説明

有機EL表示装置、有機EL表示装置の製造方法および電子機器

【課題】簡易な製造プロセスで低消費電力化を実現することが可能な有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置は、基板上に設けられた第1電極と、第1電極と電気的に絶縁して設けられた補助電極と、第1電極に対向して第1開口、補助電極の少なくとも一部に対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜と、画素間絶縁膜上の全域にわたって形成され、発光層を含む有機層と、有機層上に設けられた第2電極とを備える。画素間絶縁膜の第2開口は、基板面に対し鈍角をなして傾斜する順テーパ部と、基板面に対し鋭角をなして傾斜する逆テーパ部とを有する。蒸着用マスクや塗布法を用いた塗り分け工程、あるいはレーザー照射工程を経ることなく、第2開口内の逆テーパ部に対向する領域において、第2電極と補助電極との電気的接続が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機材料の電界発光(EL;Electro Luminescence)現象を利用して画像表示を行う有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイ(Display)の大型化が進み、低消費電力化が求められている。例えば、アクティブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置においても同様の要求があり、低消費電力化のためには、上部電極(カソード電極)に起因する電圧降下を防ぐことが重要である。このような電圧降下を防ぐ手法としては、例えば、いわゆる補助配線(補助電極)を利用した様々な手法が提案されている(例えば、特許文献1〜4)。これらの手法では、駆動基板上に下部電極(アノード電極)、有機層(発光層を含む)および上部電極がこの順に設けられた素子構造において、上記補助電極が、下部電極と電気的に絶縁される一方、上部電極とは電気的に接続された状態で、駆動基板上に配設されている。このような素子構造では、補助電極を駆動基板側に形成することが多いため、補助電極を有機層から露出させ、上部電極と接触させる必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1では、補助電極表面に有機層が付着しないように、下部電極上の選択的な領域にのみ有機層を成膜した後、上部電極を基板全面にわたって成膜することにより、補助電極と上部電極とを接触させている。
【0004】
また、下部電極上に設けられ、発光領域を区画する絶縁膜(画素間絶縁膜)を有する構造において、この画素間絶縁膜に補助電極へ通じるスルーホールを設け、このスルーホールを用いて補助電極と上部電極とを接続する手法(特許文献2)もある。あるいは、画素間絶縁膜は下部電極に対向して、発光領域を区画するための開口を有するが、この開口部分にのみ有機層を選択的に設け、補助電極については画素間絶縁膜上(開口以外の壁部分)に設ける手法もある(特許文献3)。
【0005】
更に、下部電極および補助電極が配設された駆動基板の全面にわたって、有機層を形成した後に、補助電極に対向する部分のみをレーザー照射によって選択的に除去して補助電極表面を露出させる手法(特許文献4)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−011810号公報
【特許文献2】特開2005−327674号公報
【特許文献3】特開2006−059796号公報
【特許文献4】特開2007−052966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1〜3の手法ではいずれも、有機層を形成する際に、マスク蒸着法または塗布法により有機層を領域毎に塗り分ける必要がある。マスク蒸着法では、マスクとの位置合わせ精度や歩留まりが悪くなり易く、塗布法では高精細化に対応しにくい。一方、特許文献4の手法では、レーザー照射工程を経るために、製造コストが高くなってしまう。このため、そのような塗り分け工程やレーザー照射工程等を経ることなく、簡易な製造プロセスで補助電極を形成し、低消費電力化を実現することが望まれている。
【0008】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な製造プロセスで低消費電力化を実現することが可能な有機EL表示装置、有機EL表示装置の製造方法および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の有機EL表示装置は、基板上に設けられた第1電極と、第1電極と電気的に絶縁して設けられた補助電極と、第1電極に対向して第1開口、補助電極の少なくとも一部に対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜と、画素間絶縁膜上の全域にわたって形成され、発光層を含む有機層と、有機層上に設けられた第2電極とを備えている。画素間絶縁膜の第2開口は、基板面に対し鈍角をなして傾斜する順テーパ部と、基板面に対し鋭角をなして傾斜する逆テーパ部とを有し、かつ第2開口の逆テーパ部に対向する領域において第2電極が補助電極に電気的に接続されている。
【0010】
本開示の有機EL表示装置では、画素間絶縁膜が第1電極に対向して第1開口、補助電極に対向して第2開口を有し、画素間絶縁膜上の全域にわたって、発光層を含む有機層および第2電極が設けられている。画素間絶縁膜の第2開口が、所定の順テーパ部と逆テーパ部とをそれぞれ有することにより、蒸着用マスクや塗布法を用いた塗り分け工程、あるいはレーザー照射工程を経ることなく、第2開口の逆テーパ部に対向する領域において、第2電極と補助電極との電気的接続が確保される。
【0011】
本開示の有機EL表示装置の製造方法は、基板上に第1電極を形成する工程と、第1電極と電気的に絶縁した補助電極を形成する工程と、第1電極に対向して第1開口、補助電極の少なくとも一部に対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜を形成する工程と、画素間絶縁膜上の全域にわたって、発光層を含む有機層を形成する工程と、有機層上に第2電極を形成する工程とを含む。画素間絶縁膜を形成する工程では、第2開口に、基板面に対し鈍角をなして傾斜する順テーパ部と、基板面に対し鋭角をなして傾斜する逆テーパ部とを形成し、第2電極を形成する工程では、第2開口の逆テーパ部に対向する領域において第2電極を補助電極に電気的に接続させる。
【0012】
本開示の有機EL表示装置の製造方法では、画素間絶縁膜に、第1電極に対向する第1開口、補助電極に対向する第2開口を形成し、第2開口には、所定の順テーパ部と逆テーパ部とを形成する。このような画素間絶縁膜上の全域にわたって、発光層を含む有機層および第2電極を形成することにより、蒸着用マスクや塗布法を用いた塗り分け工程、あるいはレーザー照射工程を経ることなく、第2開口の逆テーパ部に対向する領域において、第2電極と補助電極との電気的接続が確保される。
【0013】
本開示の電子機器は、上記本開示の有機EL表示装置を備えたものである。
【0014】
尚、本開示および以下の実施の形態において、「順テーパ部」および「逆テーパ部」とは、基板面(基板の表面または裏面)と非平行な面であり、かつ直交しない面(傾斜面)を有する部分である。また、「順テーパ部」および「逆テーパ部」の基板面とのなす角は、第2開口内において基板面と各傾斜面とがなす角である。即ち、「順テーパ部」では、第2開口内において基板面とのなす角が90°より大きく180°未満のいわゆる鈍角であり、「逆テーパ部」では、第2開口内において基板面とのなす角が0°より大きく90°未満のいわゆる鋭角となっている。
【発明の効果】
【0015】
本開示の有機EL表示装置、有機EL表示装置の製造方法および電子機器によれば、画素間絶縁膜に、第1電極に対向する第1開口、補助電極に対向する第2開口をそれぞれ設け、第2開口には、所定の順テーパ部と逆テーパ部とを設ける。これにより、発光層を含む有機層を、蒸着用マスクや塗布法を用いた塗り分け工程、あるいはレーザー照射工程を経ることなく所望の領域に形成しつつ、第2電極と補助電極との電気的接続を確保できる。これによって、第2電極に起因する電圧降下を抑制できる。従って、簡易な製造プロセスで補助電極を形成することができ、低消費電力化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本開示の実施の形態に係る有機EL表示装置の断面構成を表す図である。
【図2】図1に示した第1電極および補助電極の平面レイアウト例を表す模式図である。
【図3】図1に示した第1電極および補助電極付近の拡大図である。
