説明

有機発光化合物及びこれを備えた有機発光素子

【課題】有機発光化合物及びこれを備えた有機発光素子を提供する。
【解決手段】下記化学式1:


で表示される有機発光化合物を用いて、低い駆動電圧、優秀な効率及び色純度を持つ有機発光素子を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光化合物及びこれを備えた有機発光素子(Organic Light Emitting Deveice:OLED)に係り、より詳細には、優秀な電気的特性、熱安定性及び光化学安定性を持ち、OLEDの適用時、優秀な駆動電圧及び色純度特性を表すことができる有機発光化合物と、該化合物を含む有機膜を採用したOLEDとに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は、自発光型素子であって、視野角が広くてコントラストが優秀なだけでなく応答時間が速いという長所を持っている。前記発光素子には、発光層に無機化合物を使用する無機発光素子と有機化合物を使用する有機発光素子(OLEDとも称する)とがあるが、OLEDは、無機発光素子に比べて輝度、駆動電圧及び応答速度特性が優秀であり、多色化が可能であるという点で多くの研究がなされている。
【0003】
OLEDは、一般的にアノード/有機発光層/カソードの積層構造を持ち、アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード、またはアノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/カソードのような多様な構造も持つことができる。
【0004】
OLEDに使用する物質は、有機膜の製造方法によって真空蒸着性物質と溶液塗布性物質とに大別できる。真空蒸着性物質は、500℃以下で10−6torr以上の蒸気圧を持たねばならず、主に分子量1200以下の低分子物質が望ましい。溶液塗布性物質としては、溶剤に対する溶解性が高くて溶液で製造可能でなければならず、主に芳香族または複素環を含む。
【0005】
真空蒸着方法を使用してOLEDを使用する場合、真空システムの使用でコスト高になり、天然色ディスプレイ用ピクセルを製造するためにシャドーマスクを使用する場合、高解像度のピクセルを製造し難い。これに対し、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スピンコーティングのような溶液塗布法の場合には、製造が容易でコスト低になり、シャドーマスクを使用する場合より相対的に優秀な解像度を得ることができる。
【0006】
しかし、溶液塗布法に使用できる物質の場合、青色発光分子の性能が、熱的安定性、色純度などの側面で真空蒸着法に使用できる物質に比べて劣った。また、前記性能が優秀な場合にも、有機膜として製造した後に順次結晶化して結晶の大きさが可視光線波長の範囲に該当すれば、可視光線を散乱させて白濁現象を示すことがあり、ピンホールなどが形成されて素子の劣化を招きやすいという問題点があった。
【0007】
特許文献1には、発光層または正孔注入層に使われうる化合物として、2つのナフチル基で置換されたアントラセンが開示されている。しかし、前記化合物は溶剤溶解性が不十分なだけでなく、これを採用したOLEDの特性などは満足すべきほどのレベルに到達していない。
【0008】
したがって、熱的安定性などが優秀でありながら優秀な有機膜の生成が可能な青色発光化合物を使用して、優秀な駆動電圧、輝度、効率及び色純度特性を向上させたOLEDの開発が依然として要求される。
【特許文献1】特開1999−003782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記従来技術の問題点を解決するために、本発明が解決しようとする第1の技術的課題は、溶解性及び熱安定性の優秀な有機発光化合物を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする第2の技術的課題は、駆動電圧、効率及び色純度特性が向上したOLEDを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記本発明の課題を解決するために、本発明の第1態様は、下記化学式1で表示される有機発光化合物を提供する。
【0012】
【化1】

【0013】
前記式中、Arは、置換または非置換の炭素数6〜50のアリール基であり、
、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換または非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、または−N(Z)(Z)または−Si(Z)(Z)(Z)であり、
前記Z、Z、Z、Z及びZは互いに独立であって、水素原子、置換または非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基または置換または非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基であり、
Xは、C(Z)(Z)、N(Z)、O、S、SO、Se、またはSeOであり、
前記Z、Z及びZは、それぞれ互いに独立して、水素原子、置換または非置換の炭素数1〜50のアルキル基または置換または非置換の炭素数6〜50のアリール基であり、
但し、前記でRがアントラセン基である場合は除外する。
【0014】
前記本発明のさらに他の課題を解決するために、本発明の第2態様は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に少なくとも一層の有機膜層と、を備えるOLEDであり、前記有機膜が前述したような化合物を含むOLEDを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明による化学式1で表示される化合物は、溶解性が優秀なだけでなく優秀な発光特性及び熱安定性を持つ。したがって、本発明による化合物を利用すれば、低い駆動電圧、優秀な色純度を持つOLEDを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る有機発光化合物は、下記化学式1
【0018】
【化2】

