説明

有機発光素子用の縮合環芳香族化合物及びそれを有する有機発光素子

【課題】高効率で高輝度な光出力を有し、かつ耐久性のある有機発光素子を提供する。
【解決手段】陽極と陰極と、該陽極と該陰極との間に挟持される有機化合物からなる層とから構成され、該有機化合物からなる層のうち少なくとも一層が、下記一般式[1]で示される縮合環芳香族化合物を含有する有機発光素子。


(式[1]において、R1乃至R16は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アリール基又は複素環基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子用の縮合環芳香族化合物及びそれを有する有機発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は、陽極と陰極間に蛍光性有機化合物を含む薄膜を挟持する素子である。また、各電極から電子及びホール(正孔)を注入することにより、蛍光性化合物の励起子を生成させることにより、この励起子が基底状態に戻る際に、有機発光素子は光を放射する。
【0003】
有機発光素子における最近の進歩は著しく、その特徴は、低印加電圧で高輝度、発光波長の多様性、高速応答性、発光デバイスの薄型・軽量化が可能であることが挙げられる。このことから、有機発光素子は広汎な用途への可能性が示唆されている。
【0004】
しかしながら、現状では更なる高輝度の光出力あるいは高変換効率が必要である。また、長時間の使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気等による劣化等の耐久性の面で未だ多くの問題がある。
【0005】
さらにはフルカラーディスプレイ等への応用を考えた場合の色純度のよい青、緑、赤の発光が必要となるが、これらの問題に関してもまだ十分解決されたとは言えない。従って色純度がよく、発光効率が高く、かつ耐久性がよい有機発光素子を実現するための材料が求められている。
【0006】
上述した課題を解決する方法として、縮合環芳香族化合物を有機発光素子の構成材料として使用することが提案されている。縮合環芳香族化合物を有機発光素子の構成材料として使用した例として特許文献1乃至5が開示されている。しかし本発明の縮合芳香族化合物又はそれを構成材料とする有機発光素子の開示はない。また、非特許文献1においても縮合環芳香族化合物が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−102173号公報
【特許文献2】米国特開2004−0076853号公報
【特許文献3】特開2006−256979号公報
【特許文献4】特開平10−189248号公報
【特許文献5】特開平9−241629号公報
【非特許文献1】J.Org.Chem.64,1650−1656,1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するためになされたものである。即ち、本発明の目的は、有機発光素子用の新規縮合環芳香族化合物を提供することにある。また本発明の他の目的は、高効率で高輝度な光出力を有し、かつ耐久性のある有機発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の有機発光素子用の縮合環芳香族化合物は、下記一般式[1]で示されることを特徴とする。
【0010】
【化1】

(式[1]において、R1乃至R16は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換アミノ基、置換あるいは無置換のアリール基又は置換あるいは無置換の複素環基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の有機発光素子用の縮合環芳香族化合物は高い量子収率を有する。このため本発明によれば、高効率で高輝度な光出力を有し、かつ、耐久性のある有機発光素子を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、本発明の縮合環芳香族化合物に関して詳細に説明する。本発明の有機発光素子用の縮合環芳香族化合物は、下記一般式[1]で示されることを特徴とする。
【0013】
【化2】

【0014】
式[1]において、R1乃至R16は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換アミノ基、置換あるいは無置換のアリール基又は置換あるいは無置換の複素環基を表す。尚、R1乃至R16は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0015】
上記一般式[1]におけるR1乃至R16で表される置換基の具体例を以下に示す。ただし、これらに限定されるものではない。
【0016】
1乃至R16で表されるハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0017】
1乃至R16で表されるアルキル基として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチル基、ノルマルペンチル基、オクチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0018】
1乃至R16で表されるアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−エチル−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0019】
1乃至R16で表されるアリールオキシ基として、フェノキシ基、4−ターシャリーブチルフェノキシ基、チエニルオキシ基等が挙げられる。
【0020】
1乃至R16で表される置換アミノ基として、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−メチル−N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、アニリノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジナフチルアミノ基、N,N−ジフルオレニルアミノ基,N−フェニル−N−トリルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジアニソリルアミノ基、N−メシチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジメシチルアミノ基、N−フェニル−N−(4−ターシャリーブチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−ターシャリーブチルフェニル)アミノ基、N,N−ビス(3,5−ジメチルフェニル)アミノ基、N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレニル)−N−フェニルアミノ基、N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレニル)−N−トリルアミノ基、N−(9,9−ジエチル−9H−フルオレニル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)アミノ基、N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレニル)−N−(2−ナフチル)アミノ基等が挙げられる。
【0021】
1乃至R16で表されるアリール基として、フェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アズレニル基、アントリル基、ピレニル基、インダセニル基、アセナフテニル基、フェナントリル基、フェナレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基、アセフェナントリル基、アセアントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、ピレニル基、ペリレニル基、ペンタセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、下記に挙げる化合物に由来する置換基等が挙げられる。
【0022】
【化3】

【0023】
尚、この化合物は、例えば、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャルブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、4−ターシャリーブチルフェノキシ基等のアリールオキシ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジナフチルアミノ基等のアミノ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基又はピリジル基、ピロリル基等複素環基等の置換基をさらに有していてもよい。
【0024】
1乃至R16で表される複素環基として、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基等が挙げられる。
【0025】
上記のアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基及び複素環基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ターシャリーブチル基等のアルキル基、ベンジル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基等のアリール基、ピリジル基、ピロリル基等の複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基等のアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシル基等のアリールオキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。
【0026】
一般式[1]で示される縮合環芳香族化合物は、例えば、下記の合成ルート1乃至3に示すような方法で合成することができる。
【0027】
〔合成ルート1〕
一般式[1]で示される縮合環芳香族化合物は、例えば、下記の合成ルート1に示すように、ジブロモクリセン誘導体と2−ヒドロキシフェニルボロン酸の誘導体あるいはブロモクロロヨードベンゼンの誘導体を原料に合成することができる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
【化4】