【図4】図1に示した有機EL表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】図4の一部構造に対応する断面図である。
【図6】図4に続く工程を表す断面図である。
【図7】図6に続く工程を表す断面図である。
【図8】図7に続く工程を表す断面図である。
【図9】図8に続く工程を表す断面図である。
【図10】比較例1に係る有機EL表示装置の一部領域に対応する断面図である。
【図11】比較例2に係る有機EL表示装置の一部領域に対応する断面図である。
【図12】第2電極の膜厚を変化させた場合の電流電圧特性にを表す特性図である。
【図13】変形例1に係る有機EL表示装置の断面構成を表す図である。
【図14】変形例2に係る製造方法を説明するための要部断面図である。
【図15】図14に続く工程を表す要部断面図である。
【図16】図15に続く工程を表す要部断面図である。
【図17】変形例3に係る製造方法を説明するための要部断面図である。
【図18】図17に続く工程を表す要部断面図である。
【図19】実施の形態等に係る表示装置の周辺回路を含む全体構成を表す図である。
【図20】図19に示した画素の回路構成を表す図である。
【図21】図19に示した表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図22】実施の形態等の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図23】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図24】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図25】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図26】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(駆動基板上の補助電極に対向して逆テーパをもつ絶縁膜開口を設けた例)
2.変形例1(TFTの電極と同層に補助電極を設けた例)
3.変形例2(逆テーパ形成手法の他の例)
4.変形例3(逆テーパ形成手法の他の例)
5.適用例(電子機器への適用例)
【0018】
<実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る有機EL表示装置(有機EL表示装置1)の断面構成を表すものである。有機EL表示装置1は、例えばいわゆるトップエミッション方式(上面発光方式)により発光を生じるものであり、例えば、駆動基板10上の所定の領域(後述の表示領域110)に、複数の有機EL素子1Aが例えばマトリクス状に配置されたものである。各有機EL素子1Aは、例えば赤(R),緑(G),青(B)の3つのサブピクセルのいずれかを構成しており、これらの3つのサブピクセルが1つのピクセルとして機能するようになっている。
【0019】
(駆動基板10)
駆動基板10は、例えば、石英、ガラス、金属箔、シリコンまたはプラスチック等からなる基板10a上に、TFT11を含む駆動回路(後述の画素回路40等)が配設されたものである。
【0020】
TFT11は、例えば後述の画素回路40におけるサンプリング用トランジスタ3Aまたは書き込み用トランジスタ3Bに相当するものであり、その構成は例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガ構造(トップゲート型)であってもよい。ここでは、一例としてボトムゲート型の薄膜トランジスタを例に挙げる。TFT11は、例えば、基板10a上の選択的な領域にゲート電極110を有し、このゲート電極110と基板10aとを覆うように基板10aの全面にわたってゲート絶縁膜111が設けられている。ゲート絶縁膜111上には、半導体層112が形成されている。この半導体層112は、チャネルを形成する活性層として機能するものであり、例えば非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、多結晶シリコンまたは酸化物半導体等により構成されている。この半導体層112上には、貫通孔(コンタクトホールH)を有する層間絶縁膜113が形成されており、層間絶縁膜113上には、そのコンタクトホールHを埋め込むように、ソースまたはドレインとして機能するソース・ドレイン電極114が配設されている。このTFT11は、駆動基板10において、平坦化膜115により被覆されている。
【0021】
平坦化膜115は、例えばポリイミド,アクリル系樹脂またはノボラック系樹脂などの有機絶縁膜よりなる。あるいは、無機絶縁膜、例えば酸化シリコン(SiOx),窒化シリコン(SiNx)および酸窒化シリコン(SiON)等のうちの少なくとも1種を含む単層膜あるいは積層膜より構成されていてもよい。平坦化膜115は、コンタクトホールH2を有し、このコンタクトホールH2を通じてTFT11(ソース・ドレイン電極114)と、後述の第1電極12とが電気的に接続されている。
【0022】
(有機EL素子1A)
有機EL素子1Aは、例えばトップエミッション方式により発光を生じるものであり、駆動基板10の平坦化膜115上に、例えば第1電極12、有機層15および第2電極16を備えている。
【0023】
第1電極12は、例えば有機EL素子1A毎に設けられ、例えばアノードとして機能するものである。この第1電極12は、ここでは(トップエミッション方式の場合には)、光反射性を有する金属膜、またはそのような金属膜と透明導電膜との積層膜により構成される。例えば、第1電極12は、アルミニウム(Al)とネオジウム(Nd)との合金(AlNd合金)、酸化インジウム錫(ITO)と銀(Ag)との積層膜、または酸化インジウム亜鉛(IZO)と銀との積層膜により構成されている。但し、第1電極12の最表面には、後述の製造プロセスにおいて所定のエッチング耐性を有する材料、例えばAlNd合金が設けられていることが望ましい。この第1電極12は、第2電極16および後述の補助電極13と電気的に絶縁して設けられている。
【0024】
有機層15は、例えば白色光を発する有機電界発光層(以下、白色発光層という)含むものであり、第1電極12および第2電極16を通じて電界をかけることにより電子と正孔との再結合を生じて、白色光を発生するようになっている。
【0025】
白色発光層は、詳細には、例えば、赤色光を発する赤色発光層、緑色光を発する緑色発光層および青色光を発する青色発光層を積層した構造(タンデム構造)を有している。赤色発光層は、例えば赤色発光材料,正孔輸送性材料および電子輸送性材料のうち少なくとも1種を含み、例えば4,4−ビス(2,2−ジフェニルビニン)ビフェニル(DPVBi)に2,6−ビス[(4'−メトキシジフェニルアミノ)スチリル]−1,5−ジシアノナフタレン(BSN)を混合したものから構成されている。緑色発光層は、例えば、緑色発光材料,正孔輸送性材料および電子輸送性材料のうち少なくとも1種を含み、例えば、ADNやDPVBiにクマリン6を混合したものから構成されている。青色発光層は、例えば、青色発光材料,正孔輸送性材料および電子輸送性材料のうち少なくとも1種を含み、例えば、DPVBiに4,4'−ビス[2−{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を混合したものから構成されている。
【0026】
この有機層15は、上記のような発光層の他にも、例えば正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層などを含んでいてもよい。具体的には、第1電極12が陽極として機能する場合には、第1電極12側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、白色発光層および電子輸送層を積層した構造であってもよい。また、このような積層構造を有する有機層15は、駆動基板10上の全ての有機EL素子1Aに共通して形成されていてもよいが、一部の層が有機EL素子1A毎に設けられ、その他の層が全有機EL素子1Aに共通して設けられていてもよい。また、有機層15と第2電極16との間には、更に、例えばLiFよりなる電子注入層が設けられていてもよい。
【0027】
尚、ここでは、白色発光層として、赤色発光層、緑色発光層および青色発光層を積層したものを例示したが、白色発光層の構成はこれに限定されず、混色により白色光を生成可能な構造であればよい。例えば、青色発光層と黄色発光層とを積層した構造、または青色発光層と橙色発光層とを積層した構造であってもよい。
【0028】
本実施の形態では、この有機層15が駆動基板10の全域にわたって形成されており、この有機層15上の全域にわたって第2電極が形成されている。
【0029】
