有機高分子物質との組み合わせで無機粒子を含み、かつ固体の網目状マトリックスを形成する医薬賦形剤、その組成物、製造および使用
固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤であって、該マトリックスが有機高分子物質との組み合わせで無機粒子の凝集体を含み、約0.01〜500μmの範囲の平均幅を有する複数の孔を区画し、少なくとも約1 m2/gの比表面積を有する賦形剤、このような賦形剤を含む生成物、これらの製造方法ならびにこれらの使用が記載される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的に、医薬賦形剤およびその製造、ならびに医薬品生成物(pharmaceutical product)、特に経口固体投与形態における使用に関する。
本発明は、部分的に、水溶性が乏しい薬物(drug)の経口生物学的利用能を増加させるための本発明の医薬賦形剤の使用にも関する。
【0002】
さらに本発明は、医薬品生成物、それを製造する方法、およびその使用に関する。特に、本発明は、受容者の胃腸管に存在する生理的流体中での溶解性が乏しい1種以上の治療剤を含む医薬品生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
動物の受容者、特にヒト受容者への経口投与のための医薬品生成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、ペレットなどを含む種々の経口投与形態にあり得る。錠剤は、任意に1種以上の補助的な医薬上許容される成分と共に治療剤を圧縮、成形または造粒することによりつくることができる。圧縮錠剤は、適切な機械において、粉末または顆粒のような易流動形態(free flowing form)の治療剤を、任意に結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、分散剤などと混合して圧縮することにより製造することができる。成形錠剤は、一般的に、適切な機械において、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末形態の治療剤の混合物を成形することによりつくることができる。錠剤は任意に被覆されていてもよい。ハードまたはソフトタイプであり得るカプセルは、一般的に、たとえはヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはゼラチンからなり得る外殻(outer shell)と、通常、顆粒、粉末または液体の形で与えられ得る治療剤を含む内核(inner core)とを含む。
【0004】
経口投与による送達は、多くの治療剤にとって特に望ましいであろう。さらに、経口投与は、その非侵襲性の性質および一般的に経口投与により達成され得る実質的に正確な投与制御により、望ましいであろう。経口投与は、受容者の許容しやすさの点でも有利であることができ、よって受容者の服薬遵守が向上する。
【0005】
しかしながら、経口投与により遭遇する問題は、投与される治療剤が受容者の胃腸管に存在する生理的流体中での溶解性が乏しい場合にある。水溶性が乏しい薬物は、例えば経口投与形態の製剤化の間に大きな難題を示す。新規な化学物質の多くは、好ましくない溶解性のプロフィールにより特徴付けられる。このような場合に、完全な、または実質的でさえある溶解は、治療剤が胃腸管を通過する間に起こらないであろう(48時間程度までの期間)。さらに、このような溶解は、ある投与と次の投与とで変動し、また受容者依存性でもあろう。よって、治療剤は、受容者の通常の循環中への吸収について、完全には利用可能ではないか、または実質的に再現可能なように利用可能ではない。
【0006】
上記のことは、治療剤の浪費の点で問題であり得るが、より重要なことには、正確な投与および実質的に一貫したその生物学的利用能を達成する点で問題である。さらに、これらの問題は、コンビナトリアルケミストリーのような薬物発見法による溶解性が乏しい化合物の生産の増加、および治療剤の投与量の減少における一般的な傾向により、最近、悪化している。乏しい水溶性による製剤化の難題は、限定されないが、作用の開始の遅延、低い経口生物学的利用能、および食物の存在または不在に関する薬物吸収の変動を通常もたらす、望ましくない生成物の特徴を回避する試みを含む。
【0007】
このように溶解性が乏しくかつ変動する治療剤の生物学的利用能を改良する問題点が、
WO00/09093号に議論されている。WO00/09093号は、固体粒子上に吸着され、固体投与形態にさらに製剤化され得る医薬組成物について記載している。WO00/09093号により記載される組成物および投与形態は、生物学的利用能が乏しいことが知られているか、またはそれが疑われる治療剤を含む広い範囲の治療剤の生物学的利用能を向上すると記載されている。またWO00/09093号は、どのようにして粉末化溶液技術(powdered solution technology)が、以前に、水不溶性の治療剤の送達のための技術として提案されたかも議論している。Spireasら、"Powdered Solution Technology: Principles and Mechanisms"、Pharm. Research、第9巻、第10号(1992)およびSheth, A.およびJarowski, C.I.、"Use of powder solutions to improve the dissolution rate of polythiazide tablets"、Drug Development and Industrial Pharmacy、16 (5)、第769〜777頁(1990)。粉末化溶液の概念は、治療剤の溶液または液体の治療剤を、乾燥した非付着性で易流動性の圧縮可能な粉末に、液体の治療剤または治療剤の溶液と選択された担体とを混合することにより変換することに関係した。治療剤は固体形態であったが、溶解された液体の状態に保たれ、これが治療剤のぬれ特性を増大させ、よって溶解を増大させた。しかしながら、粉末化溶液技術の適用は、得られる混合粉末が、一般的に、乏しく一貫性のない流動および圧縮特性を有するので、制限された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明は、今回、治療剤の生物学的利用能、およびそのような生物学的利用能の再現性を増加させ、上記の粉末溶液技術を用いては今まで達成されなかった良好な流動および圧縮特性を示す医薬品生成物を提供する点で、溶解性が乏しい治療剤に関する今までの上記の問題点を解決する。さらに、本発明により提供される医薬品生成物は、1または複数の治療剤が、投与に続く時間まで実質的に完全に固体の形態のままであり、よって液体の状態の化学品にしばしば関連する化学的不安定性を実質的に未然に回避するのを許容することにおいて有利であり得る。したがって、本発明により提供される医薬品生成物は、本発明による医薬品生成物により提供されるように治療剤について達成され得る胃腸管の生理的流体での望ましい溶解性により、経口投与に特に適することができる。
【0009】
本発明の目的は、水溶性が乏しい治療上の有効成分(active agent)と共に用いるための医薬賦形剤を提供することである。
本発明のさらなる目的は、治療上の有効成分を本発明の医薬賦形剤と共に含む医薬品生成物を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、高い表面積を有し、その中に溶解性が乏しい薬物を組み込んで、該薬物の経口生物学的利用能を高める最終目的と共に溶解性プロフィールを高めることができる医薬賦形剤を提供することである。
さらに本発明は、本発明の医薬賦形剤を密に伴う(intimately associated with)(例えば該賦形剤上を被覆する)1種以上の有効成分を含む医薬品生成物に関する。
【0011】
ある好ましい実施形態において、有効成分(例えば薬物)は、本発明の医薬賦形剤と、約1〜約50重量%の量で組み合わせる。
本発明のある好ましい実施形態において、医薬賦形剤は、約5〜約95重量%の有機高分子を好ましくは鋳型として含み、残りは無機化合物を含む。さらに好ましい実施形態において、高分子は約20〜約80% w/wの医薬賦形剤を含む。
【0012】
さらに本発明は、本発明の医薬賦形剤を密に伴う(例えば該賦形剤上を被覆する)1種以上の有効成分の単位投与量を含む経口固体投与形態に関し、経口固体投与形態は、例えば医薬粉末、カプセルまたは錠剤である。
通常、本発明による医薬賦形剤生成物は、治療剤のための支持体物質(support materia
l)を含み、この支持体物質は、実質的に以下により詳細に記載されるような網目状の微小構造を有する有機または無機の支持体物質であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のおよびその他の目的により、そして第一の観点において、本発明は、マトリックスが、有機高分子物質との組み合わせで(in association with)無機粒子の凝集体を含み、約0.01〜500μmの範囲の平均幅を有する複数の孔を区画し、かつ少なくとも約1m2/gの比表面積を有する、固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤を提供する。好ましくは、孔の平均幅が約0.1〜500μmの範囲であり、マトリックスが約100m2/g以下の比表面積を有するのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
マトリックス中の孔は、通常、同じ形状または断面ではない。例えば、本発明の多くの実施形態を走査型電子顕微鏡で見る場合に、いくつかは断面が円形に見えるが、孔のほとんどは不揃いの断面を有するように見える。このことの明確化の目的のために、サンプルまたはマトリックスの一部分の中の、あるいは本明細書に記載されるいずれの他の医薬品生成物中の孔の平均幅またはサイズは、孔の見かけの断面積の平均に等しい領域に結合する円の直径に等しいと定義される。これは、次のようにして測定される。サンプルまたはマトリックスの一部分または他の生成物の走査型電子顕微鏡写真を、サンプルまたはマトリックスの一部分または他の生成物を描写する孔の分布を明確に示す倍率および方向から撮影する。次いで、目に見える孔の各々の見かけの断面積を測定し、これらの測定値の平均を算出する。次に、孔の見かけの断面積の平均に等しい領域に結合する円の直径を、この後者の値から算出する。孔の見かけの断面積は、走査型電子顕微鏡写真で明らかであるか目に見える(apparent or visible)その孔の断面の面積である。個々の孔の「幅」は、同様の様式におけるその見かけの断面積に関連し、同様にして測定することができる。
【0015】
同様に、無機粒子は、常に同じ形状または断面ではない。例えば、ある実施形態を走査型電子顕微鏡で見る場合に、無機粒子のほとんどは不揃いの断面を有するように見える。このことの明確化の目的のために、サンプルまたはマトリックスの一部分の中の、あるいは本明細書中に記載のいずれの他の医薬品生成物中の無機粒子の平均幅またはサイズは、無機粒子の見かけの断面積の平均に等しい領域に結合する円の直径に等しいと定義される。これは、次のようにして測定される。サンプルまたはマトリックスの一部分または他の生成物の走査型電子顕微鏡写真を、サンプルまたはマトリックスの一部分または他の生成物の典型である無機粒子の凝集体を明確に示す倍率および方向から撮影する。次いで、目に見える無機粒子の各々の見かけの断面積を測定し、これらの測定値の平均を算出する。次に、無機粒子の見かけの断面積の平均に等しい領域に結合する円の直径を、この後者の値から算出する。無機粒子の見かけの断面積は、走査型電子顕微鏡写真で明らかであるか目に見える粒子の断面の面積である。個々の無機粒子の「幅」は、同様の様式におけるその見かけの断面積に関連し、同様にして測定することができる。無機粒子が実質的に球形である場合に、上記のことからそれらの平均幅がそれらの平均直径であることに従う。本発明のある観点および実施形態においてあり得るように、無機粒子が共に溶融する場合、それらの見かけの断面積は、そのような生成物においてまだ明らかである粒界について測定することができる。
【0016】
本明細書で用いられる「比表面積」の用語は、International Standard ISO 9277 "Determination of the specific surface area of solids by gas adsorption using the BET method" (参照番号ISO9277:1995(E))に従って測定されるように、物質の単位重量当たりの表面積を意味する。
【0017】
本発明の第一の観点の好ましい実施形態において、孔の平均幅は、約0.5〜300、
1〜200、3〜100、5〜80、15〜70、または20〜60μmの範囲内である。他の実施形態において、孔の平均幅は、約0.1〜10、好ましくは0.1〜5μmの範囲内、より好ましくは約0.3、2または3μmである。さらに好ましい実施形態において、マトリックスは、少なくとも約2、3、4、5、10または20m2/g、および好ましくは約100、50または40m2/gまでの比表面積を有する。
【0018】
本発明の第一の観点において用いられる無機粒子は、結晶性であり、無機粒子の凝集体は、複数のばらばらである(discrete)がおそらく接する結晶を含むのが好ましい。このように用いられる無機粒子または結晶の平均幅は、好ましくは約0.1〜50μm、より好ましくは約30、25、15、10、5または1μm未満で、さらにより好ましくは約0.1〜25、0.2〜10または0.2〜5μmである。ある計画においては、無機物質の粒子または結晶の平均幅は、約0.1〜約0.2μmの間、または約1〜約15μmの間であり得る。
【0019】
本発明の第一の観点による賦形剤のさらに好ましい形態において、孔は一次および二次孔を含み、ここで一次孔は約2〜500μmの平均幅を有し、かつマトリックスから形成される構造要素の間で区画され、二次孔は0.01〜10μmの平均幅を有し、かつ該構造要素内で区画され、そして二次孔の平均幅は一次孔の平均幅より小さい。
【0020】
本発明の第二の観点によると、マトリックスが、有機高分子物質との組み合わせで無機粒子を含み、約2〜500μmの平均幅を有する複数の一次孔が、マトリックスから形成される構造要素の間に区画され、約0.01〜10μmの平均幅を有する複数の二次孔が、該構造要素内に区画され、かつ二次孔の平均幅が一次孔の平均幅より小さい、固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤が提供される。
【0021】
本発明の第一の観点の好ましい実施形態において、賦形剤は、少なくとも0.1、0.5、1、3、4、5、10m2/g、およびより好ましくは100、50または40m2/gまでの比表面積を有することができる。
【0022】
本発明の第一または第二の観点の好ましい実施形態において、一次孔の平均幅は、少なくとも約5、10、20または40μm、および好ましくは約300、200、100または50μm以下である。二次孔の平均幅は、少なくとも約0.01、0.05または0.1μm、および好ましくは約5、3、2、1.5または1μm以下であるのが好ましい。本発明の第一または第二の観点の具体的な実施形態において、一次孔の平均幅は、約2〜50、10〜200、10〜500、10〜100または5〜20μmの範囲内であり、二次孔の平均幅は、約0.1〜5、0.1〜1、または>1μmの範囲内である。好ましくは、一次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、二次孔の平均幅より大きい幅、好ましくは見かけの幅を有する。また、二次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、一次孔の平均幅より小さい幅、好ましくは見かけの幅を有するのが好ましい。
【0023】
構造要素は、一次孔を区画する一次壁の形にあることができ、かつ二次孔を区画する二次壁の網目を含むことができる。好ましくは、一次壁は約10〜500、10〜200、20〜100もしくは10〜50μmの平均幅を有する。好ましくは、二次壁は約0.01〜5もしくは0.5〜2μmの平均幅を有する。
【0024】
本発明の第一または第二の観点の実施形態において、マトリックスは、有機高分子物質と無機粒子もしくは物質との複数の凝塊の形であることができ、その中で二次孔が形成される。このような実施形態において、一次孔は、近接のそのような凝塊の間に位置するのが好ましい。凝塊は、複数の一次孔を区画する連続構造を形成することができる。
【0025】
本発明の第二の観点による賦形剤において用いられる無機物質は、好ましくは微粒子であり、好ましい実施形態において、結晶性であり、複数のばらばらであるがおそらく接する結晶を含むことができる。無機物質の粒子または結晶の平均幅は、好ましくは約0.1〜50μmの範囲である。無機物質の粒子または結晶の平均幅は、好ましくは約30、25、15、10、5または1μm未満で、より好ましくは約0.1〜25、0.2〜10、または0.2〜5μmである。ある計画において、無機物質の粒子または結晶の平均幅は、約0.1〜約0.2μmの間、または約1〜約15μmの間であり得る。
【0026】
有機高分子物質は、本発明の第一または第二の観点のいずれかにおいて、無機粒子または物質をマトリックスへ結合させるのに役立つことができ、無機粒子または物質のための鋳型を形成することができる。有機高分子物質が無機粒子または物質のための鋳型を形成する場合、後者の粒子は、高分子鋳型上を被覆するのが好ましい。このような実施形態において、二次孔は近接の無機粒子の間に区画され得る。
【0027】
本発明の第一および第二の好ましい実施形態において、マトリックスは、有機高分子物質との組み合わせで無機粒子の凝集体から本質的になるか、または該凝集体のみからなる。さらに好ましい実施形態において、賦形剤はマトリックスから本質的になるか、または該マトリックスのみからなる。
【0028】
第一または第二の観点における本発明のある好ましい実施形態において、医薬賦形剤は、約5〜約95重量%までの高分子物質または鋳型を含み、該医薬賦形剤の残りの部分は、該無機粒子または物質を含む。ある実施形態において、該高分子物質または鋳型は、該医薬賦形剤の約20〜約80重量%を含み、該医薬賦形剤の残りの部分は、該無機粒子または物質を含む。一次および二次孔の両方、特に二次孔は、実質的に球形であることができる。
【0029】
本発明の第一および第二の観点の両方において、賦形剤は好ましくは微粒子であり、約1000、500、300または250μmまで、好ましくは少なくとも約10、50および100μmの平均幅を有するマトリックス粒子を含むか、あるいは該マトリックス粒子から本質的になることができる。
【0030】
本発明の第一または第二の観点のいずれかによる賦形剤において用いられる有機高分子物質は、好ましくは医薬上許容され、20〜50℃の間の水中で24時間以内に少なくとも容易に可溶である(readily soluble) (Martindale、第31版、1996に定義されるように)のが好ましい。
【0031】
有機高分子物質は、セルロースエーテル、特にヒドロキシアルキルセルロース類およびカルボキシアルキルセルロース類、より特にヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロース誘導体、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど、およびこれらの混合物であることができるか、またはこれらを含むことができる。代わりに、ポリ(アミノ酸)、ポリ(アミノ酸エステル類)、ポリ(カルボン酸)、ポリ(ヒドロキシカルボン酸)、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリアルキレングリコールおよび関連するコポリマーのような種々の高分子を用いることができる。例えば、ポリ−L−アスパラギン酸、ポリ(リシン)、およびポリ(グルタミン酸)のようなポリ(アミノ酸)を用いることができる。ポリ(乳酸−co−リシン)(PLA/Lys)およびポリ(エチレングリコール)−ポリ(アスパラギン酸)ブロックコポリマーのような関連するコポリマーも用いることができる。本発明における使用に適するその他の高分子は、N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)メタクリルアミドのコポリマー(HPMAコポリマー)を含む。
【0032】
高分子物質は、限定されないが、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ガラクタン、マンナン、アルジネートのようなベジタブルガム、カラヤガム、ペクチン、寒天、トラガカント、アカシア、カラギーナン、トラガカント、キトサン、アルギン酸、その他の多糖類ガム(例えば親水コロイド)、およびいずれの上記のものの混合物を含む医薬上許容されるガムが好ましい。本発明において有用であり得る特定のガムのさらなる例は、限定されないが、アカシアカテキュー、サライグッガル、インディアンボデラム(indian bodellum)、コパイバガム、アギ、カンビガム、エンテロビウム・シクロカルパム(Enterolobium cyclocarpum)、マスチックガム、ベンゾインガム、サンダラック、ガンビールガム、ブテアフロンドーサ(フレームオブフォレストガム)、ミルラ、コンニャクマンナン、グアールガム、ウェランガム、ゲランガム、タラガム、ローカストビーンガム、カラギーナンガム、グルコマンナン、ガラクタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、キサンタンガム、脱アセチル化キサンタンガム、ペクチン、ポリペクチン酸ナトリウム、グルテン、カラヤガム、タマリンドガム、ガッティガム、アカロイド/ヤッカ/レッドガム(Accaroid/Yacca/Red gum)、ダマールガム、ビャクシンガム、エステルガム、ギンネムシードガム、タルハガム(アカシアセヤル(acacia seyal))、ならびにアカシア、アクチニジア、アプテニア、カルボブロタス、チコリウム、ククミス、グリシン、ヒビスカス、ホルデウム、レトゥカ、リコペルシコン、マルス、メディカゴ、メセンブリアンテマム、オリザ、パニカム、ファラリス、フレウム、ポリアタス、ポリカルボフィル、シダ、ソラナム、トリフォリウム、トリゴネラ、アフゼリア・アフリカーナ(Afzelia africana)シードガム、トレクリア・アフリカーナ(Treculia africana)ガム、デタリウムガム、カシアガム、カロブガム、プロソピス・アフリカーナ(Prosopis africana)ガム、コロカシア・エスレンタ(Colocassia esulenta)ガム、ハケア・ギボサ(Hakea gibbosa)ガム、カーヤガム(khaya gum)、スクレログルカン、トウモロコシ属の植物のものを含む培養植物細胞のガム、前記のもののいずれかの混合物などを含む。
【0033】
高分子物質は複数の高分子を含むことができ、最も好ましい高分子物質は、多糖類、タンパク質およびこれらの混合物である。好ましい例は、キサンタンガム、デキストラン、アカシアガムおよび卵白を含む。
【0034】
本発明の第一の観点による賦形剤に用いられる無機粒子を形成する無機物質、および本発明の第二の観点による賦形剤に用いられる無機物質は、シリカであることができ、より好ましくは医薬上許容されるアルカリ土類金属塩であることができる。その好ましい例は、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムマグネシウム(calcium magnesium carbonate、ドロマイト)を含む。もちろん、このようなアルカリ土類金属塩のいずれの同質異像を用いることができ、かつ選択されたこのような同質異像は、本発明において用いるのに特に有利であることが認識される。医薬上許容される無機物質は、ヒトの胃腸管において遭遇するpH(例えば約1.6〜約7.2の間のpH)で容易に溶解するのが好ましい。最も好ましいアルカリ土類金属塩は、リン酸カルシウムおよび炭酸カルシウムである。リン酸カルシウムの最も好ましい形は、ヒドロキシアパタイト、ブラッシュ石およびリン酸三カルシウムであり、炭酸カルシウムの最も好ましい形は、方解石およびファテライトである。ある好ましい実施形態において、複数の無機物質が賦形剤に含まれる。
【0035】
本発明のある実施形態において、賦形剤またはマトリックスは、発泡性物質(effervescent material)を含む。ある実施形態において、発泡性物質を含むことにより、マトリックス中で内部の閉鎖孔(internal closed pores)を与え得る気泡をマトリックス中に創るであろう。本発明による使用のためのある発泡性物質は、例えば有機酸と炭酸塩または重炭酸塩のような発泡性の対を含む。適切な有機酸は、例えばクエン酸、酒石酸、リン
ゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸およびアルギン酸ならびに無水物および酸の塩を含む。適切な炭酸塩および重炭酸塩は、例えば炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸ナトリウム(sodium glycine carbonate)、L−リシン炭酸塩(L-lysine carbonate)およびアルギニン炭酸塩(arginine carbonate)を含む。代わりに、発泡性の対の酸成分のみが存在することができる。
【0036】
本発明のある実施形態において、本発明の第一または第二の観点による賦形剤は、本発明の第三の観点(以下に記載される)による賦形剤の前駆体として用いることができる。
【0037】
第三の観点において、本発明は、溶融無機要素の多孔性の網目を含み、該網目が約0.01〜100μmの範囲内の平均幅を有する複数の孔を区画する医薬賦形剤を提供する。溶融要素は、約10、5または2μm以下の平均幅を有するのが好ましい。好ましい実施形態において、無機要素は、複数のばらばらの近接したこのような要素への熱の作用により溶融される。
無機要素は、少なくとも部分的に結晶性であるのが好ましい。
【0038】
本発明の第三の観点による賦形剤の好ましい実施形態において、孔は一次孔および二次孔を含み、一次孔は約2〜500μmの平均幅を有し、かつマトリックスから形成される構造要素の間で区画され、二次孔は0.01〜10μmの平均幅を有し、かつ該構造要素内で区画され、二次孔の平均幅は一次孔の平均幅より小さい。好ましくは、一次孔の平均幅は、少なくとも約5、10、20または40μm、および好ましくは約300、200、100または50μm以下である。好ましくは、二次孔の平均幅は、少なくとも約0.01、0.05または0.1μm、および好ましくは約5、3、2、1.5または1μm以下である。好ましくは、一次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、二次孔の平均幅より大きい幅を有する。また、二次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、一次孔の平均幅より小さい幅を有するのが好ましい。
【0039】
構造要素は、一次孔を区画する一次壁の形であることができ、かつ二次孔を区画する二次壁の網目を含むことができる。好ましくは、一次壁は約10〜500、10〜200、20〜100または10〜50μmの平均幅を有する。二次壁は、好ましくは約0.01〜5または0.5〜2μmの平均幅を有する。
【0040】
代わりの実施形態において、本発明の第三の観点による賦形剤は、0.01〜50μmの平均幅を有する複数の孔を区画する。
【0041】
無機要素は、好ましくは、本発明の第一および第二の観点において上記される性質の無機物質から形成される。
【0042】
本発明の第三の観点による賦形剤は、好ましくは微粒子であり、約500、300または250μmまで、そして好ましくは少なくとも約10、50および100μmの平均幅を有する粒子を含み得るか、または該粒子から本質的になることができる。
【0043】
本発明の第三の観点による賦形剤は、溶融無機要素から本質的になるか、または溶融無機要素のみからなるのが好ましい。
【0044】
本発明のいずれの上記の観点による賦形剤は、0.25〜1.5g/cm3の範囲、より好ましくは0.25〜0.75g/cm3の範囲のかさ密度、および/または0.5〜2g/cm3の範囲、より好ましくは0.5〜1g/cm3の範囲のタップ密度を有することがで
きる。
賦形剤のかさ密度およびタップ密度は、以下の方法を用いて測定することができる。賦形剤10mLを、サンプルの攪拌を回避しながら10mLのメスシリンダー中に秤量し、質量を記録する。次いでサンプルを50回タップして容量を記録する。容量の変化が観察されなくなるまでタッピング過程を繰り返す。かさ密度およびタップ密度は、それぞれかさ容量(bulk volume)またはタップ容量で除した賦形剤の質量として算出される。
【0045】
本発明は、部分的に、医薬上許容される高分子物質を含む高分子鋳型の表面上を被覆する、結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩を含み、10m2/gより大きい比表面積を有する医薬賦形剤にも関する。
さらに本発明は、部分的に、高分子鋳型を密に伴う結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩から本質的になる多孔性のマトリックスを含み、10m2/gより大きい比表面積を有する医薬賦形剤に関する。
【0046】
本発明による賦形剤は、高い比表面積を示すのに特に有利である。このように高い比表面積の賦形剤は、受容者の胃腸管の生理的流体中での溶解性が乏しい治療剤と共に用いるために特に望ましい。これは、該賦形剤がこのような環境におけるこのような剤の溶解を助けることができるという点からである。特に、これを本発明による賦形剤と共に用いることにより、溶解性が乏しい治療剤の溶解速度(および有利にはその再現性)が、従来の網目状でない(un-reticulated)賦形剤と共に用いた、対応する質量の治療剤で達成されるものに比べて増大され得る。
【0047】
本明細書で用いられる「単位投与量」の用語は、単回投与に適し、所望の治療効果を生み出す剤の有効量を含む治療剤の量を意味する。本発明は、本質的に以下により詳細に記載されるように、受容者の胃腸管を剤が通過する間に、水溶性に乏しい治療剤のこのような単回投与量の受容者への投与を成し遂げる。
本明細書において用いられる「投与」の用語は、全身療法のための受容者の血流、または受容者の胃腸管内の溶液への治療剤の投与を意味する。
本明細書において用いられる「治療」の用語は、確立された症状の治療と共に、予防も含み得る。
【0048】
「網目状三次元微小構造」、「網目状微小構造」、「支持体」、「支持体物質」、「骨格」および「構築物」の用語は、本発明の目的のために、上記のようなマトリックスを含む本発明の賦形剤生成物の物理的構造を表す代替となり得る用語とみなされる。よって、本明細書においてこれらの用語が用いられる場合、読者は、本発明による賦形剤の実施形態について言及していることを理解すべきである。
【0049】
本明細書において用いられる「鋳型」の用語は、本発明の目的のために、その上またはその中に無機物質が結晶化されるかまたは沈積(deposit)される高分子構造(例えばデキストラン、キサンタンガム)を表すとみなされる。よって、組み合わせた物質(無機物質および高分子鋳型)は、構築物または本発明の賦形剤の実施形態を形成することができる。
本明細書において用いられる「治療上の有効成分(therapeutically active agent)」の用語は、本発明の目的のために、ヒト受容者に単位投与量として投与されたときに効果を示す化学的または生物学的な剤とみなされる。
【0050】
本発明のいずれの観点による賦形剤および医薬品生成物(網目状三次元微小構造または支持体)は、少なくとも1m2/g、好ましくは少なくとも2m2/gおよび特に少なくとも5m2/gの比表面積を有することができる。原則として、網目状微小構造または支持体の比表面積は、その結晶が実際上達成し得る程度に高いことができる。本発明により用
いられる網目状三次元微小構造または支持体について、200m2/gまでの比表面積を達成することができる。一般的に、本発明により用いられる網目状三次元微小構造または支持体(賦形剤または医薬品生成物)は、100m2/gまで、または50m2/gまでの比表面積を有することができる。好ましい比表面積は5〜50m2/g、より好ましくは10〜40m2/gの範囲であり得る。
【0051】
実質的に上記のような網目状三次元微小構造は、より一般的には、少なくとも2m2/gおよび少なくとも5m2/gの比表面積を有する。また、実質的に上述したように、このような網目状三次元微小構造は、100m2/gまで、または50m2/gまでの比表面積を有する。比表面積の好ましい範囲は、5〜50m2/g、より好ましくは10〜40m2/gである。
【0052】
さらに本発明は、部分的に、医薬上許容される高分子物質を含む高分子鋳型の表面上を被覆する結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩を含む医薬賦形剤に関し、該賦形剤は、0.25〜1.5 g/cm3の範囲、より好ましくは0.25〜0.75 g/cm3の範囲のかさ密度を有する。
【0053】
さらに本発明は、部分的に、高分子鋳型を密に伴う結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩から本質的になる多孔性マトリックスを含む医薬賦形剤に関し、該賦形剤は0.5〜2 g/cm3の範囲、より好ましくは0.5〜1 g/cm3の範囲のタップ密度を有する。
【0054】
さらに本発明は、部分的に、高分子鋳型と構築物を区画する結晶の形のアルカリ土類金属塩との多孔性マトリックスを含む粒子を含む医薬賦形剤に関し、該構築物は、約50〜約500μmの平均幅を有する一次壁を区画するストランドを含み、該一次壁は、(i)高分子鋳型を形成する高分子;(ii)アルカリ土類金属塩の凝集結晶;および/または(iii)該高分子の表面上を被覆する該アルカリ土類金属塩の凝集結晶を含み、該ストランドは、約5〜約300μmの平均幅を有する一次孔が少なくとも2つの該ストランドの間で区画されるように配置され、該構築物は、該ストランドの表面から伸びる二次壁を含み、該二次壁は、約0.01〜約5μmの平均幅を有し、かつ該アルカリ土類金属塩の結晶を含み、該二次壁は、該構築物が、少なくとも2つの二次壁の間で区画される約0.01〜約5μmの平均幅を有する二次孔を含むように配置される。
【0055】
マトリックスまたは構築物が、高分子鋳型と共に無機物質を含むある実施形態において、拡大下での賦形剤生成物は、ある実施形態において、その中でひもが絡まったひもの球(a ball of string)に類似した外観を有し、網目状3次元微小構造をつくる。賦形剤生成物のストランド(すなわち「球」の「ひも」)は、絡まったストランドの間に開放空間または孔を創るようにして絡まる。ストランドは、マトリックスまたは構築物の「一次構造」(以下、「一次壁」という)を含み、絡まったストランド間の空間または孔は、「一次孔」の例である。これらのストランドの表面は、平滑でないが、むしろ不揃いの表面を有するのが好ましい。医薬賦形剤生成物が高分子鋳型物質と無機物質との組み合わせを含む状況において、一次壁は、無機物質で被覆されるかまたは囲まれる高分子に含まれ得る。一次壁は、互いに極めて接近した(または接触した)無機物質の凝集体または凝塊にも含まれ得る。高分子鋳型が、無機物質がその表面に被覆された(例えば沈殿された)後に除去される実施形態において、一次壁は、互いに極めて接近した(または接触した)無機物質の凝集体または凝塊にも含まれ得る。好ましい実施形態において、二次粒子または二次壁は、一次壁の表面上に形成される。これらの二次粒子または二次壁は、好ましくはリン酸カルシウムまたはその他の医薬上許容されるカルシウム塩である無機物質に含まれる。無機物質の小さい結晶の間の空間は、本発明による「二次孔」の例である。本発明の医薬賦形剤生成物(構築物)に存在するか、または存在しない第三のタイプの孔がある。この第三のタイプの孔(「三次孔」)は、構築物の表面に対して開放でない二次孔の形態であ
る(例えば凝集した二次孔の結合された内部表面により形成される穴または空隙である)。構築物の一次壁を含むストランドが本質的に平滑である状況において、構築物内の二次粒子または二次壁の量は減少するであろう。この理由のために、本発明により賦形剤を形成する好ましい方法は、不揃いの表面を有し、それにより所望の比表面積を有する構築物を提供するのに充分な程度の二次壁を含むストランドを含むマトリックスまたは構築物をつくるために、高分子鋳型の表面への無機物質の制御結晶核形成(controlled crystal nucleation)を介する。
【0056】
ある好ましい実施形態において、構築物の一次壁は約10〜約500μm、好ましくは約10〜約200μmの平均幅(または長さに対しての厚さ)を有し、ある実施形態において約20〜約100μmの平均幅を有する。理論的には、一次壁の平均幅が約10〜約50μmのような実施形態において、一次壁構造はできる限り薄いのが好ましい。
ある好ましい実施形態において、本発明の医薬賦形剤の二次壁の平均幅(または長さに対しての厚さ)は、約0.01〜約5μmであり、好ましくは約0.5〜約2μmである。
【0057】
ある好ましい実施形態において、一次孔のサイズは約5〜約300μmであり、ある実施形態において約10〜約200μmであり、ある好ましい実施形態において約10〜約50μm、または20〜30μmである。
本発明の医薬賦形剤の二次孔は、約0.01〜約5μmの範囲の平均サイズ、好ましくは約0.01〜約2μmの範囲の平均サイズ、より好ましくは約0.1〜約3μmの範囲の平均サイズ、好ましくは約0.1〜約2μmを有する。
【0058】
本発明の医薬賦形剤の一次壁および二次壁は、形が不揃いで、よって孔の形も同様に不揃いであるということになるとみなされるべきである。本発明の賦形剤生成物(構築物)は0.01μmより小さいサイズを有する二次孔を含むことが可能であるが、現在、このような小さい孔への液体の浸透は可能でないと考えられている。よって、薬物がこのような孔の中に被覆され得るとは考えられず、そして溶解媒体(例えば胃腸の流体)は、孔の中に入って、もしそこにあったとしても薬物を溶解することができないと考えられている。好ましい実施形態において、二次孔の平均サイズは直径(across)約0.5〜約1.5μmである。
【0059】
第四の観点において、本発明は、有機高分子物質を含む網目状の鋳型を形成する工程;該鋳型との組み合わせで無機粒子の凝集体を含む構築物を形成する工程;および該構築物を凝固させて、該無機高分子物質との組み合わせで該無機粒子を含む固体の網目状マトリックスを形成する工程を含み、該マトリックスが、0.01〜500μmの平均幅を有する複数の孔を区画し、そして/または少なくとも1m2/gの比表面積を有する、固体の網目状マトリックスを製造する方法を提供する。
【0060】
網目状の鋳型、無機粒子の凝集体および構築物は、実質的に同時につくることができ、網目状の鋳型は無機粒子の凝集体を含むことができるか、または無機粒子は網目状の鋳型を被覆することができる。
【0061】
実施形態において、網目状の鋳型は第二の相を分散させることによりつくることができ、第二の相は、有機高分子物質を含む液相中で、固体粒子または気泡を含むか、あるいは本質的に固体粒子または気泡からなるのが好ましい。好ましい実施形態において、この液相は、適切な溶媒中の有機高分子物質の溶液(コロイド状であり得る)を含む。該固体粒子は、有機物質から形成されるのが好ましく、かつ一旦固化または凝固される有機高分子物質が実質的に不溶な溶媒中に可溶であるのが好ましい。無機粒子は、この後者の溶媒中に実質的に不溶であるのも好ましい。
【0062】
網目状の鋳型は、適切な溶媒中の有機高分子物質の溶液から自発的に形成されるか、または溶解された有機高分子物質への架橋剤の作用により形成され得る。
全ての場合において、網目状の鋳型は、高分子物質の溶液、好ましくは水溶液から形成されるのが好ましい。
【0063】
実施形態において、無機粒子の一部、任意に実質的に全部が、有機高分子物質を含む溶液からの沈殿により形成される。無機粒子は、好ましくは無機(イオン性)塩を含み、かつ溶液が、好ましくは該塩の溶解されたアニオンおよび/またはカチオンをさらに含む。好ましくは、沈殿が始まる前に、この溶液は塩の溶解されたアニオンを含むが、溶解されたカチオンを実質的に含まないか、または塩の溶解されたカチオンを含むが、溶解されたアニオンを実質的に含まない。沈殿は、塩である溶解されたイオンに対する対イオンの溶液の添加によりもたらされるのが好ましい。沈殿による無機粒子の形成は、網目状の鋳型の形成の間またはその後に起こり得る。
【0064】
他の実施形態において、無機粒子は予め形成され、かつ有機高分子物質を含む液相に分散される。後者は、任意に適切な溶媒中の溶液であってもよい。予め形成された無機粒子は、インシトゥーでの沈殿により形成された他のものを含むことができ、かつ網目状の鋳型が、有機高分子物質を含む液相中に固体粒子または気泡を分散させる工程により形成される場合に、少なくともいくらか、任意に全ての無機粒子が予め形成される。
【0065】
無機粒子は好ましくは結晶性である。
無機物質の粒子または結晶の平均幅は、約0.1〜50μmの範囲が好ましい。無機物質の粒子または結晶の平均幅は、好ましくは約30、25、15、10、5または1μm未満であり、より好ましくは約0.1〜25、0.2〜10または0.2〜5μmである。ある状況において、無機物質の粒子または結晶の平均幅は、約0.1〜約0.2μmの間、または約1〜約15μmの間であり得る。
【0066】
実施形態において、無機粒子の凝集体は、網目状の鋳型の部分を形成することができる。網目状の鋳型と無機粒子の凝集体との構築物は、空気乾燥、自発的架橋、架橋剤の作用、温度変化、沈殿による無機粒子の形成行為、電磁放射線の影響および/または有機高分子物質を固体または実質的に固体の塊に固化させるか、あるいは溶液から固体または実質的に固体の塊として沈殿させるためのいずれのその他の既知の手段を含む種々の手段により凝固することができる。
【0067】
無機粒子は、アルカリ土類金属の炭酸塩またはリン酸塩を含むのが好ましい。また本発明のこの観点による方法は、有機高分子物質と可溶性のリン酸塩または炭酸塩との水溶液を形成し、そしてアルカリ土類金属の炭酸塩もしくはリン酸塩無機粒子を、該溶液から、アルカリ土類金属の可溶性の塩の水溶液の添加により沈殿させることを含むのが好ましい。好ましいアルカリ土類金属塩は塩化物である。アルカリ土類金属塩の溶液は、網目状の鋳型の形成の間、またはその後に添加することができる。
【0068】
