説明

有機薄膜トランジスタ及びその製造方法、並びにこの有機薄膜トランジスタを備える平板表示装置

【課題】有機半導体層の表面損傷を防止し、オフ電流を減少させうる有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】基板110と、基板110上に形成されたソース/ドレイン電極12/125と、基板110上に形成され、ソース/ドレイン電極12/125及びそれらの間にかけて形成されるチャンネル層135を含む半導体層130と、半導体層130上に形成されるゲート絶縁膜140と、半導体層130とゲート絶縁膜140とにかけて形成されて、チャンネル層135を分離させるための分離パターン145と、チャンネル層135の上部のゲート絶縁膜140上に形成されるゲート電極155とを含むOTFT。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板表示装置用の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFT)に係り、より具体的には、有機半導体層の表面損傷を防止できる有機薄膜トランジスタ(Organic Thin Film Transistor:以下、OTFT)、及びその製造方法、並びにOTFTを備える平板表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OTFTは、次世代ディスプレイ装置の駆動素子であって、活発な研究が進められている。OTFTは、半導体層としてシリコン膜の代わりに有機膜を使用するものであって、有機膜の材料によってオリゴチオフェン、ペンタセンのような低分子OTFTとポリチオフェン系のような高分子OTFTとに分類される。
【0003】
そのようなOTFTをスイッチング素子として使用する有機電界発光表示装置は、少なくとも2つのOTFT、たとえば、一つのスイッチングOTFT、一つの駆動OTFT、一つのキャパシタ及び上下部電極の間に有機膜層が介された有機電界発光素子を備える。
【0004】
通常的に、フレキシブル有機電界発光表示装置は、基板としてフレキシブル基板を使用し、前記フレキシブル基板は、プラスチック基板を備える。プラスチック基板は、熱安定性に非常に劣り、低温工程を利用して有機電界発光表示装置を製造することが要求されている。
【0005】
それにより、半導体層として有機膜を使用するOTFTは、低温工程が可能であるため、フレキシブル有機電界発光表示装置のスイッチング素子として脚光を浴びている。
【0006】
特許文献1には、薄膜蒸着時間を短縮させることができ、正孔移動度を向上させうるペンタセンTFTが開示されている。特許文献2には、トランジスタの電気的な性能を向上させうるOTFTの素子構造及びその製造方法に関する技術が開示されている。また、特許文献3には、チャンネル領域がラジカルを有する有機化合物から構成され、キャリア移動度とオン/オフ電流比とを向上させうるTFTが開示されている。
【0007】
図1は、従来のOTFTの断面図である。
【0008】
図1を参照すれば、従来のOTFTは、基板11上に形成されたゲート電極12と、前記ゲート電極12を備える基板上に形成されたゲート絶縁膜13と、前記ゲート絶縁膜13上に形成されたソース/ドレイン電極14、15と、前記ソース/ドレイン電極14、15及びゲート絶縁膜13上に形成された有機半導体層16と、を備える。
【0009】
前記したような構造を有する従来のOTFTは、半導体16が有機半導体層を含み、前記半導体層16がパターニングされずに基板上に全面的に形成される。したがって、有機薄膜層との間にキャリア、たとえば、正孔が蓄積されて所望しない漏れ電流が流れるという問題点があった。
【0010】
それを解決するために、半導体層をレーザーアブレーションでパターニングする場合には、図2に示されたように、パターニングされた半導体層20のエッジ部分21でレーザーによる熱変性やリキャスティングされるという問題点があった。
【特許文献1】韓国特許公開公報2004−0028010号明細書
【特許文献2】韓国特許公報2004−0084427号明細書
【特許文献3】特開2003−92410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記問題点を解決するためのものであって、有機半導体層の表面損傷なしに有機半導体層をパターニングできるOTFT及びその製造方法、並びにOTFTを備える平板表示装置を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための本発明は、基板と、前記基板上に形成されたソース/ドレイン電極と、前記基板上に形成され、前記ソース/ドレイン電極及びそれらの間にかけて形成されるチャンネル層を含む半導体層と、前記半導体層上に形成されるゲート絶縁膜と、前記半導体層とゲート絶縁膜とにかけて形成され、前記チャンネル層を分離させるための分離パターンと、前記チャンネル層の上部のゲート絶縁膜上に形成されるゲート電極と、を含むことを特徴とする薄膜トランジスタである。
