説明

有機発光表示装置

【課題】
本発明は、絶縁化,汚染した第一の電極において、電極の電子,正孔注入効率を再生させ、高効率,高品質の有機発光素子を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、有機発光層と、第二の電極とをこの順に配置し、前記絶縁膜バンクの側面の下部は逆テーパ形状である有機発光表示装置の構成をとる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光素子及びこれを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス有機発光表示装置では、各画素を構成する有機発光素子に、2〜4個の薄膜トランジスタのスイッチング素子及び容量から構成される駆動素子が接続されており1フレーム期間中の全点灯が可能となる。そのため、輝度を高くする必要がなく、有機発光素子の寿命を長くすることが可能となる。よって、高精細,大画面化において、アクティブマトリクス有機発光表示装置が有利であると考えられている。
【0003】
一方、発光光を基板裏側から取り出す有機発光表示装置では、基板と有機発光素子の間に駆動部を設けたアクティブマトリクスを行うと、開口率が制限される。特に大型のディスプレイにおいては、電源線の電圧降下による画素間の輝度ばらつきを低減するために、電源線の幅を広げる必要があり開口率が極端に小さくなる問題がある。
【0004】
この問題点を解決するために、上部電極を透明化し、発光光の取り出しを上部電極側から行う構造、いわゆるトップエミッション構造のアクティブマトリクス型有機発光表示装置が有効であると考えられる。この装置は、発光を取り出す上部電極の上部に駆動部等がないことから、開口率は飛躍的に向上できる。
【0005】
このようなトップエミッション構造の有機発光素子において、素子における正孔電流の増大により発光特性を向上するため、陽極と有機層との間に仕事関数の大きい正孔注入用薄膜層を形成する技術が下記〔特許文献1〕に記載されている。また、陰極と有機層との間に電子注入層を形成する技術が下記〔特許文献2〕に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−198182号公報
【特許文献2】特開2003−272867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図9は、トップエミッション構造の有機発光素子の単画素断面図を示す。この有機発光素子では、第一の電極115が陰極、第二の電極125が陽極となる。また、素子は、第一の電極115,電子注入層124,電子輸送層123,発光層122,正孔輸送層121,正孔注入層129,第二の電極125,保護層126、の積層構造をとる。
【0008】
ここで、トップエミッション構造の素子の製造プロセスを検討すると、第一の電極115はフォトリソグラフィ工程でのウェットエッチング等によりパターン化することとなり、この際に表面が絶縁化又は汚染されることとなる。この場合絶縁化又は汚染された第一の電極115上に電子注入層等を形成しても、発光効率が低下し、又は発光しないことがあり、点灯の信頼性が低下するという問題がある。なお、陽極,陰極の位置が反対となる構造の素子においても同様にこの問題は生じる。
【0009】
上記特許文献1,特許文献2では、陽極と有機層との間に電子注入層又は正孔注入用薄膜層を形成するが、絶縁化,汚染した第一の電極において、電子,正孔注入層への注入効率を再生するものではなく、この問題を解決するものではない。
【0010】
本発明は、このように電極の電子,正孔注入効率を再生させ、高効率,高品質の有機発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に本発明における課題の解決手段を説明する。
【0012】
本発明は、基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、有機発光層と、第二の電極とをこの順に配置し、前記絶縁膜バンクの側面の下部は逆テーパ形状である有機発光表示装置の構成をとる。また、基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、有機発光層と、第二の電極とをこの順に配置し、前記絶縁膜バンクの側面は準テーパ形状の部分と逆テーパ形状の部分とを有する有機発光表示装置の構成をとる。また、前記絶縁膜バンクの側面のうち、前記第一の電極に近い側が逆テーパ形状を有し、遠い側が準テーパ形状を有する構成をとる。また、前記逆テーパ形状を有する側面が前記第一の電極から0.3nm 以上200nm以下の高さにある構成をとる。また、前記金属薄膜と前記有機発光層との間に電子輸送層を配置し、前記有機発光層と前記第二電極との間に正孔輸送層を配置する構成をとる。また、前記金属薄膜と前記電子輸送層との間に電子注入層を配置する構成をとる。また、前記金属薄膜は前記第一の電極に比べ仕事関数が同じであるか、あるいは小さい導電膜である構成をとる。また、前記金属薄膜と前記有機発光層との間に正孔輸送層を配置し、前記有機発光層と前記第二電極との間に電子輸送層を配置する構成をとる。また、前記金属薄膜と前記正孔輸送層との間に正孔注入層を配置する構成をとる。また、前記金属薄膜は前記第一の電極に比べ仕事関数が同じであるか、あるいは大きい導電膜である構成をとる。また、前記金属薄膜の膜厚は前記逆テーパ形状を有する側面の前記第一の電極からの高さの2/3以下である構成をとる。
【0013】
この発明においては、順テーパを形成した絶縁バンクは逆スパッタ,プラズマエッチング,イオンビーム,ウェットエッチング等の最適条件により第一の電極エッジを覆う絶縁バンクの斜面下部のみ逆テーパ形状になし、金属薄膜を第一の電極及び絶縁バンクに形成させ、画素ごとに区切られた金属薄膜ができるため、隣接画素とのクロストークを防止し、第一の電極よりの電子・ホール注入効率が向上できる。金属薄膜は、材料を特に限定されないし、材料を2種以上併用しても差し支えない。金属薄膜の膜厚は百数十nm以下であり、絶縁パンクの逆テーパ高さhは201nm以上にする必要はない。
【0014】
有機発光素子は、電子輸送層,有機発光層,有機正孔輸送層,正孔注入層、第一の電極及び第二の電極を有して構成される。正孔注入層は、陽極と正孔輸送層の注入障壁を下げるため、適当なイオン化ポテンシャルを有する材料が望ましい。また、下地層の表面凹凸を埋める役割を果たすことが望ましい。具体的には、鋼フタロシアニン,スターパーストアミン化合物,ポリアニリン、ポリチオフェン等が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0015】
正孔輸送層は、正孔を輸送し、発光層へ注入する役割を有する。そのため、正孔移動度が高いことが望ましい。また、化学的に安定であることが望ましい。また、イオン化ポテンシャルが小さいことが望ましい。また、電子親和力が小さいことが望ましい。また、ガラス転移温度が高いことが望ましい。具体的には、N,N′−ビス(3一メチルフェニル)−N,N′−ジフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′ジアミン(以下TPDと略記)、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下α−NPDと略記)、4,4′,4″−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(以下TCTAと略記)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ]ベンゼン(以下p−DPA−TDABと略記)が望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0016】