網目状の鋳型が、有機高分子物質の溶液を含む液相中に気泡を連行することにより形成される実施形態において、無機粒子のいくらかあるいは実質的に全ては、特にアルカリ土類金属の炭酸塩またはリン酸塩からなる場合に、該連行過程の間に沈殿が引き起こされる。網目状の構造が、有機高分子物質を含む液相中に固体粒子を分配することにより形成される実施形態において、固体粒子は、構築物が凝固した後に、適切な溶媒中での溶解により除去され得る。
【0069】
好ましい有機高分子物質は多糖類およびタンパク質を含み、そして好ましいアルカリ土類金属塩は炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムである。しかしながら、本発明のその
他の実施形態の上記の議論において詳述した有機高分子物質および無機物質の全ては、本発明のこの第四の観点の実施において用いることができる。これらの物質は、個別に、または混合して用いることができる。つまり、有機高分子物質は高分子の混合物を含むことができ、かつ無機粒子は1種より多い無機物質の粒子を含み得る。網目状の鋳型を形成するのに用いられる好ましい固体粒子はラテックス粒子であり、これは最終の多孔性マトリックスから、アセトンのような溶媒の行為により除去することができる。有機高分子物質の混合物を用いることができ、アルカリおよび土類金属の炭酸塩およびリン酸塩の混合物も用いることができる。
【0070】
特に好ましい実施形態において、本発明の第四の観点による方法は、医薬賦形剤、好ましくは本発明の第一、第二または第三の観点のいずれかによる医薬賦形剤を作るのに用いることができる。このような好ましい実施形態において、本発明の第四の観点による方法によりつくられるマトリックスは、本発明の第一、第二または第三の観点による医薬賦形剤の固体の網目状マトリックスであり、よって、この後者のタイプのマトリックスが有し得る特徴のいずれかまたは全てを有し得る。
【0071】
本発明の第五の観点において、有機高分子物質と無機粒子との固体の網目状マトリックスは、有機高分子物質を排除し、かつ無機粒子が100μmまでの平均幅を有する複数の孔を区画する第二の固体の網目状マトリックスに一緒に溶融するのを引き起こすことの両方のために充分に高い温度まで加熱される。
【0072】
好ましくは、有機高分子物質は排除され、かつ有機高分子は、固体の網目状マトリックスを少なくとも約800℃かつ約1600℃までの温度に、好ましくは約5時間までの期間加熱することにより溶融する。固体の網目状マトリックスの温度は、好ましくは室温から上記の上昇された温度まで、1分当たり約1〜約20℃の間の速度で上昇させる。本発明の第五の観点において用いられる有機高分子物質と無機粒子との固体の網目状マトリックスは、本発明の上記のいずれの観点の関係において記載したようなマトリックスであり得る。これは、有機高分子物質と無機粒子とから固体の網目状マトリックスをつくるための上記のいずれの方法によりつくることもできる。
【0073】
固体の網目状マトリックスを約1100℃まで、好ましくは約1050℃までの温度に加熱する場合に、得られる第二の固体の網目状マトリックスは、一次および二次孔を含み、ここで一次孔は約2〜500μmの平均幅を有し、第二のマトリックスからつくられる構造要素の間に区画され、二次孔は0.01〜10μmの平均幅を有し、該構造要素の中で区画され、かつ二次孔の平均幅は、一次孔の平均幅より小さい。好ましくは、一次孔の平均幅は少なくとも約5、10、20または40μmであり、好ましくは約300、200、100または50μm以下である。二次孔の平均幅は、少なくとも約0.01、0.05または0.1μmが好ましく、好ましくは約5、3、2、1.5または1μm以下である。好ましくは、一次孔の少なくとも約50、55、70、80、90または95%が二次孔の平均幅より大きい幅を有する。また、二次孔の少なくとも約50、55、70、80、90または95%が一次孔の平均幅より小さい幅を有するのが好ましい。構造要素は、一次孔を区画する一次壁の形にあることができ、かつ二次孔を区画する二次壁の網状組織を含むことができる。一次壁は、約10〜500、10〜200、20〜100もしくは10〜50μmの平均幅を有するのが好ましい。二次壁は、約0.01〜5もしくは0.5〜2μmの平均幅を有するのが好ましい。
【0074】
有機高分子物質と無機粒子との固体の網目状マトリックスを1100℃を超える温度、好ましくは約1200または1250〜1500℃の範囲内の温度に加熱する場合に、得られる第二の固体の網目状マトリックスは、約0.01〜50μmの平均幅の複数の孔を区画する。これらの孔の幅は、実質的に通常ほぼそれらの平均幅に分布し、一次および二
次孔、または一次もしくは二次壁の形の構造要素の群が認識できないのが好ましい。第二の固体の網目状マトリックスは、該溶融された無機粒子から本質的になるか、または無機粒子のみからなる。
【0075】
特に好ましい実施形態において、本発明の第五の観点による方法は、炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウム粒子の分散液を多糖類の水溶液中に準備する工程、該多糖類を約100℃より下の温度で凝固または固化させる工程、および次いで得られる固体構築物を約900〜1500℃の間の温度で約5時間まで焼結して、本発明の第三の観点による固体の網目状マトリックスを得る工程を含む。多糖類は、デキストランであるのが好ましく、室温での空気乾燥または架橋剤、好ましくはエピクロルヒドリンの添加により固化または凝固することができる。
【0076】
別の特に好ましい実施形態において、本発明の第四の観点による方法は、多糖類と可溶なリン酸塩または炭酸塩との水溶液を準備する工程、カルシウム塩の水溶液を該多糖類とリン酸塩との溶液と混合する工程、および得られる混合物を凝固させる工程を含む。好ましくは、該多糖類はデキストラン、キサンタンガムまたはアカシアガムである。好ましくは、該リン酸塩または炭酸塩は、リン酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウムであり、好ましくは、該カルシウム塩は塩化カルシウムである。多糖類の水溶液は、少なくとも約40、45、50、55、60%の多糖類を含むのが好ましく、リン酸塩または炭酸塩は、モル濃度過剰で用いられるのが好ましい。好ましくは、2つの溶液は、約50または60℃を超える温度で攪拌しながら混合され、一旦混合されると、得られる混合物が室温(約20℃)に冷却するのを許容し、少なくとも約24時間の期間、凝固するのを許容する。
【0077】
さらに好ましい実施形態において、本発明の第四の観点による方法は、タンパク質と可溶な炭酸塩またはリン酸塩との水溶液を準備する工程、溶液中に、泡を形成するように気泡を連行する工程、カルシウム塩の水溶液をリン酸塩とタンパク質との溶液と混合する工程、および得られる泡を、タンパク質を充分に変性させて凝固させるように加熱する工程を含む。代わりの実施形態において、炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウムの粒子をタンパク質溶液に添加し、次いでスラリー中に泡を形成するように気泡を連行し、そして該泡をタンパク質を充分に変性させて凝固させるように加熱する。気泡は空気の泡が好ましく、好ましいタンパク質は卵白であり、泡は40〜100℃まで12〜24時間加熱されるのが好ましい。
【0078】
別の好ましい実施形態において、本発明の第四の観点による方法は、多糖類とリン酸塩または炭酸塩との水溶液を準備する工程、該溶液中に直径約0.1〜10μmの間のビーズ(該溶液中に実質的に不溶である)を分散する工程、得られるスラリーにカルシウム塩の水溶液を混合する工程、得られる固体を約15〜80℃の間の温度で乾燥する工程、ならびに該固体に、該固体ビーズを溶解し得るが、該得られる固体のいずれの実質的な量も溶解し得ない溶媒を添加する工程を含む。多糖類は、好ましくはガムであり、より好ましくはキサンタンガムである。可溶性のリン酸塩または炭酸塩は、リン酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが好ましい。固体のビーズは、ラテックスから作られ、かつアセトンの添加により溶解するのが好ましいが、固体生成物は溶解しない。可溶性のカルシウム塩は、好ましくは塩化カルシウムであり、多糖類水溶液は、約0.5〜5% W/Vの間の該多糖類を含むのが好ましい。
【0079】
好ましい実施形態において、本発明の無機構築物は、医薬上許容されるアルカリ土類金属塩(炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムのような)を用いることにより準備することができ、制御結晶化方法により製造することができる。網目状の構築物は、デキストランのような医薬上許容される高分子鋳型により結晶核形成を制御することにより製造することができる。結晶核形成は、結晶化に向けて高分子鋳型と共に起こり、構築物の薄いス
トランド(またはフィラメント)を形成するのが好ましい。高分子鋳型は、最終構築物の中に保持されるか、または所望により加熱によって除去されることができる。本発明の好ましい実施形態において、高分子鋳型は保持される。
【0080】
さらに本発明は、部分的に、医薬上許容される高分子物質をリン酸塩または炭酸塩溶液中に溶解し;塩化カルシウムを、溶解された高分子物質を含む溶液中に制御された様式で添加し;そしてその後に、高分子鋳型を密に伴うリン酸または炭酸カルシウムの結晶を含む構築物を含む得られる固体物質を、該構築物が約10m2/gより大きい比表面積を有するように回収することを含む医薬賦形剤の製造方法に関する。好ましくは、塩化カルシウムは、高分子鋳型と構築物を区画する結晶の形の該リン酸または炭酸カルシウムとの多孔性マトリックスが形成されるような様式で添加され、該構築物は約50〜約500μmの平均幅を有する一次壁を区画するストランドを含み、該一次壁は(i)高分子鋳型を形成する高分子;(ii)アルカリ土類金属塩の凝集結晶;および/または(iii)該高分子の表面上を被覆する該アルカリ土類金属塩の凝集結晶を含み、該ストランドは約5〜約300μmの平均幅を有する一次孔が少なくとも2つの該ストランドの間で区画されるように配置され、該構築物は該ストランドの表面から伸びる二次壁をさらに含み、該二次壁は約0.01〜約5μmの平均幅を有し、かつ該アルカリ土類金属塩の結晶を含み、該二次壁は、該構築物が少なくとも2つの二次壁の間で区画される約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有する二次孔を含むように配置される。
【0081】
さらなる実施形態において、該方法は、本発明の医薬賦形剤を治療剤と、該治療剤が医薬賦形剤上を被覆するような様式で併用することを含む。好ましくは、治療剤は医薬賦形剤上を、例えば約1%〜約50% w/wのレベルで被覆する。治療剤は、溶媒蒸発、噴霧乾燥および凍結乾燥のような方法により、該医薬賦形剤上を被覆することができる。
【0082】
さらなる実施形態において、該方法は、治療剤で被覆された医薬賦形剤を、経口固体投与形態に組み込むことをさらに含む。
本発明のある好ましい実施形態において、賦形剤または網目状三次元微小構造は、医薬上許容される高分子鋳型(例えばデキストラン、キサンタンガム)により無機物質(例えばリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなど)の結晶核形成を制御することにより製造できる。結晶核形成は、結晶化に向けた高分子鋳型と共に起こり、構築物の薄いストランドを形成するのが好ましい。高分子鋳型は、最終構築物中に保持されるか、または所望により加熱によって除去されることができる。ある好ましい実施形態において、高分子鋳型は保持されて、賦形剤または網目状三次元微小構造の部分を形成する。
【0083】
他の実施形態において、予め形成された無機物質の粒子は、インシトゥーで形成される粒子と共に、または該粒子の代わりに用いることができる。予め形成された粒子の使用は、網目状高分子鋳型が気泡または固体粒子を、有機高分子物質を含む液相に分散させる工程を含む方法により製造される場合に特に好ましい。
【0084】
本発明の医薬賦形剤は、当業者に公知のいずれの方法により製造することができる。例えば、ある一般的な製造方法は次のとおりである。医薬上許容される高分子鋳型物質をリン酸塩または炭酸塩の溶液に溶解し、次いで塩化カルシウムを制御された様式で添加する。リン酸または炭酸カルシウム結晶を、例えば鋳型の存在下に形成(沈殿)する。もし存在すれば、残存の液体を移動させてデカントにより除去できる。代わりに、固体を移動させることができる。その後、固体構築物を乾燥する。
【0085】
例えば、リン酸カルシウム構造を構築物と共に製造するために、例えば次の物質を用いることができる。Na2HPO4:0.1〜10molL-1の範囲で2molL-1。CaCl2:0.1〜10molL-1の範囲で4molL-1。鋳型物質:5〜95% w/wの範
囲で25〜85% w/w。この場合、% w/wは、鋳型物質の重量およびリン酸カルシウムの重量について定義される。
鋳型を形成する高分子物質は、次いで、(好ましくは)最終構築物に保持されるか、または所望により加熱によって除去される。
【0086】
多くの場合、賦形剤生成物(例えば構築物)は、はっきりしたジオメトリーを有さず、むしろ不揃いな塊(lump)の、より小さい破片に容易に砕かれ得る実行可能な(viable)物質を含む。
しかしながら、少なくとも、賦形剤生成物をより小さい破片に砕く工程は、生成物自体の構造を損なわない(すなわち、孔または一次および二次壁ならびに孔を含む、物質の三次元網目状微小構造を破壊しない)様式で(もし行うならば)行うのが好ましい。
【0087】
上記の結晶化過程は、最終の結晶ジオメトリーが、達成可能な最高の表面積を有するように制御されるのが好ましい。構築物は、例えば固体経口投与形態を製造するのに有用な、最終生成物医薬賦形剤の粒子を提供するために、ふるいにかけられるか、または修飾されるのが好ましい。好ましくは、医薬賦形剤は、最終生成物医薬賦形剤が約10〜約500μm、好ましくは約50〜約300μm、そしてある実施形態においてより好ましくは約100〜約250μmの平均粒子サイズを有するようにふるいにかけられるか、または(構築物の構造を実質的に維持しながら)砕かれる。本発明により製造される医薬賦形剤粒子の好ましいサイズは、最終の使用、例えば製造される経口固体投与形態の種類に依存する。
【0088】
よって、本発明の第六の観点において、本発明の方法、好ましくは本発明の第四および/または第六の観点による方法により製造されるかまたは製造することができる固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤が提供される。このような医薬賦形剤は、本発明の第一、第二および/または第三の観点の医薬賦形剤でもあるのが好ましい。
【0089】
本発明の第六の観点の実施形態において、医薬賦形剤は、有機高分子物質および無機粒子または物質の複数の凝集体の形の固体の網目状マトリックスを含み、網目状鋳型が、有機高分子物質を含む液相に固体粒子を分散させることにより形成される方法により製造されるか、または製造することができる。このような好ましい実施形態において、一次孔は、近接したこのような凝集体の間に位置し、網目状鋳型を形成するのに用いられる固体粒子はラテックス粒子である。
【0090】
本発明のこの観点のさらに好ましい実施形態において、本発明の第三の観点による医薬賦形剤は、本発明の第五の観点による方法により製造されるか、または製造することができる。
【0091】
さらに本発明は、第七の観点において、本発明による医薬賦形剤と医薬上の、好ましくは治療上の有効成分とを含む医薬品生成物に関する。
医薬上の有効成分は、好ましくは微粒子でかつ固体である。本発明の第七の観点の実施形態において、医薬上の有効成分は、賦形剤を密に伴う。このような好ましい実施形態において、医薬上の有効成分の粒子は、固体の網目状マトリックスの孔の中に位置するか、および/またはマトリックスもしくは賦形剤上を被覆することができる。医薬上の有効成分の粒子のサイズによって、これらは固体の網目状マトリックスの一次孔および/または二次孔の中にあることができる。
【0092】
医薬上の有効成分は、FDA公認バイオファーマシューティカル・クラシフィケーション・システム(BCS)のクラス2にあるのが好ましい。医薬上の有効成分は、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30、または1/100(重量/容量)まで
の水溶性を有することができる。医薬上の有効成分は、(マーチンデール(Martindale)での定義されるように)やや溶けない(sparingly soluble)〜溶けない(insoluble)であり得る。
【0093】
本発明の第七の観点による医薬品生成物は、追加の医薬上許容される賦形剤および/または希釈剤を含むことができ、経口固体投与形態であり得る。好ましい経口固体投与形態は、粉末、カプセルおよび錠剤を含み、カプセルが最も好ましい。
医薬上の有効成分は、好ましくは結晶性である。好ましい実施形態において、医薬上の有効成分の粒子または結晶は、約10nm〜10μm、10nm〜5μm、より好ましくは約1μm未満の平均サイズまたは幅を有する。好ましくは、本発明による医薬品生成物は、約1〜約50 W/Wの医薬上の有効成分を含む。
【0094】
本発明の目的は、有効成分の治療的効能を必要とする人の血流中へ有効成分が入ることを促進することである。本発明での使用に適切な有効成分は、生物学的性質の有効成分および化学的性質の有効成分を含む。本発明の有効成分は、薬理学的な剤および治療薬も含む。好ましくは、本発明の賦形剤は、経口投与形態で有効成分と共に有用である。ある実施形態において、本発明による医薬品生成物により提供されるような単数または複数の網目状の微小構造の使用は、鼻、口または経皮の用途によるエアロゾル投与における使用にも有利である。本発明による医薬品生成物により提供される網目状の微小構造の使用は、少なくとも部分的にはこのような網目状微小構造の低い塊密度(mass density)により、このようなエアロソル投与のために有利であり得る。
ある実施形態において、治療剤は、典型的に、経口投与に適する1種以上の生物学的有効物質を含むことができる。
【0095】
ある好ましい実施形態において、治療剤は、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30以下から1/100(重量/容量)までの水溶性を有する。好ましくは、医薬品生成物は該治療剤を約1〜約50% w/w含む。好ましくは、医薬品生成物は約10〜約500μm、ある実施形態においては約50〜約300μm、また他の実施形態では約100〜約250μmの平均粒子サイズを有する。該治療剤は、例えば溶媒蒸発、噴霧乾燥および凍結乾燥からなる群より選択される方法により、医薬賦形剤上を被覆することができる。
【0096】
さらに本発明は、部分的に、本明細書に記載の医薬品生成物の単位投与量を含む経口固体投与形態に関する。経口固体投与形態は、例えば医薬粉末、カプセルまたは錠剤のような形にあり得る。
【0097】
さらに本発明は、部分的に、本明細書に記載の経口投与形態をヒト受容者に投与することを含む治療方法に関する。さらなる観点において、本発明は、医薬(獣医学的医薬を含む)における使用のための本発明による賦形剤または製品を提供する。好ましいこのような使用は、療法によるヒトまたは動物の体の治療、およびヒトまたは動物の体について実施される診断方法である。治療は予防であることができるか、または現在の症状に関することができる。本発明による賦形剤または製品の使用を含む治療(予防を含む)および診断方法も、本発明の権限(remit)の範囲内である。
【0098】
ヒトまたは動物の体について実施される治療または診断方法における使用のための医薬の製造用のこのような賦形剤および製品の使用は、本発明のさらなる観点の範囲内にある。
【0099】
よって本発明によると、少なくとも1種の治療剤と本発明による賦形剤とを含む医薬品生成物が提供され、それにより、該医薬品生成物により提供される治療剤の単位投与量を
、受容者の胃腸管を該治療剤が通過する間に受容者に投与することができる。ここで、該治療剤は、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30以下から1/100(重量/容量)までの水溶性を有することを特徴とする。
【0100】
本発明による医薬賦形剤の使用により、水溶性に乏しい薬物の生物学的利用能を、2つの可能な経路の1つを介する溶解の速度を上昇させることにより上昇させることができる。好ましいオプションは、賦形剤(マトリックスまたは構築物)の網目状三次元微小構造上を被覆する薬物を呈する(present)ことにより、溶解に利用できる薬物の表面積を増加させることである。薬物は、最大限の利用可能な表面積を生むためにマトリックスまたは構築物上を複層、または好ましくは単層として被覆することができる。第二のオプションは、本発明による高表面積の賦形剤または構築物上を被覆する薬物を上記のように呈示することであって、この場合、該賦形剤または構築物は、球形、立方であってもよく、または種々のジオメトリーを有していてもよい高表面積の粒子を含むであろう。粒子は、実質的な表面粗さ(surface roughness)を示し、高い多孔度(porosity)を示すことができる。
【0101】
本発明の好ましい実施形態において、医薬組成物は、水溶液に溶解または分散させたときに経口で充分に投与されない有効成分、および該有効成分を経口で生物学的に利用可能にする有効量の本発明の医薬賦形剤を含み、ここで該有効成分は、他の手段により受容者に投与されたときに治療効果を与えるものである。有効成分は、本発明の医薬賦形剤に、有効成分が本発明の医薬賦形剤を密に伴うように、有効成分が医薬賦形剤の表面を被覆するような方法で加えられるのが好ましい。
【0102】
上記のように、本発明による医薬品生成物における使用により特に利益を得る治療剤は、FDA公認バイオファーマシューティカル・クラシフィケーション・システム(BCS)のクラス2として通常定義されるものを含む。このような薬物は、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30以下から1/100(重量/容量)までの水溶性を通常有するものを含む。本発明により有利に用いることができるやや溶けにくい〜溶けない(Martindale 第31版、1996. The Royal Pharmaceutical Society出版の第xiii頁参照)薬物の例は、限定されないが、次を含む:グリセオフルビン、アセトアミノフェン(パラセタモール)、アスピリン、アトルバスタチン、メフェナム酸、イブプロフェン、ケトプロフェン、トリアムテレン、ナプロキセン、テオフィリン、ニフェジピン、インドメタシン、フェニトイン、シクロスポリン、アシクロビル、アルプラゾラム、アロプリノール、アセトヘキサミド、フェニトイン、ベンゾカイン、ベンドロフルアジド(bendrofluazide)、ベンズチアジド(benzthiazide)、ベタメタゾン、クロロチアジド(chlorothiazide)、シメチジン、カルバマゼピン、クロフィブラート、コザピン(cozapine)、酢酸コルチゾン、シクロスポリン、クロルタリドン(chlorthalidone)、クロルプロパミド、クロルプロマジン、クロルジアゼポキシド、シクロペンチアジド(cyclopenthiazide)、デキサメタゾン、ジクロフェナク、ジゴキシン、ファモチジン、フェンプロフェン、フェンブフェン、フルルビプロフェン、フルオキシチン(fluoxitine)、フロセミド、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、グリベンクラミド、ハロペリドール、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコルチゾン、ヒドロフルメチアジド(hydroflumethiazide)、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロラゼパム、ロバスタチン(lovastatin)、メトキサレン、メチルプレドニゾン(methylprednisone)、ナプロキセン、ニフェジピン、ニトロフラントイン(nitrofurantoin)、ニザチジン、オキサゼパム、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、オメプラゾール、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、フェニトイン、ピドロール(pidolol)、プレドニゾン、ピリメタミン、フェニンジオン(phenindione)、レセルピン、スピロノラクトン、トリメトプリム、タクロリムス、スルフィソキサゾール、スルファジアジン、テマゼパム(temazepam)、スルファメラジン(sulfamerazine)、トリオキサレン(trioxsalen)、これらの医薬上許容される塩などを含む。
【0103】
水中でやや溶けにくい〜溶けない他の薬剤は、本発明にしたがって用いることができ、U.S.P. XXIII, NF 18の第2071〜2122頁の参照リストおよび表に列挙されている。
【0104】
本発明における使用に適切な生物学的性質の有効成分は、限定されないが、タンパク質;ポリペプチド;ペプチド;ホルモン;多糖類および特にムコ多糖類の混合物;炭水化物;脂質;その他の有機化合物;ならびに特にそれ自体では胃腸粘膜を通過せず(または投与された投与量のフラクションのみとして通過する)、そして/または胃腸管の酸および酵素により化学開裂を受けやすい化合物;あるいはこれらのいずれかの組み合わせを含む。生物学的性質の有効成分のさらなる例は、限定されないが、合成、天然または組換え起源を含む次のものを含む:ヒト成長ホルモン(hGH)、組換え成長ホルモン(rhGH)、ウシ成長ホルモンおよびブタ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出ホルモン;ブタ、ウシ、ヒトおよびヒト組換えを含み、任意にナトリウム、亜鉛、カルシウムおよびアンモニウムを含む対イオンを有していてもよいインターロイキン-1、インターロイキン-2、インシュリンを含むインターフェロン;IGF-1を含むインシュリン様成長因子;未分画ヘパリン、ヘパリノイド、デルマタン、コンドロイチン、低分子量ヘパリン、超低分子量(very low molecular weight)ヘパリン、および極低分子量(ultra low molecular weight)ヘパリンを含むヘパリン;サケ、ウナギ、ブタおよびヒトを含むカルシトニン;エリスロポエチン;心房性ナトリウム利尿因子;抗原;モノクローナル抗体;ソマトスタチン;プロテアーゼ阻害剤;アドレノコルチコトロピン;ゴナドトロピン放出ホルモン;オキシトシン;ロイシン化(leutinizing)ホルモン放出ホルモン;卵胞刺激ホルモン;グルコセレブロシダーゼ;トロンボポエチン;フィルグラスティム(filgrastim);プロスタグランジン;シクロスポリン;バソプレシン;クロモリンナトリウム(クロモグリク酸ナトリウムまたはジナトリウム);バンコマイシン;デスフェリオキサミン(DFO);フラグメントを含む副甲状腺ホルモン(PTH);抗真菌剤を含む抗菌物質;ビタミン;これらの化合物のアナログ、フラグメント、模倣物(mimetics)またはポリエチレングリコール(PEG)-修飾誘導体、あるいはこれらのいずれかの組み合わせ。
【0105】
さらに、本発明による医薬品生成物は、鼻腔、肺または経皮での適用により行い得るエアロソル投与用の系にしばしば望まれる有利な流動特性も示す。
【0106】
本発明の網目状三次元微小構造を用いて得られる医薬賦形剤の使用により、水溶性が乏しい薬物の生物学的利用能を、溶解速度の上昇により上昇させることができる。好ましくは、本発明は、溶解に利用できる薬物の表面積を、マトリックス(構築物)の網目状三次元微小構造上を被覆する薬物を呈示することにより増加させる。薬物は、最大限の利用可能な表面積を生み出すために、構築物上を複層、または好ましくは単層として被覆することができる。好ましい実施形態において、薬物は、この場合は、球形、立方であるかまたは種々のジオメトリーを有していてもよい高い表面積を含むであろう高い表面積の構築物上を被覆する。粒子は、実質的な表面粗さを示すのが好ましく、高い多孔度を示し得る。構築物(賦形剤)は、約10m2/gを超え、好ましくは約10m2/g〜約40m2/gの比表面積を有するのが好ましい。好ましくは、粒子の安定性の増加は、粒子の凝集の傾向(利用可能な表面積を大きく減少させる効果を有するであろう)を減少させる。
【0107】
本発明の賦形剤または無機構築物は、約100m2/gまで、好ましくは約50m2/gまでの比表面積を有することができ、比表面積の好ましい範囲は約5〜約50m2/g、より好ましくは約10〜約40m2/gである。炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムのようなアルカリ土類金属塩は、ほとんどの有機物質より数倍大きい2〜3.5g/cm3の範囲の密度を有する。本技術における使用のために記載された無機物質は、その高い密度のために、過度の影響なく結晶化を許容するときに非常に低い比表面積を有する。つまり、これらの物質の結晶化を制御することは、これらがインシトゥー沈殿法により、達成
可能な最高の比表面積を有するように最終結晶ジオメトリーが作られる場合に、非常に重要である。物質の比表面積を増大させる最も簡単な方法は、粒子サイズを減少させることである。所望の表面積範囲を達成するために、粒子サイズは約100〜約200nmが好ましい。
【0108】
粒子サイズを減少させることは、本発明による賦形剤または構築物の二次加工にいくらかの懸念を生み出す。有効粒子サイズが小さくなるにつれて、構造の強度は、弱すぎるところまで減少するであろう。表面積の増加と構造強度の減少との間のバランスを見出すことが重要である。このバランスは、例えば粒子の所望の物理的特徴を模る粒子ジオメトリーに基づく公知の等式に基づいて算出することができる。
【0109】
本発明のある実施形態において、本発明による医薬賦形剤生成物は、結晶の形の少なくとも1種の治療剤を含む医薬品生成物を製造するのに用いられる(該治療剤は、例えば水溶性が乏しい)。医薬賦形剤生成物は、実質的に相互に連結させる壁(該壁は、少なくとも部分的に互いに隣接して配置される多数の結晶により与えられる)の網状組織;および該実質的に相互に連結させる壁により区画される多数の孔を含む少なくとも1種の網目状三次元微小構造を含み得る。網目状三次元微小構造は、無機物質(例えばリン酸カルシウム)、または無機物質(例えばリン酸カルシウム)および鋳型(例えばデキストランのような高分子)を含む構築物を含み得る。
【0110】
本発明による医薬品生成物により提供されるような網目状微小構造の壁は、ある実施形態において、0.01〜500μm、好ましくは0.01〜40μmの範囲の厚さを有する。ある実施形態において、好ましい壁の厚さは、実質的に本明細書に記載のような網目状微小構造の精密な多孔構造に依存する。
【0111】
本発明のさらに好ましい観点によると、ある実施形態において、結晶の形の少なくとも1種の治療剤を含む医薬品生成物が提供され、該医薬品生成物は一次網目状三次元微小構造および二次網目状三次元微小構造を含み、該二次網目状微小構造は該一次網目状微小構造の壁を区画し、かつ該一次網目状微小構造は、実質的に相互に連結させる一次壁(該一次壁は該二次網目状微小構造により提供され、かつ実質的に全ての一次壁は10〜40μmの範囲の厚さを有する)の網状組織;および該一次壁により区画される多数の一次孔(実質的に全ての一次孔は、40〜60μmの範囲の孔サイズを有する)を含み、かつ二次網目状微小構造は、実質的に相互に連結させる二次壁(二次壁は、実質的に上記のように少なくとも部分的に互いに接して配置される多数の結晶により提供され、実質的に全ての二次壁は0.5〜5μmの範囲の厚さを有する)の網状組織;および該二次壁により区画される多数の二次孔(実質的に全ての二次孔は0.1〜5μmの範囲の孔サイズを有する)を含む。
【0112】
本発明のある実施形態において、実質的に全ての一次壁は、約10〜約200μm、好ましくは20〜30μmの範囲の厚さを有する。さらに、本発明のある実施形態において、実質的に全ての一次孔は、約5〜約300μm、好ましくは45〜55μm、例えば約50μmの範囲の孔サイズを有する。本発明のある実施形態において、実質的に全ての二次壁は、約0.01〜約5μm、好ましくは0.5〜1.5μmの範囲の厚さを有する。さらに、本発明の上記のさらなる観点によると、実質的に全ての二次孔は、約0.01〜約5μm、好ましくは0.5〜1μmの範囲の孔サイズを有する。
【0113】
本発明の上記の別の特に好ましい実施形態のさらなる観点は、実質的に上記のような医薬品生成物を提供し、ここで網目状三次元微小構造の相互に連結させる壁を区画する結晶は、上記の生理的に許容される支持体(賦形剤)の結晶から本質的になり、治療剤の結晶は、実質的に上記のような網目状微小構造の孔の中に少なくとも部分的に位置する。
【0114】
さらに本発明により、実質的に上記に記載されるような少なくとも1種の網目状三次元微小構造の、治療剤の結晶のための生理的に許容される支持体としての使用が提供され、該網目状微小構造は、実質的に相互に連結させる壁(該壁は少なくとも部分的に互いに接して配置される多数の結晶により提供され、該結晶は、実質的に上記のような生理的に許容される支持体の結晶を含む壁を区画する)の網状組織;および該実質的に相互に連結させる壁により区画される多数の孔を含む。
【0115】
本発明のある好ましい実施形態において、1つまたは複数の網目状微小構造の壁を区画する多数の結晶は、本発明による医薬品生成物により提供されるように、本発明による医薬品生成物に用いられる治療剤のための生理的に許容される支持体の結晶を含む。生理的に許容される支持体は、受容者の胃腸管の生理的流体中で分解性であり、生理的に許容される分解産物を生ずるのが適切である。
【0116】
よって、より具体的には、本発明の上記の好ましい実施形態により、結晶の形の少なくとも1種の治療剤を含む医薬品生成物が提供され、該医薬品生成物は、少なくとも部分的に互いに接して配置される多数の結晶(該結晶は治療剤のための生理的に許容される支持体の結晶を含む壁を区画する)により提供される実質的に相互に連結させる壁の網状組織;および該実質的に相互に連結させる壁により区画される多数の孔を含む。
【0117】
本発明のある別の実施形態において、少なくとも1種の治療剤を含む医薬品生成物が提供され、該医薬品生成物は、実質的に相互に連結させる壁(該壁は、実質的に上記のように少なくとも部分が互いに接して配置される多数の結晶により提供され、実質的に全ての壁は、約0.5μm未満の厚さを有する)の網状組織;および該壁により区画される複数の孔(実質的に全ての孔は0.1〜1μmの範囲の孔サイズを有する)を含む網目状三次元微小構造を含む。本発明のこのような実施形態において、実質的に全ての壁は、0.01〜0.5μm、好ましくは約0.1μm未満の範囲の厚さを有する。さらに、ある実施形態において、実質的に全ての孔は、典型的に0.3〜0.6μmの範囲の孔サイズを有し、より典型的には実質的に全ての孔は約0.5μmの孔サイズを有する。
【0118】
本発明のある実施形態において、結晶の形の少なくとも1種の治療剤を含む医薬品生成物が提供され、該医薬品生成物は、
実質的に相互に連結させる壁(該壁は、少なくとも部分的に互いに近接して配置される多数の結晶により提供される)の網状組織;および
該実質的に相互に連結させる壁により区画される多数の孔
を含む少なくとも1種の網目状三次元微小構造を含み、ここで該網目状微小構造は少なくとも1m2/gの比表面積を有する。
【0119】
本発明の医薬賦形剤は、治療剤と、治療剤が賦形剤上を被覆するような様式で組み合わせることができる。このことは、限定されないが、当該技術において知られる溶媒蒸発、凍結乾燥および噴霧乾燥法を含む当業者に知られるいずれの方法により達成され得る。
【0120】
ここで治療剤で被覆された医薬賦形剤は、その後、例えば経口固体投与形態へと調製され得る。例えば、治療剤を含む粉末の製造について、医薬賦形剤は約1〜約50% w/wのレベルまで治療剤で被覆され得る。カプセルの場合、次いで粉末を適切な量の医薬上に許容される滑沢剤、および有効量のその他の任意の医薬上許容される賦形剤、例えば崩壊剤、流動/充填促進剤(flow/packing promoters)などと混合することができ、その後、粉末を、例えば適切なサイズのゼラチンカプセル中に、治療剤の単位投与量を含むように充填する。
【0121】
錠剤の製造のために、医薬賦形剤上を(例えば約1〜約50% w/wのレベルで)被覆する薬物を含む粉末を、医薬上許容される滑沢剤の有効量、さらに任意の医薬上許容される賦形剤、例えば崩壊剤および希釈剤と混合することができ、そして混合物を当業者に公知の方法により錠剤にする。
【0122】
製造される最終生成物が錠剤の場合、錠剤の均一なバッチを作るのに充分な量の完成した混合物を、次いで通常の製造スケールの打錠機で、通常の打錠圧、例えば約2000〜1600lbs/sq inでの打錠に付す。しかし、混合物は、その後で胃液にさらしたときにその水和に困難があるような程度まで圧縮されるべきではない。最良の結果のために、本発明の顆粒から作られる錠剤は、約5〜約20kgの硬度である。本発明により製造される医薬品生成物の平均流量(flow)は、約25〜約40g/秒である。ある好ましい実施形態において、錠剤は、通常よりも低い打錠圧、すなわち15〜35Kg/cm2程度、好ましくは約20〜30Kg/cm2程度の圧力を用いてつくられる。このようなより低い打錠圧の使用は、本発明による賦形剤の網目状微小構造が、打錠過程により損失または破壊されないことを確かにする。
【0123】
錠剤製造法としての直接打錠の制限の一つは、錠剤のサイズである。有効成分の量が多い場合、薬学的調剤師(pharmaceutical formulator)は、有効成分を他の賦形剤と湿式造粒して、正しい圧縮強度(compact strength)を有する適切なサイズの錠剤を達成することを選択するであろう。通常、湿式造粒において必要な充填剤/結合剤または賦形剤の量は、直接打錠のもの未満であるが、これは湿式造粒の過程は、錠剤の所望の物理的特性にある程度貢献するからである。
【0124】
円形の錠剤(round tablets)の平均錠剤サイズは、好ましくは約300〜750mgであり、カプセル型錠剤については約700〜1000mgである。
【0125】
本発明の薬物被覆賦形剤を含む本発明の経口投与形態は、医薬賦形剤として当業者に知られた追加の物質を含むことができる。このような医薬賦形剤は、例えば次のものを含む:酸形成剤(酢酸、氷酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、希塩酸、リンゴ酸、硝酸、リン酸、希リン酸、硫酸、酒石酸);アルカリ形成剤(強アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トロラミン);抗ケーキング剤(流動促進剤(glidant)参照);消泡剤(ジメチコン、シメチコン);抗菌性防腐剤(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム溶液、塩化ベンゼルトニウム(benzelthonium chloride)、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、フェノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、安息香酸ナトリウム、ジヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、チモール);
【0126】
抗酸化剤(アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、ホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム(sodium formaldehyde sulfoxylate)、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、トコフェロール、トコフェロール類賦形剤);緩衝剤(酢酸、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、1塩基性リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム溶液、2塩基性リン酸ナトリウム、1塩基性リン酸ナトリウム);キレート剤(エデト酸2ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸および塩類、エデト酸);コーティング剤(カルボキシメチルセルロースナト
リウム、酢酸セルロース、フタル酸酢酸セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、製薬用グレーズ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテートフタレート、セラック、スクロース、二酸化チタン、カルナウバワックス、ミクロクリスタリンワックス、ゼイン);着色剤(カラメル、レッド、イエロー、ブラックまたはブレンド、酸化第2鉄);錯化剤(エチレンジアミンテトラ酢酸および塩類(EDTA)、エデト酸、エタノールアミドゲンチシン酸、硫酸オキシキノリン);乾燥剤(塩化カルシウム、硫酸カルシウム、二酸化珪素);
【0127】
乳化および/または可溶化剤(アカシア、コレステロール、ジエタノールアミン(補助剤)、モノステアリン酸グリセリン、ラノリンアルコール、レシチン、モノ-およびジ-グリセリド、モノエタノールアミン(補助剤)、オレイン酸(補助剤)、オレイルアルコール(安定化剤)、ポロキサマー、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシル35カスターオイル、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ポリオキシル40ステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ステアリン酸、トロラミン、乳化ろう);ろ過補助剤(filtering aids)(粉末セルロース、精製シリカ質土壌);フレーバーおよび香料(アネトール、ベンズアルデヒド、エチルバニリン、メントール、サリチル酸メチル、グルタミン酸1ナトリウム、橙花油、はっか、はっか油、はっか精、ローズ油、強バラ水(stronger rose water)、チモール、トル−バルサムチンキ剤、バニラ、バニラチンキ剤、バニリン);流動促進剤および/または抗ケーキング剤(ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク);
【0128】