【0013】
前記ゲート絶縁膜は、第1ゲート絶縁膜と第2ゲート絶縁膜とを備え、前記分離パターンは、前記半導体層と第1ゲート絶縁膜とにかけて形成される。
【0014】
前記基板はプラスチック基板を備え、前記半導体層は有機半導体層を含む。前記分離パターンは溝状を有する。前記分離パターンは閉曲線状であるか、または少なくとも一対の平行線状である。
【0015】
また、本発明は、基板と、前記基板上に形成されたソース/ドレイン電極と、前記基板上に形成され、前記ソース/ドレイン電極及びそれらの間にかけて形成されるチャンネル層を含む半導体層と、前記半導体層上に形成されるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜と前記半導体層とにかけて形成されて、前記チャンネル層を分離させるための分離パターンと、前記チャンネル層の上部のゲート絶縁膜上に形成されるゲート電極と、前記ソース/ドレイン電極のうち、一つを露出させるビアホールを備える保護膜と、前記保護膜上に前記ビアホールを通じてソース/ドレイン電極のうち、一つに連結される画素電極と、を備えることを特徴とする平板表示装置である。
【0016】
前記平板表示装置は、前記基板としてプラスチック基板を備える有機電界発光表示装置を備える。
【0017】
また、上記目的を達成するための本発明は、基板上にソース/ドレイン電極を形成するステップと、前記基板及び前記ソース/ドレイン電極上にチャンネル層を含む半導体層を形成するステップと、前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成するステップと、前記ゲート絶縁膜と前記半導体層とをパターニングしてチャンネル層を分離させるための分離パターンを形成するステップと、前記ゲート絶縁膜上で前記チャンネル層の上部にゲート電極を形成するステップと、を含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法である。前記分離パターンは、レーザーアブレーションを利用して形成することを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態に係るOTFT及びその製造方法は、次のような効果が得られる。
【0019】
まず、半導体層をパターニングして分離パターンを形成する時、半導体層上にゲート絶縁膜を形成した後、パターニング工程により分離パターンを形成することで半導体層の表面損傷を防止でき、さらにキャリア蓄積による漏れ電流を防止してTFTのオフ電流を減少させうる。
【0020】
また、本発明によれば、複雑なフォト工程を排除することができ、チャンネル層を除いた半導体層を全部除去する必要がないため、工程を単純化して工程時間を短縮させうる。
【0021】
また、本発明によれば、ゲート絶縁膜を積層構造で形成して、そのうち一部のみに半導体層を分離させるための分離パターンを形成することにより、有機絶縁膜からなるゲート絶縁膜に発生するピンホール不良を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を添付された図面を参照して説明すれば、次の通りである。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態に係るフレキシブル有機電界発光表示装置に使用されるOTFTの断面図を示したものである。
【0024】
図3を参照すれば、本発明の一実施形態に係るOTFT100は、基板110上に形成されたソース/ドレイン電極121、125を備える。前記基板100上に半導体層130とゲート絶縁膜140とが順次に形成される。前記ソース/ドレイン電極121、125の間に位置した半導体層130のチャンネル層135に対応するゲート絶縁膜140上にゲート電極155が形成される。
【0025】
前記基板110は、プラスチック基板であって、たとえば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなるグループから選択されるプラスチックフィルムを備える。
【0026】
前記ゲート絶縁膜140は、有機絶縁膜または無機絶縁膜の単一膜または多層膜から構成されるか、または有無機ハイブリッド膜から構成される。このような絶縁膜としては、たとえば、SiO、SiNx、Al、Ta、BST、PZTからなるグループから選択される一つ以上の無機絶縁膜を含む。
【0027】
また、前記絶縁膜140は、たとえば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、フェノール系高分子、アクリル系高分子、ポリイミドのようなイミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、ふっ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子及びパリレンを含むグループから選択される一つ以上の有機絶縁膜を含む。
【0028】