【0019】
前記式中、Arは、置換または非置換の炭素数6〜50のアリール基であり、
、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、は−N(Z)(Z)、または−Si(Z)(Z)(Z)であり、
前記Z、Z、Z、Z及びZはそれぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基であり、
Xは、C(Z)(Z)、N(Z)、O、S、SO、Se、またはSeOであり、
前記Z、Z及びZは、互いに独立して、水素原子、置換または非置換の炭素数1〜50のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアリール基、好ましくは6〜50のアリール基であり、但し、前記でRがアントリル基である場合は除外する、で表示される。
【0020】
前記化学式1のうち、Arとこれに連結されたヘテロアリール基とは、前記化学式1で表示される化合物の熱安定性、光化学安定性を高める役割を行い、前記置換基であるRないしRは、前記化学式1で表示される化合物の溶解性及びアモルファス特性を高めてフィルム形成能力を向上させる役割を行う。
【0021】
上記化学式1において、Arや、R、R、R、R及びRは、置換または非置換の炭素数6〜50のアリール基であるが、本発明に係るアリール基は、例えば単環式もしくは多環式アリール基、例えばフェニル基、ベンジル基、フェネチル基、o−,m−若しくはp−トリル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、ピレニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、フロロフェニル基、ペンタフロロフェニル基、ヨウ化フェニル基等のハロゲン化フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、ジメチルエチルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、t−ブチルメチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、トリフロロメチルフェニル基、等のアルキル誘導体置換フェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシフェニル基、メチルエトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、1−エトキシ−4−メトキシフェニル基、クロロメトキシフェニル基、エトキシエトキシフェニル基、エトキシエトキシエトキシフェニル基等のアルコキシ基置換フェニル基、等が挙げられる。なかでも、上記化学式1においてArは、置換または非置換のフェニル、ナフチル、アントリルおよびフルオレニル基が好ましい。更に、上記アリール基は更なる置換基を担持することができる。
【0022】
上記化学式1において、本発明に係るアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、cyclo−ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、等の炭素数1〜50の直鎖、分岐の炭化水素基が挙げられる。更に、上記アルキル基は更なる置換基を担持することができる。
【0023】
上記化学式1において、本発明に係るアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基、neo−ペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、cyclo−ヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、1−iso−プロピルプロピルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピルオキシ基、1−エチル−3−メチルブチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−メチル−1−iso−プロピルブチルオキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルオキシ基、1−t−ブチル−2−メチルプロピルオキシ基、n−ノニルオキシ基等の炭素数1〜50の直鎖、分岐、環状のアルコキシ基等が挙げられる。更に、上記アコキシ基は更なる置換基を担持することができる。
【0024】
上記化学式1において、本発明に係るヘテロアリール基は、当業者に知られた2〜50個の炭素原子を有するすべての単環式もしくは多環式複素環式芳香族、例えばチエニル、ピリジル、フラニル、ピラニル、チアゾリル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、ベンゾフラニル、チアナフテニル、ジベンゾフラニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾ、リル、キノリルおよびイソキノリル基である。更に、ヘテロアリール基は更なる置換基を有することができる。
【0025】
上記化学式1において、本発明に係るシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等が挙げられる。更に、シクロアルキル基は更なる置換基を有することができる。
【0026】
上記化学式1において、本発明に係るヘテロシクロアルキル基の例としては、上記シクロアルキル基の1以上の炭素がN、SまたはOなどのヘテロ原子で置換されているものが挙げられる。更に、ヘテロシクロアルキル基は更なる置換基を有することができる。
【0027】
前記アリール基は、芳香族環を持つ1価の基であり、2以上の環を含むことができ、前記2以上の環は、互いに結合または融合された形態で存在できる。前記ヘテロアリール基は、前記アリール基のうち一つ以上の炭素がN、O、S及びPからなる群から選択された一つ以上で置換された基を示す。一方、シクロアルキル基は、環構造を持つアルキル基を示し、前記ヘテロシクロアルキル基は、前記シクロアルキル基のうち一つ以上の炭素がN、O、S及びPからなる群から選択された一つ以上で置換された基を示す。
【0028】
また、本明細書の「置換もしくは非置換の」における置換基としては、下記に示す置換基で置換されることが好ましい。さらに、前記置換基に、上記に列挙した本発明に係るアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、およびヘテロシクロアルキル基を含めても良いが、この場合に、置換された本発明に係るアルキル基およびアルコキシ基の炭素数の合計は1〜50であり、置換された本発明に係るアリール基の炭素数の合計は6〜30であり、置換された本発明に係るヘテロアリール基の合計の炭素数は2〜50であり、置換された本発明に係るシクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基の炭素数の合計は5〜50であることはいうまでもない。
【0029】
前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基が置換される場合、すなわち本明細書の「置換もしくは非置換の」におけるこれらの置換基は、−F;−Cl;−Br;−CN;−NO;−OH;非置換もしくは−F、−Cl、−Br、−CN、−NOもしくは−OHで置換された炭素数1〜50のアルキル基(好ましくは炭素数1〜44のアルキル基);非置換もしくは−F、−Cl、−Br、−CN、−NOもしくは−OHで置換された炭素数1〜50のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜44のアルコキシ基);非置換もしくは炭素数1〜50のアルキル基(好ましくは炭素数1〜44のアルキル基)、炭素数1〜50のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜44のアルコキシ基)、−F、−Cl、−Br、−CN、−NOもしくは−OHで置換された炭素数6〜50のアリール基(好ましくは炭素数6〜44のアリール基);非置換もしくは炭素数1〜50のアルキル基(好ましくは炭素数1〜44のアルキル基)、炭素数1〜50のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜44のアルコキシ基)、−F、−Cl、−Br、−CN、−NOもしくは−OHで置換された炭素数2〜50のヘテロアリール基(好ましくは炭素数2〜44のヘテロ基);非置換もしくは炭素数1〜50のアルキル基(好ましくは炭素数1〜44のアルキル基)、炭素数1〜50のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜44のアルコキシ基)、−F、−Cl、−Br、−CN、−NOもしくは−OHで置換された炭素数5〜50のシクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜44のシクロアルキル基);非置換もしくは炭素数1〜20(C−C20)アルキル基、炭素数1〜20(C−C20)アルコキシ基、−F、−Cl、−Br、−CN、−NOまたは−OHで置換された炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基(炭素数5〜44のヘテロシクロアルキル基);および−N(Z)(Z10)で表示される基からなる群から選択された一つ以上である。このとき、前記Z及びZ10は、それぞれ互いに独立して、水素原子、炭素数1〜50のアルキル基(炭素数5〜44のアルキル基)、または炭素数1〜50のアルキル基(炭素数1〜44のアルキル基)で置換された炭素数6〜50のアリール基(炭素数6〜44のアリール基)であることが好ましい。
【0030】