発光層は、注入された正孔,電子が再結合し、材料固有の波長で発光する層をさす。発光層を形成するホスト材料自体が発光する場合とホストに微量添加したドーバント材料が発光する場合がある。具体的なホスト材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体(以下DPVBiと略記),骨格にベンゼン環を有するシロール誘導体(以下2PSPと略記),トリフェニルアミン構造を両端に有するオキソジアゾール誘導体(以下EM2と略記),フェナンスレン基を有するべリノン誘導体(以下P1と略記),トリフェニルアミン構造を両端に有するオリゴチオフェン誘導体(以下BMA−3Tと略記),べリレン誘導体(以下tBu−PTCと略記),トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下Alqと略記),ポリバラフェニレンビニレン誘導体,ポリチオフェン誘導体,ポリバラフェニレン誘導体,ポリシラン誘導体,ポリアセチレン誘導体が望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0017】
次に、具体的なドーバント材料としては、キナクリドン,クマリン6,ナイルレッド,ルプレン,4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(以下DCMと略記)、ジカルバゾール誘導体が望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0018】
電子輸送層は、電子を輸送し、発光層へ注入する役割を有する。そのため、電子移動度が高いことが望ましい。具体的には、Alq,オキサジアゾール誘導体,シロール誘導体,亜鉛ベンゾチアゾール錯体が望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0019】
電子注入層は、陰極から電子輸送層への電子注入効率を向上させるために用いる。具体的には、弗化リチウム,弗化マグネシウム,弗化カルシウム,弗化ストロンチウム,弗化バリウム,酸化マグネシウム,酸化アルミニウムが望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0020】
金属薄膜は、ウェットエッチング等により汚染された陰極または陽極から電子・ホール注入層への電子・ホール注入効率を再生させるために用い、材料は有機発光素子の構造によって異なる。
【0021】
まず、第一の電極が陽極,第二の電極が陰極の構成である。第一の電極,金属薄膜,正孔注入層,正孔輸送層,発光層,電子輸送層,電子注入層,第二の電極の順に積層されることになる。上記構成において、電子注入層、或いは正孔注入層を有さない構造も考えられる。また、電子輸送層、或いは正孔輸送層を有さない構造も考えられる。
【0022】
この場合の金属薄膜の材料は、正孔注入層へのホールの注入効率を高めるために仕事関数が大きな導電膜が望ましい。具体的には、モリブデン,ニッケル,クロム等の金属や、これら金属を用いた合金や、ポリシリコン,アモルファスシリコン,錫酸化物,酸化インジウム,インジウム・錫酸化物(ITO),バナジウム酸化物,タングステン酸化物等等の無機材料が挙げられるが、これらの材料に限定されるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。また、第一の電極の材料と同じでもかまわない。
【0023】
一方、第一の電極が陰極,第二の電極が陽極の構成である。第一の電極,金属薄膜,電子注入層,電子輸送層,発光層,正孔輸送層,正孔注入層,第二の電極の順に積層されることになる。上記構成において、電子注入層、或いは正孔注入層を有さない構造も考えられる。また、電子輸送層、或いは正孔輸送層を有さない構造も考えられる。この場合の金属薄膜の材料は、電子注入層への電子の注入効率を高めるために仕事関数が小さな導電膜が望ましい。具体的には、アルミニウム,銀,マグネシウム,金属カルシウム等の金属や、これら金属を用いた合金やセリウム化合物,酸化インジウムを主原料とする酸化物,バナジウム酸化物,タングステン酸化物,リチウム有機物等が挙げられるが、これらの材料に限定されるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。また、第一の電極の材料と同じでもかまわない。
【0024】
第一の電極に用いられる材料は、電極材料が望ましい。具体的には、アルミニウム,銀,銅,モリブデン,ニッケル,クロム等の金属や、これら金属を用いた合金や、セリウム化合物,ポリシリコン,アモルファスシリコン,錫酸化物,酸化インジウム,インジウム・錫酸化物(ITO)等の無機材料が挙げられるが、これらの材料に限定されるわけではない。
【0025】
In23−SnO2系導電膜では、スパッタ法において、基板温度を200℃程度まで高めた条件で作製すると多結晶状態になる。多結晶状態では、結晶粒内と結晶粒界面において、エッチング速度が異なるため、第一の電極に用いる場合はアモルファス状態が望ましい。
【0026】
第二の電極に用いられる材料は、酸化インジウムを主原料とする酸化物が上げられる。特にIn23−SnO2系透明導電膜,In23−ZnO系透明導電膜が望ましい。透明導電膜の製造法は、スパッタ法,EB蒸着法,イオンプレーティング法等が挙げられる。
【0027】
本発明の他の手段として、基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、有機発光層と、第二の電極とをこの順に配置し、前記絶縁膜バンクの上面の一部が凹凸形状を有する有機発光表示装置の構成をとる。また、前記凹凸形状は中心線平均粗さが1nm以上1000nm以下である構成をとる。また、前記金属薄膜の膜厚は前記中心線平均粗さの半分以下である構成をとる。また、前記凹凸形状は錐状,ドーム状,柱状の凸部の高さが1nm以上である構成をとる。また、前記金属薄膜の膜厚は前記錐状,ドーム状,柱状の凸部の高さの半分以下である構成をとる。
【0028】
この発明においては、スピンコーティング,化学気相蒸着法,スパッタリング,イオンプレーティング等の成膜法により形成した絶縁バンクの上部は逆スパッタ,プラズマエッチング,イオンビーム,ウェットエッチング等の最適条件により微細な凹凸表面が得られ、金属薄膜を第一の電極及び絶縁バンクに形成させ、画素ごとに区切られた金属薄膜ができるため、隣接画素とのクロストークを防止し、第一の電極よりの電子・ホール注入効率が向上できる。金属薄膜は、材料を特に限定されないし、材料を2種以上併用しても差し支えない。金属薄膜の膜厚は0.5 〜500nmであり、画素ごとに区切られるためには、絶縁バンクの上部表面の中心線平均粗さが1〜1000nmにする必要がある。
【0029】
また、絶縁バンクの上部はスパッタリング,化学気相蒸着,イオンプレーティング等の成膜法の最適条件により錐状,ドーム状,柱状等の凹凸表面が得られ、金属薄膜を第一の電極及び絶縁バンクに形成させ、画素ごとに区切られた金属薄膜ができるため、隣接画素とのクロストークを防止し、第一の電極よりの電子・ホール注入効率が向上できる。金属薄膜は、材料を特に限定されないし、材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0030】
また、シャドウマスクを用いて絶縁バンク上部に金属薄膜を形成させないことにより画素ごとに区切られた金属薄膜ができるため、隣接画素とのクロストークを防止し、第一の電極よりの電子・ホール注入効率が向上できる。
【0031】