前記半導体層130は有機半導体層を含む。前記半導体層130は、たとえば、ペンタセン、テトラセン、アントラセン、ナフタレン、α−6−チオフェン、ペリレン及びその誘導体、ルブレン及びその誘導体、コロネン及びその誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド及びその誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジアンヒドリド及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリパラペリレンビニレン及びその誘導体、ポリフロレン及びその誘導体、ポリチオフェンビニレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリチオフェン−複素環芳香族共重合体及びその誘導体、ナフタレンのオリゴアセン及びそれらの誘導体、α−5−チオフェンのオリゴチオフェン及びそれらの誘導体、金属を含有するか、または含有しないフタロシアニン及びそれらの誘導体、ピロメリットジアンヒドリド及びその誘導体、ピロメリットジイミド及びそれらの誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジアンヒドリド及びその誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びそれらの誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジアンヒドリド及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つの有機膜を含む。
【0029】
一実施形態に係るOTFT100は、前記半導体層130とゲート絶縁膜140とにかけて形成される分離パターン145を備える。前記半導体層130のうち、ソース/ドレイン電極121、125(すなわちソース電極121とドレイン電極125)の間にかけて形成される。前記分離パターン145により分離される部分135は、TFTのチャンネル層として作用する。前記分離パターン145は、前記チャンネル層135に隣接したTFTのチャンネル層と分離させるためのものであって、溝状を有する。
【0030】
図5Aないし図5Dは、本発明の実施形態に係る有機電界発光表示装置用のOTFTにおいて、チャンネル層135を分離させるための分離パターン145の一例を示す平面図である。
【0031】
図5Aないし図5Dは、有機電界発光表示装置の一つの画素を構成するTFTのうち、ゲートライン250及びデータライン220に連結されるTFTに限定して示したものである。本発明の実施形態は、画素のTFTに適用されると例示したが、それに必ず限定されるものではなく、有機電界発光表示装置に使用されるTFTには何れも適用できる。
【0032】
図5Aを参照すれば、前記分離パターン145は、前記チャンネル層135を取り囲む閉曲線状に形成される。前記分離パターン145は、閉曲線状の溝を備え、ゲートライン250とデータライン220とにより限定される画素領域230内に配列される。前記分離パターン145は、前記チャンネル層135に隣接する画素領域230aに配列されるTFT(図示せず)と分離させる。
【0033】
他の例として、前記分離パターン145は、該当する画素領域230を離脱して、前記ゲートライン250またはデータライン220に重畳して形成されるか、または隣接する画素領域230aにかけて形成されることも可能である。図面で、図面符号135a及び135bは、前記半導体層130のうち、前記ソース/ドレイン電極121、125とオーバーラップされる部分を意味する。
【0034】
図5Bを参照すれば、前記分離パターン145は一対の平行線状としてゲートライン250に沿って延設される。前記分離パターン145は、一対の平行線状の溝を備え、画素領域230内で前記チャンネル層135が一対の平行線状の溝145の間に位置して、隣接する画素領域230aに配列されたTFT(図示せず)と分離されるように形成される。
【0035】
他の例として、前記分離パターン145は、一対の平行線縦状の溝が該当する画素領域230を離脱して、隣接する画素領域230aにかけてゲートライン250に沿って延設されて、前記チャンネル層135を前記画素領域230aに配列されるTFTと分離させることもできる。
【0036】
図5Cを参照すれば、前記分離パターン145は、一対の平行線状としてデータライン220に沿って延設される。前記分離パターン145は、一対の平行線状の溝を備え、画素領域230内で前記チャンネル層135が一対の平行線状の溝の間に位置して、隣接する画素領域230aに配列されたTFT(図示せず)と分離されるように形成される。
【0037】
他の例として、前記分離パターン145は、一対の平行線状の溝が該当する画素領域230を離脱して、隣接する画素領域230aにかけてデータライン220に沿って延設されて、前記チャンネル層135を前記画素領域230aに配列されるTFTと分離させることもできる。
【0038】