第2電極16は、例えば駆動基板10上の全ての有機EL素子1Aに共通して設けられ、例えばカソードとして機能するものである。この第2電極16は、例えば酸化インジウム錫、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛(ZnO)、またはマグネシウム(Mg)および銀の共蒸着膜(MgAg共蒸着膜)により構成されている。この第2電極16は、後述の画素間絶縁膜14の開口S2内において補助電極13と電気的に接続されている。
【0030】
この第2電極16上には、保護層17が設けられている。保護層17は、例えば厚みが2〜5μmであり、絶縁性材料または導電性材料のいずれにより構成されていてもよい。絶縁性材料としては、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(a−Si),アモルファス炭化シリコン(a−SiC),アモルファス窒化シリコン(a−Si1-xx)、アモルファスカーボン(a−C)等が好ましい。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜となる。保護層17上には、図示しない接着層により封止基板20が貼り合わせられている。
【0031】
封止基板20は、保護層17と共に、各有機EL素子1Aを封止するものであり、例えばR,G,Bの各色光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。この封止基板20には、図示しないカラーフィルタが設けられていてもよい。カラーフィルタは、例えば赤色,緑色または青色のフィルタを有し、例えば顔料や染料を混入した樹脂より構成されている。このようなカラーフィルタを設けることにより、各有機EL素子1Aで発生した光(ここでは白色光)をR,G,Bの色光に変換して取り出すことができる。
【0032】
また、図示しないブラックマトリクス(遮光膜)が設けられていてもよく、これにより、有機EL素子1A間(サブピクセル間)および配線等において反射された外光を吸収し、コントラストを改善することができる。遮光膜は、例えば黒色の着色剤を混入した樹脂膜、または薄膜の干渉を利用した薄膜フィルタにより構成されている。
【0033】
(補助電極13)
上記のような有機EL素子1Aを用いて映像表示を行う有機EL表示装置1では、第2電極16が、各有機EL素子1Aに共通の電極であるために、駆動基板10上の広い領域にわたって形成される。このため、第2電極16の形状に起因して電圧降下が生じるが、有機EL表示装置1は、そのような電圧降下を抑制するために、補助電極13を備えている。補助電極13は、駆動基板10側において、有機EL素子1Aにおける第1電極12と電気的に絶縁される一方、第2電極16と電気的に接続された状態で配設されている。本実施の形態では、補助電極13は、駆動基板10上(詳細には平坦化膜115上)の第1電極12と同層に設けられている。
【0034】
図2は、この補助電極13と第1電極12との平面レイアウト(基板面に平行なXY平面レイアウト)について模式的に示したものである。尚、図1の断面構造は、この図2におけるI−I線に沿った断面の積層構造に対応している。このように、駆動基板10上には、複数の第1電極12が、例えばマトリクス状に配置されている。補助電極13は、例えば各第1電極12を離隔しつつ囲むように設けられ、全体の形状が例えば格子形状となっている。この補助電極13の一部、例えば格子形状における交差部が、第2電極16との接触部分(コンタクト部13A)となっている。
【0035】
コンタクト部13Aは、後述の画素間絶縁膜14の開口S2に対向して(詳細には、開口S2の逆テーパ部14Bに対向して)形成されるものであり、図2に示したように、補助電極13において点在する複数の選択的な領域に対応している。例えば、コンタクト部13Aは、格子状における全交差部のうちの選択的な交差部にのみ設けられていてもよいし、または全交差部に設けられていてもよい。また、交差部以外の領域に配置されていてもよい。
【0036】
但し、補助電極13のレイアウトはこれに限定されず、表示領域において、第1電極12と電気的に絶縁されて設けられていればよい。また、格子形状以外の形状であってもよく、例えば、X方向またはY方向の1方向に沿ってのみ延在するストライプ形状であってもよい。また、コンタクト部13Aは上記のように点在して形成されてもよいし、例えばX方向またはY方向の1方向に沿って延在するストライプ状に形成されていてもよい。あるいは、コンタクト部13Aは、補助電極13の全域にわたって形成されていてもよい。
【0037】
このような補助電極13は、例えば、チタン(Ti),アルミニウム(Al),アルミニウムとネオジウムとの合金(AlNd合金),酸化インジウム錫および酸化インジウム亜鉛のうちの1種以上を含む単層膜または積層膜により構成されている。但し、補助電極13の最表面には、後述の製造プロセスにおいて所定のエッチング耐性を有する材料、例えばチタンまたはAlNd合金が設けられていることが望ましい。また、第2電極16とのオーミック接触を確保するため、最表面にはチタンが設けられていることが、より望ましい。
【0038】
(画素間絶縁膜14)
上記第1電極12および補助電極13が配設された駆動基板10上には、基板全面にわたって画素間絶縁膜14が形成されている。画素間絶縁膜14は、各有機EL素子1Aを電気的に分離する(画素開口を区画する)機能を有するものであり、例えばポリイミド,アクリル系樹脂またはノボラック系樹脂などの有機絶縁膜により構成され、感光性を有することが望ましい。本実施の形態では、この画素間絶縁膜14が複数の開口S1,S2を有している。
【0039】
開口S1(第1開口)は、有機EL素子1A毎に設けられ、第1電極12に対向して形成されている。この開口S1によって各有機EL素子1Aが電気的に分離される。
【0040】
開口S2(第2開口)は、補助電極13の少なくとも一部に対向して設けられている。この開口S2は、順テーパ部14Aおよび逆テーパ部14Bを有している。図3に、開口S2付近の拡大図を示す。これらの順テーパ部14Aおよび逆テーパ部14Bは、開口S2の内壁(内側の側面)の一部に相当するものであり、基板面と非平行かつ直交しない傾斜面を有している。具体的には、順テーパ部14Aは、基板面とのなす角αが90°より大きく180°未満の鈍角であり、逆テーパ部14Bでは、基板面とのなす角βが0°より大きく90°未満の鋭角である。
【0041】
本実施の形態では、上述のように、基板全面にわたって有機層15(または有機層15の一部)と第2電極16とが積層されるが、開口S2内の逆テーパ部14Bの上端e1付近において有機層15が途切れ(分断され)ており、補助電極13の表面が露出している。第2電極16は、そのような有機層15の分断面を被覆すると共に、開口S2内の逆テーパ部14Bに対向する領域(逆テーパ部14Bと基板面との間の空隙)まで延在形成され、補助電極13と接触している。補助電極13の逆テーパ部14Bに対向する領域の一部または全部(第2電極16と接触した部分)が、上記コンタクト部13Aに対応している。
【0042】
一方、この開口S2の順テーパ部14Aに対向する領域では、有機層15および第2電極16が、順テーパ部14Aの形状に倣って連続的に(分断されることなく)形成されている。また、これらの有機層15および第2電極16が、順テーパ部14Aに対向する領域から開口S1に対向する領域まで、画素間絶縁膜14の表面形状に倣って連続的に形成されている。
【0043】
[製造方法]
上記のような有機EL表示装置1は、例えば次のようにして製造することができる。即ち、まず、駆動基板10を用意する。具体的には、上述した材料よりなる基板10a上に、所定の薄膜プロセスを経てTFT11を含む駆動回路を形成した後、基板10aの全面にわたって平坦化膜115を、例えばスピンコート法,スリットコート法により成膜する。続いて、成膜した平坦化膜115を、例えばフォトリソグラフィ法により、所定の形状にパターニングすると共に、この平坦化膜115にコンタクトホールH2を形成する。
【0044】
(第1電極,補助電極の形成工程)
次いで、図4に示したように、駆動基板10上に、上述した材料よりなる第1電極12および補助電極13を同一または異なるパターニング工程により形成する。例えば、まず、第1電極12としてAlNd合金を例えばスパッタ法により基板全面にわたって成膜した後、例えばフォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりパターニングする。この際、第1電極12の一部を平坦化膜115のコンタクトホールH2に埋め込み、第1電極12とTFT11とを電気的に接続する。この後、補助電極13としてアルミニウムおよびチタンをこの順にそれぞれスパッタ法により基板全面にわたって堆積させた後、形成した積層膜(Ti/Al)をフォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりパターニングする。
【0045】