湿潤剤(humectant)(グリセリン、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール);可塑剤(ヒマシ油、ジアセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、グリセリン、モノ-およびジ-アセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル);高分子(例えば酢酸セルロース、アルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、アクリルポリマー類およびアクリルコポリマー類);溶媒(アセトン、アルコール、希釈アルコール、抱水アミレン水和物、安息香酸ベンジル、ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロホルム、コーン油、綿実油、酢酸エチル、グリセリン、ヘキシレングリコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、塩化メチレン、メチルイソブチルケトン、鉱油、ピーナッツ油、ポリエチレングリコール、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール、ゴマ油、注射用水、注射用滅菌水、洗浄用滅菌水、精製水);
【0129】
吸収剤(粉末セルロース、木炭、精製シリカ質土壌);二酸化炭素吸収剤(水酸化バリウム石灰、ソーダ石灰);剛化剤(硬化ヒマシ油、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、固形油脂(hard fat)、パラフィン、ポリエチレン賦形剤、ステアリルアルコール、乳化ろう、白ろう、黄ろう);懸濁化剤および/または増粘剤(アカシア、アガー、アルギン酸、アルミニウムモノステアレート、ベントナイト、精製ベントナイト、マグマベントナイト、カルボマー934p、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム12、カラギーナン、微結晶およびカルボキシメチルセルロースナトリウムセルロース、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化
ケイ素、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キサンタンガム);甘味剤(アスパルテーム、デキストレート、デキストロース、賦形剤デキストロース、フルクトース、マンニトール、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、ソルビトール、ソルビトール溶液、スクロース、圧縮性糖、粉砂糖、シロップ);
【0130】
錠剤結合剤(アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、液状グルコース、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポビドン、α化でんぷん、シロップ);錠剤および/またはカプセル希釈剤(炭酸カルシウム、2塩基性リン酸カルシウム、3塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、デキストリン、デキストロース賦形剤、フルクトース、カオリン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、スクロース、圧縮性糖、粉砂糖);錠剤崩壊剤(アルギン酸、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンナトリウム(polacrilin sodium)、グリコール酸スターチナトリウム、デンプン、α化デンプン);錠剤および/またはカプセル滑沢剤(ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、軽油、ポリエチレングリコール、ステアリルフマレートナトリウム、ステアリン酸、精製ステアリン酸、タルク、硬化植物油、ステアリン酸亜鉛);
【0131】
張性剤(tonicity agent) (デキストロース、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、塩化ナトリウム);ビヒクル:風味および/または甘味添加(芳香エリキシル、複合ベンズアルデヒドエリキシル、イソアルコールエリキシル、はっか水、ソルビトール溶液、シロップ、トル-バルサムシロップ);ビヒクル:油性(アーモンド油、コーン油、綿実油、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、鉱油、軽油、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、オリーブ油、ピーナッツ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、スクアレン);ビヒクル:固体担体(球形糖(sugar spheres));ビヒクル:滅菌(注射用静菌水、注射用静菌塩化ナトリウム);増粘剤(懸濁化剤参照);撥水剤(シクロメチコン、ジメチコン、シメチコン);ならびに湿潤および/または可溶化剤(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ドクセートナトリウム、ノノキシノール9、ノノキシノール10、オクトキシノール9、ポロキサマー、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40、硬化ヒマシ油、ポリオキシル50ステアレート、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル20、セトステアリルエーテル、ポリオキシル40ステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、チロキサポール)。このリストは限定的であることを意味するものではないが、本発明の経口投与形態において用い得る賦形剤および特定の賦形剤の種類を単に代表するものである。
【0132】
カルシウムまたはマグネシウム石鹸を含む通常許容されるいずれの薬学的滑沢剤の有効量を、薬物被覆賦形剤を錠剤のような経口固体投与形態に圧縮する前に、成分の混合物(医薬を含む)に添加するのが好ましい。適切な滑沢剤の例は、固体投与形態の約0.5〜約3重量%の量のステアリン酸マグネシウムである。特に好ましい滑沢剤は、Penwest Pharmaceuticals Co.からPruv7の商品名で市販されているステアリルフマレートナトリウム、NFである。
【0133】
直接圧縮希釈剤は、製薬技術において広く用いられ、本発明の薬物被覆賦形剤を含む経口固体錠剤の製造に用いることができる。このような直接圧縮希釈剤は、広い種類の商業的な供給先から入手することができる。このような予め製造された直接圧縮賦形剤は、Emcocel7 (微結晶セルロース、N.F.)、Emdex7 (デキストレート、N.F.)、およびTab-Fine7 (スクロース、フルクトースおよびデキストロースを含むいくつかの直接圧縮糖)であり、
これらの全てはPenwest Pharmaceuticals Co., Patterson, New Yorkから入手可能である。その他の直接圧縮希釈剤は、Sheffield Chemical, Union, N.J. 07083からの無水ラクトース(ラクトースN.F.,、無水直接打錠);Degussa, D-600 Frankfurt (Main) GermanyからのElcems7 G-250 (粉末セルロース、N.F.);Foremost Whey Products, Banaboo, WI 53913からのFast-Flo Lactose7 (ラクトース、N.F.、噴霧乾燥);Grain Processing Corp.,
Muscatine, IA 52761からのMaltrin7 (凝集マルトデキストリン);Roquette Corp., 645
5th Ave., New York, N.Y. 10022からのNeosorb 607 (ソルビトール、N.F.、直接圧縮);Ingredient Technology, Inc., Pennsauken, N.J. 08110からのNu-Tab7 (圧縮性糖、N.F.);GAF Corp., New York, N.Y. 10020からのPolyplasdone XL7 (クロスポビドン、N.F.、架橋ポリビニルピロリドン);Generichem Corp., Little Falls, N.J. 07424からのPrimojel7 (グリコール酸スターチナトリウム、N.F.、カルボキシメチルスターチ);Penwest
Pharmaceuticals Co., Patterson, N.Y. 10512からのSolka Floc7 (セルロースフロック);Foremost Whey Products, Baraboo, WI 53913およびDMV Corp., Vehgel, Holland からのSpray-dried lactose7 (ラクトースN.F.、噴霧乾燥);およびColorcon, Inc., West Point, PA 19486からのSta-Rx 15007 (Starch 1500) (α化デンプン、N.F.、圧縮性)を含む。
【0134】
本発明による医薬品生成物がパラセタモールを含む場合、これは疼痛の治療用の薬の製造における使用のためであり得る。
【0135】
本発明による医薬品生成物は、最も適切な経路は、通常、受容者の症状および処置される疾患に依存するが、経口投与に特に適切である。実際に、本発明により提供される医薬品生成物は、いずれの鼻腔、経口または皮膚投与のためのエアロソルとして特に適切であることもできる。用いられる投与量は受容者の年齢および性別、処置される具体的な疾患ならびに投与経路を含むいくつかの因子に依存するが、受容者に投与される本発明による医薬生成物の正確な量は、係の医師の責任である。
【0136】
ある実施形態において、本発明の生成物は、胃腸での沈積のための薬物送達用の薬物送達システムにおいて用い得る。このようなシステムは、本明細書に記載のような生成物の複数回単位投与量を含む複数回単位投与デバイスを含むことができ、該デバイスは、作動に際して胃腸の沈積のための生成物の単位投与量を送達し、該本発明の医薬品生成物は、製剤の複数の微粒子(multiparticulate)の肺での沈積を最小限にするために10μmを超える平均粒子サイズを有し、薬物の有効投与量がヒト受容者の下肺に送達され得ないように約1mm未満である。薬物送達システムは、その後の胃腸での沈積のために、生成物の単位投与量を受容者の口腔(インビボ)に投与するか、または単位投与量を中間の貯蔵場所(intermediate receptacle)(エクスビボ)に分配する(dispense)のに用い得る。経口の粉末用の経口薬物送達システムおよびデバイスは、表題が双方とも"Improvements In Or Relating To The Delivery Of Oral Drugs"であるWO 01/64812およびPCT/IB02/03590;および2002年3月7日に出願された、表題"Drug Storage and Delivery Devices"の米国仮出願第60/362,307号に開示され、これらの開示の全ては、あらゆる趣旨において本明細書中に参照として組み込まれる、ある実施形態において、本発明の生成物は、口腔内に入れたときに生成物が肺においていずれの実質的な量も沈積しない様式で本明細書に記載のような生成物を調製し、そして送達のときに単回単位投与量を計量しながら供給する(meters)デバイス中に製剤の複数回単位投与量を配置することを含む、胃腸での沈積のための薬物の複数回投与量を送達するための薬物送達システムを製造する方法を提供するのに用いることができる。
【0137】
最後に、さらに本発明により、疾患を処置する方法が提供され、該方法は、本発明による医薬品生成物の治療上の有効量を受容者に投与することを含む。
【0138】
本明細書において複数の代替の値、範囲および範囲の終点が与えられる場合、各々の1つは別個に好ましく、かつ本発明の別個の好ましい実施形態または特徴としてみなされるべきである。さらに、逆のことが明確に不可能でなければ、このような値の各々のかつ全ての可能な組み合わせは、本明細書により別個に開示されていると解されるべきである。本発明による医薬賦形剤の物理的および化学的な特性は、医薬上許容される生成物を製造するための使用、および好ましくは経口投与される医薬品生成物の製造における使用にそれらを適するものとするようなものである。
【0139】
図面の簡単な説明
図1は、倍率×70で撮影された実施例1のSEM(走査型電子顕微鏡)画像であり、物質中に存在する一次構造を明らかにする。一次孔の例が図に示されている。
図2は、倍率×60で撮影された実施例1のSEM画像であり、物質中に存在する一次構造を明らかにする。一次壁の厚さの例が図に示されている。
図3は、倍率×1400で撮影された実施例1のSEM画像であり、不揃いのジオメトリーおよび平滑な表面を有する一次粒子を明らかにする。図3は、より大きい一次粒子の間に、二次構造を区画する約1μmのサイズの粒子がつめられていることも明らかにする。一次粒子の例が図に示されている。
【0140】
図4は、倍率×50で撮影された実施例2のSEM画像であり、物質中に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、50〜500μmの範囲で、10〜500μmの範囲の一次孔サイズを区画することが観察される。一次孔および一次壁の厚さの例が図に示されている。
図5は、倍率×270で撮影された実施例2のSEM画像であり、一次壁の組成を図4より詳細に明らかにする。一次粒子は、2種のサイズ分布にあることが観察される。10〜50μmの範囲の大きい粒子と、0.5〜5μmの範囲の小さい粒子とが存在している。一次壁の厚さの例が図に示されている。
【0141】
図6は、倍率×1300で撮影された実施例2のSEM画像であり、図5での所見を支持している。図6では、0.1〜1μmの範囲の孔の二次孔構造に加えて、高い表面粗さが観察される。二次孔および二次粒子の例が図に示されている。
図7は、倍率×220で撮影された実施例3のSEM画像であり、物質中に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、50〜200μmの範囲で、10〜100μmの範囲の一次孔サイズを区画することが観察される。一次壁構造は、平滑で不揃いのジオメトリーであり、かつ1〜30μmの範囲にある粒子を含む。一次孔および一次壁の厚さの例が図に示されている。
【0142】
図8は、倍率×650で撮影された実施例3のSEM画像であり、一次壁の組成をより詳細に明らかにする。二次孔構造が0.1〜1μmの範囲で、一次粒子の間の隙間の空間に、より小さい二次粒子の間の空間に対峙して形成されるのが観察される。二次孔の例が図に示されている。
図9は、倍率×1500で撮影された実施例3のSEM画像であり、物質中に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、10〜50μmの範囲で、5〜20μmの範囲の一次孔サイズを区画することが観察される。一次壁構造は、見かけが「ふわふわした」不揃いのジオメトリーで、かつ1〜10μmの範囲にある粒子を含む。一次壁の厚さおよび一次孔の例が図に示されている。
【0143】
図10は、倍率×10000で撮影された実施例4のSEM画像であり、一次壁の組成をより詳細に明らかにする。一次粒子は、1μm未満の範囲の小さい粒子と、約100nmの厚さで0.1〜2μmの長さの棒針形状粒子との組み合わせからなる。これらの二次粒子は、1μm以下の範囲の二次孔構造を区画する。二次孔および二次粒子の例が図に示
されている。
図11は、実施例12のニフェジピン被覆構築物の溶解試験の吸光度対時間の曲線の結果を示す。
図12は、実施例12のUSPグレードのニフェジピンの溶解試験の吸光度対時間の曲線の結果を示す。
【0144】
図13は、倍率×180で撮影されたSEM画像であり、実施例13aで製造した物質を示す。この物質は、直径300nmの球形の孔を組み込んだリン酸カルシウムの集団を含む。個別の集団は、互いに接して、2〜50μmの範囲の一次孔構造を区画する連続構造を形成している。
図14は、実施例13に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×800で撮影されたSEM画像である。この図は、約2μmのラテックス粒子を用いて製造された単一のリン酸カルシウムの集団を示す。
【0145】
図15は、実施例14に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×40で撮影されたSEM画像である。この図は、予め形成された炭酸カルシウムを用いて製造された網目状構造を示し、泡の隙間の空間内で、各気泡の界面に位置するこれらの粒子を示す。
図16は、図15で示す物質の倍率×300で撮影されたSEM画像であり、図15で示された泡の一つを示す。
図17は、図15および16に示す物質の2つの泡の間に形成された壁の、倍率×5000で撮影したSEM画像である。
【0146】
図18は、実施例14に記載のインシトゥー沈殿法により製造された物質の、倍率×1000でのSEM画像である。この図は、直径1〜15μmの範囲の、各気泡の界面に沿って方向付けられた炭酸カルシウムのほぼ球形の粒子を示す。
図19は、図18で示す物質の倍率×2500でのSEM画像であり、2つの気泡の間の界面に沿った粒子のゆるいパッキングを示す。
図20は、倍率×220で撮影され、実施例15に記載の方法で、予め形成されたリン酸カルシウム粒子を用い、1000℃の温度に加熱して製造された網目状構造を示すSEM画像である。
【0147】
図21は、図20に示す構造の単一ストランドの、倍率×4000で撮影したSEM画像であり、ストランドが焼結粒子およびサブミクロンのサイズの孔からなることを示す。
図22は、マトリックスを1350℃の温度に加熱する実施例15に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×200でのSEM画像である。
図23は、図22で示す物質の、倍率×350でのSEM画像である。
図24は、図23に示す構造の一部分の倍率×1000でのSEM画像であり、最小粒界を示し、焼結の効果を確認する。
本発明は、ここで、以下の実施例によりさらに説明されるが、これらは本発明の範囲をいずれの点でも限定するものではない。
【実施例】
【0148】
実施例1
鋳型を用いるリン酸カルシウム構造の製造(構築物の形成)
実施例1では、1.55 % w/wのデキストランを2 M Na2HPO4水溶液7 mLに加えた。溶液を水浴中で70℃に温め、激しく攪拌して高分子の溶解を促進した。デキストランの完全溶解の後に溶液は澄明になった。この段階で、4 M CaCl2水溶液1 mL を反応容器に滴下した。次いで攪拌を停止し、容器を水浴から出して室温まで冷却させた。サンプルを48時間放置して反応容器の内容物を凝固させた。
【0149】
固体物質のわずかな画分を、塊のサンプルから注意して砕き、金属台(metal stub)の上に置き、金(gold)でスパッタ被覆して、Jeol 5600走査型電子顕微鏡を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積を、Coulter SA3100でBET法を用いて測定した。約1グラムの物質を制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが測定チャンバに入るのに充分なようにした。この測定は、再現性を確実にするために3回繰り返した。
【0150】
実施例1の走査型電子顕微鏡画像:
図1は倍率×70で撮影され、図2は倍率×60で撮影された。両方の画像は、物質内に存在する一次構造を明らかにする。物質が、1〜100μmの範囲の不揃いの形状の粒子から主に組み立てられている一次壁構造からなることが観察される。一次壁構造は、10〜200μmの範囲の一次孔構造を区画する。図3は、倍率×1400で撮影された。この倍率では、一次粒子が不揃いのジオメトリーおよび平滑な表面を有することを明確に同定することができる。より大きい一次粒子の間には、二次構造を区画する約1μmのサイズの粒子が詰まっている。二次構造の中にはほとんど孔が観察されず、存在するのは1μm程度のサイズのものである。
BET吸着測定により、比表面積は0.4 m2g-1であるとわかった。
【0151】
一次壁構造を区画する粒子は、大きく、かつ非常に低い表面粗さを示す。これらの2つの因子の組み合わせが、このサンプルについて比較的低い比表面積が測定されることに導く。しかしながら、該物質は、水溶性が乏しい薬物を安定化するのに必要な開放構造を有し、低い投与量の化合物と用いると有用であろう。この物質中には二次構造が存在するが、孔は疎通性(inaccessible)の性質(小さい孔のサイズ)であるので、この物質は、打錠された固体投与形態における単独の添加剤として(すなわち、追加の(圧縮可能な)医薬賦形剤の包含なしでは)有用ではないであろう。
【0152】
実施例2
鋳型を用いるリン酸カルシウム構造の製造(構築物の形成)
実施例2において、69 % w/wのキサンタンガムを、2 M Na2HPO4水溶液7 mLに加えた。溶液を水浴中で70℃に温め、激しく攪拌して高分子の溶解を促進した。キサンタンガムの完全溶解の後、溶液は澄明になった。この段階で4 M CaCl2水溶液1 mLを反応容器に加えた。次いで攪拌を停止し、容器を水浴から出して室温まで冷却させた。サンプルを24時間放置して反応容器の内容物を凝固させた。
【0153】
固体物質のわずかな画分を、塊のサンプルから注意して砕き、金属台の上に置き、金でスパッタ被覆して、Jeol 5600走査型電子顕微鏡を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積を、Coulter SA3100でBET法を用いて測定した。約1グラムの物質を制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが測定チャンバに入るのに充分なようにした。この測定は、再現性を確実にするために3回繰り返した。
【0154】
実施例2の走査型電子顕微鏡画像:
図4は、倍率×50で撮影され、物質内に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、50〜500μmの範囲で、10〜500μmの範囲の一次孔サイズを区画する。図5は、倍率×270で撮影され、一次壁の組成をより詳細に明らかにする。一次粒子は、2つのサイズ分布にあることが観察される。10〜50μmの範囲の大きい粒子と、0.5〜5μmの範囲の小さい粒子とが存在する。図6は、倍率×1300で撮影され、図5での所見を支持している。図6では、0.1〜1μmの範囲の孔の二次孔構造に加えて、高い表面粗さが観察される。BET吸着
測定により、比表面積は2.1 m2g-1であるとわかった。
【0155】
高倍率において一次壁構造が観察され、1μm未満程度の孔の二次孔構造を区画する0.5〜50μmの範囲の粒子からなる。二次構造の比表面積への貢献はかなりであるが、物質の比表面積は、一次壁構造のサイズのために、予想よりも低い。この物質は、水溶性が乏しい薬物を安定化するのに必要な開放構造を有し、低い投与量化合物の粉末送達、カプセルおよび錠剤に有用であろう。
【0156】
実施例3
鋳型を用いるリン酸カルシウム構造の製造(構築物の形成)
実施例3では、69 % w/wのアカシアガムを、2 M Na2HPO4水溶液7 mLに加えた。溶液を水浴中で70℃に温め、激しく攪拌して高分子の溶解を促進した。アカシアガムの完全溶解の後に溶液は澄明になった。この段階で、4 M CaCl2水溶液1 mL を反応容器に滴下した。次いで攪拌を停止し、容器を水浴から出して室温まで冷却させた。サンプルを24時間放置して反応容器の内容物を凝固させた。
【0157】
固体物質のわずかな画分を、塊のサンプルから注意して砕き、金属台の上に置き、金でスパッタ被覆して、Jeol 5600走査型電子顕微鏡を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積を、Coulter SA3100でBET法を用いて測定した。約1グラムの物質を制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが測定チャンバに入るのに充分なようにした。この測定は、再現性を確実にするために3回繰り返した。
【0158】
実施例3の走査型電子顕微鏡画像:
図7は、倍率×220で撮影され、物質内に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、50〜200μmの範囲で、10〜100μmの範囲の一次孔サイズを区画するのが観察される。一次壁構造は、平滑で、不揃いのジオメトリーで、1〜30μmの範囲の粒子を含む。図8は、倍率×650で撮影され、一次壁の組成をより詳細に明らかにする。二次孔構造は、0.1〜1μmの範囲で、一次粒子の間の隙間の空間に、より小さい二次粒子の間の空間に対峙して形成されるのが観察される。
BET吸着測定により、比表面積は0.2 m2g-1であるとわかった。
【0159】
高倍率において一次壁構造が観察され、1μm未満程度の孔の二次孔構造を区画する1〜30μmの範囲の粒子からなる。二次構造の比表面積への貢献はかなりであるが、物質の比表面積は、一次壁構造のサイズのために、予想よりも低い。この物質は、水溶性が乏しい薬物を安定化するのに必要な開放構造を有し、低い投与量化合物の粉末送達、カプセルおよび錠剤に有用であろう。
【0160】
実施例4
鋳型を用いるリン酸カルシウム構造の製造(構築物の形成)
実施例4では、5 % w/wのキサンタンガムを2 M Na2HPO4水溶液500 mLに加えた。この溶液に、5 % w/wの炭酸カルシウムを不溶性の充填剤(insoluble bulking agent)として添加した。溶液を水浴中で70℃に温め、激しく攪拌して高分子の溶解を促進した。キサンタンガムの完全溶解の後に溶液は澄明になった。この段階で、4 M CaCl2水溶液100 mLを反応容器に滴下した。次いで攪拌を停止し、容器を水浴から出して室温まで冷却させた。過剰の溶媒を反応容器からデカントし、固体サンプルを60℃で真空下に96時間おいて、固体を乾燥させた。
【0161】
固体物質のわずかな画分を、塊のサンプルから注意して砕き、金属台の上に置き、金で
スパッタ被覆して、Jeol 6310走査型電子顕微鏡を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積を、Coulter SA3100でBET法を用いて測定した。約1グラムの物質を制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが測定チャンバに入るのに充分なようにした。この測定は、再現性を確実にするために3回繰り返した。
【0162】
実施例4の走査型電子顕微鏡画像:
図9は、倍率×1500で撮影され、物質中に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、10〜50μmの範囲で、5〜20μmの範囲の一次孔サイズを区画することが観察される。一次壁構造は、見かけが「ふわふわした」不揃いのジオメトリーで、1〜10μmの範囲にある粒子を含む。図10は、倍率×10000で撮影され、一次壁の組成をより詳細に明らかにする。一次粒子は、1μm未満の範囲の小さい粒子と、約100nmの厚さで0.1〜2μmの長さの棒針形状粒子との組み合わせからなる。これらの二次粒子は、1μm以下の範囲の二次孔構造を区画する。
BET吸着測定により、比表面積は13.4 m2g-1であるとわかった。
【0163】
実施例5
溶媒蒸発を介しての薬物の構築物への適用
実施例5では、実施例1〜4の構築物をとり、重ねたふるい(sieve stack)を通して50〜500μmの範囲のサイズ画分を回収する。適切なサイズ画分2.7 gを、エタノール1〜5 mL (分析グレード)に溶解したニフェジピン300 mgを含む溶液に、褐色ガラス反応容器中で加える。次いでスラリーを超音波浴中に10分間超音波処理して固体の完全なぬれを確実にする。次いで反応容器を、真空下においた真空オーブンに移し、30〜50℃の間で24時間まで加熱して、エタノールの完全な除去を確実にする。
実施例1〜4の構築物の被覆を、HPLCおよびUSP タイプIV溶解試験により確認する。
【0164】
実施例6
凍結乾燥を介する薬物の構築物への適用
実施例6では、実施例1〜4の構築物をとり、重ねたふるいを通して50〜500μmの範囲のサイズ画分を回収する。適切なサイズ画分2.7 gを、エタノール1〜5 mL (分析グレード)に溶解したニフェジピン300 mgを含む溶液に、褐色ガラス反応容器中で加える。次いでスラリーを超音波浴中に10分間超音波処理して固体の完全なぬれを確実にする。次いで反応容器を結晶化皿に移し、これをVirtis Advantage凍結乾燥ユニットにおく。サンプルを、その凝固点より低い温度に3時間保持し、その凝固点に3時間保持し、最後に室温に保持してエタノールの完全な除去を確実にする。
実施例1〜4の構築物の被覆を、HPLCおよびUSP タイプIV溶解試験により確認する。
【0165】
実施例7
噴霧乾燥を介する薬物の構築物への適用
実施例7では、実施例1〜4の構築物をとり、重ねたふるいを通して50〜500μmの範囲のサイズ画分を回収する。適切なサイズ画分27 gを、エタノール10〜50 mL (分析グレード)に溶解したニフェジピン3 gを含む溶液に、褐色ガラス反応容器中で加える。次いでスラリーを超音波浴中に10分間超音波処理して固体の完全なぬれを確実にする。次いで、容器の内容物をBuchiミニ噴霧乾燥機に1〜5 mL分-1、90℃でポンプで通して、被覆された構築物の粒子を得る。
実施例1〜4の構築物の被覆を、HPLCおよびUSP タイプIV溶解試験により確認する。
【0166】
実施例8
固体投与形態(粉末)の製造
実施例8では、実施例5〜7のいずれかで製造した薬物被覆構築物を用いて、経口固体投与形態(この場合、例えば粉末)を製造する。粉末投与形態において、薬物被覆構築物(1〜50 % w/wの間で被覆)は、粉末として直接もたらされる。
【0167】
実施例9
固体投与形態(カプセル)の製造
実施例9では、実施例5〜7のいずれかで製造された薬物被覆構築物を用いて、経口固体投与形態(この場合、例えばカプセル)を製造する。カプセル投与形態において、以下に列挙する次の成分を共に混合して、カプセルに充填する。
0.25 % w/w 滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;
< 3 % w/w 崩壊剤、例えばグリコール酸スターチナトリウム(必要であれば);
必要量の流動/パッキング促進剤、例えばスターチ15 (必要であれば);および
必要量の被覆構築物(1〜50 % w/wの間で被覆) (希釈剤および被覆構築物の濃度は薬物負荷濃度により変動する)。
【0168】
実施例10
固体投与形態(大きい錠剤)の製造
実施例10では、実施例5〜7のいずれかで製造した薬物被覆構築物を用いて、経口固体投与形態(この場合、例えば>250 mgの錠剤質量で、希釈剤のない自己圧縮錠剤(self compressing tablet)である大きい錠剤)を製造する。大きい錠剤の形態において、以下に列挙する次の成分を共に混合して、錠剤成形機(tablet press)を用いて錠剤に圧縮する。
0.5 % w/w滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;
3 % w/w崩壊剤、例えばグリコール酸スターチナトリウム;および
96.5 % w/w被覆構築物(1〜50 % w/wの間で被覆)。
【0169】
実施例11
固体投与形態(小さい錠剤)の製造
実施例11では、実施例5〜7のいずれかで製造した薬物被覆構築物を用いて、経口固体投与形態(この場合、例えば<250 mgの錠剤質量の小さい錠剤)を製造する。小さい錠剤の形態において、以下に列挙する次の成分を共に混合して、錠剤成形機を用いて錠剤に圧縮する。
0.5 % w/w滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;
3 % w/w崩壊剤、例えばグリコール酸スターチナトリウム;
必要量の希釈剤、例えば微結晶セルロースまたはラクトース;および
必要量の被覆構築物(1〜50 % w/wの間で被覆) (希釈剤および被覆構築物の濃度は薬物負荷濃度により変動する)。
【0170】
実施例12
実施例12では、実施例4に従って製造した構築物を、重ねたふるいを通して300〜600μmの範囲のサイズ画分を回収した。構築物95 % w/wを、エタノール溶液中の0.03 molL-1のニフェジピン10 mLに加えた。スラリーを超音波浴中で10分間超音波処理して固体の完全なぬれを確実にした。次いでサンプル容器を、全てのエタノールが蒸発するまで80℃の水浴中で温めた。次いでサンプル容器をオーブンに移し、60℃で30分間加熱してサンプルが完全に乾燥するのを確実にした。
構築物の被覆を、HPLCおよびUSP タイプIV溶解試験により確認した。実施例12の製剤について、HPLCおよびUSP タイプIV溶解試験の結果は以下のとおりであった。
【0171】
HPLC
含量の均一性をHPLCにより、Jones Genesisカラム(C18 4 μm、150×4.6 mm ID)を用いて測定した。移動相は50:40:10 脱イオン水:メタノール:アセトニトリルであった。ニフ
ェジピン被覆賦形剤のサンプル30 mgを、50:50 アセトニトリル:脱イオン水に溶解した。10μLを注入し、得られたピークを既知の濃度のニフェジピンUSP標準物質と比較した。
全ての場合において、ニフェジピン濃度は2.5±0.5 % w/wであることがわかった。
【0172】
溶解データ
USPタイプIV溶解試験を、Sotax CE70溶解装置を用いて、6時間、37℃、32 mL 分-1で運転して行った。ニフェジピン被覆賦形剤のサンプル200 mgおよびpH 6.8のリン酸緩衝液1 Lを各試験において用いた。各溶液の吸光度を238 nmで測定した。既知の濃度の標準物質との比較は、完全な溶解が0.316の吸光度値を与えることを示した。85〜90 % (2.25〜2.125 mg)の間の溶解が、6時間の期間にわたって試験した4つのサンプルについて達成された。6時間の期間にわたって試験した4つのサンプルについての溶解の結果を図11に示す。
【0173】
ニフェジピン被覆賦形剤の溶解の結果をUSPグレードのニフェジピンの溶解と比較するために、USPグレードのニフェジピンを溶解試験した。USPグレードのニフェジピンの溶解を試験するのに2つの容器を用いた。USPグレードのニフェジピン10 mgを各試験で用いた。条件は、上記の被覆賦形剤およびUSPグレードのニフェジピンの両方の溶解試験と同じであった。USPグレードのニフェジピンの溶解の結果を図12に示す。USPグレードのニフェジピンの溶解試験の結果は、約0.16〜0.18の吸光度により示されるように、6時間後に約50%(1.25 mg)が溶解したことを示す。
2つの溶解プロフィールを比較すると、溶解の速度は純粋な薬物(USPグレードのニフェジピン)よりもニフェジピン被覆賦形剤のほうが約2倍早いことが示される。
【0174】
実施例13
孔形成剤としてラテックスビーズを用いるリン酸カルシウム/キサンタンガムマトリックスの製造
一般的方法
網目状構造の製造
0.5〜5% w/vの間の医薬上許容されるガムを、15〜50 % w/vの間のリン酸ナトリウム水溶液に溶解する。次いで0.5〜5% w/vの間の炭酸カルシウムをこの溶液に加える。直径0.1〜10μmの間のラテックスビーズは、湿った塊が回収されるまでサンプルを乾燥させることにより弱く凝集する。0.05〜1% w/vの間の弱く凝集したラテックスビーズを、次いで溶液に加える。分散液を激しく攪拌し、1〜20% w/vの間の、20〜75% w/vの間の塩化カルシウム水溶液を加える。得られた固体を15〜80℃の間で乾燥し、その後適切な容量のアセトンに添加して、15分〜24時間の間で攪拌する。次いでサンプルをろ過し、乾燥させ、粗く砕いて易流動性の粉末を得る。
【0175】
電子顕微鏡法
粉末物質の少しの画分を、注意深く金属台の上に置き、金でスパッタ被覆して、Jeol 6310走査型電子顕微鏡を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積を、Beckman Coulter SA3100表面積および孔サイズアナライザーを用いて測定した。重量0.075〜1.5gのサンプルを、制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが予め乾燥した3 mlのガラス試験管に入るのに充分なようにした。サンプルを60℃で10時間、測定の前に乾燥させた。測定を窒素ガスおよび10圧力ポイント(pressure point)でのBET等式を用いて行った。最少で3回の測定を各サンプルについて行った。
【0176】
具体的方法:
(a) リン酸ナトリウム17.2 gを脱イオン水50ml中に溶解した。この溶液にキサンタンガム1.0gとCaCO3 1.0gを加えた。溶液を、キサンタンガムが溶液中に完全に溶解するまで攪拌した。直径300μmの固体ラテックスビーズ0.1gを、次いでこの溶液に加えた。この分散
液を激しく攪拌し、脱イオン水10ml中に塩化カルシウム5.28gを含む水溶液を滴下した。得られた固体を室温および常圧で乾燥した。完全な乾燥に続いて、物質を適切な容量のアセトンに加えてラテックスビーズを溶解し、一晩攪拌した。次いでサンプルをろ過してアセトンを除き、乾燥した。この方法により製造された構造の比表面積は、窒素吸収により、0.1〜15m2/gの範囲であることがわかる。
【0177】
(b) リン酸ナトリウム17.2gを脱イオン水50 ml中に溶解した。この溶液にキサンタンガム1.0gおよびCaCO3 1.0gを加えた。溶液を、キサンタンガムが溶液中に完全に溶解するまで攪拌した。直径3μmのラテックスビーズの10重量%分散液2mlを、次いで溶液に加えた。得られた分散液を激しく攪拌し、脱イオン水10ml中に塩化カルシウム5.28gを含む水溶液を滴下した。得られた固体を室温および常圧で乾燥した。完全な乾燥に続いて、物質を適切な容量のアセトンに加えてラテックスビーズを溶解し、一晩攪拌した。次いでサンプルをろ過してアセトンを除き、95℃で一晩乾燥した。比表面積をBET等式を用いて窒素吸着により測定し、21.3m2/gであることがわかった。
【0178】
実施例13の走査型電子顕微鏡画像
図13は、倍率×180で撮影され、例(a)で製造された物質を示す。この物質は、直径300nmの球形の孔を組み込んだリン酸カルシウムの集団を含む。個別の集団は、互いに接して、2〜50μmの範囲の一次孔構造を区画する連続構造を形成している。図14は、倍率×800で撮影され、この実施例において与えられた一般的教示による方法において、ポロゲンとして約2μmのラテックス粒子を用いて製造されたリン酸カルシウムの単一の集団を示す。集団を形成する個別のリン酸カルシウムの凝集が、明確に見られる。
【0179】
実施例14
リン酸カルシウムおよび炭酸カルシウム/卵白マトリックスの製造
一般的方法
予め形成された粒子を用いる網目状構造の製造
炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウムのいずれかの5〜20gの間の無機粒子を、5〜10%
w/wの間の卵白を含む溶液10mlに加える。次いでスラリーを30分間激しく攪拌し、粒子のぬれを確実にする。スラリーを家庭用Kenwoodフードミキサーを用いて高速で泡立てて、混合物中に空気を組み入れる。変形可能な凹凸がサンプル中に見られ、泡が生成されるまで泡立てを行う。泡をオーブンに移し、40〜100℃の間で12〜24時間の間加熱する。次いで物質を室温に冷却し、粗く砕いて易流動性の粉末をつくる。
【0180】
インシトゥー沈殿を用いる網目状構造の製造
1〜10mlの間の、0.1〜10mol/dm3の間の炭酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウムの溶液を、5〜10% w/wの間の卵白を含む溶液10mlに加える。次いで溶液を10分まで激しく攪拌して、平衡状態が達成されるのを確実にする。溶液を家庭用Kenwoodフードミキサーを用いて高速で泡立てて、混合物中に空気を組み入れる。泡立ての間、1〜10mlの間の、0.1〜10mol/dm3の間の塩化カルシウムの溶液を滴下する。変形可能な凹凸がサンプル中に見られ、泡が生成されるまで泡立てを行う。泡をオーブンに移し、40〜100℃の間で12〜24時間の間加熱する。次いで物質を室温に冷却し、粗く砕いて易流動性の粉末をつくる。
【0181】
電子顕微鏡法
粉末物質の少しの画分を、注意深く金属台の上に置き、金でスパッタ被覆して、Jeol 6310走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積測定
比表面積を、Beckman Coulter SA3100表面積および孔サイズアナライザーを用いて測定した。重量0.075〜1.5gのサンプルを、制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズ
が、サンプルが予め乾燥させた3 mlのガラス試験管に入るのに充分なようにした。サンプルを60℃で10時間、測定の前に乾燥させた。測定を窒素ガスおよび10圧力ポイントでのBET等式を用いて行った。最少で3回の測定を各サンプルについて行った。
【0182】
具体的方法
(a) 製造:炭酸カルシウム粒子10gを、10% w/w卵白を含む溶液10mlに加えた。次いでスラリーを30分間激しく攪拌して粒子の完全なぬれを確実にした。スラリーを家庭用Kenwoodフードミキサーを用いて高速で泡立てて、混合物中に空気を組み入れた。変形可能な凹凸がサンプル中に見られ、泡が生成されるまで泡立てを行った。泡をオーブンに移し、60℃で12時間加熱した。次いで物質を室温に冷却し、粗く砕いて易流動性の粉末をつくった。
結果:この方法により製造されたこの物質の比表面積は、窒素吸収により4.4m2/gであることがわかった。
【0183】
(b) 製造:炭酸カルシウム粒子5gを、5% w/w卵白を含む溶液15mlに加えた。次いでスラリーを30分間激しく攪拌して粒子の完全なぬれを確実にした。スラリーを家庭用Kenwoodフードミキサーを用いて高速で泡立てて、混合物中に空気を組み入れた。変形可能な凹凸がサンプル中に見られ、泡が生成されるまで泡立てを行った。泡をオーブンに移し、40℃で24時間加熱した。次いで物質を室温に冷却し、粗く砕いて易流動性の粉末をつくった。結果:この方法により製造されたこの物質の比表面積は、窒素吸収により3m2/gであることがわかった。
【0184】
実施例14の走査型電子顕微鏡画像
電子顕微鏡法