図5Dを参照すれば、前記分離パターン145は、2対の平行線状としてゲートライン250及びデータライン220に沿って延設される。前記分離パターン145は、互いに交差する2対の平行線状の溝を備え、画素領域230内で前記チャンネル層135が2対の平行線状の溝の間に位置して、隣接する画素領域230aに配列されたTFT(図示せず)と分離されるように形成される。
【0039】
他の例として、前記分離パターン145は、2対の平行線状の溝が該当する画素領域230を離脱して、隣接する画素領域230aにかけてゲートライン250及びデータライン220に沿って延設され、前記チャンネル層135を前記画素領域230aに配列されるTFTと分離させることもできる。
【0040】
本発明の実施形態では、前記分離パターン145は、前記ソース/ドレイン電極121、125の一部を露出させるように、半導体層130及びゲート絶縁膜140が何れもエッチングされた溝状を有すると例示したが、それに必ずしも限定されるものではなく、半導体層130が一定の厚さほどエッチングされる溝状を有することが可能である。
【0041】
図5Aないし図5Dに示された分離パターン145は、隣接する画素領域230、230aにそれぞれ配列されるTFTのチャンネル層を互いに分離させると例示したが、それに必ずしも限定されるものではなく、前記分離パターン145は、一つの画素領域に配列される多数のTFTのチャンネル層を互いに分離させる構造にも適用できる。
【0042】
図4は、本発明の他の実施形態に係るフレキシブル有機電界発光表示装置に使用されるOTFTの断面図を示したものである。
【0043】
図4を参照すれば、本発明の他の実施形態に係るOTFT200は、基板210上に形成されたソース/ドレイン電極221、225と、前記基板210と前記ソース/ドレイン電極221、225上に形成された半導体層231と、を備える。前記半導体層231上にゲート絶縁膜240が形成され、前記ソース/ドレイン電極221、225の間に位置したチャンネル層235に対応するゲート絶縁膜240上にゲート電極255が形成される。
【0044】
前記基板210はプラスチック基板であって、たとえば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなるグループから選択されるプラスチックフィルムを含む。
【0045】
前記ゲート絶縁膜240は、第1ゲート絶縁膜241と第2ゲート絶縁膜243を備える。前記ゲート絶縁膜240を構成する第1ゲート絶縁膜241と第2ゲート絶縁膜243は、それぞれ有機絶縁膜または無機絶縁膜の単一膜または多層膜から構成されるか、または有無機ハイブリッド膜から構成される。また、前記第1ゲート絶縁膜241と第2ゲート絶縁膜243は、相等しい物質により構成してもよいし、または相異なる物質により構成することもできる。また、相等しい厚さに形成してもよいし、相異なる厚さに形成することも可能である。
【0046】
前記第1ゲート絶縁膜241と第2ゲート絶縁膜243は、たとえば、SiO、SiNx、Al、Ta、BST、PZTからなるグループから選択される一つ以上の無機絶縁膜を含む。
【0047】
また、前記第1ゲート絶縁膜241と第2ゲート絶縁膜243は、それぞれたとえば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)、フェノール系高分子、アクリル系高分子、ポリイミドのようなイミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、ふっ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子、パリレンを含むグループから選択される一つ以上の有機絶縁膜を含む。
【0048】
前記半導体層231は有機半導体層を含む。前記半導体層231は、たとえば、ペンタセン、テトラセン、アントラセン、ナフタレン、α−6−チオフェン、ペリレン及びその誘導体、ルブレン及びその誘導体、コロネン及びその誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド及びその誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジアンヒドリド及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリパラペリレンビニレン及びその誘導体、ポリフロレン及びその誘導体、ポリチオフェンビニレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリチオフェン−複素環芳香族共重合体及びその誘導体、ナフタレンのオリゴアセン及びそれらの誘導体、α−5−チオフェンのオリゴチオフェン及びそれらの誘導体、金属を含有するか、または含有しないフタロシアニン及びそれらの誘導体、ピロメリットジアンヒドリド及びその誘導体、ピロメリットジイミド及びそれらの誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジアンヒドリド及びその誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びそれらの誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジアンヒドリド及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つの有機膜を含む。