【0029】
合成ルート1の具体的な方法を述べる。まず、ジブロモクリセン誘導体と2−ヒドロキシフェニルボロン酸の誘導体とのsuzuki−miyaura−coupling反応(例えば、Chem.Rev.1995,95,2457−2483)によりジヒドロキシ体を合成する。別法として、例えば、ニッケル触媒を用いたYamamoto法(例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.51,2091,1978)等も挙げられる。次に、合成したジヒドロキシ体をジトリフラート体へと誘導し、これに分子内環化(例えば、J.Org.Chem.68,883−887,2003)を行う。これにより、一般式[1]で示される縮合芳香族化合物を得ることができる。
【0030】
〔合成ルート2〕
また、一般式[1]で示される縮合環芳香族化合物は、例えば、下記の合成ルート2に示すように、ジブロモクリセン誘導体とブロモクロロヨードベンゼンの誘導体を原料に合成することもできる。
【0031】
【化5】

【0032】
合成ルート2の具体的な方法を述べる。合成ルート2は、上記合成工程、3工程目の生成化合物であるジクロロ体を経由する合成方法である。本ルートは、一般式[1]のR4乃至R7あるいはR12乃至R15へ簡便に様々な置換基を導入する場合に特に有用である。具体的には、ジブロモクリセン誘導体をジピナコラート体(例えば、J.Org.Chem.65,164,2000)へと誘導する。次にブロモクロロヨードベンゼンの誘導体とのsuzuki−miyaura−coupling反応を行い、続けて上記合成ルート1の分子内環化反応と同様の手法で環化(例えば、J.Org.Chem.68,883−887,2003)を行う。こうすることでジクロロ体へと誘導する。
【0033】
尚、このジクロロ体を中間体として用い、様々な置換基を導入する合成方法の例を以下に挙げる。
【0034】
例えば、suzuki−miyaura−coupling反応(J.Am.Chem.Soc.120,9722,1998)、Still反応(Macromolecules.18,321,1985)、Heck反応(J.Org.Chem.46,1067,1981)等のカップリング反応が挙げられる。
【0035】
〔合成ルート3〕
また、一般式[1]で示される縮合環芳香族化合物は、例えば、下記の合成ルート3に示すように、ジブロモクリセン誘導体を原料に合成することもできる。
【0036】
【化6】

【0037】
合成ルート3の具体的な方法を述べる。合成ルート3は、一般式[1]のR4からR7あるいはR12からR15へ様々な置換基を導入する場合に特に有用である。具体的には、ジブロモクリセン誘導体をエステル体である化合物CR−1へと誘導する。次にエステル体の加水分解を行い化合物CR−2へと導き、続く工程を経て酸塩化物である化合物CR−3へと誘導する。さらに分子内環化(例えば、J.Am.Chem.Soc.105,7375,1983)を施すことでケトン体へと誘導する。このケトン体をジケトン体(例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.59,3311,1986)へと変換する。これを中間体として用い、Knoevenagel反応(例えば、Eur.J.Org.Chem.4185,2002)と、Diels−Alder反応(例えば、J.Org.Chem.62,530,1997)とを順次行う。この二工程を経てR4からR7あるいはR12からR15へ様々な置換基を導入する。
【0038】
一般的に有機発光素子の発光効率を高めるためには、発光中心材料そのものの発光量子収率が大きいことが望ましい。
【0039】
一般式[1]中のR1乃至R16の全てが水素原子である化合物は、実施例1で示すように、希薄溶液中において発光の量子収率が高い。このため、一般式[1]の化合物を有機発光素子の材料として使用した場合、素子の発光効率を高くすることが期待できる。
【0040】
さらに、一般式[1]においてR1乃至R16に置換基を導入することで、分子会合による発光効率低下を低減することができる。特に、R1,R4,R7,R8,R9,R12,R15,R16に置換基を導入することは、隣接する置換基同士の立体障害により一般式[1]の化合物の平面に対して垂直方向に位置しやすく、分子会合による発光効率低下の低減する効果は大きい。
【0041】
分子自体に立体障害を与えるための置換基として、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基等が挙げられる。好ましくはアミノ基、アリール基、複素環基等が挙げられる。
【0042】
尚、一般式[1]で示される化合物を発光層として用いる場合には、ホスト材料、ゲスト材料のいずれでも使用できる。特に、一般式[1]で示される化合物を発光層のホスト材料として用いる場合、ガラス転移温度が高い材料が好ましく、そのためにはR1乃至R16に置換基を有することが望ましい。
【0043】
ガラス転移温度を向上させるための置換基として、好ましくはアミノ基、アリール基、複素環基等が挙げられる。
【0044】
一般式[1]で示される化合物を合成工程の中間体として使用するために導入する置換基としては、ハロゲン原子が挙げられる。この場合は、合成反応における活性度の点から、ヨウ素、臭素、塩素が好ましい。
【0045】
有機発光素子の材料として使用される化合物は、キャリア注入性が高いことが望ましい。キャリア注入を促進することにより素子をより低電圧で駆動できる。キャリア注入性を高くするために導入する置換基として、好ましくは、アミノ基や複素環基が挙げられる。ここで、一般的に置換基として、アミノ基を導入するとホール注入性が向上される。一方で、複素環基を導入すると電子注入性が向上される。
【0046】
また本発明の縮合環芳香族化合物の無置換体は、希薄溶液中での発光波長がCIEの色度座標に換算した場合に、色純度が良好な青色を示す。このため、この無置換体に、π共役系を伸張する置換基を導入することで、青系から長波長側の発光色への変換が可能である。ここでπ共役系を伸張するための置換基としてアミノ基、アリール基、複素環基等が挙げられる。
【0047】
上記一般式[1]における化合物の具体例を以下に示す。しかし、本発明はこれらに限られるものではない。
【0048】
【化7】