本発明に係る化学式1中において、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立して、水素原子、炭素数1〜50のアルキル基、炭素数1〜50のアルコキシ基、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、N,N−ジフェニルアミノ基、ペンタレニル基、トリフェニルシリル基、9,10−ジヒドロ−9,10−オルト−ベンゼノ−2−アントリル基、9,9−ジメチル−3−フルオレニル基、4−N,N−ジトリルアミノフェニル基、p−(4,5−ジフェニルイミダゾリジン−2−イル−フェニル基、インデニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、ペナレニル基、フルオレニル基、メチルアントリル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、エチル−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチルレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、フルオレニル基、ピラントレニル基、オバレニル基、カルバゾリル基、チオフェニル基、インドリル基、プリニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリニル基、ベンゾチオフェニル基、パラチアジニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、チアントレニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、オキシラニル基、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ジ(炭素数6〜50のアリール)アミノ基、トリ(炭素数6〜50のアリール)シリル基、及びこれらの誘導体からなる群から選択されたことが好ましい。
【0031】
さらに、前記R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立して、メチル、メトキシ、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ピレニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、イミダゾリニル基、インドリル基、キノリニル基、ジフェニルアミノ基、2,3−ジ−p−トリルアミノフェニル基及びトリフェニルシリル基、9,10−ジヒドロ−9,10−オルト−ベンゼノ−2−アントリル基、9,9−ジメチル−3−フルオレニル基、p−(4,5−ジフェニルイミダゾリジン−2−イル−フェニル基及びこれらの誘導体からなる群から選択されたことがより好ましい。
【0032】
本明細書において、前記“誘導体”という用語は、前記羅列した基のうち一つ以上の水素原子が前述したような置換基で置換された基を示すものである。
【0033】
上記化学式1中、Xは、C(Z)(Z)、N(Z)、O、S、SO、Se、またはSeOであり、前記Z、Z及びZは、それぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基である。このとき、Xは、CH、C(CH、C(C、N−CH、N−C、O、SまたはSOであることが好ましい。
【0034】
本発明に係る有機発光化合物は、望ましくは、下記化学式2または3の構造を持つ。
【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

【0037】
前記化学式2及び3のうち、R、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、−N(Z)(Z)または−Si(Z)(Z)(Z)であり、前記Z、Z、Z、Z及びZは、それぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基であり、Xは、C(Z)(Z)、N(Z)、O、S、SO、Se、またはSeOであり、前記Z、Z及びZは、それぞれ互いに独立して、水素原子、置換または非置換の炭素数1〜50のアルキル基または置換または非置換の炭素数6〜50のアリール基であり、但し、前記Rがアントリル基である場合は除外する。なお、前記R、R及びRは、上記のR、R、R、R及びRと同様のアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であってもよいのでここでの説明は省略する。
【0038】
さらに詳細に本発明の一具現例によれば、本発明の有機発光化合物は、下記化学式4ないし100の少なくとも一つであってよいが、これに限定されるものではない。
【0039】
【化5】

【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
【化11】

【0046】
【化12】

【0047】
【化13】

【0048】
【化14】

【0049】
【化15】

【0050】
【化16】

【0051】
【化17】

【0052】
【化18】

【0053】
【化19】

【0054】
【化20】

【0055】
【化21】

【0056】
【化22】

【0057】
【化23】

【0058】
【化24】

【0059】
【化25】

【0060】
【化26】

【0061】
【化27】

【0062】
【化28】

【0063】
【化29】

【0064】
【化30】

【0065】
【化31】

【0066】
【化32】

【0067】
【化33】

【0068】
【化34】

【0069】
【化35】

【0070】
【化36】

【0071】
【化37】

【0072】
【化38】

【0073】
【化39】

【0074】
【化40】

【0075】
【化41】

【0076】
【化42】

【0077】
【化43】

【0078】
【化44】

【0079】
【化45】

【0080】
【化46】

【0081】
【化47】

【0082】
【化48】

【0083】
【化49】

【0084】
【化50】

【0085】
【化51】

【0086】
【化52】

【0087】
【化53】

【0088】
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【0089】
【化55】

【0090】
【化56】

【0091】
【化57】

【0092】
【化58】

【0093】
【化59】

【0094】
【化60】

【0095】
【化61】

【0096】
【化62】

【0097】
【化63】

【0098】
【化64】

【0099】
【化65】

【0100】
【化66】

【0101】
【化67】

【0102】
【化68】

【0103】
【化69】

【0104】
【化70】

【0105】
【化71】

【0106】
【化72】

【0107】
【化73】

【0108】
【化74】

【0109】
【化75】

【0110】
【化76】

【0111】
【化77】

【0112】
【化78】

【0113】
【化79】

【0114】
【化80】

【0115】
【化81】

【0116】
【化82】

【0117】
【化83】

【0118】
【化84】

【0119】
前記化学式1で表示される本発明による化合物は通常の合成方法を利用して合成でき、前記化合物のさらに詳細な合成経路は、下記の実施例における合成例の反応式を参照する。
【0120】
本発明に係る有機発光化合物を含む有機発光素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在した有機膜層を少なくとも1層備える有機発光素子であり、前記有機膜は、下記化学式1で表示される化合物を一層以上含むことが好ましい。
【0121】
【化85】