【0049】
他の実施形態に係るTFTは、前記半導体層231とゲート絶縁膜240のうち、第1ゲート絶縁膜241にかけて形成される分離パターン245を備える。前記半導体層231のうち、ソース/ドレイン電極221、225の間にかけて形成される部分235は、TFTのチャンネル層として作用する。前記分離パターン245は、前記チャンネル層235を隣接したTFTのチャンネル層と分離させるためのものであって、図5Aないし図5Dに示されたような多様な形状の溝状を有する。
【0050】
図6Aないし図6Cは、本発明の一実施形態に係るOTFTの製造方法を説明するための工程断面図である。
【0051】
図6Aを参照すれば、プラスチック基板110上にソース/ドレイン電極121、125を形成する。図6Bを参照すれば、前記ソース/ドレイン電極121、125と基板110上に半導体層130を形成する。前記半導体層130は有機半導体層を含む。前記半導体層130上にゲート絶縁膜140を形成する。
【0052】
図6Cを参照すれば、前記ゲート絶縁膜140と半導体層130とをレーザーアブレーションを利用してパターニングして分離パターン145を形成する。
【0053】
レーザーアブレーションは、レーザーを固体に照射することで、その固体が中性原子や分子、イオン、電子等に分解されて表面から放出されてエッチングされる現象である。ここでは、半導体層130上からレーザーを照射することにより、分離パターン145が形成されるように半導体層130とゲート絶縁膜140をエッチングしている。
【0054】
前記レーザーアブレーションのためのレーザーとしては、エキシマーレーザーまたはヤグレーザーを使用する。
【0055】
次いで、前記チャンネル層135の上部のゲート絶縁膜140上にゲート電極155を形成すれば、図3に示されたような一実施形態に係るOTFTが製造される。
【0056】
前記分離パターン145により前記半導体層130から分離された部分135は、TFTのチャンネル層として作用する。前記分離パターン145は、図5Aないし図5Dに示されたような溝状を有する。前記分離パターン145は、チャンネル層135を隣接するTFTと分離させる役割を行う。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、半導体層130上にゲート絶縁膜140を形成した後、レーザーアブレーションを通じて前記半導体層130をパターニングすることにより、有機半導体層の表面損傷を最小化でき、さらにキャリアの蓄積を防止してトランジスタのオフ電流を減少させうる。
【0058】
図7Aないし図7Dは、本発明の他の実施形態に係るOTFTの製造方法を説明するための工程断面図である。
【0059】
図7Aを参照すれば、プラスチック基板210上にソース/ドレイン電極221、225を形成する。
【0060】
次に、図7Bを参照すれば、前記ソース/ドレイン電極221、225と基板210上に半導体層231を形成する。前記半導体層231は有機半導体層を含む。前記半導体層231上に第1ゲート絶縁膜241を形成する。
【0061】
次に、図7Cを参照すれば、前記第1ゲート絶縁膜241と半導体層231とをレーザーアブレーションを利用してパターニングして分離パターン245を形成する。前記レーザーアブレーションのためのレーザーとしては、エキシマーレーザーまたはヤグレーザーを使用する。
【0062】
前記半導体層231のうち、前記分離パターン245により分離された部分235は、TFTのチャンネル層として作用する。前記分離パターン245は、図5Aないし図5Dに示されたような溝状を有する。前記分離パターン245は、チャンネル層235を隣接するTFTと分離させる役割を行う。
【0063】
図7Dを参照すれば、第1ゲート絶縁膜241と前記分離パターン245上に第2ゲート絶縁膜243を形成する。それにより、第1ゲート絶縁膜241と第2ゲート絶縁膜243とを含むゲート絶縁膜240が形成される。次いで、チャンネル層235の上部の第2ゲート絶縁膜243上にゲート電極255を形成すれば、図4に示されたような他の実施形態に係るOTFTが製造される。
【0064】
その時、前記第1ゲート絶縁膜241と第2ゲート絶縁膜243との厚さは、本発明の他の実施形態に係るTFTで要求されるゲート絶縁膜240の厚さによって設定される。その時、前記第1ゲート絶縁膜241と第2ゲート絶縁膜243は、相異なる物質から形成されるか、または相等しい物質から形成されうる。また、前記第1ゲート絶縁膜241と第2ゲート絶縁膜243は、相等しい厚さに形成されるか、または相異なる厚さに形成されうる。
【0065】