図15は、倍率×40で撮影され、予め形成された炭酸カルシウム粒子を用いて製造された網目状構造を示す。炭酸カルシウム粒子が泡の隙間の空間内で、各気泡の界面に位置することが明確である。約100μmより下の泡の直径で、広い「泡」のサイズ分布が観察される。図16に、「泡」の1つを拡大した画像(×300)を見ることができる。0.1〜5μmの範囲の孔を有する非常に微小な多孔構造を形成する「泡」の表面に沿って粒子が整列している。「泡」の間に形成される壁を、図17に示す(倍率×5000)。壁の厚さは0.5〜10μmの範囲にあり、壁が0.1〜5μmの範囲の孔をさらに含むことが示されている。インシトゥー沈殿により製造された網目状構造を、図18に示す(倍率×1000)。直径1〜15μmの範囲の炭酸カルシウムのほぼ球形の粒子が、各気泡の界面に沿って方向付けられているのが観察できる。100μm程度の「泡」のサイズが観察できる。図19(倍率×2500)は、界面に沿った粒子のゆるいパッキングを示す。ほぼ球形の粒子の間の空間は、壁構造において孔として作用する。
【0185】
比表面積測定
これらの方法により製造される追加の構造の比表面積は、窒素吸着により1〜15m2/gの範囲であることがわかった。
【0186】
実施例15
高温法を用いるリン酸カルシウムマトリックスの製造
一般的方法
サブミクロンのヒドロキシアパタイト粒子を用いる網目状構造の製造
0.5〜5gの間のサブミクロンの直径の、予め製造したヒドロキシアパタイト粒子を、15 mlまでの蒸留水に超音波処理しながら懸濁する。この懸濁液に、5〜50gの間のデキストリン(Mr 約70,000)を混合しながら加える。次いでペーストを室温で空気乾燥し、900〜1500℃の間まで、5時間までにわたって1〜20℃/分の間の加熱速度で加熱する。100μmまでの孔サイズを有する、直径約1μmの溶融粒子で構成される網目状のスポンジを得る。
【0187】
4ミクロンのヒドロキシアパタイト粒子を用いる網目状構造の製造
0.5〜10gの間の直径約4μmの予め製造したヒドロキシアパタイト粒子を、50 mlまでの蒸留水に超音波処理しながら懸濁する。この懸濁液に、5〜50gの間のデキストリン(Mr 約70,000)を混合しながら加える。エピクロルヒドリン(1-クロロ-2,3-エポキシプロパン)を、0.5〜10mlの範囲で混合物に攪拌しながら加えると、架橋剤として作用する。0.5〜5mlの間の5.8M水酸化ナトリウム溶液を混合しながら懸濁物に加え、粘性のある液体をつくる。該液体を円形の型に注ぎ込み、蓋付きの容器内で8〜24時間の間放置する。得られるゴム状のデキストラン/ヒドロキシアパタイト物質を、次いで型から出し、るつぼに入れて1000〜1500℃の間に、5時間まで1〜20℃/分の間の加熱速度で加熱する。ヒドロキシアパタイト溶融粒子の網目状の骨格のスポンジ様ディスクが得られる。
【0188】
電子顕微鏡法
粉末物質の少しの画分を、注意深く金属台の上に置き、金でスパッタ被覆して、Keol 6310走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積測定
比表面積を、Beckman Coulter SA3100表面積および孔サイズアナライザーを用いて測定した。重量0.075〜1.5gのサンプルを、制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが予め乾燥させた3 mlのガラス試験管に入るのに充分なようにした。サンプルを60℃で10時間、測定の前に乾燥させた。測定を窒素ガスおよび10圧力ポイントでのBET等式を用いて行った。最少で3回の測定を各サンプルについて行った。
【0189】
具体的方法
(a) 製造: サブミクロンの直径の予め製造したヒドロキシアパタイト粒子1.5gを超音波処理しながら蒸留水5mlに懸濁し、混合しながらデキストラン10g (Mr 約70,000)を加えた。次いでペーストを空気乾燥させ、1000℃まで2時間、10℃/分の加熱速度で加熱した。100μmまでの孔サイズを有する、直径約1μmの溶融粒子で構成される網目状のスポンジを得た。この場合、ヒドロキシアパタイト粒子の加熱は、α-リン酸三カルシウム(α-Ca3(PO4)2)への相変換をもたらした。
【0190】
(b) 製造:直径約4μmの予め製造されたヒドロキシアパタイト粒子1.5gを超音波処理しながら蒸留水4.5mlに懸濁し、混合しながらデキストラン9g (Mr 約70,000)を加えた。架橋剤エピクロルヒドリン(1-クロロ-2,3-エポキシプロパン) 1.89mlを混合物に混合し、次いで5.8M水酸化ナトリウム水溶液2.9mlを混合しながら加えて粘性のある液体をつくった。該液体を、幅15mm、深さ4mmの円形の型(約8〜10)に注ぎ、蓋付きの容器内で一晩放置した。得られたゴム状のデキストラン/ヒドロキシアパタイト物質を型から出し、次いでアルミナるつぼに入れて1300℃まで2時間、10℃/分の加熱速度で加熱した。ヒドロキシアパタイト溶融粒子の網目状の骨格のスポンジ様ディスクが得られた。
【0191】
(c) 製造:直径約4μmの予め製造されたヒドロキシアパタイト1.5gを超音波処理しながら蒸留水4.5mlに懸濁し、混合しながらデキストラン7.5g (Mr 約70,000)を加えた。架橋剤エピクロルヒドリン(1-クロロ-2,3-エポキシプロパン) 1.57mlを混合物に混合し、次いで5.8M水酸化ナトリウム水溶液2.45mlを混合しながら加えて粘性のある液体をつくった。該液体を、幅15mm、深さ4mmの円形の型(約8〜10)に注ぎ、蓋付きの容器内で一晩放置した。ゴム状のデキストラン/ヒドロキシアパタイト物質を、次いで型から出し、アルミナるつぼに入れて1350℃まで2時間、5℃/分の加熱速度で加熱した。ヒドロキシアパタイト溶融粒子の網目状の骨格のスポンジ様ディスクが得られた。
【0192】
実施例15の走査型電子顕微鏡画像
図20 (倍率×200)は、予め形成されたリン酸カルシウム粒子(0.8〜1μm)を用い、1000℃の温度に加熱して製造した網目状構造を示す。リン酸カルシウム粒子が高分子鋳型のストランドに沿って位置し、かつその構造を1000℃での加熱の後も保持していることが明らかである。図21 (倍率×4000)は、焼結粒子およびサブミクロンのサイズの孔からなる、図20に示す構造の拡大した単一ストランドを示す。粒子の粒界はなく、物質の焼結が成功したことを示す。図22 (倍率×200)および図23 (倍率×350)は、網目状構造への上昇した温度(1350℃)の影響を示す。ストランド間の平均距離は、温度上昇に伴って減少しているのが見られる。図24 (倍率×1000)は、図23に見られる構造の拡大した一部分を示す。粒子の粒界がないので、焼結の効果を示す。
【0193】
比表面積測定
これらの方法により製造される構造の比表面積は、窒素吸着により0.1〜15m2/gの範囲であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】図1は、倍率×70で撮影された実施例1のSEM(走査型電子顕微鏡)画像である。
【図2】図2は、倍率×60で撮影された実施例1のSEM画像である。
【図3】図3は、倍率×1400で撮影された実施例1のSEM画像である。
【図4】図4は、倍率×50で撮影された実施例2のSEM画像である。
【図5】図5は、倍率×270で撮影された実施例2のSEM画像である。
【図6】図6は、倍率×1300で撮影された実施例2のSEM画像である。
【図7】図7は、倍率×220で撮影された実施例3のSEM画像である。
【図8】図8は、倍率×650で撮影された実施例3のSEM画像である。
【図9】図9は、倍率×1500で撮影された実施例3のSEM画像である。
【図10】図10は、倍率×10000で撮影された実施例4のSEM画像である。
【図11】図11は、実施例12のニフェジピン被覆構築物の溶解試験の吸光度対時間の曲線の結果を示す。
【図12】図12は、実施例12のUSPグレードのニフェジピンの溶解試験の吸光度対時間の曲線の結果を示す。
【図13】図13は、倍率×180で撮影されたSEM画像であり、実施例13aで製造した物質を示す。
【図14】図14は、実施例13に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×800で撮影されたSEM画像である。
【図15】図15は、実施例14に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×40で撮影されたSEM画像である。
【図16】図16は、図15で示す物質の倍率×300で撮影されたSEM画像である。
【図17】図17は、図15および16に示す物質の2つの泡の間に形成された壁の、倍率×5000で撮影したSEM画像である。
【図18】図18は、実施例14に記載のインシトゥー沈殿法により製造された物質の、倍率×1000でのSEM画像である。
【図19】図19は、図18で示す物質の倍率×2500でのSEM画像であり、2つの気泡の間の界面に沿った粒子のゆるいパッキングを示す。
【図20】図20は、倍率×220で撮影され、実施例15に記載の方法で、予め形成されたリン酸カルシウム粒子を用い、1000℃の温度に加熱して製造された網目状構造を示すSEM画像である。
【図21】図21は、図20に示す構造の単一ストランドの、倍率×4000で撮影したSEM画像である。
【図22】図22は、マトリックスを1350℃の温度に加熱する実施例15に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×200でのSEM画像である。
【図23】図23は、図22で示す物質の、倍率×350でのSEM画像である。
【図24】図24は、図23に示す構造の一部分の倍率×1000でのSEM画像である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的に、医薬賦形剤およびその製造、ならびに医薬品生成物(pharmaceutical product)、特に経口固体投与形態における使用に関する。
本発明は、部分的に、水溶性が乏しい薬物(drug)の経口生物学的利用能を増加させるための本発明の医薬賦形剤の使用にも関する。
【0002】
さらに本発明は、医薬品生成物、それを製造する方法、およびその使用に関する。特に、本発明は、受容者の胃腸管に存在する生理的流体中での溶解性が乏しい1種以上の治療剤を含む医薬品生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
動物の受容者、特にヒト受容者への経口投与のための医薬品生成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、ペレットなどを含む種々の経口投与形態にあり得る。錠剤は、任意に1種以上の補助的な医薬上許容される成分と共に治療剤を圧縮、成形または造粒することによりつくることができる。圧縮錠剤は、適切な機械において、粉末または顆粒のような易流動形態(free flowing form)の治療剤を、任意に結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、分散剤などと混合して圧縮することにより製造することができる。成形錠剤は、一般的に、適切な機械において、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末形態の治療剤の混合物を成形することによりつくることができる。錠剤は任意に被覆されていてもよい。ハードまたはソフトタイプであり得るカプセルは、一般的に、たとえはヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはゼラチンからなり得る外殻(outer shell)と、通常、顆粒、粉末または液体の形で与えられ得る治療剤を含む内核(inner core)とを含む。
【0004】
経口投与による送達は、多くの治療剤にとって特に望ましいであろう。さらに、経口投与は、その非侵襲性の性質および一般的に経口投与により達成され得る実質的に正確な投与制御により、望ましいであろう。経口投与は、受容者の許容しやすさの点でも有利であることができ、よって受容者の服薬遵守が向上する。
【0005】
しかしながら、経口投与により遭遇する問題は、投与される治療剤が受容者の胃腸管に存在する生理的流体中での溶解性が乏しい場合にある。水溶性が乏しい薬物は、例えば経口投与形態の製剤化の間に大きな難題を示す。新規な化学物質の多くは、好ましくない溶解性のプロフィールにより特徴付けられる。このような場合に、完全な、または実質的でさえある溶解は、治療剤が胃腸管を通過する間に起こらないであろう(48時間程度までの期間)。さらに、このような溶解は、ある投与と次の投与とで変動し、また受容者依存性でもあろう。よって、治療剤は、受容者の通常の循環中への吸収について、完全には利用可能ではないか、または実質的に再現可能なように利用可能ではない。
【0006】
上記のことは、治療剤の浪費の点で問題であり得るが、より重要なことには、正確な投与および実質的に一貫したその生物学的利用能を達成する点で問題である。さらに、これらの問題は、コンビナトリアルケミストリーのような薬物発見法による溶解性が乏しい化合物の生産の増加、および治療剤の投与量の減少における一般的な傾向により、最近、悪化している。乏しい水溶性による製剤化の難題は、限定されないが、作用の開始の遅延、低い経口生物学的利用能、および食物の存在または不在に関する薬物吸収の変動を通常もたらす、望ましくない生成物の特徴を回避する試みを含む。
【0007】
このように溶解性が乏しくかつ変動する治療剤の生物学的利用能を改良する問題点が、
WO00/09093号に議論されている。WO00/09093号は、固体粒子上に吸着され、固体投与形態にさらに製剤化され得る医薬組成物について記載している。WO00/09093号により記載される組成物および投与形態は、生物学的利用能が乏しいことが知られているか、またはそれが疑われる治療剤を含む広い範囲の治療剤の生物学的利用能を向上すると記載されている。またWO00/09093号は、どのようにして粉末化溶液技術(powdered solution technology)が、以前に、水不溶性の治療剤の送達のための技術として提案されたかも議論している。Spireasら、"Powdered Solution Technology: Principles and Mechanisms"、Pharm. Research、第9巻、第10号(1992)およびSheth, A.およびJarowski, C.I.、"Use of powder solutions to improve the dissolution rate of polythiazide tablets"、Drug Development and Industrial Pharmacy、16 (5)、第769〜777頁(1990)。粉末化溶液の概念は、治療剤の溶液または液体の治療剤を、乾燥した非付着性で易流動性の圧縮可能な粉末に、液体の治療剤または治療剤の溶液と選択された担体とを混合することにより変換することに関係した。治療剤は固体形態であったが、溶解された液体の状態に保たれ、これが治療剤のぬれ特性を増大させ、よって溶解を増大させた。しかしながら、粉末化溶液技術の適用は、得られる混合粉末が、一般的に、乏しく一貫性のない流動および圧縮特性を有するので、制限された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明は、今回、治療剤の生物学的利用能、およびそのような生物学的利用能の再現性を増加させ、上記の粉末溶液技術を用いては今まで達成されなかった良好な流動および圧縮特性を示す医薬品生成物を提供する点で、溶解性が乏しい治療剤に関する今までの上記の問題点を解決する。さらに、本発明により提供される医薬品生成物は、1または複数の治療剤が、投与に続く時間まで実質的に完全に固体の形態のままであり、よって液体の状態の化学品にしばしば関連する化学的不安定性を実質的に未然に回避するのを許容することにおいて有利であり得る。したがって、本発明により提供される医薬品生成物は、本発明による医薬品生成物により提供されるように治療剤について達成され得る胃腸管の生理的流体での望ましい溶解性により、経口投与に特に適することができる。
【0009】
本発明の目的は、水溶性が乏しい治療上の有効成分(active agent)と共に用いるための医薬賦形剤を提供することである。
本発明のさらなる目的は、治療上の有効成分を本発明の医薬賦形剤と共に含む医薬品生成物を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、高い表面積を有し、その中に溶解性が乏しい薬物を組み込んで、該薬物の経口生物学的利用能を高める最終目的と共に溶解性プロフィールを高めることができる医薬賦形剤を提供することである。
さらに本発明は、本発明の医薬賦形剤を密に伴う(intimately associated with)(例えば該賦形剤上を被覆する)1種以上の有効成分を含む医薬品生成物に関する。
【0011】
ある好ましい実施形態において、有効成分(例えば薬物)は、本発明の医薬賦形剤と、約1〜約50重量%の量で組み合わせる。
本発明のある好ましい実施形態において、医薬賦形剤は、約5〜約95重量%の有機高分子を好ましくは鋳型として含み、残りは無機化合物を含む。さらに好ましい実施形態において、高分子は約20〜約80% w/wの医薬賦形剤を含む。
【0012】
さらに本発明は、本発明の医薬賦形剤を密に伴う(例えば該賦形剤上を被覆する)1種以上の有効成分の単位投与量を含む経口固体投与形態に関し、経口固体投与形態は、例えば医薬粉末、カプセルまたは錠剤である。
通常、本発明による医薬賦形剤生成物は、治療剤のための支持体物質(support materia
l)を含み、この支持体物質は、実質的に以下により詳細に記載されるような網目状の微小構造を有する有機または無機の支持体物質であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のおよびその他の目的により、そして第一の観点において、本発明は、マトリックスが、有機高分子物質との組み合わせで(in association with)無機粒子の凝集体を含み、約0.01〜500μmの範囲の平均幅を有する複数の孔を区画し、かつ少なくとも約1m2/gの比表面積を有する、固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤を提供する。好ましくは、孔の平均幅が約0.1〜500μmの範囲であり、マトリックスが約100m2/g以下の比表面積を有するのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
マトリックス中の孔は、通常、同じ形状または断面ではない。例えば、本発明の多くの実施形態を走査型電子顕微鏡で見る場合に、いくつかは断面が円形に見えるが、孔のほとんどは不揃いの断面を有するように見える。このことの明確化の目的のために、サンプルまたはマトリックスの一部分の中の、あるいは本明細書に記載されるいずれの他の医薬品生成物中の孔の平均幅またはサイズは、孔の見かけの断面積の平均に等しい領域に結合する円の直径に等しいと定義される。これは、次のようにして測定される。サンプルまたはマトリックスの一部分または他の生成物の走査型電子顕微鏡写真を、サンプルまたはマトリックスの一部分または他の生成物を描写する孔の分布を明確に示す倍率および方向から撮影する。次いで、目に見える孔の各々の見かけの断面積を測定し、これらの測定値の平均を算出する。次に、孔の見かけの断面積の平均に等しい領域に結合する円の直径を、この後者の値から算出する。孔の見かけの断面積は、走査型電子顕微鏡写真で明らかであるか目に見える(apparent or visible)その孔の断面の面積である。個々の孔の「幅」は、同様の様式におけるその見かけの断面積に関連し、同様にして測定することができる。
【0015】
同様に、無機粒子は、常に同じ形状または断面ではない。例えば、ある実施形態を走査型電子顕微鏡で見る場合に、無機粒子のほとんどは不揃いの断面を有するように見える。このことの明確化の目的のために、サンプルまたはマトリックスの一部分の中の、あるいは本明細書中に記載のいずれの他の医薬品生成物中の無機粒子の平均幅またはサイズは、無機粒子の見かけの断面積の平均に等しい領域に結合する円の直径に等しいと定義される。これは、次のようにして測定される。サンプルまたはマトリックスの一部分または他の生成物の走査型電子顕微鏡写真を、サンプルまたはマトリックスの一部分または他の生成物の典型である無機粒子の凝集体を明確に示す倍率および方向から撮影する。次いで、目に見える無機粒子の各々の見かけの断面積を測定し、これらの測定値の平均を算出する。次に、無機粒子の見かけの断面積の平均に等しい領域に結合する円の直径を、この後者の値から算出する。無機粒子の見かけの断面積は、走査型電子顕微鏡写真で明らかであるか目に見える粒子の断面の面積である。個々の無機粒子の「幅」は、同様の様式におけるその見かけの断面積に関連し、同様にして測定することができる。無機粒子が実質的に球形である場合に、上記のことからそれらの平均幅がそれらの平均直径であることに従う。本発明のある観点および実施形態においてあり得るように、無機粒子が共に溶融する場合、それらの見かけの断面積は、そのような生成物においてまだ明らかである粒界について測定することができる。
【0016】
本明細書で用いられる「比表面積」の用語は、International Standard ISO 9277 "Determination of the specific surface area of solids by gas adsorption using the BET method" (参照番号ISO9277:1995(E))に従って測定されるように、物質の単位重量当たりの表面積を意味する。
【0017】
本発明の第一の観点の好ましい実施形態において、孔の平均幅は、約0.5〜300、
1〜200、3〜100、5〜80、15〜70、または20〜60μmの範囲内である。他の実施形態において、孔の平均幅は、約0.1〜10、好ましくは0.1〜5μmの範囲内、より好ましくは約0.3、2または3μmである。さらに好ましい実施形態において、マトリックスは、少なくとも約2、3、4、5、10または20m2/g、および好ましくは約100、50または40m2/gまでの比表面積を有する。
【0018】
本発明の第一の観点において用いられる無機粒子は、結晶性であり、無機粒子の凝集体は、複数のばらばらである(discrete)がおそらく接する結晶を含むのが好ましい。このように用いられる無機粒子または結晶の平均幅は、好ましくは約0.1〜50μm、より好ましくは約30、25、15、10、5または1μm未満で、さらにより好ましくは約0.1〜25、0.2〜10または0.2〜5μmである。ある計画においては、無機物質の粒子または結晶の平均幅は、約0.1〜約0.2μmの間、または約1〜約15μmの間であり得る。
【0019】
本発明の第一の観点による賦形剤のさらに好ましい形態において、孔は一次および二次孔を含み、ここで一次孔は約2〜500μmの平均幅を有し、かつマトリックスから形成される構造要素の間で区画され、二次孔は0.01〜10μmの平均幅を有し、かつ該構造要素内で区画され、そして二次孔の平均幅は一次孔の平均幅より小さい。
【0020】
本発明の第二の観点によると、マトリックスが、有機高分子物質との組み合わせで無機粒子を含み、約2〜500μmの平均幅を有する複数の一次孔が、マトリックスから形成される構造要素の間に区画され、約0.01〜10μmの平均幅を有する複数の二次孔が、該構造要素内に区画され、かつ二次孔の平均幅が一次孔の平均幅より小さい、固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤が提供される。
【0021】
本発明の第一の観点の好ましい実施形態において、賦形剤は、少なくとも0.1、0.5、1、3、4、5、10m2/g、およびより好ましくは100、50または40m2/gまでの比表面積を有することができる。
【0022】
本発明の第一または第二の観点の好ましい実施形態において、一次孔の平均幅は、少なくとも約5、10、20または40μm、および好ましくは約300、200、100または50μm以下である。二次孔の平均幅は、少なくとも約0.01、0.05または0.1μm、および好ましくは約5、3、2、1.5または1μm以下であるのが好ましい。本発明の第一または第二の観点の具体的な実施形態において、一次孔の平均幅は、約2〜50、10〜200、10〜500、10〜100または5〜20μmの範囲内であり、二次孔の平均幅は、約0.1〜5、0.1〜1、または>1μmの範囲内である。好ましくは、一次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、二次孔の平均幅より大きい幅、好ましくは見かけの幅を有する。また、二次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、一次孔の平均幅より小さい幅、好ましくは見かけの幅を有するのが好ましい。
【0023】
構造要素は、一次孔を区画する一次壁の形にあることができ、かつ二次孔を区画する二次壁の網目を含むことができる。好ましくは、一次壁は約10〜500、10〜200、20〜100もしくは10〜50μmの平均幅を有する。好ましくは、二次壁は約0.01〜5もしくは0.5〜2μmの平均幅を有する。
【0024】
本発明の第一または第二の観点の実施形態において、マトリックスは、有機高分子物質と無機粒子もしくは物質との複数の凝塊の形であることができ、その中で二次孔が形成される。このような実施形態において、一次孔は、近接のそのような凝塊の間に位置するのが好ましい。凝塊は、複数の一次孔を区画する連続構造を形成することができる。
【0025】
本発明の第二の観点による賦形剤において用いられる無機物質は、好ましくは微粒子であり、好ましい実施形態において、結晶性であり、複数のばらばらであるがおそらく接する結晶を含むことができる。無機物質の粒子または結晶の平均幅は、好ましくは約0.1〜50μmの範囲である。無機物質の粒子または結晶の平均幅は、好ましくは約30、25、15、10、5または1μm未満で、より好ましくは約0.1〜25、0.2〜10、または0.2〜5μmである。ある計画において、無機物質の粒子または結晶の平均幅は、約0.1〜約0.2μmの間、または約1〜約15μmの間であり得る。
【0026】
有機高分子物質は、本発明の第一または第二の観点のいずれかにおいて、無機粒子または物質をマトリックスへ結合させるのに役立つことができ、無機粒子または物質のための鋳型を形成することができる。有機高分子物質が無機粒子または物質のための鋳型を形成する場合、後者の粒子は、高分子鋳型上を被覆するのが好ましい。このような実施形態において、二次孔は近接の無機粒子の間に区画され得る。
【0027】
本発明の第一および第二の好ましい実施形態において、マトリックスは、有機高分子物質との組み合わせで無機粒子の凝集体から本質的になるか、または該凝集体のみからなる。さらに好ましい実施形態において、賦形剤はマトリックスから本質的になるか、または該マトリックスのみからなる。
【0028】
第一または第二の観点における本発明のある好ましい実施形態において、医薬賦形剤は、約5〜約95重量%までの高分子物質または鋳型を含み、該医薬賦形剤の残りの部分は、該無機粒子または物質を含む。ある実施形態において、該高分子物質または鋳型は、該医薬賦形剤の約20〜約80重量%を含み、該医薬賦形剤の残りの部分は、該無機粒子または物質を含む。一次および二次孔の両方、特に二次孔は、実質的に球形であることができる。
【0029】
本発明の第一および第二の観点の両方において、賦形剤は好ましくは微粒子であり、約1000、500、300または250μmまで、好ましくは少なくとも約10、50および100μmの平均幅を有するマトリックス粒子を含むか、あるいは該マトリックス粒子から本質的になることができる。
【0030】
本発明の第一または第二の観点のいずれかによる賦形剤において用いられる有機高分子物質は、好ましくは医薬上許容され、20〜50℃の間の水中で24時間以内に少なくとも容易に可溶である(readily soluble) (Martindale、第31版、1996に定義されるように)のが好ましい。
【0031】
有機高分子物質は、セルロースエーテル、特にヒドロキシアルキルセルロース類およびカルボキシアルキルセルロース類、より特にヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロース誘導体、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど、およびこれらの混合物であることができるか、またはこれらを含むことができる。代わりに、ポリ(アミノ酸)、ポリ(アミノ酸エステル類)、ポリ(カルボン酸)、ポリ(ヒドロキシカルボン酸)、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリアルキレングリコールおよび関連するコポリマーのような種々の高分子を用いることができる。例えば、ポリ−L−アスパラギン酸、ポリ(リシン)、およびポリ(グルタミン酸)のようなポリ(アミノ酸)を用いることができる。ポリ(乳酸−co−リシン)(PLA/Lys)およびポリ(エチレングリコール)−ポリ(アスパラギン酸)ブロックコポリマーのような関連するコポリマーも用いることができる。本発明における使用に適するその他の高分子は、N−(2−ヒドロキシプロピ
ル)メタクリルアミドのコポリマー(HPMAコポリマー)を含む。
【0032】
高分子物質は、限定されないが、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ガラクタン、マンナン、アルジネートのようなベジタブルガム、カラヤガム、ペクチン、寒天、トラガカント、アカシア、カラギーナン、トラガカント、キトサン、アルギン酸、その他の多糖類ガム(例えば親水コロイド)、およびいずれの上記のものの混合物を含む医薬上許容されるガムが好ましい。本発明において有用であり得る特定のガムのさらなる例は、限定されないが、アカシアカテキュー、サライグッガル、インディアンボデラム(indian bodellum)、コパイバガム、アギ、カンビガム、エンテロビウム・シクロカルパム(Enterolobium cyclocarpum)、マスチックガム、ベンゾインガム、サンダラック、ガンビールガム、ブテアフロンドーサ(フレームオブフォレストガム)、ミルラ、コンニャクマンナン、グアールガム、ウェランガム、ゲランガム、タラガム、ローカストビーンガム、カラギーナンガム、グルコマンナン、ガラクタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、キサンタンガム、脱アセチル化キサンタンガム、ペクチン、ポリペクチン酸ナトリウム、グルテン、カラヤガム、タマリンドガム、ガッティガム、アカロイド/ヤッカ/レッドガム(Accaroid/Yacca/Red gum)、ダマールガム、ビャクシンガム、エステルガム、ギンネムシードガム、タルハガム(アカシアセヤル(acacia seyal))、ならびにアカシア、アクチニジア、アプテニア、カルボブロタス、チコリウム、ククミス、グリシン、ヒビスカス、ホルデウム、レトゥカ、リコペルシコン、マルス、メディカゴ、メセンブリアンテマム、オリザ、パニカム、ファラリス、フレウム、ポリアタス、ポリカルボフィル、シダ、ソラナム、トリフォリウム、トリゴネラ、アフゼリア・アフリカーナ(Afzelia africana)シードガム、トレクリア・アフリカーナ(Treculia africana)ガム、デタリウムガム、カシアガム、カロブガム、プロソピス・アフリカーナ(Prosopis africana)ガム、コロカシア・エスレンタ(Colocassia esulenta)ガム、ハケア・ギボサ(Hakea gibbosa)ガム、カーヤガム(khaya gum)、スクレログルカン、トウモロコシ属の植物のものを含む培養植物細胞のガム、前記のもののいずれかの混合物などを含む。
【0033】
高分子物質は複数の高分子を含むことができ、最も好ましい高分子物質は、多糖類、タンパク質およびこれらの混合物である。好ましい例は、キサンタンガム、デキストラン、アカシアガムおよび卵白を含む。
【0034】
本発明の第一の観点による賦形剤に用いられる無機粒子を形成する無機物質、および本発明の第二の観点による賦形剤に用いられる無機物質は、シリカであることができ、より好ましくは医薬上許容されるアルカリ土類金属塩であることができる。その好ましい例は、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムマグネシウム(calcium magnesium carbonate、ドロマイト)を含む。もちろん、このようなアルカリ土類金属塩のいずれの同質異像を用いることができ、かつ選択されたこのような同質異像は、本発明において用いるのに特に有利であることが認識される。医薬上許容される無機物質は、ヒトの胃腸管において遭遇するpH(例えば約1.6〜約7.2の間のpH)で容易に溶解するのが好ましい。最も好ましいアルカリ土類金属塩は、リン酸カルシウムおよび炭酸カルシウムである。リン酸カルシウムの最も好ましい形は、ヒドロキシアパタイト、ブラッシュ石およびリン酸三カルシウムであり、炭酸カルシウムの最も好ましい形は、方解石およびファテライトである。ある好ましい実施形態において、複数の無機物質が賦形剤に含まれる。
【0035】
本発明のある実施形態において、賦形剤またはマトリックスは、発泡性物質(effervescent material)を含む。ある実施形態において、発泡性物質を含むことにより、マトリックス中で内部の閉鎖孔(internal closed pores)を与え得る気泡をマトリックス中に創るであろう。本発明による使用のためのある発泡性物質は、例えば有機酸と炭酸塩または重炭酸塩のような発泡性の対を含む。適切な有機酸は、例えばクエン酸、酒石酸、リン
ゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸およびアルギン酸ならびに無水物および酸の塩を含む。適切な炭酸塩および重炭酸塩は、例えば炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸ナトリウム(sodium glycine carbonate)、L−リシン炭酸塩(L-lysine carbonate)およびアルギニン炭酸塩(arginine carbonate)を含む。代わりに、発泡性の対の酸成分のみが存在することができる。
【0036】
本発明のある実施形態において、本発明の第一または第二の観点による賦形剤は、本発明の第三の観点(以下に記載される)による賦形剤の前駆体として用いることができる。
【0037】
第三の観点において、本発明は、溶融無機要素の多孔性の網目を含み、該網目が約0.01〜100μmの範囲内の平均幅を有する複数の孔を区画する医薬賦形剤を提供する。溶融要素は、約10、5または2μm以下の平均幅を有するのが好ましい。好ましい実施形態において、無機要素は、複数のばらばらの近接したこのような要素への熱の作用により溶融される。
無機要素は、少なくとも部分的に結晶性であるのが好ましい。
【0038】
本発明の第三の観点による賦形剤の好ましい実施形態において、孔は一次孔および二次孔を含み、一次孔は約2〜500μmの平均幅を有し、かつマトリックスから形成される構造要素の間で区画され、二次孔は0.01〜10μmの平均幅を有し、かつ該構造要素内で区画され、二次孔の平均幅は一次孔の平均幅より小さい。好ましくは、一次孔の平均幅は、少なくとも約5、10、20または40μm、および好ましくは約300、200、100または50μm以下である。好ましくは、二次孔の平均幅は、少なくとも約0.01、0.05または0.1μm、および好ましくは約5、3、2、1.5または1μm以下である。好ましくは、一次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、二次孔の平均幅より大きい幅を有する。また、二次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、一次孔の平均幅より小さい幅を有するのが好ましい。
【0039】
構造要素は、一次孔を区画する一次壁の形であることができ、かつ二次孔を区画する二次壁の網目を含むことができる。好ましくは、一次壁は約10〜500、10〜200、20〜100または10〜50μmの平均幅を有する。二次壁は、好ましくは約0.01〜5または0.5〜2μmの平均幅を有する。
【0040】
代わりの実施形態において、本発明の第三の観点による賦形剤は、0.01〜50μmの平均幅を有する複数の孔を区画する。
【0041】
無機要素は、好ましくは、本発明の第一および第二の観点において上記される性質の無機物質から形成される。
【0042】
本発明の第三の観点による賦形剤は、好ましくは微粒子であり、約500、300または250μmまで、そして好ましくは少なくとも約10、50および100μmの平均幅を有する粒子を含み得るか、または該粒子から本質的になることができる。
【0043】
本発明の第三の観点による賦形剤は、溶融無機要素から本質的になるか、または溶融無機要素のみからなるのが好ましい。
【0044】
本発明のいずれの上記の観点による賦形剤は、0.25〜1.5g/cm3の範囲、より好ましくは0.25〜0.75g/cm3の範囲のかさ密度、および/または0.5〜2g/cm3の範囲、より好ましくは0.5〜1g/cm3の範囲のタップ密度を有することがで
きる。
賦形剤のかさ密度およびタップ密度は、以下の方法を用いて測定することができる。賦形剤10mLを、サンプルの攪拌を回避しながら10mLのメスシリンダー中に秤量し、質量を記録する。次いでサンプルを50回タップして容量を記録する。容量の変化が観察されなくなるまでタッピング過程を繰り返す。かさ密度およびタップ密度は、それぞれかさ容量(bulk volume)またはタップ容量で除した賦形剤の質量として算出される。
【0045】
本発明は、部分的に、医薬上許容される高分子物質を含む高分子鋳型の表面上を被覆する、結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩を含み、10m2/gより大きい比表面積を有する医薬賦形剤にも関する。
さらに本発明は、部分的に、高分子鋳型を密に伴う結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩から本質的になる多孔性のマトリックスを含み、10m2/gより大きい比表面積を有する医薬賦形剤に関する。
【0046】
本発明による賦形剤は、高い比表面積を示すのに特に有利である。このように高い比表面積の賦形剤は、受容者の胃腸管の生理的流体中での溶解性が乏しい治療剤と共に用いるために特に望ましい。これは、該賦形剤がこのような環境におけるこのような剤の溶解を助けることができるという点からである。特に、これを本発明による賦形剤と共に用いることにより、溶解性が乏しい治療剤の溶解速度(および有利にはその再現性)が、従来の網目状でない(un-reticulated)賦形剤と共に用いた、対応する質量の治療剤で達成されるものに比べて増大され得る。
【0047】
本明細書で用いられる「単位投与量」の用語は、単回投与に適し、所望の治療効果を生み出す剤の有効量を含む治療剤の量を意味する。本発明は、本質的に以下により詳細に記載されるように、受容者の胃腸管を剤が通過する間に、水溶性に乏しい治療剤のこのような単回投与量の受容者への投与を成し遂げる。
本明細書において用いられる「投与」の用語は、全身療法のための受容者の血流、または受容者の胃腸管内の溶液への治療剤の投与を意味する。
本明細書において用いられる「治療」の用語は、確立された症状の治療と共に、予防も含み得る。
【0048】
「網目状三次元微小構造」、「網目状微小構造」、「支持体」、「支持体物質」、「骨格」および「構築物」の用語は、本発明の目的のために、上記のようなマトリックスを含む本発明の賦形剤生成物の物理的構造を表す代替となり得る用語とみなされる。よって、本明細書においてこれらの用語が用いられる場合、読者は、本発明による賦形剤の実施形態について言及していることを理解すべきである。
【0049】
本明細書において用いられる「鋳型」の用語は、本発明の目的のために、その上またはその中に無機物質が結晶化されるかまたは沈積(deposit)される高分子構造(例えばデキストラン、キサンタンガム)を表すとみなされる。よって、組み合わせた物質(無機物質および高分子鋳型)は、構築物または本発明の賦形剤の実施形態を形成することができる。
本明細書において用いられる「治療上の有効成分(therapeutically active agent)」の用語は、本発明の目的のために、ヒト受容者に単位投与量として投与されたときに効果を示す化学的または生物学的な剤とみなされる。
【0050】
本発明のいずれの観点による賦形剤および医薬品生成物(網目状三次元微小構造または支持体)は、少なくとも1m2/g、好ましくは少なくとも2m2/gおよび特に少なくとも5m2/gの比表面積を有することができる。原則として、網目状微小構造または支持体の比表面積は、その結晶が実際上達成し得る程度に高いことができる。本発明により用
いられる網目状三次元微小構造または支持体について、200m2/gまでの比表面積を達成することができる。一般的に、本発明により用いられる網目状三次元微小構造または支持体(賦形剤または医薬品生成物)は、100m2/gまで、または50m2/gまでの比表面積を有することができる。好ましい比表面積は5〜50m2/g、より好ましくは10〜40m2/gの範囲であり得る。
【0051】
実質的に上記のような網目状三次元微小構造は、より一般的には、少なくとも2m2/gおよび少なくとも5m2/gの比表面積を有する。また、実質的に上述したように、このような網目状三次元微小構造は、100m2/gまで、または50m2/gまでの比表面積を有する。比表面積の好ましい範囲は、5〜50m2/g、より好ましくは10〜40m2/gである。
【0052】
さらに本発明は、部分的に、医薬上許容される高分子物質を含む高分子鋳型の表面上を被覆する結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩を含む医薬賦形剤に関し、該賦形剤は、0.25〜1.5 g/cm3の範囲、より好ましくは0.25〜0.75 g/cm3の範囲のかさ密度を有する。
【0053】
さらに本発明は、部分的に、高分子鋳型を密に伴う結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩から本質的になる多孔性マトリックスを含む医薬賦形剤に関し、該賦形剤は0.5〜2 g/cm3の範囲、より好ましくは0.5〜1 g/cm3の範囲のタップ密度を有する。
【0054】