【0049】
【化8】

【0050】
【化9】

【0051】
【化10】

【0052】
【化11】

【0053】
【化12】

【0054】
【化13】

【0055】
【化14】

【0056】
【化15】

【0057】
【化16】

【0058】
【化17】

【0059】
次に、本発明の有機発光素子に関して詳細に説明する。
【0060】
本発明の有機発光素子は、陽極と陰極と、この陽極と陰極との間に挟持される有機化合物からなる層とから構成される。また、本発明の有機発光素子は、有機化合物からなる層が、本発明の縮合環芳香族化合物を含有することを特徴とする。
【0061】
以下、図面を参照しながら、本発明の有機発光素子を詳細に説明する。
【0062】
図1は、本発明の有機発光素子における第一の実施形態を示す断面図である。図1の有機発光素子10は、基板1上に、陽極2、発光層3及び陰極4が順次設けられている。この有機発光素子10は、発光層3が、ホール輸送能、エレクトロン輸送能及び発光性の性能を全て有する有機化合物で構成されている場合に有用である。また、ホール輸送能、エレクトロン輸送能及び発光性の性能のいずれかの特性を有する有機化合物を混合して構成される場合にも有用である。
【0063】
図2は、本発明の有機発光素子における第二の実施形態を示す断面図である。図2の有機発光素子20は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、電子輸送層6及び陰極4が順次設けられている。この有機発光素子20は、ホール輸送性及び電子輸送性のいずれかを備える発光性の有機化合物と電子輸送性のみ又はホール輸送性のみを備える有機化合物とを組み合わせて用いる場合に有用である。また、有機発光素子20は、ホール輸送層5又は電子輸送層6が発光層を兼ねている。
【0064】
図3は、本発明の有機発光素子における第三の実施形態を示す断面図である。図3の有機発光素子30は、図2の有機発光素子20において、ホール輸送層5と電子輸送層6との間に発光層3を挿入したものである。この有機発光素子30は、キャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、ホール輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した有機化合物を適宜組み合わせて用いることができる。このため、極めて材料選択の自由度が増すとともに、発光波長を異にする種々の有機化合物が使用できるので、発光色相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層3にキャリアあるいは励起子を有効に閉じこめて有機発光素子30の発光効率の向上を図ることも可能になる。
【0065】
図4は、本発明の有機発光素子における第四の実施形態を示す断面図である。図4の有機発光素子40は、図3の有機発光素子30において、陽極2とホール輸送層5との間にホール注入層7を設けたものである。この有機発光素子40は、ホール注入層7を設けたことにより、陽極2とホール輸送層5との間の密着性又はホールの注入性が改善されるので低電圧化に効果的である。
【0066】
図5は、本発明の有機発光素子における第五の実施形態を示す断面図である。図5の有機発光素子50は、図3の有機発光素子30において、ホール又は励起子(エキシトン)を陰極4側に抜けることを阻害する層(ホール/エキシトンブロッキング層8)を、発光層3と電子輸送層6との間に挿入したものである。イオン化ポテンシャルの非常に高い有機化合物をホール/エキシトンブロッキング層8として用いることにより、有機発光素子50の発光効率が向上する。
【0067】
ただし、上記の第一乃至第五の実施形態はあくまでごく基本的な素子構成であり、本発明の縮合環芳香族化合物を用いた有機発光素子の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電極と有機層界面に絶縁性層、接着層又は干渉層を設ける、ホール輸送層がイオン化ポテンシャルの異なる二層から構成される等多様な層構成をとることができる。
【0068】
本発明の縮合環芳香族化合物は、上記の第一乃至第五のいずれの実施形態でも使用することができる。また、本発明の縮合環芳香族化合物を使用する際は、単一の化合物を使用してもよく、複数の化合物を組み合わせて使用してもよい。
【0069】
また、本発明の縮合環芳香族化合物は、有機化合物からなる層、例えば、第一乃至第五の実施形態における、発光層3、ホール輸送層5、電子輸送層6、ホール注入層7及びホール/エキシトンブロッキング層8のいずれかに含まれる。好ましくは、発光層3に含まれる。また、これらの層に含まれる本発明の縮合環芳香族化合物は、1種類であってもよく2種類以上であってもよい。
【0070】
発光層3は、好ましくは、ホストとゲストとからなる。ここで、発光層3がキャリア輸送性のホストとゲストからなる場合、発光にいたる主な過程は、以下のいくつかの過程からなる。
1.発光層内での電子・ホールの輸送。
2.ホストの励起子生成。
3.ホスト分子間の励起エネルギー伝達。
4.ホストからゲストへの励起エネルギー移動。
【0071】
それぞれの過程における所望のエネルギー移動や、発光はさまざまな失活過程と競争でおこる。
【0072】
有機発光素子の発光効率を高めるためには、発光中心材料そのものの発光量子収率を大きくすることは言うまでもない。しかしながら、ホスト−ホスト間、あるいはホスト−ゲスト間のエネルギー移動が如何に効率的にできるかも大きな問題となる。また、通電による発光劣化は今のところ原因は明らかではないが、少なくとも発光中心材料そのもの、又はその周辺分子による発光材料の環境変化に関連したものと想定される。
【0073】
ここで本発明の縮合環芳香族化合物を発光層のホスト又はゲストに用いると、素子の発光効率、素子が出力する光の輝度及び素子の耐久性が向上する。
【0074】
本発明の有機発光素子に本発明の縮合芳香族化合物を発光層用の材料として使用する場合、発光層を本発明の縮合芳香族化合物のみで構成することができる。また本発明の縮合環芳香族化合物を、ゲスト(ドーパント)材料又はホスト材料として使用することができる。
【0075】
ここで、本発明の縮合芳香族化合物をゲスト材料として使用する場合、その使用量として好ましくは、ホスト材料に対して0.01重量%乃至20重量%であり、より好ましくは0.1重量%乃至15重量%である。本発明の縮合芳香族化合物をこの範囲内で使用すれば、発光層中においてゲスト同士が重なることで起こる濃度消光を適度に抑制することができる。
【0076】
本発明の縮合芳香族化合物をゲスト材料として使用する場合、ホスト材料のエネルギーギャップは、ゲストのエネルギーギャップより広いことが好ましい。
【0077】
本発明は、特に、発光層の構成材料として本発明の縮合芳香族化合物を用いるが、必要に応じてこれまで知られている低分子系及びポリマー系のホール輸送性化合物、発光性化合物あるいは電子輸送性化合物等を一緒に使用することもできる。
【0078】
ホール輸送性化合物としては、例えば、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、及びポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子等が挙げられる。
【0079】
発光性化合物として、本発明の縮合環芳香族化合物の他、例えば、ナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、ピレン誘導体、テトラセン誘導体、コロネン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、9,10−ジフェニルアントラセン誘導体、ルブレン等)、キナクリドン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、ナイルレッド、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、スチルベン誘導体、有機金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体)及びポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体、ポリ(チエニレンビニレン)誘導体、ポリ(アセチレン)誘導体等の高分子誘導体等が挙げられる。
【0080】
電子輸送性化合物としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等が挙げられる。
【0081】
陽極を構成する材料としては、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が挙げられる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマー等も挙げられる。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陽極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
【0082】
陰極を構成する材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体が挙げられる。あるいはリチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、マグネシウム−インジウム等、複数の合金も挙げられる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物も挙げられる。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
【0083】
本発明の有機発光素子で用いる基板としては、特に限定するものではないが、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等の透明性基板が用いられる。
【0084】
また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜等を用いて発色光をコントロールする事も可能である。また、基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を作成し、それに接続して素子を作成することも可能である。
【0085】
また、素子の光取り出し方向に関しては、ボトムエミッション構成(基板側から光を取り出す構成)及び、トップエミッション(基板の反対側から光を取り出す構成)のいずれも可能である。
【実施例】
【0086】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】
<実施例1>[例示化合物A−1の合成]
【0088】
【化18】