【0122】
前記式中、Arは、置換または非置換の炭素数6〜50のアリール基であり、R、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、−N(Z)(Z)または−Si(Z)(Z)(Z)であり、前記Z、Z、Z、Z及びZはそれぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基であり、Xは、C(Z)(Z)、N(Z)、O、S、SO、Se、またはSeOであり、前記Z、Z及びZは、それぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基であり、但し、前記でRがアントリル基である場合は除外する。
【0123】
本発明に係る前記化学式1で表示される化合物は、OLEDのうち第1電極と第2電極との間に介在された有機膜をなす物質が好ましい。前記化学式1の化合物は、OLEDの有機膜、特に発光層、正孔注入層または正孔輸送層に好適に使われ、ホスト材料だけでなくドーパント材料としても使われる。
【0124】
前記化学式1の化合物は、OLEDの有機膜、特に発光層、正孔注入層または正孔輸送層に好適に使われる。
すなわち、本発明に係る有機膜層は、発光層、正孔注入層および正孔輸送層からなる群から選択される少なくとも一つの層であることが好ましく、前記第1電極と第2電極との間に、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された一つ以上の層をさらに備えることがより好ましい。
【0125】
本発明によるOLEDは、溶液塗布法で製造する場合、有機膜の安定性が落ちる従来のOLEDの場合とは異なって、優秀な溶解性及び熱安定性を持ちながらも安定な有機膜の形成が可能な有機発光化合物を含み、優秀な駆動電圧及び色純度などの向上した発光特性を提供できる。
【0126】
本発明によるOLEDの構造は非常に多様である。前記第1電極と第2電極との間に正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された一つ以上の層をさらに備えることができる。
【0127】
より具体的に、本発明によるOLEDの具現例は、図1Aないし図1Cを参照する。図1AのOLEDは、第1電極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極から形成される構造を持ち、図1BのOLEDは、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極から形成される構造を持つ。また、図1CのOLEDは、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造を持つ。この時、前記発光層、正孔注入層及び正孔輸送層のうち一つ以上は、本発明による化合物を含むことができる。
【0128】
本発明によるOLEDの発光層は、赤色、緑色、青色または白色を含む燐光または蛍光ドーパントを含むことができる。このうち、前記燐光ドーパントは、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb及びTmからなる群から選択された一つ以上の元素を含む有機金属化合物であることが好ましい。
【0129】
以下、本発明によるOLEDの製造方法を、図1Cに図示されたOLEDを参照して説明する。
【0130】
まず、基板の上部に大きい仕事関数を持つ第1電極用物質を蒸着法またはスパッタリング法により形成して第1電極を形成する。前記第1電極は、アノードであることが好ましい。ここで、基板としては、通常的なOLEDで使われる基板を使用するが、機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取扱の容易性及び防水性の優秀なガラス基板または透明プラスチック基板が望ましい。第1電極用物質としては、透明で伝導性の優秀な酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などを使用する。
【0131】
次いで、前記第1電極上部に真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような多様な方法を利用して正孔注入層(HIL)を形成できる。
【0132】
真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性によって異なるが、一般的に蒸着温度100ないし500℃、真空度10−8ないし10−3torr、蒸着速度0.01ないし100Å/sec、膜厚さは通常10Åないし5μm範囲で適切に選択することが望ましい。
【0133】
上記のスピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、そのコーティング条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性によって異なるが、約2000rpmないし5000rpmのコーティング速度、コーティング後、溶媒除去のための熱処理温度は、約80℃ないし200℃の温度範囲で適切に選択することが望ましい。
【0134】
前記正孔注入層の物質は、前述したような化学式1を持つ化合物でありうる。または、例えば、米国特許第4,356,429号明細書に開示された銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物またはAdvanced Material,6,p.677(1994)に記載されているスターバースト型アミン誘導体類であるTCTA、m−MTDATA、m−MTDAPB、溶解性のある伝導性高分子であるPani/DBSA(ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホネート)またはPEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート))、Pani/CSA(ポリアニリン/カンフルスルホネート)またはPANI/PSS(ポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート))のような公知の正孔注入物質を使用できる。
【0135】
【化86】

【0136】
前記正孔注入層の厚さは、約100Åないし10000Åが好ましく、より好ましくは、100Åないし1000Åでありうる。前記正孔注入層の厚さが100Å未満である場合、正孔注入特性が低下し、前記正孔注入層の厚さが10000Åを超過する場合、駆動電圧が上昇するためである。
【0137】
次いで、前記正孔注入層の上部に真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような多様な方法を利用して正孔輸送層(HTL)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔輸送層を形成する場合、その蒸着条件及びコーティング条件は使用する化合物によって異なるが、一般的に正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲中で選択される。
【0138】
前記正孔輸送層物質は、前述したような化学式1を持つ化合物であってもよい。または、例えば、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)などの芳香族縮合環を持つ通常的なアミン誘導体のような公知の正孔輸送物質を使用できる。
【0139】
前記正孔輸送層の厚さは、約50Åないし1000Å、望ましくは100Åないし600Åでありうる。前記正孔輸送層の厚さが50Å未満である場合、正孔輸送特性が低下し、前記正孔輸送層の厚さが1000Åを超過する場合、駆動電圧が上昇するためである。
【0140】
次いで、前記正孔輸送層の上部に真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用して発光層(EML)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法により発光層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物によって異なるが、一般的に正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲内で選択される。
【0141】
前記発光層は、前述したように本発明による化学式1の化合物を含むことができる。この時、化学式1の化合物に適した公知のホスト材料と共に使われるか、公知のドーパント材料と共に使われうる。前記化学式1の化合物を単独で使用することもできる。ホスト材料の場合、例えば、Alq3またはCBP(4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル)、またはPVK(ポリ(n−ビニルカルバゾール))などを使用できる。ドーパント材料の場合、蛍光ドーパントとしては、出光社製のIDE102、IDE105及び林原社製のC545Tなどを使用でき、燐光ドーパントとしては、赤色燐光ドーパントPtOEP、UDC社製のRD 61、緑色燐光ドーパントIr(PPy)3(PPy=2−フェニルピリジン)、青色燐光ドーパントであるF2Irpic、UDC社の赤色燐光ドーパントRD 61などを使用できる。下記の化学式101は、ドーパントとして使用可能なDPAVBiの構造を表す。
【0142】
【化87】