さらに本発明は、部分的に、高分子鋳型と構築物を区画する結晶の形のアルカリ土類金属塩との多孔性マトリックスを含む粒子を含む医薬賦形剤に関し、該構築物は、約50〜約500μmの平均幅を有する一次壁を区画するストランドを含み、該一次壁は、(i)高分子鋳型を形成する高分子;(ii)アルカリ土類金属塩の凝集結晶;および/または(iii)該高分子の表面上を被覆する該アルカリ土類金属塩の凝集結晶を含み、該ストランドは、約5〜約300μmの平均幅を有する一次孔が少なくとも2つの該ストランドの間で区画されるように配置され、該構築物は、該ストランドの表面から伸びる二次壁を含み、該二次壁は、約0.01〜約5μmの平均幅を有し、かつ該アルカリ土類金属塩の結晶を含み、該二次壁は、該構築物が、少なくとも2つの二次壁の間で区画される約0.01〜約5μmの平均幅を有する二次孔を含むように配置される。
【0055】
マトリックスまたは構築物が、高分子鋳型と共に無機物質を含むある実施形態において、拡大下での賦形剤生成物は、ある実施形態において、その中でひもが絡まったひもの球(a ball of string)に類似した外観を有し、網目状3次元微小構造をつくる。賦形剤生成物のストランド(すなわち「球」の「ひも」)は、絡まったストランドの間に開放空間または孔を創るようにして絡まる。ストランドは、マトリックスまたは構築物の「一次構造」(以下、「一次壁」という)を含み、絡まったストランド間の空間または孔は、「一次孔」の例である。これらのストランドの表面は、平滑でないが、むしろ不揃いの表面を有するのが好ましい。医薬賦形剤生成物が高分子鋳型物質と無機物質との組み合わせを含む状況において、一次壁は、無機物質で被覆されるかまたは囲まれる高分子に含まれ得る。一次壁は、互いに極めて接近した(または接触した)無機物質の凝集体または凝塊にも含まれ得る。高分子鋳型が、無機物質がその表面に被覆された(例えば沈殿された)後に除去される実施形態において、一次壁は、互いに極めて接近した(または接触した)無機物質の凝集体または凝塊にも含まれ得る。好ましい実施形態において、二次粒子または二次壁は、一次壁の表面上に形成される。これらの二次粒子または二次壁は、好ましくはリン酸カルシウムまたはその他の医薬上許容されるカルシウム塩である無機物質に含まれる。無機物質の小さい結晶の間の空間は、本発明による「二次孔」の例である。本発明の医薬賦形剤生成物(構築物)に存在するか、または存在しない第三のタイプの孔がある。この第三のタイプの孔(「三次孔」)は、構築物の表面に対して開放でない二次孔の形態であ
る(例えば凝集した二次孔の結合された内部表面により形成される穴または空隙である)。構築物の一次壁を含むストランドが本質的に平滑である状況において、構築物内の二次粒子または二次壁の量は減少するであろう。この理由のために、本発明により賦形剤を形成する好ましい方法は、不揃いの表面を有し、それにより所望の比表面積を有する構築物を提供するのに充分な程度の二次壁を含むストランドを含むマトリックスまたは構築物をつくるために、高分子鋳型の表面への無機物質の制御結晶核形成(controlled crystal nucleation)を介する。
【0056】
ある好ましい実施形態において、構築物の一次壁は約10〜約500μm、好ましくは約10〜約200μmの平均幅(または長さに対しての厚さ)を有し、ある実施形態において約20〜約100μmの平均幅を有する。理論的には、一次壁の平均幅が約10〜約50μmのような実施形態において、一次壁構造はできる限り薄いのが好ましい。
ある好ましい実施形態において、本発明の医薬賦形剤の二次壁の平均幅(または長さに対しての厚さ)は、約0.01〜約5μmであり、好ましくは約0.5〜約2μmである。
【0057】
ある好ましい実施形態において、一次孔のサイズは約5〜約300μmであり、ある実施形態において約10〜約200μmであり、ある好ましい実施形態において約10〜約50μm、または20〜30μmである。
本発明の医薬賦形剤の二次孔は、約0.01〜約5μmの範囲の平均サイズ、好ましくは約0.01〜約2μmの範囲の平均サイズ、より好ましくは約0.1〜約3μmの範囲の平均サイズ、好ましくは約0.1〜約2μmを有する。
【0058】
本発明の医薬賦形剤の一次壁および二次壁は、形が不揃いで、よって孔の形も同様に不揃いであるということになるとみなされるべきである。本発明の賦形剤生成物(構築物)は0.01μmより小さいサイズを有する二次孔を含むことが可能であるが、現在、このような小さい孔への液体の浸透は可能でないと考えられている。よって、薬物がこのような孔の中に被覆され得るとは考えられず、そして溶解媒体(例えば胃腸の流体)は、孔の中に入って、もしそこにあったとしても薬物を溶解することができないと考えられている。好ましい実施形態において、二次孔の平均サイズは直径(across)約0.5〜約1.5μmである。
【0059】
第四の観点において、本発明は、有機高分子物質を含む網目状の鋳型を形成する工程;該鋳型との組み合わせで無機粒子の凝集体を含む構築物を形成する工程;および該構築物を凝固させて、該無機高分子物質との組み合わせで該無機粒子を含む固体の網目状マトリックスを形成する工程を含み、該マトリックスが、0.01〜500μmの平均幅を有する複数の孔を区画し、そして/または少なくとも1m2/gの比表面積を有する、固体の網目状マトリックスを製造する方法を提供する。
【0060】
網目状の鋳型、無機粒子の凝集体および構築物は、実質的に同時につくることができ、網目状の鋳型は無機粒子の凝集体を含むことができるか、または無機粒子は網目状の鋳型を被覆することができる。
【0061】
実施形態において、網目状の鋳型は第二の相を分散させることによりつくることができ、第二の相は、有機高分子物質を含む液相中で、固体粒子または気泡を含むか、あるいは本質的に固体粒子または気泡からなるのが好ましい。好ましい実施形態において、この液相は、適切な溶媒中の有機高分子物質の溶液(コロイド状であり得る)を含む。該固体粒子は、有機物質から形成されるのが好ましく、かつ一旦固化または凝固される有機高分子物質が実質的に不溶な溶媒中に可溶であるのが好ましい。無機粒子は、この後者の溶媒中に実質的に不溶であるのも好ましい。
【0062】
網目状の鋳型は、適切な溶媒中の有機高分子物質の溶液から自発的に形成されるか、または溶解された有機高分子物質への架橋剤の作用により形成され得る。
全ての場合において、網目状の鋳型は、高分子物質の溶液、好ましくは水溶液から形成されるのが好ましい。
【0063】
実施形態において、無機粒子の一部、任意に実質的に全部が、有機高分子物質を含む溶液からの沈殿により形成される。無機粒子は、好ましくは無機(イオン性)塩を含み、かつ溶液が、好ましくは該塩の溶解されたアニオンおよび/またはカチオンをさらに含む。好ましくは、沈殿が始まる前に、この溶液は塩の溶解されたアニオンを含むが、溶解されたカチオンを実質的に含まないか、または塩の溶解されたカチオンを含むが、溶解されたアニオンを実質的に含まない。沈殿は、塩である溶解されたイオンに対する対イオンの溶液の添加によりもたらされるのが好ましい。沈殿による無機粒子の形成は、網目状の鋳型の形成の間またはその後に起こり得る。
【0064】
他の実施形態において、無機粒子は予め形成され、かつ有機高分子物質を含む液相に分散される。後者は、任意に適切な溶媒中の溶液であってもよい。予め形成された無機粒子は、インシトゥーでの沈殿により形成された他のものを含むことができ、かつ網目状の鋳型が、有機高分子物質を含む液相中に固体粒子または気泡を分散させる工程により形成される場合に、少なくともいくらか、任意に全ての無機粒子が予め形成される。
【0065】
無機粒子は好ましくは結晶性である。
無機物質の粒子または結晶の平均幅は、約0.1〜50μmの範囲が好ましい。無機物質の粒子または結晶の平均幅は、好ましくは約30、25、15、10、5または1μm未満であり、より好ましくは約0.1〜25、0.2〜10または0.2〜5μmである。ある状況において、無機物質の粒子または結晶の平均幅は、約0.1〜約0.2μmの間、または約1〜約15μmの間であり得る。
【0066】
実施形態において、無機粒子の凝集体は、網目状の鋳型の部分を形成することができる。網目状の鋳型と無機粒子の凝集体との構築物は、空気乾燥、自発的架橋、架橋剤の作用、温度変化、沈殿による無機粒子の形成行為、電磁放射線の影響および/または有機高分子物質を固体または実質的に固体の塊に固化させるか、あるいは溶液から固体または実質的に固体の塊として沈殿させるためのいずれのその他の既知の手段を含む種々の手段により凝固することができる。
【0067】
無機粒子は、アルカリ土類金属の炭酸塩またはリン酸塩を含むのが好ましい。また本発明のこの観点による方法は、有機高分子物質と可溶性のリン酸塩または炭酸塩との水溶液を形成し、そしてアルカリ土類金属の炭酸塩もしくはリン酸塩無機粒子を、該溶液から、アルカリ土類金属の可溶性の塩の水溶液の添加により沈殿させることを含むのが好ましい。好ましいアルカリ土類金属塩は塩化物である。アルカリ土類金属塩の溶液は、網目状の鋳型の形成の間、またはその後に添加することができる。
【0068】
網目状の鋳型が、有機高分子物質の溶液を含む液相中に気泡を連行することにより形成される実施形態において、無機粒子のいくらかあるいは実質的に全ては、特にアルカリ土類金属の炭酸塩またはリン酸塩からなる場合に、該連行過程の間に沈殿が引き起こされる。網目状の構造が、有機高分子物質を含む液相中に固体粒子を分配することにより形成される実施形態において、固体粒子は、構築物が凝固した後に、適切な溶媒中での溶解により除去され得る。
【0069】
好ましい有機高分子物質は多糖類およびタンパク質を含み、そして好ましいアルカリ土類金属塩は炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムである。しかしながら、本発明のその
他の実施形態の上記の議論において詳述した有機高分子物質および無機物質の全ては、本発明のこの第四の観点の実施において用いることができる。これらの物質は、個別に、または混合して用いることができる。つまり、有機高分子物質は高分子の混合物を含むことができ、かつ無機粒子は1種より多い無機物質の粒子を含み得る。網目状の鋳型を形成するのに用いられる好ましい固体粒子はラテックス粒子であり、これは最終の多孔性マトリックスから、アセトンのような溶媒の行為により除去することができる。有機高分子物質の混合物を用いることができ、アルカリおよび土類金属の炭酸塩およびリン酸塩の混合物も用いることができる。
【0070】
特に好ましい実施形態において、本発明の第四の観点による方法は、医薬賦形剤、好ましくは本発明の第一、第二または第三の観点のいずれかによる医薬賦形剤を作るのに用いることができる。このような好ましい実施形態において、本発明の第四の観点による方法によりつくられるマトリックスは、本発明の第一、第二または第三の観点による医薬賦形剤の固体の網目状マトリックスであり、よって、この後者のタイプのマトリックスが有し得る特徴のいずれかまたは全てを有し得る。
【0071】
本発明の第五の観点において、有機高分子物質と無機粒子との固体の網目状マトリックスは、有機高分子物質を排除し、かつ無機粒子が100μmまでの平均幅を有する複数の孔を区画する第二の固体の網目状マトリックスに一緒に溶融するのを引き起こすことの両方のために充分に高い温度まで加熱される。
【0072】
好ましくは、有機高分子物質は排除され、かつ有機高分子は、固体の網目状マトリックスを少なくとも約800℃かつ約1600℃までの温度に、好ましくは約5時間までの期間加熱することにより溶融する。固体の網目状マトリックスの温度は、好ましくは室温から上記の上昇された温度まで、1分当たり約1〜約20℃の間の速度で上昇させる。本発明の第五の観点において用いられる有機高分子物質と無機粒子との固体の網目状マトリックスは、本発明の上記のいずれの観点の関係において記載したようなマトリックスであり得る。これは、有機高分子物質と無機粒子とから固体の網目状マトリックスをつくるための上記のいずれの方法によりつくることもできる。
【0073】
固体の網目状マトリックスを約1100℃まで、好ましくは約1050℃までの温度に加熱する場合に、得られる第二の固体の網目状マトリックスは、一次および二次孔を含み、ここで一次孔は約2〜500μmの平均幅を有し、第二のマトリックスからつくられる構造要素の間に区画され、二次孔は0.01〜10μmの平均幅を有し、該構造要素の中で区画され、かつ二次孔の平均幅は、一次孔の平均幅より小さい。好ましくは、一次孔の平均幅は少なくとも約5、10、20または40μmであり、好ましくは約300、200、100または50μm以下である。二次孔の平均幅は、少なくとも約0.01、0.05または0.1μmが好ましく、好ましくは約5、3、2、1.5または1μm以下である。好ましくは、一次孔の少なくとも約50、55、70、80、90または95%が二次孔の平均幅より大きい幅を有する。また、二次孔の少なくとも約50、55、70、80、90または95%が一次孔の平均幅より小さい幅を有するのが好ましい。構造要素は、一次孔を区画する一次壁の形にあることができ、かつ二次孔を区画する二次壁の網状組織を含むことができる。一次壁は、約10〜500、10〜200、20〜100もしくは10〜50μmの平均幅を有するのが好ましい。二次壁は、約0.01〜5もしくは0.5〜2μmの平均幅を有するのが好ましい。
【0074】
有機高分子物質と無機粒子との固体の網目状マトリックスを1100℃を超える温度、好ましくは約1200または1250〜1500℃の範囲内の温度に加熱する場合に、得られる第二の固体の網目状マトリックスは、約0.01〜50μmの平均幅の複数の孔を区画する。これらの孔の幅は、実質的に通常ほぼそれらの平均幅に分布し、一次および二
次孔、または一次もしくは二次壁の形の構造要素の群が認識できないのが好ましい。第二の固体の網目状マトリックスは、該溶融された無機粒子から本質的になるか、または無機粒子のみからなる。
【0075】
特に好ましい実施形態において、本発明の第五の観点による方法は、炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウム粒子の分散液を多糖類の水溶液中に準備する工程、該多糖類を約100℃より下の温度で凝固または固化させる工程、および次いで得られる固体構築物を約900〜1500℃の間の温度で約5時間まで焼結して、本発明の第三の観点による固体の網目状マトリックスを得る工程を含む。多糖類は、デキストランであるのが好ましく、室温での空気乾燥または架橋剤、好ましくはエピクロルヒドリンの添加により固化または凝固することができる。
【0076】
別の特に好ましい実施形態において、本発明の第四の観点による方法は、多糖類と可溶なリン酸塩または炭酸塩との水溶液を準備する工程、カルシウム塩の水溶液を該多糖類とリン酸塩との溶液と混合する工程、および得られる混合物を凝固させる工程を含む。好ましくは、該多糖類はデキストラン、キサンタンガムまたはアカシアガムである。好ましくは、該リン酸塩または炭酸塩は、リン酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウムであり、好ましくは、該カルシウム塩は塩化カルシウムである。多糖類の水溶液は、少なくとも約40、45、50、55、60%の多糖類を含むのが好ましく、リン酸塩または炭酸塩は、モル濃度過剰で用いられるのが好ましい。好ましくは、2つの溶液は、約50または60℃を超える温度で攪拌しながら混合され、一旦混合されると、得られる混合物が室温(約20℃)に冷却するのを許容し、少なくとも約24時間の期間、凝固するのを許容する。
【0077】
さらに好ましい実施形態において、本発明の第四の観点による方法は、タンパク質と可溶な炭酸塩またはリン酸塩との水溶液を準備する工程、溶液中に、泡を形成するように気泡を連行する工程、カルシウム塩の水溶液をリン酸塩とタンパク質との溶液と混合する工程、および得られる泡を、タンパク質を充分に変性させて凝固させるように加熱する工程を含む。代わりの実施形態において、炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウムの粒子をタンパク質溶液に添加し、次いでスラリー中に泡を形成するように気泡を連行し、そして該泡をタンパク質を充分に変性させて凝固させるように加熱する。気泡は空気の泡が好ましく、好ましいタンパク質は卵白であり、泡は40〜100℃まで12〜24時間加熱されるのが好ましい。
【0078】
別の好ましい実施形態において、本発明の第四の観点による方法は、多糖類とリン酸塩または炭酸塩との水溶液を準備する工程、該溶液中に直径約0.1〜10μmの間のビーズ(該溶液中に実質的に不溶である)を分散する工程、得られるスラリーにカルシウム塩の水溶液を混合する工程、得られる固体を約15〜80℃の間の温度で乾燥する工程、ならびに該固体に、該固体ビーズを溶解し得るが、該得られる固体のいずれの実質的な量も溶解し得ない溶媒を添加する工程を含む。多糖類は、好ましくはガムであり、より好ましくはキサンタンガムである。可溶性のリン酸塩または炭酸塩は、リン酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが好ましい。固体のビーズは、ラテックスから作られ、かつアセトンの添加により溶解するのが好ましいが、固体生成物は溶解しない。可溶性のカルシウム塩は、好ましくは塩化カルシウムであり、多糖類水溶液は、約0.5〜5% W/Vの間の該多糖類を含むのが好ましい。
【0079】
好ましい実施形態において、本発明の無機構築物は、医薬上許容されるアルカリ土類金属塩(炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムのような)を用いることにより準備することができ、制御結晶化方法により製造することができる。網目状の構築物は、デキストランのような医薬上許容される高分子鋳型により結晶核形成を制御することにより製造することができる。結晶核形成は、結晶化に向けて高分子鋳型と共に起こり、構築物の薄いス
トランド(またはフィラメント)を形成するのが好ましい。高分子鋳型は、最終構築物の中に保持されるか、または所望により加熱によって除去されることができる。本発明の好ましい実施形態において、高分子鋳型は保持される。
【0080】
さらに本発明は、部分的に、医薬上許容される高分子物質をリン酸塩または炭酸塩溶液中に溶解し;塩化カルシウムを、溶解された高分子物質を含む溶液中に制御された様式で添加し;そしてその後に、高分子鋳型を密に伴うリン酸または炭酸カルシウムの結晶を含む構築物を含む得られる固体物質を、該構築物が約10m2/gより大きい比表面積を有するように回収することを含む医薬賦形剤の製造方法に関する。好ましくは、塩化カルシウムは、高分子鋳型と構築物を区画する結晶の形の該リン酸または炭酸カルシウムとの多孔性マトリックスが形成されるような様式で添加され、該構築物は約50〜約500μmの平均幅を有する一次壁を区画するストランドを含み、該一次壁は(i)高分子鋳型を形成する高分子;(ii)アルカリ土類金属塩の凝集結晶;および/または(iii)該高分子の表面上を被覆する該アルカリ土類金属塩の凝集結晶を含み、該ストランドは約5〜約300μmの平均幅を有する一次孔が少なくとも2つの該ストランドの間で区画されるように配置され、該構築物は該ストランドの表面から伸びる二次壁をさらに含み、該二次壁は約0.01〜約5μmの平均幅を有し、かつ該アルカリ土類金属塩の結晶を含み、該二次壁は、該構築物が少なくとも2つの二次壁の間で区画される約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有する二次孔を含むように配置される。
【0081】
さらなる実施形態において、該方法は、本発明の医薬賦形剤を治療剤と、該治療剤が医薬賦形剤上を被覆するような様式で併用することを含む。好ましくは、治療剤は医薬賦形剤上を、例えば約1%〜約50% w/wのレベルで被覆する。治療剤は、溶媒蒸発、噴霧乾燥および凍結乾燥のような方法により、該医薬賦形剤上を被覆することができる。
【0082】
さらなる実施形態において、該方法は、治療剤で被覆された医薬賦形剤を、経口固体投与形態に組み込むことをさらに含む。
本発明のある好ましい実施形態において、賦形剤または網目状三次元微小構造は、医薬上許容される高分子鋳型(例えばデキストラン、キサンタンガム)により無機物質(例えばリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなど)の結晶核形成を制御することにより製造できる。結晶核形成は、結晶化に向けた高分子鋳型と共に起こり、構築物の薄いストランドを形成するのが好ましい。高分子鋳型は、最終構築物中に保持されるか、または所望により加熱によって除去されることができる。ある好ましい実施形態において、高分子鋳型は保持されて、賦形剤または網目状三次元微小構造の部分を形成する。
【0083】
他の実施形態において、予め形成された無機物質の粒子は、インシトゥーで形成される粒子と共に、または該粒子の代わりに用いることができる。予め形成された粒子の使用は、網目状高分子鋳型が気泡または固体粒子を、有機高分子物質を含む液相に分散させる工程を含む方法により製造される場合に特に好ましい。
【0084】
本発明の医薬賦形剤は、当業者に公知のいずれの方法により製造することができる。例えば、ある一般的な製造方法は次のとおりである。医薬上許容される高分子鋳型物質をリン酸塩または炭酸塩の溶液に溶解し、次いで塩化カルシウムを制御された様式で添加する。リン酸または炭酸カルシウム結晶を、例えば鋳型の存在下に形成(沈殿)する。もし存在すれば、残存の液体を移動させてデカントにより除去できる。代わりに、固体を移動させることができる。その後、固体構築物を乾燥する。
【0085】
例えば、リン酸カルシウム構造を構築物と共に製造するために、例えば次の物質を用いることができる。Na2HPO4:0.1〜10molL-1の範囲で2molL-1。CaCl2:0.1〜10molL-1の範囲で4molL-1。鋳型物質:5〜95% w/wの範
囲で25〜85% w/w。この場合、% w/wは、鋳型物質の重量およびリン酸カルシウムの重量について定義される。
鋳型を形成する高分子物質は、次いで、(好ましくは)最終構築物に保持されるか、または所望により加熱によって除去される。
【0086】
多くの場合、賦形剤生成物(例えば構築物)は、はっきりしたジオメトリーを有さず、むしろ不揃いな塊(lump)の、より小さい破片に容易に砕かれ得る実行可能な(viable)物質を含む。
しかしながら、少なくとも、賦形剤生成物をより小さい破片に砕く工程は、生成物自体の構造を損なわない(すなわち、孔または一次および二次壁ならびに孔を含む、物質の三次元網目状微小構造を破壊しない)様式で(もし行うならば)行うのが好ましい。
【0087】
上記の結晶化過程は、最終の結晶ジオメトリーが、達成可能な最高の表面積を有するように制御されるのが好ましい。構築物は、例えば固体経口投与形態を製造するのに有用な、最終生成物医薬賦形剤の粒子を提供するために、ふるいにかけられるか、または修飾されるのが好ましい。好ましくは、医薬賦形剤は、最終生成物医薬賦形剤が約10〜約500μm、好ましくは約50〜約300μm、そしてある実施形態においてより好ましくは約100〜約250μmの平均粒子サイズを有するようにふるいにかけられるか、または(構築物の構造を実質的に維持しながら)砕かれる。本発明により製造される医薬賦形剤粒子の好ましいサイズは、最終の使用、例えば製造される経口固体投与形態の種類に依存する。
【0088】
よって、本発明の第六の観点において、本発明の方法、好ましくは本発明の第四および/または第六の観点による方法により製造されるかまたは製造することができる固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤が提供される。このような医薬賦形剤は、本発明の第一、第二および/または第三の観点の医薬賦形剤でもあるのが好ましい。
【0089】
本発明の第六の観点の実施形態において、医薬賦形剤は、有機高分子物質および無機粒子または物質の複数の凝集体の形の固体の網目状マトリックスを含み、網目状鋳型が、有機高分子物質を含む液相に固体粒子を分散させることにより形成される方法により製造されるか、または製造することができる。このような好ましい実施形態において、一次孔は、近接したこのような凝集体の間に位置し、網目状鋳型を形成するのに用いられる固体粒子はラテックス粒子である。
【0090】
本発明のこの観点のさらに好ましい実施形態において、本発明の第三の観点による医薬賦形剤は、本発明の第五の観点による方法により製造されるか、または製造することができる。
【0091】
さらに本発明は、第七の観点において、本発明による医薬賦形剤と医薬上の、好ましくは治療上の有効成分とを含む医薬品生成物に関する。
医薬上の有効成分は、好ましくは微粒子でかつ固体である。本発明の第七の観点の実施形態において、医薬上の有効成分は、賦形剤を密に伴う。このような好ましい実施形態において、医薬上の有効成分の粒子は、固体の網目状マトリックスの孔の中に位置するか、および/またはマトリックスもしくは賦形剤上を被覆することができる。医薬上の有効成分の粒子のサイズによって、これらは固体の網目状マトリックスの一次孔および/または二次孔の中にあることができる。
【0092】
医薬上の有効成分は、FDA公認バイオファーマシューティカル・クラシフィケーション・システム(BCS)のクラス2にあるのが好ましい。医薬上の有効成分は、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30、または1/100(重量/容量)まで
の水溶性を有することができる。医薬上の有効成分は、(マーチンデール(Martindale)での定義されるように)やや溶けない(sparingly soluble)〜溶けない(insoluble)であり得る。
【0093】
本発明の第七の観点による医薬品生成物は、追加の医薬上許容される賦形剤および/または希釈剤を含むことができ、経口固体投与形態であり得る。好ましい経口固体投与形態は、粉末、カプセルおよび錠剤を含み、カプセルが最も好ましい。
医薬上の有効成分は、好ましくは結晶性である。好ましい実施形態において、医薬上の有効成分の粒子または結晶は、約10nm〜10μm、10nm〜5μm、より好ましくは約1μm未満の平均サイズまたは幅を有する。好ましくは、本発明による医薬品生成物は、約1〜約50 W/Wの医薬上の有効成分を含む。
【0094】
本発明の目的は、有効成分の治療的効能を必要とする人の血流中へ有効成分が入ることを促進することである。本発明での使用に適切な有効成分は、生物学的性質の有効成分および化学的性質の有効成分を含む。本発明の有効成分は、薬理学的な剤および治療薬も含む。好ましくは、本発明の賦形剤は、経口投与形態で有効成分と共に有用である。ある実施形態において、本発明による医薬品生成物により提供されるような単数または複数の網目状の微小構造の使用は、鼻、口または経皮の用途によるエアロゾル投与における使用にも有利である。本発明による医薬品生成物により提供される網目状の微小構造の使用は、少なくとも部分的にはこのような網目状微小構造の低い塊密度(mass density)により、このようなエアロソル投与のために有利であり得る。
ある実施形態において、治療剤は、典型的に、経口投与に適する1種以上の生物学的有効物質を含むことができる。
【0095】
ある好ましい実施形態において、治療剤は、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30以下から1/100(重量/容量)までの水溶性を有する。好ましくは、医薬品生成物は該治療剤を約1〜約50% w/w含む。好ましくは、医薬品生成物は約10〜約500μm、ある実施形態においては約50〜約300μm、また他の実施形態では約100〜約250μmの平均粒子サイズを有する。該治療剤は、例えば溶媒蒸発、噴霧乾燥および凍結乾燥からなる群より選択される方法により、医薬賦形剤上を被覆することができる。
【0096】
さらに本発明は、部分的に、本明細書に記載の医薬品生成物の単位投与量を含む経口固体投与形態に関する。経口固体投与形態は、例えば医薬粉末、カプセルまたは錠剤のような形にあり得る。
【0097】
さらに本発明は、部分的に、本明細書に記載の経口投与形態をヒト受容者に投与することを含む治療方法に関する。さらなる観点において、本発明は、医薬(獣医学的医薬を含む)における使用のための本発明による賦形剤または製品を提供する。好ましいこのような使用は、療法によるヒトまたは動物の体の治療、およびヒトまたは動物の体について実施される診断方法である。治療は予防であることができるか、または現在の症状に関することができる。本発明による賦形剤または製品の使用を含む治療(予防を含む)および診断方法も、本発明の権限(remit)の範囲内である。
【0098】
ヒトまたは動物の体について実施される治療または診断方法における使用のための医薬の製造用のこのような賦形剤および製品の使用は、本発明のさらなる観点の範囲内にある。
【0099】
よって本発明によると、少なくとも1種の治療剤と本発明による賦形剤とを含む医薬品生成物が提供され、それにより、該医薬品生成物により提供される治療剤の単位投与量を
、受容者の胃腸管を該治療剤が通過する間に受容者に投与することができる。ここで、該治療剤は、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30以下から1/100(重量/容量)までの水溶性を有することを特徴とする。
【0100】
本発明による医薬賦形剤の使用により、水溶性に乏しい薬物の生物学的利用能を、2つの可能な経路の1つを介する溶解の速度を上昇させることにより上昇させることができる。好ましいオプションは、賦形剤(マトリックスまたは構築物)の網目状三次元微小構造上を被覆する薬物を呈する(present)ことにより、溶解に利用できる薬物の表面積を増加させることである。薬物は、最大限の利用可能な表面積を生むためにマトリックスまたは構築物上を複層、または好ましくは単層として被覆することができる。第二のオプションは、本発明による高表面積の賦形剤または構築物上を被覆する薬物を上記のように呈示することであって、この場合、該賦形剤または構築物は、球形、立方であってもよく、または種々のジオメトリーを有していてもよい高表面積の粒子を含むであろう。粒子は、実質的な表面粗さ(surface roughness)を示し、高い多孔度(porosity)を示すことができる。
【0101】
本発明の好ましい実施形態において、医薬組成物は、水溶液に溶解または分散させたときに経口で充分に投与されない有効成分、および該有効成分を経口で生物学的に利用可能にする有効量の本発明の医薬賦形剤を含み、ここで該有効成分は、他の手段により受容者に投与されたときに治療効果を与えるものである。有効成分は、本発明の医薬賦形剤に、有効成分が本発明の医薬賦形剤を密に伴うように、有効成分が医薬賦形剤の表面を被覆するような方法で加えられるのが好ましい。
【0102】
上記のように、本発明による医薬品生成物における使用により特に利益を得る治療剤は、FDA公認バイオファーマシューティカル・クラシフィケーション・システム(BCS)のクラス2として通常定義されるものを含む。このような薬物は、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30以下から1/100(重量/容量)までの水溶性を通常有するものを含む。本発明により有利に用いることができるやや溶けにくい〜溶けない(Martindale 第31版、1996. The Royal Pharmaceutical Society出版の第xiii頁参照)薬物の例は、限定されないが、次を含む:グリセオフルビン、アセトアミノフェン(パラセタモール)、アスピリン、アトルバスタチン、メフェナム酸、イブプロフェン、ケトプロフェン、トリアムテレン、ナプロキセン、テオフィリン、ニフェジピン、インドメタシン、フェニトイン、シクロスポリン、アシクロビル、アルプラゾラム、アロプリノール、アセトヘキサミド、フェニトイン、ベンゾカイン、ベンドロフルアジド(bendrofluazide)、ベンズチアジド(benzthiazide)、ベタメタゾン、クロロチアジド(chlorothiazide)、シメチジン、カルバマゼピン、クロフィブラート、コザピン(cozapine)、酢酸コルチゾン、シクロスポリン、クロルタリドン(chlorthalidone)、クロルプロパミド、クロルプロマジン、クロルジアゼポキシド、シクロペンチアジド(cyclopenthiazide)、デキサメタゾン、ジクロフェナク、ジゴキシン、ファモチジン、フェンプロフェン、フェンブフェン、フルルビプロフェン、フルオキシチン(fluoxitine)、フロセミド、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、グリベンクラミド、ハロペリドール、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコルチゾン、ヒドロフルメチアジド(hydroflumethiazide)、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロラゼパム、ロバスタチン(lovastatin)、メトキサレン、メチルプレドニゾン(methylprednisone)、ナプロキセン、ニフェジピン、ニトロフラントイン(nitrofurantoin)、ニザチジン、オキサゼパム、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、オメプラゾール、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、フェニトイン、ピドロール(pidolol)、プレドニゾン、ピリメタミン、フェニンジオン(phenindione)、レセルピン、スピロノラクトン、トリメトプリム、タクロリムス、スルフィソキサゾール、スルファジアジン、テマゼパム(temazepam)、スルファメラジン(sulfamerazine)、トリオキサレン(trioxsalen)、これらの医薬上許容される塩などを含む。
【0103】
水中でやや溶けにくい〜溶けない他の薬剤は、本発明にしたがって用いることができ、U.S.P. XXIII, NF 18の第2071〜2122頁の参照リストおよび表に列挙されている。
【0104】
本発明における使用に適切な生物学的性質の有効成分は、限定されないが、タンパク質;ポリペプチド;ペプチド;ホルモン;多糖類および特にムコ多糖類の混合物;炭水化物;脂質;その他の有機化合物;ならびに特にそれ自体では胃腸粘膜を通過せず(または投与された投与量のフラクションのみとして通過する)、そして/または胃腸管の酸および酵素により化学開裂を受けやすい化合物;あるいはこれらのいずれかの組み合わせを含む。生物学的性質の有効成分のさらなる例は、限定されないが、合成、天然または組換え起源を含む次のものを含む:ヒト成長ホルモン(hGH)、組換え成長ホルモン(rhGH)、ウシ成長ホルモンおよびブタ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出ホルモン;ブタ、ウシ、ヒトおよびヒト組換えを含み、任意にナトリウム、亜鉛、カルシウムおよびアンモニウムを含む対イオンを有していてもよいインターロイキン-1、インターロイキン-2、インシュリンを含むインターフェロン;IGF-1を含むインシュリン様成長因子;未分画ヘパリン、ヘパリノイド、デルマタン、コンドロイチン、低分子量ヘパリン、超低分子量(very low molecular weight)ヘパリン、および極低分子量(ultra low molecular weight)ヘパリンを含むヘパリン;サケ、ウナギ、ブタおよびヒトを含むカルシトニン;エリスロポエチン;心房性ナトリウム利尿因子;抗原;モノクローナル抗体;ソマトスタチン;プロテアーゼ阻害剤;アドレノコルチコトロピン;ゴナドトロピン放出ホルモン;オキシトシン;ロイシン化(leutinizing)ホルモン放出ホルモン;卵胞刺激ホルモン;グルコセレブロシダーゼ;トロンボポエチン;フィルグラスティム(filgrastim);プロスタグランジン;シクロスポリン;バソプレシン;クロモリンナトリウム(クロモグリク酸ナトリウムまたはジナトリウム);バンコマイシン;デスフェリオキサミン(DFO);フラグメントを含む副甲状腺ホルモン(PTH);抗真菌剤を含む抗菌物質;ビタミン;これらの化合物のアナログ、フラグメント、模倣物(mimetics)またはポリエチレングリコール(PEG)-修飾誘導体、あるいはこれらのいずれかの組み合わせ。
【0105】
さらに、本発明による医薬品生成物は、鼻腔、肺または経皮での適用により行い得るエアロソル投与用の系にしばしば望まれる有利な流動特性も示す。
【0106】
本発明の網目状三次元微小構造を用いて得られる医薬賦形剤の使用により、水溶性が乏しい薬物の生物学的利用能を、溶解速度の上昇により上昇させることができる。好ましくは、本発明は、溶解に利用できる薬物の表面積を、マトリックス(構築物)の網目状三次元微小構造上を被覆する薬物を呈示することにより増加させる。薬物は、最大限の利用可能な表面積を生み出すために、構築物上を複層、または好ましくは単層として被覆することができる。好ましい実施形態において、薬物は、この場合は、球形、立方であるかまたは種々のジオメトリーを有していてもよい高い表面積を含むであろう高い表面積の構築物上を被覆する。粒子は、実質的な表面粗さを示すのが好ましく、高い多孔度を示し得る。構築物(賦形剤)は、約10m2/gを超え、好ましくは約10m2/g〜約40m2/gの比表面積を有するのが好ましい。好ましくは、粒子の安定性の増加は、粒子の凝集の傾向(利用可能な表面積を大きく減少させる効果を有するであろう)を減少させる。
【0107】
本発明の賦形剤または無機構築物は、約100m2/gまで、好ましくは約50m2/gまでの比表面積を有することができ、比表面積の好ましい範囲は約5〜約50m2/g、より好ましくは約10〜約40m2/gである。炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムのようなアルカリ土類金属塩は、ほとんどの有機物質より数倍大きい2〜3.5g/cm3の範囲の密度を有する。本技術における使用のために記載された無機物質は、その高い密度のために、過度の影響なく結晶化を許容するときに非常に低い比表面積を有する。つまり、これらの物質の結晶化を制御することは、これらがインシトゥー沈殿法により、達成
可能な最高の比表面積を有するように最終結晶ジオメトリーが作られる場合に、非常に重要である。物質の比表面積を増大させる最も簡単な方法は、粒子サイズを減少させることである。所望の表面積範囲を達成するために、粒子サイズは約100〜約200nmが好ましい。
【0108】
粒子サイズを減少させることは、本発明による賦形剤または構築物の二次加工にいくらかの懸念を生み出す。有効粒子サイズが小さくなるにつれて、構造の強度は、弱すぎるところまで減少するであろう。表面積の増加と構造強度の減少との間のバランスを見出すことが重要である。このバランスは、例えば粒子の所望の物理的特徴を模る粒子ジオメトリーに基づく公知の等式に基づいて算出することができる。
【0109】
本発明のある実施形態において、本発明による医薬賦形剤生成物は、結晶の形の少なくとも1種の治療剤を含む医薬品生成物を製造するのに用いられる(該治療剤は、例えば水溶性が乏しい)。医薬賦形剤生成物は、実質的に相互に連結させる壁(該壁は、少なくとも部分的に互いに隣接して配置される多数の結晶により与えられる)の網状組織;および該実質的に相互に連結させる壁により区画される多数の孔を含む少なくとも1種の網目状三次元微小構造を含み得る。網目状三次元微小構造は、無機物質(例えばリン酸カルシウム)、または無機物質(例えばリン酸カルシウム)および鋳型(例えばデキストランのような高分子)を含む構築物を含み得る。
【0110】
本発明による医薬品生成物により提供されるような網目状微小構造の壁は、ある実施形態において、0.01〜500μm、好ましくは0.01〜40μmの範囲の厚さを有する。ある実施形態において、好ましい壁の厚さは、実質的に本明細書に記載のような網目状微小構造の精密な多孔構造に依存する。
【0111】
本発明のさらに好ましい観点によると、ある実施形態において、結晶の形の少なくとも1種の治療剤を含む医薬品生成物が提供され、該医薬品生成物は一次網目状三次元微小構造および二次網目状三次元微小構造を含み、該二次網目状微小構造は該一次網目状微小構造の壁を区画し、かつ該一次網目状微小構造は、実質的に相互に連結させる一次壁(該一次壁は該二次網目状微小構造により提供され、かつ実質的に全ての一次壁は10〜40μmの範囲の厚さを有する)の網状組織;および該一次壁により区画される多数の一次孔(実質的に全ての一次孔は、40〜60μmの範囲の孔サイズを有する)を含み、かつ二次網目状微小構造は、実質的に相互に連結させる二次壁(二次壁は、実質的に上記のように少なくとも部分的に互いに接して配置される多数の結晶により提供され、実質的に全ての二次壁は0.5〜5μmの範囲の厚さを有する)の網状組織;および該二次壁により区画される多数の二次孔(実質的に全ての二次孔は0.1〜5μmの範囲の孔サイズを有する)を含む。
【0112】
本発明のある実施形態において、実質的に全ての一次壁は、約10〜約200μm、好ましくは20〜30μmの範囲の厚さを有する。さらに、本発明のある実施形態において、実質的に全ての一次孔は、約5〜約300μm、好ましくは45〜55μm、例えば約50μmの範囲の孔サイズを有する。本発明のある実施形態において、実質的に全ての二次壁は、約0.01〜約5μm、好ましくは0.5〜1.5μmの範囲の厚さを有する。さらに、本発明の上記のさらなる観点によると、実質的に全ての二次孔は、約0.01〜約5μm、好ましくは0.5〜1μmの範囲の孔サイズを有する。
【0113】
本発明の上記の別の特に好ましい実施形態のさらなる観点は、実質的に上記のような医薬品生成物を提供し、ここで網目状三次元微小構造の相互に連結させる壁を区画する結晶は、上記の生理的に許容される支持体(賦形剤)の結晶から本質的になり、治療剤の結晶は、実質的に上記のような網目状微小構造の孔の中に少なくとも部分的に位置する。
【0114】
さらに本発明により、実質的に上記に記載されるような少なくとも1種の網目状三次元微小構造の、治療剤の結晶のための生理的に許容される支持体としての使用が提供され、該網目状微小構造は、実質的に相互に連結させる壁(該壁は少なくとも部分的に互いに接して配置される多数の結晶により提供され、該結晶は、実質的に上記のような生理的に許容される支持体の結晶を含む壁を区画する)の網状組織;および該実質的に相互に連結させる壁により区画される多数の孔を含む。
【0115】
本発明のある好ましい実施形態において、1つまたは複数の網目状微小構造の壁を区画する多数の結晶は、本発明による医薬品生成物により提供されるように、本発明による医薬品生成物に用いられる治療剤のための生理的に許容される支持体の結晶を含む。生理的に許容される支持体は、受容者の胃腸管の生理的流体中で分解性であり、生理的に許容される分解産物を生ずるのが適切である。
【0116】