【0089】
(1−1)化合物1−3の合成
300mlナスフラスコに以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物1−1:1.3g(4.05mmol)
化合物1−2:1.22g(8.90mmol)
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0):519mg(0.45mmol)
トルエン:100ml
エタノール:50ml
2M−炭酸ナトリウム水溶液:20ml
【0090】
次に、反応溶液を、窒素気流下60℃に加熱しながら8時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル及び水を加えて有機層と水層とを分離した。次に、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/1)で精製することにより、化合物1−3を1.3g(収率78%)得た。
【0091】
(1−2)化合物1−4の合成
以下に示す試薬、溶媒等をナスフラスコに仕込んだ。
化合物1−3:1.3g(3.15mmol)
クロロホルム:100ml
トリエチルアミン:2ml
【0092】
次に、反応溶液を−20℃の冷バス上にて冷却しながら30分間攪拌した。次に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物1.58ml(9.45mmol)をゆっくり滴下した後、反応溶液を室温にて6時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル及び水を加え有機層と水層とを分離した。次に、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することにより粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/2)で精製することにより、化合物1−4を1.74g(収率82%)得た。
【0093】
(1−3)例示化合物A−1の合成
以下に示す試薬、溶媒等をナスフラスコに仕込んだ。
化合物1−4:270mg(0.4mmol)
LiCl:100mg(2.4mmol)
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]7−ウンデセン:146mg(0.96mmol)
ビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)ジクロライド:40mg(0.04mmol)
ジメチルホルムアミド:50ml
【0094】
次に、反応溶液を、窒素気流下80℃に加熱しながら8時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル、水を加え有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/3)で精製し、例示化合物A−1を72mg(収率48%)得た。
【0095】
得られた化合物について、その物性を測定し評価した。
【0096】
(分子量)
MALDI−TOF−MAS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりM+が376.4であることを確認し、例示化合物A−1を同定した。
【0097】
(NMR)
NMR測定によりこの例示化合物A−1の構造を確認した。
【0098】
1H−NMR(THF−d8,400MHz) σ(ppm):9.36(s,2H),8.80(d,2H,J=8.0Hz),8.18−8.16(m,2H),8.07(d,2H,J=8.0Hz),7.97−7.95(m,2H),7.82(m,2H),7.38(m,4H)
【0099】
(融点)
DSC示差走査熱量分析法により、例示化合物A−1の融点が378℃であることを確認した。
【0100】
(発光特性)
溶液状態における例示化合物A−1の発光スペクトルを測定した。発光スペクトルの測定にあたり、予め分光光度計U−3010(日立分光製)を使用して、例示化合物A−1のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルを測定した後、分光蛍光光度計F−4500(日立分光製)を使用して、例示化合物A−1のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の発光スペクトル(PLスペクトル)を測定した。このとき、吸収スペクトル測定の結果から励起波長を340nmとした。測定の結果、図6に示すPLスペクトルが得られた。図6に示すPLスペクトルより、例示化合物A−1の最大発光波長の第1ピーク、第2ピークはそれぞれ436nm、461nmであり良好な青色発光を示すことがわかった。
【0101】
また、例示化合物A−1についてトルエン溶液中(1×10-5mol/l)での量子収率を測定した結果、0.91と高い値を示した。尚、量子収率の測定においては、フルオランテンを比較対照化合物として使用し相対的に算出した。尚、フルオランテンの希薄溶液中での量子収率は0.35である(Steven L,Murov.,Handbook of Phtochemistry,Second Edition,Revised and Exapanded,(1993))。
【0102】
実施例1において、化合物1−1及び化合物1−2に変えて、以下に示す表1及び表2に示される化合物を使用する。これ以外は、実施例1と同じ条件により、例示化合物B−2、C−12、D−1、E−8、F−6、G−1、G−2、G−7、G−10、G−40、G−41及びH−2を合成することができる。
【0103】
【表1】

【0104】
【表2】

【0105】
<実施例2>[例示化合物C−6の合成]
【0106】
【化19】

【0107】
実施例1と同様の合成方法で、例示化合物C−6を合成した。具体的には、実施例1において、化合物1−2を化合物1−5に代える他は、実施例1と同じ条件で行った。
【0108】
得られた化合物について、その物性を測定し評価した。
【0109】
(分子量)
MALDI−TOF−MAS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりM+が488.6であることを確認し、例示化合物C−6を同定した。
【0110】
(NMR)
NMR測定により例示化合物C−6の構造を確認した。
【0111】
1H−NMR(CDCl3,400MHz) σ(ppm):9.15(s,2H),8.69(d,2H,J=8.0Hz),8.08−8.01(m,6H),7.87−7.83(m,2H),7.52−7.48(m,2H),1.54(s,18H)
【0112】
(融点)
DSC示差走査熱量分析法により、例示化合物C−6の融点が459℃であることを確認した。
【0113】
(発光特性)
溶液状態における例示化合物C−6の,トルエン溶液(1×10-5mol/l)の吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルを測定した後、例示化合物C−6のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の発光スペクトル(PLスペクトル)を測定した。このとき、吸収スペクトル測定の結果から励起波長を355nmとした。測定の結果、図7に示すPLスペクトルが得られた。図7に示すPLスペクトルより、例示化合物C−6の最大発光波長の第1ピーク、第2ピークはそれぞれ446nm、472nmであり良好な青色発光を示すことがわかった。
【0114】
<実施例3>[例示化合物G−14及びG−19の合成]
【0115】
【化20】

