説明

有機蒸気回収システム及び有機蒸気の回収方法

【課題】
有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガス等から効率よく有機蒸気を回収すると共に、水分フリーの液相で回収できる有機蒸気の回収方法及び回収システムを提供すること。特に、ガソリン蒸気及び水蒸気を含有する空気又は不活性ガス等から効率よくガソリン蒸気を回収すると共に、水分フリーのガソリンを回収できるガソリン蒸気の回収方法及び回収システムを提供すること。
【解決手段】
有機蒸気回収システムを、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから水蒸気を選択的に透過する機能を有する水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュール、前記ガス分離膜モジュールからの未透過ガスから有機蒸気を選択的に透過する機能を有する有機蒸気選択透過膜からなる第2のガス分離膜モジュール、及び前記有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガス等から有機蒸気をガス分離膜法と凝縮法との併用により有機蒸気を水分フリーの液相で回収することを特徴とする有機蒸気回収システム及びそのシステムを用いる有機蒸気の回収方法に関する。また、本発明は、ガソリンを含有する湿潤空気又は不活性ガス等から有機蒸気をガス分離膜法と凝縮法との併用により水分フリーのガソリンを回収することを特徴とするガソリン蒸気回収システム及びそのシステムを用いるガソリン蒸気の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の多様化された社会においては、随所で凝縮性の有機蒸気が空気又は窒素ガス等の不活性ガスに拡散混合される状況が発生する。例えば、ガソリンを給油するガソリンスタンドにおいては、車のガソリン給油時に、車のガソリンタンク内に存在する気化したガソリンが空気に放散されることになる。また、ガソリン給油時の誤操作などにより溢れ出したガソリンが気化し、空気中に揮散されることになる。この気化したガソリンが、環境の悪化をもたらし、人体に悪影響を及ぼすという問題があること等から、気化したガソリンを回収する技術が工夫され、報告されている。
例えば、炭素数1〜4の炭化水素ガスの少なくとも1種を気化したガソリンを含む空気に混合した後、この混合ガスを4kgf/cmまで圧縮機で圧縮し、その後に冷却器で冷却することで回収する方式があった(例えば、特許文献1)。しかし、この炭化水素ガス自体も可燃性であり、炭化水素ガスに対する安全対策が更に必要となるという問題点がある。
その点、車のガソリンタンクから吸引した気化ガソリン含有空気を冷却して液化させる気化ガソリン凝縮容器をガソリン計量機に隣接して設置する報告があるが(特許文献2)、この技術でも気化ガソリンを十分回収することができないという問題点があり、さらなる改良技術が望まれる。
【0003】
一方、膜法により有機蒸気を含有する空気又は不活性ガス等から有機蒸気を回収する方法として、有機蒸気選択透過性のシリコンゴム系高分子膜を用いた回収装置が知られている。有機蒸気はシリコンゴム膜へ溶解して膜中を低圧側に向かって拡散する溶解拡散型透過を起こすことが知られている。その場合、空気成分あるいは例えば窒素ガス等の不活性ガスより有機蒸気の膜透過速度が十分大きく、分離に有効な差があるので、空気あるいは不活性ガスの大半を膜の高圧側に未透過ガスとして残し、有機蒸気の大半は膜の透過側(低圧側)に濃縮できる。その濃縮流体に凝縮法を適用することで有機蒸気を液相で回収できる。
例えば、各種有機溶剤や気化性有機化合物を取扱う工場からは、凝縮性有機蒸気と空気又は窒素ガス等の不活性ガスとの混合ガスが大量に排出される。この排ガスを無処理で排出することは環境安全を阻害するばかりか有機物質の損失にもなる。そこで、かかる有機蒸気含有排ガスから有機蒸気成分を回収しつつその排ガスを低有機蒸気濃度で排出するため、ガス分離膜モジュ−ルの利用が注目され、膜分離法と圧縮冷却法(凝縮法)との組合せる技術が報告されている(特許文献3)。しかし、この技術では、有機蒸気が湿潤空気あるいは湿潤な不活性ガスとの混合系である場合、水蒸気の透過速度も有機蒸気の透過速度と同等であるので水蒸気は有機蒸気と一緒に膜の透過側に濃縮されるため、凝縮液は有機化合物と水の混合物となる問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開昭51−34209号公報
【特許文献2】特開2005−29173号公報
