/sの蒸着レートで成膜した。
【0055】
工程(6)--その後、図20に示すように、ゲート絶縁膜3及び有機発光層6上に、電荷注入層としてフッ化リチウム(LiF)を1nm成膜し、これまでと異なるシャドウマスクを用いてドレイン電極層7となるアルミニウム(Al)を基板1上に渡るまで100nm成膜した。
【0056】
<比較例との評価>
比較例として、上記工程(4)による電荷規制層BFを設けない以外、上記工程(1)〜(6)で比較例有機発光トランジスタ素子を作製した。実施例1と比較例のゲート電圧輝度特性を図21に示す。
【0057】
実施例1では半導体層に有機膜(ペンタセン)を用いている。通常真空蒸着法で成膜される有機膜は水や有機溶剤などに非常に弱く、実施例1のように有機膜上に塗布法で他の膜を成膜することは非常に困難であるが、ペンタセンが水には比較的強い特徴をもっているという点に着目し、水溶性のレジストを用いて電荷規制層BFを形成している。その結果、それほど大きな特性の劣化もなくOFF電流の小さい素子の作製が可能になった。
【0058】
また、適宜電荷輸送層や電荷注入層を挿入することで発光開始電圧の低電圧化や、発光効率の向上が望めるので、実施例1では電荷輸送層としてα−NPDを、電荷注入層としてLiFを用いた。
【0059】
<実施例2>
工程(1)--実施例1と同様にゲート電極層2としてITOが100nm成膜されたコーニングTMガラス基板上にゲート絶縁膜3としてSiO2をスパッタ法により300nmになるように成膜した。
【0060】
工程(2)--ソース電極層4としてクロムを真空蒸着法により作製し、実施例1の工程(2)と同じバターンが得られるようにウェットエッチングでパターンを形成した。この時クロムのエッチング液には関東化学製の専用エッチング液を用いた。
【0061】
工程(3)--半導体層5として亜鉛酸化物(ZnO)を、スパッタ法で50nmになるように形成した後、フォトマスクを用いて所望の形状のレジストパターンを形成し、ドライエッチング法により不要な部分のZnO薄膜を除去した。その後、レジスト専用剥離液で剥離した。
【0062】
工程(4)--電荷規制層BFにノボラック系レジスト(東京応化製:TFR−1250)を実施例1の工程(4)と同様に形成した。
【0063】
工程(5)--10-5Paの真空下において有機発光層6としてトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alg3)とクマリン(C545T)を真空蒸着法により共蒸着し40nm成膜した。この時クマリンの濃度は3wt%とした。続いて電荷輸送層としてα−NPDを50nm成膜した。その後、電荷注入層として銅フタロシアニン(CuPc)を30nm成膜した。また、有機発光層6と電荷輸送層、電荷注入層の作成時には同じシャドウマスクを用いて成膜エリアを規定した。
【0064】
工程(6)--工程(5)とは別のシャドウマスクを用いて真空蒸着法により金(Au)を50nm成膜しドレイン電極層7とした。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】従来の有機発光トランジスタを示す部分断面図である。
【図2】本発明による実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図3】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図4】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図5】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図6】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図7】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図8】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図9】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図10】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図11】本発明による他の実施形態の有機発光トランジスタを示す概略部分断面図である。
【図12】本発明による他の実施形態の表示装置におけるサブピクセル発光部を示す基板側から見た拡大部分平面図(透視図)である。
【図13】図12のA−A’線における断面図である。
【図14】本発明による他の実施形態の表示装置のサブピクセル発光部を示す等価回路図である。
【図15】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図16】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図17】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図18】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図19】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図20】本発明による実施例の有機発光トランジスタ作製工程中の基板の平面図である。
【図21】本発明による実施例1と比較例のゲート電圧輝度特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0066】
1 基板
2 ゲート電極層
3 ゲート絶縁膜
4 ソース電極層
5 半導体層
6 有機発光層
RL 中継領域