【0116】
(3−1)化合物1−6の合成
300mlナスフラスコに以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物1−1:2.5g(6.48mmol)
4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン:5.63ml(38.8mmol)
[1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II):325mg(0.65mmol)
トルエン:100ml
トルエチルアミン:30ml
【0117】
次に、反応溶液を、窒素気流下80℃に加熱しながら8時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却した後、水を加えた。次に、塩化アンモニウム水溶液を加え3時間攪拌した。次に、酢酸エチル及び水を加え有機層と水層とを分離した。次に、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製することにより、化合物1−6を2.1g(収率68%)得た。
【0118】
(3−2)化合物1−8の合成
300mlナスフラスコに以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物1−6:2.0g(4.16mmol)
化合物1−7:2.7g(8.5mmol)
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0):485mg(0.42mmol)
トルエン:100ml
エタノール:50ml
2M−炭酸ナトリウム水溶液:20ml
【0119】
次に、反応溶液を、窒素気流下80℃に加熱しながら4時間攪拌した。反応終了後、トルエン及び水を加え有機層と水層とを分離した。次に、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/9)で精製することにより、化合物1−8を1.81g(収率72%)得た。
【0120】
(3−3)化合物1−9の合成
以下に示す試薬、溶媒等をナスフラスコに仕込んだ。
化合物1−8:1.5g(2.47mmol)
LiCl:636mg(15.0mmol)
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]7−ウンデセン:943mg(6.20mmol)
ビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)ジクロライド:40mg(0.24mmol)
ジメチルホルムアミド:150ml
【0121】
次に、反応溶液を、窒素気流下100℃に加熱しながら8時間攪拌した。反応終了後、水を加え室温にて1時間攪拌した。反応溶液中に橙色の沈殿物を確認した後、この沈殿物をろ過し、水、メタノール、アセトンでろ物を順次洗浄した。次に、ろ物を乾燥することにより、化合物1−9を1.1g(収率51%)得た。
【0122】
得られた化合物について、その分子量を測定した。
【0123】
(分子量)
MALDI−TOF−MAS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりM+が445.3であることを確認し、化合物1−9を同定した。
【0124】
(3−4)例示化合物G−14及びG−19の合成
以下に示す試薬、溶媒等をナスフラスコに仕込んだ。
化合物1−9:500mg(1.12mmol)
化合物1−10:100mg(2.4mmol)
酢酸パラジウム(II):75mg(0.33mmol)
2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル:410mg(0.99mmol)
リン酸三カリウム:713mg(3.36mmol)
トルエン:50ml
【0125】
次に、反応溶液を、窒素気流下80℃に加熱しながら8時間攪拌した。反応終了後、トルエン及び水を加え有機層と水層とを分離した。次に、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/3)で精製することにより、例示化合物G−14を209mg(収率32%)及び、例示化合物G−19を97mg(収率18%)得た。
【0126】
得られた化合物について、その物性を測定し評価した。
【0127】
(分子量)
MALDI−TOF−MAS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりそれぞれ、M+が584.7及び480.6であることを確認し、例示化合物G−14、G−19を同定した。
【0128】
(NMR)
NMR測定により例示化合物G−14の構造を確認した。
【0129】
1H−NMR(CDCl3,400MHz) σ(ppm):9.22(s,2H),8.74(d,2H,J=9.6Hz),8.19(d,2H,J=9.2Hz),8.03(d,2H,J=8.2Hz),7.88(dd,2H,J=8.4Hz,J=8.2Hz),7.78(d,2H,J=0.96Hz),7.27−7.20(m,8H),2.18(s,12H)
【0130】
同様にNMR測定により例示化合物G−19の構造を確認した。
【0131】
1H−NMR(CDCl3,400MHz) σ(ppm):9.10(s,2H),9.08(s,2H),8.63(d,2H,J=9.6Hz),8.14(d,1H,J=7.2Hz),8.01−8.06(m,1H),7.99(dd,1H,J=7.2Hz,J=11.2Hz),7.95−7.92(m,1H),7.84−7.76(m,2H),7.46−7.42(m,2H),7.26−7.18(m,4H),2.19(s,6H)
【0132】
(発光特性)
実施例1と同様に発光特性の測定を行った。具体的には、例示化合物G−14及びG−19のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の吸収スペクトルをそれぞれ測定した。吸収スペクトルを測定した後、例示化合物G−14及びG−19のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の発光スペクトル(PLスペクトル)をそれぞれ測定した。このとき、吸収スペクトル測定の結果から励起波長をいずれも340nmとした。測定の結果、図8(G−14)及び図9(G−19)に示すPLスペクトルが得られた。図8に示すPLスペクトルより、例示化合物G−14の最大発光波長の第1ピーク、第2ピークはそれぞれ444nm、470nmであり青色発光を示すことがわかった。また、図9に示すPLスペクトルより、例示化合物G−19の最大発光波長の第1ピーク、第2ピークはそれぞれ440nm、467nmであり青色発光を示すことがわかった。
【0133】
<実施例4>[例示化合物G−18の合成]
【0134】
【化21】