【特許文献3】特開平4−180811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の課題は、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガス等から効率よく有機蒸気を回収すると共に、水分フリーの液相で回収できる有機蒸気の回収方法及び回収システムを提供することにある。特に、ガソリン蒸気及び水蒸気を含有する空気又は不活性ガス等から効率よくガソリン蒸気を回収すると共に、水分フリーのガソリンを回収できるガソリン蒸気の回収方法及び回収システムを提供することにある。なお、本発明では水分フリーの液相とは、無水の液相、あるいは極わずかに水分を含む液相を意味する。極わずかな水分とは、例えば、零下温度に冷却しても氷結しない程度の水分含有をいう。水分フリーのガソリンも同じ意味である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究する最中、疎水性の有機蒸気と水蒸気と空気とを含む混合ガスを水蒸気選択透過膜に導き、その水蒸気選択透過膜からの未透過ガスを有機蒸気選択透過膜に導き、その有機蒸気選択透過膜からの透過ガスに大量に含まれる有機蒸気を凝縮すると、疎水性の有機蒸気と水蒸気と空気とを含む混合ガスから、意外にも極めて効率よく有機蒸気を回収することができ、しかも水分フリーの有機液体として回収することができるという知見を得た。なお、ここでの水分フリーは、上記水分フリーの液相での水分フリーと同じ意味である。さらに、水蒸気選択透過膜として無機質の分子ふるい膜を採用するとより効率よく有機蒸気を回収することができ、しかも水分フリーの有機液体として回収することができるという知見を得た。それらの知見に基づきさらに研究を重ね、ついに本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、請求項1の発明は、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから水蒸気を選択的に透過する機能を有する水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュール、前記ガス分離膜モジュールからの未透過ガスから有機蒸気を選択的に透過する機能を有する有機蒸気選択透過膜からなる第2のガス分離膜モジュール、及び前記有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成されることを特徴とする有機蒸気回収システムである。この有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスにおいて、有機蒸気は、有機性化合物あるいは混合物であれば特に制限されないが、疎水性の有機蒸気が好ましい。具体的にはガソリンが挙げられるが、その他、各種工場で用いられる有機性洗浄剤、有機溶剤、各種現場での有機溶剤などが挙げられる。前記不活性ガスは、例えば窒素ガス、二酸化炭素などが挙げられるが、それら例示したガスに制限されない。
【0008】
本発明における水蒸気選択透過膜とは有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガス等から水蒸気を優先的に透過する膜を意味するが、空気または不活性ガスおよび有機蒸気の透過が完全にゼロである必要はなく、水蒸気の透過速度1に対してそれらガスの透過速度が0.2以下、望ましくは0.01以下と分離に有用な差がある膜を言う。
前記水蒸気選択透過膜としては、特に分子ふるい膜を採用することが好ましい(請求項4)。分子ふるい膜として耐溶剤性分子ふるい膜が好ましく、その中では特にフッ素含有耐溶剤性重合体膜、カーボン膜、ゼオライト膜、シリカ膜、炭化ケイ素系膜からなる群から選ばれる分子ふるい膜を採用することが好ましい。前記フッ素含有耐溶剤性重合体膜の素材であるフッ素含有重合体としては、とくにテトラフルオロエチレンユニットを構成単位の一部とする重合体が好ましい。
なお、ここで用いる分子ふるい膜は上記混合ガスから水蒸気を選択的に透過することが出来るような分子ふるいのサイズを持つ分子ふるい膜を利用すればよい。すなわち、水蒸気、空気、不活性ガスとしての炭酸ガスなどの動力学的分子径は、それぞれ0.27nm、およそ0.34〜0.37nm、0.33nmであり、多くの有機蒸気の動力学的分子径は0.4nmを超えるから、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガス中に存在する各成分の動力学的分子径に応じて、水蒸気を分離することができる分子ふるいサイズを持つ分子ふるい膜を選択すればよい。例えば0.3nm以下の分子ふるいサイズを持つ分子ふるい膜を利用すれば、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから、水蒸気を分離することができる。 そして、膜素材、原料ポリマーの種類や、前処理条件(酸化処理)、焼成条件等の製造条件を規定すれば、所定の分子ふるいサイズを持つ分子ふるい膜を再現性よく製造することが出来る。なお、本発明では、動力学的分子径は、「Donald W. Breck 著 Zeolite Molecular Sieves, John Wiley & Sons (1974)」の記載に基づいている。
それら水蒸気選択透過膜を多数束ねて膜モジュールとすることが有利である。この膜モジュールとする点は公知の技術を採用すればよい。