よって、より具体的には、本発明の上記の好ましい実施形態により、結晶の形の少なくとも1種の治療剤を含む医薬品生成物が提供され、該医薬品生成物は、少なくとも部分的に互いに接して配置される多数の結晶(該結晶は治療剤のための生理的に許容される支持体の結晶を含む壁を区画する)により提供される実質的に相互に連結させる壁の網状組織;および該実質的に相互に連結させる壁により区画される多数の孔を含む。
【0117】
本発明のある別の実施形態において、少なくとも1種の治療剤を含む医薬品生成物が提供され、該医薬品生成物は、実質的に相互に連結させる壁(該壁は、実質的に上記のように少なくとも部分が互いに接して配置される多数の結晶により提供され、実質的に全ての壁は、約0.5μm未満の厚さを有する)の網状組織;および該壁により区画される複数の孔(実質的に全ての孔は0.1〜1μmの範囲の孔サイズを有する)を含む網目状三次元微小構造を含む。本発明のこのような実施形態において、実質的に全ての壁は、0.01〜0.5μm、好ましくは約0.1μm未満の範囲の厚さを有する。さらに、ある実施形態において、実質的に全ての孔は、典型的に0.3〜0.6μmの範囲の孔サイズを有し、より典型的には実質的に全ての孔は約0.5μmの孔サイズを有する。
【0118】
本発明のある実施形態において、結晶の形の少なくとも1種の治療剤を含む医薬品生成物が提供され、該医薬品生成物は、
実質的に相互に連結させる壁(該壁は、少なくとも部分的に互いに近接して配置される多数の結晶により提供される)の網状組織;および
該実質的に相互に連結させる壁により区画される多数の孔
を含む少なくとも1種の網目状三次元微小構造を含み、ここで該網目状微小構造は少なくとも1m2/gの比表面積を有する。
【0119】
本発明の医薬賦形剤は、治療剤と、治療剤が賦形剤上を被覆するような様式で組み合わせることができる。このことは、限定されないが、当該技術において知られる溶媒蒸発、凍結乾燥および噴霧乾燥法を含む当業者に知られるいずれの方法により達成され得る。
【0120】
ここで治療剤で被覆された医薬賦形剤は、その後、例えば経口固体投与形態へと調製され得る。例えば、治療剤を含む粉末の製造について、医薬賦形剤は約1〜約50% w/wのレベルまで治療剤で被覆され得る。カプセルの場合、次いで粉末を適切な量の医薬上に許容される滑沢剤、および有効量のその他の任意の医薬上許容される賦形剤、例えば崩壊剤、流動/充填促進剤(flow/packing promoters)などと混合することができ、その後、粉末を、例えば適切なサイズのゼラチンカプセル中に、治療剤の単位投与量を含むように充填する。
【0121】
錠剤の製造のために、医薬賦形剤上を(例えば約1〜約50% w/wのレベルで)被覆する薬物を含む粉末を、医薬上許容される滑沢剤の有効量、さらに任意の医薬上許容される賦形剤、例えば崩壊剤および希釈剤と混合することができ、そして混合物を当業者に公知の方法により錠剤にする。
【0122】
製造される最終生成物が錠剤の場合、錠剤の均一なバッチを作るのに充分な量の完成した混合物を、次いで通常の製造スケールの打錠機で、通常の打錠圧、例えば約2000〜1600lbs/sq inでの打錠に付す。しかし、混合物は、その後で胃液にさらしたときにその水和に困難があるような程度まで圧縮されるべきではない。最良の結果のために、本発明の顆粒から作られる錠剤は、約5〜約20kgの硬度である。本発明により製造される医薬品生成物の平均流量(flow)は、約25〜約40g/秒である。ある好ましい実施形態において、錠剤は、通常よりも低い打錠圧、すなわち15〜35Kg/cm2程度、好ましくは約20〜30Kg/cm2程度の圧力を用いてつくられる。このようなより低い打錠圧の使用は、本発明による賦形剤の網目状微小構造が、打錠過程により損失または破壊されないことを確かにする。
【0123】
錠剤製造法としての直接打錠の制限の一つは、錠剤のサイズである。有効成分の量が多い場合、薬学的調剤師(pharmaceutical formulator)は、有効成分を他の賦形剤と湿式造粒して、正しい圧縮強度(compact strength)を有する適切なサイズの錠剤を達成することを選択するであろう。通常、湿式造粒において必要な充填剤/結合剤または賦形剤の量は、直接打錠のもの未満であるが、これは湿式造粒の過程は、錠剤の所望の物理的特性にある程度貢献するからである。
【0124】
円形の錠剤(round tablets)の平均錠剤サイズは、好ましくは約300〜750mgであり、カプセル型錠剤については約700〜1000mgである。
【0125】
本発明の薬物被覆賦形剤を含む本発明の経口投与形態は、医薬賦形剤として当業者に知られた追加の物質を含むことができる。このような医薬賦形剤は、例えば次のものを含む:酸形成剤(酢酸、氷酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、希塩酸、リンゴ酸、硝酸、リン酸、希リン酸、硫酸、酒石酸);アルカリ形成剤(強アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トロラミン);抗ケーキング剤(流動促進剤(glidant)参照);消泡剤(ジメチコン、シメチコン);抗菌性防腐剤(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム溶液、塩化ベンゼルトニウム(benzelthonium chloride)、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、フェノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、安息香酸ナトリウム、ジヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、チモール);
【0126】
抗酸化剤(アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、ホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム(sodium formaldehyde sulfoxylate)、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、トコフェロール、トコフェロール類賦形剤);緩衝剤(酢酸、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、1塩基性リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム溶液、2塩基性リン酸ナトリウム、1塩基性リン酸ナトリウム);キレート剤(エデト酸2ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸および塩類、エデト酸);コーティング剤(カルボキシメチルセルロースナト
リウム、酢酸セルロース、フタル酸酢酸セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、製薬用グレーズ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテートフタレート、セラック、スクロース、二酸化チタン、カルナウバワックス、ミクロクリスタリンワックス、ゼイン);着色剤(カラメル、レッド、イエロー、ブラックまたはブレンド、酸化第2鉄);錯化剤(エチレンジアミンテトラ酢酸および塩類(EDTA)、エデト酸、エタノールアミドゲンチシン酸、硫酸オキシキノリン);乾燥剤(塩化カルシウム、硫酸カルシウム、二酸化珪素);
【0127】
乳化および/または可溶化剤(アカシア、コレステロール、ジエタノールアミン(補助剤)、モノステアリン酸グリセリン、ラノリンアルコール、レシチン、モノ-およびジ-グリセリド、モノエタノールアミン(補助剤)、オレイン酸(補助剤)、オレイルアルコール(安定化剤)、ポロキサマー、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシル35カスターオイル、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ポリオキシル40ステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ステアリン酸、トロラミン、乳化ろう);ろ過補助剤(filtering aids)(粉末セルロース、精製シリカ質土壌);フレーバーおよび香料(アネトール、ベンズアルデヒド、エチルバニリン、メントール、サリチル酸メチル、グルタミン酸1ナトリウム、橙花油、はっか、はっか油、はっか精、ローズ油、強バラ水(stronger rose water)、チモール、トル−バルサムチンキ剤、バニラ、バニラチンキ剤、バニリン);流動促進剤および/または抗ケーキング剤(ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク);
【0128】
湿潤剤(humectant)(グリセリン、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール);可塑剤(ヒマシ油、ジアセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、グリセリン、モノ-およびジ-アセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル);高分子(例えば酢酸セルロース、アルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、アクリルポリマー類およびアクリルコポリマー類);溶媒(アセトン、アルコール、希釈アルコール、抱水アミレン水和物、安息香酸ベンジル、ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロホルム、コーン油、綿実油、酢酸エチル、グリセリン、ヘキシレングリコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、塩化メチレン、メチルイソブチルケトン、鉱油、ピーナッツ油、ポリエチレングリコール、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール、ゴマ油、注射用水、注射用滅菌水、洗浄用滅菌水、精製水);
【0129】
吸収剤(粉末セルロース、木炭、精製シリカ質土壌);二酸化炭素吸収剤(水酸化バリウム石灰、ソーダ石灰);剛化剤(硬化ヒマシ油、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、固形油脂(hard fat)、パラフィン、ポリエチレン賦形剤、ステアリルアルコール、乳化ろう、白ろう、黄ろう);懸濁化剤および/または増粘剤(アカシア、アガー、アルギン酸、アルミニウムモノステアレート、ベントナイト、精製ベントナイト、マグマベントナイト、カルボマー934p、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム12、カラギーナン、微結晶およびカルボキシメチルセルロースナトリウムセルロース、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化
ケイ素、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キサンタンガム);甘味剤(アスパルテーム、デキストレート、デキストロース、賦形剤デキストロース、フルクトース、マンニトール、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、ソルビトール、ソルビトール溶液、スクロース、圧縮性糖、粉砂糖、シロップ);
【0130】
錠剤結合剤(アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、液状グルコース、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポビドン、α化でんぷん、シロップ);錠剤および/またはカプセル希釈剤(炭酸カルシウム、2塩基性リン酸カルシウム、3塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、デキストリン、デキストロース賦形剤、フルクトース、カオリン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、スクロース、圧縮性糖、粉砂糖);錠剤崩壊剤(アルギン酸、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンナトリウム(polacrilin sodium)、グリコール酸スターチナトリウム、デンプン、α化デンプン);錠剤および/またはカプセル滑沢剤(ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、軽油、ポリエチレングリコール、ステアリルフマレートナトリウム、ステアリン酸、精製ステアリン酸、タルク、硬化植物油、ステアリン酸亜鉛);
【0131】
張性剤(tonicity agent) (デキストロース、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、塩化ナトリウム);ビヒクル:風味および/または甘味添加(芳香エリキシル、複合ベンズアルデヒドエリキシル、イソアルコールエリキシル、はっか水、ソルビトール溶液、シロップ、トル-バルサムシロップ);ビヒクル:油性(アーモンド油、コーン油、綿実油、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、鉱油、軽油、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、オリーブ油、ピーナッツ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、スクアレン);ビヒクル:固体担体(球形糖(sugar spheres));ビヒクル:滅菌(注射用静菌水、注射用静菌塩化ナトリウム);増粘剤(懸濁化剤参照);撥水剤(シクロメチコン、ジメチコン、シメチコン);ならびに湿潤および/または可溶化剤(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ドクセートナトリウム、ノノキシノール9、ノノキシノール10、オクトキシノール9、ポロキサマー、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40、硬化ヒマシ油、ポリオキシル50ステアレート、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル20、セトステアリルエーテル、ポリオキシル40ステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、チロキサポール)。このリストは限定的であることを意味するものではないが、本発明の経口投与形態において用い得る賦形剤および特定の賦形剤の種類を単に代表するものである。
【0132】
カルシウムまたはマグネシウム石鹸を含む通常許容されるいずれの薬学的滑沢剤の有効量を、薬物被覆賦形剤を錠剤のような経口固体投与形態に圧縮する前に、成分の混合物(医薬を含む)に添加するのが好ましい。適切な滑沢剤の例は、固体投与形態の約0.5〜約3重量%の量のステアリン酸マグネシウムである。特に好ましい滑沢剤は、Penwest Pharmaceuticals Co.からPruv7の商品名で市販されているステアリルフマレートナトリウム、NFである。
【0133】
直接圧縮希釈剤は、製薬技術において広く用いられ、本発明の薬物被覆賦形剤を含む経口固体錠剤の製造に用いることができる。このような直接圧縮希釈剤は、広い種類の商業的な供給先から入手することができる。このような予め製造された直接圧縮賦形剤は、Emcocel7 (微結晶セルロース、N.F.)、Emdex7 (デキストレート、N.F.)、およびTab-Fine7 (スクロース、フルクトースおよびデキストロースを含むいくつかの直接圧縮糖)であり、
これらの全てはPenwest Pharmaceuticals Co., Patterson, New Yorkから入手可能である。その他の直接圧縮希釈剤は、Sheffield Chemical, Union, N.J. 07083からの無水ラクトース(ラクトースN.F.,、無水直接打錠);Degussa, D-600 Frankfurt (Main) GermanyからのElcems7 G-250 (粉末セルロース、N.F.);Foremost Whey Products, Banaboo, WI 53913からのFast-Flo Lactose7 (ラクトース、N.F.、噴霧乾燥);Grain Processing Corp.,
Muscatine, IA 52761からのMaltrin7 (凝集マルトデキストリン);Roquette Corp., 645
5th Ave., New York, N.Y. 10022からのNeosorb 607 (ソルビトール、N.F.、直接圧縮);Ingredient Technology, Inc., Pennsauken, N.J. 08110からのNu-Tab7 (圧縮性糖、N.F.);GAF Corp., New York, N.Y. 10020からのPolyplasdone XL7 (クロスポビドン、N.F.、架橋ポリビニルピロリドン);Generichem Corp., Little Falls, N.J. 07424からのPrimojel7 (グリコール酸スターチナトリウム、N.F.、カルボキシメチルスターチ);Penwest
Pharmaceuticals Co., Patterson, N.Y. 10512からのSolka Floc7 (セルロースフロック);Foremost Whey Products, Baraboo, WI 53913およびDMV Corp., Vehgel, Holland からのSpray-dried lactose7 (ラクトースN.F.、噴霧乾燥);およびColorcon, Inc., West Point, PA 19486からのSta-Rx 15007 (Starch 1500) (α化デンプン、N.F.、圧縮性)を含む。
【0134】
本発明による医薬品生成物がパラセタモールを含む場合、これは疼痛の治療用の薬の製造における使用のためであり得る。
【0135】
本発明による医薬品生成物は、最も適切な経路は、通常、受容者の症状および処置される疾患に依存するが、経口投与に特に適切である。実際に、本発明により提供される医薬品生成物は、いずれの鼻腔、経口または皮膚投与のためのエアロソルとして特に適切であることもできる。用いられる投与量は受容者の年齢および性別、処置される具体的な疾患ならびに投与経路を含むいくつかの因子に依存するが、受容者に投与される本発明による医薬生成物の正確な量は、係の医師の責任である。
【0136】
ある実施形態において、本発明の生成物は、胃腸での沈積のための薬物送達用の薬物送達システムにおいて用い得る。このようなシステムは、本明細書に記載のような生成物の複数回単位投与量を含む複数回単位投与デバイスを含むことができ、該デバイスは、作動に際して胃腸の沈積のための生成物の単位投与量を送達し、該本発明の医薬品生成物は、製剤の複数の微粒子(multiparticulate)の肺での沈積を最小限にするために10μmを超える平均粒子サイズを有し、薬物の有効投与量がヒト受容者の下肺に送達され得ないように約1mm未満である。薬物送達システムは、その後の胃腸での沈積のために、生成物の単位投与量を受容者の口腔(インビボ)に投与するか、または単位投与量を中間の貯蔵場所(intermediate receptacle)(エクスビボ)に分配する(dispense)のに用い得る。経口の粉末用の経口薬物送達システムおよびデバイスは、表題が双方とも"Improvements In Or Relating To The Delivery Of Oral Drugs"であるWO 01/64812およびPCT/IB02/03590;および2002年3月7日に出願された、表題"Drug Storage and Delivery Devices"の米国仮出願第60/362,307号に開示され、これらの開示の全ては、あらゆる趣旨において本明細書中に参照として組み込まれる、ある実施形態において、本発明の生成物は、口腔内に入れたときに生成物が肺においていずれの実質的な量も沈積しない様式で本明細書に記載のような生成物を調製し、そして送達のときに単回単位投与量を計量しながら供給する(meters)デバイス中に製剤の複数回単位投与量を配置することを含む、胃腸での沈積のための薬物の複数回投与量を送達するための薬物送達システムを製造する方法を提供するのに用いることができる。
【0137】
最後に、さらに本発明により、疾患を処置する方法が提供され、該方法は、本発明による医薬品生成物の治療上の有効量を受容者に投与することを含む。
【0138】
本明細書において複数の代替の値、範囲および範囲の終点が与えられる場合、各々の1つは別個に好ましく、かつ本発明の別個の好ましい実施形態または特徴としてみなされるべきである。さらに、逆のことが明確に不可能でなければ、このような値の各々のかつ全ての可能な組み合わせは、本明細書により別個に開示されていると解されるべきである。本発明による医薬賦形剤の物理的および化学的な特性は、医薬上許容される生成物を製造するための使用、および好ましくは経口投与される医薬品生成物の製造における使用にそれらを適するものとするようなものである。
【0139】
図面の簡単な説明
図1は、倍率×70で撮影された実施例1のSEM(走査型電子顕微鏡)画像であり、物質中に存在する一次構造を明らかにする。一次孔の例が図に示されている。
図2は、倍率×60で撮影された実施例1のSEM画像であり、物質中に存在する一次構造を明らかにする。一次壁の厚さの例が図に示されている。
図3は、倍率×1400で撮影された実施例1のSEM画像であり、不揃いのジオメトリーおよび平滑な表面を有する一次粒子を明らかにする。図3は、より大きい一次粒子の間に、二次構造を区画する約1μmのサイズの粒子がつめられていることも明らかにする。一次粒子の例が図に示されている。
【0140】
図4は、倍率×50で撮影された実施例2のSEM画像であり、物質中に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、50〜500μmの範囲で、10〜500μmの範囲の一次孔サイズを区画することが観察される。一次孔および一次壁の厚さの例が図に示されている。
図5は、倍率×270で撮影された実施例2のSEM画像であり、一次壁の組成を図4より詳細に明らかにする。一次粒子は、2種のサイズ分布にあることが観察される。10〜50μmの範囲の大きい粒子と、0.5〜5μmの範囲の小さい粒子とが存在している。一次壁の厚さの例が図に示されている。
【0141】
図6は、倍率×1300で撮影された実施例2のSEM画像であり、図5での所見を支持している。図6では、0.1〜1μmの範囲の孔の二次孔構造に加えて、高い表面粗さが観察される。二次孔および二次粒子の例が図に示されている。
図7は、倍率×220で撮影された実施例3のSEM画像であり、物質中に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、50〜200μmの範囲で、10〜100μmの範囲の一次孔サイズを区画することが観察される。一次壁構造は、平滑で不揃いのジオメトリーであり、かつ1〜30μmの範囲にある粒子を含む。一次孔および一次壁の厚さの例が図に示されている。
【0142】
図8は、倍率×650で撮影された実施例3のSEM画像であり、一次壁の組成をより詳細に明らかにする。二次孔構造が0.1〜1μmの範囲で、一次粒子の間の隙間の空間に、より小さい二次粒子の間の空間に対峙して形成されるのが観察される。二次孔の例が図に示されている。
図9は、倍率×1500で撮影された実施例3のSEM画像であり、物質中に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、10〜50μmの範囲で、5〜20μmの範囲の一次孔サイズを区画することが観察される。一次壁構造は、見かけが「ふわふわした」不揃いのジオメトリーで、かつ1〜10μmの範囲にある粒子を含む。一次壁の厚さおよび一次孔の例が図に示されている。
【0143】
図10は、倍率×10000で撮影された実施例4のSEM画像であり、一次壁の組成をより詳細に明らかにする。一次粒子は、1μm未満の範囲の小さい粒子と、約100nmの厚さで0.1〜2μmの長さの棒針形状粒子との組み合わせからなる。これらの二次粒子は、1μm以下の範囲の二次孔構造を区画する。二次孔および二次粒子の例が図に示
されている。
図11は、実施例12のニフェジピン被覆構築物の溶解試験の吸光度対時間の曲線の結果を示す。
図12は、実施例12のUSPグレードのニフェジピンの溶解試験の吸光度対時間の曲線の結果を示す。
【0144】
図13は、倍率×180で撮影されたSEM画像であり、実施例13aで製造した物質を示す。この物質は、直径300nmの球形の孔を組み込んだリン酸カルシウムの集団を含む。個別の集団は、互いに接して、2〜50μmの範囲の一次孔構造を区画する連続構造を形成している。
図14は、実施例13に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×800で撮影されたSEM画像である。この図は、約2μmのラテックス粒子を用いて製造された単一のリン酸カルシウムの集団を示す。
【0145】
図15は、実施例14に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×40で撮影されたSEM画像である。この図は、予め形成された炭酸カルシウムを用いて製造された網目状構造を示し、泡の隙間の空間内で、各気泡の界面に位置するこれらの粒子を示す。
図16は、図15で示す物質の倍率×300で撮影されたSEM画像であり、図15で示された泡の一つを示す。
図17は、図15および16に示す物質の2つの泡の間に形成された壁の、倍率×5000で撮影したSEM画像である。
【0146】
図18は、実施例14に記載のインシトゥー沈殿法により製造された物質の、倍率×1000でのSEM画像である。この図は、直径1〜15μmの範囲の、各気泡の界面に沿って方向付けられた炭酸カルシウムのほぼ球形の粒子を示す。
図19は、図18で示す物質の倍率×2500でのSEM画像であり、2つの気泡の間の界面に沿った粒子のゆるいパッキングを示す。
図20は、倍率×220で撮影され、実施例15に記載の方法で、予め形成されたリン酸カルシウム粒子を用い、1000℃の温度に加熱して製造された網目状構造を示すSEM画像である。
【0147】
図21は、図20に示す構造の単一ストランドの、倍率×4000で撮影したSEM画像であり、ストランドが焼結粒子およびサブミクロンのサイズの孔からなることを示す。
図22は、マトリックスを1350℃の温度に加熱する実施例15に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×200でのSEM画像である。
図23は、図22で示す物質の、倍率×350でのSEM画像である。
図24は、図23に示す構造の一部分の倍率×1000でのSEM画像であり、最小粒界を示し、焼結の効果を確認する。
本発明は、ここで、以下の実施例によりさらに説明されるが、これらは本発明の範囲をいずれの点でも限定するものではない。
【実施例】
【0148】
実施例1
鋳型を用いるリン酸カルシウム構造の製造(構築物の形成)
実施例1では、1.55 % w/wのデキストランを2 M Na2HPO4水溶液7 mLに加えた。溶液を水浴中で70℃に温め、激しく攪拌して高分子の溶解を促進した。デキストランの完全溶解の後に溶液は澄明になった。この段階で、4 M CaCl2水溶液1 mL を反応容器に滴下した。次いで攪拌を停止し、容器を水浴から出して室温まで冷却させた。サンプルを48時間放置して反応容器の内容物を凝固させた。
【0149】
固体物質のわずかな画分を、塊のサンプルから注意して砕き、金属台(metal stub)の上に置き、金(gold)でスパッタ被覆して、Jeol 5600走査型電子顕微鏡を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積を、Coulter SA3100でBET法を用いて測定した。約1グラムの物質を制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが測定チャンバに入るのに充分なようにした。この測定は、再現性を確実にするために3回繰り返した。
【0150】
実施例1の走査型電子顕微鏡画像:
図1は倍率×70で撮影され、図2は倍率×60で撮影された。両方の画像は、物質内に存在する一次構造を明らかにする。物質が、1〜100μmの範囲の不揃いの形状の粒子から主に組み立てられている一次壁構造からなることが観察される。一次壁構造は、10〜200μmの範囲の一次孔構造を区画する。図3は、倍率×1400で撮影された。この倍率では、一次粒子が不揃いのジオメトリーおよび平滑な表面を有することを明確に同定することができる。より大きい一次粒子の間には、二次構造を区画する約1μmのサイズの粒子が詰まっている。二次構造の中にはほとんど孔が観察されず、存在するのは1μm程度のサイズのものである。
BET吸着測定により、比表面積は0.4 m2g-1であるとわかった。
【0151】
一次壁構造を区画する粒子は、大きく、かつ非常に低い表面粗さを示す。これらの2つの因子の組み合わせが、このサンプルについて比較的低い比表面積が測定されることに導く。しかしながら、該物質は、水溶性が乏しい薬物を安定化するのに必要な開放構造を有し、低い投与量の化合物と用いると有用であろう。この物質中には二次構造が存在するが、孔は疎通性(inaccessible)の性質(小さい孔のサイズ)であるので、この物質は、打錠された固体投与形態における単独の添加剤として(すなわち、追加の(圧縮可能な)医薬賦形剤の包含なしでは)有用ではないであろう。
【0152】
実施例2
鋳型を用いるリン酸カルシウム構造の製造(構築物の形成)
実施例2において、69 % w/wのキサンタンガムを、2 M Na2HPO4水溶液7 mLに加えた。溶液を水浴中で70℃に温め、激しく攪拌して高分子の溶解を促進した。キサンタンガムの完全溶解の後、溶液は澄明になった。この段階で4 M CaCl2水溶液1 mLを反応容器に加えた。次いで攪拌を停止し、容器を水浴から出して室温まで冷却させた。サンプルを24時間放置して反応容器の内容物を凝固させた。
【0153】
固体物質のわずかな画分を、塊のサンプルから注意して砕き、金属台の上に置き、金でスパッタ被覆して、Jeol 5600走査型電子顕微鏡を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積を、Coulter SA3100でBET法を用いて測定した。約1グラムの物質を制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが測定チャンバに入るのに充分なようにした。この測定は、再現性を確実にするために3回繰り返した。
【0154】
実施例2の走査型電子顕微鏡画像:
図4は、倍率×50で撮影され、物質内に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、50〜500μmの範囲で、10〜500μmの範囲の一次孔サイズを区画する。図5は、倍率×270で撮影され、一次壁の組成をより詳細に明らかにする。一次粒子は、2つのサイズ分布にあることが観察される。10〜50μmの範囲の大きい粒子と、0.5〜5μmの範囲の小さい粒子とが存在する。図6は、倍率×1300で撮影され、図5での所見を支持している。図6では、0.1〜1μmの範囲の孔の二次孔構造に加えて、高い表面粗さが観察される。BET吸着
測定により、比表面積は2.1 m2g-1であるとわかった。
【0155】
高倍率において一次壁構造が観察され、1μm未満程度の孔の二次孔構造を区画する0.5〜50μmの範囲の粒子からなる。二次構造の比表面積への貢献はかなりであるが、物質の比表面積は、一次壁構造のサイズのために、予想よりも低い。この物質は、水溶性が乏しい薬物を安定化するのに必要な開放構造を有し、低い投与量化合物の粉末送達、カプセルおよび錠剤に有用であろう。
【0156】
実施例3
鋳型を用いるリン酸カルシウム構造の製造(構築物の形成)
実施例3では、69 % w/wのアカシアガムを、2 M Na2HPO4水溶液7 mLに加えた。溶液を水浴中で70℃に温め、激しく攪拌して高分子の溶解を促進した。アカシアガムの完全溶解の後に溶液は澄明になった。この段階で、4 M CaCl2水溶液1 mL を反応容器に滴下した。次いで攪拌を停止し、容器を水浴から出して室温まで冷却させた。サンプルを24時間放置して反応容器の内容物を凝固させた。
【0157】
固体物質のわずかな画分を、塊のサンプルから注意して砕き、金属台の上に置き、金でスパッタ被覆して、Jeol 5600走査型電子顕微鏡を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積を、Coulter SA3100でBET法を用いて測定した。約1グラムの物質を制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが測定チャンバに入るのに充分なようにした。この測定は、再現性を確実にするために3回繰り返した。
【0158】
実施例3の走査型電子顕微鏡画像:
図7は、倍率×220で撮影され、物質内に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、50〜200μmの範囲で、10〜100μmの範囲の一次孔サイズを区画するのが観察される。一次壁構造は、平滑で、不揃いのジオメトリーで、1〜30μmの範囲の粒子を含む。図8は、倍率×650で撮影され、一次壁の組成をより詳細に明らかにする。二次孔構造は、0.1〜1μmの範囲で、一次粒子の間の隙間の空間に、より小さい二次粒子の間の空間に対峙して形成されるのが観察される。
BET吸着測定により、比表面積は0.2 m2g-1であるとわかった。
【0159】
高倍率において一次壁構造が観察され、1μm未満程度の孔の二次孔構造を区画する1〜30μmの範囲の粒子からなる。二次構造の比表面積への貢献はかなりであるが、物質の比表面積は、一次壁構造のサイズのために、予想よりも低い。この物質は、水溶性が乏しい薬物を安定化するのに必要な開放構造を有し、低い投与量化合物の粉末送達、カプセルおよび錠剤に有用であろう。
【0160】
実施例4
鋳型を用いるリン酸カルシウム構造の製造(構築物の形成)
実施例4では、5 % w/wのキサンタンガムを2 M Na2HPO4水溶液500 mLに加えた。この溶液に、5 % w/wの炭酸カルシウムを不溶性の充填剤(insoluble bulking agent)として添加した。溶液を水浴中で70℃に温め、激しく攪拌して高分子の溶解を促進した。キサンタンガムの完全溶解の後に溶液は澄明になった。この段階で、4 M CaCl2水溶液100 mLを反応容器に滴下した。次いで攪拌を停止し、容器を水浴から出して室温まで冷却させた。過剰の溶媒を反応容器からデカントし、固体サンプルを60℃で真空下に96時間おいて、固体を乾燥させた。
【0161】
固体物質のわずかな画分を、塊のサンプルから注意して砕き、金属台の上に置き、金で
スパッタ被覆して、Jeol 6310走査型電子顕微鏡を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積を、Coulter SA3100でBET法を用いて測定した。約1グラムの物質を制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが測定チャンバに入るのに充分なようにした。この測定は、再現性を確実にするために3回繰り返した。
【0162】
実施例4の走査型電子顕微鏡画像:
図9は、倍率×1500で撮影され、物質中に存在する一次壁構造を明らかにする。一次壁は、10〜50μmの範囲で、5〜20μmの範囲の一次孔サイズを区画することが観察される。一次壁構造は、見かけが「ふわふわした」不揃いのジオメトリーで、1〜10μmの範囲にある粒子を含む。図10は、倍率×10000で撮影され、一次壁の組成をより詳細に明らかにする。一次粒子は、1μm未満の範囲の小さい粒子と、約100nmの厚さで0.1〜2μmの長さの棒針形状粒子との組み合わせからなる。これらの二次粒子は、1μm以下の範囲の二次孔構造を区画する。
BET吸着測定により、比表面積は13.4 m2g-1であるとわかった。
【0163】
実施例5
溶媒蒸発を介しての薬物の構築物への適用
実施例5では、実施例1〜4の構築物をとり、重ねたふるい(sieve stack)を通して50〜500μmの範囲のサイズ画分を回収する。適切なサイズ画分2.7 gを、エタノール1〜5 mL (分析グレード)に溶解したニフェジピン300 mgを含む溶液に、褐色ガラス反応容器中で加える。次いでスラリーを超音波浴中に10分間超音波処理して固体の完全なぬれを確実にする。次いで反応容器を、真空下においた真空オーブンに移し、30〜50℃の間で24時間まで加熱して、エタノールの完全な除去を確実にする。
実施例1〜4の構築物の被覆を、HPLCおよびUSP タイプIV溶解試験により確認する。
【0164】
実施例6
凍結乾燥を介する薬物の構築物への適用
実施例6では、実施例1〜4の構築物をとり、重ねたふるいを通して50〜500μmの範囲のサイズ画分を回収する。適切なサイズ画分2.7 gを、エタノール1〜5 mL (分析グレード)に溶解したニフェジピン300 mgを含む溶液に、褐色ガラス反応容器中で加える。次いでスラリーを超音波浴中に10分間超音波処理して固体の完全なぬれを確実にする。次いで反応容器を結晶化皿に移し、これをVirtis Advantage凍結乾燥ユニットにおく。サンプルを、その凝固点より低い温度に3時間保持し、その凝固点に3時間保持し、最後に室温に保持してエタノールの完全な除去を確実にする。
実施例1〜4の構築物の被覆を、HPLCおよびUSP タイプIV溶解試験により確認する。
【0165】
実施例7
噴霧乾燥を介する薬物の構築物への適用
実施例7では、実施例1〜4の構築物をとり、重ねたふるいを通して50〜500μmの範囲のサイズ画分を回収する。適切なサイズ画分27 gを、エタノール10〜50 mL (分析グレード)に溶解したニフェジピン3 gを含む溶液に、褐色ガラス反応容器中で加える。次いでスラリーを超音波浴中に10分間超音波処理して固体の完全なぬれを確実にする。次いで、容器の内容物をBuchiミニ噴霧乾燥機に1〜5 mL分-1、90℃でポンプで通して、被覆された構築物の粒子を得る。
実施例1〜4の構築物の被覆を、HPLCおよびUSP タイプIV溶解試験により確認する。
【0166】
実施例8
固体投与形態(粉末)の製造
実施例8では、実施例5〜7のいずれかで製造した薬物被覆構築物を用いて、経口固体投与形態(この場合、例えば粉末)を製造する。粉末投与形態において、薬物被覆構築物(1〜50 % w/wの間で被覆)は、粉末として直接もたらされる。
【0167】
実施例9
固体投与形態(カプセル)の製造
実施例9では、実施例5〜7のいずれかで製造された薬物被覆構築物を用いて、経口固体投与形態(この場合、例えばカプセル)を製造する。カプセル投与形態において、以下に列挙する次の成分を共に混合して、カプセルに充填する。
0.25 % w/w 滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;
< 3 % w/w 崩壊剤、例えばグリコール酸スターチナトリウム(必要であれば);
必要量の流動/パッキング促進剤、例えばスターチ15 (必要であれば);および
必要量の被覆構築物(1〜50 % w/wの間で被覆) (希釈剤および被覆構築物の濃度は薬物負荷濃度により変動する)。
【0168】
実施例10
固体投与形態(大きい錠剤)の製造
実施例10では、実施例5〜7のいずれかで製造した薬物被覆構築物を用いて、経口固体投与形態(この場合、例えば>250 mgの錠剤質量で、希釈剤のない自己圧縮錠剤(self compressing tablet)である大きい錠剤)を製造する。大きい錠剤の形態において、以下に列挙する次の成分を共に混合して、錠剤成形機(tablet press)を用いて錠剤に圧縮する。
0.5 % w/w滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;
3 % w/w崩壊剤、例えばグリコール酸スターチナトリウム;および
96.5 % w/w被覆構築物(1〜50 % w/wの間で被覆)。
【0169】
実施例11
固体投与形態(小さい錠剤)の製造
実施例11では、実施例5〜7のいずれかで製造した薬物被覆構築物を用いて、経口固体投与形態(この場合、例えば<250 mgの錠剤質量の小さい錠剤)を製造する。小さい錠剤の形態において、以下に列挙する次の成分を共に混合して、錠剤成形機を用いて錠剤に圧縮する。
0.5 % w/w滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;
3 % w/w崩壊剤、例えばグリコール酸スターチナトリウム;
必要量の希釈剤、例えば微結晶セルロースまたはラクトース;および
必要量の被覆構築物(1〜50 % w/wの間で被覆) (希釈剤および被覆構築物の濃度は薬物負荷濃度により変動する)。
【0170】
実施例12
実施例12では、実施例4に従って製造した構築物を、重ねたふるいを通して300〜600μmの範囲のサイズ画分を回収した。構築物95 % w/wを、エタノール溶液中の0.03 molL-1のニフェジピン10 mLに加えた。スラリーを超音波浴中で10分間超音波処理して固体の完全なぬれを確実にした。次いでサンプル容器を、全てのエタノールが蒸発するまで80℃の水浴中で温めた。次いでサンプル容器をオーブンに移し、60℃で30分間加熱してサンプルが完全に乾燥するのを確実にした。
構築物の被覆を、HPLCおよびUSP タイプIV溶解試験により確認した。実施例12の製剤について、HPLCおよびUSP タイプIV溶解試験の結果は以下のとおりであった。
【0171】
HPLC
含量の均一性をHPLCにより、Jones Genesisカラム(C18 4 μm、150×4.6 mm ID)を用いて測定した。移動相は50:40:10 脱イオン水:メタノール:アセトニトリルであった。ニフ
ェジピン被覆賦形剤のサンプル30 mgを、50:50 アセトニトリル:脱イオン水に溶解した。10μLを注入し、得られたピークを既知の濃度のニフェジピンUSP標準物質と比較した。
全ての場合において、ニフェジピン濃度は2.5±0.5 % w/wであることがわかった。
【0172】
溶解データ