尚、上記順序とは逆に、補助電極13を形成した後に、第1電極12を形成してもよい。第1電極12および補助電極13の成膜順序は、各電極材料に応じて適宜設定される。また、第1電極12と補助電極13との積層構造および材料が同一の場合には、これらの第1電極12および補助電極13を同一工程において一括してパターニングしてもよい。
【0046】
次に、上記のようにして第1電極12および補助電極13を形成した駆動基板10上に、上記画素間絶縁膜14、有機層15および第2電極をこの順に形成する。尚、図5は、図4における第1電極12および補助電極13付近の一部の領域Dを拡大したものである。以下の工程では、装置全体の断面構造のうちの領域Dに相当する部分を示して説明する。
【0047】
まず、図6に示したように、画素間絶縁膜14を形成する前に、補助電極13上に逆テーパ形成用薄膜120を形成する。この際、本実施の形態では、例えばアルミニウム等の金属よりなる逆テーパ形成用薄膜120を例えばスパッタ法により基板全面にわたって成膜した後、例えばフォトリソグラフィ法を用いたウェットエッチングによりパターニングする。このようにして、側面に順テーパ120A1,120A2を有する(台形の断面形状を有する)逆テーパ形成用薄膜120を補助電極13上に選択的に形成する。
【0048】
(画素間絶縁膜形成工程)
続いて、画素間絶縁膜14を、フォトリソグラフィ法を用いて形成する。具体的には、まず図7に示したように、上述した材料よりなる画素間絶縁膜14を、例えばスピンコート法,スリットコート法により基板全面にわたって成膜する。この際、画素間絶縁膜14としては、感光性を有する樹脂材料を用いる。
【0049】
次いで、図8(A)に示したように、画素間絶縁膜14の選択的な領域を、所定のフォトマスク121を用いて露光する。この際、フォトマスク121としては、第1電極12に対向する領域に開口121a、補助電極16の一部に対向する領域に開口121bを有するものを用いる。これらの開口121a,121bのうち、開口121bは、詳細には、逆テーパ形成用薄膜120における順テーパ120A1,120A2のうちの一方(例えば順テーパ120A1)に対向すると共に、他方(例えば順テーパ120A2)に非対向となっている。
【0050】
続いて、露光した画素間絶縁膜14を現像する。この際、現像液としては、例えば、TMAH(Tetra-methyl-ammonium-hydroxyde)水溶液を使用する。TMAHを用いることにより、画素間絶縁膜14の現像と同時に、金属(アルミニウム等)によりなる逆テーパ形成用薄膜120をウェットエッチングにより除去(リフトオフ)することができる。この際、第1電極12にAlNd合金が用いられていれば、例えばアルミニウム単層で構成する場合に比べてTMAHに対して耐性を有することから、第1電極12を電極として残すことができる。
【0051】
この後、リンス液で洗浄し、更に加熱(ポストベーク)することにより、図8(B)に示したように、画素間絶縁膜14では、第1電極12に対向する領域に、開口S1が形成される。また、この一方で、補助電極13に対向する領域には、上述したような順テーパ部14Aおよび逆テーパ部14Bを有する開口S2が形成される。
【0052】
(有機層形成工程)
次いで、図9(A)に示したように、基板全面にわたって、上述した積層構造および材料等よりなる有機層15を形成する。この際、有機層15を、例えば真空蒸着法により成膜する。例えば、白色発光層としてR,G,Bの各色の発光層を積層させる場合には、各色の発光材料をそれぞれ真空蒸着法により、例えば基板全面に渡って順に堆積させる。
【0053】
これにより、画素間絶縁膜14の全域にわたって有機層15が成膜されるが、本実施の形態では、画素間絶縁膜14の開口S2が逆テーパ部14Bを有しているため、この逆テーパ部14Bのエッジ(図3の上端e1)付近において、有機層15が分断されて成膜される。これは、有機層15をカバレッジの低い蒸着法により成膜することから、開口S2内の逆テーパ部14Bに対向する領域までは有機材料が回り込まないためである。これによって、開口S2内において補助電極13の表面の一部が有機層15から露出する。
【0054】
(第2電極形成工程)
この後、図9(B)に示したように、基板全面にわたって、上述した材料よりなる第2電極16を例えばスパッタ法により成膜する。これにより、上記有機層15と同様、画素間絶縁膜14の全域にわたって第2電極16が形成される。但し、この第2電極16については、カバレッジのよいスパッタ法を用いて成膜することから、有機層15の分断面を被覆すると共に、電極材料が、逆テーパ部14Bと基板面との間の空隙部分まで回り込んで堆積し、補助電極13の露出部分と接触する。このようにして、補助電極13の一部(逆テーパ部14Bに対向する領域の一部または全部)と第2電極16との電気的接続が確保される。この際、補助電極13の最表面をチタンにより形成しておくことにより、第2電極16とのオーミック接触を確保し易くなる。
【0055】
次いで、図示はしないが、形成した第2電極16上の全面を覆って、上述した材料よりなる上述した材料よりなる保護層17を形成した後、接着層を用いて駆動基板10と封止基板20とを貼り合わせる。以上により、図1に示した有機EL表示装置1を完成する。
【0056】
[作用・効果]
有機EL表示装置1では、各サブピクセル(有機EL素子1A)に対し、映像信号に基づく駆動電流が第1電極12および第2電極16を通じて供給されると、各有機EL素子1Aでは、有機層15(白色発光層)において、正孔と電子との再結合により発光が起こる。このようにして生じた白色光のうち、第1電極12側(下方)へ放たれた光は、第1電極12等によって反射された後、封止基板20の上方より出射する。一方、第2電極16側(上方)へ放たれた光は、そのまま第2電極16を透過した後、封止基板20の上方より出射する。封止基板20を出射する際には、図示しないカラーフィルタを透過することにより、R,G,Bの色光が表示光として取り出される。このようにして、トップエミッション方式によるフルカラーの映像表示がなされる。
【0057】
ここで、有機EL表示装置1では、上述したように、第2電極16の形状に起因して電圧降下を生じることがあるが、このような電圧降下を抑制するために補助電極13が設けられている。具体的には駆動基板10上の第1電極12と同層に、かつ第1電極12と電気的に絶縁された状態で設けられている。
【0058】
(比較例)
このような補助電極13は、第2電極16と電気的に接続させる必要があるが、次のような理由から改善が望まれている。図10(A)〜(C)に、比較例1に係る有機EL表示装置の製造方法の一部(画素間絶縁膜形成後から第2電極形成までの工程)を模式的に示す。この比較例1では、例えば図10(A)に示したように、画素間絶縁膜103を形成する際に、駆動基板100上の第1電極101に対向して開口103A、補助電極102に対向して開口103Bをそれぞれ設ける。これらの開口103A,103Bはいすれも通常の順テーパを有するものである。
【0059】
続いて、図10(B)に示したように、画素間絶縁膜103の開口103Aに対応する選択的な領域にのみ発光層を含む有機層104を、蒸着マスク法または塗布法により形成する(補助電極102の表面は露出させておく)。この後、図10(C)に示したように、第2電極105を基板全面にわたって形成することにより、第2電極105と補助電極102とを接触させ電気的接続を確保する。
【0060】
また、図11(A)〜(C)には、比較例2に係る有機EL表示装置の製造方法の一部(画素間絶縁膜形成後から第2電極形成までの工程)を模式的に示す。この比較例2では、例えば図11(A)に示したように、上記比較例1と同様の画素間絶縁膜103上の全域に有機層104を形成した後、補助電極102に対向する領域にのみレーザー光を照射する。これにより、図11(B)に示したように、補助電極102上に堆積されていた有機層104が選択的に除去される。この後、図11(C)に示したように、第2電極105を基板全面にわたって形成することにより、第2電極105と補助電極102とを接触させ電気的接続を確保する。
【0061】
上記比較例1,2のうち、比較例1の手法では、有機層104を塗り分けマスクを用いた蒸着法(マスク蒸着法)または塗布法によりパターニングする必要がある。この際、マスク蒸着法では、マスクとの位置合わせ精度や歩留まりが悪くなり易く、塗布法では高精細化に対応しにくい。一方、比較例2の手法では、有機層15を選択的に除去するためにレーザー照射工程を経るために、製造コストが高くなってしまう。このため、そのような塗り分け工程やレーザー照射工程等を経ることなく、簡易な製造プロセスで補助電極を形成することが望まれている。
【0062】