【0009】
有機蒸気選択透過膜とは有機蒸気を含有する空気又は不活性ガス等から有機蒸気を優先的に透過する膜を意味するが、空気または不活性ガスの透過が完全にゼロである必要はなく、有機蒸気の透過速度1に対してそれらガスの透過速度が0.2以下、望ましくは0.01以下と分離に有用な差がある膜を言う。
前記有機蒸気選択透過膜は、すでに公知の膜を採用してもよく、所望の性能を有する膜を作製してもよい。それら有機蒸気選択透過膜を多数束ねて膜モジュールとすることが有利である。この膜モジュールとする点は公知の技術を採用すればよい。
前記第1のガス分離膜モジュールは所謂二段法などの多段法としてもよい。すなわち、分離膜モジュールの性能や分離する混合気体の性状などにより、膜モジュールの透過ガスや未透過ガスをさらに膜モジュールに供給する操作を施してもよい。
前記ガス凝縮装置は公知のガス凝縮装置を採用することができ、そのガス凝縮装置を配置する位置も特に制限されないのであって、例えば前記有機蒸気選択透過膜からなる第2のガス分離膜モジュールからの透過ガスを、前記第1膜モジュールを通過した水蒸気選択透過膜湿潤空気又は不活性ガスと合流させた後、前記透過ガスを凝縮させるように配置することができるし、あるいは第2のガス分離膜モジュールからの透過ガスを、前記湿潤空気又は不活性ガスと合流させずに、凝縮させるように配置することができる。
【0010】
請求項2の発明は、前記有機蒸気選択透過膜からなる第2のガス分離膜モジュールからの未透過ガスを、前記水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュールの低圧側に導入するガス導入装置をさらに付加することを特徴とする。この点により、第1のガス分離膜モジュールに供給される有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから、水蒸気がより効率よく選択的に第1のガス分離膜モジュールの低圧側に移動することが出来ることになり、本発明の効率が改善された一つの要因ということが出来る。
ここでいうガス導入装置は、第2のガス分離膜モジュールからの未透過ガスを第1のガス分離膜モジュールの低圧側に導入する装置と圧力調整装置とから少なくとも構成される。
【0011】
請求項5の発明は、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから、水蒸気と空気、又は水蒸気と不活性ガスとを選択的に透過する機能を有する水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュール、及び前記ガス分離膜モジュールからの未透過ガスに含まれる有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成されることを特徴とする有機蒸気回収システムである。ここで、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから、水蒸気と空気、又は水蒸気と不活性ガスとを選択的に透過する機能とは、有機蒸気を含有する湿潤空気から、水蒸気と空気とを選択的に透過する機能をいうか、あるいは有機蒸気を含有する湿潤不活性ガスから、水蒸気と不活性ガスとを選択的に透過する機能をいう。なお、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガス等から水蒸気および空気または不活性ガスを優先的に透過する膜をも水蒸気選択透過膜と呼ぶことにする。この場合も有機蒸気の透過が完全にゼロである必要はなく、水蒸気や空気あるいは不活性ガスの透過速度に対して有機蒸気の透過速度が0.2以下、望ましくは0.01以下と分離に有用な差がある膜を言う。
この水蒸気選択透過膜も耐溶剤性の分子ふるい膜であることが好ましい。なお、ここで用いる分子ふるい膜は水蒸気分子と空気や不活性ガス分子が選択的に透過することが出来るような分子ふるいのサイズを持つ分子ふるい膜を利用すればよい。すなわち、水蒸気、空気、不活性ガスとしての炭酸ガスなどの動力学的分子径は、0.37nm以下であり、多くの有機蒸気の動力学的分子径は0.4nmを超えるから、例えば0.4nm以下のの分子ふるいサイズを持つ分子ふるい膜を利用すれば、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから、水蒸気分子と空気や不活性ガス分子を分離することができる。とくに湿潤空気又は不活性ガスに含まれる有機蒸気の多くが、0.4nmを超える動力学的分子径を有するときには、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから、水蒸気分子と空気や不活性ガス分子を有効的に分離することができる。そして、原料ポリマーの種類や、製造条件を既定すれば、所定の分子ふるいサイズを持つ分子ふるい膜を再現性よく製造することが出来る。