7 ドレイン電極層
HTL 正孔輸送層
EIL 電子注入層
113 キャパシタ
114 有機発光トランジスタ
BF 電荷規制層
DL データ線
SL 走査線
VccL 電源供給線
φ1、φ2 開口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソ−ス電極層と、前記ソ−ス電極層に対向するドレイン電極層と、前記ソ−ス電極層及び前記ドレイン電極層の間に形成された有機発光層と、前記有機発光層及び前記ソ−ス電極層の間に形成された半導体層と、前記ソ−ス電極層における前記ドレイン電極層と対向している面の反対側にゲ−ト絶縁膜を介して配置されたゲ−ト電極層と、を有する有機発光トランジスタであって、
前記有機発光層及び前記ソ−ス電極層の間に形成されかつ開口を有する電荷規制層と、
前記電荷規制層及び前記ソ−ス電極層の間に形成されかつ前記ソ−ス電極層から前記開口へ電荷を中継する中継領域と、を有することを特徴とする有機発光トランジスタ。
【請求項2】
前記ソ−ス電極層は開口を有し、前記電荷規制層の前記開口を画定する部分は前記ソ−ス電極層の前記開口を画定する縁部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機発光トランジスタ。
【請求項3】
前記電荷規制層の前記開口は前記ソ−ス電極層から供給される電荷の流れを狭窄するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機発光トランジスタ。
【請求項4】
前記電荷規制層の前記有機発光トランジスタ内に占める面積が、前記ソ−ス電極層と同じもしくは大であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項5】
前記電荷規制層は絶縁材料もしくは前記半導体層と逆の極性を持つ半導体材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項6】
前記電荷規制層の厚さがソ−ス電極層と同じかそれ以上の厚さを持つことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項7】
前記半導体層が、有機半導体材料、もしくは無機酸化物半導体材料からなる請求項1〜6のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項8】
前記半導体層と前記有機発光層の間に1層以上の電荷輸送層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項9】
前記ドレイン電極層と前記有機発光層の間に電荷注入層もしくは1層以上の電荷輸送層もしくはその両方を有することを特徴とする1〜8のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項10】
前記電荷規制層の前記ソ−ス電極層側のみを覆う絶縁性材料からなる絶縁膜を有すことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項11】
前記半導体層が、p型半導体材料又はn型半導体材料からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項12】
前記ゲ−ト電極層又はドレイン電極層、もしくはその両方が、前記有機発光層材料から得られる発光波長の10%以上を透過することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の有機発光トランジスタをマトリクス状に複数配置した表示装置であって、前記有機発光トランジスタごとに前記ゲ−ト電極層に電気的に接続された少なくとも1つのスイッチング素子を有することを特徴とする表示装置。
【請求項14】
前記有機発光トランジスタの前記ソース電極層又は前記ドレイン電極層に電力を供給する配線と、前記スイッチング素子にオンオフの電圧情報を前記ゲ−ト電極層に印加する配線と、を有することを特徴とする請求項13記載の表示装置。
【請求項15】
前記有機発光トランジスタと、前記ソ−ス電極層と前記ドレイン電極層との間に一定電圧を印加する第1電圧供給手段と、前記ソ−ス電極層と前記ゲ−ト電極層との間に可変電圧を印加する第2供給手段とを有することを特徴とする請求項13又は14記載の表示装置。
【請求項16】
前記スイッチング素子は、前記ゲ−ト絶縁膜と同一材料からなる絶縁膜を有することを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の表示装置。
【請求項17】
前記スイッチング素子の前記絶縁膜と前記ゲ−ト絶縁膜を同時に作製したことを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の表示装置。
【請求項18】
前記スイッチング素子は、前記電荷規制層と同一材料からなる絶縁膜を有することを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の表示装置。
【請求項19】
前記スイッチング素子の前記絶縁膜と前記電荷規制層を同時に作製したことを特徴とする請求項13〜18のいずれかに記載の表示装置。
【請求項20】
前記スイッチング素子は、前記有機発光トランジスタの前記半導体層と同一材料からなる半導体層を有することを特徴とする請求項13〜19のいずれかに記載の表示装置。
【請求項21】
前記スイッチング素子の前記半導体層と前記有機発光トランジスタの前記半導体層を同時に作製したことを特徴とする請求項13〜21のいずれかに記載の表示装置。
【請求項1】