【0143】
ドーピング濃度は特別に制限されないが、通常的にホスト100質量部を基準として前記ドーパントの含有量は0.01〜15質量部である。
【0144】
前記発光層の厚さは、約100Åないし1000Å、望ましくは200Åないし600Åでありうる。前記発光層の厚さが100Å未満である場合、発光特性が低下し、前記発光層の厚さが1000Åを超過する場合、駆動電圧が上昇するためである。
【0145】
発光層に燐光ドーパントと共に使用する場合には、三重項励起子または正孔が電子輸送層に広がる現象を防止するために、前記正孔輸送層の上部に真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用して正孔阻止層(HBL)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法により正孔阻止層を形成する場合、その条件は使用する化合物によって異なるが、一般的に正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲内で選択される。使用可能な公知の正孔阻止材料、例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、BCPなどを挙げることができる。
【0146】
前記正孔阻止層の厚さは約50Åないし1000Å、望ましくは100Åないし300Åでありうる。前記正孔阻止層の厚さが50Å未満である場合、正孔阻止特性が低下し、前記正孔阻止層の厚さが1000Åを超過する場合、駆動電圧が上昇するためである。
【0147】
次いで、電子輸送層(ETL)を真空蒸着法、またはスピンコーティング法、キャスト法などの多様な方法を利用して形成する。真空蒸着法及びスピンコーティング法により電子輸送層を形成する場合、その条件は使用する化合物によって異なるが、一般的に正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲内で選択される。前記電子輸送層材料は、電子注入電極(カソード)から注入された電子を安定的に輸送する機能を果たすものであって、キノリン誘導体、特にトリス(8−キノリノレート)アルミニウム(Alq3)、TAZ、Balqのような公知の材料を使用することもできる。
【0148】
前記電子輸送層の厚さは、約100Åないし1000Å、望ましくは200Åないし500Åでありうる。前記電子輸送層の厚さが100Å未満である場合、電子輸送特性が低下し、前記電子輸送層の厚さが1000Åを超過する場合、駆動電圧が上昇するためである。
【0149】
また、電子輸送層の上部に陰極から電子の注入を容易にする機能を持つ物質である電子注入層(EIL)が積層され、これは特別に材料を制限しない。
【0150】
電子注入層としては、LiF、NaCl、CsF、LiO、BaOのような電子注入層形成材料として公知の任意の物質を利用できる。前記電子注入層の蒸着条件は使用する化合物によって異なるが、一般的に正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲内で選択される。
【0151】
前記電子注入層の厚さは、約1Åないし100Å、望ましくは5Åないし50Åでありうる。前記電子注入層の厚さが1Å未満である場合、電子注入特性が低下し、前記電子注入層の厚さが100Åを超過する場合、駆動電圧が上昇するためである。
【0152】
最後に、電子注入層の上部に真空蒸着法やスパッタリング法などの方法を利用して第2電極を形成できる。前記第2電極は、カソードとして使われうる。前記第2電極形成用金属としては、小さい仕事関数を持つ金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を使用できる。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを挙げることができる。また、前面発光素子を得るために、ITO、IZOを使用した透過型カソードを使用してもよい。
【0153】
以下、本発明の合成例及び実施例を具体的に例示するが、本発明が下記の合成例及び実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0154】
合成例1
下記反応式1ないし3の反応経路によって、化学式4で表現される化合物4を合成した。
【0155】
【化88】

【0156】
中間体Aの合成
9−p−トリル−アントラセンの合成(a)
アルゴンガス下で500mlの丸底フラスコに9−ブロモアントラセン5g(1eq、15.6mmol)、p−トリルボロン酸3.61g(1.7eg、26.5mmol)、NaCO2.15g(1.3eq、20.3mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.54g(0.03eq、0.47mmol)を入れて、THFと水とをp−トリルボロン酸1mmol当たりそれぞれ5ml、2.2ml入れて85℃で16時間還流させた。溶液の色が濃褐色に変わることを確認した後、水を添加してエチル酢酸で抽出した。その後、抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過して溶媒を除去した。少量のトルエンに溶かしてカラムクロマトグラフィ(シリカ、へキサン)で分離して得た固体をトルエンとメタノールで再結晶して白色の固体4.5g(86%)を得た。
【0157】
9−ブロモ−10−p−トリル−アントラセンの合成(b)
500mlの丸底フラスコに9−p−トリル−アントラセン4g(1eq、14.9mmol)、NBS 5.3g(2eq、29.8mmol)をTHF200mlに溶かして1時間攪拌した後、水200mlを添加して黄色の結晶を得た。生成された結晶をろ過した後、少量のトルエンに溶かしてカラムクロマトグラフィ(シリカ、へキサン)で分離して薄黄色の結晶4.6g(89%)を得た。
【0158】
4,4,5,5−テトラメチル−2−(10−p−トリル−アントラセン−9−イル)−[1,3,2]−ジオキサボロランの合成(中間体A)
アルゴンガス下で500mlの丸底フラスコに9−ブロモ−10−p−トリル−アントラセン4.6g(1eq、13.25mmol)をTHF150mlに溶かした後、−78℃でn−BuLi 2.5M(へキサン中)6.36ml(1.2eq,15.9mmol)を添加した。その後、−78℃で1時間攪拌して2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン3.52ml(1.3eq,17.23mmol)を添加して室温で2時間攪拌した。その後、水50mlを添加して反応を終結し、ブライン(brine)と塩化メチレンとで抽出した。次いで抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過して溶媒を除去した。少量のトルエンに溶かしてカラムクロマトグラフィ(シリカ、へキサン)で不純物を除去した後、展開溶媒の極性を高めて白色の固体3.5g(67%)得た。
【0159】
【化89】

【0160】
中間体Bの合成
2,3−ジ−p−トリル−ベンゾ[b]チオフェンの合成(c)
アルゴンガス下で500mlの丸底フラスコに2,3−ジブロモ−ベンゾ[b]チオフェン(1eq,10.27mmol)、p−トリルボロン酸4.89g(3.5eg,35.95mmol)、NaCO2.39g(2.2eq,22.59mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.36g(0.03eq,0.31mmol)を入れて、THFと水とをp−トリルボロン酸1mmol当たりそれぞれ5ml、2.2ml入れて85℃で7時間還流させた。この溶液の色が濃褐色に変わることを確認した後、水を添加してエチル酢酸で抽出した。その後、抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過して溶媒を除去し、少量のトルエンに溶かしてカラムクロマトグラフィ(シリカ、へキサン)で分離して2.8g(87%)の白色固体を得た。
【0161】
6−ブロモ−2,3−ジ−p−トリル−ベンゾ[b]チオフェンの合成(中間体B)
500mlの丸底フラスコに2,3−ジ−p−トリル−ベンゾ[b]チオフェン2.5g(1eq,7.9mmol)、NBS 14g(10eq,79mmol)をTHF 200mlに溶かして6時間攪拌した後、水50mlを添加して反応を終結し、ブラインと塩化メチレンとで抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過して溶媒を除去した。得られた固体を塩化メチレンとへキサンでと再結晶し、少量のTHFに溶かしてカラムクロマトグラフィ(シリカ、へキサン)で分離して黄色の固体2.5g(71%)を得た。
【0162】
【化90】