図3は水蒸気選択透過膜が水蒸気を優先的に透過するが空気や不活性ガスをも透過する膜である場合、あるいは水蒸気と空気や不活性ガスを選択的に透過する膜である場合(請求項目5の膜)のシステムの一つであり、水蒸気選択透過膜モジュールと凝縮器からなる有機蒸気回収システムである。
【0012】
請求項6の発明は、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスを水蒸気選択透過膜モジュールからなる第1のガス分離膜モジュールに供給する工程A、工程Aの水蒸気選択透過膜からの未透過ガスを有機蒸気選択透過膜モジュールからなる第2のガス分離膜モジュールに供給する工程B、及び前記有機蒸気を凝縮する工程Cから少なくとも構成されることを特徴とする有機蒸気の回収方法である。ここでの有機蒸気は請求項1にて説明したとおりである。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、工程Bでの第2のガス分離膜モジュールを透過しないガスを、工程Aの第1のガス分離膜モジュールの低圧側に導入するガス導入工程Dをさらに付加することを特徴とする。ここでのガス導入工程では、第2のガス分離膜モジュールからの未透過ガスの圧力を調整しながら、第1のガス分離膜モジュールの低圧側に導入することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから極めて効率よく有機蒸気を回収することができ、しかも水分フリーの有機液体として回収することができる。本発明では、有機蒸気を凝縮処理するときの有機蒸気含有ガスの水蒸気濃度が極めて低いので、凝縮処理処理により水が殆ど生成されない。また、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガス等から水蒸気を透過分離する場合、空気又は不活性ガスも一部が透過する膜では有機蒸気は濃縮され膜面で凝縮する可能性がある。空気又は不活性ガスを殆ど透過しない膜でも水蒸気の透過で有機蒸気は濃縮され、これもまた有機蒸気は濃縮され膜面で凝縮する可能性がある。 ところが、水蒸気分子と有機蒸気分子のサイズの違いによる分離を可能とする耐溶剤性からなる分子ふるい膜を利用すると、膜面に有機蒸気が凝縮しても膜へのダメージがないので有利である。
本発明により、有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから有機蒸気が90%以上回収されることができる。また、その有機蒸気から凝縮された有機液体は水分含有がほぼゼロである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一つの実施形態である有機蒸気回収システムの概略構成を示す図面である。
この有機蒸気回収システムは、水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュール、有機蒸気選択透過膜からなる第2のガス分離膜モジュール、及び前記有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成される。
すなわち、1はガス吸入口、2は圧縮機、3は水蒸気選択透過膜モジュール、4は凝縮器、5は有機蒸気選択透過膜モジュール、6は真空ポンプ、7は圧力調整弁、8は真空ポンプあるいは送風機、9はガス放出口、10は開閉弁、11は有機液体回収口である。膜モジュール前後の高圧側ラインは2から3、4および5を経て7の圧力調整弁までであり、低圧側ラインは7から8および5から6の間である。
【0015】
ガス吸入口1から湿潤空気あるいは湿潤な不活性ガスと有機蒸気の混合ガスは圧縮機2で吸入・加圧され水蒸気選択透過膜モジュール3に供給される。水蒸気選択透過膜モジュール3で水蒸気のほとんどが低圧側に透過し、未透過ガスの乾燥空気あるいは乾燥不活性ガスと有機蒸気は凝縮器4に入り冷却されて有機蒸気の一部が液化する。凝縮器4で気相に残った空気あるいは不活性ガスと有機蒸気は、有機蒸気選択透過膜モジュール5に供給され、有機蒸気のほとんどが真空ポンプ6で排気されている低圧側へ透過して濃縮される。透過した有機蒸気は圧縮機2を経て再び水蒸気選択透過膜モジュール3に供給される。
一方、有機蒸気がほとんど透過してほぼ乾燥空気あるいは乾燥不活性ガスとなった有機蒸気選択透過膜モジュール5での未透過ガスは、圧力調整弁7で減圧され、水蒸気選択透過膜モジュール3の低圧側をスウィープすることで水蒸気の透過を促進し、最終的にはガス放出口9から大気中へ放出される。真空ポンプ8は必ずしも必要ではないが、水蒸気選択透過膜モジュール3での水蒸気透過が不十分な場合は真空ポンプ8を働かすことによって効果を上げることができる。凝縮器4で凝縮した有機液体は開閉弁10を開けることにより回収口11から取り出せる。
【0016】
図2は、本発明の他の実施形態である有機蒸気回収システムの概略構成を示す図面である。
図2の有機蒸気回収システムと図1の有機蒸気回収システムとはかなりの部分で重複する。凝縮器4の配置が異なる。