また、この有機発光表示装置において、前記金属薄膜は電極材料を形成される構成もとりうる。この場合においては、フォトリソグラフィ工程でのウェットエッチング等により汚染された第一の電極及び絶縁バンク斜面上に金属薄膜を形成させることにより、電子・ホール注入効率を再生できる。電極材料は、アルミニウム,銀,銅,モリブデン,タングステン,ニッケル,クロム等の金属や、これら金属を用いた合金や、セリウム化合物,ポリシリコン,アモルファスシリコン,錫酸化物,酸化インジウム,インジウム・錫酸化物(ITO)等の無機材料である。電極材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0032】
また、この発明においては、金属薄膜の膜厚範囲を規定している。金属薄膜の膜厚は、露出された第一の電極面との角度θが90度以下の逆テーパ角を有し、高さhが0.3 〜200nmの逆テーパの絶縁バンクに、金属薄膜が画素ごとに区切られるように、絶縁バンク斜面下部の逆テーパの高さhの2/3以下にする。
【0033】
また、前記金属薄膜の膜厚は、絶縁バンク上部の表面の中心線平均粗さの半分以下である構成もとる。この発明においては、金属薄膜の膜厚は、絶縁バンクの上部の中心線平均粗さが1〜1000nmの凹凸を有する表面に金属薄膜が画素ごとに区切られるように、絶縁バンクの上部表面の中心線平均粗さの半分以下にする。
【0034】
また、金属薄膜の膜厚は、絶縁バンク上部の表面の錐状,ドーム状,柱状等の凸部の高さの半分以下である構成もとる。この発明においては、金属薄膜の膜厚は、絶縁バンクの上部の錐状,ドーム状,柱状等の凸部が高さ1nm以上の凹凸を有する表面に金属薄膜が画素ごとに区切られるように、絶縁バンクの上部の錐状,ドーム状,柱状等の凸部が高さの半分以下にする。
【0035】
また、前記の有機表示装置は、複数の画素とこの画素を駆動する薄膜トランジスタを有し、アクティブマトリクス型である構成をとる。また、前記薄膜トランジスタはポリシリコン薄膜トランジスタ又はアモルファスシリコン薄膜トランジスタである構成をとる。
【0036】
本発明の他の手段として、基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、電子輸送層と、有機発光層と、正孔輸送層と、第二の電極とをこの順に配置し、前記金属薄膜は前記第一の電極に比べ仕事関数が同じであるか、あるいは小さい導電膜である有機発光表示装置の構成をとる。
【0037】
本発明の他の手段として、基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、正孔輸送層と、有機発光層と、電子輸送層と、第二の電極とをこの順に配置し、前記金属薄膜は前記第一の電極に比べ仕事関数が同じであるか、あるいは大きい導電膜である有機発光表示装置の構成をとる。
【0038】
ポリシリコン薄膜トランジスタを用いることにより、発光部の高効率により、画素が低電圧になり、画素回路の信頼性が向上できる。画素の低電圧化の可能により、画素電源は小型化ができる。また、アモルファスシリコン薄膜トランジスタを用いることにより、発光部の隣接画素とのクロストーク防止及び高効率により、薄膜トランジスタで駆動する電流が減少し、薄膜トランジスタのしきい値電圧のシフトが減少する。
【発明の効果】
【0039】
本発明を用いることにより、電極の電子,正孔注入効率を再生させ、高効率,高品質の有機発光素子を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に本発明における最良の形態を示す。
【実施例1】
【0041】
図1に本発明の第一の実施形態を示す。この構成では、図9の素子構成と比較し、第一の電極115、及び絶縁膜バンク120と電子注入層124との間に金属薄膜127を配置する点が異なる。金属薄膜127は、第一の電極115、及び絶縁膜バンク120上に、真空蒸着法により形成する。
【0042】
ここで、電子輸送層123は、電子を輸送し、発光層へ注入する役割を有する。そのため、電子移動度が高いことが望ましい。具体的には、Alq,オキサジアゾール誘導体,シロール誘導体,亜鉛ベンゾチアゾール錯体が望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0043】
電子注入層124は、陰極から電子輸送層への電子注入効率を向上させるために用いる。具体的には、弗化リチウム,弗化マグネシウム,弗化カルシウム,弗化ストロンチウム,弗化バリウム,酸化マグネシウム,酸化アルミニウムが望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0044】
金属薄膜127は、ウェットエッチング等により汚染された陰極から電子注入層への電子注入効率を再生させるために用い、材料は有機発光素子の構造によって異なる。
【0045】
図1の構成では、第一の電極115が陰極,第二の電極125が陽極の構成をとり、第一の電極115,金属薄膜127,電子注入層124,電子輸送層123,発光層122,正孔輸送層121,正孔注入層129,第二の電極125の積層構造となる。この構成では、電子注入層、或いは正孔注入層を有さない構造も考えられる。また、電子輸送層、或いは正孔輸送層を有さない構造も考えられる。この場合の金属薄膜127は、電子注入層124への電子の注入効率を高めるために仕事関数が小さな導電膜が望ましい。具体的には、アルミニウム,銀,マグネシウム,金属カルシウム等の金属や、これら金属を用いた合金やセリウム化合物,酸化インジウムを主原料とする酸化物,バナジウム酸化物,タングステン酸化物,リチウム有機物等が望ましい。また、これらの材料を2種以上併用する構成としても差し支えない。また、第一の電極115と同じ材料となることを妨げるものではない。
【0046】
以上の構成をとることにより、ウェットエッチング等により汚染された第一の電極115から、電子注入層124への電子注入効率を再生することができる。
【0047】
一方、第一の電極115が陽極,第二の電極125が陰極の構成においても、同様に本発明を用いることができる。この場合、図示はされていないが、第一の電極115,金属薄膜127,正孔注入層129,正孔輸送層121,発光層122,電子輸送層123,電子注入層124,第二の電極125、の積層構造となる。この構成においても、電子注入層、或いは正孔注入層を有さない構造も考えられる。また、電子輸送層、或いは正孔輸送層を有さない構造も考えられる。この場合の金属薄膜127の材料は、正孔注入層129へのホールの注入効率を高めるために仕事関数が大きな導電膜が望ましい。具体的には、モリブデン,ニッケル,クロム等の金属や、これら金属を用いた合金や、ポリシリコン,アモルファスシリコン,錫酸化物,酸化インジウム,インジウム・錫酸化物(ITO),バナジウム酸化物,タングステン酸化物等等の無機材料が望ましい。また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。また、第一の電極115と同じ材料となることを妨げるものではない。
【0048】
以上の構成をとることにより、ウェットエッチング等により汚染された第一の電極115から、正孔注入層129への正孔注入効率を再生することができる。
【実施例2】
【0049】
次に、図2〜図4を用いて本発明の第二の実施形態を説明する。
【0050】
上記の第一の実施形態をとる場合、第一の電極,第二の電極との接触及び、隣接画素との短絡が起こるという問題が生ずる。この問題を解決すべく、本実施例では、金属薄膜を不連続に形成する構成をとる。
【0051】