【0163】
化合物4の合成
前記中間体B(2.2mmol,787mg)をTHF 70mlに溶解させた後、中間体A 867.5mg(2.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)231mg(0.2mmol)、KCO8mmolをトルエン30mlと水4mlとに溶解させて添加した後、還流温度で24時間攪拌した。常温まで冷却させた後、ジエチルエーテル100mlを添加し、水100mlで2回洗浄し、有機層を取って無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を蒸発させて粗生成物を得た後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで分離精製した後、再結晶して400mg(収率63%)の化合物4を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz,ppm):7.98−7.08(m,15H),2.57(s,3H),2.45(s,3H),2.36(s,3H)
合成例2
前記合成例1で中間体Bの合成の際、2,3−ジブロモ−ベンゾ[b]チオフェンの代りに6−ブロモ−2−フェニル−3−p−トリル−メチルインドールを使用したことを除いては、合成例1と同じ方法を使用して化学式55で表現される化合物55を合成した。
【0164】
合成例3
下記反応式4の反応経路によって化学式7で表現される化合物7を合成した。
【0165】
【化91】

【0166】
前記中間体B 787mg(2。2mmol)をTHF 70mlに溶解させた後、2−アントラセン−9−イル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン609mg(2.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)231mg(0.2mmol)、KCO8mmolをトルエン30mlと水4mlとに溶解させて添加した後、還流温度で24時間攪拌した。常温まで冷却させた後、ジエチルエーテル100mlを添加して水100mlで2回洗浄し、有機層を取って無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を蒸発させて粗生成物を得た後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで分離精製した後、再結晶して400mg(収率81.5%)の化合物7を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz,ppm):8.52−7.09(m,12H),1.52(s,3H),1.53(s,3H)
合成例4
下記反応式5の反応経路によって化学式5で表現される化合物5を合成した。
【0167】
【化92】

【0168】
前記合成例1で中間体Aの合成の際、9−p−トリル−アントラセンの代りに9−ナフチル−アントラセンを使用したことを除いては、合成例1と同じ方法を使用して化合物8を合成した。
H−NMR(CDCl,300MHz,ppm):8.02−7.15(m,18H),2.47(s,3H),2.38(s,3H)
合成例5
下記反応式6、7及び8の反応経路によって化学式17で表現される化合物17を合成した。
【0169】
【化93】

【0170】
中間体Cの合成
2,3−ジ−p−トリルアミノフェニル−ベンゾ[b]チオフェンの合成(d)
合成例1で中間体Bの合成の際、p−トリルボロン酸の代りに[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−ジ−p−トリルアミンを使用したことを除いては、合成例1と同じ方法を使用して2,3−ジ−p−トリルアミノフェニル−ベンゾ[b]チオフェンを合成した。
【0171】
6−ブロモ−2,3−ジ−p−トリルアミフェニル−ベンゾ[b]チオフェンの合成(中間体C)
合成例1で中間体Bの合成の際、2,3−ジ−p−トリル−ベンゾ[b]チオフェンの代りに2,3−ジ−p−トリルアミノフェニル−ベンゾ[b]チオフェンを使用したことを除いては、合成例1と同じ方法を使用して中間体Cを合成した。
【0172】
中間体Dの合成
【0173】
【化94】

【0174】
合成例1で中間体Aの合成の際、9−ブロモ−10−p−トリル−アントラセンの代りに[4−(10−ブロモ−アントラセン−9−イル−フェニル]−ジ−p−トリルアミンを使用したことを除いては、合成例1と同じ方法を使用して中間体Dを合成した。
【0175】
化合物17の合成
【0176】
【化95】

【0177】
前記中間体C 1.6g(2.2mmol)をTHF 100mlに溶解させた後、中間体D 1.2g(2.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)231mg(0.2mmol)、KCO8mmolをトルエン55mlと水4mlとに溶解させて添加した後、還流温度で24時間攪拌した。常温まで冷却させた後にジエチルエーテル100mlを添加し、水150mlで2回洗浄し、有機層を取って無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を蒸発させて粗生成物を得た後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで分離精製した後に再結晶して843mg(収率68%)の化合物17を得た。
【0178】
評価例1−化合物の熱安定性評価
前記化合物の熱安定性を各化合物のTg(ガラス転移温度)及びTm(融点)を測定することによって評価した。Tg及びTmは、TGA(Thermo Gravimetric Analysis)及びDSC(Differential Scanning Calorimetry)で熱分析を行って測定し、その結果を表1に示す。
【0179】
【表1】

【0180】
これにより、本発明による化合物は、OLEDに適した熱安定性を持っていることが分かる。
【0181】
評価例2:化合物の発光特性評価
上記の合成した化合物のUV吸収スペクトル及びPL(photoluminescence)スペクトルを評価することによって、各化合物の発光特性を評価した。まず、化合物5をトルエンで0.2mMの濃度に希釈させて、島津UV−350スペクトロメーターを利用して、UV吸収スペクトルを測定した。これを、化合物4ないし17に対して反復した。一方、化合物5をトルエンで10mM濃度に希釈させて、キセノン(Xenon)ランプが装着されているISC PC1スペクトロフルオロメーターを利用して、PLスペクトルを測定した。その結果を下記の表2に示す。
【0182】
【表2】

【0183】
これにより、本発明による化合物は、OLEDに好適に適用される発光特性を持つことを確認することができる。
【0184】
評価例3:化合物の発光特性評価(フィルム状態)
上記で合成した化合物のフィルムを形成して、前記フィルムの吸収スペクトル及び量子効率を評価した。
【0185】
まず、クォーツ(quartz)基板を準備してアセトンと純水とで洗浄した。この後、前記化合物を前記基板にスピンコーティングした後、110℃の温度で30分間熱処理して1000Åの厚さのフィルムを形成した。前記フィルムに対して吸収スペクトル及び量子効率を測定して、その結果を下記の表3に表した。特に、フィルム4、5及び7の吸収スペクトルは、図2Aないし図2Cにそれぞれ示す。
【0186】
【表3】