ガス吸入口1からの湿潤空気あるいは湿潤な不活性ガスと有機蒸気の混合ガスは水蒸気選択透過膜モジュール3に供給される。水蒸気選択透過膜モジュール3での未透過ガスの乾燥空気あるいは乾燥不活性ガスは、有機蒸気選択透過膜モジュール5に供給され、有機蒸気のほとんどが真空ポンプ6で排気されている低圧側へ透過して濃縮され、凝縮器4に入り冷却されて有機蒸気の一部が液化する。凝縮器4で気相に残った空気あるいは不活性ガスと有機蒸気は、水蒸気選択透過膜モジュール3に返送される。それ以外は、図1と同じである。
【0017】
水蒸気選択透過膜モジュール3では水蒸気を優先的に透過するが空気や不活性ガスをもわずかに透過する。そのために、ガス吸入口1からの吸入ガス中の有機蒸気濃度が高ければ水蒸気選択透過膜モジュール3を通過した未透過のガス流体では有機蒸気が少し濃縮されることになり飽和を超えて液化する可能性がある。耐溶剤性分子ふるい膜は有機液体に触れても膜の分離活性を失うことはないので有利である。
そこで有機蒸気選択透過膜のモジュール5に入る前に凝縮液化してガス流体中の有機蒸気の濃度を下げることが有効である。ガス吸入口1からの吸入ガス中の有機蒸気の濃度が十分に低く、水蒸気選択透過膜モジュール3を通過した後の未透過ガス中でも飽和濃度より低い場合は、ガス流体を凝縮器を通さずに直接に有機蒸気選択透過膜モジュール5に供給し、その低圧側に有機蒸気を透過濃縮した後で凝縮器に導く図2の有機蒸気回収装置がより効果的である。
【0018】
図3は、本発明の他の実施形態である有機蒸気回収システムの概略構成を示す図面である。
この有機蒸気回収システムは、水蒸気と空気や不活性ガスを選択的に透過する透過膜モジュールと凝縮器から少なくとも構成される。
すなわち、ガス吸入口1から湿潤空気あるいは湿潤な不活性ガスと有機蒸気の混合ガスは圧縮機2で吸入・加圧され水蒸気選択透過膜モジュール3に供給される。膜モジュール3を通過した未透過ガス流体中での有機蒸気は、濃縮されているために凝縮器4に導き冷却することにより容易に有機液体になり、開閉弁10を開けることにより回収口11から取り出せる。凝縮器4を通過した空気あるいは不活性ガスは僅かに有機蒸気を含むのであるが、圧力調整弁7で減圧され、圧縮機2を経て再び水蒸気選択透過膜モジュール3に供給される。一方、膜モジュール3の低圧側に透過する水蒸気および空気あるいは不活性ガスはガス放出口9から大気中へ放出される。
【0019】
図4は、本発明の他の実施形態である有機蒸気回収システムの概略構成を示す図面である。
この有機蒸気回収システムは、水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュールを二段とし、有機蒸気選択透過膜からなる第2のガス分離膜モジュール、及び前記有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成される。この有機蒸気回収システムは、一段目の水蒸気選択透過膜からなるガス分離膜モジュール3−1の透過ガスに有機蒸気が比較的多量に存在するときに、当該透過ガスを二段目の水蒸気選択透過膜モジュール3−2へ加圧して供給する二段法の有機蒸気回収システムであり、水蒸気と有機蒸気の分離を高め、出口9での放出ガス中の有機蒸気濃度をほぼゼロに低減するシステム例の一つである。
すなわち、ガス吸入口1から湿潤空気あるいは湿潤な不活性ガスと有機蒸気の混合ガスは圧縮機2で吸入・加圧され水蒸気選択透過膜モジュール3−1に供給される。水蒸気選択透過膜モジュール3−1で水蒸気のほとんどが低圧側に透過し、未透過ガスの乾燥空気あるいは乾燥不活性ガスと有機蒸気は凝縮器4に入り冷却されて有機蒸気の一部が液化する。凝縮器4で気相に残った空気あるいは不活性ガスと有機蒸気は、有機蒸気選択透過膜モジュール5に供給され、有機蒸気のほとんどが真空ポンプ6で排気されている低圧側へ透過して濃縮される。透過した有機蒸気は圧縮機2を経て再び水蒸気選択透過膜モジュール3−1に供給される。
水蒸気選択透過膜モジュール3−1を通過した僅かの有機蒸気が含まれる透過ガス流体は圧縮機8−2で加圧され水蒸気選択透過膜モジュール3−2に供給される。水蒸気選択透過膜モジュール3−2で水蒸気のほとんどが低圧側に透過し、未透過ガスの乾燥空気あるいは乾燥不活性ガスと僅かな有機蒸気は圧縮機2を経て再び水蒸気選択透過膜モジュール3−1に供給される。
【0020】
一方、有機蒸気がほとんど透過してほぼ乾燥空気あるいは乾燥不活性ガスとなった有機蒸気選択透過膜モジュール5での未透過ガスは、圧力調整弁7で減圧され、再び水蒸気選択透過膜モジュール3−2の低圧側に供給されて、低圧側をスウィープすることで水蒸気の透過を促進し、低圧側に透過する水蒸気と空気あるいは不活性ガスは真空ポンプあるいは送風機8−3を経由して、ガス放出口9から大気中へ放出される。
凝縮器4で凝縮した有機液体は開閉弁10を開けることにより回収口11から取り出せる。
図2および図3のシステムにおいても同様に二段に構成することができる。
また、構成する二段の水蒸気選択透過膜モジュールの分子ふるい膜は同種の膜あるいは異種の膜のどちらでも可能である。
【0021】