まず、この実施例の有機発光表示装置の製造方法について説明する。薄膜トランジスタはポリシリコン薄膜トランジスタである。図2は有機発光装置における画素領域の断面図を表したものである。ガラスの基板116上に減圧化学気相成長法(LPCVD法)を用いて膜厚50nmのアモルフアスシリコン(a−Si)膜を形成する。次に、膜全面をレーザアニールした。これにより、a−Siが結晶化され、多結晶シリコン(p−Si)となった。次に、p−Si膜を、ドライエッチングでパターン化し、第1トランジスタの活性層,第2トランジスタの活性層、及び容量下部電極105を形成した。次に、プラズマ増強化学気相成長法(PECVD法)を用いゲート絶縁膜117として膜厚100nmのSiO2 膜を形成した。次に、ゲート電極として膜厚50nmのTiW膜をスパッタリング法により作製し、パターニングした。併せて、走査線、及び容量上部電極108をパターニングした。次に、イオン注入法によりゲート絶縁膜117の上部から、パターン化されたp−Si層にPイオンを注入した。上部にゲート電極がある領域にはPイオンが注入されず、チャネル領域となる。次に、基板116をN2 雰囲気下で、加熱処理を行い、不純物(P)を活性化し、不純物活性領域を形成した。その上に、第1層間絶縁膜118としてSiN2 膜を成膜した。膜厚は200nmである。次に、不純物活性領域のゲート絶縁膜117及び第1層間絶縁膜118に、コンタクトホールを形成した。さらに、第2トランジスタのゲート電極上部の第1層間絶縁膜118にコンタクトホールを形成した。
【0052】
その上に、スパッタリング法にて膜厚500nmのAl膜を形成する。ホトリソグラフティ工程により信号線109,第1電流供給線110を形成する。また、第1トランジスタのソース電極及びドレイン電極,第2トランジスタのソース電極及びドレイン電極を形成する。容量下部電極105と第1トランジスタのドレイン電極を接続する。また、第1トランジスタのソース電極と信号線109を接続する。また、第1トランジスタのドレイン電極を第2トランジスタのゲート電極に接続する。また、第2トランジスタのドレイン電極を第1電流供給線110に接続する。また、容量上部電極108を第1電流供給線
110に接続する。次に、第2層間絶縁膜119はプラズマ増強化学気相成長法(PECVD法)により、SiNX 膜を形成した。膜厚は500nmである。第2トランジスタのドレイン電極上部にコンタクトホールを設ける。
【0053】
図3は本発明の第二の実施形態を示す有機発光装置における画素領域の拡大断面図である。平坦化層136の上にスパッタリング法を用いて、厚さ150nmのAl−Nd膜を形成し、ホトリソグラフィ法を用いて第一の電極115を形成する。次に、絶縁膜バンク
120として、PECVD法を用い、成膜条件を可変しながら膜質の異なる3層のSiNXを形成した。次に、CF4+O2を用いたドライエッチングにより、絶縁膜バンク120は斜面上部が順テーパ、斜面下部が逆テーパに形成した。SEM観察をした結果、絶縁バンクの斜面下部は露出された下部電極面との角度θが65度の逆テーパ角を有し、高さhが200nmの逆テーパであった。
【0054】
次に、第一の電極115及び絶縁膜バンク120上に、金属薄膜127としてAl膜を真空蒸着法により10nm形成した。次に、金属薄膜127上に、電子注入層124としてLiF膜を真空蒸着法により0.5nm 形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。その上に、真空蒸着法により膜厚20nmのAlq膜を形成した。Alq膜は、電子輸送層123として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。その上に、二元同時真空蒸着法にて、膜厚20nmのAlqとキナクリドンの共蒸着膜を形成した。蒸着速度を、40:1に制御して蒸着した。Alq+キナクリドン共蒸着膜は、発光層122として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。次に真空蒸着法により膜厚
50nmのα−NPD膜を形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。このα−NPD膜は正孔輸送層121として機能する。次に真空蒸着法により膜厚50nmの銅フタロシアニンを形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。これは正孔注入層129として機能する。上部電極はスパッタリング法により、膜厚100nmのIn−Zn−O膜(以下、IZO膜と略記)を形成した。同膜は第二の電極125として機能し、非晶酸化物膜である。ターゲットには、In/(In+Zn)=0.83 であるターゲットを用いた。成膜条件は、Ar:O2 混合ガスを雰囲気として真空度0.8Pa 、スパッタクリング出力を0.2W/cm2とした。In−ZnO膜からなる第二の電極125は陽極として機能し、その透過率は80%であった。次に、スパッタリング法により、膜厚
50nmのSiOxy膜を形成した。同膜は保護層126として機能する。
【0055】
以上の製造方法をとることにより、金属薄膜127、及び電子注入層124を画素ごとに切断することが可能となる。即ち、本実施構成では、順テーパ形状の絶縁膜バンクの下部を逆テーパ形状とすることにより、金属薄膜127,電子注入層124を形成の際に、逆テーパ部で切断することが可能となる。
【0056】
これにより、実施形態1で得られる効果に加え、さらに陰極,陽極との接触を防止でき、また、隣接画素との短絡を防止することが可能となる。なお、第一の電極を陽極,第二の電極を陰極とする構成においても同様に本実施例を適用することができる。
【0057】
(比較例1)
実施例2と比較のために、順テーパの絶縁バンクを用いた有機発光表示装置を作製した。
【0058】
図4に実施例2と比較例1で作製した表示装置の発光輝度評価した結果である。表示装置の各素子に電圧が7Vを印加した。実施例2の表示装置は、絶縁バンクを斜面上部が順テーパ、斜面下部は露出された下部電極面との角度θが65度の逆テーパ角を有し、高さhが100nmの逆テーパで、かつ金属薄膜がAl膜で膜厚が10nmである。実施例2の表示装置は、輝度が1500cd/m2 と高い発光輝度が得られることがわかった。隣接画素とのクロストークがみられなかった。比較例1の表示装置は、実施例2の表示装置との違いは絶縁バンクが順テーパである。金属薄膜は膜厚が10nmのAl膜である。発光輝度は700cd/m2 と低下するが、クロストークが認められた。金属薄膜の効果はみられるものの、金属薄膜が画素ごとに区切られないためクロストークが発生することを明らかにした。
【実施例3】
【0059】
次に、図5を用いて本発明の第三の実施形態を説明する。
【0060】
本実施例では、金属薄膜を不連続とするための他の手段を用いる。以下、この実施例の有機発光表示装置の製造方法について説明する。薄膜トランジスタは、アモルファスシリコン薄膜トランジスタである。図5は本発明の実施例2を示す有機発光装置における画素領域の拡大断面図である。ガラス基板上にゲート電極として、スパッタリング法により膜厚200nmのCr膜を形成する。その後、ホトリソグラフィ法を用いてゲート配線に加工した。この上にゲート絶縁層としてPECVD法により膜厚300nmのSiNX を形成した。次に、半導体層としてPECVD法により膜厚200nmのa−Si膜を形成した。ついでに、コンタクト層としてPECVD法により膜厚30nmのn+Si膜を形成した。次にホトリソグラフィ法を用いて半導体層を島状に加工した。次にスパッタリング法により形成した膜厚200nmのCrMo膜をホトリソグラフィ法を用いて加工し、ソース及びドレイン電極配線を形成した。ソース及びドレイン電極の間にあるn+Si膜をエッチングした。この上に保護層としてPECVD法により膜厚500nmのSiNX 膜を形成した。さらに保護層にホトリソグラフィ法を用いスルーホールを形成した。次にスパッタリング法を用いて、厚さ150nmのAl−Nd膜を形成し、ホトリソグラフィ法を用いて第一の電極115を形成する。
【0061】
次に、絶縁膜バンク120として、スピンコート法を用い、JSR社製ポジ型感光性保護膜(PC452)を形成し、ベーク処理を行った。
【0062】