【0187】
これにより、本発明による化合物を利用してフィルムを形成した場合、OLEDに好適に適用される吸収スペクトル及び量子効率を持つということが分かる。
【0188】
実施例1
化学式101の化合物(DPAVBi)を発光層のドーパントとして使用し、化合物4を発光層のホストとして使用し、次のような構造を持つOLEDを製作した:ITO/PEDOT(500Å)/化合物4_ドーパントDPAVBi(480Å)/Alq3(200Å)/LiF(10Å)/Al(2000Å)。
【0189】
アノードは、15Ω/cm(1000Å)ITOガラス基板を50mmx50mmx0.7mmサイズに切り取ってアセトンイソプロピルアルコールと純水の中で各15分間超音波洗浄した後、30分間UVオゾン洗浄して使用した。前記基板の上部にバイエル社製のPEDOT−PSS(AI4083)をコーティングして110℃で5分間大気中で熱処理し、200℃、5分間窒素雰囲気で熱処理して500Åの正孔注入層を形成した。前記正孔注入層の上部に、ホスト化合物40.1gとドーパントDPAVBi 0.05gとを混合した混合物(前記化合物4 100質量部当たり前記化学式101の化合物は5質量部)をスピンコーティングした後、100℃で30分間熱処理して480Å厚さの発光層を形成した。この後、前記発光層の上部にAlq3化合物を200Åの厚さに真空蒸着して電子輸送層を形成した。前記電子輸送層の上部にLiF 10Å(電子注入層)とAl 2000Å(カソード)とを順次に真空蒸着して、図1Aに示されたようなOLEDを製造した。これをサンプル1とする。
【0190】
実施例2
前記実施例1中、ホストとしてドーパントを使用せずに化合物4のみを発光層として使用したことを除いては、前記実施例1と同じ方法でITO/PEDOT(500Å)/化合物4(480Å)/Alq3(200Å)/LiF(10Å)/Al(2000Å)の構造を持つOLEDを製造した。これをサンプル2とする。
【0191】
実施例3
前記実施例1中、ホストとして化合物4の代わりに化合物7を利用したという点を除いては前記実施例1と同じ方法で、ITO/PEDOT(500Å)/化合物7_ドーパントDPAVBi(480Å)/Alq3(200Å)/LiF(10Å)/Al(2000Å)の構造を持つOLEDを製造した。これをサンプル3とする。
【0192】
比較例1
前記実施例1中、ホストとして化合物4の代わりに下記化学式102の化合物102を利用したという点を除いては、前記実施例1と同じ方法で、ITO/PEDOT(500Å)/化合物102_ドーパントDPAVBi(480Å)/Alq3(200Å)/LiF(10Å)/Al(2000Å)の構造を持つOLEDを製造した。これをサンプル4とする。
【0193】
【化96】

【0194】
評価例4:サンプル1ないし4の特性評価
サンプル1、2、3及び比較サンプル4に対して、PR650(Spectroscan)Source Measurement Unit.を利用して駆動電圧、色純度、効率をそれぞれ評価して、その結果を下記の表4に表した。特に、サンプル1、2及び比較サンプル4の発光スペクトルは図3に示した。
【0195】
【表4】

【0196】
前記表4から、本発明によるサンプル1ないし3は優秀な電気的特性を持つということが分かる。
【0197】
実施例4
厚さ200nmのITO透明電極(正極)を持つガラス基板を中性洗剤、蒸溜水、アセトン、エタノールの中で各15分間超音波洗浄を行った。その基板を窒素ガスを利用して乾燥した後、UV/オゾン処理した。次いで、蒸着装置の基板ホルダーに前記基板を固定して蒸着のために3X10−6Torrに減圧した。前記ITO基板上にMoOを蒸着速度0.1nm/secで10nm厚さに蒸着して正孔注入層を形成した。次いで、前記正孔注入層の上にαNPDを蒸着速度0.1nm/secで30nm厚さに蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0198】
次いで、前記正孔輸送層上に例示化合物4とドーパントDPAVBiとをそれぞれ蒸着速度3.0nm/sec及び0.5nm/secで20nm厚さに蒸着して発光層を形成した。
【0199】
次いで、前記発光層上にAlq3を蒸着速度0.1nm/secで20nm厚さに蒸着して電子輸送層を形成した。その上にCsCO:BCPを蒸着速度0.1nm/secで20nmの厚さに共蒸着して電子注入層を形成した。負極としてアルミニウムを蒸着速度0.1nm/secで200nm厚さに蒸着してOLEDを製作した。これをサンプル5とする。
【0200】
製作されたOLEDに直流電圧を印加して、室温、乾燥器雰囲気下で1mAの定電流で連続駆動した。初期には電圧値が3.6Vであり、輝度は2000cd/mの青色発光を確認した。輝度の半減寿命は3500時間であった。
【0201】
実施例5
実施例4に対して発光層を製作する際に、上記の化合物4を使用する代りに化合物5を使用したことを除いては、実施例4と同一にしてOLEDを製作した。これをサンプル6とする。素子で青色の発光が確認された。さらに、その特性を調べて表5に示す。
【0202】
実施例6
実施例4に対して発光層を製作する際に、上記の化合物4を使用する代りに化合物7を使用したことを除いては、実施例4と同一にしてOLEDを製作した。素子で青色の発光が確認された。これをサンプル7とする。さらに、その特性を調べて表5に示す。
【0203】
実施例7
実施例4に対して発光層を製作する際に、上記の化合物4を使用する代りに化合物17を使用したことを除いては、実施例4と同一にしてOLEDを製作した。これをサンプル8とする。素子で青色の発光が確認された。さらにその特性を調べて表5に示す。
【0204】
実施例8
実施例4に対して発光層を製作する際に、上記の化合物4を使用する代りに化合物55を使用したことを除いては、実施例4と同一にしてOLEDを製作した。これをサンプル9とする。素子で青色の発光が確認された。さらにその特性を調べて表5に示す。
【0205】
比較例2
実施例4に対して発光層を製作する際に、上記の化合物4を使用する代りに化合物102を使用したことを除いては、実施例4と同一にしてOLEDを製作した。これをサンプル10とする。素子で青色の発光が確認された。さらにその特性を調べて表5に示す。
【0206】
【表5】