USPタイプIV溶解試験を、Sotax CE70溶解装置を用いて、6時間、37℃、32 mL 分-1で運転して行った。ニフェジピン被覆賦形剤のサンプル200 mgおよびpH 6.8のリン酸緩衝液1 Lを各試験において用いた。各溶液の吸光度を238 nmで測定した。既知の濃度の標準物質との比較は、完全な溶解が0.316の吸光度値を与えることを示した。85〜90 % (2.25〜2.125 mg)の間の溶解が、6時間の期間にわたって試験した4つのサンプルについて達成された。6時間の期間にわたって試験した4つのサンプルについての溶解の結果を図11に示す。
【0173】
ニフェジピン被覆賦形剤の溶解の結果をUSPグレードのニフェジピンの溶解と比較するために、USPグレードのニフェジピンを溶解試験した。USPグレードのニフェジピンの溶解を試験するのに2つの容器を用いた。USPグレードのニフェジピン10 mgを各試験で用いた。条件は、上記の被覆賦形剤およびUSPグレードのニフェジピンの両方の溶解試験と同じであった。USPグレードのニフェジピンの溶解の結果を図12に示す。USPグレードのニフェジピンの溶解試験の結果は、約0.16〜0.18の吸光度により示されるように、6時間後に約50%(1.25 mg)が溶解したことを示す。
2つの溶解プロフィールを比較すると、溶解の速度は純粋な薬物(USPグレードのニフェジピン)よりもニフェジピン被覆賦形剤のほうが約2倍早いことが示される。
【0174】
実施例13
孔形成剤としてラテックスビーズを用いるリン酸カルシウム/キサンタンガムマトリックスの製造
一般的方法
網目状構造の製造
0.5〜5% w/vの間の医薬上許容されるガムを、15〜50 % w/vの間のリン酸ナトリウム水溶液に溶解する。次いで0.5〜5% w/vの間の炭酸カルシウムをこの溶液に加える。直径0.1〜10μmの間のラテックスビーズは、湿った塊が回収されるまでサンプルを乾燥させることにより弱く凝集する。0.05〜1% w/vの間の弱く凝集したラテックスビーズを、次いで溶液に加える。分散液を激しく攪拌し、1〜20% w/vの間の、20〜75% w/vの間の塩化カルシウム水溶液を加える。得られた固体を15〜80℃の間で乾燥し、その後適切な容量のアセトンに添加して、15分〜24時間の間で攪拌する。次いでサンプルをろ過し、乾燥させ、粗く砕いて易流動性の粉末を得る。
【0175】
電子顕微鏡法
粉末物質の少しの画分を、注意深く金属台の上に置き、金でスパッタ被覆して、Jeol 6310走査型電子顕微鏡を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積を、Beckman Coulter SA3100表面積および孔サイズアナライザーを用いて測定した。重量0.075〜1.5gのサンプルを、制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが予め乾燥した3 mlのガラス試験管に入るのに充分なようにした。サンプルを60℃で10時間、測定の前に乾燥させた。測定を窒素ガスおよび10圧力ポイント(pressure point)でのBET等式を用いて行った。最少で3回の測定を各サンプルについて行った。
【0176】
具体的方法:
(a) リン酸ナトリウム17.2 gを脱イオン水50ml中に溶解した。この溶液にキサンタンガム1.0gとCaCO3 1.0gを加えた。溶液を、キサンタンガムが溶液中に完全に溶解するまで攪拌した。直径300μmの固体ラテックスビーズ0.1gを、次いでこの溶液に加えた。この分散
液を激しく攪拌し、脱イオン水10ml中に塩化カルシウム5.28gを含む水溶液を滴下した。得られた固体を室温および常圧で乾燥した。完全な乾燥に続いて、物質を適切な容量のアセトンに加えてラテックスビーズを溶解し、一晩攪拌した。次いでサンプルをろ過してアセトンを除き、乾燥した。この方法により製造された構造の比表面積は、窒素吸収により、0.1〜15m2/gの範囲であることがわかる。
【0177】
(b) リン酸ナトリウム17.2gを脱イオン水50 ml中に溶解した。この溶液にキサンタンガム1.0gおよびCaCO3 1.0gを加えた。溶液を、キサンタンガムが溶液中に完全に溶解するまで攪拌した。直径3μmのラテックスビーズの10重量%分散液2mlを、次いで溶液に加えた。得られた分散液を激しく攪拌し、脱イオン水10ml中に塩化カルシウム5.28gを含む水溶液を滴下した。得られた固体を室温および常圧で乾燥した。完全な乾燥に続いて、物質を適切な容量のアセトンに加えてラテックスビーズを溶解し、一晩攪拌した。次いでサンプルをろ過してアセトンを除き、95℃で一晩乾燥した。比表面積をBET等式を用いて窒素吸着により測定し、21.3m2/gであることがわかった。
【0178】
実施例13の走査型電子顕微鏡画像
図13は、倍率×180で撮影され、例(a)で製造された物質を示す。この物質は、直径300nmの球形の孔を組み込んだリン酸カルシウムの集団を含む。個別の集団は、互いに接して、2〜50μmの範囲の一次孔構造を区画する連続構造を形成している。図14は、倍率×800で撮影され、この実施例において与えられた一般的教示による方法において、ポロゲンとして約2μmのラテックス粒子を用いて製造されたリン酸カルシウムの単一の集団を示す。集団を形成する個別のリン酸カルシウムの凝集が、明確に見られる。
【0179】
実施例14
リン酸カルシウムおよび炭酸カルシウム/卵白マトリックスの製造
一般的方法
予め形成された粒子を用いる網目状構造の製造
炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウムのいずれかの5〜20gの間の無機粒子を、5〜10%
w/wの間の卵白を含む溶液10mlに加える。次いでスラリーを30分間激しく攪拌し、粒子のぬれを確実にする。スラリーを家庭用Kenwoodフードミキサーを用いて高速で泡立てて、混合物中に空気を組み入れる。変形可能な凹凸がサンプル中に見られ、泡が生成されるまで泡立てを行う。泡をオーブンに移し、40〜100℃の間で12〜24時間の間加熱する。次いで物質を室温に冷却し、粗く砕いて易流動性の粉末をつくる。
【0180】
インシトゥー沈殿を用いる網目状構造の製造
1〜10mlの間の、0.1〜10mol/dm3の間の炭酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウムの溶液を、5〜10% w/wの間の卵白を含む溶液10mlに加える。次いで溶液を10分まで激しく攪拌して、平衡状態が達成されるのを確実にする。溶液を家庭用Kenwoodフードミキサーを用いて高速で泡立てて、混合物中に空気を組み入れる。泡立ての間、1〜10mlの間の、0.1〜10mol/dm3の間の塩化カルシウムの溶液を滴下する。変形可能な凹凸がサンプル中に見られ、泡が生成されるまで泡立てを行う。泡をオーブンに移し、40〜100℃の間で12〜24時間の間加熱する。次いで物質を室温に冷却し、粗く砕いて易流動性の粉末をつくる。
【0181】
電子顕微鏡法
粉末物質の少しの画分を、注意深く金属台の上に置き、金でスパッタ被覆して、Jeol 6310走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積測定
比表面積を、Beckman Coulter SA3100表面積および孔サイズアナライザーを用いて測定した。重量0.075〜1.5gのサンプルを、制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズ
が、サンプルが予め乾燥させた3 mlのガラス試験管に入るのに充分なようにした。サンプルを60℃で10時間、測定の前に乾燥させた。測定を窒素ガスおよび10圧力ポイントでのBET等式を用いて行った。最少で3回の測定を各サンプルについて行った。
【0182】
具体的方法
(a) 製造:炭酸カルシウム粒子10gを、10% w/w卵白を含む溶液10mlに加えた。次いでスラリーを30分間激しく攪拌して粒子の完全なぬれを確実にした。スラリーを家庭用Kenwoodフードミキサーを用いて高速で泡立てて、混合物中に空気を組み入れた。変形可能な凹凸がサンプル中に見られ、泡が生成されるまで泡立てを行った。泡をオーブンに移し、60℃で12時間加熱した。次いで物質を室温に冷却し、粗く砕いて易流動性の粉末をつくった。
結果:この方法により製造されたこの物質の比表面積は、窒素吸収により4.4m2/gであることがわかった。
【0183】
(b) 製造:炭酸カルシウム粒子5gを、5% w/w卵白を含む溶液15mlに加えた。次いでスラリーを30分間激しく攪拌して粒子の完全なぬれを確実にした。スラリーを家庭用Kenwoodフードミキサーを用いて高速で泡立てて、混合物中に空気を組み入れた。変形可能な凹凸がサンプル中に見られ、泡が生成されるまで泡立てを行った。泡をオーブンに移し、40℃で24時間加熱した。次いで物質を室温に冷却し、粗く砕いて易流動性の粉末をつくった。結果:この方法により製造されたこの物質の比表面積は、窒素吸収により3m2/gであることがわかった。
【0184】
実施例14の走査型電子顕微鏡画像
電子顕微鏡法
図15は、倍率×40で撮影され、予め形成された炭酸カルシウム粒子を用いて製造された網目状構造を示す。炭酸カルシウム粒子が泡の隙間の空間内で、各気泡の界面に位置することが明確である。約100μmより下の泡の直径で、広い「泡」のサイズ分布が観察される。図16に、「泡」の1つを拡大した画像(×300)を見ることができる。0.1〜5μmの範囲の孔を有する非常に微小な多孔構造を形成する「泡」の表面に沿って粒子が整列している。「泡」の間に形成される壁を、図17に示す(倍率×5000)。壁の厚さは0.5〜10μmの範囲にあり、壁が0.1〜5μmの範囲の孔をさらに含むことが示されている。インシトゥー沈殿により製造された網目状構造を、図18に示す(倍率×1000)。直径1〜15μmの範囲の炭酸カルシウムのほぼ球形の粒子が、各気泡の界面に沿って方向付けられているのが観察できる。100μm程度の「泡」のサイズが観察できる。図19(倍率×2500)は、界面に沿った粒子のゆるいパッキングを示す。ほぼ球形の粒子の間の空間は、壁構造において孔として作用する。
【0185】
比表面積測定
これらの方法により製造される追加の構造の比表面積は、窒素吸着により1〜15m2/gの範囲であることがわかった。
【0186】
実施例15
高温法を用いるリン酸カルシウムマトリックスの製造
一般的方法
サブミクロンのヒドロキシアパタイト粒子を用いる網目状構造の製造
0.5〜5gの間のサブミクロンの直径の、予め製造したヒドロキシアパタイト粒子を、15 mlまでの蒸留水に超音波処理しながら懸濁する。この懸濁液に、5〜50gの間のデキストリン(Mr 約70,000)を混合しながら加える。次いでペーストを室温で空気乾燥し、900〜1500℃の間まで、5時間までにわたって1〜20℃/分の間の加熱速度で加熱する。100μmまでの孔サイズを有する、直径約1μmの溶融粒子で構成される網目状のスポンジを得る。
【0187】
4ミクロンのヒドロキシアパタイト粒子を用いる網目状構造の製造
0.5〜10gの間の直径約4μmの予め製造したヒドロキシアパタイト粒子を、50 mlまでの蒸留水に超音波処理しながら懸濁する。この懸濁液に、5〜50gの間のデキストリン(Mr 約70,000)を混合しながら加える。エピクロルヒドリン(1-クロロ-2,3-エポキシプロパン)を、0.5〜10mlの範囲で混合物に攪拌しながら加えると、架橋剤として作用する。0.5〜5mlの間の5.8M水酸化ナトリウム溶液を混合しながら懸濁物に加え、粘性のある液体をつくる。該液体を円形の型に注ぎ込み、蓋付きの容器内で8〜24時間の間放置する。得られるゴム状のデキストラン/ヒドロキシアパタイト物質を、次いで型から出し、るつぼに入れて1000〜1500℃の間に、5時間まで1〜20℃/分の間の加熱速度で加熱する。ヒドロキシアパタイト溶融粒子の網目状の骨格のスポンジ様ディスクが得られる。
【0188】
電子顕微鏡法
粉末物質の少しの画分を、注意深く金属台の上に置き、金でスパッタ被覆して、Keol 6310走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる撮像のための準備をした。画像は、いくつかの倍率で記録して、一次および二次のレベルの構造の両方の存在を測定した。
比表面積測定
比表面積を、Beckman Coulter SA3100表面積および孔サイズアナライザーを用いて測定した。重量0.075〜1.5gのサンプルを、制御された様式で粉砕し、粉砕された粒子サイズが、サンプルが予め乾燥させた3 mlのガラス試験管に入るのに充分なようにした。サンプルを60℃で10時間、測定の前に乾燥させた。測定を窒素ガスおよび10圧力ポイントでのBET等式を用いて行った。最少で3回の測定を各サンプルについて行った。
【0189】
具体的方法
(a) 製造: サブミクロンの直径の予め製造したヒドロキシアパタイト粒子1.5gを超音波処理しながら蒸留水5mlに懸濁し、混合しながらデキストラン10g (Mr 約70,000)を加えた。次いでペーストを空気乾燥させ、1000℃まで2時間、10℃/分の加熱速度で加熱した。100μmまでの孔サイズを有する、直径約1μmの溶融粒子で構成される網目状のスポンジを得た。この場合、ヒドロキシアパタイト粒子の加熱は、α-リン酸三カルシウム(α-Ca3(PO4)2)への相変換をもたらした。
【0190】
(b) 製造:直径約4μmの予め製造されたヒドロキシアパタイト粒子1.5gを超音波処理しながら蒸留水4.5mlに懸濁し、混合しながらデキストラン9g (Mr 約70,000)を加えた。架橋剤エピクロルヒドリン(1-クロロ-2,3-エポキシプロパン) 1.89mlを混合物に混合し、次いで5.8M水酸化ナトリウム水溶液2.9mlを混合しながら加えて粘性のある液体をつくった。該液体を、幅15mm、深さ4mmの円形の型(約8〜10)に注ぎ、蓋付きの容器内で一晩放置した。得られたゴム状のデキストラン/ヒドロキシアパタイト物質を型から出し、次いでアルミナるつぼに入れて1300℃まで2時間、10℃/分の加熱速度で加熱した。ヒドロキシアパタイト溶融粒子の網目状の骨格のスポンジ様ディスクが得られた。
【0191】
(c) 製造:直径約4μmの予め製造されたヒドロキシアパタイト1.5gを超音波処理しながら蒸留水4.5mlに懸濁し、混合しながらデキストラン7.5g (Mr 約70,000)を加えた。架橋剤エピクロルヒドリン(1-クロロ-2,3-エポキシプロパン) 1.57mlを混合物に混合し、次いで5.8M水酸化ナトリウム水溶液2.45mlを混合しながら加えて粘性のある液体をつくった。該液体を、幅15mm、深さ4mmの円形の型(約8〜10)に注ぎ、蓋付きの容器内で一晩放置した。ゴム状のデキストラン/ヒドロキシアパタイト物質を、次いで型から出し、アルミナるつぼに入れて1350℃まで2時間、5℃/分の加熱速度で加熱した。ヒドロキシアパタイト溶融粒子の網目状の骨格のスポンジ様ディスクが得られた。
【0192】
実施例15の走査型電子顕微鏡画像
図20 (倍率×200)は、予め形成されたリン酸カルシウム粒子(0.8〜1μm)を用い、1000℃の温度に加熱して製造した網目状構造を示す。リン酸カルシウム粒子が高分子鋳型のストランドに沿って位置し、かつその構造を1000℃での加熱の後も保持していることが明らかである。図21 (倍率×4000)は、焼結粒子およびサブミクロンのサイズの孔からなる、図20に示す構造の拡大した単一ストランドを示す。粒子の粒界はなく、物質の焼結が成功したことを示す。図22 (倍率×200)および図23 (倍率×350)は、網目状構造への上昇した温度(1350℃)の影響を示す。ストランド間の平均距離は、温度上昇に伴って減少しているのが見られる。図24 (倍率×1000)は、図23に見られる構造の拡大した一部分を示す。粒子の粒界がないので、焼結の効果を示す。
【0193】
比表面積測定
これらの方法により製造される構造の比表面積は、窒素吸着により0.1〜15m2/gの範囲であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】図1は、倍率×70で撮影された実施例1のSEM(走査型電子顕微鏡)画像である。
【図2】図2は、倍率×60で撮影された実施例1のSEM画像である。
【図3】図3は、倍率×1400で撮影された実施例1のSEM画像である。
【図4】図4は、倍率×50で撮影された実施例2のSEM画像である。
【図5】図5は、倍率×270で撮影された実施例2のSEM画像である。
【図6】図6は、倍率×1300で撮影された実施例2のSEM画像である。
【図7】図7は、倍率×220で撮影された実施例3のSEM画像である。
【図8】図8は、倍率×650で撮影された実施例3のSEM画像である。
【図9】図9は、倍率×1500で撮影された実施例3のSEM画像である。
【図10】図10は、倍率×10000で撮影された実施例4のSEM画像である。
【図11】図11は、実施例12のニフェジピン被覆構築物の溶解試験の吸光度対時間の曲線の結果を示す。
【図12】図12は、実施例12のUSPグレードのニフェジピンの溶解試験の吸光度対時間の曲線の結果を示す。
【図13】図13は、倍率×180で撮影されたSEM画像であり、実施例13aで製造した物質を示す。
【図14】図14は、実施例13に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×800で撮影されたSEM画像である。
【図15】図15は、実施例14に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×40で撮影されたSEM画像である。
【図16】図16は、図15で示す物質の倍率×300で撮影されたSEM画像である。
【図17】図17は、図15および16に示す物質の2つの泡の間に形成された壁の、倍率×5000で撮影したSEM画像である。
【図18】図18は、実施例14に記載のインシトゥー沈殿法により製造された物質の、倍率×1000でのSEM画像である。
【図19】図19は、図18で示す物質の倍率×2500でのSEM画像であり、2つの気泡の間の界面に沿った粒子のゆるいパッキングを示す。
【図20】図20は、倍率×220で撮影され、実施例15に記載の方法で、予め形成されたリン酸カルシウム粒子を用い、1000℃の温度に加熱して製造された網目状構造を示すSEM画像である。
【図21】図21は、図20に示す構造の単一ストランドの、倍率×4000で撮影したSEM画像である。
【図22】図22は、マトリックスを1350℃の温度に加熱する実施例15に記載の方法を用いて製造された物質の、倍率×200でのSEM画像である。
【図23】図23は、図22で示す物質の、倍率×350でのSEM画像である。
【図24】図24は、図23に示す構造の一部分の倍率×1000でのSEM画像である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスが、有機高分子物質との組み合わせで無機粒子の凝集体を含み、約0.01〜500μmの範囲の平均幅を有する複数の孔を区画し、かつ少なくとも約1m2/gの比表面積を有する、固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤。
【請求項2】
孔が約0.1〜500μmの範囲の平均幅を有し、マトリックスが約100m2/g以下の比表面積を有する請求項1に記載の賦形剤。
【請求項3】
孔の平均幅が、約0.5〜300、1〜200、3〜100、5〜80、15〜70、20〜60、または0.1〜10μmの範囲である請求項1または2に記載の賦形剤。
【請求項4】
マトリックスが、少なくとも約2、3、4、5、10もしくは20m2/g、および/または約100、50もしくは40m2/gまでの比表面積を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項5】
無機粒子が結晶性である請求項1〜4のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項6】
無機粒子の凝集体が、複数のばらばらの結晶を含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項7】
無機粒子の平均幅が、約0.1〜50μmである請求項1〜6のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項8】
孔が一次孔および二次孔を含み、
一次孔が約2〜500μmの平均幅を有し、かつマトリックスから形成される構造要素の間で区画され、
二次孔が0.01〜10μmの平均幅を有し、かつ該構造要素内で区画され、
二次孔の平均幅が一次孔の平均幅より小さい
請求項1〜7のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項9】
マトリックスが有機高分子物質との組み合わせで無機粒子を含み、約2〜500μmの平均幅を有する複数の一次孔が、マトリックスから形成される構造要素の間に区画され、約0.01〜10μmの平均幅を有する複数の二次孔が、該構造要素内に区画され、かつ二次孔の平均幅が一次孔の平均幅より小さい、固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤。
【請求項10】
マトリックスが、少なくとも0.1、0.5、1、3、4、5、10m2/g、および/または約100、50もしくは40m2/gまでの比表面積を有する請求項9に記載の賦形剤。
【請求項11】
一次孔の平均幅が、少なくとも約5、10、20もしくは40μm、および/または約300、200、100もしくは50μm以下である請求項8〜10のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項12】
二次孔の平均幅が、少なくとも約0.01、0.05もしくは0.1μm、および/または約5、3、2、1.5もしくは1μm以下である請求項8〜11のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項13】
一次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、二次孔の平均
幅より大きい幅を有し、および/または二次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、一次孔の平均幅より小さい幅を有する請求項8〜12のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項14】
構造要素が、一次孔を区画する一次壁を形成し、かつ二次孔を区画する二次壁の網状組織を含む請求項8〜13のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項15】
一次壁が、約10〜500、10〜200、20〜100もしくは10〜50μmの平均幅を有し、および/または二次壁が、約0.01〜5もしくは0.5〜2μmの平均幅を有する請求項16に記載の賦形剤。
【請求項16】
マトリックスが、その中で二次孔が形成される、有機高分子物質と無機粒子または物質との複数の凝塊の形である請求項1〜13のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項17】
一次孔が、近接の凝塊の間に位置する請求項19に記載の賦形剤。
【請求項18】
無機物質が微粒子である請求項8〜17のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項19】
無機物質が結晶性であり、任意に複数のばらばらの結晶を含んでいてもよい請求項18に記載の賦形剤。
【請求項20】
有機粒子の平均幅が、約0.1〜50μmの範囲内である請求項8〜19のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項21】
有機高分子物質が、無機粒子または物質をマトリックス内へ結合させる請求項1〜20のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項22】
有機高分子物質が、無機粒子または物質のための鋳型を形成する請求項1〜21のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項23】
マトリックスが、有機高分子物質との組み合わせで無機粒子の凝集体から本質的になるか、またはそれらのみからなる請求項1〜22のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項24】
マトリックスから本質的になるか、または該マトリックスのみからなる請求項1〜23のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項25】
約5〜約95重量%の高分子物質または鋳型を含む請求項1〜24のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項26】
有機高分子物質が、20〜50℃の間の温度の水中に24時間の期間内で少なくとも容易に可溶である請求項1〜25のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項27】
高分子物質が、多糖類および/またはタンパク質を含む請求項1〜26のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項28】
高分子物質が、キサンタンガム、デキストラン、アカシアガムおよび/または卵白を含む請求項1〜27のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項29】
溶融無機要素の多孔性の網状組織を含み、該網状組織が約0.01〜100μmの範囲内の平均幅を有する複数の孔を区画する医薬賦形剤。
【請求項30】
無機要素が、約10、5または2μm以下の平均幅を有する請求項29に記載の賦形剤。
【請求項31】
無機要素が、少なくとも部分的に結晶性である請求項29または30に記載の賦形剤。
【請求項32】
孔が一次孔および二次孔を含み、
一次孔が約2〜500μmの平均幅を有し、かつマトリックスから形成される構造要素の間で区画され、
二次孔が0.01〜10μmの平均幅を有し、かつ該構造要素内で区画され、
二次孔の平均幅が一次孔の平均幅より小さい
請求項29〜31のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項33】
一次孔の平均幅が、少なくとも約5、10、20もしくは40μm、および/または約300、200、100もしくは50μm以下である請求項32に記載の賦形剤。
【請求項34】
二次孔の平均幅が、少なくとも約0.01、0.05もしくは0.1μm、および/または約5、3、2、1.5もしくは1μm以下である請求項32または33に記載の賦形剤。
【請求項35】
一次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、二次孔の平均幅より大きい幅を有し、および/または二次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、一次孔の平均幅より小さい幅を有する請求項32〜34のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項36】
構造要素が、一次孔を区画する一次壁を形成し、かつ二次孔を区画する二次壁の網状組織を含む請求項32〜35のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項37】
一次壁が、約10〜500、10〜200、20〜100もしくは10〜50μmの平均幅を有し、および/または二次壁が、約0.01〜5もしくは0.5〜2μmの平均幅を有する請求項36に記載の賦形剤。
【請求項38】
0.01〜50μmの平均幅を有する複数の孔を含む請求項29〜31のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項39】
溶融無機要素から本質的になるか、または該溶融無機要素のみからなる請求項29〜38のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項40】
無機物質または無機粒子が、シリカおよび/または医薬上許容されるアルカリ土類金属塩を含む請求項1〜39のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項41】
無機物質または無機粒子が、リン酸カルシウムおよび/または炭酸カルシウムを含む請求項1〜40のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項42】
微粒子の形の請求項1〜41のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項43】
0.25〜1.5g/cm3の範囲のかさ密度、および/または0.5〜2g/cm3の範囲のタップ密度を有する請求項1〜42のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項44】
有機高分子物質を含む網目状の鋳型を形成する工程;
該鋳型との組み合わせで無機粒子の凝集体を含む構築物を形成する工程;および
該構築物を凝固させて、該無機高分子物質との組み合わせで該無機粒子を含む固体の網目状マトリックスを形成する工程
を含み、該マトリックスが、0.01〜500μmの平均幅を有するか、および/または少なくとも1m2/gの相対密度を有する複数の孔を区画する、
固体の網目状マトリックスを製造する方法。
【請求項45】
網目状の鋳型、無機粒子の凝集体および構築物が、実質的に同時に形成される請求項44に記載の方法。
【請求項46】
網目状の鋳型が、有機高分子物質を含む液相中に第二の相を分散させることにより形成される請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
第二の相が、固体粒子および/または気泡を含むか、あるいは本質的にこれらからなる請求項46に記載の方法。
【請求項48】
液相が、有機高分子物質の溶液を含む請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
固体粒子が、一旦固化または凝固させた有機高分子物質が実質的に不溶な溶媒中に可溶である請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
無機粒子が、溶媒中に実質的に不溶である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
網目状の鋳型が、有機高分子物質の溶液から自発的に形成されるか、または溶解された有機高分子物質への架橋剤の作用により形成される請求項44〜50のいずれか1つに記載の方法。
【請求項52】
網目状の鋳型が、高分子物質の水溶液から形成される請求項44〜51のいずれか1つに記載の方法。
【請求項53】
無機粒子の一部が、有機高分子物質を含む溶液からの沈殿により形成される請求項44〜52のいずれか1つに記載の方法。
【請求項54】
無機粒子が、無機塩を含み、かつ溶液が、該塩の溶解されたアニオンおよび/またはカチオンをさらに含む請求項53に記載の方法。
【請求項55】
沈殿が始まる前に、溶液が塩の溶解されたアニオンを含むが、溶解されたカチオンを実質的に含まないか、または塩の溶解されたカチオンを含むが、溶解されたアニオンを実質的に含まない請求項54に記載の方法。
【請求項56】
沈殿が、塩を形成するのに必要な対イオンを含む溶液の添加によりおこる請求項55に記載の方法。
【請求項57】
沈殿による無機粒子の形成が、網目状の鋳型の形成の間またはその後に起こり得る請求項53に記載の方法。
【請求項58】
無機粒子の少なくとも一部、および任意に実質的に全部が、予め形成され、かつ有機高分子物質を含む液相中に分散する請求項44〜57のいずれか1つに記載の方法。
【請求項59】
無機粒子の実質的に全部が、有機高分子物質を含む溶液からの沈殿により形成される請
求項44〜57のいずれか1つに記載の方法。
【請求項60】
無機粒子が結晶性である請求項54〜59のいずれか1つに記載の方法。
【請求項61】
無機物質の粒子または結晶の平均幅が、約0.1〜50μmの範囲である請求項44〜60のいずれか1つに記載の方法。
【請求項62】
無機粒子の凝集が、網目状の鋳型の部分を形成する請求項44〜61のいずれか1つに記載の方法。
【請求項63】
網目状の鋳型と無機粒子の凝集体との構築物が、空気乾燥、自発的架橋、架橋剤の作用、温度変化の効果、沈殿による無機粒子の形成行為、および/または電磁放射線の影響により凝固する請求項44〜62のいずれか1つに記載の方法。
【請求項64】
網目状の鋳型が、有機高分子物質を含む液相中に気泡を連行することにより形成され、かつ無機粒子の少なくとも一部が、該連行過程の間に沈殿する請求項44または45に記載の方法。
【請求項65】
網目状の構造が、有機高分子物質を含む液相中に固体粒子を分配することにより形成され、かつ固体粒子が、構築物を凝固させた後に、適切な溶媒中での溶解により除去される請求項44または45に記載の方法。
【請求項66】
液相が、有機高分子物質の溶液を含む請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
有機高分子物質が、多糖類および/またはタンパク質を含むか、あるいは多糖類および/またはタンパク質である請求項44〜66のいずれか1つに記載の方法。
【請求項68】
無機粒子が、アルカリ土類金属の炭酸塩および/またはリン酸塩を含む請求項44〜67のいずれか1つに記載の方法。
【請求項69】
有機高分子物質と可溶性のリン酸塩または炭酸塩との水溶液を形成する工程、および
アルカリ土類金属の炭酸塩もしくはリン酸塩無機粒子を、該溶液から、アルカリ土類金属の可溶性の塩の水溶液の添加により沈殿させる工程
を含む請求項68に記載の方法。
【請求項70】
アルカリ土類金属の可溶性の塩が塩化物である請求項69に記載の方法。
【請求項71】
無機粒子が、炭酸カルシウムおよび/またはリン酸カルシウムを含む請求項44〜70のいずれか1つに記載の方法。
【請求項72】
有機高分子物質が、20〜50℃の間の温度の水中に24時間の期間内で少なくとも容易に可溶である請求項53〜79のいずれか1つに記載の方法。
【請求項73】
高分子物質が、多糖類および/またはタンパク質を含む請求項44〜72のいずれか1つに記載の方法。
【請求項74】
高分子物質が、キサンタンガム、デキストラン、アカシアガムおよび/または卵白を含む請求項44〜73のいずれか1つに記載の方法。
【請求項75】
網目状の鋳型を形成するのに用いられる固体粒子が、ラテックスから形成される請求項
65に記載の方法。
【請求項76】
固体の網目状マトリックスを、請求項44〜75のいずれか1つに記載の方法により製造する工程を含む医薬賦形剤を製造する方法。
【請求項77】
固体の網目状マトリックスを、請求項44〜75のいずれか1つに記載の方法により製造する工程を含む請求項1〜43のいずれか1つに記載の医薬賦形剤を製造する方法。
【請求項78】
有機高分子物質と無機粒子との固体の網目状マトリックスを、有機高分子物質を排除し、かつ無機粒子が100μmまでの平均幅を有する複数の孔を区画する第二の固体の網目状マトリックスに一緒に溶融するのを引き起こすことの両方に充分に高い温度まで加熱することを含む請求項29〜43のいずれか1つに記載の医薬賦形剤を製造する方法。
【請求項79】
有機高分子物質が排除され、かつ有機粒子が、固体の網目状マトリックスを約800〜1600℃の温度まで加熱することにより溶融する請求項78に記載の方法。
【請求項80】
有機高分子物質と無機粒子との固体の網目状マトリックスが、請求項44〜75のいずれか1つに記載の方法により製造されるか、もしくは製造することができるか、および/または請求項1〜28のいずれか1つに定義されるマトリックスである請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
固体の網目状マトリックスが、約1100℃または約1050℃の温度まで加熱される請求項78〜80のいずれか1つに記載の方法。
【請求項82】
固体の網目状マトリックスが、1100℃を超える温度まで、任意に約1200もしくは1250〜1500℃の範囲の温度まで加熱される請求項78〜80のいずれか1つに記載の方法。
【請求項83】
請求項44〜82のいずれか1つに記載の方法により製造されるか、または製造することができる固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤。
【請求項84】
請求項44〜77のいずれか1つに記載の方法により製造されるか、または製造することができる請求項1〜28のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項85】
請求項78〜82のいずれか1つに記載の方法により製造されるか、または製造することができる請求項29〜43のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項86】
請求項1〜43および82〜84のいずれか1つに記載の医薬賦形剤と、医薬上の有効成分とを含む医薬品生成物。
【請求項87】
医薬上の有効成分が、微粒子でかつ固体である請求項87に記載の医薬品生成物。
【請求項88】
医薬上の有効成分が、賦形剤を密に伴う請求項86または87に記載の医薬品生成物。
【請求項89】
医薬上の有効成分が、固体の網目状マトリックスの孔の中に位置するか、および/またはマトリックスもしくは賦形剤上を被覆する請求項86〜88のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項90】
医薬上の有効成分が、FDA公認バイオファーマシューティカル・クラシフィケーション・システム(BCS)のクラス2にある請求項86〜89のいずれか1つに記載の医薬
品生成物。
【請求項91】
医薬上の有効成分が、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30、または1/100(重量/容量)までの水溶性を有する請求項86〜90のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項92】
医薬上の有効成分が、結晶性である請求項86〜91のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項93】
医薬上の有効成分が、微粒子で、任意に結晶性であり、かつ医薬上の有効成分の粒子および/または結晶が、約10nm〜10μm、10nm〜5μmまたは約1μm未満の平均幅を有する請求項86〜92のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項94】
約1〜約50% W/Wの医薬上の有効成分を含む請求項86〜93のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項95】
追加の医薬上許容される賦形剤および/または希釈剤を含む請求項86〜94のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項96】
経口固体投与形態の形にある請求項86〜95のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項97】
粉末、カプセルまたは錠剤の形にある請求項96に記載の医薬品生成物。
【請求項98】
請求項86〜97のいずれか1つに記載の医薬品生成物を、ヒトまたは動物の受容者に投与することを含む治療または診断方法。
【請求項99】
医療において用いるための請求項1〜43および83〜85のいずれか1つに記載の賦形剤、または請求項86〜97のいずれか1つに記載の生成物。
【請求項100】
ヒトまたは動物の体に実施される治療または診断方法における使用のための医薬を製造するための、請求項1〜43および83〜85のいずれか1つに記載の賦形剤、または請求項86〜97のいずれか1つに記載の生成物の使用。
【請求項101】
医薬上許容される高分子物質を含む高分子鋳型の表面上を被覆する、結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩を含み、10m2/gより大きい比表面積を有する医薬賦形剤。
【請求項102】
高分子鋳型を密に伴う結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩から本質的になる多孔性のマトリックスを含み、10m2/gより大きい比表面積を有する医薬賦形剤。
【請求項103】
賦形剤の構造が、一次壁を区画するストランドを含む構築物であり、
該一次壁は、(i)高分子鋳型を形成する高分子;(ii)アルカリ土類金属塩の凝集結晶;および/または(iii)該高分子の表面上を被覆する該アルカリ土類金属塩の凝集結晶を含み、
該ストランドは、約5〜約300ミクロンの平均幅を有する一次孔が該ストランドの少なくとも2つの間で区画されるように配置され、
該構築物は、該ストランドの表面から伸びる二次壁を含み、
該二次壁は、該アルカリ土類金属塩の結晶を含み、
該二次壁は、該構築物が、少なくとも2つの二次壁の間で区画される約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有する二次孔を含むように配置される
請求項101〜102のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項104】
構築物の一次壁が、約50〜約500ミクロンの平均幅を有する請求項103に記載の医薬賦形剤。
【請求項105】
構築物の二次壁が、約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有する請求項104に記載の医薬賦形剤。
【請求項106】
構築物を区画する結晶の形の高分子鋳型とアルカリ土類金属塩との多孔性マトリックスを含む粒子を含み、
該構築物は、約50〜約500ミクロンの平均幅を有する一次壁を区画するストランドを含み、
該一次壁は、(i)該高分子鋳型を形成する高分子;(ii)アルカリ土類金属塩の凝集結晶;および/または(iii)該高分子の表面上を被覆する該アルカリ土類金属塩の凝集結晶を含み、
該ストランドは、約5〜約300ミクロンの平均幅を有する一次孔が該ストランドの少なくとも2つの間で区画されるように配置され、
該構築物は、該ストランドの表面から伸びる二次壁を含み、
該二次壁は、約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有し、かつ該アルカリ土類金属塩の結晶を含み、
該二次壁は、該構築物が、少なくとも2つの二次壁の間で区画される約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有する二次孔を含むように配置される
医薬賦形剤。
【請求項107】
10m2/gより大きい比表面積を有する請求項106に記載の医薬賦形剤。
【請求項108】