図5は、従来型の有機蒸気回収システムの概略構成を示す図面である。
この有機蒸気回収システムは、有機蒸気選択透過膜からなるガス分離膜モジュール、及び前記有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成される。
ガス吸入口1から湿潤空気あるいは湿潤な不活性ガスと有機蒸気の混合ガスは圧縮機2で吸入・加圧され凝縮器4に入り冷却されて有機蒸気および水蒸気の一部が液化する。凝縮器4で気相に残った湿潤な空気あるいは不活性ガスと有機蒸気は、有機蒸気選択透過膜モジュール5に供給され、有機蒸気と水蒸気が真空ポンプ6で排気されている低圧側へ透過して濃縮される。透過した有機蒸気と水蒸気は圧縮機2を経て再び有機蒸気選択透過膜モジュール5に供給される。
一方、有機蒸気及び水蒸気が多少含まれてしまう空気あるいは不活性ガスとなった有機蒸気選択透過膜モジュール5での未透過ガスは、圧力調整弁7で減圧され、ガス放出口9から大気中へ放出される。凝縮器4で凝縮した有機液体は開閉弁10を開けることにより回収口11から取り出せる。
【0022】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されない。
実施例1
ポリイミド中空糸膜を通常のdry-wet法による紡糸で作製し、乾燥後に真空中で600℃で2時間焼成することで平均の有効直径が0.41mmの中空糸状の分子ふるい炭素膜を作製した。この膜の分子ふるいサイズは0.37〜0.40nmであった。なお、分子ふるいサイズの測定はモレキュラープローブ法によった。
その分子ふるい炭素膜10本からなる有効総膜面積12.8cm2の膜エレメントを作製し、真空タイムラグ法を用いてトルエン蒸気、n−ペンタン蒸気、水蒸気、窒素ガスの透過速度を測定した。値は表1のとおりであった。
なお、シリコンゴム膜についても市販品の平均有効直径0.25mmの中空糸膜10本からなる有効膜面積7.85cm2の膜エレメントを作製し、それでトルエン蒸気、n−ペンタン蒸気、水蒸気、窒素ガスの透過速度を、真空タイムラグ法で測定した。
【0023】

【0024】
実施例2 有機蒸気回収システム
実施例1の水蒸気透過膜および市販シリコンゴム膜からなる二種類のモジュールで図1に示す有機蒸気回収システムを構成した場合の有機蒸気の回収性能をシミュレーションで算出した。シミュレーションでは汎用プロセスシミュレーター(ソフト名:ChemCAD)に向流型ガス分離膜モジュール設計計算法を組み込んで使用した。
計算で想定した条件では、試験ガスは、3.01%トルエン蒸気−36.9%n−ペンタン−3.99%水蒸気−56.1%窒素の混合ガスを100NL/min(4.46mol/min)の流量でガス吸入口1から供給することとした。図1で高圧側ラインとなる圧縮機2から3,4,5を経て圧力調整弁7までを200kPa、有機蒸気選択透過膜モジュール5の低圧側圧力を10kPa、水蒸気選択透過膜モジュール3の低圧側圧力も10kPaとした。
凝縮器での冷却温度を−10℃にした時のガス吸入口1、ガス放出口9および有機液体回収口11での物質の流量と成分組成を表2に示す。水分のほとんどは水蒸気選択透過膜モジュール3で低圧側に透過し、ガス放出口9から大気に放出された。したがって回収口11では水分はほとんど検出されず水分フリーの有機液体が回収できた。この時の有機化合物(トルエンおよびn−ペンタン)の回収率は95.7%であった。また必要膜面積は
水蒸気選択透過膜モジュール3が5.17m2、有機蒸気選択透過膜モジュール5が5.42m2である。
【0025】

【0026】
実施例3
実施例2の有機蒸気回収システムを用い、凝縮器4での冷却温度を2℃にした。その他の条件は実施例2と同じにした。
この場合も水分のほとんどは水蒸気選択透過膜モジュール3で低圧側に透過し、ガス放出口9から大気に放出した。したがって回収口11では水分はほとんど検出されず水分フリーの有機液体が回収できた。この時の有機化合物(トルエンおよびn−ペンタン)の回収率は92.9%であった。また必要膜面積は水蒸気選択透過膜モジュール3が5.25m2、有機蒸気選択透過膜モジュール5が5.78m2である。
【0027】

【0028】
実施例4
図3で示される水蒸気選択透過膜モジュールと凝縮器からなるシステムで有機蒸気を含む湿潤な混合ガスから有機蒸気を回収処理する例である。
凝縮器4での冷却温度を2℃にした。吸入ガスの流量や濃度および圧力条件は実施例2、3と同じにした。
この場合もまた水分のほとんどは水蒸気選択透過膜モジュール3で低圧側に透過し、ガス放出口9から大気に放出した。したがって回収口11では水分はほとんど検出されず水分フリーの有機液体が回収できた。但し水蒸気選択透過膜モジュール3での有機蒸気の濃縮度が大きくないために凝縮器をワンスルーした時の有機蒸気の液化割合が低く、効率的に有機液体を回収するためには循環量を大きくする必要がある。したがって圧縮機2での流量は実施例2,3の約5倍となった。
この時の有機化合物(トルエンおよびn−ペンタン)の回収率は99.7%であった。また必要膜面積は27m2である。