ソ−ス電極層と、前記ソ−ス電極層に対向するドレイン電極層と、前記ソ−ス電極層及び前記ドレイン電極層の間に形成された有機発光層と、前記有機発光層及び前記ソ−ス電極層の間に形成された半導体層と、前記ソ−ス電極層における前記ドレイン電極層と対向している面の反対側にゲ−ト絶縁膜を介して配置されたゲ−ト電極層と、を有する有機発光トランジスタであって、
前記有機発光層及び前記ソ−ス電極層の間に形成されかつ開口を有する電荷規制層と、
前記電荷規制層及び前記ソ−ス電極層の間に形成されかつ前記ソ−ス電極層から前記開口へ電荷を中継する中継領域と、を有することを特徴とする有機発光トランジスタ。
【請求項2】
前記ソ−ス電極層は開口を有し、前記電荷規制層の前記開口を画定する部分は前記ソ−ス電極層の前記開口を画定する縁部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機発光トランジスタ。
【請求項3】
前記電荷規制層の前記開口は前記ソ−ス電極層から供給される電荷の流れを狭窄するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機発光トランジスタ。
【請求項4】
前記電荷規制層の前記有機発光トランジスタ内に占める面積が、前記ソ−ス電極層と同じもしくは大であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項5】
前記電荷規制層は絶縁材料もしくは前記半導体層と逆の極性を持つ半導体材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項6】
前記電荷規制層の厚さがソ−ス電極層と同じかそれ以上の厚さを持つことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項7】
前記半導体層が、有機半導体材料、もしくは無機酸化物半導体材料からなる請求項1〜6のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項8】
前記半導体層と前記有機発光層の間に1層以上の電荷輸送層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項9】
前記ドレイン電極層と前記有機発光層の間に電荷注入層もしくは1層以上の電荷輸送層もしくはその両方を有することを特徴とする1〜8のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項10】
前記電荷規制層の前記ソ−ス電極層側のみを覆う絶縁性材料からなる絶縁膜を有すことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項11】
前記半導体層が、p型半導体材料又はn型半導体材料からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項12】
前記ゲ−ト電極層又はドレイン電極層、もしくはその両方が、前記有機発光層材料から得られる発光波長の10%以上を透過することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の有機発光トランジスタ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の有機発光トランジスタをマトリクス状に複数配置した表示装置であって、前記有機発光トランジスタごとに前記ゲ−ト電極層に電気的に接続された少なくとも1つのスイッチング素子を有することを特徴とする表示装置。
【請求項14】
前記有機発光トランジスタの前記ソース電極層又は前記ドレイン電極層に電力を供給する配線と、前記スイッチング素子にオンオフの電圧情報を前記ゲ−ト電極層に印加する配線と、を有することを特徴とする請求項13記載の表示装置。
【請求項15】
前記有機発光トランジスタと、前記ソ−ス電極層と前記ドレイン電極層との間に一定電圧を印加する第1電圧供給手段と、前記ソ−ス電極層と前記ゲ−ト電極層との間に可変電圧を印加する第2供給手段とを有することを特徴とする請求項13又は14記載の表示装置。
【請求項16】
前記スイッチング素子は、前記ゲ−ト絶縁膜と同一材料からなる絶縁膜を有することを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の表示装置。
【請求項17】
前記スイッチング素子の前記絶縁膜と前記ゲ−ト絶縁膜を同時に作製したことを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の表示装置。
【請求項18】
前記スイッチング素子は、前記電荷規制層と同一材料からなる絶縁膜を有することを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の表示装置。
【請求項19】
前記スイッチング素子の前記絶縁膜と前記電荷規制層を同時に作製したことを特徴とする請求項13〜18のいずれかに記載の表示装置。
【請求項20】
前記スイッチング素子は、前記有機発光トランジスタの前記半導体層と同一材料からなる半導体層を有することを特徴とする請求項13〜19のいずれかに記載の表示装置。
【請求項21】
前記スイッチング素子の前記半導体層と前記有機発光トランジスタの前記半導体層を同時に作製したことを特徴とする請求項13〜21のいずれかに記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−66385(P2008−66385A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240342(P2006−240342)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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