【0135】
実施例3と同様の合成方法で、例示化合物G−18を合成した。具体的には、実施例3において、化合物1−10を化合物1−11に代える他は、実施例3と同じ条件で行った。
【0136】
得られた化合物について、その物性を測定し評価した。
【0137】
(分子量)
MALDI−TOF−MAS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりM+が656.8であることを確認し、例示化合物G−18を同定した。
【0138】
(NMR)
NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
【0139】
1H−NMR(CDCl3,600MHz) σ(ppm):9.34(s,2H),8.82(d,2H,J=5.8Hz),8.30(d,2H,J=6.3Hz),8.06(d,2H,J=5.8Hz),7.93−7.86(m,8H),7.62(d,2H,J=7.1Hz),7.51(d,2H,J=7.1Hz),7.46−7.39(m,6H),2.40(s,6H)
【0140】
(発光特性)
実施例1と同様に発光特性の測定を行った。具体的には、例示化合物G−18のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルを測定した後、例示化合物G−18のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の発光スペクトル(PLスペクトル)を測定した。このとき、吸収スペクトル測定の結果から励起波長を355nmとした。測定の結果、図10に示すPLスペクトルが得られた。図10に示すPLスペクトルより、例示化合物G−18の最大発光波長の第1ピーク、第2ピークはそれぞれ442nm、469nmであり良好な青色発光を示すことがわかった。
【0141】
<実施例5>[例示化合物G−22の合成]
【0142】
【化22】

【0143】
(5−1)化合物1−12の合成
300mlナスフラスコに以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物1−1:5.0g(13.0mmol)
アセト酢酸エチル:6.74g(51.8mmol)
リン酸三カリウム:16.5g(77.7mmol)
酢酸パラジウム(II):116mg(0.52mmol)
2−(ジターシャルブチルフォスフィノ)−2’−メチルビフェニル:324mg(1.04mmol)
トルエン:100ml
エタノール:15ml
【0144】
次に、反応溶液を、窒素気流下80℃に加熱しながら18時間攪拌した。反応終了後、トルエン及び水を加え有機層と水層とを分離した。次に、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/クロロホルム=1/1)で精製することにより、化合物1−12を2.87g(収率55%)得た。
【0145】
(5−2)化合物1−13の合成
以下に示す試薬、溶媒等をナスフラスコに仕込んだ。
化合物1−12:3.76g(89.6mmol)
ジオキサン:30ml
水酸化リチウム・1水和物:3.76g(89.6mmol)
【0146】
次に、反応溶液を90℃に加熱しながら24時間攪拌した。次に、この反応溶液(懸濁液)に濃塩酸(20ml)をゆっくり加えた後、室温にてさらに5時間攪拌した。次に、水(200ml)を加え析出した結晶をろ別した。次に、この結晶を水、メタノール、ジエチルエーテルで順次洗浄を行った後、高真空状態で加熱乾燥することにより、化合物1−13を2.87g(収率93%)得た。
【0147】
(5−3)化合物1−15の合成
以下に示す試薬、溶媒等をナスフラスコに仕込んだ。
化合物1−13:2.87g(6.36mmol)
塩化チオニル:50ml
ジメチルホルムアミド:300μl
【0148】
次に、反応溶液を、80℃に過熱しながら2時間攪拌した。次に、この反応溶液(懸濁液)を減圧濃縮して得られた残渣に、ジクロロメタン50ml及び三塩化アルミニウム2.1g(15.9mmol)を順次加えた後、反応溶液を室温で18時間激しく攪拌した。次に、この反応溶液(懸濁液)に濃塩酸180mlを加えた後、60℃に加熱し1時間攪拌を行った。次に、この懸濁液をろ別して得られたろ過物に対して、クロロホルムを溶媒として使用したソックスレー抽出を行った後、抽出物を減圧濃縮して粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=15/1)で精製することにより、化合物1−15を1.2g(収率61%)得た。
【0149】
(5−4)化合物1−16の合成
以下に示す試薬、溶媒等をナスフラスコに仕込んだ。
化合物1−15:1.2g(3.89mmol)
ベンゼンセレン酸無水物:4.4g(8.56mmol)
クロロベンゼン:60ml
【0150】
次に、反応溶液を、130℃に加熱しながら18時間攪拌した。次に、反応溶液(懸濁液)を100℃まで冷却し、析出してきた結晶をろ別した。得られた結晶をヘキサンで洗浄を行い高真空下で乾燥することにより、化合物1−16を1.27g(収率97%)得た。
【0151】
(5−5)化合物1−18の合成
ナスフラスコに以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物1−16:37mg(0.0046mmol)
化合物1−17:40mg(0.0092mmol)
エタノール:2ml
トルエン:0.4ml
6N−水酸化カリウム:300μl
【0152】
次に、反応溶液を、窒素気流下80℃に加熱しながら18時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで放冷し、析出した結晶をろ別した。次に、この結晶をメタノール、IPEにて順次洗浄を行った後、高真空下で乾燥することにより、化合物1−18を55mg(収率99%)得た。
【0153】
(5−6)例示化合物G−22の合成
オートクレーブに以下に示す試薬、溶媒、アセチレンガスを入れ密封した。190℃で24時間攪拌した。
化合物1−18:200mg(0.176mmol)
ジクロロエタン:4ml
【0154】
次に、反応溶液を、190℃に加熱し24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで放冷した後、析出した結晶をろ別した。次に、この結晶をヘキサンとトルエンとの混合溶媒(ヘキサン/トルエン=2/1)にて十分に洗浄した。次に、洗浄した結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/クロロホルム=4/1)で精製することにより、例示化合物G−22を0.14g(収率70%)得た。
【0155】
得られた化合物について、その物性を測定し評価した。
【0156】
(分子量)
MALDI−TOF−MAS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりM+が1129.68であることを確認し、例示化合物G−22を同定した。
【0157】
(NMR)
NMR測定により例示化合物G−22の構造を確認した。
【0158】
1H−NMR(CDCl3,400MHz) σ(ppm):8.01(s,2H),7.80(d,2H,J=8.0Hz),7.80(t,2H,J=2.0Hz),7.57(t,2H,J=2.0Hz)8.18−8.16(m,2H),8.07(t,2H,J=2.0Hz),7.54(d,4H,J=2.0Hz),7.53(d,4H,J=2.0Hz),7.40−7.32(m,4H),1.42(s,36H),1.40(s,36H)
【0159】
(発光特性)
実施例1と同様に発光特性の測定を行った。具体的には、例示化合物G−22のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルを測定した後、例示化合物G−22のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の発光スペクトル(PLスペクトル)を測定した。このとき、吸収スペクトル測定の結果から励起波長を355nmとした。測定の結果、図11に示すPLスペクトルが得られた。図11に示すPLスペクトルより、例示化合物G−22の最大発光波長の第1ピーク、第2ピークはそれぞれ458nm、486nmであり良好な青色発光を示すことがわかった。
【0160】
<実施例6>[例示化合物G−24の合成]
【0161】
【化23】