そこで、本実施の形態では、画素間絶縁膜14に、第1電極12に対向する開口S1を設ける一方、補助電極13に対向して、逆テーパ部14Bを有する開口S2を設けている。これにより、有機層15を、全面蒸着した場合であっても、画素間絶縁膜14の開口S2内の逆テーパ部14Bに対向する領域において、補助電極13の表面を有機層15から露出させておくことができる。この有機層15上の全域に第2電極16をスパッタ形成することにより、第2電極16を、開口S2内部まで逆テーパ部14Bを回り込むように成膜することができ、補助電極13の露出部分まで延在形成される。従って、上記比較例1のような蒸着用マスクや塗布法を用いた塗り分け工程、あるいは比較例2のようなレーザー照射工程を経ることなく、開口S2の一部において、第2電極16と補助電極13との電気的接続が確保される。
【0063】
ここで、図12に、上記のような有機EL表示装置1において、IZOよりなる第2電極16の膜厚を変化させた場合の電流電圧特性(I−V特性)についての実験結果を示す。尚、比較例として、塗り分けマスクを使用して発光画素のみ有機膜を成膜した(補助電極部分は有機膜により被覆されないようにした)ものを作成し(IZO膜厚:40nm)、同様にI−V特性について測定した。これをこの結果から、第2電極16の膜厚が大きくなるほど、補助電極との良好なコンタクト性能が得られ、例えばIZO30nm以上では、比較例と同等に電圧降下が抑制されていることがわかる。
【0064】
また、画素間絶縁膜14の開口S2に、順テーパ部14Aが設けられていることにより、この順テーパ部14A上の領域では、有機層15および第2電極16が、順テーパ部14Aの形状に倣って連続的に(分断されることなく)形成される。また、これらの有機層15および第2電極16が、順テーパ部14Aに対向する領域から開口S1に対向する領域まで、画素間絶縁膜14の表面形状に倣って連続的に形成される。これにより、第2電極16のうち開口S1上の部分(発光領域直上の電極部分)にまで補助電極13から電位供給を行うことができる。従って、基板面内の電圧降下をより効果的に抑制することができる。
【0065】
以上のように本実施の形態では、画素間絶縁膜14に、第1電極12に対向する開口S1、補助電極13に対向する開口S2をそれぞれ設け、開口S2には、順テーパ部14Aおよび逆テーパ部14B形成する。これにより、有機層15を、全面蒸着した場合であっても、画素間絶縁膜14の開口S2の一部において、補助電極13の表面を有機層15から露出させておくことができる。従って、蒸着用マスクや塗布法を用いた塗り分け工程、あるいはレーザー照射工程を経ることなく、開口S2において、第2電極16と補助電極13とを電気的に接続することができる。
【0066】
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1〜3)について説明する。尚、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0067】
<変形例1>
図13は、変形例1に係る有機EL表示装置(有機EL表示装置2)の断面構成を表したものである。有機EL表示装置2は、上記実施の形態の有機EL表示装置1と同様、例えばトップエミッション方式により発光を生じるものであり、駆動基板10上に、複数の有機EL素子1Aが例えばマトリクス状に配置されたものである。また、有機EL素子1Aの第1電極12と電気的に絶縁され、かつ第2電極16と電気的に接続された、補助電極21を備えている。そして、画素間絶縁膜14がその補助電極21に対向して開口S3を有しており、開口S3には、順テーパ部14Aと逆テーパ部14Bとが設けられている。
【0068】
但し、本変形例では、上記実施の形態と異なり、補助電極21が、第1電極12と異なる層(第1電極12よりも下層)に設けられている。具体的には、補助電極21は、駆動基板10における層間絶縁膜113上(ソース・ドレイン電極114と同層)に設けられている。また、この補助電極21上には平坦化膜115が形成されるが、この平坦化膜115には、補助電極21に対向して開口H3が設けられている。画素間絶縁膜14は、そのような平坦化膜115の開口H3を埋め込むように形成されている。
【0069】
本変形例のように、補助電極21は、第1電極12よりも下層、例えば駆動基板10におけるTFT11のソース・ドレイン電極114と同層に形成されていてもよい。このような場合であっても、例えばソース・ドレイン電極114の形成工程において、補助電極21を同時にパターニング形成し、平坦化膜115の補助電極21に対向する領域を開口すれば、上記実施の形態と同様にして、開口S1,S3を有する画素間絶縁膜14を形成することができる。この画素間絶縁膜14上に、有機層15および第2電極16を形成することにより、上記実施の形態と同様、開口S3内の逆テーパ部14Bに対向する領域において、第2電極16と補助電極21との電気的接続を確保できる。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0070】
尚、補助電極21は、ソース・ドレイン電極114と別工程において、ソース・ドレイン電極114と異なる積層構造または電極材料により形成するようにしてもよい。また、補助電極21を設ける層は、このソース・ドレイン電極114と同層に限らず、他の層、例えばゲート電極110と同層であってもよい。
【0071】
<変形例2>
図14〜図16は、変形例2に係る画素間絶縁膜の形成方法の断面構成を表したものである。画素間絶縁膜14において補助電極に対向する開口を形成する手法(逆テーパ形成手法)としては、上記実施の形態で説明した手法の他にも、本変形例のようなリフトオフ層を用いたものが挙げられる。
【0072】
即ち、図14(A)に示したように、まず補助電極13上に、リフトオフ層22として例えばアルミニウム等からなる薄膜を例えばスパッタ法により成膜した後、このアルミニウム膜上にフォトレジスト膜122を塗布し、露光、現像によりパターニングする。この後、フォトレジスト膜122をマスクとしたエッチングにより、上記アルミニウム膜をパターニングし、補助電極13とフォトレジスト膜122との間にリフトオフ層22を形成する。
【0073】
続いて、図14(B)に示したように、フォトレジスト膜122をアッシングした後、ポストベークすることにより、側面にテーパ(順テーパ)を形成する。このようにして形成したフォトレジスト膜(逆テーパ形成用薄膜122a)を、上記実施の形態における逆テーパ形成用薄膜120(金属)と同様にして、逆テーパ形成用の薄膜として利用する。即ち、本変形例では、上記リフトオフ層22のパターニングに使用したフォトレジスト膜122を除去せずにリフトオフ層22上に残存させ、これを逆テーパ形成用に利用する。
【0074】
次いで、画素間絶縁膜14を、フォトリソグラフィ法を用いて形成する。具体的には
、まず図15(A)に示したように、上記実施の形態と同様にして、画素間絶縁膜14
を基板全面にわたって成膜する。また、この後、図15(B)に示したように、画素間
絶縁膜14の選択的な領域を、上記実施の形態と同様のフォトマスク121を用いて露
光する。続いて、上記実施の形態と同様にして画素間絶縁膜14を現像する。この際、
現像液としては、例えば、TMAH水溶液を使用することにより、画素間絶縁膜14の
現像と同時に、逆テーパ形成用薄膜122aの下層にあるリフトオフ層(アルミニウム
等)をウェットエッチングにより溶かすことができる。これにより、フォトレジストよ
りなる逆テーパ形成用薄膜122aを除去(リフトオフ)することができる。この後、
リンス液で洗浄し、更に加熱(ポストベーク)することにより、図16に示したように
、上記実施の形態と同様の開口S1,S2を有する画素間絶縁膜14を形成できる。
【0075】
<変形例3>
図17および図18は、変形例3に係る画素間絶縁膜の形成方法の断面構成を表した
ものである。上記変形例2では、逆テーパ形成手法として、アルミニウム等の金属から
なるリフトオフ層を用いたものを例示したが、以下のようなリフトオフ層を用いると、
より工程を簡易化できる。
【0076】
即ち、まず図17(A)に示したように、駆動基板10上に、上記実施の形態と同様
にして補助電極13を形成する。この後、上記実施の形態と同様にして第1電極12を
形成するが、この際、補助電極13上にも薄膜パターン(リフトオフ層12A)を同時
に形成する。即ち、基板全面にわたって第1電極12としての金属膜を成膜した後、フ
ォトレジストの塗布、露光、現像によりパターニングを行い、フォトレジスト膜123
,124を形成する。この後、図17(B)に示したように、フォトレジスト膜123
,124をマスクとしたエッチングを行うことにより、第1電極12とリフトオフ層1
2Aとを一括形成する。
【0077】
続いて、図17(C)に示したように、フォトレジスト膜123,124をアッシン
グした後、ポストベークすることにより、側面にテーパ(順テーパ)を形成する。この
ようにして形成したフォトレジスト膜(逆テーパ形成用薄膜124a)を、上記実施の
形態における逆テーパ形成用薄膜120(金属)と同様にして、逆テーパ形成用の薄膜