PC452で形成された絶縁膜バンク120の膜厚は1μmで、第一の電極115のエッジを3μm覆った。次に、プラズマエッチングにより、絶縁膜バンク120の上部は微細な凹凸の形態をなすことをSEMで観察された。
【0063】
次に、第一の電極115及び絶縁膜バンク120上に、金属薄膜127としてAl膜を真空蒸着法により10nm形成した。
【0064】
次に、金属薄膜127上に、電子注入層124としてLiF膜を真空蒸着法により0.5nm形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0065】
その上に、真空蒸着法により膜厚20nmのAlq膜を形成した。Alq膜は、電子輸送層123として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。その上に、二元同時真空蒸着法にて、膜厚20nmのAlqとキナクリドンの共蒸着膜を形成した。蒸着速度を、40:1に制御して蒸着した。Alq+キナクリドン共蒸着膜は、発光層122として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0066】
次に真空蒸着法により膜厚50nmのα−NPD膜を形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。このα−NPD膜は正孔輸送層121として機能する。
【0067】
次に真空蒸着法により膜厚50nmの銅フタロシアニンを形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は第一の電極の各辺の1.2 倍とした。これは正孔注入層129として機能する。
【0068】
上部電極はスパッタリング法により、膜厚100nmのIZO膜を形成した。同膜は第二の電極125として機能し、非晶酸化物膜である。ターゲットには、In/(In+
Zn)=0.83 であるターゲットを用いた。成膜条件は、Ar:O2 混合ガスを雰囲気として真空度1Pa、スパッタクリング出力を0.2W/cm2とした。In−ZnO膜からなる第二の電極125は陽極として機能し、その透過率は80%であった。
【0069】
次に、スパッタリング法により、膜厚50nmのSiOxy膜を形成した。同膜は保護層126として機能する。
【0070】
図10に示すように、パネルを試作した。メモリセルを内蔵した画素201を配列して表示領域202を形成し、マトリクスを駆動するために、データ配線にはシフトレジスタ204,走査配線には走査駆動回路203が接続されている。これらの回路駆動を制御する制御信号及び表示データは、入力配線25を介して供給する。また画素のEL電源配線210及びELコモン配線211は一括して画素電源206に接続されている。
【0071】
以上の構成をとることにより、金属薄膜127を画素ごとに切断することが可能となる。即ち、本実施構成では、絶縁膜バンク120に凹凸構造を設けることにより、金属薄膜127の切断が可能となる。
【0072】
実施例3で作製した表示装置の発光輝度評価した。表示装置の素子に電圧が7Vを印加した。実施例3の表示装置は、輝度が1450cd/m2 と高い発光輝度が得られることがわかった。隣接画素とのクロストークがみられなかった。絶縁バンクの上部が凹凸の表面を呈するため、金属薄膜を10nmで形成しても画素ごとに区切られることがわかった。
【0073】
発光部の隣接画素とのクロストーク防止及び高効率により、薄膜トランジスタで駆動する電流が減少し、薄膜トランジスタのしきい値電圧のシフトが減少することを確認した。
【実施例4】
【0074】
次に、図6を用いて本発明の第四の実施形態を説明する。
【0075】
本実施形態では、第一の電極115が陽極、第二の電極125が陰極の構成をとる。
【0076】
以下、本発明の有機発光表示装置の実施例について説明する。図2は有機発光装置における画素領域の断面図である。薄膜トランジスタの製造方法は実施例2と同じである。薄膜トランジスタは、ポリシリコン薄膜トランジスタである。図6は本発明の第四の実施形態を示す有機発光装置における画素領域の拡大断面図である。第2層間絶縁膜119は化学気相蒸着法により、SiNX 膜を形成し、膜厚が500nmである。その上にスパッタリング法を用いて、厚さ150nmのCr膜を形成し、ホトリソグラフィ法を用いて第一の電極115を形成する。第一の電極115は陽極として機能する。
【0077】
次に、絶縁膜バンク120として、プラズマ増強化学気相成長法(PECVD法)を用い、ドーム状組織を形成する成膜条件でSiNX を形成した。その結果、絶縁膜バンク
120の上部は凹凸を有する形態をなすことをSEMで観察された。
【0078】
SiNX で形成された絶縁膜バンク120の膜厚は0.5μm で、第一の電極115のエッジを2μm覆った。
【0079】
次に、第一の電極115及び絶縁膜バンク120上に、金属薄膜127としてCr膜をスパッタリング法により10nm形成した。
【0080】
次に真空蒸着法により膜厚50nmの銅フタロシアニンを形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は第一の電極の各辺の1.2 倍とした。これは正孔注入層129として機能する。
【0081】
次に真空蒸着法により膜厚50nmのα−NPD膜を形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。このα−NPD膜は正孔輸送層121として機能する。その上に、二元同時真空蒸着法にて、膜厚20nmの
Alqとキナクリドンの共蒸着膜を形成した。蒸着速度を、40:1に制御して蒸着した。Alq+キナクリドン共蒸着膜は、発光層122として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0082】
その上に、真空蒸着法により膜厚20nmのAlq膜を形成した。Alq膜は、電子輸送層123として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0083】
次に、金属薄膜127上に、電子注入層124としてLiF膜を真空蒸着法により0.5nm形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0084】
その上にスパッタリング法を用いて、厚さ150nmのIZO膜を形成し、第二の電極125を形成する。第二の電極125は陰極として機能し、非晶酸化物膜である。ターゲットには、In/(In+Zn)=0.83 であるターゲットを用いた。成膜条件は、
Ar:O2 混合ガスを雰囲気として真空度0.8Pa、スパッタクリング出力を0.2W/cm2とした。
【0085】
次に、スパッタリング法により、膜厚70nmのSiOxy膜を形成した。同膜は保護層126として機能する。
【0086】
図10に示すように、パネルを試作した。メモリセルを内蔵した画素201を配列して表示領域202を形成し、マトリクスを駆動するために、データ配線にはシフトレジスタ204、走査配線には走査駆動回路203が接続されている。これらの回路駆動を制御する制御信号及び表示データは、入力配線25を介して供給する。また画素のEL電源配線210及びELコモン配線211は一括して画素電源206に接続されている。
【0087】
以上の構成をとることにより、金属薄膜127を画素ごとに切断することが可能となる。即ち、本実施構成では、絶縁膜バンク120に凹凸構造を設けることにより、金属薄膜127の切断が可能となる。
【0088】
実施例4で作製した表示装置の発光輝度評価した。表示装置の素子に電圧が7Vを印加した。実施例4の表示装置は、輝度が1260cd/m2 と高い発光輝度が得られることがわかった。隣接画素とのクロストークがみられなかった。絶縁バンクの上部が凹凸の表面を呈するため、第二電極を10nm形成しても画素ごとに区切られることがわかった。
【0089】