【0029】

【0030】
比較例1
図5で示される従来型の有機蒸気回収システムを用い、有機蒸気を回収する例である。凝縮器での冷却温度を2℃にした。膜モジュールの高圧側ライン(圧縮機2から4,5を経て圧力調整弁7まで)および低圧側の圧力設定は実施例1,2と同じく200kPaおよび10kPaとした。水分のほぼ全量が回収口11に集まり、従ってここで回収された液体はトルエン、n−ペンタン、水の混合物である。このときの有機化合物(トルエンおよびn−ペンタン)の回収率は91.1%であった。また必要膜面積は5.71m2である。
【0031】

【0032】
(1)有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから水蒸気を選択的に透過する機能を有する水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュール、前記ガス分離膜モジュールからの未透過ガスから有機蒸気を選択的に透過する機能を有する有機蒸気選択透過膜からなる第2のガス分離膜モジュール、及び前記有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成されることを特徴とする動力学的分子径が水蒸気、空気、窒素ガス、炭酸ガスよりも大きな有機蒸気回収システム。
(2)有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから、水蒸気と空気、又は水蒸気と不活性ガスとを選択的に透過する機能を有する水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュール、及び前記ガス分離膜モジュールからの未透過ガスに含まれる有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成されることを特徴とする動力学的分子径が水蒸気、空気、窒素ガス、炭酸ガスよりも大きな有機蒸気回収システム。
(3)有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから水蒸気を選択的に透過する機能を有する水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュール、前記ガス分離膜モジュールからの未透過ガスから有機蒸気を選択的に透過する機能を有する有機蒸気選択透過膜からなる第2のガス分離膜モジュール、及び前記有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成されることを特徴とする有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから動力学的分子径が水蒸気、空気、窒素ガス、炭酸ガスよりも大きな有機蒸気を回収する有機蒸気回収システム。
(4)有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから、水蒸気と空気、又は水蒸気と不活性ガスとを選択的に透過する機能を有する水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュール、及び前記ガス分離膜モジュールからの未透過ガスに含まれる有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成されることを特徴とする有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから動力学的分子径が水蒸気、空気、窒素ガス、炭酸ガスよりも大きな有機蒸気を回収する有機蒸気回収システム。
(5)水蒸気選択透過膜が分子ふるい膜である上記(1)〜(4)記載のいずれかの有機蒸気回収システム。
(6)回収する有機蒸気が、0.4nmを超える動力学的分子径の有機蒸気である上記(1)〜(5)記載のいずれかの有機蒸気回収システム。
(7)有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスを水蒸気選択透過膜モジュールからなる第1のガス分離膜モジュールに供給する工程A、工程Aの水蒸気選択透過膜からの未透過ガスを有機蒸気選択透過膜モジュールからなる第2のガス分離膜モジュールに供給する工程B、及び前記有機蒸気を凝縮する工程Cから少なくとも構成されることを特徴とする動力学的分子径が水蒸気、空気、窒素ガス、炭酸ガスよりも大きな有機蒸気の回収方法。
(8)有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスを水蒸気選択透過膜モジュールからなる第1のガス分離膜モジュールに供給する工程A、及び工程Aの水蒸気選択透過膜からの未透過ガスに含まれる有機蒸気を凝縮する工程Cから少なくとも構成されることを特徴とする動力学的分子径が水蒸気、空気、窒素ガス、炭酸ガスよりも大きな有機蒸気の回収方法。
(9)水蒸気選択透過膜が分子ふるい膜である上記(7)又は(8)記載の有機蒸気の回収方法。