10m2/gより大きく、約100m2/gまでの比表面積を有する請求項101〜107のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項109】
高分子鋳型の高分子が、約5〜約95重量%の医薬賦形剤を含み、かつ該医薬賦形剤の残りの部分がアルカリ土類金属塩を含む請求項101〜107のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項110】
高分子鋳型の高分子が、約20〜約80重量%の医薬賦形剤を含み、かつ該医薬賦形剤の残りの部分がアルカリ土類金属塩を含む請求項101〜107のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項111】
アルカリ土類金属塩が、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウムおよびこれらの混合物からなる群より選択される請求項101〜110のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項112】
アルカリ土類金属塩が、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムおよびこれらの混合物からなる群より選択される請求項101〜110のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項113】
高分子鋳型を含む高分子が、医薬上許容される天然または合成の多糖類からなる群より選択される請求項101〜112のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項114】
高分子がデキストランである請求項113に記載の医薬賦形剤。
【請求項115】
高分子が多糖類ガムである請求項113に記載の医薬賦形剤。
【請求項116】
多糖類ガムがキサンタンガムを含む請求項115に記載の医薬賦形剤。
【請求項117】
構築物の一次壁が、約10〜約200ミクロンの平均幅を有する請求項103または106に記載の医薬賦形剤。
【請求項118】
構築物の一次壁が、約10〜約50ミクロンの平均幅を有する請求項103または106に記載の医薬賦形剤。
【請求項119】
構築物の二次壁が、約0.5〜約2ミクロンの平均幅を有する請求項103または106に記載の医薬賦形剤。
【請求項120】
一次孔のサイズが約10〜約50ミクロンである請求項103または106に記載の医薬賦形剤。
【請求項121】
構築物中の二次孔が、約0.01〜約2ミクロンの範囲の平均サイズを有する請求項103または106に記載の医薬賦形剤。
【請求項122】
治療剤がその上に被覆された請求項101〜120のいずれか1つに記載の医薬賦形剤を含む医薬品生成物。
【請求項123】
治療剤が、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30以下から1/100(重量/容量)までの水溶性を有する請求項122に記載の医薬品生成物。
【請求項124】
治療剤が、化学的または生物学的な剤である請求項122または123に記載の医薬品生成物。
【請求項125】
医薬賦形剤が、治療剤で約1〜約50%w/wのレベルまで被覆される請求項122または123に記載の医薬品生成物。
【請求項126】
約10〜約500ミクロンの平均粒子サイズを有する請求項122または123に記載の医薬品生成物。
【請求項127】
約50〜約300ミクロンの平均粒子サイズを有する請求項122または123に記載の医薬品生成物。
【請求項128】
約100〜約250ミクロンの平均粒子サイズを有する請求項122または123に記載の医薬品生成物。
【請求項129】
治療剤が、溶媒蒸発、噴霧乾燥および凍結乾燥からなる群より選択される方法により、医薬賦形剤上を被覆する請求項122に記載の医薬品生成物。
【請求項130】
請求項122〜128のいずれか1つに記載の医薬品生成物の単位投与形態を含む経口固体投与形態。
【請求項131】
医薬粉末、カプセルまたは錠剤からなる群より選択される形にある請求項130に記載の経口固体投与形態。
【請求項132】
約5〜約50mg2/gの比表面積を有する請求項108に記載の医薬賦形剤。
【請求項133】
約10〜約40m2/gの比表面積を有する請求項108に記載の医薬賦形剤。
【請求項134】
医薬上許容される高分子物質を、リン酸塩または炭酸塩の溶液中に溶解し;
溶解された高分子物質を含む溶液中に塩化カルシウムを制御された様式で添加し;そしてその後、
高分子鋳型を密に伴うリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムの結晶を含む構築物を含む、得られる固体物質を、該構築物が約10m2/gより大きい比表面積を有するように回収する
ことを含む医薬賦形剤の製造方法。
【請求項135】
塩化カルシウムが、構築物を区画する結晶の形の高分子鋳型とリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムとの多孔性マトリックスが形成されるような様式で添加され、
該構築物は、約50〜約500ミクロンの平均幅を有する一次壁を区画するストランドを含み、
該一次壁は、(i)該高分子鋳型を形成する高分子;(ii)該アルカリ土類金属塩の凝集結晶;および/または(iii)該高分子の表面上を被覆するアルカリ土類金属塩の凝集結晶を含み、
該ストランドは、約5〜約300ミクロンの平均幅を有する一次孔が、少なくとも2つの該ストランドの間で区画されるように配置され、
該構築物は、さらに該ストランドの表面から伸びる二次壁を含み、
該二次壁は、約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有し、かつ該アルカリ土類金属塩の結晶を含み、
該二次壁は、該構築物が、少なくとも2つの二次壁の間で区画される約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有する二次孔を含むように配置される
請求項134に記載の方法。
【請求項136】
次の物質:Na2HPO4:0.1〜10molL-1の範囲で2molL-1、CaCl2:0.1〜10molL-1の範囲で4molL-1、鋳型物質:5〜95% w/wの範囲で25〜85% w/wを用い、ここで% w/wは、鋳型物質の重量およびリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムの重量に関して定義される請求項134または135に記載の方法。
【請求項137】
鋳型物質を、構築物から、得られる医薬賦形剤の比表面積を実質的に減少させることなく排除することをさらに含む請求項134〜136のいずれか1つに記載の方法。
【請求項138】
得られる医薬賦形剤を、約10〜約500ミクロンの平均粒子サイズを有する最終生成物医薬賦形剤に砕くことをさらに含む請求項134〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項139】
得られる医薬賦形剤を、約50〜約300ミクロンの平均粒子サイズを有する最終生成物医薬賦形剤に砕くことをさらに含む請求項134〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項140】
得られる医薬賦形剤を、約100〜約250ミクロンの平均粒子サイズを有する最終生成物医薬賦形剤に砕くことをさらに含む請求項134〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項141】
医薬賦形剤を治療剤と、治療剤が医薬賦形剤上を被覆するような様式で併用することをさらに含む請求項134〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項142】
治療剤が、溶媒蒸発、凍結乾燥および噴霧乾燥からなる群より選択される方法を介して医薬賦形剤の表面上を被覆する請求項141に記載の方法。
【請求項143】
治療剤で被覆された医薬賦形剤を、経口固体投与形態に組み込むことをさらに含む請求項141または142に記載の方法。
【請求項144】
治療剤で被覆された医薬賦形剤を、医薬粉末、カプセルおよび錠剤からなる群より選択される経口固体投与形態に組み込むことをさらに含む請求項141または142に記載の方法。
【請求項145】
治療剤が、例えば約1〜約50% w/wのレベルで医薬賦形剤上を被覆する請求項141または142に記載の方法。
【請求項146】
請求項130または131に記載の経口投与形態をヒト受容者に投与することを含む治療方法。
【請求項1】
マトリックスが、有機高分子物質との組み合わせで無機粒子の凝集体を含み、約0.01〜500μmの範囲の平均幅を有する複数の孔を区画し、かつ少なくとも約1m2/gの比表面積を有する、固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤。
【請求項2】
孔が約0.1〜500μmの範囲の平均幅を有し、マトリックスが約100m2/g以下の比表面積を有する請求項1に記載の賦形剤。
【請求項3】
孔の平均幅が、約0.5〜300、1〜200、3〜100、5〜80、15〜70、20〜60、または0.1〜10μmの範囲である請求項1または2に記載の賦形剤。
【請求項4】
マトリックスが、少なくとも約2、3、4、5、10もしくは20m2/g、および/または約100、50もしくは40m2/gまでの比表面積を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項5】
無機粒子が結晶性である請求項1〜4のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項6】
無機粒子の凝集体が、複数のばらばらの結晶を含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項7】
無機粒子の平均幅が、約0.1〜50μmである請求項1〜6のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項8】
孔が一次孔および二次孔を含み、
一次孔が約2〜500μmの平均幅を有し、かつマトリックスから形成される構造要素の間で区画され、
二次孔が0.01〜10μmの平均幅を有し、かつ該構造要素内で区画され、
二次孔の平均幅が一次孔の平均幅より小さい
請求項1〜7のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項9】
マトリックスが有機高分子物質との組み合わせで無機粒子を含み、約2〜500μmの平均幅を有する複数の一次孔が、マトリックスから形成される構造要素の間に区画され、約0.01〜10μmの平均幅を有する複数の二次孔が、該構造要素内に区画され、かつ二次孔の平均幅が一次孔の平均幅より小さい、固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤。
【請求項10】
マトリックスが、少なくとも0.1、0.5、1、3、4、5、10m2/g、および/または約100、50もしくは40m2/gまでの比表面積を有する請求項9に記載の賦形剤。
【請求項11】
一次孔の平均幅が、少なくとも約5、10、20もしくは40μm、および/または約300、200、100もしくは50μm以下である請求項8〜10のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項12】
二次孔の平均幅が、少なくとも約0.01、0.05もしくは0.1μm、および/または約5、3、2、1.5もしくは1μm以下である請求項8〜11のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項13】
一次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、二次孔の平均
幅より大きい幅を有し、および/または二次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、一次孔の平均幅より小さい幅を有する請求項8〜12のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項14】
構造要素が、一次孔を区画する一次壁を形成し、かつ二次孔を区画する二次壁の網状組織を含む請求項8〜13のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項15】
一次壁が、約10〜500、10〜200、20〜100もしくは10〜50μmの平均幅を有し、および/または二次壁が、約0.01〜5もしくは0.5〜2μmの平均幅を有する請求項16に記載の賦形剤。
【請求項16】
マトリックスが、その中で二次孔が形成される、有機高分子物質と無機粒子または物質との複数の凝塊の形である請求項1〜13のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項17】
一次孔が、近接の凝塊の間に位置する請求項19に記載の賦形剤。
【請求項18】
無機物質が微粒子である請求項8〜17のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項19】
無機物質が結晶性であり、任意に複数のばらばらの結晶を含んでいてもよい請求項18に記載の賦形剤。
【請求項20】
有機粒子の平均幅が、約0.1〜50μmの範囲内である請求項8〜19のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項21】
有機高分子物質が、無機粒子または物質をマトリックス内へ結合させる請求項1〜20のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項22】
有機高分子物質が、無機粒子または物質のための鋳型を形成する請求項1〜21のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項23】
マトリックスが、有機高分子物質との組み合わせで無機粒子の凝集体から本質的になるか、またはそれらのみからなる請求項1〜22のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項24】
マトリックスから本質的になるか、または該マトリックスのみからなる請求項1〜23のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項25】
約5〜約95重量%の高分子物質または鋳型を含む請求項1〜24のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項26】
有機高分子物質が、20〜50℃の間の温度の水中に24時間の期間内で少なくとも容易に可溶である請求項1〜25のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項27】
高分子物質が、多糖類および/またはタンパク質を含む請求項1〜26のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項28】
高分子物質が、キサンタンガム、デキストラン、アカシアガムおよび/または卵白を含む請求項1〜27のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項29】
溶融無機要素の多孔性の網状組織を含み、該網状組織が約0.01〜100μmの範囲内の平均幅を有する複数の孔を区画する医薬賦形剤。
【請求項30】
無機要素が、約10、5または2μm以下の平均幅を有する請求項29に記載の賦形剤。
【請求項31】
無機要素が、少なくとも部分的に結晶性である請求項29または30に記載の賦形剤。
【請求項32】
孔が一次孔および二次孔を含み、
一次孔が約2〜500μmの平均幅を有し、かつマトリックスから形成される構造要素の間で区画され、
二次孔が0.01〜10μmの平均幅を有し、かつ該構造要素内で区画され、
二次孔の平均幅が一次孔の平均幅より小さい
請求項29〜31のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項33】
一次孔の平均幅が、少なくとも約5、10、20もしくは40μm、および/または約300、200、100もしくは50μm以下である請求項32に記載の賦形剤。
【請求項34】
二次孔の平均幅が、少なくとも約0.01、0.05もしくは0.1μm、および/または約5、3、2、1.5もしくは1μm以下である請求項32または33に記載の賦形剤。
【請求項35】
一次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、二次孔の平均幅より大きい幅を有し、および/または二次孔の少なくとも約50、55、70、80、90もしくは95%が、一次孔の平均幅より小さい幅を有する請求項32〜34のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項36】
構造要素が、一次孔を区画する一次壁を形成し、かつ二次孔を区画する二次壁の網状組織を含む請求項32〜35のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項37】
一次壁が、約10〜500、10〜200、20〜100もしくは10〜50μmの平均幅を有し、および/または二次壁が、約0.01〜5もしくは0.5〜2μmの平均幅を有する請求項36に記載の賦形剤。
【請求項38】
0.01〜50μmの平均幅を有する複数の孔を含む請求項29〜31のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項39】
溶融無機要素から本質的になるか、または該溶融無機要素のみからなる請求項29〜38のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項40】
無機物質または無機粒子が、シリカおよび/または医薬上許容されるアルカリ土類金属塩を含む請求項1〜39のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項41】
無機物質または無機粒子が、リン酸カルシウムおよび/または炭酸カルシウムを含む請求項1〜40のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項42】
微粒子の形の請求項1〜41のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項43】
0.25〜1.5g/cm3の範囲のかさ密度、および/または0.5〜2g/cm3の範囲のタップ密度を有する請求項1〜42のいずれか1つに記載の賦形剤。
【請求項44】
有機高分子物質を含む網目状の鋳型を形成する工程;
該鋳型との組み合わせで無機粒子の凝集体を含む構築物を形成する工程;および
該構築物を凝固させて、該無機高分子物質との組み合わせで該無機粒子を含む固体の網目状マトリックスを形成する工程
を含み、該マトリックスが、0.01〜500μmの平均幅を有するか、および/または少なくとも1m2/gの相対密度を有する複数の孔を区画する、
固体の網目状マトリックスを製造する方法。
【請求項45】
網目状の鋳型、無機粒子の凝集体および構築物が、実質的に同時に形成される請求項44に記載の方法。
【請求項46】
網目状の鋳型が、有機高分子物質を含む液相中に第二の相を分散させることにより形成される請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
第二の相が、固体粒子および/または気泡を含むか、あるいは本質的にこれらからなる請求項46に記載の方法。
【請求項48】
液相が、有機高分子物質の溶液を含む請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
固体粒子が、一旦固化または凝固させた有機高分子物質が実質的に不溶な溶媒中に可溶である請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
無機粒子が、溶媒中に実質的に不溶である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
網目状の鋳型が、有機高分子物質の溶液から自発的に形成されるか、または溶解された有機高分子物質への架橋剤の作用により形成される請求項44〜50のいずれか1つに記載の方法。
【請求項52】
網目状の鋳型が、高分子物質の水溶液から形成される請求項44〜51のいずれか1つに記載の方法。
【請求項53】
無機粒子の一部が、有機高分子物質を含む溶液からの沈殿により形成される請求項44〜52のいずれか1つに記載の方法。
【請求項54】
無機粒子が、無機塩を含み、かつ溶液が、該塩の溶解されたアニオンおよび/またはカチオンをさらに含む請求項53に記載の方法。
【請求項55】
沈殿が始まる前に、溶液が塩の溶解されたアニオンを含むが、溶解されたカチオンを実質的に含まないか、または塩の溶解されたカチオンを含むが、溶解されたアニオンを実質的に含まない請求項54に記載の方法。
【請求項56】
沈殿が、塩を形成するのに必要な対イオンを含む溶液の添加によりおこる請求項55に記載の方法。
【請求項57】
沈殿による無機粒子の形成が、網目状の鋳型の形成の間またはその後に起こり得る請求項53に記載の方法。
【請求項58】
無機粒子の少なくとも一部、および任意に実質的に全部が、予め形成され、かつ有機高分子物質を含む液相中に分散する請求項44〜57のいずれか1つに記載の方法。
【請求項59】
無機粒子の実質的に全部が、有機高分子物質を含む溶液からの沈殿により形成される請
求項44〜57のいずれか1つに記載の方法。
【請求項60】
無機粒子が結晶性である請求項54〜59のいずれか1つに記載の方法。
【請求項61】
無機物質の粒子または結晶の平均幅が、約0.1〜50μmの範囲である請求項44〜60のいずれか1つに記載の方法。
【請求項62】
無機粒子の凝集が、網目状の鋳型の部分を形成する請求項44〜61のいずれか1つに記載の方法。
【請求項63】
網目状の鋳型と無機粒子の凝集体との構築物が、空気乾燥、自発的架橋、架橋剤の作用、温度変化の効果、沈殿による無機粒子の形成行為、および/または電磁放射線の影響により凝固する請求項44〜62のいずれか1つに記載の方法。
【請求項64】
網目状の鋳型が、有機高分子物質を含む液相中に気泡を連行することにより形成され、かつ無機粒子の少なくとも一部が、該連行過程の間に沈殿する請求項44または45に記載の方法。
【請求項65】
網目状の構造が、有機高分子物質を含む液相中に固体粒子を分配することにより形成され、かつ固体粒子が、構築物を凝固させた後に、適切な溶媒中での溶解により除去される請求項44または45に記載の方法。
【請求項66】
液相が、有機高分子物質の溶液を含む請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
有機高分子物質が、多糖類および/またはタンパク質を含むか、あるいは多糖類および/またはタンパク質である請求項44〜66のいずれか1つに記載の方法。
【請求項68】
無機粒子が、アルカリ土類金属の炭酸塩および/またはリン酸塩を含む請求項44〜67のいずれか1つに記載の方法。
【請求項69】
有機高分子物質と可溶性のリン酸塩または炭酸塩との水溶液を形成する工程、および
アルカリ土類金属の炭酸塩もしくはリン酸塩無機粒子を、該溶液から、アルカリ土類金属の可溶性の塩の水溶液の添加により沈殿させる工程
を含む請求項68に記載の方法。
【請求項70】
アルカリ土類金属の可溶性の塩が塩化物である請求項69に記載の方法。
【請求項71】
無機粒子が、炭酸カルシウムおよび/またはリン酸カルシウムを含む請求項44〜70のいずれか1つに記載の方法。
【請求項72】
有機高分子物質が、20〜50℃の間の温度の水中に24時間の期間内で少なくとも容易に可溶である請求項53〜79のいずれか1つに記載の方法。
【請求項73】
高分子物質が、多糖類および/またはタンパク質を含む請求項44〜72のいずれか1つに記載の方法。
【請求項74】
高分子物質が、キサンタンガム、デキストラン、アカシアガムおよび/または卵白を含む請求項44〜73のいずれか1つに記載の方法。
【請求項75】
網目状の鋳型を形成するのに用いられる固体粒子が、ラテックスから形成される請求項
65に記載の方法。
【請求項76】
固体の網目状マトリックスを、請求項44〜75のいずれか1つに記載の方法により製造する工程を含む医薬賦形剤を製造する方法。
【請求項77】
固体の網目状マトリックスを、請求項44〜75のいずれか1つに記載の方法により製造する工程を含む請求項1〜43のいずれか1つに記載の医薬賦形剤を製造する方法。
【請求項78】
有機高分子物質と無機粒子との固体の網目状マトリックスを、有機高分子物質を排除し、かつ無機粒子が100μmまでの平均幅を有する複数の孔を区画する第二の固体の網目状マトリックスに一緒に溶融するのを引き起こすことの両方に充分に高い温度まで加熱することを含む請求項29〜43のいずれか1つに記載の医薬賦形剤を製造する方法。
【請求項79】
有機高分子物質が排除され、かつ有機粒子が、固体の網目状マトリックスを約800〜1600℃の温度まで加熱することにより溶融する請求項78に記載の方法。
【請求項80】
有機高分子物質と無機粒子との固体の網目状マトリックスが、請求項44〜75のいずれか1つに記載の方法により製造されるか、もしくは製造することができるか、および/または請求項1〜28のいずれか1つに定義されるマトリックスである請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
固体の網目状マトリックスが、約1100℃または約1050℃の温度まで加熱される請求項78〜80のいずれか1つに記載の方法。
【請求項82】
固体の網目状マトリックスが、1100℃を超える温度まで、任意に約1200もしくは1250〜1500℃の範囲の温度まで加熱される請求項78〜80のいずれか1つに記載の方法。
【請求項83】
請求項44〜82のいずれか1つに記載の方法により製造されるか、または製造することができる固体の網目状マトリックスを含む医薬賦形剤。
【請求項84】
請求項44〜77のいずれか1つに記載の方法により製造されるか、または製造することができる請求項1〜28のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項85】
請求項78〜82のいずれか1つに記載の方法により製造されるか、または製造することができる請求項29〜43のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項86】
請求項1〜43および82〜84のいずれか1つに記載の医薬賦形剤と、医薬上の有効成分とを含む医薬品生成物。
【請求項87】
医薬上の有効成分が、微粒子でかつ固体である請求項87に記載の医薬品生成物。
【請求項88】
医薬上の有効成分が、賦形剤を密に伴う請求項86または87に記載の医薬品生成物。
【請求項89】
医薬上の有効成分が、固体の網目状マトリックスの孔の中に位置するか、および/またはマトリックスもしくは賦形剤上を被覆する請求項86〜88のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項90】
医薬上の有効成分が、FDA公認バイオファーマシューティカル・クラシフィケーション・システム(BCS)のクラス2にある請求項86〜89のいずれか1つに記載の医薬
品生成物。
【請求項91】
医薬上の有効成分が、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30、または1/100(重量/容量)までの水溶性を有する請求項86〜90のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項92】
医薬上の有効成分が、結晶性である請求項86〜91のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項93】
医薬上の有効成分が、微粒子で、任意に結晶性であり、かつ医薬上の有効成分の粒子および/または結晶が、約10nm〜10μm、10nm〜5μmまたは約1μm未満の平均幅を有する請求項86〜92のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項94】
約1〜約50% W/Wの医薬上の有効成分を含む請求項86〜93のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項95】
追加の医薬上許容される賦形剤および/または希釈剤を含む請求項86〜94のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項96】
経口固体投与形態の形にある請求項86〜95のいずれか1つに記載の医薬品生成物。
【請求項97】
粉末、カプセルまたは錠剤の形にある請求項96に記載の医薬品生成物。
【請求項98】
請求項86〜97のいずれか1つに記載の医薬品生成物を、ヒトまたは動物の受容者に投与することを含む治療または診断方法。
【請求項99】
医療において用いるための請求項1〜43および83〜85のいずれか1つに記載の賦形剤、または請求項86〜97のいずれか1つに記載の生成物。
【請求項100】
ヒトまたは動物の体に実施される治療または診断方法における使用のための医薬を製造するための、請求項1〜43および83〜85のいずれか1つに記載の賦形剤、または請求項86〜97のいずれか1つに記載の生成物の使用。
【請求項101】
医薬上許容される高分子物質を含む高分子鋳型の表面上を被覆する、結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩を含み、10m2/gより大きい比表面積を有する医薬賦形剤。
【請求項102】
高分子鋳型を密に伴う結晶の形の医薬上許容されるアルカリ土類金属塩から本質的になる多孔性のマトリックスを含み、10m2/gより大きい比表面積を有する医薬賦形剤。
【請求項103】
賦形剤の構造が、一次壁を区画するストランドを含む構築物であり、
該一次壁は、(i)高分子鋳型を形成する高分子;(ii)アルカリ土類金属塩の凝集結晶;および/または(iii)該高分子の表面上を被覆する該アルカリ土類金属塩の凝集結晶を含み、
該ストランドは、約5〜約300ミクロンの平均幅を有する一次孔が該ストランドの少なくとも2つの間で区画されるように配置され、
該構築物は、該ストランドの表面から伸びる二次壁を含み、
該二次壁は、該アルカリ土類金属塩の結晶を含み、
該二次壁は、該構築物が、少なくとも2つの二次壁の間で区画される約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有する二次孔を含むように配置される
請求項101〜102のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項104】
構築物の一次壁が、約50〜約500ミクロンの平均幅を有する請求項103に記載の医薬賦形剤。
【請求項105】
構築物の二次壁が、約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有する請求項104に記載の医薬賦形剤。
【請求項106】
構築物を区画する結晶の形の高分子鋳型とアルカリ土類金属塩との多孔性マトリックスを含む粒子を含み、
該構築物は、約50〜約500ミクロンの平均幅を有する一次壁を区画するストランドを含み、
該一次壁は、(i)該高分子鋳型を形成する高分子;(ii)アルカリ土類金属塩の凝集結晶;および/または(iii)該高分子の表面上を被覆する該アルカリ土類金属塩の凝集結晶を含み、
該ストランドは、約5〜約300ミクロンの平均幅を有する一次孔が該ストランドの少なくとも2つの間で区画されるように配置され、
該構築物は、該ストランドの表面から伸びる二次壁を含み、
該二次壁は、約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有し、かつ該アルカリ土類金属塩の結晶を含み、
該二次壁は、該構築物が、少なくとも2つの二次壁の間で区画される約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有する二次孔を含むように配置される
医薬賦形剤。
【請求項107】
10m2/gより大きい比表面積を有する請求項106に記載の医薬賦形剤。
【請求項108】
10m2/gより大きく、約100m2/gまでの比表面積を有する請求項101〜107のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項109】
高分子鋳型の高分子が、約5〜約95重量%の医薬賦形剤を含み、かつ該医薬賦形剤の残りの部分がアルカリ土類金属塩を含む請求項101〜107のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項110】
高分子鋳型の高分子が、約20〜約80重量%の医薬賦形剤を含み、かつ該医薬賦形剤の残りの部分がアルカリ土類金属塩を含む請求項101〜107のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項111】
アルカリ土類金属塩が、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウムおよびこれらの混合物からなる群より選択される請求項101〜110のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項112】
アルカリ土類金属塩が、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムおよびこれらの混合物からなる群より選択される請求項101〜110のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項113】
高分子鋳型を含む高分子が、医薬上許容される天然または合成の多糖類からなる群より選択される請求項101〜112のいずれか1つに記載の医薬賦形剤。
【請求項114】
高分子がデキストランである請求項113に記載の医薬賦形剤。
【請求項115】
高分子が多糖類ガムである請求項113に記載の医薬賦形剤。
【請求項116】
多糖類ガムがキサンタンガムを含む請求項115に記載の医薬賦形剤。
【請求項117】
構築物の一次壁が、約10〜約200ミクロンの平均幅を有する請求項103または106に記載の医薬賦形剤。
【請求項118】
構築物の一次壁が、約10〜約50ミクロンの平均幅を有する請求項103または106に記載の医薬賦形剤。
【請求項119】
構築物の二次壁が、約0.5〜約2ミクロンの平均幅を有する請求項103または106に記載の医薬賦形剤。
【請求項120】
一次孔のサイズが約10〜約50ミクロンである請求項103または106に記載の医薬賦形剤。
【請求項121】
構築物中の二次孔が、約0.01〜約2ミクロンの範囲の平均サイズを有する請求項103または106に記載の医薬賦形剤。
【請求項122】
治療剤がその上に被覆された請求項101〜120のいずれか1つに記載の医薬賦形剤を含む医薬品生成物。
【請求項123】
治療剤が、15〜25℃の範囲の温度で測定したときに、約1/30以下から1/100(重量/容量)までの水溶性を有する請求項122に記載の医薬品生成物。
【請求項124】
治療剤が、化学的または生物学的な剤である請求項122または123に記載の医薬品生成物。
【請求項125】
医薬賦形剤が、治療剤で約1〜約50%w/wのレベルまで被覆される請求項122または123に記載の医薬品生成物。
【請求項126】
約10〜約500ミクロンの平均粒子サイズを有する請求項122または123に記載の医薬品生成物。
【請求項127】
約50〜約300ミクロンの平均粒子サイズを有する請求項122または123に記載の医薬品生成物。
【請求項128】
約100〜約250ミクロンの平均粒子サイズを有する請求項122または123に記載の医薬品生成物。
【請求項129】
治療剤が、溶媒蒸発、噴霧乾燥および凍結乾燥からなる群より選択される方法により、医薬賦形剤上を被覆する請求項122に記載の医薬品生成物。
【請求項130】
請求項122〜128のいずれか1つに記載の医薬品生成物の単位投与形態を含む経口固体投与形態。
【請求項131】
医薬粉末、カプセルまたは錠剤からなる群より選択される形にある請求項130に記載の経口固体投与形態。
【請求項132】
約5〜約50mg2/gの比表面積を有する請求項108に記載の医薬賦形剤。
【請求項133】
約10〜約40m2/gの比表面積を有する請求項108に記載の医薬賦形剤。
【請求項134】
医薬上許容される高分子物質を、リン酸塩または炭酸塩の溶液中に溶解し;
溶解された高分子物質を含む溶液中に塩化カルシウムを制御された様式で添加し;そしてその後、
高分子鋳型を密に伴うリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムの結晶を含む構築物を含む、得られる固体物質を、該構築物が約10m2/gより大きい比表面積を有するように回収する
ことを含む医薬賦形剤の製造方法。
【請求項135】
塩化カルシウムが、構築物を区画する結晶の形の高分子鋳型とリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムとの多孔性マトリックスが形成されるような様式で添加され、
該構築物は、約50〜約500ミクロンの平均幅を有する一次壁を区画するストランドを含み、
該一次壁は、(i)該高分子鋳型を形成する高分子;(ii)該アルカリ土類金属塩の凝集結晶;および/または(iii)該高分子の表面上を被覆するアルカリ土類金属塩の凝集結晶を含み、
該ストランドは、約5〜約300ミクロンの平均幅を有する一次孔が、少なくとも2つの該ストランドの間で区画されるように配置され、
該構築物は、さらに該ストランドの表面から伸びる二次壁を含み、
該二次壁は、約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有し、かつ該アルカリ土類金属塩の結晶を含み、
該二次壁は、該構築物が、少なくとも2つの二次壁の間で区画される約0.01〜約5ミクロンの平均幅を有する二次孔を含むように配置される
請求項134に記載の方法。
【請求項136】
次の物質:Na2HPO4:0.1〜10molL-1の範囲で2molL-1、CaCl2:0.1〜10molL-1の範囲で4molL-1、鋳型物質:5〜95% w/wの範囲で25〜85% w/wを用い、ここで% w/wは、鋳型物質の重量およびリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムの重量に関して定義される請求項134または135に記載の方法。
【請求項137】
鋳型物質を、構築物から、得られる医薬賦形剤の比表面積を実質的に減少させることなく排除することをさらに含む請求項134〜136のいずれか1つに記載の方法。
【請求項138】
得られる医薬賦形剤を、約10〜約500ミクロンの平均粒子サイズを有する最終生成物医薬賦形剤に砕くことをさらに含む請求項134〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項139】
得られる医薬賦形剤を、約50〜約300ミクロンの平均粒子サイズを有する最終生成物医薬賦形剤に砕くことをさらに含む請求項134〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項140】
得られる医薬賦形剤を、約100〜約250ミクロンの平均粒子サイズを有する最終生成物医薬賦形剤に砕くことをさらに含む請求項134〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項141】
医薬賦形剤を治療剤と、治療剤が医薬賦形剤上を被覆するような様式で併用することをさらに含む請求項134〜137のいずれか1つに記載の方法。
【請求項142】
治療剤が、溶媒蒸発、凍結乾燥および噴霧乾燥からなる群より選択される方法を介して医薬賦形剤の表面上を被覆する請求項141に記載の方法。
【請求項143】
治療剤で被覆された医薬賦形剤を、経口固体投与形態に組み込むことをさらに含む請求項141または142に記載の方法。
【請求項144】
治療剤で被覆された医薬賦形剤を、医薬粉末、カプセルおよび錠剤からなる群より選択される経口固体投与形態に組み込むことをさらに含む請求項141または142に記載の方法。
【請求項145】
治療剤が、例えば約1〜約50% w/wのレベルで医薬賦形剤上を被覆する請求項141または142に記載の方法。
【請求項146】
請求項130または131に記載の経口投与形態をヒト受容者に投与することを含む治療方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
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【図14】
【図15】
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【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2006−506357(P2006−506357A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542669(P2004−542669)
【出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004463
【国際公開番号】WO2004/032901
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(502357880)ヴェクトゥラ リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】VECTURA LIMITED
【住所又は居所原語表記】University of Bath Campus,Calverton Down,Bath BA2 7AY,United Kingdom
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004463
【国際公開番号】WO2004/032901
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(502357880)ヴェクトゥラ リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】VECTURA LIMITED
【住所又は居所原語表記】University of Bath Campus,Calverton Down,Bath BA2 7AY,United Kingdom
【Fターム(参考)】
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