本発明の他の実施形態によれば、半導体層231上に第1ゲート絶縁膜241を形成した後、レーザーアブレーションを通じて前記半導体層231をパターニングすることにより、有機半導体層の表面損傷を最小化でき、さらにキャリアの蓄積を防止してトランジスタのオフ電流を減少させうる。
【0066】
また、ゲート絶縁膜240として有機絶縁膜を使用する場合、前記ゲート絶縁膜240が第1ゲート絶縁膜241と第2ゲート絶縁膜243との積層膜を含むため、有機絶縁膜の第1ゲート絶縁膜241にピンホールが発生しても、有機絶縁膜の第2ゲート絶縁膜243が第1ゲート絶縁膜243上にコーティングされるため、ピンホール不良を防止できる。
【0067】
さらに、第1ゲート絶縁膜241と半導体層231とのエッチングにより分離パターン245の形成時に、分離パターン245のテーパー角が非常に激しい場合には、後続の工程で不良を発生しうるが、第1ゲート絶縁膜241上に第2ゲート絶縁膜243をコーティングしてテーパー角を緩和させることで不良発生を防止できる。
【0068】
本発明の実施形態に係るOTFTにおいて、半導体層として高分子有機半導体層及び低分子有機半導体層を含み、前記ゲート絶縁膜は、高分子有機絶縁膜及び低分子有機絶縁膜または無機絶縁膜を含み、前記半導体層とゲート絶縁膜は、蒸着法またはコーティング法から形成される。
【0069】
図8は、本発明の一実施形態に係るOTFTを適用した有機電界発光表示装置の断面構造を示したものである。図8は、有機電界発光表示装置の一つの画素についての断面図を示したものであって、一つの画素のうち、有機電界発光素子及びそれを駆動させるための駆動TFTに限定して示したものである。
【0070】
図8を参照すれば、一実施形態に係る有機電界発光表示装置300は、プラスチック基板310上に形成されたソース/ドレイン電極321、325を備える。前記ソース/ドレイン電極321、325及び基板310上に半導体層330が形成される。前記半導体層330上にゲート絶縁膜340が形成される。
【0071】
前記ゲート絶縁膜340と半導体層330とに前記チャンネル層335と隣接するTFTとを分離させるための分離パターン345が備えられる。前記分離パターン345は、図5Aないし図5Dに示されたように溝状を有する。
【0072】
前記チャンネル層335の上部のゲート絶縁膜340上にゲート電極350が形成され、前記ゲート絶縁膜340と分離パターン345上に形成され、前記ソース/ドレイン電極221、225のうち、一つ、たとえば、ドレイン電極325の一部を露出させるビアホール365を備える保護膜360が形成される。
【0073】
前記保護膜360上に前記TFTのドレイン電極325とビアホール365とを通じて連結される下部電極370が形成される、前記下部電極370はアノード電極であって画素電極として作用する。前記下部電極370の一部を露出させる開口部385を備える画素分離膜380が形成される。
【0074】
前記画素分離膜380の開口部385により露出される下部電極370上に有機膜層390が形成され、基板上にカソード電極395として上部電極が形成される。前記有機膜層390は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電子輸送層及び正孔抑制層から選択される一つ以上の有機膜層を含む。
【0075】
図9は、本発明の他の実施形態に係るOTFTを備える有機電界発光表示装置の断面構造を示したものである。本発明の他の実施形態に係る有機電界発光表示装置の断面構造は、本発明の一実施形態に係る有機電界発光表示装置の断面構造と同じである。但し、ゲート絶縁膜440が第1ゲート絶縁膜441と第2ゲート絶縁膜443との2層膜から構成され、分離パターン445が半導体層430と第1ゲート絶縁膜431上にかけて形成されることのみが異なる。
【0076】
図9を参照すれば、他の実施形態に係る有機電界発光表示装置400は、プラスチック基板410上に形成されたソース/ドレイン電極421、425を備える。前記ソース/ドレイン電極421、425及び基板410上に半導体層430が形成される。前記半導体層430上にゲート絶縁膜440が形成される。前記ゲート絶縁膜440は、第1ゲート絶縁膜441と第2ゲート絶縁膜443とを備える。
【0077】
前記ゲート絶縁膜440のうち、第1ゲート絶縁膜441と半導体層443に、前記チャンネル層435と隣接するTFTとを分離させるための分離パターン445が備えられる。前記分離パターン445は、図5Aないし図5Dに示されたように溝状を有する。
【0078】
前記チャンネル層435の上部のゲート絶縁膜440上にゲート電極450が形成され、基板上に前記ソース/ドレイン電極421、425のうち、一つ、たとえば、ドレイン電極425の一部を露出させるビアホール465を備える保護膜460が形成される。
【0079】
前記保護膜460上に前記TFTのドレイン電極425とビアホール465とを通じて連結される下部電極470が形成される。前記下部電極470は、アノード電極であって画素電極として作用する。前記下部電極470の一部を露出させる開口部485を備える画素分離膜480が形成される。