【0162】
以下に示す試薬、溶媒等をナスフラスコに仕込んだ。
化合物1−19:500mg(0.603mmol)
LiCl:76mg(1.81mmol)
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]7−ウンデセン:918mg(6.03mmol)
酢酸パラジウム:13.5mg(0.0603mmol)
2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル:56.8mg(0.133mmol)
ジメチルホルムアミド:30ml
【0163】
次に、反応溶液を、窒素気流下150℃に加熱して1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル及び水を加え有機層と水層とを分離した。次に、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/2)で精製することにより、例示化合物G−24を32mg(収率10%)得た。
【0164】
得られた化合物について、その物性を測定し評価した。
【0165】
(分子量)
MALDI−TOF−MAS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりM+が528.6であることを確認し、例示化合物G−24を同定した。
【0166】
<実施例7>[例示化合物G−20の合成]
【0167】
【化24】

【0168】
(7−1)化合物1−20の合成
500mlの三ツ口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒等を仕込んだ。
クリセン:20.0g(87.6mmol)
塩化アルミニウム:46.7g(350mmol)
ジクロロメタン:400ml
【0169】
次に、反応溶液を窒素雰囲気下−78℃で攪拌しながら、オキサリルクロリド55.6g(438mmol)を滴下した。次に、反応溶液を−78℃で30分間撹拌した後、2時間かけて室温まで昇温した。次に、反応溶液を4lの氷水中に撹拌しながら注いだ。次に、生成した固体を濾別した後、この固体をメタノール100mlで分散洗浄した。次に、固体についてろ過し、真空加熱乾燥することにより化合物1−20を橙色粉末として21.5g(収率87%)得た。
【0170】
(7−2)化合物1−22の合成
200mlの三ツ口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒等を仕込んだ。
化合物1−20:2.01g(7.10mmol)
化合物1−21:1.50g(7.13mmol)
エタノール:100ml
【0171】
次に、反応溶液を窒素雰囲気下室温で攪拌しながら、水酸化カリウム4.00gを溶解した水溶液25mlを滴下した。次に、反応溶液を75℃に昇温した後、この温度で1時間30分攪拌した。次に、反応溶液を冷却した後、析出した固体を濾別し、乾燥することによって化合物1−22を緑色粉末として3.08g(収率95%)得た。
【0172】
(7−3)化合物1−23の合成
200mlの三ツ口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒等を仕込んだ。
化合物1−22:3.00g(6.58mmol)
2,5−ノルボルナジエン:4.97g(54mmol)
無水酢酸:40ml
【0173】
次に、反応溶液を窒素雰囲気下90℃に昇温した後、この温度で18時間攪拌した。次に、反応溶液を室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエンとヘプタンとの混合溶媒)で精製することにより、化合物1−23を黄色粉末として1.58g(収率53%)得た。
【0174】
(7−4)化合物1−24の合成
100mlの三ツ口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒等を仕込んだ。
化合物1−23:1.00g(2.20mmol)
塩化アルミニウム:1.06g(7.92mmol)
ジクロロメタン:50ml
【0175】
次に、反応溶液を窒素雰囲気下−78℃で攪拌しながら、オキサリルクロリド1.11g(8.80mmol)を滴下した。次に、反応溶液を−78℃で30分間撹拌した後、2時間かけて室温まで昇温した。次に、反応溶液を1lの氷水に撹拌しながら注いだ。次に、生成した固体を濾別した後、この固体をメタノール30mlで分散洗浄した。次に、この固体をろ過、真空加熱乾燥することにより、化合物1−24を橙色粉末として0.894g(収率80%)得た。
【0176】
(7−5)化合物1−26の合成
200mlの三ツ口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物1−24:0.890g(1.75mmol)
化合物1−25:0.855g(1.97mmol)
エタノール:100ml
トルエン:10ml
次に、反応溶液を窒素雰囲気下室温で攪拌しながら、水酸化カリウム1.11gを溶解した水溶液5mlを滴下した。次に、反応溶液を75℃に昇温した後、この温度で2時間30分攪拌した。次に、反応溶液を冷却した後、析出した固体を濾別し、乾燥することにより化合物1−26を緑色粉末として0.49g(収率31%)得た。
【0177】
(7−6)例示化合物G−20の合成
200mlの三ツ口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物1−26:0.49g(0.541mmol)
2,5−ノルボルナジエン:4.97g(54mmol)
無水酢酸:40ml
【0178】
次に、反応溶液を窒素雰囲気下90℃に昇温した後、この温度で18時間攪拌した。次に、反応溶液を室温まで冷却し、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗性生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエンとヘプタンとの混合溶媒)で精製することにより、例示化合物G−20を黄色粉末として0.17g(収率35%)得た。
【0179】
得られた化合物について、その物性を測定し評価した。
【0180】
(分子量)
MALDI−TOF−MAS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりM+が905.5であることを確認し、例示化合物G−20を同定した。
【0181】
(NMR)
NMR測定により例示化合物G−20の構造を確認した。
1H−NMR(CDCl3,400MHz) σ(ppm):8.35(s,1H),8.00(s,1H),7.81(dd,2H,J=8.4Hz,J=10.4Hz),7.76−7.73(m,3H),7.69−7.64(m,5H),7.56−7.50(m,8H),7.45−7.30(m,7H),7.22(d,1H,J=7.2Hz),1.42(s,18H),1.40(s,18H)
【0182】
(発光特性)
実施例1と同様に発光特性の測定を行った。具体的には、例示化合物G−20のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルを測定した後、例示化合物G−20のトルエン溶液(1×10-5mol/l)の発光スペクトル(PLスペクトル)を測定した。このとき、吸収スペクトル測定の結果から励起波長を355nmとした。測定の結果、図12に示すPLスペクトルが得られた。図12に示すPLスペクトルより、例示化合物G−20の最大発光波長の第1ピーク、第2ピークはそれぞれ456nm、482nmであり良好な青色発光を示すことがわかった。
【0183】
<実施例8>[有機発光素子の作製]
本実施例では、図3で示される有機発光素子を作製した。まずガラス基板(基板1)上に膜厚100nmで酸化錫インジウム(ITO)(陽極2)をパターニングしてITO電極付きガラス基板を作製した。次に、このITO電極付きガラス基板上に、有機化合物からなる層と陰極を抵抗加熱による真空蒸着で連続成膜した。具体的には、まずホール輸送層5として、下記に示す化合物2を膜厚20nmで成膜した。次に、発光層3として、ホストである下記に示される化合物3とゲストである例示化合物A−1を、化合物3に対して例示化合物A−1の含有量が1重量%となるように共蒸着した。このとき発光層3の膜厚を30nmとした。次に、電子輸送層6として、下記に示す化合物4を膜厚30nmで製膜した。次にKFを膜厚1nmで製膜し、最後にAlを膜厚100nmで製膜した。ここでKF及びAlは、陰極4として機能する。
【0184】
【化25】