発光部の高効率により、画素が低電圧になり、画素回路の信頼性が向上できる。画素の低電圧化の可能により、画素電源は小型化ができる。
【実施例5】
【0090】
次に、本発明の第五の実施形態を説明する(図示なし)。薄膜トランジスタは、アモルファスシリコン薄膜トランジスタである。薄膜トランジスタの製造方法は実施例3と同じである。第2層間絶縁膜119は化学気相蒸着法により、SiNX 膜を形成し、膜厚が
500nmである。その上にスパッタリング法を用いて、厚さ150nmのAl膜を形成し、ホトリソグラフィ法を用いて第一の電極115を形成する。
【0091】
次に、絶縁膜バンク120として、スピンコート法を用い、JSR社製ポジ型感光性保護膜(PC452)を形成し、ベーク処理を行った。
【0092】
PC452で形成された絶縁膜バンク120の膜厚は1μmで、第一の電極115のエッジを3μm覆った。
【0093】
次に、第一の電極115及び絶縁膜バンク120斜面上に、金属薄膜127としてLi膜を真空蒸着法により10nm形成した。金属薄膜の形成はシャドウマスクを用いた。
【0094】
次に、金属薄膜127上に、電子注入層124としてLiF膜を真空蒸着法により0.5nm形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0095】
その上に、真空蒸着法により膜厚20nmのAlq膜を形成した。Alq膜は、電子輸送層123として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。その上に、二元同時真空蒸着法にて、膜厚20nmのAlqとキナクリドンの共蒸着膜を形成した。蒸着速度を、40:1に制御して蒸着した。Alq+キナクリドン共蒸着膜は、発光層122として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0096】
次に真空蒸着法により膜厚50nmのα−NPD膜を形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。このα−NPD膜は正孔輸送層121として機能する。
【0097】
次に真空蒸着法により膜厚50nmの銅フタロシアニンを形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。これは正孔注入層129として機能する。
【0098】
上部電極はスパッタリング法により、膜厚100nmのIZO膜を形成した。同膜は第二の電極125として機能し、非晶酸化物膜である。ターゲットには、In/(In+
Zn)=0.83であるターゲットを用いた。成膜条件は、Ar:O2混合ガスを雰囲気として真空度1Pa、スパッタクリング出力を0.2W/cm2とした。In−ZnO膜からなる第二の電極125は陽極として機能し、その透過率は80%であった。
【0099】
次に、スパッタリング法により、膜厚50nmのSiOxy膜を形成した。同膜は保護層126として機能する。
【0100】
図10に示すように、パネルを試作した。メモリセルを内蔵した画素201を配列して表示領域202を形成し、マトリクスを駆動するために、データ配線にはシフトレジスタ204、走査配線には走査駆動回路203が接続されている。これらの回路駆動を制御する制御信号及び表示データは、入力配線25を介して供給する。また画素のEL電源配線210及びELコモン配線211は一括して画素電源206に接続されている。
【0101】
実施例5で作製した表示装置の発光輝度評価した。表示装置の素子に電圧が7Vを印加した。実施例5の表示装置は、輝度が1520cd/m2 と高い発光輝度が得られることがわかった。隣接画素とのクロストークがみられなかった。
【0102】
このように、本実施形態では、シャドウマスクを用いて金属薄膜127をパターン形成し、絶縁バンク上部に第二電極を形成させないようにした。この構成により、金属薄膜
127を画素ごとに分断でき、発光部の隣接画素とのクロストーク防止及び高効率により、薄膜トランジスタで駆動する電流が減少し、薄膜トランジスタのしきい値電圧シフトが減少することが可能となる。
【実施例6】
【0103】
次に、本発明の第六の実施形態を説明する(図示なし)。製造方法は実施例2と同様にした。薄膜トランジスタはポリシリコン薄膜トランジスタである。第2層間絶縁膜119は化学気相蒸着法により、SiNX 膜を形成し、膜厚が500nmである。その上にスパッタリング法を用いて、厚さ150nmのAl膜を形成し、ホトリソグラフィ法を用いて第一の電極115を形成する。
【0104】
次に、絶縁膜バンク120として、スピンコート法を用い、JSR社製ポジ型感光性保護膜(PC452)を形成し、ベーク処理を行った。
【0105】
PC452で形成された絶縁膜バンク120の膜厚は1μmで、第一の電極115のエッジを3μm覆った。
【0106】
次に、第一の電極115上及び絶縁膜バンク120斜面上に、金属薄膜127として第一の電極115の材質と同じAl膜を真空蒸着法により5nm形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0107】
次に、金属薄膜127上に、電子注入層124としてLiF膜を真空蒸着法により0.5nm形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0108】
その上に、真空蒸着法により膜厚20nmのAlq膜を形成した。Alq膜は、電子輸送層123として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。その上に、二元同時真空蒸着法にて、膜厚20nmのAlqとキナクリドンの共蒸着膜を形成した。蒸着速度を、40:1に制御して蒸着した。Alq+キナクリドン共蒸着膜は、発光層122として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0109】
次に真空蒸着法により膜厚50nmのα−NPD膜を形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。このα−NPD膜は正孔輸送層121として機能する。
【0110】
次に真空蒸着法により膜厚50nmの銅フタロシアニンを形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。これは正孔注入層129として機能する。
【0111】
上部電極はスパッタリング法により、膜厚100nmのIZO膜を形成した。同膜は第二の電極125として機能し、非晶酸化物膜である。ターゲットには、In/(In+
Zn)=0.83 であるターゲットを用いた。成膜条件は、Ar:O2 混合ガスを雰囲気として真空度0.8Pa、スパッタクリング出力を0.2W/cm2とした。IZO膜からなる第二の電極125は陽極として機能し、その透過率は80%であった。
【0112】
(比較例2)
実施例6と比較のために、金属薄膜127を用いない有機発光表示装置を作製した。図7に実施例6と比較例2で作製した表示装置の発光輝度評価した結果である。表示装置の各素子に電圧が7Vを印加した。実施例6の表示装置は、金属薄膜がAl膜で膜厚が5
nmである。実施例6の表示装置は、輝度が1550cd/m2 と高い発光輝度が得られることがわかった。比較例2の表示装置は、実施例6の表示装置との違いは金属薄膜を設けない点である。その結果、発光できなかった。第一の電極はウェットエッチング等により表面が汚染されたためと考えられる。金属薄膜を設けることにより、発光輝度が向上することを明らかにした。
【実施例7】
【0113】