【0080】
前記画素分離膜480の開口部485により露出される下部電極470上に有機膜層490が形成され、基板上にカソード電極495として上部電極が形成される。前記有機膜層490は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電子輸送層及び正孔抑制層から選択される一つ以上の有機膜層を含む。
【0081】
以上本発明を適用した実施形態として、平板表示装置の一形態である、スイッチング素子としてOTFTを備える有機電界発光表示装置について説明したが、OTFTをスイッチング素子として使用する液晶表示装置のような平板表示装置に適用して、TFTのオフ電流を減少させると同時に有機半導体層の表面損傷を防止することも可能である。
【0082】
また、本発明の実施形態では、保護膜が単一層から構成されることを例示したが、それに必ずしも限定されるものではなく、多層から構成され、有機絶縁膜または無機絶縁膜から構成されるか、または有機絶縁膜と無機絶縁膜とのハイブリッド積層膜から構成されてもよい。
【0083】
さらに、本発明は、基板としてプラスチック基板を備えるフレキシブル有機電界発光表示装置において、レーザーアブレーションを利用して半導体層に分離パターンを形成すると例示したが、それに必ずしも限定されるものではなく、金属基板またはガラス基板のような基板上に配線またはOTFTを形成する場合にも適用できる。
【0084】
前記では、本発明の望ましい実施形態を参照して説明したが、当業者ならば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から離脱しない範囲内で、多様な修正及び変更が可能であることが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
表示素子として有機電界発光素子(EL)を備え、前記表示素子を駆動するための駆動素子としてTFTを備えるアクティブマトリックス型の有機電界発光表示装置だけでなく、表示素子として液晶表示素子(LCD)を備え、前記液晶表示素子を駆動するための駆動素子としてTFTを備えるアクティブマトリックス型の液晶表示装置において、特性の優れた薄膜トランジスタを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】従来のOTFTの断面図である。
【図2】従来のTFTにおいて、レーザーアブレーションで有機半導体層をパターニングした場合、有機半導体層の表面損傷を示す図面である。
【図3】本発明の一実施形態に係るOTFTの断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るOTFTの断面図である。
【図5A】本発明のOTFTにおいて、有機半導体層の分離パターンの平面図である。
【図5B】本発明のOTFTにおいて、有機半導体層の分離パターンの平面図である。
【図5C】本発明のOTFTにおいて、有機半導体層の分離パターンの平面図である。
【図5D】本発明のOTFTにおいて、有機半導体層の分離パターンの平面図である。
【図6A】本発明の一実施形態に係るOTFTの製造方法を説明するための断面図である。
【図6B】本発明の一実施形態に係るOTFTの製造方法を説明するための断面図である。
【図6C】本発明の一実施形態に係るOTFTの製造方法を説明するための断面図である。
【図7A】本発明の他の実施形態に係るOTFTの製造方法を説明するための断面図である。
【図7B】本発明の他の実施形態に係るOTFTの製造方法を説明するための断面図である。
【図7C】本発明の他の実施形態に係るOTFTの製造方法を説明するための断面図である。
【図7D】本発明の他の実施形態に係るOTFTの製造方法を説明するための断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るOTFTを備える有機電界発光表示装置の断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るOTFTを備える有機電界発光表示装置の断面図である。
【符号の説明】
【0087】
100…OTFT
110…基板
121…ソース電極
125…ドレイン電極
130…半導体層
135…チャンネル層
140…ゲート絶縁膜
145…分離パターン
155…ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたソース/ドレイン電極と、
前記基板上に形成され、前記ソース/ドレイン電極及びそれらの間にかけて形成されるチャンネル層を含む半導体層と、
前記半導体層上に形成されるゲート絶縁膜と、
前記半導体層とゲート絶縁膜とにかけて形成され、前記チャンネル層を分離するための分離パターンと、
前記チャンネル層の上部のゲート絶縁膜上に形成されるゲート電極と、を備えることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記ゲート絶縁膜は、第1ゲート絶縁膜と第2ゲート絶縁膜とを備え、