(10)回収する有機蒸気が、0.4nmを超える動力学的分子径の有機蒸気である上記(7)〜(9)記載のいずれかの有機蒸気回収方法。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一つの実施形態である有機蒸気回収システムの概略構成を示す図面である。
【図2】本発明の他の実施形態である有機蒸気回収システムの概略構成を示す図面である。
【図3】本発明の他の実施形態である有機蒸気回収システムの概略構成を示す図面である。
【図4】本発明の他の実施形態である有機蒸気回収システムの概略構成を示す図面である。
【図5】従来型の有機蒸気回収システムの概略構成を示す図面である。
【符号の説明】
【0034】
1 ガス吸入口、
2 圧縮機、
3 水蒸気選択透過膜モジュール、
3−1 一段目の水蒸気選択透過膜モジュール、
3−2 二段目の水蒸気選択透過膜モジュール、
4 凝縮器、
5 有機蒸気選択透過膜モジュール、
6 真空ポンプ、
7 圧力調整弁、
8 真空ポンプあるいは送風機、
8−2 真空ポンプあるいは送風機、
8−3 真空ポンプあるいは送風機、
9 ガス放出口、
10 開閉弁、
11 有機液体回収口、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから水蒸気を選択的に透過する機能を有する水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュール、前記ガス分離膜モジュールからの未透過ガスから有機蒸気を選択的に透過する機能を有する有機蒸気選択透過膜からなる第2のガス分離膜モジュール、及び前記有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成されることを特徴とする有機蒸気回収システム。
【請求項2】
第2のガス分離膜モジュールからの未透過ガスを第1のガス分離膜モジュールの低圧側に導入するガス導入装置をさらに付加することを特徴とする請求項1記載の有機蒸気回収システム。
【請求項3】
有機蒸気がガソリン蒸気である請求項1又は2記載の有機蒸気回収システム。
【請求項4】
水蒸気選択透過膜が分子ふるい膜である請求項1〜3記載のいずれかの有機蒸気回収システム。
【請求項5】
有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスから、水蒸気と空気、又は水蒸気と不活性ガスとを選択的に透過する機能を有する水蒸気選択透過膜からなる第1のガス分離膜モジュール、及び前記ガス分離膜モジュールからの未透過ガスに含まれる有機蒸気を凝縮するガス凝縮装置から少なくとも構成されることを特徴とする有機蒸気回収システム。
【請求項6】
有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスを水蒸気選択透過膜モジュールからなる第1のガス分離膜モジュールに供給する工程A、工程Aの水蒸気選択透過膜からの未透過ガスを有機蒸気選択透過膜モジュールからなる第2のガス分離膜モジュールに供給する工程B、及び前記有機蒸気を凝縮する工程Cから少なくとも構成されることを特徴とする有機蒸気の回収方法。
【請求項7】
工程Bでの第2のガス分離膜モジュールを透過しないガスを、工程Aの第1のガス分離膜モジュールの低圧側に導入するガス導入工程Dをさらに付加することを特徴とする請求項6記載の有機蒸気回収方法。
【請求項8】
有機蒸気がガソリン蒸気である請求項6又は7記載の有機蒸気の回収方法。
【請求項9】
水蒸気選択透過膜が分子ふるい膜である請求項6〜8記載のいずれかの有機蒸気の回収方法。
【請求項10】
有機蒸気を含有する湿潤空気又は不活性ガスを水蒸気選択透過膜モジュールからなる第1のガス分離膜モジュールに供給する工程A、及び工程Aの水蒸気選択透過膜からの未透過ガスに含まれる有機蒸気を凝縮する工程Cから少なくとも構成されることを特徴とする有機蒸気の回収方法。
【請求項11】
耐溶剤性分子ふるい膜からなることを特徴とする有機蒸気回収用水蒸気選択透過膜。
【請求項12】
耐溶剤性分子ふるい膜がフッ素含有耐溶剤性重合体膜、カーボン膜、ゼオライト膜、シリカ膜、炭化ケイ素系膜からなる群から選ばれる請求項11記載の有機蒸気回収用水蒸気選択透過膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−173545(P2008−173545A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7688(P2007−7688)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「有害化学物質リスク削減基盤技術研究開発/デュアルメンブレンシステムによるガソリンベーパー回収装置の開発」委託研究 産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ・メカトロニクス (167)
【Fターム(参考)】