次に、本発明の第七の実施形態を説明する(図示なし)。製造方法は実施例2と同様にした。図8は金属薄膜の膜厚の最適化をみるために、異なる金属薄膜の膜厚で試作した。素子への印加電圧はいずれも7Vである。金属薄膜の膜厚が0.1nm 以下の素子は、発光しなかった。発光輝度が1000cd/m2 以上の素子は、金属薄膜の膜厚が0.2 〜130nmであることがわかった。金属薄膜の膜厚が140nm以上の素子になると発光輝度が低下し、クロストークが発生するようになる。これは、絶縁バンクの斜面下部の逆テーパの高さが200nmであるため、金属薄膜の膜厚が厚くなると、下部電極と絶縁バンク上に連続な膜になるためである。
【実施例8】
【0114】
次に、本発明の第八の実施形態を説明する(図示なし)。製造方法は実施例2と同様にした。金属薄膜の膜厚の最適化をみるために、異なる金属薄膜の膜厚で試作した。素子への印加電圧はいずれも7Vである。金属薄膜の膜厚が絶縁バンク上部の表面の中心線平均粗さの半分以下の素子は、発光輝度が1000cd/m2 以上、かつクロストークが発生しないことがわかった。金属薄膜の膜厚が絶縁バンク上部の表面の中心線平均粗さの半分以上の素子になると発光輝度が低下し、クロストークが発生するようになる。これは、金属薄膜は膜厚が厚くなると、画素ごとに区切られなくなるためである。
【実施例9】
【0115】
次に、本発明の第九の実施形態を説明する(図示なし)。製造方法は実施例2と同様にした。金属薄膜の膜厚の最適化をみるために、異なる金属薄膜の膜厚で試作した。素子への印加電圧はいずれも7Vである。金属薄膜の膜厚が絶縁バンク上部の表面の錐状,ドーム状,柱状等の凸部の高さの半分以下の素子は、発光輝度が1000cd/m2 以上、かつクロストークが発生しないことがわかった。金属薄膜の膜厚が絶縁バンク上部の表面の錐状,ドーム状,柱状等の凸部の高さの半分以上の素子になると発光輝度が低下し、クロストークが発生するようになる。これは、金属薄膜は膜厚が厚くなると、画素ごとに区切られなくなるためである。
【実施例10】
【0116】
次に、本発明の第十の実施形態を説明する(図示なし)。
【0117】
薄膜トランジスタは、アモルファスシリコン薄膜トランジスタである。薄膜トランジスタの製造方法は実施例3と同じである。第2層間絶縁膜119は化学気相蒸着法により、SiNX 膜を形成し、膜厚が500nmである。その上にスパッタリング法を用いて、厚さ150nmのAl膜を形成し、ホトリソグラフィ法を用いて第一の電極115を形成する。
【0118】
次に、絶縁膜バンク120として、スピンコート法を用い、JSR社製ポジ型感光性保護膜(PC452)を形成し、ベーク処理を行った。
【0119】
PC452で形成された絶縁膜バンク120の膜厚は1μmで、第一の電極115のエッジを3μm覆った。
【0120】
次に、第一の電極115及び絶縁膜バンク120斜面上に、金属薄膜127としてAl膜を真空蒸着法により10nm形成した。次にレーザーにより、絶縁膜バンク120斜面上に形成した金属薄膜127としてのAl膜を切断した。
【0121】
次に、金属薄膜127上に、電子注入層124としてLiF膜を真空蒸着法により0.5nm形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0122】
その上に、真空蒸着法により膜厚20nmのAlq膜を形成した。Alq膜は、電子輸送層123として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。その上に、二元同時真空蒸着法にて、膜厚20nmのAlqとキナクリドンの共蒸着膜を形成した。蒸着速度を、40:1に制御して蒸着した。Alq+キナクリドン共蒸着膜は、発光層122として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0123】
次に真空蒸着法により膜厚50nmのα−NPD膜を形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。このα−NPD膜は正孔輸送層121として機能する。
【0124】
次に真空蒸着法により膜厚50nmの銅フタロシアニンを形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。これは正孔注入層129として機能する。
【0125】
上部電極はスパッタリング法により、膜厚100nmのIZO膜を形成した。同膜は第二の電極125として機能し、非晶酸化物膜である。ターゲットには、In/(In+
Zn)=0.83 であるターゲットを用いた。成膜条件は、Ar:O2 混合ガスを雰囲気として真空度1Pa、スパッタクリング出力を0.2W/cm2とした。In−ZnO膜からなる第二の電極125は陽極として機能し、その透過率は80%であった。
【0126】
次に、スパッタリング法により、膜厚50nmのSiOxy膜を形成した。同膜は保護層126として機能する。
【0127】
図10に示すように、パネルを試作した。メモリセルを内蔵した画素201を配列して表示領域202を形成し、マトリクスを駆動するために、データ配線にはシフトレジスタ204、走査配線には走査駆動回路203が接続されている。これらの回路駆動を制御する制御信号及び表示データは、入力配線25を介して供給する。また画素のEL電源配線210及びELコモン配線211は一括して画素電源206に接続されている。
【0128】
このように、本実施例では、金属薄膜127をレーザー切断することにより、発光部の隣接画素とのクロストーク防止及び高効率により、薄膜トランジスタで駆動する電流が減少し、薄膜トランジスタのしきい値電圧シフトが減少することができる。
【実施例11】
【0129】
次に、本発明の第十一の実施形態を説明する(図示なし)。
【0130】
薄膜トランジスタは、アモルファスシリコン薄膜トランジスタである。薄膜トランジスタの製造方法は実施例3と同じである。第2層間絶縁膜119は化学気相蒸着法により、SiNX 膜を形成し、膜厚が500nmである。その上にスパッタリング法を用いて、厚さ150nmのAl膜を形成し、ホトリソグラフィ法を用いて第一の電極115を形成する。
【0131】
次に、絶縁膜バンク120として、スピンコート法を用い、JSR社製ポジ型感光性保護膜(PC452)を形成し、ベーク処理を行った。PC452で形成された絶縁膜バンク120の膜厚は1μmで、第一の電極115のエッジを3μm覆った。
【0132】
次に、第一の電極115及び絶縁膜バンク120斜面上に、金属薄膜127としてAl膜を真空蒸着法により10nm形成した。次に電子ビームにより、絶縁膜バンク120斜面上に形成した金属薄膜127としてのAl膜を切断した。
【0133】
次に、金属薄膜127上に、電子注入層124としてLiF膜を真空蒸着法により0.5nm形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0134】
その上に、真空蒸着法により膜厚20nmのAlq膜を形成した。Alq膜は、電子輸送層123として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。その上に、二元同時真空蒸着法にて、膜厚20nmのAlqとキナクリドンの共蒸着膜を形成した。蒸着速度を、40:1に制御して蒸着した。Alq+キナクリドン共蒸着膜は、発光層122として機能する。パターン形成はシャドウマスクを用いた。
【0135】
次に真空蒸着法により膜厚50nmのα−NPD膜を形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。このα−NPD膜は正孔輸送層121として機能する。
【0136】
次に真空蒸着法により膜厚50nmの銅フタロシアニンを形成した。パターン形成はシャドウマスクを用いた。蒸着領域は下部電極の各辺の1.2 倍とした。これは正孔注入層129として機能する。
【0137】
上部電極はスパッタリング法により、膜厚100nmのIZO膜を形成した。同膜は第二の電極125として機能し、非晶酸化物膜である。ターゲットには、In/(In+