前記分離パターンは、前記半導体層と第1ゲート絶縁膜とにかけて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記基板は、プラスチック基板を備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記半導体層は、有機半導体層を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記分離パターンは、溝状を有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記分離パターンは、閉曲線状であることを特徴とする請求項5に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記分離パターンは、少なくとも一対の平行線状であることを特徴とする請求項6に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に形成されたソース/ドレイン電極と、
前記基板上に形成され、前記ソース/ドレイン電極及びそれらの間にかけて形成されるチャンネル層と、を備える半導体層と、
前記半導体層上に形成されるゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜と前記半導体層にかけて形成されて、前記チャンネル層を分離させるための分離パターンと、
前記チャンネル層の上部のゲート絶縁膜上に形成されるゲート電極と、
前記ソース/ドレイン電極のうち、一つを露出させるビアホールを備える保護膜と、
前記保護膜上に前記ビアホールを通じてソース/ドレイン電極のうち、一つに連結される画素電極と、を備えることを特徴とする平板表示装置。
【請求項9】
前記ゲート絶縁膜は、第1ゲート絶縁膜と第2ゲート絶縁膜とを備え、
前記分離パターンは、前記半導体層と第1ゲート絶縁膜とにかけて形成されていることを特徴とする請求項8に記載の平板表示装置。
【請求項10】
前記平板表示装置は、前記基板としてプラスチック基板を含む有機電界発光表示装置を備えることを特徴とする請求項8に記載の平板表示装置。
【請求項11】
前記半導体層は、有機半導体層を含むことを特徴とする請求項8に記載の平板表示装置。
【請求項12】
前記分離パターンは、溝状を有することを特徴とする請求項8に記載の平板表示装置。
【請求項13】
基板上にソース/ドレイン電極を形成するステップと、
前記基板及び前記ソース/ドレイン電極上にチャンネル層を含む半導体層を形成するステップと、
前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成するステップと、
前記ゲート絶縁膜と前記半導体層とをパターニングしてチャンネル層を分離させるための分離パターンを形成するステップと、
前記ゲート絶縁膜上で前記チャンネル層の上部にゲート電極を形成するステップと、を含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項14】
前記基板は、プラスチック基板を備えることを特徴とする請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項15】
前記半導体層は、有機半導体層を含むことを特徴とする請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項16】
前記分離パターンは、溝状を有することを特徴とする請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項17】
前記分離パターンは、閉曲線状であることを特徴とする請求項16に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項18】
前記分離パターンは、少なくとも一対の平行線状であることを特徴とする請求項16に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項19】
前記ゲート絶縁膜は、第1ゲート絶縁膜と第2ゲート絶縁膜とを備え、
前記分離パターンは、前記半導体層と第1ゲート絶縁膜とにかけて形成されることを特徴とする請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項20】
前記分離パターンは、レーザーアブレーションを利用して形成することを含むことを特徴とする請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。

【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−140433(P2006−140433A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163324(P2005−163324)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】