として利用する。即ち、本変形例では、上記リフトオフ層12Aのパターニングに使用
したフォトレジスト膜124を除去せずにリフトオフ層12A上に残存させ、これを逆
テーパ形成用に利用する。尚、第1電極12上にはフォトレジスト膜123aが残存す
るが、これは後の工程において除去すればよい。
【0078】
次いで、画素間絶縁膜14を、フォトリソグラフィ法を用いて形成する。具体的には
、まず、上記実施の形態と同様にして、画素間絶縁膜14を基板全面にわたって成膜し
た後、図18(A)に示したように、画素間絶縁膜14の選択的な領域を、上記実施の
形態と同様のフォトマスク121を用いて露光する。続いて、上記実施の形態と同様に
して画素間絶縁膜14を現像する。この際、現像液としては、例えば、TMAH水溶液
を使用することにより、画素間絶縁膜14の現像と同時に、逆テーパ形成用薄膜124
aの下層にあるリフトオフ層12A(AlNd)と補助電極13の最表面に形成された
Tiとのガルバニ腐食により溶かすことができる。これにより、フォトレジストよりな
る逆テーパ形成用薄膜124aを除去(リフトオフ)することができる。続いて、駆動
基板10上に残ったフォトレジスト(特にフォトレジスト膜123a)をアッシングに
より除去する。この後、リンス液で洗浄し、更に加熱(ポストベーク)することにより
、図18(B)に示したように、上記実施の形態と同様の開口S1,S2を有する画素
間絶縁膜14を形成できる。
【0079】
[有機EL表示装置の全体構成、画素回路構成]
次に、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置の全体構成および画素回路構成につ
いて説明する。図19は、有機ELディスプレイとして用いられる表示装置の周辺回路
を含む全体構成を表すものである。このように、例えば駆動基板10上には、有機EL
素子を含む複数の画素PXLC(サブピクセル)がマトリクス状に配置されてなる表示
領域30が形成され、この表示領域30の周辺に、信号線駆動回路としての水平セレク
タ(HSEL)31と、走査線駆動回路としてのライトスキャナ(WSCN)32と、
電源線駆動回路としての電源スキャナ(DSCN)33とが設けられている。
【0080】
表示領域30において、列方向には複数(整数n個)の信号線DTL1〜DTLnが
配置され、行方向には、複数(整数m個)の走査線WSL1〜WSLmおよび電源線D
SL1〜DSLmがそれぞれ配置されている。また、各信号線DTLと各走査線WSL
との交差点に、各画素PXLC(R、G、Bに対応する画素のいずれか1つ)が設けら
れている。各信号線DTLは水平セレクタ31に接続され、この水平セレクタ31から
各信号線DTLへ映像信号が供給されるようになっている。各走査線WSLはライトス
キャナ32に接続され、このライトスキャナ32から各走査線WSLへ走査信号(選択
パルス)が供給されるようになっている。各電源線DSLは電源スキャナ33に接続さ
れ、この電源スキャナ33から各電源線DSLへ電源信号(制御パルス)が供給される
ようになっている。
【0081】
図20は、画素PXLCにおける具体的な回路構成例を表したものである。各画素P
XLCは、有機EL素子3D(上記有機EL素子1Aに相当)を含む画素回路40を有
している。この画素回路40は、サンプリング用トランジスタ3Aおよび駆動用トラン
ジスタ3Bと、保持容量素子3Cと、有機EL素子3Dとを有するアクティブ型の駆動
回路である。
【0082】
サンプリング用トランジスタ3Aは、そのゲートが対応する走査線WSLに接続され
、そのソースおよびドレインのうちの一方が対応する信号線DTLに接続され、他方が
駆動用トランジスタ3Bのゲートに接続されている。駆動用トランジスタ3Bは、その
ドレインが対応する電源線DSLに接続され、ソースが有機EL素子3Dのアノードに
接続されている。また、この有機EL素子3Dのカソードは、接地配線3Hに接続され
ている。なお、この接地配線3Hは、全ての画素PXLCに対して共通に配線されてい
る。保持容量素子3Cは、駆動用トランジスタ3Bのソースとゲートとの間に配置され
ている。
【0083】
サンプリング用トランジスタ3Aは、走査線WSLから供給される走査信号(選択パ
ルス)に応じて導通することにより、信号線DTLから供給される映像信号の信号電位
をサンプリングし、保持容量素子3Cに保持するものである。駆動用トランジスタ3B
は、所定の第1電位(図示せず)に設定された電源線DSLから電流の供給を受け、保
持容量素子3Cに保持された信号電位に応じて、駆動電流を有機EL素子3Dへ供給す
るものである。有機EL素子3Dは、この駆動用トランジスタ3Bから供給された駆動
電流により、映像信号の信号電位に応じた輝度で発光するようになっている。
【0084】
このような回路構成では、走査線WSLから供給される走査信号(選択パルス)に応
じてサンプリング用トランジスタ3Aが導通することにより、信号線DTLから供給さ
れた映像信号の信号電位がサンプリングされ、保持容量素子3Cに保持される。また、
上記第1電位に設定された電源線DSLから駆動用トランジスタ3Bへ電流が供給され
、保持容量素子3Cに保持された信号電位に応じて、駆動電流が有機EL素子3Dへ供
給される。そして、各有機EL素子3Dは、供給された駆動電流により、映像信号の信
号電位に応じた輝度で発光する。これにより、表示装置において、映像信号に基づく映
像表示がなされる。
【0085】
<適用例>
以下、上記のような有機EL表示装置1等の電子機器への適用例について説明する。
有機EL表示装置1等は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコ
ンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電
子機器に適用することが可能である。言い換えると、有機EL表示装置1等は、外部か
ら入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表
示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0086】
(モジュール)
上記有機EL表示装置1等は、例えば図21に示したようなモジュールとして、後述
の適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、駆
動基板10の一辺に、封止基板20から露出した領域210を設け、この露出した領域
210に、水平セレクタ31、ライトスキャナ32および電源スキャナ33の配線を延
長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号
の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)
220が設けられていてもよい。
【0087】
(適用例1)
図22は、テレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、
例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部3
00を有しており、この映像表示画面部300が有機EL表示装置1等に相当する。
【0088】
(適用例2)
図23は、デジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例え
ば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャ
ッターボタン440を有しており、この表示部420が有機EL表示装置1等に相当す
る。
【0089】
(適用例3)
図24は、ノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート
型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボ
ード520および画像を表示する表示部530を有しており、この表示部530が有機
EL表示装置1等に相当する。
【0090】
(適用例4)
図25は、ビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、
本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620
,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。この
表示部640が有機EL表示装置1等に相当する。
【0091】
(適用例5)
図26は、携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば上側筐
体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディ
スプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ77
0を有している。そして、これらのうちのディスプレイ740またはサブディスプレイ
750が、有機EL表示装置1等に相当する。
【0092】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて説明したが、本開示内容はこれらの
実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等にお
いて説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定される
ものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件
としてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態等では、第2電極16の成膜手法としてスパッタ法を例示した
が、斜め蒸着(テーパ面に沿った方向からの斜方蒸着)により形成することもできる。
このようにして、逆テーパ部を有する開口S2内に第2電極16を堆積させるようにし
てもよい。
【0094】
更に、上記実施の形態等では、有機EL素子としてトップエミッション方式のものを
例示したが、これに限らず、下面発光方式(いわゆるボトムエミッション方式)のもの
にも適用可能である。この場合、第1電極12を透明導電膜により形成すると共に、第
2電極16に光反射性を有する金属膜が設けられるようにする。また、この場合、駆動
基板10のTFT11上に、例えばR,G,B,の各色のカラーフィルタが設けられて
いてもよい。具体的には、TFT11上に無機絶縁膜が設けられ、この無機絶縁膜上の
第1電極12に対向する領域にカラーフィルタが形成される。
【0095】
また、上記実施の形態等では、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置の場合に
ついて説明したが、本開示はパッシブマトリクス型の有機EL表示装置への適用も可能
である。更にまた、アクティブマトリクス駆動のための画素駆動回路の構成は、上記実
施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加して
もよい。
【0096】
尚、本開示は、以下の(1)〜(20)に記載したような構成であってもよい。
(1)基板上に設けられた第1電極と、前記第1電極と電気的に絶縁して設けられた補助電極と、前記第1電極に対向して第1開口、前記補助電極の少なくとも一部に対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜と、前記画素間絶縁膜上の全域にわたって形成され、発光層を含む有機層と、前記有機層上に設けられた第2電極とを備え、前記画素間絶縁膜の前記第2開口は、基板面に対し鈍角をなして傾斜する順テーパ部と、基板面に対し鋭角をなして傾斜する逆テーパ部とを有し、かつ前記第2開口の前記逆テーパ部に対向する領域において前記第2電極が前記補助電極に電気的に接続されている有機EL表示装置。
(2)前記第2開口の前記逆テーパ部に対向する領域では、前記補助電極の一部が前記有機層から露出し、この露出した領域において前記第2電極が前記補助電極に接触している上記(1)に記載の有機EL表示装置。
(3)前記第2開口の前記順テーパ部に対向する領域では、前記有機層が補助電極を被覆すると共に、前記有機層および前記第2電極がそれぞれ前記順テーパ部の形状に倣って連続的に設けられている上記(1)または(2)に記載の有機EL表示装置。
(4)前記第2開口の前記順テーパ部に対向する領域から前記第1開口に対向する領域まで、前記有機層および前記第2電極が前記画素間絶縁膜の表面形状に倣って連続的に設けられている上記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(5)前記補助電極は、前記基板上の前記第1電極と同層に設けられている上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(6)前記基板上に薄膜トランジスタを含む画素回路が設けられ、前記補助電極は、前記薄膜トランジスタにおけるゲート、ソースまたはドレインのいずれかの電極と同層に設けられている上記(1)〜(5のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(7)第1電極は、アルミニウムとネオジウムとの合金(AlNd合金),酸化インジウム錫(ITO)と銀(Ag)との積層膜,または酸化インジウム亜鉛(IZO)と銀との積層膜である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(8)第2電極は、酸化インジウム錫,酸化インジウム亜鉛,酸化亜鉛(ZnO)またはマグネシウム(Mg)および銀の共蒸着膜よりなる上記(1)〜(7)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(9)前記補助電極は、チタン(Ti),アルミニウム(Al),アルミニウムとネオジウムとの合金(AlNd合金),酸化インジウム錫および酸化インジウム亜鉛のうちの1種以上を含む単層膜または積層膜である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(10)前記発光層は白色発光層である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(11)基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極と電気的に絶縁した補助電極を形成する工程と、前記第1電極に対向して第1開口、前記補助電極の少なくとも一部に対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜を形成する工程と、前記画素間絶縁膜上の全域にわたって、発光層を含む有機層を形成する工程と、前記有機層上に第2電極を形成する工程とを含み、前記画素間絶縁膜を形成する工程では、前記第2開口に、基板面に対し鈍角をなして傾斜する順テーパ部と、基板面に対し鋭角をなして傾斜する逆テーパ部とを形成し、前記第2電極を形成する工程では、前記第2開口の前記逆テーパ部に対向する領域において前記第2電極を前記補助電極に電気的に接続させる有機EL表示装置の製造方法。
(12)前記第2開口の前記逆テーパ部に対向する領域において、前記補助電極の一部を前記有機層から露出させ、この露出した領域において前記第2電極を前記補助電極に接触させる上記(11)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(13)前記有機層を形成する工程では、前記有機層を蒸着法により形成し、前記第2電極を形成する工程では、前記第2電極をスパッタ法または斜方蒸着法により形成する上記(11)または(12)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(14)前記第2開口の前記順テーパ部に対向する領域において、前記有機層および前記第2電極をそれぞれ前記順テーパ部の形状に倣って連続的に形成する上記(1)〜(13)のいずれかに記載の有機EL表示装置の製造方法。
(15)前記第2開口の前記順テーパ部に対向する領域から前記第1開口に対向する領域まで、前記有機層および前記第2電極を前記画素間絶縁膜の表面形状に倣って連続的に形成する上記(1)〜(14)のいずれかに記載の有機EL表示装置の製造方法。
(16)前記画素間絶縁膜を形成する工程の前に、前記補助電極上に、側面に順テーパを有する逆テーパ形成用薄膜を形成し、前記画素間絶縁膜を形成する工程では、前記逆テーパ形成用薄膜を覆って絶縁膜材料を成膜した後、前記画素間絶縁膜に前記第1開口を形成し、かつ前記逆テーパ形成用薄膜と、前記絶縁膜材料の前記逆テーパ形成用薄膜の順テーパに対向する一部を除いた部分とを選択的に除去することにより、前記第2開口を形成する上記(1)〜(15)のいずれかに記載の有機EL表示装置の製造方法。
(17)前記逆テーパ形成用薄膜と前記補助電極との間に、前記逆テーパ形成用薄膜を除去するためのリフトオフ層を形成する上記(16)記載の有機EL表示装置の製造方法。