【0207】
前記表5から、本発明によるサンプル5ないし9は優秀な電気的特性を持つということが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本発明は、OLED関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1A】本発明によるOLEDの一具現例の構造を簡略に示した断面図である。
【図1B】本発明によるOLEDの一具現例の構造を簡略に示した断面図である。
【図1C】本発明によるOLEDの一具現例の構造を簡略に示した断面図である。
【図2A】本発明による化合物の一具現例のフィルムでの吸収及びPLスペクトルを示した図面である。
【図2B】本発明による化合物の一具現例のフィルムでの吸収及びPLスペクトルを示した図面である。
【図2C】本発明による化合物の一具現例のフィルムでの吸収及びPLスペクトルを示した図面である。
【図3】本発明による化合物の一具現例を含むOLEDの発光スペクトルをそれぞれ示した図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1:
【化1】

<化学式1>
前記式中、Arは、置換または非置換の炭素数6〜50のアリール基であり、
、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、−N(Z)(Z)、または−Si(Z)(Z)(Z)であり、
前記Z、Z、Z、Z及びZはそれぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基であり、
Xは、C(Z)(Z)、N(Z)、O、S、SO、Se、またはSeOであり、
前記Z、Z及びZは、それぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基であり、
但し、前記Rがアントリル基である場合は除外する、
で表示される有機発光化合物。
【請求項2】
下記化学式2:
【化2】

前記式中、R、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、−N(Z)(Z)、または−Si(Z)(Z)(Z)であり、
前記Z、Z、Z、Z及びZは、それぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基であり、
Xは、C(Z)(Z)、N(Z)、O、S、SO、Se、またはSeOであり、
前記Z、Z及びZは、それぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基であり、
但し、前記でRがアントリル基である場合は除外する、
で表示されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光化合物。
【請求項3】
下記化学式3:
【化3】

前記式中、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、−N(Z)(Z)、または−Si(Z)(Z)(Z)であり、
前記Z、Z、Z、Z及びZは、それぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜50のヘテロアリール基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基であり、
Xは、C(Z)(Z)、N(Z)、O、S、SO、Se、またはSeOであり、
前記Z、Z及びZは、それぞれ互いに独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数1〜50のアリール基であり、
但し、前記でRがアントリル基である場合は除外する、
で表示されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光化合物。
【請求項4】
前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基の置換基は、−F;−Cl;−Br;−CN;−NO;−OH;非置換または−F、−Cl、−Br、−CN、−NOまたは−OHで置換された炭素数1〜50のアルキル基;非置換または−F、−Cl、−Br、−CN、−NOまたは−OHで置換された炭素数1〜50のアルコキシ基;非置換または炭素数1〜50のアルキル基、炭素数1〜50のアルコキシ基、−F、−Cl、−Br、−CN、−NOまたは−OHで置換された炭素数6〜50のアリール基;非置換または炭素数1〜50のアルキル基、炭素数1〜50のアルコキシ基、−F、−Cl、−Br、−CN、−NOまたは−OHで置換された炭素数2〜50のヘテロアリール基;非置換または炭素数1〜50のアルキル基、炭素数1〜50のアルコキシ基、−F、−Cl、−Br、−CN、−NOまたは−OHで置換された炭素数5〜50のシクロアルキル基;非置換またはC−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、−F、−Cl、−Br、−CN、−NOまたは−OHで置換された炭素数5〜50のヘテロシクロアルキル基;および−N(Z)(Z10)で表示される基からなる群から選択された一つ以上であり、
前記Z及びZ10は、それぞれ互いに独立して、水素原子、炭素数1〜50のアルキル基、または炭素数1〜50のアルキル基で置換された炭素数6〜50のアリール基であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の有機発光化合物。
【請求項5】
前記R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立して、水素原子、炭素数1〜50のアルキル基、炭素数1〜50のアルコキシ基、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、N,N−ジフェニルアミノ基、ペンタレニル基、トリフェニルシリル基、9,10−ジヒドロ−9,10−オルト−ベンゼノ−2−アントリル基、9,9−ジメチル−3−フルオレニル基、4−N,N−ジトリルアミノフェニル基、p−(4,5−ジフェニルイミダゾリジン−2−イル−フェニル基、インデニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、ペナレニル基、フルオレニル基、メチルアントリル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、エチル−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチルレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、フルオレニル基、ピラントレニル基、オバレニル基、カルバゾリル基、チオフェニル基、インドリル基、プリニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリニル基、ベンゾチオフェニル基、パラチアジニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、チアントレニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、オキシラニル基、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ジ(炭素数6〜50のアリール)アミノ基、トリ(炭素数6〜50のアリール)シリル基、及びこれらの誘導体からなる群から選択されたことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の有機発光化合物。
【請求項6】
前記R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立して、メチル、メトキシ、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ピレニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、イミダゾリニル基、インドリル基、キノリニル基、ジフェニルアミノ基、2,3−ジ−p−トリルアミノフェニル基及びトリフェニルシリル基、9,10−ジヒドロ−9,10−オルト−ベンゼノ−2−アントリル基、9,9−ジメチル−3−フルオレニル基、p−(4,5−ジフェニルイミダゾリジン−2−イル)−フェニル基及びこれらの誘導体からなる群から選択されたことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の有機発光化合物。
【請求項7】
前記Xは、CH、C(CH、C(C、N−CH、N−C、O、SまたはSOであることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の有機発光化合物。
【請求項8】
下記化学式4ないし100:
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

【化69】

【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

【化80】

【化81】

【化82】

【化83】

の少なくとも一つで表示されることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の有機発光化合物。
【請求項9】
第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に少なくとも一層の有機膜層と、を備える有機発光素子であり、前記有機膜は請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の化合物を含むことを特徴とする有機発光素子。
【請求項10】
前記有機膜層は、発光層、正孔注入層および正孔輸送層からなる群から選択される少なくとも一つの層であることを特徴とする請求項9に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記第1電極と第2電極との間に、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された一つ以上の層をさらに備えることを特徴とする請求項9または10に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記有機発光素子は、第1電極、正孔注入層、発光層、電子輸送層、電子注入層、および第2電極が順次積層されてなる構造、
第1電極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、および第2電極が順次積層されてなる構造、または第1電極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層および第2電極が順次積層されてなる構造を持つことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の有機発光素子。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−84828(P2007−84828A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258135(P2006−258135)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】