【0185】
尚、製膜する際に、真空チャンバー内の圧力を10-5Paとした。また、素子を作製するにあたり対向する電極面積を3mm2となるようにした。以上のようにして有機発光素子を得た。
【0186】
得られた有機発光素子について、その特性を測定し評価した。具体的には、素子の電流電圧特性をヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、素子の発光輝度は、トプコン社製BM7で測定した。その結果、4.0Vの印加電圧で、発光輝度360cd/m2、青色発光が観測された。さらに、窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加し、駆動したところ、初期輝度800cd/m2から740cd/m2となった。以上より良好な発光効率と優れた耐久性を有する有機発光素子が実現できたといえる。
【0187】
<実施例9>[有機発光素子の作製]
実施例7と同様の方法により、例示化合物C−6を構成材料として含む有機発光素子の評価を行った。具体的には、実施例8において、発光層3のゲストとして例示化合物A−1を例示化合物C−6に代える他は、実施例8と同じ条件で素子を作製した。
【0188】
得られた素子について実施例8と同様に評価した。その結果、4.0Vの印加電圧で、発光輝度810cd/m2、青色発光が観測された。さらに、窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加し、駆動したところ、初期輝度1250cd/m2から1000cd/m2となった。以上より良好な発光効率と優れた耐久性を有する有機発光素子が実現できたといえる。
【0189】
<実施例10>[有機発光素子の作製]
実施例7と同様の方法により、例示化合物G−14を構成材料として含む有機発光素子の評価を行った。具体的には、実施例7において、発光層3のゲストとして例示化合物A−1を例示化合物G−14に代える他は、実施例7と同じ条件で素子を作製した。
【0190】
得られた素子について実施例7と同様に評価した。その結果、4.0Vの印加電圧で、発光輝度950cd/m2、青色発光が観測された。さらに、窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加し、駆動したところ、初期輝度1320cd/m2から1210cd/m2となった。以上より良好な発光効率と優れた耐久性を有する有機発光素子が実現できたといえる。
【0191】
<実施例11>[有機発光素子の作製]
実施例7と同様の方法により、例示化合物G−18を構成材料として含む有機発光素子の評価を行った。具体的には、実施例7において、発光層3のゲストとして例示化合物A−1を例示化合物G−18に変える他は、実施例7と同じ条件で素子を作製した。
【0192】
得られた素子について実施例7と同様に評価した。その結果、4.0Vの印加電圧で、発光輝度1250cd/m2、青色発光が観測された。さらに、窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加し、駆動したところ、初期輝度1500cd/m2から1400cd/m2となった。以上より良好な発光効率と優れた耐久性を有する有機発光素子が実現できたといえる。
【0193】
<実施例12>[有機発光素子の作製]
実施例8と同様の方法により、例示化合物G−20を構成材料として含む有機発光素子の評価を行った。具体的には、実施例8において、発光層3のゲストとして例示化合物A−1を例示化合物G−20に変える他は、実施例8と同じ条件で素子を作製した。
【0194】
得られた素子について実施8と同様に評価した。その結果、4.0Vの印加電圧で、発光輝度1340cd/m2、青色発光が観測された。さらに、窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加し、駆動したところ、初期輝度1480cd/m2から1320cd/m2となった。以上より良好な発光効率と優れた耐久性を有する有機発光素子が実現できたといえる。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】本発明の有機発光素子における第一の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の有機発光素子における第二の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の有機発光素子における第三の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の有機発光素子における第四の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の有機発光素子における第五の実施形態を示す断面図である。
【図6】例示化合物A−1のトルエン溶液(1×10-5mol/l)のPLスペクトル(励起波長:340nm)を示す図である。
【図7】例示化合物C−6のトルエン溶液(1×10-5mol/l)のPLスペクトル(励起波長:355nm)を示す図である。
【図8】例示化合物G−14のトルエン溶液(1×10-5mol/l)のPLスペクトル(励起波長:355nm)を示す図である。
【図9】例示化合物G−19のトルエン溶液(1×10-5mol/l)のPLスペクトル(励起波長:355nm)を示す図である。
【図10】例示化合物G−18のトルエン溶液(1×10-5mol/l)のPLスペクトル(励起波長:355nm)を示す図である。
【図11】例示化合物G−22のトルエン溶液(1×10-5mol/l)のPLスペクトル(励起波長:355nm)を示す図である。
【図12】例示化合物G−20のトルエン溶液(1×10-5mol/l)のPLスペクトル(励起波長:355nm)を示す図である。
【符号の説明】
【0196】
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層
7 ホール注入層
8 ホール/エキシトンブロッキング層
10,20,30,40,50 有機発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[1]で示される有機発光素子用の縮合環芳香族化合物。
【化1】

(式[1]において、R1乃至R16は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換アミノ基、置換あるいは無置換のアリール基又は置換あるいは無置換の複素環基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
陽極と陰極と、
該陽極と該陰極との間に挟持される有機化合物からなる層とから構成され、
該有機化合物からなる層が、請求項1に記載の縮合環芳香族化合物を含有する有機発光素子。
【請求項3】
前記縮合環芳香族化合物を含有する前記有機化合物からなる層が発光層である請求項2に記載の有機発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−221180(P2009−221180A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72932(P2008−72932)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】