(18)前記リフトオフ層を形成する際に使用したフォトレジスト膜を、前記逆テーパ形成用薄膜として利用する上記(17)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(19)前記補助電極を形成した後、前記リフトオフ層と前記第1電極とを同一工程において一括形成する上記(18)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(20)基板上に設けられた第1電極と、前記第1電極と電気的に絶縁して設けられた補助電極と、前記第1電極に対向して第1開口、前記補助電極の少なくとも一部に対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜と、前記画素間絶縁膜上の全域にわたって形成され、発光層を含む有機層と、前記有機層上に設けられた第2電極とを備え、前記画素間絶縁膜の前記第2開口は、基板面に対し鈍角をなして傾斜する順テーパ部と、基板面に対し鋭角をなして傾斜する逆テーパ部とを有し、かつ前記第2開口の前記逆テーパ部に対向する領域において前記第2電極が前記補助電極に電気的に接続されている有機EL表示装置を備えた電子機器。
【符号の説明】
【0097】
1,2…有機EL表示装置、1A…有機EL素子、10…駆動基板、11…TFT、12…第1電極、13,21…補助電極、14…画素間絶縁膜、15…有機層、16…第2電極、17…保護層、20…封止基板、S1〜S3…開口、14A…順テーパ部、14B…逆テーパ部、120,122a,124a…逆テーパ形成用薄膜、22,12A…リフトオフ層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた第1電極と、
前記第1電極と電気的に絶縁して設けられた補助電極と、
前記第1電極に対向して第1開口、前記補助電極の少なくとも一部に対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜と、
前記画素間絶縁膜上の全域にわたって形成され、発光層を含む有機層と、
前記有機層上に設けられた第2電極とを備え、
前記画素間絶縁膜の前記第2開口は、
基板面に対し鈍角をなして傾斜する順テーパ部と、
基板面に対し鋭角をなして傾斜する逆テーパ部とを有し、かつ
前記第2開口の前記逆テーパ部に対向する領域において前記第2電極が前記補助電極に電気的に接続されている
有機EL表示装置。
【請求項2】
前記第2開口の前記逆テーパ部に対向する領域では、
前記補助電極の一部が前記有機層から露出し、この露出した領域において前記第2電極が前記補助電極に接触している
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記第2開口の前記順テーパ部に対向する領域では、前記有機層が補助電極を被覆すると共に、前記有機層および前記第2電極がそれぞれ前記順テーパ部の形状に倣って連続的に設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記第2開口の前記順テーパ部に対向する領域から前記第1開口に対向する領域まで、前記有機層および前記第2電極が前記画素間絶縁膜の表面形状に倣って連続的に設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記補助電極は、前記基板上の前記第1電極と同層に設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
前記基板上に薄膜トランジスタを含む画素回路が設けられ、
前記補助電極は、前記薄膜トランジスタにおけるゲート、ソースまたはドレインのいずれかの電極と同層に設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
第1電極は、アルミニウムとネオジウムとの合金(AlNd合金),酸化インジウム錫(ITO)と銀(Ag)との積層膜,または酸化インジウム亜鉛(IZO)と銀との積層膜である
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
第2電極は、酸化インジウム錫,酸化インジウム亜鉛,酸化亜鉛(ZnO)またはマグネシウム(Mg)および銀の共蒸着膜よりなる
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
前記補助電極は、チタン(Ti),アルミニウム(Al),アルミニウムとネオジウムとの合金(AlNd合金),酸化インジウム錫および酸化インジウム亜鉛のうちの1種以上を含む単層膜または積層膜である
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項10】
前記発光層は白色発光層である
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項11】
基板上に第1電極を形成する工程と、
前記第1電極と電気的に絶縁した補助電極を形成する工程と、
前記第1電極に対向して第1開口、前記補助電極の少なくとも一部に対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜を形成する工程と、
前記画素間絶縁膜上の全域にわたって、発光層を含む有機層を形成する工程と、
前記有機層上に第2電極を形成する工程とを含み、
前記画素間絶縁膜を形成する工程では、前記第2開口に、基板面に対し鈍角をなして傾斜する順テーパ部と、基板面に対し鋭角をなして傾斜する逆テーパ部とを形成し、
前記第2電極を形成する工程では、前記第2開口の前記逆テーパ部に対向する領域において前記第2電極を前記補助電極に電気的に接続させる
有機EL表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2開口の前記逆テーパ部に対向する領域において、前記補助電極の一部を前記有機層から露出させ、この露出した領域において前記第2電極を前記補助電極に接触させる
請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記有機層を形成する工程では、前記有機層を蒸着法により形成し、
前記第2電極を形成する工程では、前記第2電極をスパッタ法または斜方蒸着法により形成する
請求項12に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2開口の前記順テーパ部に対向する領域において、前記有機層および前記第2電極をそれぞれ前記順テーパ部の形状に倣って連続的に形成する
請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2開口の前記順テーパ部に対向する領域から前記第1開口に対向する領域まで、前記有機層および前記第2電極を前記画素間絶縁膜の表面形状に倣って連続的に形成する
請求項14に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記画素間絶縁膜を形成する工程の前に、前記補助電極上に、側面に順テーパを有する逆テーパ形成用薄膜を形成し、
前記画素間絶縁膜を形成する工程では、
前記逆テーパ形成用薄膜を覆って絶縁膜材料を成膜した後、
前記画素間絶縁膜に前記第1開口を形成し、かつ
前記逆テーパ形成用薄膜と、前記絶縁膜材料の前記逆テーパ形成用薄膜の順テーパに対向する一部を除いた部分とを選択的に除去することにより、前記第2開口を形成する
請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記逆テーパ形成用薄膜と前記補助電極との間に、前記逆テーパ形成用薄膜を除去するためのリフトオフ層を形成する
請求項16に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記リフトオフ層を形成する際に使用したフォトレジスト膜を、前記逆テーパ形成用薄膜として利用する
請求項17に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記補助電極を形成した後、
前記リフトオフ層と前記第1電極とを同一工程において一括形成する
請求項18に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項20】
基板上に設けられた第1電極と、
前記第1電極と電気的に絶縁して設けられた補助電極と、
前記第1電極に対向して第1開口、前記補助電極の少なくとも一部に対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜と、
前記画素間絶縁膜上の全域にわたって形成され、発光層を含む有機層と、
前記有機層上に設けられた第2電極とを備え、
前記画素間絶縁膜の前記第2開口は、
基板面に対し鈍角をなして傾斜する順テーパ部と、
基板面に対し鋭角をなして傾斜する逆テーパ部とを有し、かつ
前記第2開口の前記逆テーパ部に対向する領域において前記第2電極が前記補助電極に電気的に接続されている
有機EL表示装置を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−54979(P2013−54979A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193542(P2011−193542)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】