Zn)=0.83 であるターゲットを用いた。成膜条件は、Ar:O2 混合ガスを雰囲気として真空度1Pa、スパッタクリング出力を0.2W/cm2とした。In−ZnO膜からなる第二の電極125は陽極として機能し、その透過率は80%であった。
【0138】
次に、スパッタリング法により、膜厚50nmのSiOxy膜を形成した。同膜は保護層126として機能する。
【0139】
図10に示すように、パネルを試作した。メモリセルを内蔵した画素201を配列して表示領域202を形成し、マトリクスを駆動するために、データ配線にはシフトレジスタ204、走査配線には走査駆動回路203が接続されている。これらの回路駆動を制御する制御信号及び表示データは、入力配線25を介して供給する。また画素のEL電源配線210及びELコモン配線211は一括して画素電源206に接続されている。
【0140】
このように、本実施例では、金属薄膜127を電子ビームで切断することにより、発光部の隣接画素とのクロストーク防止及び高効率により、薄膜トランジスタで駆動する電流が減少し、薄膜トランジスタのしきい値電圧シフトが減少することができる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明を用いれば、高効率の薄型自発光表示装置が実現可能であり、テレビや各種情報端末等の表示装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の実施例1を示す有機発光装置における画素領域の拡大断面図である。
【図2】有機発光装置における画素領域の断面図である。
【図3】本発明の実施例2を示す有機発光装置における画素領域の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施例2及び比較例1で作製した有機発光装置の素子の発光輝度を評価した結果を示した表である。
【図5】本発明の実施例3を示す有機発光装置における画素領域の拡大断面図である。
【図6】本発明の実施例4を示す有機発光装置における画素領域の拡大断面図である。
【図7】本発明の実施例2で作製した有機発光装置の素子の発光輝度の金属薄膜の膜厚依存性を示した図である。
【図8】本発明の実施例6及び比較例2で作製した有機発光装置の素子の発光輝度を評価した結果を示した表である。
【図9】従来の有機発光装置における画素領域の拡大断面図である。
【図10】有機発光表示装置の構成図である。
【符号の説明】
【0143】
105…容量下部電極、108…容量上部電極、109…信号線、110…第1電流供給線、115…第一の電極、116…基板、117…ゲート絶縁膜、118…第1層間絶縁膜、119…第2層間絶縁膜、120…絶縁膜バンク、121…正孔輸送層、122…発光層、123…電子輸送層、124…電子注入層、125…第二の電極、126…保護層、127…金属薄膜、128…補助電極、129…正孔注入層、136…平坦化層、
201…画素、202…表示領域、203…走査駆動回路、204…シフトレジスタ、
205…入力配線、206…画素電源、210…EL電源配線、211…ELコモン配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、有機発光層と、第二の電極とをこの順に配置し、
前記絶縁膜バンクの側面の下部は逆テーパ形状である有機発光表示装置。
【請求項2】
基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、有機発光層と、第二の電極とをこの順に配置し、
前記絶縁膜バンクの側面は準テーパ形状の部分と逆テーパ形状の部分とを有する有機発光表示装置。
【請求項3】
前記絶縁膜バンクの側面のうち、前記第一の電極に近い側が逆テーパ形状を有し、遠い側が準テーパ形状を有する請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記逆テーパ形状を有する側面が前記第一の電極から0.3nm 以上200nm以下の高さにある請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記金属薄膜と前記有機発光層との間に電子輸送層を配置し、前記有機発光層と前記第二電極との間に正孔輸送層を配置する請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記金属薄膜と前記電子輸送層との間に電子注入層を配置する請求項5に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記金属薄膜の仕事関数は、前記第一の電極の仕事関数以下である請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記金属薄膜と前記有機発光層との間に正孔輸送層を配置し、前記有機発光層と前記第二電極との間に電子輸送層を配置する請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記金属薄膜と前記正孔輸送層との間に正孔注入層を配置する請求項8に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記金属薄膜の仕事関数は、前記第一の電極の仕事関数以上である請求項9に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記金属薄膜の膜厚は前記逆テーパ形状を有する側面の前記第一の電極からの高さの2/3以下である請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、有機発光層と、第二の電極とをこの順に配置し、
前記絶縁膜バンクの上面の一部が凹凸形状を有する有機発光表示装置。
【請求項13】
前記凹凸形状は中心線平均粗さが1nm以上1000nm以下である請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記金属薄膜の膜厚は前記中心線平均粗さの半分以下である請求項13に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記凹凸形状は錐状,ドーム状,柱状の凸部の高さが1nm以上である請求項12に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記金属薄膜の膜厚は前記錐状,ドーム状,柱状の凸部の高さの半分以下である請求項15に記載の有機発光素子。
【請求項17】
複数の画素とこの画素を駆動する薄膜トランジスタを有し、アクティブマトリクス型である請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
前記薄膜トランジスタはポリシリコン薄膜トランジスタ又はアモルファスシリコン薄膜トランジスタである請求項17に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、電子輸送層と、有機発光層と、正孔輸送層と、第二の電極とをこの順に配置し、
前記金属薄膜の仕事関数は、前記第一の電極の仕事関数以下である有機発光表示装置。
【請求項20】
基板と、第一の電極と、該第一の電極のエッジを覆うように形成された絶縁膜バンクと、前記第一の電極及び前記絶縁膜バンク上に形成された金属薄膜と、正孔輸送層と、有機発光層と、電子輸送層と、第二の電極とをこの順に配置し、
前記金属薄膜の仕事関数は、前記第一の電極の仕事関数以上である有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−302723(P2006−302723A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124405(P2005−124405)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】